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衆議院議員(
門脇勝太郎君)
只今御紹介下さいました
衆議院議員商工委員をいたしております
門脇勝太郎と申します。どうぞよろしく。
御提案にな
つております
中小企業等協同組合法案並びにその
施行法案に對しまする
衆議院商工委員会のこれに対しまする
相当広範囲の
修正をいたしましたので、その
修正の動機と経過について一應御
説明申上げたいと思います。大体詳しいことは一応
政府委員から御
説明にな
つておることと考えますが、この
法案の内容が五つの種類の
組合に分類されております。個々に檢討したのでありますが、
事業協同組合の場合におきまして、これを構成いたしまするところの
組合員の
事業の
規模、この
規模が
從業員の数で決められております。
工場の場合におきましては百人以下、
商業者の場合におきましては二十人以下、これが大体基準にな
つておりまして、それの前後は一々
公正取引委員会の方の審査を要するということにな
つておりますが、そこで
協同組合の
規模については、
工場百人
商業者二十人では少し少な過ぎる、これでは実際の
運用の場合に非常に
支障を來たすのではないかという点を考慮いたしまして、百人を二百人に殖やし、二十人を四十人に殖やすということを
修正すべく考えたのであります。これは
政府委員の方がその筋に折衝されたのでありまするが、その筋の御
意向が到底この
修正は
了解が得られないというきつい
見通しでありましたので、結局この
項目は、そういう
意図ではありましたが、これはまあ実現しなか
つたわけです。
その次に
保險協同組合でありまするが、
保險協同組合につきましては、現在のように戰災後の各大都市の
建築物はバラツクでありまして、一朝
火災等がありますると、何千万円、何億円と、こうい
つたような非常に
厖大な災害が頻々としてあるわけでありまして、そういう現状を打ち眺めて、こういう小さい
規模の、まあこの
保險協同組合というのは要するに
損害保險でありまして、結局
火災保險でありまするが、こういう小さい
規模の
組織では、そうい
つた最近の
火災の
実情に則しない、特に
政府の御
意向は、最近
マーケツト街等が
相当火災が頻繁に起る、
火災保險会社が
マーケツト街等は、これは
保險物として
拒否をしておる、そういう
拒否をされた
部面に対して、特にこういう
組織を利用したいのだ、こうい
つたような御
意向もあ
つたのでありまするが、
相当基礎のある
火災保險会社でさえ非常に
危險が
つておる、忌避する
物件に対して、こういう小さい
規模の
組織で一朝
厖大な
火災がありました際に、到底その
損害に対して
保險金を完全に支拂い得るというようなことは、これは実態的に考えてとてもそれは思い及ばんことでありまして、結局無辜の
加盟員にそれだけの
依存心を与えておいて、一旦
損害があ
つたときにそれだけの
保險金が支拂われんということになりますると、そこに非常な悲劇が起るわけでありまして、そうい
つたような、社会の秩序を混乱するというようなことの
見通しが、現在の
実情においてはつきりと我々に認識し得るような、こういう
組織を、
政府の責任において
法規として制定するということは、どうもこれは面白くないと、こうい
つたような考えで、この
保險協同組合は、これは全部この
法案の中から削除しようということで、これはその筋の
了解を得まして、この
保險協同組合に関しまする
項目は全面的にこれを削除するということでや
つて來たのであります。
その次に
信用協同組合でありまするが、この
信用協同組合の場合におきましては
二つの考え方があるわけであります。それはこれから新らしく作る場合と、それから今までありまするところの
市街地信用組合法規によ
つてでき上
つておりますところの現在の
信用組合がこの方の
法規へ移行して來る、
市街地信用組合法がその
法規の制定後、或る一定の時期を経過すれば廃止になる、
從つてそれの
法規によ
つて設立されておる現在の
信用組合はこの
法規に移行されるということにな
つておる、その
二つの場合を考えたわけです。そこでこれから作りますという場合におきましては、
相当政府の指導と援助がありますれば、これはできるかも知れない、できると思います。併し現在の
市街地信用組合がそれぞれ獨自の
立場で或る
程度相当の城にまで発展しておる、この発展しておるところの
市街地信用組合というものを殊更に、今
法規を改廃してこの方へ移行せしめんければならんというだけの絶対的の
必要性があるかということについては、いろいろ檢討したわけであります。そうい
つたような問題に関連しまして、
政府委員を通じて、やはりこれもその筋の
意向を質したのでありますが、この筋の
意向がこの
信用組合だけは是非この
法規に包括して行きたい、
保險協同組合の方はこちらの
意向を幸いに御
了解願つたのでありますが、どうも
信用組合の方を切り離すということは、これはどうにも
了解しかねるという
相当きつい
見通しがつきましたので、現在の制約されておりまするところの現下の
政治情勢に鑑みまして、止むを得んということに考えたわけでありまして、そこで
