○
政府委員(
飯山太平君)
只今委員長から、前
國会における懸案として御
要望のありましたこれらの点並びにその後の
水産行政一般に関しまする概況を御
報告申上げたいと思います。
最初に
漁業法改正の問題でございます。これは前
國会におきましても、この第五
特別國会には是非出せと、こういうことでございまして、その用意を整えつつあるわけであります。ところがこの
漁業法は昨年の十月に公表いたしまして、
一般の
批判を求めた
原案があるのですが、その案は幾多不備な点がありまして、
衆議院における
公聽会、或いはその後
協同組合法の
普及宣傳に
当局として各
ブロックごとに
講演会を開催したのでありますが、その際における地方の
一般漁民の
要望も多々あるのであります。それらの点を勘案して
修正を加えて実は出したい。かようなことで
目下関係方面と
折衝しておるのであります。その大体
修正を加えようとしておる点を
簡單に申上げたいと思います。一番大事なことは
漁業権の
内容の問題であります。
原案には
協同組合には
根付漁業権だけを
團体に與える。それ以外の
漁業権は
協同組合には與えない。こういう建前にな
つてお
つたのでありますが、その後
公聽会における全般の
要望並びに各漁村における
実情に即しない点も多々あるのでありまするので、この点を先ず第一に
修正を加えようというので、例えば
小型定置であります枡網であるとか、或いは角網であるとかいうような極めて小規模の
定置漁業、こういうふうな
漁業権はこれを
專用漁業権として
協同組合に與える。それから地曳、船曳、飼付、
しいら付、築磯、こういうふうな
漁業も
團体とは密接な
関係がありまするので、これを
協同組合に與えよう。それから寄魚、或いは鳥付、濃釣、こういうふうな特別なもの、これは
瀬戸内辺りにあるのでありますが、こういう
漁業権、それから第五には
封鎖水面で行うところの
漁業、前に申上げたような
根付漁業と共に四つの種類以外の
漁業、更にやな
立養殖業、或いは「かき」
養殖業、それから内水面において営むところの
養殖業、こういうものを新たに設けまして、その権利を
協同組合に與える。こういう点なのであります。大体これらの点を
修正いたしますれば、
公聽会における
要望、或いは現地における各漁村の実態に即したものになり得る。こういう大体
見通しの下に、この
修正を加えた案を、実は御手許に差上げてあるのは前
國会において確か差上げたかと思うのでありますが、
原案に
修正を加えられる点を拔萃てあるのであります。これが
漁業権の
内容において
修正を加えようとする点であります。
それから
優先順位の点であります。これが第一次の
優先には全村的な
組合、或る地区の全体の
組合が
関係する、そうして自営するというようなものは、これは第一次
優先にする。それから第二次
優先には
漁業生産組合をする。こういうことにな
つておるのでありますが、ただこういう第二次
優先に対しましては、
北海道は多少内地と
事情が相違しまするので、
北海道は御
承知の通り大体地元の漁区の從業員というものは少くて、殆んど
大半出稼ぎ漁夫なのであります。そういう
関係上、これは
生産組合は
優先させない、こういう
考え方を改めることにいたしました。
それから第三には
漁業権の
補償の問題であります。あれは御
承知の通り二年の後に全部國家が買上げるという場合の
補償額の問題であります。これは
原案におきましては二十年、二十一年、二十二年、二十三年、こういうふうな
戰後極めて混乱しておる時代の大体漁獲を
基準にしてそれに基くという
考え方であ
つたのでありますが、その正確な
資料が得にくいということと、もう一つは実際において
魚價の
関係なんかが変化しておりまするので、二十二年の七月一日から二十三年の六月三十日までの間における
実態経営というものを
水産廳において調査いたしまして、その
資料が幸に完結いたしましたので、これに基くのが最も
実情に即しておるのではないか、こういう
考えの下に二十二年の七月一日から二十三年の六月三十日までの間における
統計資料に基いて
補償の
