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説明員(
藤井貞雄君) 私
配炭公團の
藤井でございます。よろしく……。
それでは御趣旨によりまして
配炭公團は現在どういう仕事をや
つておるかということを極く
簡單に申上げまして、それに関連して今後の
機構の
在り方はどうあるべきかということについて申上げてみたいと思います。
只今お
手許に
資料をお渡し申上げて置きましたが、
大分大部の
資料にな
つておりますので、
資料の御
説明を又後で申上げた方がいいのじやないか、さ
ように考えておりますので、お含み置き願いたいと思います。
配炭公團の
現状でございまするが、御
承知のこととは思いまするが、一應
公團の
性格から申上げてみたいと思います。大体
資料に
公團法
なり、定款
なり、
業務規程なりを入れておりますから、お暇のときにお読み願いますといいですが、
最初これを作りますときには、御
承知の
ように
公共企業体という
建前で作つたわけですが、漸次
性格が変りまして、現在では
政府の一部、全く
行政官廳と同じ
ような
性格に
なりまして、すベての経費その他は
予算制度で行くということに相成りまして、私共末端まで配給の実施をいわゆる
現場作業をや
つております者が一番困
つておりまするのは、この
制度であるということを一應御了承願いたいと思います。更にそういう
制度でありますが故に
独立採算制というものは認められておりません。金が余れば
國庫へ返す、足らなければ
國庫から補償する、まあ
簡單に申しますとそういう
制度にな
つておりますので、
自然勤労意欲と思しまするか、私共
公團運営上に尠からざる不便を感じておるのであります。この
改善は前々から要請をいたしておりまするが、今日まで実現を見ておらないのであります。それから次に
公團を運営いたしまして私共が感じました不便は、
最初から
公團というものは極く暫定的なものだ、もとよりそれは
承知はいたしておりまするし、又
公團の
ような
性格がいつまでも続ける
ようでは
日本の
経済に非常な損失でありまするから、
性格自身は分
つておりますけれども、とかくそういうことから
從業員の
安定感を欠いております。現に最近いろいろ
公團の廃止問題が唱えられておりまする現在においても、
沢山の
從業員の
退職金制度という
ようなものも確立されておらないという
ような点が、非常に私共が
公團を実際に運営しましていろいろの不便さが出て來ております。
以上が大体
公團の
性格でありまして、こういつた
ようなことが、いわゆる
公團の非
能率、
能率が非常に惡いという
ような点に非常に大きな原因をなしておると私は考えております。
それから次に
機構の大体の
説明でございますが、これも
資料の中に入
つておりまするが、非常に
機構は厖大でございまして、全國に約九百の場所と申しますか、事務所と申しますか、そういうものを持ちまして、極く末端までこれはや
つております。配給を自分でや
つておるわけであります。この点が他の
公團と比べまして非常に異
つておる点であります。ただ食糧
公團だけが、御
承知の
ように、末端配給をや
つておりまするが、その他の十三の
公團では、やはり下部
機構といたしましては販賣機関を持
つております。私の
公團はそれを持
つておらないということが一つの特色にも
なり、尚且つこれがやはりいろいろ私共の
公團として不行届な点がある一つの
要素ではないかという
ように考えております。
それから次に仕事の内容の大体の御
説明でありまするが、御
承知の
ように、全國の
石炭、コークスを一手に買入れておりまするが、先ず作業といたしまして、その一手に買取りまする買取價格の設定ということと、それから販賣價格の決定ということが一つの大きな仕事にな
つておるわけであります。
生産者から買取りまする價格は、その水準は物價廳で一應決定するのでありますが、これを全國の
地区別に、又炭種別、更に等級別に分けまして、一つの單一價格というものを作るのであります。この詳細な作業につきましては、なかなか難解でありまするから省略をさせて頂きますが、要するにその作業をいたすのであります。そうしてこれに対しまして、販賣價格を決定をいたすのでありまするが、先ずその販賣價格を決定いたしまするのには、買取價格が
從來炭鉱のコスト主義にな
つておりますから、その
品質に應じた價格の決定ということが、やはりプールをいたしません以上できないのでございますから、使用効率によりまして、先ず
石炭そのものの販賣原價を決定いたします。
それから次に、これがいろいろの輸送機関によりまして消費地へ運ばれて参りまするが、そのために、同一の
事情におきましては、同一の
品質の物を同一の價格にするというために、運賃諸掛と、更に
公團の経費とを加味いたしまして、いわゆる消費者價格というものを決めるわけであります。ここでちよつと
