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1949-09-13 第5回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十三日(火曜日)    午後三時九分開会   —————————————   委員の異動 八月十七日(水曜日)委員門屋盛一君 辞任につき、その補欠として前之園喜 一郎君を議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本船舶拿捕及び密航に関する件 ○道路運送監理事務所に関する件 ○小委員長報告観光事業に関する調査の件 ○運輸審議会公聽会に関する件   —————————————
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより会議を開きます。それでは海上保安廳長官大久保武雄君より最近における日本船舶拿捕状況について御説明を願います。
  3. 大久保武雄

    説明員大久保武雄君) 日本船舶の最近における拿捕状況につきまして御説明をいたします日本船舶拿捕問題は昭和二十一年ごろから発生いたしました。各年別に申上げますと、昭和二十一年において七隻、昭和二十二年において十一隻、昭和二十三年において四十隻、昭和二十四年におきまして三十九隻の多きに上つております。この中ソ連拿捕されましたものが三十九隻であります。それから中國に拿捕されましたものが三十二隻、朝鮮拿捕されましたものが三十一隻に上つておるような次第であります。そこでこれらの中で未帰還船舶が中國関係が二十六隻、ソ連関係が九隻、朝鮮関係が九隻、合計四十四隻になります。船員の未帰還者は二百七十名、中國関係百六十名、ソ連関係百名、朝鮮関係九名、こういうことになつております。死亡者は中國関係六名、ソ連関係二名、朝鮮関係一名、合計九名、かような数字に相成つております。そこでソ連関係拿捕船舶昭和二十三年の八月ごろから急速に殖えて参りましたが、これは主として根室納沙布岬、あの一帶におきまして拿捕されております。最近は稚内樺太の間の海峽等におきましても拿捕船舶を出しておるような次第であります。朝鮮におきましては、朝鮮海峽の済州島附近におきまして拿捕されましたものが多数あります。中國におきましては、東支那海の一帶に亘りまして拿捕せられておりますような次第であります。そこで現在マッカーサーラインは緯度、経度によりまして、太平洋から納沙布岬貝殼島の中点を取りまして、更に稚内樺太間、日本海を縦断いたしまして、対馬の北島の北端から済州島の南を東支那海を中断し、台湾北方に達する、かようなマッカーサーラインがあるわけでございます。そこで最近における最も頻繁に拿捕せられておりますのは東支那海でございまして、中國の拿捕状況が二十四年の六月頃から急速に増加をいたしておりま4宵うな状況からいたしますると、一番問題は多く発生しておりまするし、而も未帰還船舶は殆んど二十六隻、中國関係が大部分を占めておりますような状態でございます。そこでこの拿捕されました、或いは抑留されまして中で、第一〇五明石丸東支那海において抑留曳航の途中において撃沈をせられました。筏によつて漂流避難しようとしました船員は、更に機銃掃射を受けまして殆んど船員を全滅されるような措置を取られた次第であります。僅かに生き残りました四名の船員パナマ船に助けられまして帰國いたしました。この船員の口によつてこの遭難事情が判明をした次第でございます。そこでこれらの船舶拿捕せられまして、船員が未帰還であるということは非常に遺憾でございます。多数の船員の家族のことも考えまして、一日も早くこれが返還をせられるように訟置しなければならない、かように考えまして、先般外務省を通じまして、正式に関係方面に対しまして、この返還に関する依頼の懇請の書類を提出いたしましたような次第でございます。拿捕されました船舶は、現在中國関係におきましては、諸般の軍事的要務に使役せられておるということを、帰還船員並びに漁業会社からの陳情書によりまして報告いたされております。即ち一部の船舶は軽武装をされまして軍事任務に使役せられ、一部の船舶は軍人、將兵の輸送に從事せしめられ、一部の船舶軍事用途のために漁撈に從事せしめられておるというような報告を受けておる次第であります。私共海上保安廳といたしましては、これらの船舶の一日も速かに帰還ができますように、今後努力しなければならないと考えておる次第であります、尚又マッカーサーラインの一番太平洋の尖端は、横浜から千五百海里ございます。北方は釧路から九百海里ございます。これらのマッカーサーライン内で漁撈しております船舶は、或いは時に逮捕され、或いは時に海難を起す次第でありますが、海上保安廳船舶主力木造船でありまして、これは速力八ノット約八百海里の航続距離しか持たないのでありまして、これが哨海任務まで行うといたしますると、海上せいぜい二百海里そこそこの哨海しかできない状態でございます。そこで海上保安廳の現在の主力船舶マッカーサーラインの全区域に亘りまして、活動しておる日本漁船遭難の場合すらこれを救助することが非常に困難を極めておりますような次第であります。かような関係でありまして、本年六隻の新船を建造いたしておりまするが、來年はどういたしましても、海上保安廳船舶強化しなければ、海上における船舶の保護並びに密航密輸の取扱は困難であると、かように想像される次第であります。引続きまして海上保安廳船舶強化に努力いたしたいと存ずる次第であります。  甚だ簡單でありますが、これを以て説明を終ります。
  4. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 何かお尋ねありませんか。……密航密輸の何か統計でもできておりますか。どれだけ密航者が入つて來たか、或いは密輸入がどれだけあつたか。
  5. 大久保武雄