基準とする、この点が変
つております。
第四には
市町村漁業調整委員というものが
原案には上げてあるのでありますが、これはいろいろ諸種の
事情で、
市町村漁業調整委員というものは取止めることになりました。これは
協同組合が
実施されて
以來又漁業法改正が近く
実施されるだろうというようなことの予想の下にいろいろな
事情が起る傾向もありましたので、特にこれを取止める。又漁場の
関係上一
市町村ということでは解決がしにくい場合が非常に多いという
関係もありますので、海区
委員においてこれを行うというようなことにしまして、
市町村漁業調整委員という構成を止めるということになりました。それから第四
國会で
協同組合法案が通過しまする際に、大体
漁業法が
根本法であるから、それとマツチしない
協同組合法の
内容については、これを改正しろということは
水産常任委員会における御
要望であ
つたのであります。今度
協同組合と関連する点については、
協同組合法も一部
漁業権に
伴つた点は
修正を加える。大体こういうことで今度の
修正案を檢討いたしまして、
目下関係方面と
折衝を進めておるのであります。
経過を申上げますと、実は当初
修正を加えたものではどうも
司令部への
折衝もむずかしかろう、むしろ
原案で出したらどうかというようなサゼツシヨンもあ
つたのでありまするが、併し先程申上げましたように、それでは
実情に即しないという点が多々ありますので、いろいろ
折衝しましたところが、幸いに我々の
要望を容れまして、目下それでは
修正案について相談を進めようというようなことに相成
つたのであります。できるだけ早く
関係方面との連絡をつけまして、一日も早く
國会に提出いたしたい、かように
考えておるのであります。大体
漁業法につきましては、
簡單でありますが、以上の
経過であります。
それから
只今委員長からも言われましたが、
信用保証制度、
災害補償制度、
漁業保險制度、こういうことについて前
國会におきまして、参議院においてこれを特に
要望せられたのであります。
爾來私共もこれらの
制度について
研究を加えておるのでありますが、新らしい
制度であるのと、又その
基準になるものがない、例えば農業のものを適用するというようなことは勿論できません。
特殊事情が幾多ありますので、
研究がなかなかはかばかしく行かないのであります。併し私共はできるだけその御
要望に副うように
努力をしておるのであります。実は申しにくいのでありますが、この
國会に成案が出し得るかどうか、今のところはつきり申上げられないのでありますが、併し
制度の立案については是非本
國会中に上げて見たい。但しこれらの
制度実施につきましては、
財政予算の
関係もありますので、その点も余程難関ではないかと思
つております。これらの難関につきましては、
委員各位の特別な御協力を仰ぎまして、そうしてできるだけ早い機会にこれが
実施されるように運びたい、かように
考えておるのであります。大体この法案、又
制度の
関係につきまして、以上で
簡單でありますが、終らせて頂きまして、次に
金融関係のことを申上げたいと思います。
金融関係につきましては、第四
國会におきまして、特に当
常任委員会に非常なる御
努力を願いまして、年末年頭にかけて、
漁業手形が漸く
実施されるというような運びになりました。これは全く当院の
常任委員各位の特段なる御
努力の結果と私は衷心から感謝感激しておるわけであります。その後の
漁業手形の
経過を
簡單に申上げたいと思います。
漁業手形は一月の十九日に、これが
実施を見たのであります。その後期間も年度末までで非常に短いのでありますので、
水産廳といたしましては、係員を関東、東北の各縣に派遣いたしまして、縣
当局並びに
金融業者の
一致協力に俟ちまして
割当を行い、そうしてそれが大体各縣とも
地元銀行において
割当額を引受ける、こういうようなことに相成
つたのであります。そのうち、最も
業者の苦痛を叫ばれてお
つた福島縣が四千六百万円に対して大体三千四百万円ぐらいしか見込がないというような
報告であ
つたのでありますが、本朝の
