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1949-07-12 第5回国会 参議院 建設委員打合会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年七月十二日(火曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設事業一般並びに國土その他諸計  画に関する調査の件(デラ台風の被  害調査の件)   —————————————
  2. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) それではこれから参議院建設委員打合会を開会いたします。長く本会を休んでおりましたが、経続審査のこともございますし、そこへ持つて行つて最近台風襲來等がありまして、南九州辺りで非常な災害もあつた次第であります。つきましては災害報告建設当局から伺う前に、全國的に襲來して來ておる台風概況等について氣象台の方の御説明を、求むることにいたしまして、本日は中央氣象台長がお出下さつて説明を伺うことになつた次第であります。それではよろしくお思いいたします。
  3. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 先般のデラ台風につきまして御説明を申上げます。ここにお手元にデラ台風概況という刷り物を差上げました。これを読んで頂きますと、大体分ると思いますが、簡單にこれについて御説明申上げます。  デラ台風はこの概況の眞中頃に第一図というのがございますが、それを御覽になりますと、この進路が書いでございます。つまり六月の十五日頃からその存在が分りまして、そうしてだんだんにフイリピン、台湾の方面に参りまして、それで石垣島近所に参りましたのが二十日の三時とここに出ておりますが、もう非常な早い速度九州の方へ参りましたので、二十日の夜遅くにはすでに九州に上陸しておるのであります。で台風に対しましてどのくらいの風、雨が観測されたかと申しますと、それはこの四枚目のところに表がありまして、デラ台風の風と雨、或いはその氣圧その他の観測の表がございます。これを御覽下さいますと、風はどこでは最大風速が何時頃どのくらい吹いたか、例えば鹿兒島をとりますと、最大風速は北東の二十四メートル四、その時間は二十一日いつということになつて、御承知のように風は時間の平均でありますから瞬間としての最大風速は三十一メートル三、こういうような数で出ております。これは陸上の測候所観測でありますから、附近海上ではもつと強い風が吹いておつてと想像されます。尚このときに降りました雨の量は次の第三表にございます。これを見ましてこの台風の通過前後に降りました雨の総量が一番右の合計に來ております。例えば鹿兒島田三百十九ミリ、宮崎は三百八十七ミリというような相当大きな数字が出ております。この台風に対しまして、氣象台はどういうふうな措置をとつたか、つまり氣象台はこういう台風が來ますと、先ず特報を出し、その注意を喚起し、場合によつては直ぐ警報を出すこともありますが、台風が近付くに從つて警報を発し、非常な災害が予想されることを一般に告げて、その警戒、又注意を喚起することになつておりますが、その特報警報の出し方はこの第四表に出ております。こういうふうに出したのであります。で我々としまして台風は一番大切なことでありますから、全力を挙げて努力いたしたのでありますが、今回の台風は御承知のように非常に季節外れでございましたし、又非常な速度でやつて参りまして、又一番大きな原因は、近來中國、満洲の資料というものは、中共軍のある動乱のために殆んど入りませんというような状況がありまして、この進路についても適確を少し欠きました。又警報の出し方が御覽になつてお分りになる通り、もう少し早く出しておれば災害をもう少し防げたのじやないかという点は非常に遺憾に思いまして、今後努力したいと思つておる次第であります。  この警報等はどういうような方法によつて出すかと申しますと、ここにも書いてありますように、一番周知させるのによい方法は、日本附近におきましてはラジオ放送によるものであります。でこの放送台風時になりますと、普通の氣象通報の外に臨時の放送を沢山いたしますが、今回の経驗によりますと、もう少し頻繁にこれを発表した方がよかつたと思つております。尚新聞によるものは、これは印刷の都合上遅れますから、こういう問題には余り効果がないのでありますが、又電話や電報によるものは、特定場所に限られておるので、できるだけいたしておりますが、これは特定新聞社官廳、特別な会社などに限られております。最も重要なのは海上船舶に対する警報でありますが、これは中央氣象台から氣象通報があります。その中に台風警報が入つております。その外にも海岸無線局から漁船或いは船舶に対して通報を出しております。