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1949-05-28 第5回国会 参議院 運輸・大蔵連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月二十八日(土曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————  委員氏名   運輸委員    委員長     板谷 順助君    理事      小泉 秀吉君    理事      小野  哲君    理事      丹羽 五郎君            内村 清次君            植竹 春彦君            大隅 憲二君           橋本萬右衞門君            入交 太藏君            門屋 盛一君            飯田精太郎君            高田  寛君            村上 義一君            結城 安次君            鈴木 清一君   大藏委員    委員長     櫻内 辰郎君    理事      波多野 鼎君    理事      黒田 英雄君    理事      伊藤 保平君    理事      九鬼紋十郎君            天田 勝正君            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            中西  功君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君            小川 友三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○戰時中政府買收した鉄道讓渡に  関する法律案衆議院提出)   —————————————    〔板谷順助委員長席に着く〕
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより國有鉄道を、戰時中政府買收いたしましたる鉄道讓渡に関する法律案につきまして、運輸委員会大藏委員会連合委員会開会いたします。この法案取扱につきまして、從來の経過を一應申上げて置きます。  この法案につきましては、衆議院における議員提出でありまして、衆議院会議において可決の上、本委員会には去る十九日に付託をされまして、その後二回程質疑を行なつたのでありまするが、その途中におきまして國有財産関係というところから、大藏委員会に廻すべきものであるというよう意見が出ましたために、一時委員会開会を中止をいたしまして、その後議院運営委員会にこれが更に審査をされることになつた結果、本委員会付託をされることに確定いたしました次第であります。併しながら法律國有財産の賣却に関する重大な問題であります関係から、本日この連合委員会を開いた次第であります。そこで順序といたしましては、只今提案者が参りまして提案理由説明いたしますが、質疑はこの際主として大藏委員の方からお願いをするということにいたしたいと存じます。別に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それではさように決定いたします。只今衆議院側提案者おいでになりまして、これより提案理由説明を求めます。
  4. 前田郁

    衆議院議員前田郁君) 只今議題に供せられました「戰時中政府買收した鉄道讓渡に関する法律案」について御説明申上げます。  政府が、地方鉄道会社から買收いたしました鉄道は、過去において相当多数に上つているのでありますが、その大部分は、本來國が敷設すべく予定されておりました路線買收でありまして、鉄道國有法の精神に全く合致いたしております。然るに昭和十八年、十九年に至りまして、今次の戰爭遂行目的から必要なものである限り、本來地方鉄道であるべきものを多数買收いたすことになりました。その買收路線は、この両年におきまして、実に二十二線に上つております。然るに今日におきましてはこの買收目的は全く消滅しているのでありまして、これは、再び地方鉄道会社拂下げ、その企業の創意と努力とにより、その地方の利便に最も適合するように運営させることが極めて適当であると考えられ、業界よりも、第一國会以來、この趣旨により拂下請願が繰返し提出されておつたのであります。これら拂下げるべきものと考えられます路線は、毎年相当赤字を出していることを考えますると、この際これを民間拂下げることは、將來の日本國有鉄道財政改善にも大きな寄與となるものと考える次第であります。  この拂下を受け得る相手方につきましては、もとより十分な事業運営能力を有することが必要でありますが、又元來の買收の経緯より考えましてできるだけ旧所有会社、又は、その会社と密接な関係のあるものに拂下げることが適当であると考えられますので、その旨を定めますと共に、拂下に当りましては、鉄道國有の原則に反せず、且つ公共の利益と合致した限りにおいて行うことを明らかにしております。又この拂下を実行するに当りまして最も問題になりますのは、讓渡價格を如何なる点において定めるかの点であります。本法律案におきましては、國が地方鉄道買收する際の買收價格算定方法と同樣の方法算定した額を基準にいたしますが、その後の経済情勢の変動及び企業運営能力をも考慮いたしまして、不当な拂下とならないように、公正妥当に定めることといたしました。又、職員につきましては、拂下路線又は讓受会社に密接な関係のある者は、その申出によりまして、当然会社が引継がなければならないこととし、且つ、その際に不利な取扱を受けないように特別の保護規定を置き職員諸君の待遇の保障に万全の措置を講じております。  以上申述べましたところによりまして鉄道拂下を行う次第でありますが、その公正にして適切な実施を確保をいたしますために、重要な事項につきましては、この法律により運輸省に設置されまする國有鉄道讓渡審査会愼重審議を経なければならないこととし、その委員につきましては、その重要な職務にふさわしいように資格を特定し、且つ、両議院の同意を得まして内閣が任命することといたしました。以上本法案の要旨を申述べました。何とぞ愼重御審議の上、速かに御可決あらんことを切望いたします。
  5. 木内四郎

    木内四郎君 今日は本会議もあり時間がありませんから十分にできないことと思いますが、差当り資料一つお願いして置きたいと思います。例えば二十二線の名前も、どんな会社かも知らないのですから、そんな簡單な表もできておると思うのですが、そういうものを、勿論提案者にお願いしてもあれだと思いますから運輸省の方にお願いして、委員長から取つて頂きたいと思います。それからその会社業績ですが、勿論今の御説明によりますと赤字になつておるというお話ですが、拂下げた前の業績比較したものを、或いは又貨物それから旅客輸送状況など戰前から比較したものを出して頂くと非常に審議参考になると思うのですがお願いいたします。
  6. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 承知いたしました。
  7. 小川友三

    小川友三君 只今提案理由をお伺いいたしましたが、ちよつとお伺い申上げます。今木内先生からも御質問がありましたが、又提案理由のうちにもありましたが、これを拂下げて呉れということは第一國会以來相当あつたというのですから、今木内先生のおつしやつたよう資料相当あるものと思います。その点につきまして、赤字続きのところを政府拂下げて、儲つておるところは拂下げないのかという点と、赤字続きのところを拂下げても、経営者は、赤字であつては値よく買わないじやないか、收入があつて財産價値があるのであるから、財産價値の余りないところを民間会社拂下げましてもなかなか採算が取れんじやないかと思います。その点につきまして、相当赤字という範囲がこの國鉄の二十二線のうちでどのくらいの赤字があるのか、統計がないので分らないから、昭和十八、十九年以來どういう赤字であつたかということを大体お示し願えれば結構と思います。  それから國有鉄道財政改善にも大きな寄與があるというが、赤字のところを賣つてしまうのであるから大きな寄與があるでしようが、それを統計的に現わしまして、どのくらいの寄與になるのか、それをお示し賜わりたいと思います。  それから拂下げ金額地方鉄道法によつてやる、併しそれは審議会ような形で審議してからするのだから公正を期するのだと言いますが、これが今爲替が一ドル三百六十円になつておりますからそれから換算して行きますと造作なくできると思いまするけども、そういう点について大体法案ができますると、御見当はどのくらいの買收價格に対して……金額を以てこれを拂下げるかということをお伺い申上げます。  それからもう一つ運輸省に設置される國有鉄道讓渡審査会というものがある。これは國有財産ですからこの審査会というものは、大藏省からの讓與資産ということになりますが、大藏省からこれは加わつた方が非常によかろうではないかと思いますので、大藏省運輸省連合でやるという建前が非常にいいと思いますので、この点につきまして提案者側の御所見をお伺いします。もう少し、赤字続きのものを賣るのですからその拂下げをする会社資金調達計画というものがなかなか成立たないと思います。そこで資金調達計画赤字の線路を買うのには成立つ見込が請願者側からしてあるかないかということを判断を一つお示しを賜わりたいと思います。それからそれは拂下げ会社議事録作つて謄本を副えて來いというのでありますが、営業上の收支概算を出さなければいけない、その收支概算が出たらめの概算では無論いけないのでありますから、その概算は現在の経営面から割出した概算でなければならないのですから、それと睨み合せた概算書を、これは政府の方の実績を示さなければ実績が出ないその概算を示して頂きたい。  それから第五條に「地方鉄道法(大正八年法律第五十二号)第三十一條から三十三條までの規定を準用して算出した金額基準として、公正妥当に定めるものとする。」ということが讓渡價格算定法がここに出ておりますので、この算定に当りまして、一番大きな問題はまあこういうもので決めてしまつて何か不当な値段になつてしまつたとか、余り安過ぎるということになつてしまつては、非常に重要な問題でありますので、これは爲替レートが三百六十円ですが、爲替レートがこのままで行きますと……、提案者爲替レート上り下りが三百六十円でどのぐらい安定しておるかという見通しというものを基準にしなければならんと思いますが、その点につきましてお伺い申上げます。それから第七條の第二項に「國有財産法昭和二十三年法律第七十三号)及び日本國有鉄道法昭和二十三年法律第二百五十六号)第四十九條の規定は、」伝々、この讓渡する場合のことが書いてあります。この讓渡する價格が第五條價格が示されておるものと、第七條の第二項のこの算定方法という工合の解釈で、二つの讓渡價格をお入れなさいましたが、その点につきましてお伺い申上げます。  それから第十五條にこのいわゆる拂下げする審査委員役員にはなれないとありますが、社員にはこれはなれるのですか、役員にはなれないが社員になつて、実際は役員以上に実力を発揮する社員に入られた場合はどうするかということになります。役員にも社員にもなれないというならともかく、役員になれないというのなら、社員でも本当の実力を持つ重役と同じよう社員というような形であればなれますから、この立法方法では役員及び社員になれないということが正しいと思いますので、これにつきまして社員ならば入つて構わないかということを先ずお伺い申上げます。それから二十三條ですが、國有鉄道事業特別会計の歳入とすると謳つてつたの國有鉄道特別会計の中に入れてしまうのだ、そうすると今の國有財産法によるところの大藏省の方にも幾らか入れるのじやないかと思いますが、この点につきましてお伺いします。それから國債で買えるというわけですが、國債は今非常に安いのです。國債はどのくらいの値段算定するかということをお示しして貰いたいのですが、今電話國債は一万円のものが四千円くらい、それをもつてもうその評價をですね、今一万円が四千円くらいの相場しかもつておりませんが、そうした國債でもそれを賣つてしまうのかという点につきまして、先ずお伺いを申上げます。
  8. 前田郁

