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1949-08-08 第5回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年八月八日(月曜日)    午前十一時一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○最近の引揚者の問題に関する件 ○引揚者に対する漁網の特配に関する  件 ○議員派遣要求の件   ―――――――――――――
  2. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) これから委員会を開会いたします。この間八月の三日に懇談会をいたしまして、今次引揚につきまして、いろいろ御協議申上げたのでありますが、主な問題は引揚指定列車の問題、それからカンパンの問題、それから吊し上げ問題、こういうようなことを議題にして、いろいろ御協議いたしたのでございますが、出席の方も少うございましたし、むし返しの観があるかも知れませんが、今次の引揚について、いろいろ御審議願いたいと思います。只今出席願つておりますのは、船舶運営会帰還輸送課長井上氏と、同課の中村氏がお見えになつております。あと援護廳関係の御出席願つております。殊に定著援護、北海道の入植について御説明を伺うことになつております。まだお見えになつておりませんが、時間の関係で、どうぞ御審議を始めて頂きたいと思います。
  3. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 今回の引揚につきましては、私共昨年引揚中絶以來、その引揚の一日も速かならんことを、あらゆる方法で促進して参りましたものといたしまして、六月二十日の指令以來、待ちに待つておつたのでありますが、最近の引揚状況について、少くとも相当社会の輿論を或る意味において刺戟しておる報道が多いのでございます。從つて從來この委員会におきまして、第一の目標として引揚促進の完了ということをいたしておりましたものといたしましては、誠に遺憾な感を持つ次第でございますが、これについて今回の引揚に現われた特徴的なもの、これは巷間もうすでに相当詳細傳えられておりますけれども、まだそれ以外にも相当輸送関係において感じられておる点がありはしないか。それから又そういう全体を通じて何か一つ流れというようなものがあり、その流れ一つの現われが甲乙丙丁というようなものに現われて來ておるのではないか、從つて國民感情引揚者感情とがぴつたり合つていない状態にありますので、どうして行つたら引揚者感情國民感情とが一致するような今後の方法、施策をとることができるかというような点について、相当突つ込んでお打合せを願つて置くことが必要であり、又大体そういう線が出ましたら、政府なり或いは船舶関係なりというような方面におきましても、そういう方策方法の下に進めて行くことが妥当ではないかと思いますので、そういう問題について関係の方々なり、或いは委員中でも、すでに御視察等願つた方々もありますので、その引揚状態についての問題を一つ御檢討を願つて、それから外の問題にお移り願うようにいたしたらどうかと思います。この点を一つお願いいたす次第であります。
  4. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 草葉委員から御提案のように、まだ外にも問題が出ておりますが、その意味船舶運営会責任者の方に、一つその後の樣子を御説明願つたらどうかと思いますが、如何がでございますか。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  5. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは一つ説明願います。
  6. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) 今委員長からお話がございましたその後の船の状態でございますが、御承知通り、今度の引揚輸送再開以來、船が大分帰つて参りました。第一船の高砂丸は大した事故もなく帰つて参りました。第二船の惠山丸と申します船も大した事故もなく帰つて参りました。残念ながら第三船の信洋丸事故を起してしまいました。明優丸も船に関します限りにおいては大した事故もなく戻つて参りましたが、舞鶴到着後、御承知のごとき事故が起りまして、相当長い間乘船者の滯船を余儀なくされました。それから昨日入りました信濃丸も、これも船に関する限りにおいては大した事故はございません。船の中で若干事が起りかけたように報告を聞いておりますが、まだ詳細なことを聞いておりません。航海船長が私の方へよこしました電報では、復員業務その他無事進捗中である、梯團長その他と懇談して万事うまく行く見込だ、事故が起る余地はないと思うと言つております。今日一つ向うを出る船がございますが、これは午後出帆する予定でございますから、我々の所にまだニュースが入つておりません。どの船でも何らかの事件がなくして來たわけではございませんが、私共が船のものに対します態度は、ともかくも我々は輸送を担当しておるものでございまして、船の中で、たとえ感情的に、若しくはいろいろな意味復員者ともつれができた場合、これと本氣になつて喧嘩をしたり、理論鬪爭をやつたりすることは我々の目的ではない。我々はナホトカから渡された人間無事舞鶴まで持つて來るということを唯一の目的として、あとはすべてそれの目的のために忍び、或いは或る程度の技術を使つてうまく連れて來い、それだけを申しておるわけでございます。ただ船長がこういう行動をとりますのに非常に不便、若しくは非常な障碍が起りましたときにのみ、我々は何らか断乎とした処置をとらなきやならないと思います。御承知通り、船というものは、陸上と違いまして、航海中は或る意味において孤立無縁でございます。船長責任の下に船の安全は勿論、乘組員及びそれに乘船しております引揚者自体生命の安全を船長が全部一手に引受けておるのでございます。それで船長命令の下に乘組員が一致協同して作業を進めて行くということが絶体要件でありまして、これはもう如何なる國におきましても、船長絶体命令権というものを侵すということは許されないと思います。これなくしては暗礁を前にして、中で船を右に廻そうか、左に廻そうかということを相談したりすることは許されないのであります。その意味船長は絶対の命令権を持つております。これは港に入りましたときに、その港の陸上司法権なり、警察権なり、その他の行政権の及ぶ範囲においては制限されるのが当然でございます。併し航海中においてはそういうことは一切ございません。從つて今度の信洋丸事件に関しまして、船舶運営会が取りました処置について若干御非難もあるかと思います。又我々自身でも折角長年向うにいて苦労して帰つて來同胞に対して刑事訴追をやるというふうなことについては、或いは御非難のあることは覚悟もいたしております。又我我としても勿論いいこととは信じておりません。併し仮りにああいう事件陸上で起りましたと仮定いたしました場合、例えば陸上で、若しくは船が安全に碇泊中には、或る程度まで引揚者が吊し上げ、その他のことに出ましたならば、我々としては船長さえ我慢して呉れれば、敢てああいうことをやろうとは思いません。但しこれが航海中に起つたということについて、我々は絶体に我慢できないという考えを持つております。というのは、單に私の観念的に我慢できないというわけじやごぞいません。船の安全上これが許されたら大変なことになる。尢も信洋丸あとから見ますと、何事もなく舞鶴に着いたのでございますから、危險はなかつたと言えるかも知れませんが、あの船がああいうふうなことが航海中に起りますと、危險はないということは絶対に言うことはできません。船長というものは常に常時如何なる場合にも船の指揮を取つて船舶の安全を図つております。その安全を護らなければならんし船長業務に対して、その自由を拘束する、或る程度まで、例えば五分であろうと、三十分であろうと、時間の長短は問いません。船長に適切なるときに適切な指揮をさせないというような状態に置いたということは、船の航海上許されないことである。この点がどうも從來日本海運國と言いながら、船というものの中における船長立場乘組員立場というものに対する認識がどうも足りなかつた。又從來は船の中でそういうことが起つた例がございませんから問題がございませんが、今度のようなことが起りますと我々は安心して船を動かすることできません。單に我々は國家からお預りしている船が勿体ないという意味ではございませんで、乘つております二千人の引揚者生命に安全に拘わる問題でございます。そういう点で実際から言いますれば、又法律上の規定によりますれば、船長というものは船内において、自分自身の船で、乘組員及びそれに乘つている乘船者、お客でも何でもよろしゆうございます。そういう者に対して危險等がありました場合に、これを防ぐためにはどんな処置を取つてもよろしいということになつております。この中には普通陸上では單なる工場長とか、そういう者には許されないような、いわゆる警察権と言いますか、その人間の自由を拘束してもいいということになる。事実手錠を篏めて監禁しても構わない。勿論これは港に着きましたときにはその土地の官憲に手渡し、若しくはそのときに解いてしまうのは絶対でありますが、航海中は許されております。事実現実の問題としまして引揚者は二千人乘つておりまして、多い船の乘組員は百人、少くて九十人、九十人では足りません。それでは実際問題として実力発動はできない。この実力発動を敢てしようとすれば、船の中でえらい問題になることは想像に余りある。それでありますから、船としては、今のところ如何なる侮辱を受けようと、如何なる脅迫を受けようと、とにかく何とかして舞鶴まで持つて來るということが先決問題でありまして、その間船長が許された実力を行使するということは事実上不可能でありますし、又しない方が利口だと思います。從つて我々考えますのに、そういう船の中の不法行爲に対して、日本に船が着いたときには法の当然の発動があつて欲しいということであります。又日本法律が規定しているそういう権利、船長権限を侵した者に対して、法が当然の発動をするということが、そういう期待がなければ船長は安心して沢山の人間を引張つて來るということはできません。この点を我々は希望しているわけでありまして、敢て同胞に対して長年外國におり苦労しておる同胞を訴追するということが本当目的でありません。その法的な態度というものをはつきりして頂きたい。その点日本法律は、今その認めておる権限の行使をば阻害する者に対して必ず発動するということをはつきりして頂ければ、船長に対して、お前達安心して頑張つて來い、そこには精神的な苦痛その他はあるかも知れないが、日本に着いたならば、日本法律がお前達に対して加えたあらゆる妨害行爲、その他についてはつきりした態度を取つて呉れるから……そういうことを言うことができるわけであります。これが言えないと、船に乘る者はだんだん恐れをなしまして、船に乘ることを嫌がつて参ります。事実その傾向が若干見えております。そうしますと帰還輸送という、引揚輸送という日本政府に課せられました重大事業の完遂に非常なる障碍を來すのじやないか。これが我々の考え方といたしまして、又我々の今度取りました行動の背後にありますのは、こういうところにあるのであります。今のところ各船に対しまして、依然としてそう申しております。少しくらいの不便、そういう不便はあるかも知れないが、船を舞鶴まで持つて來い、何としても我々は二千人を運んで來ることがあなた達の義務である、それだけやつて來いと、そういうふうに船長に方に命令してございます。船長達も全部これをよく了解しまして、一路邁進する覚悟をしております。ただ航海中、先程申しましたような不愉快な事件なんか起りましたような場合に、何もこれを罰するわけではございませんが、法律的に究明する態度日本の司直が、担当者がはつきり取つて頂きたいということが、我我本当希望であります。
  7. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 船舶運営会との関係におきまして、引揚者輸送の安全を確保するために、その途中に起つた問題についてのいろいろ処置をされる、或いは法的な方法を取られるということについて、私はこの委員会がここで議題にすべき問題ではないと考える、これはそれぞれの方法において最も妥当なる方法をおやりになつたら結構であります。又我々が委員会において特に関心を持ち、今後協議を進めながら、一定の方策が立てられるものなら立てて行きたいと思つておりますのは、実は國民感情の上からも、引情者の諸君が船の中で一日も二日も三日も頑張つて復員業務が完了しない、或いはいろいろな事情において上陸をしないということに、國民感情を刺戟すること、誠に大なるものがあります。これは何かの方法で、かような状態を防ぎ、或いは改める方法は取れないが、現在の法律によりまして、或いは外地から引揚げて來た場合においての、いわゆる上陸前に取られる最低限度措置があろうと思います。その措置だけはどうしても船内において取らねばならない。それが済まないと上陸できないというような最低限度措置が、どうしても取らなければならん措置があつて、その措置が取られないために上陸できないということもあろうと思いますが、どうしても上陸前に外地から來た際に取らねばならない措置というものは、どういう措置と、どういう措置でございましようか、その点を一つつて置ききたいと思います。
  8. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) 只今の御質問お話しでありますが、現在連合軍最高司令官から日本政府受取つております指令によりますと、船が入るまでに完了して置かなければならないものは予防注射だけでございます。━━━━━━━━━船の側といたしましては、港へ到着いたしますれば、いつでも注射さえ完了しておりば下し得る態勢船長としてはなつておるわけでございます。あとはその土地引揚援護局側より、もう自分のところへ上げ得られるぞという連絡がございまして、初めて下船指令を出すのでございまして、その連絡がない限りは下船指令を出すことは勿論できません。その連絡があるためには、カード記入ということがあるわけでございます。━━━━━━━━。
  9. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 予防注射で、今までこの注射を拒絶したことはありますか、今までの復員者で……
  10. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) 明優丸がその例であります。高砂丸がその例でございます。
  11. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 これは殆んど全員が拒絶したのですか。
  12. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) そうでございます。
  13. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 カード記入とか、大体復員業務協力態勢でない場合は殆んど拒絶しておりますか。
  14. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) そうでございます。
  15. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 その船上における復員業務として外に何かありましたら一つ
  16. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) あとは、これは船の中をやらなきやならない仕事じやございませんですけれども、船の中であとつておりますことは、引揚援護局の職員である復員官というものを船の中に一緒に乘せておりまして、これがいわゆる復員業務に必要な書込みを要すべき書式を配りまして、それに書込みの要領を説明したり、その外復員業務が早く済ませるような作業を進めております。御承知通り現実の問題として向うから名簿が附いて來ております。元來船長責任としては、二千人なり二千五百人なり、そのときによつて違いますけれども、受取りまして人数を頭数を揃えるということは勿論必要でございますが、同時に向うから名簿が來ておりますその名簿と、元來船の職務といたしましては、その名簿に載つている人間受取つて來たかどうかということを確認する必要があることは言うを俟たないのでありますが、現実の問題としてその余裕もございませんし、又それだけのことが、そこのナホトカにおいてやるだけの時日もございませんし、それがために実際は船の中でその名簿と照し合せまして、名簿に乘つておる人間本当に乘つているかどうかということをチェックする義務があるわけであります。これは実際は復員官が扱うわけでございまして、━━━━━━舞鶴入港までに復員官が配りますカードによりまして、名前等が分りましたそれとチェック・アップして、できるだけ船の中で名簿通り人間を運んで來ておるかどうかということを記入しようと努力しているわけでございます。併し復員官の側で、船の中でやらなきやならないという絶対要件のものではございませんので、上陸後でも差支えないことになつております。ただ仕事を少しでも早く、舞鶴援護局から出て、國へ帰ります時間を少しでも早くするための予備行動として、船の中で二日間なり三日間なりの日を利用しようといるためにやつているわけであります。
  17. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 まあ船上における復員業務その他の業務最小限度最低だけをやつて、若し上陸後やり得るものならば上陸後に移いという法方で、あの船の中に数日間頑張るという態勢を解き得る方法があるかどうか、これが一つ。それでいわゆる先程申上げましたように、我々の感情から申しますと、恐らくソヴィエットの抑留生活と、日本國民生活とに移る橋渡しの間に、これはいろいろ問題がありましようけれども、これは別にして、その変り目の最も甚だしいときだ。從つて船の上で数日間頑張つておることは、今後のいろいろな引揚問題の解決のために大変障害を來すと思います。國民を悪く刺戟する、或いは就職の問題、或いはすべての問題に大変障害を來す。我々はいろいろな事情から、いろいろな体の健康なり、思想の方面にもありましようが、これは別にして、一日も早く上陸させて、そうして國民の温い心持の中に溶け込ませることを、事務的にも又実際的にも、成るべくやり得る、改善する方法がないかというのが私の質問の中心なんですから、この点について復員局等で何かお考えがあれば承わりたいと思います。
  18. 田島康利