で六頁を御覽頂きますと、中央氣象台以外の地方官署氣象役所から出しましたところの特報とか、警報の時間が出ております。それを御覽になりますと、特報台風が夜中にやつて來ると、その日の朝或いは夕方出ております。警報はその日の夜には大体出ております。例えば大分のごときは警報をその日の十一時に出しております。これを御覽頂きますと、実際はその日の晝間に警報が出ておるので理想でありますが、今度の台風は非常に速度が早かつたので、もう少し早く出さなければいけないということは、これを御覽になると分ると思います。もう一つ今度の台風について、警報予報警報特報を、出す側からも、亦船の方の側から言いましても、この季節が非常に早かつたのと、瀬戸内海というものが外海に比べますと、いろいろ風などもそれ程吹かない所であるものですから、そういうようなことから、この青葉丸瀬戸内海で以てこの事故、つまり沈沒するというようなことになつたのは、もつと注意を喚起しなければならんという点において、我々も大いに反省すべく、又一般にも台風というものが、非常に恐ろしいものであるということ、又船舶というものが、台風というものに非常に氣をつけなければならないということが、ここに現われておると思います。ここに台風警戒を、どういうふうに出したかということが表に出ておりまして、もうここにありますところの図は、台風の近寄つて來たときの天氣図、その他であります。大体デラ台風報告はこれだけでありますが、ここにもう一つ参考にお附けしました気象通報組織説明図というのが、縱綴じのものがございます。序ででありまするから、これを見て頂きたいと思います。第一頁にありますのは、現在の氣象のことを行なつておりまする官署は、ここに書きました官署の一覽図よりも少し多いのでありますが、今回の整理によりまして、今後新らしく出発すべき氣象官署の数は、これだけに予定しておるのです。その全國の氣象官署分布図が、ここにあります。  それからその次にはこの氣象官署観測をし、いろいろの通報を行う、この通信系統でありますが、これが有線で、專用有線というのを氣象台が持つておりまして、專用料を拂つて專ら氣象通信に使つておる電信の系統であります。これだけを氣象台は專用線として持ちまして、これを氣象通報に十分に活用しております。併しこの有線というものは災害が來ますと、ときどき故障を起します。一番大事なときによく通信が杜絶いたしますので、この理想としましては、有線系統と、無線通信とを両方持つことでありますが、次の表には無線通信系統氣象に使うところの無線通信系統が示してある。これは各観測所は、すべて無線でやるということは到底できませんので、重要な箇所、そこへ集つた情報無線で、いよいよという場合に送る。或いは、遠い島、その他で有線のできないところに、毎日の無線通信をする。或いは山の頂上のような所にあるというような、無線氣象專用通信系統を掲げてあります。  その次の第四図には、これは如何にして氣象観測電報又は通信無線によつて氣象の中枢の役所に送られ、そこで整理され、警報とか特報とか予報とかというようなものがどういうふうな径路を取つて発せられ、それが利用者、必要な官署というような所にどういうふうに送られるかという系統図であります。地方からこの送つて來たものを中央氣象台とか、或いは海洋氣象台管区氣象台もそういう役目をしますが、そこでいろいろに整理或いは判断を下し、それを又地方へ流す地方は又地方の末端の利用者の所に……その方法は先程言いましたラジオとか、それから漁業無線とか海岸無線、或いは氣象放送とかいうようなものを通じて行うのであります。  その次の第五図は、船舶漁船に特にどういうような通報を出しておるかというのであります。前にも含まれておるのでありますが、特に船舶は重要でありますからここに出しております。この船舶の方は船舶観測も、非常に海の氣象は重要でありますから、船舶から氣象の材料が來る。又それを整理して船舶の方へ送る。氣象の実況、予報警報特報船舶の方へ送るという系統図であります。  それから第六図は、これは最近水防法も制定されまして、この洪水予防組織というのができ上りました。それを如何にして行なつておるか。中央氣象台分担業務建設省建設局分担業務、それがどういうふうに、又利用者、必要な所に送られるかということを示しております。それにここに挙げましたのは、利根川洪水予報の一例を挙げておりますが、その外に現在洪水予報を実施しておる河川は、下に四角に書いてある中に書いてある川、利根川の外に、北上川、最上川、淀川、それから予定されておるところは、石狩川、信濃川、木曾川、吉野川、太田川、尚重要河川については目下計画されておるところがこの外にもあります。  その次は、これは利根川洪水予報組織で、雨量観測をしたり、水位の観測をして、通報を送るところの観測所の配置、如何なる通信系統によつてこれを送るかというようなことが示されております。大体御説明を終ります。
  4. 赤木正雄

