運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-09-16 第5回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十六日(金曜日)    午前十時二十三分開会   —————————————   委員の異動 九月十二日(月曜日)委員紅露みつ辞任につきその補欠として藤森眞治君 を議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (台風災害救助状況調査報告並びに  結核予防に関する件) ○派遣議員報告   —————————————
  2. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。  一、二御報告申上げますが、九月十二日付で委員紅露みつ君が辞任になりました。同日付を以てその補欠として藤森眞治君が選任せられましたからこの段御報告申上げます。尚この機会前回皆さんの御承認を得て置きました調査員承認の件でありますが、幸いにいたしまして戸川孝男君が八月三十一日付を以て採用になることになりましたから、この機会戸川君を御紹介いたします。
  3. 戸川孝男

    專門員戸川孝男君) 御紹介頂きました戸川であります。よろしくお願いいたします。
  4. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは次にお手許社会保障制度に関しまする調査資料を御配付いたして置きましたが、その中の資料第十六号收容施設における一人当り処遇費調査、同資料の第十七号社会保障制度に関する構想資料、この二つにつきまして、資料作成に当られた專門員の方から一應の御説明をお願いします。
  5. 木村盛

    專門員木村盛君) では御指名によりまして資料につきましての調査の御説明を若干申上げる次第であります。  第十六号、これは第四類の分類になつておりますのですが、調査著手の当時申上げました通り收容施設におきまする一人当り処遇費実態調 査の必要ありということでこの調査に著手したわけであります。問題は非常に重要でありまするし調査対象も当初は全國的な調査をという御要望もあつたのでありまするが、何分時間を要しまするのと費用その他のこともありますので、極めて便法を講じたのであります。当初の意図いたしましたのは、被收容者の一人当り給付額は何程であるか、そしてこれが國民生活最低保障に関して本委員会構想いたしまするところの実態調査資料の一部に当てたい、こういうような目的を以てこれをいたしたのであります。著手いたしましたのは昨年の暮でございまして、これが計画実施当りまして漸く三月になつて実施に著手したのであります。当時は六千三百七円の賃金ベースのその当時における実際の諸費用の時價を算定して、いわゆる労働者人々が六千三百七円で生活をするというその面に対比して、法的扶助の面において果してどのような実態を示しておるか、又私的扶助がその間にどの程度に援助をしておるか、こういう点に著目をいたしたのであります。然るに荏苒調査関係に日を逐いまして、三月に漸く現在の施設に向つて調査の手を着けました。その点その間御承知の物的な價格の波動がありましたので、すでに相当價格等に変動を來しております。而もこれは全部一齊に調査するのでありましたが、手不足等関係相当時間がずれましたので、止むなく六月になりましてから又補充調査を第二回目としていたしまして、丁度二回調査したのをここに大体集計をして御覧に入れるようなことに相成つたのであります。  ここに大体ございます通り対象といたしましたのは、先ず癩療養施設結核養療施設精神病者療養施設傷痍者療養施設乳兒保護施設育兒施設少年保護施設母子保護施設養老施設、これらの大体の施設を、現在の收容施設におきまする大体の目安といたしまして、これを調査いたしました。又調査当りましてできるだけこの給付額が被收容者に対しまする直接の扶助金施設経営費、通称これを事務費と称しておりますが、こりらの補助金とを区別いたしまして、この推定年金に対する一人当り月額調査した。二が公共扶助金以外の金品又は衣料などの給付いわゆる物的給付、これらはそれぞれ区別して金額に換算してやる。その次が施設がみずから経営する農場或いは加工所などからの生産物品給付するものでありまする場合には前に述べましたものと同じようにいわゆる金銭途換算してこれを掲記する。その次が施設に向けまする土地建物設備というようなものは、それぞれその原價計算をいたしましてこれの消耗、減損率を算定して被收容者一人当り割当給付額として月額にこれを出して貰いたい。若しこれが原價計算がむずかしい場合には、便宜上この賃貸價格を算定してこれを被收容者一人当り割当給付額として算出しこれを明らかにして貰いたい。それからその次が前各項によります給付の外に、この施設経営に要しまする他の一切の費用を被收容者一人当り給付額に割当て、これを算入して貰いたい、こういうような大体の目安をつけまして、そうしてこれを調査いたしたのであります。  本來これは全國を調査すべきでありますけれども、先申しましたような諸般の制約がございまするので、便宜上これを東京都及び隣縣の代表的な施設と目されるものを選定いたしまして、ここにこの表に掲げまするようなものを取上げたのであります。この結果御覧頂きますれば極めて明瞭に分ると存じまするが、公的扶助実態は果してどのような状況になつているか、從來は居宅給付の場合においていろいろなる資料が提供され又こちらにおいても調査いたしたのでございまするし、各委員方既往三年におきまして全國の各施設につきまして目のあたり調査いたしましたのでありますが、更に收容施設におきまして公的扶助実態が数的にどのような状況が示されるであろうか、これを收容施設において極めて明瞭になし得るという自信を持ちましていたしました。それからその次の問題といたしましては、委託收容施設におきまして公的扶助が果して十分に行われているかどうか、若し行われていない、即ち不十分であるといたすならば、この不足費用はどういうような方法を以て補填されているか、即ち赤字はどういうふうに補填されているか、こういう点を極めて重要に考えまして調査いたしたのであります。その結果大別いたしますと三つの点がここに最後に指摘されます。一つは被收容者処遇が段々低下しているという事実であります。これは公的扶助費用が非常に不足でありまするために、処遇実態は非常に低下を示しつつあります。そうして特に飲食物費、これはカロリー計算においては大体賃労働者人々カロリーと大差ありませんけれども、いわゆる文化生活の上におきましてこの処遇は殆んどゼロに近いのであります。それから二番が施設從事者犠牲というものが條件となつて初めてこの公的扶助赤字補填されると、こういうことであります。從事者犠牲があるということが條件で初めて收容施設におきまする收容者処遇がなされているというような事柄が明白に数字を以てここに現れております。第三点は、土地建物設備というような不動産物資につきます價格に対する公共扶助が全然ございません。從つてこれら不可欠な物的要件でありまする土地建物設備等減損は全く償われざるままに、腐朽のままに放置されているのであります。從つてこれに対しましていろいろ財産の減耗がありまするから、これの補填のために何とかこれのやりくり算段ということが結果として起つて参ります。そこに幾多の問題が発生いたします。或るものは不正という事実を以て現れるものもあるように見受けられますのみならず、その危險にいつも曝されている。これを補填するためには癩療養所女子職員数字から見まするならば、三十二時間ぶつ続けに一週間に一度、それ程にやらなければ到底公共施設維持できないという惨状であります。こういうような結果は極めてこの数字から明瞭に看取せられるのであります。尚これらの点につきまして若干論述がここに書いてございますので、これはどうぞ一つ詳細お読み頂きたいのでありまするが、ここに揚げてありまするのがまあ大体それまでの集計実態であります。先に申しましたように昨年の十二月、本年の六月と両様にこれを取りましたので相当にそこに見方が違えております。即ち現在におきましてはますますこの差額が大きくなりつつこの秋冬を迎えておるというような事柄がこれで看取できると思います。  尚附帶調査といたしまして先にちよつと触れましたが、收容施設におきます職員のうち特に女子職員、例えば保姆、寮母、保健婦看護婦といつたような女子職員配置状況とこれの給與状況を合せてここに速報を出しておるのであります。これらの点について詳細御覺を頂きますれば、先程申上げました職員犠牲が如何にひどいものであるか、而もこれが労働基準法に照し合せて果してどの程度これは認容し得るものであるか、又すべからざるものであるか、こういう問題も法的に疑義があると存じます。こういうのが大体の実態でございまして、赤字補填は主に共同募金によつて賄われております。思いますのに公的扶助不足額があるとこれを民間から任意共同募金という方法によつて公的扶助赤字補填せねばならないという建前は、甚だこれは國際上遺憾であると思うのであります。これは僅かの二十数ケ所の施設につきまして一様に感じ取られまするところの実態であります。恐らく全國の施設を詳細に調査いたしましても大同小異の結果は現われて來るであろうと思います。約六ケ月に亘りました調査の結果が即ちここに集計としてお手許に差上げたわけであります。どうぞ十分御審議を頂きたいと思います。
  6. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 引続いて第十七号社会保障制度に関する構想資料
  7. 木村盛

    專門員木村盛君) 第十七号を簡單説明いたします。本資料は第二類に属しまする資料でございまして、前回委員会の節お示ししましたことに基きまして一應ここにこの便宜上の資料作つたのであります。前回御指摘になりました調査の御命令は、社会保障制度に関しまする將來構想について、從來配付された諸資料の中からこれを適当に考案して、最も近い構想において少くともこれだけはぜひとも構想の場合に必要な要件であろうという問題を明らかにすると同時に、現在まで発表され又は特に大きな注目を以て謳われておるところの、いわば代表的だといわれるところの構想についての比較檢討一覧表の形においてこれを簡略に示してくれるような資料を出せ、こういうような御命令と承わつたのであります。前の資料もこの資料も、専門員初め各部員が非常な努力によりまして漸くここに簡略を旨といたしました資料を作製いたしたのであります。御指命になりました点と定めし或いは食違つたものもあろうと思われまするが、できるだけ要約して簡明に作表いたしました。  第一の問題は適用範囲分類についてであります。これはここにも書いてございますから分類はいろいろな面から考えられると思いますが、そこで便宜上ここにも書いてありますように、國民各自の最低生活維持費差異に適合するような分類方法を考えて見たのであります。これは社会的貧富階級その他いわゆる何々階級というようなものでございません。國民各層最低生活維持費差異、その面に適合するような工夫をいたしてここに構想をしたのです。それから國民生活から発生するであろうところの保障事故の種類の相違があります。これによつてこの保障が適切になるような面を構想いたしましてこれを一應分類的に考えて見たのであります。斯くて考えて見ますと大体におきまして先ず現われております既往プランではイギリスのビヴアリツジ・プラン一つ、第二は社会保障制度審議会が発生いたします以前の社会保險制度調査会、これが最後大臣の諮問に答申しておりますが、この答申に現われておりますところの構想これが第二、第三は先般來朝して厖大な勧告書を日本の政府に送達いたしましたあのアメリカの社会保障制度調査團の御一行の示された勧告案内容、この三つのものを大体枠に入れまして、先申した種々の点からの問題をここに考えまして、そうしてこれを分類をして三案を対比したのであります。第一の問題はビヴアリツジ・プラン内容でございまして、これはAからFまでの六つの分類に相成つております。一つ労務契約による被用者、第二は雇用主、商人、独立労働者等自営者、第三は労働年齢にあるところの既婚女子、これは十六歳以上であります。四番目が労働年齢にありて收益ある職業に從事しない者、これは既婚女子は除いてございます。それから五番目は労働年齢に達しない兒童、六番目は労働年齢と超過して退職した者、男が六十五歳、女が六十歳、こういうものをAすらFというような分類で、ここにそれを現わすことにいたした。  それから社会保險制度調査会答申に基きますものは三つございます。これはAが被用者雇用契約のもとに雇われている者、Bが自営者、これは即ち勤労及び事業により生活を営む者、Cが無業者、いわゆるAB以外の者、これが大体答申内容によつて現わされております前の構想に基く分類であります。  第三が米國社会保障制度調査團勧告、これは書流しになつておりますので、分類が困難でありますから、一應ここに書流して要約した文章をもつてわしたのであります。Aというのが失業保險労働災害厚生年金及び健康保險によるところの商工業從事者政府年金、或いは國家公務員共済組合による官公吏又は船員保險による船員等現行制度による強制適用を受ける被用者及びそれらの扶養家族であります。Bは現在強制社会保險制度対象とならず、國民健康保險法による任意的基礎の下に前拂い方式による医療保護を受けつつある自家営業者家庭的営業者農業労働者及び家庭被用者並びにそれらの扶養家族、これはややこしいのでありますが、分類二つにしかしてありませんので二つ分類しました。この第一の分類によりまして以下の問題がおのずから符号によつて現わす工夫をいたしました。  第二の保障種目、その中の第一のビヴアリツジ案給付計画、これは○印を付けて支給の実態を現わしております。即ち最低生活維持保障するための普遍的事故を現わすための保險給付を、國民層の特性と必要性とに從つて分類されるという構想からこの分類をして表にいたしました。これは朗読は差控えますが御覺の通りであります。尚右側に給付種目國民分類とありましてABCDEF、こう書いてありますのが、ビヴアリツジ案プランでありますので、先に揚げましたAからFまでの者を符号で現わしたのであります。尚備考欄を御覺になりますと盲人手当、主婦の活動障害中の家事手傳人派遣、B、C、D層には職業訓練手当、こういうような制度等も設けられておるということを備考欄簡單に略記いたしました。  その次の頁に挙げておりますのは、これは調査会答申内容から現わしたものであります。これは三つになつておりますことは前に申上げました通りでございます。調査團のものは五頁にございます。これはAとBと二つに区別されますのでここにその旨を書いてございます。  三が費用負担の面でございますが、これまたビヴアリツジ案調査会案調査團勧告案と三樣にこれを対比してここに掲げてございます。朗読は省略いたします。それから給付基本につきましてこれ亦簡單でございますけれどもここにこれを三つ分類して対比してございます。  第五が、社会保險公的扶助との関係でございますが、これはなかなかむずかしいのでございます。できるだけこれを簡略につずめまして、ここに三つに分けて掲げたのでございます。  それから最花の六が、任意保險制度、これ亦極めて簡單に、これ以上簡單にできないと思う程簡單にいたしました。尚これらの点につきまして対比した結果、如何なる構想がそこに浮んで來るであろうか、又どういうような構想を以て本委員会構想が続けられるであろうか。これらの点が実は本委員会の御審議を経、御命令を頂きますれば調査事務局はその面に副いまして、でき得るだけ努力いたしたいと思うのであります。甚だ簡單説明で恐縮でありますが、一應この程度で止めさして頂きたいと思います。  尚ここに併せて御報告いたして置きましたのは社会保險実施状況調査表、二十四年二月調ということになつております。これは先般お申合せによりまして各地元関係の各院の方々がみずから都道府縣を訪問なさつて、御調査なさつた資料を御提供頂きましたので、取敢ずこれらを一括いたしまして一覧表にして差上げたのでございます。尚爾後又それぞれ頂けるだろうと思いますが、頂けますればそれに應じまして直ちに作表いたして次々と差上げたいと思います。各関係委員方々の御提供に対しまして深甚なる敬意を表します。
  8. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 以上の説明について何か御発言がありますか、これについての御発言がございませんでしたらこの外に配付いたしました調査資料とも併せ御通覧願いまして、本委員会が立案すべき社会保障制度構想について各委員一つ御研究を願うことにして、今日はこの程度に止めて置きます。それでは一つそのようにお願いいたします。  この機会に内閣の社会保障制度審議会模樣審議会委員より一つ報告を承わりたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないと認めます。それではどなたかから一つ順次御報告願いたいと思います。
  10. 中山壽彦