    説明員田島康利君) お答え申上げます。先程船舶運営会の方からお話もあつたようでございましたが、船の中におきます作業は、上陸されまして寮にお入りになりますその間で、いろいろなまあ仕事がございます。その仕事を船の中で準備をして置きまして、そのできました調書等によりまして復員の手続をいたすわけなんであります。それからその準備作業を船の中でやつて、上がられたならば、すぐにその作業に移り得るという趣旨でやつておるのでございまして、從いまして、船の中での作業を、これを陸に上つてやるということになりますれば、陸におられる時間が機械的に延長されることは勿論でございますが、第一、寮に入られて、それから相当何と申しますか、まあごたごたするとでも申しましようか。それよりも船の中で集まつていらつしやるときに準備作業をやつて頂く。その方が便宜上から申上げますと非常に便宜なわけでございます。できましたならば、舞鶴滯在日数を成るべく少くするということにいたしまして、そのようにいたしたいというのが私共の希望なんであります。併しながらその間にはまあ若干の、今草葉委員からお話になりましたような趣旨につきまして、研究する余地が若干はあることは、これはもう確かなような私は考えております。
  19. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 私は從來引揚だつたらそれでよかつたと思います。ところが今度引揚げて來るその人が、何と申しますか、或いは全体的な氣分と申しますか、もつと何か、とにかく船中のいわゆる復員業務というようなものを拒否する態度を取つて、そのために二日も三日も四日も五日も船の中に泊り込んで、而も舞鶴に來て、家族が迎えに來ておるのに上陸しないのが、この現象國民的に非常に悪い感情を與える。我々はできるならばこれを御本人達に、それをやらないことを望むのは勿論であります。併し望んでもこれは御本人達がやられるならば、何か合法的に、成るべくそういうことが起り得ないような事務的な方法を改善することがあるならば、改善した方がいいではないか、許されるならば、そういう復員業務でも、陸に上つても二日三日四日経つても、これはいろいろな方法が取れる。又國民感情を刺戟するのも船上以上ではない。併し目の前に日本を見て船に坐り込み、上らないという態度は、誠に私は残念な態度であると思います。言葉に言い現わせない非痛態度であると思う。併し恐らくこれは國内の事情が全然分らないから、向う考えて來た一つ考えでやつておられると存じますが、これの意思の通ずる方法がないものですから、できるならばその事務的の方法を止めてでも早く上陸する。そうして上陸後のいろいろの事情が起こりました場合には、これは相当或いは人員も殖やし、或いは警備も付くという方法も取り得ると思う。從來では、こういう問題は殆んど問題にならなかつたと思う。ところが今回から新らしい現象が現われて來ております。新らしい現象に対して、こちらも新らしいやり方一つ考えて行く。そうして数年間抑留生活して、何も日本の実情が眞実に分らずに、ぽつと來た人達を成るべく船から早く上陸させてという行き方が一つ取られ得ることが望ましいと思う。そこで從來船上における復員業務その他を絶対的に必要なものなら、これは止むを得ないが、私はその中からできるならば上陸後、或る特定援護所に收容するとか、特定方法をして船から成るべく早く上げて、日本の陸地に上げた上で方法を講ずる方がよいじやないか、又妥当じやないか、かように考えますので、この点の御研究なり、御抱負なりありましたら伺いたいと存ずる次第であります。
  20. 細川嘉六

