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1949-08-01 第5回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年八月一日(月曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件理事補欠選任の件 ○日本國有鉄道法施行に関する調査の  件(日本國有鉄道法第三十六條の規  定による会計に関する法律案の  件、國鉄財政に関する件、人員整  理の件、自由港問題及び青葉丸沈没  事件)   —————————————
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより、休会中でありますが、本委員会継続委員会を開催することになつておりますので開会いたします。それから休会中は政府委員説明員ということになつておるそうですから、その点御了承願います。  この際諸君にお諮りいたしますが、緑風会から出ておられた小野哲君が理事を辞任をされましたので、この際理事補欠をいたしたいと存じます。どう取り計いましようか。
  3. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 緑風会小野君がお辞めになるということですが、私は甚だ事情もあることで止むを得ないことであると思いますが、緑風会においてその後任をどうするかというようなお考えがあるならば、一應聞かして頂きたいと思います。
  4. 村上義一

    村上義一君 今緑風会から出ておられる理事後任として、緑風会では飯田精太郎君を推したいという考えなんであります。皆さんの御了承を得られれば仕合せだと思います。委員長からお諮りを願いたいと思います。
  5. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 只今村上君の御発議によりまして、緑風会から選出するとすれば、飯田精太郎君を推したいというお考えでありますが、別に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは小野君の後任理事として、飯田精太郎君に決定いたしました。   —————————————
  7. 板谷順助

    委員長板谷順助君) この際財政法問題竜につきまして、政府説明員から、大藏省との交渉経過一つ説明願います。
  8. 足羽則之

    説明員足羽則之君) 私鉄道監督局長足羽でございます。日本國有鉄道法の一部改正につきまして御説明を申上げたいと思うのでございますが、実は日本國有鉄道法改正につきましては、國有鉄道法の成立の当初から國会両院の方でいろいろ御意見もありまして、特にこの会計関係規律改正につきまして、いろいろ強い御要望、御意見があつたわけでございます。御承知のように國有鉄道法の三十六條以下の法文なんでございますが、三十六條に「日本國有鉄道会計及び財務に関しては、鉄道事業の高能率に役立つような公共企業体会計規律する法律が制定施行されるまでは、日本國有鉄道行政機関とみなして、この法律又はこの法律に基く政令若しくは省令に定める場合を除く外、國有鉄道事業特別会計法財政法会計法國有財産法その他從前國有鉄道事業会計に関し適用される法令規定の例による。」こういうふうな從來財政会計関係規律國有鉄道の高能率経営に役立つような法規が制定されるまで適用される。こういう趣旨條文がありまして、それが十数條新らしい國有鉄道会計に関する事項が規定してあるのでございますが、それに対していろいろ強く改正の御要望があつたわけでございます。運輸省といたしましても、それと同樣にこれを改正したいという希望を強く持つておりまして、昨年の末でございますが、これに対しましてはGHQの方のCTS或いはESSの方も相当強い関心があつて、しばしばこれの改正も慫慂されておつたわけでございます。そこで昨年の暮に運輸省として考えておる、まだ大藏省交渉しない案でございますが、そうした一つの案を作つて参つたのでございますが、それに対して本年の二、三月頃に大体それに対する意見を、CTS鉄道部の方の事見も聞いたのでございます。CTSでは大体これについて会議したいということでありまして、いろいろ意見交渉を重ねたわけでございますが、大体向う意向も分りますし、それでそれに基いて大藏省交渉を進めて参りたいということで、大藏省会議を持つようにいろいろ話を進めておつたのでございますが、御承知のように丁度前議会の前、或いは前議会中非常に大藏省の方の関係官がお忙しうございまして、なかなか交渉を持つ機会がございませんでした。併し四月中旬頃に大藏省に対して、ESSから……それまでに我々一緒に集まりまして、いろいろESSの方にCTS斡旋で、大藏省、私の方四者集まつていろいろ協議したものについて案を提示されまして、それに対して大藏省から案が提出されたわけであります。そうした案を基礎にしていろいろ交渉を重ねたわけでございますが、なかなか意見の一致を見ませんので、その間CTS関係官ESS関係官が非常に熱心に斡旋をして頂きまして、数回四者集まつて重ねて意見を交換いたしまして、五月十九日に一應の案を決定いたした次第であります。この案と申しますのは、しばしば会に列席した関係官の間で纏まつ意見で、運輸省或いは大藏省、或いはそれぞれのCTSESS首脳部までは意見として纏まつた案はないのでございますが、事務的に纏まつた案を一應作つたわけであります。その案を基礎にいたしまして、その後細目檢討を行い、法務廳とも二回も三回もそれについて協議をいたしまして、大体その細目檢討も終つたわけでございますが、まだ実は二、三点意見の纏まらないところがある。大体こういう程度に現在までなつております。それらの点につきましては現在尚交渉しておりますので、極く近いうちにその点につきましても話が纏まるというふうに考えております。大体以上が申上げました経過でございますが、それらの点について意見を早急に纏めまして、この次の議会には是非提出をいたしたい。この次の議会で若し皆樣の御賛成を得てその法案通りますれば、次の会計年度からその案の内容のような方法によつて國有鉄道会計規律する法文が、高能率法律規定が制定されるとまでは参りませんが、相当いい姿でやつて参れると、大体こういうふうに私達考えておる次第でございます。内容につきまして大体以上が概要でございますが、以上御報告を申上げます。
  9. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 大体この委員会においても会計法に対する修正案を実は出しておつたわけでありますが、今お話の中にどういう点が纏まつたのか、或いは又纏まらんというのはどういう点であるか、その点もつとはつきりおつしやつて頂きたい。  それから大藏省と御協議の上で議会提出というお話がありましたが、その前にこの委員会に諮つて頂きたい。それだけ注文して置きます。
  10. 足羽則之

    説明員足羽則之君) お手許に條文と、それから簡單に表にしたものが差上げてあるのでございますが、それが現行法、或いは從來までの関係法案内容及び現在纏つております法案内容、そういつたものを比較いたした表でございます。いろいろ問題になる点が)ると思うのでございますが、先ず極く大きく分けまして、総則予算決算利益金処分現金の預入れ、資金調達、投資、運賃その他、大体こういうふうに分けまして、それぞれの現行法以下現在の改正案比較をいたしております。現行法におきましては総則には財政法、或いは会計法、その他國の会計財政規律する法律原則として適用するというふうになつておるのでございます。  予算につきましては、現在の國の予算交付予算及びその執行については変りがない、こういうふうに現行法なつております。尚決算につきましては、予算としての決算報告書を作る。或いは企業体といたしましての決算書表をそれの参考書類として作る。こういうふうないたし方に現行法ではなつております。それから利益金処分でありますが、これは予算に定める場合を除いて國庫に納付する、こういうふうに決つております、それから現金の預入れにつきましては、市中銀行には預入れができない、こういうふうに決つております。それから資金調達でございますが、全部政府から調達するので、或いは債券発行も、或いは民間市中輝行からの資金調達も認めない、こういうふうに現行法では決つております。尚特資は認めないということがはつきり決つております。運賃につきましては、財政法の第三條の適用がございまして、それによつて國会にかける、こういうふうに決つております。その他営業線讓渡、或いは営業線に準ずる重要なる財産処分につきましては、運輸大臣の認可を必要とし、運輸大臣が認可する場合には大藏大臣協議をしなければならない。大体こういうふうに決まつております。それに対しまして、衆参両議院のそれらに対する御意見は主要なものを次の欄に揚げて置いたのでありますが、運輸省の当初の案は上から四段目に大体その原案を書いてございます。尚それに対して先程申しました大藏省がこの四月二十五日に出した意見はその上に揚げてございます。これらの点についてしばしば折衝を重ねたのでございますが、現在纒りました法文といたしましては会計法財政法等適用しない。これは現在の法律の建前から申しますと、大きな飛躍とこういうふうに考えております。殊に手続上のいろいろの点については、特にそういうふうに考えられております。尚この予算につきましては、予算形式内容政令を以て定める以外は國の予算と同じでございますが、予算内容形式政令で定めるということになりまして、この政令によつて如何に定めるかということが今後の問題として残つておると思うのでございますが、これはこの前の方、運輸省或いは大藏省の上の意見を見て頂くと分るように、大藏省では予算として出すということは初めからずつと変らない意見でございます。我々の方といたしましては、予算形式によらないで財政計画を作成をする。こういう考え方でいろいろ折衝を重ねて來たのでございますが、併しこの点は結局予算のどういう形式による……。ただその内容形式については政令讓ろうというので実質的にどういうふうに決まりますか、今後に問題が残ると思いますが、折衝の余地を残しております。決算につきましては大体現行法通りでございます。それから利益金処分につきましては、現行法只今言いましてたように、予算に決める場合を除いて、全部國庫に納付するのでございますが、今案として落着いておりますのは、前年度からの繰越損失補填に充てた残余予算に定める以外國庫に納付する。こういうふうに現在の案では折衝の結果落着いております。尚現金預け入れにつきましては、例外として市中銀行預け入れる。こういうふうにここには説明をいたしておりますが、これは條文を御覽頂きますと分りますように、國庫金扱いをするのでございますが、それまでのその現金扱いの、安全に扱うために或る一定の範囲郵便局在い市中銀行預け入れる。こういうふうな意味條文として挙げまして、実際は現或の現行の取扱いと事実上余り差違がないことになります。現在でも実は國庫に預託いたします前に市中銀行に実は一時それを預けておるのでございまして、これは実質上は現在やつておることを法文化したに止まる。こういうことでございます。資金調達につきましては、債券発行をするという規定をこの中に、新らしい改正案には入れてございます。それから投識はできることにいたしました。尚運賃につきましては現行変りはございません。その他でありますが、会計法或いは財政法適用がないので、会計規定國有鉄道で作る。でこれを作るについては但し大藏大臣協議をして作る、こういうことになつております。その関係條文は四十二條でございますが、その四十二條の第二項に、「前項の会計規定は、公共企業体としての日本國有鉄道公共性にかんがみ、その事業能率的な運営と、予算の適正な実施に役立つように定めなければならない。」大体そういう氣持会計規定を決める。こういうふうにして会計規定を作る。こういうふうになつております。  尚その職員の給與準則を決めろ、これは大藏省の方で初め非常に強い意見がありまして、この点についていろいろ当方と意見の相違もあり、折衝をいたしたのでありますが、結局は給與準則大藏省協議をしては決めない。國有鉄道として給與準則を決めるということをこの條文に謳つております。  それから尚営業線讓渡につきましては、國会にかけろということが当初から一つ意見としてございましたのですが、これは法律によるということに改めてこの案としては纒めてございます。極く大雜把でございますが、この現在の案の結論だけにつきまして、現行法との比較を御説明申上げた次第です。尚これについての折衝経過につきましていろいろ御質問がありますれば、それぞれ会議に列席いたした者も皆一緒に参つておりますので、詳しく御説明申上げます。
  11. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 何かお尋ねがございましたならば……。私からちよつとお尋ねいたしますがね、大体この國有鉄道公社となつたのですが、利益があつた場合には國庫へ納付するということがありますが……、成る程この「損失補填に充てなければならない」ということになつておりますが、赤字が出て損失の場合においては、それはやはり繰越として行くということですか。
  12. 足羽則之

