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1949-06-25 第5回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月二十五日(土曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件社会保障制度に関する調査の件 ○委員会運営に関する件   —————————————
  2. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それではこれより委員会を開会いたします。本日は継続審査なつております社会保障制度調査につきましてその審議を進めたいと思います。先ず最初に内閣にありまする社会保障制度審議会が数回に亘つて開会せられておりましたので、この委員会に御出席に相成りました各委員よりそれぞれ審議状況報告を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
  4. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 社会保障制度審議会が御承知のように先月の十九日に第一回の審議会が開かれました。そのときには会長、副会長、それに常務委員の選挙をいたしまして、その後の審査方針について討議をいたしました。次いで同月の二十四日に第二回の社会保障制度審議会がありました。その場合にはいろいろと協議の結果特に山下委員姫井委員などからいろいろと御提案がありました結果、五つの部面に分けて小委員会を作ることになりまして、五つ委員会ができたわけでございます。その中で私は社会医療部の方に入つておりますので、社会医療部の面のみを申上げまして、その他の方面は各部の方面からお話を願いたいと思います。  社会医療部の小委員会といたしましては、この二十三日の午後一時から厚生省参議院委員室で開会いたしたのであります。その場合におきまして、まだまとまつた研究する材料もありませんので、先ず今後如何なる措置をしたらよかろうというようなことからいたしまして、一昨年ありましたところの医療制度審議会模樣を先ずお伺いし、尚その他関連した事項につきまして、殊に社会医療部といたしましては、その主務の管理の方が東医務局長でありましたために、東医務局長に対しましていろいろとそれまでの経過或いは模樣の話を聞いたのであります。大体只今頂きました最後の頁に社会医療部委員会模樣が書いてございますので、大体これでほぼ盡しておると思うのであります。ただ少し間違いじやありませんけれども、特に申上げたいと思いますが、いろいろの討議がありました後に、最後医療部といたしましては、五つばかりの申合事項を出したのであります。その申合事項と申しまするのはそれに書いてございますように、今までのような月一回、而も半日ぐらいの審議では到底目的を達することができないからして、もう少したびたびやろうじやないかというような話が出ましたので、実は昨日そういうようなことも総会のときに申上げまして、いよいよ社会医療部といたしましては、來月の二十一日、二十二日に開くことにいたしておるのであります。ちよつと字が幾らか都合が悪いと思いますが、幹事案の作成というのでございますが、実は数十年ばかり前に医療制度の問題が起りましたときに、幹事医療制度に関する幹事案というものを出して非常な問題を起したことがあるのであります。從つて今回の審議に当りましては、幹事にいろいろ今後研究すべき問題を作つて貰つてそれを我々が檢討いたしまして、その中でいいのを取上げ、幹事案なるものは作らせない、併し委員だけではなかなか全部を一々まとめることも或いは草案することも困難でありますから、大体幹事の方で今後研究すべきような案件を書いて頂くというのでございます。だから單純なるまとまつた幹事案を作らせる予定でないのでありますから、その点は御了解を得たいと思います。それから次に資料を集めるというときにおきましては、これは無論厚生省とか、その他医師会とか薬剤師会とかいうような方面からも頂きますが、できるならばこの参議院におきましてもすでに皆さん方がいろいろとこれまで御研究なつておるいろいろの印刷物があるのでありますから、それらの余つておるものがございましたら、それを頂くことができればあちらの方に頂きたい、若しできないようであればその一部でも頂きますと、それを向うで刷つて貰うとかなんとかして全体に配ろうというようなことをいたしまして、資料をできるだけ多数に集めよう。それから権威者意見を徴するというような、これは参議院厚生委員会でお採りになつたような各方面の殊に我々医療部関係しました権威者を呼びまして、そうしていろいろのことをそれから伺いたい。  それから最後に経済問題、これは特に社会保險の経済問題であります。社会保險の経済問題につきましては、御承知のように最近は社会保險の基金の方面にいたしましても非常に金が足りませんので、そのために支拂員非常に遅れて保險医などにおきましては、金の支拂がないために経済上非常に困るから保險医を辞退するというような事件が現在起つておるのであります。從つて我々は医療部方面の根本的のものを研究すると同時に、緊急問題としてこういう方面も早速研究したい。併しこれは社会保險部と関連を持つておりますから、社会保險部と共同で審議を進めるということをやりたいというような話合なつておるのであります。以上大体簡單にその模樣を申上げました。