    衆議院議員前田郁君) 私からお答えする方が都合のよい問題についてお答えいたします。尚法文の問題に関しましては、ここに法制局の方が見えておるからその方から御説明申上げます。私はこの拂下の問題でございますが、一應最初経過を申上げた方がよいと思いますが、この問題は第一國会から請願が続けて出て参りまして、そうして当時私共は野党であつたのでありまするが、どうも運輸省の方で毎年赤字が出て参りまして、運賃値上げに次ぐに値上げというわけでございまして、非常に私共運輸委員会といたしましては、これを何とか解決しなければならん、こういうことになりまして、それがたしか第一回國会のときに、委員会におきまして一應この請願を取上げて、一つ研究して見ようじやないか、こういうことと相成りまして、そうして全國五班に分れまして、この買收戰時中買收された線を調査したわけであります。ところが各地の陳情もありまして、沿線の方は今までこれを利用していた方は、相当この問題に対して賛成論が多いのでありまして、尚労組側の方では反対というようなことで、主にさような大別すれば労組側反対という意見が多かつたのです。そこで当時協議しました結果、どうしてもこの問題を一つ取上げてものにしようじやないかということになりまして、芦田内閣のときにいよいよこの法文の作成に取掛かつたわけです。そうして二十三年の十二月に各党各派共同提案ということにしてこれをば國会の方に法案を提出いたしたのであります。そうしていよいよやろうとしましたところが解散となりまして、〇・Kを取るということができないで、遂に今回この法案をそのままC・T・Sから各セクシヨンに廻しまして、そうして〇・Kを貰つたのがこの案でありまして、そうしてこれが民自党最初から手を着けたというよう世間章は流布されておりますけれども、そういう径路でありまして、決して民自党最初から手を着けたものではありませんで、これらの法案提案署名者を御覧下さればよく分りますが、社会党の方も署名されておりますし、社会革新党の方もおり、國協党の方も、民自党も、民自党も全部署名しておる。そして共同提案の形で出して來たわけなのでありまして、最初からそういう歴史的の問題であるわけでございます。それから次に赤字がどのくらいあるかというお尋ねでございましたが、あと運輸省から調ベました資料がございますので、これを差上げますから、そのときに御覧下さればよく分ると思いますが、各線が全部赤字でございまして、各線赤字ちよつと申上げますと、鶴見線が七千百三十五万円、南武線が二千七百八十一万円、青梅線が二千三百九十四万円、五日市線が一千百五十八万円、富山港線が千八百二十六万円、加古川線が七千四百九十二万円、阪和線が六千百八十七万円、添田線が五千二百五十一万円、後藤寺糸田線が三千五十五万円、こういう数字になつております。
  9. 小川友三

    小川友三君 今のことについて……今の二十二線のうち九つしか言つておりませんね。
  10. 前田郁

    衆議院議員前田郁君) これは外の線の資料がまだ今出ておりませんので、実は分つただけをちよつとここで申上げたわけであります。あとで又できましたら直ぐ差上げます。それから財政寄與するということを提案理由にしているがどうかというお話でございましたが、私共は先程お話し申上げました通り、一昨年五百億の赤字である、そういうようなことで少しでも赤字を減らそう、こういうことから出発しましたので、現在もうこれらの九線でも赤字を出して來ているわけであります。これを民営に移しただけでも、この財政改善寄與することができる。尚これを拂下げるということになりますれば、又政府の方でもそれだけの金も入つて來る、こういう点から私共は財政寄與するということを考えまして、実はこの計画を立てたような次第でございます。  それから買收價格はどのくらいの程度かという話でございますが、それはいろいろまだ見ようがありますので、買つた当時は、今の九社十線で、一億七千円ばかりで買つたのでございますが、それで現在政府経営をいたし、設備をいたしまして、現在の評價で三十七億余になつているわけであります。それでこれを運輸審議会において御檢討願いまして、そうして運輸省としても赤字の解消の一端にもなり、尚業者が全然引受けられんという程度では、これも困ると思いますから、適当なところでこれも折合つて行くべきではないか、こう考えている次第でございまして、運輸審議会には相当の方がお集まりになるわけでありますから、その方々に十分御研究を願えることと存じている次第であります。  それから運輸審議会の問題についてのお話でありましたが、これは最初運輸省内に讓渡審査会を設けるということで案文を作つたのでございますが、六月一日に運輸審議会というのができますれば、当然これに移すということに附則で謳つて置てたのでありまするが、今回衆議院修正案でこれははつきりと運輸審議会にかけるということで、修正案をお手許に差上げてあるのであります。  それから資金調達について、引受はる会社ができるのだろうかというお話でございますが、これは大体できるのではないな、私もはつきりお答えできませんが、まあできると思うのでございます。  それから衆議院修正の箇所でございますが、兼職の問題で運輸審議会委員兼職できるかどうかというお話でありますが、この問題は私共も非常に愼重審議いたしたわけでございまして、最初運輸次官委員長になる、それから兼職はできないということでありましたが、どうもこれでは立派な人材を迎えることができないだろうという点から各派いろいろ相談いたしまして、そうしてつまり運輸大臣並びに審議会が許可する場合は、兼職差支ない、こういうふうに修正いたしました。更に委員長次官でございましたけれども、これは委員の互選ということにいたしまして、そうしてC・T・Sの方に参りましたところが、〇・Kが取れたようなわけでございまして、衆議院の方はさよう修正をいたしたようなわけでございます。それから條文のことにつきましては、國有財産局長が來られたようでございますから、そちらからちよつと説明を願いたいと思います。
  11. 森下政一

    森下政一君 私は先程御説明のあつたときに遅れましたのですが、只今この提案理由説明という印刷物を頂載しましたので、これを拜見いたしまして、大体これが御提案理由だと思うのであります。  戰時中に買上げました鉄道が二十二線ある、ところで提案者趣旨は、その中で毎年相当赤字を出して我が國の國有鉄道財政一つの負担をかけておると思われるものを民間拂下げよう、こういうお考えじやないかというふうに思うのでありまするが、若しそうであるならば、大体提案者において、二十二線の中でどれとどれという目安をつけておいでになるのじやないかと思いますので、拂下げを予想しておいでになる路線名称を承わりたいと思いますのと、それから凡そこうしたものを審議いたしますについては、單にその赤字が出ておるということだけでなしに、戰時中買收しました二十二線、そのすべてにつきまして、いろいろな角度から檢討いたしまして、買收適当なものがどれどれであるというようなことを決めなければならんのじやないかと思うのであります。そこで大変いろいろな資料を要求いたしますが、先刻木内君からでしたか御要求もあつたようですが、運輸当局がどなたかおいでになつておると思いますので、運輸省事務当局で御手配下されば直ぐできることだと思いますから、次のよう資料一つ御提出願いたいと思うのであります。それは戰時中買收した鉄道買收價格関係であります。それから戰時中買收しました鉄道名称、それからその営業キロ数買收当時の建設費、それから平均利益買收價格、若し買收に際して國債を交付したとするならば、國債交付額、それから若しそれらが拂下げの申請をしておるとするならば、拂下申請額、更に再評價價格財産の増上、そういつたものを御提出願いたいと思います。更に第二は、買收線買收前後の営業成積比較、特に戰後におきましては、運賃改定のときが再々あつたわけですが、その都度の大体営業成積比較を知りたいと思うのであります。即ち資産表貸借対照表、それから運輸の量、従業員の数、收支一覧表といつたようなものが是非見せて頂きたいと思うのであります。更に第三には、買收線買收後の建設改良というものが恐らくは加えられておるのではないかと思いますが、その買收後の建設改修状況並びにこれに要した費用が、各年度にどれぐらい必要であつたかというふうなことが知りたいと思うのであります。更に又この買收線における旧会社時代の施設なり、或いは車輛等の残存しておるものがあるだろうと思うのでありますが、その残存の状況、それから第五に、國有鉄道に対して年度別資材及び資金計画とその実績。第六には、私有鉄道に対する年度別資材及び資金計画しその実績について。それから最後の第七番に、若しこの拂下を予定しておいでになる路線があるとするならば、その沿線産業状況等について、大体概音の得られますよう資料が頂載できれば結構である。かように思います。
  12. 前田郁

    衆議院議員前田郁君) 只今お尋ねの二十二線あつたものを、只今九社十線に分つということでありましたが、それはその後解散いたしましたり、いろいろの都合会社の存立しないものが出て参りまして、現在会社が残つておりまして、そうして請願をしておるものが九社十線になつております。それを取上げたわけであります。それから今の参考資料でございますが、大体のところは、政府で拵えたものでありますから直ぐ差上げるようなことになるだろうと思いますが、尚それに漏れておるものは、後で又資料を作つて頂きまして提出いたすつもりであります。
  13. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚重ねて申上げて置きますが、本日は運輸大藏連合委員会でありまして、先ず大藏委員の方から先に御質問を願うことに御了解を得てありますから、そのつもりで一つ順次御質問願いたいと思います。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと資料のことで、衆議院でこうした修正案が出ておるそうですが、私はその修正案を手に入れてありませんが……
  15. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 修正案はすでにお配りしてありますから、今差上げます。
  16. 小川友三

    小川友三君 條文に対する答弁の前に、只今提案者側の話では、九社十線の買入價格は、昭和十八年、十九年を通じて一億七千万円である。それを三十七億余万円でこれを讓るというような話でありましたが、昭和十八年、十九年の貨幣價値から、現在三十倍くらいの品物はどこにもありません。これは百億以上の品物であると思いますが、昭和十八年当時の價格の三十倍ぐらいのものは殆んどない筈ですが、そう安いものは、三十七億という算定は誤りであつて、これは百億以上の評價であると思いますが、この三十七億余万円の評價をどこからお出しになりましたか、ちよつと伺いたい。
  17. 前田郁

    衆議院議員前田郁君) 今のお尋ねの問題でありまするが、一億幾らのものを三十七億になつておるが、今の時價相場に合わんじやないかというようお尋ねように思うのでありますが、これはいわゆる時價相場として計算になつたものでなくして、いわゆる企業として、運輸省が一應引上げられたものは、その当時の値段やその他でこうされたと思いますが、詳細の細かいことは私タッチしておりませんから、今ちよつと申上げかねますが、どうか惡しからず。
  18. 小川友三

    小川友三君 一億七千万円であつたものを三十七億で買いますと、二十二倍弱ですから、これは今ボギー車が一台百三十万円かかります。百三十円、当時昭和十八年頃で約三千五百円、そうすると、三百倍以上になつておりますが、丁度この國有財産が非常に上つておる。それをぐつと切詰めて、いやに安く捨値のようにして賣つてしまう。そうして個人の財産を少くするということに結び付きまして、これは非常に安過ぎます。こうした評價では、又後日拂下疑獄事件とかが起ると困りますから、とにかく正当な評價を、誰が聞いても成る程と納得の行くよう評價がないと、大きな間違いが起ると思いますが、昭和十八年頃は、枕木が一本二円かそこらですが、現在松の枕木で三百円、「ひのき」で八百円か九百円、非常に財産價値が百倍ぐらいになつておりますが、この点を勘案して頂きたいと思いますが。
  19. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚提案者の一人であるところの衆議院議員の佐藤榮作君が御出席になつておりますから、それから大藏省國有財産局長の舟山君も御出席になつておりますから、御質疑がありましたらどうぞ。
  20. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 小川さんの御意見御尤もでありますが、実は今回のこの法案は、先ず授権立法をいたしまして、政府拂下げ得るという鉄道を一應予定したわけであります。これは先程提案者の方で、提案理由の御説明を申上げたことと思いますが、戰時中に、戰時授権によつて國家が買收した鉄道は、いわゆる地方鉄道買收法規によらないでやつたものでありますので、その特殊性に鑑みまして、今回民営に移し得るということを一應考えたわけであります。それでこの法案の中にあるごとく今後この二十二線の中からいずれの線を具体的に拂下げるかという、こういう問題になりますが、これは今後に残された実は問題であります。その場合におきまして、運輸審議会等において、拂下げをする範囲、車輛は幾らやるとか、或いは土地はどういうようにするとか、こういうよう拂下げの範囲、又は当時の建設費であるとか、或いは收益率であるとか、或いは新線建設費等の時價等を勘案いたしまして、適正價格を決定し、最後に両院の御同意を得まして、この案を実施するということに実はなつておるのであります。只今意見のありました價格そのものにつきましては、内容等につきまして、個々に亘つてもつと具体的に精査いたさないと、いずれが適正價格なりや否やということを判断することは困難ではないか。ただ先程申しましたことは非常な大雜把な目安として見まして、一應三十数億というよう評價も可能ではないかというようなことを申したのであります。従いまして今後授権立法が幸いにして皆樣の協賛を得まして、そうして政府が今後民間拂下げ得るということになりますれば、具体的線区についてそれを拂下げをするかどうか、又拂下げの範囲はどうなるか、その價格は如何にして決定するか、この法案の原則に基いて愼重に公正に價格を決定するということになるのでありまするので、先程の三十数億の点は只今申上げる程度一つ御了承願いたいと思います。
  21. 小川友三

