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1949-08-08 第5回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年八月八日(月曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告建設事業一般並びに國土その他諸計  画に関する調査の件(デラ台風並び  に最近の台風被害調査の件)   —————————————
  2. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) それではこれよりかねて御通知申上げて置きました建設委員会を開きます。公報に載せてあるのと多少変りますが、取敢ず公報に予定を以て掲載いたして置きましたけれども、段々各委員諸君からの御要求もございまするし、本日はデラ台風に関する災害実情調査報告及び質疑と、これに対して政府より河川局長防災課長氣象台長方々がお見えにつております。又デラ台風以後の災害に関する説明については、建設省河川局長が見えておると、こういうわけでありまして、どうか皆さんからこれらの問題に対して御所見のあるところを御開陳を願いたいと思います。先ず久松さん、あなたの方から……
  3. 久松定武

    久松定武君 今度のデラ台風並びにその後における降雨のために南九州中心にいたしまして非常な災害がありましたにつきまして、先月國会に対しまして四つの縣、つまり鹿兒島縣宮崎縣大分縣それから愛媛縣のこの四縣から知事より國会議員を派遣するようにという懇請がありましたので、私共参ることに決定いたしまして、先ず参議院におきましては、建設委員から一名、それから死傷多かつたところに対しては厚生委員、それからもう一つは、今度は海の方の災害が非常に多かつたの水産委員が伺うことにいたしたのです。私は十一日に東京発汽車で発ちまして、鹿兒島に直行いたしました。十二日に向うへ着きまして、翌日の十三日から現地を伺うことにいたしたのであります。又一方代議士諸君には六名おいでになりまして、二班に別れまして、先ず鹿兒島縣下一円を、最も災害のひどかつた所を視察されたのでありますが、私は主して建設委員立場から鹿兒島市中心にした所とそれから川内川中心とした川内市附近を視察いたしました。尚ここに痛切に感じましたのは、この川の氾濫、又その災害の非常にひどかつたということが予想以上であつたことと、それからもう一つはそれに因みまして、農林関係耕地或いは農地が非常に荒されておる、並びに山林も甚だしかつたということを痛切に感じたのであります。それで私は國会の代表というよう見地から、その方面にも多少注意をいたして参つた次第であります。  それで現地に参りますと、ここにおいでの島津君或いは水久保君等にもお目にかかりまして、行動を共にいたした次第でありますが、各地の詳細は地元出身委員諸君から明細をお聞きいたすことといたし、又報告書も提出いたしますから、細かいところはそれによつて御覽頂きたいのでありまするが、要するに今度の南九州災害は、五月半ば以後の梅雨前から連続的の降雨が甚だしかつたこと、それと特に鹿兒島縣災害が一番ひどかつたということは、どこに起因するかと申しますと、地質が非常に影響しておるように思うのであります。その理由は御承知のように、あの縣は、火山灰土でできておる地帶が多い、殊に「しらす」白い砂と書きますが、白砂でできておるところの地質が非常に多い、不断は非常に堅い岩石のようでありまするけれども、一朝長雨が続きますと非常に崩壞し易い、その関係鹿兒島縣の全縣下に亘つて、この災害がひどかつたのであります。私の見ました川内川それからその他の中小河川を見ましても、到るところ本流支流も崩れ、中には流れが全然変つてしまつて田の間を潰して通つてしまつておるような地帶が非常に多いのであります。又御承知のようにあの地帶丘陵地帶が多く、急にその丘陵地帶が盡きると共に平野になつておる、そういう関係断崖が多いのでありまするが、御承知のように、南九州日本降雨量におきましては、第二番目の雨の多いところでありまして、又同時に風が強いというような関係から農家等は、そういう断崖の下に非常に家を造つておる、そういう関係から、今度のような崖崩れ山崩れがありますと、そういう崖地地帶が一瞬にして埋つてまつたというところが各所に見えるのであります。殊に南部におきまする大隅半島それから肝属郡を中心にした地帶は、最も惨害のひどいところになつておるのでありまするが、この地帶は私時間の都合で参れませんのと同時に、衆議院方々が親しく御覽になりましたので、その他帶は参らなかつたのであります。ただ水産委員会木下委員長は、漁港を中心にして、同じ日に着きましたが、私と行を共にされて、ただ行く先々でお目にかかれたような状態で、各專門的な立場で拜見したのであります。  それで二晩鹿兒島におりまして、更に今度は宮崎縣に入りまして、都城それから宮崎の市を中心にそれから霧島地帶中心にして、そのひどい惨害地帶を見たのでありまするが、やはりこの宮崎縣南部地方都城中心にしてから、西の方は鹿兒島縣に劣らずひどい惨害を受けておりまして、河野は大小を問わず至るところに崩壞しておる。殊に注目すべきことは、鹿兒島縣でもそうでありましたが、宮崎地帶におきましては、この河川に作られたところの田圃に水を引きます用水の井堰、これが存外に障碍を來たしておるということを発見するのであります。それはどういうところかと申しますると、井堰を存外大きく作つておりますものが障碍になりまして、そこに非常に土砂が流れて來る、結局河床が上つてします、その結果堤防が堪え切れなくなつて本流井堰を迂廻しまして外へ流れてしまう、それで田圃が全く川の底になつてまつたというようなところが、非常に多数、あちらにもこちらにも見受けるのであります。それから長雨のために、農地の方におきましても田植が非常に遅れる、平均二十日以上遅れておるという状態で、私が参つたときにまだ田植えをしておつたところが至るところに見受けられますし、又河川氾濫の結果苗代が非常に流出しまして、熊本縣あたりからこれを補つておるというような状態で、不足を來たしておるのが、宮崎縣でも鹿兒縣でも多かつたのであります。それと同時に今度のデラ台風特徴であるところのものは非常に風が強かつた、それと同時に中心のところが去ると雨がなくなつてしまう、非常に潮風が強いというのが、今後の特徴でりまして、畑地では宮崎縣鹿兒島縣境から大分縣境に至る海岸地帶三里乃至五里の間が塩害を被つて殆んど藷は全滅である。それから立木である松或は杉のごときは眞赤になつておる、恰も秋の紅葉を見るような所が到るところに見受けられたのであります。それから尚海岸から三里乃至五里の奧地までが鹽害を被つておるという状態でありまして、非常に悲惨なところを拜見したのであります。これは水害でなしにむしろ塩害である、今度のデラ台風特徴一つじやないかとこう思うのであります。  大分縣に参りますと、今度は他縣から見ますると、比較的に損害が少く、が併し河川を見ますると本流決潰は比較的少かつたのでありますが、支流は到るところ山崩れ崖崩れ並びに堤防決潰ということを見受けたのでありまするが、宮崎縣鹿兒島縣と比較すると、それほどではないという感じを深くしたのであります。  それから今度愛媛縣に渡りますると、これは他の三縣から見ますると、四國地帶建設関係損害は比較的少なかつた、それほど大して取上げるほどのことはなかつたのでありまするが、併しやはり塩害に対しましては相当の廣範囲亘つて甚しいところを見受けたのであります。例えば宇和島から土佐寄の方の海岸地帶は藷畑で、愛媛縣の藷の五二%はその地帶でできる、この地帶がやはり塩害を受けまして全滅である。それから尚フェイ台風が参りまして、丁度私が宮崎におる時にこれに遭いましたのでありますが、この損害が又相当ひどくなりまして、この二度の台風によりまして藷の害は殆んど全滅に近いような状態であります。折角根が出ても藷になる根が出ない、掘つても出て來ないという非惨な状態に見受けました。  尚ここで御注意申上げるのは、この天氣予報につきましてのことでありまするが、最初は土佐沖デラ台風が通過するだろうといわれておつたところのものが、その後急に方針が変りまして又速度が非常に早くなりまして、鹿兒島に目掛けて來たというのが今度の惨害を來たした大きな原因だということも考えられます。殊に漁船の惨害鹿兒島縣が七百艘以上、それから宮崎縣が五百艘以上、それから大分縣が四百艘以上、愛媛縣は千六百五十艘以上の損害を被つておる、この沿岸の定置網は殆んど全滅である。それから死傷から申上げますると、陸地損害愛媛縣はなかつたのでありまするけれども、この水難によりまする漁師の死傷は、九州、四國を合せたよりもつと数が多かつた、約二百六十ぐらい、それから青葉丸が四國を出ましてこれの遭難したのを入れますると、それのプラスの九十名が死んでおるという状態であります。大分縣死傷は幸いなく、宮崎縣は約十一名が死んでおります、これは陸地で死んでおります。それから鹿兒島縣は海において二十三名それから陸地において約五十名ちよつと越しておるような状態でありまして、比較的陸地損害における死傷は少なかつたのであります。  住宅問題になりますると鹿兒島縣は相当に多いのである、デラ台風によりまして全壞家屋が千五十八戸、宮崎縣は七百七十戸、大分縣は百四十戸、愛媛縣が十戸。それから半壞が鹿兒島縣三千百八十六戸、宮崎縣が千七百四十一戸、大分縣が二百六十戸、愛媛縣が三十七戸。流失家屋鹿兒島縣が四十二戸、宮崎縣が三十二戸、大分縣は十戸、愛媛縣は無し。それから被害の点におきまして、床上の浸水家屋鹿兒島縣下におきましては五千百三十四戸、宮崎縣が千六百五十一戸、大分縣が五百八十九戸、愛媛縣は四十五戸。床下浸水になりますると鹿兒島縣二万五千六百三十二戸、宮崎縣五千五百人十九戸、大分縣二千九百七戸、愛媛縣三百三十八戸。そかれら公共建物損害は個々に申上げるとちよつと縣によつて分りませんから全体で総計で申上げますると、全壞、半壞、大破小破その他すべてを合せすと、鹿兒島縣下が二百二十八戸、これは私が丁度参りましたときに鹿兒島縣調査がまだ十分に行つていなかつたというのが現状でありまして、恐らくそれ以上になつておるだろうと存じます。それから宮崎縣が全壞が五戸、それから半壞が五戸、大破が三十六戸、小破が三百九十四戸。それから大分縣が全壞四戸、半壞四十一戸、それから大破六戸、それから小破が三十戸。愛媛縣は殆んどなかつたようであります。  ただ非住家でありまするが、これは鹿兒島縣が千四百五十九戸、宮崎縣が一万三千七百九十戸、大分縣が百五十戸、愛媛縣が二百二十八戸、こういうような状態になつております。  それでこれをもつと細別して申上げますと相当細かくなりますけれども、これを建築物被害を申上げますと、鹿兒島縣が七億五千二百万強、宮崎縣が七億七千万円、それから大分縣が五千万円強、愛媛縣は零。鹿兒島縣土木におきまして十八億六千二百万円、それから宮崎縣が二十一億一千五百万円、それから大分縣が約一億であります。愛媛縣が三千七百四十万円。  そかれら耕地損害鹿兒島縣が十七億三千五百万円、それから宮崎縣が十四億五千三百万円、それから大分縣が二億七千八百万円、それから愛媛縣が三億二千三百万円。それから山林鹿兒島縣が三億一千万円、宮崎縣が三億円、大分縣が七千二百万円、愛媛縣は二千八百万円。水産方面は、鹿兒島縣が二億千九百万円、宮崎縣が二億五千五百万円、大分縣は一億六千七百万円、それから愛媛縣は四億というような数字が上つております。その他いろいろございますけれども省略いたしまして、四億における被害見込額は総額二百二十五億以上に上つておることを御記憶頂きたいのであります。  以上で大体の災害状況を簡單ながら申上げまするが、私が今度視察いたしました時に、特に注意をいたしましたのは、この水防法関係から氣象測候氣象特報というようなものがどういうふうに活用されておるかということについてこの四縣につきましては私はお聞きしたのであります。測候所の方方にも來て頂きましていろいろ伺つたのであります。その中で受信裝置は大概の測候所にあるのでありまするが、発信裝置のある測候所というものが殆んどない、そういう関係から申上げましても非常に測候所が不備であるということも考えられるのであります。この四縣につきまして最も測候所が活躍しておりまして、特に民間と或いは縣廳と協力してやつておられるのが目立つのは大分縣測候所でありまして、すでに一年以前からこの水防法に準ずるような手段、方法を縣と市、或いは漁港等連絡をとつて、今日見ますように災害中心地帶を通つておるのに極く少なかつたということが感じられます。ところが今日特に注意して頂きたいのはこの氣象観測によりまして、放送局との連絡或いは國家警察との電話連絡というものはどうなつておるかというと、この点が甚だしく私各縣を廻つても不十分で不満足ということを申上げざるを得ないのであります。その大きな原因は何かと申しますと、最近警察電話というものが廃止されて一般の電話で取扱う、その結果氣象特報なるものが出ました時にこれを現地に……、つまり縣單位に申上げますと縣廳所在地國家警察の前の電話を利用して、それを各地方に通達いたしますのに、甚だしいのは愛媛縣の例を申上げますと、午後の四時に氣象特報が出ておる、それが傳達されましたのが五時間以上を経てやつと現地に警報が発せられたというようなことがあるのであります。この詳細は厚生委員であられる中平君が御調査になつて詳しいことは中平さんにお伺い頂きたいのでありますが、私も愛媛縣におきまして各町村の方々に郡別に來て頂いていろいろ伺いますと、その氣象特報が非常に遅れて來ておる。郵便局中平君が調査されますと、別に氣象特報に対しては、例えば火事とか或いは負傷者の救済というような意味で速報するというような指令も出ておらない。その結果警察の方におきまして何らそれに対する措置を講じない、ただ普通の電話です。又予算の関係上そうたびたびこれに対しての至急報とか或は特急のような警報ということをやれない、その関係上ただ義理的に氣象特報は発せられたということで、普通の電話でやつておるというのが現状であります。その結果漁夫は、もう一つの点から申しますると、意外にこの梅雨どきには台風が來るものでないというような迷信がある、その結果特報も出ておらなければ安全だというようなところで出てしまつて、えらい災害に遭つたようなことが多いのであります。私は水防法見地から申上げましても、是非とも今後は電話連絡ということを、これは郵便局なり電話局方面が特別に扱つて頂きたいということを非常に希望するのであります。  それともう一つ私が参りまして痛切に感じたのは、今までの災害というものは、これは建設省あたりにおいても殆んど全國何と申しますか、全國一律の砂防工事或いは又河川に対するいろいろの予防法をやつておる。ところが縣によりましては先つき鹿兒島縣で申上げましたように、白砂いわゆる火山灰土地帶というのは特殊な地質である、この地質に対する研究というものが非常に私は欠けておるように思うのであります。勿論土木研究所で御研究なつただろうと思いまするが、目下地質研究所というものが元の商工省只今の通産省にある、建設省には僅かに土木研究所で多少の研究はしておる、災害に対する地質研究というものは非常に少いというような感じを持つのであります。地質研究所はつまり埋藏されたるところの資源の発見、或いは又それを研究するような処置ばかり講じておる、災害に対する地質研究というものが非常に私は足りないように思うのであります。白砂のごときは火山灰土でありまするから水が不断でありましても直ぐ地下に潜つてします、地下水が非常に発達しておる。それで不断火山灰土は非常に固い岩のようなものである、ところが一朝長い雨が続きますと、急にこれが崩れ出す。その結果鹿兒島全縣下はこの火山灰土の禍いを受けまして、実に惨澹たるものである。私が参りました所もまだまだ汽車も通じない所、道路も通じない所、殆んどそれが火山灰土だということに帰着するのであります。そかれら鹿兒島縣におきまして、國道は比較的損害を受けておらんのでありまするが、縣道以下は殆んど道路という道路、それから林道、農道が川の底になつてまつた。支離滅裂になつてまつたというような状態でありまして、今後この地質研究ということが相当重要なものではないかということを私は感じたのであります。  この二つが私といたしましては今度新らしい角度から見た私の所見でありまするが、特に測候所のその氣象速報というものをもつと早く各地々々に傳達されれば、或る程度の防災はできたのじやないかということを痛切に感じたのであります。又殆んど測候所は、大きな所を除きましては発言裝置がない、漁村との連絡もない、漁港等においてもない、今度の行政整理によりまして非常に測候所が狹まれてしまつたのであります。縣によりましては今度の行政処置によつて廃止される、測候所がなくなるということは惜しいということから、縣費によつてこれを支えて行こうという縣もありましたが、鹿兒島のごとき或いは愛媛縣或い高知縣のごとき地帶は、暴風の日本における玄関である、こういうところが非常に縮小されるということは、今後の日本全体の天氣予報或いは氣象の観測に対して、非常な不便を來たすということを痛切に感じた次第であります。この点を將來もつと考究さるべき節々が非常にあるように存じました。  以上を以て私の御報告を終りますが、尚宮崎縣或いは又鹿兒島縣のこの災害に対しましては、現地御出身の委員の方がおいででございますから、その方々より詳細にお聞き頂きたい、こう存じます。
  4. 島津忠彦