  5. 山下義信

    山下義信君 私は公的扶助小委員会状況を極く概略を御報告申上げたいと存じます。專門員の方から委員会経過の摘録したのを配付されてありますが、大体その通りでありますので、大要はこれで御了承願いたいと思います。公的扶助の小委員会は六月二十三日の午前と午後に亘りまして、且つ又二十四日は早朝から本委員会開催時刻を遅らせてまで熱心に審議が行われたのであります。且つ又その審議内容はいわゆる学究的研究という態度でなくいたしまして、相当程度実質的な容内に踏込みまして、而も緊急を要するような問題にまで触れて参りまして、この委員会審議につきましては事重大な関係を及ぼすような程度審議が行われたのでございます。  主な点を申上げますと、総括的な審議といたしましては公的扶助範囲をどういうふうに考えるかという点を先ず最初に取上げまして、それは公的扶助とは何ぞやという定義のみでなく、社会保障制度の上に占むべき公的扶助の位置如何という問題を先ず最初に取上げたのであります。そうして委員会の一應の結論といたしまして、社会保障制度社会保險主要部門といたしまして、公的扶助がそのこぼれを補うといつたような、そういう立場でなくいたしまして、社会保險制度と殆んど対等的な重要な地位を占めるべきであるという考え方を以ちまして、公的扶助範囲廣範囲に考えて一應調査審議を進めようということに委員会態度が一應決まつたのでございます。これはずつとこの小委員会審議が進みますれば、その理由が追い追い明白になると存ずるのでありますが、我々の考えといたしましては、日本現状におきましては、完全な保險制度のみに頼つて社会保障制度即時実現ということよりも、公的扶助の面を相当廣く取入れた社会保障制度という考え方の方が実現が早いという考え方委員が持つているのであります。それは決して社会保障制度の建前が、各種社会保險が大部分を占めるということを否定するわけではないのであります。むしろ公的扶助ということについての考え方が非常に軽視せられるということについての、何と申しますかそれを一つ是正して行きたいという考え方があるわけであります。そういう意味で米國における公的扶助在り方、或いは英國における公的扶助社会保障制度の上においての在り方というようなことが先ず序論として審議せられるのであります。そうしてその基盤に立ちまして、先ず具体的に手近な厚生省公的扶助関係現状説明を聽取いたしたのでございました。言うまでもなく社会局並びに兒童局所管の点につきまして説明を聽きました。具体的に申しますと生活保護法並びに兒童福祉法についての一應の説明を受けたのであります。ところがこの生活保護法中心といたしまして相当な問題が潜んでいるということが明らかに相成りました。これは專門員からの報告書にそれらの点が指摘してございますから略します。公的扶助の大部分占むるものが生活保護法のあの現行の制度でありますことは言うまでもございません。而して生活保護法中心といたしまして重要な問題が潜んでおりますことも亦当然のことでございますが、それらにつきまして、小委員会は手を着けたわけでございます。例えば生活保護法によりまする各種扶助を受けますることは、果してこれは國民の権利なりや否やというような根本問題であります。又現実の重大問題といたしましては、この生活保護法の運用の上におきまして、例えば労働爭議をいたしておりまするその機関、労働爭議関係者生活状態の困難な状態に立ち至つたことを理由といたしまして、この生活保護法の適用を請求することができるか否かいう問題、そういう点が相当深刻に審議せられました次第でございます。小委員会といたしましては、大体の方向は定まりましたけれども、これを只今の問題につきましては、各委員の所見が大体の方向を取つたのでございますが、併しこれを結論といたして出しますことは、余りに重大なる影響がありますということを考慮いたしまして、今一應愼重審議を重ねよう、こういうことに相成りまして、第一回の小委員会は終えたのでございます。從いまして第二回の委員会討議いたしまする問題は、可なり沢山な問題を持つておるわけなのでございますが、只今申上げましたそれらの問題なり、併せてこれは当委員会でも是非お取上げを願わなければならんと考えておるのでありますが、生活保護法國民最低生活を保障するということに相成りますと、否、公的扶助そのもの國民最低生活を公的に扶助するということに相成りますと、その國民最低生活とは何ぞやという具体的な線が明白に相成りませんと、不明確なものに相成ります。言うまでもなく國民最低生活ということは、啻に衣食のことのみではございません、医療もございまするし、教育もございまするし、或いは文化生活もございまするし、さまざまなものを含んでの生活でございまするから、最低医療とは何ぞや、最低生活とは何ぞや、最低教育費とは何ぞや、引括めまして國民最低生活線とは何ぞやということが確定をいたさなければならないわけでございますので、この点を審議会の方の小委員会の先ずこれに取組もうということに相成つた次第でございます。私はこの際当委員会におきましても是非賢明な御考慮を願いたいと存じますることは、公的扶助に関連いたしましたものはゐ言うまでもなく社会事業でございます。この社会事業が公営のものもございまするし、私営のものもあるのでございますが、これら公私の社会事業社会保障制度の促進並びに公的扶助制度在り方と関連いたしまして、今後我が國の社会事業というものが如何なる進路を取るべきかということが公的扶助問題の裏付けといたしまして当然惹起せられます問題でございます。この点は本委員会におきましてもすでに前國会におきまして手を着けて頂いている問題でございますが、併せて將來十分な御研究を得たいと考える次第でございます。以上大体のことを御報告いたしまして、且つ又御質疑がございますれば、お答えさせて頂くことにいたします。