    説明員足羽則之君) そうです。
  13. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 毎年赤字が出てもそれへどんどん繰越をして行くということですか。
  14. 足羽則之

    説明員足羽則之君) はあ……、前年度の繰越補填に充てる……。それから尚全体のことに関しまして、実はこういうふうに改正をいたしましても、いろいろな点でもつと徹底をしたいろいろな御意見が実はあろうかと思います。ただ現在の或いは社会情勢、或いは実際の金融の状況、いろいろそういう点、或いは司令部意向、そういう点をいろいろ考えます場合に、これが決してこの第三十六條に表現されておりますような高能率経営に役立つような、いい徹底をした改正とは我々も実は考えないのでございますが、併し現状においてできるだけ双方の近づき得るように点について意見纒めた。そういう意味で一歩前進でありまして、尚これに対しては、今後いろいろ改正をすべき問題の点も或いは残つておると思うのでありますが、我々といたしましては、この現状から見て少しずつ一歩前進をして参つて行きたい、こういう氣持纒めたのであります。  從つてこの改正によつて新らしい鉄道事業の高能率に役立つように公共企業体会計規律される準拠法規なつたとは、実はそこまでは考えておらないのでありますが、大体そういう氣持纒めたわけであります。
  15. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 我々委員会において地方の駅が金を、一々現金を列車で以て日本銀行に持つて來るということは、非常に不経済であるから、到る所における信用のある銀行預け入れたらどうかという修正案を出したのでありますが、これを見ると、例外として市中銀行預け入れるとなつておりますが、その現金を輸送する、それをやはり原則としてやろうとこういうのですか。
  16. 足羽則之

    説明員足羽則之君) 実は詳しく後で御説明をして貰いますが、実際は現在でも市中銀行、或いは郵便局に預けてそれは今お話のように手数がかかることと、現送について危險がある等いろいろ不便があります。從つて現在でも法令拡張解釈によりまして大藏省も大体承知をして、この市中銀行預け入れる、國庫に預託するまでの中間の手続として、そういうふうなことを実は実際問題としてやつてはおります。ところがこの市中銀行預け入れるという希望はつまり國庫金扱いなしで市中銀行預け入れるというふうな意見であつたのでありますが、併しそうした市中銀行つまり預金をして國庫金扱いから外すということ自体は、関係方面から、或いは大藏省からも強い反対意向がありまして、それで先程申上げましたように國庫金扱いについては、この案の第四十一條でございますが、「國有鉄道は、業務に係る現金國庫に預託しなければならない。」こういうふうに國庫に預託するということを原則にして、「但し、現金を安全に取扱うため、日本銀行の支店又は代理店を簡便に利用できないときは、政令の定める範囲内において郵便局又は市中銀行に預入れることができる。」こういうふうにして現状は、それを引つこめさす意思は大藏省にある。併し更に一歩前進をして無條件市中銀行預け入れるという点については、これはいかん、こういう結論なつているわけなのです。これはいろいろ或いは資金調達と睨み合せての問題なり、いろいろ議論があるようでございますけれども、大体こういうふうに落着いたわけでございます。
  17. 板谷順助

    委員長板谷順助君) どうですか。村上さん何か……。
  18. 村上義一

    村上義一君 ちよつとお尋ねいたしますが、大藏省の御意見利益処分の2の方に「中途より現行通りに変更」とありますが、これはどういう意味ですか。
  19. 足羽則之

    説明員足羽則之君) これは運輸省の案で、いろいろな積立金を作る案を初めこちらは大藏省に提示して相談しておつたのですが、それを大藏省も認めて、残余は全部國庫に納付するということで関係官の問で交渉の途中案を固めます場合に話が進んでおつたのでありますが、併し大藏省の中の意見向うもいろいろ衷として纒めておりますにつれて、やはりそういつたものはいかんということで、大藏省の中にそうした大藏省の我々に対する交渉途中の態度に対する反対があつて、むしろ向うでつまり態度を変えた、こういうことのようでございます。
  20. 村上義一

    村上義一君 後退したという……
  21. 足羽則之

    説明員足羽則之君) そうでございます。
  22. 村上義一

    村上義一君 これは只今説明を伺いました点は大体了承しましたが、現金預け入れ、或いは資金調達というこの内容に関連してでありますが、支拂いはどうなるのですか。大体今一概には言えませんが、工事請負金額にしましても、又物品購入價格にしても、地方鉄道の今日の請負、或いは物品購入というものに比較して國鉄は二、三割方高い物を支拂う。又高い代價で購入しておられるように思うのです。これは一つ支拂いが遅れるという金利を見ておる。又更にこれに便乗しているとも付度できるのでありますが、こういう状態では独立採算制はもとより、企業体の実を備えていないと思うのです。現金預け入れについては只今委員長から話されたように、市中銀行に独自の責任をもつて預け入れるということはもとよりでございますが、この預け入れ金額を以て最も合理的に経済的に必要なる工事を遂行し、又資金を獲得するということをせんければ、独立採算制なんということはおよそ縁遠い結果に陷るのじやないかと思うのでありますが、そういうような点は両者間の交渉においてはどういう話になつておるのですか、伺いたいと思います。
  23. 足羽則之

    説明員足羽則之君) 支拂が遅いために高いものを買入れるという点からの支拂の点についての御質問であつたと思いますが、それらにつきましては現実の資金運用をどうするかという問題になると思うのでございますけれども、それに対しては一時借入金をどうするかという問題も併せて考えて解決のつく点もあるのではないか、市中銀行からの資金調達という問題だけでなく、ほかにもいろいろ考えられる点があるのではないかと思います。なお、市中銀行からの資金調達いう問題はいろいろほかの問題もあるように思いますが、今の御質問の点につきまして、現状なり或はそれらの考を一つ財政課長から説明をいたします。
  24. 紙田千鶴雄

    説明員紙田鶴雄君) 只今の御質問の点につきまして御説明を申上げます。支拂遅延の点につきましては、九月末におきましておおむね七十億程度の未拂金國有鉄道が持つておることになつております。この金額國有鉄道の持つべき標準の未拂金といたしましては、多少多過ぎるということは事実なんでございます。ただ御承知通り建設勘定り財源となつておりますところの見返資金が、最近まで一銭も調達することができませんでしたので、そういつた関係支拂に非常に御迷惑をおかけいたした。こういう特殊の原因があつたことは事実なんでございます。もう一つは、物品購入につきまして最近から司令部の勧告に基きまして特殊の購買方法を採用いたしておりますので、その結果從前よりは非常に安く合理的な價格を以て購入できるようになつておるというふうなことが実績から判明いたしておるような状態なんでございます。そういうふうな点は今後も実行されるのでございます。それから先程申しました見返資金の臨時的な原因は今後はないと思われますので、この支拂遅延という問題は遠からず解消するのではなかろうかというふうに考えておるような次第でございます。ただ、と申しましても、何分大きな企業体でございますから、半月程度の未拂というものが恒常的に存在するということは止むを得ないのではなかろうか、そういうふうに考えておる次第でございます。即ち現在の予算は全勘定を合せまして、一千三百億程度でございますので、月間百数億になるわけでございます。從いまして五十億程度のものは即ち半月程度のものはこの企業が絶えず動いている関係上、そういつた程度の未拂というものは一方に多額の未收金も絶えず発生いたしております関係上この程度のものは止むを得ないのではなかろうかというふうに考えている次第なのであります。
  25. 村上義一

    村上義一君 私の質問の言葉が足りなかつたために、やや御了解が行かなかつたのかと思いますが、私が申上げた趣旨は今もお話のように、実際手続上で若干のずれがあることは、これはもう当然止むを得ないことだと思うのです。併しその手続上、一般政府支拂ということになつておりまするが故に、つまり資金調達支拂えるようにならないというために三ケ月なり六ケ月なり支拂いが遅れる、そのために工事請負人にしても物品納入者にしても、現金支拂う場合に比較して相当高い價格交渉をする、こういうことになるのはこれは金利を見ての当然のことだと思うのです。ところが今日、私の見るところでは現金を以て請負に付するという場合ですね。これはもう二割、三割切込んで來るのはもう当然なんです。又マル公のある物品にしましても現金で右から左に拂うという場合には、マル公を二割或いは三割切込んで來るような現状なんです。こういうことを今の國鉄制度ではできないのじやないか、これができるようにしてこそ始めて企業と言い得るのじやないか、こういう趣旨で申上げたので、從つてそういつたような切点から制度改正について大藏省との間にお話はなかつたかという質問をした次第なんです。
  26. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚私からも補足して一應申上げた置きたいことは、御承知通り政府支拂が非常に遅れているわけなんです。そこで北村君が大藏大臣の当時は、御承知通り税金を滯納すれば二十銭の上に延滯費を取る、だから政府支拂が遅れた場合においては、相当金利を附けるというようなことも相当言明されておつたわけです。苟しくも公社組織なつた以上はとにかく支拂に対する或る程度の借入の途をつけなければならん。こういう意味でしような、あなたのお話は……
  27. 村上義一