    島津忠彦君 ちよつと只今久松委員から御報告がありましたが、それに布衍いたしまして、久松委員の來られました以後の被害相当ありますので、ちよつとその後の数字を含めまして全般的に御報告申上げたいと思います。  大体の被害見積でありまするが総体が百十七億五千余万円、そかれらその内訳を申上げますると、耕地が二十億余万円、それから農作物関係が五十八億九千万円、それから畜産が僅かでありまして五百数十万円、林野が三億七千五百万円、水産関係が一億三千六百万円、土木関係が二十六億一千五百万円、建築物関係が三億一千四百万円、学校建物関係が四億一千三百万円、それから衞生施設が五百万円、こういうことに相成つておるのであります。  で鹿兒島縣だけの状況を申上げまするならば、先程も久松君から御説明がありましたように、同地方は非常に土質の特異性がありますということが、そういう被害が大きかつた一つの大きな原因であつたことと思います。と同時に氣象通報が非常に不十分であつたということが言われると思うのでありますが、鹿兒島縣はこの行政整理関係もあるかと思うのでありますが、非常に測候所の数が減らされまして、殆んど鹿兒島市一つしかないというようなことでありまして、確か五つある筈なのでありますがその機能が十分発揮されていないということが、このデラ台風被害を大きくした一つの最も大きな原因ではないかとも思われる。それともう一つは戰爭中に相当濫伐、過伐をいたしましたこともあるのでありまするが、それと農林関係におきまして左程土地研究をしないで、やたらに土地さえ開拓すればよろしいというようなことのために、少しでも平地があればそれを開くというような観点がどうもあるのではないかと思われる場所相当多数にあるのでありますが、例えば大隅地区におきまして笠木高原という場所などは、約百町歩らず八十何町歩ありますが山の頂上で高原であります。その高原明治年間に開きましてそうして約十キロばかり上の方から水を引いて水田化されたのでありますが、これが大正七年頃から水害によりまして相当荒されております。今度の台風におきましても非常に被害を受けまして、大きな一円の山が一朝にして崖になつて崩れる、その崩れた現地以外に下の方に土砂を流します関係で、下の方の谷間の畑とか田圃とが非常に被害を受ける。こういうことなどは外にもまだ二、三あるのでありますが、同じような場所があるのでありますけれども、こういうことはやたらに土地さえ殖やせば食糧増産できるというような観点からのみによつて開かれたのではないかと思うので、十分とこの点は國土計画の総合的な見地から一応懸命研究して考えて開発すべきではないかと思われまする点が、今度の被害を通じまして痛切に感じた点でございます。  まだ申上げたいことは多々ありますが、大体鹿兒島縣につきましてそういう点を補足的に申上げて置きます。
  5. 水久保甚作

    水久保甚作君 この度のデラ台風に当りましては、政府方面衆議院方面参議院からもそれぞれ調査員派遣になりまして、詳細御報告済であろうと思うのであります。私宮崎縣大要を申上げますと、この時期が今までの間に曾てなかつた非常に早いのでありまして、田植時期に台風があつたことはここ数年來なかつたのでありますが十年ばかり前に一回あつたそうであります。今度は今田植の最中でありましてそのとき参つたものでありますから、もう直ぐに埋沒したところは被害が多かつたのでありますが、殊に又私の地方では宮崎縣大要を申上げますと先ず都城地区から申しますと、これは鹿兒島縣に接近しておりますから鹿兒島縣報告にあつたようでありますから都城地区から申上げますが、都城地区大淀川上流に位置しておりまして、そうして今度の増水になりました河川中、大淀川宮崎縣では一番水量が多かつたのであります。そうでありまして、それに分岐しておりますところの安永川、横入川、こういう川が支流であります。霧島の麓から源を発しておるのでありますがこれが非常な増水であります。今までの間に殆んどなかつたような被害を受けたような次第であります。先ず第一に横入川から申上げますと、横入川には横入井堰という大きな井堰があるのであります。これは殆んど二百五十町歩灌漑いたしておるのであります。これがその井堰は現存しておりますけれども、川がこの田の中を通りましてこれが川を変更したのであります。そのためにこの二百五十町歩はもう植付けておりますけれども枯死せんとするような現状となつたのであります。それでありましたからそれに対しまして早速この川の修理に掛かつたのでありますけれども、どうも水勢が多いのでありまして思うように参らんのでありましたが、ようやく先月の中旬から天候が変りまして今その工事を進めておるような現状であります。これに対しましてはこの台風に関するところの写眞等もあるのでありますから、これによつて皆さんが御覽下されば状況は分ると思うのでありますが、そういうような現状でありまして、誠にこの地方の二百五十町歩を有する農民は晝夜兼行でもう家族総出でこれに掛かつておるような現情でありますが、國費の支出は困難でありまして直ぐに参らんのでありますが、先ず地方においてできるだけのことをいたしましてこれの修繕に掛かつておるような次第であります。それから又その他の安永川も非常な損害を與えておりますが、これもどうも思うように……雨が続きまして、そうしてそのために水の嵩が大きいのでありますから、工事が困難でありますけれども着々復旧工事をやつているような現状であります。  それから先ず宮崎縣大要を申上げますと、各河川ともかくのごとき現状でありますが、先ずこの台風におきまして、丁度その台風が雨が止みましても風は止んでおらなかつたそうでありまして、そうしてそのために海水を吹き上げまして、その海水がこの縣の海岸線に沿うところは全体に亘つて海水を浴びせたのであります。そのために先ず樹木が殆んど枯れたのでありますが、殊に又作物といたしましては甘藷のごときも今丁度植え付けてから早いのが二十日ぐらいになつてつたのでありますから、三ケ月足らずでありますから殆んどその茎の出ているところを吹き切つたのであります。そうして潮風が参りましたから殆んど全滅であるのであります。それから又大豆のごときもやはりその通りでありまして、先ず宮崎縣においては、今までに初めてこのような私は現状にあると思つておりますが、殆んどもう收穫皆無というのが多いような現状であります。それから又一面陸稻におきましても、收穫は宮崎縣相当挙げているのでありますが、本年は殆んど全滅の現況にございます。かくのごとき現状でありまして、今度の被害は総体通じまして八十八億円に及ぶ、この点は確かであります。それで詳細に亘つてこれは内閣なりその他各主管廳に報告がありましたのでございますから、それによつて御了承願いたいと思うのであります。又この問題につきましては、山口國務大臣一行がおいでになりまして、そうして詳細に亘つて調査をして報告になつておりますから、本委員会におかれましても、この趣旨においてこの災害対策を立てて頂きたいと思うのであります。  先ずここに一言申上げておきますことは、外でございませんがこの砂防問題であります。今度の水害がかく大きくなつたということはやはりこの戰爭の余波を受けました関係でありまして、いわゆる山林の伐採を自由自在にやりまして、そうしてそのために山が荒れている、それから土砂が流出いたしまして、そうしてその川の川底を上げまして川底が高くなりましたためにこの問題が起つたのでございますから、これに対しましては、宮崎縣においては殊に私は堪能な赤木委員のごときもおられるのでありますから、宮崎県の現状をお分りになつておりますから、かくのごとき現状を救うにはこの砂防関係を万全にせんければならんと思うのであります。それで姑息的な河川の修理では到底目的を達することができない。それでありますからこの砂防工事をしつかり川上の方をやりまして、そうして下流においてはそれに相当する恒久的の堤防を築いて、そうして安全性をとらなければならない、こう思うのでございます。そうでなければ宮崎縣のような所は毎年台風の進路に当つております関係被害が多いのでありますから、この際思い切つたる政策をとつて頂くように、本委員会からも政府に要求して頂きたい、こう私は強く主張する者であります。  以上簡單でありますが、大要を申上げまして私の報告を終ります。
  6. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) 一應河川局長から災害に対する対策の説明を求めます。
  7. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) デラ台風に対する我々のとつた態度それからその経過を御報告申上げます。  先程お話がありました通りに相当大きな被害であります。併しながらこの被害は時期的にはまだ台風時期という八月、九月以前に起つたのでありまして、これをこのまま放置いたしますれば、再び來たる台風に対して如何ともし難い、いわゆる更に災害を増加するという非常な危險な状態災害が起つたのでありまして、これをこのまま放置するということは我々としては忍び難いという意見が出たのであります。併しながらこれに対して不幸にして公共事業費には予備金というものを持つておらないので、これらの予備金支出の方法は到底採れなかつたのであります。併しながらそういうふうな状態でありまするから、何とかしてこれに対する應急措置を講じなければならんということで、我々協議しました結果、すでに御承知の通りに、公共事業費のまだ認承の済んでおらない三・四半期以降の金の中から十億を目途として、これは十二億になりましたが、十二億だけ繰上げて災害に充当するということになつたのであります。併しながらこれは一應繰上げでありますから、三・四半期以降の公共事業費の中でこの金を一應分担しなければならん傾向で、この点は各事業とも非常に問題があつたのでありますが、併しながら将來としてはどうしても補正予算なり何かの方法を講じて、この穴を埋めなければならんという考え方で一應充当したのであります。この十二億の配分は目下いろいろ協議しておりますが、大体の各府縣の配分が定まつたのであります。  これより以前にこの公共事業費十二億を出すということは関係方面といろいろ折衝しなくちやならんし、各省との折衝もありますので、なかなか手間取るという心配があつたものでありますから、一應地方に一時的な融資をしたいということで、十億の金を融資したのであります。これは一應短期融資でありまするが、將來は長期に考え直す場合があるというようなことで短期融資をしたのでありますが、その金は大体各府縣の割合は鹿兒島が二億、宮崎が二億、大分が一億、熊本が五千万円、福岡が一億五千万円、高知が一億、徳島が六千万円、愛媛が四千万円、山口の一億というように十億の金をこの府縣に配分したのであります。併しながらこれはどこまでも一時融資でありまして、更に公共事業費の十二億を配分する場合には現地を査定いたしまして、実地調査をいたしまして正確なる資料の下にこれを配分しなければならんというのが各方面の強い要求でありましたので、我々の方から現地に人を派遣して大体先月一杯で査定は完了したのであります。その資料に基いて今後十二億の配分をするのであります。  ところがこの十二億の配分の内訳を見ますると、十二億の中に河川関係といたしましてはその中の八億八千万円であります。他の三億二千万円の金は運輸省の港湾或いは農林省の漁港というような災害に振向けられるのであります。その八億八千万円の中に國の直轄河川の復旧費が一億、北海道の災害、これはデラ台風ではありませんが、北海道の雪解け災害に対するものは未だ國費の支出をしていなかつたのであります。而も北海道は御承知の通り全部國費であります。地方がこの工事を行うことができないのでそのまま放置して置く状態でありますので、これだけは特別に九千万円の國費を投じたのであります。從つて各府縣に今後配当します金は六億九千万円ということに相成るのであります。  これが現在デラ台風に対する我々のとつた方法でありまするが、最近の、皆んな現地に査定に行つて参りました、或いは山口國務大臣が現地を御視察になりました結果、相当被害が甚大である、最初のように十億の融資を短期融資でこれをそのまま短期にしてしまうことは、各府縣の財政上非常に困るのではないかというようなことから、まだはつきりいたしませんが、場合によりまするとこの十億がそのまま長期融資に替わるという可能性が大分起つて参りました。從つてそれが長期になりますると、この十二億に対する地方負担の起債分六億になりまするが、これが更に融資の方法を考えなければならんというようなことを言われておるようであります。まだこれははつきりいたしませんがそうなりますると最初の二十二億よりも更に六億の追加金額が地方に行くのではないかというふうに我々は希望をつないでおるのであります。  次にその後に起りましたフェイ或いはヘスターというのでありますが、フェイ台風は御承知の通りデラ台風が起つて皆んな現地に査定に行つておりまするときに起つたのでありまして、その受けた区域は大体鹿兒島宮崎、熊本、長崎というようなところであります。でありまするから現在までのとられておりまする十二億余の配当の場合には、このフェイ台風被害も加味されたものとしてこれは配付すべきではないかということになりまして、残るのは最近起りましいヘスターであります。ヘスター台風は最初非常に速度の遅い、而も中心の示度の非常に弱い台風でありまするので、一應は我々としては安心したのでありまするが、この針路は今の小笠原から始まりして場合によりまして関東地方を襲うのではないかという心配もありましたが、結局三重縣に上陸いたしまして福井縣に抜けたという針路を通つております。この地方には相当被害があつたのであります。殊に三重、京都、滋賀、これらの府縣はこのヘスターによる最も大きな被害地であります。ところがこのヘスターとその前にあります台風といいますか不連続線のいたずらで、このときに徳島が相当な豪雨を見たのであります。以前にデラ台風のときには徳島の南半にはあつたのでありますが、今度は吉野川流域の所にヘスターの前にこの大暴風がありまして相当被害を起しております。  それで現在までに我々のところに報告がありまするのは、表に載つけてあります通りに、一番大きいのは京都の十一億四千万円、それから三重縣の九億というようなものであります。特にその外に徳島の二億五千万円、香川の五億はまだこの点ははつきりいたしませんが、一應香川が五億となつておりまするのは余りに数が多いのではないかという我々は見方をしておりますが、こんな程度であります。これも相当な、デラと匹敵する程……まあデラよりも相当小さいのでありますが、又これに対して何らかの方法を我々としては考えなければならないということで、これにもやはり、公共事業費の十二億以上にこれを増額して繰上げ支出は困難である場合には、少くともこれに短期融資か一時の繋ぎ資金を出さなければならんということをいわれております。目下その額については協議中でありますが、大体において出すという傾向には行つております。昨日当りまでの協議の結果では、これに六億程度の融資をしようではないか、尤もこの金額は変わるかも知れませんが、そういうふうな経過を辿つております。  そこでこの災害原因でありまするが、もうすでに皆さんの御承知の通りにいろいろの原因がありまするが、結果において我々が一番この災害が未然に防げるというところで防げないのは、やはり何と申しましても洪水予報の問題であります。目下各大きな河川については予報組織を拡充しておりますが、これも結論においては通信連絡関係が非常にまずい、自分自身で通信機関を持つておらないで警察の通信やその他逓信者の通信を利用するというそのことが非常に連絡の齟齬を來たしておるということであります。それから農林省関係との計画に対する災害防止的の見地からの施工に対する連絡が欠けておつた、例えば堰堤を造つて農業用水を取ろうとする、それが災害原因なつたとか、或いは開墾のため災害を起したというようなことが、現在現実となつて現われて参りました。こういうようなことを考えて見ますると、かねてから我々からお願いしてあつたやはりこれらの組織を一纏めにした総合建設省ですか、國土省ですか、或いは公共事業省ですか、何かそういうものを作つて頂かなければ、総合的にこれらのものを順序よく將來を考えた計画がなかなか立ち難いというようなことが考えられるのであります。若し今後國土保全の意味で災害防止に力を入れて頂くといたしますれば、そこまでお考え願うのが一番いいのじやないかということをこれは蛇足でありますが、お願いしたいと思うのであります。
  8. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) それから先程御観察になつた結果氣象通報等に関する御報告もありましたが、これに関連しまして中央氣象台長が只今お見えになつておりますから一應御説明願うことにいたします。
  9. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) それでは中央氣象台から御説明申上げます。  この度デラ台風が非常な被害を起しまして、その被害を防ぐことについて中央氣象台の予報警報その他に若干の不十分があつたということを遺憾に思いましてお詫びいたします。これに至りました原因につきましてはこの前も申上げたので、もう技術的の不十分は申上げる必要はないと思いますから、只今は省略さして頂きます。これにしましても、この警報とか予報とかいうものは相当に出ておるのであります。例えば九州におきましてもこの台風の接近の前にすでに種々の警報、特報なんか出ておるのでありますが、それが十分にこれを必要とする向きに到達しなかつたという点におきましては、只今種々指摘して頂いたその通りであります。この警報、特報の類が必要とする向きに通報されますのに、我々として第一番に重要だと思つておりまするのはラジオであります。ラジオは最も一般のすみずみにまで亘つておるのであります。最も速かに簡便な方法において到達するものでありますが、この点に関しては中央氣象台と放送局とは十分に密接な関係で仕事をして参りましたのでありますが、尚この間にもつと密接にすべき点も考えられますので、更にこの関係は努力いたしたいと思つております。  それよりももつと大きな問題は、折角ラジオの電波に乘りましても利用者のラジオが使えない場合がある或いはその備えがない場合がある点であります。この中で備えのない方は極力必要とする向きはラジオを備えてこういう場合に聞くということで済みますが、実際に地方においては停電その他によつてラジオが聞けなくなる、或いは晝間の送電がないというようなことは、非常に遺憾な点と思われますので、この点については何とか処置すべきものと考えております。尚最も必要な場合には、いわゆる電燈線によらずして普通の電池、乾電池のようなものを使つて、こういう場合にラジオをどうしても聞くようにしなければならないと考えております。  それからその次にはこの水防法その他によりまして、氣象台、測候所警察と密接な関係をとらなければならんことになつておりますのに、只今もお話がありましたように、この間の專用電話というものの施設というものは、遺憾ながら、現在少いのであります。而も今回この警察電話というものはなくなるというようなお話がありまして、非常にその点は遺憾と思つております。これは是非必要でありまして折角の災害の予防も連絡が惡ければ、全く意味をなさないのであります。  その次には電報の件でありますが、ラジオの普及しました今日、電報というものは二の次に置かれておるのであります。併し場合によりましては、この電報つまり我々の方では通知電報と言つております。こういう警報や特報が出ました時に電報で通知する方法、これは郵便局におきましても優先的に取上げて速達されるように願いたいと思つております。  尚気象台といたしましては、この從來の災害防止の組織の一環として、我我は最善の任務を盡したいと思つておりますが、この点に関して、過般の行政整理におきまして人員予算が減りましたことは非常に残念に思つておるのであります。殊に例えば通信におきましても、我々部内の氣象に使つておる專用線というものも非常な大きな額に上つておるのでありますが、これも最近値上げをされまして我々は十分なる予算を持つておりません。こういうような点に関しまして、災害防止には通信の連絡が第一である、これを確保せずには、折角防ぎ得るものも防げないというようなことを特に強調いたして置きたいのであります。
  10. 久松定武

