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1949-03-24 第5回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年三月二十四日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十三年十一月初旬の舞鶴にお  ける引揚者暴行事件   (右事件に関し証人証言あり)   —————————————    午前十時四十三分開会
  2. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 只今から在外同胞引揚問題に関する特別委員会を開会いたします。本日の議題は昨年十一月一日、二日、舞鶴入港英彦丸、惠山丸、高砂丸暴行事件に関して、共産党細川委員からしばしば政府当局に対し質問書を発し、答弁を求められ、又昨年十一月十八日参議院本会議において細川議員よりこの暴行事件に対して十三名の人たちが行方不明になつており、二、三名の人が殺されている、この報道を我々は今追及しているというような発言もありましたし、又横浜在外同胞帰還促進同盟金子道氏よりお手許に配付した資料第一のような英彦丸乘込の一團が、二日入港高砂丸にて帰還した者を殴打し、死者三名、負傷者五十名、入院を要する者二十三名に及べりという、又その他千五百名分の食糧携行に対し三千名を收容し、殆んど乘込者は食なくして帰れりというようなパンフレットが巷間に配付された事実があります。当委員会は速かにこれらの問題に対してその眞相を究明し、事実ありのままをば國民の前にあらゆる機関をして知らしめるために、本日ここに三十一名の証人を喚問した次第でございます。只今早速審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり、細川嘉六発言の許可を求む〕
  3. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは審議に……
  4. 細川嘉六

    細川嘉六君 審議に先立つて発言を求めているのだ。
  5. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 審議只今異議がないということになりましたが、(「進行」「異議なし」と呼ぶ者あり)それでは審議に入ることに決定いたしました。
  6. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行であるかどうか伺つて欲しい。
  7. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 細川委員に伺います。議事進行でございますか。
  8. 細川嘉六

    細川嘉六君 議事進行に関連しておるます。
  9. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは細川委員
  10. 細川嘉六

    細川嘉六君 ここに目撃者として指名された方々が数人ありますが、これは如何なる方法により如何なる資格のある者を選ばれたのか、私それを承知していないので伺います。  それからさつき委員長が申された通り、私の提案がこの委員会において採択されまして、そうして今日証人を御喚問なされたことは当然のことであつて、誠に喜ぶべきことと思うのであります。どうか偏見のない本当の眞相がはつきりさるるように、この証人についての質疑應答が行われることを私は希望します。
  11. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今細川委員から言われた偏見のないとかいうようなことは非常に度を超えた言葉であつて、そういうことは敢てここに公の席上條件的に申入れられる必要はないと存じます。
  12. 岡元義人

    岡元義人君 只今細川議員からどういう選び方で証人が喚問されたかという御質問がございますので、一應お断り申上げて置きますが、証人の喚問に対しましては、委員会決議を以ちまして、選択に関する限り理事委員長に一任されたわけであります。でその委員会決議を以て理事委員長においてこの証人を選択いたしましたので、特に共産党細川委員より申出でのありました証人に関しましては、全部証人として喚問することにした次第であります。    〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  13. 千田正

    千田正君 議事進行について……。細川委員の先程の要望に対しまして、國会のこの特別引揚委員会証人諸君宣誓を要望いたします。
  14. 細川嘉六

    細川嘉六君 只今岡元委員お答えになつたことは私の質問に外れておるのであります。私のお尋ねしたのは、事件目撃者が数名選ばれておりますが、これについては私はどういう方法でどういう資格人たちが選ばれたのであるか、それをお聞きしておるのであります。これらの点については私は何も知らせを受取つておらないのでありますから、質問しておるのであります。他のことは岡元委員の言われた通りであります。
  15. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 細川委員に申上げます。只今審議に入りましてから、それは自然お分りになることと存じます。一應証人宣誓を済ませましていたしたいと存じます。千田委員の先程の御動議宣誓をして頂こうと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではこの際証人宣誓を行います。全員起立願います。    〔総員起立
  17. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 先ず城田秀雄君、舞鶴市警察局警備課長城田秀雄君、御本人相違ございませんか。
  18. 城田秀雄

    証人城田秀雄君) 相違ありません。
  19. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは宣誓書を読み上げて頂きます。その前に現住所本籍を述べて頂きます。
  20. 城田秀雄

    証人城田秀雄君) 本籍京都府熊野郡田村字三分。現住所京都舞鶴字行永明富町であります。
  21. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは宣誓して頂きます。    〔証人は次のように宣誓行つた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 城田 秀雄
  22. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 次に田中半治君、舞鶴引揚援護局経理課長田中半治君、御本人相違ありませんか、
  23. 田中半治

    証人田中半治君) 相違ありません。
  24. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは現住所本籍を述べて頂きます。
  25. 田中半治

    証人田中半治君) 本籍京都府竹野郡上宇川村字平六百八十八番地。現住所京都舞鶴字倉谷倉谷寮
  26. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは宣誓をして頂きます。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心誓つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 田中 半治
  27. 紅露みつ

  28. 井家伊作

    証人井家伊作君) 相違ありません。
  29. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では現住所本籍をお述べ願います。
  30. 井家伊作

  31. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) ではどうぞ宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 井家 伊作
  32. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 次に琢磨照夫君、舞鶴國立病院医官琢磨照夫君、本人相違ありませんか。
  33. 琢磨照夫

    証人琢磨照夫君) 相違ありません。
  34. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では現住所本籍をお述べ願います。
  35. 琢磨照夫

    証人琢磨照夫君) 現住所京都舞鶴國立舞鶴病院内。本籍地奈良縣磯城郡三輪町大字三輪二百二番地。
  36. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは宣誓をお述べ願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 琢磨 照夫
  37. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 次に高次武雄君。
  38. 高次武治

    証人高次武治君) 名が違つております。武雄ではありません。武治です。「じ」は明治の治です。
  39. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 高次武治君、英彦丸船長高次武治君、本人相違ありませんか。
  40. 高次武治

    証人高次武治君) 相違ありません。
  41. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは、現住所本籍をお述べ願います。
  42. 高次武治

  43. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) では宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 高次 武治
  44. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 次に針ヶ谷豊次君、本人相違ありませんか。
  45. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) 相違ありません。
  46. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは現住所本籍をお述べ願います。
  47. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) 現住所東京台東浅草猿若町一ノ一五。本籍埼玉縣北埼玉郡原道村道目六百二十番地。
  48. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 針ヶ谷豊次
  49. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 次ぎ、大友高雄君、御本人相違ありませんか。
  50. 大友高雄

    証人大友高雄君) 相違ございません。
  51. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 現住所本籍をお述べ頂きます。
  52. 大友高雄

    証人大友高雄君) 本籍北海道釧路市鹿取町一ノ八。現住所も同じ。
  53. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 大友 高雄
  54. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 佐々木四郎君、御本人相違ありませんか。
  55. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) 相違ございません。
  56. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 現住所本籍地をお述べ頂きます。
  57. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) 本籍福島縣相馬郡金房村大字小谷現住所本籍地に同じであります。
  58. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 佐々木四郎
  59. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 次ぎ、新川清君、御本人相違ございませんか。
  60. 新川清

    証人新川清君) 相違ありません。
  61. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 現住所本籍をお述べ頂きます。
  62. 新川清

    証人新川清君) 本籍地東京都杉並区上高井戸三ノ七七六番地。現住所本籍地に同じ。
  63. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 新川  清
  64. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 本島正雄君、御本人相違ありませんか。
  65. 本島正雄

    証人本島正雄君) 相違ありません。
  66. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 本籍現住所をお述べ頂きます。
  67. 本島正雄

    証人本島正雄君) 本籍地東京台東区仲御徒町二丁目四十八番地。現住所宮城縣仙台北六番町百七十九番地。
  68. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 本島 正雄
  69. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 浅利篤君、御本人相違ありませんか。
  70. 淺利篤

    証人淺利篤君) 相違ありません。
  71. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 現住所本籍地をお述べ頂きます。
  72. 淺利篤

    証人淺利篤君) 現住所岩手縣盛岡餌差小路十四番地齋藤方本籍地東京都北区瀧野川町二千七十五番地。
  73. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 浅利  篤
  74. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 下中範雄君、御本人相違ございませんか。
  75. 下中範雄

    証人下中範雄君) 相違ありません。
  76. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 現住所本籍地をお述べ頂きます。
  77. 下中範雄

    証人下中範雄君) 現住所宮城縣仙臺市霊屋下六十六ノ二、市川勇賢方。本籍地、廣島縣賀茂郡下野村百七十二番地。
  78. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 下中 範雄
  79. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 上木信胤君、御本人相違ございませんか。
  80. 上木信胤

    証人上木信胤君) 相違ありません。
  81. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 現住所本籍をお述べ頂きます。
  82. 上木信胤

    証人上木信胤君) 本籍地東京文京区春木町一丁目七番地。現住所東京都大田区上池上八百八十四番地。
  83. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを宣います。         証人 上木 信胤
  84. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 國井誠一君、御本人相違ありませんか。
  85. 國井誠一

    証人國井誠一君) 相違ありません。
  86. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 現住所本籍地をお述べ頂きます。
  87. 國井誠一

    証人國井誠一君) 本籍地秋田縣秋田築地上本町十二番地。現住所神奈川縣横浜市南区中島町一丁目十二番地。
  88. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 國井 誠一
  89. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 板垣文助君、御本人相違ございませんか。
  90. 板垣文助

    証人板垣文助君) 相違ありません。
  91. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 本籍地及び現住所をお述べ頂きます。
  92. 板垣文助

  93. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 板垣 文助
  94. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 源田松三君、御本人相違ございませんか。
  95. 源田松三

    証人源田松三君) 源田松三であります。
  96. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 源田松三君、御本に相違ございませんか。
  97. 源田松三

    証人源田松三君) 相違ありません。
  98. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 本籍地及び現住所をお述べ頂きます。
  99. 源田松三

    証人源田松三君) 本籍地、廣島縣山縣郡加計画大字加計三千七百四十番地。現住所山口縣岩國錦見善教寺小路
  100. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 源田 松三
  101. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 薦岡武君、御本人相違ございませんか。
  102. 薦岡武

    証人薦岡武君) 相違ありません。
  103. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 本籍地及び現住所をお述べ頂きます。
  104. 薦岡武

    証人薦岡武君) 本籍地千葉縣安房郡丸村珠師ヶ谷千四百九番地。現在所、同じ。
  105. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 薦岡  武
  106. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 北崎学君、御本人相違ございませんか。
  107. 北崎学

    証人北崎学君) 相違ありません。
  108. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 本籍地及び現住所をお述べ頂きます。
  109. 北崎学

    証人北崎学君) 本籍地福岡縣早良内野村西二四九。現住所東京文京根津須賀町二十七番地。
  110. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 北崎  学
  111. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 越川弘司君、御本人相違ございませんか。
  112. 越川弘司

    証人越川弘司君) 相違ありません。
  113. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 本籍地及び現住所をお述べ頂きます。
  114. 越川弘司

    証人越川弘司君) 本籍地栃木縣芳賀郡山前村西田井二千百五十二番地。県在所横浜市鶴見区下末吉町旭台三百三十番地。
  115. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 宣誓を願います。    〔証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 越川 弘司
  116. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) これにて宣誓を終りました。御着席願います。    〔総員着席
  117. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行について動議を提出いたしますが、非常に問題が複雜であり、証人の数が二十名にも及んでおりますので、本日の審理に当りましては、問題を大体三つに区分いたしまして、第一は、巷間傳えられておりますところ人員授受不足人員ナホトカを出まして、途中において行方不明になつて人員が足りなかつた。或いは船中において死亡者を出しておる。こういう一つの問題を区分いたしまして、この問題を取り上げて頂く。第二は、上陸いたしまして、援護機関内におきまして起りましたところ暴行事件に対する原因及び経過について審議を願い、第三は、こういう事件に対しまして、政府当局並びに出先官廳がこれに対しましたところ処置について審議を願う。以上三つの区分して、本日審議議事進行して頂くように重ねて動議として提出いたします。
  118. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) お諮りいたします。只今岡元委員動議に御異議ございませんか。    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  119. 細川嘉六

    細川嘉六君 岡元君の今の提議では、幾らの人が足りなかつたか、出発してから途中で隆りなくなつたか、その問題をここで調べようとされる提案でありますが、それは今日ここではできないことだと思う。第一にナホトカから幾人の人が船に乘つたか、この記録を私らは持たなければならんのであります。これなしには上陸地の幾人の人が上陸されたかはこれだけでは片付かないことは明らかであります。それでありますから、問題は、船の中及び舞鶴において何が起きたか、この点にしか我々の調べができないと思うのであります。この点において反対いたします。  それからさつき私が質問を出しておりますことがまだお答えになつておらんのであります。目撃して選ばれたのは如何なる範囲から如何なる資格を持つ人をお選びになつたか、この点を事件調査するに当つて一應承つておかんと、事の順序はいけないと思うのであります。お答えを願います。
  120. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 岡元委員動議と、今それに対する細川委員の反対の御意見が出ましたが、これはいろいろな立場からそれぞれの問題を捉えて、そうして審議をしたり調査をしたりすることは、幾通りでも可能である。今細川委員の言われたことも、最前の岡元委員動議として三つの問題に大体限定しながらこの委員会を進めて行きたいというその案の中に、第一案の中において、その問題を問題として御調査ができると思うのであります。今の細川委員意見をそのまま取り上げようとするならば、結局誰かがナホトカ行つて向うから原簿を取つて來なければならんということになる。で、英彦丸船長なら船長はその当時ナホトカで当然千三百五十名なら千三百五十名というものをソ連からそれを書類を引受けて、そうして人員を点呼して乘せた筈であるのであつて、当然これは第一の問題で調査ができる。だから、私はやはり岡本委員動議に、第一、第二、第三というように問題を限定し、それだけに限定するというと、委員諸君の自由を束縛する虞れがあるから、第四に「その他必要の事項」というものを加えて置いたならば、細川委員意見もそのときにおいて十分いろいろ出されて御調査ができると思いますので、大体それくらいの程度で私修正動議を出しますから、御賛同を願いたいと思います。委員長然るべく……。
  121. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) お諮りいたします……。    〔「草葉君が発言を求めております」と呼ぶ者あり〕
  122. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 岡元委員議事進行に対しまする処理についての御発言、並びに細川委員のこれに対する御意見がありましたが、これは大体只今矢野委員からの御発言の内容におきまして、左程喰い違いなく進行ができるのではないかと存じます。第四に「その他必要な事項」というのを加えながら、成るべくこの問題が明瞭に相成りまするよう要望いたしたいのでございますが、それと同時に、本日は議題にありまする昭和二十三年十一月初旬の舞鶴における引掲者暴行事件ということについての証人証言に限定して、一つ議事進行する。從つてその範囲を逸脱せずに進んで行くことを一つお取計い願いたいと存じます。で先の岡元委員発言の中にありました第三項の出先機関及び本省の処置につきましても、本日の証言を求めておる証人範囲内においての取扱をすることが妥当であると存じますから、その点をお含みを願つてお取計いも願いたいと思います。
  123. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) お諮りやいたします。先程の岡元委員提案矢野委員修正を加えられ、只今草葉委員からこれに賛成せられて、尚進行上の御注意がありましたが、これに賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  124. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 多数と認めまして、さように決定いたします。
  125. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 議事進行つて……。本日の証人の中で中川澄雄君並びに大内弘君は現在お見えになりませんが、これはどういう理由でございますか。
  126. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 只今までのところ何らの届出がないようでございます。
  127. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 議院における証人宣誓及び証言等に関する昭和二十二年十二月法律二百二十五号第七條によりますと、正当な理由がなく、証人出頭に應じない場合はそれぞれ法律上の制裁がありまするが、御連絡なく正当の理由なしに御欠席になつたのでございますか、この点はよく御連絡願つて後刻御返事を賜わりたい。
  128. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) かしこまりました、後刻これは調査することにいたします。
  129. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行について……。一應宣誓に対するところ注意をば尚念のために委員長から附言して置かれた方がいいのじやないかと考えますので、御注意を申上げます。
  130. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは動議に從いまして議事審議に入りますが、その前に一言証人各位に申上げて置きます。議案審議進行証言要点のみを簡明にお述べ頂きたいと存じます。尚発言に際しましては、その都度御面倒でも委員長とお呼びかけ頂きましたあとで、明瞭に御姓名を名乗つて頂きます。委員各位ともどうぞ先程草葉委員からお話のございましたように、要点を逸脱したいように簡明に願いたいと存じます。  それでは第一点の輸送中人員授受に関し不足人員を生じたという件、並びに三名死亡云々という件を併せて審議いたします。
  131. 岡元義人

    岡元義人君 先ず岡元からお伺いしたいのは、証人英彦丸船長にお伺いしますが、乗船されるときにはどういうような経過を以て、どういうようないわゆる処置がなされて人員授受がされ、又舞鶴に到着いたしました場合には、その人員授受等についてはどういうふうな方法を以てこれが受渡しされておるか、その点を一つ明らかにして頂きたいのと、それからもう一点はこの問題になつておりますが、当時十一月一日に入港されるその航海におきまして、何人分食糧を船にお積込みになつたか。それらに対するところの実際的ないわゆる証拠となるようなものがありましたならば、併せて御提出を願い、この私の質問に答えて頂きたいと思います。
  132. 高次武治

    証人高次武治君) 高次です。お答え申します。ナホトカ復員者授受方法は、現在やつておりますところは、陸でロシアの方の係官が舷門の所で復員者姓名を呼んでおるように思います。そしてその呼ばれた人が本船に乗船して來ておるようにやつています。そして本船の方は事務員に対して舷門の所で人数を数えさしております。そうして最後にナホトカ俘虜収容所長本船のサロンにおいてその書類を受渡して、向う引揚者の全名簿ロシアで書いた名簿でございますが、それとそれから引揚者に支給された品物の品名を書いたもの、そういうものを私の方でサインして、そうして向うに渡しまして、一通名簿向う本船に乗られるところ名簿を持つて來ておりますから……。そうして当時三千名乗船しております。それから舞鶴で引渡しは、船内において改めて日本の復員官の方がお出でになりまして、そうして復員事務事務員として復員事務の補助をやつておられまして、その人が各梯團、各大隊、中隊に分けて、そうして各現住所、行く先、本籍地、いろいろな記事を書いた名簿を又船内舞鶴入港までに作りまして、そうしてその名簿によつて私の方と、又援護局の方に渡して、その名簿によつて授受しておるわけであります。  それから今申されました途中で人が足らなくなつた。私の聞いておる、知つておる問に絶対ございません。  食糧は二千五百人分の一週間分の食糧を積んで行つておりました。書類は別に何も持つて來ていませんですが、各船いつの航海も二千五百人の一週間分の食糧を出港するごとに積んで行くことになつております。
  133. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 そうすると今の三千名を積み込んだときの往復の日程はどれだけかかり、そうして三千名とすれば、二千五百人分であるとすると、一週間分において結局五百人分不足しますが、それに一週間が五日かかつたためにそれから余剩ができたので調節ができたというのですか。三千名の場合の実際お取扱いになつたことを御説明願いたいと思います。
  134. 高次武治

    証人高次武治君) 大体往復六日でございます。乗船されてから帰るまでは、二十九日向うを出港しまして、一日の朝着きました。ですから二晝夜ちよつとでございます。それで半分の食糧は大体余るわけなんです。
  135. 細川嘉六

    細川嘉六君 ナホトカで幾らの人が乗るか、その氏名なんかというのは名簿になつて向うから渡されるのですか、或いは向う名簿を写されるのです、或いはそこで作らるのですか。どちらなんですか。
  136. 高次武治

    証人高次武治君) ロシアの方から作つたやつを持つて來て、そして私の方に頂くのです。
  137. 細川嘉六

    細川嘉六君 それはありますか。
  138. 高次武治

    証人高次武治君) ここに持つて來ております。
  139. 細川嘉六

    細川嘉六君 それは本日文でできておりますか。
  140. 高次武治

    証人高次武治君) ロシア話でございます。
  141. 細川嘉六

    細川嘉六君 ロシア話ですか。更にさつきナホトカまで名簿を取りに行かなければ分らないじやないかという矢野委員の話でありましたが、これはそちらに名簿が來ておるとすれば一つの証拠であるし、更に必要ならば、ソ連の代表部もあることでありますから、その名簿は取寄せられるわけです。他の方法によつて取寄せられるわけで、その吟味は、人数が足らんという問題は重要な問題でありますから、これはここで決しかねると思います。
  142. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 決しかねるというのは、それはどういうような観点に立つての細川君の意見か分らんけれども、現在英彦丸についての問題はソ連当局が船長に手交したるところの原簿は先ず眞実なりと我々は見ざるを得ない。而してこれを引受けた絶対権限を有する船長名簿に三千名とあつて、而も生きた人間が三千名おつて、そうしてこれを舞鶴に連れて來て、舞鶴の檢査官がその名簿の三千人と実数というものを対照して相違なしとするならば、我々はそれ以上これを審査する方法はないも思う。英彦丸においては、その証拠物件というものを一應委員長高次船長から提出して貰つて、そうして我々委員に回覧して頂いて、そうしてその実数、実体を一應我々は常識の範囲内においてよく檢討して、そうして判断ができると思いますので、そんなに細川君のように打切る必要はないだろうと僕は思います。
  143. 北條秀一

    ○北條秀一君 大分議論になつておるようですが、この問題は、私は極めて複雑でなしに單純な問題だと私はそう思います。今高次船長が乘員の授受及び食糧の問題についてお話があつたのでありますが、この際英彦丸高次船長からの航海中において事故があつたかどうか、人員について、或いは食糧について……。その点をはつきりして頂きたいと思うのであります。同時に今度は乘員の方、即ち引揚者諸君の方から船長の言に対する判断をここで伺いたいと思います。そうすれば今の細川、矢野両氏の発言のあつた内容ははつきりすると思いますから……。
  144. 岡元義人