    小川友三君 関連しておりますので……前佐藤長官がお見えになりましたのでお伺いします。金融面ですが、さてそれじや拂下げると大体決まつた、決まつても買う方が金がなくて、手形で賣るのか、手形でも賣りますか、或いは國債で賣れると書いてありますが、國債で賣りますか。或いは年賦拂いで、これは公共機関ですから、年賦拂いの場合は十年年賦であるか、二十五年年賦でやるかという大体の御腹案があるかと思いますが、こうした纏まつた七十億とか三十億とかいう金はどこにもない筈でありますので、それでは政府では特に金融機関から出すかということにてつきまして、ちよつとお伺いいたします。
  22. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) この國有鉄道拂下げ法案は、この中にも謳つてございますように、國有財産の法の大きな例外を立法を以て実施しようとするものでございます。國有財産の法の規定は適用しないということになつておりまするが、ただ代金の点につきましては交付公債で以て納付できる、これは國有財産法と違つております顯著な一つの点でございます。但し又この規定によりまして國有財産法三十九條でございますか、準用されておりますから、五年以内の年賦延納ができるということに相成ります。その外、國有財産法拂下げにつきましては、金融面は全然別個な問題として扱つておりますので、この法案の内容はなしておりません。
  23. 小川友三

    小川友三君 五年の交付公債というお話でしがた、五年経つて、無論赤字鉄道ですからまだ拂えないというので、ずるずるべつたりに切替々々で差支ないのですか。
  24. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 説明が足りなかつたかも知れませんが、この法案の特例といたしましては、もと会社に交付した交付公債で代金が納入できるということが一つ國有財産拂下げの例外でございます。普通の場合ですと現金で必ず納付しなければならない。これを半面から申しますと、國家は直ぐに現金の手取りができない場合があるということでございます。それからもう一つ、それとは離れまして、やはり政府拂下げの場合の原則といたしましては、一時納付でございますが、國有財産法に特定の場合に限つて五年以内の延納を認めるという規定がございます。それをこの法律でも準用いたしているようでございます。
  25. 小川友三

    小川友三君 交付公債というのは額面が非常に低いものですから、前に貰つたものは非常に値打が下つております、物價が上つてしまつたものですから……。それを持つていた人は一億七千万、まるまる貰つてもそうですが、その半分現金で、半分交付公債だと思いますが、そうするとあと金ができないと思いますけれども、これは五年以内の延納を認めるということになりますが、その資金面です、延納を認めるというけれども、手形で拂うとか、或いは公証契約で行くとか、どういう契約で行くとか、それまでは私鉄に付して名儀を変更しないで、そのまま政府は持つているかという解釈を一つ……
  26. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 國有財産法の扱いといたしましては、延納の特約と申しますのは、拂下げの意思が一致いたしましたときに、この所有権を相手方に移しまして、ただ代金は延納するということでございます。これをこの法案でも準用しているようでございます。
  27. 小川友三

