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國務大臣(
鈴木正文君)
門屋さんの御意見を拜聽してお
つて、根本的には非常に我々の
考える
労働対策の
考え方というものと、百八十度
違つた角度で
考えておられる、
門屋さんの
考え方からして我々の
政府の
考え方がまるで遠
つておるというようなことはないように思います。結局指摘されたところの
狹義のいわゆる
緊急失業対策というものが、時間的の
段階に應じて阻止し得るか、それからもう
一つはそういう
関係をも考慮して九月に
臨時國会を開いて必要な場合の
失業対策関係の
補正正算を出すというそういうようにな
つて時間的によろしいか、こういうことが端的にお聞きにな
つておるような点のように思います。根本的なことは先程も
官房長官も申上げましたし、私共もそれをこの前の
國会からも今度の
失業対策というものの
考え方につきましては、しばしば申上げてお
つたと思います。今も変
つておらないのでありまして、結局はこういう
相当大きな量の
失業者という問題は終局的には新しく
國民経済の中に生れて來る
雇傭面の中に吸收し
終つたというときでなければ、
失業対策は完全に遂行されたと、成果を挙げたと言えないのであ
つて、そうしてそう
考えますというと例えば
來年の三月三十一日まで今の
庸傭というものを完全に新しく
國民経済の中に吸收して行くというようなことは
計画しても実際にはなかなかできないのであ
つてこれはや
つて見なくちや明確なことは言われませんが、少くとも一年半なら二年なりという期間を置いてその
的終段階においては
國民経済の正常な
状態に持
つて行くという
一つの大きな
計画の中に、
段階的な必要な
失業対策をも織りまぜて行くという
考え方がやはり至当であると思うのでありまして、大体の
考え方はその
通りにな
つておりますし、同時にすべての見返
資金……すべての
予算を通じての
政府の新しい
産業対策というものが窮極においてはそういう
意味で
考えるというと
失業対策であり特に千四百億円前後、仮に三ケ年といたしますれば四千億を超えます。
一つの
纏つた、集中される
資金の
運用というものは、これはその
儘失業対策の大きな
意味をも
つておる。例えば
電源開発にその千四百億円づつ注ぎ込んで
行つたならば、もう少ない
計算をしてところで、八万人、多く
計算した場合十三、三万人、大体そうすると十万人くらいは年を通じて
雇傭というものは期待されるわけでありまして、一態大雜にいいますと、見返
資金全体を通じて二十万人くらいの
雇傭というものは期待されるのではないかという
計算が出來上
つておるのであります。
それから
そういつた間の時間のずれに処する
緊急失業対策の問題でございますが、如何なる
緊急失業対策でも、
失業が極度に最高度に出て來ますと、何と言いますか、
失業のピークと言いますか、その瞬間において全部を消化してしまうという、そういう
失業対策はあり得ないのであ
つて、その瞬間においては、できるだけ順次
雇傭面を拡大する
政策を強烈に展開して行くと同時に、それを時間的の受止められない部分というものに対しては、
狹義の
失業対策なり……或いはこれはどこの國でも行われるそうでありますが、
失業保險というようなものも併用いたしまして受止めて行く、そうして次の
段階段階毎に漸次起
つて來る全体の
失業者の数を加えて
行つて一年半なり二年なり
行つたところで最終的に処理せられる、こういう
計画を建つべきである。又その線に
沿つては
政府として決した
計画を建てておらないのではないのであ
つて、建てておるのであります。それが今日まで全体の
計画を決定する場合に至らなか
つたのは、何と言いましても
失業対策の一番重要な面を占めるところの、千四百億前後の見返
資金というものが、
本当の
意味において
関係方面のオー・ケーをも得て、どういう形でどこに投入されるかということが決定されぬ。これからその
重要産業に投入されるということは分
つてお
つたのですが、しつかりした具体的の枠というものが決定されなか
つたら容易に最後の
計画が決定されなか
つたわけであります。それから
只今官房長官の
お話いたしましたように
緊急策のその面も枠も決まり、
方向もだんだん決定しておりますからして、今日においては今申しましたような檢討も加えまして、大体においてこういうふうにや
つて行けますという案を建て得る時期に到達しておるのでありまして、その
方向によ
つて近くその問題、案を提出して
議員の
皆さんにお傳えいたしたいと
思つております。それから八億円の点、これは必要である場合に先ずそれを短期のものをも
使つてや
つて行くというような
考え方も
大藏大臣と話合
つております。一應の
了解も進めつつある。又それでもいいのかというぎりぎりの御質問でありましたけれども、これは今申上げましたように廣い
意味の
失業対策の見返
資金、これは千億以上でありますからしてゐそのうち百億円くらいは
從來の
緊急失業対策に盛られたような
性格のものであ
つて、そうして見返
資金の方から出し得るならばそういう
方面から出して貰いたいという
考え方の下に、交渉を開始したのでありまして、率直に申しまして最初は極めて困難な
状態であります、最近は
関係方面でも諒とされて、
相当の
希望の持ち得る形で進んでおるのであります。ただ仮に百億円、その大体の内訳や決
つておりまするけれども、一方においては投資という
性格の強いものというような
原則がありますので、こちらから出したところの百億円全部の部門が認められるか、最惡の場合は全然認められないという場合もあるのでありますが、そういうことはないと思いますが、全部のものが認められるか、或るものだけが
そういつた原則の適合するという
建前から認められて、或るものはこれは余りに直接的な使い捨て的な費用であるからして、これは見返
資金としては認められないというような、認められるものと認められないものとが、双方出て來るということも
考えられるのでありまして、
官房長官も先程申しました
予算的の別の
措置によ
つての方法も、場合によ
つて考えると言いましたのは、そういうような認められないものが
相当出て來た、而もそれはどうしても現在の
失業状態から照し合せてやらなければいけないというふうなことが、見返
資金の配分において明らかに
なつた場合には、そういうような
考え方も採用し、言わば二本立でや
つて行く方法もあり得るということを言
つたのでありまして、私自身もそういうふうに
考えておる次第であります。
それから自信があるかという御質問でありますけれども、
失業対策の如きは至難中の至難事でありまして、何れの國でも胸のすくような名解決というようなことには、なかなか一挙にはでき上らなか
つた。どこの國でもそうであ
つたのでありまして、破綻を起さないように粘り強く辛棒強く
一つ一つ取組んで、一年半なり二年なり、或は最終の事期において安定の
状態に持
つて行くという粘り強さと、そして
一つ一つの事実に対する忠実な注意を持
つて行くということに盡きると思うのでありまして、私達はそういう
方向を着実にや
つて行く決心でもありますし、
準備も整えておりますし、その
意味におきましての自信はございますとお答えできると思います。