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1949-08-09 第5回国会 参議院 建設委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年八月九日(火曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設事業一般並びに國土その他諸計  画に関する調査の件(緊急失業対策  及び最近の災害に関する件)   —————————————
  2. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) それでは、これより本日の建設委員会を開会いたします。  昨日御懇談いたしました通り、本日は午前中、経済安定本部から出席を要求して置いたのですが、只今建設局長が見えておりますから、一つ皆様に御発言をお願いいたしたいと思いますが、その前に、かねて問題になつておりまする失業対策について、安定本部の御意見を拜聽することにいたします。
  3. 高野與作

    説明員高野與作君) 本日、失業対策事業についてということで、参議院本委員会から招集を受けたのでありますが、私のところに、それがために十分なる御説明資料をあいにく持ち合せておりませんですが、只今お手許へ差し上げました二十三年度公共事業労務について、こういう資料をたまたま持ち合しておりましたので、御参考のために差し上げたわけであります。この内容は、いわゆる公共事業でどれくらいの労務使つて、そのうちでいわゆる失業者というようなものを、どういう程度吸收ができるであろうかといつたようなことや、それから都会田舍就労割合とか、季節的変化、そういつたようなものを簡單な表に示してあるわけであります。幾分今後の建設事業失業対策といつたような面につきましての参考になるかと思つております。  そこで今年度全体に亘りまして、当初予算編成当時、失業対策、今年は恐らく厖大な失業者が発生して來るであろうという予想がいたされておりましたので、私共といたしましては、実はこの公共事業費のうち、御承知のように公共事業費というのは、五款項を一袋に押込まれておりまして、災害が起ると、そのうちから特に緊急であるからといつて災害に振り向ける、そうして当初割当てておりました各項目から差引いて、非常に重要な予算の運営をして行く建前になつておりますので、これがいろいろ建設事業に支障がありまして、遂行上非常に困難を來しておる。從つて項目かにせめて分けて、その間の流用ができないようにしたいものであるといつたような考えで、今年も昨年もいろいろ関係方面折衡をしたのでありますが、なかなかそれが困難である。そこで今後発生するだろうところの失業者救済するために、公共事業費のうちで、若し就労をさせるというならば、その項目だけでもせめて公共事業費の方から外して、そうして別の失業対策事業というものを作つたら、これならば当初の目的を達することができるではないかと、こういうような考えから、実は安本長官から閣議に予算編成当時、編成過程から申しますと、一度七百五十億の公共事業費と、百五十億の失業対策事業費というものを編成する提案をしたことはありますが、この百五十億の失業対策事業費というものを提案した、実はその理由は、公共事業費と切り離して、この失業対策事業費というものを編成して貰いたいということから、この公共事業費性質から実は切り離して提案をしたわけでありまするが、不幸にしてこれは遂に採用されなくて、特に失業対策事業費というようなものは、本年度予算には組んでありません。從つて公共事業費において失業者吸收するのであるといつたような言い方は甚だ間違いでありまして、むしろ昨年度四百九十五億という、約五百億という公共事業費があつたのでありますが、今年も同じ金額でありまするので、物價賃金等値上りから考えまして、むしろ公共事業費のうちから失業者を今年は出しておるというのが正しい言い方ではないかというふうに私は考えております。從つて年度公共事業費は、五百億の中で、概略五十万の平均就労人数があるわけでありますが、恐らく昨年度物價賃金値上り等から考えて、約六百二、三十億程度つて初めて昨年度と同じくらいの就労人員が可能ではないか、こういうふうは私は考えております。ただ併し、今申上げます通りに、この五百億という公共事業費は、事業量に直しますと、これは國の補助費でありますので、地方負担を入れますと、約八百億くらいの事業量になりまするので、それが五十万の就労人員を毎日吸收するということは非常に大きな労働力吸收にはなつております。それから一方労働省所管しております失業應急費というものもありまして、これは昨年までは公共事業費の中へ一本に入れておつたのでありますが、非常に機動的な性質を持つておりまするし、極く簡易な公共事業という意味で、こういうものを一々安本が認証をしたり、複雜手続の下に置いては運用上よろしくないという考え方から、むしろ公共事事費から外して、労働省所管予算に入れたらどうかという提案をいたしましたところ、これが関係の向きもいずれも異議がありませんで、労働省所管に入れております。それは約十二億ばかりございまして、そのうち四億ぐらいが今の職業補導とか、引揚者、戰災者に職業を與える大きな設備を持つておりまして、職業補導と俗に申しておりますが、こういつたものに使われておりますが、その残りの八億ばかりが應急失業救済事業と申しまして、非常に機動的な、例えば整地或いは下水溝掃除とか、そういつたようなものに労働省から直接都道府縣に予算が附いて行くことになつております。それが現状でありますが、併し過ぐる國会に上程いたしまして、緊急対策法案なるものが実は國会において可決いたされておりますが、それは今後いわゆる行政整理、或いは企業整備等によつて沢山失業者が出た場合に処するための方策を謳つた法案でありますが、それが実は全然法案に対する予算はございません。それで私共の考えといたしましては、恐らく今年度失業者が非常に沢山現われて來たという段階においては、新たに追加予算を取つて、そうしてこの法案に盛られた内容仕事をしてそうして失業救済をするであろうと、こういうふうに考えておりますが、その内容につきましては、かねて御承知のことと存じますが、できるだけ吸收率の多い仕事であつて、而も経済復興上非常に役に立つ仕事であるようなことが根本の條件になつております。從つて両天秤をかけておりますので、なかなか非常にむつかしいのでありますが、併し私共といたしましては、かかる事態が参りましても、すぐにそういつたような事業が準備できるように十分研究をいたしておるわけであります。そうしてどの地域にどういつた数量の失業者が発生した場合には、その地域に適当な、今の目的に副うような事業を勘案するというのが経済安定本部の任務と考えておりますので、ただ併し現在のところまだ労働省方面では失業者発生の十分なる資料を掴んでいないようであります、幾度も問合せておりますが、まだそういう確乎たる資料が、勿論確乎たるというより概略資料でも掴んでいないようであります。從つて失業救済事業も、緊急失業救済事業も、恐らく近く開かれるでありましようところの臨時國会等の問題に上つて参ります際も、失業発生の具体的な資料が最も必要であるだろうと考えておるわけであります。今のところ失業救済事業について概略を申上げたように考えております。尚御質問等がございましたらお答えいたすことにいたします。
  4. 堀末治

    堀末治君 今の御説明の中に、ちよつと私聞き落しましたが、労働問題の方は労働省の方に任すことがいいとかいうので、関係方面からもサゼツションがあつた。こういう話であつたが、それはどういう問題を言うのですか。
  5. 高野與作

    説明員高野與作君) ちよつと公共事業費予算項目、例えば河川とか、道路とか、港湾とかいうような、その今まで最後に労働省所管失業應急という費用があつたわけです。それはやはり公共事業の中に入つておりますと、四半期ごと経済安定本部が認証いたしまして、そうして複雜手続を踏んで現場に行くわけですね。都道府縣に……。ところがこれはそう今まで取扱われております事業内容はむつかしいものではありませんので、それを外して直接労働省大藏省から予算を付けたわけです。そういうふうに公共事業費から外した。そうすると今度は労働省都道府縣に直接予算をやるわけです。それが例えば東京都で毎日五千五百人ぐらいの者を毎日今使つておるわけです。
  6. 堀末治

    堀末治君 御趣旨は分りましたが、そうすると本年の予算公共事業費は五百億になつておりましたが、五百億になつておりますうちの何という費目ですか、それとも金額は何ぼぐらいですか。今のそういうふうに直接経済安定本部が認証しないでも、大藏省から直接……
  7. 高野與作

    説明員高野與作君) 労働省所管公共事業費の中に入つてつたものです。
  8. 堀末治

  9. 高野與作

    説明員高野與作君) はあ。約十二億くらいです。
  10. 堀末治

    堀末治君 そうですか。労働省所管公共事業費内にあつたもの。
  11. 高野與作

    説明員高野與作君) そうです。
  12. 堀末治

    堀末治君 そうすると直接大藏省労働省は結び付いておる、こういうわけですな。
  13. 高野與作

    説明員高野與作君) はあ。
  14. 堀末治

    堀末治君 そうですか、成程ね。折角こういう資料を頂いたですが、これを一通り一つ説明を願つたらどうでしようね。
  15. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 何が言いたいのか説明して下さい。何のために研究したのか。
  16. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) これは何でしよう、公共事業の分野に基くものばかりでしよう。今までの。
  17. 高野與作

    説明員高野與作君) この資料は実は公共事業費というものの中で、例えば各種類仕事がございますが、こういつたような統計も実は今までは調べられていなかつたのであります。例えば河川がどれくらいの比率で、資材労務費がどういう比率であるか、或いは農業がどういう比率であるかといつたようなことか、そういうものが調べられていなかつたのであります。緊急失業対策法案で実は司令部と折衝いたします過程において八〇%以上でないと……資材労務関係で、労務が八〇%以上のものをとつて、そうして失業対策事業を選べとかいつたような公共事業内容に通じていないような関係上、そういつたような暴論が行われておりまして、そういつたようなものを説明するためにいろいろそういうことを研究いたしまして、そうして極く簡單な締め括りをしたわけでありますが、何なら順を追うて、ここに武田監督課長がおりますから説明して頂きます。
  18. 武田利雄

    説明員武田利雄君) ではこの表につきまして簡單に御説明いたします。  公共事業が始まりましてから、公共事業失業救済事業であるというようなことで、大分失業救済についていろいろ注文があつたわけでありますが、二十三年度に各現場から参りました月報、毎月参ります月報によりまして、労務状態その他を統計的に調べたわけでございます。その結果がこの表なんでございますが、最初就労人員について申上げますと、ここに書いてありますように、二十三年度地方費を合せて八百三十七億円の公共事業が施行せられたのでありまして、延人員にしまして約二億人になり、一日平均五十八万人の労務者使つております。この中で特に予算的に河川とか、農業とか、林業という部門が予算が多いのでありますが、この三つだけに対して全労務者の七七%が使われておるということが分つたのであります。それでこの第一表によりますと、これは各事業種別に使いました延人員と、それからそのうちでいわゆる失業救済対象となり得る不熟練者、大工とか、石工とかいう者を除いた人夫、普通の人夫でございます。こういう者がどれくらい要るか調べましたのですが、河川では六六%、砂防では七五%というような数字平均しまして公共事業の中では七〇%が大体技能を持たない普通の人夫でいいんだという結果が出ております。從つて七〇%が失業者救済のあれに、何といいますか、救済対象になり得るわけであります。それで二十四年度はどれくらい使いますかというと、先程局長が申上げましたが、大体一日平均五十万人の労務を使い得る予定であります。さつき申上げました五十八万というのは二十三年度であります。それで八万人だけ減るわけでございます。  それから第二番目の労務費でございますが、これは全事業費のうち、労務費がどのくらいになつているかということを事業別に調べましたところ、この表のようになつておりまして、全事業平均しますると約五〇%が労務費である。從つて年度公共事業の総事業費が八百三十億円ということになりますと、労務者に対して四百二十億ばかりの金が支拂われておるわけであります。これは先程局長が申上げましたが、実は失業対策事業事業費の中の労務費が八〇%以上でなければならんということを関係の向で言出しまして、それはできるだけ少い金で、できるだけ余計失業者を使いたい、こういう意味向うは主張したのでありますが、事実このような工事を経済効果のない、いわゆる掃除とか、どぶ浚いのような仕事しかできないということになりますので、この去年の実績からしまして、そういうことでは困るということで、大体河川は六〇%であるとか、道路なら六五%というようなことで実は関係の向と交渉しまして、只今それで決定したわけでございます。実はこの表はそのときに使つた表なのであります。  それから三の都市別に見た就労人員只今勿論農村方面にも失業者はあるのでございますが、非常にやかましく言われておりますのは都市附近の失業問題なのでありまして、この第三表にあります都市就労人員と書いてありますのは、この当時の調べは多少限界を狹めてありまして、人口十万以上の都市についての調査であります。現実に現在失業救済の必要のあるのは人口三万乃至五万から以上の都市について問題が相当起きているのでありますが、この当時そこまで考えませんで、二十三年度人口十万以上の都市と田舎ということに分けて統計を取りましたのであります。この人口十万以上の都市労務者の数は全國の労務者の数の約一一%になつております。即ち公共事業では使用労務者都市附近では一一%、從つて今年五十万人使いますれば、都市附近では五万五千くらいの人間しか使えないということになつております。これは公共事業は例えば農業であるとか、河川であるとかいうようなものは、都市より離れた所に非常に事業量が多いものですから、都市においては非常に少くなつております。又去年の事業などは都市で行なわれる事業と言いますと、都市計画といつたようなものが余りそう沢山人間の使えませんし、道路なども都市で行なわれるのは一部でありましたので、非常にこの割合は低くなつております。  それから四の労務の季節的な変化は、ここに書いてありますように、年度の初めにおきましては二十万人程度しか毎日働いていなかつた。と言いますのは、去年は七月になつてから漸く予算が決定いたしましたので、その前は結局決定しなかつたものですから、縣としましても仕事に手が着かなかつたという状態で、四、五、六は殆んど仕事ができていない。そのために毎日二十万人程度しか人間が出ておりませんでしたが、それが年度末近くになりますと非常に多くなりまして、三月などは百万人を超えるような状態になつておりました。併しながらこれが、月別に見まして六月の植付の時期とか、十一月の收穫の時期には非常に減つておるのであります。これは次にあります表、表と言いますか、図面を御覧願いたいと思います。一番下に何本か線が引いておりますのは、河川とか、農業とか、或いは林業という代表的なものだけ書いたのであります。道路事業なんかに出ました毎日の就労人員の線であります、それから全公共事業に出ております毎日の労働者の出面を書いたのはこの眞ん中の線であります。非常に起伏が多いのでありますが、それで四、五、六には非常に少くて、六月には植付の時期のため非常に下つております。それから十二月に又がたつと下つております。一月は正月とか、旧正月関係で又ずつと下つております。三月に非常に多くなつておるのでありますが、大体こういうようなカーヴが出ました。それから一方公共事業に全然関係なく、農業労働者と言いますか、農業に從事した労働者数というものを内閣統計局統計で拾いますと、この一番上の線になります。これは六月に非常に殖えて、十一月の刈入れには又ぐつと殖えておる。結局これから見まして公共事業相当数農民で出ておる。これが農繁期には農業に廻るために公共事業人数は非常にぐつと落ちる。こういう落ち方からいろいろ推定して見まして、大体去年は平均しまして二十二、三万人ぐらいの農民が毎日この公共事業に働いていたというようなことが考えられるのであります。これで五の、その次のペーヂの労務の構成というところを御覧願いまして、大体産業別にどういうところから労務者が出ておるかということをこの五表で書いてでございますが、農業就業者が先程申上げました農繁期起伏から考えまして大体二十三万人ぐらい出ておる。不熟練者二十三万人、それから土建労務者その他が熟練者が十七万人と不熟練者が十三万人で計三十万人ぐらい出ておる。即ちこれらがこの土建業者その他が大体五〇%を占めるわけです。それから失業者と思われる者は大体五万人、これは少し少く見ておりますが、五万から六万程度というふうに考えられます。これは地方職業安定所からの数字はこれより上廻るのでありまして、十二、三万あるのでありますが、これは去年は実情が安定所人夫を供給するという能力が非常になくて、むしろ労務者をこちらから事業をする所で雇つて形式的に登録するというようなことが多かつたために、実際の失業者として雇われた者は恐らく半分以下ぐらいだろうというわけで、五万というような数字にいたしたのであります。このようなわけで、大体今年度、或いは來年度からの失業救済というような意味にも、こういうような統計を役立てて行きたいということで、こういうようなものを作りまして、御参考のために差上げたのであります。
  19. 堀末治

    堀末治君 ちよつと今の御説明でお尋ねいたしますが、最初の第二表で、関係方面と、いわゆる八〇%になつたというので、この表を作つて向うと折衝したということでしたが、このままで大体向うも納得して、大体こんな程度公共事業費を使うことについて賛成して頂いておるわけですか。
  20. 武田利雄

    説明員武田利雄君) 実は公共事業としましては、向うの方ではこういう数字についてどういうふうにしろということは一切申しておりません。ただ失業対策事業に対して、なるべく少い金沢山人間を雇うために労務費割合の高いものをやれということで八〇%を主張したわけなんです。それで労働省としては、それは困ると見えて、それを解きほぐす方法がないものですから、そのまま放つたらかしてあつたものですから、これは私の方としても事業を選定するのに困るから、こういうような実績を持つて参りまして、そういうような高い八〇%というようなことでは経済効果のある仕事は得られないからということで、これよりは大体五%か、一〇%労務費を高くした程度で納得して貰つたらどうか。これより多少高くして失業対策事業の方の事業種類を選ぶようにする……
  21. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) ちよつとお尋ねしますが、第五表の土木建築労務者その他というのは、これは公共事業関係のあるものだけ、こういうふうに書いたのでございますか。
  22. 武田利雄

    説明員武田利雄君) さようでございます。
  23. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) その外の民間のは、これ以外にあるのですか。
  24. 武田利雄