    村上義一君 そうなんです。勿論現金收入でも、毎日二億或いは三億の收入があるのだから、これを若し経営者が自由に預金して、これを以て自由に物品購入する、工事請負わしめる、又足りなければ借入金をやつて行くというようなことになるならば非常にこれは魅力でありまして、始めてここに本当の商賣ができると思うのであります。これをやらずして今日企業がうまく運営されるとはどうしても考えられないのであります。高度の能率的な運営をする、又独立採算制を堅持して行く以上は、当然なこれは手段じやないかと思うのであります。その点を実は質問したのであります。会計法改正は、根本がそこにあると私は思う。
  28. 紙田千鶴雄

    説明員紙田鶴雄君) 只今質問の点につきましては、成程御尢もなのでありまして、まあ金のある限り支拂に充てて、そういうことによつて國有鉄道が非常な利益を受ける、こういうふうになるようには考えておるのでございます。まあ併しながら御承知のように非常に厖大な機構でございますし、全國的に非常に多数に機関がありまして、地域的にも分散をいたしておりますので、その各会計機関に亘りまして或る程度最小限度資金をそこに置いて置かなければいけない、それを集めますと一應或る程度金額にはなるのではございますけれども、そういう最低限度の金額を残さなければいけないということも、これはまあ止むを得ない点もあるのでございます。そういう最低限度の金額と思われる金額以上のものにつきましては、只今お話のごとく努めて迅速に支拂をするように考えておるような次第なのでございます。それから尚その支拂の財源がないような場合におきましても、まあ現在でございますと、その商人に支拂の証明をしてやる、或いは斡旋をしてやる、こういうふうな方法も使つたこともございますけれども、今後は御承知のようにこの会計法適用を受けないことになりますので、そういつた面から或いは約束手形を発行できるのじやなかろうか、こういうふうな新らしい方法も可能となるように考えておる次第でございます。ただそういう点につきましては、大藏省とも相談をいたしておるのではございますけれども、尚その解決はいたしておらないのでございます。併し現在の会計法適用を受けない、こういつた前是の下におきまして、そういつた約束手形を発行するということが不可能である、こういうことにはならないのだということにおいては、大藏省運輸省共に意見は一致いたしておるという状態なのでございます。
  29. 田中健之助

    説明員(田中健之助君) それからちよつと附加えますと、村上さんからの御質問は御趣旨としては誠に拜聽すべきでありまして、高能率という以上は村上さんのおつしやるような段階まで行かなければ理想型じやない、かように私共も考えるわけであります。先程足羽局長から御説明いたしましたように、現在の経済情勢なり、金融情勢なり、或いは日本國有鉄道大藏省との関係なり、総合的に睨み合わせますと、現段階としては只今の案くらいで辛抱せざるを得ないのじやないか、かような氣がいたすのであります。と申しますのは、お説のようにこの資金の点で非常な高能率的な自由を獲得したいというのは私共もやまやまで、そういつたことをたびたび主張したのでありますが、若しその自由を獲得すれば、半面現在御承知のようにこの建設改良工事に充てる財源といたしまして相当多額の金を、二十四年度は御承知のように見返勘定から百五十億の融通を仰いでおる、又來年にいたしましても相当資金の融通を仰がなければならない、これが現在の案では政府からの借入金、それから債券発行、こういう両方の手段があるわけです。そのうち政府からの借入れというものとの睨み合せの問題もあるわけでありまして、片方で自由を大いに主張すれば、政府からの借入れという方途はむしろ捨てて、自前でも飽くまでも、全部資金調達するのだ、政府に頼らないで調達するのだ、ここまで飛躍できますれば、片方の高能率の自由の方も大いに主張できるのでありますが、遺憾ながら現在の日本の金融情勢では日本國有鉄道が本当に自前で百五十億なり二百億を一年間に政府に全然頼らないで調達するということが非常に困難なのです。そういうこの兼合いの問題もあるわけでありまして、その点現段階としては止むを得ないが、將來の希望として大いに考えなければならん、こういうことになつておるわけです。そういう次第でありまして、まあ高能率とまでは行つておりませんが、併しこの現在の情勢でもできるだけのことをいたしたいということで、物品購入工事請負等におきましても、現在の支拂い状態を前是として、できる限りいい品物を、いい工事をより安く購入する、或いは製作させる、こういう方向では鋭意努力を盡しております。この二十四年度に入りまして、一般競爭入札制度を励行して参つたのでありますが、今年はまあ予算の枠が小さいためにまだ金額としては幾らも行つておりませんが、四月、五月の実績に懲しましても、二十三年度に比較いたしまして、約六%安く物を購入しておる、こういう現状であります。大体公定價格比較いたしますと九%安く購入しております。又村上さんがおつしやるように、二割、三割という程度までは至つておりませんが、ともかくも現在の支拂いを前提としてもまあ九%だけは、そこまでは辿りついておる、こういう現状なつております。
  30. 村上義一

    村上義一君 只今説明を伺いまして、いろいろと当局者が苦心せられまして、能率的な運営を図ることに御努力願つておることは敬意を表するにやぶさかでないのでありますが、これはまあ今もお話のごとく、理想の域に達するのに、一挙にして行くべきか、或いは或る段階をつけて行くべきかということは、実際衝に当つておられる経営者としては、勿論愼重に考慮されておられることと思うのであります。とにかく日銭の入る仕事ということは非常に今日強みなんであります。且つ市中銀行はこれに対して非常な魅力を持つておるのであります。今日まあ企業者に対して金を借りれ呉れという銀行業者は随分あるのであります。それは要するにその率に應じて日銭を預金して呉れという意味だと解釈しております。そういう工合に解し得るのであります。それで又一方この今お話通り工事費等において多額の資金を要する。この調達について非常な悩みがあるというお話、これは尢もであります。大体企業におきまして、その企業の責任者、経営者というものは資金繰りということにその八、九割の精魂を拂うべきであると私は思うのであります。資金調達ということが要するに責任者の力を注ぐべき点であり、又手腕のいいか惡いかが分れる点であると思うのであります。從つて勿論この資金繰り、資金調達につきましてはいろいろな悩みが予想せられることは、これは当然だと思うのであります。特に現段階におきましては、一曾その感を強くするのであります。併し何と言うても、独立採算制を保つというプリンシプルで今パブリック・コーポレーションが進むのであります。そう資金調達に恐れる必要はないのじやないかということを思うものであります。更に飛躍的に進んでいいのじやないかということを考えるのであります。それでこの前々國会の終りにおいて、日本國有鉄道法を参議院で通過せしめるという前日にウイリヤムス氏ともいろいろ懇談した次第であります。特にそれに先立ちまして、参議院としましては、市中銀行にも現金預け入れる、そうして又資金調達としては市中銀行から長期並びに短期のものを借入れ得る。債券発行できる、これは内外を問わず債券発行し得るということを予期し、又これを決議しておるゆえんは、一に私が今申述べておる点の半面を言うておると思うのでありまして、それがどうも大藏省意見は勿論でありますし、運輸省意見についてもちよつと疑義があつたものですから、お尋ねしたのであります。要するにそこまでの話は両省間には今まではなかつたのでありますか、その点一應もう一度……
  31. 足羽則之

    説明員足羽則之君) その点については預金の預け入れと、資金調達と両方の面から、その点に触れていろいろ議論を交換して、結局ここに落着いた次第であります。
  32. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 私この委員会は初めてですが、今説明を伺つておりますと、大体國有鉄道を公益法人に、公社にしてやる目的が、あなた方運輸当局の方に徹底的に理解できておらんというふうに感ずるのです。今の御説明を伺つておりますと、市中銀行利用の問題についても強く衝いて行くと、万一損をした場合に國の援助を受ける。その場合に大藏省がこわい、こういうことになる、そういうふうに聞えるのです。正にその通りだろうと思う。それで大体これは根本問題に戻りますと、鉄道の経営というものが民衆相手の経営をやつておるのでなくて、大藏省相手に経営しておるという結論になるのですが、その結論になるのはあなた方初め日本國有鉄道公社の人達までが経営意慾、経営責任というものが欠如しておる。低いと申上げたいけれども、大体経営責任というものがないわけなんです。それでいつまで経つて現行法の四十三條によつて規定されておるところの、損失のあつた場合にその損失額を限度として交付金を貰える。この交付金を貰えるということを頼りにして、その交付金を貰う折に、大藏省あたりからやかましくなるからということが頭から拔けていない。今あれだけの投資をされておつて、そうして他に競爭相手のない事業、若干一部分は並行線の民間線もありますけれども、大体並行線が少い。独占事業であれだけの設備があつて、そうしてそれで以て損をしなければならんというような経営の仕方で行こうということは、そもそも間違いなんです。それを大藏省あたり、或いは関係方面との折衝に当つても現在の運輸当局が経営責任のある、肚を据えて交渉すれば私は運輸省関係希望通り法律改正ができると思う。それがあすこから言われてここを引つ込めたり、こつちから言われてそつちを引つ込めるというのは、人樣任せで運輸省自体に経営責任の観念がないということになる。先程財政課長の説明を伺つておると、悉くが厖大なる経営であるから、厖大な機構であるからということを言われておる。これが厖大でやれんとすれば、もう少し小さく分けるかどうかしなければならないということも考えられるし、それから今六%、九%という比較を出されましたが、恐らくこれは昨年の今期と今年の今期とを比較されたもので、その間における物價指数の上り方というものを加えてないから六%くらいになるので、恐らく二〇%以上の差が付いている、二〇%以上の差が付くのじやないかと思う。こういう統計の出し方も間違つておるのじやないか。というのは、関係方面から押し付けられたこの公入札制度であるから、公入札制度に対する公價の上り方を、いい按配の表に出すということをあなた方は努力しておらない。今迄の指名入札による弊害、殊に指名競爭入札によつた場合はまだ弊害が少なかつたのであるが、鉄道においては、あらゆる方面でトンネル業者がおつて、ただそこを経由しなければ物を納めることができない。仕事をすることができない。そこを経由するだけで一割五分や二割五分くらいかかつた。この制度を改めるだけで六%ぐらいの差があるということは私には受取れない。資料の出し方が間違つているならいいけれども、さもなかつたなら、それはどつか嘘の表を作つておるような感じがするのです。これは後でいいからこの表をどういうふうにして出したか。とにかく物品購入にいたしましても、工事の入札にいたしましても、一箇所くぐるだけで実質的に一割か二割高いものを仕入れておつた事実がある。それが去年の何月を比較して六%になるか。去年の年度全体を通じて六%になつておるとすれば、昨年この頃の物價指数と比較すれば、二〇%の差が付かなければならない。それですべてのことに対して國鉄幹部が経営意慾がない。高能率を出さなければならないという法律によつて経営しておるのに、あそこにぶつかつて引込み、ここにぶつかつて引込むということは、まあ自分の事業としてお考えなつておらないというふうに解釈していいですか。
  33. 田中健之助