説明を加えますと、買取價格におきまして、今まで
優良炭が相当に安い、そして下級炭が可
なり割高であるということにな
つております。長い間の
石炭行政と申しまするか、これが量の製作に偏重いたしておりましたために、か
ような結果にな
つておるのでありまするが、昨年の七月に、御
承知の
ような
炭價の大幅の値上げをいたしまして、そのときに、これはメリットに切替えるということが非常に議論され、又その大幅の改訂の際でありましたが故に、切替えるのには一番いい時期であつたと思うのでありますが、それが思う
ようにできませんでした。現在その点が今回の三原則……、九原則によりまして非常に苦境にな
つておるわけであります。そこで私共その際に、買取價格におきましてメリットの割込みが非常に困難であるならば、せめて今申上げました
ように、販賣價格をプールいたしておりまするから、この販賣價格の面において、メリットを織り込んだ價格体系に移行しなければならんということで、
公團としても具体案を出したのでありまするが、御
承知の
ように、昨年の大幅の物價改訂の際には、先ず
石炭を決めて、その
石炭價格による他の物資の價格を同時に決定しなければならんというところまで追い込まれて來ておりましたために、その販賣價格のメリット主義に切替えるということが、時間的の制約を受けて、非常に困難であつたということにな
つております。更にもう一つの
理由は、そういたしまするというと、販賣價格におきまして、上級炭が非常に高く
なりまするから、その高く
なりまする上級炭を使
つておる工場は、いわゆる特殊の補助を受けておる
産業が多いために、この價格補給金の増額が非常に困難だということもありまして、一律に約二・八倍というものを上げましたために、現在上級炭が非常に市場に持
つて來ては割高にな
つておるということにな
つて、十月からこれを改正するということでありましたけれども、そのまま改正ができず今日に及んでおるのであります。現在、今このメリットをどういう價格に織り込むかということは論議されておる最中でありまして、まだ現在は決ま
つておらないのであります。
それから今申上げましたプールの問題で、現在の販賣價格の建値は非常に
簡單なものにな
つておりまして、工場の立地條件という
ようなことを可
なり無視いたしました、いわゆる戰時統制の惰性と申しまするか、極く大雜把なことにな
つております。この点も私共昨年來今少し工場の立地條件を生かして行くプールの細分ということが絶対に必要ではなかろうかということを主張いたし、又現在もさ
ような考えを以て
関係方面とは折衝いたしております。以上が大体價格統制の仕事の極くあらましの内容でございます。
次は配
給計画の設定でありまするが、これも設定要領等を
資料の中に入れておりまするが、お読みすれば非常に
簡單なのでありまするが、極く
簡單にこの仕事の操作を申しますると、この配
給計画の設定自体が非常に面倒な作業でありまして、
司令部の方から
出炭計画に應じまして一
四半期ごとに
産業別の
計画が
安本を通じまして我々の
手許に参るのであります。この参りました
産業別の
計画によりまして、私共はそれを更に全國の工場別の
割当に対しまして、各
生産炭鉱からの炭をそれぞれどういう種類のものをどういう輸送機関によ
つて送り届けるかという、いわゆる炭つけをいたすのであります。で、現在の
ように非常に質のアンバランスの甚だしいときにこの炭つけをいたしまするというと、非常に窮屈な炭つけに
なりまして、各
産業におのおのこれだけの
品質のものはやらなければいかんという一つの目安が作られておるのでありまするが、実際に出て参りまする
石炭が必ずしも配給
計画通りの
出炭が出ませんために、常にこれの調整をいたしまして、配
給計画を作りながら
出炭に應じていたもその緊急調整を途中でや
つて行く、更にたびたび変更をや
つて行くという仕事をいたしております。これも
資料を差上げておりまするが、実はこの細かな
調査と報告を期間的の制約を受けてこれをしておるのでありまして、私共の仕事の中で俗に
調査公團、報告
公團という
ようなことを言われておりまする
ように、この書類の報告に相当の人数を使わざるを得ないという
ような
事情にな
つております。更にそれを実際に配炭いたしました結果につきましては、各工場別に何故にこういうアンバランスができたかということをどんどん
説明を加えまして
司令部に出さなければならんという
ような
状態にな
つております。
次に経理の処理の問題でございますが、これも
資料を差出しておりまするが、現在私共が前段申上げました
ように、全國の三万の工場と、
北海道のごときは約七十万戸の家庭煖房に至るまで各家庭からの集金もいたしております。
只今代金の回收ということにつきましては非常に難澁を極めておりまして、現在二ヶ月分、この
資料には一ヶ月七分くらいに思