    久松定武君 氣象台長にお伺いいたしますが、この氣象特報に対して、今まで電氣通信者、中心はまあ電話局になりますが、これとお打合せをなさつて、そういう氣象特報に対しては優先的に取扱うということは、関係官廳と協議なすつたことはありますか。
  11. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 昔から氣象通知電報は、至急官報の取扱をいたしております。それ以上の優先ではないのであります。
  12. 久松定武

    久松定武君 それは電話の方ですか。
  13. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 電話は別にありません。
  14. 久松定武

    久松定武君 これは私今度廻つて見ますと、普通電話で扱われております。從來それで特報として出しながら至急報でもなんでもない、普通の電話で扱つておる関係上非常に氣象特報が遅れるんです、先つき申したように五時間以上遅れる、その間に漁師は沖に出てしまうことがあるんです。それから又役場なんか非常にこれに対して、関心を持つていないんです。宮崎縣の一例を申しますと、私が霧島山麓の京町というところに行きまして、その頃もうすでに天氣ちよつと怪しかつた、それでフェイ台風が來るということが分つてつたのであります。それから宮崎の市に参ります間に、役場でフェイ台風が來るという掲示を出しておるところは一箇所しかない、町に行つて見ましても台風氣象特報が出ているかいないか知らないというのが相当ある。そんな状態でありまして、私といたしましては、今後この氣象特報に対しまして優先的に、火事と同様に扱うような方法を、郵便局なり電話局なり講じて頂きたい。この打合せを建設省、氣象台、放送局等とやつて頂きたい。それからもう一つは、ラジオは、実際今お話のように大体台風中心地帶に近いところは殆んどどこへ行つても停電で、全然聞こえない。鹿兒島のごときは台風が過ぎ去つて漸く二時間経つて聞けたというわけであります。只今鹿兒島を通過しているという放送をしたときには二時間くらい経つておる。私はこの点につきまして、今お話になつたんですが、今度これを放送局とも御相談をして頂きたいのです。必要なところには今の乾電池等において放送が聞けるような措置をやつて置いて頂くのが、一番安全じやないか。  又地方測候所においては水防法の趣旨も徹底してないと思われたのでありますが、こういう点も今後一つ建設省、氣象台、放送局等において十分やつた頂きたいと思うのですが、何かそういつた方面連絡というものが、十分に行つてないように思うのですが。
  15. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 河川局長にお伺いしますが、デラ台風とヘスター台風と両方の災害額は百七十六億くらいになる、それでこの百七十六億の災害に対して先つきの御説明では、十二億とそれからヘスター台風について六億くらいの融資を考えつつある、こういうお話だつたんですが、一体政府の方針は、百七十六億の災害に対して十億や十五億の災害費を出してあとの費用はどうなさるおつもりか、百七十六億の災害に対して十億や二十億出しても全部これを仕上げるのには十年も掛かる、そうすると毎年こういうふうな災害が出て來ると結局災害亡國というような形に行くんじやないか。こういうふうな感じがするんですが、國費をお出しになる限度が何を根拠にして十億や六億をお考えになつておるのか、一時的なこれは考え方であるのか、或いはそれとも將來ですね、何か手を打とうというお考えであるのか、その辺をはつきりお話願いたいと思います。
  16. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 大体デラ台風のときに考えましたのはここにあります百三十四億ですから、これを一應我我としては追加要求をする、勿論百三十四億大体災害は起きましたその限度において、我々は三割方くらいが必要であるという主張を持つておるんですが、大体その程度は欲しいということを考えたのでありまするが、何にいたしましても補正予算をするには議会を召集しなければならないという問題もありますし、予備金は全然ないし、大体においてそういうことでは、もうそういう大きな問題を取上げたのではそのときは又問題にならなかつたのであります。仕方なしに、我々はデラ台風に対しては、八月並びに九月頃の次の出水期までによる應急的な措置に対する何らかの方策をやらなければならんということの目途として要求したのであります。今まででありますれば應急措置は縣自身が大抵の場合は應急工事をやつておりましたが、最近御承知の通りに縣の財政が非常に苦しくなつておりますので、到底縣に任しておいて應急措置を講じろというわけには参らんので、それだけでも一應金を出して貰いたいということでこの話が進んだのであります。從つてこのデラ台風全体に対する措置はまだ考えておらないのであります。  それから先程の通信のお話ですが、今話まで通信関係は例の緊急の取扱を受けておるのは災害は入つておるんですが、災害が発生した後のように解釈しておるんです。災害が発生してしまつた、緊急措置を講じなければならんという事態が起きた場合の通信の取扱のように解釈しておるのです。そこで我々はそれでは非常に困るんだ、災害が起る事前の予防或いはその他の連絡というものは非常に必要なのである、それが災害を未然に防止する手段であるからというのでいろいろ協議はいたしておりまするが、大体それは納得しておりまするが、まだ第一線にはそれが浸透しておらないということだと私は考えております。
  17. 久松定武

    久松定武君 これは未端の方は実際浸透しておりませんで、或る縣で聞きましたときに、私は直接聞かなかつたのですが、或る縣は郵便局に調べに行つたときに、規則違反じやないじやないか、だから普通電話で扱つた、こういう返答を得たところがあるんです。災害を未然に防ぐためにはやはり今局長が言われたように、緊急のものとして扱うべきものじやないかと思うのですが、これが未端に浸透しておりません、実際のところ。ですから今後はこれを強調して頂きたいのです。  それともう一つ河川について申上げますと今以て堤防に対して随分畠を作つておるというところが多いんです。これがやはり今日堤防の決壞した原因なつたおるところが実際にあつたんですから、この点も一つもつと強調して頂きたいのですが、あれはただ省令として出ただけで……、法律的には禁止されておるものが何か出たんですか。
  18. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 法律的にはこれはもう何もあれを戰時中に開墾しろということを出したというわけではなく、ただ省令なのです、省令というのは許して大目に見るということです。法律的な取締としては禁止するということができるのですが、ただ今までの惰性がありますのでなかなかできないという実情であります。
  19. 久松定武

    久松定武君 昨年の十月から何か政令で禁止するようにした所が……
  20. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) あれは省令を出して一應取締の方針をはつきりしておきましたが、ただ災害が起きました所はみんな廃止に持つて行きますが、災害が起きない地方にはまだ眼覚めない所があるようです。
  21. 久松定武

    久松定武君 それからもう一つ氣象台長にお伺いいたしますが、地方測候所によつては所によつて連絡をよく取つていらつしやる所があるのですが、民間の團体とか、漁村とかそういう所と、或いは市役所とか町役場とかと連絡をなすつて氣象の予報に対する知識というものの大衆に向つての普及ということを研究しておる所が多いのですが、大部分の測候所というものはそういう連絡がないのです。大分縣のごときは非常によく行つておりまして、縣廳の地方課において現在天氣予報の地図まで書けるようになつておる、非常に大衆との連絡がうまく行つているのです。ところが外の縣を見ると殆んどやつていない。極端に失礼な言葉ですが、測候所測候所の殻の中に入つている、他との連絡というものが比較的に行われていない。氣象台長と知事が初めて会うという所が非常に多い。今後そういうことを打破つて一般人の方との天氣予報についての連絡、殊に地方の官廳とやつて頂くということが、災害の予防にも非常に役に立つのではないかということを痛切に感じた。そういう点を一つ今後お図り願いたい、こう思います。  それからもう一つ今度は河川局長にお伺いしますが、この土質の問題ですけれども今までのを拜見していると、どうも何といいますか砂防工事にしても全國的に一律のようなやり方である。土質の研究ということに対しては相当研究を要するのではないかというように考えておりますが、この点はどうでしようか。
  22. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 例の鹿兒島縣の問題につきましては、私共の方の研究所でも相当研究しておりますが、まだこれを具体的にどうするかというところまでには行つていません。御承知の通り鹿兒島縣はあそこの土木工作物というものは非常に遅れておる、余り仕事をやつておらないのです。ですからまだ何といいますか、土質の研究よりも実はまだ土木工作物を積極的にやらなければならんという時代ではないかと私は考えておるのであります。それですからこの表に載つかつておる宮崎鹿兒島とを比較して見ますと、災害それ自身は非常に鹿兒島の方は大きいのでありますが、土木工作物の被害というものは極く少いのです。これはどうしてかというと土木工作物がそれ程進んでいないという証左だと私は考えるのです。宮崎縣の方は或る程度進んでおるので金額は相当つて参ると考えております。
  23. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 ここに頂いたこの復旧費は各府縣に災害査定に行つた結果によるものですが、或いは縣から報告して來たものですか、この数字は。
  24. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 大体それは報告を取纏めたに過ぎないのであります。
  25. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そうすると今後又これより結果の数字は変り得るものと考えてよいのですね。
  26. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) そうです。
  27. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それからもう一つデラ台風以ての流出その他の災害の表ですが、これはデラ台風以前でありまするから、この前の國会中にもすでに分つていた筈なんでありますがそれはどうなんですか。
  28. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) これは一番大きいのは北海道の融雪災害で五月の雪融の時であります。これが最も大きい災害でありますが北海道はこれに対して何とかいたさなければならんかということで、我々に強い要求があつたのですが、ただこの時は大きいのはたつた北海道一つなんでこれだけを取上げるというわけに参らんで、地方に現在配当してある災害費の中からそれを流用して一應の仕事をやつたらどうかというような勧奬をした程度で、この措置は全然講じなかつたのであります。從つてどうしてもこのデラ台風を取上げる場合には、少くとも北海道だけは取上げて貰いたいということを我々はこれを主張いたしたのであります。
  29. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 本年の災害は分りましたが、この前の議会でも二十三年度の災害復旧をどうするかということが非常に問題になつていたのでありますから、今手許になければ明日の委員会でも結構ですが、二十三年度の災害がどの程度まで仕事ができたかこれをお聽かせを願いたい。  それからもう一つは二十四年度のデラ台風フェイ台風或いはヘスター台風がありましたがその中に、今までの台風ですでに災害にかかつた場所があつて尚拡大したものが有り得るのじやないかと思います。これも今直ぐお分りにならないと思いますから……、若しも明日までにお分りになれば……若しも明日までにお分りにならなければ、災害査定に行つて結果でもよいですから、從來の災害が更にどれだけ拡大したか、それをはつきりお示しを願いたいと思います。
  30. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 大体過去の災害の増発ということは宮崎鹿兒島相当あると思いますが、これは実際現実に縣を査定に行きませんと確たる数字が掴めませんからその結果にお願いしたいと思います。  それから二十三年度の災害復旧の進捗状況でありますが、我々の考えておりますのは、デラ台風、フエイ台風、ヘスター台風相当被害が大きいというのでこれに対する措置を講じなければならんとは思いまするが、一方二十三年度の災害に対する國庫補助の支出が非常に少いのであります。これはどうしても災害としては二十三年度、二十四年度を同じような考え方で進みませんと、我々は全國的に不公平だという謗りを免れないような氣がいたすのでありまして、その点は十分この委員会で御審議を願いたいと思います。
  31. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 もう一つ、この災害復旧は成る程重大な仕事でありますが、先にも原口委員の御質問のあつたように、我々はもう災害復旧、災害復旧では実はもう耳にたこができるような氣がいたします。河川局といたしましては或いは建設省といたしましては、災害復旧よりは先ず先に起らないというそれに重点を置いて貰わなければ、日本の將來は駄目でという考えを持つておりますので、恐らく河川局長もそういう方針で進んでおられると思いますが、それに対する河川局長の御所信……災害復旧も重点であるにし違いないが、それ以上に災害が起らない、その元をただすというそういう考えに改めて頂きたいと思います。
  32. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 勿論我々としては災害が起きてからこれを復旧するということは國費の濫費のように考えられます。これを未然に防いで災害額を少くすることがより効果的であるということは十分承知しておりますので、できるだけ積極的な恒久的な対策を講じて行きたいと考えておりまするが、何にいたしましてもこういうふうに災害が非常に多い、而も多い災害を数ケ年に亘つて復旧しなければならん、少ない金のみしか我々に與えられないという形におきましては、よい考え方ということは確かに分つておりまするが、手で出せないという現状にあります。併し手が出せないといいましても我々は一歩々々恒久策の線に向つて進みたいというのが我々の念願であります。  そこで今年の台風の総体を考えて見ますると、すでに河川改修をやりましたところはそう大した被害がないのであります。原始河川、未改修の河川被害が多いのであります。これは未改修河川、原始河川であるから当然氾濫をする、こう一概にいえばそれまでの話でありますが、併しながら仮に氾濫をいたしましても、ただ水のみの氾濫でありますればこれ程の被害がなかつたのではないか、いわゆる山地の崩壊による土砂流によつて人家を埋没したり、田畑を流失したりすることが非常に災害を大きくする原因ではないかというふうに今年の災害は考えられるのであります。或いは將來ともこういう傾向が起きて來るのではないかという心配があります。從つて我々はこの上流地方における河川改修に対する考え方というものは、これを災害原因を除くものとして考えなければならん。と申しますのは、どういう地方でも氾濫することは非常にお嫌いだということは分るのでありますが、これを全部下流に持つて行くという考え方になりますと、折角氾濫しない立派に造られた川の堤防が又危險に陥れられるという結果になりはしないかという心配もあります。そこで我々はこの土砂を押えるいわゆる砂防というようなことに、先ず上流地方は重点を置くべきではないか、原始河川を直すということよりもその地方においては砂防に力を入れるべきではないかという、これは私個人の考えでありまするから、まだ河川局として意見が纏まつておるのではありませんが、こういう考えを以て私は河川に対する計画の方針といいますか、或いは案というか、道路には道路構造令があるごとく、河川には一つの構造令があつて然るべきではないかというふうに考えられて來たのであります。いずれこの問題につきましては河川の審議会とか或いは河川調査会とかいろいろの先輩諸兄の御意見を伺つて定めたいと考えまするが、私の考えだけではちよつとそういう考え方を今持つております。
  33. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今河川局長からしておつしやつたことは私にも一應御尤もと思います。これは河川におきましては上流河川でも改修を当然すべきものもありましよう、せなければならんものもありましよう。併し今お話の通りに土砂が出てそれがために非常に困つておるという事情が沢山あります。私の手許に徳島の新聞が参つておりますがこの二日の新聞を見ましても、徳島の吉野川の災害といいます非常な大水害で大分人も死んでおります。それには山津浪がなぜ起つた、天井川が主原因で、急げ吉野川上流の砂防と書いてありますが、こういうふうなことが大分起つて來たのでありますからして、どこに重点を置かなければならんか、河川河川によつて違いましよう。それによつてよく性質を明らかにして本当に治水の根本に沿うように一つお考えを願いたい。いずれこれは又後の機会に詳しく論議することと思いますが簡單に申上げて置きます。
  34. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今河川局長説明デラ台風ですが、十二億円は緊急支出で單なる融資十億円云々というのはデラですかフェイですか。
  35. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) フェイまで考えてデラとフェイとが同じような地方でありまして、時期も大体以ておりますからフェイまでを入れて考ております。
  36. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それに國費十二億と別に融資十億ですか。
  37. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) そうです。
  38. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それからヘスターに対しては融資六億ですか。
  39. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) これは考慮中であります。
  40. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それから国費は……
  41. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 國費は今のところ考えておりません。
  42. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ところが百三十四億円の損害ですな。そうするとこの二十四年度に入つてからの二十二億に対して政府が今考えていることは、十二億の國費支出と、單なる融資十億と、これは長期に返還したいというので善処している、それからヘスターに対しては六億融資したいということで考慮中である、これが全部だということですか。
  43. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) そうです。
  44. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それからその次にもう一つお尋ねしたいことは、先程取敢ず三〇%出すということが技術的に必要だと言われましたね。それをもうちよつと説明して下さい。三〇%出してあとの七〇%はどういうふうにするのです。
  45. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 災害期と申しますのは大体例年八月、九月、十月というところでありますが、それから次の出水期のためには六月、七月までに或る程度の仕事をやらなければならないというのが目標であります。それが六五%から七〇%が欲しいのであります。
  46. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 いつまでにです。
  47. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 來年度の出水までに。そこでその当初年のときにはいろいろ準備もありまするし、その年度内には三〇%三割ぐらいを支出して、残りを來年度に支出したいというのが三〇%の基礎であります。
  48. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それからもう一つ、赤木委員からの要求が非常に適切だと思うのです。僕も、それの頂載の仕方ですが、二十三年以前のものが、どういう損害に対してどういうふうになつておるかということを一つ合せて、口頭でなくて簡潔にガリ刷にして一つ、二十二年に対して受けた損害これこれ、支出がどれだけしておる、それから二十三年は幾らの損害に対して幾らの支出をしている、そうして今二十四年が來たというふうにして、災害関係はガリ刷一枚程度でいいから簡潔に、基本的な数字と実情を一目に分るようにして出して頂きたいということと、それからもう一つ、赤木さんのあれされた過去の災害を復旧しなかつたために、更に非常に損失を受けたという点は、一つ実証的に明確にはつきりと一つ我我に報告して貰いたいということですね、分り次第……。これを重ねてお願いしておきます。
  49. 久松定武