    赤木正雄君 ちよつとお伺いしますが、第二図ですね。この山型ですね。これは多分風方向と思いますが……
  5. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この線の山型、これは不連続線、よく出ておりますね。
  6. 赤木正雄

    赤木正雄君 それに丸いのと山とありますが、これはどういう違いになつておりますか。
  7. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 丸いのは温暖前線言つて、温かいのが進んで來る。尖つておるのは寒冷前線で冷たい空氣が入り込む。
  8. 赤木正雄

    赤木正雄君 それからもう一つお伺いしたいが、今度整理される結果、ここにお示しになつておる測候場所ですな。これは今度の整理の結果……
  9. 和達清夫

    説明員和達清夫君) そうです。
  10. 赤木正雄

    赤木正雄君 残る場所でしよう。これ以上に幾らつたのですか、整理前には……
  11. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 二回整理しましたが、本年に整理した分はこの上ではまあはつきりしません。よく調べておりません。十ケ所程度じやなかつたかと思いますが……
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 整理のために特にこういう通報なんかに支障を來たすというようなことはありませんか。
  13. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 氣象観測は多ければ多いだけ結構でありますから、例えば劔山というのが四國にありますね、そういうようなところなど今度の台風にも非常に役に立つたのでありますけれども、山は非常に費用が掛かるものですから、いたし方なく今度やめる方に入つております。
  14. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一つ、三図の降水量ですが、これは無論あなたの方で、この他に建設省の方の人もおられるでありましようが……
  15. 和達清夫

