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國務大臣(
稻垣平太郎君) 一應
山田君の言われるのは御尤もと思うのですが、要するにこういうことだと思うのでございます。結局この粘
結炭なんかになりますと、これはまだ足りない、
外國から輸入までしておる
状態であります。それから高
品位炭も
需給という面から見れば足りない、尚四千二百万トンというのは
來年は
幾らに持
つて來るか知りませんが、五千万トンぐらいまで持
つて來るんだろうと思います。高
品位炭は
需要が足りない、まだ低
品位炭に関する限りにおいては、これの
需要が少ない、そこでこれは段々
公團の
手持ちの
品物が溜る、
公團がいつまでもそれでは
需給からい
つて品物の方が多いのですから、段々
公團の
手持ちは今二十万トンある、或いは百万トンになり、二百万トンになり、三百万トンになるということで、
國家がどこまでもそれを背負いこんでいいかどうかという問題になると思うのであります。問題はそこにあると思うのです。それですからして、いわゆるこれが低
品位炭の
需給が、アン
バランスで、むしろどこへ持
つて行つても賣れるものだということなら、それはあなたの
お話の
通りに
公團でむしろ自由に賣れるものは外してこれを背負いこんで行く、そうして、
金融的な面倒を見る、こういうことがいいと思うのでありますけれども、今のところは
需要に対して低
品位炭の方が余
つておる、こういう
状態でありますから、
公團としてはこれは
手持ちが殖える一方だし、こういうことになるわけなんであります。そこでこれは
一つ外そうという理由が起きて來た、それから今の話で
價格の面では、そういうことという今の
お話ですが、今
メリット建の問題もや
つているわけなんであります。こうなりますというと、現在の
メリット建という
價格の方式をとるということ自体も、結局
需給の問題から來ておるのであ
つて、高い、つまり
品質に應じた
價格を拵える、
品質の
原價主義で行くということは、これはもう実際現在の
状況には適しないのじやないか、
原價主義じやなくて
本当の
メリツトによ
つて、その
品位に応じた
價格を建てるということが、実際には又
業者のためになり、
業者のためになるということは、結局
業者としてそれがいやなら上のクラスに行くように選鉱をするか、或いは
貯炭を沢山持
つてお
つて身動きのならないようになるよりも、これを少しでも安く賣
つて捌いて行く、例えば問題がよく起るのは、
亞炭の場合でもそういうことが起
つたのですが、
亞炭の
統制を外した、当時これはやかましく言われたわけです。私はお
つたわけではありませんけれども、私丁度
鉱工業委員長をや
つていたときに、
亞炭の
統制を外して呉れという
運動が非常に起きて、これを外すと直ちに今度は逆にもう一遍
統制の枠に入れて呉れという話が出て來たんです。外して呉れというのはどういう動機であ
つたというと、自由に賣りたい、そうして例えば
消費地でコストがた
つた三百円か四百円であるものが、
運賃プールの
関係でやはり七百円くらいのものを買わなければならん、こんな馬鹿なことはないじないかというので、
山形縣や何かの方が大勢押し寄せて來れて、是非外して呉れというようなことであ
つたと思います。ところが外してや
つて見ると、
輸送の問題が起
つて來る、或いは
金融の問題が起
つて來る、又もう一遍枠に入れて呉れという騒ぎが起
つた、そのときには
政府として
金融の問題について、先程も
配炭局長が説明をしましたように、
配炭公團で一月半ぐらいの
金融をしておる形になる、
金融的な
措置をつけて、この
人達の何を処置した。そこで
金融的な
措置をつけて
考えて見ると、この
人達は自由に
從來の決められた
値段よりも安く賣れて、而も
亞炭が捌ける、こういうところの
利益を持つことに
なつたと私は思うのであります。そこで低
品位炭の場合においてもこれが外されるということになりますれば、できるだけこの
人達はいわゆる自分のおる地域の傍の
需要を先ず第一に満たし、
宇部炭が大体外されましてどのくらいになりますか五八%ぐらいの低
品位炭だと思いますが、
宇部地方というのは、主として、御
承知のようにある低
品位炭を使
つてやる
工業が発達しておる、
宇部化学の
ア法ソーダにしても
宇部炭を使うように
機機なり設備なりがそのようにできておる、あの辺の
工業は皆そのようにな
つており、そうすると
現場でこの
品物を利用できるということになりますと、今まで
配炭公團へ拂
つていたところの手数料並びに
運賃プールによ
つて蒙む
つてお
つたところの、例えば機帆船で
平均幾らになるか、私は
数字ははつきり知りませんが、
運賃というものは
現場で処理するために浮いてしまうことになる。そうしてできるだけ
現場の
需要を喚起するということになれば、むしろ外されることによ
つてその
人達は
利益を受けるんじやないかということも
考えられる、そうしていつまでもこれが
配炭公團で
需要が少なくて溜る一方でございましたら、恐らくこれは止めてしまえということにならなければならん、そうでなければ
配炭公團はいつまでも金を注ぎ込んでお
つて、
配炭公團の借金が殖えるばかりであ
つて、これは結局
國民の税の負担になる、こういうことになりますから、私はこれがいわゆる
需給の
関係が高
品位炭と同じようにアン・
バランスであるならば、あなたのおつしやるようなそういうお説が立つけれども、低
品位炭に関する限り
需要が少ないということをお含み置きを願いたいと思います。