    小川友三君 そういう場合に、それじや國有財産は却つてつてしまう危險がある。財産は向うにやつてしまつた、拂う方は赤字々々で拂えないから持つて呉れ持つて呉れで、いわゆる大連租借の九十九年みたいになつてしまつて、何かあるのだか、ないのだか分らなくなつてしまつて、結局只で鉄道を國民に呉れてしまつた、私鉄に呉れてしまつたという形態になる虞れがありますが、それに対して片方は、財産を拂わないうちは渡さない方がいいと思いますが、如何ですか。
  28. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) その場合に備えまして、國有財産法におきましては、確実なる担保を徴するということになつております。それで運用といたしましては、当該財産をも担保に徴し得ることにいたしております。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今小川委員の御質問に関連いたしましてですが、その御答弁を聽きますと、交付公債で代金を支拂つて行くということが、この法案の非常な特徴であり、國有財産法の適用を除外しているというお話つたのですが、この國有鉄道拂下げ目的は一体どこにあるのか、お伺いしたいのです。先程お伺いしますと、戰時中に私鉄の買收に適用しないで、戰時立法によつて買收したから拂下げるのだと言う。それだつたら、外に戰時中にそういうことによつて買收したものは鉄道ばかりじやなく、沢山あるわけであります。それは皆政府拂下げるのか、その点一つ……  それから我々聞くところによれば、自由党の吉田内閣としては、財源を得るために國有鉄道拂下げる、これが一つの大きな政策になつていると思うのです。その場合、國有鉄道拂下げて、交付公債でその代金を拂つて貰つたとき、それをどういうふうにしてお使いになるのか、政府の財源に充てるのか、若しか交付公債を受取つたら、日本銀行に持つてつて担保にして金を借りるか何かしなければ、政府には使える財源にならないと思います。交付公債で物は賣買できないと思います。ですから交付公債で代金を貰つたのでは、政府の実際の財源になりません。それはどういうふうにして財源にするか、それを担保にして日銀から金を呉れというなら、一つのインフレ的の作用を持つて來ると思いますが、この点についてはどうお考えになつているのか。  更に目的として、赤字になつている鉄道拂下げると言う。そうすれば鉄道会計においては、これまでの赤字の負担がなくなるから、鉄道会計は樂になるかも知れませんが、これまで國有鉄道だつたからこそ、赤字を出してまでもそういうものを経営して、その代りに代償として國民が生活の利便というものを得ていた。若しか今度赤字のある鉄道拂下げて、民間でやる場合には、赤字を負担し切れないとしたら、その利便との交換はどうなるか、利便は恐らく國鉄経営していたように利便は図れないと思うのですが、その点根本の目的ですね、一体財源のためにするのか、ただ戰時立法で買上げちやつたから今度拂下げてやるというのか、その点をはつきりお伺いしたいのです。
  30. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 私からお答えいたしますが、先程提案者前田君からも拂下法案を立案いたしました趣旨は十分お話し申上げたことと思いますが、要約して申しますれば御承知のよう鉄道國有法という法律がありまして、公共の用に供する鉄道は國有にするという原則が非常に古くからでき上つておるわけであります。それには併し但書が附いておりまして、但し地方の交通のものはこの限りに非ずと申しますか、民営でもよろしいということにこれはなつておるのであります。御承知のよう國有鉄道が國の大部分の鉄道を担当しておりますが、同時に又地方鉄道として一般の公共の用に供せられる、鉄道の免許もしておる、この國の國有の原則を遂行いたしますために、地方鉄道に対しては政府はこれを買收することができる、いわゆる政府民間鉄道買收でありますが、その規定がありまして基本的な國有の原則を堅持して参つておるのでありますが、ところが戰時中に買いましたものは特別の用途でありますために、特別の目的のために買收いたしましたので、当時の買收法規をそのまま使うのでは実は不十分であります。そのために戰時特別授権立法をいたしまして、政府地方鉄道買收することができるというので、在來の規定によらないで買收することができるということに実は相成りまして、昭和十八年、十九年に二十二線を買收いたしたのでありまして、その経過はこれ又木村委員は、十分御承知のことと思います。ところがこれらの鉄道につきましては、終戰直後からこの線区を民間に返して呉れ、拂下げをして呉れ、という請願が衆参両院に数回実は出て参つておるのであります。衆参両院におきましても、この請願事案を取上げまして、すべて採択がされておる、その趣旨に副うような処置をとるような院議と申しますか、それがこの請願事案については非常に強く出て参つておるのであります。いわゆる政府自体は御承知のように、鉄道の独立採算制を今回は思い切つて堅持し、その線について鉄道経営につきましても大改革を一つ断行しようという時期に実はなつてつておるのであります。そこで鉄道といたしましては、基本的な鉄道國有の國の基本方針にも反しないものでありまして、そうして、一方只今申しましたような特殊な状況において買收された線区であり、衆参両院におきましても、その請願事案については同情的な処置をとられたものであります。これを民営に拂下げることは必ずや國鉄財政改善する一助になるだろう、実はかような考え方を持ちまして、この法案政府自身も賛成するように実はなつたのであります。併しこれを政府提案にしないで特に民主自由党の所属の私共が提案いたしましたゆえんのものは、二十三年の暮にすでに衆議院におきましては社会党、社会革新党、同時に國民協同党をも含めまして、民主自由党、それから民主党も勿論でありますが含めて、二十一名ばかりの方々でこの拂下げ法案を議長の手許まで一度出されたことがあるのであります。大体において各方面の空氣は、只今申上げるような敗戰後の請願の実情に副い、又政府自身は只今申上げます國鉄財政の建直しをする、そういう観点から、それの一助にもなる得る案だといたしまして、実はこの案を取上げて参つたような次第であります。  財政確立のために必要なのか、こういう御質問でありまするが、只今申上げる程度の一面においては民意、一面においては財政確立の一助になる、こういうような観点で実はこの案がスタートしておるのであります。  そこで問題になります、もともと成績の悪い鉄道じやないか、それを民間で買つてうまく一体やつて行けるのか。もともと鉄道自身は公共の利便増進が本來の趣旨であります。これが十分達せられるか。この御疑問の点でありますが、私共が鉄道のこの経営を見ますると、各線区には線区相應の経営方法が実は立つように思うのであります。御承知のごとく國有鉄道では特別急行列車を始め、貨物にいたしましても非常に長大な列車が走り得るようになつております。又非常な重量品も送れるようになつておる。そこで機関車或いは客車、貨車の構造等にいたしましても、相当重量のものができ上つておる。それに相應するように橋梁であるとか、或いは隧道とか、そういう構造物も相当思い切つて民間鉄道と比べものにならないような立派なものが実はでき上つておるのであります。併し個々の線区について考えて見ますと、この一つの規格を全部に必ずしも適用しなくてもいいと考えられるのであります。勿論國有鉄道も一本の規格で全体を経営いたしてはおりません。数段階に分けてはおりますが、もつとこの程度を低めた運営によりましても、十分地方交通は実は賄い得るようにも考えられるのであります。そこでこれを民営に移しますれば、國有鉄道の規格においては赤字になるというものでも、その地方の実情に即應するよう経営方式を採りますならば、ここに工夫の余地は相当あるのではないか。勿論買收價格そのものについてもいろいろの論議もあることだと思いますが、今後の運営につきましては必ずやその線区に適應するものが考えられるんじやないか。而もそれが利便供給の点から非常な不都合があるのかと申しますると、不都合はない。十分賄い得るということも考えられる。一つの例を取つて申しますれば、國有鉄道の方では一つの列車單位をできるだけ大きくしてやろうということを考えておまりす。だから地方の支線区におきましては列車回数が非常に少いという不平をいつも伺つておるのであります。一方民間鉄道の場合でありますと、その線区相應の実は規模の列車を動かしておりますので、その線区におきましては列車回数は非常に多い、却つて民営の方が便利だというようなことも実はあるのであります。これは一概に民営の方では十分賄えないかと、國有でなければならん、こういう國有或いは民営の議論によつて解決されるのではなく、具体的な線区において如何なるサービスを提供するか、そのサービスの提供の仕方によりましては十分実情に合うような運営が可能なんであります。機関車も國有鉄道ならば五十数トン、或いはもつと大きな機関車が走る。併しながら民間であれば二十トンか三十トンの機関車でいい。そういたしますれば、レールも國鉄ような大きなレールである必要はないし、橋梁の強度ももつと弱くてもいいというようなことになるのでありますので、この経営の主体が変ることによりまして余程経営上のうまみというものは実はあるように考えるのであります。私共はこの法案を考えましたものの、只今御指摘になりましたように、鉄道そのものは利用者本位、國民本位にすべて考えて行かなきやならない、だから経営の主体が変わることによりまして、その利用者に非常な不都合或いは不便、或いは不利益を與えるというようなことは、これは十分に注意をして避けて参りたいと、かように考えておるのであります。只今問題になりましたところの二十二線区というものはそれぞれ地方的な交通を果しておるようなものであります。戰時中特別な必要から経由路線として是非ともそれを買收したいというような、例えば播但鉄道というものがありますが、これは特別に鉱石を輸送するために通過線区として是非とも鉄道に編入したい、或いは港の関係で富山の臨港鉄道のごとく非常に短いものでありますが、これは富山港を特別な戰時的目的のために使う、そのために特に鉄道に編入したいという特別な用途でそれぞれ実は計画されたものでありますので、買收したときの手続も相当強力であつたし、又その後情勢も変つておりますので、一應拂下げ得るという授権立法をこの際して頂きまして、その後の情勢の変化によりましてこれは全部が全部必ず拂下するというものではないのであります。いよいよ具体的に拂下をするかどうかその範囲等は運輸審議会におきまして愼重審議もされましようし、更に又要しますれば関係方面の意見を聽くということも当然でありましよう、又最後のところにおきましてもその決定された線区に対して最後の同意を與えるかどうかということは両院に残されておる、かようにいたしまして実は十分に只今御懸念されるようなことのないようにいたしたいと、法案といたしましては相当工夫をいたしたつもりであります。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今お話を承わりましてこの法案提出に至りました経過、それから目的等についてはよく分りましたのですが、その目的のうち先程お伺いしたのですが、やはり財政の確立に資するということも一つの重要な目的になつているというお話でありましたが、その点について主として私はお伺いして見たいと思つたのですが、代金の支拂の方法はどうするのですか、これを登録公債で受取つたのでは、これは財源の足しにならない、例えば財産税を得る場合政府が公債とか不動産で納められた場合、これは直ぐに財源にならないわけです。これを賣るか、換價しなければならない。若しかこれをそうでなく日本銀行に担保にして、それで換價するとすれば、これは又通貨の増発になつてインフレになる。そういう関係にあると思うのです。ですから登録公債で代金を納めていいということ、それから又延納を認めるということでは財政の確立に資するという面は非常に消極的で、赤字路線を手放した、從つて赤字が前より少くなるという非常に消極的な面しかない、賣ることによつてつて來る代金によつて國家財政に資するという面は甚だ乏しいのじやないかと思うのです。而もこれが國有財産拂下げることによつて財源を得るということは民自党政府の非常に大きな政策の一つになつている、從つてそういう代金支拂の方法ではどうも財源にならないと思うのですが、これはどういうふうにお考えになつておりますか。
  32. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 鉄道財政改善ということを申しました。只今木村委員の御意見通り、只今ここで幾らの金をどうしても積むんだ、これまでの実は強い考え方はこの案自身ではまだ出ておらないのであります。御承知のように今回の予算といたしましては一應予算もでき上つておることであります。ただ私共考えまして、又どなたもお考えになりましてお分りだと思いますが、現実に鉄道自身として相当赤字になつておる、而も経営その他の点につきましては相当の破綻になつておる、而もそれが経営主体を移すことによりますれば必ずその方面において一般の交通需要も満たし得、而も鉄道自身の赤字はそれで消えるということになりますれば、これは明らかに鉄道財政改善の一助になるのだということが実は言えると思うのであります。ただ問題はそういう場合におきまして双方買い手と賣り手の立場のことも実は考えて参らなければならないのであります。御説のごとく賣りますものが全部現金で処分される。これが先ず第一に望むところであります。併しながら十分信用が置け、又長期に亘りましても何らそこに不安がないということになりますれば、特別な國有財産法の処分規定の三十一條を準用することもできるということでありまして、これは必ず準用するというけわのものでは実はないのでありまするが、その一應の便法も設けて置くことがやはりこの趣旨を生かし本筋を実施する上において最も有効ではないか、実はかように考えておるのであります。お話の点は私共も基本的には至極御尤もな御意見だと思いまするが、只今申上げます買い手売り手の関係から考えますれば、一應三十一條を適用することも差支ない、むしろそれがこの問題の実際的処理としては幸いするではないか、かように考えます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだその点はつきりしないものですが、実は今度の二十四年度予算において租税負担が非常に重い。それで吉田内閣としては今後その租税負担を軽めるために、シャウプ博士が來て税制についていろいろ考えるし、又國有財産拂下げることによる財源を以て租税負担の軽減に資する、そういうことが大きな一つの政策になつておると思う。その一還としてこういうものが取上げられた。勿論お話の通り前から問題になつておりまして、戰時中強制的に買上げたものを又ここで元の所有者に返して呉れという請願が沢山あつたので、衆議院の方でもそ請願を取上げてこういうことになつて來たということはお伺いしたのですが、政府においてもそれと同時に財政の確立に資するというので、そこで両方意見が一致してこういう案になつて來たと思うのですが、政府の側としてはこれまで一應そういうふうに國民の租税負担軽減の一つの有力な具体的な政策として発表しておつたのです。國民としても恐らくそういうことができるならば相当期待しておると思うのです。ところが具体的に言つて今のお話ですと、それが実際には現金で入つて來なければ、実際問題として交付公債では財源の足しにならないのでありますが、併し先程のお話ように第八條で國債証券で支拂することができるというふうに書いてあるのは、これは原則ではなくて、そういうこともできるというふうに規定しておるのだというお話、又國有財産法の適用ですが、これを除外するということも、そういうことができるということであつて、原則は現金でこれを納めるのだ、そういうことはこれにははつきりと出てないのです。むしろこの登録公債で支拂うことができるということの方が非常に強く出ておる。そちらの方が原則のようにできるという言葉でありますけれども、そういうように思われる。その点は実際問題としてですね問題になるのじやないかと思います。
  34. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 基本的な問題として財政を建直して國民負担、いわゆる税を軽減しろ、こういう御意見でありますが、御承知のように、特別会計でありますので、鉄道自身といたしましては、この特別会計の独立採算制を実は堅持する。御承知のように、二十三年まではこの特別会計である鉄道会計へ一般会計から援助を頂いておりました。それを今回は切りまして、そうして鉄道鉄道收入において賄つて行くという独立採算制を堅持する立場になつてつたのでありますが、むしろこの財政が堅実になり、基礎ができ、所要の改革等ができ上れば本筋の利用者の便益の増進する方向にそれらの財源を使つて行くということが望ましいものだ、かように考えております。  その次に只今の登録公債云々の問題でありますが、先程も前田君からもお話申上げましたように、戰時中買收された鉄道は、当時特別な登録公債を公付されたのでありますが、而もその登録公債の処分の方法がなくて、実は会社は生産に入ることも禁止され、ただ單に公債の保有会社として存続をしておつたような次第であります。從いまして只今の線区を拂下げるというような場合におきまして、若し在來の会社がその線区を引受けるというようなことになりますれば、在來の会社が保有しておりますところの登録公債を以て支拂うこともできるということでありますが、本筋の原則は明記はいたしてありませんが、これは特別な事柄でありますので、特にここに明記する必要を感じたのであります。登録公債の價格自身は、先程小川委員から御質問がありましたのでお答えしましたように、常時の買收價格と今回拂下げようとする價格との間には非当な開きのあることは当然でありますので、この登録公債を以て全部の支拂いができるとは考えられないのであります。
  35. 小川友三

    小川友三君 これは前の会社が買わなかつた場合は第三國に賣ることになりますか、その点ちよつとお伺いしたい。
  36. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 只今この法文に書いてあります拂下げを願い得る條件を備える会社は、第二條でございますが、第二條に書いてあるところの会社拂下げを願い得るわけであります。從いましてこの條件に合致しておりますればよいわけであります。ただ問題は、恐らく数人が競合いたしました場合に、申請者が多かつた場合に如何なる方法によつてこれが決められるかということだろうと思いますが、その点は運輸審議会におきまして十分その内容等も檢討され、主眼とするところのものは、この鉄道拂下げた後に十分國民の交通需要を満し得るだけの才能のある会社であるかどうかということを判断すればよいのではないか、かように考えますので、只今御縣念のような点は必要がなくなるのではないか、で將來運輸審議会であるとか、或いは又最後には先程申上げますように、両院がこれに同意を與えない限り実施はできないのでありますので、まあかように考えまするが、いろいろの御疑念等はそれで解消するのじやないか、さように考えております。
  37. 小川友三

    小川友三君 只今佐藤先生からいろいろ承わりましたが、併しいわゆるこの第二章の会社が買わない、とても高くて引合わない、採算が合わないから買わないと言つてどこにも買手がない。併しアメリカ人であるとか、或いき中國人であるとか、或いは大韓國人というところが買うという場合に、政府は機会均等を外國人には與えないという建前でありますか、この建前に対して御所見を一つ……前長官として御所見があると思いますので……
  38. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 第二章の第四條の第二項の第一号に、線区を讓渡すべきかどうか、先ず第一にそれから決めてかかりますので、そのときに特にそういう点についてのいろいろな御高見を拜聽すればいいじやないか、かように考えます。
  39. 小川友三

    小川友三君 そこでこの間も外國人の生命保險会社、火災險会社を許可する法律案を作つたものですが、外國人がそれは許可しちやいかんと言つて割込んで來た場合を想像した場合に、特にお聽きしたいのは二十二線路の線路の乘つておる総面積……何町何反という総面積。それからそういうものについておる駅の構内宅地であるとか、その他附属宅地、そういう鉄道の総面積を是非知りたいのでございますが、それは曾ては日本は満鉄を買收したようなもので、大韓民族が線路を買收してそれは向うへ移した、或いは中國の方は全部買つて移つたというような例が、今後第三國会へでも賣るということになると、そういうことができますので……この点について日本人の利用するのに非常に不便を來すことがありはしないかと思いますので、その点について心配なものでありますからお伺いします。それからここに陳情書が参つておりますが、阪和線が関西にありますが、この阪和線はやはりこれに入つておりますかどうかこの点もお伺いします。
  40. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 第一点の問題でありますが、この点は鉄道國有法の精神から見まして、曾ての満鉄云云のような御懸念は一切この場合においてはお考えになる要はないと思つております。それから第二点のこの二十二線の中には阪和線は入つております。
  41. 小川友三