    久松定武君 河川局長にお伺いいたしますけれども、今度災害地帶廻つて見ますと、各河川増水量が戰前から見ると二倍になつている。スピードも二時間掛つたところが一時間で來るというような状態で、全國的に大体倍になつていると見ても差支ないものですか。昨今の川の荒れ方は……
  50. 目黒清雄

    説明員(目黒清雄君) 全般が倍になつているという見方は或いはどうかと思いまするが、洪水の速度が早くなつたということは事実であります。それから水量が増して來たということも事実です。それからもう一つ、その地方によつてよく調べなくては分らんのですが、急激に水が増すという原因には、上流地方における山地の崩壞による堰止め、これがたまたま洪水と一緒になつて、止めたやつがいわゆる山津浪という形において現われで來るということになりますると、これは倍になりますから、そういう原因がありますれば……ただ雨量が靜かに流れ出て河川が平常の形において水が流れ出るという形になりますれば、これはすぐ倍ということはちよつと言われないのであります。やはり雨量の増加に比例するという考え方の方がよいと思います。
  51. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) 河川局長は午後差支がありますので、明日は午後の出席はない筈であります。続きましては特に出席を願つておりまする農地局長に、農地被害及び皆様から報告のありました農地開拓等に関する災害等についての御説明を願います。
  52. 山添利作

    説明員(山添利作君) 被害額につきましてはお手許に多分表が差上げてありますると存じますが、又これに関しまする予算措置につきましては……來ておりませんか……それではデラ台風関係におきまする農地の、これは農地の公共施設並びに耕地そのものの損害も含めましてでありますが、七千何億円になつております。更にフェイ台風で四億円ばかりの追加になつておる。又最近のヘスター台風によりますると二十三億六千万円ばかりの被害になつておりまして、これを総計いたしますると百億に相成つておるような次第であります。これに関しまする国の予算措置につきましては先程河川局長から申上げられました通りでありまして、この中におきまする農林関係といたしましては、デラ台風の全体の十二億の分のうち耕地関係におきまして二億七千万円、それから林道関係におきまして一千万円、水産関係におきまして一千万円を支出することになつております。もとよりこれは先程もお話がございましたように極めて應急的な措置としてのそれでございまして、本格的なるものにつきましては補正予算で考えたいという考えを持つておるわけであります。それからヘスターに関しまする六億の融資ということにつきましては目下協議をいたしておるところであります。尚このデラ台風で漁船の被害が非常に多かつたのでありますが、これに対しましては從來共に国が特別の助成という措置を取つておりませんでして、これに対しては資金の供給ということで努力をいたしております。当初預金部資金を考えておりましたけれども、これはなかなかむずかしいのでありまして、從つて現在では農林中央金庫が国債を持つておりまするのを、今見返資金で相当買上げて貰うことになりますので、これを資金源といたしまして所要額を出すように相談をいたしております。尚資金関係といたしましては、漁船の外に開拓者の家屋が全壞いたしましたもの並びに半壞いたしましたものがございます。これに対しましては、開拓者の営農資金の一部を割きまして取敢ず一千五百万円ばかりを融通することにいたしましたが、主なる分につきましては尚何らかの措置によつて金融をつけたいという考えでおるのであります。併し開拓の金融でありまするから途中で府縣がちよつと中に入るとか何とか特別のことを考えませんと、これはむずかしいのじやないかというふうに思つております。  予算並びに金融の措置につきましてはその程度でございまするが、先程特に鹿兒島縣白砂についてのお話がございました。大体あの地帶はいわゆるテーブル・ランドをいたしておるのでありまして、これの排水口等をよくつけておりませんと、盆地に水が溜つて一挙に崖のところが破壞するということになつておるのであります。從つて開墾地帶につきまして災害の点を特に考慮することは勿論でありますが、開墾するといたしましてもそのやり方といたしまして排水の関係をよく考える、又團地の周りに相当幅の林地を存置して置くということが絶対に必要ではなかろうかと考えておるのでありまして、これらの点につきまして現地から報告を受けておりまするが、九州の先生に見て貰つて意見を聽かして頂こうということに考えております。今度ああいう地帶におきましては、特別に氣を付けて行く必要があるということは私共も考えておる次第であります。  尚その他農作物等につきましては、これは藷並に大豆が宮崎縣は非常にやられたのであります。遺憾ながら現在藷や大豆は農業災害補償の中に入つておりません。代作の「そば」等に対しまして肥料の特配はいたしており、又種子の斡旋等はいたしておりまするけれども、これは災害補償関係の金を貰えないということは大変氣の毒に考えておるわけであります。極く簡單でございますが……
  53. 久松定武

    久松定武君 局長にお伺いいたしますけれども、公共事業に関するものは政府としては公共事業費から出す。ところが個人の所要の災害に対しては今おつしやつたように農地の面につきましては災害補償はできない。それから水産関係は特に然り、非常にそこが私今度廻つて見まして災害に対しても不公平があるという感じを強く感ずるのであります。今お話のように水産関係損害に対しては融資を中金あたりからやるというお話、大体その額も承つておりまするけれども、ただ短期融資である。そこに私として問題にするのは、もう一つは今の水産界におきまして、漁業会のようなものが廃止の運命にある、結局漁業協同組合というものが今編成しつつある、そこに又融資の問題についても大きな悩みがあるのじやないか。今後農林省としては今の解散するということは目の前に見えておる漁業会に融資をなさるのでありますか、それとも今後でき上がる水産協同組合に対して融資するのかそこが非常に大きな問題であります。後家部落では漁船六百二十捜それから殆んど船も失い網も失つておる。それで協同組合というものができても非常に資力が弱いというようなところもある。こういうものに対していかなる方法を今後お考えになりますか、御專門が違うかも知れませんが大きな問題である次第であります。
  54. 山添利作

    説明員(山添利作君) 私も詳細のことは実は存じておりませんのであります。解散するに決つております旧漁業会を対象とすることは困難だと思います。又新らしい組合を通じて場合によりますれば、又何らかもうちよつと縣なら縣というものがこの間に信用保証のような恰好で入るようなことも、これは場合によつては考えなくちやならんというような氣はいたしております。尢も漁船の場合はどうなつておりますか存じませんのであります。
  55. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 お伺いいたしますが、開拓の事業が災害等を非常に起すということはもう二、三年前からこの委員会で各委員が言つておられます。それから各現地を見てそういうことは素人でも分る今日の常識になつておる。それで今やつておられる開拓事業がただ開拓のみを考えておられるか、先程報告の中にありました中には開拓の関係被害を増しておるという報告があるのでありますが、そういうやり方に対して今後今までの通りなやり方をおやりになるのか、こういうふうに常識的に開拓が災害を招くのだというふうに言われているにも拘らず今まで通りにおやりになるのか、その辺を一つお伺いしたい。
  56. 山添利作

    説明員(山添利作君) 特殊な場合は別といたしまして一般的な、まあ隠さず言いますれば事実といたしましては、開拓をいたしますればどうしても土砂が全体として流出量が多くなる、エロージョンが多くなるということは確かなんです。併しその事柄は直ちに以て災害原因になるということではないのでありまして、長い間には土砂の流出が多くなる。併し開拓したから直ちに山津浪或いは土砂崩壞とこういうことを來すのが一般ではないわけでありまして、まあそういうふうに考えておりまするが、鹿兒島の場合のごとく特殊な土壤のところで而も一つの盆地になつておる、これをすべて開拓いたしましたがためにその後に水が溜つてそれが一氣に崩れる、こういうような事態を生じた場所もあるわけでありまして、そこで開拓をいたしますことにつきましては、食糧の増産の関係並びにまあ僅かではございまするけれども人口圧力の農地における緩和のために継続はいたしまするのでありまするが、併し先程もお話が出ておりましたごとく、一方でそういうことをやりながらこれよりももつと大きいような被害を來す、結局全体としてマイナスが多くなる、こういうようなことでありましては問題にならないということは当然でありまして、そこで第一如何なる土地を開拓するかということにつきましても昭和二十二年乃至三年の初めまでぐらいは、いわゆる緊急取得ということで無闇に、無闇にというとおかしいのでありますが、非常にあせつて十分調査のできがたいような事情の下におきまして急速に開拓適地を取得したような事情がございます。この事柄が開拓に関する評判を非常に惡くしたことを認めておるのであります。この事柄は修正をせられましてそういうやり方は現在完全に廃止をいたしております。現在といたしましては上の方から幾ら幾ら割当てるというようなことは全然いたしておりません。府縣の方から適地が幾らぐらいある、從つて自分のところで幾らぐらい調査をしたいと、こういう申出に基きまして予算を配付し、その範囲において開拓適地を選定して行く、而して開拓適地の選定基準というものを作りまして、土質の関係、傾斜度の関係、その外森林の相互の利用價値の関係、なかんずく災害との関係等を十分調べた上で開拓適地に指定すべきものを指定する、こういうことに相成つておるわけであります。又開拓のやり方にいたしましても最近は開拓計画というものを作りまして、それに基いて開拓を実際上やつて行くということにいたしております。開拓計画の中にはもとよりそのエレヴェーション関係、温度の関係地質関係等におきまして何町何段経営すれば立つて行けるかということが基本になり、道路関係等が基本になるのでありまするが、同時に災害防止のための用意、林地を起す関係、急峻なところでありますればこれを段々畑にして崩れんようにして行くとか、そういう関係を十分考慮いたしまして計画を立てて行く、それに從つて開拓を進めて行く、こういうことになつておるのであります。飽くまで緊実にして且つ科学的な方法によりまして進めて行きたい。もとより開拓と申しまして、その必要なることはまあいろいろ御意見もございましようと思いまするが、私共といたしましては、これを確実なる計画の下に食糧増産の関係、農村における人口圧力の緩和の関係で進めて行きたいと考えております。併し飽くまでも物事は総合的な観点に立ち且つ実行の場合に十分なる注意をいたす、こういう心構えで進んで行きたいとかように考えておるわけであります。
  57. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 局長の御説明でよく分りましたけれども、先程お話になりました開拓をやれば土砂が出て來る、土砂が出て來ること必ずしも災害にならない、こういうようなお話でございますけれども、私は全然そのお話と少し違つた考えを持つておる。とにかく原野のあるところには災害はございません。原野を開拓して人間が入つて道路を造つたり側溝を造つたりすると災害を必ず起るのです。原野であれば災害が起つても殆んどその災害は無價値なものであります。併しその原野へ人が入つて側溝を造り道路を造りますと必ず災害が頼つて参ります。その結果下流において上流で開いた以上の災害を起すならば、私は全体計画として日本國としては損じやないか、こういうふうに考えております。併しそんなことを言つたつてやらなければならないから、開拓するのは結構だと思いますが、特に私が望みたいのは、先程島津委員でしたかお話になりましたような、土質の問題と技術の問題を考えておるかということを河川局長にお話になつたのですが、あの問題は私は農地課に申上げたい。殊に鹿兒島の視察地を関拓する上には、側溝を堀りましたならば、必ず豪雨が参りましたならば大きな亀裂となります。そういう場合に関拓をやるのには、あなた方できるだけ小経費で側溝は堀りつ放しというふうにしておやりになるが、ああいう土壤の所にはもう側溝があるがために雨が降つたら段々大きくなつて來る、そうして大きな被害を頼すというのがああいう土質なんです。ああいう所を特に関拓をなさる場合にはそういう建設事業費に特に予算を取つて貰いたい、そうして十分なる土砂の出るのに対しては土砂留めの堰堤を築くとか何かそういう特殊な技術をやつて貰いたい、こういうことを特に農地局長にお勧め申上げます。そうしませんと折角やつておられる事柄が無價値になると私は考える。開拓をやられることは日本の國是として結構であると思いますけれども、それをやるために全体として被害が非常に大きくなつて來るということは、日本として悲しむべきことじやないかとこう考えますので、開拓費が少し反当り高くなりましても被害を起さないように、そういうふうな方面に特に御配慮を願いたい、こういうふうに私は考えます。
  58. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 先程原口委員の御質問に対する局長のお話は、私は非常によく分ると同時に何だか分らないと申すより外ない。成る程森林を伐採しても開懇しても土砂を出さん所もありましよう。私は先日山梨或いは靜岡方面に行つておる。その時に土地の人が四十三年の大水害には非常な難儀をした、雨が降つて山を歩きましてもステッキを突くとずるずるとステッキが入つてしまう、併し森林がありましたからしてステッキを抜くと地下水が出て來た、木があつたために何等被害がなかつた、併し御覧なさい、ああいうふうに開懇しましたから僅かの雨でもすぐ土砂が出ます、こういう事情を聞いて來た。これは私は本当のことと思います。今の局長のお話と全然逆です。事実逆を示しておると思います。それで局長のお話はよく分つて一面において尤もだという外はないのであります。先のお話の通りに傾斜度も考え或いは地質も考え、いわゆる適地を如何にして開懇するというお話、又そうして頂かねばなりませんが、先月も私山形縣に行つて見たんです。山形縣の金山村です、二十二年に大水害を起した金山川というのがあります。それは有名な金山村の森林、これは一町歩で一万五百石あります、これは日本では恐らくないと思うような立派な森林です、その一万五百石もある森林が正に開懇されかけていたんです。併しいろいろな折衝の結果、その部分だけは開懇を逃れた、それは美林で日本の森林として最も得難い森林だから残そうということになつて、その部分は残された。併し尚その河川沿岩の何百何十町歩という森林が開懇されそうになつておる。これは局長御存じかどうか知りませんが、あの金山川の災害状況を見たときに、而もそれらの森林の多くは川下のところにあることを思うときに、これを開懇していいか惡いかはもはや議論の余地はないのであります。でありまするからしてそういう実情のあるところを認め余程開懇について御再考を願いたい。尚いろいろなことについて申上げたいと思いますが、私はそれ以上今日は申しません。確かにあなたの方のお考えと私の実態の考えが非常に相違しておるということをここに申して、お互いにこれは一つ國のために考えたい、これだけ申しておきます。
  59. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) ちよつと皆さんに御相談いたしますが、農地局長との質疑應答は極めて重大な問題でありまして、これは是非継続願いたしたいと思います。ところで今中央氣象台長が御出席になつておりますが、氣象台長の出席は特に本委員会から要求いたしましたのでありますが、尚先程デラ台風のことは先回もお聞きしてありまするが、後のフェイ台風とかヘスター台風等について若し皆さんの御要求がありますならば、御出席を留保して頂きますし、さもなければ今御繁劇な身体でありますからお帰り願つては如何かと思います。皆さん如何でしようか。
  60. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 序でだから午後も出て頂いたらどうでしようか。
  61. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) それでは今少しく食事行に質疑を続けたいと思いますから……
  62. 久松定武

    久松定武君 先程の私災害地帶廻つて状況報告いたしましたうちに、農地の方の河川井堰が非常に障碍を來しておる。現実にそれを調査しましたときに縣で作つたという場合農地部と土木部との了解が十分行かない。縣廳においてその結果土木部で以て設計した井堰よりも何センチか高く余計にして、少しでも余計に田に水を引こうという設計を無理してやつておるようなところがあるのです。そういうところが今度の水害で殆んどやられてしまつておる。私はやはり河川という問題は設計は農地部でなすつても結構ですから、もつと他方で言えば縣廳のお互いの連絡、中央で言えば農林省と建設省連絡、こういう点においての考えが非常に欠けておるように思うのでありまして、まざまざと災害の実際のところを見てみますと、今後一層一つ密接な連絡をとつて頂きたいと思います。非常に被害が大きいのであります。
  63. 山添利作

