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1949-05-15 第5回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月十五日(日曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件新聞記事に対する法務総裁に関する  件 ○吉村隊事件人民裁判の件 ○在外公館等借入金整理準備審査会法  案に関する件   —————————————
  2. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) これより委員会を開会いたします。  議事に先立つて一言申上げたいと思います。私先月の二十六日に、中國、四國の授産事業ブロツク協議会出席のため東京を立ちまして、その後援護施設の視察をいたしておりますうちに病氣なりまして、帰京後も暫らく靜養しなければいけないということで今日まで登院ができませんで、その間皆さんにお骨折りをかけ、又御心配を頂きまして、大変恐縮に存じますが、大体恢復いたしましたのでどうぞ御安心頂きます。  それでは本日の議題でございますが、新聞記事に対する法務総裁に関する件、それから吉村隊事件に関する件、人民裁判に関する件、これだけが議題に上つております。法務総裁が御出席になつておりますので、只今発言の要求がございましたので御発言を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  3. 岡元義人

    岡元義人君 法務総裁からの発言ですか。
  4. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) そういうお申出でございますが。    〔「いいじやないですか」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) それでは……。昨日でございましたか、一昨日でございましたか、衆議院法務委員会におきまして、この吉村隊事件に関連する質疑がございまして、それに私が答をいたしておりますのが新聞に傳えられまして、或る新聞にはそれがいろいろ應答のありましたのを断片的に食つ付けまして、一つのレポートを載せておりまして、それが私のその席で述べました本旨とは大分隔つております記事になつております。或いは皆樣のみならず世間へも誤解を招いておりはせんかと思いますので、この際私のそのときにおけるお話を申上げまして、皆さんの御了承をお願いたしたいと思うのであります。私のそのときに申上げましたことは、格別私といたしまして間違つたことは言わなかつたつもりでありまするけれども、誤解を招きましたことは誠に遺憾であります。この際私の立場を申上げまして御了承願いたいと思うのでございます。或る委員から、この参議化における吉村隊事件取扱方は適当でないと思わんかというような話がありましたが、それは私が法務総裁といたしましても、國会における議員の行動を批判する何らの権能もありませんし、義務もありませんし、責任もありません。從つて私は批判の限りでない。又たとえそれを私個人として不適当であると考えて見たところで、その意見議会に反映せしむる何らの手段もないのであります。これはすべて議会における問題は議会が自主的に御判断なさることであつて外部から政府が何ら関與すべきものでありませんから、これはすべて議会の自主的の判断に俟つべきものであるということを申上げました。何遍もそれに類した質問がありましたが、悉くそれは議会が御決定になることであつて政府がかれこれ申上げることではないということを申上げたのであります。それから、この証人尋問の話が出て参りまして、それは渡邊という軍曹の死んだという新聞記事に関連してであつたのでありますが、私は、具体的の事実は議会内の問題でありまして、私共の外部から何も正確な知識を持たん者がかれこれ云々すべきものでは勿論ありませんし、具体的事実は法務廳は直接の問題といたしましても、何らまだ承知しておらんのであります。具体的事実に基いてのお話ができないけれども、ただ純粹の抽象的な法律論であるならば、こういう議論が立つということを申しまして、ここに私は書いて実はこれを読んだのであります。議院における証人宣誓及び証言等に関する法律は、もとより憲法第三十八條第一項の規定の下に解釈運用せらるべきものであるから、この法律に基き証人として議院において証言を求められた者が犯罪を犯した者である場合には、その者に対し憲法第三十八條解釈上、刑罰を以て眞実供述を強要し得ないと解するのが相当である。こういうふうに私はこの通り読んだのであります。それからまだ先があります。從つて、仮にその者が宣誓の上自己刑事上の処分を受くるに價することを犯していることを供述しなくても違法性はなく、同法第六條により処罰し得ないと解するのが相当であろう。  これは憲法第三十八條が前述のごとき基本的人権を保障しているからであつて、これは刑事訴訟法規定等の併せ考え憲法第十三條によつて制限し得ないものと解すべきであります。こういうふうに申上げましたのでありました。これだけであります。これが敷衍されましたか、歪曲されたとは申されませんが、拡大されて、いろいろ報道されたのではないかと思うのであります。もう少し私がいろいろ制限を附して申上げればよかつたのでありますが、少し簡略に過ぎましたために誤解を招いたのではないかと思いまして、甚だ遺憾に存じております。併せて御了承願います。
  6. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 尚この際申上げますが、法務廳檢務局長高橋一郎氏、同じく法務廳人権擁護局長大室亮一氏、両氏が法務総裁の外に見えておられますから……。
  7. 岡元義人

    岡元義人君 これは法務総裁にお伺いしますが、取上げ方についての問題から問題が起きて來ているようでありますが、この際今までのこの委員会がこの問題を取上げる経過について申上げますと、我々参議院法務委員長或いは各理事との十分な連絡も、最初この問題を取上げるときにいたしております。又特に関係方面とのいろいろな問題が起きて参りますので、しばしば関係方面とも連絡を取つて、その点においては取上げ方については十分愼重を期したつもりでおります。ところがこの委員会がこの問題を取上げる目的は、しばしば委員会の当初において明らかにしてあるのでありますが、とにかくああいう刑行物によつて、少くとも留守家族その他國民の中に非常な不安を醸成するに至つた。これを一時も早くそれのありのままをば知らせたい。そして不安を除去するというのが当委員会の所期の目的であつたのでありますが、然るに法律総裁ともあろう人が、この國会法の問題を審議されるとするならば、私は時機は当を得ていないと思う。たまたまこの事件に関連して、尚誤解を招き、而も我々当委員会が晩遅くまで、時には十一時近くまでもこの問題を眞劍に取上げてやつておる際に、而も我々の目的から外れて行く、そういうような結果を招くということを法務総裁はお考えなつたかどうか、この点私が非常に遺憾に思つておりますので、法務総裁の氣持を質したい。どういうお考えでこの事件をお取上げになつたか、その点はつきりお答えを願いたい。
  8. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) 私はこの問題を別に考えておつたのではございません。ただ衆議院法務委員会におきましてお取上げになりまして、そうしてどう思うかという御質問でありましたので、どう思つたにしろ、これは私共の批判の限りでないということを申上げたのでありまして、それからこの解釈論を……証人訊問についてこれは何もこの委員会に限つたことではございませんので、証人尋問ということの一般的の問題につきまして自分見解を申述べましたのでありまして、具体的な問題に触れたくなかつたので触れなかつたつもりであります。
  9. 千田正

    千田正君 先程法務総裁の述べられた憲法解釈論は相当重要性を持つものであつて、この國会、いわゆる昭和二十一年以來の國会において、衆議院で取上げておつたところのいわゆる不当財産調査委員会、並びに現在國会において論議されつつあるところの將來或いは設置されるであろうというがごとき取沙汰をされておるところの非日活動委員会等の問題に関する根源をなす解釈があると思いまするが、これはいわゆる基本的人権という問題から言うと、こうした会の設置に対しても今の解釈は、法務総裁解釈はすべて当嵌まるという見解でございますか。例えば從來衆議院で取上げられておりましたところの不当財産調査委員会におけるところの証人喚問の際におけるこうした会の僞証に対する問題、或いは將來設置されるがごとく取沙汰されておるところの、若しも設置されるとするならば、非日活動委員会というような問題についても、恐らく証人喚問とかそういう問題が起きて來ると思いますが、そういう意味においても、この解釈、今法務総裁が述べられた解釈において、法務総裁はそういう見解の下に進められるというお考えでありますか、その点一應お伺いします。
  10. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) さようであります。只今申上げました見解は、私といたしましては今後もずつとこの見解で行きたいと、かように考えております。但しこういう問題が出ております。それは只今読みました法律でございます。その法律のうちにそれを謳つておりません。從つてこれは言わば憲法精神から來ておる解釈でありまして、法律が幾らか不備ではあるまいか。若しできれば法律の上でこれを明らかにして頂きたいという考えは持つているわけでございます。
  11. 千田正

    千田正君 議院に於ける証人宣誓及び証言に関する法律としまして、昭和二十二年の十二月、法律第二百二十五号によつて、この議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律は設定されておりまするが、これは私共の考えから行きますというと、憲法に違反した法律じやないと思いますが、この法律によつて証人宣誓その他に対するところの規定が設けられて、その規定によつて我々委員会としては今まで進んで來ておるのであります。この法律と先程述べられました憲法の三十八條、その他の憲法とは違反しておるように考えられまするが、私は違反していないと思うのですが、法務総裁として御意見はどういうふうにお考えですか。
  12. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) 違反しておらんと考えております。でございますから、これらの各法條を調和して解釈すべきものと考えております。
  13. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) この際申上げますが、法務総裁内閣委員会にこれから出席しなければならんそうでございますので、御質問は急いでどうぞ。
  14. 岡元義人

    岡元義人君 今衆議院の方に速記録もお願いしてございますが、問題の質問の要点はいわゆる参議院在外同胞委員会の取上げ方はということに限定して、法務総裁質問しておるのです。それに対しまして今の法務総裁答弁によりますと、これは必ずしも在外同胞委員会というのじやなくて、総体的に國会のいわゆる証人喚問という問題に関連しての御説明があつたように承わつております。そこにそもそも大きな間違いがあるのじやないか、在外同胞委員会の取上げ方ということに限定した質問に対して、総体的ないわゆる証人喚問という問題について答弁があつた。そこに私はこんな間違いが現われているのじやないか。その点は法務総裁どういう工合にお考えになつておるのか。それから新聞記事で、これはもう一遍だけ法務総裁に明らかにして置いて貰いたいのですが、渡邊証人証言の場合はというような工合新聞には報道されているのです。これについては法務総裁はそういうことを、いわゆる渡邊証人ということに関して御説明があつたのか、この点伺つて置きたいと思います。
  15. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) 私は自分の陳述でありまするが、そのところよくはつきり覚えておりません、併しそのとき私の申上げたのは具体的な問題について存じませんのでありまするから、具体的な問題にお答ができないのであります。從つて抽象的に、一般的に説明をいたしましてお答したつもりなのであります。
  16. 岡元義人

    岡元義人君 そうすると、法務総裁渡邊というこのたまたま問題になつている人間を引例してお話をされたというわけですか。
  17. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) 御質問引例をされて御質問があつたのでありました。お答えは必ずしも適切でなかつたかと思いまするけれども、抽象的なお答をする外なかつたものですから、抽象的なお答をしたわけです。
  18. 岡元義人

    岡元義人君 私が一番最初質問申上げたように、この國会が取上げている意図、いわゆる何のために取上げておるのか、そういうような社会情勢の不安を除去するということが一番私達の狙いでもあつたわけです。そういう場合に軽々にしてそういうような問題に対して、それは質問する方の考え方も又これは相当解釈しなきやならんと思いますけれども、ただお答えになる方が法務総裁立場から答えられた場合に、どういう工合に皆に感じを與えさせるか、非常に一般の知性が、今まで新聞論調にも出ております通りに、本当に法律というものを全部知つているというような國民は少い。そういうときに法務総裁の言としてこういう工合に出ますと、我々の当委員会眞劍になつて取組んで、そうして少しでも不安を除去しようという目的却つてこれをばみんなに対して、國民に対して不安を釀成させるような結果になりやしないかと思いますが、その点について私は先程申上げたので、法務総裁見解はどうお考えになつておるのか。
  19. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今の法務総裁のそのときの率直な心境は私は了承したわけですが、具体的の問題としてでなく、一般抽象論としてこれに対して答弁をしておられる。そこはそれでいいでしよう。と私は思う。殊に或いは表現の形式においてもつと愼重態度をとればよかつた自分は自省をしておるというような御挨拶もあつたので、それよりも私がはつきりとして頂きたい問題は、最前千田委員から言われました昭和二十二年十二月の法律第二百二十五号によつて、結局我が特別委員会は本問題を実は審議しておるわけであります。而してこれには第八條條件が付せられておりまするので、利益の擁護証人諸君は十分守ることができるわけであります。更に私はやはり最前法務総裁の主張のごとく、憲法第三十八條は最高の國法でありますが故に、この特別法そのものに対しても十分の効果がある筈と、こう解釈します。若しもその三十八條憲法條章を無効ならしめるならば、この第二百二十五号に列挙主義でその旨を明文を以て條件付けなければならん。そういうような論理から、私は第三十八條適用がある、こういう信念を持つています。併しながら我が特別委員会は第三十八條の二の憲法規定を蹂躙して何もやつていない。何ら供述の強要をしていない。それを恰も証人喚問して、そうして憲法法律第二百二十五号で証人権利擁護しておることを何か拘束するかのごとき感を起さしめるような答弁談話等は、法務総裁としてこれから後に絶対に一つ御謹愼を願いたいと私は思うのでありまして、勿論そういう意味のことをこれからお話になろう筈もありませんけれども、新聞取上方如何によつてはいろいろな問題が派生しています。或いは放送局放送などによつても、我が特別委員会渡邊君を僞証で告発するという決定をしたということさえも言われた。或いは新聞の或る種のものは、やはりこれに類する報道をしておりますので、我々の大目的としておりまするその目的に邁進するのにいろいろな雜音が入つて、これを妨げることは特別委員会としては遺憾に堪えませんので、その意味を私は総裁に申上げまして御参考に供したいと思つておるのであります。
  20. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) 先程岡元さんのお尋ねでございましたが、私は何も実はこの委員会における取上方について論議をしたつもりではちつともなかつたのであります。それが御質問の方は或いはそうであつたかも知れませんけれども、私はそれで容喙する意思は勿論ありません。又できないのであります。それはよけてお話をしたつもりであつたのでありまするけれども、私の表現の仕方がまずかつたために新聞記者諸君誤解を招きまして、ああいうような記事となつて現われたのだと思いまして、今後は十分に愼重にいたすつもりでありますから、御了承願いたいと思います。
  21. 岡元義人

    岡元義人君 先程たまたまそういう渡邊引例して説明されたというお話がありましたが、若し引例するにいたしましても、結局証言僞証にならない、成立しないと考えられる、こういう工合法務総裁が若し言はれたとするならば、これは非常に私は軽卒過ぎると思う。若し引例して、たまたまその何があつたから、まだ我々委員会結論が出ないところに持つて來て、その先を越して、たとえ引例といつてもそれが僞証にならないというような、先に結論法務総裁の方から出されるというようなふうに、実際には新聞紙上にはなつております。この点については私は法務総裁見解を一應伺つておきたいと思います。
  22. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) 私が引例をして説明をしたのではないのです。質問した方が、この事実から私に質問されたのでありまして、でございますから、如何にも私がそれを取上げて、すぐそれに應じて答えたように見えますが、それは私も甚だ不十分、不注意であつた点でございますが、その具体的なお尋ねに対して私は抽象的に答えたことになる。そこに食違いを生じた。私はこの問題は実は知りませんでしたから、私はこれについて引例をして申上げようともしなかつたのであります。そのことを御了承願います。
  23. 岡元義人

    岡元義人君 私は委員長留守で、この問題については非常に責任を特に感じておりますので、しばしばこの問題が檢察廳当局からも亦人権擁護同盟とかいろいろな方面から、特に本筋であるところの檢察廳方面からも、新聞にいろいろ意見が出ております。併しながら問題は、我々は特別委員会というのは、引揚問題に関する特別委員会であり、法務委員会、そういうような立場とは全然違うのであります。こういう問題を取上げるときに、ややもすれば犯罪的な黒白を付けるというような観点から見られやすい。そのためにどれだけこの委員会運用に苦労したか分らない。それをば当局がいわゆるそういうような先走つた一つの何を出されるということは非常に困る。苟くも私達は今までの態度で確信を持つております。というのは、この問題が何かそういうような犯罪的な問題でなくて取調べるのは、これは本委員会仕事であろうと思う。又その犯罪的な仕事についての何らかの処置についていろいろな問題があつたのは、それは法務委員会に行くと思う。併し我々はそういう問題でない、最初からそれを、それをば非常に苦しい立場から運用しているのに、ああいう工合当局の人達が先走つた見解新聞に発表されるということは、非常に私は迷惑だと思う。この点は取締的立場にある法務総裁から十分御注意あつてよいと思います。
  24. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それは賛成。
  25. 殖田俊吉

    國務大臣殖田俊吉君) よく了承いたしました。今後十分氣を付けます。
  26. 天田勝正

    天田勝正君 私は新聞の問題でなくして、昨日理事会を開きましたときに法務総裁檢務局長等が見えられまして、そのときのお話で、憲法の違反の疑いがあるという工合で部内にも多少その話はあつた。併しながらこのことについては違憲ではないという見解をとつておる。但し被疑者に対し親切に事前にその默秘権があることを明示しなかつたということに対して不当であると考える。そこで当委員会の方は被疑者として喚問したのではないのであつて、純然たる証人として喚問したのである。こういう見解をとつておるのでありますが、併しながら結果的に、例えば吉村氏、池田氏の場合のごときは告発されておりまするから被疑者と言えば言えるのであります。そこで私は昨日特にこの点は究明しておかなければならないと思つたのでありまするが、途中で皆さんが了承されてしまつたために止めたのであります。そこで未だ檢務当局におきましては、とにかくこの措置は不当であるというふうにお考えになつておる筈であります。でありまするから、これが不当ということになれば、このこと全般証人喚問ということ自体も亦不当になつて來る。こうなろうと思つて、私が全部が要するに御破算になるかならんかということに來てやせんかと思います。そういうことから、不当ということは一体どういうことを指すのか、不当の結果は一体どうなるのか、本委員会の今日までとつた処置全般が不当という形になつて行くかどうか、この点について檢務局長意見を伺つて置きたいと存じます。
  27. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) お尋ねによつてお答えをします。私は実は法務総裁の一昨日の答弁を全く存じませんし、それからこちらの委員会における渡邊軍曹事件というのは新聞では承知しておりますが、別に新聞をそのまま鵜呑にしておるわけではありませんし、どういう事実が行われたかということは知らないのであります。で、全く法律家としての純粹な技術的な意見というふうにお聞取りを願いたいと思います。この問題は憲法第三十八條第一項のいわゆる「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」とこういう、これとの関係なんでありますが、これに基きまして、或いは刑事訴訟法におきましては、「取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、供述を拒むことができる旨を告げなければならない。」こういうふうな規定を特に置いておるわけであります。これはいわゆる拒否権或いは默秘権と言われておるものでありますが、それで証人の場合には民事訴訟法又は刑事訴訟法におきまして、ここまでの強い権利は認めておりませんし、自分なり自分親族等はその答えによつて罪に陷る、こういうような危險性がある場合にそのことを疏明をすれば証言を拒むことができる、こういうふうになつておるようであります。そしてこの問題になつております議院における証人宣誓及び証言に関する法律というのは、第四條におきまして民訴の規定を準用しておるのであります。併しながら実際の場合におきましては、この議院における証人及び証言法律によりまして、すべてのものを証人として呼出して調べをし得るわけでありまして、実際問題といたしまして、その中には本人自身犯罪について取調を受ける者が可なり多いのではないかというように考えるのであります。勿論これは國会の方で犯罪取調のためにやることとは考えておりません。目的は違いますけれども、受ける者の身になつて見れば自分犯罪を言わされる。こういう場合が可なり多いのではないかというふうに考えております。そこでそういう場合の問題は、宣誓を予めさせて置いて、そうしてそういう本人自身犯罪に関する事項について尋ねるということになると本人は嘘を言うことはできません。勿論尋ね方が強制的であるとか何とか言う問題ではございませんで、宣誓ということは、若し嘘を言えば、或いは隠立てをすれば後で処罰をされる、こういう効果を持つておるのでありますから、我々の方では直接に何か強制されるのではなくして、そのことに從わなければ後で処罰をされるということを間接強制というように法律上申しておりますが、この場合に宣誓というのは正に間接強制であります。それで憲法の第三十八條第一項は間接強制解釈といたしましても、私は正面はこれは刑事手続、要するに刑事訴訟法による裁判の場合に、或いはその前提をなす搜査の場合に、これは適用があるものというふうに了解しております。併しながらそれでは、それ以外の場合は全くこの精神を沒却してよろしいかということになりますというと、これは非常に疑問でありまして、政府刑事手続以外の場合におきましても、やはりこの精神を尊重しなければならないというふうに考えておるのであります。從いまして、若しこの法律運用の結果、只今のように、当委員会のことを申しておるのではありませんから、その点は予めお断わり申上げた通りでありますが、本人犯罪事実について宣誓の上で物を尋ねられるというような場合がありますというと、あれは可なり三十八條第一項の関係において不当であるというふうに言わなければならないではなかろうか、從つてこの法律自体について何らか手当をする必要があるのではないだろうかというような考えを持つておるのであります。
  28. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 昨日局長の話によりますと、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律の第二條に「各議院の議長若しくは委員長又は両議院合同審査会の会長が出頭した証人証言を求めるときは、この法律に別段の定めのある場合を除いて、その前に宣誓をさせなければならない。」、続いて第三條に「宣誓を行う場合は、証人宣誓書を朗読させ、且つこれに署名捺印させるものとする。宣誓書には、良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓う旨が記載されていなければならない。」、この第二條と第三條、これに從つて、これは例えば不当財委にしましても、或いは考査委員会、その他の委員会にしましても、これは委員会証人喚問した場合においては、必らずこういうようにしなければならないという規定從つてつておる。そうして昨日あなたのお説によりますと、今度は各委員がその証人証言を求める場合におけるその行爲が、そのあり方が不当である。憲法三十八條に違反するのだというような、不当であるというふうなふうな御説明があつたと私は思うのですが、その点に対してはどういうふうな御見解を持つておりますか。
  29. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) 私は実際に本当に、國会委員会でどのようなことがなされておるかということを存じないのであります。大変迂濶なようでありますけれでも……でありますから、私の頭にはそういうような具体的に、どの委員会の問題でありましても、具体的なことが実は頭にないのであります。要するにこの法律自体のことが問題ではないかというふうに実は考えておるのでありますから、御了承願います。
  30. 千田正

