○
証人(
桑原彌
壽雄君)
利用者の
立場として、この
法案に対して
意見を申上げたいと思います。
大体この
法案の設定の趣旨は結構であると思います。即ち
測量事業というものを
統一するということは非常に結構であります。
その次に特に
需要者の
立場として
重複を避けるということは、非常に結構なことだと思います。これは明らかに書いてありますように、一
應地理調査所長の下に
測量の結果が
集つて來るということにな
つております。そうしますと利用するということにな
つておりますから、これによ
つて重複を避けられることは非常に結構だと思います。尚、
統一されることによ
つて精度が正確に
保持されるということも非常に結構だと思います。又同時にこの
法律は縛ることが
目的でなくして、そういう正確のものを普及せしめることを
目的のように感ぜられるので、大体こういう
統一、
重複を避ける、
精度の
保持、普及、こういう四つの面において結構であると思います。
併しながら
需要者の
立場としてもそうでありますし、
一般的の見方としても問題は結構なことではありますが、
余り面倒臭くないようにして頂きたい。こういうことなのであります。それにつきましては、第二番目に具体的に申上げますと、少し細か過ぎはせんか。一体これは
施行細則があるのかどうか。先程
原点の
お話のとき
政令の話が出たのでありますが、
政令があるならもう少し
政令に
讓つてもよいじやないかと思う点が沢山あるのであります。例を挙げますると第十條の
標識の点であります。ここに
測量の
標識がいろいろ挙げてあります。「
永久標識」、「一時
標識」、「
仮設標識」と書いてありますが、第二項に「
前項に掲げる
測量標の
形状は、
建設省令で定める。」
云々とありますが、こういうことになりますと、一時
標識或いは
仮設標識を一々
建設省で定めたものは、他の
官廳なり
民間なりみな使わなければならない。これは少し行き過ぎじやないかと思います。
尚十五條二十
條附近のは
土地の
関係でありますが、民法と
重複する点があろうかと思います。大体細かすぎる点がある。
政令との
関係がどうなるか、その点を疑問に思います。
その次に
利用者の
立場として申上げたいと思いますのは、この
全般の
法律の書き方を見ますと、
地理調査所長とその他の
公共機関との
立場がどういうものかと思われるのであります。即ち
地理調査所長に対して、外の
公共事業機関はその
仕事で上下の
関係にな
つたふうに感ぜられるのであります。これは
対等の
立場にあるべきものではないかと
考えます。三十三條に
測量計画機関はやろうとする場合には
作業規程を
作つて承認を得なければならない、と書いてありますが、これは一應趣旨として
統一をするとか、
精度の
保持をする
意味においては結構なことではあります。併しながら面倒臭くないようにということと、もう
一つ対等の
立場云云といいますと、これはそういうことは結構ですが、全國の
測量のそれぞれの必要の
程度を
建設大臣の
承認ということになると、実際問題として
地理調査所長を経て
承認を得なければならんと思うのでありますが、少しこの点どうかと思うのであります。それで若しこれが必要だとするならば、同樣に
基本測量に対して
地理調査所長は、その
作業規程をこの
法律によ
つてなり何なりでやらなければならないので、
地理調査所は
基本測量をやるのだ、
基本測量とは
地理調査所でやる
測量をいうのだと書いてあるのであります。そうしますとどうも
地理調査所なるものは
別格官幣社のごとき
感じがするのであります。これは
対等の
立場でありますから、
地理調査所も
作業規程は別に
政令を以て定めるとか何とかしなければおかしいと思います。片方だけ認可を受けることはどうかと思います。
次に第三十六條に
測量計画を予めやる場合には
地理調査所長の
技術的助言を求めなければならない、ということが書いてありますが、これは
公共事業の
計画機関が
測量する場合には、
地理調査所の助言と書いてありますが、事実問題として
承認を同樣になるのでありまして、その点はもう少し簡單にできますまいか。連絡することは結構と思います。併し届出をする、や
つておるぞということをする、届出をしろ、した場合においては