報告によりますると、大体明日にこれも決まるという
報告を得たのであります。それから
神奈川縣が千四百万円と思いましたが、これも
最初は非常に滑り出しがよか
つたのでありますが、途中でちよつと
事情がありましたので、危ぶまれたのでありますが、この問題もこの
程度に
割当が決ま
つたのであります。青森、宮城、
千葉縣はすでに
割当額をそれぞれ引受けるというようなことにな
つておりますので、実は日もありませんので、その
実施促進に、これが余程手続が遅れるというようなことになりますと、折角のこの重大な問題が水泡に帰するというようなことになりますので、
水産廳としましても、年度末までには是非ともこれが全部活用をされるようなふうに
努力する、又各
業者に向
つても
要望いたしておるようなわけであります。お蔭で
漁業保險についてはさような
経過を辿
つております。ところがこの
漁業保險の
制度に対しまして、全
國各地におきまして、実は
関東北のみに
限つたということについていろいろ御
批判があ
つたのでありますが、私共は勿論あの当時の
事情として止むを得なか
つた。さような施策に止まらなければならなか
つたのでありますが、まあ取敢えず
関東以北の
揚繰網漁業が最も不況、不漁に悩んでお
つたという点につきましては、これは他の
業者よりも深刻であ
つたこと、これは間違いないのであります。私共としてもこれは先にしなければならないことは当然だと
考えております。ただ
保証額が非常に僅かで一億五千万円であるために、さような範囲に止められたのであります。その後是非ともあの当時問題になりました
以西底曳網、それから「
かつを」「まぐら」
定置漁業、これらについても
拡大強化をいたしたいというので、
大藏当局とも実は
折衝を進めてお
つたのであります。ところがあの
漁業手形の資本は
復金の
支拂保証というのが主体にな
つておるのであります。この
支拂保証の
制度が拡大され、
漁業手形の融資ということが確保できないとこういうことになりまするので、実は最近
復金の問題が
大分噂に上
つておりまして、若し
復金が廃されるというようなことになりました場合、若しくは
復金が存在しましても、この
政府出資が非常に少額になるというような場合に、果して
保証が行われるかどうか、尚更に増額することが可能かどうかという点について、いろいろ檢討を加えました。ところが非常に危いのであります。それで実は先般も
衆議院の
委員長その他の
金融関係の方々にいろいろ
意見を求めて、
一体保証制度のない場合に
金融手形の
実施はどうすればいいかと、こういう点も
考えましたところが、やはり
農業手形の方で
馬鈴薯が新らしく加えられた。これは
農業保險の対象にな
つておらん、そういう
関係上、
馬鈴薯に対する
手形は
業者の
つまり農業者の
團体と申しますか、連体と申しますもので
積立金をして、それを
保証に充てる、こういう
制度でや
つております。若し
保証ができないということになりますれば、そういう
積立制度の活用というようなことに行くべきじやないかというような
意見もあ
つたようであります。併しただでさえ困
つておる
漁業者が
積立金をして、そしてそれを
保証するということも、これは非常に困難でありますが、尚その他にいろいろ
復金の
保証が継続できる場合は、これが
強化拡大には困難でありますが、いわゆる
復金、そういうような場合には、ここに改めて対策を立てなければならんという
事態に
只今な
つております。
漁業手形については大体これで……。
それから昨年の二十三年度におきましては、一体どのくらいの
資金が
水産に融通されたかということを申上げますと、
復金関係において
総額で三十億であります。で、
水産廳が
最初計画いたしましたのは八十億、
復金資金を八十億融資して欲しいというのが、
水産廳の二十三年度における
総額でありましたが、いろいろな
事情で実際に融資されたものは三十億でありました。それでこれは三月の十二日現在でありました。それで尚あと一億ばかり殖やし得るのじやないかということで、いろいろ