    説明員武田利雄君) そうでございます。
  25. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 この表で見ますと、結局公共事業費を、本年度は五百億近くあるから、それで或る程度失業者は救えるのだというふうな世の中の一般空氣なんですけれども、この表で見ますと、昨年度よりは公共事業費だけでも約八万人の失業者を出しておるということなんですね。そういうことになりますね。そうすると公共事業費があるから、それで失業者を救えるというのは詭弁も甚しいですね。反対なんですな。公共事業そのものから昨年度よりは毎日八万くらいは失業者を出しておる。こういうことなんですね。
  26. 高野與作

    説明員高野與作君) それは物の言い方でそういうことにもなるでしようね。昨日私が申上げましたように、或いは失業者をかくのごとく吸收しておるとも申すことができますし、昨年と比べて、昨年度事業量よりも減つておるのだから、昨年よりも八万人だけ今年は雇傭が少くなる。だから公共事業費から失業者を出しておるということも言えると思います。
  27. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 そういうことを言えるのじやなくて、そういう結果なんですね。結局だから失業者が他のところで出るが、それは或る程度公共事業で救えるのだということは全然嘘なんですね。そういうことが考えられますね。
  28. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 実は失業者救済につきまして、僕は或るところに川の浚えをしているのを見ましたが、これは現に富山市でやつているのですが、松川という両岸を直す、これに市の失業者を使うというのでやつたところが、何ぞ図らんそれは皆農村から出て來ている。そういうわけで、どうも都会の人はいわゆる重労働に服する員業救済には私はならんと思う。何かそれらの適当な職務、或いは印刷の方の仕事でも、或いは又簡單な台帳の整理とかいうような方に向つて行くというようなふうにならなかつたならば、どうも間に合いませんね。分らんけれども、私は現にそれを感じている。実際は農村の方は、失業者というものはどうにかこうにか忙しいときはやれる。深刻なのは都会なんだ。もう菜つ葉一つまで買わにやならん。そうしてその人の收入がないと來ているのだから、今やつている公人事業費の狙いどころというものは、却つてそういうところよりも重労働に服した者が占めて行く。それからそういう何名の失業者使つて行くということを安定所で見ても、やつぱりどつちが出て來るかと言えば、農村の方の閑散な方がトラックの乘るところまで出て來て、そうして集めてがつと出て來て働いと行く、こういう工合になつているのです。これは一つ何かよい方法を、行政整理等で辞められて行く者の使い途を、單に道路だとか、砂防だとか考えつて行きはしません。不熟練どころではない、適当でないということになる。これらについて何らかの方法を講じなければならんのじやないかと思うのですが、どうでしようか。
  29. 高野與作

    説明員高野與作君) 実は今委員長がおつしやいましたのは、きつと労働省所管失業対策費だろうと思うのです。これはいろいろむずかしい問題がありまして、先ずその中の一つは、比較的建設事業としての効果を挙げるということになりますと、資材とかいろいろなものが要ります。それでそれを今労働省では三分の二の補助にしております。労務費の三分の二、そうすると労務費の三分の一は市なり縣なりが負担しなければならない。ところが川浚えとか、それから草むしりとか、整地とかいうものになりますと、まあ大部分が労務費だから三分の一の負担でよいが、或る程度事業効果を、相当復興的な事業効果を求めるとすると、この表にありますような就労率になりますので、資材の面が相当費用が嵩んで來ます。そうしますと大体五〇%ぐらいの補助にしかならない。あとの五〇%は地方公共團体負担しなければならない。そうすると労働省からこの金を、まあ余計もおりませんけれども、総額今八億ですが、余計失業者が出たから余計下さいと言つても、自分予算貰つただけのものを五〇%くつつけにやならんということで、地方議会年度当初に予定したような建設事業と違いまして、そういう予備が取つてないものだから、その都度やはり予算議会で組まなければならんらしいのです。そういつたようなことで、大変むずかしい点があるということが一点と、それから最近私は東京都内の数ケ所をいろいろ労働省の方に案内して貰つてつて見ましたが、まあ全くむしらんでもいいような草をむしつたりしておるわけです。それで而も労働省予算であるからというので、東京都の労働局がそれを所管して、労働局職業安定所予算を流しておる。そうして職業安定所の人が自分のところに失業者が來るから、それを連れて行つて草むしりして金を渡しておる。こういうことをやつておるわけですね。ですからそれは東京都における草むしりは別としましても、校庭の地ならしをやつておる。そうすると、測量するのには測量する技術者がおらん。どこから借りて來ておるかというと、学校に測量のできる人がおるから借りて來た。ところが東京都に立派な技術者がおる局があるのじやないか、こういうわけですね。そこで外の府縣もそういうことをやつて來ておるかと思つて聞いて見ますと、外のところではそういう金は土木部に流れておる。最近都でも建設局へ流すように労働者からそういうふうに措置を取つて、そのうち近近そういうことになると思います。そういうことでつまらないことをやつておるわけです。だから建設効果を挙げるものは何もないが、ただそれなら人の垣根の傍の草むしりをやつて腹を減らさないで金を分けてやつたらいいのじやないか、そういつたようなことをやつておる。そこでこれは特に簡易公共事業と名が附いております。この失業対策法案に盛つたように考えておるような事業では、実は今までもなかつたのでありますが、それでももう少し経済効果を挙げたいものであるというふうに考えておるわけであります。現在東京都でも五千五百人働いておるというのですが、その金を殆んで第一・四半期に八億のうち二億を労働省が配つておりますが、大部分は東京都が一番困つておるものですから、東京都に行つておるようであります。即ち五千五百人、これに一人一日出まして二百四十五円、これは職業安定所の人達に現場で聞いた話ですが、二百四十五円だそうです。そのうち税金が三十五円、それを税務署と相談して負けて貰つて、十五円に税金を負けて貰つて二百三十円手取りがある。併しながら場所によつては毎日働くわけにはいかん。予算がないから……、それで一日置きとか、二日置きとかで使つておる。登録者ですね。職業安定所に登録しておる。それ以外に登録したい人が沢山あるけれども、登録すると使わなければならないから、やはり本当のところはいろいろ登録できない事情にある。予算関係上こういうことでありました。
  30. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 先程から局長のお話を聞いて見ますと、失業者が出て來る。それから事業を計画する場合と、事業を予め計画してそれからそれに失業者吸收する場合と二つあるようでありますが、今日の情勢では失業者が起つてから、それを需要面に持つて來るというふうな情勢にあるように了承したのであります。私はそれは非常に間違つていやしないか、いわゆる予め事業を計画して、而も効果的な事業を計画して、どこどこに行けば、こういう事業があるということがはつきり分つておるならば、それに失業者を持つて行くことができる。それの方が効果がある。又失業者が出てそれで事業を計画なさつても、直ぐ失業者が出たから直ぐ事業を計画してそこに持つて行くというのには、やはり官廳のことでありますからして、相当の日與もかかりはせんかという懸念もあります。そういう点から行くと、今の情勢ではやはり失業者が出て事業を計画なさるよりも、すでに安定本部事業を計画しておられるならば、その計画した事業の方にどんどん失業者を持つて行く、こういう方法をはつきりさして行つた方がよくはないか、今お話の東京都の例を申しましても、やはり一定の事業があつて、それに失業者を持つて行くようにこれは又労働省安定本部との関係がやはり一つに纏まつていないから、そういう効果も或いは狙い難いのかも知れませんが、これを根本的に一元化なさらないと、そういうふうな計画性がなくなる。こういうふうな観点から、この点をどういうふうに今後持つて行きなさるか、その意見を伺いたい。それからもう一つは、これは公共事業とは違いますが、水力発電が相当大規模にあります。でありますから、この水力発電事業が起きる場合には、需要量のうちの労務費が一体どれ程を占めるか、その割合がお分りでありましたならば知りたいと思います。尚水力発電を失業の対策としてどれ程お考えになつているか、若しも考えておられなければ別に御返答には及びませんが、今後の失業対策としてどれ程考えておられるか、そういうことがあるならばそれをお教え頂きます。もう一そは、先にはこの表で見ますと、人口十万以上の都市云々ということがありましたが、これは人口の少い都市でも非常に失業者を擁する場所があろうと思いますからして、この人口十万というふうな考えはこの際放棄しまして、或いは農村でも、或いは都市でも実際失業者を收容し得る場所、それによつて効果的な事業ができるというふうなところがあるならば、それに失業者を持つて行くのが國家再建の途だと思いますが、この三点を先ずお聞きしたいと思います。
  31. 高野與作

    説明員高野與作君) 最初失業者が発生してから事業を計画するのでなくて、予め事業を計画して置いて失業者を持つてつたらどうか、こういうお話でありますが、これは先程労働省所管の簡易公共事業費というもの、まあこれはもうお話にならないのでございます。論ずべき程の金額でもありませんし、先程申上げましたようにその日暮しのことを今やつておる。恐らくお尋ねの件は本格的な仕事のことについてだろうと思いますが、これは実は予算が伴いますので、一文も実はそういう予算が今公共事業費の方にないのであります。從つて事業を計画して見ても、事業は御承知のように公共事業費が各省要求のものは年度当初何千億とあるのでありますから、至るところになすべき事業沢山ある。それから恐らく労務者は全國至るところに、正確な数字はまだ把握できませんが、あるのだろうと私は思います。從つて金と資材さえるならば事業を活溌に起し、そうして多くの失業者吸收できるのである、こういうふうに私は考えております。それから第二の電力の開発の問題でありますが、こんなことを調べて見ましたが、電力開発、水力電氣ですが、送電線とか、そういつた外の設備は除きまして、これは資材費が非常に多うございまして、労務費概略の勘定によりますと、大体全体の事業費の三一・五%ぐらいが労務費に相当するのであります。それで本年度、御承知の昨年から司令部へ通産省が出しておりました水力発電をする地点ですが、三十地点がやつと今年認可になりまして、それについてまあ見返資金をどういうふうに付けようかというふうな段階でありますから、この金額についても決定いたしておりません。皆折衝中でありますが、若しも今考えておりますような水力発電の地点、三十二地点でございましたか、三十地点でありましたか、三十地点余りでありましたが、それはまあGHQからよろしいという認証を受けた地点でありますが、あと金と資材さえあれば働き出せるものであります。大体それらの事業を一時に着手いたしたといたしまして、毎日使う労務者概略の勘定をして見ますと、五ケ年の分を大体勘定いたして見ますと、四九年度は常傭、それから臨時と分けまして、これはまあ合計いたしますと約一日四万五千人ぐらいのものにしかならない。そのうち常傭というのがありますが、これはまあ相当今の土建労働者の專門の連中ですが、臨時が約四万人、今年はそう仕事ができませんが、併しながらもうこの八月頃には大体士事に逐次着手して行くという考え方でありますが、それでも臨時というと、これにいわゆる失業者が相当するかどうか、これは甚だ疑問でありますが、先ず常傭と臨時に分けまして常傭が五千人で、臨時が四万、併せて四万五千人、五十年度、來年ですが、來年が六万九千八百人、五十一年が七万五千人ぐらい、これがまあ最盛期でありまして、それから五十二年五万八千、五十三年六万二千と、こういうふうに、机上プランで行きますと、このくらいの労務者が使えやせんかという一應の見当を付けて見たのであります。それから最後の……
  32. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 十万以下の人口の少いところの労務者は……
  33. 高野與作

    説明員高野與作君) これは先程表のときに監督課長が説明しましたときに、私共のところで十万以下のものを取上げて集計したのですが、そういうわけに行かんと思います。やはりそれ以下の都市に相当引揚者とか、そういう人達が非常に密集して込み合つておりますから、やはり全般的に考えなければならんのではないのか、又そういうところは却つて仕事を見付け易いのじやないか、こういうふうに考えております。
  34. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 第一表にある労務人員のパーセンテージですが、これは二十三年度からお出しになつたのだから、これは普通のノーマルな状態考えられる。実際失業救済事業として、失業救済目的として、それに効果を付けるような現実に事業をやるという場合には、私はこのパーセンテージがもつと上つて來るのじやないか、これは私共が昭和六年に失業救済事業をやつたときに、政府の意向だというのでコンクリートのミキサーを外してしまつたのです。それから機械力でやつておることをできるだけ人力を使つてやる。そういうふうにしますと、公共事業費は全体で七〇%や何かということより私はもつと高く言い得るのじやないか、そういうふうな感じがしましたが、そういう点も一つ公共事業費失業救済事業と結び付ける一つの行き方としてお考え願いたい。殊に河川事業道路工事をそういう点が非常に多い。公共事業費は案外労務者が使えないのだというと、やはり外の方へ行くという氣持ちがしますから、これは私は石坂先生に怒られたのですが、土木事業に機械力を使うのを人力を使つたのは政府だから、あれは政党が惡いのだということで、当時憲政会内閣で、とにかく公共事業に機械を使うということは嚴重に禁止された。そうなると自然公共事業をやつて行くということは、建設面に失業救済は結び付ける。そのためにはパーセンテージをもつと上げてお考えになつていいと思います。
  35. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今原口委員の御質疑に関連するのですが、労務費のパーセンテージ、それを河川五〇%、砂防五六%、林業七二%とありますが、これはやはり事業の中の労務費の一方は資材或いは土地の所有なんかありますから、実際我々が七年や八年の農村救済事業をやつた労務費割合は少いのです。これはどうなつておるか、我々は実際の問題から見まして、非常に労務費のパーセンテージが少いのです。例えて申しますと砂防のごとき、これはもう二割が資材です。後の八割が労務費、それで十分やつて行ける。この頃は資材が上つて同じように労務費が上つております。その後は違いないと思いますが、御承知通り土地の買收費はありませんから、併しこういう表が出ておりますから、かれこれ申上げませんが、そういう感じがいたします。
  36. 武田利雄

    説明員武田利雄君) 実はこの中に府縣の事務費の補助もございまして、事業費の中には事務費とか、或いは工事雜費というものが一〇%から一二%入つております。ですから今おつしやつたように砂防に二〇%の資材をやつているのですが、それに約一〇%の事務費が付きますと、三〇%それに取られますから、労務七〇であります。
  37. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は今同じこの技術者の先輩の原口さんの言たから、私はここで反対の意見を表明したいと思う。そういう考え方では私は赤木説に賛成したいと思います。つまり経済効果のある仕事に向けるという原則で行くべきで、救済失業救済事業をさるべきでない。この場合に技術を低下させて、機械力でやれることを、わざと人力によつて技術を退歩させてまでも失業救済をやるというような政府の考え方ならば、我々は断然反対しなければならんと思つているのです。そういう点は私達としては、すでに昭和六年にそういうまずいやり方をして、一つ効果がなかつたという我々は失敗の歴史を持つておるのであつて、我々は成功の歴史などあれば考えられない。從つて將来の失業事業失業救済事業ということでなくて、やはり失業対策事業であるという、この経済効果がある事業にすべきであるという、それをやる場合に、技術の逆轉、技術の退歩を図つて失業救済をやるのでなくて、大いに技術を進歩させる、機械化させて進めるべきである。本格的の失業対策というものは、やはり社会構造、こういう政治の在り方を変換して、漸次に社会主義の方向へ行けば失業はなくなるのであつて、そういう技術を退歩させてまで失業救済事業に色目を使うということに僕は反対でございます。
  38. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 兼岩君の御意見は正当な御議論です。敬服いたします。ただ私が申したいのは、この七〇%というものが平均になつておるから、取り方によつては、これをもつと上げられる。それで失業救済事業が七〇%として、八〇%以上と政府が言つておるが、そういうことが七〇%なるがために拘泥されては建設事業が興らないから、それだからもう少し上げるように工夫なすつたらどうかと、例えばこういうことがあつた言つておるので、技術の低下までして失業救済ということをやろうということは何も言つていないので、あなたの議論はよく分りますけれども、そういうことを申上げたのであります。どうぞその点は惡しからず御了承願います。
  39. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 よく了解しました。私はまさか技術者の大先輩が……、僕の聞き違いであつたと思いますので、この点は了解しました。ただ八〇%という政府の方針は、これは何ら科学的の根拠のないもので、そういう質的の関係を見ないで、量的の関係だけを見て從來やつておる行政のやり方にまずい点がある。そういう機械的の從來の政府の方針を改めさせればいいのであつて、やはり僕は飽くまで経済効果がある事業失業救済的な方針で失業救済事業をやらないで、飽くまで失業対策としても、つまり経済効果がある、國土の復興にも役立ち、国家の再建にも役立つ方法、経済的効果と、失業者の、勤労者の場面を與えるということと承知させればいいので、八〇%というような、大した科学的根拠も何もない、経済的な社会的な根拠も何もない数字を僕は打ち破るということが必要だというふうに考える。それに迎合することでなくて、それを打ち破つて行くということが必要だというような意見を持つております。
  40. 高野與作