地理調査所長は
技術的助言をすることができるということになりましていいのでありますが、どいも教えを乞うてでなければやつちやいかんという書き方は、どうかと思います。
その次に四十
一條に今度は事後の問題であります。
地理調査所長は写を貰
つたときは、
審査をして結果を通知しなければならんと書いてあります。要するに一々
審査をしてよろしいと言わなければならんという形にな
つておりますが、これは
測量の結果がいいか惡いかということはもう一遍やり直す。
審査ということになりますとそういうことがあるかと思います。これはどうかと思うのであります。この文句は、例えば速かにその結果を整理して通知する。
つまりこの
測量はこういう
精度のもので、こういう階級の
測量になる、政府としてはこの
程度で認定する。それからどういう整理をして、どういうことを番号をつけて貰うとかいうことを通知することは結構と思います。登録は結構と思います。併し
審査ということは少し穏当ではない、かと思います。以上が要するに
余り面倒臭くされては困るということが
一つ、もう
一つは
地理調査所と
官廳の
公共事業機関という
立場の、上下の
関係を
対等にして頂きたいとこういう点であります。
それからその次は事業の適用
範囲でありますが、
基本測量の第四條に書いてございますが、
基本測量というものは先程の
言葉と同じでありまして、
測量の
基本となる
測量と、これは文字通りでありましようが
地理調査所の行うものを
基本測量と決めてあるのはどうかと思うのでありまして、
基本測量は
地理調査所に行われるものと別にして頂けば結構だと思いますが、或いは外の部門においてやらせることをや
つてもいいんじやないかと思います。それから
公共事業の
測量、
公共測量については別に問題はございませんが、
一般の
測量の文句のことについては、第六條あたり非常に面倒くさいようでありますが、
一般測量につきましてはどこまで適用するかという点が明確でないようであります。
公共事業と認定するものは
公共事業とすべてすると書いてありますが、それ以外のものは書いてございません。併しこれは次に申したいと思いますが、
一般のこの
測量の縮尺の問題なんかとからんで参りますが、或る
程度の例えば
法律上の根拠となる図面があ
つて、五百分の一以外の縮尺だというようなものは適用すべきである、結局例を挙げますれば
公共の
測量をしないでも、個人が
土地の分筆
測量をします場合には、やる人間が誰でもや
つてよいというならば、この
法律の
意味はないかと思われます。これは少し私共としては
余り日常にはございませんが、
一般的な
立場として申上げますとそういうことがあるように思います。
土地台帳の
関係は、
基本の台帳は確か私の專門でございませんのでよく分りませんけれども、
市町村長とか
公共機関でやられるようであります、そういう分筆とか何とかは個人が
測量して、或いは代行機関を使
つて願い出ることでありますが、そういう場合には出たらめでもよいかということにならんと思います。これが事業の適用
範囲については大した問題ではありませんが、大体そうであります。
尚先程
基本測量の点で申し忘れましたが、この
法律の趣旨としましては、第四條に
基本測量とは
云々と書いてありますから、その
基本測量に対して普及ということがちつとも
法律に謳
つておらないのであります。
つまり我々
利用者の
立場としてここで特に申上げたいのは普及なんです。
基本測量を普及さしたいということです。と申しますのは一番利用のありますものは
三角点と
水準点でありますが、これは全國に沢山置いて頂きたいのであります。これは是非ともお願いいたしたいのであります。それがないばかりに無駄な費用を掛けて、技術も必ずしも十分でないものが、大きな地域を
測量をしなければならない場合が甚だ多いのであります。
つまり具体的に申上げますならば今までのものは三等
三角点、
一等三角点、一等二等
水準点のみが示されておりますが、これを四等
三角点或いはそれ以下を示して欲しいのであります。この
法律では図面ということを使
つておりますが、そういうような
基準点までも公開して頂けば結構だと思います。又それをやるためには現状においては困難ならば特別に努力をするということをこの