    岡元義人君 今の北條委員提案と纏めて、関連して御返事を願うのも結構だと思います。尚私はもう一つだけついでに船長に伺つて置きたいことがありますので、これを一つお許しを願いたいと思いますが、それは輸送されるところ人員をば完全に舞鶴に上陸させるまでの責任者は一体誰であるか。これは英彦丸ならば英彦丸船長が飽くまでその責任者であるかというような点を一つ御返事を承わつて置きたいというわけであります。それから今の北條委員の御質問に対しましては、委員長から今の英彦丸に乘船して帰つている下中証人並びに針ケ谷証人、それから源田松三君、三名からおのおの証言して頂くように委員長にお願いしたいと思います。
  145. 細川嘉六

    細川嘉六君 少しくどいようですが、人数の問題はそう簡單に私は行かないと思うので又発言するのですが、例えばここに中川澄雄君、これがここに出ていない。さつきどういう理由かということもお聞きになつたゆえんもあるわけで、私はこの人の状態がどうかということも大きな疑問の一つになつておるのであります。それで今出ておられんからどうともなりませんが、人数の問題は今一應船長からそういうお話があつたが、ここに私はできないものとして再び申述べるわけであります。
  146. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 最後の証拠になるものを一つ高次船長から出さして頂きたいと思います。さつさと……。
  147. 北條秀一

    ○北條秀一君 議事進行について……。非常に今日の委員会は大勢でありますので、発言するのは証人の側も委員の側もすべて起立した上で発言して頂きたい。そうしないと徹底いたしませんから……。(「賛成」と呼ぶ者あり)つきましては、先程私から高次英彦丸船長質問しました点、及び他の乘員の諸君の間から証言を願いたいのでありまするが、先程岡元委員から指名されたのでありまするけれども、私は指名するということには賛成できませんので、一つどなたでも自分がその問題について証言しようというお方に是非この際証言願いたいと考えます。
  148. 岡元義人

    岡元義人君 只今北條君の提案はいろいろ御尤もなんですが、証人の選択に関しましてはそれぞれその立場々々がありますので、議事をスムースに運営するために只今私は提案したのであります。でお手許に配つてあります資料を御覧になつて、指名した人を見て頂けば、大体立場々々……、違つた立場からの証言である、こう考えて提案したのでありまして、皆さんから証言を願うということになりますと、とても議事が非常に乱れて参りまして、進行上困難を來たすということが考えられるのであります。できるならば北條委員提案は御了承願いたいと思います。    〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  149. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 英彦丸船長、御請求がありましたようにその資料を提出して頂きます。
  150. 高次武治

    証人高次武治君) 全部名簿には各部隊の人数が書いてあります。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  151. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは証人の各位から証言を求めることにいたします。議題になつておりまする点について御発言を願います。そうして御起立を願つて証言頂きます。船長高次君。
  152. 高次武治

    証人高次武治君) 船内では今申されたようにそういう人間が足らなくなつたというようなことはございませんです。食糧は、食糧についても事故はございませんでしたし、それで輸送の途中の人員の輸送の責任は船長にあります。普通船客と同じですから、船長にあります。
  153. 北條秀一

    ○北條秀一君 高次船長にお伺いしますが、あの人員の輸送においては事故がなかつたということでありまするが、それは三千人を引き継いで三千人おられたということだけでありますが、航海中、即ち二日半の問題に病氣であるとか、或いは今回問題になつておりますような、船内における殴打事件等による傷害、傷を付けたとか傷を付けられたとか、そういうような事件が事故があつたかどうか、それをお伺いしたい。
  154. 高次武治

    証人高次武治君) 大体向うから乘船される場合は病人はおらんちうことで、いつも受取るようになつておりますです。併し実際乘つて來られた場合にやはり病人はございますです。皆日本に帰りたい人ばかりですから、少々の病氣は皆我慢しておられるか知らんが、船に乘られてから病人の人が出て來られます。これはやはり船の方で厚生省の方からお医者さんが乘つておられまして、そしてその医務の方でそれぞれ手当をしております。それと各予防注射、種痘、そういうものを全部実行しております。それから殴つたり何かということはこれは禁止しております。私が乘船されて來られたとき、各梯團長以下中大隊長、中隊長に、乘つて來られたお集りの席上で挨拶するときに、そういうことは絶対にやらんようにして呉れ、途中で事故が起きた場合には船の方も迷惑するし、又皆さんも内地に帰られて折角日本の港を踏んで家に帰られなくなるようなことが起つたら困るから、そういうことを絶対にやつて貰わんようにということを傳えて呉れと言つて、各中隊長、大隊長のおられるところで申し述べております。そしてその当時私は知りませんでしたけれど、後で聞きましたが、復員官の話によりますと、二、三殴り合いがあつたとかいつて、直ぐ止めたという通知を受けております。
  155. 北條秀一

    ○北條秀一君 簡單にお答え願いたい。それは今最後に殴つたという話がありましたが、大体それには事故がなかつたように船長から承りますが、怪我をして医者にかかつたという事実は船長には認められませんでしたか。
  156. 高次武治

    証人高次武治君) そういうことは船の中ではございませんでした。
  157. 北條秀一

    ○北條秀一君 分りました。
  158. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは先刻岡元委員からのお申出で三名の方に証言を求めたいと思います。
  159. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 政府の答弁書によりますと、三十日十三時数名が殴打されたのを船乘員が発見し、制止の結果暴行行爲を制止したという、こういう答弁書になつております。從つて只今船長のお話では二、三そういうことがあつたように聞いたという軽い御返事でございましたが、この点やはり人員数等についての一つの疑念になつておりますから、もう少しはつきりと、そして責任のある御答弁を願いたい。
  160. 高次武治

    証人高次武治君) それは私として実際のところは知らないのです。はつきりしたことは知りませんです。又そういう行爲のある場合には必ず私の方で復員官を通じて梯團長の方から止めるようにやつています。どういう復員者も皆船艙の内部に入つておられますから、船長としても一々そこまで見ておるわけではないので、航海の方の、船の運行をやつていますのですから、夜、夜中に行われたりなんかする場合には分りませんです。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  161. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今船長お答えは尤もかと思います。それは政府が総合判断によつて政府の答弁書になつておりますので、先程私が申しましたように、今度は乘員の方からの証人岡元委員から先程三人指名されましたが、その三人の方から船艙における事故等について証言をして頂きたいと思います。
  162. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは証人下中範雄氏に証言を願います。
  163. 下中範雄

    証人下中範雄君) 先ず最初に人員について証言します。私は乘船当時、ナホトカ乘船当時人事係をやつておりまして、船に乘る間際に先に船に乘込みまして、先に人員の点檢をやりました。この人員については英彦丸内においては乘つたときと降りるときの人員は間違いないです。私自身が降りる時も乘る時も人員を点檢しました。総員三千名確かにおりました。これは間違いないです。併しこの人員の問題は外の船じやないかというふうに思いますが、英彦丸においてはそういうことはありません。これは私が向うを出るとき、各中隊の梯團の人事をやつておりましたから、中隊の人員は総員全部降りるときも乘るときもその編成で乘り、その編成で降りたのです。勿論舞鶴に着きまして、あすこの艀に乘つた以後は分りませんが、本船から艀に乘るときは三千名間違いないです。  それから食糧の間違でありますが、食糧については、これはどういうふうな事故があつたとか何とかいうことは我々には分らんのであります。ただ支給を受けて三度食事をしたというそれだけしか分りませんですが、併し三度の食事が二度になつたとか、一度になつたとかそういうことはありません。  それから船内暴行事件についてでありますが、これは只今船長が言われたようにそうしたただ二、三あつたとか、あつたらしいとか、そうしたものじやなかつたのでありまして、これはもう白晝或いは船内の集團によつて公然と行われておつて、その前には復員官それ自身が見ておつてこれを制止しなかつたのみならず、又その暴行自体を暗に煽動するかのような言動がしばしば見受けられたということははつきり言えるのでありまして、この暴行が起つたか、起らんか分らんというようなことは全然言えないと思います。これは乘つた人間は、船艙におりましたものでもあつたのであります。船内勤務員が先頭に立つて、そうして反共カンパをやつたというような話まで聞いております。殆んどがこれは思想的なもんでありまして、反共カンパを船内勤務員が始めて、復員官自身がこの船はおとなしい。いつでも帰つて來る船は船内において必ず思想に対する反動が起るものである。こういう言葉を復員官の方自身が言つておられました。これは明らかに皆の感情というものを左右して煽動するところの言葉であるというふうに私は思うのであります。更に又起きたか起らないか分らないというような、そうした曖昧な責任は、船長自体としては取れないのじやないかと思うのであります。英彦丸の中においては、もう公然と行われました。
  164. 北條秀一

    ○北條秀一君 私は各証人諸君に希望をして置きますが、先程草葉委員要点のみについて、証言をして頂きたいということを言われたのでありますが、只今下中証人証言を聞いておりまして、何か主観の入つた主張が入つておりますようで、主観の入つたそうした主張につきましては、我々は十分判断する能力を持つていると思いますから、爾後の証人各自におかれましては、要点だけを、主観を入れないで、而も冷靜な事実だけを証言して頂きたいことをお願いいたします。
  165. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 証人各位に申上げますが、北條委員草葉委員から話がございましたように、成るべく、成るべくと申上げるよりも、絶対に主観を混えないように要点だけを簡單に御証言願いたいと思います。
  166. 細川嘉六

    細川嘉六君 質問があります。下中君の証言は主観が入つているというのだが、私はその主観の意味は分りません。ただ下中君は、如何なる船長であつたか、これはここにおられる高次船長でしようが、船長の名前、又船長が如何なるときにどういうふうに言つたという言葉なり、態度なりをもつとはつきり出して欲しいのですが、できませんか。
  167. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 三人の証人とも全部証言して頂いて後にそれぞれ又お尋ねになる方法もあるが、(「賛成」と呼ぶ者あり)賛成じやなくて、実は一人一人に今のような御意見を出して頂いて、眞相をよく究めて置く方がいいと思います。感情は直ぐ消えますから……、そこで私はお尋ねしますが、暗に船員や復員官が、何かリンチでもやるように煽動するような向きがあつたというふうに感じもするし、又噂も聞いたというようなところを、今北條委員は主観をそこに混えているのじやないかというような意見が出たと思いますが、復員官がそういうことを現に言つたと今証言されたが、然らばその復員官のあなたは姓名を御存じでありますか。又今姓名が分らなくても、この人であつたということを見れば分りますか。又その風評というのは漠然として、以前にこの船に帰つて來る連中は随分ひどい思想的な制裁が行われたというようなことを船員諸君があなたに直接に話したのですか、或いは又そういうようなことを風呂なら風呂に入つているときに聞くとか、或いは船艙におつて茶話をやつているときにそういう話を聞いたというのでありますか、その点非常に重大な証言でありますから、責任を以てお答え願いたいと思います。
  168. 下中範雄

    証人下中範雄君) 先程の復員官については、これは名前を存じております。林という名前でありました。それからそういつた話は、私たちが梯團本部におりまして、梯團長とそれから人事、被服そうした係りの者ばかりで、それも皆んな寢てからずつと起きておりましたし、事務は殆んど船に乘つている間ずつとぶつ続けで復員官の方の手傳いなんです。そうした書類とかいろいろなものをやりました。そういうような、今までそういうようなことがあつたとか、この船の人が非常におとなしいという言葉は、その席上でなされたのでありまして、これは当時の梯團長が全部聞いておりますから……。
  169. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 そこが大事であつて、事実をありのままに……。非常に事故もなくて、お帰りになる間この船の方方は大変おとなしいという意味ですか。君たちは余りおとなし過ぎるじやないか、何故やらんかというような使嗾するような態度が林君なりその他によつてなされたかということをお尋ねしているのです。  第二はあなたは現在においては、お帰りになつて何か政治的の一つのはつきりして團体に加入をなさつておられるかどうか、おられるならばそのはつきりした團体の名を御説明願いたい。
  170. 下中範雄

    証人下中範雄君) そういうふうにはつきり示唆したということがあつたかどうかということは、これは船に乘つてつた皆さん自身が内地に帰るというそうした感情的なものによつて今にも暴発しそうな状態にあるわけです。事実船の中はそういうふうな状態なんです。そういつた所でそういう意見を吐き、更に向うでは非常に苦しい生活をしたであろうが、そういうふうなことを言われて、これは私としてはどういうふうに取るということよりも、皆さん一般の大衆、これはそういう言葉によつておとなしいというふうに言われるということは、今まで常に船の中で事件が起つてつたということは、これは明らかに示唆すると見て私は差支えないと思います。そういうふうになると確信を持つております。  それから政治團体というふうに言われましたが、私現在共産党に入党しております党員であります。
  171. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 共産党の党員ですね。
  172. 岡元義人

    岡元義人君 私は先程提案いたしました三名の証言を一應承つてから、そうして概念的にいろいろ考え方が又違つてくる点もありますから、一應承つた上で進行願いたいと思います。
  173. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 御異議ありませんか。    〔「異議ない」と呼ぶ者あり〕
  174. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは次の証人針ヶ豊次君に御証言願います。
  175. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) 先ず最初に人員については、異常なかつたように私は思います。それから食糧の問題については朝晝晩と三度食べて参りました。それから船内の暴行については英彦丸では公然と暴行は行われました。
  176. 岡元義人

    岡元義人君 どの程度の……。
  177. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) どんな程度に行われましたか。
  178. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) 船の中ではあちこちで全部やつておりました。殊に夜間はひどかつたです。
  179. 細川嘉六

    細川嘉六君 もつとその状態をはつきり言えないですか。
  180. 北條秀一

    ○北條秀一君 針ヶ谷証人に一言質問した方がより有効に証言できると思いますので……。暴行が起つた、その暴行がどの程度であつたかということは、指図をしたかどうか、或いは船内の医者にかかる必要があるほど傷を受けたとか、そういう点を具体的に証言して頂きたい。
  181. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 公然という意味が分らん。
  182. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 公然というのはどういう……。
  183. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) 公然ということは、下でも上でも中段でも全部公にやつておりました。人が見てもやりました。
  184. 天田勝正

    ○天田勝正君 針ヶ谷さんに伺いますが、公然というのが重大でありまして、その公然というのは、一体船上の警備員若しくは船長その他船の取締りに当るべき役員その他の面前でも堂々と行なつたという意味なのか、或いはそういうことではないが、少なくとも帰還される人は誰憚かるところなしにやつたという程度の公然か、その点をはつきりして貰いたいと思います。
  185. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) 船員が暴行が始まると傍へ來て止めに來ましたんですが、ちよつと止まらなかつたんです。まあそんな程度です。
  186. 細川嘉六

    細川嘉六君 係官がおつてもやつているんですか。
  187. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) おらない所でもやつておりました。それで船員の係官が來たときに止めに参りました。
  188. 北條秀一

    ○北條秀一君 これははつきりしております。要するに乘員が人の前で暴行したわけですが、船内では船内の規律によつて船長などが直ちに一々止めたんですけれども、止める程の力がなかつたということでありますから、それで私共はここで聽きたいのは、そういう暴行によつてどういう被害を受けたか、害を受けたか、例えば頬つぺたを擲られた一センチの傷を受けたとか、打撲傷を受けて医者の所へ行かなければならなかつたとか、そういう被害があつたかどうか、そういう点について聽きたかつたんです。
  189. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) その怪我については……。
  190. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 船内での……。
  191. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) 船内の暴行では余りひどい怪我はないように見受けました。
  192. 天田勝正

    ○天田勝正君 その暴行に当つて何か棒であるとか、つまり体以外の器物で暴行するというようなことをお見受けされましたか。
  193. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 何か物を持つてやりましたか。
  194. 針ヶ谷豊次

    証人針ヶ谷豊次君) 大概手でやりました。
  195. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは一應その程度にして、次に源田松三君に御証言を願いたいと思いますが、只今証人中川澄雄君が御出席になりました。先程二名遅れておりましたが、あとは大内弘君、この方だけになりました。中川澄雄本人相違ございませんか。
  196. 中川澄雄

    証人中川澄雄君) はい。
  197. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 現住所本籍をおつしやつて頂きます。
  198. 中川澄雄

    証人中川澄雄君) 現住所、熊本縣宇土郡網津村大字網津二九七八番地であります。本籍地現住所同じであります。
  199. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは宣誓を願いたいと思いますから、どうぞ御起立を願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 中川 澄雄
  200. 細川嘉六

    細川嘉六君 先程矢野委員証人に対して、君はどういう思想を持つておるか、どの政党に属するかということを聽きましたが、これは一体何のことであるか、証人は素直に共産党員だと言つておる。これは素直でよろしい。併しながら如何なる政党に属するかを聽くという、こういうことは一つの制限を設けるということになる、尋問、証言というものは素直に行きません。それは今下中君が言うように言う人があればいいけれども、中には共産党に入つていると言うと、言うことが駄目になるというか、何でも局限されると本当のことを言わんという腰拔けもある。それですから、一体民自党であるとか、社会党であるとかというようなことを聞くことはない。私らは言うことを素直に判断すればいいんですから、まあ宗教であろうが、信仰であろうが、佛教であろうが構いやしません。民自党であろうが民主党であろうが、構わない。私共は言うことが眞実であるかどうかということだけを聞けばいいのであります。私は今後こういうことを質問しちやいかんと思います。私は各人は思想については自由な立場を持つておる。こういうことを調べるということは遺憾であります。これから止して貰いたいんです。
  201. 岡元義人

    岡元義人君 細川委員の御発言、我我も了承いたしますが、ただ本日の問題は、いろいろそういう思想的な面にも関連した原因が伏在しておるということは誰しも考えられますので、そういう意味において矢野委員は聞かれたのだと思います。局限するということについては、おのずとその状況によりましていろいろ又どうしても聞かなければならんという場合も出て來るかと思いますから、その点一つ細川委員御了解を願いたいと思います。
  202. 細川嘉六

    細川嘉六君 了解されん。
  203. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 細川君は一番初めに偏しないということを非常に強く言われたので、眞実眞実としてお尋ねしておるので、この問題は議論すればどうも私の方が非常に有利でありますけれども、時間の節約上割愛しますから、議事進行は最前はつきり決めてありますから、その線に副うてお進み下さい。
  204. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは源田松三君に御証言願います。
  205. 源田松三

    証人源田松三君) 先ず船に乘り込んだ人員に異常があつたかどうかという問題でありますが、これにつきましては、私は異常のあつたことは認められないと思います。何も関知しておりませんし、又認められません。異常はなかつたと思います。  次に食糧の問題でありますが、食糧につきましては、別に特別に異常があつたとは認められません。  第三に暴行があつたかどうかということでありますが、私は船艙に大部分おりました関係かも知れませんが、船艙内におきましては、私のおりました所では暴行はございませんでした。ただ私は甲板の上において二件だけ暴行のあつたことを目撃しております。併しこの際におきまして、事故が出たことは認めません。以上であります。
  206. 岡元義人

    岡元義人君 私は細川委員にこのあたりで一應御質問申上げたいと思うのです。先程お手許にお配りになつております資料にもあります通りに、昨年の十一月十八日の水曜日の参議院の本会議におきまして、細川委員がそういう報道を受けておるということをここに発言しておられるのでありますが、その発言の中で、いわゆる十三名の人たちが行方不明になつておるというこの情報は、英彦丸を指して発言せられたのか、或いは他の船であつたのか、どちらであるかを一つ明らかにして頂きたいと思うのであります。
  207. 細川嘉六

    細川嘉六君 それじや答えましよう。私は今日は英彦丸船長だけお出でになつておるのは遺憾に思つておるんだが、三艘の船だから三人の船長がある筈なんです。それだけ答えれば岡元さんに対する答えは済むわけでしよう。
  208. 岡元義人

    岡元義人君 大体が今まで配られておりますパンフレット等におきましては、英彦丸となつておるのであります。その他の証人も参つておりますから、一應英彦丸ではないんだ、或いは英彦丸のことであつたのでという、その点を一つつて置きたかつたわけであります。
  209. 細川嘉六

    細川嘉六君 それは、私はどつちの船とは確認はできないのであります。調べて見ないというと、三つの船に関連しておるのか、一つの船で片附くのか、それが今日のお調べの目標になつておるわけです。
  210. 岡元義人

    岡元義人君 苟くも権威ある國会委員会におきまして、細川委員が、而も本会議の席上においてこういう工合に発言され、官報にも記載されておるのでありますが、一体どこかはつきりした根拠もなくてこういう発言はない筈なんであります。どこからそういう報道を取られたか、而も三つの船、高砂、惠山、英彦、この三つの船でありますが、入港したのは二日間に入港しておるのであります。その中の大体の見当その他については、当然ここに相当に期日を経過しておりますから、細川委員においては分つておる筈であります。私は明らかに今の細川委員の答弁は、私に対する御答弁でございましたら、私は詭弁としか思えないのでありますが、もう少し私の納得の行くように御説明願いたいと思います。
  211. 細川嘉六

    細川嘉六君 私はこういうことで時間を沢山取りたくないのであります。いろいろの人の話を聞いて、それから段々と岡元君が私に聞きたいならば、そこの方へ行くかも知れないし、行かんかも知れない。話を途中にしてこれをやるということは、私はこれも一つの遷延だと思う。これは先ず聞こうじやありませんか。    〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  212. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行上……若し英彦丸の点であれば、細川委員発言により本日の証人喚問をしておるのでありますが、英彦丸の途中に関することはこれで打切つていい、こういう進行が成立つと思います。それ故に、これで納得が行かなければ英彦丸証言をまだ次々と求めて行かなければならない。この点各委員お考えの上、議事進行をして頂きます。
  213. 北條秀一