    中山壽彦君 それでは私から審議会経過の概要を御報告申上げます。先月の厚生委員会に御報告いたしました現在の社会保險経済危機に対する勧告案ができたことを御報告申上げたのであります。この勧告案がその後どういう経過を辿つておるかということをこの機会に申上げたいと思います。  私共はこの勧告案を以ちまして、副総理官房長官大藏大臣等に差出しておいたのでありますが、その後厚生省事務当局と大蔵省の事務当局の間にいろいろ交渉が進められておつたのであります。その経過を聞いて見ますと勧告案趣旨変つた折衝が行われておるように聞いたのであります。その内容を申上げますと、事務当局説明によりますと、現在赤字最初は四十何億と申しておつたのでありますが、それが二十九億今年度の赤字なんであります。そのうち健康保險一部改正法律案で被保險者保險料が千分の五五と現行規定の最高まで引上げられましたので、これを八月から取立てることになると、約年内に七億円の收入がある、それで二十二億になる。それから今日までの積立金が約五億円残つておりますのでこれを流用しますと十七億円になる。それから標準報酬が六千円という勘定になつておりますが、どうも実際においてはそれより高い額で、それを六千円を一割値上げしまして六千六百円にしますとそれで又十億程度の増額になる。それから二十四年度の三月分の診療費を二十五年度に支拂うようにするというと却つて四億円の黒字になる。こういう報告保險当局事務の方から審議会説明されたのであります。その花又大内、未高正副会長及審議会委員の二三の人が八月三十日大藏次官に会われて、やはり事務当局と同じような折衝をされたということを耳にしたのでありますが、こうなりますと最初勧告案を作りましたときの趣旨とは全然違つておるのであります。審議会におきまして勧告案を作りました当時の構想は、七月の審議会におきまして宮崎前保險局長から、政府管掌健康保險組合管掌健康保險共済組合國民保險等各種保險を通じて本年度赤字が約四十何億になり、これは医療費の一割の額に相当する、こういう報告に接したのでありますから、それでは一つ一割を今年度取敢ず國庫負担にして赤字補填をして貰いたい、こういう意味合から勧告案が作成されたのであります。  然るにその後折衝が只今申し述べました通り政府管掌健康保險に限るというようなふうに限局されて事務当局間の交渉があるように聞きましたので、そこで本月十三日の審議会におきましては、話が全然違う、勧告案を作成した趣旨に基いて、もつと交渉強度に座けられなければならないという話になりまして、今回は衆参両院議員一つつて貰いたいということで、実は昨日ここに御列席の谷口君、姫井君、山下君、その他衆議院の方からと私とで六人が厚生大臣のところに参りまして、よくその行違いの点をはつきりして勧告案の本旨に基いて國庫負担を決められたいということを繰返し交渉いたしました、厚生大臣は副総理の資格において、よく分つたという話で成るべく善処しようということになつたのであります。増田官房長官はよく分りましたという話であります。大藏大臣は、どうも今まで自分は政府管掌のことばかり考えておつたので、政府管掌健康保險以外については考えていなかつた、併し段々話を聞いて一應行違いも分つたが、よく組合管掌、その他共済保險國民保險等につきましては厚生当局から的確なるデータを求めて、成るべく勧告案趣旨に基いて考慮したいという答弁があつたのでありますことを一つ御了承願いたいと思います。  尚その外に保險医に対する診療費支拂が非常に遅れておりますので、保險医の方から全國的に相当の騒ぎがある、そこで私はこの問題は暫定措置として何か解決しなければならないと思います。厚生大臣にも強力に話をし又大藏省内部にも呼び掛けまして、取敢ず十億円を大藏省から厚生省に借入れて、これを基金の方に廻して当座の診療費支拂うということを強度に主張いたしましてこれはでき上りました。從つてこの五月分の診療費は、全國的に八月中に完了し、六月分の診療費は今日頃までに全部支拂つた筈になつております。從つて七月の診療費は來月判頃までに支拂う予定になつておるのであります。かように勧告案経過が非常にまだ的確なことになつておりませんが、大藏大臣も昨日最後のときに、將來の見通しは的確なるデータがないといくらかということは分りにくいからそれを至急調査して、場合によつて臨時國会にはできなくとも、通常國会補正予算として出してよいというところまで話があるのでありますが、いよいよどれだけの國庫負担で行くかという数字はまだ確定しておりません。この点を一つ御承知置きを願いたいと思います。  次に八月の公的扶助分科小委員会におきまして、最低生活保障確立に関する勧告案ができ上りまして、これを八月の審議会総会に附議いたしたのでありますが、いろいろ御意見が多数出ましたが今度の総会まで保留しようというので、十三日の総会に附議したのであります。ところが段々いろいろ御意見が出まして結局この勧告案基本としていろいろな字句修正等が行われました。で題目も生活保護制度改善強化に関する勧告、こういうふうに変る。その内容は大して変りませんが字句等もよく特別委員を挙げて修正をいたしまして勧告案ができたわけであります。この勧告案はまだ政府当局の方には出してません。でき次第に政府当局の方に廻すことにいたしておるわけであります。尚將來勧告案というものが次々に医療制度審議会でできましてこれを政府に出すということになりますと、いろいろ又むずかしい問題も起つて來るのでありますから、各分科小委員会において勧告案ができましたらば、一應私共の運営委員会に小委員長に集まつて貰いまして、これを勧告案として出すか、或いは了解事項として出すか、それを決めた後に総会に付議する、こういうふうに今後勧告案の取扱に関する方針を決定いたしましたので、これも一つ御承知置きを願つて置きたいと思います。  尚社会保障制度審議というものが今日まで五月に発足して六月以降いろいろやつておるのでありますが、どうも各分科会で多少まちまちになりまして統制を欠くような傾向があるのであります。そこで全体社会保障制度審議会においてはどういうことを審議すべきか、審議の大綱を一つ決めようじやないかということが、八日の審議会総会意見が一致いたしました。それで七名の委員、小委員が挙げられております。私共はこの厚生委員のうちから私と山下君と入つております。この七名の者が今月の八日に一回集まりましていろいろ意見の交換をいたしたのでありますが、非常に重大な事項でありますので今日の午後二時から第二回の委員会を開催いたしまして、どういうことを第一に審議するかその大綱の起草委員というものを午後二時から厚生省で開きたいと存じております。どうかこういうような経過になつておりますからこの委員会におきましても、この大綱について何か御意見がありましたならば私共が委員として出るわけでありますから、一つお教えを願いたい、御注意を願いたいとこう思うのであります。それだけが大体の経過であります。尚御質問がありましたらお答えをいたします。
  11. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外の委員さん方……。
  12. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今中山委員からの御報告で大体盡きております。只今お話になりましたように前回に出しましたところの社会保險の危機突破対策に関する勧告案につきまして、その交渉します先が單に事務的になつておりますために、我々の勧告案が非常に狹い範囲の方面にのみ走つておるので、言い換えれば單に政府管掌健康保險のみが解決すればそれで十分かのごとく思われておつたのでありますが、この十三日の総会、引続いて十四日の社会医療社会保險の合同委員会において再び是非そういうような一部分の保險でなしに、全部の疾病保險に及ぶものであるということが強調されまして、只今お話のように國会議員たる委員が林副総理大藏大臣増田官房長官というようなところに交渉に行くことになりまして、私昨日の交渉の工合から考えて見まして幾分好轉したというように感じましたけれど、大藏大臣説明がどうも不十分である、言い換えればデータが全部のやつが出て來んというとなかなかそれに対する勧告のような趣旨には副いがたいような言い分があるのでございます。無論大藏当局としてはそういう言い分は当り前とも思いまするけれども、初めからして國民健康保險というようなのはなかなか立派な資料が只今できておらんために、又できにくいためにそういうようなデータを出さねば目的が達せんというようなことであつたらこれはなかなか困難であると思つております。併し國民健康保險の危機を突破しますためには是非ともその勧告案に副うて貰うような式に、言い換えれば医療費の一割負担か一部負担かそのどちらかして貰わなければならんかと思つておりますけれども、今後この方面には引続いてたびたび交渉もし了解もして貰つて是非その目的の貫徹するようにせなければならんということを昨日尚つくづく感じましたので、どうぞ皆樣におかれましてもその点は十分まだ完全なものでないということを御了承置きを願いたいと思います。
  13. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 私共の公的扶助委員会から出ました勧告案につきましては、先程大要を中山委員からお述べになりましたが若干附加させて頂きたいと思います。  最初の案は最低生活保障制度確立に関する勧告とあつたのであります。これが相当大きな問題となつたのでありまして、余りに飛躍的に進み過ぎる嫌いはないかといつたような考え方が底を流れているものと思うのであります。私共といたしましては成るべく急速に社会保障制度の確立への軌道に乘せて行きたい、尚実際の生活保護の実情にも即應して改善すべきものは逸早く改善しなければならないという考えであつたのでありますが、いろいろの議論の末、結局その勧告案の題目が先程申されましたように生活保護制度改善強化というふうに変つたのであります。尚この勧告に対する考え方の原則といたしまして、この内容は今日参考資料として委員会から配られました内閣保障制度審議会会議録要旨とありますこの中に書いてありますから、これを御覽置きを願います。  ただ二三の点を申しますが、その第一の原則には最低生活保障するんだ、が又働く意思のあるものに対してはその者が再生産し得るように、生産分野に再起し得るような方法も講じなければならないといつたようなことが附加えられてあつたのでありまするが、これが消されたのであります。尚最低生活を営むことを「権利として」とはつきり書いておりましたが、これもどうかというふうな議論が出まして「権利として」ということは除きましたが、公の扶助を要求し得るものであるという建前ははつきり決めまして、これによつてこの原理的の性格が考えられるようにしたわけなのであります。それから他の手段によつて最低生活を営むことのできない者は当然公の扶助を請求し得る、他の手段によりということが相当問題になつたのでありますが、これはいろいろ研究いたしました結果やはりこう書き現わさなければ方法がないのではないか、他の失業保險だとい或いはすべてそういうものを含みました社会保險とか、いろいろの手を打つても尚且その生活保障することができない者が、最後の手段としてその生活保護に持つて行くのだという意味であつたのが、若干異論が起りましたがその程度で了解を得ました。更に保護内容に関しましては、將來は積極的に経済厚生的な施策を拡充して、俗にいわれますオーダー・ラインから陷ち込む者を先ず以て喰い止めて行かなければならないという、即ち防貧、その上にもう一つ今度は防貧措置と共に貧窮に陷つた者を保護する、更に保護しておる者が永久に貧乏の溜り場に陷ち込んでいるだけではいけないので、その貧乏の溜りから一日も早く自立せしむるようにしなければならないという、防貧、自立ということを特に加えられたのであります。尚経費に関しましては、最初の案は現在の八一一の比率を九〇五〇五といつたふうに、都道府縣並びに市町村の負担を一割から五分に減ずるとはつきり書いたのでありますが、これはいろいろな議論の末、地方負担の軽減を図るようにしなければならないということに置き換えてこれが決定されたのであります。以上のことによりましてこの勧告案は成立いたしまして、政府に通達するようにいつでもその準備が進められるということを以て私の補足を終ることにいたします。
  14. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 以上の報告に基ずきまして皆さんの御発言をお願いいたします。
  15. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 さつきから段々各社会保障制度委員方々から御報告を承わりまして、何か今後そういう問題についての意見があるなら十分この際に申述べて参考に資したいというお話でありましたので、この機会一つ申上げて置きたいと存じまするが、実は私共が社会保障制度審議会……。
  16. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) ちよつと御発言中ですが、今日保健局長も出席願つてつたのですが、十一時半頃からでなければ出られないということで、今は社会局長だけですからどうぞ……。
  17. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 社会保障制度審議会における運営という点については、むしろ一日も早く社会保障制度が実現するということを大変期待している、從來の運営方法は不十分でありまするが、外部から見ておりまするとむしろ現行法の行詰りとか、現行法の欠陷に対する審議というものが多くとられているのじやないか。これは当然不十分であり欠陷があるというので、社会保障制度の本質というものが現れて來べきものである。從つて社会保障制度のある日本の現在及び將來に対する現実と理想とに向つて社会保障制度というものが、一日も早くできるようなものに一つ組立てて行くべきものである。これは誰しもそうじやないかと思います。勿論そのつもりでおやりになつておると思いますが、外観往々にして巷間の評を聞きますと、むしろ現行法に対するいろいろな行詰りとか、或いは欠陷とか生活保護法の問題とかいうような問題にむしろ触れ過ぎて、本質の問題というものが、そこから研究することも一つでしようが、出て來るのじやないか。で現行法の不十分だとか或いはこの行政面における法律の不徹底というのはこれは國会でもちよつと取上げることだと思うのです。我々の願くば内閣における社会保障制度審議会に強く期待いたしますることは、その保障制度というものが早く大体の輪郭を審議会において作つて貰いたいということを強く要望しておる次第であります。この点に対してどういう今までの運営というものに対する、更に檢討というのか、先に委員からもお話がありましたが、そういう点に対しまして何か行き方等が考えられておりますが、どうもそういうふうに外部的に伺われる点があるのではないか、この点を一つお耳に入れて置きたいと思います。
  18. 中山壽彦