    説明員(田中健之助君) 今門屋さんから非常に運輸省並びに國鉄を叱咤するようなお激励の言葉を頂いて、誠にそのお氣持十分了承するわけであります。併し現在の運輸省國鉄の幹部がそれほど無責任かと言いますと、決してそうではありませんで、誠意は非常に持つております。それから責任感も十二分に持つておるつもりであります。ただ遺憾ながら具体的に外に現われるところは、或いは門屋さんあたりから御覽になると、非常に遺憾な、或いは物足らないような不行届な点が多多お目に付くのじやないかと、かように考えますが、その誠意の点は、それこそ身命を賭してやつております。その点國鉄幹部の誠意は十分酌んで頂かないと、少し私共としてもその誠意を酌んで頂けなかつたとしての御発言であつたとしたら、我々としても非常に遺憾に思うわけであります。その点は一つ御了承を願いたいと思います。我我の大藏省並びに関係当局と折衝する場合は、相手から相当この野郎と思われるくらいきつく、而も粘り粘つて折衝いたしております。決してイエス・マンじやございません。これは我々は本当に身命を賭してGHQの各セクションにも折衝いたしております。これは運輸省の幹部、國鉄の幹部といたしまして、只今村上さんがおつしやつたような線、門屋さんのおつしやつたような線でぜひ高能率に行きたいということで、この半年、一年非常な努力を傾けたのであります。併し遺憾ながら、それからちよつと速記を停止して頂きたいのですが。
  34. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは速記止めて。    〔速記中止〕
  35. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記始めて。
  36. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 それは分つたんですが、先を取るようですが、私が言つたのは、私はこの委員会は初めてだから、前の経緯も知らん点があるかも知らんが、決した誠意がないというわけではなく、今あなたの説明でも分るように、ただ日本國有鉄道の制定に当つても、又今度の改正に当つても、やはり自主経営という観念が盛込まれておらないこと。それからもう一つ一番大事なことは、関係方面関係各省のみを対象として交渉しておるのであつて、一番一切なお客樣への、利用者を対象とした考え方が今の運輸省にない。だからそれは誠意が足らない。誠意がないというのではなくして、その誠意の角度が、使い方が、それは言うても無理なんです。学校を出られるとお役人で育つておるあなた方に、今急にこうなれと言つても無理だろうが、そういうふうに進めて行かなければならん。私は今日この表を見ただけで、こんなことで改正をやつたつて営業なんかできませんよ。これだけ大藏省から干渉されたら。だからこれを唯々として受けたとすれば、これは余程無責任な肚で來ておると思うから聞いたんです。
  37. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 問題はその点ではいいが、要するに村上君のお尋ねになつたのは、支拂が延びる場合においてですね。公共企業体として何らかそこに借入なり或いは資金調達の途を立てからどうか。こういう意味だと私は解釈しておる。だからあなた方が、或いは関係方面從來國鉄変りないような方針を持つておるか知らんが、苟くも政府から分離して公共企業体なつた以上は、やはり市中銀行に預入れをし、又從つて公入札に付する以上は成るべく安くやろう。こういう意味においてはそれの資金の用意をしなければならん。こういう意味だ。だからそれをあなた方は、よくこの委員会意見一つ大いに参酌をして、大藏省にこの問題について新衝して貰いたい。こういう意味ですな。
  38. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 そう。私の言うのはそれに加えて、まあ速記がなくても懇談会でもいいから、交渉上邪魔になることがあれば、こつちの力を突込んでもいいから、もう少し経営のしやすいものにしてやらなければならんと思うんです。
  39. 板谷順助

    委員長板谷順助君) まあこれはあなたの方でも関係方面折衝中だというお話もあり、我々委員会においても十分に檢討いたしますから、どうか大体の意見が纏つたらば議会提出する前に、必らず一つこの委員会に諮つて頂きたい。これは特にお願い申上げて置きます。
  40. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 簡單に一つお尋ねします。  独立採算制の堅持について。もう國有鉄道が生れてから約二ケ月ですから、大体の見通しは堅持できるかどうか、仮りに堅持のできない、何か重要な、実際に実行した結果によつて、こういう点がむずかしい、という点があれば、そういう点を聞きたい。実はこれだけ大きな出血整理をして、その後においてこの目的の独立採算制が堅持できなかつたというようなことになつて來ると、これは相当私は後に大きな問題をかもすのであろうと思うので、極く大要でよろしうございますが、一、二点一つ……
  41. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 丹羽さん、その点につきまして、今その國鉄の整理の経過と、それからその收支の現在がどうなつているかということを説明される筈でありますから、その上で一つお尋ねして下さい。若し場合によつて関係局長なり或いは大臣なり呼んでお聞きになる方がいいと思います。
  42. 足羽則之

    説明員足羽則之君) 整理のお話を申上げたいと思うのでございますが、今回のこの行政整理は、例の議会で非常に問題になりました定員法によつていたしておるのでございますが、六月一日から公共企業体になりました國有鉄道におきましても、この法律と同様に一般の行政機関としてこの法律において取扱われておりまして、予算関係上から、遅くとも七月一杯に現在の、その当時の職員であります五十九万八千百五十七人を、五十万三千七十二人に整理をしなければならん、こういうことになつておるのでございます。定員法の関係は省きまして、鉄道の予算関係から申上げたいと思うのでありますが、今年度の予算は非常に窮屈なものでございまして、これは申上げるまでもなく例の経済九原則の線によつて嚴格な査定を受けて、嚴格な收支に均衡の取れた予算として編成されておつたわけなのでございます。即ち昨年はこの收入の不足分約三百億円は、一般会計からの補填によつてつてつたのでございますが、今年は一般会計からの補填は全然ない、そのために諸般の物件費、人件費等も非常に大幅の削減をしなければならない。その点からも今回の鉄道の人員減少は非常に止むを得ない、こういう措置になつた次第であります。御参考までに申上げますと、鉄道の不断の事業運営して行きます損益勘定予算は千百五十二億余でございます。それから尚從來の建設改良の工事等をいたしております工事勘定予算が、例の見返資金から百五十億と、それから部内の減價償却の金、そういつたものを合せまして百六十五億を以て、いろいろなそうした改良、或いは車輛の新造、その他の諸般の仕事に当てる。こうした数字は昨年の予算に比べましても非常に窮屈な数字でございます。  そこで人の関係でございますが、先程申しました定員を約十万人超過するのでございますが、これに対しては人件費として月收の四ケ月分が計上してございます。從つて若し本年の四月以降に毎月平均して人員が減少しておりますれば、予算面だけでは丁度四ケ月分計上してあるわけでありますから、四月以降八ケ月の間に整理を完了すればよかつたわけであります。併し事実はそれだけ人が平均に減少して参らん、そういう関係で四月、五月、六月の三ケ月に亘つては殆んど一杯に人を持つておる、そういうような関係もありまして、結局七月一杯にはどうしても人件費の面からも整理を完了しなければならんという程度に非常に窮屈な予算であつたわけであります。それが鉄道の行政整理においては七月に整理を完了する、こういう行き方になつたわけであります。そこで整理の実際のやり方につきましては、七月の一日に國有鉄道の総裁以下、國有鉄道の幹部と組合との間に整理の前についてのいろいろな話合いが持たれたのでございますが、その席に大臣も丁度出席いたしまして、当局側からは行政整理を行なわなければならない理由、それを七月中に実施をしなければならない理由、及び如何なる基準によつて整理をするか、そうした定員法に基いて鉄道で整理事準を定めたのでございますが、それらについての説明が行なわれました。その説明が行なわれ、これらの会合につきましてこれを團体交渉なりや否や、或いは單なる話合いなりや否やということで非常に揉めた経過及びこれが打切りになつ経過については、皆さんが新聞でよく御承知のことでございますので、これは省略さして頂きます。尚この行政整理につきましては、今申しました定員の余つておる者を罷めて貰う外に、部内の轉職或いは降職という措置をいたしまして、纏めて配置轉換と申しておりますが、配置轉換をいたしまして、実際の仕事の運営の状況に必要なように、現在の人の配置の歪みを直す、こういう方法を取つて、そうして今後の運営に備えた次第でございます。そこで整理に伴なつていろいろ皆様に非常に御心配をかけ、非常に御関心を頂いたいろいろな事柄につきましては新聞で御承知のようでございまして、省略さして頂きますが、結論といたしまして、整理人員が然らばどのくらいになつたかと申しますと、約九万五千整理をいたした次第でございます。これに対する今後の措置といたしましては、これはできるだけそうした人々に対する就職を斡旋をするということに現在としては非常に全力を挙げておりまして、現在のところで、七月三十日の調べで約一万人と少し、一万六百数名が就職をいたしておる、それから尚今後欠員がございますれば、現在罷めて頂いた人の中からできるだけ優先に採用をする、こういう考え方で進んでおる次第でございます。尚詳しい今年度の收支或いは財政の見込みにつきましては、又関係官から御説明を申上げたいと思います。
  43. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それではどうぞ。
  44. 紙田千鶴雄