    説明員和達清夫君) ここに書いてあるのは測候所の定員があつて、それによる観測ですが、この他に委託による小さい観測所が千五百ほどあります。そこから適当に調べて貰うということによつて雨量を計るのです。
  16. 赤木正雄

    赤木正雄君 千五百の観測所地磁氣測定ですか。
  17. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 一日一回役場、学校などに委託して観測させておりますが、その主な目的は氣候ですね、長年の統計をとるためにやつておるのでありますが、非常災害の場合には今まで余り役に立たなかつた、段々そういうことに役に立てるようにしたいと思います。それですから洪水予報の方はそういうものを活用してやるように段々なつております。
  18. 赤木正雄

    赤木正雄君 降雨量の問題で、やはり地磁氣観測にならないと本当のものが分らないのですが、我々が河川改修をする場合に、それに対して今後そういう地磁氣観測の方に持つて行かれる予定なんですか。
  19. 和達清夫

    説明員和達清夫君) それはもう地磁氣に優るものはないのですから、許せば全部でも変えたいのです。
  20. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういう方向に或いは予算措置でもしておられるのですか。
  21. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 今のところ主要なところは地磁氣に変える、全國を変えようという計画はしておりません。
  22. 赤木正雄

    赤木正雄君 重要なところは地磁氣にというお話でありますが、そういう場所は沢山あるでしようか。
  23. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 沢山あります。
  24. 赤木正雄

    赤木正雄君 現状は……
  25. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 現状利根川が……、今年は百五万円地磁氣観測雨量計のために予算をとりました。
  26. 赤木正雄

    赤木正雄君 利根川のような大きな河川に対して地磁氣観測所は一体幾つあるのですか。
  27. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 序で利根川と同じように氣象……
  28. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 氣象関係で八ケ所、建設省関係が十ケ所、尚これには測候所が入つておりません。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 地磁氣観測所は大体どういう場所なんですか、私の希望するのは山の上の非常に不便な所ですね、そういう所に特に置いて欲しいのですがね。
  30. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 或る区域を代表する地点に置いて全降雨量が分るようにするのが目的です。そういうように考えて谷とか山とか代表な所をやるようにしております。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 委託観測ですね。これは役場あたりにも委託しておられるが、実際持つていても知らん顔しておりますね。
  32. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 昔は、戰爭中はあつたかも知れませんが、この頃はないと思います。
  33. 赤木正雄

    赤木正雄君 こないだからの台風梅雨季節としては珍らしいものかも知れませんが、梅雨季節にああいう台風が今まで起つておりますか。
  34. 和達清夫

    説明員和達清夫君) ここに出ておりますが、今年のようなものに非常に似ておるものがないことはありません。六月に台風相当つたの明治四十四年です。六頁の「台風上陸地域別回数図」を見れば分りますが、六月にも相当つておるようであります。五十年間を通じて何月に何回ぐらい上陸したということが出ております。無論八月、九月に一番上陸しておりますが、六月にも少しは上陸しております。
  35. 赤木正雄

    赤木正雄君 昭和十三年の神戸地方の大水害は七月の初めでしたね。
  36. 和達清夫

    説明員和達清夫君) そうですね。
  37. 赤木正雄

    赤木正雄君 大体今度の梅雨と似ておりますね。梅雨の頃の台風は主にどういう方向に行くものでしようか。
  38. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 台風がどういう道を通るかと言いますと、六月頃台湾から中國に入るのが普通です。それで大体東支那海の南を通り、七月頃段段右の方に寄つて來て、九月頃日本の本土を通り、十月頃南を通ります。
  39. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういう資料があつたら頂戴したい。  それから昨年と一昨年の関東地方台風というのは余りないように思つておりますが、それも……
  40. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 多い年は同じような所を何度も通りますが、これは全体の氣圧配置によつてそうなるのでありますから、当然そういう年がそういう氣圧配置になるということは分りますが、それがもつと前から分るとか、どういうところに根源があるかということはまだ研究しておりません。大体その年の氣圧配置というのは前にも少し見当がつくのです。それはつまり南の氣流が強いか、北が強いかということで、南が強ければ台風北の方を通る。そうするとその年は暑いのです。又北の方が強ければ台風は押されて來て、その年は涼しくて稻も余りよくないというようなことは前からも少しは想像もついて、我々も長期予報を出しておりますけれども、目下研究中という方が当つているかも知れません。
  41. 赤木正雄

    赤木正雄君 長期予報を出したおりますが、それに関連して本年は或いは台風が來るとか何とかいうことは今から分りませんか。
  42. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 多いとか少いとか、どこを主に通るかということは……
  43. 赤木正雄