    中山壽彦君 只今草葉君からお話になりましたことは私も全然同感でありまして、そういう意味合におきまして、先刻申述べました通り先ず社会保障制度というものをこれから日本にどうして行くのだという大綱を決めて、その大綱が決りましたならばこの大綱に基いて審議を進めて行く、こういうふうに今後運営して行きたい。從來やつておりましたものにつきましては現行法のいろいろの面について材料を出したり、或いは当局の説明を聞いたり決して無駄ではなかつたかと思いますが、これで行つておりますというと今草葉君の言われたような傾向に陷り易い虞れがありますので、今後は一つ日本の社会保障制度は一体何をやるものだという一つ大きな項目を決めて、この項目に基いて今後審議を進めて行く、こういうふうに運営を変えて行きたい、こういうふうに私共は考えます。
  19. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に御発言ありますか。
  20. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 只今の御意見を承わりまして大変有難く又心強く感ずる次第でございます。どうぞ願くば成るべく早い機会構想とそれに向つての日本の現在及び將來における社会保障制度のあり方というものが現われて参りまするようにお願いいたします。
  21. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に御発言ありますか……、今草葉委員から現行法の不備、欠陷、これの是正改正等に大きな力が現われて來る社会保障制度の本質的な立案についてもう少し積極的な努力が欲しい、それに対して中山委員から同感であつてそのために七名小委員を選んで大綱立案に当ることになつたというお話があつたわけでありますが、参議院の厚生委員会におきましても從來すでに十七の資料ができたわけでありまするし、我々自身も亦そういう氣持を以ちまして、お互いの間に日本に早晩実施すべき社会保障制度というものはかくのごときものでなければならんという一つ構想を皆さんにお立てを願いまして、この委員会といたしましてもそういう方向に進んで行つて、そうして内閣、社会保障制度審議会と協力して所期の目的を達成するように努力したいと考えるわけであります。一層今後一つ皆さんの御協力をお願いいたします。
  22. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 今朝の新聞を拜見いたしましたらシヤウプ博士の税制改革に対する勧告案の中に、社会保障に対する税金云々というような意味が見付かりましたのでございますが、恐らくこれから社会保障制度審議会の運営委員の方はそういう方面にもお力をお入れになつて下さると思いますけれども、中山委員がそちらへおいでになりましたら、税制改革の意味から檢討頂きましたら非常に有難いと思います。
  23. 中山壽彦

    中山壽彦君 あの問題は実は私昨日社会保障委員会でも説明したのですが、從來社会保險制度調査会等におきましても既存の各種社会保險を統合すべしという答申が出ているのであります。併しながら今日までその統合の方法が非常に困難なために実現をしていない、現在の社会保障制度審議会におきましても、どうしても今日ありまする各種の保險を統合をしなければならんということについては誰も異議がないのであります。ところがシヤウプ博士のあの保險料というものを止めて國税局においてこれを税金と同じように取立てたらどうだという勧告になつております。私共はこの自分の私見としても、昨年アメリカの医師協会の幹部が來られて私共呼ばれまして十五分間意見を申せということで私喋りました中に、やはり私は統合するのには保險料でまちまちだつたらできない、だからして一緒の保險税というようなものでやつて見たらどうかという意見を述べたことがあるのです。たまたま昨日発表されたあの勧告案社会保障制度税というようなもので行つたらどうかという勧告がありました。統合という問題を一歩進めたのじやないかというような氣持がしているのであります。まだどういうような税にしてどうという詳しいことが分つておりませんから確実なことは申上げにくいのでありますが、今日まで統合という問題が行悩んでおつた問題に一つ明るい部面が起つたのじやないかというような氣持を私共はしております。その方向で行くのではなかろうかと思つております。
  24. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私も今のお話に関連いたしておりますが、社会保險の問題に対しまする今のいろいろの保險の統合というものを如何にやるかということが一番問題じやないかとこう考えるのであります。それを只今中山委員が申されました通り、税金として取るか、税金で半分取つて後はどうするかとそういういろいろな面があるかと思いますので、これは我々のこの参議院の厚生委員の方でも研究しなければならないのでございますが、根本がまちまちの保險におきましてはこの点なかなか行かない。政府はどういうことをやつているかといいますと、國民健康保險はまだ全國的に見ましても半数くらいもできていない。そうしてもう一つは再建したけれども崩壊に近いというような状態がある。又一面におきましても登録制その他のものの何と申しますか、モデル保險、國民保險というようなものをやろうとしておる。政府はどんなことをやるかということが社会保障制度審議会に掛けましてそうしてやるだけじやなくて、自分の方も一つのモデルをやらなければならんというふうに考えられまして、これではいけませんので私は審議会といたされましてもそこをはつきりしなければならない。併しこの社会保障制度というものはなかなかそう簡單には参りませんので、片方ではモデルを作り研究し、片方ではいろいろなことをやるというのでございますが、少くとも大体の方針を審議会委員方々がお決めになりますので、統合してどういうふうに行くかという方も御研究になつて頂きたい。いろいろな保險が沢山ありますがこれをやることが根本であります、社会保險の問題は……。又一面におきまして外の養老保險、失業対策その他の問題もありますけれども、保險自身といたしましてはさように私は考えるのでございまして、この参議院の我々の部面におきましては、これをどういうふうにやるかということを今後研究して参らなければならない、かように考えるのであります。
  25. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今竹中委員の仰せられましたような、先日に新聞などにおきまして各地方にモデル的に人頭登録式の方法を取つてやれとか、それに希望するところには二三ケ所にやらして見ろというようなことが新聞に出ておりますので、実は一昨日に社会保險、社会医療委員会において、私から保險局長にそういうようなことを実際に計画しているのかどうか、又計画をするというのであつたら今現に社会保險医療委員会ができておるのだから、その方面がこういう重大のものは研究した後にたとえモデルであつてもやるべきものであつて、そういうのを單独に出すのは今社会保障制度委員会ができてから後に出すということは少し行過ぎているのじやないかというようなことを質問いたして見ましたら、実はあれは五月頃にできたのでありまして、最近にできたのじやないのでございます。それから同時にあれは各府縣に言うておりますけれども、まだ実際にやりたいという所は言うて來ておりません。若し言うて來ましたならば早速一應御連絡をするつもりでございますというようなことを言つておりますので、又若し言つて來ましてもまだ殊に登録式というようなことは我我は到底日本ではちよつと行い難いと思つておりますからして、これは余程考えた後でないとモデルなんということはできんことであろうと思つております。そういうふうに直ぐやるようなことはありませんからその点を御報告して置きます。
  26. 中山壽彦

    中山壽彦君 今谷口君がお話になりました通り、人頭式の登録制を全國の國民保險組合に何かサンプルでやつて見たらどうかという通牒が確か六月にあつたと私は聞いておる。それで社会保障制度審議会が始まつた際にそういうことを審議会に付議しないで保險当局として勝手にそういうことを出すことは、甚だ失態ではないかということを保險当局にも話したのです。それを話したのは八月の始めであります。そうしたらそれは今まで何もそこまでやろうと言つて來たものが一つもありません。併し若しやるということを言つて來たならば、君らがそれを実施するのか、サンプルにやつて見るのか、サンプルでやるということになると私共黙つておるわけに行かないからという話をしましたところが、少くとも二十四年度中にはそういうことはやりませんということをはつきり保險当局から聞いておりますから、さよう御承知を願います。但し審議会においていろいろ調査資料としてそういうサンプルでやつて見るということは、これは審議会の権能でありますから、これはいいと思いますけれども、保險局が勝手にそういう通牒を出すということは私は妥当でないと思う。或る人はそういう通牒を出した責任者は相当責任を問うたらいいではないかという強い意見を持つておる人も実はあるのでございますけれども、そういうふうにして時期も少し遅れておりますし、私は黙殺して置いたのです。そういう経過になつております。
  27. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 只今の問題もどの新聞か分りませんが九月になりまして、こりは確かに出ておる。診療は無料、医師は月給制なんだということが出ております。でありますから審議会の諸君が、実際これを御承知で自分達の方で研究するために全部やられたのか、厚生省自身がやつたのかということを非常に疑問がありましたので私は特に切拔いて持つておる。でありまして今の大体中山委員のお話で了承しましたけれども、やはり総合的にやるならば、審議会意見としておやりになることは必要だが、そうでなくやるということはどうもそこに意味がないと申しますか、どうも変な感じがしますので、ちよつと質問したわけであります。
  28. 中山壽彦

    中山壽彦君 私はこの竹中君のおつしやる通りであります。審議会といたしましては明年度の調査事項の一項目にそういう項目が挙げられておる。これにも相当費用がかかりますから今その費用について政府交渉いたしておりますが、その費用が取れましたならばこういうことを試驗的にやつて参考にして見たらどうか、こういうことに皆の意見が纒つておる。
  29. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今の人頭式とか医療費の新聞に出ておつたような材料が実はまだ詳しいのはできておらんそうでありまして、実は一昨日その材料を貰いたいといいましたけれども材料ができておらんので、十分医療の医務局の方面と相談をした上に、來月の審議会のときまでに資料を完全なものを一つ詳しいやつを作つて出そうということになつているのであります。それですから來月の審議会では、我々の医療と保險連合委員会において、それを先ず檢討を私することにいたしております。併し実施は先頃新聞に出ておるやつは間違いですから一つどうぞ……。
  30. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 序でに谷口委員さんにお伺いしたいのですが、この間ラジオの放送で厚生省の方で非常に日本における病院のベツド数が不足しておりますので、ベツド数を増加するということを言つておりましたが、それはやはり審議会の方でお話でも出たのですか。そうでなしに予算に基いてやつておるのでございましようか。それをちよつと伺いたいのですが。
  31. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今井上委員のお尋ねの新聞に出ておりましたベツド数のことですが、このベツド数のことなどにつきましても、実は昨日の審議会で、各医療機構の各部面における医療関係者の数とかベツド数とかその他の資料が、漸くできて参りました。あの新聞に出ましたのはいわゆる一方的に出たのでまだこういうところには全然進んでおらんのであります。こういうような方面も來月の医療委員会の方におきましていろいろと檢討することになつております。
  32. 中山壽彦

    中山壽彦君 今のこの公立病院のベツドの増床するという問題は私はこういうふうに考えておるのです。昨年医療法の改正で病院の定義というものが変つて参りまして、從來十ベツド以上を病院と称したのですが、今後は單科病院でも二十ベツド以上持たなければ病院と言えない。各種の診療所では九ベツド以下ならば治療できるという医療法の改正かできて、それで診療所では四十八時間しか置けない。これはもう皆さん御存じの通りこのベツド数を積りますというと何か九万くらいになりますらしいですね。これはもう病院ベツドは使えない。そこでどうしても病院としては二十ベツド以上のものでなくては病院とは言えないという、病院の定義が変つて來た、そこでそのベツドは使はないんだからそのベツドの補充のために政府は來年度の予算に、五ケ年計画として幾つかの病院のベツド増床という意味で新らしい計画を立てたんだ、これはまあ本式に聞いたんではないけれども、今そういうふうに私は了解しております。こけも金の問題ですから今安本とか何かそつちの方に交渉しているらしいですが、それから政府の方では、半分して金を出しませんから、後は地方で負担をしなければならんと思う。地方で負担をするにしても地方の負担が今日の経済状態で堪えるかどうかということが非常に疑問であると私は思う。ただ公立病院が医療法によつて漸次増加するということは我々も知つておりますけれども、要するに今後その公立病院の新設なり、公立病院をどういうふうに分布するかという分布の問題が、一番私は重要なものだと思う。この分布を誤るならば非常に私病院その他の病院の間に、病院の非常な磨擦が起るのではないか。アメリカのように適当なる病院、診療所のないところに公的の病院ができるということならば、これは却つて社会のために非常にいいことである。併しながら都会若しくは都市の附近の優良な診療機関のあるところに、そういう公立病院を増設するということは非常によくないことであるというふうに私共考えております。公立病院の増床ということは、私は今日の医療法が改正されて病院の定義が変つて以上止むを得んことと思いますけれども、その病院をどういうところに建てるか、その分布ということに重点を置くべきではなかろうか、こういうふうに私共は考えておる。今後もその点を一つ檢討して見たいとこういうふうに考えております。
  33. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 もう一つ医療委員会に出ておられます谷口委員にお願いしたいことがございます。この公立病院の病床を殖やすことは非常に結構なんでございます。設備の点でございますが、殊に病院の給食の点について少し問題にして頂ければ非常に有難いと存じます。でこの頃病院給食は病床二十床以上の病院は中央給食整備を備えて患者に給食しなくてはならないということになつておりますけれども、あれは決して命令でどうするんではないらしくてなかなかその設備が各府縣まで届かないようでございます。兵庫縣の方とか非常に早く何と申しますか命令みたいなことで進んで縣は別でございますけれども、患者が入院いたしますと決してこれは病院で食事を食べさせない、宿屋に泊つても食事が食べられるのに病院が食事を與えられないということは、非常にこれは経済負担の大きな第一原因になるのでございます。  それから一つは新らしい看護婦の教育方針を法律で以てどんどんやつて行かなければならん。旧態依然の病院に新らしい看護婦が入りますことは何もならないことになつてしまう。そうした意味からもこれが一應医療委員会で病院給食の問題を取上げて頂ければ、非常に有難いと思いますのでよろしくお願いします。
  34. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 今の井上委員発言に関連する問題ですが、今日午後委員会の終りに結核予防問題について数名の権威の方の話を聞くことになりました。お話の病院給食の問題、殊にある國立病院の給食の問題が特別会計に移されて後、從來のように決つている賄費というものを定員で以て受取つて、実際の入院患者が少い場合に、規定の給食費は相当増額をしておるという事実があつたけれども、特別会計になつたからそれは全然行われてないということで、実質の賄費の低下という現実の面が現われるのではないか、別個にそれは取扱いたいと思います。  大体一應皆さんの御発言が終つたようでありますが、先に報告の中にありました健康保險医療費國庫負担増額の問題ですが、報告の中にもありましたように、内閣の審議会委員としてもいろいろお骨折を願つておるのでありますけれども、参議院の厚生委員会といたしましても、あの目的完遂については同様な熱意を持つておるわけですから、この委員会といたしましても、関係当局に強く要望するといつたような具体的な活動をする必要がありはしないかと思いのでありまするが、如何でございましようか。
  35. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 大いに結構ですね。  (「賛成」と呼ぶ者あり)
  36. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) どんな方法でやりましようか。
  37. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 これはやはり委員長を中心としてそれぞれ関係方面と直接にぶつかつて行く方がよいのではないか。まあ形式としてはこの委員会でかれこけ決議をするというようなことも都合悪いと思いますから、実際の内容として一つ委員長が代表して、必要がありましたら外の者もついて参つても結構ですが……。
  38. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 草葉委員のようなふうに進めてようしゆうございますか……大体趣旨なり目標なりはあの審議会で決められた線で結構ですね。
  39. 中山壽彦