    説明員紙田鶴雄君) 二十四年度の財政收支の見こみにつきまして概要説明いたします。二十四年度の予算はドツジ・ラインに基きました非常にきびしいいわゆるひまし油的予算でありまして、経費の面は極度に大圧縮をいたしております。人件費につきましては、只今局長から御説明いたしましたような大きな出血を余儀なくされたわけでありますが、物件費におきましても亦修繕費におきましても、未曾有の大圧縮でありまして、損益勘定の経費の枠は、約千百五十二億、工事勘定の経費の枠は約百六十五億とかような数字になつております。そのうち損益勘定の千百五十二億の経費を賄うためには、これは全部自己收入で賄うと、こういう建前を堅持いたしまして、そのために五月一日から旅客運賃を六割だけ値上げするとこういう措置を採つたわけであります。又一方工事勘定の百六十五億を賄うためには、その大部分の百五十億は見返勘定から融通を仰ぐ、あとの十五億のうち十三億は減價償却、これは帳薄價格による減價消却でありますが、その帳薄價格による減價償却費を、損益勘定に計上いたすことによつて内部に留保いたしました資金で賄う。あとの二億は雜收入で賄うとこういうことで予算を編成いたしまして、國会の御承認を得まして、四月から実行に移つたわけであります。そのうち問題は運賃改正でありますが、五月一日から六割の運賃値上げを旅客面で実行いたしたわけでありまして、当初國家予算では運賃改正後は旅客の輸送数量は一割減る、定期外の旅客輸送数量は一割減るであろうとこういう前提で旅客数量を組んだわけでありますが、そのうち運賃改正直後の五月は一割よりも非常に上廻つた約二割五分方輸送数量が減るんだろうと、こういう予想を立てました。爾後六月、七月と漸次回復いたしまして、五月から來年の三月まで全体で以て約一割の減少で止まるという、こういう見込で予算を組んだのでありますが、いよいよ五月から実行に移つて参りますと、五月は大体予想の二十五%をやや上廻つた程度で終つたのでありますが、六月、七月から回復するであろうと、こう見込んだその見込みがはずれまして、六月は一向五月の数字より余りよくならない。七月も同様でありまして、この点、これまでの運賃改正後の情勢と全然情勢が変つております。これまでは大体運賃改正後一、二ケ月は惡く、もう三月目あたりからは逐次回復して参つておるのでありますが、遺憾ながら本年度は過去の去年までの趨勢を追いませんで、六月、七月は低調であり大体この分で参りますます。と、旅客收入は國家予算で見積つた予算よりも更に一割方落ちるんじやないか、かように心配しております。又一方貨物も当初國家予算では、一億四千万トン輸送ということを前提にいたしまして、予算を編成して御承認を仰いだわけでありますが、これ亦出貨が低調でありまして、貨物收入は年間全体で予算に計上した額よりも約四%程下廻るんじやないか、かような予想でございます。  以上で運輸收入の減を申上げたわけでありますが、一方運輸收入の方で特殊の部門をなしております進駐軍輸送、この進駐車輸送によつて生ずる終戰処理費から入ります進駐軍運賃、これ亦当初國会で御承認を得た額よりも約五億程下廻る様子であります。これは輸送数量が当初程上らない、こういうことであります。  次に雜收入でありますが、これ亦國会で御承認を得た額は約三十五億、こういうことになつております。その三十五億のうち大体半分より少し上廻つた額は國有鉄道で持つております。物品或いは不動産のうちで比較的不要不急の物を極力賣拂おう、こういうことで不要物品、土地、建前の賣拂を極度にやる、こういう前提で約十七億余りの收入を計上いたしたのでありますが、ドツジ・ラインに基くデフレ現象で購買力の減退に伴いまして、國有鉄道が思うように予算で以て見込んだ程どうも賣れない、こういうことでこれ亦約五億の收入減が予想されるのであります。  以上申上げました一般運輸收入、進駐車の運賃、それから雜收入合計で收入欠陷が約九十七億程、こういう予想で現在おります。この九十七億を埋め合すためにはどうしたらよいかということで、今鋭意案を檢討しておりますが、現在の案といたしましては、下期あたりから貨物運賃を引上げることによつて何とかこの歳入欠陷をカバーして参りたい、かように考えておる次第であります。
  45. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 何かお尋ねがありましたら……
  46. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 大体今の御説明は了承いたしました。この大きな九万五千名の人がここに犠牲になつて、尚且つ九十七億の赤字、將來においての見通しもそうはつきりしたことはないということになつて來ますと、非常な犠牲になつたこれらの人達が、精神的にも堪えられない。仮に自分が犠牲を忍んでこの日本國有鉄道が幾分でも立直つて呉れるならば、犠牲になつても満足をするだろうと思いますが、その犠牲者のここにあるということをよく考えて、十分一つ返事のできるように努力をお願いしたい、かように希望いたします。
  47. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 大分犠牲者就職の件について対策委員会を持てやつておられる、今の発表で一万人ということですが、今後の見通しはどんな工合でしよう。又鉄道として、運輸省として考えておる対策ですね。そういうような点について話合ができたら一つ願います。
  48. 足羽則之

