○
國務大臣(
鈴木正文君) 御
質問の後の方が
中心のように思いますが、前の方の
一般的の
労働情勢についての
考え方のお質しがありましたので、
労働大臣として端的にこの問題について、これはまあ今日の
厚生委員会の御
質問の
中心でないではありましようけれども、御
質問がありましたから、國鉄の問題があ
つてから以後
國会で以てこの問題について聽かれたのが初めてでありますから、率直に、簡單に
お答えしておきます。
私共も
山下さんと全く同感でありまして、全逓等の問題がああいうふうな形で以て一應推移して行
つたということは、直ちに
労働問題に、
將來に
亘つても不安はないのだ、一應これで乘り切
つて行けるというようなそんな生易しい性格のものではなくて、これらの問題を改めて眞の
労働問題の中に持ち込んで來て、そうして
將來に亘る妥当な解決を図
つて行くという本当の
労働問題の
実態は、むしろそのまま後も残されておると
考えております。それらの問題は今後の團体交渉にも現れて來ましようし、問題といたしましては、給與の問題、それから今後整理された後の各
企業体の中における
労働力再編の問題、私共は別に
共産党、
社会党というふうな立場を論じる
意思はありませんけれども、
労働組合における私共のこの春の
國会において提出して賛成して頂いたあの
関係法規もそこを狙
つたのでありまするけれども、建設的な自由な民主的な
労働組合を質、量共に拡大強化して、うんと活動して貰わなければならない。私共は衷心そう
考えておるのでありまして、これは
政府がそう命じてやるんだというふうな、そんな
考えは持
つておりませんけれども、この新らしい組合の正しい指導者なり正しい組合員の総意によりまして、この秋頃から本当に組合大衆の中に根を下した
ところの、終戰後四年間にして初めて到達し得たこの
段階に立
つて、この新らしい本格的な活溌な組合運動の展開というふうなものをも、私達は切に念願しておるのでありまするし、同時にそれらの組合の活動によ
つて、今申しましたような
幾つかの重要な本來の
労働問題が解決されて行かなければならないのでありまして、國鉄、全遍の整理の推移だけを以てして、軽く
労働問題の
將來に対して
結論を下して樂観するというふうな
考え考は毛頭持
つておらないつもりであります。
ただ昨日も官房長官を通じて吉田総理から話された
労働問題の
考え方、それは経営者にもこの際整理とか或いは最近の趨勢に乘じて、いわゆる言葉は少し妥当ではないかも存じませんけれども、便乘的追打ちをかけるというふうな態度は、
日本再建のために、嚴に愼んで貰わなければならない、同時に組合側におきましても、過去の、今回を指すのではありませんけれども、過去の推移の中に見られたような破壊的な、あの組合運動というものについては、愼んで貰わなければならない。双方がそういう心構えの下に現
段階に処する氣持ができ上りましたならば、私共の唱えておりまする労資完全な対等の上に、新らしい民主的な
労働組合運動を活撥に展開して貰う、そうして
政府の施策などは二義的、三義的な問題であると私共は
考えておるのでありまして、この本当の組合の活動を通じてこそ、近い
將來の
日本の
労働問題解決の第一の拠点にしなければならないという
考え方を持
つておるのでありまして、この点別に皆さんとそう隔たりはないように思います。
それから
失業問題についての財政的の推移の点を
お尋ねになりましたけれども、これも率直に
お答え申上げます。私共の大体全体としての組立て方の
考え方から言いまして、今度のような
失業問題に対処する
政策というものは例えば昭和四、五年頃行われましたようなああいう
失業対策の域を低迷してお
つては解決できないのであ
つて、飽くまでも積極的に國民経済を組み変えて行く、そうして配置轉換をや
つて行く、そうして或る部面に雇用力の上昇を図
つて行く、その上昇した面に最終的に
失業者を安定した形で以て就職して行くようにも
つて行く、こういう廣い
意味の國民経済の組変えと配置轉換の上に立たなければ、今度のような性格の質、量共に深刻な戰後の