    細川嘉六君 ちよつと私は今問題になつておる信洋丸明優丸等事件内容を、全般的に訴えられておる者と訴える者両方から見て、どつちが本当なのか判断することの知識がないのでありますが、そこでそれは、まあそれらのことが明らかにならなければ、かれこれ今後どうすればよいかということについて発言はできないわけですが、先程お話しになつておる船舶航行中に復員業務として是非しなければならんという事務は注射だけのように考えられますが、どうなんですか。
  21. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) 総司令部覚書面では注射だけでございます。
  22. 細川嘉六

    細川嘉六君 そこで今問題になつ一つのことは注射に関する例でありますね。注射やり方についでありますが、やり方についての問題が起きたわけでありますが、注射の仕方について、注射をやるについて不潔であるとか、消毒が十分でなかつたとかいう問題、そういう問題があつたんじやないか。
  23. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) そういう意味では分つておりません。ただ虫が付いておる乾パン等を出したという、そういうものを平氣で出すような船員は信用できないという、そこで注射拒絶が起つてというわけです。
  24. 細川嘉六

    細川嘉六君 その点は私又あとで聞くことにしますが、注射だけであろうと思う。しなければならんことは注射だけであるということになりますが、そうすると、先程の話からしても復員カードですが、あれに記入させろ、ああいうことは船内航海中においてしなくても、上陸後にしてもよいということになるのですね。
  25. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) そうでございます。
  26. 細川嘉六

    細川嘉六君 あれについて私が先程申しましたように、十分のことは知つていないのだが、書き入れる條項についての不平があるらしい。こういうことを聞かれる筈はないという話もある。そのこともあとにしまして、とにかくそういうカードなんかというものはあとてやつて、なすべきことは注射を完全にすればよいということだけになるとすれば、何も航海中にそう用事のあるものでもありませんね。非常に簡單な問題でしよう。
  27. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) そうでございます。
  28. 細川嘉六

    細川嘉六君 そうですね。そこで私がお伺いしたいのは、信洋丸のこれらの事件内容ですが、これをはつきりして頂きたいと思うが、あなた方の見られたことに対してどうなんだか……。
  29. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) それは、この前の会合のときに全部御説明がしてあると思うのでございますが、信洋丸が起りました問題は、これは簡單に筋だけを申しますれば、結局ナホトカ出帆後、第一回目の食事をして出しました乾パン、これに虫のいるものがあつた。そういうことから船長責任を問う。それと船のデツキを洗つていたとき、水がかかつたとか、その外の問題がありますが、主要なる問題は、この乾パン導火線があつたようでございます。それが明優丸の場合は、これは船の方については直接問題は起きておりません。これはただ航海中はずつと静かに静んで参りました。舞鶴に着きましてから、先程細川委員がおつしいました中で、復員カードのことをおつしやつていますが、―――――航海中にやる建前になつておりますのは、今やることになつておりますのは、先程援護廳の事務官からもお話がありましたように、復員局の復員準備作業船内でやつております。これはおつしやる通り、これは船の中でやらなければならないことはないと思います。陸地に着いてからやつてやれないことはありませんが、援護所にいる時間が延びるかも知れませんが、――――――――――――――――。
  30. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 私はここで今ずつと何杯かの船が來ておるんですが、この船にこういう事件があつて、こういうことを又繰返すと、時間が結局調査だけに終つてしまつて細川委員のおつしやるように、その事件をずつと曝け出して行くのも何ですが、大体の行き方が、今後の行き方に一つの型がありはしないか。この型がどこから出ておるか調べて、とにかく國民はそういう今感情を持つておる。或いは吊し上げというようなもので來るか、黙殺行動で來る場合、いろいろそういう一つの行き方があるので、これに対して成るべくできるならこういう態度をとつて貰わないようにして、本当に純眞に國民は待つておる。そういう態度を取らなければ……。問題は解消するけれども、これがとれるかどうか。とれなんだら或いは船舶運営会なり、或いは引揚援護廳としては、船で今後吊し上げ等が起りそうな情勢を予勢を予想すれば、もつと起らんように、起つたらどういう方法を取るべきか。日本法律等によつて処分せざるを得ないこともあろうが、これは敢てここでかれこれ言うべきことじやないし、又当然だと思われる。從つて從來はこういう状態をとつて來られて何にも問題がなかつた。今度はその問題をかつと一つ掴えられて、それで上陸せずに頑張つたという形がとられた。これに対する方法一つ急遽変える必要がある。却つて上陸後の方法をとり得るならば、これはもつと刺戟せずに済みはしないか、私共は引揚者の、これは思想の如何は別であります。別でありますが、併し國民としては如何にも何だか作戰的な方法を取られておるということを國民に見せることは、引揚者に対して……、引揚げて來る人の正しい途じやない。成るべく純情な日本人として帰つて來られる姿を國民の前に現わして行くような方法を取ることが委員会としても妥当ではないか、こういうふうに考えて私はそういうふうに申上げておるのであります。
  31. 細川嘉六

    細川嘉六君 先に船舶運営会の方の申されたところからして、調査カードが二回、米軍側か、連合軍側の出すカードですね。それは船が港に入つてから出すのですか。
  32. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) そうでございます。
  33. 細川嘉六

    細川嘉六君 そうすると、さつきから草葉委員が言われる成るべく簡單上陸させたいという場合に、船舶内でやる事務上のことは非常に簡單ですね。注射だけじやありませんか。そういうことになると、何か注射も問題が起きたような、どういうことで問題が起きたか私まだはつきりしませんけれども、そういう問題がないようにすれば順調に行く筈である。それから乾パンに虫が入つておつたということも、こういうふうな食糧の事柄も十分氣を付ければ問題は起きそうもないわけですね。そうすると、そう摩擦なしに上陸される筈だと考えられるのです。草葉君がさつき從來は何ともなかつたがとおつしやるが、今乾パンに虫が付いておつたり何かということを問題にされたということは、從來の人達がそういうことについては平氣であつた。それ程に衞生思想については十分の感覚を持たなかつたということも言える。問題にした方がむしろ衞生上注意すべきことを注意することになつて來たということの証明にもなります。それから情勢が変つたと言うが、昨年あたりは相当船内において復員官初めその他の人達の宣傳が、どつちかというと反動的な宣傳が行われておつた、そういうような情勢が今度の引揚者についても行われておつたのじやないか。それが摩擦を起したのじやないかというように考えられる節があるのじやないか、でありますから、船内從來やり方責任者によつて反省され、指導、宣傳にしろ、或いは食糧の問題にしろ、衞生の問題にしようが、そういうことが反省されればこれは問題ない筈だと思います。從來やり方に次陷があつたからじやないかと、私は從來これらの問題を扱つて來関係考えるのであります。今ここに告訴状に書かれておる責任を呼び者出して物を聞いたということ、これが聞いたということ、その聞くための会合をやつた、それらが大分聞かれる方、呼出された方の心境の悩みらしいが、これもそのときの実情を知らなければ私ははつきりしたことは言えないが、こういういろいろの全体の、ここに二千人からに上る乘組合の生活に関する問題、こういう問題については船の中ばかりでなしに、シべリアの全土に亘つての残留者の生活において、そういう場合に大衆討議にかける。そうして是非を明らかにする。直おすべきは直おさせる。そういう生活をやつて來たのが、船内においても行われたものと私は考えるのであります。で去年の七月私舞鶴に参議院から派遣されて行つたとき、そのときには北條委員もおられるし、淺岡委員もおられたのだが、そのときに代表者を呼んでの懇談会において、こういうことを言われておつた。不正なることがある場合には、その主脳部であろうが、誰であろうが、それらに対して相当な要求ある限りは、大衆の力でそれを取除くことができる、そういうようなことを話されております。そういうようなことから考えて見ましても、船内においてのああいう問題について、今問題になつておつたような問題について、ああいう大衆討議であれば、シベリアの生活をそのまま船内に持つて來たのではないかと考える外ありません。これがたまたま日本の今までのやり方と食違つておつたというところに問題が起されて來るのではないかと思います。私は運営会の方にお聞きしたいのは、シベリアでの生活をした者にとつては当り前のことである。これが又体得して來た民主主義であるということであるが、それは船の運営者にとつてはそうでないという違いじやないかと思うのだが、辺では例えば衞生だとか、食糧とか、その他の問題について乘組員航海に運命を託しておる人達に文句が言えない。絶対に言えない。個人的なり或いは團体として、船長に物が言えないということになつておるのかどうですか。先程航海については船長は絶対権を持つておるというのと、それから今生活面においてのかれこれの陳情なり、或いはその事情を明らかにするという仕組なり、言えないものかどうか、その点はどうなんですか。
  34. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) 私が伺つております限りにおいて、先程も申上げましたように、船長に対するいろいろの乘組員及び乘勝者の取ります行動について、港の中におりますときと航海中とは全然違います。航海中において世界中の法律においても船内において船長の自由拘束、その他をやつてよいという法律のあることを存じません。これは船の安全に重大なる支障を來します。
  35. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 今細川委員が船中の乾パンの問題なり、或いは船長の問題なり、或いはその他職員の扱い方なり、いろいろなることをお話になりまして、又それに対しての要請事項と言うか、要望事項と申しましようか、そうした面についてソ連においての規定慣行に基いて、そうした面を追及するのだ、或いはそうした面を要請せしめるのだ。こうしたお話であつて船舶運営の方から、それに対してお答えになつておりますが、先般この委員会から岡元委員と私とが派遣されまして、この信洋丸船長その他吊し上げ事件に対しまして一應途上ではございますが、調査をしておるのです。その点について縷々御報告を申上げれば、今の細川委員の御質問は一應結論が出るのじやないか、お答えになるのじやないか、こういうふうに私思うのでありますから、それにつきまして詳細に申上げるということに対しましては相当時間も要しますから、簡單に申上げれば、この問題に対しての告訴状が出ておる。それからその他各船員からの顛末書、そうしたものが縷々出ております。これはいずれ委員会からプリントにいたしまして、各委員にお配りいたしたいと思いますが、昨日そうしたものを取纏めて帰つて來たような次第で、まだ全部の書類が整つておりませんから、これを一應御覽頂きますれば、こうした区区の問題に対して細川委員質問の結論が出ると思います。そうした区々の問題についてはあとの機会に讓つて頂くといたしまして、今船舶運営会の船員諸君がお取りになつておるその行き方、或いは援護廳でやつておる行き方、政府側でやつておる行き方に対しましては、それは区々に取上げて見れば、末梢的な面において遺憾な点があるかもるれません。けれども、そうしたものをもつと越えたところの一つのこれは作爲的かどうか知りませんが、一應の雰囲氣を釀成して來ておる。こうした結論になつておると私は思うのであります。先程草葉委員からも種々その問題に対しては、どこが限界点かというお話があつたのでございますけれども、実はそれに対して私は結論を率直に申上げたいと思います。それはいろいろはばかるところがございますから、一つその点だけは秘密会にいたしたいと思いますが、皆さんにお諮り頂きたいと思います。
  36. 細川嘉六