    ○北條秀一君 私が先程から議事進行を述べておるのは、各証人証言によつて冷静に事実が立証されるわけです。從つてその点については、英彦丸に関する先程岡元委員の御質問の点は、細川委員が納得すると否とに拘わらず、事実は事実として立証されることになりますから、從つて私はどんどんと議事進行することが最も正しいと思います。    〔「賛成」「了承」と呼ぶ者あり」〕
  214. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 先程三人の証人証言して頂きましたが、あとどういうふうに運んで参りましようか、証言を求める方は……。北崎さん。
  215. 北崎学

    証人北崎学君) 只今或る証人から、林復員官が煽動したのではないかという証人があつたのでありますが、私は新聞記者でありますので、帰りまして、林復員官に二日目の日に会いました。そのときに、林復員官は非常におとなしい人で、むしろ反対のことを言つておりました。いつもこの復員者というのは、赤旗の歌を唄つたり、非常に左翼が強い。併しこの船は非常におとなしくて結構だ、こういうふうなお話でした。別にそういうことをこの船はやらないじやないかというような、反対のようなことをその時言つておりました。ただ非常に身体の弱い人がおる、それが舞鶴に着いて直ぐに病院に連れて行つても、非常に極端に世相が変つているので、看護婦が温い手を差伸べておつても、騙されんぞというようなことを言つて非常に困る。併し内地に帰つたら世相も分るだろうし、何しろ三年間も苦労しておいでになつたので、少しは氣持が荒くなるのも非常に無理のないことである。まあ撲り合いなどもありますが、これには自分は積極的に入らないようにしておる。入つてつて混乱するようなことになるから、入らないようにしておる。こういうようなことを林復員官は言つております。ちよつと参考までに申上げて置きます。
  216. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行について、もう十二時を過ぎておりますので、このあたりで休憩の動議を出します。
  217. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今の北崎さんの証言と、最前の浅利さんでしたか、下中さんでしたか、林復員官の問題について非常に根本的の認識の相違がある。認識の相違があつて、実はそれを委員会は高い山からよく偏頗なく、細川君が心配しないように、本当は公正な立場から判断しなければならんと思いますが、ただ最前岡元委員からの動議が一應撤回されましたが、この英彦丸を中心とした調査が済みまして、そうして細川委員から御質問の、而もこれは本会議においての御意見質問書が出ているわけで、これは重大な問題で、英彦丸の方がいよいよそういう事実がないとするならば、他の二船の船長やその他の関係者を全部又証人として喚問して、そうして事実を又明らかにしなければならんが、そこまで一体やるべきかどうか、その辺もよく、今決定しなくてよろしいから、委員長は予め含んで頂きたい。これだけで止めてしまうというと、又細川委員から、外のものをやらないからまだ断定できんというふうに、必ず抗弁がある筈であります。又あり得ることであつて、小理窟でも何でもないのだから、このことはよく委員長は肚に入れておいて頂きたいと思います。
  218. 千田正

    千田正君 多数の証人の中から、先程岡元委員からの指名によつて三名の証人諸君証言がありましたが、この三人の証言に対して、ここにおられるところの多数の証人が確認するかどうか。若しこういうことについて、そういう証言は嘘だ、或いはこれ以外のこういうことがあつたということについて、若しあるとすれば、その点を聞いて、なかつたとすれば、これを以て確認して休憩に入つて頂きたい。
  219. 岡元義人

    岡元義人君 英彦丸では、今北崎さんが述べられましてので、あとは國井さんと越川さん、それから佐々木さん、それだけが残つておられるのであります。それで今申上げた中から委員長において諮つて頂いて、何か証言したいという人がありますならば、証言をお許し願いたいと思います。    〔「千田君の動議に賛成」「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  220. 本島正雄

    証人本島正雄君) 今北崎君が発言した復員官の林という男が、中で暴行事件に触れると却つて面倒くさいから触れないということは、あれは一つの外の船でも上陸した後にもあつたところの黙認のやり方であるというように自分は解するのであります。
  221. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 解するのですか。
  222. 本島正雄

    証人本島正雄君) 事実外の事件について面倒くさいから触れないというような態度で、更に暴行事件があるとそれから逃げておるということがそれと共通なものであろうと思います。見て見ない振りをして暗黙の奬励であるというように思つております。
  223. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 委員長証人発言を求めております。許して下さい。
  224. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 続行の都合で、英彦丸関係の方の証言を一應終りたいと思いますから、英彦丸関係の方の証言を続けて頂きたいと思います。それから委員長を呼びますときに、直ぐ名前をおつしやつて頂かないと分りにくいので、お許しをすることができないので御承知願います。越川さん。
  225. 越川弘司

    証人越川弘司君) 英彦丸事件についての発言でございます。只今まで皆さんの証人からも発言がありましたが、英彦丸暴行事件という問題については根本的なことを考えなくてはならんと思うのであります。これは單なる個人々々の意見、個人々々の遺恨、噂とか、そういう問題でなくして、我我が入ソ以來三年間、元の將兵、或いは將校、或いは下士官、或いは兵隊としてソ連の地において共に苦労をして來て、いざ昨年の十一月帰還をするということになりましたその際において、我々はモスクワにおつたのでありますが、モスクワのクラスナ・ゴルコスの收容所におつたのでありますが、その中から千五百名余りの人間が出発したのであります。——而も憲兵、警察官は帰さん。その外の者は全部帰すのが当然である。而も憲兵、警察官以外の上等兵、一等兵、或いは軍医中尉という者が沢山残留せられたのであります。こういう問題に対する大衆の憤激は乗船して日本の憲法が施行せられる船内において活溌にその空氣が反撥して來たのであります。
  226. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 越川さんに申上げます。それは後の原因と経過の第二の点で御証言願うと思いますから、今の問題を離れないようにお願いいたします。
  227. 越川弘司

    証人越川弘司君) それでは発言を中止いたします。
  228. 岡元義人

    岡元義人君 先程私が注意を申上げたのでありますが、各委員の方々におきまして、この委員会で私何しないと思つたのでありますが、実は非常に沢山な証人でありまするし、委員長も相当これを運営するのに骨だと思いました。今発言を求められておる証人英彦丸には直接関係のない人であります。先程私が申上げましたように、残たものからその中から指名して行く。こういうような進行をして頂きたいと思います。
  229. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 英彦丸でまだ御証言なさらない方は薦岡さん。
  230. 薦岡武

    証人薦岡武君) 英彦丸人員の乗船或いは下船、この間に人員不足はないと思います。私は当時英彦丸の輸送の副梯團長をしておりましたが、乗船、下船に当つて人員の檢査に立会いましたが、不足はなかつたように思つております。  第二の食糧の事情については、これも事故がなかつたと思います。  第三の船内暴行事件については、これはありました。私二件程目撃しました。但しその程度は入院するとか、或いは大きな治療を要するとか、そういうような暴行はないように、私の見た範囲ではその程度であります。終ります。
  231. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) 私は英彦丸ではなく、永徳丸で帰りました。英彦丸ではございません。
  232. 北條秀一

    ○北條秀一君 先程薦岡証人証言は輸送の副梯團長でありましたので、非常にこれには同氏の証言は特に重要視しなくちやなりません。つきましては極めて小さなことでありますが、重ねてお聞きしますが、先程人員の中では異状がないと思うということが入つておるのであります。日本語の非常に不備な点でありますが、思うとかいうようなことが入りますと、非常に不明確になつて來ますので、人員の輸送については一人も異常がなかつたのかどうか、その点をはつきりして頂きたいと思います。
  233. 薦岡武

    証人薦岡武君) 私は船員と共に人員の檢査に立会いましたが、異状はありませんでした。
  234. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちよつと薦岡証人に一言だけ、その暴行が確かにあつたということを簡潔に申されたのでありますが、その暴行ということは、先程も重大であるので、私が申上げておるように、公然と行われましたか、あなた方がそれを全然止めなかつたのか、こういう点をはつきりいたして頂きたいと思います。
  235. 薦岡武

    証人薦岡武君) 公然という意味がよく分りませんが、どういう……。
  236. 天田勝正

    ○天田勝正君 詰りあなた方のような立場にある方が見ておつても平氣でやつておるという公然であるか、ただ帰つて來人たちの仲間だけで誰が見ておつても構わずやるという形の公然であるか。
  237. 薦岡武

    証人薦岡武君) 私は暴行の行われておる現場にいろいろの用事のために、船内を往復しておる。そのときにぶつかりました。私たちがおる所に持つて來て、おる所にわざわざそういう問題を持つて來て暴行を行なつたということはありません。
  238. 天田勝正

    ○天田勝正君 あなたそれをお止めになつたことはありますか。
  239. 薦岡武

    証人薦岡武君) 止めました。
  240. 天田勝正

    ○天田勝正君 了承いたしました。
  241. 薦岡武

    証人薦岡武君) 林復員官からも止められた事実も目撃しております。
  242. 天田勝正

    ○天田勝正君 了承。
  243. 岡元義人

    岡元義人君 先程岡元動議を提出して置きましたが、お採り願います。
  244. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) お諮りいたします。先刻から岡元委員から動議を提出されておりますので、休憩に入りたいと思います。
  245. 北條秀一

    ○北條秀一君 それでは私は英彦丸ナホトカを出発してから舞鶴に全員を上陸せしめるまでの件はここで打切つて置いた方がいいと思う。打切るためには他の証人からこれについては自分たちは異存ないということを確認してから始めて打切れるのであります。千田委員から発言されましたが、あと証言すべき人がなければ、当然今までのことは皆さんによつて十分に了解されたわけでありますから、それを最後に確めて置いて頂いて、そうして休憩に入つて頂きたいと思います。
  246. 細川嘉六

    細川嘉六君 私はこの打切りということには反対であります。証言なさつたのに、まだ私共はろくに質問しておらん、現に私共は十分に質問しておらん。言うた意味をお互いに十分に吟味して、それから次の問題に移るべきだと思うのですが、休憩なさるなら休憩なさるで、私は賛成ですが、休憩後の質問を私は留保して置きます。
  247. 岡元義人

    岡元義人君 今北條委員提案がありましたが、一應英彦丸関係の証人はこれで第一の問題としては私は終つたのでないか。次にまだ沢山の案件がありますので、細川委員の申出は非常に、明一日かかつても到底終らないというような状態さえ考えられておりますときでありますから、一應このあたりで北條君の案に我々は賛成して、打切つて次の問題に移つて行く。こういう工合に進行した方がいいのではないかと考えます。
  248. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 北條委員の御提案岡本委員の御賛成の議は、御異議ございませんか。
  249. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 議事進行……。細川委員が非常に熱心に言つておられますので、私はこういうふうにして頂きたい。千田委員動議、それから岡元委員動議、北條委員動議、非常に結構であります。ただ打切るという意味が、今一應英彦丸関係をお持ちの方々に、まだ今の第一番の問題に限定して御発言の意思があるかどうかを聞いて貰う。更に重大な問題として残つておるのは、最前の梯團副團長をしておられた薦岡さん……。いや薦岡さんでありません。北崎さんと下中さんと本島さんの林事務官等を中心としての事実の認識が根本的に違つておる。殊に本島さんのには、最後は「そう思う」という主観的断定で、北崎さんと違つた問題がありましたので、細川さんもいろいろとそういう意味においてお尋ねになりたいと思いますので、こちらの委員としては、第二、第三のその他の必要な問題においても、これは又残していいと思いますが、第一の問題でも、有機的、本質的の問題と関連のあるのは、それを又取上げていいという意味において動議を取扱つて頂きたいと思います。
  250. 千田正

    千田正君 私が先程提案して休憩を要望したのは、岡元委員が要求したところの、第一に人員に何らの過ちがなかつたかという問題、第二の問題は何か事件が起きたか、第三は殴打事件、その他のリンチ事件について治療を要すると思うだけのいろいろな被害が生じたか、この問題についておのおのの証言があつたので、これについて外に補足するところがなかつたならば、これはこれとして確認して、そうして休憩に入つて頂きたいという動議を出したのでありますが、それについて何らか不服があるならば別ですが、その通りであつたならば、休憩に入つて頂きたい。
  251. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 証人の方の中に、今お聞きの十三名の人員不足したり、食糧が非常に足りなかつた。或いは殴打事件が非常にひどく行われた。こういうことについてそれぞれ御証言を得たのでございますが、英彦丸関係の方には全部御証言つたと存じますが、尚この証言不足であるとか、補足しようというお方がなかつたならば、この問題は矢野委員からも御発言がありましたように、有機的な繋りを持つ点につきましては、あとのものを第二、第三、第四と分けておりますので、そのときに御発言願つてもよろしいが、先ず一應この第一点の問題はこれで一應打切りまして休憩に入りたい。こういう委員側の御意見でございますが、補足の御意見がございませんければ、これに委員側の賛成を得たいと存じます。如何でございますか、御意見がないようでございましたら……。休憩に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではさよう決定いたしますが、いつから再開にいたしましようか。    〔「一時半から」と呼ぶ者あり〕
  253. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは一時半から再開いたしますから、どうぞそのおつもりでお集まり願います。これで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午生一時四十一分開会
  254. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 午前に引続いて委員会を開会いたします。  この際委員長は議長の審議証人各位の年令、職業、身分等について発表する必要を感じましたので、判明しております分だけを発表いたします。  井家伊作君 舞鶴引揚援護局業務部長。  田中半治君 舞鶴引揚援護局経理課長。  琢磨照夫君 舞鶴國立病院医官。  城田秀雄君 舞鶴市警察警備課長。  高次武治君 英彦丸船長。  本島正雄君 宮城縣仙台北六番町一七九。三十二歳。元軍医中尉。乘込み船は高砂丸。  浅利篤君 岩手縣盛岡餌差小路十四。三十八歳、元兵長、惠山丸。  下中範雄君 宮城縣仙台市霊屋下市川勇賢方、二十七歳、元上等兵、乘組営彦丸  中川澄雄君 熊本縣字土郡網津村大字網津二九七八。二十五歳、元一等兵、乘組惠山丸。副梯團長。  針ヶ谷豊次君 台東浅草猿若町一ノ一五、二十七歳 会社員、英彦丸。  大友高雄君 釧路市鹿取町一ノ八、二十七歳元兵長、高砂丸。  佐々木四郎君 福島縣相馬郡金房村大字小谷、四十七歳、会社員、永徳丸。  新川清君 杉並区上高井戸三ノ七六六、二十五歳、元一等兵、惠山丸。  土木信胤君 大田区池上町八八四、二十五歳、元一等兵、惠山丸。  國井誠一君 神奈川縣横浜市南区中島町一丁目十二番地、二十六歳。  越川弘司君 栃木縣芳賀郡山前大字西田井二ノ一五二、三十七歳、英彦丸。  板垣文助君 宮城縣加美小野田町東小野田新丁、三十歳、高砂丸。  源田松三君 鹿島縣山縣郡加計画大字加計三七四〇、五十一歳、元滿洲國官吏、英彦丸。  北崎学君 文京根津須賀町二十七、三十八歳、毎日新聞記者、英彦丸。  薦岡武君 千葉縣安房郡丸村珠師ヶ谷一四〇九、四十二歳、元大尉、英彦丸梯團長。  以上であります。
  255. 岡元義人

    岡元義人君 國井誠一証人とそれから堀川弘司証人板垣文助証人、以上三名の元身分と現在を明らかにして頂きたいと思います。
  256. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは國井誠一証人、身分について、御職業について……。
  257. 國井誠一

    証人國井誠一君) 職業は職工です。身分は別にこれといつてありません。年齢は二十六歳です。兵役関係は上等兵です。
  258. 紅露みつ

  259. 越川弘司

    証人越川弘司君) 職業は工員であります。元階級は陸軍一等兵であります。年齢は三十七歳であります。
  260. 紅露みつ

  261. 板垣文助

    証人板垣文助君) 年齢三十歳。元陸軍衞生少尉。在ソ中は大隊長をやつておりました。帰還の際は副梯團長をやつておりました。
  262. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 尚この際証人各位に申上げたいと存じます。本日は証人各位の十分な御証言を伺いたいと存じます。機会におきましても、量におきましても、十分な御証言を頂きたいて存じますが、要点を逸脱しないようにと申上げましたために、幾分が控え目になられたのではなかろうかという感じを持つておりますが、どうぞ御遠慮なく御発言も亦御証言の量も十分になさつて頂きたいと存じます。ただ濫発いたしますと非常に整理に困りますので、先程も指名というような方法を採りましたが、十分皆様の御証言を伺いたいと存じますから、そのつもりで御発言を願います。それからお名前が分りにくいので、どうぞお忘れなく御発言の際にはお名前を先に名乘つて頂きたいと存じます。その順に從つて委員長発言をお許しいたします。それから委員側に申上げます。証人発言は一々お許しを頂くべきであろうかと存じますけれども、時間の節約上これを省かして頂きます。  それから議事進行上につきまして御発言が多いようでございまするが、これも少し煩雜に亘ると思いますので、この際委員側で相談の上進行係を一つお決め願いたいと存じます。
  263. 穗積眞六郎

    ○穗積眞六郎君 非常に時間のかかる会議でございますから、今の証人進行係というものは必要かと存じます。この際岡元議員に進行係を願つたらどうかと存じます。
  264. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) お諮りいたします。進行係に岡元委員をという穗積委員からの御提案に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 御異議がなければさよう取り決めたいと存じます。
  266. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 取り決める前に、進行係を決めて、そうしてその人だけが議事進行をやるというのですか、そういうのは少し越権です。大体の申し合せの程度で、いろいろの問題が起る以上は議事進行は当然委員に対する‥…憲法、その他の何か保障しているのであります。それをこの委員会と雖も拘束する権限はない。
  267. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 委員長もそのつもりでございますから、どうぞそれをお含み置き願います。それでは審議に入ります。
  268. 岡元義人

    岡元義人君 それでは大体各議員から御質問があると思いますけれども、順序だけを私の方で今申し合せ的に提案して行きたいと考えますので、発言さして頂きますが、英彦丸の関係は、午前中において大体分つたような次第でありますから、次は英彦丸以外の高砂丸、惠山丸につきまして、そういう航海の途中において死亡者があつたり、或いは行方不明者を出したり、或いは食糧事情等、その他人事に関する点につきまして、援護廳の田中証人より大体証言と、若し証処物件があつたらその証処物件を提示して頂く、並びに第一番目に高砂丸関係から各証人、乘り込んでおられたところ証人から証言を得たいと考えるのであります。以上提案いたします。
  269. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 只今提案に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは田中証人
  271. 岡元義人

    岡元義人君 失礼しました、私只今援護局の田中証人だけ申上げましたが、井家業務部長と両名から御証言願います。
  272. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 井家証人田中証人と來て頂いておりますからどうぞ……。
  273. 田中半治

    証人田中半治君) 自分は当日、十一月二日当直主任官として勤務したものであります。高砂丸人員は寮長より、事故なく全部上陸いたして入寮した。それより報告は受けておりません。高砂丸につきましては以上であります。
  274. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 総計何名ですか。
  275. 田中半治

    証人田中半治君) 高砂丸は二千九百名だつたと思つております。
  276. 井家伊作

    証人井家伊作君) 岡元委員が先程言われました御質問の要旨をもう一度お伺いしたいと思います。
  277. 岡元義人

    岡元義人君 繰返して申しますが、大体英彦丸と同樣今調査をしたいと思つております趣旨は、この引揚げて來る途中におきまして、人員が行方不明になつた、或いは死亡者を出した、或いは暴行事件があつた、或いは食糧が実際に足りなかつた。こういう問題について高砂丸、その次は惠山丸でありますが、高砂丸について、取り敢えず証言と、証拠になる物件がありましたならば、提示を願います。
  278. 井家伊作

    証人井家伊作君) 高砂丸は十一月二日に入港いたしまして、同日の午後二時頃から上陸を開始いたしました。午後の七時頃上陸が終り、且つ檢疫も終りまして寮に入つたと存じます。高砂丸の乘船人員は二千九百名でございまして、この人員につきましては午前中英彦丸船長証言申しました通りであります。かようにいたしまして乘船したところ復員者は、梯團長が引率しております。而して梯團長は各中隊長に命じまして、各中隊の名簿を作らしております。いわゆる乘船名簿と称するものであります。それを作りまして、そうして船長の方にも出しますし、又援護局の方にも三、四通出すのであります。それでこの船長から、援護局は人員を受け取つているのでありますが、その高砂丸の乘船者名簿はここに持参しております。  尚高砂丸入港する前に、ナホトカを出港してから、直ちに援護局の方に電報を打つたのでありますが、そのときも只今申しましたように、高砂丸は二千九百名であるということをはつきり申しました。將校何名、下士官何名ということも詳細に打電してあつたのでありますけれども、その点は省略いたします。食糧もこれも午前中英彦丸船長が申上げましたように、大体その船によつて一両日間の食糧の差はございますけれども、概ね二千五百人の六日分乃至一週間分を所持しております。
  279. 岡元義人