失業問題の措置はこれは到底できない。
從つて昭和二十四年なり或いは二十五
年度の初期なりというふうな短い
期間におきまして、今現われつつある
失業の
現象が完全にピリオドを打たれて、そうして安定の
状態になるというふうな安易な
考え方は到底望め得ないと思うのでありまして、少くとも二年なり二年半なりの
一つの
期間を置いて
計画的に今
言つた方式を繰返して
行つて、
年度末に残
つておる
失業者の尻を少くして
行つて、そうして二年半なり三年なり経
つたところで以て一應の安定した形の就業
状態に持
つて行くというのでなければならないと思うのでありまして、
從つて現在の
考え方におきましては、
失業対策の大体は、あくまでも
政府の
計画しておる
ところの新らしい自由主義による
ところの國民経済の再建と、もう
一つは千七百億円、今年も來年も再來年も重点的に注入される
ところの見返り資金を眞に有効に活用させることによ
つて、新らしい雇用を見出して行くという点に主力が置かれなければならないと思のであります。大体の
計算といたしましては今のような新らしい
政策の面において今年において約四十万人それから見返り資金
関係から三十万人、千七百億が即定の線に
從つて注入されまするというと、合せて六十万人から七十万人ぐらい本
年度もあるのであ
つて、來
年度はそれが百二十万人ぐらいになるという
計算が、これは綿密に安本その他と
計算した結果出ておるのであります。勿論民主自由党の現
内閣の経済
政策が根本的に破綻してしま
つて成功しないという場合には、一切この
計算は狂
つて來るのでありますけれども、私共のこれは
労働大臣の直接のあれではありませんけれども、
政府全体の決意といたしまして、この線だけは断乎として確保するというその前提の下に立
つておるのでありまして、その前提の下に立つのでありまするけれども、今申しましたような工合であ
つて今年六、七十万人、來年百二十万人ぐらいの最終安定の形において、新らしい國民経済に吸收されて行くということは十分望み得るのでありまして、その
政策は各省において
政府全体として進められておることは御
承知の
通りであります。そうして尚且つ残
つて來る
ところの
段階において残
つて來る
ところの
失業者に対する措置というものが、いわゆる世間で言
つておられる
ところの
失業対策という問題になると思うのでありまして、私共の
考え方といたしましてはむしろ
失業対策の本体は、前段の
政策全体と繁がる
ところの新らしい國民経済の上昇と雇用力の増大がどうなるかという問題の中に、大部分の解決の鍵がかか
つておると思うのであります。残
つたところの部分が
労働省が差当
つて受持
つて破綻を起さないように持
つて行かなければならない
ところの狹義の
失業対策なのでありまして、今
年度におきましては明確な数を上げることは今避けますけれども、仮に百万ぐらいの人達が本
年度において先程申しました
潜在失業者の
顯在化からも今年出て來る
失業者である、今年のうち今
言つたような形で以て安定雇用の中に入らない形で残
つて行くという人が、仮に百万前後あ
つたといたしましたならば、それに対してはどういう
方法をとるか。第一はいずれの
ところでも必ずとれるのでありまして、これは
失業対策として上乘の策ではありませんけれども、現実には必ず
失業保險というものが第一線に押し出されて來る。当面六ヶ月なり数ヶ月その人達の
生活を支えるという
方式がとられるわけでありまして、現在
政府が本
年度の
予算に盛
つておる
ところの
予算を以てしては、三十万人ぐらいの
失業者に対して保險料を
支拂われるという
計算にな
つているのでありますが、併し保險経理は実際は七十万人までは十分受入れられる
基礎を持
つております。
政府の方の
支拂は義務費でありまするからして、そういう
現象が起きて來れば必ず出す必要のあるものでありますからして、必要に應じて七十万人ぐらいまでは本
年度中に
失業対策以外の
失業保險を
支拂うことができるということになるのであります。実際に七十万人は恐らく、出て來れば受留めますけれども、出て來ないだろうと思います。