    細川嘉六君 今淺岡君の話が私の話を途中で切りましたが、そういう淺岡君の提議を取上げられる前に、私さつきの質問をもつと続けたい。それで運営会の方にお聞きしたいが、先程……
  37. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 細川委員に申上げますが、こちらのお話で大体解決のつく問題があるのじやないかという淺岡委員のお言葉でございますが、それを一應お聞きになつてからなさつたら如何でございますか。
  38. 細川嘉六

    細川嘉六君 それがさつきの話でもうちよつと答えて頂けば、私の方が片付くのであるし、今淺岡君の話はどうかるか先が分りませんから、私はその前にさつき質問したところは片付けたいと思います。その方が当然でしよう。
  39. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじやちよつとお諮りいたしますが、細川委員はこの質問をお続けになれば問題が済むのだからというお言葉ですが、淺岡委員からは秘密会にして、ちよつと舞鶴の樣子を御報告したい、それによつて細川委員質問の要点を解消するのじやないか、こういうふうなお申出でがあるのでございますが、秘密会にして一應淺岡委員のお申出での通り御報告を伺うことにしたら如何かと思いますが。
  40. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 誠に御結構なお諮りでございますが、若し細川委員質問がもう少しの時間で済むのであつたならば続行して頂いても結構だと思います。
  41. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじや細川委員にお伺いいたしますが、簡單にお済みになりますようでしたら……。
  42. 細川嘉六

    細川嘉六君 よろしい。淺岡君が延ばしてこんなことになつたのですから、私のは続いておるわけんだ。
  43. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじや続けて頂きましよう。
  44. 細川嘉六

    細川嘉六君 航海中には今問題になつておつた事柄について、信洋丸の場合ああいうことを聞いちや絶対にいかんという意味ですか。
  45. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) 聞いちやいかんという意味ではございません。船長の職務の自由を拘束するような行動船長の職務遂行上障碍のあるような脅迫行爲その他あらゆる不法行爲は許されないということです。
  46. 細川嘉六

    細川嘉六君 あの場合のことは実際はつきり調べなきや分りませんが、脅迫であつたのかどうか、或いは船長との間の話合で、船長航海中差支ないという間において話合を始めたものか、それは調べなければ分りませんけれども、若し船長航海に差支ない、自由な判断で、この場合こうした方がいいと考えて大衆討議の席に出たという場合はどうなんですか。
  47. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) 大衆討議の中でやるということに対して何もいい悪いの問題は出ておりません。船長をそこへ呼出して大衆討議が済むまで船長の自由を拘束していたことが問題なんです。
  48. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 只今の点につきましては、船舶運営会側からのお答を問われるよりは、本委員会から派遣されました私が、その点に対しての御報告を申上げた方が御理解が行くのじやなかろうか、こう思います。あとから又御質問なり、どうぞお続け頂いて結構です。それにつきまして一言私が申上げたいと思います点は、今細川委員は、そういうふうな吊し上げと言いましようか、大衆討議と言いましようか、そうしたものに対して、何か船長なりその他の人達が威圧を感じたか、脅迫を受けたような感にとられたかという点がございましたから、その点だけは委員会から調査した一点を申上げたいと思うのであります。岡元委員舞鶴に着きまして、そうして一應こうした面につきましての宇野次長から説明を伺つたのであります。そのときに私も岡元委員も、そういうふうなことだつたらば、これは誠に合法的にやられたのじやなかろうかというようなことも一應考えて見ました。けれども、とにかく実態、そのままの状態一つ調査を進めて見ようということで、信洋丸乘組員船長以下全部で九十四名、その船長以下乘組員全員を一つ信洋丸に乘せて頂きたい。そうして我々はそこに行つて当時の状態を詳細に聞いて見たいということで船に乘つたのであります。勿論復員官杉原、都井両名もそれに差加つて頂きまして船に乘つたのであります。新聞なんかに載りました或いは次長から報告を受けました点において、二千名からの人間が一堂に会する場所があるかどうかということを私共は一應結論として考えました。それともう一つは過日丁度援護局に大郁丸その他の引揚者の諸君が見えまして、それからこの委員会懇談会としても、その代表者二十名の方といろいろ話をしたのですが、そのときの空氣と一應マッチさせて考えて見ました。それから船に乘つて船長、事務長或いはドクター、復員官、或いはその他の船員から大体話を聞きました。そのときも我々はまだ何らか腑に落ちなかつたです。そこでそうした問題が行われたという二番船艙にとにかく行つて見ようということになつて、二番船艙に行つたわけです。そこで問題は直ぐ立どころにその面に対しては結論が出たわけです。それはここに写眞もございますが、二番船艙という所は、端的に申上げますならば、映画館を二つ背中合せに合せたくらいの相当の廣さがありまして、フロアー、中二階、二階、中三階、三階というふうで、二千人はおろか二千五百人、三千人でも入り得られるような状態にあるのです。これならば、成る程二千人の人が集まつて大衆討議か、座談会か或いは懇談会か知らないけれども、一應やれたという結論に到達したわけです。議長が選ばれていろいろと船長、ドクター、その他に質問をされる、その場合、発言、議長発言というような調子で、丁度当委員会懇談会で聞いたときのような意氣込みで二千名の人が、二千名全部ではございませんが、その中の四、五十名の人間、或いは八、九十名の人間が議長発言、議長発言、それからどうしたということになりますれば、もうこれは大國檢事も、その実体を、私達の方から一應現場を調査しなければ結論が出ませんからと、初め私は船中に二千人も集うところがありましようかと言つておりましたが、檢事の言葉をそのまま私はここで報告いたしますならば、成る程あれは委員会でも御調査になりましたが、今度はあの現場を見まして、ああいうところであるならば、むしろ一言も発せられないでも、二千名の人が集うならば非常な強圧な威力を感じましよう。それで船長が何を言つたかということに対して、正常な場合において言い得たとは思いませんということが大國檢事の大体結論でありました。それで私は先程細川委員から船舶運営会にお尋ねになつておりました船長その他が威圧を感じたかどうかということにつきましては、この一点は私の報告で御理解頂けるのじやないかと思います。特に過日二十八日の日と思いますが、当委員会懇談会において大郁丸、その他の引揚者の代表者諸君二十名と集まりまして懇談いたしました際に、それは共産党の横田議員が、ここはそういう喧嘩腰で物を言うところではない、静かに物を言つても分るということで引揚者諸君を論されましたが、そういうふうに二十名の代表者が集まつて來て、つまり共産党の議員すらそういうふうに言われるのでありますから、あの船に二千名がこういうふうに入れるような場所で、吊し上げか、大衆討議か、懇談会か、座談会か知りませんが、議長を選定してやつたということは非常な威圧を感ずると思います。それからこれに対して私共が宝田副梯團長、板垣副梯團長、それからその議事を進行して行きました山田幸雄という議長に当時の事情を聽取いたしましたのです。山田議長、それを司会しました議長ですら非常に私もふるえました、発言を求められて許す場合に、私自身非常にふるえて、二千名からの議長とか、司会は並大抵でありませんと、当時の司会をした人は言つておりました。そういう点に対して各委員が一應、そういうふうなこれは私の当時の調査の実体でありますが、その報告に基いての結論を各委員でお出し頂きたいと思いますが、私は威圧を感じたとか感じないかとは別個の問題といたしまして、先程細川委員がそういう点、威圧を感じたかということに対して、私は相当威圧を感じたというふうに結論いたしたいと思います。
  49. 細川嘉六