    説明員(山添利作君) 井堰被害が誘因となつたのであろうという事実は認められますが、こういう点につきましては徹底して改善することにいたします。今まだ設計というようなことにつきましても行政であるか或いは技術であるかという点といいますか、両方やつておるために出來なかつた点もあるのであります。今後農林省の機構といたしましても、設計とか技術とかいうことにつきましても非常に機構的にも力瘤を入れることになつております。その技術なるものは又災害等の関係をも十分考えておる問題ではなかろうかと思うので、又建設省方面とひとり農地関係ではございません、そういう関係につきましても十分密接な連繋をし協力をして行くことについては努力をして行きたいと考えております。
  64. 島津忠彦

    島津忠彦君 先程のお話で関拓は地方廳の報告によつて大体立案するというようなお話で、私が町村の末端に参りますとですね、縣からお前のところは何町歩開けというような今まで通りに割当てて來るというのです。そういう事実は御承知でありますかどうですか。
  65. 山添利作

    説明員(山添利作君) これはざつくばらんに申しますと、初め開拓はそういう方式をとつておらなかつた、ところが開拓も農地改革の一端には違いないのでありますが、それらの関係から関係方面の強力なる推進がありまして、昭和二十二年中に大部分やつてしまう。こういうようなことが行われたのでありまして、そのために実は割当があつたのである、併し昨年來その割当ということを全然いたしておりません。
  66. 島津忠彦

    島津忠彦君 そうですか、ところが私こちらに参る数日前に或る町村に行きまして、その話を聞いて今割当てておらないとおつしやるのですが、実際そういう事実があるらしいのです。末端までそれは行き届いていないのじやありませんか。
  67. 山添利作

    説明員(山添利作君) 今ではこれはない筈であります。
  68. 島津忠彦

    島津忠彦君 現に数日前聞いて來たお話であります。それはもう一つ鹿兒島縣の土質はすでに御承知の通り非常に特異質をもつておりまして、一朝雨が降りますと非常に崩れ易いという土質でありまするので、農林当局におきましてもこの開拓については十分御研究であろうとは思いますので、先程も申しましたようなこの笠木高原だとかそれから最近陛下の御巡行を機会にいたしまして通水をいたしました野井倉高原相当大きな何百町歩という開田をやつたのであります。こういうところで水害に対する処置が十分でなかつた相当な、笠木高原のようなむしろこれ以上の被害を受けるのじやないかという非常な心配があるのでありますが、よく災害は忘れた時分に起るというようなことをいわれておりますように、現在は差支ないと農林当局はおつしやつておるか知らんが、これが数年或いは数十年の後に相当被害を受けるのじやないかという心配をいたすのでありますが、その被害を今から御研究になつて十分の処置をして頂きたい。我々は切にお願いをいたすのであります。
  69. 山添利作

    説明員(山添利作君) 今回の経験は非常にまあ今まで余り指摘されなかつた鹿兒島の土質のごとき、実は考えていなかつたという点が率直に申し上げましてあるのじやないかと思います。從つてこれは鹿兒島縣当局におきましても、知事さん等の意見も十分特殊事情について研究をし、災害についてもひとり復旧のみならず今後の対策をも十分この機会に研究をしたいという意見なんです。私共も同樣に考えておりまするので、將來の対策といたしましても今直ぐ目途をつけるということはなかなか至難な場合もあろうと思いますが、やはり持続的に災害防止の必要な施設については対策を講じたいと考えております。
  70. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) ちよつと皆さんに申上げたいと思いますが、只今農地局長の御報告のことは極めてこれは日本の生産特に農産増殖の点において重大なことでありますけれども、我が日本は殆んど農地は開拓されておりまして耕して山巓に至ると言われており、これ以上新開地を作るというとこれは非常な重大な問題でありますが、併し一面において既往の古田というものの改良は私はまだまだ普及しておらんと思う。見渡す限りちよつとの雨にでも沼のようになる所は僅かに排水機二台ぐらい入れれば十分に乾燥できるのをそれを抛つてあるというのが沢山あります。この問題については尚國土の全面的開発の意味からして十分審議を盡すことをしたいと思いますが、如何でございましようか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  71. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 議事の進め方で意見があります。今の農地局長のお話、農地関係で沢山の刷物が來ておりますが、この刷物に基いて説明して欲しい。そうして基本的な事実を知つて山林農地その他に対する災害の性質、分量そういうことを呑込んで、分つたものとして、中途半端な説明をされたのでは理解が全然できない。繋ぎ資金の資料もできている、繋ぎ資金はどういう性質のものか。公共事業予算にも十二億とあるが、土木と関連しているのかどうか。そういうような基本的なことが分らないで、直ちに議論に入つてに分らんと思う。それでもう一遍この資料について説明を正確にして貰つて、正確に事態を知つてから徹底的な議論に入る、こういうことにして貰いたいと思います。
  72. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この問題は非常に大きな問題ですが、山林関係もあるし土地改良もありますし大臣の出席を求めたら如何ですが。
  73. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) 至極尢もで、農地局長は農地局長だけの考えで御説明を願つたのでは解決できない。勿論農地局長に來て頂かなければならないが、廣く一般國土開発という意味とそれから水害等の関係からして、今のような赤木さんのおつしやつた主張に從いまして大臣の出席を求めることにいたしたいと思います。
  74. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは建設関係でも同じですが、河川局長を相手にして河川の復興をどうするかということでは解決しない、問題の有り場所をよく知つておいて、本当の議論は一つ大臣を喚んでなりもう少しきちんと呑込まして欲しいので、相当の資料を貰つておるこの資料に基いてきちんと説明して欲しい、これを要求します。
  75. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) それでは大抵皆さんの御意見が同じだろうと思いますから、更に一部局の長のみならず次官大臣の出席をも要求しまして、もう少し総合的に一つ意見を鬪わせる……
  76. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 建設省も、農林省も……
  77. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) 勿論そうです。それでは一旦休憩いたしまして午後一時半から再会することにいたします。    午後零時三十五分休憩    —————・—————    午後二時五分開会
  78. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) それでは午前に引続きまして建設委員会を続行いたします。中央氣象台長からその後の台風のフエイ台風、ヘスター台風について御説明願います。
  79. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) デラ台風に続きまして日本の附近に來た台風はフエイ台風でありまして、この進路と來た日は資料の眞中頃の長くなつておりますところの直ぐ前の第一図という、頁はありませんが眞中頃にあります。フエイ台風はこの図にありますような進路を通つて日本に近づいて來たのであります。デラ台風は非常に似ておつたように見えますがこれが九州の西の方を通りまして、而も長崎の近所に近付く頃は非常に弱つておりましたので、デラ台風に比べますと被害はずつと僅かで済んだわけであります。この際のいろいろな警報、特報は我々として技術的には遺憾なく出したと思つております。それからこの台風は風が割合に吹きましたのですが、これも大したことはなく、特に雨は台風としてはそんな多いものではなかつたと思います。雨風につきましてはここにあります表を見て頂きますと二頁のところに雨の表、風の表が出ております。尚この報告には少し学問上のことも書いてございますが、これは他の用に作られたのでありますのでここには余り必要はないかも知れません。  その次はヘスターでございます。ヘスターはこれに続いて参いたものでありますが、一番後のところにどういう路を通つて來たかが出ております。これは御承知のように二十九日の夜半、拂曉といいますか、夜中に志摩半島に上陸いたしました。これが非常にゆつくりしておりましたので、又我々としてもこれの進路の推測その他技術上において遺憾なくやつたと思つております。特報、警報の出しました。その経過を見て頂きますと何時どういう警報を如何なる方法において出したかということがこの中に書いてあると思います。この台風は我が國に近付きますに從いまして非常に弱つて來まして、台風としては可なり衰弱した弱いものでありますが、何分台風でありますから上陸しましてから相当の雨を、進路の近く特に三重縣、滋賀縣、京都府というふうなところに降らせました。三重縣には可なりの被害があつたようであります。尚淀川の水位は近來にない高さを示したのであります。台風についての御説明を終ります。
  80. 堀末治

    ○堀末治君 ちよつとお尋ねします。いわゆるこれは甚だ初歩の質問で恐縮いたすかも知れませんが、名前は一体どういうふうにつけられるのか、フェイとかヘスターとか……
  81. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 南半球の台風であります熱帶性低氣圧は男性の名前をABCの順序でつけております。北半球の方は女性の名前がついております、ABCというふうにAから段々つけます。初めから表ができておりまして、台風が出るとその名前がつけられるわけであります。それでデラならDであります。Eの方はよそですから日本関係ない、Fになりましてフェイ台風、Gはグローリア、これは支那の方に行きました。それからHになりましてヘスター、Iはイルマ……
  82. 堀末治

    ○堀末治君 要するに発生の順序で行くのですね、性質ではないのですね。
  83. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) そうでございます。
  84. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつとお尋ねします。この秋にかけての見通しというものは或る程度立つものですか、見通しは立ち得ないものですか、立つとすればどんな見通しを持つておられるのですか。
  85. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 中央氣象台の長期予報というものを出しております。この秋にかけての台風が來ればどういう所に來ると察せられる、その來方は例年より多いとか少いとかいうようなものを発表いたしておるのであります。
  86. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 簡單にそれを述べて下さい。
  87. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) ちよつとはつきり記憶しておりませんが直ぐ聞きまして報告いたします。
  88. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 氣象台長にお伺いいたします。水防法の第十條には「中央氣象台長、管区氣象台長又は測候所長は、氣象の状況により洪水又は高潮の虞があると認めるときは、その状況を建設大臣及び関係都道府縣知事に通知するとともに、必要に應じ放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。」こういう法律が出ておりますが、このデラ台風フェイ台風それからこういう台風についておとりになつたあらましの状況をお話下さい。
  89. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) デラ台風及びその他の台風におきましては、水防法に掲げておりますような措置を我々はとつたのでございまして、全部ではございませんけれども一般に知らせた、ラジオとかいうようなものは或いは特報、警報、どういうものを出したかということはこの報告の中にも出ております。これは中央氣象台だけでも非常に複雑でありますから、資料を提出しますればもう少し完備したものを提出いたしてもよろしうございます。又管区測候所もそれぞれ必要の向きに連絡を取り報告をしておるわけであります。私の手許にございますので、必要に應じて提出してもよろしうございます。
  90. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 私は只今の氣象台長の御説明は非常に不満足に思いますのですが、これは我々國民の一体通弊かも知れませんけれども、氣象台長は只今の御説明によりますと、こういう水防法が出たから第十條の責任を果さなければならないというお考えになられたのじやないか、というふうに私は考えます。どうも日本一般國民性が法律が出ましても余りどうも、その法律が必要だから出たんじやないかというくらいの程度で、今までの通りと恐らく変つた仕事はおやりになつていないのじやないかと、こういうふうに考えます。或いはおやりになつたかも知れないけれどもそういうふうに私はとります。と申しますのは、こういう特殊の法律が出てそうして罰則がないのです。これは一般に周知せしめなければならないという法律が出ておつても、周知させる方法はとつたけれどもそれは或る程度とつたというだけで、知らしめなければならないという法律の條文に私は当嵌まらないんじやないかと思う。そういうことに対する責任感が我々日本國民は非常に一体拔けておるのじやないかという氣がするのですが、こういう法律が出たから特に氣象台長一般測候所長に対して中央氣象台長から特殊の命令か何かお出しになつたかどうかということは、私は疑わしいと思います。こういう点はとくに今後、もう過ぎ去つたことを何と申上げても仕樣がないですが、こういう法律が出た以上は責任を以てやはりこの法文に書いてある通りなことをやつて頂きたい、こういうふうに思います。一般に周知せしめなければならないという法文は非常に強いんだと思います。併しラジオやその他を通じて報道したけれども周知できたか何か分らんという調子では、私は今までのおやりになる方法と何ら変つておらないと思う。そうでなくこういう法律が出た以上は、やはり一般に周知させることが氣象台長の責任だと私はこういうふうに考える。
  91. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) この法律ができまする時に、私はその條文によれば中央氣象台長相当の責任がある、それでその責任を負うためには権限がなくてはならん、そういうためにいろいろ伺つたんであります。ところがその時にできましたのでは、勿論できるだけやるんであるけれども、從來やつておるところの権限、それを法律にはつきり書くだけであるというので、特別のその條文に相当するだけの具体的な措置というものは講じて頂けなかつた。先般の台風でも一つの例を申しますと、ラジオで以て学校は休ましたらよかろう、生徒は直ぐ帰したらよかろう、退廳時刻も繰上げて帰さなければ交通は途絶するだろうということを察しまして、これをどこの権限においてそういうことを言うことができるのかということを、私は運輸大臣のところに行きまして相談しましたが、運輸大臣はそれは決まつておらないが、私が許すからやつてよろしいというので私はやりました。その処置は適切だつたと私は思つておる。  私共はでき得る限りこういうことを周知いたしたいと思つておるんでありますが、権限というものははつきりいたしておらない。災害報知に対してはどこが権限を持つてやるかということがはつきりいたしておらないのが我々としては非常に残念でありまして、こういうことをしなければならんという熱意はいくらでも私は証拠をお目にかけることができると思います。
  92. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一つお尋ねしますが、つまり氣象台の学問的な研究と実用の関係ですね、この五年なり十年なりあなた方のこの研究が、実用特に災害方面に実用されつつある方面に來ておりますか、それとも逆行しておるんですか、忌憚のないところを拜聽したいのです。
  93. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 勿論我々の学問、調査というものが実用になければ何もならないのでありまして、私は災害を防止しそうして國民を災害の脅威から少しでも少なくさせるために全力を注いでおる、これが中央氣象台の大きな任務だと思つております。で年々この実用ということに対しては我々は全力を盡してやる方針でおります。
  94. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕のお尋ねしたところと違うんです。あなた方がそのつもりでやられるかどうかということを聞いておるんじやなくて、この五年なり十年なり最近の政治があなた方の活動に助力して、あなた方の調査研究が有効になるような向きに、特に災害防止に対して進歩しているのかいないのかという事実を聞いておるのです。
  95. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) この点はキャスリン台風というものが非常なる災害を與え又我々をして反省せしめた一つの大きな契機になつたと思つております。それ以前におきましても氣象台におけることが実際に結びつかない、もつと実用に結びつかなくちやいけない、災害防止に直接貢献しなくちやいけないということで努めてもおり、又いろいろの機構にもそういうことが考えられて來たのでありますが、キャスリン台風のときに特に氣象台が單に天氣のことだけで能終れりとするのでなくして、今後起る災害に対してもそれぞれの官廳その他と密接に協力してやらなければいかんということに強い反省が行われた、これが水防法となり又まあ水防法はよく存じませんが洪水の予防の組織というものができた。我々は関係の官廳と諸組織がますます密接に働けるように段々なつて行くことを非常に結構だと思つております。
  96. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 まあそういう言葉よりも内容として、例えば折角水防法が出ても十分権限を與えていない、予算と権限に裏付けられていないことは單なる精神論であつて実際それが國民生活の上にいい影響を與えないと思うのですが、実際はどうですか。本当に十分あなた方は、調査研究の結果を役立たせるような予算の裏付とか権限の関係とか、段々とそれはよくなりつつあるのですか、最近の政治は。それとも口だけうまいことを言うけれども実際はその予算なり権限の裏付で十分あなた方の研究が生かされていないですか、その点はどうなんですか。本当によくなりつつありますか、事実上。例えば水防法のときあなたは権限さえ與えられていないということを言われたですね。というのは僕がこういう質問するのは、つまり從來政府は口でうまいこと言うけれども実際科学的な具体的な予算と権限に裏付けたような行政が行われていないのじやないかという氣がしてならんのです。象牙の塔の中に相変らず而も栄養不良な象牙の塔の中にいるというような感じがするのですが、そういうことないのですか、実際は。それが僕等の心配であつて、実際は十分活躍し得るような権限と予算の上で活躍しておられるのですか。
  97. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 権限につきましては前に言いましたことは誤解されたかも知れませんが、私は自分の氣象台が権限をというのではなくして如何なる機構によつて災害防止ということが行われるか、権限の機構です、それを確立せられることを望むのであります。その筋がどこか分らないということに我々は納得しないのです。  第二に予算その他が窮屈になりましたのは今回の行政整理であります。我我としては非常に残念に思います。併し我々としてはこれが國家の方策として堪え忍んでおるわけであります。
  98. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) よろしうございますか。
  99. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 いいです。
  100. 仲子隆