    赤木正雄君 本年はどこですか。
  44. 和達清夫

    説明員和達清夫君) ちよつと忘れましたが。
  45. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 先程中國からの氣象通報は十分円滑に行かんという話があつたのですが、台湾とか沖縄の方は以前と変らず行つておりますか。
  46. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 沖縄それから宮古島、石垣島はまあ向う軍政部に属しておりますけれども、観測はこちらの方から人を送つて、前の観測所でやつておりますから、これは日本組織だけは入つて台湾南支は未だ続けておりますから、放送も入つております。ないのは中支、北支それから北の朝鮮と満洲、これが全くブランクになつております。これが御承知のように非常に日本の國にとつては痛手であります。その点は國際氣象会議にも、我々は手紙を出しまして、その斡旋方を依頼いたしました。
  47. 赤木正雄

    赤木正雄君 今度の台風でこういう概況の書類は今後も一つお願いします、非常に結構と思いますから。
  48. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) デラ台風被害相当なものだと思うのですが、これを例えば昭和十三年の神戸、或いは関東、或いは鹿兒島鹿兒島は十月の十五日だつたと思いますが……。それから十六年の災害、十八年、二十年、それから昨年の災害等と比べて見ますと、災害程度は段々ひどくなつて來ているようでありますが、今度のはそう大した台風ではないと思います。一体これまでの明治四十三年以後で氣圧なり或いは降水量関係で、どのくらいの程度に属するのですか。何かそういう比較がありますか。災害程度は又これは別だと思います。
  49. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 「氣象事業とは」の三頁に氣象災害表というのが出ておりますが、それに人的、或いはいろいろな農業とか施設とか、この数字は我々の調べたもので、もつと詳しく調べれば多少違うかと思います。或る目安はつくと思います。
  50. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) この三頁の表はまだよく読んでおりませんが、その台風風力なり、或いは出水量降雨量というものは、その程度比較はありますか。
  51. 和達清夫

    説明員和達清夫君) これは表を持つて來ればございますが、こういう氣象の永年の変化というものは確かにあるのでございますが、そう違つて……明治時代大正時代昭和時代と比べてどのくらい違うかということは、それはそう違うものではない。ただ強い台風が吹き出して、それが数年続くということはあると思いますが、永い年月を見れば一方にどんどん強くなつているということは余り見えないのであります。
  52. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 素人ですからおかしいでしようが、台風というのは一体どの程度氣圧を言うのですか。或いは降水は……
  53. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 前は熱帶の方でできて北の方へ來る熱帶性低氣圧というものを台風日本で呼んでおりました。アメリカの方と一緒に仕事をするようになりましてから、熱帶性低氣圧という言葉台風という言葉を分けて、風が毎秒二十九メートル以上吹くような強いものを台風と言い、それにならないときは熱帶性低氣圧の言うのであります。二十九メートル以上を台風と言います。中心附近の風が……。非常に強い熱帶性低氣圧台風と定義しております。
  54. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 例えば私森林関係にいろいろな関係を持つておりますが、それにはいろいろの風の程度を分けております。氣象台の方ではそんなふうな取扱いはないのですか。
  55. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 風力階級ですか。それはラジオでも風力一とか風力二とか、風力を主に使つております。船でも風力を使つておりますから、一般には風力が用いられているのであります。
  56. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) そうするとつまり氣圧関係の表みたいなものがありますか。
  57. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 場所によつて違いますが、大体どこで氣圧程度とか氣圧の風向きが幾らだと、その場所ではどのくらいの風が吹くということは、場所によつて決まつております。併しそれは風の向きで皆違います。
  58. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 如何ですか、気象台長に対する質疑は……。よろしうございますか。それじや御苦労樣でした。  次れでは次に建設省河川局長より最近の災害についての御説明を承わることにしたいと思います。
  59. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 和達さんから今お話になりました通りに、二十日、二十一日、デラ台風通つたのでありますが、我々の方から見ますと、結局我々の方は台風雨量によつて破壞されるものが多い、降雨量によつて破壞されるものが多いのですが、その前に十八、十九、そのときに相当雨が降つているのです。その原因はやはり不連続線によつてつた雨と我々は推定しているのですが、その雨では台風進路関係なしに、九州からずつと本州、愛知、靜岡辺まで不連続線があつたものでありますから、その関係相当その附近に雨を降らしております。それから二十日、二十一日の台風によつて中心附近がやられた。更にその後破壞された後に又更に二十八日に相当降雨があつた。それから場所によりますと、更に二日かと五日あたりも雨が降つたということで災害が激増して参つたのであります。先程お話がありました通り、今度の台風は大雜把に考えてどんな被害程度かというお話がありましたが、大体二十年度にあそこに起つた災害、これは相当大きななんでありましたが、それよりはちよつと今度の台風被害が少いのじやないかと、こう見ております。ところが降雨量なんかは、比較すると少いのでありますが、大体は似ておりますが、金の比較土木被害比較して見ますと、大体その時から物價水準等で換算して考えて見ましても、大体その時よりも今年度の今の報告によりまして相当多い、こういうことが言われる。それから今度の被害状況を見ますと、河川の改修しました大河川では氾濫しておりません。中流上流河川が氾濫しておる、これは上流から土砂が崩壞し、そのために土砂流となつてつてそういう所を荒したということが今度の特徴であります。殊に宮崎とか鹿兒島至つては土質の關係もありますが、相当山崩れが多かつた。自分のことを言つてはおかしいのですが、砂防工事相当やらなければいかんという氣持が起つたのであります。現に今度の災害箇所でも砂防工事をやつた箇所災害を救われておつて隣接した所の他の河川がやられておる、こういうことが随所に現れておる、土砂を抑えれば今度の災害相当軽減された、こう考えております。お手許に差上げた表は一應各縣から出て來た被害をそのまま集計したのでありまして、これはそのまま鵜呑みにすることがよいかどうかということは相当疑問がありますが、一應の被害百二十四億となつております。感じから申上げますと、相当これは掛値をしておるというふうに考えられる節があるのであります。それから又各縣とも直ちに上京をして被害状況報告するのに多忙でありまして、これらに対する被害の実体を握る所間的余裕が少いのじやないか、或いは今後調査の進展につれてこれは相当修正されるものであろう、こう考えております。それからこれに対してどういう手を打つたかと思すますと、何と申しましても今の時期は來るべき台風出水の九月に対して非常な危險なときでありまして、どうしてもやはり應急的にこれが措置を講じければならんのであります。事務的に申上げますと、この報告そのもの鵜呑みにしないで、現地を実際に調査しますれば、一ケ月そこらかかる、そうしてその後に予算措置を講じますと、どうしても九月の出水までには工事ができないという心配があつたのでありましたが、これも應急的非常手段でありますが、十億を一應短期融資をする、更に調査上次の十億を公共事業費から補助をする、こういうことに決定されるに至つたのであります。被害の非常に多い鹿兒島宮崎その他の府縣にもこの十億を一應配当したのであります。若し各縣の細かい災害の実情は防災課長が丁度向う行つておりますから、詳細は防災課長から附加えて申上げたいと思います。
  60. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 全部調査未了報告したそのままですか、
  61. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) そのままです。これから出掛けて行くのです。
  62. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 岡山の所と廣島の所にこのようなしるしがありますが、廣島の方の欄が岡山に行くのですか。
  63. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) そうです、これはこの表に載つておりますのは、デラ台風以前にいろいろ災害がありましたのを、その上欄に挙げてあるのであります、四月以降の……
  64. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 上段の分だけですか。
  65. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) そうです。
  66. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) この表で愛媛縣のデラ台風数字ちよつとはつきりしない。六九六ですか。
  67. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 二九六です。
  68. 赤木正雄

