○國務大臣(稻垣平太郎君)
只今議題と相成
つております
配炭公団法の一部を改正する
法律案の提案
理由及びその要旨を御
説明申上げます。
配炭公団の組織
機構及び業務
運営を今後如何に取扱うかという問題に関しましては、かねてからいろいろ議論のあつたところでありまして、本年三月末の
配炭公団法の有効期間滿了に当りましても、本
委員会において一応の御審議を願つたわけでございまするが、これが根本的改革に関しましては、種々複雜且つ困難な事情があり、当時は未だ
政府の具体的方針を
決定することができない状況でありましたので、さきの
委員会におきましては、現在の経済情勢下において、一挙に公団
機構を廃止し、
計画配炭の実施、或いは價格及び運賃プールを撤廃することが不可能であるという事情を御了解願いまして、取敢ず六月末日まで暫定的に存続期間を延長することについて御承認を得た次第でございまするが、その後
政府といたしましても、極力研究を急ぎまして、この程ようやく成案を得ましたので、ここに改正
法案を再び提出いたしまして御審議を願うことにいたした次第でございます。
政府といたしましては、最近における経済情勢の変化並びに統制の整理及び企業合理化に対する強い要請等に鑑みましても、公団のような本來臨時的
性格を持つ独占
機構はなるべく早い機会にこれを廃止することが望ましいと考えるのでありまするが、我が國の
石炭需給の現段階におきましては、一挙に公団を廃止するというような急激な改革は産業経済並びに國民生活に及ぼす影響が余りにも甚大でありまするので、この度の改正
法案におきましては、先ず袢炭公団法の有効期間に更に暫定的に延長すると共に、一方において
石炭及びコークスの中で需給の緩和した品種については、これを公団統制の対象より除外し、他方公団統制の対象となる
石炭及びコークスについては、民間の販賣業者を復活せしめて、配託業務の能率化を図ることとし、更にこれに関連いたしまして配炭公団の
機構及び業務を現状において可能な限り縮少するという方針を採つた次第であります。
以下その要旨を御
説明申上げますと、先ず第一に有効期限の延長という点につきまして田、配炭公団は
從來他の配給公団と同様に、存続期間を一年と限定されておりまして、本年三月末が期限とな
つてお
つたのでありますが、前回御審議を願う前に、取敢すの措置として六月末まで延長されたのでありまして、この度の改正におきましては、公団の
機構及び業務に所要の改革を行
なつた上で、更にこれを來年三月末まで延長することといたしたのであります。ただこの度の改正は、
從來と比較いたしまして期限の再延長を考慮せず、而も需給状況が改善されたときには、來年三月末以前においても、経済安定本部総務長官の
命令によ
つて解散せしめるものといたしている点が異
つているのであります。
次に第二点といたしましては、配炭公団は、
從來石炭及びコークスの全部を一手で買取販賣いたして來たのでありますが、増産の順垣な進捗と、金融逼迫等の情勢による需要の延び惱みのため、最近における
石炭の需給状況は著しく改善せられて参
つたのであります。勿論上級炭につきましては、尚相当逼迫しておりまするが、特殊品種、又は下級炭につきましては、需給は概ね平衡に達しまして、特に或る種のものについては、需要面における特殊事情のため、相当大量の公団手持貯炭が賣れ残
つておりまして、公団の経理に影響を及ぼすような事態に相成
つて参りましたのであります。そこで今回無煙炭、煽石、徹粉炭四千カロリー以下の低品炭、半成コークス、灰分三〇%以上の低品位コークスにつきましては、これを公団取扱品目より除外し、
差当り、フリー・クーポン万式による統制に移行することにいたしたいと考えたのであります。これらの公団取扱除外品目の中で低品位炭以外のものにつきましては、この改正
法律が
公布される際、即ち概ね、五月の下旬になると思いますが、直ちに實施に移したいと考えておりまするが、低品位炭につきましては、他の品種と相当事情が異
つておりまして、その
生産量は毎月三十万トン
程度でありまするので、このような低品位炭を
生産する多数の業者にと
つては價格及び資金面において相当の圧迫が予想されるのみならず、又その需要者も各業種に亘り非常な多数に上
つておりますので、販賣
機構の整備、その他諸般の
準備態勢を整えた上で、公団取扱より除外することが適当と考えられるのでありまして、この低品位炭に関してのみ、七月一日からこれを実施することといたしたのであります。
第三点といたしましては、配炭公団は
從來最終需要者までの、いわゆる消費者までの配給業務を全部直営して來たのでありますが、この度の改正によりまして、需要者に対する配給業務は御賣業者及び小賣業者を設けてこれに任せることといたしたのであります。即ち海上輸送のものにつきましては沖着、鉄道直通輸送のものにつきましては、着駅貨車乗渡しで御賣業者に賣渡し、更に最終需要者ほの配給は小賣業者をして取扱わせる
予定であります。この卸賣業者及び小賣業者に対しましては、上級炭については、尚当分の間相当詳細な配級
指示を要する必要がありますので、臨時物柏需給調整法に基く現行
石炭等賣渡
規則を改正して販賣業者の許可制を布く
予定にいたしております。但し何分にも日本
石炭、府縣
石炭等の統制会社を設立して、販賣業者を消滅せしめてから、すでに十年近くな
つておりますため、今日は販賣業者を全く新らしく創設することとなりまするので、販賣業者の免許資格、取扱手数料、業務方法の
決定等につきましては、尚研究を要する点が少くないのであります。
第四点といたしまして、配給公団は以上商述べましたような販賣業者の設定に伴いまして、その業務を極力整理縮少して参ることになるのでありまして、民間の販賣
機構が整備されて全面的に活動を開始いたします際には、輸出及び特需向を除き、原則として需要者に対する直賣を止めることといたしたのであります。配炭公団の
地方機構は積出を担当する支団と、配給を担当する配炭局とに大別されるのでありますが、
只今申上げましたような業務の縮少に伴いまして、配炭局の
機構が原則として廃止されることになるのであります。これに伴う整理人員は現行定員一万二千名余の中、五、六千名
程度となる見通しでありますが、現に公団の担当しております統計その他の附帶業務の処置と関連いたしますので、この点につきまして田、更に研究を重ねたいと思
つておる次第であります。販賣業者の設定につきましては、でき得る限り
準備を急ぐことといたしておりますが、今のところ七月又は八月頃となることが予想される次第であります。
修上が配給公団法の一部改正に関する
法律案の提案
理由並びにその要旨であります。何とぞ御審議の上速かに御承認あらんことをお願いする次第であります。