    ○仲子隆君 別のことでちよつとお伺いいたします。今度の台風その他が現れたのが今までにない時期に出たということであります。併し又九月頃に出るということは分つておる。出る時期は今年だけは珍らしかつたかも知れませんが、三十年五十年の期間を考えるとすれば氣象台関係には歴史的調査によつておよそこういうときにはあるということは分る。つまり台風が発生する時期、その強さというようなものも歴史的にあろうし、これらが害を及ぼす地方というものがあるだろうと思うのですが、それらの統計的の研究はありますか。つまり台風は五、六月頃から発生して九月からあるというように、九月のは定時的にある。併し七月頃にあるやつは十年に一回とか二十年に一回とかと考えられる、その台風が発生する場合には初期のものは南九州から或いは朝鮮に行くとか、或いは瀬戸内海に行くとか、後のやつは関東東北を襲うというような災害地方地帶と時期とに関する研究、又それに伴うてそれらの地方にはこれからの案として何か一定の組織を設けて警報を與えるということができるかどうか、こういう問題についてお尋ねします。  序でにこの頃の台風その他の氣象通報の基準というか調査研究は、アメリカ的というかアメリカの材料というか何かありまして、名前にしたところでどつかの女子の名前ということであるし、或いは又從來余り言わなかつた熱帶性台風とかなんとかいうような言葉が今年から放送その他を通じて初めて出たようでありますが、これらの一体研究日本の從來の研究にありますか、或いは米軍の研究中心にしてそれの指揮によつて働いているものであるか、その関係をお尋ねしたい。
  101. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 第一の台風と季節と通る場所関係でありますがこれには非常に詳しい調査がございます。それで大体の傾向を見ますならば、六月になればどう七月になればどう八月になればどうという大体の道筋が分つております。併し一々の場合を取りますとそこは複雜でございますから、この度のデラ台風でも珍らしい時に珍らしい所を通つたというようなことになります。これも資料がございますから御入用でございましたら提出いたします。  それから第二のいろいろ新らしい言葉が使われますのは、主としてこの仕事がアメリカと相談の上で行われる。熱帶性低氣圧という言葉は昔から日本にあります、我々は一口にこれを台風と言つておる、日本に來る熱帶性低氣圧は台風と言つておる。アメリカでは非常に強いものは台風といい或る程度弱いものは熱帶性低氣圧というふうに定義が違うものですから、違うように使うようになつております。研究が別にどうこうというわけでなく、発表の仕方、定義のつけ方というようなものが向うの基準になつたから、前と合うような表現が殖えたことを意味します。
  102. 仲子隆

    ○仲子隆君 もう一つ伺います。それらに対して一般民衆として新聞、ラジオその他の報道機関を通しての説明は、どういう組織になつておりますか。
  103. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 我々としましても、できるだけこういうことは一般の人が知識を得なければ結局最大の目的は達せられないのでありますから、事ある度にやつておるつもりでございますけれども、こういうことはやり過ぎるということはないことでありますから、できるだけ今後も氣をつけてやつて行きたいと思います。  尚甚だ恐れ入りますが先程の天氣予報の話が着きましたから……本年は台風は全体としては西日本の方に行くものが多く、関東、東北方面に近寄るものはその公算が少いだろうという見込であります。それでもう少し詳しい見込は八月は平年並で、そうして中旬現われるとすれば西の方、下旬でありますと関東の沖合に現われるかも知れない、九月は明瞭でないが中旬に接近する率が多そうである、上旬は西日本か八丈島附近を通るものがあろうというふうな大体の推定みたいなものは立つておりますが、御承知のようにこの長期予報研究の道程でありまして、必要方面報告いたしておる程度で一般にこうだという程のまだ確信もございませんので、その点お含み置きを願います。
  104. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それだけですか、予報としては。
  105. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) そうです、台風の長期予報です。
  106. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 十月はないのですか。
  107. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) まだ……
  108. 仲子隆

    ○仲子隆君 この間ハワイの新聞を見ると、原子爆彈の実驗以來ハワイの氣象が変化したということをいいますが、日本の氣候もやや変更する……これはハワイの一般的のもので学問的の研究ではありませんが非常にそういう意向が多い、これらのことが考えられるかどうか。あすこの海軍の氣象台の研究によつてそういうことがありますかどうか、お伺いしたい。
  109. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 原子爆彈は今までの人工の中では非常な大きなエネルギーでありましようが、まだ台風に比べますと問題にならないエネルギーであります。これが氣候を左右するということは直接には殆んど考えられません。それでそれから起るところの問題、上空に何か細かい粒でも瀰漫するとかいうような事態から起る長い問題は、例えば火山の噴火などになりますと大きな噴火は可なり氣候に関係するなどという説もありますが、これに比べてもまだ少し小さいのではないかと思いますから、その長い間の氣候に対してあまり影響も原子爆彈の一つぐらいではないものと思つております。
  110. 仲子隆

    ○仲子隆君 有難うございます、以上です。
  111. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 先程の氣象台長の今後の暴風雨の見通しですね。これは私共がやはり素人考えに考えておることですが、日本台風は六月、七月、八月は大体西日本に來ますのですね、今までの通りですと。それから七月、八月も偶にあるけれども大体八月、九月、十月は関東の方に多い。結局今までの統計によりますと八月以降は関東方面に沢山來ておるのですが、そういうのが今年は來そうじやないというさつきの見通しなんですか、それともやはり普通のように今後関東は夏の下半期に行つて大きいのが來るかもしれんという見通しなんですか、どつちなんですか。
  112. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 本年全体として、例年ならば秋になりますと仰せのように関東の方によく來るのでありますが、例年に比較すれば今年は少ないだろうという見通しであります。
  113. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 九月中旬はどこの公算が多いのですか、何と言われましたか。
  114. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 九月中旬は日本に接近する公算大と言つておりますから、大体日本に來るのが多いと思いますが……
  115. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それ以上のところは言えない……
  116. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) 又何か皆さんの御質問のことがありますれば御出席をお願いいたすことにいたしますから、只今は午前の引続きといたしまして……
  117. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 もう一点くだらんことですがお尋ねしたいのですが、私はこういうことを昔聞いたのですが、氣象台の発表が昔は米相場に非常に影響したのである、それで米相場をやる人が氣象台の発表を非常に早く知ることをやつてつたのです。それがために氣象台の方が非常に卑怯になつて世の中に予測を発表することを控え目にされた、その習慣が今日もまだあるのじやないかということを誰からかちよつと私質問を受けたいことがあるのですが、昔はよく知りませんが何か氣象台を利用して商賣にするようなことがありますかどうですか。
  118. 和達清夫

    説明員(和達清夫君) 今のところはつきり私の知る範囲でございません。
  119. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) それでは農地局長に対する御質疑を続行いたします。
  120. 山添利作

    説明員(山添利作君) お配りをいたしております刷物の説明をいたします。部数が足りないと思いますが、二十四年度新規災害に関する件耕地関係、これが今日までのデラ、ヘスターまでの府縣の報告を集計いたしたものでありまして、予算の対象といたします所定額はこれとは別になります。デラ等目下調査中でありまして、これは府縣の報告をそのまま集録いたしましたもので、現在までに耕地関係が百億円に達しておるのでありまして、うち耕地の復旧そのものが二十一億、こういうことになつております。
  121. 堀末治

    ○堀末治君 これは府縣からの要するに調査の申出の金額というわけですか。
  122. 山添利作

    説明員(山添利作君) そういうわけです、縣からの報告です。これを基礎にいたしまして復旧に要する補助金が、これは公共施設におきまして六割五分の助成を出すわけであります。それから耕地に関する耕地そのものの復旧につきましては昨年までは五割助成をいたしておりましたが、昭和二十四年度におきましてはその補助が落ちております。これが非常に問題になつておるところでありまして、私共も皆さんも勿論御同感だと思いまするが、どうしても耕地災害の復旧に対しては助成をする必要ありと、從つてこれは関係方面の了解を求めまして是非復活をいたしたいと考えております。尤も余り小さいものまで助成をいたしますということでありますとこれは國の予算関係から非常に困難でありますので、原則といたしまして一ケ所の災害面積が五町歩以上の耕地の復旧については助成をいたしたい、又一戸当り耕地面積が小さい地方におきましては一ケ所の埋沒、流失面積が三町歩以上のものに対して助成をいたしたい、こういう考えを持つております。  それから三番目に書いておりますのは、二十四年度内に復旧を要する事業費並びに補助金であります。これは耕地関係と申しますか、もとよりこの復旧は速い程いいことは申すまでもございません。併し全体の予算関係からなかなかそうも行かない事情がございまするので、併し少なくとも三年以内には復旧をいたしたいという考え方をいたしておる。ここには復旧額を概ね四割程度を二十四年度にやるものとしての計算をいたしたのであります。午前中河川関係でも質問がございまたしのでありますが、耕地関係におきましても、これは例外でありまするけれども古いところは昭和十八年の災害についてまだ助成をいたしておるのであります。これは尤も特別に島根縣の耕地の復旧事業であります。それにいたしましてもまだ二十二年のものも残つておるのでありまして、本年度の成立予算におきまする災害復旧並びに防災施設の予算は三十一億でございますが、直接の耕地復旧に関しましては二十五億円でありまして、これを昨年並の事業量をいたすといたしましても、單價の関係等考えまするとやはりこの倍額以上が要るのでありまして、本年度は非常にひどいことになつておるわけであります。今後の要復旧として残しておりますものも耕地を別といたしまして、水路でありますとか地積でありますとかというような公共施設におきまして尚百五十億円を残しておるというような状況でございます。この過年度災害を仕上げて行くということ自身にも非常に大きなそこにまだ欠陷があるのでありまして、二十四年度災害につきましては補正予算においてでき得る限りのことを考えたいと思つておるのであります。  一部施設をいたしましたのは、今度はこの刷物にデラ台風復旧資金現在決定額というのがございますが、これは午前中話のございました十二億円のうち農林関係として二億九千万円、そのうち農地関係が二億七千万円であります。ここには二億六千百万円、外に國営の直轄事業九百万円ございます。併せまして二億七千万円、山林一千万円、水産も確か一千万円です。これは数字ちよつと間違つております。この数字は十二億円振当中の公共事業費を三・四半期分等を繰り上げまして、今回配付をいたす分であります。  それからその下に繋ぎ資金として十一億五千万円振当中に、農林関係分といいますこの分は別のものではないのでありまして、十二億円のときに取敢ずこの繋ぎ資金を出す、その繋ぎ資金の出し方といたしましては、河川関係農林関係等を分けませずに、それぞれ縣別だけの割当をいたしたのでありまして、そのうちで府縣知事の方で緊要と認めた方面にそれぞれ使う、こういう建前にいたしたのであります。その関係報告のありました分をここに揚げたのであります。即ち府縣といたしましては例えば鹿兒島縣が二億円の割当があつた、そのうち八千八百万円農地関係に使つておる、こういうのであります。  この当初の計画といたしましては、これはまあ午前中河川局長からお話がありましたことと重複いたしますのでありますが申上げますと、十二億と申しまするうち、大体二億円というのは北海道の関係や何かで入つて來た。当初十億円というデラ台風に対しては考えてありました。府縣で使う金を二十億と考える、十億円を國の方からの助成として出す。そうしますとそれの半分の五億円というものは府縣負担分として起債をしなければならん。その外に府縣が國の補助とは関係なく單独事業として仕事をいたしますもの五億円、即ち二十億ということを目算にいたしましてやりましたのでありまして、そのうち融資を十億いたしました。これは十一億五千万円になつておりますが、この補助に見合うものとして取敢ず短期融資として置く、國の補助を十億円出す、それによつて回收をする、こういう建前であつたわけであります。併し今朝程河川局長からも話がありましたように、すでに出した金につきましては何らかそれを短期融資から少し然らざる部分に切替える必要がある、こういうふうになつておるのであります。事実問題といたしまして府縣の起債の枠を拡げる必要があるということは我々は考えておるのでありますが、関係方面関係がありましてなかなか難航をいたしております。こういう事情になつております。  それからもう一つここにヘスター、イルマ災害緊急融資割当六億円というのが配付いたしてございます。これが近畿地方を襲いました災害のそれでありまして、耕地関係が非常に多いのでありますが、これにつきましてもデラ台風の場合と同樣に、縣別を決めまして、取敢ず縣別の融資を決めまして当面の処置をして貰おうという考えであります。この数字は実は最終的に決定したわけではございません。今日も安本で関係省寄つて更にやつておりますのでありまして最終決定ではございません。目下協議中と申しましたのは実は河川局長からも話があつたのはこの表のことであります。これにつきましても四億円くらいは公共事業費の後期の部分から繰上げて措置をしようじやないかというような考え方もあります、その辺まだ決つておりません。又公共事業費から繰上げますと言いましても形は繰り上げてありますけれども、もとより補正予算では当然埋めて貰えるという考え方で出してやつておるわけであります。  大体表につきましてはその程度でありまして、尚その外に入植施設の表とこれに関する資金調、それから水産関係の資金の事項に関して、それから林道関係の資金の所要額、その表をお配りをしてございます。水産関係等におきましては係官が見えておりますから何か御質問がございますればお答えいたします。
  123. 島津忠彦

    島津忠彦君 先程の御説明のうちに、助成ですね、助成を三町歩以上の農耕地が埋没した場合に助成するとなつておりますが、その三町歩以上というのは、全体どういう標準なんですか。
  124. 山添利作

    説明員(山添利作君) これはそういうことでやりたいというのでありますが、一ヶ所が三町歩以上のものを捕まえるこういうわけであります。或いは通常のところでありますれば、或る一ヶ所が五町歩以上のものを助成いたします。これより小さい分は府縣なり町村なりがやるので國は関係しない、こういう考えであります。
  125. 島津忠彦

    島津忠彦君 ところが鹿兒島縣のような場合は御承知のように崖崩れが非常に多いのでありまして、小さな区画が三町歩ということでなしに一反歩とか二反歩とかそういう小さな場合でも崖崩れのために埋没して全然使用できないという場所が非常に沢山ある。ところが鹿兒島縣のこの一個の農耕地は大概平均三反五畝ですが、非常に少いいわゆる零細のものが多いのでありまして、そういう零細な場合には三町歩以下のものは考慮されないと非常に困るのではないか。むしろ三町歩以下のものを助成なさる方が有効的じやないかと思うのですが、そういう点はどういう考えになつておりますか。
  126. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは実は五町歩とか三町歩とか申しましても一つの農家という意味じや勿論ございません。ただこの場所が三町歩、五町歩というので、從つて災害の程度であるのであります。
  127. 島津忠彦

    島津忠彦君 ですから災害の程度というのが他府縣の災害と違いまして、鹿兒島縣災害状況は非常に特異性がある。場所は一ヶ所の被害は少いけれどもそれを集計しますと非常に多いことになる。一ヶ町村にしましても場所が沢山あるわけです。而もその一ヶ所の区域が割合に多くない、ところがそれを集めますと非常に沢山の被害になる、そういう場所はどうなさるか。そういう場合は今の御説明によりますと考慮されるということですか。
  128. 山添利作

    説明員(山添利作君) それは今の考え方としては入れておりません。
  129. 島津忠彦

    島津忠彦君 むしろ我々はそれを入れて頂かなければいけないのじやないかと思いますが、それは他府縣の場合この災害状況が違うのです。ただ、普通の他府縣の場合は河川氾濫して埋没したというのが多いのです。ところが鹿兒島縣被害の大部分は、河川氾濫よりむしろ崖崩れのために土砂や軽い石や何か流れて田團や畑が埋没する、そうして農耕ができないというのが大部分です。そういつた場所は三町歩なんというのは殆んどない、一反歩とか三反歩とかですが併し全体を集計すると非常に沢山の面積になる。その点はやはりお考え頂きたいと、私はお願いといいますか要望するわけであります。
  130. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは考え方によりますれば村全体として幾らというのが一つの基準という考え方もあるわけです。
  131. 島津忠彦

    島津忠彦君 今の御説明だと一ヶ所三町歩と言われるから、私のように議論で出て來る。
  132. 山添利作

    説明員(山添利作君) ただ農林省はそういう方針を一應建てまして関係方面にも文書を出しておるわけでございます。そういう意味において御説明いたしたのでありますが、尚これらの点についてはやはり実際の場合に適應しませんといけませんから、若しお話のようなことで非常に只今の基準が不適当であるということでございますれば考え直したいと思います。
  133. 久松定武

    久松定武君 只今までは大体台風損害額或いは復旧費というような費用の点ばかりで御説明がありましたが、農作物の被害という点から言いますと特にひどくやられたのは大豆なんです。それから甘藷、それから稻の方も植付が二十日以上も南九州が遅れておる、收獲の点からいつて非常な減收だと考えられますのでその見込みはどうでございましよう。恐らく九州南部、四國の地方は甘藷は半作以下だと思いますが……
  134. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは食糧事務所が調査いたしましたものでございますが、從つてこれは性質上縣の報告には一番出ておるだろうと思います。麦におきましては総計いたしましてこれはずつと北の方の府縣も含んでおるけれども、面積はいたしまして八万八千町歩、減收量といたしましては米穀に換算いたしまして十七万九千石です。馬鈴薯にいたしますると面積におきまして一万六千七百町歩……
  135. 久松定武

    久松定武君 それは九州、四國合せてですか。
  136. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは全國的であります。
  137. 堀末治