    千田正君 檢務局長にお伺いしますが、あなたは三十八條憲法を唱えて、個人の人権の尊重を非常に強調されておりますが、成る程憲法にはそう規定されてあります。併しながら憲法第十二條において、「この憲法國民に保障する自由及び権利は、國民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、國民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」こういう第十二條の規定がありまするが、國会は社会或いは公共の福祉のために、委員会としてはああいう喚問をすることが往々あるのであつて、このいわゆる公共福祉のために喚問した場合、或いは証言を求めた場合において、個人がそれを默祕するということによつて、公共の福祉に甚大なる影響を及ぼすという場合においては、憲法解釈はどうなりますか。
  31. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) 公共の福祉というような問題と、それから個人の人権という問題との調和は常に非常に困難なのであります。併しながらお話のような、公共の福祉と個人の権利の問題ということは、外にもいろいろ例があるわけでありまして、刑事訴訟法等が即ちその適例ではないかと思うのであります。犯罪、犯人を檢挙して犯罪を防遏する、適正に処断するというような公共の福祉に関する要請と、それからそれによつて取調を受ける者の権利が保護されるという要請、その調和点が、先程私の申しました新らしい刑事訴訟法規定になつておるものと解するのであります。從つてやはりそれに近いような措置が最も適当ではないであろうか、つまり私が申上げるのは、何も委員会において、そういう人々を喚問したり、いろいろそういうことを調査されるということを問題としておるのでは全然ございません。その点を誤解のないようにお願いしたいのでありまして、本人犯罪事実について尋ねる場合には、宣誓させない方がよいのではなかろうか、こういうことなのでありますから、どうぞ御了解を願います。
  32. 木下源吾

    ○木下源吾君 大部この問題をやつてるようですから、私は余り必要がないと思つておるのですが、必要はないと考えておりますが、ただ今お話を聞いておると、委員会は、そういう犯罪事実を搜査しておるのだとか、そういうような考えでやつてるように思う。併しそうではない。御承知のように、趣旨を明瞭にして、引揚げの促進を成るべく円滑に、そうして効果を挙げしむるということが前提になつておるのであつて、その点を考えないで、現われた法律の條文ばかり見ておられるから、そうなると思う。而も局長の何は主観を沢山持つておられる。何故ならば、今間接強制になるという虞れがある。そういうように考えられる、法律では……併しながら一方では、先般も私公安條例のことで、本会議で質問しておるのですが、これなども完全に間接強制の意図が明瞭である。公安條例の條文が如何に書いてあろうとも、これは労働者の大衆の自由を束縛し、そうして強制するという意思は明瞭である、そういう場合の考え方はだね、これは間接強制じやない、この場合は……そうしてこれは主観だから構いません。そんなことはあなた方の考えてることは、どう考えておつてもいいが、ここではそういうことは必要はないのです。要するに我々の委員会目的というものをはつきり見ないで、そうして條文に現われたことばかり見ておられる。これは甚だどうも私は不親切だ、こう考える。それからもう一つは、今もこの遺書を何しておるのですが、この死因というものが、若しもこういうような僞証なんという点にある。こうするならば、大体この遺書から見るというと、自分が言うたことはそうではないのだ、今朝のラジオのニユースを聞いて驚いた。それ故に死んだのだ。我々はこの遺書においては、そう考えられるのです。ラジオの報道が本当にこの委員会決定の具体的の現われを報道しておるかどうか、そうではないのかということが問題だと私は考えておるのであります。眞実にラジオの報道が正しくあれば、これはそれからの問題になると思うのです。僞証として告発するとか、しないとかいうことが問題だと思うのですが、その法律的な影響があると思つておる。すべて環境、周囲を全部あなた方がよく調査をせられて、そうしていろいろなさらんというと、思い付きで行き当りばつたり、その程度でやられたのでは、折角の我々の引揚げ促進という大きな目的が阻害される虞れがある。こういう点について十分に一ついろいろ反省せられて行動して頂きたい、こういうように考えるのであります。
  33. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 この問題はいろいろ理論的に檢討を加えておると、全く対蹠的な一つの理論が成立つと思います。これはこれだけに参考としてお聞きする。今の檢務局長の御意見は、全然特別委員会が取扱つておる具体的の問題の対象としての御意見としてではなくで、全く学問的或いは純法制的の立場からの御意見であつて、この意見は、我々としてはやはり有力な参考意見として、これから後、我々が作つた法律が果してこのままでいいかどうか、殊に憲法第三十八條に立脚した新刑事訴訟法には、いわゆる証人でなくて、被疑者としての利益擁護の特別の規定さえ作つておるくらいでありますから、証人喚問の場合においても、このままの明文だけで完全であるかどうかということは、これから後の問題で、現在までやつて來たことは断じて憲法違反でもなければ、法律違反でもないのである。(「その通り」と呼ぶ者あり)更により以上新刑事訴訟法等の制定を見、而もそれは我々の立法府で作つた以上、それと有機的な関連を持たして、より民主的の法制とすることが私は妥当であるから、これより以上この問題は論議しないで、日本の重要な目的に向つて議事を進めて頂きたいと思います。
  34. 天田勝正

    天田勝正君 私はどうも了承し難い。それは新聞に出たところの具体的事実から見ますならば、檢務局長が御存じないとおつしやるのは御尤もであります。私はそのことを申上げるのではなくして、昨日の理事会におきまして檢務局長が違憲ではないし、法律違反ではないけれども、不親切なる処置であるが故に不当である、こういうことを申されておる。(「その通り」と呼ぶ者あり)そのことが分らなくなつておる。どういう点が不当であるか。その点は檢務局長は縷々と刑事訴訟法並びに民事訴訟法只今例に取られましておつしやられますが、私共の観点からいたせば、それら刑事並びに民事訴訟法は檢察当局或いは裁判当局が一体使用すべきところの法律であつて、これらの法律はこの國会において使うべきところの法律でないというのが誠に根本的な違いである。從つて然らば被疑者云々と申されますが、それでは立法府においては一体証人として以外に喚問する根拠が、法的根拠がどこにもない。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういうことであるからして、如何に民事訴訟法刑事訴訟法を引用されましても、それでは了解がし難い。そこで根本は議院におけるところの証人に関する法律、これが憲法三十八條に一体違反するかどうかということで、これは不当であるか、不当でないかを私共は判断せざるを得ない。そういうことからいたしますと、その不当と御指摘になつておる点がどうであるか、そういうことになれば我々が作つた法律と雖も憲法違反ということになると、これは大間違いと断定せざるを得ない。その結果が今日までの喚問が一切御破算となるという、ここに集約されなければならないが故に、私はその不当なる理由をはつきりして頂きたい。それを申上げたい。前の具体的なる問題について申上げておるのではない。先程おつしやつたところの不当ということ、その不当の理由は結局憲法三十八條抵触云々ということになれば、その結果はその法律自体間違つておる、こういうことにも相成るからと、こういうことで申上げております。
  35. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) 只今の点に関しまして、他の條文に関する実例を以てお答えをいたしたいと思うのでありますが、それは例えば憲法の三十三條、三十四條、或いは三十五條あたりの逮捕、抑留、拘禁、或いは捜索及び押收というような規定がございまして、これらもやはり三十八條と同じように政府におきましては刑事手続、刑罰を科するための手続きについて適用がある。こういうふうに解釈しておるのであります。問題になりますのは、それではいわゆる他の行政目的からしますところの臨檢でありますとか、差押えというのがございます。いわゆる興行場の臨檢でありますとか、いろいろそういうことが外の行政目的であるのであります。そういう場合に、それじやこの規定からの正面の適用がないから、どんなことをやつてもよろしいかということは言えないではないかというのが、我々の方の法律のときに立案いたします場合でありますとか、或いは解釈をいたします場合の考え方なんであります。やはりそういうものはこの條文にぴつたり当嵌らない。正面の適用ではないけれども、やはりこういう精神で、この字義通りどうこうということではないかも知れないけれども、根本精神というものを踏み外してはいけないのだろう、こういうことで全部やつておるつもりなのでございます。そういう意味で、そういう場合には三十三條そのものには違反しなくとも、三十三條の精神には反するというようなことを申しまして、いろいろその辺のけじめを置いておるのであります。それと同じことでありまして、この三十八條の一項も、別段こちらのお調べがいわゆる犯罪捜査であるというようなことを申上げておるのではありません。それから又お調べになる方は全く別の純粹な、公共の福祉の見地からのお調べであるに間違いございません。ただ受ける者の立場からいたしますというと、やはり同じような効果を持ちますものですから、我々の方といたしましては、正面の適用ということと精神適用という、これは法律技術的なふうにお聞きになるかも知れませんけれども、私の心持はよく分つて頂けると思うのでありますが、そういう意味でこちらのこの議院における証人証言云々という法律宣誓のさせ方も、三十八條第一項に正面から当るというふうには私は言えないのじやないかと思うのであります。ただその精神に反する部分があり得るのであつて、その点で不当ではないかというふうに考えるのであります。    〔「議事進行」「止めましよう」「長くなるから次回に讓つて下さい」と呼ぶ者あり〕
  36. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 天田さんの主張しておられることも我々は十分分つていますが、時間がないからこれは又他の機会にやりましよう。ただ私はこの機会に一言この委員会の問題として明らかにして置きたいのは、本日の某新聞に、伊藤法務委員長がその意見を語つておる。あれは非常な……あのままであるとすれば、それこそ法務委員長としての意見には我々は非常な異なつ意見を持つておるものであつて委員長から伊藤法務委員長に対して、本日某新聞に掲載されたあの意見間違いなく歪曲されないで報道されているかどうかということを一應お聞き願つて頂きたい。公けの委員長としてその点をお願いいたします。そして議事を進行させて頂きたい。
  37. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 ちよつと委員長、もう一点。今の檢務局長のいろいろな精神的な解釈、いろいろな説明はよく了承いたしましたが、併し委員会がその二條、三條に從つてつたということに対して不当ということに対してはどうしても納得できないのです。
  38. 高橋一郎

    政府委員高橋一郎君) もう一度繰返して申上げますけれども、こちらの措置をどういうことをやられたのか私存じませんので、それを不当と申上げておるのではございませんから、御了解願います。    〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  39. 岡元義人

    岡元義人君 今のもう議論じやありませんが、まあすべて証人の取扱い方につきまして、現在のいわゆる法規上から運営して行く場合において、今の局長お話から、氣持と今までのものとの間の……これからこういうようにしたいのだ、こういうように考えなけりやならないのじやないかというような問題は私は本当だと間違いだと思つております。だから例えば親切味が足りないというようなことは、それはやはり本当を言うと高橋局長あたりの、そういう本職の方から言つた場合おかしくなるのじやないかと思う。いわゆる法の本当の根拠についてこれを言つて行く場合にはそういう何はないのじやないか。むしろそれはそういう現わし方でなく、法の改正をしなければいけないのじやないか。それでいいのじやないか。そこに誤解があるのじやないか。    〔「併し不当でないとはつきり言つているのだから、いいじやないか」と呼ぶ者あり〕
  40. 千田正

    千田正君 さつきの、これは解釈の違いであると私は考えるのですが、例えば不当財であるとか、これから行われるいろいろな委員会において証人がやるこの三十八條におけるところの個人の人権の尊重の意味から、嘘を申立てたり或いは默して語らずということによつて、公共の福祉に甚大な影響を及ぼす場合は、憲法においてどういうふうな方法によつて、その公共の福祉を保ち得られるかという点なのであります。我々が考えるというと、今の局長お話では、自分を守るためには公共の福祉はどうであつてもよろしい、嘘を言つても構わない、何も言わなくてもよろしいのだ、これでは私は憲法の立法精神に逆行しているという考えを私は考えているのであつて、これは完全に、私は理論においては高橋局長とは対立的な理論を持つておりますので、今日私は論爭する時間もありませんから申上げませんが、おのおのの委員においても愼重にこの点については御研究を願いたいと思います。
  41. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 それでは一言はつきりいたして置きたいと思います。それは、議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律の根本的な問題は、ここで今議論する必要もない問題である。むしろ我々は最近、或いは先に法務廳総裁なりの御答弁等において、社会的な疑惑を起して來ておるから、我々が在外同胞引揚問題に関する特別委員会において、眞劍に外蒙の問題或いは人民裁判等の問題を取上げてやつて來ております。そのことに対して社会的なる疑義と、それから非難を受けるかのごとき方向がありまするので、この点に対しては我々委員会は純然たる國政の運行の線に沿つて、そうして我々に與えられている権利を最も忠実に國民のために進んでいるという以外にはない、十分この点を我々がはつきりいたしまして、そうしてこの問題をはつきり解決しながら次の問題にお進みを願いたい、從つて証人証言に関する法律の根本的問題は他の機会及び他の方法によつていたすべきことであつて、本委員会はたまたまこの問題が発生して参りましたから議論になりましたが、どこまでも我々の今までいたしたことに対しては、國政の正しい運行のためにこの在外同胞特別委員会は心血を賭して、この問題の解決に当つて行きたいということにおいてお進めを願いたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  42. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 草葉委員の御提案の通り法務廳関係はこれで打切ります。   —————————————
  43. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 吉村隊事件のことで、この前委員長不在中、岡元委員長代理に申上げたのですが、委員長が舞鶴においての談話が新聞に出たのです。それが、この吉村隊事件刑事問題にはなるまいと思うという記事が出ておる、こうしますと我々委員会目的が、犯罪の在る無しを調べるのじやなくて、その眞実を調べて國民の不安を除くという建前を言つておるのですが、刑事事件になるまいということを言うと、犯罪の黒白を論ずることになるので、若しこれが委員長が言われたなら重大な誤まりですし、それから、過ちであつたかどうかはつきりして置きたいと思います。
  44. 岡元義人

    岡元義人君 その問題は、すでに取上げて委員会で弁明があつたでしよう。あなたは出席していなかつたから……それを三回も取上げる必要はない。
  45. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 あなたに言つただけで……。
  46. 岡元義人

    岡元義人君 委員長が來て訂正されたのだから……。
  47. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 私が新聞を持つて來て弁明いたしました。   —————————————
  48. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは次の問題に移りまして、吉村隊に関する事件
  49. 岡元義人

    岡元義人君 昨日理事会を特に開いて頂きまして、大体この吉村隊の方の纏め方についてお諮りしたのであります。で内容につきましては、本日いろいろ皆さんから一つ一つ結論を附けて、それを纏め上げて行かなければならないと思うのでありますが、本体順序といたしまして四つに区分いたして纏めよう、こういうことになりました。第一は、吉村隊事件は如何にして國民の間に問題となり且つ國民が眞相究明を如何に要望したかについて。第二は、吉村隊事件をめぐる客観的條件。第三は、いわゆる曉に祈るその他の処罰的暴行の実体。第四は、総合的な結論、こういう工合理事会において大体打合せを済ませたのでありますが、この点について委員長から各委員の方々にお諮りを願いたいと思うのであります。もう一つお断わりしなければならないのは、本当はこれをプリントにして各委員にお配りして、その上でいろいろ修正の意見その他をば出して頂くということが一番よいのであります。併しながら昨日も一通りつて見たのでありますが、何分読むだけでも一時間もかかり、これをばプリントにしてお配りして、それを更に修正してやり直すというような技術的な問題において非常に困難がございますので、一應読上げながら、そうして引つ掛かつたところにおいて更に檢討して行く等、大体区分もこういう四つに分けてありますから、こういうようなことで行けば大体皆さんの御意見も承わりながら一つずつ結論が出て行くのじやなかろうか、そうしてその上で一應プリンとをばすつかり作り上げてお手許に配る、こういうような方法で行つたらどうか。それから、もう一点委員長からお諮りして頂きたいことは、こういう問題は非常に重要な問題でありますので、この何ができ上りましたならば、これは一番最後でも結構でありますが、これをば速かに各議員のお手許に、本委員会委員だけでなく、参議院全体の議員のお手許にお配りしたらどうかと考えておりますが、この点も委員長からお諮り願いたいと思うのでおります。
  50. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 議事進行について……。今岡元委員が言われたが、これは原稿を皆ここで読み聞かせるのか、しないのか、岡元委員が適当と、重要な点だという点だけを読み聞かせるのか、その点がはつきりしない。もう一つ吉村隊事件については、我々がこれを論ずるに当つて速記録を早く作らせて、そうして我々の手許に渡る、そうしてそれを読み、檢討して……今度の事件は何故速記録も見る機会もなしに急いでやられるのか、その理由はどこにあるか、その点をはつきりしたい。
  51. 岡元義人

    岡元義人君 第一の点は、全部これを読上げて委員に聞いて頂きたい。それから又更にでき上つたものをば印刷物にしてお配りする、こういうわけです。だから本当は印刷してからこれを檢討することの方がいいわけですが、併し相当厖大なものを印刷にするという、そういう時間もありませんし、だから一應ゆつくり今日は檢討しながら要点々々を……皆さんで御意見が出ると思う。だから一言一句たりとも各委員の御了解なしにはでき上らないと思う、その点は御了承願いたい。それから第二の点は速記を全部印刷に廻しましても、今非常に会期が迫つて來ている関係から一週間や十日、十日以上でもまだ今のところできないと思う。そこで人民裁判の方は全部ここで纏め上げまして、ここは必要のあるときは皆さんで見ながら纏める以外に、私は会期と睨み合したら方法はないと思う。
  52. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 特別な計いでやるということはできませんか。
  53. 岡元義人

    岡元義人君 委員長留守の間、できる限りあらゆる努力はいたしたのであります。併しながら外の方面と比べましてもこれ以上の無理はできないものですから……。
  54. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 原稿は今我々に聞かせるということは分りました。それでその印刷したものは特別委員会委員だけに配るのか、全体に配るのか。
  55. 岡元義人

    岡元義人君 結局これは調査報告書というものを出さなければなりません。調査報告書に出すものは印刷する。だから印刷してからその修正をするということになれば、少しの修正ぐらいならばこれは何とか方法が技術的にできると思いますが、できるならば印刷しない前に一遍読み上げて、何とか各委員の方々から疑義の点がありばどしどし直して行くというところで進んで行つたらどうか。そのために項目を四つに分けておりますから、一つ一つつて行くと面倒でない……。
  56. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 只今岡元委員の御説明に、細川委員の御質問がありました点について、大体今のように四つに分けてそれをここで読み上げて頂く。それで重大な疑義或いは訂正というものはここで一つ訂正して、直ちにそれによつて報告書を今國会中に全員に印刷して出す。その原文は今のようにしてここで訂正して進んで行く。それで進まなければ今國会中にでき上らない。一々これを更にここで修正して、又ガリ版で刷つて又修正して行つては間に合わない。この問題は相当いわゆる輿論を刺戟しておりますから、そういう意味において、疑義のある点は十分檢討する必要もありますけれども、全般的に一つここで檢討して、そうしてその疑義を直しながら決定して行つて頂くというふうにお取計らい願いたいと思います。
  57. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは細川委員、お聞きの通り非常に廣汎なものですから、よくここで読んで、只今四つの項目に分けて案文ができておりますから、十分それを審議いたしまして、そうして取纒めるということで進みたいと思いますが……。
  58. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 十分に審議されるということを條件として承諾します。
  59. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 これを十分に審議いたしましても、私は委員長の報告書に承服し難いものが必ず出て來ると思う。而もこれは甚だ重大なことであり、海外同胞の生命にかかわるもので、少数たりとも正しい見解というものは表明する必要がある。それでこの報告書と共に少数意見の報告書をこれに附加する、こういう手続をお願いします。
  60. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それは今事前にそういうことを言うのは実に甚だ非常識であつて、全く我が委員会自体を何かの特別の先入観念を以て考えておる考え方であつて、そういうことはやつて結論が出てから後の問題で、それを不可能だからというので條件付に何か結論を出さなければならんということは、これは星野さん是非御撤回になつて然るべきである。何も少数意見の発表をここで止め、以て抑制しようというような話が出るならとにかく、何か委員会自体をそういうようなふうに対立鬪爭的に見る見方は僕はいけないと思う。いいものを生み出そうというのが我々の眼目であるのだから、やはり私はその意味で反対します。
  61. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 これは物が議論されないうちから言い出すと言いますが、私は過去の経驗に徴してこうならざるを得ないと思います。何故かと言いますと、この前岡元委員が中共地区の邦人引揚について緊急質問をした。そうしてその内容は中共の方ではどうも向うでも帰したいという樣子があつて、船さえ廻せばよいという徴候がある。これに対して吉田首相が進駐軍に対して船を出す許可について交渉しているかどうか、これが主点だつた。これだけのことを言われた。ところが質問とは言うものの針小棒大というか、この点は動かされて、いろいろな点に触れてしまつて、殆んど我々の話合というものは守られていない、こういう過去がありますから、我々はこういう事態の起るということを未然に防ぐために予めこういう念を押して置くのです。
  62. 天田勝正