    説明員高野與作君) 今の資材労務関係が、公共事業の面からだけ見ていると、労務者が八〇%か七〇%であつて、できるだけ労務者は余計吸收したいのですが、別に廻り廻つて循環して、資材を余計使つたからといつて資材は只できて來ないのであつて、工場とかで原材料を取つて來る。そこに沢山の効用があるということを私共は実は考えておるわけであります。それで、ただ併し当面の見掛けの効果を狙うということだけから、公共事業に八〇%とか、八五%という論議は私共は司令部としておるのでありますけれども、そういうことでなくして、むしろもつと專門の人達が資材を使うことによつて、この吸收をされるのであるという見解を考えられておるのであります。物の両面を見て行きますと、ただで資材が出て來ないのであります。
  41. 堀末治

    堀末治君 これは直接今の問題とは或いは関係ないかも知れませんが、見返資金の用途の問題でですね。先般來いろいろ安本大藏省その他の同僚の間に意見の相違があつたということを新聞で見るんですが、到頭政府案として百億を失業救済対策に、いわゆる公共事業費的なものに向ける額が五、六項目がありましたね。あれはまだ何とも向うの方から決まつて参りませんでしようか。
  42. 高野與作

    説明員高野與作君) 新聞で御承知の、今の災害対策十五億とか、六、三制の学校費とかですね。
  43. 堀末治

    堀末治君 ここにありますね。港湾五億、災害復旧十五億、大都市電話十億、学校建設十五億、水道が五億、労務省住宅二十億、街路整理五億、道路建設が二十億、荒廃地整理五億、これで百億使わして欲しいということがですね。新聞ではもう少し増すだろうとかいうことを書いた新聞もあつたが、或いは削られるだろうということを田舍で新聞で何か私は見たが、この問題はまだ決まりませんか。
  44. 高野與作

    説明員高野與作君) それは目下折衡しておりますが、非常にむずかしいようです。それで別に安本大藏省と対立もあるわけでも何でもありません。それか閣議で決められたものを、事務当局が司令部折衡しているわけでありまして、この関係方面の言い分は、公企業團体には貸さん、原則として私企業であるということと、それから利子が一割だという、その二つはですね。今嚴重に守られているわけです。そうしますと、政府で決めました今の項目などはみんな入らんわけであります。それでどうしてもそれを入れたいという折衡をしているのですが、その原則を別といたしましても、先ずあれは貸すんだと、借りるんですがね。借りて利子を附けて、そうして何年かの後には償還をするんだと、こういう先ず企業に貸すんだということはですね。公共團体にしても、一つの企業を作ればよろしいだろうということにしてですね。その折衡をしているわけですが、ところが、道路災害や学校にですね。一割の利子、或いはそれはたとえ五分にいたしましても、利子を拂つて、そうして引合うかと、一体返せるかということが問題です。安本の事務当局といたしましては、何とかこれは呉れて、補助ですね。補助にしても、公企業のこの補助のように、五割とか、大割の補助だと、又地方負担が殖えるから、全額をやり切るというふうにでもしなければですね。地方公共團体としては使えないものであろうと、こういうようにいろいろ檢討いたしまして、併しその財政的な措置をとるとしますと、臨時國会等でこれを待たなければできませんし、その間のところをどうしたらいいものか、大藏当局と非常に苦心をしております。それでそういつたような案を作りまして司令部折衡して、とにかく今仮に考えているのは、使用という言葉ですね。補助じやなくて、使用という言葉を一つ使つて、見返資金はそのまま今の全額補助の形式で使えないかと、災害とか、学校とか。そういうような折衡をしておりますですが、併しこの企業的に成立つものはですね。例えば水道とか、都市のこういつたものは、これは全額呉れてやらなくても、利子さえ安ければ、これは成立つて行くんだと思います。それから企業にいたしましても、造船のごとき、一割の利子を附けて半分にしてあるわけです。半分はその企業者が自己調達をするという、こういうような約束なんですが、なかなか一割の利子を拂つて今日造船をするということはなかなかむづかしいということです。こういうふうな点について相当壁に突き当つているわけであります。
  45. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私は今日はこの失業事業として、少くとも建設委員会関係する問題で、どういう仕事をなされるかということを聞こうと思つたのですが、それはまだ具体的にできていないように、或いはその機会に達していないという方が妥当かも知れませんが、私は詳細を知ることができないのを潰憾に思うのですが、併しこれを安定本部とその筋と或いは政府内で決定されてしまつてから、この委員会でかれこれ言つたつてあとの祭りで実際何にもならないのでありますから……併し政府は政府でやるのだからして、お前達の委員会とは別だとおつしやれば、それまでだと思いますけれども、なるべく國会と政府の間を円滑に行くように、私はこの委員会の希望というものがありますからして、その希望をなるべく達成させるという意味から、どういう事業を必要として出すかということを、安定本部なり或いは政府の決定なさる前に、或いはこれは希望に終るかも知れませんが、私はこの委員会で諮つて欲しい。この委員会の意向を少くとも斟酌して欲しいということを特に委員長に申上げて置きます。委員長からそれをその筋に諮つて下さい。
  46. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 承知しました。
  47. 島津忠彦

    ○島津忠彦君 先程御質問にありました、私ちよつと座を外したときだつたかと思いますが、緊急失業対策費用として八億計上されているというようなことを伺つておるのですが、これの明確な内容を伺いたいのですが、どういう方面にお使いになつておるか。
  48. 高野與作

    説明員高野與作君) それは先程説明しましたが、労働省所管になつておりまして、実は私共の管掌の限りではないのであります。内容はまあ一般の、先程から申上げました非常に簡易な仕事使つておりまして、私の最近見学をさせて頂きましたのは、学校の校庭整理とか、下水の浚いとか、道路の草むしりとか、そういつたようなところをやつておるようであります。東京に関しては……それから更に赤木さんがおつしやいましたのは、実はまだそう公表もできませんけれども、私の所では、北海道からも、各府縣ですね。相当程度都市に至るまで安本としては若し失業者が出て來て、どうしても直ぐ仕事をやらなければならんというような場合には、どういう仕事を取上げるかというようなことを非常に細かい地区別に調べてここに持つております。併しこの仕事が甚だ適当なりや否やということはまだ非常に疑問の余地がありますが、一應最近皆寄つてこういう調べをして、更にこれを今後練つて行くつもりで資料は整えておるわけであります。
  49. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 赤木委員のさつき話されたことは私共も同感でありますが、それとは別な話なんですけれども、水力電氣のさつき員数が出ましたね。これは三一・五%で非常に人員が少いように思うのですが、予算は幾らになつておりますか。予算に対する人員……
  50. 高野與作

    説明員高野與作君) 逆轉して行きますと、総工事費の一人当りの割合は二十六万四千円になるのです。そうしますと、それを四万五千倍して見ますと、第一年度がそれくらいの金、百二十億ですか、第一年のが……。尚これは余り正確ではありませんから、改めて又詳細なところを御報告いたしたいと思います。    〔委員長退席、理事島津忠彦君委員長席に著く〕
  51. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 更にちよつと、これは外の話、脇道に入りますけれどもお伺いしますが、この水力電氣の、最近向うから言つて來て発電していいというあの費用は見返資金から出して行くのですが、それは結局会社の負担になるのですか、國費が廻つて行くことになるのですか、どうなるのですか。
  52. 高野與作

    説明員高野與作君) 今認可になりましたのは、日発関係ですから……主としてですね。
  53. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 そうすると日発の……
  54. 高野與作

    説明員高野與作君) そうすると日発に融資することになりますね。
  55. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 結局日発の借金においてすると、こういうことになるのですか。
  56. 高野與作

    説明員高野與作君) 日発でないのも含んでおります。縣営の大分縣とか、宮崎縣、岐阜縣というような……
  57. 堀末治

    堀末治君 ついでにもう一つお尋ねしますが、今原口君から出た同じ質問ですが、さつきの一割の利子ですね。見返資金というものは全部その一割の利子を拂うということになるのですか。
  58. 高野與作

    説明員高野與作君) 今のところそう言つております。
  59. 堀末治

    堀末治君 新聞にも大藏大臣とそういうことが協定になつたということになつてちよつとその辺我々明瞭でないので、出発点と少し違いがあるように思うのですが、いずれ大藏大臣に聞いて見ようとも思つておりますが……
  60. 高野與作

    説明員高野與作君) 関係方面のおつしやるのは初めから一貫しております。これは企業として採算が成立つものであるということが一点と、それから而も國の経済復興に非常に重要な企業である。こういうものに貸してやる。こういうことになります。それですから採算が成立つということが第一点だし、それから経済復興上非常に役立つということが第二点になりますので、採算が成立つということは、恐らく採算の成立たないものを、例えばこの建設事業の中にいたしましても、建設事業と名の付くものは、たとえ國が補助をいたしましても、恐らくこれは大きな目で勘定すると、私は採算が成立つものであると、こう思います。
  61. 堀末治

    堀末治君 そうすると、要するに利子は一割取るし、元金もいつかの期間には償還しようと、こういうのですね。
  62. 高野與作

    説明員高野與作君) そうです。
  63. 堀末治

    堀末治君 そうですか。元金償還には年限が付くのですか。事業によつても年限が付くわけですか。
  64. 高野與作

    説明員高野與作君) そうです。大体年限が付くらしいのです。そうして無制限ということはないらしい。例えば最も長い事業は十五年ぐらいとか、十年とか、或いは三年くらいで返せというような條件が付く模樣です。從つて、そういう採算がとれて立派なものなら、銀行でも喜んで借すではないか、こういう意見も成立つわけです。何もそういう面倒な大変な手続を経たものよりも、一割の利子を拂うなら、もうちよつとのことで銀行も採算の成立つものなら貸すんじやないか、こういうふうにも考えられるのです。
  65. 堀末治

    堀末治君 それで、それを貸す相手は誰になるんですか、借りる相手は事業をするものですか。
  66. 高野與作

    説明員高野與作君) 見返資金特別会計というものです。
  67. 堀末治

    堀末治君 そうすると政府ですね。
  68. 高野與作

    説明員高野與作君) 政府です。
  69. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 私もどうもその見返資金というやつは訳が分らんのですが、結局あれは千七百五十億は今の政府が勝手に使えるという金であつて、それで政府が貸すというわけになるんですか。何だか訳が分らんのです。一つも……
  70. 高野與作

    説明員高野與作君) まあ非常に分らんものです。
  71. 堀末治

    堀末治君 まあ呉れてやるという話は聞かないけれども、援助するという話は聞くが、呉れてやるという話は聞いておらないから、その辺はちよつと分らない。
  72. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 どうですか、公共事業は幾らか取上げられそうなんですか。失業救済事業として、その見通しはどうなんですか。用意しておられるもので取上げられそうなんですか、失業対策事業として……
  73. 高野與作

    説明員高野與作君) 見返資金からですか。
  74. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 ええ。
  75. 高野與作

    説明員高野與作君) 今申上げたように、その辺は交渉の過程ですが、なかなかむずかしいようです。
  76. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 原則があるから。
  77. 高野與作

    説明員高野與作君) 併しその中で、例えば農業のごとく農林中金を経て、まあ貸してやるというようなことは、案外理窟が立つようですが、利子が高過ぎて、利子の点で、農業事業なんかはとても一割の金を借りたのでは話にならん。ここらは事業種類によつて少し変えて貰わないと、それも例えば造船が一割ではどうもならんからというので、五分五厘くらいにどうかという折衝も、特殊の事業についてだけ考えるというわけにはいかんというようなところが今の段階です。これは今後どうなるか分りませんけれども……
  78. 島津忠彦

    ○理事(島津忠彦君) 外に御質問ありませんか。如何でしようか、午前中はこの程度で休憩いたしたら……    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 島津忠彦

    ○理事(島津忠彦君) それでは午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩    —————・—————    午後一時二十七分開会
  80. 島津忠彦