    ○堀末治君 何台風のですか、全部ですか。
  138. 山添利作

    説明員(山添利作君) ゲラです。馬鈴薯におきましては一万六千七百町歩、それから減收量にいたしまして千八百十九万石稻におきましては、これは面積だけでありますが、三万六千町歩、甘藷におきましてこれは面積だけでありまするが、八千二百五十町歩、これが縣の調査になつております。  それから食糧事務所の調査を更に申しますと、これよりそれぞれ数字としては低い数字報告に出ております。只今申しました数字は縣の調査であります。食糧事務所の見解によりますると、麦におきまして面積が六万三千四百町歩、減收量十一万六千石ということになつております。馬鈴薯は一万四千四百町歩であります、減收量は千三百万石。稻におきましては、これは逆に食糧事務所の調査が多くなつておりますが、三万七千町歩の面積、甘藷におきまして六千六百五十町歩、かようなことになつております。
  139. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 ちよつとお伺いしますが、この耕地の復旧の対象のことですが、これは國なり府縣で施工したものが災害を受けたのは、これは皆復旧の対象になると思いますが、その外個人でやつた簡易な仕事、例えて申しますと、簡單な護岸を築いて田團と作つておるとかそういう簡單なものが沢山ある。そういうものは災害復旧の対象になつておりますか。一体農林省の災害復旧はどういう点までお取りになつておるか。これを承りたい。
  140. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは昨度までのやり方と本年と相当実は樣子が違つております。昨年までは随分廣くやつておりました。本年からは余程その点につきましては基準が高くなつたのでありまして、公共施設におきましても一ヶ所当り一件千円以上の工費が掛るものとか、道路にいたしますれば五百円以上でありまするとか、或いは一ヶ所の復旧額が十五万円以上でありますとか、かような標準を立てまして、余り小さいものは補助の対象にしないということにいたしたわけです。
  141. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 では昨年までの災害復旧の対象になつた簡易な個人の復旧の工事、これも一旦復旧の対象として査定され又取扱われたものはどこまでも遂行して行かれる方針ですか。
  142. 山添利作

    説明員(山添利作君) 今年の補助金交付に当りましては、從來の仕事を更に再調査をいたしまして基準に満たないものはこれを打切つたのであります。
  143. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それから私の今聽いた趣旨はややともすると同じような災害復旧の対象にありながら、建設省と農林省と檢査の考えといいますか、一方ではこれが災害の復旧の対象になつて國の補助に当り一方は國の補助に当らない、併しこれを建設省で取る場合には当らないが農林省で取るならば当る、そういう不均衡がややともするとあります。これは國としてどうしても統一した方がよいという観點から聽いたのであります。でありますから今後やはりこれはむしろ大臣にお伺いするのが本当か知りませんが、やはり國として建設省なり農林省が同じような仕事がありますから、これは均一に平等に考えらるべき仕事ではないか、こういう考えで聽いたのであります。今承れば本年から方針が改まつたようですが、建設省も農林省も同じような御方針でなさることと私は考えます。尚これについては又後に聽くことがあります。  それから午前中の質問で水害の問題が大分問題になりましたが、ここにお示しになりました災害の中で、開墾をやつたために災害が起るということは我々が午前中に申したのであります、農林省としてはこれに対する直接のことはないように答弁がありましたが、開墾をやつた場所が直接この災害の復旧の対象になつておる個所があるかないか。これは今直ぐ分りませんが、或は今縣の報告だけですから今のお話ですと……あなたの方も現地調査に行かれると思いますからして、その場合にどこの縣のどこどこが開墾地で災害の対象になつて國の補助を與えたという場所がはつきりした場合にそれをお示し願いたい、こう思います。
  144. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は技術上の細かな問題だから一問一答で続けて質問させて頂きたい。この刷物のうちデラ台風の十二億円といううちで二億九千万円を除いたものは土木関係ですか、そう見ていいですか。それから繋ぎ資金十一億というものと公共事業予算十二億というのはどういう関係があるのですか、関係がないのですか。繋ぎ資金というものはもう一偏別に出るのですか、ちよつと両者の関係を……
  145. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは公共事業費を出す予定を以ちまして、併しこの方は暇がかかるから取敢ず繋ぎ資金として六月の始めに出しましたのです。
  146. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どういう財源から出されるのですか。
  147. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは預金部資金でありまして、府縣の方がそれを短期の融資を受けたわけです。
  148. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると例の十億円だけ短期融資を受けたというのと又別ですね。
  149. 山添利作

    説明員(山添利作君) これが同じものなんです。私が言いましたのは当初考えられたのはデラとして十億円であつた、ところが北海道の融雪被害等も加わりまして、それが十二億円になつたのだ、こういうわけなんです。
  150. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 應急支出はですよ、ところがその外短期融資十億円とあるでしよう、午前の河川局長説明いたしましたね、そこをちよつと分りにくいのですがね。
  151. 山添利作

    説明員(山添利作君) それはこういうふうに河川局長が十億円といいましたのは十一億五千万円と同じことでありまして、それを短期であるけれども、実際は金がかかるのだからそれを長期のものに振替えることができないであろうかと、こういうことなんです。
  152. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どうしてあなたの方は十一億五千万円といい河川局長は十億円というわけでしよう、土木関係が十億でしようか。分りませんか、その関係は……
  153. 山添利作

    説明員(山添利作君) それはそれではございませんでありまして、繋ぎ資金として出しました当時におきましては、河川関係及び農林関係と区別をいたしておりません、建設だけです。そこでただ我々がよく十億といいますのはデラ台風で、最初に扱いますときに先ず十億円國の方で公共事業費の方から金を出す、同時にそれを目当として取敢ず十億円融資して行こうじやないか、こういう話から進めておりましたのでよく十億々々と申上げるのでございます。
  154. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 だから正確には十一億五千というのでしよう。そうすると十一億五千というものが十二億行くまでのその代りに行くんで、十二億行けば、これも相殺されてしまうべきものと見るべきでしようか。それとも別ですか。
  155. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは先程申上げましたように十二億の金を出す、併し同時にこれは繋ぎ資金としてはそうあるものを一方公共事業費の方からそれだけ金が出るわけでありまして、その見合によつて回收をされるべき本來の性質を持つておるわけですね。併しこういうことがあるわけです。國が公共事業費を出しますれば府縣の負担分としてその半分があるわけですね。それから府縣が独自に國と関係なしにあるやつがあるわけですね。直ぐ返さなくてもそういうふうに含みを以て当てておつてもいいんだろう、こういう関係があるわけです。
  156. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 了解しました。次はヘスター、イルマ災害緊急融資割当というものは、この頂いたものに「案」という字が消してあるんです。あなたの説明によると安本で研究中だというふうに言つておられるのですね。つまり農林省としてはもう決つたというのですが、而もこの中には土木も入つていますが、農林省、建設省両方含めて六億円ですね、これはまだ未決定ですか。
  157. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは未決定であります。これは地方自治廳に農林省及び建設が寄合いまして一應この案を作つたのであります。併しそれで最終最というわけではございません、更に案を中心に今日も相談をやつておるわけでそういう運行中のものであります。
  158. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 「案」という字が消してあるのはどういうわけですか、別に深い意味はないんですか。
  159. 山添利作

    説明員(山添利作君) これはむしろ生きておるべきだと思います。
  160. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一つ耕地そのものには從來補助があつてこれがドツジの方針で打切られたのですか。
  161. 山添利作

    説明員(山添利作君) 本年度はそうなつておるわけです。
  162. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それに対して打切られては大変だというので農村で大問題になつておるというふうな実情です。それの復活には今度の台風関係で今要請しておられるというのは実情ですか。
  163. 山添利作

    説明員(山添利作君) 補正予算によつて復活をいたしたいという考えなんです。
  164. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それで補正予算によつてやると、それであなたの二十四年度の説明の中で百二億円が耕地関係で、このうち耕地復旧の二十一億というのは、本來はいわばこれは認められない数字なんですね。それをこの二十一億を生かそうとして努力しておられるということになるんですか。
  165. 山添利作

    説明員(山添利作君) その通りであります。
  166. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 三ケ年で復旧するといわれましたけれどもどんなふうに復旧して行くんですか。平均的に三割前後づつ三年でやつて行くのがあなた方の御方針ですか。
  167. 山添利作

    説明員(山添利作君) それを敢て方針としておるのではございません。これはできるだけ速く復旧するのがいいことは勿論でありまして、ただ予算全般から見ましてなかなかその支出が窮屈である、実情を申せば三ケ年で復旧するということさえも必ずしも過去の災害について行われていない、せめてそのくらいはやりたいものだ、こういうことを申したのであります。
  168. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それからもう一つ耕地関係の復旧が打切られるというのは大小によらず全般的に打切られておるわけですか、今も耕地は個人のものであるという理由で……
  169. 山添利作

    説明員(山添利作君) そうです。
  170. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 以上です
  171. 久松定武

    久松定武君 耕地の補償の打切は今まで継続で行つたわけですか。
  172. 山添利作

    説明員(山添利作君) その分は本年出しておりません。併しこれは当然新らしいものについても復活したいと同樣に、過去のものについても同樣に復活したい。
  173. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 和歌山縣と愛媛縣、徳島縣あたりに震災による地盤沈下のために田地が随分沢山耕作不可能になつておるところがあるのですが、ああいうものの補助も打切られたのですか。
  174. 山添利作

    説明員(山添利作君) 耕地の復旧というのは原因別にしないで打切つておるのであります。そこでまあ同じように復活をしなければならんわけです。
  175. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 そうすると震災によつて低下した耕地の復旧は、やはりさつきお話の耕地の復旧というのでおやりになつてのですか。
  176. 山添利作

    説明員(山添利作君) それはそういうふうになつておるわけであります。但しこういう点はございます。耕地の復旧といいまするか、潮水の湧いて來るのを止めるという施設、これは別に耕地復旧そのものではございませんので、そういう施設は無論やつておるわけであります。
  177. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 その耕地復旧の方は、開拓を片方でやつておられるが、ああいうふうに徳島縣や和歌山縣に行きますと非常に水田が潮水をかぶつて駄目になる、これはちよつと見ると非常に簡單な工事で潮水を止めることができるのではないかというふうな場所が沢山あります。つい最近私和歌山縣に行つたのですが、和歌山縣の東の方の海岸は殆んどそれが一面に海岸線はそうなつておる。ああいうものを放つて置かれてそうして新らしく山の上や水害を起すような開択をどんどんおやりになる、片方はちよつとやればできるというような工事も取止めて置いて、そうしてむつかしいこの開拓をやるという方針でやはりお進みになるのですか、今後……
  178. 山添利作

    説明員(山添利作君) もとよりこの耕地復旧につきましても、どう考えましてもこれは國家が助成すべきであるという考えを持つておるのでありまして、このままでよろしいというふうには考えておりません。
  179. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 いや私がお伺いしておるのは、同じ國費をお使いになるのに、開拓というのは國是としてやらなければならんからおやりになるのは結構なんですが、実際の総面績からの計算を考えると、今まで立派な田地であつたやつが何らかの故障でちよつと駄目になつておる。そういうものを同じ國費をお使いになるのならそつちの方に廻された方が、費目は違うけれどもも、技術的にいろいろ困難はありましようけれども、とにかく早く耕地になるような方法、いわゆる既田の改良といいますか、そういう面に向く増産にお使いになる方が得じやないか、こういうふうな感じがするのです。ただ一律に個人の農地の補助は打切られたので、そういうものまで放つて置く、そうして片方には新予算として開拓という費目でやればいくらでも取れるからそつちの方をやつて行くのだ、こういうふうないわゆるイージー・ゴーイングな行き方でおやりになつたのでは、日本全体として本当の食糧増産にはならないのでないかという感じがします。そういうふうなことについて大きくお考えになつておるかどうかということなんです。
  180. 山添利作

    説明員(山添利作君) お話の趣旨は結局國費を最も効率的に使うということでありまして、米一石増産するのにどれだけの経費が掛るか、これを比べて見て、その経済効果の高い方に、專らそれというわけには行きませんけれども、主として重点を置いたらよいという御意見と思います。もとよりそういう点についてそういう方針でやつて行くべきと考えております。最近こういうことにつきまして今までの取扱い方といたしましては、やや精密を欠く嫌いがございまして、農林省の機構改革におきましてもそういう点を重点に考えまして、計画部というのができまして、そこで個々の事業又総合的な考え方等について十分の調査をして仕事をするという建前にもなつているのでありまして、御趣旨の点は今後そういう方法で進みたいと考えております。  又塩害防止につきましては、塩害の防止に関する施設そのものはもとより継続してやつておるのであります。ただ徳島縣の地震によるところの地盤の低下、それによつてつたところの塩害につきましては、京都大学にお願いをしてその対策等につきまして研究をして貰つております。と申しますのは一度やりましても又どんどん地盤が沈下して折角やつた工事が無駄になるというようなことでもいけませんので、十分学問題な研究の上に自信を以て結論を得ました場合に、本格的な復旧といいまするか災害防止の施設をいたしたい。こういう考えでおるわけであります。
  181. 久松定武

    久松定武君 今の地盤沈下に関連するのでありますが、建設省の方におきましてはこの地盤沈下についてはむしろ積極性である、それから農林省は今お話のようにまだ沈下するかも知れないという観念がおありになるのではないかと思います。その結果によつて何とかしよう、非常にそこに消極性のように私は感ずるのでありますが、これはむしろ建設省と農林省が歩み寄つて頂いて、むしろ積極的に出て頂かなければ農林関係のいわゆる農家の人たちはいつまで経つてもこの潮水を出すことができない、今後のそういう土地の利用ということに非常に迷つているというのが事実なんですが、こういう点は私、研究を俟つよりもむしろ積極的にやつて頂かなければあとはどうすることもできないというのが結論じやないかと、こう思う。私も今京都大学の方々とか東京からも各方面から來て四國全体を廻つて研究しておられますけれども、事実上からいつて地震があつてからかれこれもう三年も経つてそこで今もつて農林省の方は積極性がない、むしろ地盤が沈降する傾向があるのじやないかという疑いを持つている、非常な消極性です。ところが建設省の方は積極的にどんどん直しておられる。こういう点から私考えましても、もつと早く着手して頂きたいのが希望でありますし、今原口委員からもおつしやつたように、実際無駄に開墾するよりもそういう部分的なものを直せば有効に使えるというところはどんどん直して頂きたい、それが地元の非常な希望であります。農林省何しておるかというのが今の農民の声であることだけはここで申上げて置きたい。
  182. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 私は農地局長に特にお話申上げたいのは、今の開墾事業が余りに消極過ぎるのではないか。と申しますのは、まあいろいろな必要上ああいうことになつたのかも知れませんけれども、各府縣に探すとかそれから金の掛らないところを採すとかいうような、いわゆる大局的な見方ではなくて、むしろ何戸入れるというようなやり方ばかりしておられる。それがために却つて災害とか何とかの惡影響の方が非常に大きいということがあるのじやないか。それで北海道の四十万町歩の泥炭地とか或い濕地とか、そういうものがまだ日本には本格的に残つている。そういうものを本格的に大々的に集中しておやりになるというお氣持は持つておられるのかどうか。私はああいう泥炭地の開拓とか濕地帯の開墾いうものこそ今後日本がやらなければならんのじやないか、山の頂上を二段歩なり三段歩なり開墾することは徒らに水害を招く原因だと思います。この間私和歌山縣の紀ノ川に行きましたが、この上流地帯を盛んに開墾しておる、橋の上から見ますともう一面に黄色く見えておるのです。であれは何かと言いますとあれは盛んに食糧増産で開墾しておるのだ、ああいうふうな開墾をやつたのでは紀ノ川の洪水は來るに決まつておる。そういうことを方々でおやりになるより、本格的な開墾をおやりになつたらどうか。こう言うと甚だおかしいのですが、農林省が開墾をおやりになつておる事柄が、余りに大きな見地からではなく目先きの開墾をやつておられるのじやないか。だからもう少し開墾事業を本格的に取上げられてそうしておやりになつたらどうかと思つておりますが、そういうふうに持つて行こうという御氣持があるかどうか。私はその点を一つお伺いしたい、若しそういう御氣持がないとすればこれは國土討画の面からそういう方向に是非進めて頂くようにしたいと思つておりますが、どうお考えになつておりますか。その点を伺いたいと思つております。
  183. 山添利作

    説明員(山添利作君) 北海道の濕地道の濕地帯は一部は今手をつけておりますけれども、あれを本格的にやりますということになりますとこれは厖大なものであります。これは私の個人的な考えでございますけれども、これを大々的に手をつけるということになります時期は、國力が十分回復した後でなければ困難ではないか、こういう考えを持つております。そこでやはりこの苦しい時におきましては比較的少い経費で且つ早く効果のあるような開拓をしなければならんと思うのであります。その意味から申しますと全國に点点としたところを開墾するわけでございますが、やはりそういうところをいたしますことが順当ではなかろうかと考えております。北海道の大きな濕地帯を見渡しました際に確かにこういうものが開拓できたらという感じはいたすわけでございますし、又お説の点はそれは立派なる御見識とは思いますけれども、実情といたしましてはやはりこれはもつと國力の回復した後でなければ大々的には困難ではないかと思つております。
  184. 原口忠次郎