    天田勝正君 私はどうも皆さんが無駄な議論をしているような氣がする。それは委員会決定に不服なら少数意見を述べることは当然これはできることになつている。それをこのことだけにもう事前に少数意見の発表をすることを、どうしてこのことだけに約束しなければならないのか、(「そうだ」「議事進行」と呼ぶ者あり)何か約束の難いものをやつているような氣がしてならない。わざわざこのことを決めないでも、前からそういうように決めているので、このことだけの問題ではない。委員会自体の性質がそういうものなんだ。少数意見を出したければそれを出されたらいい。結論に不服があつて少数意見を出すならそれでいい。このことはいつでも権利として我々は持つているのでありますから、このことだけに皆が今これだけに承諾を與えるという御論拠は私はおかしいと思う。(「進行進行」と呼ぶ者あり)
  63. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 委員長にちよつとお尋ねしますが、今日この吉村事件人民裁判のこの報告書を今日中に作成する、今日結論を一切出すのですか。或いは次の委員会にも讓つて相当愼重を期するのですか。その点を一つ先ずお諮り頂きたいのですが。
  64. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 今日纒まれば勿論結構だと思いますが、纒まらないということもあり得ることでございましよう。
  65. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 それを一つ、私は委員長お尋ねするのではなくて、委員長からお諮り頂きたい。これは非常に重要な問題でございますから……。
  66. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 淺岡委員の御質問でございますが、委員の方々今日済ませる何でございますか。お諮りいたします。
  67. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 今日終ることは私反対なんです。というのは時間的には今日終らなければならないのですけれども、あの厖大な岡元君の書かれたのを、今読まれてどこが疑点だか今直ちには探せないと思います。私は理事会で読ませて貰つたので私は大体分つておる。ところが特にこの問題に関心を持つている細川さんが、昨日読ませて呉れと岡元さんに頼んだ。細川さんが祕書を通じてそれを要求されたところが、これを拒絶された。細川さんは今日初めて耳に入れられたわけです。今日初めて耳に入れられたのでは、それに対する十分な議論というものはできません。ですからこれは結論は出せない。こういう意見であります。
  68. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 どうも吉村隊事件人民裁判とに余りこだわり過ぎて、委員会としておのおの主張もあり、おのおの立場があり、在外同胞委員会としては実体をありのままに報告する以外にない。それでできるならば成るべく速かに結論を印刷に廻すように一つ御協議を願いたい。今日できるとか、明日できるとかという前提でなく、審議の模樣で今日中にできるかも知れない。明日までかかるかも知れないが、今の星野さんの御意見も分りますが、そういう考えじやなしに、成るべく至急に御進行を願いたい。もう十二時になりますから……。
  69. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 議事進行につきましてお諮りいたしたいのであります。丁度十二時になりますので、先ず休憩して正一時からきつちり始める。そういうふうな行き方をお諮り願いたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  70. 北條秀一

    ○北條秀一君 緊急議事進行について……。只今淺岡委員から、ここで休憩したらどうかというお話がありましたが、午後の議事の進行上私は一應動議を出して、皆さんにお諮り頂きたいと思います。それは本朝來新聞が発表された問題で、各委員諸君が非常に眞劍に討議されておつたのでありますが、この委員会に対して、今日まで種々な問題が新聞に出て我々委員も可なり迷惑をしていると思う。新聞に発表される限り、これは常に正確に発表されておればいいわけなんですけれども、よく誤解が生じますので、從つて本日この委員会におきましては、最も重要なる問題を我々が討議する際に、その討議の過程において新聞の発表等、これは新聞社の側の立場もありまして、結論に至らんまでにその過程を報道されるということになると、又余計な混乱を起すと考えられるので、從つてこの討議が相当程度まで進んで、或るところまで固まつて來たときにはいいと思いますけれども、それが固まるまでは、私はこの委員会を祕密会にする方が合理的じやあないかと考えます。これを動議として提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  71. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 今北條君の動議については、この一時間後に再開するときにお話になるべきだと思うのですが、同時に先きに星野君の言われた少数意見をどうするかというこの点と、それから十分討議をするという、実際のことはどうかということも、今日中にやるのか、それには制限付けるとか、付けんとか、今後の討議の際に発言するということを留保して置きます。
  72. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 ここで休憩されまして、その討議は一應懇談の上で御決定を願つて、一應そうして休憩されたらいいと思います。
  73. 天田勝正

    天田勝正君 動議は一應賛成の声がかかつております。動議は成立しておりますから、片を付けなければいけません。それで意見を申述べるのでありますが、どうも折角の動議でございますが、私は賛成し難い。今までの過程にこそ誤解を受けやせんか、途中で発表されては誤解をされはせんかということがあつた。それが事今日になつて祕密会にするという一体理由は成立たないと思う。而も新聞報道云々と言いましても、この誤報される原因はというのは、何も報道機関だけにあることでなく、我々の発言誤解を受けるような発言があろうと、そのような感を持つている。而も行動の自由を持つているのでありますから、私も他日の委員会に、一番委員長のそばにおりましたので、放送局や何かが途中で電話をかけたのは確かに聞いております。まだ第一質問があつた当時に、多分こうなんだろうという実は電話をかけているので、これはちよつとどうかと思いますが、それは報道機関の自由に属する問題でありますから、これは間違いがあつても仕方がない。若し間違いがあつたら訂正を願う。又自分の方も発表の仕方、発言の仕方というものが誤解を招くことがあれば、こちらで反省する。こういうことで行くしか方法がないと思います。私は折角北條委員の動議でありますが、反対をいたします。
  74. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 僕は賛成します。その理由は恐らく北條君はこの委員会目的をそのままに是非社会に反映させたいという、本当に純眞のお氣持からの動議と思います。然るに報道機関は報道の自由という憲法で保障されている立場からおやりでありますが、中には事実を故意に歪曲して、而もそれを一つの鬪爭手段にする歴然たる事実が沢山ある。例えば、本委員会証人喚問間違えたり、その他自由討議に類する会議であるという報告を明かにやつている。これは一、二の新聞ばかりでない。でありますから、今天田君のおつしやるように、発言の際に誤解を招くがごときことがないように、良心的に大いにやりたいという自省はお互いに持ちます。故意にそういうことを唯一の機会とする嚴然たる事実があるならば、我々は事前に社会の不安を防止する立場から、公表する必要のある場合には祕密会のときの速記録をそのまま公表することができますので、或る結論に達して各委員諸君がもうよかろうという場合におきまして、これを公表するというように私はしたいと思いますが故に、以上の理由によつて北條君の動議に賛成するものであります。
  75. 岡元義人

    岡元義人君 私は非常に大きな問題ですから、多少討論を許して貰いますが、今の矢野委員の御意見も、これは一應御尤もの意見だと思うのです。併し私は何も殊更に祕密会を特にやらなければならん必要はないのであつて、とにかく新聞記事等がお書きになるのは、先程天田委員が言われたように御自由なんです。若しその書き方に問題いがあれば、そういうことがあれば、この委員会の進行によつて、又國民批判を加えて行くのであります。すでに加えられつつある。これが最も妥当な行き方であると思う。ただ問題は祕密会にしなければならんという問題が出るときには、これは祕密会にしなければならんので、又諮つて頂く。こういうような進行が私はいいのじやないかと思う。最初から何も今までの証人証言に基いて、我々が檢討をして行くのですから、何もこの点について祕密会にする必要はない。但し先程も申しましたように、実際にいろいろな関係が、例えば國際的な関係とか、いろいろな問題に触れている場合は、これはどうしても祕密会にしなければならんという問題も今後は出て來るのじやないか。今の動議に対して意見を述べたのでありますが、非常に時間が経つておりますので、先程草葉委員お話のあつた今日の問題は、單に報告書というだけではないわけなんです。いわゆる眞相はこうだという話をせんということではない。だからその次にもう一遍委員会としてどういう処置を取るかという点を私はやはり決めなければならんと思う。
  76. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 祕密会にするかどうかということは、祕密会でなして進んで頂きたい。本当の祕密会を要するときは、今のお話のようで結構であります。只今の報告書の問題は、先ず報告書が根本になつて、報告書を作つてからの上で、更に委員会ではどうするかということになる。先ず報告書を主体にして進んで行きたい。
  77. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 私はこの委員会は公開さるべきものだということを主張する。それから報告書は報告書として先ず作つて、それからそれについて委員会の主張すること、それはそれで又決めることとして、私は草葉君の意見に賛成します。それからもう一言して置きたいことは、今矢野委員が報道機関を非常に責めると言つたが、併し欠点は報道機関に或る程度あるかも知れないが、委員会にもあることを反省すべきだと私は主張するのであります。報道機関だけじやありません。
  78. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 草葉委員の動議に御賛成もありますので……。
  79. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 北條君の動議を先に採決したらどうですか。
  80. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは北條委員の動議でございますが、賛否両論が出ておりますので、採決いたします。午後の委員会を祕密会にするか、公開にするか、北條委員の動議を先に採決いたします。この動議に御賛成の方は御挙手を願います。    〔挙手者少数〕
  81. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 少数と認めます。午後は公開で一時から再開いたします。休憩いたします。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後一時二十七分開会
  82. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 午前中に引続いて委員会を再開いたします。初めにちよつとお諮りいたしますが、在外公館等借入金整理備審査会法、皆樣のお手委に配付されておるそうでございますが、これは外務委員会に付託になつたそうでございますので、明日三時に委員会を開いて早急にこれを決めてしまいたいのだそうでございますが、若し合同審査という希望があるかどうかということを言うて來られておるそうでございますが、どういたしましようか。
  83. 岡元義人

    岡元義人君 それは一應一遍外務委員会に付託することは私から各委員に報告してあります。それから合同審査をするかせんかという問題は、これは誰か必要があればこれらから行くというようなことでしなければ、到底明日あたりからの國会の運営を見て見ますと、そう合同審査をするようなそれだけのゆとりは私はないと思いますから、必要があればこちらから行くという程度でいいじやないかと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 御異議なければそう決定いたします。
  85. 千田正

    千田正君 外の委員出席を求めます。何故かというと、あとから來て重複した質問や何か時間ばかり取つて駄目ですからね。(「そうだ」と呼ぶ者あり)できるだけ出席して貰つて……。
  86. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  87. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を入れて下さい。
  88. 岡元義人

    岡元義人君 まだ他の議員全部、これはお揃いになつておらないけれども、待つておると非常に時間がかかりますので、進行して頂いたらどうかと思いますが、お諮り願います。
  89. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 如何ですか。もう少し待ちますか。
  90. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 もう少し待つたらどうですか。重要なものが報告される筈だから。
  91. 岡元義人

    岡元義人君 今日は日曜日であつて、特に今日の日が選んであつて、而もさつき一時にきつちり開くというので、内容は一時から何があるというようなことまでちやんと各議員の方が知つておられる筈です。それへ持つて來て一時半になつておるということは、今來られたからもういいですが、進行に影響がないように運営して行かなければ今日は終りませんから、その点一つ。(「進行」「賛成」と呼ぶ者あり)
  92. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは進行いたしますが、御異議ありませんね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 一つ矢野君と北條君と、みんな呼んで貰おうじやないか。
  94. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 定数に達したから、直ちに議事を進行して頂きたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  95. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは進行いたします。初めに吉村隊事件調査についての報告書の案を審議いたします。先程岡元委員から発言がありましたように、これはお手許に配付してないと思いますので、ちよつとお控え願つたら審議上都合がよろしいかと思いますから、項目を読み上げます。初めが「前言」、それから第一が、「吉村隊事件は何故に、又如何にして國民の間に問題となり、且つ國民が眞相究明を如何に要望したからついて」。第二に移つてよろしうございますか。
  96. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 成るべくゆつくりやつて下さい。
  97. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) はい。第二が「吉村隊事件をめぐる客観的條件」。第三に移ります。「いわゆる「曉に祈る」、その他の処罰的暴行の実体」でございます。それから「結論」です。
  98. 岡元義人

    岡元義人君 先程私報告を一つ落しましたが、昨日の理事会吉村隊事件におけるところの人民裁判の件があるわけであります。この人民裁判は次の人民裁判として一括別途に纏める。こういうことに昨日の理事会においては話合いがあつたのであります。この点一つお諮りをして置いて頂きたい。
  99. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 岡元委員発言でお聞きの通りでございますが、吉村隊事件といわゆる人民裁判とを切離してという御意見ですが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 それは切離してじやなしに、報告を別に纏める。こういう意味でしよう。
  101. 岡元義人

    岡元義人君 お分りと思いますが、吉村隊事件の中に、ナホトカにおける人民裁判の一部が入つたわけであります。それを切離して、次の問題、人民裁判の方へ包括的に纏める。こういうことです。
  102. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじやもう一遍繰返しますが、吉村隊事件の中に人民裁判が含まれた問題があります。それをあとの人民裁判の方へ切離して附ける。こういう意味でありますが、どうでございますか。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではそう決定いたします。
  104. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 池田重善氏から葉書が、脅迫状とか、或いはいろいろなことが書いてあります。葉書と手紙が六通送つて來たんですが、一つ委員長で、参考資料といたしまして、一應御覽頂ければと思うのでありますが。
  105. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 進行。
  106. 岡元義人

    岡元義人君 委員長、議事進行。本日檢討しながら行く上に、参考資料も非常に大事な問題だと思いますが、一々時間がかかりますから、それは委員長から各委員に回覽して頂きながら進行して頂くように……。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  107. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじやそういたします。
  108. 岡元義人

    岡元義人君 それでは昨日まで委員長留守の間にこちらで今まで担当しておりました関係上……。(何事か私語する者あり)何か意見があるのかね。発言して呉れや。
  109. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 先程の四つの項目に戻りまして、昨日理事会で凡その報告書の原案を作つたので、その原案に基いて岡元理事からそれを朗読して頂いて、それに対して疑問のある点は途中で御注意願つて、それで最後の疑問の点だけを審議するという方法でお進み願いたいと存じます。これをお諮りを願いたいのであります。
  110. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 草葉委員の御発言に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではそういたしまして、岡元委員に昨日理事会で作られました案を朗読して貰うことにいたします。
  112. 岡元義人

    岡元義人君 それではできるだけゆつくり読み上げて行きます。前言の方は問題ないと思います。大体前言から一應念のたみに読み上げて参ります。  「去る四月二十六日本院におきまして、在外四十数万同胞の引揚促進及び留守宅援護徹底を」これは報告書の形でいつておりますから、その点をお含みを願います。「徹底を趣旨と致しまする決議案が上程せられ、全員の熱烈なる御賛同の下に可決致されたのでありまするが、その際にも國民の強き要望と致しまして、残留者の消息をも最も速かに明らかにせられ度き旨強調せられたのであります。残留四年の而も今年輸送再開の予報すらも無き今日、留守家族のひた向なる要望の一つは明らかにこれであります。又まことに声の響きに應ずるが如しとでも申しましようか、決議案成立の翌四月二十七日明らかにせられましたる、対日理事会シーボルト議長からソ連代表に宛てられましたる残留同胞引揚促進に関しまする書翰の中にも、此のことが最も明白に述べられて居るのでありまして、残留同胞の消息を明らかに致しますることは、ひとり留守家族のみならず内外共に最大関心事の一つでありますることは疑う余地の無いところであります。然るに吉村隊事件が、曉に祈ると題し、ジヤーナリズムに取上げられまするに至りまするや、誠に世の耳目をこれに集めたかの感がありまするのみならず、ひいては留守家族の間に大いなる不安と動搖とを起すに至りましたることは、誠に止むを得ざる次第であり、私共の手許にも留守宅からの問合せが山積する状態であつたのであります。  茲におきまして、在外同胞引揚問題に関する特別委員会におきましては、與えられたる國会の権限に基き、最も愼重に爲し得る限り詳細に、その眞相を究め、以てその実相を内外に明らかに致しまして、引揚促進に資しますると共に、留守家族の不安除去に努めんとしたる次第であります。特別委員会は、以上申述べましたる如き意図を以て、吉村隊長こと池田重善他十五名の証人を去る四月十二、十三、十二の三日間、前後二十七時間に亘る審議におきまして、各証人から証言を求めつつ、  第一、所謂吉村隊事件が巷間に喧傳せらるるに至つた起縁、竝びに、既に函館において告訴された経緯の究明  第二、本事件を起さしむるに至つた外蒙ウランバートル收容所を繞る各種の客観的條件、特に日本人俘虜管理の実情  第三、所謂曉に祈るの正体及び收容中における死亡に対する責任の所在  第四、所謂吉村隊事件を既に内地帰還前ナホトカにおいて裁いたと称しつつある謂う所の人民裁判の眞相 を、各委員それぞれの角度から、極めて詳細に亘つて審議が実施致されたのであります。その結果を檢討致しましたる結果、更に   ウランバートルにおける各收容所の一般状況及び外側より見たる吉村隊の状況竝びに   問題の毆打致死事件等を惹起した吉村隊石切作業の各種状況 を調査究明いたさなければ、事態の重大性に鑑み、尚不足の点あるを発見致し、前回の調査を補うために、五月六日再び小林太郎他四証人喚問により、深更にも及ぶ審議が進められ」……。
  113. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 その調子で行くと、あとからあそこはこうだつた、ここはこうであつたというふうにしてやるのは非常にむずかしいが、このぴんと感じたときは、その発言中に一應ここはこういうふうにして貰つたらというような意見を出すようにしたがいいと思うが……。
  114. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 今までの所をどこかで区切つて下さい。今までの所大分問題があります。
  115. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 これは御相談して見て下さい。
  116. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 私もやはりぴんと感じたことはその点ということを一應言わないとあとでは工合が悪い。これをあとで協議する、どうだろうか。
  117. 岡元義人

    岡元義人君 発言中でありますが、非常に厖大になりますから、先程区切りました一つずつでやつて行く程度にこの範囲を拡めて貰えませんでしようか。でなければこれをそういう工合に全部を私読むだけで一時間かかるのですから、その間一つずつやつてつてしまつては、それはとても晩までかかつても終りません。尚こういうところで今まで言つたものは必要ないというようなことも出て來ますし、それをここで修正しておつて、そうしてそれに引懸かつてそれも全部要らない、こういうことになる点がありますと……。
  118. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 從つてぴんと來て疑問と思う所は、その点言うて貰つてチエツクして貰う。それより外にないのです。あとでその点を協議する。
  119. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 そういうふうに決まれば、今石切作業が毆打致死罪というふうにしてもう決めてしまつて、それをその事実を今度は審議するというふうな表現の方式……。
  120. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 そういう議論をするのじやない。チエツクする……。
  121. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 だからその場所を言わなければ分らんだろう。……それから探しにくいでしよう、岡元君……。
  122. 岡元義人

    岡元義人君 分つております。私は全部分ります。
  123. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 もう一つは、証人ですから、被疑者でも何でもないから報告書としては当然君か氏がつくべきだ。人の名を呼び捨てにすべきじやない。矢野酉雄でなくて、矢野酉雄氏が酉雄君かそれはつくべきだ。
  124. 岡元義人

    岡元義人君 それでは今の所を印をつけましたから次を続けます。
  125. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 ちよつとシーボルト議長より云々ですね。シーボルト議長よりソ連当局に申込んだとか何とかという一項です。これに対する印をつけて置いて下さい。それから在ソ同胞四十万という所に印をつけて置いて下さい。
  126. 北條秀一

    ○北條秀一君 その中にジヤーナリズム云々の点がありましたが、その点はもつと表現を変えなければならんと思うが……。
  127. 天田勝正

    天田勝正君 表現をですね。それを変えるか変えないはとにかくとしてチエツクを要求しておるのである。
  128. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) あとよろしゆうございますか。……それではどうぞ続けて頂きます。
  129. 岡元義人

    岡元義人君 「五月六日再び小林太郎他四証人喚問により深更にも及ぶ審議が進められ、調査の一層の完璧が調せられた次第であります。以上四日間の審議の経過並びに結果の細部を申述ぶるの先立ち、この報告の趣旨を明らかにいたしまするため、特別委員会が得ましたる結論の要旨を極めて簡單に申上げたいと存ずるのであります。」  では内容に入ります。以下更に審議の経過、審議の次第を追いつつ報告します。  「第一、吉村隊事件は何故に、又如何にして國民の間に問題となり、且つ國民が眞相究明を如何に要望したかについて、御承知のごとき吉村隊事件をして、世の問題たらしめた端緒は、昨年末発行せられましたる数種の刊行物及び特に本年三月以降の新聞報道でありまするが、これら報道機関はその使命に鑑み、奥論の大なる反響を背景に一途に眞相の究明に力を盡しましたる経緯は、委員会喚問した証人たる担当記者の証言に明らかなるところであります。」これは、田代、山崎、四月の十二日です。「併しこの間二人の証人証言にもありまするごとく、旧吉村隊員の間の吉村隊長を告訴せんとの企もあり、ソ連地域残留者留守宅の憂慮は特別に高まりまして、私共といたしましても、これら四十数万留守家族のためにももはや放置するを許さざるものと感ずるに至つたのであります。」
  130. 天田勝正

    天田勝正君  その点チエツクして下さい。
  131. 岡元義人

    岡元義人君 「而も報道はその性質上ややともすれば隊長自身のみが焦点となり、直接隊長に関する諸條件が特別に問題として取上げらるるかの感があり、事件の眞相把握に欠くべからざる客観的條件はむしろ漠然たる状態で、この際特別に事態を究明せざれば異境の地に徒らに同胞相食むの事件として、爾後の引揚にも少からぬ悪影響を與うるものと感ぜらるるに至りまして、特別委員会冐頭一委員発言にもありましたるごとく、「國民が還りを待つ待望の氣持を現し、十分の受入態勢を作る等のための資料を得る」ためにも特別委員会として乗出さざるを得なくなつた次第であります。
  132. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 そこをチエツクして下さい。
  133. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 今のような経緯でずつとしまいまで一通りつて見たらどうですか。それから今度はチエツクしたところを一つ論議したら……。
  134. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) そうですね、その方がいいでしよう。続けて頂きます。
  135. 岡元義人