つておりましたが、現在は少し溜りまして二ヶ月分くらいな賣
掛金を持
つております。最近その筋の指示もございまして、
代金の回收と荷渡し制限ということを強力にやることに相成
つておりまするが、この中でも、表を後で御覧下さいますとお
分りの
ように、一番大きいのが日発でございまして、この表では三十三億とな
つておりまするが、現在は四十億ばかりにな
つております。その他肥料
関係、或いは進駐軍
関係、輸出
関係、
鉄道、化学肥料、窯業、こういう
方面が何れも十億以上にな
つておるわけであります。こういう
ような
状態でみずから末の末までの集金をいたしておりまするために非常に困
つておりまするが、現在まで生
産業に対しましては坑所で
石炭を受けておりまする
関係で毎旬締切りまして即時現金拂ということをいたしております。現在まで幸いに
生産者に対する支拂の遅延ということはなしに來ておりまするが、併し今後の
見通しにつきましては一般の消費者の
金融、更に今
安本動力局長の
お話のありました
ように、今後の
掛金の集金のの強行策によりまして或いは引取りを拒否するという
ような面からいろいろ大きな問題が起
つて來ることを私共心配をいたしておるわけであります。極く大雜把でございまするが、
石炭の問題につきまして以上の
通りでありまして、コークスも大体
石炭と同樣な仕事でございまするからこれは省略いたします。
更に私共分析という一つの大きな仕事をや
つております。これは
生産者から買取ります
石炭が規格によ
つて價格の決定をいたしまするために、
生産者といたしましては、この規格の決定ということが一番重大な問題でありますが故に、更に又販賣面につきましても規格によ
つて賣
つておりまするために、我々が販賣いたします
石炭が果して規格に合
つておるか合
つてないかということもこれ又消費者に対する非常に大きな責任でありますが故に、この種の仕事も別途あるわけであります。そこで
只今申しました点は極く大雜把な
説明でありまするが、で、然らば現在並びに將來の
需給関係はどうかということでありまするが、これは
安本の方で今御
説明がございましたので省略はいたしまするが、今の
需要がどれだけあるかということは、御
承知の
ようにそういう面からのものの考え方でなしに、
石炭は一体幾らまで掘れるのか、その
生産し得る数量を然らばどういう点に配分したらいいのかということにな
つておりまするが故に、実際の
需要がどれだけあるかということは誠に困難な問題であると思うのでありまするが、併し極く大雜把にと申しまするが、卑近な例と申しますか、こういうことを御参考に申上げておいたらどうかと思うのでございますが、私共が極く身近に
関係のございまする窯業であるとか或いは纎維工業であるとか或いは食料品工業或いは煖房、浴場という
ようなものの
需要量と申しますか、配給量と申しまするか、これを一應
昭和九年と
昭和二十二年をちよつと比較して見たのでございまするが、これは
昭和九年と
昭和二十二年の荷渡しした
実績の比較なんであります。今日の我々の生活水準を、
昭和五年から九年ということをよく言われておりまするために採
つて見たのでありまするが、先ず窯業におきましては
昭和九年に三百五万五千トン渡しております。それが
昭和二十二年には百四十七万八千トンしか渡していない、それから纎維工業でありまするが、これは、この
数字自体の比較では多少どうかと思いまするが、
昭和九年には五百十四万トンを渡しております。これに対しまして
昭和二十二年は僅かに百二十四万四千トンしか渡されなかつた、それから食料品工業でありまするが、これが九年には二百四万七千トン渡しております。二十二年には六十六万八千トンしか渡していない、それから煖房と浴場でありまするが、九年に三百三十九万トン、二十二年に百二十五万九千トン、こういう工合に、
昭和九年に比しまして人口の増加その他もございまするけれども、以上の
ような
数字の荷渡ししか実はできていないのでありまして、この四つを合計いたしますというと、約この面で九百万トン程が二十二年が少くな
つている、これ自体が即ち自由にしたときのこの四つの絶対
需要であるかどうかということについては相当疑問があると思いまするが、今のクーポン
制度というものをなくしてやつた場合における一つの傾向と申しますか、
需要の趨勢としては考えられるのではないかということを思
つております。そこで今の四千二百万トンの二十四
年度の
生産見込それ自体が、
生産局長から
お話がありました
ように、尚相当の疑問を残しておりますると、
需要面も今の
お話の
ように可成りいろいろのフアクターが変ることによ
つての
見通しが困難だ、併し私共が実際に
石炭を配給いたしておりまして考えますることは、先ず量の問題、
石炭の量の問題におきましては、二十四
年度の四千二百万トン
ベースによる配給ということでは、そう、さしたる苦しいことは起らんのじやなかろうか、或いはむしろ