    中山壽彦君 結構だと思いますが、まあ厚生委員会の方でおやり下されば我々の活動を援助して下さると、こういうような意味合委員長として御活動願えば結構だと思います。
  40. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 尚、小委員長の方なりともよく御相談いたしまして善処したいと考えております。どうでしよう、お諮りいたしますが、零時半頃まで休憩いたしたいと思いますが……。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  41. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは午後の零時半まで休憩いたします。    午後十一時四十三分休憩    —————・—————    午後一時七分開会
  42. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 休憩前に引続いて委員会を開会いたします。この際前回委員会で九州地方その他に起きました各種の台風によりまする被害状況を視察のために谷口委員に御出張をお願いした次第であります。この機会に御報告願います。
  43. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 先月の末に熊本縣、佐賀縣及び福岡縣の災害救助状況を視察するようにということで、今月の二日から八日まで各地を順次視察をして参りましたのであります。その調査要目は、前に示されておりましたように、今回の災害当時におけるところの氣象の状況とか、次いで被害の状況、特に人員、家屋の被害或いはその他耕地、土木又は農作物、食糧品の関係、林野関係、水産関係、工場関係、教育施設の被害とか、その他の被害状況を見ますとか、尚被害の概算、復旧事業の状況とか……併し厚生委員会といたしましては、特に災害救助に関するところの状況を視察するようにというので、災害救助法による地方公共團体、日本赤十字社その他の團体及び國民協力の状況でありますとか、連合軍の救援状況であるとか、或いは救助その他緊急措置に要した労務施設設備でありますとか、或いは物質並びに資金の整備並びに備蓄の状況とか、災害救助法第二十三條による救助の種類などについて調査をするようにという項目を示されまして、すでに私が参りました場合には各地にその書類が参つておりましたときでいろいろと書類を頂きまして、又状況を視察することができたのであります。先ず参りましたところから行つた順序によつて簡單に御報告して置きたいと思います。  第一番に熊本縣廳に今月の二日に先ず参りましてそうして一般状況を調べて見ました。耕地関係とか、或いは農産関係というのにおきましては極く簡單に申上げたいと思いますが、熊本縣における耕地関係の損害は一億八千万円くらいでございます。及農産関係におきましては三億一千万円くらい、水産関係におきましては一千万円くらい、林務関係におきましては一億一千七百万円、住宅関係におきましては一億三千六百万円、一般の被害が七億、総被害が二十一億という程度の被害を受けているのでございます。その中で特に私共が注意をいたして見ましたのは、この区間における死亡者が、熊本縣におきましては十名の死亡者、軽傷者が三十三名、重傷者が四名、計四十七名の今度の災害による人員被害を受けているのであります。又家屋の方におきましては、全壊が四十八戸、流出が十六戸、半壊が四十九戸、床上浸水が千十八戸、床下浸水が三千四十七戸、計四千三百八十三戸というような程度でございます。  全体に今度の災害に当りまして救助を受けた、いわゆる救助の他の團体やらが世話をして頂いたというのは、やはり赤十字の團体であるとか、或いは医師会でありますとかいう方面から協力を受けておりますけれども、比較的そう大した協力は受けておりませんでした。主としてこれは青年團、消防團、婦人会などからのお世話が可なり多かつたように思います。連合軍の方の救援状況は、熊本縣におきましては連合軍の救援を受ける程の域に達しておりませんでしたせいか余り受けておりません。なぜそういうような状況なつたかと申しますというと、熊本縣におけるジユデイス台風は初め人吉地方に中心点が入つて來まして、それから球磨川を経て八代から天草郡の方に出ましたために、あの日本三大気流の一つである球磨川の沿岸並びにその下流の部分に大損害を受けたような状況でありまして、從つて区域が熊本と大分離れておりますような関係からいたしまして、いろいろの救援状況が悪かつた。その被害の状況は、あの大きな川が非常に氾濫をいたしまして、而も或る一部のところにおきましては新たに川ができるくらいに、即ち普通の田畑を全部水流が崩しまして新たに水流ができて、以前架つてつた橋の下には水は私が行きましたときは一滴も流れずに川の方向が変つてしまつておるというような状況を呈しておるのであります。そういうふうな関係からいたしまして、余り急いであつたために連合軍などの救援の來る暇がなかつたものと見えまして余り受けておりません。ただ病人ができましたとか被害家屋の方々が外に出ましたためにこれに対する炊出しをしますとか、或いは保健所が急速に働きまして、勿論その附近の開業医も協同いたしまして避難民の健康診断をやりますとか、或いは或る一部の患者にはチアゾールなどを少し與えておるというような状況であります。從つてお蔭でその後におきまして別に傳染病なども発生いたしませんで、救護の状態は都合よく進んでおるのであります。極く簡單に申上げまして、写眞を持つてつておりますからこれを一つ御覽を願いたいと思います。  それから簡單に申上げましてあれですが、次に佐賀縣の方に参りまして佐賀縣の状況を拜見いたしますと、佐賀縣におきましては八月十五日の午後九時頃に九州南端に上陸いたしましたジユデイス台風が、段々と鹿兒島、熊本を縦断して佐賀縣の方に入り込んで來たわけであります。この佐賀縣におきましては実は昨年度におきましても可なりひどい水害があつたのでありますが、その場合の水害に比べまして二倍半乃至三倍の程度の水害状況であるし、僅か二日間で年間の三ケ月分からに相当するくらいの水量の大豪雨があつたというような関係からいたしまして、而も昨年と今年と連続したような場所がありましたので実に悲惨の状況を呈しておるわけであります。殊に佐賀縣のうちにおきましても或いは小城郡とか或いは小城町でありますとか或いは次には東松浦郡の嚴村でありますとか、佐賀市でありますとかというようなところにおきましては、降雨量が或る所では五百九十七ミリ又或る所では五百九十一ミリというような大量の降雨があつたのであります。從つて人畜の被害が非常に多くございまして、現在私が参りました九月五日の統計でありますが九十一名の死亡者を出しておる、その死亡者の大部分は小城と佐賀であるといわれるくらいに九十一名からの死亡者が出ておるのです。行方不明が六名で重傷が三十四名、軽傷が二百四十七名という多数の人の損害を受けておるのです。  又住宅の方にいたしましても流出の住宅が百二十二軒、非住家が百三十五軒、或いは倒壊が合せて四百七十七、半壊が千四百、侵水が全体が四万八千からあるというような非常な被害を受けておるのであります。土木耕地関係その他におきましてはこれについてすでに参議院の方からも建設の方とか農林の方などが見えておりましたので、ここでも時間がありませんから私は救護の方面を特に御報告して置きたいと思います。  一般の状況からいたしまして、救助対策等といたしましては十五日台風が來ましたと同時に、早速本部におきましてはいろいろとこれが計画をいたしまして、十六日にはすでに待機さしておりましたところの救助員を派遣するというような状況になりまして、而も救護班のごときも全体で縣立病院が十三班、國立病院がら四班、医師会から三十二班、日赤から六班、これに各保健所を加えまして、千七百七十六名というものが治療に当つておるというような状況であります。殊に佐賀縣において特によかつたのは、進駐軍の大なる協力を得まして、そうして或いは濾水器を使うとか給水車を使用するというような方面に力を入れて給水方面に全力を盡した結果、又一部ちよつと下痢患者ができたのでありますけれどもこれに対しても早速チアゾール等を與えました結果は、その後何ら消化器性の傳染病というようなものも起らずに済んでおるのであります。而も同地におきまして、特に蘆刈村などにおきましては二週間に亘る浸水地がありまして、堤防の破壊したところを折角補修工事をやりましても三回もそれが又決壞するというような状況でありましたために、土地は極めて汚染しておるように思いますし、又非常に臭氣もあるようなところに拘わらず傳染病患者が発生しておらんということは、これは可なり衞生方面の者が非常に熱心に救護作業に携わつたお蔭であります。要望事項につきましては全部を取まとめて後で申上げることにいたします。  次に福岡縣の状況を申上げますと、やはりこのジユイス台風のために可なり廣汎な土地方々に被害を受けまして、被害の総額が福岡縣だけで三十二億円余りに達するというようなことを申しております。而も被害地の中でも炭坑の飯塚方面はすでに平素からいたしまして二メートル五十センチという陥落地帶がございましてその方面に水害が來ましたために、ある地方では八日又は十二日という間浸水に見舞われておるというようなところがあるのであります。又一方には到るところ崖崩れがありますとか、或いは橋梁がやられたというような被害も多いようであります。まず福岡縣における全体の死亡者の状況は、割に少うございまして六名、行方不明が一名重傷者が三名軽傷者が五名というので、主として水害が多いものですから死亡者などは佐賀縣などの比べはない、熊本縣より少いぐらいであります。併し全体の全壞家屋は三十戸であります。人員が百三十六名、半壞が百十四戸、人員が七百三十九名、床上の浸水が五千八百四戸、人員が二万六千名というような被害を受けております。  福岡縣におけるこの災害救助対策は、この方面に対しましては縣でもこのジユデイス台風が來ますとすぐ本部において一定の計画を立てまして、早速衞生部などにおきましては衞生部長を初め各地に出張いたしまして、そうして主としてここは保健所を大体において動かしまして、保健所が主となつて附近の医師会等と協力したしまして、先ず浸水地等を消毒をいたしますとか、或いは濾水器を使つておりませんから生水を飲まんように、又煮沸器を配るとかお湯を配るとかいうようなことをいたしまして、又土地の消毒方面に特別の注意をし、或いはチアゾールを飲ませたというような関係で、幸いにして福岡縣でも傳染病が一人もなかつたというような状況であります。今度の台風でも三縣の状況から考えて見ますと、又方のの希望なども聞いて見ますと、実は我々はこの第二國会におきまして災害救護法の成案に一緒に参加することができたのでありますが、あの当時の状況から申しますと、今後災害があつた場合には、赤十字社が主になつていろいろのものを備蓄して、早速それに対して大いに対処するというようなことになつてつたと思いますに拘わらず、案外赤十字社の働いたところはあまり見ませんでした。又赤十字社の備蓄があるということも縣も知らなかつた、かくのごとくあまり関心を持つておらんような縣があるのであります。それで今後の対策の当りまして実際にあの災害救護法によるものとすれば、今少し赤十字社を活動させるという方面に、大いに力を盡すようにしておかなければならんのではないかというようなことが先ず第一に考えられます。  第二に今度の状況を見ますと、可なり浸水、これは今後もあることでございましようが、浸水が非常に長続きしました関係上衞生施設或いは衞生方面を非常に啓蒙せねばならん。それにはお湯を飲ますとか沸かした方を飲ませると言つても実は薪が濡れておる、薪がなかなか手に入らんというような状況ですから、煮沸水を作るということはあまりうまく行かんという状況です。これには以前からよくありましたが、今でも現に進駐軍が持つておられるあの濾水器お各地に少しづつ備蓄させるか持たせておく方式を講じておく必要がある。或いはそれは災害救護法により、赤十字社に持たせても或いは縣に持たせてもどこに持たせても結構でありますが、濾水器を持たせる。又給水車を当てがうというような準備をしておかなければ、今後の災害の場合には非常に困るだろうというようなことが考えられております。  その次に第三といたしまして是非一つ注意しておかなければならんのは、今回の災害の場合に各地方で困つたのは、方々からいろいろの人が参りましてその土地の人じやない方が沢山見えますために、炊き出しに当つてこれに與えるのに非常に困るということを言つておられる。尚又それを炊いて食べさせるということはなかなかできないのでありますから、平素から或いは乾パンというような食料品を少しは準備さしておく必要がありはせんか。又これは少し問題が專門的になつて失礼でございますけれども、チアゾール等を飲ませておくと早速病状はよくなるけれども実際はまだ保菌者が可なりおるのでありますので、チアゾールを飲ませたらこれは健康だというように考えずにその後で檢便さしておかんというと、保菌者が各地を廻りまして從つて病毒を全般に傳播させる危險があるだろうと思います。これはその地方でもお話をしたのでありますが、今後厚生省あたりでもいろいろと指示をされる場合に、水害の場合にチアゾール等を飲ませて一時よくなつたからといつて安心せずに、必ず保菌患者でありはせんかということで檢便を後でするようにということを、十分に指示をして頂いた方がいいのではないかということを考えたのであります。  要するに今回の災害は僅かの期間ではありましたが思つたより非常に激しい被害を各地共に受けております。それに対する復旧を急いでやつて貰うように盡力をして頂きたい。尚復旧だけじやなしに状況を見ますと、先刻も申しましたように水流の変化をします関係上、或る地方ではこのまま置いて置けば次の災害のときにはどこか必ずやられるだろう、どこの市が浸水されるだろうということが大抵分つたようでありますから、予防的にそういう方面にもいわゆる復旧のみでなく予防対策も是非講じて頂くように指示して頂かんというと、今後は不安でその土地に永住することもなかなか心配でたまらんというようなことを住民の方々が申しておりますから、そういう点も一つ十分に御考慮を願いたいと思います。私からの報告は極く簡單にそれだけにして置きます。
  44. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 谷口委員の視察調査報告に関しましていろいろ御質問があるかと思いますが、この機会に併せて特別に地元の災害調査をなさいました岡元委員から、鹿兒島地方におきまする状況を御報告願えれば結構と存じます。
  45. 岡元義人