    岡元義人君 第二、吉村隊事件を繞る客観的條件、  以上申述べましたるごとく、本事件の究明のためには事件発生の環境の実相を闡明いたしますことが第一の要件であります。一証人証言に「とにかく特異な状態において特異な心境にある人達が、吉村という特異な性格といつていい人の下に起つた事件、これは現在の自分達さえ想像も付かないような事柄だつたのであります。」(小蜂四月十四日、四。)と申しておりますることは、その表現はとにかくといたしまして、当時の実情及び旧吉村隊員の大半の氣持を率直に披瀝いたしておると申し得ると存ずるのであります。かような環境的條件の中、特に事件の発生に関係深き要素、即ち外蒙收容所における食糧及び作業量の関係、部隊管理の状態、特に疾病及び死亡者の状況並びに抑留生活に最も甚大なる影響を及ぼす外蒙側の俘虜に対する指揮、管理の状態等に分析いたしまして、実態把握に努めたのであります。  先ず食糧供給の状況について申しますれば、供給基準として米三百グラム、パン四百グラムその他の規定があつたようでありまするが、特に昭和二十一年一月入蒙当初の給養は高梁等で基準量の約三〇%というような有様で、その後逐次改善せられ、二十二年九月帰還まで二十一ケ月間の中最後の約七ケ月は概ね基準量を與えられ、それまでは八〇%にも達せざる給養状況でありまして、入蒙後約半年のうちに三〇%以上が栄養失調に陥り、慢性的飢餓状態と申すべき有様でありまして、この間の模様は一証人証言(阿部四月十四日、十四。)に「轉んでいる煉瓦一つが、蹴つてみなければ、或いはパンでないかといつて過ぎ去ることのできない心境にあつた」と言い、「この実絵は蒙古側でも察して、禁ぜられた野草採りも歩哨などは見て見ぬ振りをして黙認していた」旨申述べておることからも推察が付くのであります。この食糧の不足には勿論各種の原因も考えられるのでありまするが、外蒙における輸送の不完全に因ることは証言の中にもありまする通りで、特に昭和二十一年前半期の食糧不足はシベリア地区でも顯著でありまして、ソ連内全般の食糧問題にも関係がありましたることは私共の推定し得るところであります。  かようなる給養の状態の下におきまして、同胞に課せられましたる作業量の昇降は概ね給養の昇降と平行いたしておるのでありまするが、この事実は、季節、建設状況、食糧補給状況等の諸要件に関係いたすことは勿論でありまして、入蒙当初日本人俘虜が外蒙將校から言渡された言として、「食べ物を食べ、着る物を着るというためにはそれだけの費用は自分達で賄つて貰いたい」(原田四月十二日)と言われたとの証言があつたことからもその間の事情を推察することが可能であろうかと存ずる次第であります。  兎にも角にも、この乏しき給養状態で重労働をいたしておりましたる状況を語る多数の証言があつたのでありますが、一証人の「非常に乏しい食糧の下に苛酷な重労働を受けました。その與えられましたところの食糧だけでは到底我々は生きておられません。何らかの方法を以て生命を繋ぐところの糧を得なければ生きて行かれなかつたのであります。」と言い、更に続けて「生きるためには仕方なく隊長初め下に至るまで盗みをいたしました。」(笠原四月十四日)と告白しておりまするごとく、生優しき状態ではなく、收容後間もなく慢性的飢餓状態から心身に頽廃の兆しを示しておりましたる事実は私共といたしまして見逃すことのできない点であります。  当時外蒙の各收容所におきましてはこの慢性的飢餓状態を救う一手段といたしまして、與えられましたる基準作業量の遂行以外に特別に報酬を支拂われまするところの諸作業による賃金の獲得、或いは作業基準量の超過による給食量の増加によらんといたしておるのでありまするが、これはその管理よろしきを得れば概ね目的を達成いたすのでありまするし、よろしきを得ざれば、配分せられたる食糧は取るに足らず、徒らに労多く、却つて体力の消耗を來すという……」
  136. 天田勝正

    天田勝正君 「労多く、」そこをチエツク。
  137. 岡元義人

    岡元義人君 「消耗を來すという結果を招來いたしておつた実際を示す証言もなされたのであります。吉村隊におきましては、隊長たりし証人自らが木材運搬について「一本に対し二円呉れるからというそれで部隊の方に言いましたところが納得しまして、千九百八十本というものを運搬しました」と証言しておりまする通り、食糧の苦境を切拔けるために進んで求めたこの基準作業量以外の作業が、その管理よろしきを得ざりしため、逆に吉村隊特有の苛酷なる重労働として傳えられるに至り、一証人は、「私は特に……。
  138. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 「その管理よろしきを得ざりしため逆に、」というところ。
  139. 岡元義人

    岡元義人君 一証人は、「私は特に酷使されたことを申上げますが、それは木材運搬でありました。それをするために朝三時半に起床して飯を食べないで七時まで作業するのであります。当時の食糧は誠に情ないものでありまして、一般の作業の終る五時になりますと、もうふらふらなんですが、そのまま又材木運搬を始めるのであります。」(酒井、四月十四日)証言しております。即ち隊員を過労に陷らしめ、而も得たる報酬の取扱いについて問題を惹起し、他隊の例に見るような食糧増加の目的を達成することもできず、体力維持のため、食糧を増加せしめとしながら、却つて体力の消耗を來し、問題の第一の原因を作つていたのであります。この間の無理が逐次に累積し、遂に抑留の後半期に至つて重大なる事故の発生を見るに至つたもののごとくであります。  次に部隊管理の状態特に疾病死亡等の状況について申上げます。  元來、帰還の一日も早からんことを念ぜられている残留同胞の苦しき抑留生活維持の基本をなすものは給養と作業との調和でありまするが、その調和に重大なる欠陷があつた外蒙では、部隊において自ら特に良好なる管理をいたさなければ事件の発生を免れがたかりし点は、数人の証人証言もこれを明確に物語つておるのであります。而も吉村隊なるものが、構成人員は旧軍人軍属の外多数の一般邦人を含み、最大時には八百名に近く、隊員の轉出轉入常なきのみならず、編成当初若干の紛爭もあり、特に團結心、相互扶助の精神に欠くるところがあつたようでありまして、隊長としての部隊の管理統率には相当困難がありましたることも証言に照らし明らかであります。」
  140. 北條秀一

    ○北條秀一君 先程食糧に関する重大なる欠陷云々というところがありましたね。そこ。
  141. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 統率に何とかいうのありますね。
  142. 岡元義人

    岡元義人君 「苦しき抑留生活維持の基本をなすものは給養と作業との調和でありまするが、その調和に重大なる欠陷があつた外蒙では、」ここですね。
  143. 北條秀一

    ○北條秀一君 ええ。
  144. 岡元義人

    岡元義人君 「かような状況におきまして、部隊の保健衞生の方面におきましても、施設の不備と相俟ち患者の多発は免れず。」
  145. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 施設の不備ということに線を引いて下さい。
  146. 岡元義人

    岡元義人君 「入院患者も約二年間に延人員百名にも上り收容所内死歿者も、作業場等における外傷十数名、内科的疾患による者二十数名に達しているのであります。」
  147. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 そこのところちよつと。全般的に。
  148. 岡元義人

    岡元義人君 「以上申上げたような状況を現出するに至つた背景をなす外蒙側の俘虜管理の実態は委員会でも重要なる目標として多数の委員から詳細に究明せられたのでありまするが。
  149. 天田勝正

    天田勝正君 チエツク。究明のところ。
  150. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 背景をなすというところ。
  151. 岡元義人

    岡元義人君 続けます。「その結果外蒙側には俘虜に関する最高の統轄機関の下に、作業監督、收容所監督、給養衞生の四つの部門があり、これがそれぞれの任務に從つて、それぞれの要求を俘虜に対してなし、去就に迷わしむるがごとき結果を生じ、作業と食糧との不均衡その他の不調和となつて抑留生活を更に困難にいたしたことが明瞭になつたのでありまするが。」
  152. 北條秀一

    ○北條秀一君 今さつきから読み上げた箇所。今読終つたところをチエツクして置いて貰えば後で分ります。
  153. 岡元義人

    岡元義人君 「同時にこの間隊長の働きいかんによつては給養改善の実を挙げ得る点もあり、殊に昭和二十二年に入つてからは前年一部に見られた対日報復というような観念も薄くなつて、外蒙側の態度は相当の変化を來し。」
  154. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 対日報復。
  155. 岡元義人

    岡元義人君 「給養等も相当改善の跡が明らかとなつているのでありまするが、この第二年度において、いわゆる吉村隊事件として傳えられる事態を生むに至つたことは、吉村隊におきましては、隊長としての部隊管理が適切を欠く点の多かつたという結論をせざるを得んとの意見に到達したのであります。」
  156. 北條秀一

    ○北條秀一君 今の隊長の責任云々のところ。
  157. 岡元義人

    岡元義人君 第三いわゆる曉に祈るその他の処罰的暴行の実体。特に申上げるまでもなく、以上申上げたような環境の下に起つたいわゆる曉に祈るその他の事件の実体如何ということが、委員会といたしましても最重点的に追及した事項でありまして、これが又留守家族その他の最大関心事でありますることは明かであります。
  158. 北條秀一

    ○北條秀一君 一番最初の見出しは何というのです。
  159. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) いわゆる曉に祈るその他の処罰的な暴行の実体です。よろしゆうございますか。
  160. 北條秀一

    ○北條秀一君 はい。
  161. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではどうぞ。
  162. 岡元義人

    岡元義人君 「いわゆる吉村隊の惨状として傳えられましたる作業量完遂の不能のため受ける処罰は、これを大体三種に区分することが明らかにされたのでありまして、その一つは、特に作業現場等における毆打等の暴行、それに清心寮と名付けられた留置場留置及び夜間における屋外留置でありまして、この夜間屋外留置が曉に祈ると称して抑留間より隊員に恐れられた刑罰であつたのであります。この曉に祈ると俗称される刑罰に処せられた者は、各委員の追及の結果、その数は証言の結果は数十人に達するようでありまして」……。
  163. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 数字に……。
  164. 岡元義人

    岡元義人君 「その処刑の原因をなしたものは、逃亡、集團窃盗及びノルマ等でありまして、その中に外蒙側より特に要求せられましたるものを含みますることは、かの地における公共物窃盗、毀損等が特に重罪を科せられるの現況からも当然であります。」
  165. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 外蒙からというところ……。
  166. 岡元義人

    岡元義人君 「この夜間屋外留置のため多数の者がそのまま凍死体となつた等の事実が喧傳されたのでありますが、究明の結果そのような事実はなく、証言は必ずしも明瞭ではありませんが、これが原因となつて死亡した者が二名程度であるようであります。」
  167. 天田勝正

    天田勝正君 その点。
  168. 岡元義人

    岡元義人君 「次に作業現場等における毆打致死事件は、採石作業中の三件と認定いたされるのでありまして、たとえその件数は少くとも、食糧不足と過重の作業量に喘ぐ残留者の間に発生いたしましたる事件として、前述の曉に祈る等の事件と共に最も遺憾に存ずる次第であります。さてかような処刑致死等の事件責任のいずれに存するかは最も重大な点でありまするが、この点に関すまする質問に対する証言は、池田重善氏証人のみ全部蒙古側の要求に拘わる罰目を課したる結果であると証言し、他の関係証人全部は、一部は蒙古側の命令、一部は隊長個人の」……。
  169. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 そこ。
  170. 岡元義人

    岡元義人君 「隊長個人の発意による旨を申述べておるのであります。確かに集團窃盗事件、その他作業量未完遂等につきましても、明らかに外蒙側により罰目を附して隊長に処分を要求して参つた事実についての証言もありまするが、必ずしも全部がそれであつたとは如何ようにしても認定し難いのでありまして、隊長のこの点に関しまする責任は免れ難しとする結論委員会意見は一致したのであります。」
  171. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 免れ難し……。
  172. 岡元義人

    岡元義人君 「かような状況を発生いたしましたる根本の原因は隊長の統率部隊管理一般の欠陥に基くことは申すまでもないところであります。勿論責任のみ負わされ、何らの権限も與えられざる隊長としてかかる状況の下如何に処するかは明らかにその困難なる実情は同情せざるを得ぬ点を多く含んでおるのであります。」
  173. 天田勝正

    天田勝正君 その点権限のところ……。
  174. 岡元義人

    岡元義人君 「この間隊長としての努力に尚足らざるものがあつたことは明らかであります。」
  175. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 努力……。
  176. 岡元義人

    岡元義人君 「即ち隊長としては一面外蒙側において要求する作業を完遂しつつ、他面隊員の健康保持をなさざるべからざる状況下においては外蒙側と部隊との中間に立つて巧みにその間の調節を図らなければならず、同じ外蒙地域の他の部隊の長は大体においてそのような方針をとつていたのであります。然るに吉村隊の統率部隊管理の実情は一にも二にも作業の完遂を重視し、例えば必ずしも実情に合せざる基準作業量を要求せられましたる際においても、却つて更にその上若干の余分を見積つた基準量を独断で決めて隊員に命じた事実さえも証言によつて明らかであります。」
  177. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 そこ……。
  178. 岡元義人

    岡元義人君 「又先に述べました如く食糧増加を目的とする規定外作業の実施に当り、当時の実情に照らし過重と思われる作業量を強行し、而もその報酬等に関する使途の不明確、なかんずく外蒙側監督將校通訳等の前述報酬に係る汚職事件の事実等」。
  179. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 実情……。事件……。
  180. 岡元義人

    岡元義人君 「部隊の内外にこれが外蒙側との通謀不正、個人的贅澤等の噂の種となり、(六日小林証言)隊内に信を失い隊員の苦痛を増加したる事実は多数証人証言による明らかであると言わねばならないと存ずるのであります。これを要するに部隊と外蒙側との間に立つて事態を最も円滑に運営すべき收容所の隊長として各種の困難なる事情がありますることはこれを認めざるを得ないといたしましても、抑留者に対し專ら要求、監督の位置にある外蒙側の要求を満たすに汲々たるのみならず」。
  181. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 最も困難なる各種の事情。
  182. 岡元義人

    岡元義人君 「ときとしては不当なる要求量の上に更に増加して隊員に課する結果ともなり、隊員に大なる苦痛を與え、その頽廃を招くこととなつたの認めざるを得ないのであります。かかる結果となりましたる原因の一つとして隊長個人の性格に困りますることは固より、又その証言にもみずから認めておりまするごとく、指揮の幼稚なりしことは勿論、その地位に立つべき」……。
  183. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 指揮。
  184. 岡元義人

    岡元義人君 「その地位に立つべき力なき者が、無理にその地位を保持せんとして、みずからの背景として外蒙側の勢威を借りつつ、無理に無理を重ねた結果と言わざるを得ん次第でありまして、ここにも我が國民性の一隅にひそむと思わる点」。
  185. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 我が國民性に。
  186. 岡元義人

    岡元義人君 「点に反省を加えなければならんと考えるのであります。」それで第三を終ります。  次は第四の結論であります。「四日間に亘つて行われましたる審議の経過並びに結果を申述べます。即ち第一にソ連收容所の中でも最も僻遠地の殊に外蒙の極めて不完全と推定するの外なき、俘虜管理の状況下、これに加えて給食状態に合致せざる。」
  187. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 最も不完全なる俘虜管理の状況下というところです。
  188. 岡元義人

    岡元義人君 「給養状態に合致せざる作業量の遂行等不良の環境における多数の集團生活は、事件を発生し易からしむる最適の條件であつたことは、」
  189. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 最適の條件
  190. 岡元義人

    岡元義人君 最適の條件
  191. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 ええ。
  192. 岡元義人

    岡元義人君 「最適の條件であつたことは、公平に観察して否定することは不可能であります。これに加えて池田重善証人みずからも肯定するごとく、統率極めて拙劣、不適当なるものがあり、」
  193. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 拙劣。
  194. 岡元義人

    岡元義人君 「拙劣、不適当なるものがあり、これに基き苛酷と断ずべき一部の行爲のあつたことは、これ亦明らかなる事実であると判定し得るのであります。」
  195. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 一部。
  196. 岡元義人

    岡元義人君 「併し傳えらるるがごとく、いわゆる曉に祈ると称せられる処罰による死者百数十名というがごとき事実はなく、この種処罰が直接原余となり、そのために死亡した者は先ず二名程度以内ではなかつたかと断定し得られるのであります。」
  197. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 二名。
  198. 岡元義人

    岡元義人君 「二名程度以内ではなかつたかと程定し得られるのであります。併しながらいわゆる吉村隊内における死亡者三十数名中の或る者は、隊長の統率指導更に適切なるを得たといたしますれば、当然その生命を保ち得べかりし者が多かつたであろうと推定いたされるのであります。而うして收容末期に命ぜられたる特に困難なる石材切出作業中、作現場において負傷し、收容所に帰着後死亡した三名のごときは、作業現場における殴打が仮令身体の衰弱甚だしき者があつたとしても、死亡の直接原因と判定される事実を含んでおると考えられるのであります。  第二に、本事件は俘虜が僻遠の地に抑留中慢性的飢餓、強度の労働により累積せる疲労という悪條件下に惹起せられたのでありまするが、これら悪條件に加えて多数の集團による群集心理の支配は、申すまでもなく、如何なる場合にも徳性の低下という現象を呈することは」。
  199. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 徳性の低下。群集心理。
  200. 岡元義人

    岡元義人君 「多数集團による群集心理の支配は、全く如何なる場合にも徳性低下という現象を呈することは明らかなる事実でありまして、個人的に見れば、各人の低き利己主義から、延いては個人」
  201. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 利己心。
  202. 岡元義人

    岡元義人君 「延いては個人蔑視の傾向」
  203. 天田勝正

    天田勝正君 その点。
  204. 岡元義人

    岡元義人君 「集團的に見れば、友愛心、團結心の欠乏、これらの欠点を挙げて、只今
  205. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 友愛心欠乏。
  206. 岡元義人

    岡元義人君 「友愛心、團結心の欠乏、これらの欠点を挙げて、只今平靜なる現在の立場から、常識を以て、徒らに当時の特殊事情を考えることなく非難することは固よりこれを避けなければならないのでありまするし、又特に困難なる抑留生活中の事象のみからの速断は許されんところではありまするが、長年に亘り培かわれ、養われ來つた我が民族性反省の一資料」
  207. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 そこのところ、民族性。
  208. 岡元義人

    岡元義人君 「一資料たることは、戰後の國内の各種事象とも併わせ考えて、何人もこれを否定し得ざるところと信ずるのであります。我が民族の將來につき、ひとり教育の面のみならず、あらゆる施策に、自他個人の尊嚴性の維持、尊重、還境の悪條件を克服するに足る毅然たる道徳性振起こそは、平和國家として進むべき我が國の將來に鑑み、特に必要喫緊の事項であると断ぜざるを得ん次第であります。」  これは一應ここで区切りを付けまして、この次に当委員会が、これに対する処置をば如何にしたらということは、今日の運営上決められてからのち、後に取上げるということにしまして、人民裁判の事項は次に讓り、一應終ります。
  209. 千田正

    千田正君 一貫して読んで頂きましたが、その中で重大な点が抜けてるという感がありますので、一應これは皆さんに御審議を願いたいと思います。というのは吉村隊長即ち池田が俘虜としての観念、その点が長谷川隊長との間に喰い違いがあつた。長谷川は一日も早く帰還することを望んではおるが、成るべくノルマを普通やつてつて、そうして身体を大切にして故郷の土を踏みたいという観念、それから池田は、過剩ノルマを実行して、できるだけソヴイエト側の歓心を買つて一日も早く帰りたいという、そこに相違のある観点があるのでありまして、この重大なるノルマを決定する際における重大なる観点が抜けておる、この点。  もう一つ最後の重大なる点としましては、吉村の命令であつたという主張と、他の証人は、命令があつたが、命令でもあつたが、他は独断でやつた、一部命令であつて、他は独断であつたという重大なる証言があつたわけでありますが、その点が抜けてるかに思います。
  210. 岡元義人

    岡元義人君 それは入つております。
  211. 千田正

    千田正君 最初の長谷川隊長と池田との考えの相違点について、もう少しここに附加えなければならないことがあると思います。
  212. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 今の千田委員のその附加する問題に対しまして、もう一点、この長谷川隊長と池田と責任者が変つたという点、これは蒙古側から指令されたという点が証言に出ておりますが、その一点も併せて附加して頂いたらと僕はこういうふうに思います。
  213. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 この事件の特異性、残虐ないろいろの要素が出たというには、池田という者の地位ですね、即ち憲兵であつたということについての彼の憂慮、それについては何も報告書には書いてないが、これはいろいろ意見もあることだと思いますが、これには全然触れていない。それを問題にしたいと思います。
  214. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 憲兵であつたことの憂慮ですか。
  215. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 はあ、おびえておつた、憲兵であつたという自分の過去に対しておびえておつて、それについては意見もありましようが、最も大事だと思いますから……。それから挙げられた中に絶食はありませんね。絶食を兵隊に科したということは……。他の收容所には殆んどなかつたということが脱けておるように思いますが……。
  216. 岡元義人

