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説明員(
和達清夫君) 先般の
デラ台風につきまして御
説明を申上げます。ここにお手元に
デラ台風概況という
刷り物を差上げました。これを読んで頂きますと、大体分ると思いますが、簡單にこれについて御
説明申上げます。
デラ台風はこの
概況の眞中頃に第一図というのがございますが、それを御覽になりますと、この
進路が書いでございます。つまり六月の十五日頃からその存在が分りまして、そうしてだんだんにフイリピン、
台湾の方面に参りまして、それで
石垣島近所に参りましたのが二十日の三時とここに出ておりますが、もう非常な早い
速度で
九州の方へ参りましたので、二十日の夜遅くにはすでに
九州に上陸しておるのであります。で
台風に対しましてどのくらいの風、雨が
観測されたかと申しますと、それはこの四枚目のところに表がありまして、
デラ台風の風と雨、或いはその
氣圧その他の
観測の表がございます。これを御覽下さいますと、風はどこでは
最大の
風速が何時頃どのくらい吹いたか、例えば
鹿兒島をとりますと、
最大の
風速は北東の二十四メートル四、その時間は二十一日いつということにな
つて、御
承知のように風は時間の平均でありますから瞬間としての
最大風速は三十一メートル三、こういうような数で出ております。これは陸上の
測候所の
観測でありますから、
附近の
海上ではもつと強い風が吹いてお
つてと想像されます。尚このときに降りました雨の量は次の第三表にございます。これを見ましてこの
台風の通過前後に降りました雨の総量が一番右の合計に來ております。例えば
鹿兒島田三百十九ミリ、
宮崎は三百八十七ミリというような
相当大きな
数字が出ております。この
台風に対しまして、
氣象台はどういうふうな
措置をと
つたか、つまり
氣象台はこういう
台風が來ますと、先ず
特報を出し、その
注意を喚起し、場合によ
つては直ぐ
警報を出すこともありますが、
台風が近付くに
從つて警報を発し、非常な
災害が予想されることを
一般に告げて、その
警戒、又
注意を喚起することにな
つておりますが、その
特報、
警報の出し方はこの第四表に出ております。こういうふうに出したのであります。で我々としまして
台風は一番大切なことでありますから、全力を挙げて努力いたしたのでありますが、今回の
台風は御
承知のように非常に
季節外れでございましたし、又非常な
速度でや
つて参りまして、又一番大きな
原因は、近來中國、満洲の
資料というものは、
中共軍のある動乱のために殆んど入りませんというような
状況がありまして、この
進路についても
適確を少し欠きました。又
警報の出し方が御覽にな
つてお分りになる
通り、もう少し早く出しておれば
災害をもう少し防げたのじやないかという点は非常に遺憾に思いまして、今後努力したいと思
つておる次第であります。
この
警報等はどういうような
方法によ
つて出すかと申しますと、ここにも書いてありますように、一番周知させるのによい
方法は、
日本附近におきましては
ラジオの
放送によるものであります。でこの
放送は
台風時になりますと、普通の
氣象通報の外に臨時の
放送を沢山いたしますが、今回の
経驗によりますと、もう少し頻繁にこれを発表した方がよか
つたと思
つております。尚
新聞によるものは、これは印刷の都合上遅れますから、こういう問題には
余り効果がないのでありますが、又電話や
電報によるものは、
特定の
場所に限られておるので、できるだけいたしておりますが、これは
特定の
新聞社、
官廳、特別な会社などに限られております。最も重要なのは
海上の
船舶に対する
警報でありますが、これは
中央氣象台から
氣象通報があります。その中に
台風の
警報が入
つております。その外にも
海岸の
無線局から
漁船或いは
船舶に対して
通報を出しております。で六頁を御覽頂きますと、
中央氣象台以外の
地方の
官署、
氣象の
役所から出しましたところの
特報とか、
警報の時間が出ております。それを御覽になりますと、
特報は
台風が夜中にや
つて來ると、その日の朝或いは夕方出ております。
警報はその日の夜には大体出ております。例えば大分のごときは
警報をその日の十一時に出しております。これを御覽頂きますと、実際はその日の晝間に
警報が出ておるので
理想でありますが、今度の
台風は非常に
速度が早か
つたので、もう少し早く出さなければいけないということは、これを御覽になると分ると思います。もう
一つ今度の
台風について、
警報予報、