    説明員足羽則之君) 今後の就職の見通しについてははつきりした数字見込は実は申上げかねます。ただ我々といたしましては、我々というよりも國有鉄道でこの対策援護の委員会を作りまして、我々もそれに関係をいたしておるのでありますが、関係の役所及び國有鉄道として鋭意あらゆる方法によつて就職の斡旋を努力する、こういうことよりしか我々としては申上げられないわけであります。尚これの内容につきましては、或いは運輸省として厚生省の方に地帶別の就職、やめた人の概数内容なんかについて連絡をいたしまして、それぞれの地方においても考慮をして貰うように概要連絡をとり、それぞれの國鉄地方機関もそれぞれの地方機関基礎にして十分な連絡を取るような態勢を整えておるようなわけであります。それから何と申しましても政府の一般の失業対策ということが、これに対しての大きな前提條件にもなろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。それから尚今後の新規参用の問題が又おいおいに出て來ることと思うのでありますが、それに対しては、今度退職した人の中から優先に採用するということを考慮しておりますことはよく御承知のことだろうと思つておりますか、以上そういつたこと、或いは國鉄の外郭團体等に対しても十分にその趣旨徹底して、いろいろ骨を折つてつておる。いろいろそういつたようなことが挙げられるかと思います。   —————————————
  49. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それじや鈴木君、今、次官と海上保安廳の長官が見えておりますが、次官会議に出なければならないということですから、質問は後廻しにしまして、今、自由港の問題と青葉丸の沈沒事件の問題と一應説明を承りまして、その後でどうぞ一つ。では自由港の問題について……
  50. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) 最近自由港というような問題がいろいろ新聞紙その他で流布されておるのでございますが、この際問題の経過現状につきまして若干御説明を申上げて見たいと思います。我が國が終戰後いわゆる軍備を失いまして、新らしい國の建て方をしなければならないというような情勢に相成りました場合に、貿易立國というような趣旨からいたしまして、今少しく貿易関係の活動を自由にするというようなことが自然に頭を持ち上げまして、この際自由港市或いは自由港といつたような問題がいろいろ論議されたのでございます。然るに最近急にこの問題がこういうふうに活溌に論議されるようになりましたのは、御承知のような中國の情勢に基きまして、東洋に対するエンポリアムと言いますか、貨物の藏置保管の機能を持つておりました天津、上海といつたような都市が漸次中共の手に帰するというようなことになりまして、東洋地域に対する諸外國の貿易をいたします建前から、日本においてもそれに代るような一つの地帶が考えられないか、こういつたような問題が起りましたのが発端でございます。これを機会に我が政府といたしましても、関係官廳相寄りまして、或いは自由港湾都市或いは自由港というような問題につきましていろいろと論議研究いたしたのでございますが、最近大体得ました結論といたしましては、自由港湾都市を設けるということは、これは我が國の國民生活の健康上と申しますか、或いは我が國経済の独立的の発展といつたような見地からいたしますと、いろいろな見地からいたしましてどうも余り望ましくない、こういうような結論でございます。それから第二に、もう少し制限いたしまして、一定の地域を画しまして、ここに外國より原料を持つて参りまして、そこで自由に加工して輸出する、自由加工地帶というような意味における自由港はどうであるかということを考えて見たのでございますが、この点につきましては、未だ確定的な結論には到達いたしておらないのでございますが、やはり我國の固有の産業保護というような見地からいたしまして、消極的な見解が強いのでございます。然らば一番小さい意味における自由港という、つまり開港の一部を画しまして、そこにおいて外國より大きな船で積んで参りました貨物を何らの関税その他の國内手続を経ないで、そのまま又小さな船に積替えて東洋各地へ輸出する、そういう意味におけるいわゆるフリー・トランシップメント・ゾーン、自由積替港地域というようなものを考えたらどうかという案につきましては種々檢討いたしましたところ、本件につきましては別に我が國全体からそう非常に惡いというような意見もない、むしろこういうことをするというと、我が國に貿易外の一つ收入が得られる、非常に外貨の收入が得られる利益があるのみならず、我が國の小さな小型の船が荷物を得てこれらの貿易品を運ぶチヤンスが殖える、こういうような結論でございます。関係方面とも種々連絡打合せをいたしましたところが、先ずその程度からでも始めて見たらどうか、こういうような考え方がございまして、今自由港地帶の自由貿易地帶法試案というものを考えている次第でございます。この自由貿易地帶というようなものはどういうようなものかと申しますと、我が國の開港の一部に國内との交通を一應遮断いたしました。交通があるにいたしましてもそれを極めてコントロールできるところの狹い出入口に限定したところの一つの地帶を設定いたしまして、ここには関税法その他外國貨物に対して適用せられる内國法規適用を免除いたしまして、そうしてその中において外國貨物を積下し保管、或いは荷造りを解きまして入れ替え、或いはレッテルの貼り替えというような、貿易上の必要上の最小限度の活動をさせる、併し内容貨物の混淆を避けるために、その中においては住民の住居或いは商賣というようなことはしない、そうしてそこにおきまして入れられました貨物が國内に入ります場合には、その地帶との境界線に関税線を設けまして、そこからその関税手続によりまして國内に輸入をする途を開く、そうしてその地帶に対しましては、必要なる労務者はこれを外部から供給する、それに対しては外貨で支拂を受ける、又その地帶の埠頭その他港湾設備、或いは上屋倉庫等の利用に対しましては、これ亦外貨を以て支拂を受ける、大体そういうような事柄を骨子と考えているわけであります。  この地帶を設けることに関しまして、一つの爭われておりまする点は、本地帶に対しましては関税法は適用があるのであるが、特に法律を以て免除するという考え方をする考え方と、いや、これは関税に関係ない地域を設けるのであるから、関税法以外に一つの自由地帶設置法案というよなものを設けるのがよろしいという考え方と、極めて技術的な問的でございまするが、尚爭われているところでございますが、アメリカのやつておりまする外國貿易地帶法によりますると、この地帶は関税を課さない、自由に中継貿易を行なつて貰うということが趣旨でありますからして、関税法に規定すべきものでなくして、独立に自由地帶を設置するという考え方がよろしい、又そのことがこれは一種の宣傳と申しますか、こういう地帶のサービスを外國に宣傳してこれを賣るわけでありますが、そういう販賣政策から言つても、その方がアトラクテイブではないかというような考え方を持つております。開港から関税線を撤廃いたします問題は、これは即ち純粹の港湾でありますから、而も販賣政策上そういう考え方がよろしいというようなことで、運輸省としては後者の説をとつているような次第でございます。それからこの自由地帶でどういう活動をせしめるかという範囲につきまして若干問題がございますが、先ず加工を許さないということは大体意見の一致を見たところでございますが、この地帶に入れましたものにつきまして、展示と申しますか、見本としての展示を日本に在住する人に許すかどうかという問題でございまして、我々はこの地帶に運ばれました物資が又諸般の情勢から日本に輸入することが極めて低廉で便利であるという場合もあり得るわけでありますからして、ここに見本展示を認めた方がいいのではないかという考えを持つておりますが、これに対しては目下別の方面でそこまで行かん方がいいのじやないかというような議論がありまして、未だ結論に到達いたしておらないのでございます。それから自由地帶を一体どこに設けるかといつたような問題がございますが、これに対しましては、関係方面意見……、結局これは外國に使つて貰うわけでありまして、我々は直接諸外國からの情報を持つておらないのでありまして、その意味におきまして関係方面の忠告というものを非常に重視しなければならんと思うのでありますが、その考えによりましても、未だどのくらいの日本にこういう地帶の利用があるということは見積ることができないのであります。從つて先ずできるだけ小規模で且つ將來十分発展する余地のあるような地域を選定したらどうかというような考えでございます。ところが我が國では又非常にこういう地帶を設置して貰いたいという要望が各方面に沢山あるのでございまして、これを調和いたすためには、やはり自由地帶を設置するにつきましては、一定の標準と又その標準に適合するかどうかということを判断する委員会等を設けて見たらどうだろうとかいう考え方も法案の中に盛られているのでございます。いずれにいたしましても、この地帶は一万トンを少くとも超える船舶が同時に数隻埠頭に横付になるということが必要でございまして、沖荷役でこの地帶に物を運ぶということは関税取締上非帶な困難がございますので、その点はできるだけ避けたいとかように考えているわけでございます。尚同時に本地帶の設置につきましては、関係方面で使つておりまする施設、倉庫というようなものにつきましての開放と申しますか、我が國に使わして貰えるようにできるだけお願いをしなければならんと思いまするし、又相当好意的に考えて頂けるというような見通しの下に行動しているような次第でございます。尚関税法につきましては、一應関税法の適用はないわけでありますけれども、尚関税法中の若干の規定はこれを自由地帶に適用する必要があるのでございますが、これにつきましては先程申上げましたような根本理念に從いまして、自由地帶の設置法によりまして、関税法の必要のあるものをこれを適用すると、こういうような考え方を採つたらいいのじやないかと、かように考えているような次第でございます。尚本地帶を設けました場合に、どのくらいの收入があるかというような問題でございますが、これはどうも確定してどのくらいあるということは申上げかねるのでございますが、一應量を相定いたしまして、例えば仲継月間二十万トンというようなものを想定いたしまして計算いたしますると、一年間に二千二百四十万ドルくらいな收入がパイロットとか埠頭料、曳船料或いは荷役賃、倉庫賃というようなものから上るのではないかというふうに考えているわけでございます。併し現在のところではこの月間二十万トンを一ケ所で扱うような場所はないのでございまして、仮に現在使い得ると考えられる場所を想定して見ますというと、保管能力が年間大体約四十万トンくらいなものでございますが、これによりますと年間三百七十三万ドルぐらいの收入が上るということになるのであります。いずれにいたしましても、東洋の地域の諸般の情勢を考えられました場合に、特に我が國の小さな船が沢山遊んでおるように考えますので、やはり一日も早くこういう地帶を設置するということが非常に我が國経済の発展に資するのではないかとかように考えておる次第であります。
  51. 板谷順助

    委員長板谷順助君) ちよつと伺いますがね、我が國における自由港地帶の設置ということは初めての試みで、この委員会としても愼重によく調査研究をしなければならんが、大体これを見ると外國船を対象ですね。
  52. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) はい、
  53. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外國船を対象ということになると、今日本が海運の再建ということについて全力を注いでおるのでありますが、日本のそういう方面の影響はないのでありますか。外國船が自由に入つて來て、例えば日本から輸出するもの、輸入するものをできるだけ自由國船で運びたい、外國船が自由自在に入つて來るということになれば、日本の海運の関係はどういうふうになりますか。
  54. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) どうも我が國は開港制度を取つておりまして、開港に外國船が入つて來ることを妨げる何らの法規はないのでありまして、從いまして本地帶を設けましても、外國船が余計に、つまり例えば中國に直行すべきものが先ず一應日本に入つて來て、そこで貨物を仕分けしてそこで小さな船につんで外國に持つて行く、そういうチャンスが殖えるだけでございまして、外國船自身も亦日本に來て、そのためには港の使用料その他が落ちるというのであります。日本の海運を圧迫するということにならないと思うのであります。
  55. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 大体臨時國会に提案するお考えなんですか。
  56. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) 関係方面では諸般の情勢に鑑みまして、是非とも臨時國会で御審議を願いたいとかように思つております。
  57. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 この自由港について、仮りに自由港ができても日本が独立國家になつた場合にはその切替えはどうなんですか。永代租借権のような恰好になりますか、今ここにあるシンガポール、マラッカ、大連、ジブラルタル等永代租借のような恰好になつておるのでありますが、それの見方はどうなんでありますか。
  58. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) これは自由なる我が國の法律を以て制定されたものでございますからして、この制度に非常に弊害がございますれば、これを止めるというようなことは勿論我が國が決定すべき事柄であります。但しそれが非常に國際通商上の非常な利便が與えられております場合、さして、弊害もないのに、これは單なるナショナル的な見解からこれを閉鎖するということは、これは國際問題としてどういうふうに斟酌するか、問題が)ると思うのであります。
  59. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 如何ですか。
  60. 小野哲

    小野哲君 今の自由港地帶法試案というものを拜見しておるのでありますが、これは港湾に関する統制が整備されないとなかなか実施が困難じやないかと思うのであります。港湾法案は次の臨時國会に御提案の御見込がないですか。
  61. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) 小野委員の御指摘の通りでございまして、これだけでも動けないこともないのでありますが、港湾法がございます方が非常に動き易いということは事実でございます。私共といたしましては永年の懸案でもございまするし、又非常に緊急な課題にもなつておりますので、是非この港湾法をこの臨時議会に提案いたしまして御審議を願うようにしたいと考えております。
  62. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは時間なんですがね、大体あなたの方が案ができればその前にこの委員会に提案して貰う。今からその程度でお互いに研究して見ようじやないですか。
  63. 村上義一

    村上義一君 これは御説の通りに非常に重大な問題だと思うのであります。よく一つ研究の時間を與えて貰つてできるだけ早く次官の方から……
  64. 後藤憲一

    説明員(後藤憲一君) 只今次官から説明して頂きましたが、戰前にこれと同じ種類の荷物ですね。中継貿易で、而も保税倉庫に入つた荷物がどういうふうになつてやつていたかということは参考になるのではないかと思いますが、非常に量が少いのでありますが、昭和五年から十四年までの例しかないのでありますが、昭和五年が二十万九千トン、昭和六年が二十三万七千トン、昭和七年は二十九万七千トン、昭和八年は二十八九千トン、昭和九年が四十一万五トン、十年が三十五万トン、十一年が二十七万トン、十二年が二十二万六千トン、十三年が三十三万八千トン、十四年が二十九万八千トン、で、その入りました港別に申しますと、港名だけ申上げますが、小樽それから函館、横浜、敦賀、清水、名古屋、武豊、四十市、大阪、神戸、宇野、下関、門司、若松、博多、長崎、伏木、三池、こういうような諸港でありますが、そのうち神戸港が圧到的に数字が多いのであります。その次が大阪でありまして、そうして横浜、函館というような工合になつておりますが、それ外のは極めて稀な、例外的に数字が上つておる。こういうふうになつておるような形であります。品種はどういうものかと申しますと、これはいろいろ雜多なものがありますが、鉱石、金属という範疇に属するもの、時計、学術機械、銃砲、車輛という類の物、金属製品、陶器及びガラス類、それから石油類及びその製品、それからぼろ、それから綿絲、衣類等及びその附属品、染料、顔料というような物、油脂、蝋、藥類の化学製品、それから穀物、澱粉、種子、それから煙草、食塩、乾物、塩魚、罐詰用の罐と罐詰、それから麻袋、ベニヤ板、そういうような品種のものであります。大体そういうようなことになつております。
  65. 板谷順助