    岡元義人君 絶食という言葉は使いません。表現は大体纒めて表現しております。
  217. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 併し証人証言には絶食が盛んに出ておりますね。
  218. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 表現の形式だけど、一証人というふうで行くがよろしいか、それから全体の流れだが、例えば池田証人の言によるとか、誰々の言によればとこう行く方が又註を加えたりして面倒じやないかと思いますが……。
  219. 岡元義人

    岡元義人君 報告書には証人の言というのがみんな括弧しまして何月何日誰々ということを括弧に入れております。
  220. 北條秀一

    ○北條秀一君 今の結論と言いましたが、今言われたところは結論の途中までですね。
  221. 岡元義人

    岡元義人君 ええ、三まで……。
  222. 北條秀一

    ○北條秀一君 それでは重ねて言いますが、日本民族性の反省という点について、私は前に、本事件を当委員会で取上げるかどうかということを愼重に審議いたしましたときに私は申したのでありますが、日本民族の反省を求めるということを指摘するならば、更に今回の事件証人喚問によつて我々が知り得た反省すべき点が指摘し得ると思うのであります。從つて漠然と民族性の反省ということでなしに、更に一歩突込んで具体的に、こういう点について反省すべきであるという問題を明らかにしたらどうかというのが私の見解であります。私は今その点を注意いたしまして、後に討議のときに意見を申上げようと思います。
  223. 岡元義人

    岡元義人君 大体今総括的に述べたところの大事な点の指摘があつたわけですが、議事を進行いたします上から、今指摘された問題だけを一應ここに書き止めまして、そうして先程チエツクいたしました点を逐次檢討して行きながら、更に北條委員の御申出の点も、そういうことをやりながら後でやつた方がいいのではないか。というのは非常に混同して参りますので、いろいろこのチエツクは簡單な言葉を端をつかんでチエツクされましても、実際これを檢討し始めますと、言葉の端じやなくて、非常にいろいろ意見も出て來ると思いますから、(「その通り」と呼ぶ者あり)その後に我々の問題は議した方がいいのではないかと思いますからお諮り願います。
  224. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 岡元委員からの何を如何ですか、先程から出ております附加することを先に直ぐ附加すべきかどうか決めまして、それからチエツクの場所を……、これを附加するのを決めて行きますのでしようか。
  225. 岡元義人

    岡元義人君 いや、委員長、そうじやないのです。私が申上げましたのは、チエツクしているところからずつと一通りやりまして、そして今の要求を入れるか、入れんかということをお諮り願つて、それをどこへ入れるかということを……こういう工合に決めて頂けばいいのじやないか。それから総括的に今度訂正されるものの中で北條君の議論を議した方がいいのじやないか、こういう順序で申上げました。
  226. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) そうですか。それじやチエツクしたところを先に檢討して行きますか。入れるか入れないかを先に決めた方が都合がよいのじやないかと私は思いますけれども、如何でしようか。
  227. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 私は今岡元委員から出された問題は報告の中で重要な点を出しておると思うのでありまするから、その方を先にやつた方がよくはないかと思います。そこをやればあとのチエツクした方のものは從つて訂正し易いことになりはしないかと思うのですが……。それからもう一つ、外蒙の何といいますかね、他の地域と違つて劣悪な條件にあつた、あの点、あの取扱い方、あれも問題になると思うのであります。吉村隊のあの特殊の事件というものは、他の同じ外蒙においてもそれじやそういう條件で或る程度起されたかというと、これはそういうものじやないのだが、あのことは同じ外蒙が劣悪な條件だと、それであるにしましても、これは吉村隊には当嵌らんと思うのでありますが、この点も主要な問題として扱うべきものじやと私は考えております。
  228. 岡元義人

    岡元義人君 どうも細川さんに又反対するわけでありますが、これはあの今のチエツクされましたところをいろいろ檢討して行きますと、字句を訂正しなければならなくなるので、字句の中で先程千田委員の申出のあつた表現が変ることになる。そういうことも考えられますから、一應チエツクするところで行つて、それから尚入らなかつた場合に今の問題はどこに入れるか、こういう工合考えて行くのが順序じやないか。そしてそのあとで今の総体的な議論を、北條君などが議して行くのが私は順序じやないかと思います。それでなければ今の奴を織込みましても、字句の訂正が沢山あるのだし、又そこのところでこれをどこに入れるかという問題だけでも私は非常に手間が取れると思う。
  229. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 いろいろ重要な問題として指摘されたものは、この報告の相当な仕組を変えて行くだろうと思うのです。それですから、それが大きい波紋を起すだろうと思います。そこからやつた方が最も適当の順序じやないかと思うのですが、どうでしようか。
  230. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 これは今はまだ最後の本当の総合的の結論は草案者においては出してはいないわけですか。それがもう総合的の結論になつておりますか。
  231. 岡元義人

    岡元義人君 なつておりません。それは総合的な結論というのは、結局一番最後の結論と言うところではなく、やはり本委員会の……。これは今の結論とここに出してありますのは、ただ委員会としての結論ではなくて、いわゆる速記録等によりまして、いわゆる証言としてのずつと纒めた結論であつて、これによつて最後に今申上げました……途中において切つてあるのですが、それからあとは今日の委員会において結論が出てそれがくつ付くわけなんです。
  232. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 そこで結局僕としては本委員会目的が先ず引揚促進を前進させるという一大目的と、それから家族の不安を少しでも除くということと、受入態勢をこれを機会に更に強化するというこの三つが私は本委員会目的であつたと確信するから、その目的に副うような結論を出さなければならないので、対外的のいろいろな問題においては或いはその事実を赤裸々に発表することが、この三つの目的を達成するために不適当であるというような場合には、これを委員会において相当考慮しなければならないと思うのであります。それで今チエツクした部分を取上げて行くか、或いは北條さん、その他からいろいろ……僕も案を持つておりますが、そういうようなことをどう加えてどう取扱うかというような、そういうことで五分間ばかりいろいろとその意見をフリーに出して見たらどうかと思うのであります。なかなかこれは一人でやることじやないのだから、一つの案としては、率直に言えばあなたのそこまでの非常な御努力に対しては委員全部おのおの感謝せねばならんと思うが、あなたのその纒め方は、それらの事実を蒐集され、一つ結論を出したけれども、やはり岡元式主観というものが或る程度加わらざるを得ないわけであります。そうすると、あなたの考え方と例えば細川君の考え方というものは、これは天地の相違がある、だからこの場合には対蹠的な顯著なる意見の二つがあるならば、どつちが良いとか悪いとかは別として、その二つの案を出して檢討するということが、非常に行き方としては愼重な行き方だと思うのであります。一つに限られたるものを俎上に載せてやるのは非常に條件づけられている、又その努力に対して余りそれを眞赤にしてしまうというようなことも、なかなかこれはどうかと思うし、時日が掛かることである。そうすると細川君が細川君の一つ結論を持つておれば、この委員会に出して貰つて、そうしてこれを檢討して行くというようなやり方が愼重態度としてよいと思う。いろいろ御意見があるだろうと思いますから……。
  233. 千田正

    千田正君 十五分ぐらい休憩するなり、懇談して、三時から改めて開いて、チエツクする問題なり、追加する問題について檢討したいと思います。
  234. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今矢野、千田両委員から休憩するという御意見が出まして、私賛成でありますが、その前に一事だけ申添えて置きたい。それは先程矢野委員からもお話があつたが、こういう問題の跡始末をつける際には要するにどこに根拠を置くか、殊に委員会の報告ですから、そういうことが一番問題になつて來ると思う。私は民族性の問題を問題にいたしましたが、要するに吉村隊事件というものは隊長側と隊員側との常に相関的な関係において問題を見なくちやならんというふうに私は考えるのです。そうして又吉村隊の事件は單に吉村隊だけでなしに、他の抑留所にも同樣の問題があつたということを我々はよく察知しておるわけです。そういう点について私は岡元委員が言われましたところの一つ一つチエツクした点をやつて行くことが一應は順序でありますが、それをやつておりますと、最後に又ひつくり返るというような問題が出ますので、ここで若干の時間を割いてフリーに懇談することに賛成いたします。
  235. 紅露みつ

    委員町(紅露みつ君) それでは懇談に移ります。    午後二時四十五分懇談会に移る    —————・—————    午後三時十二分懇談会を終る
  236. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは再開いたします。それでは参考のために、先程お申出があつた点をもう一遍申上げて置きますから、それを御考慮に入れつつ御審議を願います。千田委員からは、捕虜としての観念についての池田氏と長谷川氏との差違、それから淺岡委員からは、長谷川氏から吉村氏に隊長が変更した点、これは蒙古側の命令であつたということを入れてという御希望でございましたね。
  237. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 そうです。
  238. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それからその次は池田氏が憲兵であつたことに対する不安の心境について何も言つてないではないかという細川委員からのお申出、それからもう一つ細川委員から絶食の事実について……。
  239. 岡元義人

    岡元義人君 そういう工合にして諮つて行くとまずいですね。
  240. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) これはただ一遍おつむに入れて置いて頂いた方が審議の上に都合がいいんじやないかと思います。絶食の事実について何も書いてなかつたじやないかという細川委員からの御意見、それから矢野委員からは表現の形式ですね。即ち一証人とするのがいいか、具体的に証人の氏名を出すのがいいかと、これは大体そこに原案の方が書かれておりますので、これはよかつたと思います。それからここに矢野委員からの、敬語と申しますか、氏とか君とか……、それはお分りでございますね……それから北條委員からの日本民族性の反省を云々するならば、その反省すべき点を具体的に明らかにしたらどうか、こういう御意見でございましたでしようか。
  241. 北條秀一

    ○北條秀一君 そうです。それからそれに関連いたしまして私が申しましたのは、報告書全体が常に隊長と隊員側との相関関係ですね。両方の関係によつて問題が起きておるのでありますから、その観点から報告書を書き、同時に又結論を出すべきじやないかというのが私の先に言つた意見です。
  242. 天田勝正

    天田勝正君 まだもう一つあります。懇談のときに申上げた点でありますが、指揮系統の明確化、これが不足しておると思います。それから両方のという言葉を用いますと語弊がありますが、あの証人が対立であつた以上は、そういう言葉を用いさして貰いますが、その両方の証人証言が一致しておる点はもつとはつきりした報告をした方がいいのじやないかと思います。そのうちに当然吉村隊の特殊性といたしまして、蒙古側將校の他の將校と違うという点は、これは両方の証言によつて一致した見解になつております。バズルスルン中尉が処罰を一應任したという形等も明確にして置かなければ、特に吉村隊というものが人の頭に呑み込めないのじやないかと、こう考えます。
  243. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行についてですが、今委員長が読み上げられたのは、それは参考に今までの言われたことだけを言つておいて、進行においてはチエツクから先に進行するということになつたのでありますから、一應それは参考までに読み上げられただけに過ぎないものである。それを又取上げられて行けば幾らでもその問題は起きて來るのです。それですから、その点は一應決まつたことからやつて行かないと混同されますから……。
  244. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 先程チエツクをつけたというところから一つ……。
  245. 岡元義人

    岡元義人君 第一番に在外同胞四十数万というのが問題になります。
  246. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 その四十数万というのは在外同胞ですか、在ソじやないですね。
  247. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 在外同胞とすると四十数万でいいと思います。
  248. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 在ソ四十数万という書き方は非常に問題がある。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  249. 岡元義人

    岡元義人君 これはよろしうございますね……次はシーボルト議長からソ連代表に宛てられましたるこれです。
  250. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 その件はそこへ特に入れる必要は何もないと思います。問題は名簿を発表して欲しい、そういうことでそれの特別な例としてシーボルト議長は出してありますが、この問題の國際性に鑑み、そんなものは持出さない方がいいんじやないか、そのことなら共産党も同じことをロシア共産党に電報を打つておるので、むしろそれでも持出して置いた方がいいんで、特にシーボルトを持出すことはないと思います。
  251. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 対日理事会はつきりしたことであるから、殊にこの特別委員会が促進という面からこれを取上げて來たわけですから、それを謳うことは一向差支えない、むしろ謳うべきだと思います。
  252. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 それは我々がそれを内容に書くか書かないかは我々の判定なんで、何も書くべき資料じやないと思います。
  253. 岡元義人

    岡元義人君 今の星野委員考えと私ちよつと考えが違うんですが、ここに書きましたのは、その項目に挙げてあります通りに、吉村隊事件は如何にして國民の間に問題になり、如何にして國民がそれの眞相を知りたいと要望したかということの経緯を取上げるに際して、日本の実際の客観的情勢は現在に至つてこういう氣分からこういう結果になつておるんだということを特別明らかにする必要があるということで、ここにはつきりシーボルト議長がこういうふうにソ連代表に宛てられた書簡というものは、いわゆるそういう氣持は本当に今の日本の留守家族等が困つておる。一番困つておる留守家族だけでなくて、全般的に困つておる問題だからああいうふうになつておるんだから、その間においてここに入れて、我々の委員会がこの問題を取上げるということを強調するためにここに入れたんです。
  254. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 要するにそれを岡元委員が書かれた目的は、留守家族の要望しておる事実、これの形容詞として入れておる、シーボルト議長もこう言つておる、何もシーボルト議長が言つておるという必要がないので、目的留守家族がこういうことを要望して、それを表示するために入れてある、それだつたら形容はこれは國際的関係に鑑みて、引揚げ促進ができるかどうかというときであることを考えて、米ソというものが張り合つているんだ。「そのときにそのアメリカ——のことは入れない方がいい。」
  255. 天田勝正

    天田勝正君 私は了解できないのですが、私も実を言うと、積極的にどうしても入れなければならんという程の強い意味も持ちません。その代り星野委員が言われたが、入れていかんという積極的の理由もお挙げになつておらない。これは私は共産党に対することなら、そういうことなら社会党も何回も申入れておる。そこで私は國際関係云々とおつしやる以上は、國際的な問題なるが故に、要するに國際的な機関で取上げたものは一党が取上げたということよりも、むしろ出していいんじやないか。で尚これはですね、アメリカ樣々がどう云々という話もあつたけれども、別にアメリカ樣々がどうというものでなしに、対日理事会が取上げ、議長としてですね。そうするとやはりアメリカ樣々ということになるのですか。僕は対日理事会としてやるならば、これは一向差支えないと思います。
  256. 北條秀一

    ○北條秀一君 今の樣々ということは、この点は速記録に残すことはいけないと思います。そちらが言つたからこちらも言うということはよくありませんからそれは速記録から削除して頂きたいと思います。今天田君の御意見を聞きまして、入れることにも入れないことにも積極的には、天田君のあれでは積極的に入れようとも言わないし、又積極的に引込めろとも言つていないのです。私も同樣の考えを持つのですが、すでに四月の二十七日には、我々は國会としての重大なる決意をしておるときですから、そのときの委員長の報告もありますから、特に必要を感じません。從つて問題になるのは、特にこれは國際的に問題になる点でありますので、そういうものはむしろ連合國側にお任せして置いて触れない方がいいんじやないかという私は判断です。
  257. 岡元義人

    岡元義人君 北條君はときどきおかしなことを言うのですが、人が言つて、他の人がその意思を発表しないうちから、それを取消せというのはおかしいと思う。本人に取消されたらどうですかという諮り方ならいいが、独善的にそれは取消せということは、委員会全体として問題になつたならばどうか知らんが……。
  258. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 そのシーボルト議長が心配して呉れているということは常識的なことになつている。我々は決議案をいたします上にも出すし。それから今の状態は、大体これの経路をずつと現わす上に出しておるのであるから、國際的問題等ということはちつとも考えないで、このままで、私は原案のままで差支えないと思う。
  259. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 草葉委員意見に賛成。
  260. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 それはやはり言わない方がいいと思います。これは形容詞ですからね。大事なことばかり言えばいいのであつて、こういうことに議論をしておることはいかんと思う。國際関係のことも考慮しなければならん。無用な立場をとる必要はないと思つております。それですから、これは議事を進行させるために、ここにこだわることはなかろうと思います。
  261. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 もう原文のままで、草葉委員意見に御賛成を願うことにお諮り頂きたいと思います。
  262. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 どうもその聞く耳を持たないとする者もおるので仕方がないのですが、とにかく委員の中で二名までも強硬に述べておるし、それから一名の人は入れる必要がないのだから除いた方がいいと、それから一名の人は特に入れる必要は認めないが、入れてもいいだろう、こういう意見が出ておるのですから、若し委員会の報告としてするのなら、その云々を入れることを主張されるというのは甚だ挑発的なんですね。これは除かれてもあなた方の面子が通らないとか何とかではないのではないのですか。
  263. 岡元義人

    岡元義人君 星野君に申上げますが、ものの解釈というものは、一人々々又違う点もある。併しながら一つの主観的相違から一歩も譲れないという問題と、それから又そう大した問題ではないという何があると思う。これは多数で行つて、二人が違うからいけないという解釈をしておつたのでは限りがないのである。或る程度まで皆の意見がそうであるならば、何もそう大した問題ではないと思う。よく考えてみれば分る。
  264. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 いや、かりそめにも最前星野君が……ここで申しますが、非常に穩当を欠くような表現の形式を取つたのです。國際的協調を取つて行きたいというためによい結論を出そうとしておるときに、或る國の名を揶揄するような言葉で言つておる。而も占領下にある現在においてですね。そういうような言葉を言うから却つて紛糾するのであつて、そういう一つの揶揄するような観念の下に物事を考えるから、あの表現形式が非常に強く響く。いま草葉君の言つたような主張で結構であると思う。天田君が最前言われたように、積極的の方式を取るという理由も明かでない。又積極的にこれを除かなければならんという理由もないけれども……だつたら原案として折角努力して呉れておつたのだから、それをそのまま承認するのが私は自然であると思う。もうこれ以上論議する必要はないと思います。
  265. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) いろいろ御意見がありますけれども、一つの所に引つ懸つていては進行しないのですから……速記を止めて下さい。    午後三時二十七分速記中止    —————・—————    午後三時四十四分速記開始
  266. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を入れて下さい。
  267. 千田正

    千田正君 この問題は相当皆さんから論議されておるようですが、なかなか結論がつかんのですが、この問題だけに終始しておつたならば一日かかつてもなかなか結論が生み出せない結果に陥る虞れがありますので、これはいずれ又後程改めて時間を取つて十分に御檢討願いたいと思います。この件の分を除いた後の審議を続行して頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  268. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじやこれは留保いたしまして……。
  269. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 留保してということはどういうことですか。これはあらゆる面で國会でも議決した、又対日理事会でもこういうふうなことを要求されたということは、この委員会としてとにかく吉村隊事件を取り上げたという根抵はここにあるのだから、その根抵を留保してと……、これはやはりはつきりして頂きたいと思います。そうしなかつたならば次々の問題いずれも皆そういうふうになつて來ます。だから一つ一つの問題はもう相当討論されておるのですから、その潮時を見計つて結論が出ないようだつたら、これは一つ採決によつてどんどん進行して貰わなければ到底できんと思います。一つ一つの問題に議論が起つて來た場合には全部留保だといつていたら、全部留保になつてしまいます。
  270. 岡元義人

    岡元義人君 私は先程、委員長は忘れられておりますが、私が出して議事推行についてお諮りを願います。こういうことは直ぐ抹殺してしまつて、その後に又千田さんの発言があつたのです。これはもう討論は出盡して、今淺岡さんが言われるように、最初から留保を出してしまうようでは思い遣られるのです。最初から大事な問題に二人の反対があつたならば、これはもう討論は出盡したのだから一応進めて行く。或いは討論もしないで採決したらこれは横暴と言われるかも知れませんが、これはもう討論を終つておるのですから……。
  271. 千田正

    千田正君 採決の必要なし。
  272. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 採決。
  273. 岡元義人

    岡元義人君 千田君それはどういうわけです。
  274. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 千田委員から採決の必要なしとおつしやるのですがどういうわけですか。或いは討論が済まんというのだつたら別ですが、一応討論は盡きたと見ていいのじやないかと思う。
  275. 千田正

    千田正君 さつきの必要なしということは私は言い過ぎたかも知れません。併しまだ採決をすべきかどうかということを委員長から諮つてないのであります。
  276. 岡元義人

    岡元義人君 千田委員に私申上げますがね、さつき私がお諮りして呉れということを発言してあるのであります。それから全然別個の問題をあんたはいきなり出しておるのであります。これは感情が入つておると思うのであります。そういう言い方は……。
  277. 千田正

    千田正君 言い過ぎたかも知らんと言つておるじやないか。
  278. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 採決いたしますか。成るべく採決をしないようにとは思いましたけれども、議論百出でありますから採決いたしましよう。
  279. 岡元義人

    岡元義人君 採決願います。
  280. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それはそう言われますけれども、各委員の御意見が多くあるならば委員長としてはそんなに一方的にできない。
  281. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 シーボルト議長云々の問題は言わんで置いてもうただこれを削除せんか、するかをお諮り願つて、ぎりぎり一杯することになると採決を願う方がいいと思いますが、これは常識的に多数ということになると別に採決せんでも、こういう形で数が一人か、二人の場合の状態だつたら、御賛成にならんでも私はお進み願つても結構だと思います。
  282. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではもうこれは……。
  283. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 いや採決を取つて下さい。
  284. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 委員長ね……。
  285. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 原文のままで大体賛成の方が多いということは分つておりますから……。
  286. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 分つてない。
  287. 岡元義人

    岡元義人君 動議がこうして欲しいという動議が出て賛成があつてるのだから……。
  288. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではお諮りいたします。採決しますか、それともこのまま原文で行きますか。削除しますかということをこれは何かに関係ありますか、採決に……。
  289. 岡元義人