折衝しておりますが、まだ決定しておりませんが、若し一億加われば三十一億と、こういうことになります。
復金融資の方は大体
沿岸漁業関係はないのであります。
南極捕鯨がそのうち十億入
つております。特別、
司令部の
関係もありますので、これは
優先的に、二十億があとの「
かつを」「まぐろ」或いは底曳ということにな
つております。この点は
國会にも
沿岸漁業に対する融資の点については、種々御
批判を受けておりますが、
復金の、
沿岸の
漁業にはなかなか出し難い、
沿岸の方には出ておりません。
沿岸に対する
金融は
農林水産復興資金と、この方で賄うというような形にな
つております。この
復興資金の方は実は二十三年度において、第三
四半期と第四
四半期に四十億を
永江農林大臣当時出すということにな
つておりましたが、実際に出されたのは二十億であります。第四
四半期まで入れて
つまり半額になりました。
最初四十億の場合、一億五千万を
水産に出すという
計画にな
つておりましたが、二十億になりました結果、
水産の方には大体五億七千万円にな
つております。これが
つまり沿岸漁業関係、
つまり漁業協同施設、船だまりの新築というような方面にこれが使われております。これが
沿岸漁業関係であります。九億五千万円の
計画に対しましては、むしろ割合からいえば、
水産の方は
農林関係の方を食い込みまして、
水産の方は少し率がよく
なつたということであります。大体二十三年度の
金融の
計画はこんなものであります。
ここで
予算関係をちよつと
金融と合せて関連がありますから、
予算関係を
簡單に申上げたいと思います。勿論
予算関係につきましては、まだ確定ではありません。併し大体昨日農林省におきまして、大体内定をいたしましたので、その内定した分を申上げたいと思います。
從つてこれは
國会に
予算が提出されて変化があるかも知れませんが、現在の、省において内定した
内容につきまして、
水産廳が要求したのは
総額において約十九億であります。二十四年度の
水産廳の……。但し
公共事業関係は除いております。それから
漁船保險の
特別会計の方も、これも除いておりす。
一般の
つまりその他の
公共事業費と
特別会計による
漁船保險、これを除いたものを十九億要求したのでありますが、
司令部並びに
大藏省の査定の結果は、甚だ香しくないのでありますが、大体六億四千万円、二三%であります。この額については、私共としましても誠にこれは
漁業界に対しまして相済まん。何とかして五〇%ぐらいの額を確保したいというような
考えの下に相当の
司令部の協力を仰ぐべく
努力したのでありますが、遺憾ながらかような結果になりましたことは、これは誠に遺憾に堪えないと思います。六億四千万円の外に、
公共事業費として、
只今のところ七億八千万、
つまり四百九十五万の
公共費ということに
なつた場合には、
水産の方には、七億八千万円ということにな
つております。これは御
承知のように漁港又は船だまりという
関係であります。それからその外に
特別漁船の
関係としまして、二億八千万円あるのでありますが、これは
特別会計であります。但し
漁船保險につきましては、
司令部において、非常な
特別会計であるということに対して
意見があるのであります。これは現在のような
漁船保險の
制度は感心しない。何とかしてこれを分離して、
つまり漁船保險組合に自営させるという方向に持
つて行くということを言われております。併し
漁船保險の設けられたのは、
一般の
保險会社では取扱いにくい
漁船に対して、
漁業者の
経営を安定させようという
考えからこれは生れたものでありまして、我々といたしましては、何とか比較的小型の
漁船が多いのでありますから、これは何らかの手を以てやはり持続するようなことが絶対必要だと、かように
考えております。これが対策について目下
研究中であります。
予算は大体さようでありますが、それでは
資金関係はどうな
つておるかということになりますが、ところが御
承知のように
資金の方は殆んど現在のところ目算が立
つておりません。
復金に対する、
つまり政府の
出資金というものはまだ決ま
