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説明員(岩武照彦君) 前回の
委員会におきまして御
要求がありまして、
引揚者の繊機の許可並びにその扱いの方針等につきましてお答えをいたしたいと思います。最初の御
要求は、昭和二十二年
商工省令五十五号の、繊維設備実態
調査において、
調査委員中に
引揚者を入れなか
つた理由如何ということでございました。これは御
承知のように、当時
商工省令を以ちまして繊維機械、なかんずく織機等の実態
調査をいたしたわけであります。この
調査の対象は、当時ありました臨時建築等制限令の附則で、一定設備以上のものを届けて頂きまして、それについて実際あるかどうかという
調査だ
つたわけであります。その当時は人間の
関係及び
予算の
関係等がありまして、我々
商工省等至地方の商工局の職員が、全部出向くというわけに行きませんものでありましたから、便宜上当時ありました同業者
團体等の人を利用したわけでございます。從
つてその
調査員の中には、
引揚者の方々が入
つておられなか
つたかと思いますが、ただ
調査いたしました対象は、その附則によりまして、届出があ
つた設備をや
つたわけであります。
引揚者の方々が実際に
調査の委員にな
つておられようがおられまいが、実際的な問題といたしましては、公平に処理いたしたわけでございますので、差異はないかと
思つております。尚この省令による
報告が出なか
つたもの等も大分あ
つたようでございますので、その後期限を限りまして、約一年間延長しまして、昨年の三月末までに申告であ
つたものにつきましては、第二回の復元のときに
計画におきまして、それを第一次の
調査洩れということで、実際あるかどうかを確認しまして、登録織として認めておるわけであります。
それから第二の御
質問は、明年度の綿スフ織機の復元
計画と、その場合における
引揚者に対する許可方針如何という
お話であ
つたと思います。明年度におきましては、実は綿スフ織機については復元
計画を持
つておらないわけでございます。と申しますのは、前回申上げましたように、綿スフ織機は根本になります紡績の設備或いは原料の輸入の
状況等につきまして、
相当設備が過剰にな
つておりまして、かたがた司令部等からも、企業整備をして積極的に業者の数を減したらどうかというようなこともあるようでございますので、新規設備を復元するという
計画は立てておらないわけであります。ただいろいろの
資料等で、或いは復元
計画という
数字に載
つておるようなものもあるかと思いますが、これはむしろ昨年におきます、或いは今年度におきまする復元
計画実施上等におきまして、我々の方は資材が足りませんものですから、資材を付けないので復元許可をしたというようなことがあるわけであります。そういうふうな、すでに許可したものの資材だけを二十四年度において若干穴埋めしよう、つまり機械業者の手持の資材を融通して、織機を作
つたものに対して、後から埋めてやろうというような資材を若干見ておりまして、これを復元
計画と仮りの名前で呼んでおりますが、これは新らしい許可ではなくて、すでに許可したものの資材の裏付ということで、復元許可という字を使
つて復元
計画に織込んでおるわけであります。
それから第三点にありました漁網の方の、蛙又網、又は本目網の漁網の織機の復元の
計画があるかどうかという
お話でありましたが、これも同樣の理由を以ちまして、明年度におきましては漁網の新設の
計画を持
つておりません。これは織機と同じ理由でありますが、尚漁網特有の事情として申上げますれば或いは御
承知と思いますが、昨年以前におきまして
相当農林省
方面の御希望がありまして、
相当の数量を新設許可をして参
つたのであります。ところが実際におきまして
相当簡單な機械でありますから、工事は進捗しておりますが、そうして又漁網の原料の綿糸の配給も
相当いたしておりますが、どうも漁村
方面の水揚高が少ない
関係等もありまして、なかなか漁網引取り、或いは代金の支拂いも遅いというようなことで、漁網製造業者の方が、比較的積極的でない問題もありますのと、今
一つはそういう
関係で折角配給しました綿糸につきましても、或いは横流しがあるというふうな、忌わしい噂を耳にいたしておりますので、これはむしろ新らしい設備を殖やすというよりも、從來からある設備を十分に稼働さした方がいいんじやないかというふうな心組みにいたしまして、二十四年度におきましては、漁網については新設、復元の
計画は持
つておらないわけであります。
尚御参考までに申上げますが、綿スフ織機の稼働率で、我々の分
つております