    ○原口忠次郎君 勿論それは國力が伴わなければ大々的な開墾はできないのでありますが、例えば私は東京に來る度に汽車から豊橋の附近の練兵場の開墾を見ましていつもそう思いますが、堀立小屋を作つて藷を作つておる、あれは一つの開墾だと思います。これはああいうところにどうしたら水が引けるかということを研究しておられないのじやないか。ただ昔の練兵場の大きな平地があるから先ず馬鈴薯を作つておくというやり方でおやりになるのではなくて、北海道は一つの例として申上げたのですが、水のないところに水を引くような大きな計画を立てられる、そういうふうな國力が今日本にはないということはないと思う。そういうふうにして災害の余り起らないようにそういう計画を立てられるお氣持があるか。日本には北海道だけではなくして到る所にああいう所があるのじやないか。そういうことをお調べにならなくてただ小さく縣で政府と分け持つてつておられるのじやないか。それよりも農林大臣が本格的に出て行つて現地を調べておやりになる方がいいのじやないか。大きな工事をやる計画を立てられたらどうか、こういうふうな氣持なんです。國力が今余りないからそういうことはできないのだとおつしやればこれは見解の相違になつてしまうかも知れませんが、少くとも建設委員会あたりでも今までのような開拓のおやりになり方であつて皆が不満だ、もつと皆水害に侵されないように既墾地の増産を図るような開墾をおやりになつたかどうかということが、私は各委員の皆希望しているところだろうと思つております。それで私はそういうことを申上げたわけなんです。
  185. 山添利作

    説明員(山添利作君) お話の点はよく分りました。この大きな農用水利を興すということにつきましては私共も全然同感でございます。今お話の出ましたのは多分三方ケ原か何かの開墾だと思いますが、あの不良土も現在水を引くという計画ができております。いつ頃完成するかということは別といたしましてそういう計画が進んでおります。
  186. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると結局今の御説明の結論としては百五十三億、農林省、農地、林野、水産災害報告がまああるわけですね。これに対して今政府がしようといておられるということは大体繋ぎ資金として二億九千万円程度金融をつけた、それだけですね。そのところをもう一偏纏めてはつきり……、且つそれで一体どういうふうに今後やつて行かれるつもりかという……
  187. 山添利作

    説明員(山添利作君) 二億九千万円をデラ台風に対して公共事業費の中から支出をする。それからこのヘスター台風の六億円の中につきましてはいずれこれも多分公共事業費の支出ということになりましよう、今後……。そのうちまだ未定でありまするが何割かをこれにくつつける、こういう点でございます。もとよりこれは應急的な措置でございましてそれでもうよろしいなんという考えは毛頭持つておりません。從つて補正予算において十分考慮をして頂きたいと考えておるのであります。
  188. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると今までの報告農地と林野と水産、約百五十四億円でしよう。これに対して繋ぎ資金でやられたのが十一億五千万、そのうち大部分が土木の方へ行つてこちらへ來るのはたかだか二、三億融通が付いておるという程度ですね。それからそれを長期にしようとして努力しておつたということですね。それから十二億のうち二億九千万円だけは國庫補助でやるであろうということですね。六億について目下折衝中、これが全部ですね。
  189. 山添利作

    説明員(山添利作君) そうです。
  190. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これは農林関係の百五十三億の損害に対してはその全部の目的を達せられたとしても十億前後と思いますね、まあ僕の肚勘定で、そうでしよう。三億九千万を三億と見てもう三億を長期化してこれの六億のうち、恐らく農林関係は一億か二億でしようからね、十億にも足りないでしよう、六億全部が農林ですか。これはそうじやないでしよう。
  191. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは大体デラ台風のときには河川関係農地関係三対一くらいな割合になつております。ヘスターの方は必ずしもそういうことではないと思います。併しそれはまあ細かいことでありまして、全体から見ますると御指摘になりましたような非常に貧弱な……
  192. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうでしよう、十億にも足りないでしよう。そうすると七、八億と見なければいけないでしよう。そうすると百五十四億の損害に対して政府は今やつておるところを全部目的を達成したとしても七八億でしよう。だから百四十幾らが問題の未解決で残つておるという、そうでしよう、これは事実ですね。それに対してはどういう見通しなり心構えなりどういう方針で進んで行かれるのでありますか。大まかな方針は……
  193. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは査定額を基礎といたしまして補正予算を要求するつもりであります。但しその補正予算が幾ばくになりますかということは、まだ私共にも確たる見通しが実はございません。
  194. 久松定武

    久松定武君 今水産関係の方來ていらつしやいますが、やはりデラ台風に影響して水産関係の方をちよつとお伺いしたいのですが……。水産の方は公共事業費から出ないのですか。そのときに何か中金から出すより途がないというようなさつき局長からお話がありましたが、どのくらいの損害でそれに対してどのくらいの融資をされるおつもりか、内訳を……
  195. 藤森菊雄

    説明員(藤森菊雄君) 水産関係の方でございますが、これは最初損害が大体二十億でございますけれども、そのうち漁業の方が八億八千、漁船の方が三億五千、漁具の方が五億五千その他が二億九千三百万円こういう状態でございまして、現在のところ只今農地局長がおつしやいましたように長期融資の問題は公共事業の漁港だけなんでございますが、漁船、漁具その他の共同施設の方は來年三月までの融資を農林中金で見てやる、こういうお話でございまして、それで府縣の方へ御通知をしまして、漁船、漁具のうち漁具とか或いはその他縣で緊要なるものを先ず取上げて融資を最初にすると、こういい通知が出まして、只今農林中金の支所、出張所に折衝中でございます。それから長期融資に関しましては大体大藏省の預金部資金に頼るように只今折衝中でございますが、この前のお話では大体預金部資金はまだ二百億以上余つておるのでありますが、これは関係筋の方でまだいい答が得られないという状態でございまして、我々としては極力その方の資金に対して今折衝中でございます。
  196. 久松定武

    久松定武君 ただお伺いいたしますが、今のお話で融資の対象となるもの、つまり農業協同組合と同じように漁業協同組合が今できつつある、漁業会は今解散中である、本年中に消えてしまう、そうすると融資するという点においても、漁業協同組合というものは非常に弱体なものが大部分である。そういう点から中金が幾ら貸すといつても対象に対して非常に困難を感ずると思いますが、これに対しては水産廰としてはどうお考えでしようか。極力斡旋するというのですが、やはり弱体のものは放つて置くわけでありますか。
  197. 藤森菊雄

    説明員(藤森菊雄君) その点につきましては非常に私共の方も心配しておるのでありますが、今後の協同組合の出方でありますが、これは大体出資額を多くしまして組合を強化する。それから現在の漁業会も役員等の改選等が行われるというような憂がございますので、その点につきましては縣の方で強力に、成るべく融資のことは重大であるからして支障のないようにということは非常に通牒しておるのであります。現在私の方で知る範囲においてはそういう問題の起きておるのは聞いておらんのでありますがそういうことが起きたら私の方で積極的に斡旋に乘り出すから報告して欲しいということをたびたび言つておるのであります。
  198. 久松定武

    久松定武君 現実的に今まで私四國の例で申上げますと、漁業会が牛耳つておる、漁業協同組合というものは殆んどないという現況でございます。目下ぽつぽつできつつあるという現状であります。こういうものが沢山將來できます、今度の融資を得るためにどんどん作つておるというような例が実際あるのであります。ところがその漁業協同組合というのは十五人以上組合員があればできる、非常に弱小のものが非常に沢山できると、そういう点から考慮しまして、融資するのは非常にむずかしい点があるのじやないかと思うのであります、そこのところを当局としては十分お考えの上に、弱小を助けるという意味から非常に危險も伴うという組合に融資というものを斡旋するのですか、それとも協同組合でも資力があるところにのみ重点的にやるか、そこが問題でありまして、実際に協同組合というものを漁業会が牛耳つておるというのが現状であります。その漁業会というのが十月から解散になります。そのお見通しはいかがなものでしようか。
  199. 藤森菊雄

    説明員(藤森菊雄君) その点に関しましては協同組合の方と連絡を取つておるのでございます、今度の計画は非常に官廳として指導できない、こういう立場にあるのでありますが、金融の方では成るべく行政上の方から考えまして是非漁業は必要である、漁獲も挙がるし、比較的小資金で大收獲を挙げるとこういうものには斡旋を強化してそして行きたいとこういうことであります。
  200. 久松定武

    久松定武君 それからもう一つ今度災害地帶をずつと廻りまして水産関係で痛切に感ずるのは、漁民が比較的に共同施設を持つてない。それからもう一つは避難港が比較的少い、これが大きな禍にもなるので、殊に離れ島のごときは例えば電氣予報についてもラジオ一つないというようなところで、愛媛縣のごときは九州、淡路、四國というような漁民の遭難が多かつたという点があるのであります。この点につきましても水産の面が水産施設というものをもつと奬励して頂きたい。今までやつておられたか、いなかつたか、その点私は疑問に思うのであります。例えば以前は漁港なんかと台風のときに赤玉を出したり青玉を出したりした、昨今各所を廻つて見ますとそういう施設が少いという現状であります。今後そういう点については積極的に出て頂きたい。当局としては今まではそういう点について戰後は全然指導がなかつたのでありますがお伺いいたします。
  201. 藤森菊雄

    説明員(藤森菊雄君) その点に関しましては共同施設も昭和十六年頃まで補助金がございまして、施設の補助をやりまして大体八割ぐらいのところまで行きまして、或いは離島でありましたならば選に漏れたかも知れませんが、大体八割の普及率でありました。それで戰災によりまして、大体四割ぐらい失いまして丁度昨年の九月以來農林事業復興資金の融資の制度ができまして、その共同局設が融資の対象になるわけでありますが、それで極力取上げて参りましたですが、大体共同施設の方は昨年の農林中金で出ました資金が一億近く出ております。その点に関しては私共も極力應援してやつておるわけです。
  202. 久松定武

    久松定武君 ところが何ですね、あすこの日本で三大漁場の一つだと言われている豊豫海狹などは殆んど協同施設というものはないです。殊に台風災害に対する予防施設のごときは見るべきものがないというような現状でありまして、私はこの点水産関係の指導よろしきを得ていなかつたという印象を非常に現地に行つて見て來たのです。この点に対しての指導は今後もつとして頂きたい、漁港その他も必要でありまするけれども、災害に対する施設というものが殆んど見るべきものがなかつたというのを遺憾に思うのですが。
  203. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) よろしゆうございますか、どなたか御発言ありますか。
  204. 堀末治

    ○堀末治君 大体会議が終りとなつたようでございますが、私一つ希望を申上げたいと存じます。実は今日は私今朝着いたばかりで遅く参つたので初めのお話を承りませんでしたが、先程來いろいろ皆樣方の御意見を承つていますと非常に適切な御意見が多いのであります。殊に御質問の中には事務当局としてはちよつと答弁のできにくい大きい問題が多いように思うのであります。事務当局が如何にこれをああだこうだと考えて見ても、今の政府が本当にそういうふうに考えているかどうか、果して又この春のドツジ・ラインに抑えられたあの予算ではなかなかできにくい問題も沢山ありますが、今度の機会に必ずやいろいろ補正予算が出ると思いますが、その補正予算に対しては先程來いろいろ御質問のあつた問題が果して政府としてどういうふうにこれを載せるつもりであるか、こういうことが要するに、この委員会の本当の重点でなければならないのではないかと私共はかように思うのであります。そうして今回の明日の予定を又拜見しますとやはり緊急失業対策事業に対する説明聽取で、経済安定本部、建設交通局、恐らくこういうような問題はこの建設交通局長だけに聞いて見たところが、殆んど事務局長は事務当局らしいいろいろな構想も持ち又研究もしておりましようけれども、果して政府がこれをどういうふうにしてやるか、殊に今の緊急失業対策問題などというものは非常に重大な問題でありまするので、この問題については交通局長辺りから聞いて見ても恐らく議員諸君の満足できるような答弁がないと私はかように思うのです。殊にいわゆる見返り資金のうち閣議で果してどこまで決定になるか、いわゆる百億の公共事業費のようなものがある、この問題に対しては大藏省を初め経済閣僚は是非ともこれは要するにやつて貰いたいという希望がある。一方又経済安定本部の方の意向を新聞で見ると、これは非常に狹い見解の下に立つている。かようなことで何とはなしに新聞を見ても両方が対立している関係がある。そういうようなことについても果してこういう問題を安本ばかりに聞いて私共満足できるだけの答弁が得られるか、安本は恐らく安本の見解のみの意見を言うことだろうと思う。從つてこういうものはどうしても、明日この両方の意見を聞いて見るのも結構ですが、もう一つ労働省の問題も聞いて見なければならん、同時に又建設関係はこの間の公共事業の中に大分ある、道路には二十億予算を見ておるそうでありまするが、それから尚労働者の住宅の建設費が二十八億、それから戰災地の整理に持つてつて五億、それから又災害復旧でない方の要するに市街地の整理というものに五億というようなものが新聞に出ているのでありまして、果してこういうものが見返り資金として向う樣の許可を得られるということになれば、いわゆる失業対策といえ建設省関係としては多いのでありますが、どうしてもこういう問題はひとり安本ばかりを呼ばずに、建設当局続いては労働省当局も呼んで聽いて、然る後先程來いろいろ大きい御意見、原口さんから出た御意見のごとき甚だ大きい御意見で、失礼ながら局長では御答弁ができないという程度のことで局長としてはこの程度しか考えられない。これを大臣だけで相談して閣議でどういうふうに持つて行くかということに大きい問題があると思います。暑いところでこういう問題でお集まりになつてこういう大きな問題を事務当局を呼んで聽取しようというのも、できればこの建設委員会の総合した意見を今度の補正予算に是非載せたいという希望の下に、皆樣方暑い中に審議をなさつておるとかように思いますから、明日は若し何ならばこの失業対策方面は安本だけでなく或いは労働関係も聽いて見る、乃至は今の建設廳関係も聽いて見る。同時にこれを全部終りましたらもう一日でも二日でも延ばして、各大臣に、事務当局で考えておることを大臣は果してどういうふうに考えておるか、若し一致して考えておれば結構ですけれども、どうも別々に考えているようなことでも困るから、それならばそれで我々の方から、今補正予算を作る前ですから強く建設委員会の意見を反映さすことが必要であると、実はかように考えておるのでありますが、これに対して委員長の御意見は如何ですか。
  205. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) 只今堀君のお考えは全く当委員会の全体の意見なのです。実は堀さんはこの委員会の方にあまり御出席はなかつたが、この委員会が休会後も継続審査をするということは全くそこにあつたのであります。そこへ持つてつてデラ台風等の被害等というものも概括的には聽いておりましたけれども、具体的の数というものは今まで承つておらなかつた、各縣の要求等は見ておりますけれども……そういうことと又それ以前の災害及び又再建等のどういう仕事が主になつて來ておるのかそれらも檢討して、これをやはり一方の予算化することに一つ力づけて行こうとこういうことなんです。そうして極めて簡單にお答えしますれば、今申されましたこれは、頭から大臣を呼んで聽いて見たところが大雜把なことになるだろうし、やはり聽く所は細かいそうして内部がどういうことをやつておるのかということも檢討して、一面は檢討し一面はこちらの要求を貫徹して行くことのために、実はこの委員会を開いておるのでありますが、今朝からの空氣によりまして只今大臣及び次官の出席を要求したわけなんです。それで今の所は二日ということになつておりますけれども、若しも都合によつては一日ぐらい延ばして行くことになるかも知れません。又重ねて皆樣の御都合さえできれば更に延ばしてもいいと思います。併しこれも継続審査でありますから一ケ月一杯で止めるというわけでもありませんから、又下旬にでもやはり頂ければやつて行きたいと、こういう見当でやつております。とにかく要求はいたしております。それで只今の御質問のことは堀さんのおつしやつた通り、只今政府の御出席の質疑は今日はこの程度に止めて置きまして、これから懇談をいたしまして明日からの行程を審議したいと思います。先程予め御協議して置きました次第です。如何です本日はこの程度で……    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 石坂豊一

    委員長(石坂豊一君) では本日はこの程度で散会いたします。    午後三時四十九分散会  出席者は左の通り    委員長     石坂 豊一君    理事            原口忠次郎君            仲子  隆君            島津 忠彦君    委員            岩崎正三郎君            島田 千壽君            堀  末治君            水久保甚作君            赤木 正雄君            久松 定武君            兼岩 傳一君   説明員    農林事務官    (農地局長)  山添 利作君    建設事務官    (河川局長)  目黒 清雄君    農 林 技 官    (水産廳漁政課    勤務)     藤森 菊雄君    中央氣象台長  和達 清夫君