つておりません。これは大体は
復金は七百億くらいはなければならん。七百億の場合に
水産に対して大体先程申上げましたように、現在要求しましたのは百億のうち八十二億を施設にして、
運轉資金に十何億、こういうふうな
要望をしたのでありますが、これは併し今のように殆んど
資金計画は立
つておりませんのと、それから
復金の
資金の
政府出資が三百億になるというようなことの場合には、殆んど
水産に対しましては余裕がない、こういうような
実情なのであります。ところが貿易の繰入金を、今日の新聞にもありますように
復金の
資金に換える、貿易の黒字を
一般会計に繰入れて
資金にするというようなことを聞いております。我々といたしましては、いずれにしても昨年ですら八十億の要求を出したのでありますが、少くも今年も昨年
程度の
資金はどうしても必要だということは
要望しておりますが、実際幾らにそれがなるかは今のところ見当がつきません。
それからもう一つは
農林復興資金の方でありますが、これは六十億ということにな
つて、六十億の場合には大体十六億五千万円くらいは
水産の方へ持
つて來るということにな
つておりますが、この六十億が果してこの通り行くかどうかということもまだ決ま
つておりません。でこれらの
経過につきましては、又判明次第御
報告もいたしますし、又一層我々も
努力して、これが要求の六十億の場合、十六億というような
程度のものは是非とも頂きたい。
つまり二十三年度においても、僅かに第三、第四で約六億に近いものを出して
貰つたのでありますが、それが非常に少額に過ぎたようなわけでありますので、少くも十五、六億は來年は貰う、かように
考えております。大体
資金計画としてはさようなところであります。
それからその次には
資材の問題でありますが、
資材関係は御
承知の通り單一
爲替レートの設定によ
つて、非常にこれが円安と円高によ
つて相違がありますが、
只今新聞に報道されているように、三百円乃至三百五十円の
程度と、こう
考えた場合に、三百円、三百三十円、三百五十円というようなふうに段階をつけて、
水産の
資材の
値上りの場合を予想して見たのであります。それによりますると、御
承知のように、
綿糸は現在八十四円というような率にな
つております。それから
マニラは七十八円、
重油関係は三百三十円から三百九十円くらいにな
つております。大体主要なものはそれらでありますが、
從つて燃油類は
爲替レートの設定によ
つて必ずしも大きな影響はないのでありますが、
綿糸、
マニラにおいてはそこに三倍乃至四倍近い
値上りというような
事態が起るのであのます。仮にさような
事態が起
つた場合に、一体
漁業者の
負担がどういうことになるか、こういうことを
考えて見ますると、
漁業経営費の膨脹から行きますと、大体最低一割五分、最高三割というような
程度であります。
つまり現在の
爲替レートの設定によ
つて漁業経営費の増額というものが、
経営費の一割五分乃至三割
程度のようであります。それで仮にそれだけの
経営費が膨脹した場合に、漁獲が從來と同じだとすれば、
一体魚價をどの
程度に上げなきやならんかということを仮定して見ますると、やはり
魚價も
つまり以前と同じだけ、
爲替レート設定後も同じというような前提の下に
考えますると、これも一割乃至三割、
つまり経営費の膨脹と大体同じような率です。ですから
爲替レートによ
つて何らのそこに
補給金なり、或いはその他の
調整がなければ、少くも
漁業界としては三割以内の犠牲になる、こういうことであります。で、
資材は
ガリオア物資ということにな
つておりまして救済的な物資にな
つておるのでありますが、我々といたしましては、
補給金によろうが、或いは
救済物資によろうが、とにかく現在以上に
負担を増さないような方法に一つ進みたい。これは
安定本部におきましても、いろいろ相談しております。
レート関係はそうでありますが、それから
量的見通しはどうかということになるのでありますが、量的には大体
燃油にしましても、絹糸にしましても、それから
マニラにしましても、現在の