    説明員大久保武雄君) 海上保安廳が昨年の五月一日創立されましてから本年の四月末日まで、即ち満一年間におきまする密航密輸檢挙件数は百九十四件でございます。逮捕人員は二千五百四十九名に相成つております。そこでこの密航密輸逮捕状況は最近になりましてから、又急激に増加をしております状況でございます。即ち最近私共の方に入りました情報といたしまして、南鮮における徴兵忌避の目的で約千人の鮮人日本に向け密航しておる。尚近日中に約一万人の鮮人密航の疑があるという情報を八月の末に得た次第であります。それ以來海上保安廳では、日本海佐度以西並びに紀伊水道以西の全船舶を動員いたしまして、非常警戒をいたしておつたのでございまするが、八月二十五日から九月六日までにすでに二百三十九人の密航者を逮捕いたしておりました。その後におきましても僅か数日にしてすでにもう百十数名の逮捕者を出しておりますような次第でございます。非常に最近は集團密航の形勢が濃厚でございまして、去る九月三日には新潟縣山形縣縣境附近に、夜間暗夜を利用いたしまして、百トン程度の機帆船四隻に二百人乃至三百人が乘船いたしまして、約千人の朝鮮人密航計画をしまして、これは不成功に終つて海上に逃走したという情報を得ております。更に最近は積極的に海上保安廳に抵抗して來るという事例が非常に多くなつて参りました。去る九月初旬に神戸におきまして逮捕しました密輸船は、台湾北方與那國島を経由して参しました密航船でございますが、これは警戒中の海上保安廳警戒網を突破いたしまして、神戸西灘において砂糖の揚陸をいたしておつたのであります。この船は四十ミリ捕鯨砲一門、三十六ミリの予備砲一門合計二門の大砲を裝備いたしておりました外、裝填用の実彈二発を所持しておることが判明いたしたような次第でございます。更に同樣の捕鯨船型集團密航北上中であるという情報によつて警戒いたしておりましたところ、豊後水道において五隻の捕鯨船型密航船團北上中を哨戒視察をいたしまして、直ちに港内船の「きさらぎ」をして追跡をせしめました。足摺岬の東側沖合におきまして、同船團に「きさらぎ」が追いついたのでありますけれども、この船團は「きさらぎ」に対しまして、或いは石を投げる、或いは魚網を流すといつたようなことをいたしまして、「きさらぎ」の追跡を妨げまして、遂に北方に姿を晦したといつたような事例がございます。更に高知におきまして、これは密輸出のために出港いたしました北見丸という密航船海上保安廳船艇が追いつきまして、これを逮捕いたさんといたしましたところ、強硬に抵抗いたしました結果、船上において格鬪の結果、これを逮捕して台湾人その他を檢挙した事例があるのでございます。かようにいたしまして、最近は集團密航が多いことと、むしろ積極的に抵抗をするという状況でございます。この密航者の兇惡なる傾向に対しまして海上保安廳の全船が殆んど一挺の挙銃すら持たない無武裝状態において、而も百トン足らずの木船を以ちまして、現に海上治安任務に服しているような次第であります。今年度における新造船並びに來年度における海上保安廳船隊強化によりまして、海上治安につきまして今後強院して行かなければならないと、かように感ずる次第であります。
  6. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 逮捕した人間はどうしていますか。
  7. 大久保武雄