    ○理事(島津忠彦君) それでは午前に引続き開会いたします。  建設大臣がお見えになつておりますので、先般の台風並びに豪雨につきまして政府の御所見を伺い、尚且つ失業対策について政府のお考えになつておりまするところを御説明願いたいと思います。
  81. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 六月以來の台風につきまして先般当委員会におきまして、その当時までの政府のこれに対する應急措置、その他のことに関連して御答弁を申上げたのであります。その後御承知通り七月の下旬になりまして、ヘスター台風或いはイルマ台風というようなものが起りまして、相当に被害を蒙むりまして、ヘスター台風については御承知通り三重縣に上陸しまして敦賀湾へ拔けたのでありますが、そのために三重縣と特に京都府において相当の被害を蒙むつたのであります。詳細の数字についてはまだ十分の調査はできていないのでありますが、大体四十億を突破いたしておるという見通しであります。先般のデラ台風並びにフェイ台風の際においては、政府は御承知通り取敢えず應急の措置といたしまして予備金から十億の融資をいたして、被害のあつた各府縣に対して交付いたしたのであります。そうして更に第三・四半期並びに第四・四半期の公共事業費中から災害復旧費を除いて他の公共事業費から取敢えず十二億円と差繰りいたして、そうしてこれに対する應急措置を講じておるのであります。この配分等については急速に各府縣に割当をいたすべく今事務的の手続をとつております。最も近い機会において交付することができると思うのであります。そうして今月中に來るべき九月等の台風に間に合うように地方へ交付して、應急的の被害箇所に対する復旧に努める考えであります。先般も申上げました通り、本年の予算には御承知通り予備費等がございません。從つて台風等の災害が起りました際においては、その都度何らかの措置を講じて、應急措置を講じなければならんのでありまして、今回は只今申上げたような措置を取つたのであります。尚ヘスター等の災害に対しましては、目下鋭意これに対する應急の措置を講ずべく努力をいたしております。まだ閣議等において確定いたしておらんのでありまするが、事務方面においては、急いでこれに対する融資の方法を講じようというので、今鋭意努力をいたしております。更にこれは言うまでもなく應急的の措置であります。緊急の措置でありまするが、そうして又乏しい五百億という公共事業費から支出をいたすのでありまするから、これに対しては、公共事業費の差繰りを元に返すことは、もとより今回の六月以來の台風の損害は相当金額に上るのでありまするから、これに対しては政府といたしましては、來るべき臨時國会において補正予算を提出いたすべく努力をいたしております。    〔理事島津忠彦君退席、委員長着席〕
  82. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) これは災害の原状回復である。そうして今回の台風の災害地は御承知通り、昨年、一昨年等の台風に見舞われなかつた土地であります。九州のごときは御承知通り最近の台風は、昭和二十年と記憶いたしております。支して大体災害の地区といたしましては原状回復済みの箇所であります。そうしてそれが不幸にも災害の点は、すでに回復せられた箇所が今回の台風に侵されて、見舞われて莫大な損害を蒙むつたのでありまするから、ひとり單に災害が起つたから、それに対する復旧をしようということでは、どこまでも今日資源の乏しい我が國において、極端な言葉で申しますと、災害亡國というようなことになるのでありまするから、元をはつきり治めるという建前から、治山治水の方面に今後主力を盡して参りたいと思うのであります。從つて先般閣議においても、新たな予算編成の方針といたしまして、國土資源の開発維持、治山治水というところに重点を置いて、今後根本的に、單に災害の復旧をするに止まらず、進んで元を治めるという立場から、治山治水の方面に努力をいたして参りたいという方針を決定いたしたのであります。建設省といたしましても、この方針の下に各河川について河川ごとにその特色を見出して探究いたして、根本的の治水計画を樹立いたすべく努力をいたしております。御承知通り、利根川外九河川については、すでに大体の計画が治水調査会でありまするか、この御努力によつて二月の末において決定いたし、今その線に沿うて計画を立てつつあるのであります。やはり今後予算の上から見て相当金額を治水の方面に廻して、そうして根本的に治水をやつて行きたいという考えを持つております。尚失業対策の問題でありますけれども、これは私の所管ではありませんが、政府といたしまして共同の責任があるのであります。これに対しては目下種々研究をいたしております。特に私所管に牽連いたしております関係上、地域的に考慮いたしまして、都会附近の道路の方面とか、或いはその他の建設事業の方面に予算或いは見返資金の一部を割いて、そうしてそこに労働力、即ち失業者吸收して参りたいという案を立て、又それぞれ研究交渉中であります。併しながら現在までの見通しでは、まだこれではつきり道路を幾らとか、或いは河川方面をどれだけというようなことを明確な数字を以てお答えする時期に到達いたしておりませんことは誠に遺憾でありますが、折角失業対策と睨み合せて建設事業を実行いたすべく努力いたしておる次第であります。
  83. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 治水事業その他建設関係事業で、よく大臣が御苦心していらつしやるのは了承いたします。今お話のありました利根川以下の大きな河川に一應の計画をお立てになつたこともよく了承いたします。私のお尋ねしたいのは、この前の國会におきましても、建設省でそういう審議会、例えて申しますと治水事業、或いは道路事業、或いは都市計画、これに関する審議会ができます場合には、若しもその委員となることが、公務員その他の線で不可能の場合には、少くともオブザーヴァー、そういう形において、この委員の者、或いは衆議院の建設委員の者、そういう方々がやはりその計画に関係なすつた方が議事を円滿に進行する上からも、又参議院、衆議院、國会としての委員会の機能を発揮する上からも至当であるということを考えて來たのでありますが、これに対する実際はどういうふうになつていますか、これを承わりたいと思います。
  84. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 各省設置案に認められました法律上の審議会、或いは調査会というものを原則として、原則ではございません。参衆両院の國会議員をこの委員に、オブザーヴァーになつて貰うということはできないのであります。ただ官制上ではなくして、各省設置法案ではなく、いろいろ内閣その他各所において審議会とか、或いは調査会というようなものを設置いたします、設けまするが、その際においては何と申しまするか、オブザーヴァーというような形で参衆両院のその道のエキスパート、或いは委員長というような各位にはオブザーヴァーとして絶えず出席いたして貰う、鞭韃をして頂くということにしております。建設省といたしましては、都市計画局の災害復興委員会とか、都市計画の審議会には参衆両院の議員諸公にオブザーヴァーといたしまして参與いたして貰つておるのであります。官制上にはこれは認めることができないようでありますから、各省設置法に規定してあるもの以外のものには建設省といたしましては現にオブザーヴァーとして参與して頂いておりますのみならず、今後さような委員会、審議会等ができますれば、必ず参衆両院の各位にはオブザーヴァーとして参與して頂くようにいたしたいと存じております。
  85. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今大臣の御説明でよく分りましたが、この点についてもう一つお願いして置きたいのは、最近私共の手許に参りました総合計画のこの審議会と申しますか、委員会というか、それが参りました、それについては全然衆参両方共、参議院のこの委員会の者は関係してないのであります、でありますから、今大臣の言われたと同じ趣旨におきまして、なるべくそういう委員会にも今後参議院なり、衆議院の委員会関係の者、或いはその他の者でもなるべくオブザーヴァーの形でもいいからして、それに関係させるという、そういうような御方針をお取り願いたいのです。現に私は利根川初め十一河川が審議された結果を見ました。その結果を見ましても、その審議の報告だけでも不満足であり、十分審議されていない部分が多々あるということを発見しております。ここでは具体的には申上げませんが、そういう関係上もありますから、やはりなるべく関係させるようにお取計い願いたい、こうお願いして置きます。
  86. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 私からも今の問題をお尋ねしたいのですけれども、國土計画の樹立といいますか、或いは総合開発の計画、そういうことは政務に属するものだと一應は考えております。いわゆる行政面の枠であると一應は考えておりますけれども、例えば今問題になつておると思いますが、只見川の開発問題、熊野川の支川の北山川の開発問題、こういう問題は水利権の使用を許可するということは行政面だと思います。併し水利権を使用することを許可する、許可したために國民にどういう影響を與えるか、又その地方にどういう関係を持つかというようなことは、すべてが私は行政権ではないと思います。やはり立法府として相当に関心を持たなければならない事柄じやないかと思います。私は最近建設委員会から熊野川の支川の北山川流域に参りました。その参りました理由は、あの附近から本委員会に請願書が出まして、その請願書は北山川のダムの建設に反対の請願でございます。併し私はこの委員会におきまして、この請願書を採択することは本委員会としては何らの知識がない。ダムの建設されるということも聞いていない。計画も聞いていない。ただ反対の請願だけ出ておるから、これは一應保留して、そうしてこの委員会として現地を見たらどうかということを提案いたしまして、本委員会から現地を見たわけであります。それで現地に参りまして、実際を見ますと、非常に陳情を受けまして、或る村に行きますと、二百名以上の村民が集まりまして、そうして、極端に申上げますと、命を賭してでも反対するというような空氣なんです。そういうようなことをやつておられることは、私共は國民の代表として、それを一つの行政権であるとして見逃していいかどうかということに私は非常に疑問を持つております。そういうふうな事柄を我々に一つも知らしめる機会をとられない。これは憲法の解釈上、いわゆる行政組織法の解釈上当然そうだとおつしやれば、それまでだと思います。併しそういうことをなさることが、我々國民の代表として出ておるものに十分なる責任を持ち得るようなやり方であるかどうかということに私は非常な疑問を持つております。私共はやはりそういうような総合開発、いろいろな問題につきましては、本委員会が権限を持つておりますので、相当に深く突根んで進んでいいのではないか、ですから例えば只見川の開発問題、或いは北山川のダムの問題も本委員会で取上げて、場合によれば会社方面の計画、或いは縣あたりの計画、こういうものを本委員会で本式に調べたらどうかというような私は氣持を持つております。併しそうすることが行政権に入つて行く虞れがありますので、これは差控えておりますけれども、本委員会で先程赤木委員が言われましたように、國会委員会は行政組織法上委員になれないのだということのみで、國会委員会を恰もシヤットアウトされたような感じだと思います。私は新憲法の精神から行きまして、無論そうなくちやならんと思いますけれども、そうなりつつあることが、恰も政府がおやりになる審議会には國会の各種の委員会は全然シヤットアウトされておるというような私は形になつて行くんじやないかと思います。そうすることが行政権と立法権との画然たる判別ができまして、非常にいいかも知れませんけれども、併し私が考えますのには、私共がやはり行動する上に非常に不便が多いと思うのであります。ですから仮に憲法上或いは行政組織法上、そういうふうなことがありましても、こういう点について政府は今少し國会委員会を何と申しますが、本腰を入れて委員会にも知らしめるということを私は切望いたしまして、この問題について私の意見を申上げて置きます。
  87. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 御趣旨はよく伺いまして、努めて只今の御趣旨に副うように努力いたします。
  88. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一つ大臣に質問したいのですが、質問の前に、建設省から配られた資料簡單説明して貰つて質問に入りたいと思います。それは昨日も僕が要求して置いた資料数字なんです。災害がどのくらい残つておるかということに数字を二枚頂いておりますが、よく数字が辻褄が合つていないように思います。それで明確に簡單説明して下さい。
  89. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 二枚今日差上げてありますが、沢山書いてある各府縣の表は二十三年度災害が現在どのくらい支出済みであるかという二十三年度災害進捗状況を現わしておるものであります。それでこの表は総事業費でやつておりますから、國庫補助の額とは違います。それから第二表、もう一方は國庫補助……
  90. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 第一表は二十三年度だけですが、それ以外は含みませんか。
  91. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 二十三年度だけです。あとは含みません。
  92. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると、四百五十三億ですね、総事業費は……。分りました。もう一枚の方を御説明下さい。
  93. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) もう一枚は補助金で國庫で出すべき金を計算しております。それで二十二年度、二十三年度災害に対する府縣國庫補助を出しておる支出の状況の調べであります。そこでこの表にあります通りの二十二年度災害に対しては、二十二年度において一〇%、北海道においては二〇%、平均一一%、それから二十三年州に國庫支出したものが……二十二年度災害に対して三五%、北海道に対して四六%、平均三五%、二十三年度災害において八%、北海道七%、地盤変動対策は一七%、平均九%、それから二十四年度國庫補助支出の見込、これは本年度において例の予算で八十三億支出する。それは結局本年度多分出しますと、二十二年災害に対して一九%、北海道に対して七%、平均一九%、二十三年災害に対して二〇%、二六%、一五%、平均二〇%ということになります。最後に残りますのは二十二年災害が三六%來年度残ります。北海道の災害が二七%、平均三五%残ります。それから二十三年度災害は七二%、いわゆる七割以上残るわけです。それから北海道災害が六七%、地盤変動対策その他というのが六八%で、結局平均して七一%の災害が尚來年度に残るということであります。
  94. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 勘定が合わんでしよう。二十三年度に対して百四十九億、そうすると進捗している額と、あなたの方の二十三年度に対するものは三十二億、二十四年度に七十億と、約百億支出済だということですが、僕はこういう資料、こういう不親切な資料を、お役所的なものを配られることを非常に遺憾に思います。僕は昨月二十二年度仕事がどれだけあつて、それがどれだけ回收されて、どれだけ手付かずに残つているかということ、それから二十三年度についても同樣そういう災害が復旧されないでいる。それで復旧された部分と復旧されない部分をはつきりして、その全貌を今日大臣に質問したいから明らかにして欲しいというのに、両方の貰つたのを見ると甚だよく分らんですね。先ずこちらの方について言うと、事業費がどれだけだということが全然明らかでない。國庫補助額が分り難いし、ただお役所的な不親切な表が並べてある。それから片一方の余計書いてある表を見ると、総工事費が出て來て、その次に総補助費が出て來ていて、それで三つ目の欄には進捗額が出て、結局この三者の関係が総工事費なら工事費を明らかにして、補助費を明らかにして……そうして三つ日の欄というのは何ですか。これは何を現わしているのですか。
  95. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) これは総事業費と國庫補助との両方の表が書いてありますので、ちよつと間違い易いのですが、國庫補助のために、三分の二の國庫補助ですから、これに三分の一加えれば総事業費が出ます。それからここの各府縣の表も同じことで、四百五十三億の総事業費の三分の一が三百十三億になつております。補助額が……。そこでここに例えば二十三年度災害と國庫補助額三百二十億と言いまするのは……
  96. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 事務当局の報告については、僕は大臣の行かれたあとで更に出し直して貰うように話をしますが、今度の四國の台風は建設関係で二百二十億五千万円、農林省関係が百五十三億七千万円、これはいずれも昨日提出されたものです。寄せまして三百七十四億二千万円の災害です。それで建設大臣だけの話を聞いておると、如何にも土木施設に対して現を十二億円の公共事業費を持つて行き、これに対して十億々々と言つておりますが、これは正確でないので、十一億五千万円の融資を配慮しておられるというので、聞いておると非常に大変な心配をしておられるように聞えるのです。ところがこの十二億という、公共事業から出そうと考えておられる十二億は建設関係の土木の災害だけでなくて、これには農林省の災害も含んでおるのです。つまり三百七十四億円からの災害に対して、僅か十二億円というような公共事業費を出して一体大臣はどうしようとするのか。何の顔ばせあつて國民に対して建設大臣であると言つて責任を取ることができるか、科学的な御答弁が願いたい。僕は先ず第一にそれを聞きます。
  97. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) ヘスター台風までの土木に関する災害の計数はまだ私はつきり承知いたしておりません。大体デラ台風以前の本年の春以來の出水、その他最近までの台風で、私も数字ははつきり持つておりませんが、三十億程度、デラ台風以前の災害、北海道の雪どけ災害等を加えまして三十億程度の損害になつております。その後デラ台風で百二十四億であります。それにフェイ台風で約十億と承知しております。更にヘスター台風のいわゆる損害、これが四十数億であります。それだけ総合したものが結局本年春以來の最近までの土木に関する災害金額になるのであります。これに対して北海道のごときは補助ではありませんから金額は違つて参るのでありますが、大体三分の二の助成金を出さなければなりませんから、十二億のうち、建設省といたしましての土木災害に対する助成金は八億二千万円であります。これは最初は露骨に、率直に申しますと九億だつた、そこにあとになつて鹿兒島縣と宮崎縣で港湾が非常に傷んだのであります。その方面へ三千万円を割愛いたしたので、建設省といたしましては八億八千万円であります。これだけの、而もこれは災害費を除く、先程申しました公共事業費を差繰りまして出しておるのであります。そうして又この金額ではヘスター台風までの全部を含めますると、もとより不足であります。大体十二億の数字を決定いたしましたのはフェイ台風までの、そうしてまだ被害は鹿兒島、宮崎等は非常に大きいということは承知いたしておりましたが、数字の上でまだはつきりいたしていない際に、取敗えず十二億というものを全災害に対して支出することに決定いたしたのであります。私の所管の復旧費といたしましても、八億八千万円ではもとより不十分であります。不十分でありますから、只今申しました通り、できる限り早い機会において取敢えず應急的の金融措置を講じなければならんというので、今懸命に研究をいたしておるのであります。どれだけの金額に達しまするか、これは融資の方面であります。尚今私共の考えておりまするのは、御承知通り予備費等がありませんから、更に第三・四半期、第四・四半期の分を差繰つてつたらばどうかという考えも持つております。いずれにいたしましても、これだけの僅少の金では心許ない次第でありまするから、急いで補正予算を作つて、そうして補正予算に相当金額災害費を見積つて、そうしてそれに対する復旧をやりたいと思つておるのであります。これだけの金額ではもとより足りません。私の所管分だけでももとより足りないことは承知いたしております。できる限り速かに多くの予算災害復旧に振向けるべく努力をいたしておるのであります。
  98. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 足りないということは、もう少し多いことを言うのであつて、約四百億に近い三百七十四億に対して僅か十二億のやりくりを付ける。まだその処置さえも付いていないような政府のやり方、それで資料が不十分ですが、少くも三百億くらいの昨年の残工事がある。二十三年以前のものを寄せますと、約七百億くらいの災害が残つているのです。その残工事については、ともかくこれについては百億出しておられるからよろしい。併し新たに発生した、つまり序の口なんですが、これからまだ災害が続いて起きるのですが、取敢えず今まで起きた約四百億に近いものを僅か十二億ばかりでは乏しい。折角努力するとかいうようなことを言うのは、余りに國民に対して建設大臣としての責任が果されていないと思うのです。多いとか少いとかいうのは、もう少し余計出してから言う話で、三百七十四億の損害に対して十二億ばかりの金を出して多いとか少いとか言う……それではどのくらい出すつもりで予定しておるのですか、要するに建設省というのは科学的な技術的な建設省でしよう。だからどのくらい復興すれば、どの程度國民に対して科学的な責任が取れるか、國民は言葉の上の責任を求めておるのでなくて、実際の責任を取つて貰いたいということを要求しておるのだが、このような三百七十四億に対して僅か十二億を今のところほぼ決定しておるが、これから先どのくらい出して科学的の責任をあなたは國民に対して取ろうとされるのか、一つその見通し、腹の中を見せて貰いたい。数字的に……
  99. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 今どれだけの金を出すか、それはお答えできません。でき得る限り多く出して、そうして少なくとも緊急な箇所を復旧いたしたいと存じております。
  100. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると、数字的にいつ頃明言できるようになるのですか。
  101. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 予算編成する金額を閣議において決定したときに初めて明らかになります。
  102. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 いつ頃の見通しですか。
  103. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 今その見通しは分りません。折角予算編成の方針を決定いたして、そうして通常國会でありますか、常会と申しまするか、その常会に提出する予算、又続いて臨時議会に提出すべき補正予算、これは各省において今鋭意纒めております。それを大藏省へ出して、そうして閣議で決定いたして初めて確定いたすのであります。
  104. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 その点はその程度にして置いて、第二の質問をいたします。この十二億円を既定予算の僅かな予算、五百億の、有名に僅かな五百億の予算のその範囲内で、五百億というと非常に多いようだが、河川関係は百七十ばかりですが、そういつたものからやりくりをするというふうに言つておられる。これは僕が前の予算のときに、第五回國会のときに、一銭も予備費を持つていないと、災害が発生したときにどういう処置を講ずるつもりなのかということを僕ははつきりと念を押したら、それはそのときに直ちに予算措置を、改めて國会を召集して予算措置を講ずると言われた。ところが僕は災害というような緊急な事態に対処するためには、そういう余地はないじやないか、必らず予備費というものを持つていなければいかんじやないかと言うのに、そのまま持たないで來られた。果せるかな十二億を既定公共事業費のやりくりで進もうとしておられるようであるが、果してそうであるかどうか、災害に関しては相当額増額、新たに増額するつもりなのか、もうすでに絶対的な不足を示しておるこの五百億の中から、外の費用その他を圧縮して、足りないものを尚圧縮して、その中からひねり出そうとしておられるのが、その点はつきり御答弁願いたい。
  105. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) これは先般からたびたびお答え申上げました通り災害費を除外をいたしておりまするが、他の災害費を除く公共事業費も、いずれも必要なものであります。從つて今回災害が起つて、これに対する処置を講じなければならんのだ、取敢えず第三、第四・四半期からの公共事業費から差繰り出したのでありまするから、而も差繰りせられた事業は、いずれも緊急な事業であります。故に私は仮に私所管の第三・四半期、第四・四半期の公共事業費から差繰りすると仮定いたしますならば、私は適当の予算の措置において事業に不足のないようにして参らなければならないと思つております。即ち今回の災害に対してはどこまでも補正予算を要求いたす、災害費に対する補正予算を要求して御審議願おうという考を持つております。
  106. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 補正予算と言われるもは、もう一遍はつきりさせて置きますが、既定の公共事業はそれによつて影響を受けることはないということを、はつきり大臣は答弁せられたものと了解してよいのですね。
  107. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) これはたびたび申上げます通り、私の所管の、仮に道路なら道路と仮定いたしましよう。その第三・四半期、第四・四半期が差繰るものとしましたら、これは露骨な言葉で申しますと、返して貰わなければならないと思つております。從つて補正予算として災害費を別途に考慮して貰わなければならないという考えで、又強く災害復旧費を私は要求しております。
  108. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それではもう時間もあれのようですから、僕はこの次の委員会に対する大臣に対して希望を予め出して終りたいと思います。答弁いりません。要するにこのような莫大な水害、これは前からのやつを完全に復興しておられないというところから起きておる分が非常に多いので、この点を大臣の行かれたあとで事務当局と論議しますが、この点を含めて全体として一体國民に対して壊れて行く河川、農地を大臣としてどういう根断を以て護つて行くのか、大臣としてもそれを護る、こういう成算があるとか、或いは成算はないのだ。ただその日を送るのだとおつしやるならそれでもよろしいし。そうでなければ、どのような根拠でそうような僅少な金でやりくりを付けて行くのか。又技術的な、科学的な準備を以て一つこの次の委員会には、はつきり我々が納得できるような一つ政治的な責任を持つた答弁が頂きたいということを今からお願いして置きます。
  109. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 農林大臣が來るまで時間がありますから、どうぞ……
  110. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は河川関係一つ出直して來て貰いたいと思うのだ。こういう訳の分らない数字を出さないで、君達は一体建設の責任者として、僕はこれを昨日初めて言つたのじやない。前の第五國会のときから繰返し繰返し河川局に要求しておる。君達は河川局の責任者として、責任あつたら資任ある数字を出すように練習して貰いたいと思う。どういうふうに二十二年の災害の日本の國土が傷んで、それが幾ら傷んで、どれくらい復興できておるか、二十三年度はどれだけ傷んだものが、どれだけ國庫補助として或いは縣負担としてできたか、責任のある数字を全部を見せて貰いたい。僕はそのくらいのことを知つて置かなければ日本の河川局を預かるとは言えないと思う。中小河川に至るまでどういうふうに破壊して行つて、そのうちどういうふうに年々復興しつつあつて、そのうち新たなる災害があつた箇所はどこで、それで前に復興すべきものを復興しなかつたために、更に大きく壊れたのがどういうふうにあるかということを、直ぐ分らなければ、取敢えず分つておる程度を、こういう何だか訳の分らない数字でなしに、大体二十二年度、二十三年度、而もできれば……できればでなくて、金を物價指数に換算して統一的な指数で出して貰いたい。というのは、一昨年の一億という金と、去年の一億という金と、今年の一億という金は大部違う。ただ滅茶苦茶に出されても正しい概念を掴むことはできないと思う。だから一つ実力のある資料を……。でないと河川局は僕の望むような資料を持つていないのじやないかというふうに思われるのです。持つていたとすれば、一つ分るように出し直して貰いたい。これを希望します。
  111. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 今御註文がありましたが、これは金額の要するに指数で行つておるわけですね。大体残つた予算が來年度に幾らあるかということの表を一應出したのです。仕事の進捗はこれと関係がないのですね。ないということは、これだけの予算支出だけで府縣がこの通り仕事をしておりましたのでは、次の災害に対処することができない。縣はやりくりをして無理をして、或いは地元の負担に形で仕事を進めておることは事実なんです。進捗率と支出額のバランスが取れないので変てこな表ができる。これはもうはつきり現われて参ります。兼岩議員の要求されるのは、表に出ました予算支出の状況を要求されるのか、実際どれだけ仕事が進捗されておるかということをあれされるのか、その辺のところが一つの進捗という建前から言うと二つの考え方が出て來るわけです。それでそれならば進捗がこういう形になつて進捗をしておるという事実をはつきり捉えますると、予算的にこれ以上の仕事をやつておることが、各府県で如何なる形においてこれを支出しておるのかというところまで我々は立入つて行かないと実態が掴めないんです。それからもう一つ、これは御承知通り災害復旧というのは継続的な事業であります。その月々の工程を掴まえても、これはなかなか掴まえ切れるものではありません。毎日々々変つて参ります。そこで或る点で工程を掴みますが、この工程を掴んだときにこういう問題が出て参ります。すでに工事を着手をしておりますものが相当沢山ある場合に、これが工程にどういうふうに考えを入れるかによつて、これがもうまるで違う形になつて現われて参ります。そこでそういう入れ方を、支拂義務を生じたものは、すべて工程と考えるならば、もつともつと或いは進んでおるのではないか、極端に申上げますと、或る縣においては請負人に対する將來の支拂の行爲を、支拂義務を生ずることが分りながら、予算繰りをやつて主力を相当にこれを傾注しておるという事実もあります。そういうことを考えて見ますると、本当の進捗ということが、ここで実態を握れるか、或いは縣自身さえもこれは握れないというのが現状であります。全國的に見て本当の形を握ると、こう言われましても、恐らくこれは毎日変つた数字であります。そこで結局我々がはつきり握りますのは、この表に載せておる予算支出と、府縣が出しておる支出金額と、これはもう正確に握れるが、これじや工程の実態を掴めない、本当の工程はこれ以上にもうちよつと進んでおる。そうでなければ、この次の支出まで府縣は茫然としてこれを見ておるわけで、貰つた金だけで支出しておるということになりますと、知事、土木部長の立場が苦しい。無理をしても地方農民のためにはいろいろの形で仕事をやつておるということは事実であります。これだけ申上げた置きます。
  112. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私はこのことを諄く前の第五國会のときから河川局でなくて住宅に対しても要求しておる。そこで今日は河川災害の問題なんだが、今僕は日本は重大な段階にあると思うんですよ。河川関係は……。將來諸君は國民から非難の対象になるべき立場をとつておる。今年から來年にかけて手の着かないような方向に進んで行くべき責任当局なんだ。その責任のよつて來るところは、諸君に罪があるのじやなくて、私は大臣に言つておる通り、三百億、四百億という破壊に対して、十億とか、二十億とか出すというような、こういうやり方をしておるところに根源がある。根源はそこにある。ところが事務当局は、而もそういうことは今年始まつたことじやなくて、一昨年あたりから段々ひどくなつて來て、一昨年、昨年、今年というような加速度的にそういう状態になつておる。その状態数字的に國民の代表の前に明らかにするということが私は事務当局の義務だと思う。そういうことができんようなものは事務当局とは言えないと思う。諸君は局長以下、私に言わしむれば、本当に眞劍に將來の大破綻に対して、現在すでに始まつておる大破綻に対して明確な專門家としての責任を明らかにするような数字一つ國会へ出して貰いたいんです。二十二年度は國庫補助で正式にこういうものがどれ程できたとか、或いはその他のやりくりで何とか押し付けたものはどれくらい、破壊部分はどれだけとか、一昨年の指数に極く簡單に現在の指数をかけて、これくらいの、今の金で言えばこれだけ、昨年も同樣というようにして、一つ大体眞実に近いものの全貌を我々に一つ明らかにして欲しい。そうしなければ話にもならんと思う。議論して見ても十億とか、十二億とか出すということを大臣と話をして見ても、それが破壊されたものに対してどれくらいの分量に当るかということがはつきりしなければ、技術的な、科学的な論爭にもならんと思うんです。それでこの次の委員会があるときは、又次の災害が起きたときになるか、恐らく來月頃起きるのじやないかと思うんですが、取敢えず建設省の持つておられる資料だけでいいですから、推計で、そう徴に入り細を穿つた神経質な意味の僕は数字を求めておるのじやないが、大体を誤まらない数字で、一般災害関係がどういうふうになつておるということを、全貌を見せて貰いたい、これをお願いいたします。細かいことを言うと、この資料つて見ようがないんですよ。例えば総工事費が四百五十三億と言うんでしよう。それで総補助費で三百十三億でしよう。その下の欄に二十四年六月末までの進捗額が百四十九億となつておる。百四十九億と三百億寄せると四百五十幾らになるでしよう。これはだから違うでしよう、総補助費でなくておかしいでしよう。
  113. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) そうじやないんです。四百五十三億の総工事費で、補助が三百十三億で、工事の進捗額が各府縣で百四十九億、從つて百四十九億は四百五十三億の三三%に当る、こういうことです。やつと三三%できておるのだ、こういうのです。これは支出額ですから、実際は五〇%できておると我々は考えております。たまたま総補助額を入れたもんだから、こんがらつて來たので、これは書かなくても分るのです。
  114. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 つまり百四十九億というのは四百五十三億の三三%だということですか。
  115. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) そうです。
  116. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 私はこの十二億とか、それから六億とか、八億といつておられるのは、十億融資をし、二十億を第三・四半期から融通するのだということを昨日からやつておられるのだが、これはいろいろ議論があるのですけれども、私は取敢えずそれだけ出したならば、個々の破壞箇所に何とか目鼻が付く、早急に出すものだ、こう解釈しておる。そうしてあとは今までのやり方のように、三ケ年なら三ケ年にその災害復旧を完成するような支出をされるものだ、こういうふうな私は解釈をしていたが、それで差支えありませんか。
  117. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 非常に今度の支出が少ないので、これが災害の支出に対する全額であるかのごとくお考えになつており点があるのですが、今度支出いたしましたことは、恐らく未だ曾てない前例を破つたことだと我々は考えております。と申しますのは、災害が起きましてから、昨年もそうでありますが、補正予算をやらないうちは予算を出さなかつたのであります。その間二ケ月、三ケ月、或いは四ケ月という間、府縣の自力に俟つて應急復旧をしておつたというのが事実であります。ところが今年度に入りまして、府縣の自力に俟つべく府縣の財政が非常に窮迫しておるということがはつきりいたして参りまして、そこで放つて置けない。併し予算はない。その補正予算を待つには、九月になる、或いは十月になるという心配があると、事務当局としては、九月のうちに何とかして府縣に堪え得るだけの仕事をさせなければならないという責任のある立場なんであります。そこで非常手段として、九月の出水に間に合うだけの應急措置は何とか工面して金を出さなければならない、出してやりたいというので、いろいろ奔走した結果、今の融資の繰上げとか、窮余の策で起つた問題なんであります。そこでこれは一年間の予算を今年度災害復旧対策費として全額を要求するならば、もう少しゆつくり補正予算を待つべきで、待たなければ到底できなかつたのであります。併しそれでは今の現状に副わない、我々技術者としては、次に來る九月の水をどうするかということが先なんで、來年と九月以降のことは、その次でも我々は仕方がないということで考え付いたのが今度の行き方なんであります。併し恐らくこれは前例にない行き方だと我々は考えております。
  118. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 近いうちに又災害査定にお出しになることと思いますが、その際に査定官が査定して認められたものは大体それが補助対象になると、こういうふうに理解するのが今までのならわしであります。御承知通りに、昨年はそういうふうでお出しになつたのが、例の八十三億というので、非常に災害復旧費が狹められた関係上、又再査定をやつて、一旦認められたものの中で、特に必要なものだけをお認めになつたと、これも止むを得なかつたことと思いますが、併しただ困りますのは、地方に行つて見ますと、一旦災害査定で認められていたから、恐らく支出をされると思つていたのが、再査定の結果中止になつてしまつた。それがために非常に地方では困つておりますからして、本年査定にやられるときには、どういう御方針か知りませんが、実際止むを得ないもので、これはもうどうしても緊急必要を要するものというようなものをお取りになるか、とにかく一旦認めたものを又中止させると、こういうことを以て、地元の人々の困らないようにお考え願いたい。又そうされるのが当然だと思いますから、これは特に私は希望して置きます。又恐らくそういう御方針だと考えますが、念のために。
  119. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 皆さんにお諮りいたします。農林大臣は今陳情に接して、暫らくまだお見えになりませんが、政務次官が見えておりますから、農林省所管の昨日からの続議を、御質疑があれば一つ発言して頂きたい。農林大臣がお見えになりましたから、一つ
  120. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 簡單一つ災害対策の根本態度を解明して頂きたい。
  121. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 御承知のデラ台風以來、追つつけ引つつけ台風が参りまして、又最近へスターと申しますか、台風が來ます。非常に、局部的でありますけれども、近畿以西が相当荒れておりますので、損害の程度もまだはつきり調査ができておりませんが、殊に最もひどかつたのはデラ台風でありますが、これは関係各省が実地に調査に参りまして、凡そその状況も分つたのでありますが、まだ御承知通りに、台風の時期は九月に年々來ておりますので、取敢えず政府といたしましては、建設方面と協力いたしまして、取敢えずの対策を講ずるということによるの外途がないのであります。何分農耕の状況は、御承知通り、すでにあちらでは稻が出穗をいたしている向もあるのであります。又潮風等の関係で薩摩芋その他特殊農作物が全然駄目になつてしまいまして、後作も相当の雨がなければ、塩分が除去されないというような状態の所もあります。又森林等の荒廃によつて田地を埋没した箇所も、相当あるのでありますが、これにしましても、應急策として川の形を作り直すというような、建設方面の仕事と相俟ちまして、水の氾濫を防止し、耕地の維持に努めているような努力を地方的に図つておるのであります。併し何分にもこの時期が、こういう出穗時期を迎えておりますので、土砂埋没いたします、或いは一週間以上も冠水いたしているというような土地は、到底收穫を挙げる見込は全然ないのであります。從つてこの食糧の問題をどういうふうに考えて行くかということが差当りの農林省として力を入れて行かなければならん問題でありますので、この端境期を、この減收に対してどういうような処置をとつて行くかということを今考慮いたしております。この水害の跡は、外く概して病虫害の発生もありますので、農藥等の準備を更に拡充いたしますのと、昨年も相当発生して「めい」虫、「うんか」というようなことも考慮いたしまして、農藥の設備をいたしておるわけであります。併し林道或いは耕地の復旧等に対しましては計画的に数字を必要といたしますので、係官を派遣いたしまして、そうしてその損害の程度、復旧の計画等を進めて行きたいと、かように考えておるわけであります。こういう天候のために、これは風水害の災害ではないのでありますが、甲虫のごときは特に発生したのでありますが、二百町歩に及び稻熱病の発生により全然第一稻作の收穫を見ないというような場合もありますので、その善後処置に対しましても農林省といたしましては、できるだけその対策を早く決めて行きたいと、かように考えておるわけであります。
  122. 久松定武