    細川嘉六君 私は先程……威圧を感じたか感じないか、その点を私は黒白を明らかにしたいとは思いません。私は船舶運営会にお聞しておることは、食糧であるとか、衞生であるとか、その他生活上に必要な事柄の問題であります。航海に関する以外の問題、それらについて船長質問する。或いは今どういう形であるか、個人的であるか、集合の形であるか、そういう問題について質問をする、事柄を明らかにするということを申出ることはできないのでありますか。
  50. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) そんなことはありません。できます。
  51. 細川嘉六

    細川嘉六君 できる……。で若しこの問題になつておる場合、船長航海中、これは差支えない。あの時期において、そうしてこういうことを一應聞こうというような心持でやるということは自由ですね。許すことはできるのですね。
  52. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) それはできます。
  53. 細川嘉六

    細川嘉六君 で問題はこの場合はどうであつたかは問題外で……、その点をお伺いしたいわけです。そうすると先程來からの話からしますと、このナホトカから舞鶴に至る運送についてはそう困難な問題はないわけだ。非常に簡單なことだと思います。まあ問題になるような事件船舶運営会、或いは援護廳の内部において十分從來やり方が悪かつたとすれば、悪いところを直して行けば問題はないと思いますが。
  54. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 只今細川委員質問に対して、勿論そういうふうなあり方であるならば一向問題はないと思います。ないところに問題があるのです。とにかくここで申上げたいのは、乾パンを持つてつております。乾パンに虫云々の問題から、或いは水をぶつ掛けたとか、掛けられんというような問題が起つたということで、夜半十一時頃梯團長以下副梯團長、その他交渉委員がやつてつて、そうしてその点を船長にいろいろ話をした結果、じや船長もそれに対しては自分の方で一應皆さんに了解を求めるように努力いたしましよう、或いは謝罪をしろとおつしやれば謝罪もいたしましよう、幸い船に拡声機がある、それじやその拡声機を通じてやる、明朝九時を期してやる、いや、九時じやちよつと困るから十一時半頃ということで了承したのでございますが、いや、どうせやつて頂けるなら座談会をやつて頂きたい、座談会に代表を一人ということを船長に言つたのであります。でああいうふうに図らずも二千名もの座談会というのが集まつたわけです。その点から副梯團長以下大半の人は……、大半でもありませんが、その代表者十四、五人の人から聽取しましたが、成る程自分達がああいうふうな大衆討議というか、大勢の人でやらなくても、本部、或いは代表者のみで話をしてもそれはよかつたのだつたということははつきり言つておるのです。ですから今の細川委員質問のようなふうに、少数の代表者、或いは船側の代表者の人、船長以下の数人の人で話合は付いた筈でした。ところが結論においてはそういうふうな処置が取られなくて、そうして二千名からの大衆討議と言いましようか、或いはそういうふうなところへ持つて行かれたというところに問題があるのですね。而もそれのやり方に対して結果がいろいろな面を生んで來たということになつておるわけでありまするから、一應私といたしましては、そうした結論に対してはここでこれ以上申上げるという面につきましては、秘密会にして頂く以外に方法はないのじやないかと、こう思つております。
  55. 細川嘉六

    細川嘉六君 今淺岡委員の発言で秘密会にしたらどうかというのだが、これらの問題は大分世間にセンセーシヨンを起しておることであるし、相当又報道された面も正当に表現されておるとは思えない節が沢山あります。それでこういうことは明らさまに、秘密会でやらずに公けの会合で発表された方がいいのじやないかと思うが、どうでしようか。
  56. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 私が秘密会をお願いする点は、時間にして見ましたらほんの十四、五分で済みます。あとは又公開して頂いていろいろと各委員なり、或いは政府側なり、或いは船舶運営会と話合できると思いますから、私達の秘密会というものを設けるのはほんの短時間で済む問題です。
  57. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 如何いたしましようか。淺岡委員のお申出の十四、五分ですか……。    〔「進行上いいじやないですか。そういう要求があつたら秘密会にしていいじやないですか。」「賛成。」と呼ぶ者あり〕
  58. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじや御異議がなければこれから秘密会を開くことにいたします。どうぞ恐入りますが御退場願います。    〔午後零時十一分秘密会に移る〕
  59. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 只今より秘密会を開きます。速記を止めて。    午後零時十二分速記中止    ―――――・―――――    午後零時五十六分速記開始
  60. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 速記を始めて。それでは祕密会を閉じまして、委員会を継続いたします。    〔午後零時五十七分祕密会を終る〕
  61. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 それでは、この間私岡元委員と共々に派遣されました関係につきましての大要を、簡單に御報告申上げたいと思います。皆さん各委員のお手許に、この信洋丸船長が告訴人となりましたその告訴状をお手許に配つてございまするが、それからそれ以外に一應願末書といたしまして、船の事務長、それから問題になりました船員、ドクター、それからこれは援護廳側でありまするけれども、復員官、杉原復員官並びに都井復員官、と同時に、その信洋丸の操舵手でありましたところの林靜夫君、信洋丸の一等航海士、これはこの船長と密に関連が深かつた人でありますが、竹中一等航海士、それから信洋丸の事務長の森田事務長、それから医師は今回医師でありまするが、それからそれ以外はやはり若干問題に関連いたしておりまする信洋丸の山本甲板長、同じく甲板員でありまする赤岡甲板員、そうした方々の顛末書を一應又委員会として求めたのであります。更に舞鶴市の東警察署長に、大体取調べた引揚者の暴行事件についてということで一應の顛末書を書いて貰つたのであります。それから更に信洋丸上陸いたしました後、いろいろな問題が起つて、大半……六十五名の人だけは一應残つて頂いて上つたものですから、その中の副梯團長二人を初めといたしまして、その司会者、議長を勤めた山田幸雄君以下十数名の人間といろいろ懇談もし、更に調査も進めました。それから一方京都地方檢察局の告訴に対する大國主任檢事、その人の意向を一應聽取いたしまして、それに基いたところの大要を聞いたのであります。一、京都地方檢察局舞鶴支部に対し告訴することに決定した。二、告訴人、原告、信洋丸乘組員一同右代表者信洋丸船長、三、被告信洋丸引揚者全員二千名、四、事実、刑法二百二十二條の脅迫、二百三十六條の強奪、九十五條の公務執行妨害等以上であります。こうした面につきましてはすでに檢察廳でこれを取上げておりまして、その結果板垣、宝田両副梯團長、それから山田議長、山田久吉中隊長、以上が一生檢察廳に留め置かれて調査のさなかにあります。本委員会といたしましては、すでにこれが檢察廳で取上げておりまするから、そうした問題に対しての又行き方と違つた考え方を持たなければならんというところから、この九十四名の信洋丸の全乘組員を要請いたしましたところが、九十一名の乘組員が、私共の調査のときに信洋丸船上の人達として我々の調査に一々答えて貰つたわけであります。ここにあります乾パンが、これは二十二年度の乾パンであります。二十二年の十二月に作製したという乾パン、それから二十三年三月から九月までに作つたという乾パンであります。我々委員といたしまして、この乾パンをあつちこつち引張り出して開けて見ました。成る程この乾パンの中にはパーセンテージにして、どうかは分りませんが、まあ二%や三%ぐらいは虫があるのじやなかろうかという結論に一應達したわけであります。そこでこの今の引揚関係の予算の面から考えて見ましても、敢て乾パンを支給しないでもいいのじやなかろうかというような考え方も一應持しているわけであります。それからまあここに乾パンの写眞もございますし、両副梯團長、山田議長、それから向う側の、つまり引揚者側のお医者さん、元軍医、この人達のいろいろ捜査途上の写眞もございます。それから二番船艙の、いわゆる吊し上げをしたと、こう言われておりまするところの写眞もございます。更にこの写眞の外に何メートルあつて、この人員はどういうふうになつたという写眞も檢察廳に事細かにありますから、必要とあれば取り寄せて見てもいいのでありますが、要は私共が一番心配いたしました問題は、この信洋丸の九十一名の船員すべてというわけには行きませんが、殆んどその九十一名の人に、あなたはこういうような問題が仮に今後起らないとしても、起るか起らんか分らないけれども、自分の事務として、船員として乘込んで貰えるかということを聞きましたところが、どうも私共は船が遭難に会つたとか、或いは衝突をしたとか、暴風に遭遇したとか、暗礁に乘上げたとか、そういうような問題に対して生命を堵して戰い、或いは努力することはちつとも構いません。併し何が何だか訳の分らんようなことで以て、事によれば生命危險に曝さなければならんというようなことは到底自分達は堪えられん、だから一つ自分達が安全に船の上で作業ができるような状態に置いて貰うということを強く要請され、まあとにかくそうした点については、國会としてはできるだけの措置をして努力するから、一應まああなた方も自分仕事を果す上において努力して呉れんかということを話しましたところが、どうも余り氣持よく、それじや愉快に自分の職域を果す意味におきまして船に乘りましようと言つて呉れた人は殆んどないのであります。皆不安がつておる。それを更に突き詰めて行きますと、自分は構いませんが、自分達の家族が、ああいう引揚船、或いは復員業務輸送船には乘つて呉れるなという要望がありましたということが大体九十一名の大半の意見でありました。この点については当委員会といたしまして、どうか適切なる措置を各委員委員長から要請して頂きたいと思うのであります。それからこの中の起つて参りましたところの問題は、副梯團長、或いは引揚者諸君に聞きますると、いやこれ座談会だ、或いは懇談会だとか、或いは大衆討議だとか、これは向うの慣行なんだということを強く皆一樣に主張しておりました。けれども、一應調査が終つてなごやかな懇談に入つて見た場合に、大衆討議の結論と言いますものは何かというと、それはお互いに反省だということを言つておりました。それではあなた方は反省する余地はないかということを言つたのであります。ところが反省する余地はないということを強硬に言う人もありましたし、我々の取つた行動に対しては大きな反省をしなければならんという人も出ております。いずれにいたしましようとも、大体信洋丸事件の大要というものはそういうような面にございまして、詳細は、この顛末その他につきまして、主要な面をプリントにいたしまして各委員にお配りいたすようにいたしたいと、こう思つております。ただ問題といたしますることは、この乘組員の方はそういうふうでありましたが、引揚者諸君の大要の意見を申上げますると、ああした船長、ああした乘組員なんというものは復員業務に携わつて貰つちや困る。むしろ下船して貰いたい。そうして本当我我を理解するところの人達によつて復員業務を、或いは引揚の船を操作をするようにして貰いたいというような、その要請が非常に強うございました。そこでその口裏からいろいろ私共は考えて見ますると、これは一信洋丸の問題ではない。必ず次から次へとこうした問題が、船長ばかりではない、事務長ばかりではない、或いは一等運轉士にしましても、或いはその他の人達にしましても、いやこういう人達の操作ではもう御免蒙むると、こういう問題は次から次へと起つて來る問題だというふうに一應私が岡元委員と共に結論付けたのであります。そこでこの委員会といたしまして、政府なり、船舶運営会なり、要すれば関係方面に対して強く議を纏めて、強い要望をして頂きたいということに盡きるのじやないかと思うのであります。更に、この問題につきましては、岡元委員から重ねてこの月末二十八、九日頃に委員会を開いて頂いて、要すれば、それまでには檢察廳方面の結論も相当出ておるのではなかろうか、そこで証人喚問、その他によつて然るべく委員会の動向その他を決定して頂きたいということなんでありましたから、一應取纏めて御報告をいたして置きます。それから檢察廳方面の意向といたしましては、非常に強い意向を持つておられますことを附言いたしまして、一應私の報告を終らして頂きたいと思います。
  62. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 先刻からいろいろ論議されております今回の引揚の問題につきましては、個々の問題につきまして論議いたしますと、なかなか盡きるところがないと思います。それで要するに引揚はスムースにどうしたら行くだろうということが、各委員のこれは御心配の点なんでございまして、そのためには解決の付く問題、或いは乾パンの問題とか、その他復員業務の手続の問題とか、そういうことはそのときに應じて政府にも適切な方法を取つて貰うように、これは鞭撻をしなければならないと存じますし、又運営会その他関係方面にもそれぞれ委員会としては要請するところもあるのでございますが、まだ十分に資料も整つておりませんし、又吊し上げの問題につきましては、すでに檢察廳の問題にもなつておりまするので、これは靜観の必要もあろうかというお話も出ておるところでございまするからして、一應今日はこの問題については打ち切りまして、あと問題として出ておりますのは、函館に引揚げて参りました樺太からの引揚者、その定着援護の問題でございますが、これについては、先般援護廳の指導課長があちらに出張されまして、道廳と打合せられました。その御報告を一應伺いたいと思つておりますし、もう一つは、全連の方から、新規着業の水産についての漁網の問題が、何か斡旋をして貰いたい。これは新らしい枠を引揚者のために取つて欲しい、こういうお話が出ておりますので、この二つを御審議頂きたいと存じますが、矢野厚生政務次官がお見えになつておられますので、その前に何か御発言のことがございましたら一つ
  63. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 只今委員長は、信洋丸吊し上げ事件は一應これで打ち切るというふうに御報告あつたように私伺つたんでありますが、この問題は、ただ單に信洋丸事件ではないのであります。そういう問題が、今度は第三陣と申しますか、八月の一万八千名を輸送する問題、或いは九月、十月、十一月の問題があるのでありますから、この問題に対しまして、靜視をして頂くということにいたして頂かんで、これで打切りではなくして、そういう問題が沢山ございますから、その点を一つ
  64. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それは檢察廳に廻つた問題については一應靜観で、その他の問題については、又材料をもつと集める必要もありましようし、調査の必要もありましようから、これは來るべき委員会に又おかけして、そうして委員会としての結論も得たいと思つております。これは打切りと申しましても、今日のことでございますから、どうぞその点を御了承願います。
  65. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 分りました。そこで重ねてお尋ねいたしますが、今の船員が乘らないという問題につきましては、これはもう一刻を爭う問題です。それですから、何か船員なり、船員の家族が安心する、それなら一つ大いに勇氣を鼓してやりましようということに対して、政府なり、或いは船舶運営会なり、そうした面に対する行き方を一應お諮り頂きたいと思います。それから今の漁網の問題その他も大切な問題でございましようが、一應実際から言いますと、この間九十一名の殆んど大半の乘組員の人達がその面に対して強く、むしろ我々の調査に行つたことに対して喜ばれると同時に、陳情と言いましようか、そういうような形も見えたのでありますから、そうした点につきまして、一應お諮り頂きたい。
  66. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは運営会の井上さんに伺いますが、その後船員が乘らない。皆で揃つて乘らないというようなお話が出ておつたようでありますが、その後の情勢はどんなふうになつておりますか、一つ説明願いたいと思います。
  67. 井上嘉瑞