範囲は、新らしい例としまして、今年二月の例でありますが、それによりますと綿スフ織機は約十七万臺あります中で、年間におきまして、稼働しました織機の数は僅かに十万臺であります。つまり六割前後というふうな操業率であるわけであります。漁網の方はもつと高いかと思いますが、そういうふうな
関係でありますので、一應綿製品に関します設備の復元、或いは増加とい
つたものは打切りたいという考でございます。
それから第四点としまして、二十三年度の第二次の綿スフ織機の復元の中に、海外
引揚者の枠を二百三十台と定めた理由は如何ということでありましたが、そうして尚これにつきまして細かい台数等の御
質問があ
つたわけであります。これは
調べましたところ、経緯は次のようにな
つておるわけであります。これは復元
計画書を昨年の三月末日までに希望者から提出して頂いたわけであります。当時の
引揚の方々の希望された台数が丁度二百三十台であ
つたわけであります。尤も
引揚と申しましても、我々の
考えておりますのは、やはり或る
程度技術、経驗等を所有されておる方の新設というふうに
考えたわけであります。今まで一回も織紡等の業をや
つておらなか
つた方が新らしくするというのであ
つたかもしれませんが、海外においてそういうような事業を営まれた方で、
内地において新らしく織布業を営まれるという御希望のあ
つた者が、南洋紡績という会社と、それから木原繁という方でありますが、合計二百三十台、一應枠を二百三十台と決めまして当時復元
計画の台数から優先的に枠をと
つたのでありますが、その後若干の申請がございまして、中嶋という方及び村上喜平という方の申請がございましたので、そういうような台数に應じまして、二百三十台の枠の中で、以上四件に対しまして同じ比率で割当したわけであります。御参考までに申上げますと、南洋紡績に対しましては四十四インチの織機二十四台、木原繁という方に対してはタオル織機百二十三台、廣幅の綿織機四十一台、中嶋という方に対しては四十四インチの織機三十四台、村上喜平という方に対しては、同じく四十四インチの織機八台ということにな
つております。その後又こういうような
引揚の方々の申請があ
つたわけでありますので、当時一應復元の枠は決めております。司令部等と折衝いたしまして、その後の増加は困るということでありましたが、止むを得ないという
状況もありましたものですから、更に八十七台追加いたしまして希望の方々の事業再開を許可したわけであります。御参考までに申上げますと、中林好雄という人に対して四十四インチの織機十台、兵庫縣の中尾という人に四十四インチの織機七台、嚴原喜久一という人に四十四インチを二十台、東絹紡織、これに五十臺ということにな
つております。これにつきましては、資材の方も優先的に割当をいたしますし、又資金等につきましても復金の融資だとか、同じく復金でありますが、代理貸等の
措置を講じてや
つて來たわけであります。併しこれはいつまでもだらだらとするわけに行きませんので、一應復元の枠も決ま
つておりますので、六月以降のものについては一應打切
つているわけであります。從
つて或いは六月以降において御希望の方があ
つてそういうような方々が洩れているというふうな事情も若干あるのじやないかというふうに
考えております。それから
最後の点としまして、絹人絹織機の復元について
引揚者が洩れてお
つたかどうかという点であります。絹人絹織機の方におきましては、綿スフと若干事情が違いまして、これは特に
引揚者の方々の御希望という面も、綿スフ程多くなか
つたようでありまして、当時一万台の復元
計画に対しまして、一般的な基準に合います
範囲でどしどしや
つて來たわけであります。從
つて特に綿スフの場合のように、先ず
引揚者の枠をと
つて後からということはやらなか
つたのでありますが、結果的に見ますると大体
引揚者の方々も一應入
つているようであります。一二或いは洩れたのがあ
つたかもしれないという
程度でございまして、これは綿スフより御希望が少か
つたやに聞いております。海外におきましては比較的絹織機等は原料の
関係上、営まれた方が少いという事情もありましようから、綿スフのように
現地でそういうような
仕事を覚えて來たという事情が比較的なか
つたのじやないかと
考えております。尚絹人絹織機につきましては、今年度も更に若干数の復元
計画を持
つております。これは資材等の
関係もございますので、はつきりした
数字を掴んでおりませんが、概ね一万台前後の復元
計画を持
つておりますが、これにつきましても一般の希望者と同じような基準におきまして、
引揚者の方々の御希望に副いたいと
考えております。