  6. 中山壽彦

    中山壽彦君 私は社会保險委員会に属しており、又運営委員会にも属しておりますが、社会保險の小委員会は本月の十六日に開かれたのですが、丁度私地方に旅行中病氣にかかりまして欠席いたしましたのでこの書き物で御審査を願いたいと思います。昨日総会が開かれまして、今皆さんからの御報告のように社会保障制度審議会というものは非常に大きな使命を持つており、それに附随した何か事務局を考えなければならない。事務局の機構、内容をどういうふうにするかということが非常に問題になつたのであります。御承知通り現在行政整理が行われておりますので、新たにそういう事務局を設置するということは非常に困難である。又これに伴ないまする予算というものも取ることも至難であります。どういうふうにしたらいいか。本年度の予算は九十万円ばかり外ないのであります。九十万円といたしますと、今後委員会等も月に何回開くということになりますと、その委員会の費用だけでも九十万以上になるというような関係で、人を專属に雇うというようなことが非常に困難であります。いろいろ各委員の方から御意見も出たのでありますが、なかなかまとまりませんので、全体この運営委員会というものは主として各委員会で決まりました問題を対外的にどういうふうにするかということが主たる目的のように私共承つておつたのでありますが、昨日はまだ各委員会でもいろいろお決まりになつたところもありませんので、この事務局をどういう内容にして、どういうふうにして予算を取るかということを運営委員会に一任しよう、こういう結論総会はなりまして、運営委員会は午後二時間余りいろいろ協議したのでありますが、これ又なかなか御意見が決まりませんで非常にまとまりがつかない。結論といたしましては、私と副小委員長とに一任するから一つ早速に何か適当な案を決めて呉れ、又これに対する予算等についても十分折衝して貰いたいということになりまして、二十一日の午後一時から厚生省の方に集まりまして何か適当な案を考えるということに相成つたのであります。これだけが私からの御報告であります。
  7. 穗積眞六郎

    穗積眞六郎君 私は総合企画の小委員会の方に出席いたしたのでありますが、総合企画の小委員会調査も含むということになつております。二十三日の十時から小委員会があつたのでございますが、最初厚生省の方から二十三年度における実施した社会保障関係調査、二十四年度における社会保障制度企画調査についての説明がありまして、それから第一に問題になりましたのが、一体勧告案でもこの仕事は非常に大きな仕事だから、役所としても一つの省に権限を持たしてそこで総括して行くべきだ、それは厚生省がいいというようなことが書いてございますが、今の状態厚生省でいいのかどうか、もつと強力にするということを主張すべきではないかということが初めに問題になつたのでございますが、これに対してはお役所の方から今そういうことを直ぐ持ち出すというのはどうか、今の状態においてそういうことを主張するということがどんなものかというような意見もありました。又もう一つはまだそういうことはもつと研究してから持ち出すべき事項じやないかという意見もありまして、何もこれが案となつたというところまで行かないで済みました。ただそういう氣勢を見せて置く必要があるのじやないかという論も出ましたが、それも結論を得ませんでした。それに続いて先程御報告のあつた事務局の問題が出たのでございます。事務局という観念一つはこれだけの審議会をやつて行くにおいても小さくとも事務局が必要ではないか、それが審議会という性質から事務局は設けないということになつているのだが、これでは本当の仕事ができて行かないのではないかという観念から出た議論と、もう一つはやはり総合統一ということを主にしまして、非常に強力な事務局作つて、そこに非常なエキスパートを中心とした数の少いブレーン・トラストを入れてそこで立案すべきではないか、こういう事務局が必要ではないか、こういうような案が出たわけでありますが、それもどちらかといえばはつきりしないで、とにかく事務局が必要だ、こういうことだけ決まりまして、昨日の本委員会にその案を私の方の小委員会から出したのでございます。結局これは運営小委員会決むべ仕事だというので、運営の方に委讓したわけでございます。  それから第二に出ましたのがこの社会保障範囲決むべきではないかということが出たのでございますが、これもそうはつきりした結論には達しませんでした。今社会保障関係に使つている金がどのくらいあるかということが問題になりまして、生活保護法の金も含めて政府から出している金が二百五十億、こういうことであります。