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羽仁五郎君
さつき御説明下さつたことと矛盾しておるようなんですが、やはり
定員法という以上は、どれだけの
仕事があるからどれだけの
人間が必要だ、それからどういう
種類の
仕事があるからどういう
種類の
人間が必要だという、その
仕事の量と質とが
はつきり把握できなければ
定員というものは出て來ないのです。でこれはもうどなたがお
考えに
なつた
つてそうだと思います。で
人事院も恐らくそうだというふうに
考えられればこそ、今回の
行政整理に
人事院はタツチしないという
態度を執られておるのだろうと思う。又それに対して
人事院としては、非常な
責任を感ぜられて
職階制を非常に急いでや
つておられるのだろうと思うのです。だからそれはこの間から、今丁度
見えられた
人事院総裁がしばしば我々に向
つて言明せられておる
通り、非常な困難を冒して、その
職階制をできるだけ最短の
期間にそれを作り
上げられようとしておるのですから、可
なり先の話ならば、それは今
國費の
節約という点から
政府がやられるということは、我々が
参議院で或いは
了解されるということもできるかも知れないと思うのですが、今申
上げたように
仕事の質と量についても
確乎たる
根拠がなくてそれで
定員法を作られるということは、実際三歳の童子を
納得させることもむずかしいのです。だから
政府は、殊にそういうふうな
見通しというふうなものでおやりにな
つておるということは、私としても別に疑うわけではありませんが、併し我々
國会議員として
世論に向
つてそれを説明する
根拠がなければならない。而もその説明する
根拠が、二三ケ月後くらいにはできるというのだから、そういう
意味の
さつき申
上げた、今
本多大臣が認められた技術的な單に不
合理なものを直すという以上に、
行政整理として
定員法というものと結び付いたものは、この第五
國会でおやりになるということを、そうして今明日々々々ということを、甚だ失礼な言い種ではあるけれども繰返して
おいでになるということは、どうも
國会に対する
政府の
態度として、端的に申
上げて私は釈然としないのです。而も技術的な
行政整理というものはすでに行な
つておいでになるのではありませんか。今年の初の頃から、実は
各省において御
承知でしようけれどもそういうことをおやりにな
つておる。だから
現実にはそういうことを行われておるのだから、その
行政機構を
ストリーム・ライン化して、
はつきり
職階制、
事務量、そういうものに基いた立派な
行政整理をおやりになることに
努力をされて、今何のために非常に曖昧な
根拠のない、そうして何といいますか、
政府といわゆる
関係方面との間に
了解さえつけば、
國会はそれにゴムのスタンプでも捺すというふうな
態度でおやりにな
つておることですね。それに私は、殊に
参議院では
納得されないのじやないか。だから
さつき申
上げたように
政府としては、本格的な
行政整理というものをもつと
確乎たる
根拠に基いて次の
國会なり何なりでおやりになる。この
國会ではおやりにならないということをお
考えになる御決心はないか。その方が次におやりになる
定員法なり
行政整理なりについても十分の
根拠があ
つて、
國民を
納得さして行くことができるのです。今いい加減な
定員法をお
出しにな
つて、或いは
與党の多数を以て
参議院をお通しになるということはそれはできないことはないでしよう。できないことはないでしようが、併し
世論に與える影響はどういうものかということを十分お
考えにならなければならん。大した
根拠のない
定員法というものを
作つて、つまり
定員法というものが結局尊重されないということにな
つて、又そういうものを通すところの
國会というものの権威をますます落すということになる。そういう
意味で
政府としても確たる
根拠のない
定員法、いわゆる單に公約を果たすというふうな面子だけで以て一種の
定員法というものを、急いで通すということをなさるよりも、もう数ケ月すればもつと
根拠のある
定員法というものができるのだから、それまでお持ちになるお
考えはないか。又そうでなく、依然として今明日々々々というふうに
言つて、それで
会期を延長するかしないか。これは
國会だけの問題ですが、実際
國家公務員に対して我々は非常な
責任を感じておるのです。
國家公務員は今明日々々々と言われて、いつ首を切られるか分らないから、実際落著いて
仕事しておる人はありはしない。ありはしないと
言つては過言かも知れないが、皆非常な不安です。又その不安が
國民にも波及して、今明日今明日と
言つて、この数ケ月というものの実際の能率はぐんぐん落ちておる。だから貧乏人の
節約みたいなもので、カを
節約しようということばかりして、実際の
國家経済の損失の方が遥かに大きいのじやないか。そういう不安、而もその不安を
最後に持
つて行つて、大した
根拠もない
定員法を通すというようなことで、この世の中が治ま
つて行くというふうにお
考えになるのか、賢明なり
國務省が……それよりも今、一應もう第五
國会でこういうことはやらない、十分
人事院が
職階制を作られる。その
協力を得られてそうしてや
つて行く。この間から、
新聞で見ても
行政整理ということに
人事院はタツチしない。
政府の方は
人事院の
協力を得てやる。あんな何というか
内輪割れみたいなことでや
つて行く。それを
國会に通せといわれることは
國会を何とお
考えにな
つておるのか。そういうことよりも第五
國会でもうできないのだから、実質上できないですよ。二三日でおやりになれというのかどういうのか。今明日というが、仮に明日ということになりましても
あと数日しかない、それでやる、而もそういう
根拠もない。それよりももうこの際
はつきりやらない、そうして次に十分の
根拠を以てやるという御決意はないかどうか。なければ
國会としては殊に
参議院としては別に
考えざるを得ないのではないかと思う。