從來の
市街地信用組合法によ
つてできておりまするところの
信用組合がこの
法規に移行いたしまする場合に、極めて簡便に移行し得て、尚その後
運営に対しまして
余り支障になることがないように、成るべく
從來通りの
運営の
方式によ
つて運営し得るように、そうい
つた点を是正しようということを考えたわけでありまして、その是正ということが十
項目ありまして、その十
項目をこれから御
説明申上げます。 その第一はこの
法規によりますると、
信用の場合は
信用協同組合ということにな
つてお
つたのでありますが、
從來信用組合ということで
相当世上に対して
信用も傳しておるし、又そういう
名称の下に現在
相当多量の
印刷物等が用意してあるので、
名称が変わることは、そうい
つたような実際的の
部面で
相当費用上にも
影響がある、でき得れば
從來の
信用組合は
協同という字を使わんでも
從來の
名称のままで
信用組合と称してことが済むようにとこういう
意味からして、
從來の
信用組合に
限つては
信用組合という單に
名称であ
つてもいいし、又
信用協同組合という
名称であ
つてもいいというようなことにこれは
修正をする、この点も、これはその筋の
了解を得たわけであります。 第二の
信用協同組合の
構成員であるところの
組合員でありまするが、この
組合員として
事業協同組合が認められていない、即ち
事業協同組合自体は
信用協同組合の
構成員になり得ないという
法規にな
つております。これはやはり
事業協同組合が
信用協同組合に加入してその
金融的利便を受けるということに、非常にまあそこに大きな問題がありますし、又現在
市街地信用組合法による
信用組合が多数の法人をメンバーに持
つておるという場合もありますし、
信用協同組合に
限つて事業協同組合がその
構成員になり得るという点、この点もその筋の
了解を得たわけであります。
第三の
信用協同組合は
出資金に対する
信用が
相当目標になります。ところが、この
法規によりますと、
一個人で全体の四分の一・二五%までは
出資し得ることにな
つております。仮にそうい
つたことがありました場合に、その二五%を持つところの
一個人が脱退することによ
つて出資金に非常に大きな変化を生ずる、そういうことが
信用を対象とするところの
信用組合の場合ではいかんからして、
一個人の
出資の
最高額を十分の一・一〇%までに切下げて貰いたい、この第三項の点もその筋の
了解を得たわけであります。
その次は
総会の場合でありまするが、
総会の場合において出席の
組合員は他の
組合員一名だけの
代理をし得ることにな
つております。今
信用組合は
相当発達しまして、一番大きいのになりますると、二万人、三万人近い
組合員があるんだそうでありまして、そうい
つたような
組合におきまして一人が一人だけの
代理権ということでは非常に
総会等がやりにくいからして、一人で少くとも十人分くらいの
代理権を行使し得るように、
代理権の拡張という点をまあ考えてみました。ところが、この点はその筋に折衝いたしました結果、これはもう絶対いけないという固い
見通しが附きましたので、この点はこれは私の方で撤回いたしました。
第五に、
信用協同組合は
組合員の数が三百人以上の場合にのみ
組織し得るように認めて貰いたい、この
法規によりますと、四人以上相寄りますれば
協同組合ができることにな
つております。そういう少数の人員では最近流行
つておりますいわゆる闇金融
組合の方にこれを惡用される虞れがある、又正当な
信用組合としましてはその
程度の人員がなか
つたならば相互の金融
組織になり得ない、こういう観点から三百人以下ではでき得ない、三百人以上ということに設立の
構成員の数を制限して貰いたい、この点もその筋の
了解を得たわけであります。
次は総代会の
組織でありまして、先程申しまするように大きな
組合になりますると、二万人乃至三万人というような
厖大な
組合員になりますからして、なかなかこれを一堂に集めるということは至難である、そこで大体この
協同組合法自体の
総会のやり方等につきましても、前以て折衝しまして、第一次的には
相当、これは総代制度というものを利用するような
項目に第一次
修正をして行きまして、特に総代は、二百人以上の場合には総代を置き得る、その場合には十分に一、それが最高、二千人の
組合になりますると、十分の一でありますから二百人になる、その二百人以上は
組合員の数が何千人、何万人に殖えても二百人で打切れる、二百人が最高の総代数ということに第一次
修正ができ上
つておるわけでありまして、而も二千人以上の
組合の二百人の総代によ
つて議事が
運営される場合には、
相当広範囲な権限がある、合併或いは解散或いはその全
事業の讓渡、後任総代の総改選、この四つを除く以外は全部総代会で議決し得るということにな
つておりまして、
相当それによ
つて大体
総会の
運営も大いに緩和されてお
つたのでありますが、もう一歩前進してその二千人という制限を千人に切下げる、で、千人の場合は百人の総代を置き、千人以上幾ら殖えても百人の総代を以て事は足りる、百人が最高限度ということにその筋と折衝しまして、この点も
了解を得たわけであります。