    説明員大久保武雄君) 海上保安廳は逮捕いたしましたものは、或いは國警に引継ぎ、或いは調書を副えまして檢事局に送りまして、それぞれの機関において善後処置をして参ることにいたしております。
  8. 村上義一

    村上義一君 只今長官お話によりますと、随分密航船が、武裝密航船言つてもいいような状態のようでありますが、然るに我が國の保安に從事している船が丸腰だというような御説明でありますが、これについて相当意見を以てGHQの方へ交渉は進められていると思うのでありますが、速記を止めて頂いて結構ですが、一つお話を伺いたいと思います。
  9. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記ちよつと止めて……    〔速記中止
  10. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を付けて。
  11. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 その逮捕された人間海上保安廳関係当局でけではちよつと思うようにそれが処置が行かないというような風評も聞いているのですけれども、先刻長官お話だと、國警やなんかと連絡を取つて極めて巧妙にうまく行つているようなお話で、少し私の聞いた風評と違うようなんですが、実際長官が仰せになつたようにうまく行つていますか。
  12. 大久保武雄

    説明員大久保武雄君) 小泉委員の御質問がちよつと分りませんが、或いは海上保安廳留置場を持たないという点を御指摘かも知れないと思つておりますが、実は海上保安廳留置場を持つべきか否やということは、海上保安廳を創設いたしましたときから相当これは檢討いたしたのでございます。併し関係方面におきましてもいろいろな経費の節約その他からいたしまして、むしろ留置場はこれは持たない方がよかろう。一本にして陸上の留置場使つた方がよかろうということに相成りまして、現在國警並びに自治警察留置場を使つているような次第であります。ただ御案内の通り留置をいたしますと、これは人間でございますから食事を攝らなければなりません。その費用の負担その他におきまして、いろいろ実際問題としては前線において若干の話合い等に手間取ることがございますが、原則的には國警及び海上保安廳は非常に緊密に情報連絡通信連絡、或いは警官並びに職員相互教育ということによつて仕事を進めている次第でございます。
  13. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 何千何万という者を留置場に入れて食わせたり何かしなくちやならんですが、それは直ぐ帰せないのか。やはり何か裁判にでも附する、そういうことになるのですか。
  14. 大久保武雄

    説明員大久保武雄君) これは私の方で調書を作りまして関係機関に引継ぎまして、関係機関ポツダム勅令による密航者に対する取締法令、その他の法令を参酌いたしまして、取調の結果、最近は大体において強制送還をいたしている次第であります。佐世保に集結いたしまして佐世保から朝鮮強制送還をいたしている、かような状態であります。
  15. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 如何ですか。それでは一應承つて置きまして、その善後処置については又後日委員会において相当研究して見たいと思います。これは日本の將來に対する重大問題です。   —————————————
  16. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは次に道監問題についてその後の経過がどうなつているか、自動車局長から一應御説明願います。
  17. 牛島辰彌