    ○久松定武君 私は先般デラ台風後に参議院の方から災害地帶に派遣されまして、つぶさに被害縣を視察したものであります。そのときに感じましたことに三つの点があります。その一つは、私は建設委員として主として河川方面を視察したのでありまするが、中に農林省と建設省との間の密接な関係がある河川関係で井堰の問題があるのでありまするが、特に宮崎縣、鹿兒島縣方面におきまして、田に水を引くという関係から井堰を盛んに造つておるのです。その井堰が根本から今度の洪水によつて破壞されてしまつた。所によりますと、百町歩以上田地に水を引くことができなくなつてしまつたというような所もあるのですが、その設計というものを考えましたときに、例えばそれが縣費でできておる場合には、先ず土木部においてその井堰の設計をした、農地部関係においてそこの設計を更に直して、用水を少しでも多く取るというような関係上、予定よりも井堰を高く造つてしまつたというような関係から、そこの箇所は上つてしまつて、遂にその土堤を越して決潰しまして、本流は迂回してしまつて只今井堰が何ら役に立たなくなつたということを多数見受けるのであります。この井堰の問題はかねがね建設方面からいつても問題の点であるのでありまするが、今後におきまして、河川に対する井堰或いは堰堤のごときも、農林省とそれから建設省との関連性につきまして十分お考えを頂きたい点が多々あるように見受けたのでありまするが、大臣の御所見としまして、この点も十分に一つ今後御考慮を頂きたいし、又御意見も伺いたいのであります。  第二点は、今度参りますると、非常にいろいろと農地の問題につきましても考えさせられることがあるのであります、例えば今までの地質研究所なるものは、殆んど地下に埋沒されている鉱物等の資源を研究するばかりだ。而も通産省がその所管でやつておる。農地に対する地質の研究、農耕地に対する地質の研究というものが比較的に私の見ました目から見ると、研究が足りないというような感じを特に鹿兒島縣、宮崎縣の方面においては感じたのであります。昨日やはり委員会におきまして、農地局長に來て頂いて尋ねましたら、今までの地質に関する研究は実際農林省としても足りなかつた。非常に今度のデラ台風は考えさせられるということを言われておるのでありますが、あすこの地質から見ましても、いわゆる白洲という火山灰土の地質だ、思いもよらない風水害が今度は起り、先ず六十年來ないような大水でありましたけれども、意外な土地の崩壊を來した。又開墾方面におきましても、その計画が誤まつてつたというようなところから大損害を蒙むつておるような地点が幾箇所も見受けた。そういう点につきまして、私は非常に今度の点は農林省としても考えて頂かなきやならない点が多々あるように感じたのであります。その点につきまして、私は農林大臣に伺いたいと思います。もう一つは、これは所管の違う点ではありますけれども、今度災害地に参りまして非常に感じましたのは、我我建設委員としましては、第五國会におきまして通過いたしました水防法の関係についてであります。それは氣象観測に関係することで、この間政府委員が政府代表として災害地帶において頂きまして、その状況も現地の方々からお聞きになつたろうと思いますが、測候所等において天氣予報を出しましたけれども、その傳達方法がよろしきを得ない。非常に不備であるということを痛切に感じたのであります。そのために尊い人命を随分と失つておる例が多数あるのであります。例えば愛媛縣の例を取つて申上げますと、この氣象特報が発令されたのがデラ台風のときは午後四時だつた。それが現地の方面におきまして到達した氣象特報は、その後六時間以上もかかつておるような例であります。これは至る所にそういう例を私は聞き及んであつたのでありますが、それは國家警察本部等からその特報が行くという例もあるのでありますが、警察方面の電話が今はない。一般の電話と同樣である。從つてその通報が一般電話と同樣に取扱われておる。特報でなく一般の電話と同じような扱いを受けるというところに支障が非常に多かつたように思います。又台風の中心近くになれば停電してしまう。ラジオを聽くこともできないというような状態でありまして、私はこの点につきましては、特に現場におきましては、もつと電話の点においては格別の扱いをするということを嚴格にやつて頂きますれば、今後起る台風に対する人命等も多少我々は救われる点が多々あるだろうと、こう存じますので、この点は政府といたしましても御考慮を頂きたい。こういうことを申上げまして、私は自分災害地帶の実際考えましたものを述べた次第であります。
  123. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) お答えいたしますが、実地御視察を願いまして、その御感想につきましての御意見であり、お尋ねでありますのでお答えいたしたいと思います。この農業土木と申しましても、これが建設の普通の土木と技術の上において……これは私は農業土木というものは、とにかく土地の利用率を高めて増産するということを主体として考えておるわけでありまして、これは最近できました農業土木の観点からいろいろ計画的な研究が進められておるのでありますが、普通土木は、これはずつと以前から土木事業として建設の方面に力を盡し、又技術の上においても、いわゆる恒久的な立場から技術が行われておるように思うのであります。併し今日はこの普通木土と農業土木との調和の上におきまして、決して勝手氣ままにやつておるということは恐らくないと思うのであります。よく両者が協調いたしまして、技術の足らないところは意見の交換もし、注意もし合つて行くということに進めなければならないと思います。いずれにいたしましても、責は國家にあるのでありまして、これは一例でありますけれども、余り農業土木がその功を急ぐために、甚だ不徹底な工事をやる。それを普通の土木の技術の立場から、あれじやとても駄目であるということを思いながらも、それを嘲笑的な立場でいるというようなことが、若しあるといたしますならば、それは非常な國家に対する不忠実でありまして、共に自分の技術の持つておる範囲において、お互いが助け合つて行くというふうに行なければならないと、かように考えるのであります。併し建設方面の土木必ずしも完全したものとは思いませんので、この利根川の改修におきましても、相当我々素人から見ましても、かような堤防の嵩盛りで、若しも、あの出水のときに、どれだけの力を持ち耐えるかというようなことも不安に思うような情勢もあります。勿論これは農業土木にいたしましても、普通の建設的な土木にいたしましても、経費ということが非常に重大な問題だと思うのであります。経費をあまりにも切りつめるということは、その折角の技術を持ちながら、又折角の計画をなすことができ得ながらも、それが完全に行うことができないというような今日の立場が、これを否認することもでき得ないのではないかというようなことを考えますので、できるだけこういう方面の予算の確保に、政府といたしましても努力をいたしたいと、かように考えておるわけであります。尚土質の調査でありますが、これは曾つて全國的に酸性土壤の調査をいたしたことはあります。この土壤の檢査ということは、相当高級な技術を要するのでありまして、ただ簡單に酸性であるかどうか、酸性度がどのくらいであるのかどうかというような調査、これは極めて簡單な普通の技術員でもできるのでありまするが、今お話のような、根本的にその地方の土質を見極めるというようなことは、これは相当の設備を要するのでありまして、今日では地方的に農業研究所、実驗所、農事試驗場等も分布いたしておりまするが、今漸くこの試驗機関が横の繋り、縦の繋りを持つようになりまして、そうして國家の考え事業を、上から下に連絡的にこれをもう少し研究し、又それを分布的なものは総合的に横の繋りを持つて行くという調査の組織を、今改めて作つたことになつておるのであります。今度土質の調査につきましても、この試驗機関を通じまして、國の力によつて調査を進めて行きたいと、かように考えるわけであります。過去におきましては、この土壤の調査というようなところまで進む余地がなかつたことは誠に申しわけないと存じますが、今後はそういう方面にも十分なる力を入れて行きたいと、かように考えるのであります。尚氣象予報の不徹底の点でありまするが、これは戰爭中、この氣象予報が國民に秘密にせられたのであります。そのために、氣象、天氣予報というものに対する國民の関心が非常に失われておるということも私は否定できないと思うのであります。而も、今お話のように、以前は警察というものが統制がありまして、そうして縣の警察部の警報が入る。それが直ちに各警察署、駐在所の警察電話によつて知らされる、そうして鉄道省にもこれが報知され、警戒警報が出る、又地方の産業試驗所、農事試驗場所にて氣象予報等の報告を出しまして、そうしてこれの注意を促すというような設備が戰前はあつたのであります。これが戰爭以來ばらばらになりまして、そうしてこれが十分に知ることができ得ない、又知るときは、すでに時期が遅いというような遺憾な点を我々は認めざるを得ないのでありまして、これはひとり農業だけではありませんが、もう少し天候の動きというものに十分な関心を持たしめるということに指導せなければならんと存ずるのであります。本年の天候はただいいというだけではいけないので、これが書夜の温度の差がどうなつておるか、或いは日照時がどうであるか、温度がどういうふうに動いておるかということを科学的にこれを考えて行くということが、この農業技術の上において取入れて行かなければならないかと思うのであります。今日は何分今お話のように、警察もああいうふうな不統一なことになつており、又その警察電話のごときも組織が電通省の方に移されておりまするが、從來の組織網は持つているのであります。ありますけれども、その保線等の関係から甚だ不完全でありまして、昔は警察電話と申しますと、独立いたしておりましたから、縣が警察費を以て、どこにどんな事情がありましても、治安の上からも補修をし、修繕をいたしたのでありますが、今これらの保線が郵政省の所管になつておりますので、警察電話が一時は故障がありましても、警察みずからこれを修繕するということができ得ないというような情勢になつておりますので、以前のような独立性を失い、又敏速にこれを取計ることができ得ないということは、誠に遺憾な点でありますので、これは郵政省におきましても、相当國家治安の上からも考慮を拂つておりますので、今回の見返資金につきましても、この点は建設につきまして、相当の資金の手配をいたしておりますから、この方面には特に現下の政情から考えまして、警察電話の十分なる完備をするように努力をいたしたいと思います。同時に農林省といたしましては、この天候に対する関係法を一層深く感ぜしめる意味におきまして、氣象の点に対して一段の関心を持たしめるように指導いたしたいと、かように考えておるわけであります。
  124. 久松定武