    小川友三君 阪和線から田邊市会議長等からも賣られては困る、その理由は速度の低下、或いは輸送力の低下、或いは賃金を中心にして國鉄赤字であつて、私鉄が買つた場合には、二時間置きに出す、或いは三時間置きに出すというようにして運轉回数を減らして行く、今佐藤先生のお話ようにレールを細くして行く、鉄橋も細くして行くということにして節減されて行くと、輸送力に非常に大きな影響を來すので、猛烈な反対の陳情が参つております。そこでこの鉄道は堺市の市会議長さん及び堺市民大会から参つておりますが、この鉄道はずつともう少し延長をすれば奥の方の開拓はできて材木輸送であるとか、或いは鉱山の鉱石輸送であるかとかいうようなふうになつて、或いはお客さんが非常に乗つて引合うのではないかと思いますので、これは線路が短いためにこの線が引合わないのだと思いますが、この点で改善すべき点がございましたならば、もう少し線路を延ばしたならば引合うというような点が、地方鉄道にあるのですが、短いために引合わない。次の町まで、例えば十里なら十里引張れば引合う、短いために引合わないのではないかと思いますので、この点につきましてお分りの範囲で結構ですから一つ……
  42. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 只今お読み上げになりましたように、阪和線拂下げ反対陳情書、又國鉄阪和線在置についての意見書、こういうようなものが、田邊市長或いは堺市の方から参つておりますが、この線区の拂下げといいますか、この授権立法に関しまして、すでに各地からそれぞれ賛成、反対の陳情が参つております。而もそれは相当の量に実は上つておりますので、それだけこの鉄道というものが國民生活と密接なるつながりのあることを実は意味しておるのだと私は考えます。從いましてこれを民営に移します場合におきましては、どこまでもこの利用者の立場に立ちまして、公衆の利便を損わないような万全の工夫が先ず第一になされなければならないところでありますので、この法律案の第二十一條の第二項にも、「会社は、讓渡理由にして、旅客及び荷物の運賃の値上をし、その他旅客又は荷主の負担を増加してはならない。」というようなかような禁止規定も設けておる次第なのであります。問題は今回授権立法といたしましても、各線区のいろいろの事情があることだと思います。先程木村委員お尋ねにお答えいたしましように、十七年、十八年の戰争中の買いましたときの理由とは、その後の地方の発展の状況等によりまして、その後相当つておるところもあるだろうと思います。そういう点は審議会等におきまして、十分愼重に調査もし、そうして公正な審議をいたしたい。そうして具体的な事案の取扱を是非ともいたさなければならない、かように考える次第でございます。
  43. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 木村君の質問の中にありましたこの二十二線のことについてでありますが、この二十二線は全部戰争中に、この戰時立法一本で鉄道買收されたものであるか。或いはその中にはそういうその強力な反対があつたにも拘わらず、これを國有に移してしまつたというのではなくて、戰爭中に経済状勢も悪くなつて、輸送量と言いますか。運送量と経いますか、そういつたものが相当減少して参つたためにこの收支が合わないで、むしろ買收して貰いたいというよう地方鉄道の意向があつて買收したものもあるのではないかというような氣がするのですから……。そういう線につきましては全部戰時立法一本によつて、或いは從來の地方鉄道法によつてこれを買收したものか。そういつた点について御存じであれば一つお答え願いたいと思います。
  44. 前田郁

    衆議院議員前田郁君) 只今お尋ね私からちよつと御説明申上げます。戰時中買收を見ました鉄道は、形式的には戰時立法であり、又地方鉄道法によつて買收されたことは勿論でありまするが、買收その後の各般の事情を冷靜に孝査する場合、果してこの買收が政治的手段による買收であつたかどうかということは疑いなきを得ないわけであります。即し当時は戰爭の最中でありまして、國家総動員法が施行されておりまして、その部分を除きまして更に陸運統制令が制定されて、そうして戰時目的完遂のために一部國民の利害を超越いたしまして、そうして非常措置をとらなければならない実情にあつたのであります。実際においてはこれらの鉄道買收方法といたしましては、協定書も全く一方的に急遽決定するの止むなき状態でありまして、その代價として支拂した公債は登録公債として政府に寄託されておりまして、一般の賣買讓渡に強い制限をせられ、而も会社はそのまま存続すべき旨の指示を受けたような次第であります。又從來の買收鉄道敷設法によつて定められた予定線をば買收せられることが原則でありまして、一年には多くも二、三線くらいを買收するのが実例であつたのでございます。ところがこの十八年、十九年の二ヶ年間に二十二線に及び、殆んどその大部分が予定線に該当しないものであつたのであります。こういう点から鑑みまして、私共は全く戰時立法によつてやつたと言つてもいいというようなことに考えておるような次第であります。
  45. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 諸君に申上げますが、今本会議で以て採決をやるそうでありますから、暫時休憩いたします。    午後二時五十六分休憩    —————・—————    午後三時三十八分開会
  46. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 引続き会議を開きます。尚重ねて申上げますが、この連合委員会においては大藏委員から先に御質問を願うことに予め御了解を得ておりますからそのおつもりで順次御発言の方は委員長の手許まで御通告を願つて置きます。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先程に引続いて御質問申上げたいのですが、この拂下げ法案は先程の質問をもう少し整理してお伺いしたいのですが、これは國家財政の方の、國会財政といいますと一般会計ですが、その方の財源の一助にするということは、この法案にはその目的とされておらないでしようか。その点……
  48. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 一般会計と特別会計と分けておりまして、鉄道特別会計の方の改善に資するということでございます。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法案の第一條を見ますと、「地方交通の利便を増進し、あわせて日本國自鉄道財政改善を図す」、こうなつておりまして、鉄道特別会計の方の赤字をなくして行くというのがこの法案の主たる目的である。そうしますと、我々はこれまで民自党政府が非常に一つの大きな政策として、國有財産拂下によつて財源を得るということが一つの大きな政策になつている。そうしますとこの國鉄以外に相当の財源になるものとしてどういうことを考えておられるか。我々としてはこの國鉄拂下がそういう一般会計特別会計と合せて総合財政一つの有力な財源である、そういうような考え方、又民自党も世間にそういうふうに発表しているわけです。政府も……。ところがこれを今お伺いしますと、そういう意味での財政の確立に資するのでなくて鉄道会計における赤字を少くする、いわゆる赤字鉄道だけを拂げて……。そうしますともう一つお伺いしたいのは、黒字の鉄道拂下げないのか。
  50. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 一般会計の方の國有財産の処分の件につきましては、大藏当局の方らか更に御説明があろうかと思いますが、提案者として考えました点だけについてお答えいたしたいと思います。只今お話のありましたごとく、國有鉄道財政改善の一助にするということが実は狙いであります。その場合におきましても、第一條の第二項に原則をはつきりしているのでありますが、これは鉄道國有法第一條の趣旨を原則として変更するものと解釈してはならないということで一本釘が打つてあるのであります。只今の木村委員お尋ねの点は或いはこういう事柄と一緒になつているのじやないか。民自党がしばしば國営を廃めて民営に移す、こういうことを主張しているのじやないか、その現われとしてこれが出るのじやないか。こういう御疑念ではないかと思いますが(木村禧八郎君「そこまでは考えていない」と述ぶ)この本法案の考え方はそこまで飛躍しているわけではない。ただ先程申上げているよう戰時中の戰時買收によつて買つたものである。それを拂下げることによつて國有鉄道財政改善の一助にもなる。而も鉄道國有法の基本的な精神と申しますか趣旨に反しない、その範囲でこれを処置しようということなんです。一般会計におきましても、各雜種財産その他の拂下げが今日問題になつている。鉄道自身もすでに過去におきましても、古レールの処分であるとか、或いは古機関車その他客車にいたしましても貨車にいたしましても、廃車いたしたものを民間に処分していることがあるのであります。そればかりではなく、戰時中に買いましたいろいろの旅館等も勿論これは買却することだろうと思います。いわゆる筍生活、國民に耐乏を要求している今日でありますので、本筋の業務遂行に支障ない範囲においてこれはそう嚴格な意味じやないのでありますが、勿論從業員の厚生施設として重要なるものはそれぞれの立場において考えられるだろうと思いますが、処分することによりまして、差したる支障がない、而もそれが財政上の助けになるというような場合でありますれば、そういう整理処分を必ずして行く。運賃、例えば旅客運賃を上げるとか、貨物運賃を上げるというような直接利用者の負担増加の方法はできるだけ避けるべきではないか、かように実は民自党としては考えているのであります。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さつきお尋ねしたのですが、そうしますと、この日本國自鉄道財政改善に資するということが主になつている。それで一般会計の方の財源に資するということは考えておらない。そうしますと、日本國有鉄道財政改善を図るためには或るべく赤字路線拂下げることが、これがまあ國鉄財政改善になることは明らかだ。それで儲かつている鉄道は成るべく拂下げない、こういうふうにするのがこの建前から行けば明らかだと思いますが。この前に、戰時中に買上げました会社とそれからその経治状態、赤字のものはどくらいあつて、黒字のものはどれくらいあるかということが資料で分るのですが、そうしてその拂下げる対象はさつきお話を聞きますと、殆んど全部赤字路線であるというお話でしたが、殆んど赤部赤字路線のわけなんですか。
  52. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 一應お手許を差上げました戰時買收地方鉄道関係資料、これの八十三頁の左の角の方に買收線收入原價比較表、これは二十二社全部ではありませんけれども、九社十線分の資料が実は出ております。これはこの材料では御覧の通りすべて赤字になつております。その後運賃等も値上げいたしましものの諸物價等も高騰いたしておりますので、その赤字の率には差したる変更はないのではないか、かように考えております。ただ赤字鉄道というだけでなくて、更に今後問題が具体化しました場合に、この路線讓渡するかどうかという具体的の問題におきましては、ただ單に先程來も御意見が出ておりまするように、赤字というだけでも必ずしもその処置は決しかねるのではないか。と申しますのは、その利用状況でございますね、それらについてもよく勘案いたさないと最終的決定にまでは至りかねるのではないか。これは提案者といたしまして今日お願いをいたしておるものが授権立法であるということを特に強く申上げて私の所見も加えて申上げるわけでありますが、さように申上げる次第でございます。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、大体においては赤字路線拂下げ國鉄赤字を埋める。そういう面から拂下げるというようなことは大体分つたのですが、積極的に拂下げることによつて得る代金を國鉄財政の確立に充てる、或いは一般会計の財源としてやる、こういうことはこの法律の主たる目的じやないのですね。それは何というのですか、拂下げにおける金によつてその財源の足しにするという考えはその中には織込まれていないというふうに考えているわけですか。
  54. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 現実にその財政がどのくらい改善されるかということは、現実に処分された後に始めて実は出て來る問題だと思います。抽象的に先程來も申しましたように、鉄道会計の財政改善の一助ということは申すもののそれじや幾ら改善できるのか、これはこれが、具体化しない限り申上げかねると思うのであります。二十二線区が一應拂下げ得る、その対象になる線区ではありますけれども、具体的にこれを審議いたしました際に、二十二線区全部が果してその民営に移るか、これは後に残された問題のように思うのであります。先程木村委員の御意見のうちにもありましたが、鉄道財政改善のためにはもつと積極的に、廣汎に拂下げ得るということを考えたらどうかというような御意見ようにも実は聞き取つたのでありますが、実は私共の考えといたしましては、今まで國有鉄道として長く経営されているものであります。この法案の第一條第二項に書いてありますごとく、何と申しましても、鉄道國有法の精神は只今のところまだ変える考え方は持ち得ないのであります。さように考えますると、その廣汎な範囲における授権立法は事柄の性質上から見ましても、又鉄道の使命から見ましても実は賛成いたしかねるのであります。今後その問題について更に研究を続けまして、そうして立派な結論を見出せば、或いは只今お尋ねような方向へも向かわないものでもないのでありますが、只今私共の到達いたしましたところの結論では、この鉄道國有の基本的な趣旨はそのまま尊重して行き、而も一面において、特殊な授権立法によつて買收いたした異例なものがある。その範囲を対象にして取扱つて行く、併しながらどこまでも現実に讓渡するかどうかは、更に愼重審議の結果それを決定し、そうして両院の同意を得るというようにして最終的決定をしたい。かように考えてえります。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私が先程質問した趣旨を多少取違えていると思うのでありますが、私は廣汎に鉄道拂下げたらどうかという、そういう意見を言つたわけではないのであります。むしろ反対なわけでありまして、逆なんです。ただこの法律によつて戰時中買收した私鉄を拂下げるという場合に、今後具体的に價格も決まり、それによつてどのくらい收入を得るかということは、今後に來る問題なんでありますがというお話ですが、その場合における代金支拂方法でありますが、第八條によつて決められているものですから、この際、若しか財源の足しになるというふうな、第八條によるような代價の支拂方法では財源にならない、そういうことを先程からか伺いしているわけであります。若しそういう財源の足しにするということは、これは従たる目的で、その主たる目的戰時中強権によつて買收したから返してやるということが主であり、元の所持者に返してやることが主である。今赤字の事情にあるのを、これを拂下げてやつて、その赤字の負担を軽くする、そういう極めて消極的な目的に限られているかどうかを、これをさつきからお伺いしたわけでありますが、今までの答弁によりますと、極めて消極的な目的で、積極的にこれを拂下げて財源の足しにする、そういう意味が余りこれには拂く現われていない。むしろそれは從たる目的である。そういうふうに了解していいわけですね。
  56. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) これは先程申上げましたごとく、今回これこれを民間拂下げて、これこれの財源を必要とする、ここまで強い問題ではないのであります。從いまして二十二線区を全部必ず拂下げしなければならない、こういうわけでのものではないのは、先程來申上げた通りであります。從いましてこのうちからどの程度実際問題として拂下げができるか。そうしてそのとき出まして財源の使い方につきましては、これは御承知のように今回御審議を頂きました予算にいたしましても、相当窮屈なものであります。鉄道といたしましては、施設の改良、車輌の増備等にもつと多額の金が必要だろとう思います。そういうその利用者の利便を増進する方法國有鉄道を使つて行くということになればいいのじやないか、かように考えております。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 更にくどいようですが、國債証券の代金支拂を認めるということですね。これは鉄道拂下げた場合に限つて、こういうことを認めることは、私は非常に公営の原則に反するのではないかと思うのです。それは登録公債を持つている向は非常に沢山あると思うのです。その場合鉄道戰時中買收したために登録公債を貰つた。その人がこれはまあ公債を償還してやるようなものだと思うので、現実における一種の公債償還だと思うのですが、そういう場合に他に登録公債を持つている人との関係において、そういう戰時中鉄道買收した、それによつて貰つた登録公債をこの際だけこれに関連して償還するというようなことは、私は公平な原則から言つてこれは穏当ではないと思うのです。若しかそれなら現実として現金によつてこれを拂下ぐべきであるのに、それをいろいろな形において除外例を設けて、むしろこれは除外例の方が主たるようになつていると思うのです。この点が私はどうしても納得できないのです。
  58. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 國債証券の問題でありますが、買收いたしました鉄道の交付債券は、当時登録公債で全部出されて、而も会社の解散を禁止された際、その公債の処分ができない状況に置かれたのであります。会社は本來の事業経営の主体である鉄道を全部國家に買上げて貰つて、そうして会社はその公債だけを持つ。そうして公債保有の鉄道会社という異例なものが実はできて参つております。それでその会社を、これはいつまでも存続さすようなものではないことは、十分御了承願えるだろとう思いますが、その会社が今後元の鉄道拂下げる、そうして経営は移る、こういう場合が若し可能であるといたしますれば、その際に只今ような特殊な條件を附けました登録公債でありますので、その点は政府が買つてそうして償還したらどうだろう。これは戰時中の一般の公債等とその趣を異にしておると思いますが、特にその会社自身に特別な処分を禁止してしまつておる。そういうような実は実情にあるのでありまして、これが一般会計の方で買いました後に特別会計との間で如何ような決済をいたしますか。これに在來の例もありまして、必ず一般会計が買取るということに相成るだろうと思うのでありますが、そういう在來の特別の経緯もあることでありますので、特にこういう特例を一つ御承認願つたらということであります。その金額にいたしましても、先程來お話がありますように、價格決定の方法についてもいろいろ議論のあるところだろとう思います。一体どの程度の時價がありますか、これは必ずしも額面通りというものではないことは、これはお分りだろうと思うのですけれども、そういうような状態でこの際これを処分しようということなんであります。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今登録公債は自由に処分できないのは、これは登録公債の特色だと思うのです。ですからこの鉄道拂下げたときに交付公債のみが処分を禁止されておるのではなく、外にまだ登録公債、これは沢山いろいろな場合に放棄せられておると思う。それが自由に処分できるならば、それは交付公債としての登録公債のこれは意味がないと思う。外にまだ登録公債として渡されたものは皆そうなつておる。特にこれだけ、この鉄道の場合における登録公債だけが自由に処分できないというのはおかしいと思うのです。その点……
  60. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 御説は御尤もですが、恐らくそういう場合において登録公債が個人に分配されておるのが普通ではないかと思います。この場合は会社自身がそれを株主に分配できないで存続しておる、いわゆる法人がそのまま残つておる、ここに実は変態的なものであるのでありまして、これが更に株主に分配される暁におきましては、只今言われているような扱い方が考えられるのであります。そこの特殊性でございますね。だから当時この登録公債で鉄道を買いましたそれを株主に全部分配して、本来ならばその会社は清算に入るべきだ、清算に入つてしまえば只今申上げるような問題は起らない。ところが定款まで変更して登録公債の保有会社としてその会社が残つておる。ここに非常な無理があると思う。
  61. 板谷順助