    岡元義人君 暴行事件は……。
  280. 井家伊作

    証人井家伊作君) 暴行事件を簡單に御証言申上げます。船内暴行事件につきましては、復員官から報告が参つておりますのをここでお取り次ぎするという以外に御証言することはないのであります。高砂丸船内暴行事件があつたということについての報告は、ここにございません。ただ上陸いたしますときに、相当何と申しまするか、まあ思想的な対立と申しますか、そういつた傾向があつたことを、この高砂丸舞鶴港に、そうして援護局の直ぐ前は平湾と申しておるのですが、そこから七、八百米の所に投錨いたします。そうして上陸が始まるのでありますが、その上港が始まります前に、こちらの方からいろいろと連絡に参ります。そのときに復員指導官等が船内におつて、模様を見ておつた状況を申したことを、ここでお取り次ぎいたすのでありますが、そのとき、船内では、見よ反動が來た。騙されてはならないぞ。團結を乱すなということを申して、赤旗の歌を高らかに歌つたといつたこともあつたようでございます。これに対しまして、ここでは証人が見えておるようでありますが、副梯團長の板垣氏などは日本には日の丸の旗もあると、君が代もあるんであると言つて、君が代を斉唱したというようなことも聞いておるのでありますが、かようにいたしまして、高砂丸は帰船する前からそういつたことがあつたように聞いております。以上であります。
  281. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) これから委員長は先程の発表に追加いたしまして、証人の立場をここに発表いたします。被害者として本島正雄証人浅利篤証人下中範雄証人中川澄雄証人、以上四名、加害者として針ヶ谷豊次証人大友高雄証人佐々木四郎証人新川清証人、以上四名以上追加いたします。
  282. 岡元義人

    岡元義人君 今の証拠物件を一應提示して頂きたいと思います。
  283. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 提示して頂きます。回覧いたしますか。ではこれを御覧下さい。
  284. 岡元義人

    岡元義人君 高砂丸の副梯團長をしておりました板垣証人証言をお願いしたいと思います。
  285. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 板垣証人証言を求めます。
  286. 板垣文助

    証人板垣文助君) 船中の人員を申します。船中の人員只今復員官から申上げました通り、乘船のときと下船の人員は異常ありません。船中における暴行事件に殆んどありません。それから食糧に関しましては定量とか、云々ということは私たちは分りませんけれども、実際上感謝して戴いた次第であります。その他参考になる事項船内では別にありません。
  287. 岡元義人

    岡元義人君 次に本島証人から証言を願いたいと思います。
  288. 本島正雄

    証人本島正雄君) 高砂丸船内においては暴行事件というのは見ておりませんし、又そういう話は聞いておりません。ただ上陸後は別ですが、それからもう一つは、この糧秣については不正事件があつたかどうかということは分りませんが、三食渡つておりました。朝と夕方が雜炊、而も雜炊は殆んど箸の立たない程度の軟らかい雜炊、晝が確か乾パンだつたと思います。量につきましては、私は二合七勺の配給になつたということを復員官が船の中で申しましたが、それに対して言葉と量については非常に疑問を持つております。それから船の中で中年の看護婦が私に対していろいろな話があつたときに、私に対しまして、現在乘り込んでおるところの若い看護婦は、ロシアから帰つてくる引揚者に対して、特別の反共教育を受けておるというようなことを私に漏らしておりました。その看護婦は分りませんけれども、これは明らかに思想の自由を束縛するところの憲法違反であるということが言えると思います。終ります。
  289. 岡元義人

    岡元義人君 本島証人に重ねて質問したいことがありますが、大体先程提案いたしました通りに、一應聞きましてから、後程に各議員からも質問があると思いますので、同じ乘組の大友証人証言をお伺いしたいと思います。
  290. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 大友証人に御証言願います。
  291. 大友高雄

    証人大友高雄君) 船内では暴行というものはありませんでした。給與の方面においては、米の御飯を朝と晩と二食、晝はパンを頂いて参りました。定量の方においては私は少ないとは思いませんでした。
  292. 岡元義人

    岡元義人君 大体お話によりまして内容が、人員の足らないというようなことはなかつた、それから又暴行事件もなかつた。ただ食事関係において多少喰違いがあるようですが、本島証人にお伺しますが、今の大友証人の言と喰違つておると思うのです。この点を尚念のため御証言願いたいと思います。  それから重ねて、若しお粥程度のものか、箸の立たないお粥、雜炊とおつしやいましたが、それはあなたが軍医をしておられたからそれが何を含みがあつて、いわゆる向うの生活と一遍に生活様式が変るので、或いはそういう健康状態を睨み合わせた上でそういうものが考えられたというようなことをお考えになつたかどうか。この点について、若しあなたの証言が事実とした場合に重ねて御回答願いたいと思います。
  293. 本島正雄

    証人本島正雄君) 量については確かあのときに昆布か「わかめ」が雜炊の中に入つてつたように記憶しております。そしてこの量についてはその後に自分は上陸してその翌々日かに入院しております。入院しておるときの食事の量に比べまして、確かに同じ配給定量である筈でありますが、それと比べて可なりの差がある。入院してからの方が大分多くなつておるというようなことと比べまして、その量を自分は疑問に思うのであります。
  294. 細川嘉六

    細川嘉六君 本島証人にお聞きしますが、食物は不足する、不足するということを私はしばしば聞くが、不足しないというのもある。それであなたは食糧については少ないようにおつしやつたが、実際腹が減つて困るということがあつたのですか。あなたに限らずあなたお医者さんですか、周囲の人を見てどうだつたんですか。
  295. 本島正雄

    証人本島正雄君) 自分は確かに腹が減りました。周囲の者も非常に空腹を感じておるということを言つております。
  296. 細川嘉六

    細川嘉六君 友大証人にお聞きしますが、あなたはこの足りた……。
  297. 大友高雄

    証人大友高雄君) はい。
  298. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 細川委員に申上げますが、発言の際は御起立を願うことになつております。
  299. 細川嘉六

    細川嘉六君 あなたは足りたが、外の者はどうであつたか。あなたは一体何ですか。軍ではどういう立場におられたのですか。
  300. 大友高雄

    証人大友高雄君) 軍隊は航空隊におりまして、飛行機関係をやつておりました。
  301. 細川嘉六

    細川嘉六君 兵隊ですか。將校ですか。
  302. 大友高雄

    証人大友高雄君) 兵長ではあります。
  303. 細川嘉六

    細川嘉六君 船内では、先程も言われましたが、御飯の中に「わかめ」が入つていたというようなことを言つておりましたね。
  304. 大友高雄

    証人大友高雄君) 入つておりませんでした。ただ米の御飯、それにお菜は「わかめ」とか「にしん」の煮付のような、おつゆにしたようなもので、而もそれで周囲の者が全く感謝をして頂いたわけであります。量の方面については少ないように思いませんでした。
  305. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 細川委員に申上げます。今お尋ねの元の身分につきましては、先刻発表いたしましたが、御入用なかつたのでございましようが、何でございましたら、証人全部について分つておる点を発表しておりますので、委員部からお知らせして頂きましようか。
  306. 岡元義人

    岡元義人君 尚両名の証人証言が喰い違つておりますので、念のために板垣証人にどちらが正しいか、はつきりあなたから証言を願いたいと思います。
  307. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 板垣証人は中立の立場にありますので、どうぞ十分に御発言願いたいと思います。
  308. 板垣文助

    証人板垣文助君) 先程申上げました通り、数量は分りませんが、実際食ベた飯は白飯でありまして、その中には何か若干の混ぜ物があつたように思つておりますが、それははつきり覚えておりません。併し白飯に相違ございませんでした。汁は確かに先程申されたように、「わかめ」に鰊が入つてつたように思います。飯には異状ありません。粥ではなかつたように思います。
  309. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 そうすると本島さんは最前からのお話をずつと聞いておりますが、何かあなたはお医者さんをしておつたので、病室で患者等にやるのと間違つているのじやないですか。重大な問題ですからはつきりして下さい。記憶がはつきりしなければしないと、絶対に作つて言わないようにして頂きます。
  310. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 十分に御遠慮なく……。
  311. 本島正雄

    証人本島正雄君) 患者には確かに粥を出しておりました。それからそのほかの者に対しては自分は確か雜炊であつた、「わかめ」が入つてつたのを記憶しておるのであります。非常に量が少いなということを記憶しております。そうして分けるときにコップで分けたような記憶を持つておりますので、若し自分の記憶が間違いであるかも知れませんが、それは必ずそのときの食糧の献立表が船内で作つてある筈だと思いますから、それをお調べ願います。
  312. 北條秀一

    ○北條秀一君 私は今の証言を聞いておりまして、委員長発言からして理解しかねるのであります。これは事件の暴行者と被害者とその目撃者と、こういうふうになつておると思いますので、先程板垣証人を中立の証人のごとく扱つておられるのですが、どういう意味か私には理解しかねるのです。これは食糧の問題でありますからして、そういうふうな扱いでなしに、他に若し証人が残つておりましたならば、残つておる証人に全部に食事がどうであつたかということを証言を求めて進行して行つて差支ないと思います。
  313. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 委員長は先刻申しましたのは、被害者と加害者とを追加発表いたしましたが、そのほかの方々はいろいろな意味で加害者と被害者の以外の方々で、これを私は中立と申上げたのでありましたが、若し適当でなかつたら取消しますが、加害者、被害者、この以外の方々は、多分全部の方々でございます。
  314. 岡元義人

    岡元義人君 先を急ぎますけれども、尚念のために援護局の井家証人田中証人にこの問題についてどういう工合になつているのか、御説明願いたいと思います。
  315. 井家伊作

    証人井家伊作君) 引揚者の基本食糧をざつと要点だけ申上げます。米が一日六百グラムであります。それから生魚肉が百五十グラム、それから獸鳥肉が百グラム、乾魚百グラム、罐詰獸肉百グラム、こういつた基本食になつておりますが、これを今問題になつておりますのは船でございますが、船は炊爨する設備の関係上、いろいろと副食物と主食と、いわゆる混ぜ物と言われておりますが、混ぜたいろいろな形で給食する場合があるように聞いておるのであります。この固さの問題でありまするが、これも昨年からは固くなりましたが、それまでは帰つて來人たちの胃腸が弱い、体が弱いというので相当基本食糧は変らないのですけれども、柔くしてやるということにいたしておりましたが、そういつた関係でいろいろと考えられるのじやないかと思いますが、基本量、それから炊き方というものは以上申した通りであります。
  316. 田中半治

    証人田中半治君) 自分は十一月二日午後四時以降の勤務でありまして、船については一切知らないのであります。尚職務の関係上比較的引揚者のお方に出会うとか、現場の仕事をする機会が非常に少いので、そういう方面は全然知りません。終り。
  317. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 先程北條委員から御発言がございましたように、この問題につきまして御指名申上げませんでも、これについて発言なさろうと思うお方は是非十分に発言して頂きたいと存じます。御意見のあります方どうぞ御遠慮なく……。
  318. 上木信胤

    証人上木信胤君) 私は惠山丸で帰つて來た者であります。船内食糧について自分の知つているありのままを述べて見たいと思います。大体軍隊の飯盒に軽く詰めましたものを五名で一本、これを分けますとやや大きなスプーンで以て一人三匙か四匙であります。併しそれは私らについて雜炊ではありません。勿論普通に炊いておる御飯ではありますけれども、約四〇%が乾燥野菜、恐らくここに御列席の方は見たこともないようなお粗末な飯です。固いという点については、向うでカーシヤーというロシア人の主食としておりますもので、お粥の固いものを貰つて、日本人は成る程固い飯で糠喜じはしたものの実際の量から言つて、私は船中生活でありますから、定量までは行きませんが、実際定量と比べて少いということは切実に感じました。又入つている乾燥野菜が船中の設備の不備の点もあるのでありましようけれども、実際に煮えない乾燥野菜が入つており、まああのような航海日数において、約二晝夜半ですが、実にあのような食事では、引揚者は恐らく余り感謝して頂くというような飯ではないと思います。
  319. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) その他の点につきましては……。
  320. 上木信胤

    証人上木信胤君) その他の点につきましては、一遍船艙で以ていわゆる晝食を出す場合に、船艙の底の方から滑車を付けまして乾パンを引上げたのであります。そのときの船員が約三名乾パンをズボンの中にへしこんで、これを監督しているところの、船の何の係の方か知りませんが、別に何も言わず默つて見ている。而して又それを船員も腹が減るのだから仕方がないだろうというような、好い加減なことをしても誰も問題にしなかつたのでありますが、あのような問題も結局は全部の引揚者にかかつてくる問題ではないかと思います。そういうような点から結局推察すると、私の想像かも知れませんが、穀類の点においても、或いは主食の点においても、そのような事実がないということは断定できないと思います。できれば今後そういうような問題の絶対起きないように嚴重監督して頂きたいのであります。
  321. 北條秀一

    ○北條秀一君 上木証人に再質問いたしますが、上木証人の今の証言は非常に問題が一般化しておりますから、甚だ私としてはあなたの証言を理解し得ない。あなたに聞くのは惠山丸の食事がどうであるかということについて言つて頂きたい。而も今も上木証人のお話によると、二日半、合計約八食の食事が支給された筈ですが、その八食の食事が全部そうであつたかどうか、これを具体的に言つて頂きたい。主観を加えずに、事実を事実として証言して頂きたい。
  322. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行について……。今北條委員から再質問がありましたけれども、惠山丸の上木証人証言に対しまして、又これに対するいろいろな意見も各証人の中にお持ちになつておるようでありますけれども、一應高砂丸はこの程度にしておいて、先程午前中に矢野委員から言われましたように、後程有機的に関連性を持たして、それでは惠山丸の方に移つてからこの問題を審議してはどうかと考えるのであります。議事進行についてお諮り願います。
  323. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) お諮りいたします。御異議ございませんければ……、それではこれは留保さして頂きまして、後の機会に又御発言願います。この機会でないと工合が悪いようでしたら……。
  324. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行ですから……。
  325. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは高砂丸審議は一應打切りまして、今議事進行に出ましたように、有機的に関連性を持つものは後に移りましても御発言を願う、こういうことで御承認願いたいと思います。
  326. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 僕は今のはそう解釈していないんです。高砂丸に関連を持つ今までの各方面の証言の自由な発表を要求した事情は、高砂丸だけにまだ関係のある方々が発言をしたいというお氣持のある方があるに違いないから、それを一應よくお尋ねになつて、そうして委員長の権限で許すなら許すようにして頂きたい。ただ今のは惠山丸が出れば混淆して議事進行ができないから、一應英彦、高砂、それから惠山という岡元委員議事進行意見だから、その線に副うて進めて頂きたいと思います。
  327. 岡元義人

    岡元義人君 今矢野委員の言われた通りであります。それで高砂丸関係の証人がこれで外にありませんので、取敢えず関連性を持たせながら惠山丸に移つて頂いたらどうかということを動議として提出したわけであります。
  328. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは、只今私が申上げたのと変らないように思いますので、惠山丸に移りまして、関連性を持つことは又発表して頂くということに御承認を願います。
  329. 岡元義人

    岡元義人君 それでは高砂丸と大体同樣に、井家証人並びに田中証人より人員の受理状況並びに暴行事件、或いは人員の不明なり、或いは食糧が足りなかつた、そういうような問題が惠山丸にもあつたかどうか、その点を明らかにされる証言と、又証拠物件の提示を願いたいと思います。
  330. 井家伊作

    証人井家伊作君) 惠山丸は高砂丸と同じく、高砂丸に先行いたしまして、十一月の一日の夕方に入港した筈でありますが、時間の関係で十一月二日の朝から上陸いたしました。乘船人員は二千八百二十七名であります。船中から無電で打つてよこした人数も、又梯團長が作つて提出いたしましたところの乘船名簿もきつちり合つておりまして、その間人員不足したというようなことはないと存じます。船中において暴行が行なわれたというようなことは報告を受けておりません。食事のことにつきましても、足りなかつたとか、或いは普通より特に悪かつたというようなことで問題が起きたり、不慮のことが起きたということも聞いておりません。以上であります。
  331. 岡元義人

    岡元義人君 続いて田中証人からこの問題について証言を願いたいと思います。
  332. 田中半治

    証人田中半治君) 惠山丸の上陸は午後早く済みましたので、自分が勤務に就くまでに終了しておりますから、惠山丸の上陸までのことは職務の関係上私は知りません。
  333. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 惠山丸の証拠物件がありますか……。
  334. 中川澄雄

    証人中川澄雄君) 人員については二千八百二十七名だと自分も記憶しております。給與は白米であります。やはり朝と夜が今の普通の食事で、晝は乾パン、さつきいわれたように「こんぶ」、「わかめ」、おかずはああいつたもののスープでした。量は自分らの帰つた惠山丸になつてから非常に待遇もよくなつたということを船員も言つておりました。日本の内地の生活の食糧水準よりはこれはいいんだということを言つておりました。併しそういうことから考えると、我々に取つては、自分の收容所は、ハバロスクでも特に給與の方は炊事の方の人の努力でよかつたですから、その給與よりも劣つておりました。そういうことから考えて、相当これは日本の者は苦しい食生活をしておるなあということを感じました。又皆もそういう話をしました。  それから暴行事件ですが、殴つたりそういつたことは自分は見なかつたし、なかつたようであります。船内においては……ところが一日の午後二時か三時頃入港したのですが、その一日の夜自分から梯團本部の者と、各中隊長と、それから船の各船長さん、それから事務長さん、機関長さん、そういつた人々と向うの事情、こちらの事情の交換会をやつたわけです。そこに行つておるときに、もう大分遅かつたと思いますが、結局暴行事件には至らなかつたわけですが、やはり思想問題で対立して、三千年來の天皇制を擁護せよといつたようなことを、これは一部の將校の方から出ておると思います。すべての將校とは自分も言いません。そういう問題が起きました。併しこの場合は暴行事件には至らずに、一時頃だつたと思いますが、鎭めることができました。それから上陸まではそういう暴行事件は起りませんでした。一應終ります。
  335. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 惠山丸関係者の方、惠山丸に乘り込まれた方の証言をお願いします。
  336. 淺利篤

    証人淺利篤君) 先程私の兵役関係、職業、年令等に間違いがございましたから、先に訂正さして頂きます。年令三十八歳、職業洋画家、軍隊におきましては、敗戰後参謀命令で上等兵になりましたけれども、実際は当時一等兵であります。復員局の方には上等兵として附いてあります。先程惠山丸に乘りました中川君、上木君の証言がございましたが、一番肝腎なところは、食糧の問題においてどれくらいか、固いとか柔いとかいうことよりも、どれくらいの量であつたかということを、先程上木君が申上げましたけれども、大した関心を持たれておらないようであります。軍隊の飯盒の容器にすれすれに一杯入れましたものを、五人で食事をするのが、一回の量であります。白い飯、勿論白い日本風の飯でありましたけれども、この中には、じやが芋の根つこでありますか、莖でありますか、これを乾燥さしたもの、これが若干混ぜられたのであります。同樣の材料を以て作つたスープと言いますと、誠に体裁がよいのでありますけれども、私たちとしましては、味噌を使つてありましたので、大変懐しく頂いたことは確かでありますけれども、約二食程食べまして、つまり終戰後半日程経ちますというと、私たち捕虜生活をしておりましたときの食事と、どうしても比較せざるを得なかつたのであります。その結果は大変少ない。何かどつかでごまかしているのではないかという噂が出るのは当然であつて、皆が口々にそれを叫んだような状態であります。それから船内におきまして、暴行事件が起りかかりまして、日本のどこかで聞いたか分りませんけれども、中に入つてから日の丸や何かが上陸後も相変らず掲げることができるかのごとくにどこからか噂が出て参りました。それで旧將校の方々は日の丸を何とかしたい、工面したいというようなことで、何かを言つたらしいのであります。これを取り上げてそれに反対する立場の者たちは、いろいろと船中の大廣間のような所で議論をいたしました、その結果つかみ合いになりそうなところにまで行きましたけれども、中川副梯團長が仲裁に立たれまして、そしてこれは丸く治まつたのであります。但しこれは注目すべきことは船内の責任である方々といいますか、日本側から私たちを受け取りに來た人達が仲裁をしたのではなくて、そこでは自主的に丸く治めたのである、これは上陸して後においては、この編成が全然ひつくり返りましたので、ひつくり返ると同時に暴力事件が起つたということを以て、私は官廳側、特に政府側のここにおられる方々の責任を追究したい、こういうふうに考えるのであります。  それから蛇足でありますが、先程來の御審議の順序に從いますというと、高砂丸が先に到着しておるかのごとき印象を受ける、委員の方々は恐らくそういうふうにお考えになるのではないかと思いますので、実は惠山丸の方が高砂丸よりも先に到着しておつたところが夜間到着いたしましたので、上陸が延長されて翌朝上陸を開始したわけであります。更にその後に明け方になつて高砂丸入港してきたというのが順序であります。後程実際暴力事件に眼を向けられます際にどういう順序で入つて來て、どういうふうに感染して行つたかということを見て頂くためにも、この入港の順序は大きなヒントを與えるものでありますから、これを特に把握して頂きたいと思います。私たちが感ずるのはそれだけであります。
  337. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 次に惠山丸の関係者の証言を求めます。
  338. 上木信胤

    証人上木信胤君) 私は先程來食糧事情の問題を自分の思つたまま、見またまに言いましたが、今度は暴行事件について少し言つて見たいと思います。勿論暴行事件については船中は、今淺利証人が言つたように、一應そういうような暴行事件が起きようとしましたけれども、梯團長の中川氏によつてこれをおさめられましたので、何ら事故なく上陸したのであります。上陸後寮内においていわゆる同じ收容所におつてもそのときの編成の関係で営の高砂丸に乘つた者もあり、惠山丸で先に帰つた者もあつた。それで入浴をすませて被服を貰い、寮に落着く、そのときからそろそろ始まつたのであります。それで後から入つてくる高砂丸の人間に対して首を洗つてつているとか、早く出てこい、貴樣らは殴り殺してやると言つてつたのですが、それだけの問題だと思つたのでありますが、その後寮内各所で以て暴行事件が集團的に行われたのであります。これは初めは二、三警官が出て阻止したのでありますが、結局最後には米軍の兵隊の方が來るまで止らなかつた。而してその二日の晩は何もなかつた。三日の晩には初めて寮内に大きなサーチライトを見つけた。こういうサーチライトの設備があるにも拘らずそういう暴行事件が起つて取締らないのは甚だ遺憾だと思うのであります。
  339. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 只今船中の問題になつております。尚惠山丸の証人証言を求めませうか。
  340. 岡元義人