    ○岡元義人君 鹿兒島はしばしば今度台風に見舞われまして皆様に非常にいろいろ御心配をかけたのでありますが、先のデラ、フエイ等については姫井委員が現地に参られましたので一應の御報告があつたことと思うのでありますが、特に今回のジユデイス台風によりまして、皆さん御承知と思いますが國立公園になつておる霧島の霧島館が土砂崩れによつて埋没いたしたわけであります。この霧島館の問題につきましてはいろいろ複雜な問題が派生的に起きて参りまして、只今もまだ死体の発掘が終つていないという現状にありますので、地元の新聞等にも相当非難の声が起きておりますと共に、一應この機会に各委員の方に、この霧島館の埋没に至る原因等について十分御檢討して頂きたいと考えることがあるのであります。と申しますのはあの災害が起きましたのはジユデイス台風によるのでありますが、二千六百年事業といたしまして國立公園の道路をば作つたのであります。その道路によりまして霧島館の上の方にあります高千穗館という温泉が、和昭十七年に今度と同じような状況で潰されてしまいまして、その当時二十六名の死傷者を出しておるのであります。今度はその少し下の方にありますところの硫黄谷温泉霧島館、この霧島館が同じような状態で埋没いたしまして只今大体六十五名の死傷者をば出しておるのであります。而してそのうちの三十六名というものが大体死亡者である。まだ発掘を終つておりませんのではつきりしたことは言えませんが、これも一、二名の相違は出て來るだろうという見当でおるわけでありますが、問題はその温泉の約七、八十メートル上の方に観光道路を付けまして、その道路の上から最初千二百立米くらいの土が落ちて來たのであります。それによつて旅館が潰されまして、その後引続き崩壞によりまして大体現在埋まりました量は一万立米、そのうち三千五百立米が土壤でありまして、後の約七千立米くらいのものは木材と大きな石塊なんであります。そういう関係上この災害地は足場的にも非常な谷間でありますし、現在大体六尺から七尺程度つております。ので死体の発掘が思うように捗らないのであります。当初二日目までに発掘した者は殆んど助かつたが、後の者は殆んど死亡者、一番困つておる問題は温泉にいた者は鹿兒島縣の者だけでなく、宮崎縣その他の縣の方々犠牲になつておられまして、その遺族の方々が現場の山に詰めかけておられますけれども、現在の状態では死体が全部発掘を終らなければその遺族に渡すことができない、仮埋葬しておる。と申しますのはこの犠牲者の中に鹿兒島縣の商工課長も入つておりますが、丁度お盆でありまして霧島へ行つてつたのであります。ここにもお医者さんがおられますが、疊と疊の間に挾まつて顔が約二尺くらいに延びておつたが発掘後縮まつて商工課長だということがやつと判定が付いたという状態であります。最近掘り出すというと男性と女性の区別が付くだけで誰であるか分らない。大人と子供の区別は付きますが誰であるか全然分らない。そこで僅かの手掛り指輪を嵌めておるとかそういうことによつて判定する以外ないのでありまして、先に八月二十七八日頃までに掘り出しました死体は、ここに國立公園の方、厚生省からも見えて現場でお聽きになつたと思いますが、お葬式をした後から死体の交換をしたのもある、こういうような珍事件さえも起きておるのであります。もう現在におきましては、商工課長の家族等にいたしましてもお孃さんは発掘いたしましてはつきり分りましたのでお葬式ができましたが、大体奥さんであるという方も発掘されておりますけれどもそれを断定するわけに行かないというので仮埋葬を全部してある。あとの発掘が全部終らなければ今遺つておられる家族の方々には死体の引渡ができん、こういう特殊な状況に置かれてしまつておるのでありますが、この間において縣当局がとりました災害救助法の処置が果して妥当であるかということが、私達としては一番問題にしておるのでありまして、先ず東京都の場合でありますと、すぐ十日の期限を更に延長の許可を受けて継続してやつておるという処置が講ぜられておりますが、鹿兒島縣の場合にはすでに数回に亘つて災害救助法を発動した関係上、縣会の当初予算に出されておる千三百五十万円という予算が四百五十万円に削除されたのであります。勿論一年中に四回も災害救助法が発動されるというようなことは考えていなかつたと言えばそれまででありますけれども、そういうような非常な苦しい状態から予算的処置と睨み合せながら死体の発掘をして行かなければならない、こういうことから遅々として進まなかつた。その点について非常に遺族の方々、尚新聞社が非常に関心を拂つて、これに対して非難を浴せておるのであります。この点につきましても十分厚生省にもその旨を連絡とりまして速かに現地を調査して、そうして継続申請を後からでもよいから申請さして呉れ、災害救助法を適用できるようにして貰いたいということは、私個人でお願いもし又縣の方からも十分その旨を厚生省に連絡とるように、私共としましても指導して参つたのであります。併しながら現在の段階におきましては全然今まで應急災害救助の措置がとられておらない。それから問題は場所が國立公園でありまして、國立公園の関係は実際現在の地方自治廳にはこれを管理する何ものもないわけであります。そこで厚生省がいわば直轄になつておるのでありますがこの國立公園と温泉等との関係を勘案いたしまして、こういう特殊な災害につきましてはどのような処置がとられるものであるか、こういう点等もこの委員会でも御檢討して頂きまして、又政府当局からの御意見も承わりたいと考えておる次第であります。  尚詳細なことにつきましては各委員方々に対しまして逐次御回答いたしたいと思いますが、最後に是非各委員の方に私からお願いいたしまして、委員長からお諮り願いたいと思うことは、昭和十七年に同じ場所で同じような原因によつて二十六名の者を殺傷しておる。而も場所は國立公園であり今度潰れました霧島館と二つ失うということは、霧島にとつては大きな打撃であります。而もこれが多くの人達を殺傷しておるということに対しまして、同じような原因で今度のこの災害が起きたのでありますが、この間にあつて何ら問題の道路がどこが管理しておるかも分らない、こういう状態のまま現在まで放置されておつてということが、非常に私共には合点が行かないのであります。こういう点等につきましても十分調査して頂きまして、今後こういうような災害をできるだけ未然に防止するという上からも、願えますならば、遠い所ではございますけれども委員会から議員派遣をお願いいたしまして、現地を一度調査して頂きたい、こういうことを委員長から是非お諮りがお願いしたいと思うのであります。
  46. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 尚キテイ台風による被害の一部としての東京附近を中心とした被害状況を、地元の井上委員から御視察になつたところを御報告願いたいと思います。
  47. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 八月三十一日の午後八時頃に神奈川縣に上陸いたしましたキテイ台風が、東京周辺を荒し廻りまして、東京都を初めといたしまして二十一都道府縣が被害を被つておるのでありますが、そのうち東京都では四十二万二千余という罹災者が出たのであります。それで遅ればせではございましたが九月の七日午前十一時に参議院から視察に参りました。草間專門員、政安調査員厚生省の社会局の龜山事務官、東京都民生局の塚本調査係長、今泉主事などに御同行を願いまして、被害の一番甚だしいと思われます地区の災害状況を見て参りました。  先ず第一に参りました所は、一昨年の栗橋の堤防が決壊いたしまして中川の堤防が崩れまして災害を受けたのとやはり同じ場所でございまして、江戸川でございましたが先ず江戸川区役所を訪れました。勿論江戸川区役所も水に浸かりましたのでございますが私共が参つたときはもう水が引いておりました。丁度私共が区役所に行つたときには、区長を初めとして区では災害対策委員会を開いておられました最中でございましたが、新聞でも御承知のように、江戸川区と申します所は不断でも海面から二メートルも低い盆地だそうでございますので、あの八月三十一日夜の高潮、津浪で以て水が段々と入つて参りまして、惣ち床上三尺以上一面水浸しになつてしまつたという状況であります。そういう低い土地でございますから不断から排水ポンプ等の用意がしてございますのですが、御承知の通り、あの晩はラジオが午後七時頃までは送電がありましたので聞けたのでありますが、七時以後停電いたしましたので、設備をしてございます排水ポンプも用をなさなくなつてしまいました。それから自動式のデイーゼル式の排水ポンプも二三あつたそうでございますが、不断使いませんものですから機械が故障で使えませんで水はますます殖えてしまつたというような状況でございました。  この江戸川区の罹災者の状況は、災害家屋が一万四千戸、罹災人員は六万五千六百四十四名、二十七ケ所の学校だとか、寺院だとか、そういうような割合被災状況の少い安全な場所に罹災者の大部分を收容してございました。水のためでございましたか、病人と申しましようか、人の被害は割合少うございまして、江戸川区では重症者が二名くらいということでございましたが、救護物資といたしまして、そのときにそれだけの人員に対して毛布が二千枚、蓆が一万一千五百枚、これが殆んど收容所用に使われておりました。尚、後から三千枚の蓆を手に入れるように手配しておるということでございました。それから食糧は、もうそんなことでございますから、勿論十分に手に入れることはできませんけれども、東京都の方ではキテイ台風の予報がございまして、乾パンの用意がございましたので翌日から乾パンの配給をいたしました。それからコツペパンと「たくあん」梅干というような配給でございまして、七日の夕刻になりまして初めて煮焚きができるようになりまして、握り飯の配給ができるというような状況でございました。  それから江戸川区の厚生委員長のお話を承わりましたら、あの時分には雨が降つておりまして氣温が下つて参りましたので毛布が非常に不足して参りました。二千枚の毛布を何万という人にということは不足でございまして、殊にあの晩はラジオが七時で切れてしまつたものでございますから……。それからラジオの予報が、御承知のように、駿河湾に上陸するかも知れん、相模湾に來るかも知れん、東京は危いかも知れないがどうだか分らないと、途中で風の向きが変りましたので、一時安心と申しますか、というわけでもございませんが、割合に荷物を持出すというようなこともございませんでした。そのようにラジオを頼りにしておりましたので、途中で情報が切れて風の向きが変りましたものですから、殆んど衣料というものは持つて出ておりませんので、そうしたようなものがなくて非常に困つておるというようなことで、病人とか乳幼兒とか老人、そういう人達に優先的に配給しておるというようなことでございました。いつも災害のときに問題となります「ろうそく」は全くございませんでこれは何日かして來ました。それから食糧も、非難しておる人もございましたが、割合に食糧はよく配給されておりました。集團者に優先的に配給したものですから、水の中に舟で行かなければならないような場所には遅くなつたということもありますが、割合よく行つておりました。一番困つておるのは、今度は塩水でございましたので家屋の中にありました疊なんかは殆んど腐つてしまつたというような状況で、屋外に出してございますが、それに代るべき蓆が非常に少うございまして、寢る所もないというような状況にあるということを承わりましたが、実際見ましてもそういうような状況にございました。  次に保健所長の方にそのときの防疫についての話を承わりましたが、九月一日はどうしても足がございません、舟がございませんで、もう一面の水でございますからどうすることもできませんで、殆んど対策はできませんでした。二日以後になりますと、少し堤防を工事する人達と申しましようか、住民の人達、区役所の人達、都の人達が堤防を應急修理しかけましたので、排水もできるようになりましたために、九月二日以後に、日赤だとか、都の救護班が十班乃至十五班参りまして、七日までに二千名の治療をしましたけれども、割合に小さい外傷のようなもので、内科的な疾患は二〇%乃至三〇%でありましたが、六日夕刻までに四十名ばかりの発熱下痢患者が出て参りまして、うち十九名が眞症の傳染病と決定し赤痢とか腸チブスとかいうようなものが出ましたので、藥品はサルゾールどなを配付いたしまして衞生指導に努めております。それからその外の予防と申しましようか、救護所との連絡その他について指導をいたしております。そのときの話に出ましたことは、乳兒食としましてミルクの配給がございましたが、六日夕刻を以て打切られるので、これを何とかして延ばして頂くことはできないものかということが出ておりました。それからいつも災害救助のときに問題になります乳兒のまとう「おしめ」の問題が非常に叫ばれておつたようであります。御承知の通り海水がついたのでございますから、屋根の上に乾してございます衣類の断片とか綿などもぼろぼろに腐つてしまつて、赤ちやんの「おしめ」に使われないということで非常に窮しておりました。それから傳染病がすでに出ておりますのでございますが、それ以上の傳染病の蔓延を防ぎますために、減水いたしました地域から人夫を雇いまして、トラツク四台に人夫六十名くらいでDDTを撒布し消毒して行くと、それから給水は給水車が廻つておりまして割合に十分にやつておりました。それから救護法にある助産については分娩はありませんでした。  これが大体江戸川の区役所の報告の概要でございましたが、現地報告を申上げますと、江戸川区役所管内の都立第七中学校に收容されております收容者状況を見て参りましたが、やはり区役所の報告を受けましたように、大体毛布は二人か三人で一枚づつ、殊に子供や老人というような人ばかりで、丁度七日でございましたので、働ける人は自分の家に帰りませんと泥棒が入りまして全部家財を取られるということでおらなかつたので、子持の母親や老人ばかりでございましたが大して病人も出ておりませんでした。集團收容所に充てられております学校の職員とか青年團の人達が奉仕して下さいまして、配給のことも手傳つておられまして、うまく行つておるようでございました。それから次に、ずつと江戸川地区の水害地の方を見て参りましたが、先程申しましたように、疊も殆んど用をなさないで屋外に放置してあつたり、又泥水の中に棄ててあつたりというようなことで、めくれた屋根の上にぼろぼろになつた衣類が沢山乾してございました。それからその次に江東区の城東支所でございまして、この中に保健所も一緒にございまして入つております。災害状況を聽きましたのでございますが、ここは一番津浪の激しい所でございまして、堤防の決壞が十八ケ所ございます。一番遅くまで水の引けなかつた所で、やはり前の江戸川区と同じように、排水ポンプは動きませんで全部浸水したり、三分の一くらいはまだ水が引かないで水の中に浸つたままでおりました。ここで伺いましたところによりますと、津浪のために死者が七名程ございましてやはりここでも防疫状態が非常に悪くございました。と申しますのは、水のために救護対策本部と救護に來た人々との連絡がとれませんので、やはり足がございませんで、舟がございませんで、連絡がとれませんで、救護班も三日ぐらい経たないと來られなかつたというようなことで、傳染病がやはり蔓延いたしました。四十三名の赤痢患者が出ましてうち一名重症で死亡というようなことで、水の引き次第すぐDDTの撤布をして消毒に廻ると言つておられましたが、そういうことでございました。ここでは九月一日は、新聞にも載つておりましたように、水の中に孤立しておるような家がございまして、こうしたところには食糧の配給がうまく行きませんで、九月一日には一食分しか乾パンの配給ができなかつたというようなことでございました。二日以後は大体順調に給與ができたようでございますがひどい災害状況でございました。  それから江東区役所の支所の中の保健所の方の話では、それだけの傳染病が出ておりますのに、予防注射が遅くなりまして九月の八日から始めるような予定になつておりますというようなことでございました。そこを出ましてから近くの罹災地を視察いたしました。  大体といたしまして東京都では、これは私の観察さして頂きましたのはこの二つの区に限つておりますのでございますが、東京都では全部の死者がそのときの報告では十四名でございまして、それから床上の浸水家屋が七万六千九百七十、床下の浸水家屋が三万九百四十四、そういうような被害状況でございました。それからあの災害地を視察いたしまして、そうして帰りまして一番感じましたことは、こういうようになつて水のために傳染病が出ましたのはやはり、防疫の手配が非常に遅れましたということは、結局保健所にちつとも車がないということでございました。保健所が第一に活動したいと思いましても保健所の職員も罹災者が多くて一日の日には殆んど水で出て來られないというようなことでございました。殊に保健所備え付けの活動する車がございません。ジープでも一台ございますれば何とか早くもつと傳染病の患者も出さなくて済んだのではないかというようなことでございました。何とか保健所に車を不断から備え付けて頂くよう手配を願いたいと思つたのでございます。それから先程も申しましたように都が早くから台風が來るぞというので非常に手配をしておられましたから、乾パンには余裕がありましたが、乳幼兒に対する給食が割合に早く打切られたというようなこと、それから乳幼兒の衣料とか「おしめ」とか、こうした場合に水害地のことでございますから特に配慮して頂きたい。それから疊代りの蓆が非常に不足しておりますので蓆を何とかして頂けませんければ、学校とかいうような集團所には配布できますが、各戸には疊を全部入れられませんので各戸に早く蓆の手配をお願いしたい。もつと備蓄があつて欲しいというような声が出ました。その次にこの排水機の問題でございます。排水機と電氣の問題、これは厚生の方の問題じやないかと思いますが、こうしたことも少し考えて頂きたい。それから食糧の問題でございますが、乾パンが配給になりまして一日二十円、公定パンで二十一円幾らかのものでございますが、二十一円じや「たくあん」梅干も全然入らないのでございます。二十五円、三十円に値上げして頂きたい、結局災害地に対する國庫補助をもう少し増額を願いたいという声が出ておりました。もう一つこの災害地を廻りましてもう皆の声なり、それから私自身も経驗いたしましたことで今度の災害地で一番感じましたことは、災害対策本部がいろいろな情報を聽取したりいろいろ取纏めなくちやならないのでございましようけれども、今度こうした送電が打切られたということは非常に情報を皆に與えて貰えなかつた、私自身手で以て窓をおさえたり戸をおさえたりいたしましたので、風がどつちを向いているのか頭の上を風が通つているのでございますけれども、余波というものはひどいものだ、ひどい余波だなと思つているときに頭の上をあの台風が通つたらしいのでございます。そうしたようなことで災害地の人々が避難しておりますところへ何も情報が得られなかつたということが非常に人心に不安を與えたそうでございまして、これは何とか災害救護の中へ織込んで頂いて、こうしたときに早く情報を、こういうことは今こうこうだということを何とか知らせて人心の安定を図るような情報機関を設けて欲しいというのが一つの声でもございましたし、実際私も経驗したようなわけでございます。大体早速御報告申上げますことはこれだけでございましたが、帰りまして翌日早速厚生省へ参りまして兒童局長へ乳幼兒の食糧だとか、乳幼兒の衣料問題の手配を願うように要求しまして、その次に社会局へ参りました。丁度社会局の保護課長がおられましたので蓆の手配をどうかして頂きたいということをお願いしたようなわけでございますが、それからくれぐれも私考えますことは、今度のこうした何回も何回もございました水害で情報と共に必要なことは、どうしても足が必要だと思うのでございます。水陸両用を兼ねますような車でもございましたらこうした低い水の出るようなところで……。どんどん堤防工事は進んでおりましたので、すでに十日に堤防の工事は終了しておるようでございましたけれども、まだまだこうした台風が來ないとも限りませんので何か水陸両用の車を不断から一台でも二台でも東京都でも、当局でも持つてつて頂いて、さつというときにいろいろ連絡できるような施設があつて欲しいということを考えました。附加えて御報告いたします。
  48. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 谷口、岡元、井上三委員からそれぞれ台風に関する報告がありました。これに関しました質問なりその他御意見がございましたら……。尚当局関係者から聞くことがございましたら……。
  49. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 只今の御報告によりましていろいろの御意見がありましたのですが、これに対する政府の今後の施策をお伺いしたいと思います。
  50. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 今社会局長、公園部長、医務局長、藥務局長が見えておりますが、先般來の各種の台風に関しまして、尚今三委員から報告になりましたことなどに関連しまして政府から承わりたいと思います。
  51. 木村忠二郎