法律で明確にして頂きたいと思います。一應この
法律の趣旨は決して緊めるといいますか、縛るという
意味の
法律じやなくて文化の進歩のためにするという
意味が多いと思います。そういう点から普及を図
つて頂きたいと思います。この作業
範囲については大体そういうことでありますが、要するに作業
範囲につきましては
基本測量の普及と
一般測量についての適用の方法を明らかにして頂きたい、こういうことであります。
それからその次に多少技術的にな
つて参りまするが、特にお願いしたいのは、この第
一條の
目的からいえば当然でありますが、普及と
統一という
意味からいいまして、
地図の縮尺でありますが、これは是非とも
一つ統一して頂きたいのであります。これが甚だまちまちでありまして、古いものは一インチ三十チェイン、三チェイン、こういうようなスケールで残
つておりますし、十進法におきましても間尺の
関係で、六百分、六千分、三千分というものも残
つております。又七万五千というものも残
つております。地質図の七万五千というスケールもありますが、これは我々の
利用者の
立場からいいますと、そういう結果を利用するのに困るのであります。そういう割合からいいますと、やはり二と五の倍数にして頂きたいと思います。而もそれも二と五の倍数はいくらもできるわけでありましようが、できるならば、五万、二万五千、一万、五千、二千五百、千五百というものを標準とする。それ以外については二と五の倍数にしろということに決めて頂きたいと思います。ただ併し実施におきましてはこれはメートル法と同じように暫くはよい、併し永久にそういう変なものは残さないということを明らかにして頂きたいと思います。
次にここにはどこには文句は現われておりませんが我々業者の
立場、特に
公共事業の施行を担当する
立場から
考えて見ますると、是非お願いしたいことがありますのは機密の
保持であります。これはどういうことかといいますと、例えば鉄道の
測量というものに対しまして、
一般の
測量とい
つておりまするが、地形も勿論と思います。地形図も取りますが、その上にどこに線路が通るか、どこに停車場を置くかということを
計画乃至設計をするのであります。建築然り、道路も同樣でありまするし、又ダムやその他についても同樣であります。これは
計画しておるうちは、こいつが
一般に知らがるということは非常な事業の施行上妨害になるのであります。確定してでき上
つた結果ならばよろしうございまするが、その間はこれが漏れることは困るのであります。この上からいいまして実は
地理調査所に知らして結果を登録するわけでありますが、その際にこれは拔かなければならないかと思うのであります。これにつきましては私の
意見としましては、
測量の
定義といいますか、今の適用の作業の種類としての
範囲は、先程
基本測量でございましたか、今度は
測量の別の違
つた対象であります。相手方によ
つて、
測量の
定義を変えて行きたい。
つまり地形地物の
測量、それから設計
計画の
測量この二つに願いたいと思うのであります。この地形地理の
測量はこの趣旨に從
つて、当然届け出でるのは問題ないと思います。併しながら、今の設計、
計画の
測量はどうもこれはでき得る限り実施されるまで機密を保つ必要がある場合が多いのであります。勿論でき上
つた結果については、地形が変化されるのでありますから
一般にそういう場合に土木
関係、
公共事業としましては、でき上りますと必ず竣工図なるものを作ると思いますが、地形地物が変化したのでありますが、その結果については遅滯なく届け出るということは当然であります。大体そういうことであります。
尚これに附け加えまして先程御
意見も出たようでありますが今の利用の
方面から
考えましても、
一般的に土木の
方面は廣うございますが、適用の地域であります。今度は事業の種類でなく地域としても適用の
範囲であります。やはりこれは勿論陸上におきましては湖水或いは川なんというものも適用されると思います。
一つここに疑問がありますのは、川は適用されますが川の深さなんというものはしよつちう変化するものでありますし、年間の流量などを測るのは
測量のうちと
考えております。
〔
理事島津忠彦君退席、