    説明員牛島辰彌君) 私新たに自動車局長になりました牛島でございます。よろしく。  前國会が終りまして以後、道路運送監理事務所の問題がどういうふうになつてつたかという経過につきまして、御報告申上げたいと思います。  前國会におきましては、道路監理事務所事務地方廳委讓することにつきまして、いろいろ國会又は当委員会におきましても、御審議をお願いいたしたわけでございますが、その結果一部の事務につきましては、これを地方廳委讓をいたし、又全國に約十七ケ所くらいの事務所を設けまして、ここにおいてその他の事務をやつて参るように方針を決めまして、お諮りいたしたわけでございますが、その後それに基きまして、運輸省設置法附則といたしまして、陸運局分室を置こうというような方向に向つて参つたのであります。併しながら國会におきまする御論議は大体十七ケ所という設置箇所の数の問題、場所の問題等におきましていろいろ御議論もございましたので、結局この設置箇所、或いは又数につきましては、これを政府に任せるような意味合におきまして、運輸省設置法附則ができたわけでございます。ただこの陸運局分室設置いたしましたならば、これを次の國会において承認を求めるというようなことに相成つてつたと聞いているのであります。その後政府内におきましても、関係箇所をいろいろ研究をし、檢討を続けて参つたのでございますが、結局八月一日におきまして、政府といたしまして出先機関地方委讓に関する政府発表を行なつております。この点につきましては、すでに新聞等にも出ておりますので御承知のことと思いますが、これに基きますこの発表が出ますにつきましては、同じく八月の一日に政府におきまして閣議の了解があるのであります。この閣議方針といたしましては、出先機関地方委讓根本方針に從いまして、通産省の出張所、或いは又道監事務所を廃止をいたしまして、その事務都道縣知事に委譲するということに相成つたのであります。この決定の方法といたしましては、八月一日から十月の三十一日まではそれぞれ各都道府縣に分室を設けて、從來道監事務所事務を全面的にその分室においてやつて参る、所管することになつています。十一月一日から陸運局分室所掌事務都道縣知事委讓することに相成つております。ただ道路運送法におきまして改正を要する事務がございますので、主として許認可に関する事務でございますが、これらは改正法律案が施行になつた日からこれを都道縣知事委讓するということになつております。この委讓をなすべき場合におきましては、四つの点について注意をして参ることに考えているのであります。この陸運局分室におります職員地方廳に移讓される場合におきましては、地方自治法附則の第八條の規定によりまして、これを官吏として取扱うということにいたしております。ただ運輸事務官或いは運輸技官でありました者を地方事務官或いは地方技官というように官名変更を行ないますが、やはり官吏としての身分を継続させてそうして地方長官職員にする、こういうことになつております。  第二はこれらの職員を分散させないで、一團として事務を執らせる、そのために知事に直属したところの独立の一課を設けることにいたしております。これは地方自治法等法律改正も必要となることと思つております。  第三番目はこれらの職員職級と申しますか、職員只今におきましては職階制を取つておりますので、職級職階につきましては、この地方事務官地方技官身分を切換えましても何らの変更を加えないということにいたしております。  又事務委讓につきまして或る程度動揺混乱が予想されますので、こういうことを防止するために引継ぎにつきましては、知事側代表者との間に事前に十分協議を遂げるということにいたしております。  その次にこれらのことを委讓するにつきましては、只今申上げた四つの点を注意して委讓をするということにいたしておりますが、この委讓につきましては、法律改正を必要といたしておりますので、第六國会におきまして、地方自治法臨時物資需給調整法道路運送法運輸省設置法というようなものに改正を加えまして、人事上或いは事務上の指揮監督等につきまして、中央と地方との関係を明確にするということを決めております。  尚次にこれらの法律改正に伴いまして、この委讓に伴いまして、更に法律改正の外に必要な関係政令以下のものを改正しなければなりませんので、これをできるだけ早く公布するということを決めております。これが八月一日に政府において決めた方針でございまして、更にこの最後に申上げました政令以下の省令等改正につきまして、その後八月二十二日におきまして、やはりこれについて閣議決定をいたしまして、これらの政令以下の今直ちに改正のでき得るものにつきましては九月十五日までに閣議に提出する、即ち政府部内におきましては、その準備を整えることに相成つておりますので、只今私共事務を取扱つておる者といたしましては、その準備を整えつつある状態でございます。國会以後の只今までの経過を申上げたわけであります。
  18. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 道路運送行政の問題につきましては、御承知通り先般参衆両院において随分揉みに揉んだ重大問題でありまして、從つて十七の分室を置くということに議会において決定している。それをただ單に閣議によつてたとえ合法的であつて政令とか省令によつて左右するということは、國会として断じて承服はできない問題であります。そこで行政府の方がおいでになつているようですが、どういう理由によつてこれを変更しなければらんということになつたのか、それを一應御説明を願います。
  19. 大野木克彦