    赤木正雄君 最近は降雨量が以前のように多くなくても災害が非常に起つておることが多いのでありますが、これは今お忙がしいでしようけれども、余裕のできた時に、從來の降雨量、に対する被害率との比較、但し指数を同じ指数にして、一つ……
  69. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 今作つております。  それからこういうことが被害を大きくするゆえんになると思うのですが、日本は人口が多くなつて來まして、非常に狹い土地にまで入り込んでおるのですが、そのために土地を非常に大事にするということは事実なんです。今までならば多少の被害がありましても、相当地元の人は騒がなかつたのですが、今はそういういろいろの状態から、ちよつて起きましても、災害を復旧しなければならんということになつてつたので、被害が多くなつた、こういう事実も見逃せないと思う。今までならば山間部あたりの土地ならば或る程度放擲しておつてもよかつたのですが、こういう現象が起つておるじやないかと思います。
  70. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) かなり大きな問題として、この際考えられるのは、土地の開拓ですね。例えば山の裾を五百メートルから七百メートルくらいまでに盛んに開墾を始めておる。これは建設省は関するとこではありませんが、それを大きくやつておるのが相当あります。こういうことに対して私はやはり農地適地委員といいますか、開拓適地委員というような委員会があつて、それを決定するのでありますが、併しこれは各府縣でやる。その委員会の決定は國土保安に任ずる方の代表者の主張が随分弱いものじやないか。從つて無理な開墾が行われるところが随分ある。各府縣でこれは指摘することができる。私は両院議員有志の組織する議員懇話会の総代をやつていますが、各府縣報告がある。併し各縣でそういう委員会において建設省関係の方面の意見が通りにくい。農地を獲得することが絶対必要だということで、それは分つておりますが、無理に押しつけてしまわれる結果が非常に多い。その結果はどうかというと、これは手を付けなければ、これは雨が降つてもそんなに崩潰を起さないのに、わざわざ金を掛けて、そうして樹を伐つて山をほじくり返して行くのでありますから、その結果が非常な災害を來しておるという実例が各所にあるのです。こういうことに対して一つ建設省当局が相当にはつきりした強い態度を示して頂きたいのであります。希望を兼ねてそういう点についての建設省の態度をお伺いして見たいと思います。
  71. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) その問題は昨年から相当強くここでもお話がありましたし、ここでも各方面でお話が出て、結局農林省も一應折れて府縣に通牒を出して開拓適地委員会というものを作つたわけなんですから、これは地方廳におきましても、運用の問題がまだ依然として相当その方面が強いということは窺われるのです。我々としては我々の方の第一線には土木部がありますが、ここを督励しまして、その委員会に出て相当強く発言するような機会を持つということと、もう一つは法的にこれを取扱つて行く方法はないだろうか、こういうことを考えておりますが、赤木さんがおいでのようですが、例の砂防法ですが、砂防法をもう少し廣く解釈しまして、砂防法によつて或る程度法的に取扱をやつて行く方がいいのではないかと思つて、その点を砂防課長が集りました時に一應指示しておりますが、現在どちらかと申しますと、砂防法は現在砂防工事法というような工事主体の法律になつているものですから、積極的な行政面にまだ入り込んでおりますので、或る程度強力にこれを推し進めることによつて取締ができるのではないかという氣がするのです。この方でどうかと考えているのです。
  72. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 只今の御説明でありますが、昨年の六月に森林資源保全の決議を参議院は全会一致を以てこれを通したのです。その結果が只今お話があつたように、土地の開墾の場合においては、土地の適正調査をすべしということを農林省のその当時の林野局長官とそれから農林次官の連名の通達が行つてそういうふうになつたのです。併しながらこれは農地を開墾する方面から申しますと、法的の根拠がないのではないかということで各地に悶着を起しておる。そうして今尚そういう事実が各府縣に起きておる。從つてこれは法的の根拠がやはり必要であるとは考えますが、併し農林省においてさように通達を出したのは、現行法の範囲内においてこれだけはできるのだという限界を定めたものと考えなければならんのでありますから、その限界の範囲内においては相当に強く実施しなければならんと私は考えております。そこで建設省当局はそういう場合について各府縣からの実際の報告を受けておりますか。受れておるならばそれに対して実地視察をしてそれをどういうふうにやらせるか、止めるかというようなことについて、やはり國土の保全上なさるべきことであるが、そういう手段を取つていらつしやいますか。この点を伺つて見たい。  それからもう一つは今出ましたが、砂防法の問題、これは私大変大切なことだと思うのです。先ず最近何か砂防法というようなものは止めてしまつて河川法の中に一諸にしてしまおうというような考えもあるかのごとく聞いているのです。