需要量に約近いものになる。二十三年度におきましては、御
承知のように
燃油は約五十万キロ、それから
綿糸は御
承知のように八万梱、それから
マニラは五千万ポンドということにな
つております。ところが
綿糸は大体戰前でも
一般の一年の消費は六万梱、昨年の八万梱は、特配があ
つたので八万梱にな
つたのでありますが、これは永い
間不足をつげて來て、不足の蓄積がといいますか、不足の積み重
なつたものがあ
つて、昨年はやはりそれぐらいのものを消費したのでありますが、本年は大体六万梱ぐらいの見込のようでありますが、これは一年間の需要を充たすのに大体足りるのであります。それから
マニラの方は昨年五千万ポンド入れましたが、これも御
承知のように一昨年は僅かに百八十万ポンド、一昨年までは殆んど
マニラというものは入らなか
つた状態であります。それで昨年五千万ポンドというように非常に入れたのでありますが、本年は大体三千万ポンド
程度ではないか。三千万ポンド
程度であれば、一年の
需要額は大体充たし得る、こういう見当であります。
從つて燃油の方も前年と増加はないようでありますが、これも減ることは大体ない。量的に見まするとまあ大体
マニラ及び
綿糸においては差はありますけれども、併し
需要量においては大体九〇%以上のパーセンテージにな
つておる、こういう状態であります。
資材関係は大体さようなわけであります。
それからその次には
統制の問題、一番問題でありまする
水産物の
統制の問題でありますが、
統制に関して
簡單に申上げますが、
統制の問題につきましては、すでに野菜のごときは四月一日から
実施されるような状況にな
つております。
水産の方も、その後
統制が必ずしも完全に行われ、又
統制の結果が、
一般民衆生活に非常に貢献をしているとは
考えておりません。
從つて我我といたしましては、何とか
統制が廃止することができないならば、少くも現在の
統制方式内でできるだけこれが弊を矯めて、そうして撤廃の方向に進めたい。かような
考えで、実は
一般に
クーポン制とい
つて呼ばれたのでありますが、あの案で進めたい。実は昨年來あの案を
実施すべくいろいろ
努力したのでありますが、その当時の情勢は必ずしもこれを許さなか
つたのでありますが、併し今日は、すでにどうしても行わなければならないような時期に到達していると
考えているのであります。
從つて正式にこの問題を取上げて行きたい。是非ともこれが実現を期したい。若しあの
統制方式の改善ができますならば、
生産方面におきましては、價格が相当幅を持つということにな
つて、
生産者に或る
程度の
生産意欲の向上を來たす、或いは経費の
負担を多少とも軽くみることができる、又
生産も増強できる。それから消費の面においては、御
承知のように、自由にどの店からでも買えるようになる
制度でありますので、現在の
制度の欠陥である小賣商が
生産者のものを
荷受機関に対する引取りを拒否しておるような極めて不自然な欠陥が生れて來る。又これによ
つて生産者はマル公を二割も三割も、甚だしいのは四、五割も下廻るというような
実情である。これは全く現在の
制度の弊から來ておるのであ
つて、こういう弊を除いて、そうしていわゆる消費者にその選択の自由を移すというような建前で、必要なときに、必要な店から必要な量を買える。こういう形に持
つて行きたい。これが
統制方式の改善に対する大体の方針であります。
その他総合……
つまり鮮魚、それから代替品である
水産加工物というようなものをできるだけその枠を縮小して行く。現在すでに豊富に
なつたもの、或いは中には過剩に
なつたものというものもあるのであ
つて、例えば「こんぶ」とか、佃煮のようなものはできるだけ外して行く。どうしても
資材の
関係上、外すことのできない、或いは大衆に最も
関係の深いもの、そういうものにできるだけ少数に限る。こういう
考え方で進みたい、かように
考えております。
大体
統制については以上のような
考え方であるということに御了承を願います。その他輸出のこととかまだありますが、大体の概況はこの
程度で、若し御質問があればお答えいたしたいと思います。