    岡元義人君 新川証人証言を是非求めます。
  341. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 新川証人に御発言を求めます。
  342. 新川清

    証人新川清君) 船内ではいわゆる共産主義を俘虜生活中勉強しなかつた者が初日の日は大分虐待された状態であつたのです。一例を挙げてみますれば、自分の收容所関係の或る一准尉さんでありまするが、その人はシベリア抑留中共産主義を学ばずに、「生長の家」とかいう、一つの宗教を学んでおりました。そうして乘船中に民主グループの者から攻撃を受けたのです。そのときはその「生長の家」を学んだその准尉さんは民主グループの者に蝋燭を二三本持たされて、民主グループの者に攻撃を受けた次第であります。これで終ります。
  343. 岡元義人

    岡元義人君 今の新川証人にもう少し具体的に食事の問題並びに人員不足があつたかどうか、そういう点、先程來質問している要旨に対して答えて頂きたい。
  344. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 新川証人御遠慮なく食事その他の問題について。
  345. 新川清

    証人新川清君) 食事の点におきましては、先程中川証人が言つた通りであります。人員は自分はよく分らないのであります。
  346. 北條秀一

    ○北條秀一君 先程上木証人に私は質問したのでありますが、その質問については上木証人はまだ答えておりません。とかく証人諸君証言がものを一般化して証言せられている。食事の問題をとつても、たつた八回の食事しかない、八回の食事を一つ一つ証言し頂くことが、最も事態を正しく把握できる。ところが食事一般はというふうに言われると困る。そこであなたに質問しましたように、惠山丸の食事が朝はどうで畫はどうであるとか、夜はどうであるとか、こういうことについて詳細に説明をして頂きたいと思います。それからもう一つ中川澄雄証人に……。中川澄雄証人は惠山丸の副梯團長として乘込まれたのでありますが、食事の配給は誰が一体責任を持つたか、先程來聞いておりますと、暴行を受けた人は食事が非常に悪かつたと言うし、加害者の方は食事がよかつたと、こういうわけです。それを聞いておりますと、食事の分け方が加害者の方には予め依怙贔屓をしてよく分けた、被害者の方には少い食事を分けたというふうに受取れますが、中川澄雄証人は副梯團長として食事の分配の責任があつたと思いますが、その点について中川証人発言を求めます。
  347. 中川澄雄

    証人中川澄雄君) 只今の御質問でありますが、これは向う梯團の編成をやる際に梯團長それから副梯團長、これは二名であります。その外に給與係、人事係、それから宿舎係、これは上陸してからのことであります。それからいろいろな船内で、作業係といつてもこれは向うにおつたときの労働の面ではないのですが、いろいろな連絡とかそういつた面でこういうものを持つておりました。その給與係がこれを持つたわけであります、実際には……。勿論自分に責任があるのであります。併し依怙贔屓があつたということまでは自分は確認しておりません。その給與係は自分の收容所の者であります。
  348. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今中川証人証言されましたが、食事は中川証人の話によりますと、極めて……極めてでありませんが、一應は公平に分配されたと思うのであります。そうなりますと、公平に分配された食事が、Aにはこれが非常に感謝され、Bには非常にこれが不平の的になつたということは冷靜にこれを判断しかねるのでありますが、各証人の中で中川証人が今言いましたことについて別な考えを持つておられる方、即ち先程食事を感謝して頂いたという方にもう一度諄いようでありますが、お伺いいたします。どなたかあなた方の中で食事の分配の責任を持たれた方があるかどうか、あつたとすれば、その方がどういうふうにして食事の分配をされたかについて、証言して頂きたいと思います。
  349. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 北條委員の御発言のように、食事の責任を持たれて、どういうふうに分配をされたかという具体的に経驗のあおりの方、又それを親しく目撃された方、ございましたらどうぞ御遠慮なく御証言願います。
  350. 本島正雄

    証人本島正雄君) 食事の分配については不公平があつたということはありませんです。それは何故かと言えば、各中隊、或いは小隊毎に船艙に入つておりまして、そうしてそこから飯上げと言うと、予め炊事事場で分配してあるところの桶を取りに行く、そうして取りに行つて部屋の中に持ち込んで、衆人環視のうちに各人に分配するわけですから、誰に多く、誰に少いということはないわけでございます。ただ船が違う場合には、外の船と比べて、この船ではどう言つている、この船ではどう言つているということはできません。  もう一つ北條委員から今、朝の食事が何で、畫の食事が何である、晩の食事が何であつたということを具体的に言えと言われますけれども、すでに五ヶ月経つている。五ヶ月前の食事の朝、畫、晩というものを一々暗記しているということは、ここの委員の方でも不可能であると思います。結局今我我が分つているのは、どういうものが來た、個々の印象的なこと、あのとき量が少なかつたということは、今でも記憶に想い起すことはできるけれども、あのとき細かく帳面に書いておかん限りできないことである。それを要求するならば、何故に五ヶ月経つた今のときになつてこの調査をやるか、あの事件が起つたときに直ぐなぜやらなかつたかということを政府に追及したい。これは明らかに政府のサボであると言えると思います。
  351. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 本島君は委員長から初め警告してあつたことを無視して、委員会において、証人としての責任を越えての発言は遺憾千万であつて、北條君が質問したのは、それが具体的に分れば、そのままに主観をまじえないで証言して欲しいと言つたので、何も一歩突つ込んで、あなたの記憶にないことまで掘ろうとしているのじやない。最前の言葉の中についても、委員長自体がもう少しよく注意して頂きたい。いわゆる限定をせられた範囲内において、証言の中には附加しないということは、明らかに一番初め宣誓してある。それに自分の証言を述べて委員会に対し、或いは政府を攻撃するがごときは、委員会の権威を失墜するものである。何もそういう意見を聞くために我々はこういう委員会を要望したのじやない。いわゆるこの諸君眞実体験されたありのままをお聞きいたして、その素材を以てこれから先に政府に対してどういうことをやるかは、國権の最高機関たる國会がやるのである。あなた方の敢て干渉を俟たない。そういう点ははつきりと委員長はけじめをつけて頂きたい。  それから我々がはつきりとしなければならない問題は、最前上木さんの言葉の中にもいわゆる演説があつた。私たちがお聞きしたいのは、食事が一体どれだけの分量があつて、而も内容がどういうものであるかということをお聞きしているのであつて、それを通して我々はかく要望するとか、かく主張するとかいうような意見も、これも逸脱の範囲であつて、いわゆる宣誓をみずから蹂躙している。この点も委員長は当然注意を與えなければなりません。決して我々は感情でこの委員長の人々は判断をしないで、ありのままの諸君証言を素材として、それから後の問題は、お互いにお委せになつているこの國会の最高機関たるその一つの機能である委員会にお委せを願いたいと思います。  そこで私はこの機会に、最前から北條委員からも御質問があつたから、眞相をよく知るためにお尋ねをしますが、上木さんとそれから本島さんの最前のお話では、食事に対しては大きいスプーンで四杯か五杯か、それくらいの程度で以て、そうしてそれには乾燥野菜が入つてつた、而もその乾燥野菜には生煮えのものがあつた。それだけをお聞きすると、常識のある者であつたら、非常にこれはひどい食事であると思う。併しながらこちらの官廳側の机上において指示しているところの主食の量並びに副食物も明瞭になつているので、皆さんの御意見が正しければ、これは船長その他の者を又取調べる途もありますので、我々は眞実眞実として語つて頂きたいのでありますが、問違いはございませんか。スプーンと申しましても、これくらいの程度の、いわゆる西洋料理を食べるときのスプーン程度のあのスプーンで何杯ぐらいの程度でしたか。而もそれは八食の食事の内に毎回がそうでありましたか。一方には白米を感謝を以て食べたと言い、こういうような対蹠的な、同じ船に乘つている者がその眞実を語るのが喰違つておる。それをよく一つ……皆さん御記憶がはつきりしないというような今本島さんのお話であつたけれども、何か非常なひどい目白くらいに食べさせる、何かそういうものに食べさせるような供給の仕方だつたら私は強い印象として残る、又それには憤激も伴つているはずでありますから、その実際の分量、中味ということが分る程度においてはつきりと、委員長はよく質問して頂きたいと思います。明かなこれは二つの白と黒との対立の表明でありますから、その点がはつきり分らなければならないと思います。
  352. 上木信胤

    証人上木信胤君) 上木であります。今二名の委員の方々が上木の話したことについて一應まあどのような意図の下に説明されたか知りませんが、もう少し委員の方は白紙で以て見て頂きたい。例えば何をやる委員の方であつても……。暴行を受けた者は給與が悪い、暴行をやる加害者の方は給與がいいと言います。私は現地において暴行を受けておりません。又食事というものに関しては、ここに帰つておられる復員者の方々は恐らく全部がこれに賛成して下さると思うのでありますが、向うにおいて限られた食生活、その中において捕虜というものはいわゆる故國日本に帰ることと、食い物のこと、これ以外に関心のないということは実際の姿であります。そうすると、我々は学問もありませんから、何グラムの米を炊上げてこのくらいになる、或いはこのくらいのものを炊上げるとこのくらいになるのではないか、概算的の目分量は分つておりますが、実際にそれを数字的に統計を取つて見る程余裕はないのです。さほど余裕のある環境に又我々はいたわけではないのです。我々が三年間どのように暮しどのような生活をして來たかということは皆さん御存じであります。併し最も関心を持つことは、いわゆる食べ物のことと、それから無事で元氣で以て國に帰る、この二つだけが念願なのです。そうするとこの食事の量の問題に関しても、或いは統計的の数字で以て現わすことはできませんけれども、常識の範囲内においていわゆる向うでも一日の定量というものを我々に明示して、雑穀が何グラム、パンが何グラム、これの炊上りがどのくらいで以て、どのくらいの量で、どのくらいの容れ物に入つておるということを毎日こんな概表を作つて明示してある。それが同じ般内にある。その場合に常識で比較して見ても、最も食い物というものに対して関心を持つておる我々は、これは多いか少いかということは常識で判断ができる。それから前の委員が言われたように、それを数字で以て示せ、それを一食々々を説明しろということは、五ヶ月も前のことを説明しろと言われても、私は分りません。
  353. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 かれこれ御質問申上げるその御質問に対して、ただその問題を率直にお答え願うということを特にお願いを申上げて、新川証人の先の御証言の中に、何か生長の家の関係者が蝋燭をつけて云々というので、一向はつきり様子が分らんでしたが、もう少し暴行に類するどういう行いがあつたかということを率直に御説明を願います。
  354. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 今お聞きの通り生長の家の信者だという方が蝋燭をつけて云々ということをもう少し具体的にして頂きたいと思います。
  355. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 今の問題はシベリヤか般中かを先にお確め願つて、般中でありましたらお答え願いたい。又シベリヤでありますれば又次の機会にいろいろ伺いたい点があります。
  356. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 承知しました。新川証人に申上げますが、シベリヤのことでございましたら又次の機会にお伺いいたしますし……。
  357. 新川清

    証人新川清君) 般中であります。船中では民主グループの者の方が勢力が強かつたわけであります。一例を挙げて見ますれば、生長の家を盛にやつておられた或る一人の准尉が、船内において共産党グループの者の中から船内の或る一箇所において盛に攻撃を受けたのであります。その時に際して共産党グループの者は、その生長の家を学んでいる或る准尉に対して、攻撃している際に、蝋燭を持たせ、盛にその人間に、どうしてお前はそういう時代遅れの人間であるか、今は共産党の時代であるということをその生長の家の或る准尉に盛に言つた。そしてその時に盛に攻撃している最中に、蝋燭を持たされたのであります。終ります。
  358. 細川嘉六

    細川嘉六君 今、新川証人の言われた或る准尉というのは、名前は指せないのですか。
  359. 新川清

    証人新川清君) 指せます。
  360. 細川嘉六

    細川嘉六君 ちよつと言つて……、
  361. 新川清

    証人新川清君) 長島准尉です。
  362. 細川嘉六

    細川嘉六君 どこに住んでおりますか。
  363. 新川清

    証人新川清君) 神奈川縣です。長島准尉であります。
  364. 細川嘉六

    細川嘉六君 神奈川縣、何町、何番地……。
  365. 新川清

    証人新川清君) 住所は分りません。
  366. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 私、上木証人に重ねてお尋ねしますが、私がお願いしたにも拘らず、更に又あなたは感想をお述べになりましたが、あなたは……最前初回の証言の場合には、はつきりその時話が聞えなかつたのですが、スプーンで五杯か六杯食べる食事に過ぎなかつたということを言われて、その後の今の証言では、北條委員の申しましたことに対して、何か意見を述べれて、記憶がはつきりしないから、そういうことはよく分らないということでしたが、一番初めの証言を信憑して宜しいですか。感想は要りませんので、事実を事実として分る程度において申し述べて下さい。それは非常に大事な材料ですから……。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  367. 上木信胤

    証人上木信胤君) ちよつと申し上げます。現在コーヒーに使うような小さなスプーン、乃至普通の昔ライスカレーの食堂あたりで使つておりましたものに四杯乃至五杯と思うのであります。(「進行」と呼ぶ者あり)
  368. 細川嘉六

    細川嘉六君 この食物の問題につきましても、一番はつきりしたことを言つているのは、浅利証人が言われたあの量についての証言だと思うのです。それを元にして、他の方がそれについて反対の意見があるかどうかを確めることは、最もこの食糧についての判断をなすのに都合はよくないかと思うのでありますが、どうですか。
  369. 岡元義人

    岡元義人君 いろいろ又時間も経つて参りますので、もう一人だけこの食事問題に関して北崎証人証言を求めまして、聽きたいと思います。
  370. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 北崎証人に対して、この点に関しての証言を求めます。
  371. 北崎学

    証人北崎学君) 僕が乘つていたのは英彦丸であります。このときの食事の事情を申上げますと、決して多い量ではなかつた。それは向うで食べておるものからすれば多い量にはなつておりますが、僕らもラーゲルの食事の方がなつかしいなということを言つたことがあります。從つて多い量であります、從つて少い。腹が空くとか、そんなスプーンで四杯、そういう量は僕等のところではなかつた
  372. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 成るべき高声で願います。
  373. 北崎学

    証人北崎学君) 非常に感謝をした位だという言葉が出ましたが、量とか何とか、文句を付ければ付けられるのですが、要するに感謝の念を持つてつたというのは、僕等の英彦丸の実状であつたのであります。
  374. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 食糧の問題で、さつきからの証言以外に、特に別の意味の証言をお持ちになつておる方をお尋ねになつて、その証言を求めたい。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  375. 本島正雄

    証人本島正雄君) 腹が減つておるかどうかは、我々の一つの主観の問題であります。或る人は今まで十分に與えられておるものが、今度は若し悪ければ食糧が少いということになる。我我は全部の收容所に渡る糧秣の全部を公平に、十分に配られておる。横流しの事実が全然ないという状況において、非常に惠まれた状態で、十分に食事をして來たのです。自分は医者であつたのでカロリーの計算をしたら二千八百から多い時は四千カロリーの食事をとつておる。  併し又我々も最初の時代には非常に一部の將校並びに経理官をやつてつて連中が、日本側に來るところの糧秣を横流ししてしまう、——或いは自分達の特別食、幹部食とか、將校食とか、將校食という食は決められてあつたのですが、それ以上に砂糖でも皆とつてしまう。  そうして自分達は腹一杯食つて兵達に渡らないということが、初期にはあつた。そういうところから帰つて來た人は、その時より非常に食事がよくなつておるから感就したのだろうと思います。曾ての生活状態が、そういう考え方を決定しておるのではないかというように考えます。
  376. 北條秀一

    ○北條秀一君 私は今本島君の話を聽いて、私の質問しようとする問題の核心といいますか、核心の一つに触れたと思うのです。それは本島君は軍医中尉として、特にこういう問題に相当関心を持つておられたと思いますが、結局船内に乘つて、乘船後或る者は食事に感謝し、他の者はこれに対して不平を持つたというようなことは、その乘船までの彼がどういう待遇を受けておつたかという、彼の乘船前の境遇が、船内の食事を判断する基盤になつたということを、本島君は言つたと思うのです。從つて感謝するばかりとは言えませんが、恐らく本島君の今の証言によりますと、本島君は乘船前におきまいては、可成りな食事をしておつた從つて船内に入ると途端に見劣りがした、だから不平が起きたということを、本島君は言つたと思うのですが、私はそういう意味に理解したのであります。この問題は更に本島君が言つたように、主観が非常に入つて参りますので、これ以上やつて参りましても、この問題は結論を得ることは勿論できませんが、我々はこの程度の証言で、この食事の問題を二分に判断し、今後の引揚促進等に処し得ると思いますので、この程度で議事進行したらどうかと、こういうように考えるのであります。
  377. 細川嘉六

    細川嘉六君 その点については、浅利証人の言つたところの量によつて判断する、それについては他の証人はどうお考えになるか、反対か、賛成か。それで一つ大体のことを我々は判断をして見たいと思うのですが、他に浅利証人証言に対して反対の方はありますか。
  378. 中川澄雄

    証人中川澄雄君) 浅利証人発言は、飯盒一杯を五人で食つたという、大体そんなものです、同じ船です。
  379. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 他に御意見のある方は……。
  380. 細川嘉六

    細川嘉六君 今そうだとすれば、主観的に腹が減つたとか、減らんとかいうのは主観的な面もあるのですが、皆さんは腹が減つた感じを今持つておられるのですか、おられないのですか。あの当時飯盒一つを五人で分けて……それをお聽きしたいのです。
  381. 北條秀一

    ○北條秀一君 只今細川委員質問に関連してでありますが、先程浅利証人が、自分たちは惠山丸に乘つてつたので、他の船のことは分らんというのは勿論尤ものことです。只今惠山丸に乘つておられた諸君からお聞きしたことは、飯盒一杯にスプーン五つという話でありまして、これに反駮する他の証人がこの中には見当らないのであります。從つて比較にならない問題と私は思います。從つて先程申したように、この問題はここで以上の材料で今後判断することにして、議事進行することが正しいというふうに私は考えます。
  382. 岡元義人

    岡元義人君 北條委員提案もありますし、問題は輸送途中のいろいろの問題に対しては、一應この辺りで区切りを付けまして、第二の案件に移つて頂きたいと思いますが、最後に委員長より、いろいろ証拠物件も呈示されましたが、本日ここに出席されておる証人の中で、巷間傳えられておるような十三名の行方不明、或いは三人の死亡者三つの船の中でこの事実があつたか、なかつたかという点に対して、あつた証言し得る人があるかないか。この点お諮り願つた上で、この問題を区切つて頂きたいと思います。
  383. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 証人各位に申上げます。今岡元委員からの御発言のように、この輸送途上における件につきましては、相当審議が進められましたので、この辺で一應打切りまして、委員の判断にまつところもあるのでございますが、ここの骨子でありますところの十三名の行方不明者、三名の死亡者、こういう件につきまして、今まで呈示されました証拠物件によりまして、委員各位に御回覧願つたのでございますけれども、何等その根拠を認めないということでございますが、これについての証人側の御意見が反対でないか、反証でもあるということでございますならば、一應伺いたいと思います。
  384. 高次武治

    証人高次武治君) 今の途中で亡くなつたという人の申出があつたそうですが、それは今私が出しました名簿と、亡くなつた以上は、誰それ何という名前かがはつきりわかつておることと思います。それでその人の名前を照し合わして、その姓名と、その名簿と照し合して見て、あるかないか、もう少しはつきりして頂きたいと思います。
  385. 岡元義人

    岡元義人君 今の証人の申出は、非常に御尤だと思うのでありますが、まあ一應細川委員に大体そういうような、その後何縣の何郡の誰々が死んだというようなふうに、わかつて來たものがありますか。多少時日が経過いたしておりますので、もう事実あつたとすれば、大体わかつておるのじやないかと思うのです。若しそういう心当りがあつたら、この場でお述べになつて頂いていいのじやないかと思うのですが、この点一つ細川委員からお答え願いたいと思います。
  386. 細川嘉六