それは私はとんでもない逆行であつて、まさかそういうことはなさるまいと考えるのですが、そんなふうな考えが建設省の中にあるのではないかということを心配するのですが、若しそういうことであつたらこれは由々しい大問題になるのだということを申上げて置きたいのです。そういう事実があるか、どうか。  それからもう一つは何といいますか、これも少し範囲が狭くとられてはいけませんが、保安林の制度です。これは建設省の範囲じやないから俺は知らんとおつしやるか知れませんが、この大戰争の結果、曽ては保安林ということで、その伐採等も禁じておつた、或いは制限しておつた、或いは土地の開墾も禁止しておつた、これはつまり法律による効果でありますが、そういうものが破れて乱れております。それをやはり強く行う必要があるのです。從つて私共が心配しておる……現に私最近も富士山麓等を見まして、こんなところを開墾したつて結局は農業として有利な経営が成り立つことができなくて、結局元のジャングルに帰るのであろうというような所の開墾までもやはりやろうとしておるのですが、そういうものは私は保安林の制度を一つ強行して、ここはこの地点の保安林なりということにしてしまえば、それで土地の荒廃は免れ得るというように考えます。そういう点などにつきまして、やはり建設省相当に強い関心を持つて頂かなければならんと思うのです。大体この三点についてどんふうになさつていらつしやるか、伺つて見たい。今直ぐに御即答がなくてもいいのです。これはやはり建設省の問題として、或いは進んで國の問題として、農林省と一緒に解決せらるべき問題ということをここに申上げたいのであります。今直ぐに十分に御説明なり何なりを伺わなくてもよろしいのです。併し御説明があれば有難いのです。
  73. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 第一点のこれは一應府縣調査を命じておりますが、どの程度に纒まりましたか、いずれ調査の上お答えすることにいたします。  第二点の砂防法の河川法と一緒にするというようなお話はたまたま恐らくこういう話から出たのではないかと思うのですが、河川法というものはもう古い法律である、時代に副わんというようなことで河川法の改正という話が大分起つておるわけなのです。河川法を改正するとすればこれを河川法として考えるのか、或いはもう少し大きな法律にするのかというような範囲の問題も相当論議されておるのですが、まだそれも論議の時代でまだどうとも決まつておりません。恐らく範囲拡大というようなときに砂防法をどうするかというような議論も出て、そういう話が或いはされたのかも知れませんが、まだどうこうと決定されておるわけではありません。この河川法もなかなか非常に厄介な法律で、これを改正するとすれば、相当長期の研究を要することかと思いますから、これは今直ぐできるものではありませんから、相当長い期間研究していろいろお諮りして決めたい、そういう次第なのです。  それから第三点は我々も非常に関心をもつておるのですが、農林省の内部においても、今林野方面と開拓方面とその点では相当の軋轢が起つておりますし、この調整もなかなかむずかしいというのが事実のようであります。我我も林野方面とは同じような目的がありますから、大いに同調して現在やつておりますが、それにいたしましても、丁度砂防法は保安林と同じような趣旨があるのです。ですから保安林が若しやつて呉れないならば、砂防法を活用して保安林的な性格を持たせた取締でやつて行く方法はないかということを目下研究しておるのです。これは林野局とも相談しまして、保安林でやつて呉れるならそれで差支えありませんが、私は保安林としてどうも圧力を加えることができんというような場合でしたら、砂防法の活用というようなことも考えて見たいというのが……
  74. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) それでよろしいのですが、第一点の地方廳から報告がどのくらい來ているか、どうも甚だ心配に思つたのですが、実はそういう場合に一つ現地へ誰か出して御覽になつたらどうでしよう。そうして間違つてつたら、誰がこういう取扱いをしたかということまではつきりさしたらどうでしようか。私は國会議員としてはそういう点について相当突込んで行つた質問をするつもりでありますが、そういう態度を取るつもりでありますが、併し今の場合ですと、建設廳はどちらかというと被害者のような立場にあると思いますが、これは一つ大いにそういう点をはつきりさして頂きたいと思うのです。それから保安林の関係砂防法の運用によつても私は行くと思います。併しそれにしましても、これはいずれも非常に乱れております。もつと言いますと、國有林の経営が私は御料林と一緒になつて、御料地が國有に帰しただけでも、曽ての御料林の経営というものを見ましても、これはかなりよかつた。これは國有林と比較して遥かによかつた。ところが今度一緒になりましたが、そこで今の林野経営は特別会計で独立採算制を取つて行かなければならんという今日、実際の話が今後ますます沢山の森林伐採をやります國有林経営自身が保安林の精神に違反しているのじやないかという点を僕は指摘することができると思うのです。結局はどうかと言いますと、沢山の役人を養つて月給に皆要つてします。積極的に林野の経営に効果をもたらすようなふうに行かずして、役人を養つておるというような事実があります。私は相当に長い間の経験で以てそういうことを知つておりますが、私はやはりどちらにしましても、これは少し行過ぎましたが、林野廳の経営から見ましても、やはり保安林制度を、或いは砂防法の活用でもよろしい、これを本当に履行する必要があるということを申上げて置きます。
  75. 赤木正雄