    委員会板谷順助君) 今の問題について、登録公債は一時は止められておつたけれども、戰時中買収された会社が解散をして、公債の処分されておるものがある筈ですが、それはどうですか。
  62. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 今委員長から更に御質問がありましたが、只今申すよう会社の清算を禁止いたしました。これが如何にも行き過ぎの処置であるというので、これをその後処分し得るということを実はいたしたのであります。從いまして会社によりましては、その後処分いたしましたために解散をいたした事情のものもできておるし、又そのときの特殊性からそのまま会社が残つておるものもある。そこで二十二線のものがありますが、全部の会社が残つておるわけではない。こういうふうに実に異例な状態がこの関係では起きておるのであります。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 戰時中に……これは一般的な問題になると思うのですが、戰時中に不利益を得たから、それを終戰後の今日になつて、それに対して損失を補なつてやるという意味でやるんでしたら、これは戰争中において犠性なつたものは沢山あると思うのです。それから預金についても、後承知の通り戰補補償に打切りによつて預金もちよん切られておるし、保險金もちよん切られておる。そういう意味で犠性になつた人が沢山あると思う。從つて戰時中強権によつて買収されたのだからこれを返してやるのが至当であるというのでは、非常に不公平になつて來る。そういう点を主たる目的にすれば、こういう点はどうですか。
  64. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 御尤もであります。最初第一章の拂下げを受け得る会社に対しまして、最初は縁故会社が先ず第一に考えられたのであります。これは経過的な審議を申せばさようでございますが、ところが只今お話になりましたごとく拂下げるということになれば、過去の関係会社ばかりが優先的に縁故拂下を受けるということは、これは余り望ましいことじやないわけです。そこで衆議院の方におきましてはこれに対して修正が加わりまして、そうして「等」という一字が入つたわけです。第一條の三行目の中程でありますが「旧所有会社又はこれと密接な関係のある会社等に譲渡させ、」と、そこに「等」ということが入りまして、そうしてすべての会社が自由に平等の立場において拂下の申請をし得るということに実はいたしたのであります。  そこで第二章の譲渡に関する手続という中の第二條の一、二、三、四と項目別に拂下をし得る資格の会社が列挙してありますが、ここにあります一、二、三、四は、これは順位ではないのでありまして、これを順位に読まれますと立案者の趣旨が活きて参らない。これは一だろうが四だろうが同一順位において申請し得るということになるのであります。その点におきましては公平なる扱い方ができるのではないか。そこで、それでは戰時中買つたということは一体どういうことないかということになりますれば、問題は申の会社から買われたというのは、会社の順位が問題なのではなくて、政府が買収いたしました基本法規が戰時授権立法であつた。だからこれは普通の地方鉄道の買収法規で買収しておるのならこれは同一の扱い方をすべきが当然でありますが、この戰時中の特別な戰時立法によつて政府が買収したのだからというので、それだけのものを一連のものとして考え、一應拂下げ得る枠内に実はいたしたわけであります。そこで今度は、…誠にくどい話をうるようでありますが、そういう鉄道をそれでは誰が拂下をお願いするかと言えば、恐らく前の経営会社であつて、そうして今尚残つておるとしたらそれもきつと拂下を要望して來るだろう。或いは又その地方沿線の人達で特別な会社を作る場合も考えられるだろうし、或いは又その鉄道関係を持つ、連関を持つ鉄道が総合的に経営したい、こういうような場合もあるだろうというようなことを考えまして、第二條に拂下を願い得るものを実は列挙したような次第でございます。その間に一、二を設けない、順位を別に定めたわけではない、かように御了解を願いたい。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうことを伺うとますます分らなくなるのですが、戰時授権立法によつて買収したのだから譲渡してやるというこれが根拠になる。そうなりますと、國家総動員法自体が全体としての授権立法だと思うのです。で、総動員法に基いていろいろな各方面において政府が強権をされて、例えば強制疎開をやらしたり、工場の疎開をやらしたり、いろいろやつておるわけなんです。そういうことで特に違わないと思うのです。特にこれだけが戰時授権立法によつてそういうことが行わけたというふうに区別して、特にこれに重点を置かれるのは、その論拠とされるのは、分らないと思います。
  66. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 若しもこの法案が戰時授権立法によつて処理されたしいうことだけのために扱うものでしたら、御説の通りだと思います。ただこの法案は戰時授権立法も一つの條件でありますし、それから國有鉄道財政改善を図るということも一つ目的であります。同時に又地方公共の利益に合致するという制限條件も実はあるわけであります。從いましてその一つだけの立論でこの案を実は推し進めるわけには参らないのであります。更に又第一條第二項にありますごとく、鉄道國有法の基本的趣旨を損なわないということはもう根本に考えて参るべきものでありますので、他の産業と直ちにこれを比べまして、以通つた面もあるだろうと思います。これと同じよう趣旨のものはちよつと他の面では考えにくいんじやないかと私は思うわけであります。これは私共といたしまして、一般の財産なり、一般の事業なりについて、同一の原則をこの際打ち建てるというので、党として突き進んでおるわけではないのであります。すでに御承知のごとく、國有財産の処分ということは、政府自身も決意しておる。そうして政党、民自党もその線において努力をしておるわけであります。その場合に一つ変つたものだけをいわゆる戰時授権というだけを強く取上げて、他のことを考えないでこの処分はできるわけのものではないのでありますので、十分それらの点を勘案して実は法案を作つておるような次第であります。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この際政府の方から、この國有鉄道拂下げ以外の國有財産の処分について、どういう方法を財源確保のために考えられておりますか。その点分りましたらお聞かせ願いたいと思います。
  68. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 國有財産は御承知の通り、國が行政目的のために使つております行政財産と、それから國としては行政目的のために使つておらん、言い換えれば処分してよろしい普通財産とに分れておりますが、例年國有財産拂下げその他の処分を実施しておりますのは、後者即ち普通財産の方でございます。これにつきましては、本年度の予算にも約四十億ばかりの歳入が見越しておるわけであります。それを吉田内閣に至りまして、この際行政財産の方にも何か不用な財産があるのではないか、即ち從來の観念で参りますれば、行政官廳が現在使つておる財産は全部要るということになりますけれども、一つ角度を変えて見まして行政事務そのものも檢討して見れば何かそこで不用な財産が出て來るのではないかという考えができまして、かたわら財源調達の必要もでございますので、この両面から大規模に不用財産というものの調査を始められたのでございます。そこで具体的にどんな財産があるかということになりますと、各省に、大藏省から話をいたしますのにも、若干の具体例を申さなければ話が徹底いたしませんので、そのときの例といたしましては、やはり地方鉄道であるとか、或いは省営バス線であるとか、それから各省に亘りましては、各省のそれぞれ持つております研究所とか試驗所とか、或いは徹底して考えれば、鉄道の持つております修理工場のようなものも、何も直営としていでも、民間に委讓して工事は外注すればいいというような考えも出て参ります。それから國有林野というものにつきましても、果して國として持つておられなければならんものであるかどうか、持つておらなければならんものが全部であるかどうか、こういう点は檢討すべき時期に達しておると思うのでございますが、これは内閣の命令によりまして、各省においてこれらに該当する財産を六月末までに大藏省に報告する。その上これが資金化した場合には、どのくらいの財源ができるかということも併せ考えまして、この内閣の政策として、逐次実行に移す。こういう段取りになつております。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 若しか、概略でよろしいですが、こういう諸財産を処分した場合の、資金化した場合の額、整理の大凡その額はどのくらい大体そういうことはお分りになつておりますか。見当は……
  70. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 行政財産として使つておりますのは、台帳價格がございますだけで、特に毎年評價をし直すというようなことはいたしておりません。その必要がないものでございますからいたしておりません。それに今度どういうようなものが不用財産として見込まれて参るかということにつきましては、その報告が出て見ないと如何とも範囲が分りませんので、從いまして評價した金額の見積りもいたしかねる状況にございます。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今お話ですと、地方鉄道拂下げですね、これも有力なる不用財産一つとなつて、この財源確保の中に入つて、この対象として調査すると、そういうことになつておるんでしよう
  72. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 今般の不用財産の整理につきましては、財源確保即ち或る種の税金の見返り財源を見付けるというようなことが問題になりますると、相当大きな資産でないと目的を達しない、そういう場合には、地方鉄道の或るものなんかは、その対象に入つて來るのではなかろうかと考えるのでございますが、具体的にどれを廃止するかという問題につきましては、運輸行政の問題であろうかと思います。
  73. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 今大藏省からもお話がありましたが、地方國有鉄道の支線区というものは、効用を廃してしまえば、これは只今言われる不用財産ということを言われるかも知れませんが、実はこれは事業をやつておるものでありまして、生きておるものであります。從いまして、個々の死んでおる、死んだ、効用を廃止した財産処分は、線区についてはできる筋のものではないように考えるのでございます。他の例をとつて申せば、例えばバス路線というものがありますが、バス路線をその営業を廃止いたしまして、そうして個々の、自動車、バス一台幾らとして賣るならば、これはもうそれだけの一つ財産処分で結構だろうと思います。併しこの場合はその構成しておる個々の財産もさることですが、一つ事業としての全体を考えて行かなければならないのでありますので、今の大藏省の御説明ではただその鉄道の場合は、ちよつと違いはしないか、だから例えば休止路線だとか、或いは営業を廃止しました線区の拂下げというような態度でここの土地が幾らになるかとか、或いは費用が幾らになるかということは、考えられましようが、今日扱つておるものはそれとは違います。御了承頂きたいと思います。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点ですね、今この法案の対象となつておるような、戰時中政府買收したそういう路線ですね、こういうものも今の民自党政府が、財源確保対策として、不用の國有財産拂下のその対象の中には全然除外されておる、全然含まれて考えられておらない、そういうふうに……これは政府当局の方で如何なんですか、そういうものはやはり対象になくておるかおらないかです。まあそれを調査されましたかどうか。
  75. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 調査の報告は六月一杯に出して頂くということになつておりますので、運輸省からどういうものを出して來られますか、ちよつと分りかねます。佐藤議員のお話もございましたが、趣旨は同じことを私も申上げたんだと思いますが、ちよつと念のために申上げますと、大きな財源の調達が是非とも必要である、それに対してはこの行政機構の縮小或いは政府事務の縮小をも敢てしてもよろしいということになりますれば、鉄道路線地方におけるものはつまり幹線でないものは、この営業を廃止してでも止めるというようなことを考えなければならんのではなかろうか、こういつた種類の問題でございまして、單にもう現在すでに不用路線になつておるという線のレールを剥かすとか、或いは古い重体を賣るとかいうようなことでは、到底大きな財源は上らないであろうということを申上げた次第でございます。
  76. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は先ず資料の提出を求めたいと思います。先程委員長に聞きますと、まだ運輸委員会にも、ここに私共が頂載いたしました資料以外には出されておらないという話であります。今これを見たのでありますが、私が見落しになつておれば委員長の方からそれは第何ページにおるとおつしやつて頂きまして、先ず戰時中買收いたしました路線が二十二線あるのでありますが、そこで、ここに書かれておりますのは、十線しか書かれておりません。でありまするから残りの、二十二線のうち十線を引いた残りにつきまして、当時の買收價格、その後に注入したところの設備費、第三がその從業員数、第四現在の営業状態、第五が登録公債の保有、会社の登録額及び現在所有しないところの会社買收当時登録した額、第六戰時買收線の拡大図面、この最後の拡大図面と申しまするのは、ここに現在図面がありまするけれども、これは余りに小さくて分らない面が沢山ありまするから、もう少々拡大されまして、一つ御提出をお願いしたいと思います。東京附近のことについては私共存じておりまするが、遠いところは分りませんので、こり出を附加えてお願いいたして置きます。続けて質問してよろしうございますか。
  77. 板谷順助