それでこの二百五十億の内容をちやんとはつきりさせて呉れということが一つ問題になつております。それから政府から出しているといつても厚生省以外に各省から出している社会保障範囲に入るような金並びに仕事というものについて、どういうふうになつているか、どのくらいな金を出しているだろうかということが問題になりましたが、出席各省の官憲もそれに対して明確な返事をするまでの準備がなかつたので、それもそのままになつたような次第でございます。それで結局問題となりまして翌日の委員会に出しました案といたしましては、この事務局を作るということ、これは先程申し上げましたように外の委員会委讓になりました。それからもう一つ各省支出経費調査する。これは先程お話ししたことと関連して出た案でございます。それからもう一つは、各方面亘つて実際の視察というものをする必要がある。これに対して先程お話しになりましたように非常に今経費の少いところであるから、予算との関係がどうなるかということを調べる、こういうようなことを出しましたので、非常にはつきりした結論というのは余り出ておりません。それから二十四日の本委員会が済みましてから一時間ばかり小委員会がありまして、それでは先程申上げましたように各省に行われておる社会保障関係事項亘つて実態を把握する、これをやろうじやないかということと、それから右関係事項に関する予算と書いてございますが、この二百五十億というのは、直接政府が出しておる金の二百五十億円の内容分析を作成すること、これだけのことを決めて、これを今度の小委員会までに政府の方もはつきりして來、こつちも檢討しようじやないかというようなことで終つたのであります。
  8. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 大体一應内閣社会保障制度審議会審議状況は、今御報告なつたようでありますから、これに関して何か御質問ありませんか。
  9. 中山壽彦

    中山壽彦君 この公的扶助という昨日もちよつとお話を聞いておつたのでございますが、山下君からの御報告を聞いておつたのでありますが、公的扶助範囲というのは非常に廣いものでありまして、まあそういうふうにこれがすべて行けばいろいろな問題が一遍に解決してしまう。併しながら今日の実情と睨み合せて見るとなかなかそういうことは当分むずかしいのじやないかと考えております。その点については何か委員会でいろいろ御意見交換があつたのですか。
  10. 山下義信

    山下義信君 若干意見交換もあつたのですけれども、これは一應の審議を進める上の前提として、委員会一つ調査審議をできるだけ積極的に持つて行こうという意図から一應のそういう考え方行つたのでありますが、私は個人的にはかように考えるのであります、それはいわゆる保險料を支拂い得る能力のある國民であれば、これは直ちに全國の各種保險に加入できるわけであります。併しながら保險料をかける力のない者、そういう組織に加わることのできる資格のない者、一つには非常に貧困者が多数である、或いは一つにはすべての組合から脱落しなければならんような状況の者が多数を占めておるというような情勢の場合においては、如何に立派な保險制度ができても、その保險に加入することができない者に対しては、これはやはり公的扶助制度会社会保障制度の完備をして行かなければならん面が或る段階においては相当多いのではあるまいか。つまり言葉を換えて言えば、日本のごとき非常な極貧な情勢國家社会において、先進國のごとき社会保障制度を適用するという場合においては、公的扶助の面に対しての緊急考慮というものを十分拂つて置かなければならないのではあるまいか。公的扶助制度で一應救い上げた者を、その網に掛かつた者をできるだけ保險制度の部常に移行をさせるということが、保障制度完全実施の上においての滑らかな道程ではあるまいか、こういうまあ考う方を一部の者は持つておるわけです。
  11. 中山壽彦

    中山壽彦君 昨日も全体の委員会空氣を黙つて聞いておりますと、千差万樣ですね、考え方が……。それではまだ全くの理想論を唱える人もあり、外國の例を引いてそうしてそういうふうにしたらどうかと言う人もありいたしますけれども、日本日本國情民度に適したものを我々は作つて提出しなければならん。だからして、外國の例も参照するのはいいでありましようが、ただ外國々々と言つてもいかんのじやないか。あなたのおつしやる日本民度に適した結論を我々は檢討して出さなければいかんと思つております。一應皆さん意見を廣く伺つて置くのも必要でありましよう。最後としては私は今申上げたような結論に進めたいと思つております。
  12. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に御質問ありませんか。それでは一應内閣社会保障制度審議会報告はこの程度に止めることにいたします。   —————————————
