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委員長(
塚本重藏君) それでは局長がお見えになりましたから、私から申上げますが、
只今まで吉岡
主計官と各
委員との間に
生活保護法の中の補助額の
基準改訂の問題につきましていろいろ
質疑應答があ
つたわけであります。
大体その全部を勿論申上げるわけには参りません。非常に細い点に亘
つて機微に触れた
質疑が交されたのであります。問題はこの
厚生省でも非常に御苦心なさ
つておられるのでありまして、我が國の現在の財政
状態からして、何とかして
予算総額を殖さない
範囲において、而も被
保護者の
最低生活を保持せしむるような
程度にまでこの
基準を
改訂しなければならん必要に迫られておる、そこで今
大藏省の事務
当局との間において
予算折衝が行われておると昨日
厚生委員会は厚生
当局から聞いたわけであります。そうして本日
大藏当局の方に御出席を
願つて質疑應答を重ねておる次第でありますが、我々から
大藏省に参
つて一同のものが参
つてお話してもいいのでありますが、議会の開会中でもありまするし、突然お伺いいたしましても会えないかとも
考えられるし、この
委員会に御出席を願
つたわけであります。いろいろ問題はありましたが、とにかく今の
基準額では
人間としての
最低生活が営めない、況んやこの
主食の
改訂が行われたのでありまして、副食物の價格が騰貴して参りまするし、その他
物價は依然としてやはり昂騰を続けておる。昨年八月、十一月に
改訂がありましたけれども、その
改訂額では、今日はすでに
生活を維持するに足らない実状にな
つたので、そこでどうしてもこれを
改訂しなければならん。こういう事態にな
つておるわけであります。今までいろいろ
お話にな
つておりました点は、全体としてとにかくあれでは
生活ができない。そこで
基準額を上げて貰わなければならん。上げる必要がある、これが主たるお願いの点であります。それからもう
一つは
從來この少額の勤労
收入というものを
扶助費のうちから差引いてお
つたのでありますが、これは一番最初に、私の記憶が間違
つておるかもしれませんが、
生活保護法ができましたときの
生活費基準を幾ら、それが大体二百円
程度に置かれてお
つたのではないかと思われます。從いまして、そのときから二百円
程度の
收入があれば、二百円を超す
收入があれば、それは
生活扶助費から差引くとい
つたようなことが行われました。そのこと自体が今日尚依然として続いておる。貨幣價値の非常に下
つておるときであるにも拘わらず、僅かに二百円内外の少額の勤労
收入があれば、それでも尚今日の
給與額から差引くというようなことが依然として行われておる。いろいろ各
委員から御指摘に
なつたように、今日の支給額が、それ自体が
生活を維持するに十分でない支給額であるにも拘わらず、それで暮せないから何か勤労による副
收入を得なければ
生活が維持できない、こういう
立場から副
收入を得れば、その副
收入が支給額から引かれるというような事態が今日行われておりまするので、これでは折角この被
保護者の勤労意欲を昂揚せしめ、そうしてできるならば、できるだけ早い機会に
自立更生させるようなふうに勤労意欲を昂揚さして行かなければならないにも拘わらず、そういうことは事実においては行われない。多少でも
收入があれば、直ぐにそれが引かれるというようなことでは、勤労意欲は起
つて來ない。そうしてこのいわゆる社会的の
一つの大きな病氣といいますが、こういう被
保護者というものが減らない。いつまでも
國家は
給與を続けて行かなければならんというような事態に置かれております。これは政治の取り方によ
つて政府のやり方によ
つてはもつともつとこの被
保護者というものに勤労意欲を持たしめ、そうして働かせることができるのではないか。そういう点では、
從來行われている
少額勤労收入というものの差引につきまして、幾ら儲けても差引かないというわけにも行きますまいが、勤労
收入のうちの或る一部分だけは引くようにしても、働けば働いただけやつぱり
自分の
生活は樂になるという、こういうような
状態において差引かれるようなふうにせらるべきが適当ではないか、こういうように各
委員がお
考えにな
つているところであります。それからもう
一つは一割が市町村の負担にな
つているが、その市町村負担金の地方財源としての処理方法について当を得ていない点があるのではないか、そういうことから窮迫せる地方財政によ
つて切り盛りしております地方の
事情といたしましては、やはりこの被
保護者というものをできるだけ少くしなければならん。これは殖えれば殖えるだけやはり地方の負担が嵩んで來るというようなことから被
保護者として、
保護してやらなければならん人の
保護が十分に行われない、そうい
つたような
状態にある点、勿論これは濫給は避けなければなりませんけれども、漏給があ
つてはならないのであります。とすると、それが漏給に導くような結果を作りつつあるのではないか。二十三年度のこの実績を見ましても、昨年の四月には二百十四万九千余人あ
つたものが、本年の二月には百七十一万五千余人と減
つておるわけであります。この減
つて参りましたことが、実際被
保護者が少く
なつたということであれば非常に結構なことではありまするけれども、今申しますようないろいろな
事情からいたしまして、この減
つて來たという原因が、一部分でもこの中にあるとしまするならば、それは非常に憂うべきことであると思うのであります。今、日本の國にとにかくこの
生活保護法があ
つて、月々二百万内外の人達が救われておるということが、とにかく敗戰國ではあるけれども、今日の
國家の体面を維持しておることだと思うのであります。若しこの
生活保護法がなくて、こういう人達の
保護がなか
つたとしまするならば、日本の国は社会全体を挙げてどういう姿にな
つておるかということを
考えて見ると、非常に思い半ばに過くるものがあるのであります。私共といたしましては、何とかして、この一番社会のどん底に陷
つて、そうして自力
生活を維持することのできない
状態に……これは本人の責任ではなく、社会全体の責任を負うべき
事情において、そういう
立場に置かれておる人々でありまするから、憲法二十五條の精神に則
つて、これらの人々の
最低生活を保障せる
國家の責任を果さなければならん
立場において、十分温かい手を延べてやらなければならんのでありますが、國の財政は我々の知る
通りでありまするから、十分とは行かなく
つても、少くともこの文化的な
最低生活、いわゆる
耐乏生活の
限度である
最低生活だけは維持できるようなふうに、この
基準額を
改訂したいというので厚生
当局の意向でもありまするし、私共
委員会に席を置きまする
委員一同の熱願しておるところなのであります。
大藏当局におきましても、いろいろこの困難な点がありましようけれども、諸般の
事情を十分に
考えて頂いて、今日までも同情ある支援を示して頂いたのでありまして、この点は感謝に堪えませんが、今後一層のこの同情を持
つて、今事務折衝が行われておりまする問題について、御善処下さることをお願いして止まないものであります。尚各
委員から補足して頂きまして、
主計局長の
お話を伺いたいと思います。