    説明員井上嘉瑞君) 現実に船員が乘船を拒絶しておるようなことはございません。ただ氣持の上でああいう船に乘りたくないということはあると思います。これは今年に始まつたことはございません。昨年の夏頃から引揚者態度が変つて参りまして、非常にみんな不快な感じを抱いております。それで今度の信洋丸事件のときに、ああいう措置をとらざるを得ないということになつたわけでありまして、結局今のところ、我々が政府から與えられます既定の予算で、この引揚業務をやつております関係上、船員の給與、そういつた面で以て彼らの精神的苦痛、そういうものを、これが賄えるといつちや変ですが、それに対する特別の報酬等を出すこともできませんし、若しも船内において不法な行爲があつた場合に、國の法律で保護して呉れるということがあれば十分仕事を完成する自信を持つております。それでございますから、信洋丸事件が起りました場合に、少くとも日本法律に反する行動をやつた場合に対しては、法律発動を嚴正にやつて頂きますれば、その面は恐らく御心配なくやつて行けると考えております。
  68. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 只今船舶運営会側から、いろいろお話がございましたが、丁度一昨年のこの委員会でありましたか、船員の問題に対しまして、いろいろ食事の問題だ、何だかんだありまして、船舶運営会の人達を呼んで、委員会で以て、いろいろ聞いたことがございましたが、今日、今いろいろ話を聞きまして、今後の引揚げに携わる船員の人達が、非常なる決意を以ておやりになるということは事実であります。そうした面につきまして、委員会から何らかこれに対して感謝するとか、或いは今後ますます力をいたしてやつて頂きたいというようなことを、各委員或いは委員会の名を以ちまして、一つ激励申上げるというようなことも一つ方法じやないかと思います。これは誠に安易な方法かも知れませんが、そういう点もお諮り頂きたいと思いますと同時に、この乾パンの問題です。とにかくこれは信洋丸ばかりでなくして、次のすでに高砂丸にもそうした問題が起つておる。乘組員下船させるというようなことも大きな問題にはならなかつたかも知れませんが、相当やはりこれも各方面に響いておる問題でありますし、一應この乾パンについてはどうするかという点を政府側からはつきりとした言質を委員会として得て置きたいと思います。
  69. 矢野酉雄