  13. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 次にお手許にお渡しして置きました社会保障制度調査資料第十三号の社会保障制度への勧告要旨、これはお目通し願つたかと思いますが……、それでは次の機会にでも又お読みなつておいて御質問がありましたならばそのときにいたしましよう。今日お配りいたしました十五号の、各國の家族手当、兒童手当の制度、これはその後事務局の方において調べて頂いたものでありますが、一應これについての説明を聞くことにいたしましようか。一應お読みなつた後にいたしましようか。
  14. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 その方がよいでしよう。本日配付して頂いたのは一應よく読むことにいたしまして、併しすでにこの調査員室の方におきましていろいろとこういうようなふうに研究したり、或いは調査したり、又は総合したりしたことがあるのでございますから、それに対して大体でよろしいうございますからして、一應総括したことをお話を願えればその方が却つてよかろうと思いますから、大体一つ話して頂きますか。
  15. 中山壽彦

    中山壽彦君 私この間北陸の方へ旅行しておりまして、金澤に参つたときの話にこういう……事実はそういうことがあるかどうか私も疑うのですが、そういうようなことをここでも一つ調査願つたらどうかと思います。その話は保險者が被保險者給與ベース労働基準局に届出る額と、保險料基準料になる給與ベースの額が違うということを私は聞いたのです。これは実際二重帳簿になるので、私はそういうことが事実できるか疑うのですが、若しそういうような事実がありとすれば、これは保險経済の上に非常に影響があることでございますから、そういうような事実の有無を一つここで御調査願つたらどうかと思います。困難かも知れませんけれども甚だ耳新らしいことを聞いたものですから、私はこの事実はないだろうとは思いますけれども、頻りにそういう声がありましたから、若しそういうことが事実ありとするならば、保險料の上に非常な影響がある。或いは保險者、利用の諸君がそういうことをやつておるのかも知れないという疑いを消すわれにもいかんし、なければ結構でありますが、若しこういう事実がありとするならば、こういうことは速かに是正して行かなければならんと思います。こういう問題は、いろいろ御調査のでき得ることは、一つ調査して頂きたい。私は政府当局に聽こうと思つたのですけれども、先ずこちらで一つ実相を調べて見たいというようなことがあるので申上げるのですが、如何でしようか。
  16. 山下義信

    山下義信君 では專門員報告を聽きましよう。
  17. 木村盛

    專門員木村盛君) それでは事務局概略調査案件に対しまする事務操作の点を述べる初めての機会を與えて頂きまして、大変有難く思います。一應簡單に概略を御報告さして頂きたいと思います。  本制度調査の件が國会におきまして議決されまして本委員会が直ちにその活動に入りましてから、御承知通り事務局が設置いたされまして、私共その一員といたしまして余程長く進めて参つたのでありますが、その個々の調査の問題につきましては、すでに十五号に及ぶのでございますが、各種資料を整えましてその都度々々各委員方に配付いたしますると同時に、既往において本委員でありました本院の議員の方々にもこれをお分ちしております。又衆議院の方面のそれぞれの方々もこれは相成るべく……予算の印刷実費が相当かかりますので、大部数はできませんけれども、でき得るだけさような調査をやつております。又一方調査局その他本院内におきます各種関係機関にもこれを出しておるのであります。又政府には厚生省及びそれらの関係方面に参考にこれを提示しております。そうしたやり方で、大体十五号まで今日資料ができたのであります。  資料を作ります大体のポイントは、すでにお定めになりました調査案件の項目に基きまして、先ず最初手取早い所から一應のアウト・ラインが分り得るようなものを作成いたしまして、それから個々の例を事例について、いわゆるすでに今日実施しておるところの各國の事例がどうであるか、こういう参考の各國の法令及び事例について、それぞれ資料等から抄訳いたしまして、拔萃いたしまして、印刷に付したのであります。更に今第五國会の終末を見まして、閉会中の継続委員会を設けて行きます議長への承認要求の案件の中には、この閉会中は主として社会福祉に関係する問題の調査と、それから現行社会保險制度の実施部面におきます各種調査、それから医療ですが、これの保險関係の、いわゆる社会保險関係の調整、この三点を要求の要項の中に入れまして、これの承認の要求をいたし、その承認を得ておりますような状況でありますので、でき得ればこの閉会中即ち八月までの間におきまして、そうした大体のポイントに基いた調査をいたして行きたい。かようなわけで、各部員が張り切つて今おるような次第であります。ただ不幸にいたしまして、この関係資料は、各省まちまちでございますのと、又資料がなかなか入手困難でございます。從つて足を運んで参りましても、結局そのままで資料の元になるものがない。そこで各省間に亘つております社会問題でありますので、各省の持つておりますだけの資料と、且つ又その当局の考えております方策の大体のポイントを掴んで参りまして、それでは次年度はこのように來るであろうなあと見通しをつけまして、そこでポイントをこちらが発見をして、それに基いて必要な資料を集めると、このような実は誠に手数のかかる調査やつておるのであります。