委員長着席〕
こういうものは
ちよつとここに入れてやるべきかどうか問題があります。尚この流量から申しまして、氣象
関係に入りますので、私の方では少し出過ぎになるかも知れませんが我々
利用者の
立場から申しますと、雨の降る量、積
つた雪の量も、或いは地形なんかに
関係がありますと、なだれなんかも出ることもありますので、この点も御考慮願いたいと思います。特に水の
関係は海面でありますが、土木
関係としましては、海岸に港その他の建造物を作ることがありますので、海面が入
つてないことは困るのでありまして、でき得べくんば、純技術的な我々の
立場から申しますと、陸上の
地図には勿論海面がありましても、公海に関する
測量は別でありまして、領海内と限定して頂きたいが、領海内の海底面の地形でありますが、これは是非この
法律の適用を受けると申しますか、陸上と一緒に知りたいのであります。というのは、我々
利用者から、ここに御
関係の方もお出でになるので、甚だ申しにくいのでありますが、五万分の陸上
地図におきまして、海が書いてない。陸上は書いてあるが、海は白紙同樣の海図みたいなものが書いてありますが、正確でない。あれは一緒になることが必要であります。こういうことが大きな行政の問題でありまして、特に海岸の埋立てをする場合に必ずそれがひつかか
つて來る。
それから最後に
測量士、この
測量に從事する者の
資格には
測量技術から決めてありますが、その中で第五十條に
ちよつと問題がございます。これは「実務の経驗を有するもの」と書いてありますが、この実務の経驗を如何にするか、この点はどういう計算をされるか、明らかにして頂きたいと思います。これはもう
法律に書くのは無理でありまして、
政令、施行規則で決めるべきものでないかと思います。ただ実務については我々も疑問に思うのでありますが、実務というものは、現地における
測量だけを言うのか、室内における作業をいうのか。勿論これは両方なければ実務と言えないと思います。併し一年間の日数を現地で
測量する者は、我々土木
関係では恐らくない、多少無理だと思います。併し学校を卒業して一年経
つたら何でもよいと言われても困るのであります。この点は非常にむずかしいと思います。ここではあれでなしに、
施行細則があ
つていいのではないかと思います。
それから尚この点については、
只今のこの階級と職業教育の
関係でありますが、今ここでは
測量士、
測量士補の二種類にな
つておりまして、
測量計画の主管には
測量士でなければならんし、実務の方を從事するのには
測量士補でよろしいということにな
つております。この点趣旨は結構だと思うのでありますが、経驗な学歴のみならず内容によ
つても区別ができるのではないかとも
考えられます。
つまり何キロ以上なら何キロ以上の、こういう大
測量に從事するものは、一級
測量士でなければならんということがあり得るのではないかと思うのであります。例えば電氣の一級、二級、三級というような階級も必要であると思います。そういう点が
ちよつともう少しあ
つてよいのじやないかと思います。同時にそれと教育
関係の問題でありますが、これは專門学校、大学としてございます。又
建設大臣の指定する養成施設とあります。この養成施設は
測量專門の養成施設と思われます。併し
一般の土木
関係の工業学校におきましては、
測量技術を一緒に教えて実施してや
つております。こういうものも入るように、私の見地としましては、間口を廣くして、相当
程度のものも皆收容すべきであるが、併しながら
仕事の種類によ
つて、正確さ、
精度というものを
保持するためには、階級がもう少しあ
つてよいのではないか、こう思われます。そうして
測量教育との
関係も明確にして頂きたいと思います。この点は
法律に掲げることは無理で、
政令でも或いは施行規則にでもして示すべきものでないかと思います。以上が大体私の申上げた点であります。
尚この土木
方面は非常に面が廣いのでありまして、必ずしも私の申上げたことで盡されておるとは思われないのであります。尚御連絡があ
つてから時間もないので、十分に各
方面の
意見を纏めることができませんでしたから、多少これに附加して、或いは訂正しなければならん場合が起るかも知れないと思います。以上であります。