    説明員(木村忠二郎君) ジユデイス、キテイ両台風につきまして只今いろいろお話があつたのでございますが、これに対しまして災害中央対策事務局といたしまして、又厚生省社会局といたしましてこれが対策につきまして若干申上げます。ジユデイス台風につきましては場所が九州でございました。從いまして情報を九州から取りまして、これに対する各條のとつております措置等を直ちにこちらを受けまして、それから向うの必要とする事項につきましては現地からの要求に應じましてそれぞれの措置をいたして参つております。先ず丁度当所の物資課の事務官が台風の起りましたときに長崎に行つておりましたので、これを直ちに一番災害のひどい佐賀、福岡という方面を見てすぐ帰るようにというふうに指示いたしまして、直ちに長崎から佐賀へ出られまする交通の回復を待ちまして、すぐに長崎より佐賀に参りました。縣廳に参りましてそれから現地を見まして、尚その次に佐賀より福岡によつてすぐにこつちに帰つて参りました。縣といたしましては佐賀縣が最も災害のひどかつた関係もありまして、対策につきましては縣といたしましては相当によくやつておるというふうに見受けたのであります。救助期間の延長等につきましても縣からもそれぞれ要求がございまして、これによりまして必要なる期間の延長を必要な場所についていたしたのであります。物資等につきましてはジユデイスの場合には大体縣内で一應間に合うということでございましたから、こちらから物資の補給というものはそのときにはいたしておりません。経費につきましては佐賀縣が大体救護費の概算が二千六百万円でありました。これに対しまして國庫負担が約一千万円ぐらいに相成る見込みであります。これに対しましては至急に概算要求のできまするように手配いたしております。  尚ジユデイス台風におきましては先程岡元委員からお話がありましたように、霧島館ですかが埋没いたしまして三十四名の方々が行方不明になられたということになりまして、これが救助につきましてはいろいろお話があつたのでありますが、現在の災害救助法によりますれば死体の発掘ということは救助法の中に入つておらないのであります。從いまして死体の発掘ということは急がなければならんということは我々も同感でございますけれども、災害救助法によりましてこれが措置ができないように相成つておるのであります。尚この発掘の状態につきましては同方面から参りました係官の報告によりますれば、九月十四日までに二名を残しまして後全部発掘が終つて、近いうちに残りの二名も発掘されるというような見込みだというふうに報告が参つております。これにつきましてはどういうふうに今後経費を出すかということでございますが、現在災害救助といたしましてはこれに対する措置ができませんので、これをどうするかということにつきましては今後考えなければならないというふうに考えております。  次にキテイ台風でございますがこれは東京近くでございまして、台風の起りました八月三十一日は当所といたしましては関係者、私並びに課長その他係官全部その晩残りまして、直ちに氣象台並びに國家警察本部それから建設省と連絡を取りまして、又東京都に連絡いたしまして準備の状況等につきましては遺憾のないように措置するようにいたし、又日本赤十字社に対しましても救護班の状況につきまして連絡をとつたわけでございます。只今お話がございましたようにキテイ台風におきましては、台風の通過しまする経路が途中で少しどちらに行くかということで迷いましたのと、その辺で市内の電氣が消えましてラジオ等の情報が入りませんでしたので、從つて避難等につきまして非常に手遅れになつたという遺憾な状態があつたようであります。併し都といたしましては相当食糧その他の準備もいたして、各区の状況に應じまして各種の物資の配給をいたしておつたようであります。ただ御承知の通りに高潮によりまして船が相当流失いたしました関係上、現地に物資を輸送する機関が不足いたして又できなかつた関係上、物資の配給が相当遅れたということ、それからもう一つは、区役所並びに区の出張所こういつた機構の関係からいたしまして、連絡が十分でなかつたという点はあつたのでございます。併し災害救助法の施行につきましては從來よりも大分馴れて参りまして、今までよりは配給等につきましてはよく行つてつたように思います。併し尚今後の問題といたしまして相当考慮しなければならん点もあるようでありますし、これらにつきましては今後今回の経験に徴しまして遺憾ないようにいたしたいとかように考えるのであります。  キテイにおきましてはその他の各縣、神奈川縣並びに千葉縣、これは高潮で以て相当被害がございました。それから茨城縣、群馬縣は小河川の決壞がございまして、これによる被害があつたのでありますが、幸いにしてキテイ台風は雨を伴うことが少くありましたために、水による被害は高潮の被害が大部分でありました。他のものは幸いにして極めて少かつたように思います。埼玉縣のごとき相当の被害が全縣的にはあるのでありますけれども、一ケ所にかたよつて被害はない、これは水によらない被害でありまして、風による被害であつたために被害が非常に散発的になつておりました。当日その八月三十一日の夜に各縣に連絡いたしましたところが、各縣とも関係の方面は全部待機いたしまして準備をいたしておつたようであります。  それから先程日本赤十字社の救護班等の活動等につきましてのお話もあつたのでありますが、現在では日本赤十字社におきましては医療と助産について委託契約を結んでおります。その他のことにつきましては應援をするというだけに相成つておるのであります。現在では医療と助産だけが日本赤十字社としては現に委託を受けているということになつております。東京のキテイ台風の場合におきまする状況を見ますると、もう三十一日の晩のすでに赤十字社におきましては救護班を準備いたしまして、東京都の指揮に基きまして何時にも出勤できる準備をいたしておつたようであります。ただ九月一日に私が現地を見ました状況では、東京都の方からの出勤要求というものが遅れておつたというように見られるのでありますが、そのように私の方では聞いておつたのであります。赤十字社につきましては今回は極めてよくやつてつたように思います。  大体経費といたしましてはキテイの関係は東京が救護費が約四億六千万円、神奈川縣が一千万円、群馬が千四百万円、千葉が百四十五万円、靜岡二百九十五万円、長野が三百万円ということに相成つております。この中で東京が大体國庫の補助が必要になり、他の縣におきましては國庫の補助があまり必要ではないのではないか。或いは群馬辺りは若干必要だと考えております。差当り直ちに出さなければならんということは東京都だけであろうかと思つております。
  52. 慶松一郎

    説明員(慶松一郎君) 台風につきまして医療資材の配給を一言簡單に申上げます。今回の二回に亘りまし台風におきまして医藥品或いは衛生材料は大体各地方にございますもので間に合つた次第であります。例えば消毒藥にいたしましても或いはDDTのごときにいたしましても間に合いました。特に私共厚生省に申込がございましたのは腸チフス、パラチフスの混合ワクチンだけでございます。これにつきましていささか配給が遅れたような形になりまして新聞等にも少し出たのでございますが、その事情を簡單に申上げます。殊に今回のキテイ台風におきましてその水害のありました次の二日の日に東京都から連絡がございまして、腸チフス、パラチフスの混合ワクチンを入手して、それによつて接種がやりたいという話でありました。丁度たまたまこのワクチンが四月上旬から各縣に配布いたしまして、東京都に対しましては七月二十三日に五十万人分を配布いたした後でありましたので、東京都は全く手持がございませんでした。そこでその晩直ちに山形に実は保管したのがございまして、これは山形に賣つたものでございませんで各地方に保管したのがございます。そうして山形まで人をやりましてそれを直ちにこちらへ送るように手配をいたしたのであります。そのときに厚生省の防疫課その他東京都の方と私共の方との話合では、予防接種を水害後直ちにやろうということはなかなか困難であるので数日経つてから予防接種をやろうということで、大体東京都におきましては七日から接種を開始するという連絡がございました。そこで全体の量は最初十五万人分欲しいという話でありましたが、後に六十万人分欲しいということで七日の朝二十万人分を東京都に渡し更に八日に残りの四十万人分を交付した次等であります。尚その他の府縣に対しましても例えば茨城、群馬、靜岡、千葉、神奈川、埼玉、それからこの前の台風におきます佐賀、これらに対しまして交付をいたしましたのでありますが、それは九月九日に全部終つております。その量は大体全部で約二百万人分でございます。尚赤痢が相決出ておりますが、赤痢の特効藥のスルフアゾールは十分ございまして、現に配給統制を別にやつているのではございません。そこで十分でございますのでこれは各地方において十分利用されておると私共は信じておる次第であります。  そういうような次第でございまして、多少外観的には遅れたようでございますが、併し各地方の当局との打合せでそのくらいの時期に始めるという話でありましたので、大体間に合わせたと私共は存じておる次第でございます。以上同簡單でございますが、配給の状況を申上げた次第であります。
  53. 木村忠二郎

    説明員(木村忠二郎君) それからもう一つ申し落しましたが、先達井上委員から話がありました食事の給與費でありますが、これは十八円というのでは実際には間に合わないというお話でございますがその通りでございます。東京都の要求によりまして、そのときに実際にどのくらい必要であるかということを東京都に相談いたしまして、二十五円程度までは出してよろしいという了解を與えております。
  54. 飯島稔