從つておるのであります。從つて勿論机の上の調査という嫌いでございますが、まだまだそれ以外には得られない状況なつておるのであります。  もう一つここに申上げたいのは、社会保障制度への勧告というGHQ使節團の厖大な勧告、これ又御承知のように非常に厖大でございますので、これへのいわば内容の掴み方、これらにつきましても、先程來内閣審議会等におきましても論議がありますようなわけで、私共といたしましても、一應相対立した理論をそこに考え合せまして、両面からこれについて行くために更に又これを日にちを変えては又読み返し、日にちを変えては又読み返しするようなことを実はやつておるようなわけでございます。なかんずくこの夏中に是非やつて参りたいと思つておりまする事柄の一つは、先程山下委員お話にもちよつと触れておりますので、いわゆるリビング・コストの問題、最低生活の基準を、日本の現在の國情乃至民情から推してどの程度の水準に、いわゆる熟語でいうボーダー・ラインを引いてよいか、こういう問題を基準といたしましての関係事態の調査でございます。これ又書いた物は一つもございませんので、でき得るならばこれは足を以て調査をするより外にあるまいか、かように実は思つておるのでありますが、それには若干予算操作もございまするし、又事務当局といたしましてもいろいろな事務上の操作も考えなければなりませんですから、でき得る限りそういうような氣構えで進んで参りたいと実は念願しておるようなわけでございます。  もう一つの問題は、すでに或る程度のこれは調査ができまして、実は本日御会合に印刷を間に合わしたいと思いましたが、間に合いませんで残念で申訳ないと思つております。ドクター・シヤウプが來ております。御承知の税制改革に関しまするアメリカの使節團でございます。これが各地を廻りまして、税制改革に関する事態の実地調査を文字通りこれは足で調査をしております。而も実に鋭敏な、而も円滑な態度を以て誠に見事な調査振りを我々に示しておりますから、これらに関係いたしまして、社会福祉関係で税金が課せられている問題が多々あるのであります。これも御承知通り請願が毎回の國会に出ておりまするので、これらに関連いたしましてドクター・シヤウプが今後日本政府に対する勧告案を作りまする場合に、現実の社会事業におきまする課税負担、これをできるならば軽減して頂きたい。これらの問題につきましての実態調査を実は今進めているのであります。申訳ないことに本日印刷が間に合いませんのですが、次回までにはお手許に配付申しますと同時に、この問題にひとり單に調査の問題だけに止まらずして、本委員会といたされまして又一應お考えを頂きたい問題であるかのようにも考えます。民間からはそのドクター・シヤウプに宛てまして陳情等が続々あるように仄聞しておりますが、そういう面が一つございます。  もう一つは先刻中山先生からもお話がございましたように、社会保險の現物給付ど、それに伴いまする諸般のトラブルがございます。これは地方財政の問題でもございまするし、又民間の健康保險等でありまするが、民間の産業形態が相当動揺中でございまするし、而もこの下半期の我々の見通しておりまする社会問題の実質は、相当深刻な道を進んで行くもののごとく專門員室は見ております。そういう関係から、やがて起るべきであろうところの社会事象乃至事態に対しまして、一應の見通しをつけた意味での調査の要点があるように思われます。それらの対しまする各般の……欲が深いのでありますが、調査もしたいと思つております。尚各委員方からのお計りによりまして、内閣審議会の方には本会議及び各種委員会等にも列席することを許されるようにお計りがありまして、私共も傍聽させて頂いております。四つか五つに分れております小委員会がありますが、おのおの部員が手分をいたしまして、小委員会にも洩らさず出席いたしまして、それらの御論議の要点等を拜聽する、こういうふうにしております。そんなようなことを段々続けておりまするので、尚本日差上げました家族手当等に関しまする問題も、先般差上げてございまする資料と相伴つたものの一つとしまして、これらの内容はいずれ御覧頂きたいと存じますが、問題は極く簡單に申上げまするが、この問題は現在日本でやつておりまする家族手当の問題、これが將來社会保障法に関しまして、どういうような関係を持つべきであるか。若しいけなければこれは廃止せねばならないし、廃止するならば、先程お話のありましたような最低生活費の保障問題とどういう関連を持つべきものであるか、一應理論的に檢討いたしますと同時に、各國の既往におきまする事例を例証いたしながら、それらの議論をここで結論的に発見したい、こういうふうな観念から調査に掛かつたようなわけであります。  結論を簡單に申上げまするというと、この問題はいわゆる社会保計の問題は現在の日本の、極端な貧乏な日本の民衆の生活を保障するという單なる分配政策的な意味合のものではあつてはならない。社会保障というものはそうじやなくて、むしろよりよき日本建設への是非不可欠な基盤としての制度であるという結論に到達した一つのこれは例であります。即ち社会保障をすること、生活保障をすることそれ自体が日本の再建に重大なる影響を持つものであるという結論に到達いたしました一つのこれは例でございます。一應簡單でございますが申上げました。