    細川嘉六君 人数が足らないという報道、それから死者があつたという報道、三名ということであります。そのうち、それについては私らにはまだ確実な事実が、確実としての報道を手に入れていない。証人を持つていないのであります。併し繰返して言つているように、これは報道として傳わつているのであつて、これの眞僞を確かめなくちやならんというのは我々の立場であるが、今ここでの証人証言では、そういうものはなかつたということになつております。併しながらここに集つておる証人というものは、我々が材料蒐集のために一應の更宜として選定したものであります。これは全國に亘つて、もつと証人を求めるという手を打たなければ、これははつきりしない問題です。ただここの調査は一應のことで始まつたものであります。それでありますから、ここの証言で片付かないと私は思う。やはり怪我人があつた。或いは死んだ者があつた。そういう疑い、それはここで片付けようとしても後に残つて行くことは爭われないことだと思うのであります。私としては今質問にありました確かな事実を持つているかということは、持つていません。持つていないだけに、この報道の事実が、又沢山の人に傳わつたのですから、これを解消するだけのことをやらなければ、これは消えない。私はここで何とか彼とか言つたところで、ここでその証拠が上らんと言つたところでそれは残ります。ですから、ここでは今度の証言では二日間やつても、これを片付けようと思うのは無理だと思うのです。
  387. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 実はこれは只今はこの証人に主として証言を求めて、そうして我々が從來から問題になつてつた問題を如何に取扱うかの基礎を作ろう、こういうわけでありまするから、ここで今その問題を、只今細川委員の問題をかれこれ私は駁論をしようとは存じません。存じませんが、今のようなお考えでこの証言をお聽きになることは、幾ら我々がこういう会を開いても、所詮のないという結果になつてしまう。これはやはり証言証言として本日は率直に我々が聽き、且つ証人証言がごまかしであるならば、法律で処罰をし、或いは正しいのであるならばその通りに聽くという態度を以て臨んで行かねばならんのではないか。こう存ずるのであります。從つてこの点につきましては、細川委員に対しましても、私はこの委員会としてさような意味を以てこの証言一つお互いに採り上げて行こうではないか、こういうことを申上げたいと存じます。    〔「異議ない」「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  388. 岡元義人

    岡元義人君 今の問題は私が何故細川委員質問したかと申しますと、只今高次証人よりいわゆる船長の立場から、いわゆるその当路の責任者である証人から申出があつたのでありまして、これは当然細川委員にいたしましても、道義的にもこの問題に対してはやはり回答を與える、こういうのが筋道だと考えたのであります。苟くもこの問題に対しまして、巷間傳えるがごとく、船長がこれに対して、そういうような疑いの目で以て見られているということは、私は船長のこの人権に対しても我々は違つた点から又見るべき点が多々あると思うのであります。その点に対しては良心的に我々委員の者はこれを答えて上げるのが私は妥当ではないかと考えましたので、御回答を求めた次第であります。
  389. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 私は最前草葉委員から言われたように、これは非常に重大な問題でありますので、非常にくどいようでありますけれども、事件をはつきりして置きたい。それは二つの……この恵山丸の食事問題で、最前と同じように対照的な事実の告白があつた。これは私は被害者とか、加害者とか、大体そういうふうに考えること自体がもうすでにいけないことであつて、私は何らの色はない。全然白紙でここへ出ている。そういう意味でお尋ねしている。最前浅利証人とそれから中川証人の言によれば、飯盒一杯のものを大体四人か五人に分けたという、これは二度に亘つて証言であります。そうするという飯盒は四合でありまするから、一人前八勺になる、五人として……。ところが現在の食事情からすれば三八二十四で、当時の食事としてはまあ大体定量だと私は思う。しかし片一方の上木証人はスプーン四杯ということを一番初めと第三番目に述べておる。そのスプーンに山のようにつけるかどうかは別として、普通の常識からするならば、そこに非常に喰い違いがある。同じ船の人でスプーンで四杯だという、片一方は飯盒を四人、五人で食べたと、この量の喰い違いが記憶の不確実から來た表明の違いとなつておるかどうか。この点大事な素材でありまするが故に、もう一度重ねて私はお尋ねをして、私の質問をこの問題に関する限りにおいて打切りたいと思います。
  390. 淺利篤

    証人淺利篤君) 只今先程の証言に対しまして重ねて問題になりましたので、もう一回はつきりと申上げます。飯盒一杯を四合入ると、それができ上りでなく炊く前の米をもつて四合入るということを私たちちよつと今のお話の中に考えたのでありますけれども、我々貰いましたのはでき上りで飯盒一杯五人で食べたというのであります。米を、そのままのまだ炊いておらない米を四合頂いて五人で分けて後で加工するというのではないのであります。更にその中に米ばかりでなしに馬鈴薯の蔓を乾燥したのが、つまりこれを先程乾燥野菜と言つておりましたけれども、軍隊におりましたときには、乾燥野菜というと別なもう少し若干高級な物を乾燥野菜と私たちは称するように言われて來たのであります。それからスプーンで測りました際に、飯盒には掛盒というのがあります。途中にお菜を入れる奴です。これがやはり四つか五つ、正確なところは分りませんが、四段か五段重ねますと、丁度飯盒一杯くらいの高さになりますが、從つてあの掛盒で一杯が私たちの一食分である。それも平らに入れて……ということが言い得るわけであります。その掛盒に入つたものをスプーンで測りますとどういうふうに、いくら盛り上げてもというのではないのですが、固めた奴を盛るというような、そういうようなのではなくして、極く普通に取りまして、固飯ならば、私が測りましたときには実際いく口あるのかというので、暇でしたからやつて見ましたけれども、五杯で全部であります。スプーンで……。そのスプーンというのはこのくらいの大きさのスプーンであります。この上へ物差を当てて寸分違わないだろうと思うくらいです。私は画描でありますから画きますが、これくらいのスプーンで五杯であります。この上に勿論盛上りましよう。固い飯ですから、このスプーンで五杯であります。これが一食の量であります。尚もう一つ乾パンの問題は一向に追及されておらないようでありますが、乾パンは晝食事に四十個支給され、更に金米糖が五粒支給されております。これが乾パンによる一回の食事量であります。金米糖が五粒、乾パンが四十粒であります。これだけを私は船中で支給されました。証言を終ります。
  391. 細川嘉六

    細川嘉六君 食糧が足りたという。大友証人、あなたはさつきから黙つておられるが、浅利証人の話はそういう状態です。あなたはどうですか。
  392. 大友高雄

    証人大友高雄君) 船が違うのであります。私は高砂丸です。
  393. 岡元義人

    岡元義人君 先程私が提案いたしましたように、委員長は私が先程提案いたしました十三名の行方不明と三人の死亡の何はない。若し証人の中で発言を求めることはないということを確認されたならば、その上で、第一次の問題を一應打切つて、第二の案件に移つて頂くようにお願いいたします。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  394. 北條秀一

    ○北條秀一君 議事進行の前にちよつと発言いたします。只今岡元委員議事進行に賛成でありますが、今浅利証人の食事のことを申されましたが、先程上木君が自分は当時のことについて、よく覚えていないということをいいますし、浅利君は乾パンのことについては何ら追及がないと不平がましく申しました。そういうことがあつては困ると思つてつたのであります。あなたは詳細に記憶されているようでありますが、食事について、もう少し知つておらるる点を述べて頂きたい。
  395. 淺利篤

    証人淺利篤君) 加工いたしましたもので論議されている、私達加工しましたものを受取つているのでありますけれども、何故に食糧の問題で多くの疑念が……分け方といいますと、船舶から乾パンを引上げて甲板上の炊事に持つて行く際に、さつき上木君が証言しておりましたような事件、私は実際に乾パンを引上げる使役といいますか、その仕事に携わるものを使役といいます。使役に出ましたそのとき、上木君だつたかどうか私は知りません。併しながら、そのとき先程上木君が証言いたしましたように、はつきりとその船員達が、乾パンを懐にねじつた、幾粒かそれはわかつておりません。片手でちよつと掴んだ程度で、更に沢山の人々が、夜船員の人が甲板上の……ちよつと何か船長が上に上つて見ておりましたが、その上の方で麻雀をやつておりました。そのときに私達は麻雀をやれるような世の中かなあといつて若干羨ましいような氣持をもつてそれを見ておりました。乾パンが皿の上に盛られて、それをぽりぽり食いながらやつているわけであります。誠にいやしいような話でありますけれども、少くとも百粒くらいの乾パンが乘つかつていると言つてつた者がある。誰が言つたのか忘れましたが、私も麻雀は好きでありましたから見に行つてその乾パンを食つているのを横から実際見ました。そういうことが沢山の噂の種になつているのでありますけれども、実際見た点、実際に私が体験しましたところだけ申上げます。それから汁や何かの問題でありますけれども、これは矢張り先程どなたかが証言されましたように甲板上で分配をいたします。飯盒を持つて行つて、うちの分隊は十何名であるというふうに言いますというと、一々飯盒を三個持参いたしまして、その中に二杯といくらかを貰うわけであります。これを分配する場合に、矢張り眼を皿のようにして見ております、みんな……。飯付けといつておりますが、それを矢張りぎよろぎよろしながら見ているのであります。ですから比較的にこれは公平に行われたということが言い得るのであります。そういう点におきまして私達は何にも不満を持つているものではなくて、ただ全体の量において先程私が言いましたように、五人で一杯の飯盒が渡るということが果して何か引揚者に対する予算や何かの面から割り出して、それが適当なカロリーを與えるものであろうか、そういうことを追及したいと思うのであります。そのために昂奮してこの飯盒の問題と言うわけであります。  それからさつき上木証人が言いましたが、二、三杯と初め言いましたか。四、五杯と言いましたか分りませんが、ここに書きました程度のスプーンで私これを計ります。これは今でもみんなそのスプーンを持つているわけであります。私のところでは子供が現に使つておりますから、御参考までに取り寄せろというなら取寄せることもできます。(「進行々々」と呼ぶ者あり)
  396. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行動議が……
  397. 細川嘉六

    細川嘉六君 君、止めるのか。
  398. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 簡單に……
  399. 細川嘉六

    細川嘉六君 今浅利証人証言で大分はつきりしました。援護廳の井家証人田中証人はどう考えますか。あなたは食事が足りていると言つているが、それは惠山丸では食事が足りるのか、他の船がそれと異なるのかどうでありますか。
  400. 井家伊作

    証人井家伊作君) 船の方の食事は船の方に基準量の食糧を積みまして、そうして船をして炊爨さして引揚者に食べさしておるのでありまして、直接援護局内におけるようなものを見ておりませんので何とも申せませんが、恐らく先程來二、三の証人から証言がありましたように、如何にも船の中において不正といいますか、どうかしておるようなことが云々われましたけれども、そういつたことは私はないと思う次第であります。ただ乾燥野菜とかいろいろの問題がございますが、援護局は生野菜を食べさしておりましたが、船では供出の関係であるとかいたしまして、生野菜をそう沢山積まれないために乾燥野菜になることもございます。又生魚肉、先程申しましたように一日百五十グラムということになつておりますけれども、それも時によりまして乾燥魚類になることがあるのでありまして、そういつた点から申しますとやはり基準量なのでありますが、やや足りる時は味が陸上ほどないのじやないかということは考えられます。けれども先程お話を聽きますというと、少すように思うのでありますが、一日の食糧がスプーンでどなたかは三杯か四杯、又浅利証人は確か五杯だつたとかように云われますけれども、それでは余りにも少な過ぎるように思うのであります。その点は私は信じられません。
  401. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行について一應動議を出しまてし、北條委員から賛成が出た以上は、これは正規に運営をすべきだと思います。私は先程細川委員が仰えるという発言がありましたが、もつての外だと思います。正規の運営を委員長お諮りを願いたいと思います。議事進行が出る前に出たなら別でありますが、一應賛成があつた以上は正規の取扱いを願います。
  402. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 先程來動議が出ておりましてこの方を早く解決すべきであつたのでございますが、委員長は成るべく証人証言を出して頂きたいという心から、少し動議の取り上げ方が遅くなりましたが、今朝來、輸送中に人員が足りなくなつた、十三名足りなくなつて、三名死亡した。こういう事件について、これに関連していろいろ問題が起つたのでございまするが、やはり食物の何とやらと申しまするが、食事の点に集中されたのでございまするが、当時現場におきましてもそうでございまするが、相反して御主張が出ましたけれども、配給生活をしております上におきましては飽食をしておるという人は殆んどないと存じますので、多少の空腹を感じられたということも私共もさもあろうと存じますが、その程度につきましては相反した御意見が出ておりますので、これは後刻委員各位の良識によつて御判断を願うことにいたしますし、先程の十三名の行方不明者、三名の死亡という点につきましては、細川委員からも御意見が出ておるのでございまするが、そういう行方不明者を死亡者はないという反証は船長から明らかに出ておりますし、その人員不足したということは認めない。正しい人員であつたという証言はございまするけれども足りなかつたという証言をなさつた方は一人もないのでございまして、細川委員の言われまするように、今後全國的に調べればどういう資料が出て來るかも分らないではないかという御意見でございますが、かようなことになりますると、これは当委員会の負うべき問題ではないと存じます。これは範囲を超えるのではなかろうかと存じますが、この点につきましては、現在のところそういうことはないという証拠だけ、或いは証言が出ておるだけでございまするので、この問題は現在のところ反証が出ておるだけでございます。それで一應この問題を打切らせて頂きまして、次に第二点の舞鶴援護局内における暴行事件の原因並びに経過について審議を始めたいと存じます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  403. 岡元義人

    岡元義人君 第二の案件につきまして、先ず順を追いまして……先程証人の中からも御注意がありましたが、十一月一日英彦丸、十一月二日惠山丸、十一月三日高以丸、こういう順序で船が帰つてつておりますが、暴行事件を先ずこの順序に從いまして証人関係の各委員の御質問を願つたらいいと思うのでありますが、先ず第一番に十一月一日の事件が起きておりますのは海岸便所から始まつておるようでありますので、尚この点の大体の経緯をば井家証人から経緯をお話して頂きまして、そうして下中証人、佐々木証人証言をば求めたいと思うのであります。
  404. 井家伊作

    証人井家伊作君) 昨年十一月一日は英彦丸から御承知のように三千名上陸いたしました。その人たちは三千名でありまして、人数が多かつたので、第二寮と第三寮とに分けて宿泊したのであります。これより先十月三十日に永徳丸から二千人、これは第四寮に入つております。そうして英彦丸人たちが入寮いたしました、その日の晩に先に入つております永徳丸の三人の人が出掛けて來まして、これは後でだんだん私聞いたのでありますが、その寮の中に入りまして、そして呼び出しまして、その時刻もはつきりしませんが、たしか第一回は九時半頃と思いますが、西側の第二寮の海岸便所で中角という加害者が山本圭次郎という者に暴行を加えたのでありますが、第一回目の山本圭次郎は大した被害はなかつたのであります。第二回目はそれより三、四十分後の十時をちよつと過ぎた頃と思いますが、同じように第四寮から出て参りました、鴛海と佐々木の両名が下中、重光の両名を同じ西側の便所で相当の暴行を加えた。ちよどう私まだおりまして、英彦丸の中隊長を集めましていろいろ注意して、特に暴行事件などはやつて呉れるなと懇々と話した。そういう説明が終つたとき、先の第二寮の諸君が今あすこに何か起つておりますというので、直ぐ飛んで行きましたところ、加害者がちよつと待つて呉れという、私は冗談言つてはいけないと言つて直ぐ止めさせました。そのとき便所の隅の方に倒れておつた人があつた。早速警官も飛んで参り、加害者を連れて行きました。被害者の方は直ぐ起ち上つて顔を洗い寮の方に入つて行きました。大体こういつた経緯でございます。
  405. 岡元義人

    岡元義人君 ちよつと今の井家証人証言が報告書と喰い違つておりますが、第一回目は今御説明になりましたように九時三十分と証言なさいましたが、それから佐々木という名が出ましたが、そして相手もはつきりと名前があなたから今御説明があつたのですが、この二点お答を願いたいと思います。
  406. 井家伊作

    証人井家伊作君) やはり第一回は九時三十分、第二回は十時十分頃と、こういうふうに取扱つております。こういつた時間などは実際の時間から申しますと、多少の何はあるかと思いますが、私はこういつたふうに取扱つております。  それから第一回目の加害者は中角利夫、被害者は山本圭次郎、第二回目は加害者は鴛海金雄、佐々木四郎、被害者は下中範雄、重光齊次、こういう関係でございます。
  407. 岡元義人

    岡元義人君 先ず下中証人よりどういう事情でこういう処置を受けたか、その経緯をば証言して頂きたいと思います。
  408. 下中範雄

    証人下中範雄君) 舞鶴で起つた事件、これを單に舞鶴のみに起つたことによつて、これを解決することはできないのでありまして、舞鶴における暴行事件は結局ロシア、シベリアにおりました当時からのいろいろな経緯、これを説明しないと分らんのであります。それで最初から話しますと非常に長くかかりますから、簡單に経過をお話してそして事情を述べて見たいと思います。我々がシベリアに入りまして、先ず最初は旧軍隊制によるところの、絶対的な支配権、これが收容所内において確立しておつたのであります。そして総てが元の旧軍隊制によつて、將校対下士官、或いは兵、こうした事情の下に総ての作業或いは將校には当番をつけるとか、或いは飯上げの時には、將校のところに兵隊の当番が食事を持つてつて、そして食べさせるとか、そういつた天皇制支配機構のその儘をロシアにおいて敗戰後も約一年近く続けておつたのであります。併しその後において一部の何と言いますか、兵隊の中においてインテリゲンチャであるとか、或いは旧將校の中の、ちよつと氣のきいたような人達が、これじやいかんというようなことを言い出しました。それと同時に兵隊の中にも、これに対する反撥が起きてきた。先ず最初の鬪爭は旧軍隊制の打破、古い悪い習慣、これに対して將校を打倒するということが、これは殆んど全シベリアも同じだろうと思いますけれども、勿論その期時は早いか遅いかということは、その地区によつて違うと思います。そういう運動が展開されたのであります。併しこういうふうな運動によつて、展開されて出てきたところの、民主化運動、民主主義者と称するところの者達が、この民主化運動の上にあぐらをかいて、実際の作業から退いて、自分達が営内に残つて作業に出ないで、いい生活をするとか、或いはロシア側とうまく提携をするとか、そういつたことが起きてきたのであります。その後において……。
  409. 北條秀一

    ○北條秀一君 証人発言中でありますが、我々は只今証人の述べております点につきましては。各委員共相当理解されておりますので、先程岡元委員の話もあるように、直接十一月五日の事件の核心に触れて言つて頂きたいと思います。各委員の御意見に沿つて委員長、裁決して頂きたいと思うのであります。
  410. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) なるべく核心に近寄せてお話を願います。
  411. 下中範雄

    証人下中範雄君) 勿論その核心に近寄せて、それを説明するために申上げます。併し先程言いましたように、一般的なものは存在し得ない、特殊的なことは説明しなければならんと思います。或いは暴行事件がいろいろあつた、併しその暴行事件もこのことだけを一般的に見ることはできない。その事件々々のその各特徴又は原因というものがあるのです。そういうところもやはり説明するためには、勿論私は先程断わつておきましたが、長くならないように話をするつもりでありますが、それを説明しないと分らんと思います。
  412. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) なるべく縮めて……
  413. 下中範雄

    証人下中範雄君) それでその後において、この運動に対するセーフ運動が起りまして、本当に働く労働者、働く勤労者の中からこのボス達をぶつつぶすところの運動が起つた。こうした過程の下に我々がおつたのであります。帰る途中において、我々がカラカンだにおりましたけれども、カラカンダ地区を発しましたのは、十一月三、四日だと記憶しております。この帰國の際に我々は非常に特殊な事情にありまして、各收容所から三、四十名づつ限定された人員が出て、一つの收容所に集結するわけであります。そしてこの第十收容所があつたのでありますが、そこが今迄非常に何と言いますか、作業成績が悪い、勿論炭坑も非常に悪かつた、それでパーセントが非常に上らなかつた。そのため第十收容所が携つてつた炭坑が廃坑になるために、第十收容所は全員を挙げて帰還するというふうな状態になつたのであります。ところがこの第十收容所に、元各收容所において將校であつたり、或いはそうした特権的な立場にあつた人たちで、一つの例を挙げますと、作業量計算係という職業がありますが、大部分の働いたものを計算をしてそれをロシア側と交渉をしてパーセントを貰うこのパーセントは常に向うにおる我々の生活状態の基準になるものであります。働いただけのものを貰う、そのことによつてより以上よく働けば余計パーセントも上る、賃金も沢山貰える、我々の生活状態は非常に樂になる。そういうような仕事をしておつたところの一人の將校でありますが、これが自分のそうした特権をほしいままにしている。——事実働いただけを貰わないで、さぼつてそうしてロシア側の女とふざけておつたとか、ロシアの女の乱痴氣騒ぎをしておつたとか、そういうことによつて他の收容所から追放されたり、もう一つの收容所から第十收容所に追放されたり、そういう人たちが第十收容所におつた。出発する汽車に乘りこむときに、各收容所からこの人間は何とかして我々より先に帰しては困るというようなことまで言つてくるような人まであつた。そういうふうな人たちも一緒に汽車に乘つてずつと乘つてきた。ところが列車中において各收容所から集つて來人たちによつて摘発されたわけです。結局いろいろ向うで悪いことをやつたとか、或いは虐待したとか、そうした連中が摘発された。そうしてナホトカに着く前に全員の決議によつてこれをロシア側に報告して乘船させない、そういうような状態にまでなつた。勿論当時私は列車に乘ると同時に列車内におけるところのセーフ運動をやるために、闘爭委員長になつて、そうして輸送全般の輸送委員長ナホトカに着く約四日前に交代しまして私が全般の輸送委員長と闘爭委員長の両方を兼ねまして、そうしてナホトカに着いたのです。ところが結局そういつたことは、我々が提出した事件は勿論ソヴィエト側としてもそんなものを取入れることはできない、そういうふうになつた。そうしてそれじや取入れなくても勿論我々がそういうことをやつたのは、取入れられるとか取入れられないとかということは第二義的な問題として、そういうふうに今まで特権階級の下に苦しめられた人たちが、闘爭によつて自覚するということが、根本の目的だつたのであつて、それでこの人たちと同時に船に乘るようになつてつた。(「委員長本論」と呼ぶ者あり)ところが船がナホトカに着いて、ナホトカから船に乘る前に私たちの部隊が三箇梯團に分けられまして、第三回目の一番最後の船に乘りました。
  414. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) なるべく本論を……。
  415. 下中範雄