    岡元義人君 このままでいいか悪いかということを……。
  290. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 原文のままで行くか……。
  291. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 削除でなく、採決するのに一つ……。
  292. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 私は原文のままで差支ないと存じますから、原文のままで御進行願うように御採決を願いたい。
  293. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは原文のままで異議ない方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  294. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 多数でございますね。それでは原文のままで進行いたします。
  295. 岡元義人

    岡元義人君 あの……。
  296. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 ちよつと議事進行について、今後こうした問題は先程チエツクをつけたところに限りなくあるのであります。そうした問題に対しては若干の討論の時間を十分なり、五分なりお與えになつて、そうして潮時を見計つて、そういうふうな今の採決で、どんどん進行して頂きたいと思います。そうしませんと、ただ大体の経過を書くというだけで議論をし合つて。今度は結論ということになつて來た場合には、なかなかこれは決定しませんから一つ最も御主的な採決の方法で、御進行頂きたいということを、特に委員長に申上げて置きます。
  297. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 委員の各位に私からもお願い申上げて置きます。おのおの御意見があるのですから、それをここで纒めるというお氣持を一つお持ちになつて余り枝葉に議論が行きませんように、そうしないと今の勢い採決ということになりまして、これは進行上面白くないと私は思いまして、好まないのでございますから、どうぞ纒めるというお氣持で一つお願い申上げます。
  298. 岡元義人

    岡元義人君 委員長、続けます。ジヤーナリズムであります。その前後を読みます。「然るに吉村隊事件が曉に祈ると題し、ジヤーナリズムに取上げられまするに至りますや、寔に世の耳目をこれに集めたかの感があり」
  299. 北條秀一

    ○北條秀一君 私はその点、ちよつと、突然このジヤーナリズムという言葉が出て來たからおかしいと思つて私は注意したんですが、その後の方になつて來て、第三項だと思いましたが、三項の中に、新聞、雜誌その他報道機関において云々という点があつたと思うのです。それならばジヤーナリズムという言葉によつて最初に現わしたならば、後の方も同じようにジヤーナリズムという言葉で現わしたらいいじやないかと思う。ジヤーナリズムという言葉が、私はそのときに考えたのは不明確ですから、だから新聞、雜誌その他において本委員会におきましても、直接間接関係者から、この事件を知らされて、そして関心を漸次高めつつあつたわけでありますから、從つて一切合切がジヤーナリズムに我々は從つてつたということでなしに、そうした廣い世論があつたのでありますから、特にジヤーナリズムという言葉を取上げて出すというのは、どうもおかしいというふうに考えたのです。ですから言葉を直して置いたらどうかという極めて簡單な私の氣持なんです。
  300. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 どういうふうに直すか。
  301. 北條秀一

    ○北條秀一君 ですからどういうふうに直すかと言われれば、新聞、雜誌その他関係者等から種々事情の陳情があつて、というふうに直したらどうかと思います。
  302. 岡元義人

    岡元義人君 ここの場合は、その前に刊行物等から取上げたということは前にあるのでありまして、ただここには形容を用いたわけであります。だからこういう言葉を使つたのでありまして、多少意味が違うと思います。併し若しこの点が悪ければ外の表現に変えるということは差支ないと思いますけれども、外に何かありましたら一つ北條委員から出して頂きたい。
  303. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 今の北條委員お話は、それ程固苦しく、いわゆるジャーナリズムという言葉がぴんと來たからというお話でございますが、これは全体を見て、若し後で清書します場合に、いい言葉があつたらこちらで変えて差支ないと思いますし、そういうふうに一つお進め願いたいと思います。
  304. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 北條君がぴんと來るというのは、成るべくそれを止めたいと思われるのですが、岡元君の方は成るべくぴんと聽かせたいという考え方なんではないか。そうしますとやはりぴんと來ないように改めて頂かないと困るですね。
  305. 天田勝正

    天田勝正君 どうもさつきから皆がとんがらがるんで困つてしまうんですけれども、私はこう思うんですね。それは北條君の意見も聞えるところもありますし、だがジャーナリズムといえば一言で現わせるんだ。然るにその代替の言葉というのを発見するのはどうするかということになるのですが、私共が考えれば新聞、雜誌、刊行物でなければ適格でないということになつて、いつでも新聞、雜誌、刊行物ということになつてしまう。
  306. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 言論界はどうですか。
  307. 天田勝正

    天田勝正君 言論界というのはおかしいし、その他関係の……途中で入れないで下さい、速記も困るし……その他関係者の陳情とかいつても、この吉村隊事件を取上げて呉れということは、本委員会に陳情されておりません。とにかくその元は新聞、雜誌のあれから始まつたのですね。これはジャーナリズムだつたら私は一番適格じやないか、言論界ということになれば、もつと廣くなりまして、それじや外の言葉と又マツチしないということができて來ると思う。だから外に適当な言葉が発見されましたらお示しを願えれば……。
  308. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 北條委員はやはりさつきからの発言で御了承願つておりますから、それでお進み願いたいと思います。
  309. 岡元義人

    岡元義人君 次に行きます。
  310. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 前後を言うて下さい、前後を……。
  311. 岡元義人

    岡元義人君 昨日の理事会において取消したところは止めておいてよろしいのでございますか。理事会で消したところは……。
  312. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 発表しないのは出す必要がない。発表したら出さなければならん。
  313. 岡元義人

    岡元義人君 次は、更にウランバートルにおける際の証人喚問の方、「ウルンバートルにおける各收容所の一般状況及び外側より見たる吉村隊の状況、並びに問題の毆打致死事件等を惹起した吉村隊石切作業の各種状況を調査究明いたさなければ事態の重大性に鑑み、尚不足の点あるを発見いたし」こういうところでありますが、その問題の毆打というところです。
  314. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 これは誰が聽いたんだ。
  315. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 毆打致死、絶食かね。
  316. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 絶食は入つていない。
  317. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 僕はどつちにしても絶食という言葉が入つた方がいい。
  318. 岡元義人

    岡元義人君 こういう工合にあのときは取つたんですが、問題の毆打致死事件なりますと、何か決定的な印象を與えるというようなふうに御解釈になつて、チエツクされたのじやないかと、こういうように解釈しました。それでただ前後を読んで頂けますれば、そういう意味でなく例えば惹起したと言われるような文字を入れても差支ないと思います。問題の毆打致死事件等惹起したといわれる吉村隊石切作業の各種状況を調査究明いたさなければ、こういう工合にした方がいいかも分りません。
  319. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 いやその毆打致死事件ということは僕が言つたんだよ。その毆打致死事件と出ておりますのは、それはやはり毆打致死事件ではいかん。それはもうすでに犯罪を確定したものという一つの観念を以て、その事件を取扱つたということになる。そういう噂があるとか、世にいうとか、何か、いわゆるとか、そこに入れなければいけない。
  320. 岡元義人

    岡元義人君 それでは暴行事件と、こういうような表現を使つたら、問題の暴行事合等を惹起した吉村隊石切作業……。
  321. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それでよいでしよう。
  322. 岡元義人

    岡元義人君 少し弱いですか。
  323. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 弱いんだ。
  324. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 暴行、毆打、殺人等に世に喧傳される問題、というふうに言つたらいいでしよう。
  325. 岡元義人

    岡元義人君 もう一回矢野委員に今のところを……。
  326. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 問題の暴行毆打ですね。致死ですか、殺人でもいいですね。実際やられておつたのだから、殺人等世に騒がれた、この問題についてというふうにすれば、それでいい。(「賛成」と呼ぶ者あり)文章はこれを理事諸君にお任せしたらどうです。
  327. 岡元義人

    岡元義人君 今それができたらこの問題と止めます。次に進みまして、「委員会喚問した証人たる担当記者の証言に明らかなる所であります。併しこの間二人の証人証言にもありまするごとく、旧吉村隊員の間に吉村隊長を告訴せんとの企てもあり、ソ連地域残留者留守宅の憂慮は特別に高まりまして、私共といたしましても、これら四十万留守家族のためにも。」
  328. 天田勝正

    天田勝正君 これは僕が言つたのだが、四十万留守家族というから僕はそこへチエツクして貰つたのだ。四十万というは未帰還同胞ならいいんだ。四十万の家族でいいのかどうか。留守家族の方は四十万じやなかろう。
  329. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 その四十万と取つたらどうですか。留守家族でいいじやないですか。
  330. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 多くの留守家族でしよう。それでいいじやないですか。
  331. 岡元義人

    岡元義人君 これら多くの留守家族のためにも……。
  332. 天田勝正

    天田勝正君 これら未帰還者の家族とやつてもいい。
  333. 岡元義人

    岡元義人君 「私共といたしましてもこれら多くの留守家族のためにも」、これで差支ありませんか。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  334. 岡元義人

    岡元義人君 次は「その後逐次改善せられ、二十二年九月帰還まで二十一箇月間の中、最後の約七箇月は概ね基準量を與えられ、それまでは八〇%にも達せざる給養状況でありまして、入蒙後約半年の中に、三〇%以上が栄養失調に陷り」この三〇%が問題になつているのです。
  335. 北條秀一

    ○北條秀一君 その三〇%は私が出したのですが、三〇%は、数字は後でいろいろのところで批判されますので、余程数字の扱い方は私共は眞劍でなくちやならんと思うのです。先程の留守家族四十万と同じでありまして、この三〇%という数字も何か拠るべきところがあればよいと思いますが、拠るべきところがなければこれは抽象的の文句に変えるべきだというのが私の意見です。
  336. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 その三〇%というようなものは殆んど大部分の証人証言がそこに帰一しておるならば、それはそれで結構だと思います。それだけの草案を立てるときに材料が集つたかどうか、理事会の御樣子を伺つても結構です。
  337. 岡元義人

    岡元義人君 これは証言の中にあるのです。ちよつと後程調べて御報告いたします。
  338. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それではこの問題は保留しておいて先に進んでいいでしよう。
  339. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 私も三〇%の方に何か文句を言うたように思うのですが、注意したのだが、そこは外蒙に入つて、そこの給與の條件が悪いので、みんなそういうように参つたというふうに取られますが、外蒙に入る前に熱河省であるとか、滿州で相当栄養失調になつてつた連中が多い状態であつたように思うのです。そういうことを聞いております。だから弱つた連中が入つてつたのだから外蒙だけの責任にするような文句はどうかと思うのです。そこで何か適当な文句はないでしようか。外蒙の給與が悪かつたからということになつておるようですね。事実はこれに反しておると思うのです。私の今言うたことは事実でないということであれば別だけれども……。
  340. 岡元義人

    岡元義人君 今の三〇%の問題は只今まだプリントが……、最後の会議録に出るのですが、一應手許に各委員にこの間参考までにお配りしておるグラフに書いてあるのです。これは小林証人から提出されたグラフです。六日の喚問です。
  341. 北條秀一

    ○北條秀一君 それでは、グラフの中を私はよく知つております。ここにグラフを持つておりますが、これは小林証人一人が言つたことでありますし、とかくこういう問題は言つてよいことと悪いこととあるわけです。三〇%ということを書くことが絶対に必要ならばそれは書く必要がありますけれども、そうでなければ三〇%にこだわる必要はないと思います。表現の形式ですから、別な表現を使つたらどうか、こういうのが私の意見なんです。先程申上げた通りなんです。從つて若し小林太郎証人のグラフだけによつて三〇%というふうに書くということになりますと、他の証人証言にいろいろ問題があつた場合に、今回の報告書にそういうことを出さなければならないということになりますから、御手落ちになります。それでこれは止めた方がいい。小林証人証言によりますと、このグラフによりますと、昭和二十一年の一月から四月ないし六月までは大体三〇%であつて從つてこの間に栄養失調が多かつたということが言われておるのであります。
  342. 岡元義人

    岡元義人君 その前後を読みましたら今の北條委員の問題は解決がつくと思うのですが、要するに三〇%そのものに拘泥する必要もないのであります。そこのところは、小林証人のなにであるということをはつきり入れて置いても差支ないと思いますけれども、断定するとか何とかでなくて、総括的に一番最後、これは注意が後に加えられているわけです。とにかく内地の事態と違うから、それを嚴格にどうこうするということはできない、ということは、一番最後に逃げる、と言つてはおかしいですが、逃げる手はあります。併しながら委員会もあれだけ証人喚問して置いて、各証人証言からこの栄養状態が、皆満足な状態にあつたかというような点は、この判断は、委員会の方が他の証人を突かれたのではないか。念のために一証人証言、これは阿部証人証言ですが、轉んでいる煉瓦一つが、蹴つて見なければ、或いはパンではないかと思つて、過ぎ去ることができない。或いは革帶に蒙古雀という名前をつけた。この実情を蒙古側も察して禁じられた野草採りなども、歩哨などは見て見ぬ振りをして默認しておつた。こういうことからも推察がつく。
  343. 北條秀一

    ○北條秀一君 余り長く時間をとつても恐縮ですが、この文章というものを一通り読まれて、それによつて氣のついた点をチエツクして、これをどう修正するかというようなことを、聞いた方の側から言うことは非常に不合理です。そこに今のような問題が起きるわけなんであります。全体の文章を一遍読んで、そうしてあとで檢討するというこりになると帰還者の意図も十分分りますし、從つて我々が氣の付いた点をチエツクし、又修正すべき点を修正する意見も適切に申出でることができるのでありますけれども、そういうことなしに、いきなり文章をさつと読んでその氣のついた点をやれ、こういうことだから、私が今出したような問題が起きる。今後のチエツクされた箇所、或いは二十箇所三十箇所あると思うのですが、恐らく全部同じことなんです。ですから私は、この三〇%という点についてはたまたまここに資料を持つていたのですけれども、言うのは表現形式を変えたらどうかということなんです。三〇%というと如何にも正確な資料によつてつたように考えられますから、そういう点をもつと注意をして書いたらどうかというのが私の意見であります。そこで私はどういうふうに修正するかということについて、僕は今見解を持ちませんが、その原文を見れば手は加えますけれども、然るべく直して頂きたいと思います。
  344. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 岡元委員お尋ねしますが、それは丁度終戰直後の時期はその時でしたか。食糧事情は三〇%……。
  345. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 今矢野委員の言われたのは、小林証人の言によると昭和二十一年、即ち終戰の翌年の一月から八月までのものが出ておる。それによると三〇%は栄養失調症に陷つたということが書いてあるんです。小林証人が言つただけですから数を使いますと、とかく折衝する際にどこから三〇%出たかと問題になると思います。
  346. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 その問題は小林証人の言によればと入れたらいい。
  347. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 小林証人は別の隊の隊長をしておつた。それでこの問題の資料を出すについても相当綿密なる資料を持つて証言に立つたわけですから、今矢野委員が言われましたように、小林証人証言によればという一項を入れればいいと思います。
  348. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではそういうことで御異議ありませんでしようね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  349. 岡元義人

    岡元義人君 その次は、「この実情は蒙古側でも察して、禁ぜられた野草採りも歩哨などは見て見ぬ振りをして默認していた旨申述べていることからも推察が付くのであります。この食糧の不足には勿論各種の原因も考えられるのでありまするが、外蒙における輸送の不完全によることは証言の中にもありまする通りで、特に昭和二十一年前半期の食糧不足はシベリア地区でも顯著でありまして、ソ連内全般の食糧問題にも関係がありましたことは、私共の推定し得るところであります。かようなる給養の状態に下におきまして、同胞に課せられましたる作業量の昇降」この昇降というのが問題なんです。
  350. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 増減でいいでしよう。
  351. 北條秀一

    ○北條秀一君 今の作業量の増減の点をもう一度ゆつくり読んで頂きたいと思います。
  352. 岡元義人

    岡元義人君 もう一回読みます。「かようなる給養の状態の下におきまして、同胞に課せられましたる作業量の増減、昇降は、概ね給養の昇降と並行いたしておるのでありまするが、この事実は季節、建設状況、食糧補給状況等の諸要件に関係いたすことは勿論でありまして、入蒙当初日本人俘虜が外蒙將校から言渡された言として、『食べ物を食べ、着る物を着るというためには、それだけの費用は自分達で賄つて貰いたい』という証言があつたことからも、その間の事情を推察することが可能であろうかと存ずる次第であります。」
  353. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 増減でよろしければ進行いたしましよう。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  354. 岡元義人

    岡元義人君 これはその管理よろしきを得れば概ね目的を達成いたしまするし、よろしきを得ざれば配分せられたる食糧は取るに足らず、徒らに労多く、この「徒らに労多く」が問題です。
  355. 天田勝正

    天田勝正君 それは私の間違いでした。労多くでいいんです。
  356. 岡元義人

    岡元義人君 次に進みます。「木材運搬について『一本に対し二円呉れるからという、それで部隊の方に言いましたところが納得しまして、千九百八十本というものを運搬しました』と証言しておりまする通り、食糧の苦境を切拔けるために進んで求めたこの基準作業量以外の作業が、その管理よろしきを得ざりしため、逆に吉村隊特有の苛酷なる重労働として傳えられるに至り」、ここのところでチエツクがある。
  357. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) その前にチエツクがなかつたんですか。
  358. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 その辺について新らしく……。
  359. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今のところを読んだらいいではないか。
  360. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 天田君がチエツクと言われたから、チエツクしようと思つて……。
  361. 岡元義人

    岡元義人君 続けます。「食糧の苦境を切拔けるために進んで求めたこの基準作業量以外の作業が、その管理よろしきを得ざりしため、逆に吉村隊特有の苛酷なる重労働として傳えられるに至り」、この逆にということでチエツクがあるんです。
  362. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 管理よろしきを得ないというと、隊長が管理よろしきを得なかつたというだけの理由になるかね。そんな單純なものではないでしよう。吉村隊長の管理力が当を得ていなかつたからというような一つの原因でああいう結果が出たのではない。モジツク中尉ならモジツク中尉の一本二円についての金の支拂等の横領事件が現に刑罰に処せられたようなわけですから、その原因の表現の仕方では不満ではないか。
  363. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 私の発言はいつも横からお取りになつて……。
  364. 岡元義人

    岡元義人君 今の問題は、隊長の個人というような問題ですが、総括的に蒙古側の状況とか、そういうことは又出ている。ここでは……、もう一回読みます。「吉村隊におきましては、隊長たりし証人がみずから木材運搬について『一本に対し二円呉れるからという、それで部隊の方に言いましたところが納得しまして、千九百八十本というものを運搬しました。』と証言しておりまする通り、食糧の苦境を切拔けるために進んで求めたこの基準作業量以外の作業が、その管理よろしきを得ざりしため、逆に吉村隊特有の苛酷なる重労働として傳えられるに至り、一証人は『私は特に酷使されたことを申上げまするが、それは木材運搬でありました。それをするために朝の三時半に起床して、飯を食べないで七時半まで作業をするのであります。当時の食糧は誠に情ないものでありまして、一般の作業の終る五時になりますと』。云々、要するに吉村隊は自分から進んで引受けたということでありますから、この場合には隊長自体の個人の管理……。
  365. 千田正

    千田正君 今の「逆」を誰がチエツクしたか知らんが、よく聞いていると、逆というのは池田隊長の立場擁護するように聞えるんだね、逆ということは。
  366. 天田勝正

    天田勝正君 その逆は細川君が言つた
  367. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 なんだか、その文章が分らんよ。
  368. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 分らん、ごたごたしているから。
  369. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 星野さんのはこの辺ですか。
  370. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 私はこの人達の発言する前、もうちよつと前の問題です。
  371. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) ではちよつとお待ち下さい。逆というところを解決して。
  372. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 それは細川委員が指摘したのだ。
  373. 紅露みつ

    ○称員長(紅露みつ君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  374. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を入れて下さい。
  375. 岡元義人

    岡元義人君 只今の「管理よろしきを得ざりしため」という言葉を、「その処置よろしきを得ず」と、こういう工合に改めます。
  376. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それは僕が新たに提起したので、最前細川君が言つた逆にという問題は、そのチエツクの問題どうなりました。
  377. 岡元義人

    岡元義人君 それはまだです。
  378. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 とにかく收入は兵隊に分配されて生活がよくなるようにすればよかつたので、それがならなかつたことにありますからね、そうでしよう。あの証言はそうなつてつた
  379. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今の問題をはつきりしたらいいんだよ。
  380. 北條秀一

    ○北條秀一君 こう直したらいいと思うのです。「作業の結果についての処置が適切を欠いたために、」そういう表現をしたらどうだと思うのです。
  381. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それも吉村隊長が全面的に責任を負うべきものは責任を負わせるような、確実な証言を総合して断定すべきであるけれども、吉村隊長はその命令を受諾して、而も一本に二円ずつの報酬を、これを一人々々の労働した元の兵隊達に、隊員に分けてやらなければならなかつたが、中間において全部搾取された、モジツク中尉に……。そういうようなことまでも処置よろしきを得なかつたとして責任吉村隊長のみに負わせるということはその表現の形式では、不当じやないかというのです。僕のは。
  382. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは十分間休憩いたします。    午後四時二十七分休憩    —————・—————    午後四時四十四分開会
  383. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 委員会を再開いたします。
  384. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今の問題は明らかに相当重大な問題を含んでおりますので、これをどういうふうにここで修正すべきか、その材料も十分揃えなければなりませんので、起案者にお任せして、そうして理事会においてよく御檢討の上、一應案として修正案を作つて頂きたい。私はまあこういう希望を申入れて、そうして先に進むことをお願いします。
  385. 岡元義人

