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政府委員(
藪谷虎芳君) お
手許に差上げました
運賃関係資料という表の冊子がございます。その中先ず第一表から仮に重要な表だけ御
説明申上げます。第六
表経済諸
指数、これを御昼頂きますと一番左には
國民所得が
昭和十一年を
基礎といたしまして、百四十八倍
程度に上
つております。眞中頃の
物價指数、これを御覧になりますと、卸賣りが百九十一倍、小賣が二百十倍、それから
給与の
指数の欄を御覧願います。一番右に
工業勤労者のサラリーの
指数が出ておりますが、百三十七倍
程度にな
つております。これと
比較いたしまして、
國鉄の
運賃指数は次の第八表各
運輸機関別運賃指数というのがありますが、これは
昭和十一年をやはり百といたしまして、
旅客が
最初の一キロ
当りの
運賃五七・六九倍とな
つております。これを
平均に直しますと、五十倍であります。それから
貨物の
運賃は大体七十二倍
程度にな
つております。かようなことで非常に
物價との
バランスがとれないということがお分りだと思いますが、他の
運輸機関、海運、自動車に比べましても、同様に
指数がここに現われております、そこでお尋ねの先ず
貨物に対する
運賃との
関係でありますが、お
手許に差上げてあります表の中で第十六表をお開き願いたいと思います。第十六表を御覧願いますと、
鉄道に掛かりまする総
貨物の
平均價格に対する
トン当りの
平均運賃というものの
比較を見ますというと、総
貨物につきましては〇、七七であります。その中から二十七の
主要品目につきまして摘出いたしましたのがこの表でありますが、その表の中で例えば米が
昭和十一年、
戦前におきましては
價格に
占むる運賃の
割合が僅かに一・一%であります。ところが二十三年の九月におきましては、〇、五四であります。これを二倍上げましても、
戦前と同様な
状態に立ち至るだけであります。かようにして各
品目についてずつと
平均いたしますと、
昭和十一年度においては
價格に
占むる運賃の
割合が四・六一%でありまして、現在は一番右の下の集計にありますように、これらの
主要品目について見ましても、僅かに二、六七であります。総体的に申しますと、二倍上げても或いは七割でも五割でもそう
影響は
物價にはないのでありますが、この二十七
品目の中で、若し二倍
程度上げますというと、直轄の
修正を要するものが右の欄の
C分のDという欄を御覧願いますと、一番
價格に
占むる運賃の
割合の多いのが五七・六%の
石灰石であります。それからその下の一二・七%を占める
硫化鉄鉱、或いはその下の銑鉄、それから
最後から五番目にあります
砂利三三・三%、次に石炭の五・二%、こうい
つたようなところがやはり
運賃の
修正を要することは事実でありますが、これらに対しては補給金によ
つてこれを是正するか、或いは二次、三次
製品によ
つて吸収し得る
程度であるかどうか、こういう問題であります。二倍
程度上げますと、やはり
相当二次、三次、四次
製品あたりまで
價格の
修正が或いは響くのではなかろうかとこう思います。併しながら五割
程度ならば、響きは非常に薄くて
石灰石の五七・六%、或いは
砂利の三三・三%、
硫化鉱の十二・七%、こういうものが問題になる
程度と我々は思
つております。これらのものは、
石灰石にせよ、
セメントにせよ、
戦前の
輸送キロと現在の
輸送キロを見ますと約三倍にな
つております。
運賃が安いために遠まから取
つておる、こういう現象を呈しておりますが、やはりこれらのものはできるだけ近まから取れ得るものでありますから、
戦前のごとく近まから取るのがよいのであ
つて、このためには
運賃は消化可能である、こう
考えております。若し可能でなくても、
石灰石におきましては、御
承知のように鉄或いは
セメント、或いは
肥料等の第二次
製品において
價格に吸収され得るのであります。
砂利におきましては
建築費の僅かに一%も充たない
平均の
價格でありますから、これ亦二次の
建築製品に吸收されるこういうふうな
結論になるのであります。併しながらその
部分においてだけは
修正を要する、石灰についても同様な
幾分の
修正、或いは鉄についても
幾分の
修正とい
つたような問題が起り得ると思うのです。これらを詳細に見ますと、やはり所々にそうした問題が起る
危険性があり得るが、
消費者の
消費價格面におきましては殆んど吸収され得るものという
考え方と、いや、その
程度でも
價格に
影響するという
考え方と両方あると思います。
旅客運賃につきましては、いろいろと問題があろうと思いますが、お
手許に差上げました表の中で第十表をお開き願いたいと思います。この
総理廳の
統計局における
調査によりますと二十三年と二十二年の場合で九月から十二月の四ケ月間の
平均の
調査の結果が載
つておりますが、大体Gの欄の一番下り
交通費、これについて東京、名古屋、大阪の都市の市民について
調査いたしましたところ、明らかに
平均して一・二%、一・三%とい
つたような
生活費に
占むる交通費の
割合であります。その上の
雑費は一四%乃至一六%でありまして、
運賃が二倍になりましてもこの
雑費において吸收し得る、吸收は不可能であるという
結論にはならないと思います。
ただ人により
距離により、又家庭によりまして例外があり、非常な
負担になる人もあろうかと思いますが、大体
平均から申しますと、さようなことにな
つております。次の第十一表を御覧願いますと、
賃金と
定期運賃との
比較をして見たのでありますが、先ず
官公吏につきましては、
昭和十一年五十六円七十二錢の
賃金ベースに対して、一ケ月の
運賃が四円七十銭であります。その
割合は八・二九%とな
つている。ところでずつと下へ下りまして、六千三百七円の
現行ベースにおきましては、
現行運賃二百八十円、この
比率が四・四四%でありまして、若し今回の
改正をやりましても、七・二九%という
程度に止まるのであります。
工業労働者の面におきましては、
昭和十一年当時は社會政策的な
割引で、
工業労働者には特に
割引が多か
つた関係で、当時に比べては、六・三%が六・六五%と大きな
割引を戦後廃止しましたが、現在においての
比率は約六%六五でありますから、やや高くな
つております。かような
程度でありまして、一
應負担力が可能ではなかろうか、こう
考えられます。且つこの
定期券の
運賃が八〇%までは
雇傭主が現在
負担しているような実情でありますが、その
雇傭主の
負担にな
つておりますものは勿論
人件費の中から出ているのもありましようし、結局は
生産費に掛かり
物價に
影響して來ることは確かでありますけれども、これは間接的な効果に過ぎない、こういうふうに
考えている次第であります。三ケ月
定期、六ケ月
定期の廃止によりまして、三ケ月の
部分は大体六割
値上げして尚その
高率を、廃止しますから大体二倍一分、それから六ケ月のものは二倍
半程度の高額な
値上りになりますけれども、現在
割引率が非常に諸
外國に比べて高いのでありまして、
通勤が一ケ月六キロ六割乃至八割三分三厘、通学におきまして七副八分二厘から九割九厘、一ケ月にしてすでにそうでありますから六ケ月の
最高が九割四分、
通勤において八割八分九厘、そういう大幅な
運賃割引をいたしております。それが八割三分三厘になり、九割四分が九
劇程度のものになるのであります。かようにして
割引率の余り大きいものを次第に是正して行くことが妥当であると同時に、財源の点から見ましても、又コストの点から見ましても、
定期運賃が
支出に対して僅か二六%の
收入に過ぎない
現行を是正して行きたい、こう
考えている次第でありまして、以上
運賃と
物價の
関係につきまして御
説明申上げました。