    説明員(飯島稔君) 國立公園でありまする霧島硫黄谷の災害につきましては、國立公園行政上特に重視していた集團施設地区でありますので、我々としては垣に遺憾に堪えないように思いますが、特に道路と災害との関係並びに國立公園計画と霧島温泉地帶の旅館施設との関係につきましては、かねてから國立公團の総合開発計画といたしまして、施設並に道路の総合計画を樹立しているわけであります。それがたまたま二千六百年の記念事業として道路を霧島、小林線の設定を始めたのでありますが、それが情勢の変化ま共に施工半ばにして放置してあつたのでありますが、たたまた災害がその地域に起りましたことによりまして、この道路いわゆる國立公園の道路と災害との直接因果関係についていろいろ我々の方でも檢討いたしてみたわけでございます。この硫黄谷の地域は実は先程岡元委員よりお話も伺いました通り前三回崩壞の経歴を持つておる所でございまして、その地域は硫黄泉が湧出いたしますために、表土と心土との間にいわゆる硫化した地層ができております上に、樹木が相当密生いたしておつたわけであります。たまたま強風と豪雨のために地盤が搖ぎまして、表土が縣道の上の方から四回に亘つて崩壞いたしたわけでございまして、四回目の最後の崩壞の際は表土のみならず心土も全部道路と共に霧島温泉地帶に崩壞して絶大なる被害を生じたということになつております。我々といたしましては、この災害に対しましては、現地において國立公園の施設の指導管理をする人が全然いなかつたために、適切なる措置を講じ得なかつたということは非常に遺憾に考えておるわけでございまして、この災害の例を取りましても、或る写眞業者の方は三十分前に家族と共に危險を感じて待避されたために災害を受けられなかつたということも事実でございます。若し國立公園の管理職員がおりまし前これらの災害の事前措置を適切に指導することがありましたならば、かかることがなかつたろうかと考えておりまして、將來國立公團全般の管理については尚國会方面の御承認の得まして、できるだけ維持管理に完璧を期して参りたいと考えておるわけであります。  尚公園の全体計画につきましては、霧島の集團設地区は既存の硫黄谷の温泉の施設は、從來は一千人ばかりの收容施設があつたのでありまして、この施設を中心として計画を立てておりましたが、今回これを早急に復旧いたしますために、資金、資材或いは予算的な措置をできるだけ早く講ずるために、國立公園部の二級技官池ノ上を現地に派遣いたしまして、災害は十六、十七日でありますが、二十四日に鹿兒島廳に到達いたしまして、二十五、二十六日と二日間現地で調査をいたし、二十七日に縣の経済部長室で衞生関係医療関係その他施設、道路、河川というような関係の協議会を開催して、その場で國立公園上の計画並びに将來の復旧方針についていろいろ檢討と打合せをして参つたわけでございます。その結果に基きまして、河川の防塞工事としてやるべきものは、現在直ちに建設省のいわゆる災害復旧の河川防塞工事としてやるように目下打合わせて、相当多額の経費を計上するように折衝をいたしておるわけでございます。又道路の復旧につきましても、この道路は現在施工半ばでありましたために、縣道の認定が遅れましたために、管理権の所在がはつきりいたしておりません。併しながら縣会の議決はすでに経て建設省の告示を待つだけになつてつたのでありまして、若し認定道路になつておらないために道路法に基く道路災害復旧ができない場合には、國立公園のいわゆる公園道路として厚生省所管おいて道路の復旧整備を早急にやりたいと考えておるわけでございます。尚これらの実情の調査につきましては、縣当局から数回に亘つて報告が参つておりますが、その総額ははつきりいたしませんけれども、大体前の災害を通じまして一億円見当ということになつておりますので、これらのうち國立公園所管の道路施設並びに計画及び維持管理の機構につきまして、我々としてもできるだけ努力をして参りたいと存じておりますので、國会方面におかれましてもよろしくお願いいたしたいと考えておるわけでございます。
  55. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは公衆衞生局長代理の防疫課長山口正義君にお願いします。
  56. 山口正義

    説明員(山口正義君) ジユデイス台風とキテイ台風に際しまして私共がとりました防疫対策を簡單に御報告申上げたいと思います。  ジユデイス台風発生と同時に私共の方から係官を福岡県、佐賀縣、熊本、鹿兒島、宮崎と被害を受けました地区に早速派遣いたしまして、現地の連絡並びに防疫対策の指導に当らせました。幸いにてジユディス台風によりましては傳染病の特別な発生はなかつたのでございます。  キテイ台風の來襲と同時に台風襲來のときから水害、防疫対策の万全を期しますために技官一名、事務官一名を当直させて連絡指導に当らせたのであります。同時に東京都内の被災地に対しましては、公衆衞生局長以下係官が再三現地に参りまして連絡指導いたしたのであります。又被害が大きいと思われました神奈川縣並びに群馬縣に対しましては、それぞれ係官を現地に派遣いたしまして連絡指導に当らしたのであります。申上げるまでもなく、水害の後に傳染病の発生の虞れが非常に大きいのでございますので、派遣いたしました係官、或いはその他の電話連絡等によりまして、各府縣の現地において水害後の防疫対策に遺憾のないように、特に水の引きました後の清掃、消毒、井戸水の消毒、或いは檢便調査、患者の早期治療、予防接種等に手落のないように指示をいたしたのであります。  キテイ台風の後におきましては、被害を受けました各府縣の中で、現在まで私共の方に得ております情報によりますと、東京都、千葉県等に傳染病特に赤痢の増加を見ておるのでございます。東京都いおきまして只今まで二百三十五名の赤痢患者と十名の腸チフス、パラチフス患者の発生を見ております。これは水害地区だけでございます。水害前十日前の発生状況に比べますと約二倍の発生率を示しております。又千葉縣の浦安地方は環境、條件の非常に悪い所でございますが、ここにも水害前の発生状況に比べまして非常に多くの赤痢患者が発生いたしまして、只今まで六十三名発生を見ております。併しながら東京都におきます発生状況は、大体今月の五日を最高といたしまして、漸次下降いたして参りました。一昨日は患者が一名の発生がございませんでしたので昨日から特別な報告は取止めることにいたしたのであります。千葉縣におきます赤痢の発生も大体九月頃を頂上といたしまして、漸次下降いたしております。ただ千葉縣におきましては、被災地方の住民一万数千人につきまして檢便をいたしましたところ、その檢便の結果発見された者が数日前に約十名ばかり出ておる状態でございます。腸チフス、パラチフスに対しまする予防接種につきましては、先程藥務局長からお話のあつた通りであります。  尚先程井上委員からのお話がございました防疫に際しての機動性の欠如ということについて御指摘の通りで、私共もこの点につきましてかねがねできるだけの努力をして來たのでございます。予算その他の関係でなかなか十分なことができないのでございます。只今までのところ防疫用の自動車が配付されておりますのは縣まででありまして、これは將來ぜひ少くとも保健所まで渡らなければならないと思つておるのでございます。防疫を担当いたします主管課といたしまして、保健所に担当いたしております主管課と協力いたしまして、御指摘の点できるだけ早く改善するように努力したいと思つております。
  57. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 尚次にこの機会に埼玉縣の集團疫痢の状況をついでに御報告願いたい。
  58. 山口正義

    説明員(山口正義君) 埼玉縣の鷲の宮並びにその附近数ケ町村におきまして七月の中頃から赤痢が相当多数発生いたしました。一時新聞に非常に大きく報道されましたために、大きく問題に取上げられたのでございます。早速縣当局からも参りますし又私共の方からも係官を派遣いたしまして実情を調査いたしましたのでありますが、七月の中頃より少し前から発生いたしておりました下痢患者に対する処置が初め妥当を欠いておりましたために、思いの外蔓延を來たしたのでございますが鷲宮町に一番沢山発生いたしました。鷲宮町における患者の総数は八十数名でございまして、附近数ケ町村を合わせて百名余りになつたのでございます。相当拡がつてから縣当局の方に報告が入りましたために、初めの措置がやや遅れた憾みがあつたのでありますが、縣当局といたしましては直ちに防疫本部を鷲宮町に設置いたしまして、患者の早期発見或いは早期治療、それから患者発見後の防疫措置に全力を盡しましたので、七月の中頃から相当出ておりましたのが七月末には大体終熄したような状況であつたのでございます。  鷲宮町とその附近において今回のように相当赤痢が沢山発生いたしましたのは、いろいろの原因が考えられると思うのでございますが、農村地区のいろいろの習慣によりまして患者の早期発見が非常に遅れたということが一つの大きな原因であつたように思われますので、この点につきまして医師会その他への要望、それから一般民衆に対する衞生教育の徹底を十分にいたしまして、今後こういう集團的な発生の起らないようにできるだけの努力を拂つて行きたいと存じます。
  59. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 大体以上でこの台風に対する政府のとられた処置についての報告を終りましたが、何か御質問なり御意見があれば……。
  60. 岡元義人

    ○岡元義人君 ちよつと今御説明がありました中で、今度災害救助法が各地で九州においても発動されておるのですが、まあ東京附近の御報告を聽きますと非常にうまく行つておるようですが、鹿兒島縣のデラ台風でやられました一例を取つて申しますと、持田部落、これは姶良という、デラで二十三名死亡者を出しましたこの地区におきましては、殆んど先程もお話がありましたように赤十字社関係で動いておるというようなことは全然なくて、近くの敬愛園が漸く翌日駆けつけておる、しかも保健婦が僅か一名しか現場には行つておりません。そうしてあの災害が起きました後、負傷者として收容した者が殆んど藥品がありませんので地元の医師から借りて間に合わしております。その結果、血清にいたしましても、とにかく五分間で災害を受けたのですから泥水の中に捲込まれまして五分間だけ流されて、それが救助をされているのですけれども、その後の処置が悪かつたために、あの災害報告があつた後破傷風になりまして更に三名死亡者を出している。これは地方自治廳の小野政務次官その他沢山の方が現場に行つておりますから十分調査したと思いますが、我々現場に行つて見て非常に合点が行かない。一部の医療藥品等の備蓄の問題ですが、先程から話が出ておりますが東京の近郊は目が沢山あります。地方に行けば行く程目がないので、そういうところ程そういうような欠陷が相当あるわけであります。こういうことは今完全に行つておられると政府当局が考えておられますならば、私が今申上げたことをば一應調査つたら直ぐ分ると思います。  それから社会局長から、災害救助を死体の発掘に適用するわけには行かないという御説明がありましたが、それは社会局長は現場を見ていないからそういうことが言える。國立公園の方が見えておりますが災害は尚継続いたしている。あの國立公園を通るときどんな氣持で通られるか。次から次へその次の災害がまさに起ろうとしている。二日目までは死体の発掘じやない、これは全部助かつた、家の中で丁度いい工合に入つている人は殆んど助かつた。すでに一ケ月も経つておりますから今日社会局長は死体とはつきり認定されてもいいかも知れませんが、必ずしもその当時ははつきり死体と認定できない、相当の人は助かつているのであります。  それからこの機会に社会局長に伺つておきたすのですが、これは鹿兒島にある事実ですが解釈を聽いておきたいと思います。それは島が沈むのです。これは災害救助法が適用になるかどうかこの機会にお知らせ願いたい。現に島が急激に沈むのでなくて徐々に沈んで行くのです。そのために六十戸のうち六戸は水につかつている、毎日々々沈んで行きつつある、これが災害救助の対象になるか、それを一つお答え願いたい。  それから先程國立公園部長から非常に誠意のある御説明がありましたけれども、先程お認めになつておられる通りに、二千六百年事業として作つた國立公園の観光道路、いわゆる宮崎縣へ拔ける道路、それが途中で切られたわけですが、それがどこが管理者か分らない。而もあの地元の人はあの道路を作つたら危險だという意思表示を十分してある。一部においては自分の玄関を通して貰いたいから反対したのだということを申しておりますが、決してそうじやない。四代も続いた旅館で、私は子供の頃から育つているので霧島については可なりの知識を持つているわけでありますが、私達が外地に行つている間にあの道路ができたのであります。とにかく四代続いて何らの事故がなかつたのですが、あの災害のときには、旅館の若い男の連中が道路に上りまして、そうして懸命に排水作業をやつている、危險だと思つたから排水作業をやつている。從來も雨の降るたびにこの霧島館の若い男の連中は上に上つて排水に努力しているという危險な道路に拘わらず、管理者が誰であるか責任のありかが分らない。こういうように放置されて今日に至つた。而も昭和十七年に二十何名というものを殺傷している。而も今度は又々……。あの二つを取つてしまえば霧島の國立公園の温泉というものは僅かに林田温泉が残るだけであります。そういう國立公園として考えても大事な霧島館であるのでありますが、それが道路の責任のありかが分らない。草が生え放題で誰一人として一回も手入れをしていない。こういうところは誰が責任を負うのか、この点を明らかにして頂きたい。  それから先程の予算説明の中で河川防災で考えて行きたいという話がありましたが、これは解釈の仕方もあると思いますけれども、縣側の考え方で以て河川防災という方面へ持つて來たとしますならば、これは災害救助法との関係においてそういうような意見が出たのではなかろうかということを、一應私は先程の御説明の中で聽いたのであります。この点も十分檢討の余地があると思うのですが、併しそれはそれといたしまして一億円ぐらいというお話がありましたが、これは旅館の復旧費は全然含まない意味での一億円であるか、この際御回答願いたいと思います。
  61. 木村忠二郎

    説明員(木村忠二郎君) 鹿兒島縣におきまして災害救助のやり方につきまして極めて遺憾の点があるということにつきましては、実際に先程もお話がありました通り、鹿兒島縣では限度よりも極めて低い程度の救助をいたしております。これは縣の財政等の関係もあると思うのでありますが、つまりその救助の仕方が悪かつてということによりまして被害の程度が大きくなつたというような実情がありましたことは、今お話のような点がございましたことは、誠に遺憾に存じます。我々といたしましては、少くとも救助の満度まで必要がありますならばやつて欲しいというふうに考えております。但し我々の方といたしまして、事前におきましてここまでは金を出さなければならんということは申せないのでありまして、これにつきましては現地におきまして必要に應じてやるということになつております。從いまして満度まで必ず出さなければならんということは言えなかろうと思います。  それから例を引いてお話がございました霧島館の問題でございますが、死体の発堀でなく、埋没されている人を救助するという限度において行いまする場合におきましては、これは当然災害救助法によつてできるのであります。但しもうすでに死体になつているというふうになりますると、災害救助法は適用できない、これは理窟の話であります。だから実際に常職上救助法が適用できるという限度までは災害救助法でやるということを敢て拒むものではない、その点につきましては鹿兒島縣当局にはそういうように指示しております。但し相当期間が経つております、或る一定の期間を越したものにつきましては救助法の適用は無理じやないかというように考えております。  それから櫻島の近所にあります島が沈没するという問題、これは外にもそういうような例があるのでありまして、確か徳島縣であつたかと思いますが山崩れが徐々にいたしております。土砂崩壊によりましてその下にありまする部落が殆んど全部移轉しなければならんという事情にございます。併し災害救助法は飽くまでも應急的なものでイマージエンシーということになつておりまして、徐々に來るという災害につきまして予め避難するという災害につきましては、災害救助法は現在のままでは適用できないというふうに言わなければならんと思います。
  62. 飯島稔