    岡元義人君 ちよつと待つて下さい。今の矢野委員発言を何ですが、これはお願いしますが、とにかく今技術的に実際に元も子もなくするか、それがやり損つて、次まで待つていていいかという岐路に立つているのですから、今出ているもので一應今回は我慢して頂く。
  386. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それですよ、それはあなたが、委員長、最前の特別未帰還者の、あなたの御意見通りで、むしろ穗積委員には、それが出なくても出す実際方法があるから。
  387. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) さつきの一節ですね。
  388. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 さつきの一節ですよ、一節だけ。
  389. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 分りました。次に進みます。
  390. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 その前に私がさつきから、入蒙当初、その條件が悪かつたところの事情に、私は落ちているところがあると思いますがね。それは日本の軍隊、当時のいわゆる帝國主義軍隊が、必要以上な排外思想を兵隊軍人に持ちこませて、特にソヴイエトに対しては嫌悪感を植え付けていたことが、非常にこの先方との折衝に円滑を欠かしめた。それが初めの兵隊の生活の條件を悪くした一つの原因であつて、これは確かにそこのところには記して、置く必要があると私は思います。
  391. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) その一節を直す、これにですか、それを加えるのですね。
  392. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 その入蒙当初の條件が悪かつたことをずつと書いてあるのです。その事情にそれが落ちているのですよ。日本の軍隊で排外思想を植付け、特にソ連に対しては嫌悪感を、悪感情を植付けていた。それがですね、向うとのいろいろな折衝面で円滑を欠かしめた。そのために生活條件も必要以上に不円滑な点ができた。これを加えて置く必要があります。
  393. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それには非常な、僕なんか現にあそこにおつたので全部分つておるのですが、それはちやんと協定をしておるのに、遂にああしたソ連の満州に侵入があつたのだから、それには民族的ないろいろな感情の対立はあつたのでしよう。そうでしたら、それですから挿入するについてですね、やはり相当こちらから案文を出して貰つてその案文をどこに入れるかということは、案文の内容と場所と檢討した上でないといかんから、そこに一つの問題がある。こういうものを入れたいという希望があるということを、一應申入れを受付けて置いて、最前千田君、天田君からあつたのと同樣に……。
  394. 天田勝正

    天田勝正君 ちよつと星野君も理事でありますから、勿論入れるとして、あとで檢討ができる立場に置かれておるからいいのですが、僕はこの際入れる理由を、その根拠をやはり伺つて置いた方がいいのじやないか。そうでなしに任せられると言つても……、何故私がそう言うかというと、実ははつきり申しますると、小林太郎少佐、それからその他人民裁判でお呼びいたしました阿部さん外いろいろな人たちですね、逆に反ソ的な氣分を持つておる人たちの方がむしろよかつたのだな。逆に蒙古側に一生懸命、多少まあ迎合というと極端ですが、作業でも上げて一つ協力しようというところの隊の方が悪かつたと、こういうことになつて來るというと、今御指摘の要するに悪感情を持つてつたが故に、悪くなつたのだという結果がどうも出て來ない氣がする。そういう点が証言若しくはその他のあれでお挙げができれば挙げて貰いたいのだ。
  395. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 必要以上の悪感情を持つてつたということは、長谷川隊長のお言葉でも、蒙古の連中に犬ころだと思えば腹が立たないということを言われたし、そういう機運で非常に拡がつてつたことは事実であつたと思います。で今までの証人の結果では吉村隊長が親ソ的であり、長谷川隊長は反ソ的であつて吉村隊長の方がよくなつているが、吉村隊長は決して心からなる親ソ、誠意ある親ソではなくて、自分の恐怖感から來た非常に幻影におびえた親ソなんであつて、それがために却つて悪かつた、他の收容所等の帰還者の状況を聞きと、初めはやはり兵隊の方もやけくそで、働いたつてしようがないというのでいろいろな摩擦が起きたが、そのうちに感情も融和して、積極的協力態勢になつて非常に條件がよくなつたということが多いのであります。それですからそういうことが、たまたま我々が証人として呼び出したのが、長谷川隊長と吉村隊長という比較でしたので、吉村隊長のいわゆる親ソというのは、自己が昔憲兵曹長であつたというので非常に幻影におびえた、非常に卑屈な親ソであつたためにむしろ悪くしたのですが、そうでなくて、対外感情でなく、親ソ的な感情を持つているところでは融和が出て來て、そうしてそれと共に生活條件が向上したという例は幾らも聞いておるのであります。
  396. 天田勝正

    天田勝正君 今の報告は吉村隊のことなんでありまして、そこでそれに限定して、それは多少比較に他のものを論証して來るということはあり得ることでありますが、さればといつて、吉対隊長が蒙古側では信用されたかされないかということの問題は、両方の側と言えば語弊があるということを言いながら言うのですが、両方の側のたまたま一致した一つなんです。これは吉村隊長も信用されておつたし、反対側のそれらの人達も信用されておつたということは、たまたま一致した一つなんですね、こういう信用されておつた隊が逆に悪かつたという答えが出て來るのであるからして、不必要な反ソ的氣分を持つていたというその前段の点は、私も星野委員のおつしやる通りであるけれども、その前段から、どうしても後段のそうした答えが導き出されないということである、若しそれを出されるということをお考えなり、そういうことがお示し願えるなら示して呉れ、こういうのであります。
  397. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 今言われたように、吉村と長谷川と、これだけを比べれば後段の結論は出て來ません。私は後段の結論が出て來る報告を幾らも持つている、必要な証言を持つている。
  398. 天田勝正

    天田勝正君 この際証言を持つて來られても困るが……。
  399. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行について、挿入するという問題は一應あと廻しということに最初協定されておりますから、今のはチェックするところだけをやるという段階であつた一つ進行をお互いに守つてやらなければ、もうすでに五時です。いつも晩になれば皆慌てるのだからそういうことじやなくて、お互いに協定したことは良識で行動しようじやないか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  400. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 私のチェックするという意味は、そこを注意するというのであつて、そこを除いて呉れというだけでなくて、そこのところの表現を変えたいというので……。
  401. 天田勝正

    天田勝正君 星野君がさつき大分不平そうな顔をしたのは私にはよく分る。私にしてもそうなんです。他の人がそこと言つてチェックを申込まれた、ところがそこは自分も言おうと思つていたところなので、默つていた。それが問題になつたのだから、これは一つ私なら私のチェックしたところだけというのでなく、これを採り上げてやつて下さい。そうすれば余り混乱なくやつて行けると思います。
  402. 岡元義人

    岡元義人君 今の天田委員のは理路立つておるが、併し今の星野委員のおつしやることは一つの廣い範囲の中で総体的にそういうことを入れて呉れ、こういうので、今の問題になつてつたチェックというのは「管理」というところから出ておるのですが……。
  403. 天田勝正

    天田勝正君 つまりそのことだけを取上げられるとおつしやる通りです。その点はだから私はこれ以上やるつもりはなし、星野委員もやるつもりはなし止めたが、こういうことが出て來るということは、さつきのチェックしたところは、私もそこをチェックしたかつたのだということを言わねばならんということになつて來るからして、そういうことも他の人もないでしようかということなんで……。
  404. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 先程問題になつておる文句の所を私は発言したいのだが……。
  405. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) これは又挿入すべきかどうか、参考としてとにかく伺つたことは皆ここに書いてありますから、挿入すべきものは挿入するということで、さつきの申入れは書いてあります。
  406. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 さつきの文句を……。
  407. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 挿入するのは待つて頂きましようか。
  408. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 挿入じやない。今岡元君の述べられた原稿二枚、三枚あたりは余程問題のあるところです。一つの文句を訂しても追つつかない問題です。そこで長谷川証人はこういうことを言つておるのだ。「作業量によつて食糧が不足にやるということはありませんでした。作業は成績が挙らないでも食糧の供給される基準量が示されておるので、作業が悪いからと言つて食糧を不足して呉れたりすることはますます作業が悪くなる、だから基準量は呉れておるから幾らでもよく言い得る立場でありました。ところで食糧の不足ということはありませんでした。」とこう言つておるのです。そこでは「大分あらゆる食糧が不足して、時間外労働とか、超過ノルマをやらなければやつて行けなかつた」と書いてあつて、大分喰い違いが出ております。
  409. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それはあとで総体的なときに又御意見をお述べ願います。
  410. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 文句が訂しようがない。千田君が述べられたように池田のために成るべく有利に導こうという氣持がずつと出ておる。だから主観的なものが相当入つておるから訂すことはなかなか困難です。
  411. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) そういう総体的な問題については又あとで申します。
  412. 岡元義人

    岡元義人君 話がおかしい。何故かと言えばこの問題については留保することが決まつているのに、何もそれから進んでいない。(「その通り」と呼ぶ者あり)それをいつまでもやつているからこういうことになつて、星野君が発言されるような形になつている。この問題は一應留保されている。もつと委員会の権威ある運営をされて欲しい。まだ一言も進んでいない。すぐ星野君が発言する、留保に決まつたものは、そのときに言えばいいのだ。
  413. 千田正

    千田正君 今の言えばいいのだということは、お互い愼んで欲しい。お互い感情が激して止むを得ないことであるけれどもお互いに委員の言動は愼重に支持しなければいけない。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  414. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 岡元委員どうぞ進めて下さい。
  415. 岡元義人

    岡元義人君 次に進みます。「調和に重大なる欠陷があつた外蒙では」というところであります。前後を読みます。「元來その帰還の一日も早からんことを念ぜられている残留同胞の、苦しき抑留生活維持の基本をなすものは、給養と作業との調和でありまするが、その調和に重大なる欠陷があつた外蒙では、部隊において自ら特に良好なる管理を致さなければ事件の発生を免れ難かりし点は、数人の証人証言も乏を明確に物語つて居るのであります。」この、「調和に重大なる欠陷があつた外蒙では」というところにチェックになつています。
  416. 北條秀一

    ○北條秀一君 「調和に重大なる欠陷」というのは、私がチェックしたのですが、これは私は岡元委員の読み上げたものを聞いている感じは、「終戰後引揚ぐるまで調和に重大なる欠陷があつた」というふうに聞こえるのです。ところが先程小林証人の書類又先日の証人証言を見ましても、調和を欠いておつた。言葉を換えて申しますと、「重大なる欠陷があつた」という時期と、その欠陷が逐次改善された時期と、そうして又欠陷がなくなつた時期、こういう時期があることは明らかだと思うのです。それは今の報告書の原案では全幅的に書かれておりますから、その点も正確に指摘しておかないと、いつの時代はこうであつた、いつの時代はこういうことが改善されて、それで終いにはこういう欠陷が拂拭されたという根本から報告を書かないと、將來に禍根を招く危險があると私は考えます。その点を直して貰いたいというのが私の意見です。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  417. 岡元義人

    岡元義人君 もう一回読上げますと、「次に部隊管理の状態特に疾病、死亡等の状況について申上げます。元來、その帰還の一日も早からんことを念ぜられている残留同胞の、苦しき抑留生活維持の基本をなすものは、給養と作業との調和でありまするが、その調和に重大なる欠陷があつた外蒙では、部隊においては自ら特に良好なる管理を致さなければ事件の発生を免れ難かりし点は、数人の証人証言もこれを明確に物語つているのであります。」
  418. 北條秀一

    ○北條秀一君 そういうふうに考えますと、それによりますと外蒙におけるところの場合はすべてに重大なる欠陷があつた、全期間を通じて欠陷があつたというふうに聞こえると思うのですが、その点を指摘しておるわけです。
  419. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 他に御意見は……。
  420. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 この問題は北條委員意見が非常に至当ですから、北條委員にその意味の趣旨の案を作つてつて、それを置き換えることに願いたいと思います。
  421. 岡元義人

    岡元義人君 「重大なる」ということを拔きまして、「調和に欠陷があつた外蒙では」、これで重大という言葉を拔いたらいいと思います。
  422. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 「初期に」というのを入れたらどうですか。
  423. 岡元義人

    岡元義人君 今星野委員の問題は……。
  424. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 北條委員の言つているのは、初めは調和を欠いていて、段々逐次改善されて、遂に全く改善されて來た事態があるという点でしよう。ところがそれでは調和を欠いただけだから、ずつと欠いていたというように見えるというのだから、「初期には」と……。
  425. 岡元義人

    岡元義人君 先程私は総体的に読み上げたときに、当初においてはむしろこういう事故はない。本当は事故の起きたのはその後なんです。曉に祈るというのは……。だから必ずしも今星野委員の言われるように、当初ということを限定することはおかしいと思う。
  426. 北條秀一

    ○北條秀一君 原文の起草者は、原文を主張される当然の理由があると思うのであつて、私共は委員会として権威ある報告をする際には、権威ある報告に多少でも禍根を残すということはよくないと考えますので、特に注意したわけです。小林証人のグラフを見ましても、給養とそうして作業との間にアンバランスが生じておる。そうして欠陷があつたの昭和二十一年の八月まで。そうしてそれが逐次改善されて、昭和二十二年の二月までに可なり改善されておりますが、まだ欠陷もあります。併し昭和二十二年の三月からはその欠陷が殆んど報告されていないような状態になつておるわけでありますから、その点は冷靜な事実ですから、冷靜な事実は事実として私は指摘しなければいけない。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  427. 岡元義人

    岡元義人君 僕は何も反駁するのではなく、ただ説明をその通りしているだけですから、その点を御了解願いたいのですが、最後にその後もう少し読むと、「事件の発生を免れ難かりし点は、数人の証人証言も之を明確に物鳴つて居るのであります。而も吉村隊なるものが、構成人員は旧軍人軍属の他、多数の一般邦人を含み最大時には八〇〇名に近く、隊員の轉出轉入常無きのみならず、編成当初若干の紛爭もあり、特に團結心、相互扶助の精神に欠くるところがあつたようでありまして」こういう工合に続いておるのであつて、何も総括的に、要するに最後まで轉出轉入が激しかつた、それから構成が昔の軍隊だけのものではなかつた、そういう意味のことが含まれておるわけなんですね。だから何もそうここにこだわらなくても、先程「調和に欠陷があつた外蒙では」というのでありますから、総体的に含まれるわけですね。
  428. 北條秀一

    ○北條秀一君 岡元君はこだわらなくてもいいと言つてるが、僕はこだわるわけではない。岡元君の方がむしろこだわつておる。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そういうふうに考えるから、だから事実に基いて正しく表明することがいいと私は言つてるのです。ところが今の文章を見ますと、最初には作業量と食糧において重大なる欠陷があつたということを、而もそれが蒙古全体にというふうに表現されておるのです。ところが吉村隊においては、成る程当初から最後まで吉村隊長の管理よろしきを得なかつたために、そこに重大なる欠陷が最初から最後まであつた考える。併しながら他の小林証人の属した隊においては途中から著しく改善されておつたという事実があるわけです。從つて今の報告書の原案によりますと、蒙古全体がそうだという書き出しで來ておりますから、その書き出しを事実に基いて訂正する必要があるというのが私の指摘しておる点であります。
  429. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 岡元委員は私が言つたのに対して、初期が悪くてその次がよくなつたというけれども、吉村隊の曉に祈るの起つたのはむしろ中期だというのです。ところがあれは蒙古全体の條件を書いておる部分でしよう。吉村隊だけのことではなく、蒙古全体として見ると、初期の條件が悪くて、中期が外では改善されて來たのに拘わらず吉村隊では更に悪化して、曉に祈るというような事件が起つた。これが吉村隊の特殊性だ。今は背景をなす條件を言つておるところなのです。それでありますから、これは初期ということを入れなければいけない。
  430. 天田勝正

    天田勝正君 これは星野君の言うことも尤もですが、ただ私は後期はいいとか、そういうふうに断定するのはどうかと思う。八月以降はまだ下つておるのです。そのときについてはという文句で、これはどうも手許に持つておりませんが、そういう字を挿入したらどうかということも申上げかねますが、そういう修正の仕方がいいと思います。
  431. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 そういうふうに後期はみんなよかつた全般的に断定はできないが、総括的に平均的にいつて波はあるけれども、事態の改善されたということは、これは嚴正なる事実である。諸種の報道によつて言われると思う。
  432. 岡元義人

    岡元義人君 それでは余り論爭しても何んですから、調和に重大なる欠陷があつた。「給養と作業との調和でありまするが、その調和に重大なる欠陷があつた外蒙では」というのは改めますか、北條委員
  433. 天田勝正

    天田勝正君 私が言つていいですか。
  434. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) どうぞ。
  435. 天田勝正

    天田勝正君 欠陷の時期においては、こういうわけですね。そして外蒙ということを入れるならば、それを冐頭に持つて行つちやあつて、もつとはつきり明示するならば、外蒙の收容所中よくなかつたのも、別に小林隊だけはこうと言われて、どこの隊もよくなかつた表現されておらない。だからさらばといつて全部が悪いということは又言い切れないけれども、外蒙における收容所中、それから云々とずつと続けて來て、今言つたように時期においてはという言葉を使えば、全部が現し得るのじやないかと、こういうふうに思います。
  436. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  437. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を始めて下さい。
  438. 天田勝正

    天田勝正君 「残留同胞の苦しき抑留生活の維持の基本をなすものは、給養と作業との調和でありまするが、外蒙の收容所中調和に欠陥があつた時期では特に良好なる管理をいたさなければならん」とこう続ける意味です。
  439. 北條秀一

    ○北條秀一君 天田君の修正されたので大体いいと思いますが、場所が抜けておるね。場所が抜けておるから時と所とを入れた方がいいと思います。外蒙においてはと……。
  440. 天田勝正

    天田勝正君 外蒙においては收容所中とありますから……。
  441. 北條秀一

    ○北條秀一君 それじやあいいです。
  442. 岡元義人

    岡元義人君 それじや先に移ります。「隊長としての部隊の管理統率には」管理統率というのがチエツクされております。今の続き「編成当初若干の紛爭もあり、特に團結心、相互扶助の精神に欠くるところがあつたようでありまして、隊長としての部隊の管理統率には相当困難がありましたることも証言に照し明かであります。」……
  443. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) すらすら行つているようでありますが、ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  444. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を入れて頂きましよう。その点は通過ですね。進んで頂きます。    〔細川嘉六君発言の許可を求む〕
  445. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 今のところに御異議があるのですか。
  446. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 各兵隊だけでなしに民間の人達も入つてつたというのでいわば一種の雑居のような形になつている。それが問題だというふうに書いてある。彼らの間には相互扶助の精神も團結心もなかつた。こういうふうにして、そうしてそれがあるために、吉村隊長はこれを統率して行くのに非常に困難があつたと、こう來ているのです。実際は吉村隊長はこの間にあつていろいろ長谷川隊長との紛爭も起して、それから自分の地位を固めるために外蒙に取り入つて、そうして無理をやつたというところに問題があるので、雜多の者が集つたということには問題があるのじやない、逆になつている。それですから反対を唱えるわけなんです。それは後の吉村隊全体についての問題に触れて來るのです。文句をそこだけ直しても片附かないことであります。留保しておきます。
  447. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 私も留保して置きます。
  448. 岡元義人

    岡元義人君 留保するだけの問題じやないと思いますが、そういうことを言わないで、読んで分つていることは、分ればよいのであつて、別に反対……字句の表現は正しいのだから、反対の表現としてでなく、あなたがよく分つたらその通りにして……。
  449. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 文句は分るのです。文句は分るが扱つている事柄の眞を衝いていないということで反対になるわけですから、それだから留保いたします。
  450. 岡元義人

    岡元義人君 今のは運営上混乱に陥いるから、今のチエツクの点については、字句が管理統率ということでチエツクされるのだから、そこのところがどうなるかという何は、今のように別途の意見としてであれば、それが後ででなければこれが又混乱をさせることになります。
  451. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 私は管理統率というところに文句を入れまして、全体の場所のために文句を入れているのですから、さつきチエツクしたのは言葉じやないのです。
  452. 岡元義人

    岡元義人君 細川委員のおつしやるのはどういうわけですか。どこをどういう工合に改むべきだというのですか。
  453. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 全部を改めるというわけですね。
  454. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 今ここで文句を言つて直して見たところが、さつきの給養とか作業ですね。あのあたりに述べられて來たところにも反対のものが出て來ておるのでして、逆になつて來ておるんです。報告書の予定するところは、池田隊長の責任を軽減しようという傾向が出ておるのだからそういう表現になつて來るんです。ずつと一貫しておりますよ。だから今ここに私は文句を言つて直して見たところが、先の方をやはり直さなくてはならなくなりますから……。
  455. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 細川委員に申上げますが、又全体的な問題になつて來るんですね。だからチエツクはチエツクでもつて進めましよう。そうして御意見を聞き始めますと、発言を抑えるわけじやございませんけれども進行しませんから……。
  456. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 その問題だけちよつと……。
  457. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それだけとおつしやつても又外の御意見が出ますから、チエツクの問題で進みましよう。
  458. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 ちよつとだけ……。
  459. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじや簡單に……。
  460. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 私も留保すると言いましたが、それについて説明します。私は留保すると言つたけれども、文句を直しても間に合わないので、それは文句ではなくて、全体に流れておることに対して反対意見を留保しているということです。
  461. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それは全体について檢討が加えられるので、この点の留保じやありませんね。いずれそれは又当然全体についても御意見がありましようから……、それではお進み下さい。
  462. 岡元義人