    委員長板谷順助君) お話になるときにそういう資料を具体的にやはり委員会報告をして貰いたい。
  66. 後藤憲一

    説明員(後藤憲一君) 今日にも差上げようと思いましたが、少し不十分なところがありましたので、差上げませんでしたが、これがでぎましたら御報を申上げます。
  67. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を止めて……    〔速記中止〕
  68. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を始めて……
  69. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) それから第二の御質問の、石炭を國鉄が全部運ぶのはどういうわけか、こういう御質疑でありますが、これは國鉄從來部分の焚料炭のうち機帆船で運んでおりまする分は、運賃コストと、それから燃料油との規制の関係上全部自然的にこの國鉄が運ぶことになつたのでありますが、尚約二十五、六万トンに上つておりますものを回漕船を利用して運んでおつたのであります。然るに最近荷物が非常に減りまして、大体日々七千輛程度の無蓋車が毎日遊んでいるという状態にあつたのであります。從いまして國鉄赤字を減すために我立採算制の見地からしまして、この遊んでいる貨車を利用して、國鉄自身の焚料を全部國鉄で運んではどうか、こういうことが議題に上つており、実は関係方面から相当の強いサゼッションを受けたわけであります。これに対しましては、私は國鉄自身の立場において、若しこの状態相当永久に続くものである、或いは回漕の運賃比較いたしまして永久に國鉄で運ぶ方が安いのである、こういうような状態であるといたしますれば、そういうような手段を採られることは元より当然のことでありまして、若しその荷物が回漕の方で欲しければ、みずからコストを下げて國鉄以下に運ぶ、國鉄に十分寄與し得る、こういう状態にみずからを置くべきであろうと考えるのであります。使しながら二十数万トンの省用炭を全部國鉄で運びました場合に國鉄に二つの大きな隘路区間がございまして、一つは青函の連絡船航路、一つは関門のトンネルでありますが、この二つの隘路におきまして、一般の貨物、例えば北海道から内地へ送らなければならない雜貨、例えば種馬鈴薯、或いは九州から内地、内地と申しますか、本土へ送らなければならない製材というようなものを制限しなければならんといたしますれば、これが又非常におかしな話でありまして、國鉄が計算的にもそういうもので上げまする運賃とみずから石炭を運ぶことによる節約とでは、運賃を上げた方が遥かに有定であるという結論も出るわけであります。又國鉄本來の使命からいたしましても、そういうような貨物、國鉄で運ばなければならないような貨物を輸送するということが第一の任務でありますから、それを運ばないで省用炭を運ぶというのは論外だろうと思うのであります。又これを回漕の方から申しますると、もう永久に國鉄がこの省用炭の運搬は全部自分からやれるのだということになりますれば、これは一種の企業整備でありまして、そのために要らなくなつた船力は他に轉用しなければならない、これは経済九原則として経済界の各般に行なわれておる一般施策と同一歩調であると思うのでありますが、八月と九月はできるが、十月からはできない、そのときにはもう一度人夫を集めて仕事でもして呉れと言われるのでは、そういう一つの条節的な荷物の動きが少いという犠牲を國家の大きな独占体がみずから負うべきその危險を單に小さな業者に轉嫁したというだけになるのでありまして、公正の見地から考えましても、ちよつと受容れ難い点があるように考えるのであります。目下運輸省といたしましてはそういうような見地よりこの措置に対して再檢討を申入れたい、かように考えておるような次第であります。
  70. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 何かお尋ねありませんか。それじやこの程度にいたして置きまして、この問題は一つこの委員会でも研究をいたしたいと思います。   —————————————
  71. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは青葉丸の問題について海上保安廳の大久保さんにお願いいたします。
  72. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 青葉丸遭難事件に対して御報告を申上げます。  第一に遭難を発見するまでの経過でありますが、本船は愛媛縣の今治、高浜両港におきまして船客及び貨物を搭載いたしまして、デラ台風が接近するという予報もございましたので、荒天に対する諸準備を整えると共に、船長その外の職員並びに出先の代理店の者が出帆につきまして、いろいろ相談をいたしました上で、昭和二十四年の六月二十日二十一時高浜港を出帆いたしまして、門司に向つたものでございます。翌二十一日三時頃非常な波浪のために左舷に傾斜いたしましたが、同三時二十六分頃右舷に傾斜をし始めまして、そのまま同三十分頃瞬間にして沈没したものと推定される次第であります。尚沈没が非常に瞬間的でありましたのと、殆んど全員が犠牲になつておりましたので、二十一日の十八時五十四分に至りまして、航海中の清忠丸が周防灘において漂流中のアメリカ人一名を救助いたしましたことから遭難が推定確認さるるに至つた次第でございます。  次に遭難の日時はいつであるかという点につきましては、昭和二十四年の六月二十一日の三時三十分頃というように推定いたしている次第であります。  次に遭難場所については、船体が未確認でありますのと、殆んど廣範囲に遭難をいたしておりますために、正確な判定が困難でありますが、諸情報を総合いたしまして、大分縣の姫島の西北西方約十マイル、周防灘の第五号灯浮標の附近である、かように推定いたしている次第でございます。  第四の天候状況でありますが、天候の状況は六月二十日二十一時高浜港を出帆いたしました当時におきましては、細い雨が降つておりまして、約二メートルくらいの風速の風が吹いておつたのであります。台風の中心が二十一日の一時鹿兒島に上陸いたしまして、山口縣を通過いたしまして、同日の十一時三十分日本海に抜けました状況かを推定をいたしまして、遭難当時は姫島附近は台風の中心に近くございまして、附近の風速は秒速約三十メートル程度であるというふうに推定をいたしております次第であります。  第五に搭載貨物、旅客の状況は、旅客九十三名、貨物十二トン一七五でございます。  第六に乘組員の状況は高級船員九名、普通船員三十六名合計四十五名でございます。  第七に遭難状況を申上げますと、船体がまだ発見いたされておりませんが、船員、旅客の状況は今申しましたように乘客九十三名、船員四十五名、合計百三十八名乘つておりましたわけであります。このうち船客二名、船員一名が救助されまして、計三名救助されましたので、差引き百三十五名遭難をしております。このうち死体が上りましたのは五十九体でありまして、七十六名の人は今尚行方不明でございます。恐らくは船と共に沈没しているのではなかろうかとかように判断せられるのでございます。  次に船舶の状況を申上げますと、本船が戰時建造中の長さ二十八メートルの曳船を昭和二十一年五月十日に改造に着手いたしまして、中央部におきまして約二十メートル延長いたしました。昭和二十二年十二月十三日進水し、同二十三年二月二十八日竣工しまして、船主の川崎汽船会社に引渡したものでございます。長さ四八・〇五メートル、幅八メートルでありまして、深さ三・六メートルでございます。  次に当廳として取りました救難作業の状況を申上げますと、六月三十一日の十九時三十五分清忠丸から漂流中の米人一名を救助したが、その他にも漂流中の者がある模樣で目下捜査中であるという情報を受けましたので、門司港上保安本部では遭難位地及び遭難状況の調査を直ちに同船に依頼いたしますると共に、同本部所属船を動員し、尚下関の掃海部隊の船をも更に動員いたしまして、隣接しております廣島本部にも直ちにそれぞれの手配をいたしたのであります。この結果出動いたしました船舶は合計二十一隻であります。延いにいたしますと百八十五隻の船舶が出動いたしまして、遭難船の救助掃海に当りましたわけであります。  次に遭難の原因を申上げますと、この種の小型船におきましては、船舶の性能上一般に復元性が非常に乏しく、種々研究されておつたわけであります。本件の場合におきましては乘組員の生存者はたつた一名であるという関係から非常に状況の調査が困難を極めております。  最後に今後における対策といたしまして、小型客船の安定性能につきましては早くから審議が行われておつたのでありますが、又沿岸船の建造に対しましても、安定性につきまして、復元性の問題を研究されておつたのであります。併しその後一部審議が中断せられておりました事情もあつたようであります。そこで海上保安廳といたしましては、本件が起きましてから小型船の安全性能に処する研究を急速に進めると同時に嚴重な検査の励行を続けておる次第でありまして、尚又今回の事件に鑑みまして、主として小型船の海難予防につきまして、取敢えず各船主に注意を喚起いたしますと共に、今後の予防対策に関しまして、愼重な審議を各方面の意見を聽しまして、継続中でございます。この研究の結果如何によりましては、小型船の設備その他に関しまして、將來制度的な改正を研究しなければならないと考えておる次第であります。  尚又本件が起りましたと同時に、海上保安廳といたしましては、非常にこれを重視いたしまして、直ちに現場の理事官を動員して調査を命じましたと同時に、中央よりも理事官を特に本件のために派遣いたしまして、海難の原因調査に当らせました。尚船体は未確任ではございますけれども、一應調査を了しまして、先月の十三日に審判所の方に本件の申立てを終つておりますことを御報告申上げて置きたいと存じます。
  73. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 青葉丸の問題につきましては、只今海難審判所において審議をいたしておるのでありまして、從つてこの委員会においてそれを採り上げるということは、ちよつと行過ぎのように考えておつたのでありますが、要するに多数の人命を損しておる関係から、無線電信の設備がないとか、五百九十九トンの船であつて、つまり客船である以上は無船電信の設備をする必要があるとすれば法規改正をしなければならんという点で、この委員会で一應説明を聽いて採り上げようということになつたわけでありますが、大体沈没の原因は先ず第一に船舶の構造というものが或いは不完全であつたかどうか、それからその次には船長初めその航海士の技術の上において欠陥があつたかないか、或いは又御承知通り現在の氣象の通報というものが、中國における連絡がまるつきりないというような欠陥があつたか、或いは又不可抗力であるかどうかというような問題は、要する海難審判所の審理の結果、この委員会においては余りそう立入るべき筋合いのものではないと考えておるのでありますが、今海上保安廳の申された通り、先ず一に無線電信を設備する必要があるかどうか、或いは又小型船の安全について目下研究調査中であるということでありますから、或いは或る程度法規改正の必要があるかどうかということと、それから弔慰金が非常に、何十名というものが亡くなつて、その結果仮に一人十万円とするというと二千万円の金である。そうするというと、いい加減の船主ならそれに堪えないような結果が出て來るというようなことであるから、これに対する傷害保險とかなんとかいうようなそういう点も徹底的にやらんというと、もう船首が皆参つてしまう。或いは不幸な人々も、それがために非常に遺家族が迷惑するというようなことでありますから、そういう点について調査研究をするというような意味でこの委員会で採り上げたわけでありまして、海難審判所が調査する以上は、我々委員会としてはそう深く立入るということはどうかというふうに考えておるのでありますが、何か御意見がありましたら……
  74. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 委員長の言われる通りで、余り行き過ぎたことはやらないでいいと思いますが、最後に出た港は高浜ですか。
  75. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 今治です。
  76. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 それから今治を出るときには氣象特報が出ていなかつたのですか。
  77. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) そうです。まだ出ておりませんでした。ただ一應念のため氣象台に問合せました。高浜を出ますときに氣象台に問合せておりました。
  78. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 氣象台はどう言つたのですか。
  79. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) ちよつと理事官から……
  80. 寺田武