    説明員(飯島稔君) 道路の問題につきまして、管理者の定まらない道路が國立公園内に放棄されていることは適当じやないというお話でありまして、全く私共といたしましても國立公園内の道路も國立公団部局において当然管理すべきものと考えて、法律改正その他の都度國立公園行政の一元化をお願いしたいと考えているのでありますが、現在におきましては道路法の道路は建設省がやることになつておりますので、國立公園当局として、若し政府が國立公園道路と予算上認められることができますならば、当然國立公園行政の範囲内で維持管理しなければならないのであります。併しながら今の二千六百年道路であります霧島、小林間の道路につきましては、幅員が四メートル以上ありまして、自動車はいわゆる車道でありますために、当然縣道として道路体系の一環として常に考慮さるべきものでありますので、縣会の議決を経て、縣から建設省の方に告示をしてくれという申請を出してあつたのであります。それが告示をするばかりになつてつたので現在のところ結果的に見て管理者がはつきりしておらなかつたのでありますけれども、これはいつまでも無管理の状態に放置しておくという趣旨ではなかつたのでありまして、速かに管理者を、建設省の所管のいわゆる縣道として縣知事に管理をして貰うことに我々としても進めておつたわけでございます。その途中においてこういう事態の起りましたことは誠に遺憾に考えるわけでございます。從いまして若し縣道として認定されておらなかつたということで、災害復旧その他について遅延を來たすようなことがありまするならば、私達といたしましてはいわゆる國立公園内の公園道路として速急に復旧するように、安本その他に予算を要求したいと考えておるわけでございます。ただ道路のいわゆる設定の場所が前数回の実績に照して適当であつたかどうか、災害の原因が道路を築造したことにあるのではないかという問題が若干考えられるわけでありまして、前二回の災害のときもこの地点が崩壊いたしております。併しながらこの今回のジユデイス台風による災害の場合の崩壊の場所は、実は縣道より上の方に湧水地点が二ケ所ありまして、道路から向つてその壁面の左側が最初に崩壊し、右側がその次に三十分ぐらい置いて崩壊し、翌朝午前五時ぐらいの間に道路も引括めて崩壊したということになつておりますので、その直接の因果関係については、果して道路があつたから崩壊を早めたかどうかという点については、なかなかむずかしい認定の困難な問題ではないかと考えております。殊に道路を設計いたしますにつきましては、勿論災害の点も十分考慮して設計されたものと考えておりますし、又その後の維持管理が災害の原因となるようなことは何人も考えておらなかつたのでございます。國立公園の予算が僅かであるためにそれらの管理並びに整備について不十分であつたことは、誠に申しわけなく考えておるわけでございます。  それからお尋ねの一億円は霧島館その他の崩壊した旅館施設の復旧費が大体一億円だと考えております。
  63. 岡元義人

    ○岡元義人君 一つお聞きしておきたいことがありますが、今度は霧島地区でもそうでありますが、医療関係では一般の各地のお医者さんから片つ端から借り放しになつておりますから、これは早く返して頂くように勿論縣の方にも言つてはありますが、とにかく一つも間に合つたものはありません。霧島の災害もあそこの丸尾の病院から全部薬品を持つてつて借りております。デラ台風も殆んど鹿屋地区の病院という病院は田舎のお医者さんに至るまで借りております。こういうのは早く返して頂くようにお願いいたします。
  64. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 他に御発言ありませんか。それでは岡本委員の提案になりました硫黄谷温泉の埋没並びに死体埋没に関する調査委員派遣するように諮つてくれるようにということでございましたので、この件を改めてお諮りいたします。
  65. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 まだ明日も委員会がありますので、後でよく御懇談申上げてお打合せ願つたら如何ですか。
  66. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 草葉委員の御発議のように取計らいますか。    〔「賛成」と呼び者あり〕
  67. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御賛成のようでございますからさようにいたしまして、懇談協議を遂げて決定したいと思います。  それでは台風に関しまする問題は一應この程度で打切ります。   —————————————
  68. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それではこの際、社会保障制度調査に関しまする医療問題にも関連して來る問題でありますし、更に最近結核予防問題どいうものが漸次重要に取上げられて來るようになつて参りました。傳染病その他は非常に減少しておるにも拘わらず、結核並びに性病につきましては尚漸増の傾向にあるということを憂えられておるのでありまして、これが対策というものは非常に重要であります。この際結核予防問題について、結核予防協会の理事長であられます勝俣氏、同所理事隈部氏、それから保健同人社の大渡氏、自然療養社の田辺氏、以上四人の方が見えておりますので、これらの方々から現在の結核の実情並びにそれに対しまする対策等を伺いたいと考えるわけであります。それではどうぞ順次……。尚四人の方にお話を願いますことにつきまして、中山委員からお骨折りを願いましたのであります、中山委員が是非委員会におりたいということでありましたが、内閣社会保障制度審議会の会合がありまして欠席しておられます。このままでお話を承わりたいと思います。  最初結核予防会の勝俣理事長からどうぞ……。
  69. 勝俣稔

    説明員(勝俣稔君) 今日のような催しを國会でされるということは今回が初めてでございまして、眞に結核問題を國会の方々が眞劍に取上げて頂いておるということについて、私は感謝の意を表したいと思う次第でございます。從來結核に対しまして実に冷淡な態度を從來の政府家がとられておるということを考えまするときに、尚更私は今日の会合に関しまして感激を深くするような次第であるのでございます。  お手許に差上げました結核予防に関する統計図表、こういうのがございますが、これを十分御覧を願いたいと思うものでございます。この中の数字につきましては極く僅か訂正せられなければならんところがあるかも知れませんが、大体において我が國におけるところの結核の大勢がお分りになるだろうと思いますし、又今まで政府当局からもこの要請がありまして、結核の蔓延の状態につきましてはすでにいろいろと御説明があつて御承知のことだろうと思いますが、ただ簡單に私は日本の結核がどんな状態でおるかというのに一番いい表が番号が入つておらんからいけませんけれども、全結核年次別、性別、死亡率という表がございますから、これをちよつと御覧を願いたいと思うのでございます。ここでこの男女と分けた計というところがございますが、人口一万に対する率が書いてあるのでございます。この昭和七年人口一万に対して十八というのが最近における日本の一番少い死亡率でございます。それからその後満州事変それから第二次大戰に伴いまして労働の強化等あらゆる方面におきまして結核に対する悪條件が重なりまして、昭和十八年には二二・八という数字まで來ております。ここで空いておるところの三年は記録がございましたけれども、終戰と同時に記録を燃すような状態になつたために、明確なる数字が残つておらないのでございますけれども、併し保健所を中心に抜取りのような調査をいたしましたところの成績を考えまするときにおいては、人口一万に対して二七・八という数字までも想像できるところのデータが上つておるのでございます。これが二十二年になりまして一八・八という数字になつております。これは厚生省があとで訂正されたので、厚生省では一八・四という数字を出しております。昨年二十三年は一八・一、殆んど昭和七年の一八・〇と同じような率にまで來たような次第であります。そして日本の結核の死亡の性格と申しますが、これを見ますると丁度日米年齢別結核死亡率の比較という表がございますが、これを一つ御覧を願いたいと思います。それと今一つは年次別、年齢別結核死亡率という表がございます。この二つを眺めて頂ければ大体お分りのことと思います。  日本の結核の死亡は青壮年が一番高い、こういうことになりますが、この日米年齢別結核死亡率の比較で、昭和十五年のカーヴというものが年は十から十四、十五から十九、二十から二十四、こういうところのカーヴを御覧になりますれば一番青壮年が高いということがお分りだろうと思います。この一番下にある線がアメリカのカーヴでございますけれども、これを御覧になりますると殆んど向うの方は年よりになつてから死ぬ、國家社会に対して働いてしまつてから御用済になつてしまつた者が結核で死ぬという数字であるに拘わらず、日本は青壮年の連中が一番沢山死ぬというまあこういう形を取つておるのでございます。併し幸いにしてお分りになりますように十五、六年のカーヴは漸次ずれましてそうして二十二年が一番、黒い線でできておるようにちよつと御覧になりますればお分りのように、十五歳と十九歳は丁度二十年というところになつておりますし、十五年の線を見ますると四十五ぐらいのところに行つておるのでございます。これを以ても十五歳と十九歳の死亡は半減しておるということはお分りだろうと思うのでございます。我々の日本の結核の死亡の性格が青壮年に高い、この青壮年の山を叩くということは即ち日本の結核予防、結核対策の一番大事であるということは学者が、何人も認めるところでございます。  それから年次別、年齢層の方でこれをカーヴに書いたのが大正五年、十年、昭和一年、五年、十年、十五年、二十年、二十五年、というふうに書いてございますが、こういうように二十歳から二十四歳は非常に急カーヴであります。又十五歳から十九歳まで同じようにカーヴが並行して起つております。二十五歳から二十九歳もかくのごとくに起つております。そうして十歳から十四歳も起つておりますが、その他の方は殆んど余り大した動きがない。まあ年の上の方が先程のカーヴが示すように上に多少上つておる、こういうことになつて参りまして、この線に沿うて日本の結核予防が行ければ非常に結構なことじやなかろうかと私は思うのでございます。そこでこの年齢層は一体何故にこう下つたかという問題を考えて見ますのに、これはやはり我々といたしましては、戰時中或いは戰後の住宅問題、栄養問題、いずれの方面においても悪條件があるにも拘わらず、この青壮年層の死亡が起つて來たということは、確かに青壮年層に対する対策が行われておらなかつたのではなかろうかということを考えられるのであります。併しながら戰時中こういう年齢層に当つて何をしたか、何も殆んどしておらない。ただしておるのは体力管理によるところの健康診断、BCG予防接種という以外には殆んど力もなければ金もなければ人もない。ただそれに專心私自身がその当局に当てておりましたので、それに進んでおつたような次第であります。  これを我々が地方的に見まして石川縣の現状と、その昔とを眺めて見ますると、非常に著明にその点が現われておるのでございます。これにつきましては厚生省の方からもいずれは表も出ておるだろうと思いますが、石川縣の大正十年の結核の死亡というものは三一・二七であります。これは日本全國において最も高い結核の死亡でございます。これがあらゆる施策、殆んど併しこれはBCGの徹底、体力管理、健康診断の徹底を期しましてそれぞれの措置を講じたのでございますが、昭和二十二年には一九・二七、昭和二十三年昨年には一八・三一という恐るべき減少を來しているのでございます。これはすべきことをすればここまで減るんじやなかろうかということを如実に私は物語つているんじやなかろうかと思うのでございます。ただやらないから減らないので、どうしてもこれはこれがために一体どのくらいの費用を要したかということは厚生当局の方でも事務当局の方でもお分りだろうと思いますけれども、大した費用は掛つておらないのであります。そこで私共といたしましては、ぜひ徹底的な結核予防対策を國会でお立て下さいまして、我々はそれがためには如何ようなる努力もいたします。又如何ようにもデータを出して差上げます。でございまするから徹底的な対策をお立て下さいまして、これを政府が変ろうが変るまいが年次計画によつてお進み下さるようにお願いしたいと私は考えるものでございます。但し財政の都合やいろいろなこともございましようが、併しぜひ結核が一番大きな日本の問題であると私は思うているのでございまするが、こういうような点におきまして、ぜひ徹底的な大きなプランでそうして年次計画もお立て下さいまして、そうしてやりさえすれば日本の結核はなくなるものであるということは、なくなるというところまで行きませんが、非常に減少するものであるということは、石川縣の結核予防対策の成果から見て判断ができるのじやなかろうかと私は思うのであります。  そうして一体結核に対する損害が日本でどのくらいあるかというような数字につきましては、厚生省は最近非常に急いで計算したから、これ以上まだ多いのじやなかろうかと思うのでございまするけれども、一應私厚生省の方で聽きましたところによりますると、一年の國民の損害というものは一千億ということを出しております。それであるのにも拘わらず政府の予算が一年に結核予防にあらゆる面で治療面まで含めて僅かに二十九億に過ぎない。而もそれは殆ど治療面において行われておるのであつて、予防に対しては僅かに八千万円の金を以てこの大きな問題を解決しようということは私は不可能なことじやなかろうか、こういうように思うのでありまして、ぜひ結核の蔓延の状況、そうして日本の医学の結核に対する世界的水準を利用してやつたならば、僅かなる予算の増加でも十分私はこの日本の結核医学の水準を利用いたしますならばできるのじやなかろうか、こういうように考えられるのでございます。或いは施設のことにつきましては、保健所の拡充の問題でも、或いは療養所の病床の増加であるとか、いろいろございましようけれども、一つ立派な徹底的な大きなスケールでそうして確固たる結核予防の対策をお立て下さいまして、日本の本当に再建のために最も大事だと思うところの結核の撲滅に御盡力あらんことを偏にお願いしまして、私総論的のことを申上げまして、後、隈部さん或いは大渡さん、田辺さんからいろいろのお話があることと思います。又私もその方におきまして氣の付きましたところをいろいろと申上げたいとこういうように思います。
  70. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それではこれから懇談の形において四人の方々に質問なり又御意見を伺うことにいたしましよう。それでは本日はこれを以て散会いたします。  明日は午前十時より聞きます。    午後三時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事            今泉 政喜君            谷口弥三郎君            姫井 伊介君    委員            山下 義信君            草葉 隆圓君            黒川 武雄君            中山 壽彦君            竹中 七郎君            井上なつゑ君            岡元 義人君            穗積眞六郎君    常任委員会專門    員       木村  盛君   説明員    厚生事務員    (大臣官房総務    課長)     安田  巖君    厚生事務官    (社会局長)  木村忠二郎君    厚生事務官    (國立公園部    長)      飯島  稔君    厚 生 技 官    (薬務局長)  慶松 一郎君    厚 生 技 官    (予防局檢疫課    長)      山口 正義君    結核予防会理事    長       勝俣  稔君