    赤木正雄君 御承知通りに砂防設立、禁止制限、この二つは砂防法にある。最近では砂防設立だけを重に考えて今問題になつている森林の取締り、禁止制限、これは殆んどやつてないのではないかと思います。ここに非常に欠陥がある。明治三十年に砂防法ができまして、長野縣のごときは殆んど字ごとに砂防しておりました。と申しますのは禁止制限地区は、何分にも大きな面積があります。而も取扱りには相当の人が地方から入つておる。そこで昭和三年頃、これでは困るから実際禁止制限でも取締らなくてもいいという部分だけは決めて呉れということを言つた。そういう例は沢山あるのです。併し三重縣のごときやはり砂防指定地は非常に大きな面積になつております。而もそのために立派な人が見えて嚴重に取締つたのであります。でありますから山一つ越えて奈良縣に行くと非常に伐採されておる。三重縣は峯一つで伐採されない。立派な人がいたからこそそうなんであります。それから粘土を採堀するにいたしましても指定地内です。指定地内でも特に粘土採堀をしたいという場合は、予め保証金を出して、そうして採堀してしまつた後にその金で元と同じように砂防ができる、それ程の保証金を積んで、それから採堀を三重縣では許可したのです。というのは、採堀の業者は実際の土地所有者と違うのです。だから採堀したら逃げてしまうのです。そのために嚴重にやつたのです。現在ではそれが乱れております。又愛媛縣では重信川の上流右岸は砂防しておつた。右岸は保安林砂防指定地は非常に嚴重に取締つて崩潰が案外少い。左岸は到る所に崩潰が起つた。そういう事実があるのです。でありますから今は丁度局長がそういう意見を持つておるから、この際に砂防法というのは設立以外に禁止の途がありますから、それを嚴重に守つて頂く。府縣の人達は、國民一般は、砂防法は本当にそこまで嚴重に守るということを知らない。現に衆議院の建設委員会で、私この前の委員会に行つて、砂防法でも森林の取締りをするのだと言うと、そういう法律があるのかと初めて驚いておる。こういう情勢ですから、この際に森林を嚴重に守る。殊に今までは砂防指定地を各府縣が全部建設廳に出しておつた。参謀本部の図面を一覽すればはつきり分つてつた。それは今燒けてしまつてないのです。以前は年々必ず砂防指定地と設備地を参謀本部の図面に入れて建設廳に出しておる。それを今やつていない。若しそういうことがあるなら、建設聽として余程嚴重にやつて頂きたい。それでなければ駄目です。  もう一つ災害復旧ですが、私は最近もちよつと或る府縣を見ました。砂防設備がもうすでに今までの災害で毀れておる。何分にも砂防をする場所は不便ですから、縣の土木の人が行つていない。事務当局はやかましく言つておる。早くして欲しいと言つておるが、何もしていない。全然不便ですから復旧がなつていない。実際各府縣としては砂防人員は少いので山のそういうふうに既設工作物が毀れておるのを今行つて調べているのは少い。そういうふうな状態ですから、この際既設工作物の毀れたのは一つ復旧の対象にしてやつて貰いたい。是非これはお願いしたい。
  76. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 局長何かお答えありませんか。至極御同感だろうと思います。早速その手配をして頂くことにいたします。
  77. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 砂防が比較災害復旧に縁遠くなつておりますから、或いは遠隔の地に見捨てられておるという事実は私共多少承知しております。承知しておりますが、これはやはり自分といたしましてもこうなつて参りま4と、土砂の崩壊を先ず第一に喰止めなければならない。今後はできるだけそういう見落しのないように注意したいと思ます。そうして砂防工作物、砂防施設を完備すると共に、更に災害を蒙りました原因そのものがやはり土砂の崩壊ですから、これも積極的に費用を捻出しなければならんと考えております。
  78. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 今の話を聞いて見ますと、上流、中流が多くて、今度のデラ台風九州地方ですがね、起るのは砂防、山林関係の手拔かりが多いということになるのですか。
  79. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 手拔かりが多いというよりは、結局相当山崩れが多かつた、それから土砂になつて流れるということになれば、相当破壊力は大きくなります。それと同時に、上流地方河川改修は行き亘つておりません。原始河川のままなんです。それでそこは氾濫するのがまあいつもの習わしなんですが、破壊は相当そのために多くなつて災害を増しているという事実は確かです。それで今まででありますと、上流地方で多少の氾濫がありましても、土砂或いは砂利、そういうものの被害がありませんと、浸水程度でありますると、そう被害はないのでありますが、今度はそれに伴つて土砂や何かありますと、浸水だけでは済まないものですから、相当被害が大きくなる、こういう形だと思います。ですからそのために上流、中流の河川を更に根本的に改修をするかどうかということになりますと、これは相当我々は疑問があると思うのです。やはりその辺まで、下流から上流まで一つの溝のように、もう一滴も余さず海へ持つて行くという行き方は、恐らく日本の國情では許せないだろうと思うのです。それは余程考えなくちやならん問題と考えております。
  80. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 とにかく九州は今度は出るだろうということは前からこの委員会でも話したのだが、今度はそういうふうにぶつかつたところを見るというと、多少もう少し建設省あたりでは予定して準備をするというような氣持はなかつたのですか。こればかりは分らんけれども、大体二十年ぐらいに始めたのですか、六月に……。そういうところで、どこでもそうでしようけれども、敢て九州というばかりではなかろうけれども、やはり山林関係の砂防、林野関係がまあ不十分だということになるわけですな。
  81. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) そこで先程申上げましたが、こういうことなんですね。二十年の災害よりは雨量が非常に少いのですが被害は多いのです。そうしますと、雨量が少くて被害が多いということは、昔二十年のときにはそう問題にしなかつた上流地方、多少氾濫しているのですが氾濫しなかつた上流地方は今度は相当問題になつておるということは、人口が相当多くなつてその辺までに人が入り込んでおるということじやないか、それも一つ原因じやないかと、こういうふうに考えております。
  82. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 それも亦日本現状からして、これは今和達さんか誰か言つたのですが、開墾するなというのはむつかしいことですね。そういうむつかしい現状に立つて方策がないものかというのですが、これはどうでしよう。なかなか開墾するなと言つても、引揚者がどんどん帰つて來るだろうし、いいところは少しくらいのところは考えずにやりましようし……
  83. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) それですから開墾をし、発展をさせるとするならば、相当公共事業費をそこに注ぎ込まなければ完全にならないということを最初から頭に入れて開墾をやればいいということになるのです。ところが公共事業の方はできなかつたのです。開墾だけ先にやつてしまうからこういうことになつちやうのです。一諸になつて工作をそこに施して行けば完全なんですが……
  84. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) ちよつとお諮りいたします。災害復旧に関しまして、先程河川局長からの御報告通り取れ敢えず各府縣からの報告に基いて編集ができております。併しこれは聽き置いただけではいかんのです。この災害対策及び復旧等に対しては國家としては迅速なる処置をしなければならんことであり、のみならず先年來の災害復旧に対してまだ十分の工事が完成しておらんところへ以て來て、今度は更に台風被害を受けたのでありますから、これらの対策は当面の問題として頗る重要と考えますから、明日建設大臣の御出席を要求しまして、その政府の所見を質すということにしたいと思います。如何がでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 御異存ないと思いますから、そういう取計いをいたします。ではこれにて散会いたします。    午後零時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     石坂 豊一君    委員            岩崎正三郎君            赤木 正雄君   委員外議員            河井 彌八君   説明員    建 設 技 官    (河川局長)  目黒 清雄君    中央氣象台長  和達 清夫君