予算に計上、予定されておる人員が三十万人、これはどれくらい殖えて來るか分りませんけれども、七十万人までは行かないと思いますが、それで仮に四十万人受止めたといたしますと後の六十万人とい
つたような人達をどうするか。この人達の中には官公吏で以て退職金を、つまり
一般の民間における
失業保險と同様に退職金を
受取つておられる方もある。それからいろいろな面を眺めて行きますと最後に十万人乃至二十万人くらいの自由
労働者等を含めた
ところの切実な人達に対して、特殊な
方式で行かなければならないということになる。それから言うまでもなく
失業保險で受止めた人達は、さつき御指摘になりましたが六ヶ月経てば
失業者として
労働市場に投出されるのでありますからして、來
年度は改めて又その人達を
失業者として
受取らなければなりませんけれども、來
年度は百二十万人の雇用があるのでそれと照し合せて段々に減
つて行くという工合で以て二年ばかり先に行きましたならば、大体安定の雇用の
状態に持
つて行けるというふうに
考えておるのであります。
それで御
質疑の
中心はまだ
お答えしませんでしたが、一番裾の底をなす自由
労働者を含めた
ところの切実な人達の
失業対策はどうな
つておるか、その費用はどうな
つておるかという点が御
質問の
中心であ
つたように思いますが、これは御
承知のようにできるならば見返り資金の中から百億円くらい、いわゆる公共事業的のものを実行する、例えば住宅とか鉄道の電化とか都市周辺における道路、港湾等の修築というようなもので百億円くらいのものを出して貰いたいという
政府は
考え方でありました。それを以てGHQのガイダンスとも
折衝をいたしました。これについて
結論はどうな
つておるかといいますと新聞紙上にもいろいろと傳えられておりますけれども、それは絶対にいけないんだという
考え方には至
つておりません。併しそれを直ちに出そうという
ところにも至
つておらないのであります。必要に應じてそれは出すかもしれない、特に五百億の
政府の直接融投資の中で四百億は税減その他とすでに大体枠は決
つております。百億は
一つのリザーヴとして残して置こうということにな
つて残
つておるのであります。残
つたところのものを公共事業費にどれだけ繰込めるかということは今後の
折衝によるのでありますけれども、率直にいいまして見返り資金はアメリカではインヴェストメント・オンリイとい
つておりますが、例えば
一つの投資されて利息がついてやがて回收されるべきものであるという原則があるのでありますから、この原則と公共事業と結びつけるとい
つた方法は技術的には非常な困難がある、併しそれはいけないとい
つてない、現に喰
つて行けない人がどんどんいる時に外の
ところにばかり力を入れてもし方がありませんということは分
つておる、この問題は今後の
檢討に俟とうということにな
つております。そういう
情勢を睨み合せて積極的に
失業対策の問題は二本立にされたのでありまして、もう
一つは
臨時國会における補正
予算の方に適当に金額を計上して、例の
緊急失業対策法によりこれをや
つて行こう、この場合には今の公共事業から出る場合と違いまして完全に
労働大臣自身が必要の
ところを握
つてどんどんや
つて行くという形であります。金額等は新聞紙上には多少傳えられておる点はありますけれども、事実は話合いはありましたけれどもまだ補正
予算はでき上
つていないのでありまするからして、どれくらいということは申上げかねますけれども、大体皆さんの方でも
一般のあれで以て聞いておられると思います。その推移はどうなるかという問題でありますが敢て
失業対策に限らず、災害復旧の問題、それから公團を打切
つてその損失を埋めるための費用、いわゆる今度の
臨時國会に出されるであろうと傳えられておる一連の諸
政策と同じ
意味を持つ、補正
予算の今後の
折衝がどうなるかという問題にかか
つておるのでありますけれども、万々これがすべて駄目になるというふうなことは
考えておりません。ここの
ところはちよつと速記を止めて下さいませんか。