    説明員(矢野酉雄君) 引揚問題の全般につきましては、これは実は、立法府の皆樣におかせられましても、政党政派を越え、本当に温い氣持ちで以て故障なく懐かしい祖國にお帰りを願うために、いろいろと政府を御鞭撻頂いて今日に至つておるのでありまして、その点特に主管行政事務の府でありまする厚生省といたしましては、心から感謝しておる次第であります。そこで先ず今淺岡委員からの問題として提議して頂いておりまする乾パンの問題は、相当十分の注意と、又温い氣持ちで、それぞれ在庫品を調査の上、実は差上げたわけでありますが、第一回においては、配給しましたもののうちに、一匹虫がおり、第二回の高砂丸には総計十四匹の何か虫がおつた報告を受けております。これは科学的に申しますと、大体製造いたしまして、三ヶ年間は常識上においても普通食べることになつておりまするけれども、一匹にいたしましても、十四匹にいたしましても、そうした事実が起つて、結果においては、それを機縁として非常な大事な絶対権を持つて生命を守つておられる船長さんが、事実の上に十分の公務を執行することのできないような事実さえも起つたというような報告を受けておるようなことでございまするので、思い切つてこの機会にそれらの在庫品でありまする相当多数量の乾パンは、全然以後支給しないということに決定いたしました。全部新たにこれを製造せしめまして、そうしてこれを支給申上げるということに決定いたした次第であります。但し罐入りは從來通り流用する。それから立法府として、船舶運営会の所属に関する船長以下の船員諸君が、本当に心から引揚げのために協力して頂いておることに対しては、厚生当局としても、深甚の感謝をしておりまするので、大臣とも直ちに打合せをいたしまして、立法府と同調いたしまして、感謝激励の意を、何とかの手段を以ていたしたいと覚悟しておるような次第でございます。それからこの問題が今公式の場合でなかつたのでありますが、細川委員お話を小耳に狹むところによりますと、今回引揚げた各位が各議院に向つておいでになるやに今承わつたのでありますが、これがどういうような方法で、いわゆる下車されましたか、政府といたしましては、占領下にありますので、一々それらの当局と全部交渉して一つ輸送系統を立てておりますし、又輸送の全面的責任は運輸当局がおりますので、それに対しても一人六百円の実は旅費を厚生者が運輸者に支拂つて、相当の予算をとつて実は輸送を実施しておるような次第であります。故に一定の輸送系統に從つて頂かずして、勝手に行動をせられた場合には全部これは自弁であるということは、これは常識上当然でありまするので、若しも何らの正式の了解を得ずして下車等なさつての御行動に対しては、金額それから先の輸送費用は負担を願わなければなりませんし、この徴集の問題は厚生当局でなくて運輸行政の管轄に属しますので、しばしばこれは連絡をとつておるような次第でございます。更に私達の希いますのは、この引揚という一つの問題を機縁として、かりそめにも國家の治安が乱されないように、お帰りを待つたこと実に久しい、そうして本年はこれが皆様の御協力によりまして、碎氷船まで冬のうちに用意して、一ヶ月十六万人をお迎えするところの態勢さえも政府当局でとつておつたような熱意を実は示しておつたのでございまするので、若しそれ今後の引揚において、あちらこちらでその引揚関係した問題が持上つて國家の治安等が乱されるというようなことが起りますることは、待望しておる八千万國民に対しても申訳ないし、四ヶ年の御苦労を下さいました皆さん方に対しましても相済みませんので、目下これに対する如何なる妥当な方法をとるべきかを実は只今も考究中でありまするので、今明日中にこれらの具体的な受入態勢の正当化というものについての具体的な途は皆様にお知らせすることができるかと思つておりますが、只今は折角各方面とも交渉中でございますから、発表の自由を持たないような次第でございます。この上とも何とぞ十分の一つ御鞭撻をお願いする次第でございます。
  70. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 只今厚生政務次官から、引揚に対する食糧問題に対しては断乎としてこれを変えたという、そういう御信念に対して、これは政治の衝に当る者として敬服し、且つ感謝するものであります。次に船舶運営委員会の方の答えにもあり、又引揚船に乘船しているところの船員各位に対しても、政府も又立法府と共にその努力、行動については相当感謝の意を注ぐという点は御同様であります。併し只今次官の最後の言葉にもあつた通り、八千万國民が、殆んどその大半が唖然として治安の上に不安を感ずるようなことは、政治の全く徹底化を我々は考えなければならないと思うのであります。政治は刻々に時代の進むと共に変化することは、すでに政府当局もお知りの通りであります。よろしく連合國軍占領治下にあればあるほど、連合軍と連繋いたしまして、日本國民として引揚げる以上は、日本の新憲法によりまして、法治國の國民としてそれぞれそれの逸脱しない範囲において國民としての人権は勿論尊重し、十分に自由に行動することは結構でありますけれども、國家の不安を導くようなことはお互いに愼まなければならないと思う。これを是正するところに政治の妙味があると、かように信ずるのであります。この上政府当局といたしましては、大臣或いは閣僚諸君ともよく相談いたしまして、連合國にこの國民の不安をますます深からしめるようなこと等、問題続出を未然に防ぐような行動を十分に御処理あらんことを要望いたす次第であります。
  71. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 若し工合が悪い所がありましたならば、速記をあとで削りますよう願います。一つ厚生政務次官にお尋ねいたしたいと思いますが、いろいろ論議もされましたけれども、問題は船中に起つて來るところの問題というのは、一つの新憲法或いは日本の國情とか、そうしたものを知つておる知らんに拘わらずです。そうしたものを一つ越えた何かの力がある。ですから政府自体がどういうふうな御処置をお取りになるか知らんけれども、それだけでは万全を期せられんではないかと私は思うのです。曾て日本から台湾或いは朝鮮にお帰りを願つた方々に対しては、船の中に連合軍側の人が乘船されたということを私は飼つたことがありますが、このナホトカから舞鶴まで、或いは將來は函館に入るかも知れませんが、この輸送船に連合國側の官憲が乘つて頂くことができるかどうか、そうした要請をして見るか、そうした点も若し政府としてできなければ、委員会としても一應お願いして見ようかというふうに私は思つておるのでありますが、御所見を承わらして頂ければ仕合せと思います。
  72. 矢野酉雄

    説明員(矢野酉雄君) 最前の池田委員の御助言確かと拜承いたしました。御趣旨に副うように檢討したいと思います。  淺岡委員の今の御意見、殊に事実の眞相を公務において御調査になさておられます。又聞きでなく、体驗を通しての御実感であると思いますので、特に私達以上の深刻なる御意見であると思つておりますので、十分なる御所見と拜聽いたしました。実は目下その問題に関係を持つ問題もいろいろ考究中でございますので、そちらの研究の問題として、又考えて見たいと思つておるような次第でございます。
  73. 細川嘉六

    細川嘉六君 政務次官矢野君には、妥当なる方策一つ考えなければならんという一語であると言われたことは非常に感謝いたします。乾麺麺に対して断乎として排除なさつたように、こういうようなやり方が行われたことは誠に望ましいことである。共産党は引揚者が故障なく、途中の摩擦なく、早く家に帰られるようにすることについては努めておるわけであります。この点は最近いろいろのことが起るので非常に苦心しておることであります。大体船から國に帰るまでの摩擦というものは、引揚者がシベリア全土において生活して來たその生活の態度考え方、それがそのまま持たれてやつて來ておるのであつて、一言で言うならば、民主主義の生活をして來た、それが滲み出ておるものであります。この点を一つ御了解願いたいと思います。何でも外地から帰つて來た者は、シベリアから帰つて來た者は腹に一物持つて、そうして突つかかつて來ておるのだ、こういう考え方は、私達日本に生活しておる者は、如何に民主主義の制度について体得していないかということの証明になる。その二つの考えの争いである。いろいろごたごたの起るのは、この争いであると私は考えるのであります。この点については今まで何か腹に一物持つてつて來たのではないかという、この考え方を止めて、冷靜に今まで四年間生活して來た人達の考え方、生活態度を理解して貰わなければならんと思います。で船の問題にいたしましても、食事のことにしても、衞生その他のやり方注射その他のやり方にしましても、そういうような点において我々は十分反省すべきものはないか、それからすでに民主主義の生活において、外地における日本人以上に体驗しておる連中に、今更天皇は象徴であるとか何とか、その他の説教を聞かせるということは、これらの人を刺戟するものではないか、むしろ思想官傳するのはこつちの側で、向うの側でないということが出ておるのじやないか。日本の民主主義の制度の発展した状態を見ましても、私はここに具体的に述べることは時間がないからできないが、とにかく大変食違いが非常にある。だから船の改革をやる。船員の手当にしても十分の改革をやる。それから調査費用にしましても、これは連合國占領下にあるから云々と前から言われておるけれども、殆んど特高的な調査がある。これは連合國に対しても引揚者が要望しておる点は、抑え付けておるわけには行かないと思う。それらの点の改革、それから沿道に迎へに出ておる人が歓迎しましても、赤旗を持つて入つちやいかんとか、或いは赤旗を持つておる者はどこにおれとか、いろいろな制限をやつておる。だから摩擦が起きる。初めから民主團体のすべての團体に対してそれを許すならば、止むを得ない條件の下にもできるだけのことを許すならば摩擦は起きない。鉄道の運輸にしましても、何も好んでぐるぐる廻して歩くことはない。一般の帰つて來る側が要望する線路を通してもよろしい。ところがいろいろ細工をして廻されておる。そうして神経をいらいらさせておる。そういうようなやり方はもつと鷹揚に、もつと引揚げて來る人達の氣持も要求も汲んでやれば摩擦も何もあるものじやないと思う。余りこちらの從來の官僚的な考え方で、非民主的な考え方で事柄を決めて行くということが摩擦の元であると私は思う。私は更に先程淺岡委員が、連合國の側から引揚船に乘つてナホトカまで行つて貰いたいというような話がありましたが、そこまで世話をかける必要はないと思う。若し必要があるとすれば、私が今申したような改革ができれば何でもないと思うが、共産党の代表者を入れてナホトカまで持つて行つた方がもつと目的を達すると思う。そんな必要までは私はないと思う。
  74. 矢野酉雄

    説明員(矢野酉雄君) 今の細川委員のは、共産党の御意見ではなくて、日本共産党の御意見として拜聽いたしますが、それはなかなか結構な御意見でありまして、実は政府としては円滑なるその帰還ができますように念しておりますので、日本共産党としてこの上ながらの御協力を仰くように心からお願いいたす次第であります。ただ言中可なり事実を曲げてお考えになつておるようでありますから、その点だけは訂正して頂きたいと思います。運輸系統におきましては、若しももう一々北方を通して帰す、運輸系統を新たにいたしますならば、帰られますところの員数からいたしましたら、もつともつと北陸線を実は通つて頂くことがずつと時間的においても短かく行けるのでございます。併しながら一面においてはこちらの方をお通り下さつて、初めは都会地も御覧頂きたいというような実は親心と申しますか、友情と申しますか、そういうような点からも考えて実はいろいろ計画しておりましたが、事実やつて見ますというと、いろいろな御承知のごとき問題が起りましたので、それで実は故意に遠廻しをして、そうして遅らせるというようなことは、それは実はやつておりませんから、これはお調べ頂きますと直ぐ分ります。それから赤旗を携えて入る者を拒否する、赤旗ばかりでなくて、十分協議いたしました上、今までの輸送系統の実績を参考といたしまして、あれくらいの程度で構内に入る者も制限することが結構であろうというような実は結論に達したものでありますから、実施したわけでありまして、いろいろやつた上で、この点は改むべき必要のあるというような点を発見しましたらば、その都度御意に副うように改革をしたいというふうに考えておるような次第でございます。
  75. 細川嘉六