    説明員大野木克彦君) 只今お尋ねの件でございますが、八月一日から從來道監事務を分けまして、軽易なものを地方にやらせ、後はそれ以外のものを分室として國の方に残すと、こういう御計画であつたようでありますが、その後この問題につきまして、運輸省におかれましてもいろいろ御研究になりました結果、どうも現在の道監で扱つております仕事を分けるということは事務上どうしても困難であるということで、從つてその一部を割いて後十七ケ所だけを残すというやり方ではどうもうまく行かないという結論になられたようでありまして、それでは或る一定の適当な時期を画して全面的に地方の方に委讓するようにした方がいいのではないかというお話研究が進められまして、それで只今自動車局長から御説明になりましたような結論になりましたような次第でございます。
  20. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 何かお尋ねありませんか。……大体議会において決定したる問題を、これは嘘か本当か分りませんが、地方知事が來て、そうして全面的に地方委讓しろというような猛運動をやつた結果、これを変更しなければならんようなことになつたと僕は聞いている。であるからして、若しこれを修正するという必要があるならば、改めて臨時國会に提出をして貰つて、この委員会討議に付して貰いたい。その上に一つ決定することにして、或いはこの十五日に政令を出すとかどうとかいう噂が傳わつておりますが、そういうことはやはり今後における國会の問題となると思うのでありますから、この点は一つ差控えて貰いたいと、こう考えるのでありますが、如何でありますか。
  21. 村上義一

    村上義一君 只今委員長のお説の通りで、別に特に敷衍する必要もないと思いますが、今牛島局長からの説明を聞いて経緯の大体を知ることができましたし、更に大野木次長から急遽変更せんければならないという理由をお話しになりましたが、遺憾ながら私として首肯できないのであります。元、本件につきましては、先刻委員長からお話がありましたごとく、設置法審議その他について非常にこれはやかましい問題に相成つて、愼重な討議を経て、そうして十七ケ所分室として設けるということになつて、而もそれを何府縣に設けるかということは次の國会において承認を経るという條件まで付いて漸く結末に達した問題であります。然るにこの件を政府のみにおいて今日急遽決められるということを敢えてせられた場合に、非常に國会との関係が面白くない結果を來す、少し極言すれば國会を無視したやり方だという説が出ても止むを得ないような実情だと思うのです。これは政府としては是非次國会までこの進行は止められるのが穏当であると私は思うのであります。今お話のごとく今月の十五日までにこれを急遽決められるということは甚だ面白くないと思うのであります。当委員会としまして、これを次の國会まで特段なる手を打つことは見合わされたい。政府としては見合わすべしという我々は決議をして適当に政府に申入れるということが必要だと思うのであります。如何なものでありますか。
  22. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 如何ですか、只今村上君の動議について次の國会まで見合わすべし、政令を出すことは差控えて貰いたいということについての動議について……    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それではそういうふうに決議いたします。それじやどうも御苦労樣でした。   —————————————
  24. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それから観光問題について高田君に小委員会経過一つ報告願います。
  25. 高田寛

    高田寛君 実は観光事業に関する小委員会……今日も先刻まで開いておつたのでありますが、ここで一番問題になりました点を御報告申上げたいと思います。それは御承知通り去る五月十一日に参議院におきまして、観光事業振興に関する決議案全会一致を以て決議したのであります。これによりますと、「政府経済九原則に基づく自立経済を確立するため國際收支改善を図る見地に立ち、万難を排しても外客受入上必要なる施設並びに接遇斡旋の充実のため適当なる施策を講じ速かに本院に報告すること。右決議する。」こういうことに相成つてつたのであります。これに対しまして、林副総理は「観光施設の整備、接遇改善を図り、外客誘致の促進に遺憾なきを期したいと存ずる次第であります。」と発言しておりますし、又大屋運輸大臣決議の趣旨に則りまして、速かに各種の具体的の施設を立案いたしまして、報告申上げる覚悟でありますと、このような発言をいたしておるのであります。然るに今日までこの決議に対する政府処置というものは、何ら知ることができないのでありまして、又観光小委員会におきまして、先刻來二十五年度の予算措置、尚二十四年度の補正予算措置について大藏省当局を呼びまして聽きましたところでも、まだ観光事業というものをこの予算において重点的に考えるというようなことは何ら決つておらないということなのであります。これでは参議院におきまして、観光事業振興に関する決議をいたしましても、政府は何らこれを尊重して、何らかの措置をするということがないので、これでは丁度來年度予算編成時期に差当りまして、このまま放置いたしましたならば、又一年間そのまま空費してしまうということになるのを虞れまして、観光小委員会におきましては、最近の機会にこの運輸委員会におきまして、総理又は副総理、或いは大藏大臣安本長官等出席に要求いたしまして、先般の本院における決議に対する政府の対策がどうなつておるか、又予算編成につきましての所信等を聽き質したいと、こういうことを小委員において決めたのであります。つきましてはできるだけ早い機会に本委員会に開きまして、今申述べましたような関係大臣出席を求めて、十分この問題についてのその後の措置について檢討を加えたいと思いますので、こういう意味で本委員会を開いて頂くように私から御提案申上げる次第であります。
  26. 板谷順助