    説明員(寺田武君) 高浜を出ますときに警報は高浜の警察署に出ておりました。台風が接近したので沿岸を航行中の船舶は嚴重に警戒を要するという掲示が出ました。それで船長はそれについて漠たることで分らんというので、わざわざ二等航海士を陸にやりまして、松山の測候所に電話で問合せましたところが、台風は土佐沖を通つて伊豆半島から東に行くという趣きの電話があつたので、夜中頃には十メートル乃至十五メートルの強風が周防灘附近で吹くだろうという回答があつたので、その程度ならばよかろうということで幹部が協議の結果、石炭、燃料その他の所要量を檢討しまして、出港したのであります。
  81. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 それならいいのですが、私は遭難地に近い関係上、世間でこれは間違つたことを言いふらしておると思うのですが、相当の警報があつたにも拘わらず、梅雨うちに時化は來ないのだというので、乘つてる乘客が非常に向うに行くことを急いでおるので、無理に出したとかいうような噂さがある。
  82. 寺田武

    説明員(寺田武君) その点について、高浜ではつきりしたところによりますと、会社としては関西汽船と競爭船でありますから、相当に強いて発航を促したというようなことがありはせんかというふうなことを考えて、随分問いましたが、そういう点は毛頭ございません。それは船長としては今申上げましたように幹部と代理店の人と大体五六人が出航前に集りまして、今申上げましたような松山の測候所の天氣予報を聞きまして、そうして般体の航行の安全を考えて出航した、こういうことであります。
  83. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 先程私が申上げました台風の方向と言いますのは、松山から二等航海士が聞きますと、台風の向きが違つておりました。土佐沖を通過……
  84. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 それが皆違つてつたので漁船の遭難が、あの小さな台風で以て、人命を失うような台風……
  85. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それは海難審判所でよく審議をする……
  86. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 ただそういうふうに間違つたことを言いふらされておるから……
  87. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 海難審判所は事実調査はできるだろうと思うが、相手方になる、対象となるべき船員は、下級船員一名が助かつておるだけで、そうすると海難審判法によつて、どういう法規の下にこれを調べておるのですか。
  88. 寺田武

    説明員(寺田武君) 海難審判法は高級船員、責任者と称する人はおりませんでしたけれども、海難審判法は海難の原因を探求して、將來に海難を未然に防ぐという目的で去年から海難審判法になりましたので、対象人、即ち中心人というような方がいなくても、苟くも海難が起つた場合にはそれを取上げまして審判いたします。原因の探求が主なる目的でありまして……
  89. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 それは分つておるのです。不信任というものの対象なしに海難審判所としてその原因を独自の立場において今調査しておるわけですか。
  90. 寺田武

    説明員(寺田武君) そうです。海難事件事件を対象にいたしまして、それから生存しておりました人は指定海難関係人としまして、海難関係人として証人的にその人は出て頂いて審判廷で陳述をいろいろ聞くということをやつております。
  91. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 今は現在対象になるのは造船主になるのでありますか。そこで事実調査というのはどの点においてするか。
  92. 寺田武

    説明員(寺田武君) それですから、その場合において全体に十分なる遭難の原因があつたというような疑いがありましたらば、それに対する関係者は指定海難関係人として……   —————————————
  93. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは鈴木君大変時間が遅れてお氣の毒だけれども、質問がありましたらばおいでになつておりますから、皆さん御迷惑でも続けてやります。
  94. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 時間もございませんので、又時間のあるきに審議したいと思いますが、先程からのお話で心配になりますのは、現場を最近私は調査しておりますが、私の聞いておりますところでは、大体から行きまして、委員会はできたようなものの、実際の活動は規則運動なり、或いは就職方面に余りに積極的にやつておられない情勢が非常に多い。委員会はできておるにも拘わらず、ただ作つたというだけに止まる傾向が多分に見えておるのであります。今御承知通り現場で就職斡旋をやつておるのは大体生活相談所を目標にやつております。これが今までよりも人が削られておる、重大な箇所として今後残るべき性質のものであつたにも拘わらず定員法の施行せられない前の半数ぐらいに削られておるのであります。というような点で実際に整理をやつておるのかどうかというようなそうした点についてお伺いしたいと思つたのでありますが、それは細かい点でもありますので、後日運輸省の方に伺つてもいいのであります。ここでお伺いいたしたいのは、先程のお話の中でドツヂ・ラインによるディス・インフレということを言われておりますが、今回の鉄道予算運賃改正をするにしましても、そうしたことは九原則としての建前は承知の上でやられたのでありますが、一年間の予定をつけてやられたものであるのに、それにも拘わらず予定が全部狂つてしまつた運賃改正相当收入を見込んでおつたのが二割五分に減りまして、現実にともかく七十九億の赤字が出てしまつておるのだ、それだから改正をするのは大きい企業体として危險のない方法といたしましては、今後の状態にある。結局國家財政に或る程度の負担をかけなければならないのではないか。見方として独立採算制をどうしてもやつて行くためには、この不安定なる経済状態に確たる見通しがなくて、ただその時々に應ずるような財政状態でやつておりますと、從事員は始終恐怖に襲われるのであります。結局は從事員の縮小ということになるのであります。働いておるものもかかる定員法によつて整理されて、特に残つておる人までもいつも不安が絶えない、それは生産に対する意欲という点を妨げるという点も大きく起つて來るのであります。かかる運賃を上げるとか、下げるとかいう問題についても十分はつきりやつて貰いたいのであります。それはいずれ政府の政策に関係することであつて、それぞれ関係当局だけではどうにもならないといたしましても、少くとも九原則を建前として、ドッヂ・ラインで政府はディス・インフレと言つておりますが、実際の問題としてはデフレに行つておるのでありますが、國会の我々としてもよく討論の中に盛るつもりでありますが、從事員はいつもそういうことを心配しておるのであります。もう時間もありませんからもうこの程度で……
  95. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 又適当の機会に先程お手許に配付いたしました輸送の実績の数字は專門室に命じて取纏めさしたものでございますが、左記の点を一つよく御留意願いたい。最近貨物が非常に減つて現在の滯貨が四・五〇万、それがために貨車の遊んでおるものが七千台以上に上つておる。一方汽船の滯船が百二十五も遊んでおるというようなことでありますから、御承知通り日本の経済界全般に亘つて現在は非常な、このドツジ・ラインの結果経済界に対する何といいますか、非常な惡影響を來しておるようなわけであります。これは要するにひとりこの経済関係ばかりではなく、全体の経済界がこのままではどういう結果になるかということを非常に心配しておるわけでありますから……
  96. 内村清次

    ○内村清次君 この委員会は午後はこれでしまいですか。
  97. 板谷順助

    委員長板谷順助君) そうです。
  98. 内村清次

    ○内村清次君 近い中に委員会を開かなければならん氣運がありますか。
  99. 板谷順助

    委員長板谷順助君) いや問題があれば開きましよう。どうですか、それは皆さんにお諮りいたしますが、丹羽君あなたこの間開港のあれ報告せんでもようございますか。おいでになつたら……
  100. 内村清次

    ○内村清次君 近い中に開かれれば、今日の委員会はこれで終りにして頂きまして、先ずその資料の提出一つ、近い中に開かれるまでに運輸省の行政整理の整理基準、それを書いて置いて下さい。それから退職金の基準各局別職種別整理人員、男女別にした各局別の管理部別新定員表、それから救済された人員及び就職先、それを一つ出して下さい。
  101. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 会計法は大体いつ頃纏まるつもりですか。
  102. 足羽則之

    説明員足羽則之君) 問題になつておる点が二点残つておりまして、それだけ近い中に……
  103. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 会計法でも或る程度で纏めて、この委員会報告をされるその機会に開きたいと思います。それで外にお話がありませんければ……
  104. 村上義一

    村上義一君 会計法改正は非常に重大問題だと思います。勿論理想的の段階に一挙にして達するか、或いは二段階に進むかといつたようなことも愼重に考えなければならん、それで更に一つ研究会といいますか、そういうようなものが必要じやないかと思うのですか、これは打明けたところ……速記は止めて下さい。
  105. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  106. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を始めて……本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            飯田精太郎君            丹羽 五郎君    委員            内村 清次君            大隅 憲二君           橋本萬右衞門君            門屋 盛一君            小野  哲君            村上 義一君            結城 安次君            鈴木 清一君   説明員    運 輸 次 官 秋山  龍君    運輸事務官    (港湾局長)  後藤 憲一君    運輸事務官    (鉄道監督局    長)      足羽 則之君    運輸事務官    (鉄道監督局國    有鉄道部長)  田中健之助君    運輸事務官    (鉄道監督局財    政課長)    紙田鶴雄君    運輸事務官    (海上保安廳長    官)      大久保武雄君    運輸事務官    (海上保安廳理    事官)     寺田  武君