    委員長板谷順助君) どうぞ。
  78. 天田勝正

    ○天田勝正君 質問のうちで他の大藏委員から質問されました重複した点があれば、委員長の方から御注意願います。  先ずこの政府提案理由のうちで、この法案を制定いたしまする理由として、買上げた当時の目的が全く消滅した、こういうことが言われております。私共が聞くところによりますると、この二十二線というものは、必ずしも戰時立法によつて行われたのでなくして、普通の法律によつても行われておるのだと、このように聞いておるのでございます。而も今日見ましても、例えば鶴見臨港鉄道といつたようなものは、地方鉄道とは申しながら、幹線と非常に密接な関係に置かれておるのでありまして、今日の重要産業の重要物資を輸送する、こういう目的から見ますと、この目的が外れたとは考えられないのです。そこで先ずこの買收が先程御説明がありましたように、全部戰時立法で買收されておるかどうか、この点を伺います。  第二は、毎年相当赤字を出しておることを考えれば、この際これを民間拂下げることが將來の日本國有鉄道財政改善になる、こういう御説明でございます。ところがこの法律案を見ますると、逆に審議会にかけた結果、年賦といつたよう方法を考えておるようでございます。これでありましては、國の財政を援助する、こういうよう目的と外れると思うのでありますが、この点は如何ですか。  第三の点は、旧所有会社又はその会社と密接な関係のあるものに拂下げるのが適当である、こういうことを言うておるのでありますが、それではこの旧会社がそのまま残つておる、或いは残つておらないもののその密接な会社とはどの線のどういう会社でありまするか、伺いたいと思います。  第四は、やはり讓渡價格の問題でありますが、この法律の八條を見ますると、「国債証券の引渡價格は、時價及びその交付價格を参しやくして、大藏大臣が定める。」、このことは実際的にはどういう適用になりまするか、幾らの証券を現在にして幾らで評價してこれを大藏大臣が定めるという御意思でありまするか、このことを伺いたいと思います。  もう一点は職員の引継ぎ並びに待遇の保障の問題でありますが、先ずこの際伺つて置きたいのは、職員讓渡された場合に会社に引継がれる希望を出した人はそれでよろしうございますが全員が引継がれることを拒否する、つまり國有鉄道の方へ残りたい、こういうようなつた場合において、今回制定されました定員法との関係は一体どのようなことになるかということであります。実際讓渡すれば、結局いろいろな基準を定めまして、これらの職員が整理されるということになるのではなかろうか、こういう心配があるわけであります。以上概略を質問申上げまして、後又質問したいと思います。
  79. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 先に資料の点について一言附加えて置きます。お手許に差上げてあります資料の中に、七十五ページに「買收價格調」というものがございますが、それは各鉄道名で一應出ておりますが、「営業料、買收の日に於ける建設費平均益金割合、買收價格國債交付額」、これが一應の数字でありますが、更にその後尚御注文のものもあるのではないかと思いますが、大体これで只今お話しになりました大要の賄いはできるのではないかと、かように考えます。これは二十二線全部になつております。  次にお尋ねにお答えをいたしたいと思います。第一点は、これは戰時立法によつたものかどうかというお話でありますが、全部二十二線とも戰時立法によつたものであります。当時の模樣をいろいろお話すれば段々長くなりますが、当時はこれらの会社の中には相互に相当強化いたしまして、戰時需要を賄なおうというよう意見もあつたやに私記憶いたしておりまするが、その中間的な措置を取らないで、思い切つて実は買收したという筋であります。尚その戰時中目的を達してしまつたとか、或いはその目的がなくなつたとかいう点についての御疑念でありますが、これらの点につきましては当該の線区を讓渡するかどうか、これは今後実は残された問題でありまして、私共は先程木村委員お尋ねにもお答えいたしましたように、これらの線区はいずれも戰時の特殊な授権立法によつて買收されたもので、從つて他の買收線区とは別な扱いをすることも可能だという意味合に実は考えておるのであります。從いましてそれらの線区を必ず全部拂下げする、かように決めたものではないのでありまして、ただ政府が必要によりましてはこれを拂下げることができるということは実は相成つておるのであります。今後具体的路線につきましては審議一つ進めて頂き、最終には両院におきましてその讓渡をするかどうか、その他價格であるとか、或いは讓渡の範囲、それぞれの主要なる点につきましての御同意を得なければならないということにいたしておるのであります。尚その場合におきまして在來の縁故会社だけに讓るということは本來の法律趣旨では実はないのでありまして、只今申上げますように、戰時授権立法という点に特に重点を置いているのであります。そこで第一條には、衆議院におきまして修正意見が出まして、この「旧所有会社又はこれと密接な関係のある会社等」と「等」の字を入れることに実はなつているのであります。これはお手許に配付いたしておりますものは、そこに「等」の字が入つております。一般に希望する人は、その経営の才能があると言いますか、同時に又財政的の基礎の確立した会社であれば、拂下げを申請し得ると、又拂下げを受け得る会社に実はなるわけであります。從いまして特別な縁故拂下げというものでは実はないのであります。それから次にこの價格の問題でありますが、價格は第五條價格算定基準的な問題を規定してあるのでありますが、具体的にはあらゆる資料を集めましてそうして精査いたさなければならない、それでその場合におきまして、これは普通の代金決済の方法によるのが原則であることは勿論であります。併しこの拂下げを受けた会社が、從前にその会社経営いたしておりまして、そうして戰時中買收された会社とか、いわゆる公債を保有している、そういう場合でありますれば、先程木村委員にお答えいたしましたよう理由の下において、この國債証券でこれを支拂うこともできる。こういうような特例を設けるというのでありますし、更に又賣手と買手との関係に立ちますので、更に國有財産法第三十一條の規定を準用することもできる。非常に嚴格に考えまして原則通りやりますると、経営の基礎が却つて危くなり、それでは民間拂下げた後に、公共の交通需要を賄うことができなくなるということにもなろうと考えますので、その辺では幾分かゆとりをつける、買手の支拂いにも或る程度便する方法を考えて見よう、それには國有財産法第三十一條の規定がありますので、それを準用することもできるというようにいたしたような次第であります。尚職員の待遇の問題につきまして、これはお説のごとく誠に重大な問題でありますので、この点につきましては、最後は從業員本人の意思決定に俟つべきものだと考えまするが、あらゆる保護の方法は講じて参りたい、かように考えておりますので、原則といたしましては、会社自身がこれを引継いで参る、そうして更にそれらの待遇につきましては、これを低下ささない、その他必要なる命令規定までも実はこれに設けているわけであります。御承知のように、鉄道経営者或いは從業員ばかりの立場ばかりも実は考えかねる、やはり第一段に考えるものは、何と申しましても國民大衆、利用者本位に考えて行かなければならないだろうと思いますので、それらの観点に立ちまして、十分職員の待遇も考え、又経営もそれぞれの経営者の手腕が振えるようにこれを指導し育成して参りたい、実はかように考えております。
  80. 天田勝正