警報特報を、出す側からも、亦船の方の側から言いましても、この
季節が非常に早か
つたのと、
瀬戸内海というものが外海に比べますと、
いろいろ風などもそれ程吹かない所であるものですから、そういうようなことから、この
青葉丸が
瀬戸内海で以てこの事故、つまり沈沒するというようなことにな
つたのは、もつと
注意を喚起しなければならんという点において、我々も大いに反省すべく、又
一般にも
台風というものが、非常に恐ろしいものであるということ、又
船舶というものが、
台風というものに非常に氣をつけなければならないということが、ここに現われておると思います。ここに
台風の
警戒を、どういうふうに出したかということが表に出ておりまして、もうここにありますところの図は、
台風の近
寄つて來たときの
天氣図、その他であります。大体
デラ台風の
報告はこれだけでありますが、ここにもう
一つ参考にお附けしました
気象通報組織の
説明図というのが、縱綴じのものがございます。
序ででありまするから、これを見て頂きたいと思います。第一頁にありますのは、現在の
氣象のことを行な
つておりまする
官署は、ここに書きました
官署の一覽図よりも少し多いのでありますが、今回の
整理によりまして、今後新らしく出発すべき
氣象官署の数は、これだけに予定しておるのです。その全國の
氣象官署の
分布図が、ここにあります。
それからその次にはこの
氣象官署で
観測をし、いろいろの
通報を行う、この
通信系統でありますが、これが
有線で、
專用有線というのを
氣象台が持
つておりまして、專用料を
拂つて、
專ら氣象通信に使
つておる電信の
系統であります。これだけを
氣象台は專用線として持ちまして、これを
氣象の
通報に十分に活用しております。併しこの
有線というものは
災害が來ますと、ときどき故障を起します。一番大事なときによく
通信が杜絶いたしますので、この
理想としましては、
有線系統と、
無線の
通信とを両方持つことでありますが、次の表には
無線の
通信系統、
氣象に使うところの
無線の
通信系統が示してある。これは各
観測所は、すべて
無線でやるということは到底できませんので、重要な
箇所、そこへ
集つた情報を
無線で、いよいよという場合に送る。或いは、遠い島、その他で
有線のできないところに、毎日の
無線の
通信をする。或いは山の頂上のような所にあるというような、
無線の
氣象專用通信系統を掲げてあります。
その次の第四図には、これは如何にして
氣象の
観測が
電報又は
通信、
無線によ
つて氣象の中枢の
役所に送られ、そこで
整理され、
警報とか
特報とか
予報とかというようなものがどういうふうな径路を取
つて発せられ、それが
利用者、必要な
官署というような所にどういうふうに送られるかという
系統図であります。
地方からこの送
つて來たものを
中央氣象台とか、或いは
海洋氣象台、
管区氣象台もそういう役目をしますが、そこでいろいろに
整理或いは判断を下し、それを又
地方へ流す
地方は又
地方の末端の
利用者の所に……その
方法は先程言いました
ラジオとか、それから
漁業無線とか
海岸無線、或いは
氣象の
放送とかいうようなものを通じて行うのであります。
その次の第五図は、
船舶漁船に特にどういうような
通報を出しておるかというのであります。前にも含まれておるのでありますが、特に
船舶は重要でありますからここに出しております。この
船舶の方は
船舶の
観測も、非常に海の
氣象は重要でありますから、
船舶から
氣象の材料が來る。又それを
整理して
船舶の方へ送る。
氣象の実況、
予報、
警報、
特報を
船舶の方へ送るという
系統図であります。
それから第六図は、これは最近
水防法も制定されまして、この
洪水予防組織というのができ上りました。それを如何にして行な
つておるか。
中央氣象台の
分担の
業務、
建設省の
建設局の
分担の
業務、それがどういうふうに、又
利用者、必要な所に送られるかということを示しております。それにここに挙げましたのは、
利根川の
洪水予報の一例を挙げておりますが、その外に現在
洪水予報を実施しておる
河川は、下に四角に書いてある中に書いてある川、
利根川の外に、北上川、最上川、淀川、それから予定されておるところは、石狩川、信濃川、木曾川、吉野川、太田川、尚
重要河川については目下計画されておるところがこの外にもあります。
その次は、これは
利根川の
洪水予報組織で、
雨量の
観測をしたり、水位の
観測をして、
通報を送るところの
観測所の配置、如何なる
通信系統によ
つてこれを送るかというようなことが示されております。大体御
説明を終ります。