    ○久松定武君 只今の大臣の御回答満果に存じまするが、ただ大衆に向つて天氣の予報についての関心を持たすということは確かに重大なことと私は思います。全く今度の水産関係におきましての三重縣のごとき、非常に人命を失つたのは、そういう点においての大衆の関心の欠けたところも確かに見受けるのでありますけれども、只今申上げましたように、通信網の点におきまして、今までとは違つた組織になつておる。これが一つには確かに大きな原因でありまするから、どうぞ只今の政府といたしましては、例えば東京の市内におきまして火事があつたときには、一言局に火事と言えば直ぐ消防署が出るような調子に、この氣象特報に対しては、特別の扱いを電話局においてやつて頂きというような方法一つ方法ではないかと、こう考えるのであります。現に中平参議院議員が、この災害地帶における郵便局に参りまして、電話のことについて談判いたしましたところ、別に特報に対しては何ら優先的なあれはない、法律もない、自分達は責任を誤まつたわけじやない、普通の扱をしただけだというような答を得ているようなわけで、今後こういう氣象の変化は非常に人命に関することが多いのでありまするから、一般の扱とは違つて、特報が出た場合には、特にこれを優先的に扱うというような方法に、政府としては是非やつて頂きたい。特に海岸方面、水産関係には重大な影響があることでありまするから、何か閣議の節か何かに是非これは持出して頂きたいと、私はお願いする次第であります。
  125. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 只今農林大臣から、農業土木と一般土木との区別についてお話がございました。一應御尤もだと思います。併し私共は決して別なものではない、同じものだと思つております。たまたま日本の機構が非常に分離しておりまして、灌漑用水等の問題は農林省でおやりになる。それ以外の事業建設省でやるというように、分離されているか何か知らんが、農林省でおやりになる川と、建設省でやつておる川とが、全然別なもののような感じを皆受けておるんですが、これは決して別なものじやなくして、同じものだと思います。ただ農林省でおやりになることが主としてイリゲーションのごときものですが、イリゲーションはその目的が非常に小範囲である。日本でやつております農業土木のイリゲーションは区域が非常に小さい。その区域が非常に小さいために、現地に参りますと、農林大臣のおつしやるようなことは区別されますけれども、現地に参りますと、その小さな目的のために川にいろいろな施設をしておる。それがために川全体として大きな災害を起しておるという例が非常に多いのであります。それでイリゲーションの目的のために農林省でおやりになるのだが、それは食糧増産のためだ、こう言われますが、勿論食糧増産のためでありますけれども、建設省がやつておる河川工事も食糧増産のためであります。利根川の堤防が切れないのも食糧増産ということを非常に大きく考えておるわけであります。ただ私共現地でよく見受けるのでありますが、最近も一つ兵庫縣下で非常に困つた問題がございます。これは農林省でおやりになる仕事が、上の方では非常によくやつておられるけれども、たまたま末端に参りますと、用水のための井堰の工事を町村にやらせるというしきたりになつております。これは大臣も御承知だと思いますが、一般土木の方では決して町村工事は重要な仕事はやらせないのでございます。併し農林省の仕事はその河川の下流が如何に國民に重大な影響があるかということもお考えなく、井堰の仕事は小さな仕事であるからというような立場か何か知りませんけれども、そういう補助工事を町村の自治体にやらしておられる。そうして補助をやつておられる。最近兵庫縣下で起りました問題は、一般土木のものが殆んど知らないうちに河川の上流へ持つてつて井堰を作つた。その井堰は町村工事で作つた、たまたま調べて見ると、実際の設計よりは一メートルも高い井堰ができておる。それは大変だから、今上流の両岸の住民は非常に騒いでおりますが、そんなことをやられたのでは、今度は洪水でも來たら大変だということを言つておるんです。片方では壞すのは大変だというので、今非常に問題になつておるようです。これなんかもさつき農林大臣のお話のように、勿論イリゲーションの灌漑用水を取るためにやつておるのですけれども、仕事をおやりになるそのやり方が、農林省では主として補助工事として地方の責任が余りないようなところにやらしておられることが多いのであります。農林省で管轄しておられる工事は河川法の布かれていない、いわゆるイリゲーションに関係のあることですから、概して上流部分が多いが、河川の上流というのは、上流部分が如何にして洪水のときに下流に大きな被害を及ぼすかということを常にお考え願いたいと思います。こういうふうに先程久松委員からお話が出ましたように、井堰があるためにその河川の洪水は井堰がない時代より非常に大きな被害を及ぼす。だからこういうふうな工事は極めて簡單な工事であるけれども、協定を破りまして、その地方の人達が自分の水田に余計に水を引きたいために、これは全國到る所にこの問題が起きております。元から協定されておつた高さより五寸でも三寸でも高く井堰を作るということが、これはもうその地方の井堰を作の人の何と申しますか、監督がやかましければ、夜でも行つてもぐり取つてしまおうというようなやり方をするのが多いのであります。それがために、私は日本の河川が非常に災害を起しておる実例が多いんじやないか、こういうふうに考えます。そういう例は沢山あると思いますが、今例を引いて申上げると時間を取りますから申上げませんが……でありますから、農林省の農業土木のやつておられることは非常に結構でありますけれども、そういうふうに重大なる関係を持つ河川の工事は、どんなにそれが微細な工事であろうとも、監督を嚴重にやつて頂きたい。町村は補助工事を貰いますと非常に喜ぶ、自分達が得て勝手の補助工事をやるために……仕事をやつて貰うより補助の金を貰うことを非常に希望しておる。こういうふうな状態がございますので、どこでもそうであるというわけでもありますまいけれども、ややともいたしますると、補助金を貰つて、そうして自分達に都合のいい工事を、全体の河川を見渡すことなく、自分達の都合のいいような工事を盛んにやりたがる、こういう傾向があります。それがために非常に災害を起すということがございますので、こういう点については特に私は大臣の御考慮をお願いしたい。それから第二番目には、大臣も御承知と思いますが、國会においては衆参両院の委員会で、殊に建設委員会で常に問題になつておりますのは、農林省がおやりになつておる開拓事業でございます。開拓事業は國の國是として百五十五万町歩が計画されておりまするが、それを頻りにおやりになつたために今日までの災害が非常に多くなつておる。そういうような開拓をやつたために災害が起るという例は全國到る所に多いのであります。今後の開拓は、こういうふうに非難をされておるにも拘わらず、何か政府で作つた前からの方針かも知れませんけれども、ただ徒らに今までのようなやり方で開拓をおやりになる、それがために災害を起す、いわゆるマイナスにおる土地が多いにも拘わらず、僅かばかりの土地を得るために開拓をやはりやつて行かれる、こういうことが私は今後も続けておやりになるのかどうか、私は今後も若しもそういうことを段々続けて行かれることは、國家的に見て非常に損じやないか、もう少しこの際本当に開拓について研究をして頂く、もう少し実地に即した開拓事業をやつて頂く、それから入殖者の問題がありますから、新らしい開拓地というものが必要でございますけれども、本当に日本の食糧増産をするならば、開拓地は勿論結構ですが、既開墾地のイリゲーションの改良、こういうことをもう少し眞劍に農林省としてお考えなつたらどうか、先年内田農林大臣のときに暗渠排水の……戰時中でしたか、戰時前でしたか、暗渠排水の何だか大きな宣傳をされてやつたことがございます、あのときの結果は私寡聞にして知りませんけれども、少なくともああいうことをやつて既墾地の増産を図られたならば、日本に、ああいうふうな新らしく開拓するよりは、食糧増産にもつと役立つ土地が非常に多いんじやないか、そうして水の足りない所にいわゆるイリゲーションを、昔のままの用水池ということでなくて、もう少し近代的な、科学的な組織を考えればできるじやないかという土地が私は多いように思います。そういうものについて農林大臣としては今後やはりやつておいでになるおつもりなのか、やはり今までのようなやり方であるとすれば、建設委員会としては、農林省でやつておられる開拓事業について何らかの決議をしなければならんというふうにすら、私個人の考えでありますけれども、考えておるわけであります。この二点について大臣の御説明をお願いいたしたいと思います。
  126. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 地方における農業土木の執行につきましては、私の知つておる範囲においては、河川を管理たいしておる土木出張所、道路を管理しておるこの土木出張所等、十分綿密なる連絡を取つてつておると思つておるのであります。かりそめにも國家の河川から用水をするという場合に、勝手氣ままに用水溝を設けるというようなことは許されないのでありまして、この設計の上においての打合せを十分いたしまして、そうして建設の方面から見ても、こういうふうにすればいいという、十分技術上の打合せをいたしてやつて行く、又やらせなければならんと思うのであります。今お話のような町村に請負わすということは、從來建設土木の上におきましても、請負師にやらすか、或いは地元請負にやらすかという、この二つの途がありますので、我々農林行政の上から申しまして、できるだけ土建業者にそういう仕事をやらすことは技術上完全に行くという取得はあるかも知れませんけれども、できるだけ縣費なり國費がその地方労働力を收容するという上におきまして、技術上の監督をいたし、又資材の配給等も十分いたしまして、これを地元の請負にさすということは敢て差支ないのではないかと思うのであります。ただこの点に、工事の終始十分なる監督をするということが必要でありますので、この監督注意を怠るということになれば、これは建設事業でありましても、農業土木におきましても、同じ結果を見るのでありまして、今後はただこの行政面における指導と監督ということを更に徹底するということよりほかないと考えるのであります。尚開墾地の問題でありますが、これは実は私が就職いたしました当時、開拓局というものがありまして、災害復旧、開墾、干拓、土地改良というふうに分けまして、その内容を見ましたときに、行政面の連絡が一つもないのであります。これは開拓局と一つの統制がついておりましても、この相互間の連絡がないことはいけない。今流れ作業的に開拓局によつて一つの大きな國家的計画を立てて、そうしてこれを技術上研究いたしまして具体化する。具体化してそれは災害復旧にいたしましても、土地改良にいたしましても、或いは開墾干拓にいたしましても、それが相互の連絡を密にいたしまして、そうしてその結果がこれを総合的に監査をする。技術指導をしてこれを総合的に監査する、その結果開拓局はこれだけの土地が改良されて、そうしてこれだけの收量が上る、こういうふうに統制を付けなければならない、こういう考え方から実は局の廃止と同時に統一を図つたのであります。併し今回國会の御意思によりまして三部制になりましたけれども、私はこの氣持で今までのような三者対立ということは絶対に許さない、最も綿密に連絡をとりまして、災害復旧と土地改良、そうして開拓開墾というものと連絡した総合的な事業でなければいけない。こういうふうに行政を持つて行きたいと考えておるのであります。開墾にいたしましても、私は実は今日日本の食糧事情から、或る程土地は足らないのだ、だから猫額大の土地でも欲しいというのは食糧増産の面から考えられますが、今お話のような一つの耕地を得たがために、五つの耕地を失うというようなことがあつては大変なんであります。現にこのデラ台風におきまして、各地における台風の状況出水を見ましても、平地林を徒らに開墾いたしましたがために、既耕地を失つたという実例があるのであります。これは我々祖先が一應土地を欲しいというので、耕地を望んで開墾をやつて見た。開墾をやつて見たが、やはりこそは開墾すべきところじやないという氣持から、これが又平地林となつておるのであります。それをこの現代において、祖先の失敗を更に繰返すようなことをやつておるのではないかという氣持がいたしますので、昨年の末でありましたか、次官通牒を以ちまして未開墾地の開拓につきましては、森林関係の者を集めました調査委員会を作つて地方事務所ごとに、そうして大きい問題については委員会を設けまして、この委員会に一應未開墾地の開拓をすべきか、すべからざるかをよく調査して、この委員会の承認を得て初めて農地委員会がこの買收をやるという措置を取つておるのであります。そういうふうなことで百五十五万町歩ということが一應推算されたが、一應そういう数字が浮び出ているのでありますが、現在私は百五十五万町歩というものは開墾ができないのである、又そういうことをしてはならない、かように考えているのであります。むしろ今後入殖者等の考え方から、開墾すべきものは北海道方面の石狩川沿岸等で、大規模に土地の改良をし、入殖をいたさしむるべきではないかと思うのであります。北海道等におきましても、実情を聞いて見ますと、三十年くらいの幼木林をぼんぼん伐採していたのでありまして、開墾をやつておる。そうして開墾して見たところが結局酸性土壤で失敗に終つて、元の林にいなければならんという実情を聞いているのであります。即ちこれは三十年前に祖先が一應やつて見て失敗したものでありまして、やはりその失敗を後の者が多額の金を使つて、労費を費して繰返しているということになり得るわけですから、私はこの未開墾地の開墾ということはもう済んだ、もう止めるんだ。併し今手を付けて相当の成績を上げているところは絶無ではないのであります。十分調査したしまして、この分ならば開墾いたしてもいい、而もこの未開墾地の開墾は、そこに入植農民が永住し得られる要素が備わつて來なければならない。永住し得る要素と言いますと、決して芋と麦とを作つただけでは農業は経営が立たないでありまするから、そこには文化的な施設の及ぶところの要素もあり、飮料水の心配もない。又家畜等を増殖いたしまして、酪農的の状態になりましても、それが経済的に利用されるというような所を考えて開墾を將來はやつて行くのであります。ただ徒らに平地林であるから、或いは道路に近いからというようなことによつて未開墾地は開墾すべきものではない、こういう氣持を持ちますので、未開墾地に対する開墾に対しましては、甚だ私といたしましては消極的な立場を以て進んで行きたい、かように考えるのであります。尚内田農相当時における灌漑排水の土地改良の事業を言われましたが、あれはあの当時農村が非常に不況な時代でありまして、農村救済というような意味で画一的に土地改良がばら撒かれたのであります。私もその当時その土地改良をやつた者でありまするが、ああいうふうなことは私は繰返すべきものではないと思います。各府縣の実体調査がすでにできておりますので、各府縣におきましては、土地改良をして灌漑排水をし、土壤の性質を改良いたしまして、一毛作を二毛作にする、或いは更に空氣の滲透によつて能率を上げるというような事情が十分調査されているのであります。この調査されました所に重点的に土地改良を行なつて行くということは考えられるのでありまするが、あの当時のように、各町村に金額によつてこれを割当てるというようなことは、なすべきことではないのでありまするが、先ず土地改良にいたしましても、現在まだまだなすべき所が相当あります。殊に沿岸を干拓いたしました地方におきましては、この塩分の除去等については、ただ田にしたから、それでいいというのではありませんので、まだまだ塩分除去については相当の土地改良の方法考えなければなりません。又畑地を灌漑用水によつて地力を上げる、或いは一毛作を二毛作にする等々、いろいろ土地改良については地区的ないろいろの事情がありますので、まだまだ沢山仕事が残されていると思いますので、そういう方面に今後は力を入れて行きたい、かように考えるのであります。尚干拓にいたしましても、今後五年かかるか、十年かかるか目度の付かないようなところに手を付けていた向きもありますので、そういうようなところは、今までいたしましたことを、今惜しいようでありますが、この際思い切つて重点的に、ここ三年、五年の短期間のうちにおいて立派な耕地ができる。こういう干拓地を重点的に行きたい。かように考えておるわけであります。今御注意もありましたが、土地改良に重きを置き、次に干拓の重点的を開墾につきましては、消極的な態度で行きたい。こういう氣持を持つております。而して入植者の点につきましては、この北海道の総合開発の方針によりまして、北海道はまだまだ土地改良の入植の余地ありと、かような考えを持つておるので、そういうふうな方面に土地政策を進めて行きたい。かように考えておるわけであります。
  127. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 只今大臣のお話を承われまして、非常に力強く思います。私昨日農政局長に、個々の開拓をやるべきじやなくて、北海道には四十万町歩の泥炭地がある。東北には十万町歩の濕地帶がある。そういうところを根本的に開拓することこそ、本当に増産できるのではないかということを言つたのですけれども事務当局の方では、そういうことは考えていない、調査もしていないというような話だつたのですが、今大臣のお話を承わりますと、そういうところを第一義的によりたいというお話でありますので、是非とも一つこの問題は農林省で取上げ、そうして本格的な開拓計画を実行に移されるように私は希望いたして私の発言を終ります。
  128. 仲子隆