その次は、総代の総改選、これは勿論総代会でできない、総代会で後任総代の総改選をしてお
つたならば、いつまでも総代は万年総代になりますから、総代の総改選は
総会でしなければならないが、併し途中で、補欠があ
つた場合、補欠の選擧だけは総代会ででき得るようにということを特に折衝しまして、この点も
了解を得たわけであります。
その次に、拂込済
出資金に対して剰余金を配当する、これが最高限度六分に制限されております。ところが
信用組合の場合におきましては、最近なかなか銀行などが高率の配当をする、大体少くとも一割くらいの配当をする、こうい
つたことに対抗するために、六分だけと制限しないで、主務大臣の認可を得た場合には六分以上の配当をしてもいいということに改正したいということを折衝したのでありますが、この点はその筋からきつい
反対がありまして、これは撤回しました。
それからその次に、この
法規によりますると、連合会、特に
信用組合の連合会の場合は、
信用組合の連合会自体がその
構成員であるところの
事業協同組合、その
事業協同組合のもう一つ下の
組合員、即ち連合会の
立場からいいますと、孫分に当ります孫
組合員と直接に取引をしてもいいという條項があるのでありますが、そうい
つたような制度は
信用組合等の場合においてはいろいろな弊害が招致されるので、その点は一つそういうことをしないように、やはり連合会はその構成分子であるところの直接のいわゆる單位
組合だけに取引を留めるように、その点はその筋の
了解を得たのであります。
第十番目には、この
組合の義務又は
運営上について若し
組合員として不当と認めることがあ
つた場合は、直ちにその官廳に届出で、官廳はこれに対して必ず当該
組合の内容を檢査する義務があるという條項がこの
法律の中に入
つておる、こういうことは普通の
事業組合ならいいが、
信用組合の場合には、或る
組合員が金を借りに來て、それに金を貸さんというようなときに、それに対する報復的手段として何か口実を設けて官廳に檢査を申請する、そうい
つたようなことが世上に流布されると、
信用組合が非常に
信用を損じまして、取付等が起る
危險がある、でありまするからして、すべてそうい
つた場合には官廳の檢査権というものに委讓して、直接その都度々々に個々のそうい
つたような申出を官廳が義務的に受附けないようなことにして貰いたいという点であります。その点はその筋に折衝しましたところが、これは堅く改正相成らんということでありましたので、その点は撤回したわけであります。
それから役員の任期が二年ということにな
つてお
つたのでありますが、この
信用事業の場合は、やはり同一の者が或る期間継続しなければならん、
信用を対象にして是非そうありたい、少くとも二年を三年に延長して貰いたい、この点はその筋へ折衝しまして
了解を得たわけであります。
それからこれは
施行法なんでありますが、最初の
法規によりますると、この
法規の公布後一ケ月後には
市街地信用組合法が廃止されるということにな
つておるのでありますが、いろいろの事情があ
つていま暫くこの
市街地信用組合法の存続延期を願いたい、この点は六ケ月延期する、これはこういうことの見込なんでありますが、これは又大藏委員の方から折衝がありまして、
市街地信用組合の中には非常に極度に今発展し過ぎて大きくな
つておるものがあ
つて、どうにもこの
法規の方へ移行しかねるものがあるように思う、そうい
つた場合に大藏省の方で積極的に乘出して、或いは庶民金融金庫法とか何とか、そういう
市街地信用組合の中のこれに移行し得ないような大きなものを收容するといいますか、当嵌める
法規を考えたい、又考えさせたい、こうい
つたような考え方から大藏委員の方から是非この一ケ月の現在
法規の廃止期間を、冷却期間を六ケ月に延期して貰いたいという、こういうきつい希望がありましたので、これを申出たわけであります。この点はその筋の
了解を得たわけであります。
それからこれはこちらから別に伺
つたわけではございませんが、先方の御
意向で、現在ありまするところの商工
協同組合中央会、これはこの
法規公布後三ケ月以内にこれを解散させろ、こういうような先方の注文がありました。
大体以上の点を全部それぞれ
委員会で審議しまして、先方の
了解を得なか
つた三項だけを除くあとの
項目をこれを
修正案の方へ織り込んだわけであります。
信用協同組合法の方の関係の
修正の内容は以上の
通りであります。
協同組合連合会の点につきましては別に
修正をいたしておりません。
企業組合に対しても
修正をいたしておりません、その外の
修正はありません、要するに今申しましたように、現実に
修正いたしましたものは
保險協同組合に関することをこの
法規中から全面的に削除したことと、
信用協同組合に関しすること等について、先程申しまするように十三項を申出まして、そのうち三項だけは
了解を得なか
つたためにこれを撤回しまして、あとの十
項目を、これを
修正案としてこの
法規に対しましてこれを盛り込んだと、こういうようなわけであります。詳しいことは書類にいたして置きましたものがこちらにもお手許に廻
つておると考えます。それをまあ條項別に書きましたものがお手許に廻
つておる書類にな
つておるわけであります。大体以上で御
了解願います。