  18. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 私はこの委員会に対しまして希望といつたようなものをちよつと申さして貰いたいと思います。  一つは今お話のありましたように、この委員会としての独自の調査でありますが、もう一つの問題は、内閣における社会保障制度審議会との関連の問題なんであります。申すまでもなくかねて皆さんの御意見通りに、この委員会は仮に簡單に内閣審議会と申しましようか、それに対する後手を打つのじやなくして、とにかく先手を打つて行かなければならないのである。相即應することよりも、我々の方が先行し、先導するといつた積極さを持たなければならない。でなからねば、折角作つた價値がない。そこで先程内閣の審議会における小委員会のこれまでの経過の御報告がありましたが、そのうちで考えましても、すでに相当問題となる点があるのであります、その重要な点を先ず取上げて先手を打つてここで研究して、できるならば或る種の権威のある結論を以て、そうして向うの審議会に臨んで行くような態度を我々は持つべきではないか。例えばさつきのお話のありました審議会事務局をどうするかというようなことでもすでに若干我々は先手を打つて研究ができる、或いはその外さつき計画を述べられましたうちに重要な点が数々あるのでありますが、そういう点を取上げて、今申しましたように先ず以てこちらで一つ結論的なものを以て、向うをリードするまでの氣魄を以て進んで行きたい。從いましてそういうための問題も捉えて予め御研究して頂きたい、かように思うのであります。
  19. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 外に御意見ございませんか。
  20. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 私も今の姫井委員お話、又内閣審議会のいろいろ御報告を承つて、前々からそう考えておつたのでありますが、もともと厚生常任委員会社会保障制度を作るときにも私その点を強調しておつたのでありますが、大体今まで社会保障制度の問題についての常任委員会在り方、やつて來たやり方ということについて、從來から資料或いは説明を聽くというのでずつと参つておりまするが、幸いに各分科に分れ、それぞれ分科の或いは主任なりそれぞれの方法もお取りになつておる筈だと思うのですが、何かもう少し積極性のあるような常任委員会社会保障調査というものに進めて行かないと、余り意義がないようなものになる。こういう点についてはもつと何か具体的な方法を取つて行くべきものではないか。そういうふうに強く感じておりますが、如何なものでしようか。
  21. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 ちよつと私も補足いたしますが、これも御承知通りなんですけれども、内閣審議会の各小委員会に分れますときにも我々その点を考慮して、かねて我々のこの調査会の持つておりまする分科と相即應せしむるようにやつたわけなんで、幸いにそういうふうになつておりますから、非常に專攻的調査も元易いのではないか。ただ向うの報告だけここでするというようなことは誠に意義がないことだと思います。
  22. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 只今草葉さんその他からお話がありましたが、私も折角分科会ができても事務局のものを聽くだけなら分科会なんか作つても何にもならん。分科会を主体としてどういうふうにやられるか、委員長のお考えはどこにあるか。どういうふうな活動をさすか、こういう点でやつて行かんと、分科会がどういうふうに動く、分科会もどういうふうにやつていいかという考え、この点を一つ明確に……。
  23. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 段々皆さんから有益な御意見を承わりまして有難うございます殊に社会保障制度審議会に出られました各委員さん方がそれぞれ熱心にこれを関與せられまして審議を進めて頂いて、その審議の進め方につきましても我々の調査と相俟ちまして非常にこれを有効に進めて頂いておりますことにも感謝を持つているわけであります。勿論今お話にありましたように、我々独自な調査もやりますが、そうしてその調査の結果といたしまして、世界各國の事例なども我々が知り、我々としての理想案を頭の中にお互いが画きながら、而も中山委員お話しのように、現実に可能な案をできるだけ早くまとめられて行くという方向に努力して行かなければならんと私も考えているわけであります。それから最後に竹中委員から御指摘の点は、委員会に入ります前に皆さんお話しして置いたのですが、ここまでは大体大まかに専門員室の方で関係事項をそれぞれ調査を願つて置いたわけでありますから、ここまで來た今後におきましては、各小委員会運営方針を定めて頂きまして、それぞれの指示によつて今後は調査を進めて行きたい。そうしてその上に企画の方も、いわゆる現実可能な案をできるだけ早くまとめ上げて行くような方に皆さんも御協力を願い、御相談もまとめて行きたい、かように実は考えておつたわけであります。これから先は小委員会の方でも内閣審議会の歩みと歩調を合せながら、そうして又内閣審議会の方をできるだけ能率的に進めて頂くために各委員さんにお諮り願うことのためにも、我々の調査というものは引立ち得るというようなふうに協調を保ちながら、そうして最終の我々の目的を達成するよう進めて行きたいと考えておるわけであります。最後には一番最初に申上げておつたように、今後の小委員会運営をそれぞれ内閣の方と歩調を合せてやつて行きたい。これがためにはこれからはもつと具体的にこういう調査をする、中山さんから一つ指摘して頂いたのですが、そういうような問題もそれぞれ出して頂いて、そうして急を要するものから取組んで行きたい、かように考えておるわけであります。