    ○仲子隆君 今の農林大臣のお話で、未開墾地の開墾は消極的にする、大体百五十六万町歩の開墾を取止めるというようなお話でありましたが、まあ入植関係のものは、これを継続するというお話、誠に御尤もでありますが、このことは農林大臣として今当局、つまり行政面に携わつておるすべてのものに、さような指令その他がすでに出ておるのであるかどうか。更に又地方の民事部は、非常に熱心に猛烈に一定の開墾を地方に要求しております。この民事部等における指導と、農林大臣のさような、今の農林省一般をさように御指導されることとの連絡関係は如何になつておるか、このことは私実に疑問でありますが、それを一つ説明願いたい。これが一番。次には総合開発、全國今度十地区の総合開発が考えられておりますが、これは農林当局の方にも関連を持つておられる。如何なる程度に農林省はこれに力をお入れになるか、或いは御指導になつておられるか、総合と申しますと、各地区における建設とか何とか一切を総合しておるのであります。從つてその事業内容も、協同総合して行われなければならん。今日まで我々が建設関係を見、或いは総合的の状況を調査して見ますと、とかくセクショナリズムがあつて、各地区地区において必ずしも総合的になつておらん。これはまあ総合開発に関する政府或いは各関係当局の態度の不十分なものに原因すると思われますが、例えば農林関係のことを取つて見ますと、林道を造る。そこに並んで縣道があつて荒廃しておる。然るに林道を新たに設けるものについては、すぐ傍にあるところの荒廃した縣道を利用すれば非常に僅かな金でできるに拘わらずやらない。つまり縣道があるけれども、殆んど廃道のごとく雜木が生えておる。これを切開けば非常に小経費でできるにも拘わらずやらない。一應林道とした場合には、後に縣道とか何とかいうものに、産業道路に変える場合に、林道は五ケ年間他のものに渡すことを許さないという指令が出ておる。そこで新たに作つた林道を継続して、これを縣道に編入しようとする場合に、必ず縣の方で、縣の農業関係者、或いはその地方の出張所関係あたりから抗議が出る。又或る河川が上流の濫伐によつて非常に土砂を流し、河底が上つたというような場合に、そのことは河川であれば建設省の仕事である。併しそういう地区においては、とかく農地が段々と下つて、農地の埋上げを要する、積上げを要するようなことがあります。それを見た例においては、農地の方の土地を積み上げる方法、これは農林関係事業としてサンドポンプを以て上げる。それから川の中に溜つている砂をそつちへ引つ張つて行けばいいのであるけれども、全然耕地が違うからと言つて、そのサンドポンプを廻さない。却つて川の砂を出してやれば川の方はよくなり、農地は保護され、而も土地も保護されるに拘わらず、別な土を以てやるということになつております。とかく総合開発においても農林事業の方は、先程の話のあつた新らしい開墾地が、土砂、土質その他を考えずに、次の河川障害を起すに拘わらず行われると同じように、どうも総合という意味について、農林の現地関係者は、余り関心とか、努力をしない。わざわざはつきりしたセクショナリズムを現わしているような感じがいたします。これに対して農林大臣の御意見はどうであるか。又災害と植林関係の問題がありますが、非常に今日の災害の原因は濫伐によるということが始終言われているけれども、植林がどうも進まない。非常に手間が高いし、苗代は高いしという関係もありますが、或いは補助金等にしてもまだ二十三年度の植林その他に対する農林の補助が現地の者に渡つていない。或いは二十二年のさえ渡つておらん。以上のような工合において、災害と植林との関係について一つの御意見を伺いたい。以上三つについての御意見を伺いたい。
  129. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。事務当局はどういうお答えをいたしたか存じませんが、私はその方針を以て行くべきもの、先般特に農地局の課長、部長を集めまして、今までのだらしのない、というわけでありませんが、不純一ではいけない。こういう方針によつて國土の維持をして行かなければならないということを申して置きまして、その方針で進むつもりであります。百五十六万町歩というこの数字が出たのは、私聞いているところにおいては基礎がありません。関係方面から一体どのくらい開墾して土地が殖えるのだということを言われて、恐らく百五六十万町歩、北海道を合せましてあるというようなことを、その当時の当局は答えたそうでありますので、是非それを三年間にやつてしまへ、こういう強い指令が向うから参りまして、当時の当局者としては非常に泡を食つたようであります。私地方におりまして、縣別に何百町歩というものを割当てて來たのであります。何百町歩、何千町歩というものを割当てて來ましても、その府縣には開墾するところがありません。ありませんけれども、至上命令だからやれというような押付けがましいことを言つたのでありますけれども、縣当局といたしましては手を挙げまして、そういうふうなことを言つたつて開墾地もない。じや仕方がないからというので、とうとうそれはできるだけやれ、こういうふうなことに行政措置が決まつたようでありますが、私は百五十六万町歩というものの数字を出した基礎は恐らくないのではないか、かように考えておるわけであります。この問題については、関係方面にも土地の利用價値を高めるということに……できるだけ開墾し得られるところは開墾しようということは勧奬いたしております。併し平地林を開墾したために、よい既耕地を失うというのは土地を殖やしたのではないのでありまして、そういうことは敢て向うも勧奬いたさないのであります。このまま置くより、むしろ開墾した方がよいということが考えられたときに、これは開墾すべきものであり、敢て開墾地の数の殖えることを向うは勧奨しておりません。現に天然資源局におきましても、一町歩の開墾をしたために、五十町歩の土地を荒廃にして何になるのだという注意を受けておりますので、一層この治山の方面には力を盡すことが耕地を守るということになるのであります。併し全然未墾地の開墾をしないというのではありませんで、これはやつて差支えないところはやつて行きたいと考えておりますが、差向き架空的な目的の町歩を持ちまして、そうして開墾の成績がただ上ればよいという氣持で推進いたしたくない。かように考えておるわけであります。尚山林のことでありますが、これは施業案を各森林組合に委託されまして、そうしてその森林維持を勧奨しておるのでありますが、一番今困つておりますのは苗木の不足なんであります。昔は苗木であれば、どこでも構わず、その辺の市場にあるようなものを植えたのでありますが、そういう苗を植えさせますと、三年目か、五年目に杉の木に実がなつて、又焼拂わねばならないという悲惨なことをやりましたので、種苗法を定めまして、國家が耕作を指定して種を取り、そうしてこの種を森林組合によつて苗圃を作らせて、そうして政府みずから苗圃を作りまして、この苗圃の生産に努力いたしておるのでありますが、一面において食糧確保のために耕地が制約されるためになかなか苗圃を作ることができないのであります。一時は肥料すら苗圃に廻し得られなかつたような情勢にあつたのでありますが、食糧は現在油断はできませんけれども、苗圃として考えるくらいの余地はありますし、又肥料は相当増産し得られるような情勢にありますので、一層苗圃の生産に力を入れまして、民間の林野の復旧、又國有林野の開発のために一層の力を盡して行きたい、かように考えておるわけであります。それから総合開発についての御質問でありますが、これは政令によりまして今の耕地の客土をいたしたい。片一方には川底のよい土があるから、これを取入れて客土いたしたいというような、いわゆる耕地改良と河川の改修との総合的な問題でありますが、何分そういうところに行きますと、道路が惡くありまして、サンドポンプというようなものを以てそれらに運ぶことができないというような情勢にもあるのであります。これは総合開発という意味は、例えば治山の上において山を守り、或いは溪流保護の上において土砂扞止をやり、砂防工事をやるということを一歩進めまして、上流にダムを作るということは一つの水を治めるものでありまして、一時的に水を治め、又渇水時期における灌漑用水の補充をいたすということは、この日本のように誠に下流の流域の短い所、殊に山岳の迫つておる地方におきましては、上流にダムを造るということは誠に必要と思います。そういうものを造ることによつて、一面において電源の開発になり、又その深さによりましては養魚の途も開かれるのでありまして、発電なり或いは灌漑用排水等の便を滿たすというふうなことは、建設部面と協力して行きたい。こういうことを考えます。尚これは総合開発と申しましても、この意味を最も強く力を入れまして、治山、治水という政策を進めて行きたい、かように考えております。
  130. 仲子隆

    ○仲子隆君 今申しました総合開発、その他林道等は大臣に御記憶のないことでございますか。
  131. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 林道保護につきましては、今補助しておるのであります。林道の開発が、傍らに縣道があるのに、その縣道を直せばいいではないか。新らしく林道を設ける必要はないではないかという御質問でありますが、恐らく私は縣にそういう特別な事情のあるところがあるかも存じませんが、大体におきまして、縣道というものは、これは地方の縣会議員の努力によりまして、僅か一尺か二尺の幅の道でも縣道になつておるところもありますが、そういうところが多く山間僻地にありますので、そういうところを縣道に改修いたしますと、今國家といたしまして助成がありませんので、林道としてこれを改修して行くということについて幾らか助成があります。又金融の問題もありますので、そういうところは林道として改修されて行くようなところを私は承知しておるのであります。それができ上りましたときには、縣道であろうが、國道であろうが、林道であろうが、道路としての價値を高めて行けばいいと思うのでありますが、林道にしたから、決してそれを縣道にして呉れては困るということは、決して林道関係は申しません。むしろそれは林道ができ上つたら縣道にでも編入して貰いまして、そうして年年幾らかの縣費の助成を貰つて支弁して貰うということを却つて望むのではないかと思うのであります。これは現在の事情もあろうと思いますが、こういう実際の機構の下におきましては、縣道を置きながら、更に林道を設けるというようなことは恐らく無駄なことであり、又縣の指導者もそういうことはしないであろうと思います。又私らの方面から申しましても、これは林道として改修せしめるということに指導してよいのではないか、かように考えておるわけであります。
  132. 仲子隆

    ○仲子隆君 今のに関連しまして……林道の問題については、五ケ年間林道を縣道にすることは許さないという次官通牒見たいなものがありまして、それをやつている実例は、僕の知つている村では縣道と並行して林道があるという例もありますから、大臣はよく地方の実情を御認識にならないから、そういうことになるかと思います。
  133. 原口忠次郎