    証人下中範雄君) ナホトカに上陸しまして、当時私は梯團の人事係りをやつておりました。最後に入つて來ると同時に、三名の人があすこに持つてつて下中つてつたぞ」ということを聞きました。そのとき一緒におつたのがここに居られる薦岡証人でありまして、薦岡証人は副梯團長をやつておりました。私は人事をやつておりました。二人が上つて來るときに、三名の人間があすこの入口に立つてつて下中つてつたぞ、覚悟はよいか」、こういうような言葉がありました。私は勿論それが何のためにそういうことを言われたか、彼らが嫌がらせを言つたということも、私もよく分つておりましたから「うん」とこういうふうに答えて、梯團の本部に入つて夕方の七時頃だと思いますが、向うの寮の方から連絡がありまして、お前のことで大分うるさいことを言つているというような話も聞きました。そうしてから八時頃になつて、一人の全然見知らない人でありましたが、下中君はおるかというふうに呼びに來ました。それで私は「おる」と言うと、「ちよつと下の方で呼んでいるから來てくれ」「じや行こう」そういうわけで下りて参りました。それがさつきもいいましたように、西側の便所の囲いの中であります。そこに下りて行きますと、ここにおられる佐々木証人がおられまして、こつちに來いというので、中に入つて見ますと、そこにすでに三名の人間が暴行を受けて、男便所でありますから穴があります。その中に顏を突つ込んでぶつ倒れておりました。そこに行きましたら多分六、七人いたのだと思います。その人たちがおりました。名前はよく存じておりません。併し殆んどが列車内でいろいろ言つてつた人達なんです。前から私と一緒の收容所におつた人ではない。ただ輸送になつて、汽車に乘つたときに一緒になつた人達ばかりです。そうして行きましたら、呼ばれた理由は分るだろうというわけで「こつん」と一つやられた。それと同時に私は鼻血を出しましたから倒れたところが、なんとかいろいろ喚いておりましたが、それからずつと手ではなく靴で蹴る、顏面或いは腰などを蹴飛ばされた。俗に言う編上靴、あれで踏んだり蹴つたりされるような状態になつて、殆ど意識がなくなりまして、自分の部屋にどうやつてつたかということは覚えておりませんが、とにかく部屋まで暴行を受けた後に帰りました。部屋に入つて梯團長、今日お見えになつておりませんが、梯團長や薦岡さん、こういう人の治療を受けたのですが、翌日になつて目が開かないし、耳がちよつと破れたらしい。そのために翌日じやない、その晩ですが、復員の業務を全部頼みまして、それから副官の自動車で舞鶴の病院に行つた。そこに出て來られておつた人達の殆んどが昔そういうふうな特権的な立場におつた人なんですね。その報告のあれは、現在東京におります福田猛というのが当時列車中全般の意見を集めて、闘爭委員会の書記をやつておりまして、その人間に聞けば殆んど内容が分ると思います。新聞に傳えられたところによりますと、人民裁判によつて行われたというふうに言つております。向うにおいて同胞を虐待したところの指導者達がテロに遭つて倒れた。こういうふうな血祭りに上げられたということを京都新聞は報じておりました。若し我々が運動を間違つて向うでそうしたことをやつたのであつたならば一緒に帰つたところの、同じ收容所におつた人達の手によつて我々はやられている。勿論そういつたことも、そういつた事珍の下に行われてテロ行爲もあるにはあつた。併し全部が全部そういうふうに見てとられるということは、そうして、尚且つそうしたことを堂々と新聞に発表せられたことは、私は非常に問違いじやないかと存ずるのでございます。なにかその外のことにつきましてありましたら……。
  416. 岡元義人

    岡元義人君 尚後程又佐々木証人に対して御質問があると思いますが、尚この際佐々木証人証言を求めて、それから梯團長でありました薦岡証人証言、それを終つてから委員が御質問をされたらいいじやないかと思う。佐々木証人証言を求めたいと思います。
  417. 北條秀一

    ○北條秀一君 ちよつとその前に上中証人質問しておきたいのでありますが、下中証人に暴行を加えた人達は、特権階級に属する人間であるというが、それは軍隊におけるところの特権階級であると思いますが、その暴行を加えた人達は、元はどういうふうな階級に属したか、下中証人証言を求めたいのであります。
  418. 下中範雄

    証人下中範雄君) 特権階級というのは、結局民主運動というようなことにぶら下つて、そのために大衆を酷使したり、いろいろなことをやつたために、後の反撥があり、そうしてそれになつた人達であつて、これは將校もありますし、兵隊もあります。將校に対しては、これは古くからずつとそうした特権的な立場におつて、早く頭を切り換えたというような恰好になつて、そうして相変らずみなの労働を搾取するといいますか、みな一生懸命で働いている者に対する適当な報酬とかそういうものを取ることをサボつたり、或いはそうした兵隊、下に働いておる小隊員とか中隊員、こうした人間を働かせることによつて自分だけがよい地位におつたとか、或いは作業をやらせるために、この間「暁に祈」……吉村隊の報道がありましたが、あそこまで行かなくても、熱を出して非常に体の弱つておる人間を作業に出し、このためにその人間は死んでしまつたというようなことまであるわけです。そういうふうな人たちのことを言うのです。
  419. 北條秀一

    ○北條秀一君 そうするとこの下中証人舞鶴において暴行を加えた人は、曾てシベリアにおいて下中証人を酷使した人間だというのですか。
  420. 下中範雄

    証人下中範雄君) 私ではありません。
  421. 北條秀一

    ○北條秀一君 シベリアにおつた人たちでそういうふうな地位にある……或いは巷間に傳えられるところのアクティヴといいますか、そういうふうな人たちを言うのじやないですか。
  422. 下中範雄

    証人下中範雄君) アクティヴじやないです。反対です。最近それに入つている人たちもあります。そういうふうなことからアクティヴに入つていることによつてこれを利用して行つて、これを大衆に看破られたために落された、そういう人たちを中におります。結局これは自分の収容所の人は全然おらんのであります。全部他の収容所の人たちが全員の名を以てそういうことを提出した。それによつてこつちはいろいろ聞いたりなんかしたことなのです。
  423. 北條秀一

    ○北條秀一君 下中証人にお伺いしますが、それではあなたはその暴行を受けたときに、佐々木四郎証人を知つておりましたか。
  424. 下中範雄

    証人下中範雄君) 下りたすぐ階段のところで佐々木証人が……。
  425. 北條秀一

    ○北條秀一君 いや、佐々木四郎証人を知つてつたかという意味は、前から長く……。
  426. 下中範雄

    証人下中範雄君) それまでに…汽車の中で知つておりました。
  427. 北條秀一

    ○北條秀一君 佐々木氏は前にどういうふうな仕事をしておつたのですか。
  428. 下中範雄

    証人下中範雄君) 佐々木氏はこれは別に自分たちの方で、全部のその車輌におる人たちから、さつきつたようないろんなことが挙げられたのです。というのは、これは佐々木氏の場合は……。
  429. 北條秀一

    ○北條秀一君 それではお伺いしますが、佐々木四郎なる人ももと旧軍隊においてはどういう階段に属しておつたか、それを下中証人は知つておりますか。
  430. 下中範雄

    証人下中範雄君) はあ、兵長だつたし思います。
  431. 北條秀一

    ○北條秀一君 兵長だつたのですか。
  432. 下中範雄

    証人下中範雄君) はあ。
  433. 北條秀一

    ○北條秀一君 あなたは上等兵だつたのですか。
  434. 下中範雄

    証人下中範雄君) はあ、そうです。
  435. 北條秀一

    ○北條秀一君 佐々木証人は今あなたのいわれたような特権階級に属する人間であつた。それは旧軍隊においてもそうであつたし、同時に又捕虜のラーゲルにおいても、そうした特権階級に属するような人間であつたのですか。
  436. 下中範雄

    証人下中範雄君) これは軍隊でなしに、捕虜になつてから、これはたしか佐々木証人に対しては、間違つておるかも知れませんが、たしかロシア語は非常に堪能だつたと思います。そのために通訳というようなことか或いは作業係というようなことか、そういうふうな仕事をしておつたらしいのです。それでこの人と一緒におつた人たちの中から、その作業をやつておるときに何かごまかしたとか、それから或る一つの作業をやつてつたときに、一人の熱発患者があつたのを無理に叩いて働かした、そのために本人は亡くなつたのというような証言が出て、それと同時に非常に列車内においても権力を持つておる、それに対する反感で、同じ車輌の中から言つて來たわけです。それで全員に聞いて見た。併しこれに対する証拠というものが、非常に不十分なのです。それでこれは全員の討議にかけるということは止めましてそうして佐々木氏に、そういうふうな事情によつて、あなたを摘発するようにしたけれども、証拠が不十分であるから取止めるということを通報しました。
  437. 北條秀一

    ○北條秀一君 もう一つお伺いしますが、下中証人ナホトカに着く四日前から輸送委員長になりまして、輸送委員長のあなたの指揮下に佐々木証人は入つてつたのですか。
  438. 下中範雄

    証人下中範雄君) 勿論そうです。
  439. 北條秀一

    ○北條秀一君 はあそうですか、あなたの隊員で、簡單に言えば隊員だつたわけですね。
  440. 下中範雄

    証人下中範雄君) 途中列車内で四日ばかりです。
  441. 岡元義人

    岡元義人君 先程岡元提案したのですが、北條委員が途中から発言になつたのですが、あの順序で一つ動議が出しておりますから、一應聽いて佐々木証人及び薦岡証人証言を聽いた上で、尚いろいろな問題が出てくるからして一應聽いてからやつて頂くように一つ動議として提出します。
  442. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは佐々木証人証言を願います。
  443. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) 只今下中証人の話とは多少食い違がございます。と申しますのは、私は俘虜ではありませんので一般抑留者でありました。從いましてソ連におきましてラーゲルも三ヶ所変りましたが、主として抑留者収容所であります。当初はアルマタの第三収容所、ここは白系ロシア人から中國人、朝鮮人、蒙古人、それから日系の官吏というような方を主体とした所に二ヶ年半、それからカラカンダに参りまして、第二十四分所、ここは一部帰還されましたので残りの三百名と、それから將校が六十名、ドイツ人が約百名、兵が約百名という、約六百名ぐらいの収容者、これはテント生活でありまして、夏季のみそこにおりましたのでありますが、それからその後に四十二名が選に入りまして、いよいよ帰還になることになりました。残りのドイツ人はドイツ人の収容所に入つております。それから残りの日系は第十九分所という所に移りまして、私共選ばれた四十二名が第十六分所に移つたのであります。この間私はたまたまロシア語を知つておりますので通訳もやりましたし、労務の関係の仕事をやりました。やらされましたことと反対に、あらゆる場合にソ連側の職員と激論を闘わしまして、例えば食糧の問題にしましても基準量を絶対に確保せねばいかん。それから労働賃金の問題にしましても、完全に我々に支拂うところの労働賃金は支拂わなければいけない、と、常に勇敢にソ連の方と闘いまして、数多の人たちから佐々木がおらなければいかんという程まで言われておりまして、アルマタの第三収容所が閉鎖いたしますときには、特に残されまして、ラーゲルの決算事務をやり、カラカンダの二十四分所が閉鎖しますときにも選ばれてそこの決算事務をやつて十六分所に移つたわけであります。從いまして私共抑留者が主体となつておりましたところのラーゲルでは、他の地方、他のラーゲルと違いまして、民主運動は非常に低調でありました。或いは低調という言葉が当嵌らないかも分りませんが、私共のグループの中には元共産黨員の立派な方もおられましたし、満洲國の元大臣級の人もおりましたし、それから指揮官も二名程おりましたし、とにかく相当年輩者がおりました関係上、若い人たちが盛んにやつて脱線しつつある民主運動を、それらの人たちが是正をして行つた関係上、民主運動は非常に地道な民主運動をやつてつたのであります。從いまして私共がおりましたラーゲルにおきましては、何らそういつたことは起らなかつたのであります。たまたま十二月初旬に私共一行帰るようになりまして、汽車中に乗り込んだのでありますが、私共は一行四十二名だけでありますので、殆ど大多数の人は知らない人ばかりでありました。けれども汽車が丁度イルクーツクに進行して参りましたときに、下中君初めその他の数名の人たちが、現在の輸送指揮官は、いわゆる輸送委員長は闘爭サボをやつておる。この列車の中にはいわゆる反動的分子が相当おる筈だ。これら反動分子を摘発しないということは闘爭サボである。ここにおいて我らは反動摘発闘爭委員会というものを設けて、そうして反動分子は内地に還さないで貰おうということをソ連側に嘆願をして、そうして残そうではないかという案が纒まりましたのでありますが、この案が纒まるときにも、合法的な民主的なやり方ではなく、一部のそれからの有志の人たちがでつち上げたというような形になつてつたのであります。
  444. 北條秀一

    ○北條秀一君 成るべく核心に触れて行くように願いたい。
  445. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) そう直ぐでございます。そういうようなわけで、列車の人たちは非常に恐怖心を起しまして、誰が一体反動として摘発されるだろうか、誰が残されるだろうか。すべてそれらの人たちは、僅かの数名のその委員たちの言うことを誠に御尤もであるという工合で、反対される人は一人もなかつたのであります。反対すればそれは反動分子として摘発されるという虞れがあつたために、すべてがその少数の委員たちの言うことを聞いて纏まりました関係上、途中からいわゆる下中氏が委員長となつて、鬪爭委員長と輸送委員長となつてナホトカの港まで参つたのであります。それで私共は蔭ではああいう無茶なことをやつちや実際困る。日本では恐らく引揚運動を盛んにやつておるにも拘らず、反対にソ連に残して貰うというような運動をすることは、日本人お互い同志が共喰いするような状況になるので、誠に怪しからんというような氣分が相当あつたのでございますが、ナホトカの港におる間中は誰もそれを口に出すことはできなかつたのであります。次第に話が本論に入つて参りますが、それから予想よりも二日程遅れまして船に乘船しまして、私たちは永徳丸で舞鶴に上陸したのは十月の三十日であります。その晩にも一部民主裁判というようなものがあつたのでありますが、これは大した暴行をせずに、名前は忘れましたが、誰か一人の方が、彼らは過去において、こうこうこういう悪いことをしたのだ、如何に取計うかという問題が出ましたときに、その方を取るに足らん男だからわしに一任さして呉れということを申出たので、皆はそれに対して何ら暴行も加えないで済んだのでありますが、翌日に英彦丸でありますか、この船が入つて参ります。そのときも、もうすでに明日大物が來るのだから、明日制裁を加えなければいかんというような声が非常に多かつたのであります。丁度その船が参りました晩に、誰が一体どういうことをするのかというふうに思つておりましたら、時間は、その首謀者格とでも申しますか、その人の言われたのは、九時頃に行くということを申しておりました。それで私たち寢もうかどうかと思つておりましたが、丁度その人たちが制裁を加えに行くということを聞きましたし、又その方たちが出て行つたことを周囲の状況からして察知しまして、私共はあとから出掛けて行つたのであります。で私はなぜそういうふうにそこに出掛けて行つたかと申しますと、舞鶴に帰りまして援護局の我々に対するもてなしが、私たちが想像しておりました予期に反しまして、非常に我々に鄭重であつたこと、それらに対して私たちは非常に感激したのであります。敗戰國の日本が我々に対して斯くまで配慮をして頂くのか、その一つは感激の問題。それからもう一つは、どなたか、星野さんでございましたか、参議院の方が、議員の方などは、促進運動のために断食までやつて大いに運動を続けているというようなことを、私たちが聞きましたので、それに加えてあの一部の委員の連中は誠に怪しからん奴らだ。民主運動は宜しいが、民主運動を脱線するも甚だしい。私もなんとかチャンスを捉えて、彼らに対してこの誤まつた民主運動を今後継続しないように、正しい明るい日本を建設するために方向を轉換させなければいかん。反省をさせなければいかんというために、私は後から出て行つたのでありますが、丁度その頃にもう便所の中には相当の人が入つておりました。そしてやがて下中君なども呼び出されて來たのでありますが、余り暴行が激しいので、下中君には、私が多分、君らのやつた行爲に対しては全く日本人として心外に堪えない。今後如何なる運動をするか。兎に角新しい、明るい日本を建設するために、協力して貰わなければいかんということは申し上げた筈であります。そうして話している中に、もう既に彌次馬が相当おりましたので、その連中が殴る、蹴るというようなことになつたので、私は暴行をする氣持で行つたのではない。ただ注意をして上げたいという氣持で行つたのでありますが、それが暴行するのじやなくて、今度はむしろ止めなければいけない。あの多数の彌次馬に殴られたならだ、必ず死んでおります。それを私たちと、それからまだ止める人もおりましたし、殴る人もありましたし、相当あの便所の中に混雜いたしまして、時間にしまして二時間以上掛りましたでしようか、結局最後に、このままではいかんから警察官に保護願をしなければいかんということで、出掛けようとしたら、向うから二名でしたか三名でしたかの警察官が見えまして、そうしてその人たちに事情を話して、警察官は被害者を連れて参りまして、そこに最後まで残つたのが、先程名前が出ました鴛海さんでしたか、私と二人だけになつたのであります。そして警官のおりますところに参りまして、そうして私は住所はこういう者で名前はこういう者だ。それからもう一人の人は、私は加害者だということを申して、そうして、ああ御苦労だつた、君たちは帰つても宜しいということになつて、私共は帰つてそれから寢んだのでありますが、帰つたときは恐らく十二時ぐらいじやなかつたかと思いますが、時計がありませんので時間は、はつきりしたことを分つておりません。以上であります。
  446. 細川嘉六

    細川嘉六君 これは質問できないのですか。
  447. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 続いて薦岡武証人から証言を願います。それが済みましてから質問願います。
  448. 薦岡武

    証人薦岡武君) 私は殴られた現状を目撃してはおりません。下中君と同じ梯團におりましたので、下中君が殴られて帰つて來たのは知つております。で、これがどういう原因で、こういうようになつたかということも分りません。終ります。
  449. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 薦岡証人に申します。そのときの噂とか、取りどりの話もございましたでしようし、そんなことを身近かにお聞きにならなかつたでしようか。
  450. 薦岡武

    証人薦岡武君) 聞いておりません。丁度その当時、援護局関係の調査書類、それからアメリカ軍関係からの調査書類の用紙の分配とか、書き終つたものを取り纏めるとか、そういうような仕事をしておりましたし、私自身も米軍の方から二日に亘つて取調べを受けましたし、余り下中君のことについてこれを調査する余裕がなかつたのであります。又梯團長の方が下中君と同じ方の地区から來られておりましたので、私はこのことについては立入つておりませんです。終ります。
  451. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 浅利証人にお尋ねします。鬪爭委員長というのはどういうことをするのですか。又鬪爭の相手は誰でありますか。
  452. 細川嘉六

    細川嘉六君 もう質問しても宜しいのでございますか。
  453. 下中範雄

    証人下中範雄君) 鬪爭委員会ですか、結局今まで大衆の上にあぐらをかいて皆を虐待した、或いはなんといいますか、作業面においていろいろ皆をこき使つたとか、そういうふうな連中ですね。こういう人たちを、皆の大衆の力によつてこれに対して鬪いをする。そういう意味の鬪爭委員会であります。
  454. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 そうすると、やはり相手は日本人ですか。
  455. 下中範雄

    証人下中範雄君) そうです。
  456. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 そうすると、あなたは汽車の中でナホトカに着く一週間か、五日ぐらい前に、選挙されてなつたというのですか、
  457. 下中範雄

    証人下中範雄君) そうです。
  458. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 そうすると、その引継ぎになつてから、そういうようなあぐらを大衆の上にかいて搾取なら搾取したというそれらの事実は認識は、何か材料かなんか、書物か、その他で引継ぎされたのですが、前の鬪爭委員長がおつたのですか。改めて初めてそういう日本人を相手としての鬪爭委員会というものを作り、その委員長となられたというのですか。どちらです。
  459. 下中範雄

    証人下中範雄君) そうです。新しいものです。結局皆の中から声が起つて來たんです。今まであいつはこんなことをしておつたんだ。あんな奴らを帰すのであつたら、シベリアでまだ一生懸命に働いておるあの人たちを帰すのが本当じやないか。これらの声が皆の間に起つて來たのでそれらの声が結局鬪爭委員会という名前に盛り上げられて來たんです。この鬪爭ということは、前も申されましたか、内地におきましてもこれはあらゆる意味において鬪爭という名前が強く行われておりまして、ただ單に鬪爭委員会という名前でこれはおかしなものであるということは、言えないと思います。
  460. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 それはあなたお疑いにならんで、結構です。僕も引揚者で、動乱の満州で誰がどうやつて誰がどうしたかということはよく分るし、僕自身ピストル或いは機関銃を何十回と突きつけられた男ですから、そういうことは御心配なく……。ただ鬪爭委員会の構成の径路と委員長の選挙がどういうように行われたかということを、お聞きすればいいのです。
  461. 下中範雄

    証人下中範雄君) 委員長の選挙は、各車輛のアクティヴがおつて、最初は私が委員長になる筈でなかつた。重光という人がおつて、その人がなる筈であつたんですが、その人が退いたので、全車輛のアクティヴが諮つて、その結果私が鬪爭委員長になつたんです。
  462. 細川嘉六

    細川嘉六君 下中証人にお尋ねしますが、さつき專断的に君が鬪爭委員長になつたというような話でありますが、その選挙というのは、各車輛でそれぞれ相談してあなたを推薦したということなんですか。
  463. 下中範雄