金融面の梗塞であるとか、或いは今後の九原則の実施の
如何による、或いは單一爲替レートの決め方
如何による、そういつた面からはこの夏場の不
需要期には或いは多少余る
ような事態も來るのではなかろうかという
ようなことも、これはほんの勘でございますが、考えてはおるのでございます。併しここで私共が見逃すことのできないという問題は質の問題で、量が仮に幾らか緩和し、或いは場合によれば一時的には過剩
状態を來たす
ようなことがありまし
ようとも、一方質の問題に入りますと、これは誠に憂うべき現象にな
つておる、昨
年度は三千六百万トンといい、今
年度も四千二百万トンといい、もとより今
年度は昨年の三千六百万トンに対する五千六百カロリー、今年は四千二百万トンに上げて五千七百カロリー、百カロリーを上げるということにな
つておりますが、併し
目標がやはりどこまでも数量にあります限り、又今までの惰性が量の
生産に傾き過ぎておつた
関係上、この質の
改善というものはなかなか困難な
事情になるのじやなかろうか、現に私共が今まで配炭いたしまして、この質のアンバランスを是正することに実に苦心をいたしまして、今
年度の四千二百万トンの
数字を、質的な配
給計画をやりました書類をお
手許には出しておりまするが、極く手近な例といたしまして、第一、
四半期の配当における質の均衡が一体どういうことにな
つておるかということを
簡單に極くラッフな
数字で申上げますと、大体第一、
四半期に九百六十万トンぐらいの配
給計画をいたしておりますが、そのうちで七百六十万トンはいわゆる特定
産業という特定の
産業に向けることにな
つております。鉄であるとか、電氣であるとか、進駐軍であるとか、或いは鉄鋼であるとか、その他いろいろありますが、これには数量的にも一つの確保を要求されております。又
品質的にもこれだけの
品質はこの
産業に対してはどうしてもやらなければならんという質的の確保も受けております。そこでこの面に大
部分の上級炭が取られまして、あと約二百万トン、九百六、七十万トンでありますから、これに七百六十万トン加えますと、あと二百万トンそこそこのいわゆる一般
産業、これには殆んど上級炭は廻
つていない、僅かに二〇—三〇%の上級炭しか廻し得ない、大
部分はいわゆる最低は三千カロリーとか、四千乃至五千カロリーという
ような惡い
石炭しかそれには廻
つて行
つていない、五千六百以上の上級炭は二〇—三〇%しか行
つていないために、この一般
産業への配炭は私共の実に苦心をいたすところであります。殊に今後この一般
産業の面におきまして輸出
産業が相当ありますので、輸出重点ということに変りつつありまする
現状から考えまして、私は非常に何といいますか、今後の一般
産業は或
程度の質を保
つて行くことに、現在もそうでありますが、今後も非常に苦心が要るのではなかろうか、而もそれは今後産局長から御
説明がありました
ように、昨年の三千六百万トンの中で約百数十万トンの
出炭が減つた。その減
つたのは大
部分が
北海道であるといつた御
説明がありました
ように、
北海道の一番いい
石炭が減
つておる、そうして比較的下級炭でありまする山口炭であるとか常磐炭が
増産されておる、
計画通りに出されておる、こういう
ような傾向にな
つておりまするために、今申上げました
数字を更に一船
産業に振当てられ、上級炭は減ずるという
ようなことに相成りまして、この二十三
年度は非常に一般
産業の方々に御迷惑を掛け、私共が一般
産業の方々から
品質上の苦情を常に受けておるという
理由がここにあるわけであります。そこで問題は、私共から考えまして現在は量の問題じやない、質の問題だ、すべてが質の問題である、そこで配給面から考えましても、この質の均分を失しますると殆んど使用に耐えない
ような
石炭を工場に持
つて行かなければならん。これが先ず地域的と申しまするか、地理的に偏重してはいけない、関東
地区、東海
地区、近畿
地区或いは四國、中國という
ように、とかく今までの質のアンバランスにつきましては、量もそうでありまするが、
生産地に傾き易い傾向が多々あるわけであります。
九州とか
北海道とかいう主要
生産地には、とかく量におきましても質におきましても優先される
ような傾向があつた、私共はこの点に非常に苦心をいたしまして、各地の質のアンバランスのない
ようにしなければならん、そういう意味におきまして、私共が輸送
計画ということについて非常に苦心をいたしております。更に各
地区のアンバランスを避けるのみならば、
産業別のアンバランスをやはり避けなければならない、更に小さく言えば、工場別のアンバランスを是正しなければならん、私共の今後の残されたる問題はこの質の問題の
生産面における解決を漸時急いで頂くと同時に、配炭面においても一番重点を置かなければならんのがこの質の均分をとるということであると考えております。