    岡元義人君 続けます。その次に今の字句から続きまして、「管理統率には相当困難がありましたことも証言に照し明らかであります。かような状況におきまして部隊の保健、衞生の方面におきましても、施設の不備の相俟ち、」この施設の不備ですが、よろしうございますか……。「患者の多発は免れず、入院患者も約二年間に、延人員数百名にも上り、收容所内死歿者も作業場等における外傷十数名、内科的疾患による者二十数名に達しておるのであります。」
  463. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 療養所施設の不備とここに書いてあるのですが、不備にさせち事情はあるわけです。それは池田隊長がそういう問題を取上げなかつたのであつて、療養の施設というのは客観的になかつたという事実ではないのだな。そこでは客観的にはそういうものがあつたということになつておる。動かんものとして述べられておるんです。ですからその文句はそれだけ直してもこれもしようがないことだけれども……。
  464. 岡元義人

    岡元義人君 誰がどうということは書いてないのです。これはよろしいですね。「外傷十数名、内科的疾患による者二十数名に達しておるのであります。次に以上申上げましたような状況を現出するに至つた背景をなす外蒙側の俘虜管理の実態は、委員会でも重要な目標として多数委員から詳細に究明」この究明が悪い、それから背景……。
  465. 天田勝正

    天田勝正君 究明を私はチエツクしました。これは何か妥当なもつとやさしい言葉はあるまいか。究明というと何か糾彈というふうな響きを受けまして、多分原稿を書いた方は究は研究の究の字を使つておるとは思いますけれども……。
  466. 岡元義人

    岡元義人君 審議でもいいし、調査でもいいと思います。
  467. 天田勝正

    天田勝正君 審議でもいいし、調査でもいいから、そういう言葉に直して下さい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  468. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは先へお進み下さい。
  469. 岡元義人

    岡元義人君 よろしうございますね。それから、「これがそれぞれの任務に從つて外蒙側には俘虜に関する最高の統轄機関の下に作業監督、收容所監督、給養、衞生の四つの部門があり、これがそれぞれの任務に從つてそれぞれの要求を俘虜に対してなし、去就に迷わしむるごとき結果を生じ、作業と食糧との不均衡その他の不調和となつて抑留生活を更に困難にいたしたことが明瞭になつたのでありますが、」ここのところが「食糧との不均衡その他の不調和」というところはよろしいですか。
  470. 天田勝正

    天田勝正君 これはそういうふうに証言されておるんでしよう。
  471. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 御異議ないようです。
  472. 岡元義人

    岡元義人君 間違いました。「抑留生活を更に困難にいたしたことが明瞭になつたのでありまするが、同時に、この間隊長の働き如何によつては、給養改善の実を挙げ得る点もあり、殊に昭和二十二年に入つてからは、前年一部に見られた対日報復というような」、ここで対日報復というようなことはチエツクです。
  473. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 対日報復ということは、それは戰爭状態でしたから、民衆の間に或いはあつたかも知れませんけれども、ソヴイエト政府、蒙古政府が対日報復の感情を持つていたということは不穏当じやないか、適当でないじやないかと思います。ですから今感情も次第に融和したという工合に入れるなる了承しますが、対日報復というようなことにして、それが恰かも政府自体が指導的に持つて行くというように取られる点は不穏当だと思うのであります。
  474. 岡元義人

    岡元義人君 それではどういう字句を使つたらよろしうございましようか、対日感情というのは、「前年一部に見られた対日悪感情」というふうにしますか。
  475. 天田勝正

    天田勝正君 「悪感情も次第に融和し」というようなふうにすれば、悪感情が生きておるから、ないわけじやない、あつたのが段々融和したということをありのまま言えばいいでしよう。
  476. 岡元義人

    岡元義人君 続けます。「いわゆる吉村隊事件として傳えられる事態を生ずるに至つたことは、吉村隊におきましては隊長としての部隊管理が適切を欠く点の多かつたという結論をせざるを得んとの意見に到達いたしたのであります。」隊長としての部隊管理というのはチエツクです。
  477. 北條秀一

    ○北條秀一君 その点は私がチエツクしたと思いますが、その原文によりますと、一切の責任が隊長にばかり帰せられておるという点がこの報告書の原案の欠陷であると思います。即ち吉村隊の問題は隊長、即ち指揮監督をする隊長と、指揮監督を受けるところの隊員との両者の相関関係において、いわゆる吉村隊問題が発生したのであります。即ち吉村隊長の極めて非民主的な、而も旧軍國主義的な残滓を持つておると同時に、隊員の中にもそれと同じものを持つてつたわけです。それが吉村隊の問題の眞髄であると私は考えますので、今の報告書の原文を修正しようと考えてチエツクしたのであります。如何に修正するかについては、今私はその修正文を持ちませんが、原文を見て修正するようにしたいと考えます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  478. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 それは隊長にあつた、兵隊にあつた、兵隊の方は軍國主義による非常的な盲從的なものがあつた、ひつくるめて軍國主義的制度、思想というものに欠陷があつた、こういうことになるんですね。そういうふうに改めたいと思います。
  479. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 その箇所は北條委員から指摘されたことでありますし、北條委員も今大体その指摘の具体的な問題も話されたんですから、後から本文を見て北條委員に一任されたら如何ですか。
  480. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) そういうことで進んで頂きます。
  481. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 今淺岡委員は、北條君が指摘したから北條君だけが訂正の権能があるというのはおかしい、これは全体が討議して直さなくちやならんのです。(「勿論々々」と呼ぶ者あり)
  482. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 起草だけですよ。
  483. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 それならよろしい。
  484. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行についてお諮りいたしたいと思います。すでに五時半になりまして、まだ今第二の点まで漸く終りました。それで第三の問題をこのまま続けてやつて行くといたしましたら、今夜相当時間がかかります。尚まだ人民裁判の問題を残したとしても、明日一日かかつても終らないと思います。どのようにすればいいか、委員長からお諮りをして頂きたいと思います。
  485. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 岡元委員からのお諮りですが、遅々として進まないということでございますが……。
  486. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今岡元君の発言は動議であると思います。併し私はその動議には俄かに賛成し難いのであります。何故ならば岡元君は先程言つておりますように、チエツクした個所を最後までやろうと最初から主張しておるのであります。從つて私も先程からチエツクした個所についてやつておるのであります。然に主張する岡元君がチエツクした個所をやめて、そうしてここで新らしい動議を出して議事の進行を諮るというのは、岡元君の言つておる趣旨と私はおよそ矛盾するものだと考えますから、当初の計画通りお進め願いたいと思います。
  487. 岡元義人

    岡元義人君 北條君は少し行き過ぎた点があると思う。私は何もそういうような提案をどうするこうするというようなことについては、少しも意見を述べておらない。ただ今日の運営をどうするか、夜通しでもやるかということを諮つて頂きたいと言つただけのことであります。北條君は少し行き過ぎておると思います。
  488. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 只今の感情的な言葉遺いは委員長から嚴重に御注意願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  489. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは岡元委員の御提案の趣旨はよく分りましたと思います。もう時間が五時半になつておりますが、今のような審議の状態ですと夜通しやつてもおしまいにならないと思います。チエツクしてやつておることはどなたも分つておると思いますが、それをどうしようということではございませんが、時間の関係その他のことをどういうふうに……。
  490. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 時間も過ぎましたから一應休憩にして……。併し明日というと又外の委員が皆貴重の用事を持つておるのに又來なければならん。甚だ速記の方には御迷惑ですけれども今日は夜通しでやつたら如何かと思います。
  491. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 星野君の意見には賛成します。
  492. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは暫く休憩に入ります。十分程休憩いたします。    午後五時三十四分休憩    —————・—————    午後五時五十四分開会
  493. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 委員会を再開いたします。
  494. 天田勝正

    天田勝正君 先程岡元委員から今日この後の本委員会の運営を如何にするかということの御意見が出ましたが、このことは速記者も相当疲れておるということにも関連いたしますので、私は次のような意見を申上げたいと思います。それはまだ先程チエツクいたしました点が二十五点残つておるのであります。從つてこの二十五点だけは今晩中に解決をするということに決めまして、その方法は速記者の方たちは多分六人一組という形を取つておられると思いますので、この人達が全部帰つてしまわれるということになりますと、後で速記が残らないということになります。そこでこの一組のうち二名の人にはお残りを願いまして、但しこの委員会に常時参つて速記をするという方法でなしに、控室でお待ちを願つて置いて、この二十五点が解決した後において一括速記に留める。このような方法を取つたらよろしいかと存じます。以上御賛同を願いたいと存じます。
  495. 岡元義人

    岡元義人君 天田委員只今の本日における運営としては非常にそれでもういいと思いますが、この際この問題の締括りを付けますことをば、今朝程進行を睨み合せまして機会を見ておつたのでありますが、勿論チエツクに対する審議はいたさなければならないと思うが、結論のところが半分が何らここに加えることができないような状態にありまして、而も人民裁判で又チエツクが相当出る。残された明日からの会期では、私は運営委員もいたしておるのでありますが、もうすでに明日は三時までは到底これはできないのであります。たとえできるといたしましても、いろいろ会期の末期におきましては、委員の方の不揃いな点も非常に考慮されなければならないのじやないか、そこで本日チエツクだけ終りまして明日結論にということになりませんというと、あさつて火曜日頃からこれが刷り物になつて、これは二日間は見なければできません。そうしますとどちらにも結論が本会期中に出し切つて整理ができんということを営ば考えなければならん。そこで委員長委員会全体各委員の御了解を求められ、特別の方法をば何らか手を打たなければ、人民裁判までの結論を総合的に得られるということは私は困難である、例えは本日の結論を、いわゆる委員会としての処置ということは、本当に委員会処置をするということになりますれば、関係方面との連絡もありましようし、これだけでも相当な二日なり三日なりの余裕がなければ、到底いわゆる委員会処置はつけられない筈なんです。こういう工合の大体の進行状況で各委員の方にお諮りになつて頂いたらと思いますから、何らか手を打つてチエツクをしたものはこれは又別途に檢討する委員会を作るなり、それから又結論結論として相当委員会は課題が出してありますから、これに対する討論を行えば、そうして又委員会として処置をどういう具合に持つて行くかという問題等を御檢討になつて、それから而もそれを人民裁判吉村隊に区別してやつたら、この会期中にこれをば纏め上げるということは私困難じやないかということを考えられまするから、これも一應各委員において十分只今のことはお考えの上、今後の委員会の運営をお諮りして頂くということも、この委員会責任を果たす上からも大事なことじやないかと思いますから私の意見を申上げて置きます。
  496. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 岡元さんからああいう御発言がありましたが、御尤もだと思いますが、ではどういうふうに別途に幾つかの小委員会と申しますか、手分けをして結論を受持ち、人民裁判を受け持つ、何かそういう方法をとりましようか、どういうものでしようか。
  497. 木下源吾

    ○木下源吾君 私、議事進行についてですが、今日はこの程度でどうですか。大低御案内の通り、今日は日曜日です。そうして随分他の委員会もあつたのですけれどもね。もう五時半になつたので、いろいろ関係者もあるわけですから、それで大低あなた、人間の能力というものも限度がありますし、凡そ皆に迷惑がかかると思います。今日はこの程度で、又明日やるならやると、そういう工合にしてやつたら、あなた、これから三時間や二時間やつたところですね。どのくらいのつまり何が進むかということも考えられます。それはもうお分りだと思います。今日はこの程度で散会することにしたらどうですか。
  498. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 その事情はですね。私達休憩して、懇談して、その結論として天田案が出たわけです。そういう意見もあつたのですけれども、諸般の事情から、明日又そのことをやるということについて、いろいろな困難な点があつたりして、こういう意見が出たわけですから、
  499. 岡元義人

    岡元義人君 私は今発言いたしましたように、委員会としては、委員会責任があるわけなんです。それでその責任を果すために私は申上げておるわけでありますが、お諮りになつて、今後の行き方はチエツクだけという問題も結構でありますが、今日は私が出した動議に対して今お諮りを願つておるのでありますけれども、併せてですね。そういうことを勘案いたしまして考える場合には、今日はこれとこれは処置をして、チエツクを申込まれた方だけで以て、明日の本会議の際にでも時間を頂いて、これに対して檢討して頂いて意見を発表する。こういう方法もとられる途もあると思うのです。要するにこの会期中にこれを果すという線で進むならば、そういうことが考えられますから、各委員から御意見も出して頂きまして、最もよい方法を、そうして最も責任を果されるという方法を、当然これは会期は決定しておるのでありますから、それに從つて、これと併行して考えて行くということは、委員会の運営上当然のことだと思うのです。それによつて今夜又更にやつてもいいし、又今夜はそういう問題さえ決まれば、もう今夜やらなくても、明日でもチエツクを相談するということになりますので、一應この点をお諮り願えば非常に都合がいいんじやないかと思います。
  500. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 御尤もです。この点如何ですか。
  501. 岡元義人

    岡元義人君 そのお考えを頂きまして、何とかその責任の果せるようにしたいと思います。
  502. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 それはやはり僕らはそれに賛成ですがね。その外ないです。
  503. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 ちよつと速記を止めて下さい。
  504. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を止めて。    午後六時四分速記中止    —————・—————    午後六時三十三分速記開始
  505. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは速記を付けて下さい。
  506. 北條秀一

    ○北條秀一君 天田案を採用して、天田案の採決をして頂きます。
  507. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは先程からの天田案に賛成ということで、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  508. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは天田案に決定いたしまして、予定通りこれからチエツクについて審議いたします。速記を止めて頂きます。    午後六時三十四分速記中止    —————・—————    午後十時十五分速記開始
  509. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは速記を付けて下さい。  これよりチエツクの点について審議を願います。一の点は「シーボルト議長からソ連代表の宛てられました残留同胞引揚促進に関する書簡の中にも」であります。
  510. 岡元義人

    岡元義人君 これについて説明します。國会においては決議文の上程、又対日理事会においてはシーボルト議長からの書簡ということであつて、日本の現状を明らかにしたものであります。
  511. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 國際情勢に鑑みてこの句を挿入することは不賛成です。
  512. 北條秀一

    ○北條秀一君 この句は必要がないと思います。
  513. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 文字は現在常識的なことで交渉の経路を言現わしただけで原案のままで差支えない。
  514. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 草葉委員意見に賛成します。
  515. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 原案のまま賛成します。
  516. 千田正

    千田正君 この問題については、チエツクの点全部終つてから審議するようにしてこの点は留保しては如何ですか。
  517. 岡元義人

    岡元義人君 委員長はこの際一点一点かた附けて行くのが整理の爲によいと思いますから、そのようにお取計らい願います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  518. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは原案に賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  519. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 多数と認めますから原案の通りにいたします。第二点は「問題の毆打致死事件等を惹起した吉村隊石切作業の各種状況」の点であります。
  520. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 これについては「暴行殺人等の傳えられる問題を惹起した……」に改めるがいいと思う。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  521. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) この点は異議がないと認め第三点に移ります。第三点は「此等四十万留守家族の爲にも」であります。
  522. 天田勝正

    天田勝正君 この点は「此等多くの留守家族の爲にも……」に改めるがよいと考えます。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  523. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) この点は異議がないですね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  524. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 御異議がないものと認め第四点に進みます。「入蒙後約半年の中に三〇%以上が栄養失調に陥り」この点であります。
  525. 北條秀一

    ○北條秀一君 この点を「入蒙後約半年の中に小林証人証言によれば三〇%以上が栄養失調に陥り」に修正したらどうですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  526. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは其のようにいたしまして、第五点に入ります。第五の点は「作業量の昇降は概ね給養の昇降と並行致して」であります。
  527. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 「昇降」と言ふのは変だこれを「増減」に改めたがいい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  528. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは第五点の「作業量の増減は概ね給養の増減と並行致して」と改めることにいたし、第六点に進みます。第六点は「逆に吉村隊特有の苛酷なる重労働」であります。
  529. 岡元義人

    岡元義人君 この点は重要でありますから留保したらどうでしようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  530. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) この点は留保にしまして第七点に入ります。次は、「調和に重大なる次陥があつた外蒙では」であります。
  531. 北條秀一

    ○北條秀一君 この点「調和に重大なる次陥があつた外蒙では」を「調和に次陥があつた外蒙では」に改正したらどうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  532. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) ではそのように改正して第八点に進みます。第八は「隊長として部隊の管理統率には相当困難」でありますが如何いたしましようか。
  533. 淺岡信夫

    淺岡信夫君 この点は六の点と同じく留保して下さい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  534. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではこの点も留保して次の九に進みます。「多数の委員から詳細に究明せられ」であります。
  535. 天田勝正

    天田勝正君 これを「究明」を「調査」又は「審議」に改めたらどうか。
  536. 穗積眞六郎

    ○穗積眞六郎君 今天田委員が「調査」又は「審議」と言はれましたが、私も賛成でありますが「調査」の文字を入れたがいいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  537. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では「調査」と改正します。次は十の点であります。「一部に見られた対日報復というような観念も」であります。
  538. 天田勝正

    天田勝正君 「対日報復」を「対日悪感情も次第に融和し」とするのがよい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  539. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では御異議ないと認めて十一の点に進みます。第十一の点は「各委員の追究の結果池田証人はその数四十一名、他の証人の多数は百名以上に達するようでありまして」であります。
  540. 天田勝正

    天田勝正君 これは各証人が述べていることなのですから「……数十人に達するようでありまして」は変です。これを「各委員追究の結果池田証人はその数四十一名、他の証人の多数は百名以上に達すると述べています」の文がよいと思う。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  541. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では次に進みます。十二の点は「死亡した者が二十三名程度あるようで」であります。
  542. 北條秀一

    ○北條秀一君 十二の点も証言の一筋ですから「死亡した者は酒井医師の証言によれば二名と云はれている」と修正するがよいと思う。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  543. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 異議ないと認めて次に十三の点に入ります。次は「免れ難しとする結論委員会意見は一致したのであります」です。
  544. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 この点は「免れ難しとする結論に到達したのであります」と改めたがよい。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  545. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) この点は異議ないと認めて矢野委員の提案の通りいたしまして次の点に入ります。十四の点は「大きな責任を負わされ何らの権限をも與えられざる隊長として」であります。
  546. 天田勝正

    天田勝正君 「大きな責任を負わされ而も自身も捕虜の身分である隊長としてかかる状況の下如何に処分するか」と改めたが良い。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  547. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では異議ないと認めて、次十五の点は「その報酬等に関する使途の不明確、就中、外蒙側監督將校」であります。
  548. 天田勝正

    天田勝正君 「就中」を削除し、「これに関連して外蒙側監督將校」と附加えるがよい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  549. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 十五の点は——「これに関連して外蒙監督將校」とし「就中」を削ることにいたし、次の点十六に入ります。「外蒙の極めて不完全と推定するの外なき俘虜管理の」であります。
  550. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 この項を削除した方がよい。
  551. 岡元義人

    岡元義人君 この項を削除しなくてもよい、外蒙の不完全ということは各証人証言によつて明らかにされているから。
  552. 北條秀一

    ○北條秀一君 これを「外蒙の不完全と考えられるの外なき俘虜管理の」に改めて「極めて」を削除すればよいと思う。
  553. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  554. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではそのようにいたし、次の点に続きます。次は、「事件を発生し易からしむる最適の條件」であります。
  555. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 「最適の条件」を「諸條件」と改めたがよい。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  556. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) この点は「諸條件」といたし次十八の点「二、三名程度以上ではなかつたと断定し得られるので」の箇所であります。
  557. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 「二三名程度」を「二名程」と改めたがよい。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  558. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 異議ないと認めて次の点に入ります。次は「抑留中、慢性的飢餓、強度の労働により累積せる疲労という悪條件」であります。
  559. 北條秀一

    ○北條秀一君 「累積せる疲労」の次に「帰國に対する焦燥感」を加えて頂きたい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  560. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは十九の点は異議ないと認めて次の二十の点に入ります。「多数集團による群集の心理の支配は、申すまでもなく、如何なる場合にも」であります。
  561. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 これは削除がよい。
  562. 北條秀一

    ○北條秀一君 星野委員に賛成いたします。私も削除がよいと思う。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  563. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) ではこの点は削除いたして、次の二十一の点に入ります「徳性低下という現象を呈することは明らかなる事実」であります。この点如何いたしませうか。
  564. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 この点は、「徳性低下を伴なつたことは明らかな事実」としたがよい。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  565. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 異議ないですね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  566. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 異議ないと認めて二十二の点に進みます。次の点は、「個人的に見れば各人の低き利己主義から、ひいては個人蔑視の傾向」であります。
  567. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 この点の「各人の低き」を、「各人の強き」と改める、そして「ひいては個人蔑視傾向」を削除するがよい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  568. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) この点は異議ないと認めて、次の二十三点に進みます「集團的に見れば友愛心、團結心の欠乏、此等の欠点を」であります。
  569. 北條秀一

    ○北條秀一君 「團結心の欠乏」の次に「から」を加へるがよい。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  570. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 「團結心の欠乏」に「から」を加えることにいたして、次の二十四の点「我が民族性反省の一資料」の点に入ります。
  571. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 「民族性」を「國民性」に改めたがよい。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  572. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 「民族性」を「國民性」といたします。これで最後であります長い時間夜遅くまで御苦労様でございました。本日の二十四の点は定足数の問題もありますから、次回の委員会に本日の審査の結果を報告いたすことにいたしまして、これにて本日は散会いたします。    午後十時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     紅露 みつ君    理事            天田 勝正君            草葉 隆圓君            岡元 義人君            星野 芳樹君    委員            木下 源吾君            淺岡 信夫君            水久保甚作君            北條 秀一君            穗積眞六郎君            矢野 酉雄君            細川 嘉六君            千田  正君   國務大臣    國 務 大 臣 殖田 俊吉君   政府委員    法務廳事務官    (檢務局長)  高橋 一郎君    法務廳事務官    (人権擁護局    長)      大室 亮一君