    委員長板谷順助君) どうですか、適当の時期に又委員会を開いてお運びになつたら如何ですか。
  27. 高田寛

    高田寛君 それで先程もそのやり方などについて小委員会でいろいろ御意見も出たのでありますが、結論といたしましては、やはりこれは一小委員会だけの問題でなく、いわば参議院全部で決議した問題でありますので、少くとも運輸委員会の形において関係大臣を呼んで、その後決議案の趣旨に則つて政府がどういうような処置をとつておるか、成行を聽くのが適当だろう、こういう話合になつたのです。
  28. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それは結構です。それでは運輸委員会において予め政府によく材料を以て、どういう方法によつて観光事業をやるかというような具体的な案を前以て交渉して、或いは適当の時期に委員会を開くことにしたいと思います。ただ聽き置く程度で、何も案を持つて來なかつたら何もならないので、そういう運びにしたらどうですか。例えばホテルの問題にしても、或いは道路の問題にしても、吉田総理なんかこの間ラジオで道路を先ずやらなければならんということを頻りに言うておるわけですが……
  29. 高田寛

    高田寛君 尚観光小委員会におきましては、運輸省、厚生省、建設省、文部省から、それぞれ來年度予算として大藏省の方に要求してある材料を全部取寄せて檢討しておるのであります。
  30. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 僕は理想として、とにかく内閣の外廓團体として観光廳というものを置いて、そうして從來道路は建設省だ、或いは國立公園は厚生省だ、或いは名所旧跡は文部省と、いろいろ離れ々々になつておるものを統一しなかつたら満足の観光事業はできませんよ。
  31. 結城安次

    ○結城安次君 今高田観光委員長から申上げのは、実は大藏省の方で、予算はちつとも考えておらんという答弁なんです。それじや観光事業決議は一体どうなるのだ。それに対する大臣の決意の程を聽かなければならん。若し今年が非常な窮迫な財政であるという、納得のできる説明をするならば、場合によつたらホテルも止めてもいいのだというので、根本の考えを聽きたいというのです。材料よりも、予算に組んでない、又組む考えもなさそうだつたし、上からそういう指示も貰つておらん、今すでに予算は編成中だと言うので、それでは困るので、至急にこれはやつて貰わなければならんと思うのです。
  32. 村上義一

    村上義一君 ちよつと高田委員長にお尋ねしますが、各省がそれぞれ観光事業に対しては関係しておる現状ですが、それらの分担事項について、それぞれ具体的の計画は各所管省でできておるのですか。
  33. 高田寛

    高田寛君 それはできていて、観光小委員の方にも資料を提出されておるのです。委員会の方でもこれの要点だけを纏めたものできております。
  34. 村上義一

    村上義一君 そうしますと、政府全体としての決意如何と、こういう問題になるようですね。それでは今お話のごとく、成るべく至急に一つ委員会をお開きになつて、そうして政府としての決意を聽く、尚促すということが必要なように感じます。
  35. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 私は二十一日から十日ばかり支部の大会がありますので北海道へ行かなければなりませんが、私がおりませんでも、理事の方から一つ御迷惑でも代理になつて頂いて、至急開く必要があれば一つお開き願いたいと思います。
  36. 高田寛