    証人下中範雄君) 結局、列車中と言いましても、朝から晩まで汽車は走り続けております。停つておる間は食事の分配と石炭の分配、このような時しか汽車は停らん。それと余程大きな、何でありますか、余程大きな所の駅ですね。そうした所しか停らないわけです。だから全部を集めてみんなの人の前でやるということは、これは不可能であります。ところが各車輛から、各收容所別に車輛に人員がおるわけです。この收容所の中において代表者に選定された列車長であるとか、或いは直接みんなの世話を見る人間であるとか、そうした全員の力によつて代表された者が、始終会議で、眞中に一つの輸送委員会というものがありまして、そこに集合していろいろなことを相談したり、そこで決まつたことを各車輛に持つて行つて話をする。だから、結局各車輛において代表された人たちの選出によつて決定があり、その人たちによつて各車車輛に連絡されて、各車輛から出されたということになれば、これは專断的にいうことは言えないわけであります。全体から選出されたということになると思います。
  464. 細川嘉六

    細川嘉六君 下中証人に……、誰が悪いとか彼が悪いとかということの決定は、それはどういうふうに決定しましたか。
  465. 下中範雄

    証人下中範雄君) それは、いいとか悪いとかいうことは全員の決定により……。
  466. 細川嘉六

    細川嘉六君 つまり一言で言うと、民主主義運動に反抗した、サボつた人たちを悪いとあなた方は言つたのでしよう。そういう人たちをどうして決めました。少数者が專断的に決めたのですか。
  467. 下中範雄

    証人下中範雄君) 少数者じやないのです。全員の力です。この人間はこうだからと言つて予め我々は出すことはできません。我々は全然他の收容所です。他の收容所の列車内にいる人たちは、今まで苦しめられて來た、一生懸命働いて苦しめられた兵隊の中から期せずしてそういう声が盛上つて來たのです。全般の輿論になつて來たのです。
  468. 細川嘉六

    細川嘉六君 それでは專断ではないというわけですね。
  469. 下中範雄

    証人下中範雄君) 專断じやない……。
  470. 細川嘉六

    細川嘉六君 佐々木証人とあなたとの考えは、聽いていますというと、下中証人の方は民主主義である。その方の味方をやつた。佐々木証人の方は民主主義運動の極端を防ぐ運動をやつてつたというのだが、民主主義運動の極端ということを言いながら結局何をやつたか。その点が私疑問になるのだが、下中証人はあの証言は証拠不十分だから取消してとあなたさつき言いましたね。
  471. 下中範雄

    証人下中範雄君) はあ。
  472. 細川嘉六

    細川嘉六君 それは民主的に選ばれた委員が民主的にこの人の功罪を決した。そうして下中証人はその決定に從つて佐々木証人の責むべきではないということを決定した。極めて当然のように思うが、あなたの考えでは、收容所にいたから、そういう待遇を……、打撃を受けられたのですか。殴られたというのですか。佐々木証人にラーゲルでぶたれたのですか。
  473. 下中範雄

    証人下中範雄君) 佐々木証人は直接自分に手を加えたかどうとかいうことは分りません。階段を降りる時に眞先に佐々木証人に会つたのです。そうして向うに來給えということを聽かされた。
  474. 細川嘉六

    細川嘉六君 その後の交渉は分らんのですね。
  475. 下中範雄

    証人下中範雄君) 私は佐々木証人に殴られたということは、自分は分らんです。
  476. 北條秀一

    ○北條秀一君 佐々木証人に聽きますが、第一は先程下中証人が、あなたは元兵長であつたという話でありましたが、あなたはロシア語に堪能な兵長であつたかどうか……。
  477. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) 私は旧軍隊においては上等兵でありまして、併し終戰の直前八月の十一日にハルピン市の防衞隊に應召を受けまして、その防衞大隊は十六日に解散しております。從いまして十六日の夜中に私どもは家に帰りまして、十七日の朝たまたまロシア語を知つておる関係上、ロシア語を知つておる数名の人間と諮りまして、どうしてソ連側の司令部の方に飛込んで行つて、今後來るべき問題、北満の救済問題に大いに活躍しようということで、その後十二月の十日まで私は救済会の本部員として、特にロシア司令部関係との渉外部門を担当しまして、糧秣、藥品、燃料その他の物資の獲得に殆んど活躍したのであります。十二月の十日に騙されて連れて行かれまして、そのままあつちに持つて行かれこつちに持つて行かれたわけです。
  478. 北條秀一

    ○北條秀一君 続けて聞きますが、要点だけ聞きますから、要点だけ答えて頂きたいと思います。あなたがナホトカで乗船するときに、下中証人は、あなたと他の二人が、合計三人が、下中よく待つていたということを言つたということを下中証人は先程言いましたね。それをあなたは記憶しておりますか。
  479. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) 私は記憶しておりません。
  480. 北條秀一

    ○北條秀一君 それでは一遍々々立つたり坐つたり大変ですから二つばかり続けて伺います。先程佐々木証人の言葉の中に、下中という男は取るに足らん男だから放つて置けということを某氏が言つたという話が……。
  481. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) いや、それは違います。それは三十日の晩に永徳丸で帰りました仲間の中にもその関係の委員がおつたのです。その委員たちを民主裁判らしいものにかけましたときに、内海さんだつたと思いますが、これらは取るに足らんものだから俺に一任して呉れと言いましたところが、大衆は賛成というのでその人たちはそのまま暴行を受けなかつたわけであります。
  482. 北條秀一

    ○北條秀一君 分りました。先程証言の中に暴行は二時間続いたということでありますが、その証言は間違いありませんか。
  483. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) いや続いたというのはずつと継続したわけではありません。私は途中から丁度下中君が二階から降りて來ましたときにチャンスがあつたから皆に謝つた、民主運動をやつてつては困るというので、チャンスがてら仲裁しようということを言つたのでありますが、そのときに丁度下中君が降りて來ましたので、皆は向うの便所の方だよと言つて下中君に言つて、私も行つたのです。これは多分下中君に注意したはずであつたと思いますが、よく記憶しておりませんが、その附近に沢山おりました彌次馬連中が、もう話をする必要はないということで、殴る蹴るしました関係上、結局私は止めざるを得ないような状況になつたのであります。
  484. 北條秀一

    ○北條秀一君 下中証人証言によりますと、下中証人が佐々木証人と恐らく一緒に行つたんだろうと思いますが、そのときは便所の中にすでに三人か、男便所の便壺に顏を突つ込んで倒れておつたということでありますが、その点はあなたは確認しましたか。
  485. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) はつきり分りませんが、下中君が行つたときに二名か三名すでに倒れておつたように記憶いたします。
  486. 北條秀一

    ○北條秀一君 どこに倒れておりましたか。
  487. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) あそこの便所は沢山仕切りになつておりますが、一番先の方の便所の一番突当りの方です。
  488. 北條秀一

    ○北條秀一君 もう一つお伺いしますが、十二時頃警察官の所に行つたときに、御苦労であつたという話で、あなたが十二時頃自分の部屋に帰られたと言いますが、その間、警察官とあなたの間にどういうふうな会話が行われたか、それについてお伺いします。
  489. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) それは結局私も物好きとでも申しますか、最後まで、最後まででもないのですが、結局警察官の來るまでおつたことになりましたので、警察官が見えたものですから、大半の者は姿を晦ましました。そこに残つたのが私と多分鴛海という方だつたと思いますが、二人だけが残つたわけです。それでその被害者の方たちを警察官が連れて参りましたのに、私も誠に物好きだつたと思うのでありますが、私も皆を送つてその警察官の派出所まで行つたのであります。それで君はどういう人だというから、私はこうこうこういう者だ、鴛海さんは君は殴つたのか、私は殴りましたということをはつきり申上げておつたように思います。それから続いて警察官は被害者に対して一々沢山殴られたのかと聞かれましたのに対しまして、いや大したことはない、痛くないか、痛くありませんというような程度でありましたので、それでは君達明日もう帰るだろう、遅くなるから早く行つて寝め、御苦労さんでしたということで、私と下中さんはそこから帰されたのであります。でその後被害者連は私連とは別行動で私より遅くそこを出たと思います。
  490. 北條秀一

    ○北條秀一君 最後まで被害者と一緒にあなたはおられたそうでございますが、そのときの被害者は一体何人であつたか、又その傷の程度はあなたが見た目でどの程度であつたか……。
  491. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) 何名でありましたか。三名か四名かよくはつきりしておりません。ただそこには下中君がおりませんでした。
  492. 北條秀一

    ○北條秀一君 もう一つその際に加害者であるところの鴛海と申しますか、私は殴つたんだと言つたことに対して、警察官が殆んどなにも言わずに御苦労であつたと言つたように私は聞くんですが、それに対してあなたはどういうふうに考えましたか。
  493. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) それまでの間には勿論相当の会話がありました。どういうわけで殴つた、それからなんで殴つたというようなことを質問を受けました。それで殴つた理由としては、先程私が申しましたように、車中で、つまり反動鬪爭摘発委員会というものを速製で作りまして、そうして車中の人達に非常に戰慄するような氣持を抱かせたということに対しては、実際大多数の人は非常に反感を持つてつたのであります。從いましてあの現場を誰かが止め立てしなかつたならば、恐らく死者ができたような事件になつてつたかも知れません。併しその問題につきましては……。
  494. 北條秀一

    ○北條秀一君 その際に警察官とあなた達の話合いのときに援護局の人が來ましたか。來ていたとすれば、どういうような被害者に対して処置をしておられたか、一つお述べを願います。
  495. 佐々木四郎

    証人佐々木四郎君) よく存じておりませんが、私達が話をしております間に元カラカンダ第十分所の大隊長元少佐の方の、名前は忘れましたが、この人が呼ばれまして、どうして暴行事件が起つたのかというような質問をされておりまして、それに元大隊長の方がとにかく彼等のやつた行爲は暴行ぐらいじや済まない。非常に同僚をいじめつけたので、いわゆるその制裁だということで、結局警察官の方もまあそれならしようがないじやないかということで、それから一つには、被害の程度が被害者の口から出ましたのですが、大したことはありません、大して殴られなかつた、軽微ですというようなことと総合して、それで私と鴛海さんも直ちに帰したわけじやないかと私は考えます。
  496. 岡元義人

    岡元義人君 議事進行について……。只今北條委員質問はすでに本日冒頭に提案いたしました第三の問題に属する範囲に入つてしまつたと思うのです。もうすでに予定の時刻も経過いたしましたので本日の審議はこのくらいで打切りにして頂きたいと思います。尚明日にこれは引続くために、佐々木証人とそれから下中証人に対しまして一應次の点を御考慮して置いて頂きたいと思いまして、この質問を留保して置きますが、問題は明日までに答えて頂くのでありまして、その列車中で、列車に乘込んでナホトカに帰る。ナホトカに行かれるその途中、ナホトカに行かれるときは内地に帰るという正式な許可を貰つておられたのかどうか。あなた方が一緒に來られた中からいわゆる民主グループですか、先程鬪爭委員長という名前が出ましたが、委員長の指名に基きまして何名が帰られないように残されたのか。そうして先程細川委員から御質問がありましたが、その選挙法について事実下中証人の言われるような選挙法が行われたのか。いよいよ残すという人間はどういうような審判によつてこれが判定されたのか。この点において明日の委員会の冒頭に引続いて質問を留保いたしまして、今日の委員会を閉じて頂くように動議を提出いたします。
  497. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今岡元委員から明日までにということの一つの問題に触れますが、これは今丁度その眞相を確かめて置く必要があると私は思いますので下中さんにお尋ねして置きます。あなたが鬪爭委員長となつて、現実にあなたの兄弟であるべき日本人を何名或いは何十名か何百名か知らんが帰さないような何か候補者を選ばれたですかどうか。その選ぶについては少数幹部の諸君と予め打合せされたかどうか。又現実において帰ることができないようにした人数がどれだけあつたか、この二点。それから更に私はこれは全証人に向つて一應お尋ねして、そうしてそれに應じて事実でありとするならばお答えを願いたい。本日証人としてお出ましを願う事前に何か我が在外同胞引揚問題に関する特別委員会委員諸君と文書を以て或いは往復し、或いは上京後何かこれらの特別委員会委員諸君とこれらの問題に関連して御面接をなすつたことがあるかどうか、又何かそれによつて指示を受けられたようなことがないか、これは大事な問題でありますから全証人に向つて私はその有無を一應お尋ねして置きます。以上三つ質問お答えつたならば、外に緊急の御質問がなければ、その條件において條件付で岡元委員動議に賛成をいたします。
  498. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 只今のことに対して下中証人それでは御発言……。
  499. 下中範雄

    証人下中範雄君) 今御質問がありましたどういう方法によつてそういつた人達を摘発したか、これに対しては別段輸送委員会の首脳部がこれを先きに審議したとかそういうことはなくして、大衆の中から出て來たのであります。皆各車の中からあいつとあいつはこういうことがあつた。勿論それを言つて來たときにこちらで一方的に取上げません。だから佐々木氏のように証拠がない。佐々木氏に聞いて見ても全然そういうことは知らん。じや、これは幾ら片方だけで言つても駄目だと、これは全然取上げません。勿論そうしたふうによつて摘発された人たちは、事実それがあつたものであれば、それはもう白伏しております。そういうことをやつたことがある。そういう人たちに対しては我々は皆の意思を代行して連絡をしました。併し事実一人も残しません。一人も向うには残りません。
  500. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではその委員のどなたかに連絡のありました方はおつしやつて頂きます……。おありにならないようでありますから……。
  501. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 今の問題に丁度関連しておりますから、大分時間を経ちましたが、一、二の問題について下中証人にお尋ねしたいと思います。その前に特に委員長にお願いして置きますのは、先程來、加害者と被害者と、ここにありまするような意見を聞きますと、どうも我々は証人証言を聽いておつて、これが事実であるかというようなことを疑うような、いわゆる把握しにくいような問題がある。これは一つよく証人にこの議院における証人証言などの法律についての内容をお話願つて、僞証があれば相当な処分を受けるから、はつきりとありのままを明日も答えて貰うように一つ注意願つて置きたいと思います。  それで私は下中証人にお尋ねしたいと存じまするのは、鬪爭委員という名前であつたか、先の佐々木証人のお話では反動摘発鬪爭委員、こういうむずかしい名前になつておりましたが、何か明確なそういう名前があつたかどうか。それが一つと、それから委員は何名で、どうして選んでおられたか、この二点を一つお尋ねしたい。
  502. 下中範雄

    証人下中範雄君) 名称は反動摘発鬪爭委員会、この委員の選挙法は各車輛から代表者がもうすでに沢山できておりました。その代表の中から選定して出したのであります。
  503. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 この沢山の代表者がすでにできておつたというのは、イルクーツクから以後でありますか、最初からそうでございますか。或いは下中証人委員長となられる前の委員の組緯と、その後における委員と、それから大体何名であつたか。こういう点をお聞きしたい。
  504. 下中範雄

    証人下中範雄君) 各車輛の代表者は、輸送開始と同時に各車輛によつて別に選出されて、各車輛の代表者と決つておりました。  それから輸送委員会であります。この輸送委員会はあそこの收容所を出て、列車に乘り込む前に輸送委員会というものがすでに全員の名によつてでき上つてつたのであります。それから人員委員会の方は確か七名だつたと記憶しております。
  505. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 その輸送委員と、鬪爭委員とは同一人であつたかどうか。それからもう一つ伺いたいのは、かような問題の反動摘発鬪爭委員というようなものを輸送の途中で同じ連中が作るということよりも、むしろ、さようことであれば、各々の收容所においてそういうのがなさるべきものであつて、愈々帰りぎわになつて、輸送途中でそういうことになつたという経緯がありましたらそれを伺いたい。私の申上げるのが呑み込めないかも知れませんが、反動摘発鬪爭委員というようなのが邦人間において仮りに必要であると、我々が認めるような状態でありましたら、むしろ收容所においてあつて然るべきものであつて、それがわざわざ輸送途中に、いろいろナホトカへ近づく四日程前からあなたが委員長になつて、そうして反動摘発鬪爭というようなものを設け、場合によつてはその人たちをいわゆるあの冷寒の地に再び三度残そうという処置を取ることは、むしろ常識的に考えられないのじやないか。さような反動的な人であるならば、それぞれの的も明度であるべき收容所においてすでになされておるべきものであつて、それがなされずに輸送途中でそれがなされるということは妥当性を我々は欠くような氣がするが、これに対してはどういう経緯であり、又どうお考えになつてそういう処置をお取りになつたか。
  506. 下中範雄

    証人下中範雄君) そのことについてはまず一番最初に説明してあるはずですが、これは具体的に話さなかつたから分らなかつたかと思いますが、この輸送を行つたときは、さつきも言われたように、そうした人間があつたが、これは向うの收容所においてすでに摘発するのが妥当じやないかと、こういうふうに言われましたが、今度帰りに挙げた人たちは結局各收容所から追放されて一つの收容所に纏まつてつたのです。すでに向うで……。それがその一つの收容所が一遍に帰つて來る。自分たちが元いた收容所は少しづつの人員が帰つて來た。だから、すでに向うの收容所で行つてつたのですが、輸送の関係で一緒になつたもんですから、そこで爆発したわけです。
  507. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 もう一、二点で結末をつけます。そうしますと、具体的に佐々木証人を摘発して参りましたのは、どういう系統の、どういう委員であつたか。そうしてこれに対してあなたはどういう取扱を、さつきちよつと触れましたが、なされたか。それからもう一つ薦岡証人に対して、先程舞鶴であなたは輸送関係で事務の方をやつてつた。それで全然分らんようなお話でしたが、あの暴行事件のあつた直後においてその負傷状態その他についてお調べになつたかどうか。そのお調べになつた、或いはお聽きになつた状態においてどの程度の症状であつたかということをこの次にお答え願いたい。
  508. 下中範雄

    証人下中範雄君) 佐々木四郎証人に対しては、同一車輛内においては同じ昔からおつた人たちからこうこうこうした理由があるということを言つて参りました。それで私たちはそうか、それならやはり皆がそういうふうな氣持でおるんだつたら聞いて見なければいかんというわけで、佐々木四郎証人に來て貰つて、そうして聞きましたところが、佐々木四郎証人は、そうしたことは絶対にない。自分は、言つて來た人の方に対して、じやあ、どういうふうな証拠があつてそういうことを言うか。証拠を出してそれを追及しようとして、あなたはいくら言つてもだめだと、そういうふうに言つたところが、証拠を出すというわけで、いろいろ連れて來ましたが、その証拠が全部不十分なんです。そこで佐々木四郎証人ところに木村隆一という同じ委員の人がおりましたが、これが直接佐々木証人ところ行つて、あなたのことをそういうふうに摘発したけれども、調べたけれども、それに対しては確固たる証拠もないし、これで打切るから非常に御迷惑をかけたということを言つて來ております。    〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  509. 岡元義人

    岡元義人君 どうもこれは非常に又次々に質問が出るのですが、先程動議を出しまして、矢野委員から賛成があつたのです。正式に動議が成立しておりますから一應お諮り願いたいと思います。(「進行々々」と呼ぶ者あり)一應進行の問題もありますが、すでに今日の委員会については前以て通報してあります通り四時から全國代表の協議会等の対面の時間もすでに一時間も待たしておるわけであります。こういう状態になつておるのでありますから、私の動議を取り上げて頂きたいと思います。
  510. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 薦岡証人証言だけやつて頂いたらどうですか。
  511. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは薦岡証人証言だけに止めまして、あとの御質問は遠慮して頂きます。では薦岡証人簡單にお願いいたします。
  512. 薦岡武

    証人薦岡武君) 下中さんの負傷工合については大体その当時自分の見ましたところでは、十日か二週間ぐらいかからなければ癒らないだろう、入院された方がいいだろう、こういうことでありました。その他の暴行事件については、他の寮であつたということは聞きましたが、別にそれ以上のことは聞きません。それからなお私は事務の方を主としてやつておりまして、こういうような統制をとるというようなことは梯團長の当然の仕事でありますので立ち入つておりません。
  513. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは証人の方に一言申上げておきます。今朝宣誓をして頂きまして勿論その趣旨は御了承頂いておることと存じますが、議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律の六條に、若しも虚僞の御証言がありましたときはこれに罰則が付いておりますので、どうぞその点十分御了承の上、虚僞の御証言のないようにお願いを申上げておきます、本問題については委員側の質問証人側の証言等盡くるところを知らない状態でございますけれども、時間も相当に経過しておりますし、まだ委員会としては後の予定もございますし、先刻來動議も出ておりますから、この辺で委員会を閉じたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  514. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それではこれで散会にいたしますが、明日は午前十時正確に御出席を願います。長時間誠に有難うございました。    午後四時五十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     紅露 みつ君    理事            天田 勝正君            岡元 義人君            星野 芳樹君            鈴木 憲一君    委員            淺岡 信夫君            草葉 隆圓君            伊東 隆治君            小畑 哲夫君            木内キヤウ君            北條 秀一君            穗積眞六郎君            矢野 酉雄君            細川 嘉六君            千田  正君   國務大臣    厚 生 大 臣 林  讓治君   政府委員    厚生政務次官  淺岡 信夫君   証人    舞鶴市警察局警    備課長     城田 秀雄君    舞鶴引揚援護局    経理課長    田中 半治君    舞鶴引揚援護局    業務部長    井家 伊作君    舞鶴國立病院医    官       琢磨 照夫君    英彦丸船長   高次 武治君   事件直接関係者            針ヶ谷豊次君            大友 高雄君            佐々木四郎君            新川  清君            本島 正雄君            淺利  篤君            下中 範雄君   事件を目撃した引揚者            上木 信胤君            國井 誠一君            板垣 文助君            源田 松三君            薦岡  武君            北崎  学君            越川 弘司