  24. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 私はこの内閣審議会の方は、これはこちらとは別ですから、内閣審議会方向によつて大いに進んで行く、この役割を厚生常事委員会最初の大体の方針のようにして進みながら……実は現在までの行き方を考えておりますと、むしろただ資料を配つて貰うものだけのものじやないかというような氣を深くするわけであります。それよりももつと各分科主任というような人達の活動なり、或いはいろいろ法規関係もありましようが、調査なり或いは小委員会というものを活発にやりながら、そこで又内閣審議会と違つた意味でも構わないから、参議院の厚生常任委員としての社会保障制度をこの小委員会でもつと突込んで活発にやるというような運営の仕方を一つとつて頂くということが必要じやないかと思います。
  25. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 今日の最終の案をそこで練つて頂きたい、かように考えております。如何でしよう、これから一つ委員会運営の方針、各四つの小委員会運営の方針を一つそれぞれお話合いを願いましよう。
  26. 山下義信

    山下義信君 私は草葉君の意見に全然同感があります。それは言うまでもなく我々の持つておる社会保障制度目的と内閣審議会とは全然別個です。ですから内閣審議会というものは、どういうテンポで進もうと、どういう審議の仕方をしようと、これはもう我々は非常に参考になり、又それを或る程度までは中に入つている委員が適当に活動なり操作をすることはいいのでありますけれども、我々の社会保障制度調査会というのは、社会保障制度の勉強をするのである、調査に終つてしまうべきものじや決してない、むしろこれが我々の必要な場合調査資料を提出して行くのが元來本当なので、これは学校の生徒が勉強するというようなことが本旨でないことは無論であります。これは言葉を換えて言えば、我々は政治をやるのですから、社会保障制度に一歩でも近付くような政治の手を打つのが厚生委員会の我々の仕事だと思います。言葉を換えて言いますと、我々が社会保障制度に取組む態度に政治性が百%なくちやならん、こういう草葉君の本旨であろうと思うのであります。そういう意味に厚生委員会が動き得るような調査会をとつて行きたいという意見に対しては、全面的に賛成するものであります。どうかそういう観点から今後厚生常任委員会としての社会保障制度調査会の在り方というものについては、基盤をそこに置いて、從つて厚生委員会そのものの動き方も政治に直結する動き方、立法という立場においての政治に直結する動き方というものが第一義でどうしてもなくちやならんと思うのであります。その点草葉委員の御意見には私全く全面的に賛成ですということを申上げて置きます。
  27. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) 私共も全くそれは同感ですが、從いましてそういうような方針で各小委員会とも今後それぞれ進めて行きたいと考えます。どうでしよう小委員会ごとに会合を持つて決めますか。そうしなくても、大体ここでこの小委員会はこういうふうにやつて行こうじやないか、又この小委員会はこういうようにやつて行こうじやないかということをここで一つ御相談願いましようか。
  28. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 結構です。
  29. 中山壽彦

    中山壽彦君 速記を止めて一つ……。
  30. 山下義信

    山下義信君 速記をこの程度に願いましよう。
  31. 塚本重藏

    委員長塚本重藏君) それでは速記を止めまして御懇談を願うことにいたします。本日はこの程度にて散会いたします。    午前十一時四十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚本 重藏君    理事            今泉 政喜君            谷口弥三郎君            姫井 伊介君    委員            山下 義信君            草葉 隆圓君            黒川 武雄君            中山 壽彦君            紅露 みつ君            竹中 七郎君            穗積眞六郎君    常任委員会專門    員       木村  盛君