    高田寛君 この問題は予算の査定が大藏省当局でもう著々と運んでおりますので、でき得ることならば今週中、遅くとも來週の月曜、十九日までには開きたいということを実は先程打合会で申合したのです。
  37. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは十九日午前十時から開きましよう。   —————————————
  38. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それから次に運輸審議会公聽会の模樣を專門員から一つ報告を願います。
  39. 古谷善亮

    ○專門員(古谷善亮君) 委員長から御指名を受けまして、運輸審議会公聽会出席いたしまして、その模樣を聞いて参つたのでございますが、簡單に御報告申上げます。御承知通り公聽会は九月の一、二、五、六日の四日に亘つて行われました。多数の公述者が出て、今回政府が貨物運賃について値上げをするという案につきまして公述を行なつたのであります。各人の申しましたことを述べますことは、いささか冗漫に流れますので、それを私が取纏めまして、その思想の流れを先ず申上げて見たいと思いますが、大体公聽会に現われました思想として私が特に印象を受けました点が二点ございます。  その一つは國鉄や運営会のような独占的事業の独占價格の調整に重きを置いた値上げであつて、陸運部内や海運部内、又海陸両事業相互の運賃調整を考えていないという点が一点であります。  第二点といたしましては、國鉄や海運の運賃を決める場合には、少くともその前提として國鉄の経営合理化又は海陸を通じての交通政策の樹立を必要とするという思想が、各公述人からいろいろの言葉で以て現われておりました。思想の流れといたしましては、この二つの印象を受けたのであります。  次にやや細かい点に亘りまして、原案につきましてのいろいろ批判を加えておりますが、その原案の批判のうち主なものを八つばかり項目書きにいたしまして申上げて見たいと思います。  一つ海上運賃というものは陸上運賃より安いのが本筋ではないか、こういう意味のことを二、三の海運業者から話が出ておりました。  それから第二番目には、海陸共に予想するところの貨物があるかどうか、最近の現状から見ては荷物が減つておる。然るに收入予算においては相当の荷物があるようになつておるが、この貨物があるかどうかという問題が第二点であります。  第三点には、貨物運賃の値上げによりまして、國鉄は三%の自然減を見ております。この三はやや甘過ぎはしないかという批判が出ております。  それから四の点といたしましては、國鉄運賃のコスト計算は適正であるかどうか、殊に海運業者からの公述人の数人から、言葉は違いますけれども同樣に言われておりましたことは、國鉄の運賃のコストの中に金利であるとか、償却であるとか、或いは保險というようなものがどういうふうに織込まれているかどいう点について、特に意見の開陳があつた。  それから次に海運賃につきましてもに同樣このコストについて檢討する價値がある。例えば石炭費におきましては、一五%の節約を見てできておりまするが、果して一五%の節約をする余地があるかどうか、或いは港湾荷役料の節約を考えておるようでありまするが、港湾荷役料はこれ以上節約する余地はない。そういうような節約を考えてできた貨物運賃が、果してコストの上から見て適正であるかどうかという点において意見の開陳があつた。  次は海運の採算運賃というものは、一体何を標準にしているのだろうか、即ち大型の船あり、小型の船あり、船には古い船あり、新らしい船あり、いろいろありますのですが、海運の採算運賃と一口に言うときには、何を一体標準に採算運賃ということが言えるかという点を問題にしておりました。  それから次には貨物運賃の値上げと同時に旅客運賃の引下げを考慮する必要があるのではないか、特にこの遠距離逓減の問題、急行料金、一、二等の等級間の比率につきまして、考慮の余地があるようなことを申されておりました。  最後に物價の影響は少いという意見があるが、この場合は結局関係業者の負担となつて、その業界は衰微するということを示唆されておるんでありまして、運賃と物價の関係につきまして熱心な開陳があつたのでありますが、これを申しますと長くなりますので、この程度で打切ります。こういつたようなまあ八つばかりの点を挙げましたけれども、これらの点が公聽会を通じて現われましたところの原案の批判に対しまする印象を受けた問題であります。以上を以ちまして簡單でありまするが、御報告といたします。
  40. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 大体村上さん、貨物運賃を、運輸審議会意見としては八割上げると、こういう。八割では独立採算制の確立はできない。又海陸運賃の調整もできない。そこで結局十割上げなければいかんという運輸審議会における意見相当強い。ところでそれは物價が吸收すると、こういう。それだけ儲けは不足になるかも知らんが、例えばこの前のある運賃改正の時分に、七割上げるという場合において、主食のごときは一%よりこたえない。それから蔬菜或いは鮮魚を対しては二%半ですか、ただ石炭と鉄鉱が相当にこたえる傾向があるけれども、これは價格差補給金で何かやりくりやつたらいいじやないかというふうなあの当時の案だつた。それと結局國鉄というものが或る程度までこれは民営化して行かなければ、大世帶で以てやるということはいつまで経つてもこの赤字が消えない結論になるのではないですか。まあ鉄道を國営にしたというのは軍部が、とにかくその統制の必要上やつた理由もあつたのですけれども、今もうそれは殆んどなくなつて、ただ連絡関係がどうなりますか。
  41. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 運賃の値上げについては相当まだ議論があると思いますが、今度十九日の観光問題の後で運賃の一つ説明を聞いたらどうですか。
  42. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 承知いたしました。それではそういうことにいたしましよう。
  43. 村上義一