    原口忠次郎君 開拓に関連しまして、私大臣にお伺いしたいのですが、昨日私は個々のところの土地を開拓することが、却つて災害を起す、非常に國民の怨嗟の的になつておる。そういうことも結構であるかも知れませんが、今和歌山縣や、徳島縣、愛媛縣の海岸地帶に参りますと、南海の震災のために沈下いたしまして、耕作不能になつておる水田が恐らく全部統計を取つたら百町以上に上るのじやないかというふうに考えられるのであります。こういうことで、開拓と言えば、新らしく予算を取るために、新らしく計画することばかり考えて、そうしてこういう災害を受けておる海岸地帯の水田をなぜそのまま放つて置くのか。若しそういうところに予算が取れなければ、開拓費の予算を流用してやられたらどうかということを質問した。ところが南海の震災以後、今日まですでに五ケ年経つておりますのに拘わらず、今日尚地盤が沈下しつつあるそうだから、権威者に頼んで研究しておるというようなお話しであつたのですが、私はこういう問題こそ、農林省は本当に食糧増産の立場から、極めて僅かな耕地を開いて元に帰るという水田が非常に多いように思います。私最近和歌山縣下を歩きまして、つぶさにそういう水田を見て参りました。これは何か補助対象が個人ではいかんとか何とかいうような、法律に縛られて或いはむずかしいかと思いますが、併し大事な國民の主食増産という問題でありますから、そういう点は特に大臣の政治力を発揮されまして、何とか早くそういうふうに旱害を受けておるところを復旧しつつやるという途を私は講じて貰うように特にお願いしたいと思います。尚この点についてのお考えがございますれば、御答弁を願いたいと思います。
  134. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 地盤沈下が三重縣、和歌山縣、高知縣等にあるのであります。現に愛知縣等にもあるのでありますが、地盤沈下の落着いたところと、まだ落着かないところと実際にあるのであります。この間私は愛知縣の海部郡の干拓地の調査に参つたのでありますが、あすこはいつ下つたか分らないが、揚水機の排水ポンプの状況が一尺ばかり下つたようで、海の木が押し込んで來るという関係で、そうするとこの土地がいつの間にか一尺ばかり下つたというので、排水口に二尺程の蒿上げコンクリをいたしまして、ここまで上げれば海の水が來ないということを見て参りまして、いつこれが下つたか知らず知らずに総体が下つて家が壞れたりいたしますが、それは落着いたようでございますが、どうもあの海岸はそういう地盤沈下があるようなんであります。それが一應落着きますれば、耕作も考えられ、手を着けられるのでありますが、まだまだ年々歳々高潮のときに高潮が上つて來るということでありますと、うつかりやりましても、それが無駄であつたということになりますから、地盤沈下が一應落着いたところは、何とかこれを塩水の入らないようにしまして干拓をやつて行くということにして行きたいし、又すでに既設の土地がそれがために埋つておるというところは、これは干拓地として排水の方法考えて行きたい、かように考えておるわけであります。公共事業は決して個人の力では到底いけませんので、縣の組合といたしまして、これを縣の事業として取上げるとかいうような組織によりまして、國家は助成の途を講じたい、かように考えるのであります。公共土木事業が御承知のようにああいうふうな定義を下されました以上、やはり縣の事業、國家の事業としてのみ考えざるを得ないような今日の場合におきましては、なるべく縣の事業としてそういう計画を立てて参りまして、又土地改良法によりまして行くか、この両面によつて事業計画を立てて、そういうふうな土地の安定したものから救済して行きたい。これは今どうなるか分らんような海の干拓とは違つて非常に早くできますし、又効果的でもありますし、現に一應耕地であつたという関係から、短時日の間に耕地の復旧ができるわけでありますから、そう方面にはそういう措置をいたして行きたい、かように考えております。
  135. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今の土地の開墾につきましては、これは國土計画委員会の当時から大きな問題になつておりました。幸い今農林大臣のお考えは、私の日頃考えていると同じ考えで、その御方針でやつて下さいますならば非常に結構だ、こう思います。先程原口委員からも質問がありましたが、実は昨日の農地局長の御説明では、只今大臣の御答弁と大部食違つている点がありはしないかというような懸念があります。実際現地の方に行きますと、この山地の開墾に対しましても、例の林野局長官或いは開拓局長官、両局長官の通牒に反して、開墾として十分將來見通しのある土地ではない。いわゆる傾斜地、或いはすべての点から申しましても開墾不適地と、こういうふうに我我が見て來るところをやはり開墾しておる例があります。でありますから、これは恐らく大臣のお手許にそういう事実が行つていないと思います。先日も私山形縣へ参りまして、そういう事実を見たのであります。大臣は森林のことは詳しいのでありますが、昨日申上げましたことをもう一偏申上げますと、山形縣の最上郡金山村では一町歩で一万五千石の森林を持つております。こんな森林は日本でも珍しい。誠に立派な森林で、その土地を開墾しようとしたが、それを美林であるから、美林であるという名目でその土地だけは除いた。その外に三百何十町歩を開墾土地と指定された。それで金山村民は困つておる。これはひとり山形縣のみならず、例を申上げれば、大臣は御承知ですから言いませんが、そういう事実がありますから、大臣の今お考えになつているその線に実際事務当局は副うように、地方の下部組織と申しますか、よく徹底さして頂きたい。又山形縣の方の民事部と申しますか、これは相当開墾を強いておる、これに反して宮城縣の方の民事部はむしろ開墾を成るべく禁止していて、非常にうまく行つておるという例がありますから、こういう事実もありますから、これは向う考えもいろいろあると思いますが、とにかく迷惑するのは國民でありますから、この点今大臣の御趣旨に副うて実際に行くように特にお願いいたします。それからもう一つ沈下の問題でありますが、塩田の沈下した場所、これは災害の復旧対象に取上げるようなことはできんように聞いておりましたが、事実そうなつておりますか、この点だけ一つ……
  136. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 何分農地局を置きまして、そういう指導をいたしておるのでありますが、なかなか御承知の農地改革の推進力と申しますか、これが相当力強く今日まで進んで参りました結果、新らしき自作農が土地だけは貰つたが、採草地が欲しい、薪炭林が欲しいというような氣持がありますが、誤まつた耕地の開墾或いは幼木林の農地買收ということが行われておりましたので、これを非常に心配いたしまして、今の審議会にかけた後、これは買收すべきものであるということを、数回政府としては地方廳に通知いたしたのであります。ところが何分それが徹底していないような向きがありましたので、飛んでもない失敗を繰返しておるようなことがあるのであります。併し私はあくまでも、そういうふうなことは嚴に戒めて行きたいと考えておりまして、農地局の出先等には十分注意はいたしておりますが、若い各位におかれまして、目に余るというようなことができておるということでありますならば、どうか一つ御指導願いまして、直ちに私は処置いたしたいと考えるのであります。尚塩分除却に対しましては、土地改良でやつて行く方がいいのではないかと考えるのであります。災害というよりも、むしろ塩田の干拓いたしましたのは、相当の間塩分がありますので、これは土地の状況にもよりますけれども、地下水を流して、これを排水滞からかい出して塩分を除去する、或いは上流から用水を引いて参りまして、そうしてこれを流して、それを排水するというようないろいろな方法がその土地の事情であるのであります。木曾用の川口でありますが、先程、例に挙げました海部郡のごときは、ずつと以前からの低い土地でありまして、そこで提防に囲まれておりまして、和歌山縣くらいのそこで生産ができるような耕地になつておるのであります。そこもやはり塩分がありますので、五、六間堀りますと地下水が出ますので、その地下水を流して、その流れて來た水によつて除去する。こういうような処置を取つておるのであります。今年のごときは、非常に旱魃いたしますと、地下水が上つて來るとやはり塩床が出て來るというような情勢も見て参つたのでありますが、こういうようなところはやはり土地改良というようなことで、特殊の、全國ではそう沢山ありませんが、土地改良の事業として取上げてよいのではないか、かように考えておるわけであります。
  137. 仲子隆

    ○仲子隆君 今のことに関連いたしまして、例えば農地法が実行されまして、実例で申しますと、有明海の海岸のごときは、土地だけは小作人に分配ができましたが、その海岸の潮を止める堤防というのは農地にして分けて與えられないから、從つて從來地主が責任を持つて築いておつた堤防は壞れて、そのために漸次水田が荒されて來るというような例がある。山形縣には、元地主が六百町歩の土地を持つてつた。土地だけは分けたが、堤防はそのままであるようなところは、一部壞れ始めると土地が荒れる。そこで農地を受取つた人達は、これは地主に一應返して、一應元に返して元の通りに直して貰うとか、國家がこの堤防或いは海岸を直して呉れということが各地に起りつつありますが、こういうことに対して我々建設関係の許に、河岸の工事を國家の建設事業、或いは建設でなくて、農林の方の防波或いは堤防の整備というようなことによつてつて貰いたいという希望が出て來るのであります。これは我々建設省の方の仕事でないと思いますが、農林省の方では如何にお考えですか。
  138. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 簡單にお答えいたしますが、どうも農地法によつてできました地主は、土地に対する尊とさというか、執着というものが薄いので、まだ出ていないように思います。昔の地主は何とかかんとか借地機関のように考えられましたけれども、この土地というものを所有するという努力ということは並大抵でなかつたのであります。それでありまするから、自分の所有しております土地というものは、どうかして先祖から預かつたのだから子孫に傳えるにはよくして渡したい、殖やして渡したいという氣持で、土地に対しましては小作料を貰つて、その小作料で收支が償わなくとも、耕地整理をやつたり、或いは用排水の仕事をやつたり、或いは今のお話のような堰堤を作つて塩水の浸入を防ぐというような努力を重ねて來たのであります。ところが今の新らしい地主となりますと、僅か六、七百円で貰つて、闇米の一升か二升で貰うといつたようなものでありますから、田に対する執着心が薄いと申しますか、そういうような堰堤まで俺の方でやるのなら土地を返すとか、賣るとか、こんな状態では元の地主に返すから、田をやつて呉れというような氣持が起るのじやないか、私島根縣に行つて参りまして、あすこでは大仕掛な耕地整理の中途で農地改革の問題に引つかかりまして、その耕地整理には巨額の負債ができておる。そうしてこれは地主が將來何十年かかつて負担しなければならんというような耕地整理を持つてつた地主が、ばらばらに土地を開放したのであります。その土地では一体この債務というものはどういうようにして行くのかというような問題を聞きまして、その当時農林当局に一体どうするのだ、ああいう長い一つの債務を持つて継続して來た土地をばらばらにしてしまつて、新らしい地主を作つたときに耕地の債務は誰が負担するのだというようなことも尋ねたようなことがあるのであります。そういう場合において事務当局といたしましては、それは耕地整理法によつて考えて來たのであるから、何とか國としても考え、又新らしき地主としてもその耕地整理の完成というようなことを考えて、將來のその事業の完成をいたしたいというような希望を述べられたようなことを記憶するのでありますが、これは誠にそういう土地によりましては、そんな約束ではなかつた、そんな負担をするなら土地を返しても、賣つてもいいというような場合が相当、今例をお挙げなすつたようなことがあろうと思いますが、やはりこれは土地を、耕地を守るためのこれは設備であります。ですから、やはりその道路となり、堰堤となりしておるところの道路は、やはりそれに守られておるところの耕地は、これを守護しておる、保護しておるということして行かなければならんではないか、そういうでなければ、若しこの堰堤なり道路を持つておる者と、中の耕地の所有者とが違う場合におきましては、内部における耕地に対する責任がありませんから、その堤防の保護或いは治水だのというようなことは無関心になるようなことになりますから、やはりその地方の実際の状況にもよりますけれども、やはりその堤防があつて初めて耕地があるという氣持で、そこに相離るべからざるものではないか、かように考えて行きたいと思います。
  139. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) ちよつとお諮りいたしますが、農林大臣は今閣議の席から催促を受けておりますので……では兼岩委員極く簡單に願います。
  140. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 簡單に……大臣の方で簡單にお答え下されば……。このデラ台風の損害が百十九億円である。これに対して農林省は公共事業費予算十二億から二億九千万円割当てられておる。これは非常に九牛の一毛で余りに少ないと思うのだが、一体どういう技術的な根拠で二億九千万円というような微細な額を計上されたのかということが一つ。今後これからどういう善後措置を講じて、この打続く災害に対して農耕地、山林その他の農林省関係災害を切り開いて行くつもりか、國民の要望に應えるつもりか、この二点を簡單明瞭に……
  141. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 御承知通り、本年度予算は予備費が見てありませんので、デラ台風その他引続く台風に対する應急対策の費用におきましても予備費を持つておりませんから、先に御決議を願つております農業公共事業費の中から臨時これは修正支出いたします。そうして今後財源等を考え予算の補正等をお願いして行きたい。かような考えで取敢えず應急対策として建設関係、農林省関係を併せまして二十一億でありましたが、これを支出いたしまして十二億を出しまして、そうして次の若しも災害が、風水害があつたのに対して対應し得られるところの取敢えずの支出ということを調査いたしまして、その金額を支出したのであります。現災害に対しては九牛の一毛にも達しておりませんが、災害に対しましては極く十分実地の災害状況を調査いたしまして、そうして予算の計画をいたしたい。かように考えておるわけであります。
  142. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もうちよつと内容のある答弁をして頂きたい。二億九千万円という、このように少ないものを新たに計上されたのは、どんな根拠がこのような少額を計上されたか。我々のこの災害に対する基本的な観点から言えば少くも三分の一、受けた災害の三分の一、少くもその六分の一程度は計上しなければ問題にならんと僕らは思うのだが、この三十分の一以下の金しか計上しておられないということの根拠、從つてこれには何か成算があるに違いないと思います。これで將來これをどういうふうに解決して行かれるつもりか、近い將來に、その腹案と二つの質問は関連しておると思うのですが、つまり極く僅かしか計上してないけれども、これはこういうふうにして乘切るつもりだ、これは成算があるに違いないと思いますが、これについて聞きたい。
  143. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 先程申しました通り、予備費を持つておりませんために、この災害の実況等も今技術的に調査をいたしておるのでありますが、どれだけのものを國家が負担して行かなければならんかということも分つておりません。取敢えず建設省との関係から、十二億の、今切羽つまつて手を付けなければならないという経費を計上いたしまして、而も予算の状況が今申しました予備費を持つておりません関係から、取敢えずの十二億という金によつて、一時的な手配をいたしたということを御承知を願いたいと思います。
  144. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一時的の後は大体どういうふうにされるのですか、一時的にという場合に、後の処置はまだ考えておられないのですか、これから大体どのようにされるか、追加予算等で……
  145. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) それは各地の災害の実況をよく調査いたしまして、國家がどれだけのものを負担しなければならないかということを十分調査いたしまして、そうして歳入等のことを考えて、更に予算の補正をいたしたいと、こういう考えであります。今どれだけのものを國家が負担しなければならないか、又今の地方からすでに來ておる陳情もありますから、このくらい、或いはこれでいいという点はまだ分りません。それでありますから、今十分現地に調査をいたしておるのでありますから、國家の負担すべて、デラ台風に対してはこれだけのものを政府が負担しなければならん。農業関係はこれだけのものを負担しなければならないということをはつきりいたしましてから予算を確保いたしたいと、かように考えておるわけであります。
  146. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一点。農耕地の損害は今年から打切つておられるんだが、これは日本のように貧しい、富の蓄積の少し農家に、そういうどつかの外國の方法を当嵌められても、これは事情が違うのだが、それに対して大臣は、農耕地の損害に対して、今度の災害に対して、どういうふうに処置しようとして考えておられるか、それを聞いて置きたいと思うのです。
  147. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) 國家の事業としてなすべきことの外に、個人としてなすべき問題がありますが、併しこういう事業は大体において一個人というものでない。或いは数部落でありますとか、一村というような大きい一つの区域を持つ事業でありまするから、土地改良区を設けまして、そうして土地改良法によつて事業を経営するということによつて資金の融通もでき、そうして又予算的措置によりまして、これらの助成をいたしたいと、かように考えておるわけであります。閣議が三時からありますから……
  148. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) 皆様にお諮りいたしますが、これで正式の会を閉じまして、あと懇談に移りたいと思いますが……
  149. 久松定武

    ○久松定武君 昨日もちよつと水産関係災害について私伺つたのでありますが、丁度政務次官がおいでなので、その点について伺いたいのでありますが、今度のデラ台風によつて水産関係が非常に災害を蒙むつた。ところが水産関係においては、公共事業費は僅かに漁港にしか及ばない。あとは殆んど個人の負担になるという関係から、最も惠まれないような状態になつております。これについて政府当局の御盡力によつて、この復旧費として水産廳あたりの御斡旋によつて、農林中央金庫から貸出もできるようになつたように聞き及んでおりますが、実際の水産界の状況を見ますと、漁業会は今度近々解散になり、今度できるものは漁業協同組合である。ところが現実を見るときには、漁業協同組合は非常に数が少い。目下作りつつあるというような状態なんでありますが、そういうことから考えますと、漁業会には貸出ができない。結局漁業協同組合の方面に対して貸出をするということになるのでございましようか、而もこの漁業組合というものは、これからできるもので、又非常に資本等の点において弱体である。そうすると、中金あたりの貸出も非常に融資が困難である。そういう場合に悩みがあるのではないかと思いますが、今後政府当局としては、この漁業組合を助成する。又この災害に対して救済するという意味において、勿論極力斡旋願えることと思いますが、貸出については如何なる方針を以て当局の方は斡旋して頂けますか、その点を伺いたい。
  150. 坂本實

    説明員(坂本實君) 今回のデラ台風について、水産関係の被害が相当甚大であることは御指摘の通りであります。つきましては、いろいろ被害地の調査もいたしたのでありますが、漁船保險等を利用されまして、相当救われた部面もあるのでありますが、併しながら漁船の代船建造の資金につきまして非常に困つておりますとこは、今お話の通りであります。私共といたしましては、さつきお話もございましたが、成るべく農林中央金庫に一つ枠を設けまして、而して農林中金から團体融資をさせるという方法考えているのであります。地方々々によつていろいろ團体の、いわゆる漁業協同組合等のでき方がいろいろまちまちでございますが、併しいずれにしても、迅速に事を運ばなければなりませんから、その実情に應じまして、一つ適宜の措置を取りたいと考えているのでありまして、中金の方とも十分一つこの事情は、実情をよく我々の方からも申しまして、そうして成るべく迅速に簡便に事が運ぶように我々も斡旋したいと考えているのでありまして、一概に申上げ兼ねると思いますが、その土地々々によつて余程状況が違つているだろうと思いますので、極力我々も、今申しましたように、そういうことを一つ御斡旋を申上げたいと、かように考えている次第であります。
  151. 石坂豊一

    委員長石坂豊一君) そうしますと、もう正式の会は、これで閉ずることにいたします。    午後四時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     石坂 豊一君    理事            原口忠次郎君            仲子  隆君            島津 忠彦君    委員            島田 千壽君            堀  末治君            赤木 正雄君            久松 定武君            兼岩 傳一君   國務大臣    農 林 大 臣 森 幸太郎君    建 設 大 臣 益谷 秀次君   説明員    経済安定本部建    設交通局長   高野 與作君    総理府技官    (経済安定本部    監督課長)   武田 利雄君    農林政務次官  坂本  實君    建 設 技 官    (河川局長)  目黒 清雄君