    細川嘉六君 矢野政務次官に申しますが、引揚從來通りの運輸系統でやつておるというのが大勢の希望だと考えます。それを京都の事件、あすこで、ここでは立入つた話はしませんが、あの事件以來変つておる。從來通りのことをやる方がよろしくはないかというのが私らの考えである。それであのために途中で引き返しても東京え來る者が多い。それから実績によつて赤旗を持つた連中を制限して入場を許しておるというお話でありまするが、從來の実績というのは抑え付けた実績だ。他の團体と一諸に参加させて呉れといつた共産党の連中の希望を抑え付けて來た。それでありますから今日駅頭なんかでいろいろの不十分なる割当のあるため直ちにいろいろなことが起きるので、それは十分直して行つて頂きたいと思う。
  76. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 私は共産党の細川委員にお尋ねしたいのですが、実は過日援護廳に大郁丸或いはその他の代表者三百数十名、或いは又その他の代表者というようなものが國会に來られて、当時十項目、或いは八項目に亘つて要請をされたのでありますが、一々玩味して見ました結果、それを要約すると、要は鉄道輸送の問題になつて、去年通りのダイヤで送れということに落ちたのでありますが、一体去年当時のダイヤを組むということに対してどうも納得できないんです。細川委員が今帰つて來る全引揚者がそういう要望をされた、こう言つておりますが、私共は二日、二夜、丁度三日その方面に折衝いたしましたが、それはただ單に中間に指導するところの共産党の諸君の発言で、要請であつて、実際引揚者の全員がそういう要請をしておるかというようなことは結論としては出て來なかつた。それからもう一つは、過般二日の日に舞鶴から金沢まで参つたのでありまするが、その間に引揚列車に私共たまたま乘つたのであります。そうしますと、その舞鶴を出て、そうして敦賀まで行きますと、敦賀で以て赤旗の小旗を数百本持つて來て、そうして共産党の代表者の人がおられて、その小旗を一人々々にお渡しになつた。ところがその小旗をいろいろ振られる、赤旗を……ところがたまたまその列車に乘つておつた運轉系統の人に聞きましたら、赤旗を振られると困るというような議も出ておるのでありますが、そうした点について、或いはプラットホームに赤旗を持ち込むとか持ち込まんとか、いろいろ問題がありますが、そうした点について先ず委員会としてははつきり態度を決めた方がいいと思います。そうしないと今後も引揚援護廳、この間ちよつと岡山にもそうした問題が起つております。それからプラットホームに赤旗はいけないと言われておるのにときどき入る、或いは三つ四つ入る。入るとその乘つておつたところの引揚者諸君が飛んで行つてその赤旗を振り廻す。そこで踊りが始まるというような事態なんです。折角婦人会なり或いは小学兒童が湯茶の接待なり或いは迎えに出ておるのが、勢いかつ飛んでしまう。こういう点はこの駅頭における方々の風景として見ておるわけですが、そういうようなのは小さな問題かも知れませんけれども、一應委員会としては今日でなくてもよろしうございますから、眞劍に一つ考えて頂きたいと思います。
  77. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは、この赤旗問題は來るべき委員会にお諮りすることにいたしまして、それから先程淺岡委員の御提案であり、又矢野厚生政務次官の御発言にもありましたように、帰還輸送に当つておられる船員の方々に何らかの形で感謝の意を表したい、こういう問題がございますが、これは御異議がなければ、あとで御相談申上げたいと存じますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは次の問題に移りたいと思います。それでは全連から出ております漁網の問題。
  79. 穗積眞六郎

    ○穗積眞六郎君 全連から委員長に宛てて、御協力方を御依頼する文書が出ております。その内容は、引揚者に対する漁網の特配の問題でございます。これは今年の三月でございます。大分委員会のいろいろ非常な御盡力を願いまして一度だけ特配を得たのでございます。その数量が引揚者希望した数量の約二割内外でありまして、非常に不十分であつたのでございます。今もう秋漁を控えておりますので、この秋の漁に網を早く間に合せなければいけないということ。それから漁網のマル公が將來も非常に上る傾向を持つておるというところから、もう一遍引揚者に対して漁網の特配をお願いしたい。そのことに対して特別委員会の御協力をお願いしだい、こういうことをお願いしたのであります。それに対して協力するということを御決議願いたい、こういうわけであります。
  80. 矢野酉雄

    説明員(矢野酉雄君) それは直接私厚生省の立場からいたしましても、水産長官に要請したいと思つておりますが、実はその問題、事実淺岡委員もおられまして、水産常任委員でありますから、実際に今やつて参りまして、一昨々日も水産部長並びに田中資材課長、それから金子技官等にも会いました。本日も只今水産委員長木下君にこの問題を要請しました。その必要は十分分つておりますが、いささかここで発表を差控えたいような問題もありますので、厚生省としては引揚者厚生の立場から大いに要請したいと思つております。水産常任委員としては、宣御意に添うようにやりたいと思つておりますので、その向きをお答えして置きます。
  81. 穗積眞六郎

    ○穗積眞六郎君 今矢野次官からお話がございましたが、矢野次官はこの問題については非常によくこの委員会でも御強調になり、又水産委員会でも両方の状況をよく御存じなんで、実に苦しい問題になつております。又一般としても事情のあることも聞いております。どうぞ厚生省のお立場から、これら水産委員でこれらもお兼ねになつておるお立場の方、どうぞよろしくお願いいたします。
  82. 矢野酉雄

    説明員(矢野酉雄君) 念のために申上げて置きますが、ロープ等は相当のむしろ在庫品があるくらいでございますので、それらの方面の御要望だつたら直ちに御要求に副うような手続もできると思いますので、單なる漁網だけに限定せずに、もつと廣めて御要請になつたらいいと思いますが、念のため申し添えて置きます。
  83. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは委員会といたしましては、この問題をどういたしますか。
  84. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 これはやはり取上げて、そうして職業の安定から、それぞれ只今穗積委員、政務次官からも答弁があつた通り、私共も前農林関係者として、早急に配付できるように心配したいと思いますから、委員会はお取上げになつて委員会としてこの問題の進展に努力するということに御賛成を得て頂いたらよろしいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 天田勝正

    ○天田勝正君 この問題は継続になつておりますが、過ぐる第五國会ですでに院議として採択になつておる問題であります。從つたこれを重複して委員会で採択するということでなしに、その採択になつた結果を当局は如何に運営されておるか、この運営が院議と違つた方向に行つておれば、それは違うということで本筋に引戻して、院議の採択した通りにやつて貰う。こういうことでなくてはならんと思つております。これはすでに採択されました問題を、その問題を同じ継続の第五國会で問題にするということは別の形でなければならん。かように考えます。
  86. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) 天田委員の御発言御尤もと思いますが、この前の國会に、第五國会にあれは何じやなかつたでしようか、これは特別な割当として、これで一応枠があるわけで、こういう何をしたと思うのですが、もう一遍これは……。
  87. 天田勝正

    ○天田勝正君 引揚者新規着漁業者に漁業柏材継続優先配給のこういう請願が採択されておる、これは一遍取上げまして、そうして又止まつた、止まつたから、それを又継続するようにという取上げ方をしたわけなんです。でありますから、その結果が一体どうなつておるかということを水産廳当局に聞いて、その上で取上げるならば取上げる。こういうことにしなければ筋が立たないのではないかと思います。
  88. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじやそういうことにしたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それじや時間も……
  90. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 大体八月は一万八千名帰されるということで、すでに第一線も出ておりますが、この八月の引揚という問題に対しまして、当委員会から一つ二名か三名か知りませんが、新陣容を以て御派遣ができますといいのですが。
  91. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) お諮りいたしますが、前回のときには大部予算とかの関係で削られたことは御承知通りでありますが、今度こういう情勢にありますので、一應それでは要請することにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 一つ八月、九月、その間において、これはもう第三船が來るのですから、どうしても今の情勢下において國会においてはつきり把握して行かないと、今後如何なる問題が起つて來るかも分りません。
  93. 紅露みつ

    委員長紅露みつ君) それでは御異議がなければ、そういう手続をいたすことにいたします。  それでは大変時間が延びましたので、この程度で本日は散会いたしたいと思います。御苦労樣でございました。    午後一時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     紅露 みつ君    理事            天田 勝正君            草葉 隆圓君    委員            田中 利勝君            淺岡 信夫君           池田宇右衞門君            水久保甚作君            穗積眞六郎君            矢野 酉雄君            細川 嘉六君   説明員    厚生政務次官  矢野 酉雄君    厚生事務官    (復員復員課    勤務)     田島 康利君    船舶運営会帰還    輸送課長    井上 嘉瑞君