    村上義一君 この運賃について八割貨物運賃を増額するとしてもお説の通り今日の赤字は克服はできんと私は思つております。特に本年度のごときは相当大きい赤字が出る、年度途中でもありますし、と思うのですが、併し二十五年度これで進みましてもやはり相当大きい赤字が出るというふうに考えられるのであります。勿論他のいろいろの点においての合理化の余地はあると思うのですが、國会が強く要望した独立採算制ということはいつ実現するか、極めて不安な実情にあると思うのであります。今も飯田委員からお話のごとく、これはもう少しこの委員会として説明を予め聞いて、八割値上げをした場合にどういうことになるか。又その残つている経費の不足額は如何にして合理化するかといつた、当局の今後の合理化の根本方策をよく一遍聞いて檢討を要するのじやないかと私も思うのであります。是非そういうふうにして頂きたいと思います。
  44. 板谷順助

    委員長板谷順助君) この間足羽君と総局の連中を呼んで一通り聞いたのです。八割上げる理由と、その場合における進駐軍の運賃を九割上げるという理由を聞いたのであります。尚会計法の改正につきましても、とにかく民間の一般市中銀行留保をするということをやらない。それから又債券の発行についてもこれもどうもまだやらない。いろいろ大藏省との関係が我々の満足しないような会計法があるので、これもどうしてもお聞きになる必要があれば聞いてもいいと思います。あれはどうしても独立採算制なんか取れやしません。それから利益があつたら國家へ納めろ。損があつたらそれは繰越しにしてやれ。それこそ赤字の始末をどうしてやるというような、あれも何もないのですから……
  45. 村上義一

    村上義一君 今委員長は会計処理の問題についてお触れになりましたが、この前の委員会で運輸当局から会計法改正についての意図の説明を聞きました。その後も進捗しておるようですけれども、大体あるときに説明を聞いた域から出ておらんようであります。從つてそれでは企業経営の責任がどこにあるのか、どうも皆中途半端な責任を持つておるという状態であります。あれを是正せざる限りは独立採算を以て企業体を再建するということは所詮不可能ではないかと、こういうふうに思われるのです。いろいろ皆さんにおいても御意見があることと思うのです。成るべく多数集つて一つよく意見の交換をしたいと思います。
  46. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは今日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            小泉 秀吉君            飯田精太郎君    委員            内村 清次君            大隅 憲二君           橋本萬右衞門君            小野  哲君            高田  寛君            村上 義一君            結城 安次君   説明員    常任委員会專門    員       古谷 善亮君    行政管理政務次    官       一松 政二君    総理事務官    (行政管理廳次    長)      大野木克彦君    運輸事務官    (自動車局長) 牛島 辰彌君    運輸事務官    (海上保安廳長    官)      大久保武雄