    ○天田勝正君 先ず資料を要求いたしたのでありますが、何しろ今この資料を頂戴したばかりで、私共の方で全部眼を通しておりません。そこで実は御指摘になつた七十五ページを見ますると、私の要求した点を相当書かれておりますところが外にあるかも知れませんが、その後も注入したところのいろいろな設備費とか、或いは從業員数或いは現在の輸送状態、こういうようなことがございませんので、これらの点を後になつていろいろ注文をつけますると、あなたの方でも出しにくくなり、又審議の時間等もありますので、先ず一番先御要求申上げましたので、一つそれらの点について買收線の拡大図面も併せましてお願いしたいと思います。それから質問の続きでありますが、これらの今回立法されます予定になつておる路線というものが、毎年相当赤字を出しておる、こういうことだからこの際民間拂下げるということであります。ところがすでに國鉄赤字というものは、何もこの路線ばかりでなくて、この路線をそうすれば拂下げることによつて國鉄赤字を解消できるかというと、強ちそうだとも考えられないと思います。そこでその原因は、可なり重要産業には安い炭を入れるというよう方法が採られておりますが、國有鉄道は可なり高い炭價で実は石炭を買受けておる、計算されておる、こういうところもあるわけなのであります。そういう点から考えまして、これは意見に亘つて申訳ありませんが、必ずしもこの路線赤字である、特別のものである、こうは考えられません。そこで、実は一般に運賃のことを國鉄とその他私鉄とを比較いたしますると、何としても私鉄の方が高く運賃を取りませんとやつて行かれないのは今も昔も変りはないのであります。こういう赤字路線民間拂下げまして、今度は一方においてはこの法律規定する運賃値上げをしてはいけない、こういうよう規定をいたしましても、これは殆んどできない相談を私から見るとしかけておるような氣がして仕方がない、この関係は一体どうなりますか。実際にこういう國鉄がやつてすら赤字のものを民間拂下げて、そうして運賃が変りなしにやり得るというのは一体どうしたロジツクから出て参りまするか、伺いたいと思います。  それから利用者の点を先ず第一の考えなければならないというお話は、私も誠に尤もだと存じます。ところが仮に運賃を現在通りでストップをするといたしましても、先ずその計画方法でありまするが、長距離になりますとこれは段々運賃が逓減される、これが普通であります。それを私鉄と国鉄と同じ計算式に若しやるといたしますならば、もうこれは実質的にはどうしても高くなる、こうでありますれば、これは何と申しましても利用者に便益が與えられという佐藤さんのどうもお話はロジックに合わなくなるのではないか、こう考えられるのでありますが、今後拂下げた後の運賃の計算方式を如何なさるお考おであるか、伺つて置きたいと思います。
  81. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 天田委員お尋ねは、同時に國鉄経営の基本に触れたお話に実は考えますので、これは鉄道当局からお話しするのが実はいいかと思ますが、私の私見に亘る話を申上げて誠に相済まないのでありますが、そのお許しを得まして一言私の意見も聞いて頂きたいと思います。國有鉄道赤字は、実は非常な苦心をいたしてはおりますものの、簡單にこれを克服することは実は容易でないのであります。ただ一つの問題を持つて参りましてそれで國有鉄道赤字が解決するというだけのものではこれは絶対にないことは御承知の通りであります。経営の面におきまして、各般に亘つてその出費の節約も大幅にやらなければならないのでありましようし、更に又増收の方法も考えて行かなければならないのでありましよう。一面禁止されておることでありますが、若しも独占禁止法に差支ない範囲において、或いは総合的な経営ができることがありますならば、そういうことも考えて行かなければならないことでありましよう。或いは経営の面自身におきまして、この一般金融と言いますか、國庫收入以外の取扱をすることによりましても、余程経営改善されて参ることだろうと思います。これら各般に亘つて積極的に國鉄赤字克服のために施策をやつて行かなければならないことだろうと思います。そういう場合におきまして、一つの極く極めて簡單な問題だろうと思いますが、やはり一つの問題として考え得ることは、この赤字の線を民営に移したらどうなるかということは、普通考えられるだろうと思います。この点につきましては、先程申しますように、鉄道國有法という基本的な法規がありますので、この鉄道を民営に移したいと申しましても、この基本法規の趣旨を損うよう方法では実はこれはやり得ないのであります。從いまして地方鉄道法のあの精神によつて民間鉄道経営を委ねておる、いわゆる地方鉄道経営に移管しておるような交通の分野でありますならば、國有鉄道が持つております線区にしても、これは一面において赤字の解消もでき、又地方交通の利便も増大するわけでありますので、これは許してもいいのではないか。実はかように考えるのであります。ただそういう場合におきまして、この鉄道自身が赤字で困つておるものが、民間に移したら一体どうなるか。この國家的な資本の下に、特別な保護を加えてでも赤字なんだ、民営になつたら一層困りはしないか。これも一應そういう疑問を抱かれることも当然だと思うのでありますが、一面においてこの経営の才能というものは、又いろいろな工夫の余地があるやにも伺つておるのであります。殊に國有鉄道は、非常に厖大な組織を持つておりますので、この線路の企画等におきましても、大体甲乙丙等の線区に分けて、それぞれの企画に應じた設備等をいたしてはおりますが、民間経営に移しますならば、これらの点については、更に経費がかからないよう方法も実は考えられるように思うのであります。御承知のように、大きな巨大な列車を動かす必要がない、むしろ回数を非常に殖やすとこういう処置をとりますならば、停車場における行き違いの設備にいたしましても、厖大な側線を必要としない。或いは停車場のホームにいたしましても、小さいものでも済む。或いは機関車が國鉄の幹線を走つているような重い機関車でないといたしますならば、線路の軌條にいたしましても、橋梁にいたしましても、もつと軽いものでも実は済むわけであります。或いは枕木の数にいたしましても、もつと少くてもいい。ここらにやはり民間鉄道として経営し得る、又工夫し得る余地は実は多分にあるのであります。從いましてこの國鉄赤字だから、民間では一層困るだろうという議論は、これは必ずしも一般的に成立つとこ考えられない。やはり具体的の問題として、各線区についてその点は審議して行かなければならないだろうと思います。更に又この民間の利用者の、國民の利用者の立場において考えました場合に、運賃の高いことはこれは困る一つに違いないのであります。併し民間鉄道必ずしも全部が高いわけではないのであります。最近鉄道運賃を上げますれば、民間会社も上げて参るわけでありますが、これは今の輸送力の分配の問題から激甚な競争にならないように、輸送分配の観点から同一運賃を取る場合も実はしばしばあるわけであります。この運賃問題だけを取上げまして、民営に移すのが不都合とは実は言いかねる。それは他の実例を取つて見ますれば、恐らく或る鉄道を利用する者から見ますれば、非常に回数が多い、長い間列車を待たなくても済む、或いはその終列車が相当遅くまで走つて呉れるということも、必ずその便益の一つになるだろうと思います。從つて、純地方的交通機関ということを考えるとき、公共の利便ということにいろいろの議論が立ち得るように思うのであります。併し御指摘になりました運賃問題の点につきましては、その当該線区自身が國有鉄道と同じような賃率が定められる、誠に結構で、それは恐らく変りはないといたしましても、國有鉄道と連帶いたします場合において、今の長距離逓減が一体どれだけ影響するのかと、こういう問題になつて参りますと、幾分相違する場合もあるだろう。又いずれにいたしましても、連帶運輸の計算の場合に、これは一本の場合と比べれば幾分負担が重くなり得るということはあり得るだろうと、これは私も率直に認めざるを得ないのであります。然らばそういうような影響は、非常に重大なウエートを置く影響なりや否やと申しますと、この純地方鉄道として民営に移し得ると、かように考える線区においては、この点は比較的軽微の問題になり得るように思うのです。これらはいろいろ数字的に御檢討を願えばお分りになることでありまして、恐らく純地方的交通機関と申します点は、実はそういう点にあるわけであります。然らば高の二十二線の中にですよ、運帶計算の、殊にお客さんの非常に多い鉄道があるのではないか、こういうような御疑問が生ずるだろうと思います。この二十二線の中には、確かにそういうよう鉄道もあるわけです。そこらが今後鉄道を具体的に讓渡するかどうかということを決めるときの大きな判断の材料になるのであります。実はかように考えるのであります。一應工夫されておりますこの法案から見ますと、第一條に書いてあるこの三つの趣旨に合致するよう方法でこの問題は取扱つて参りたい、どこまでも具体的の処置の問題は後に残された問題であります。從いまして今回はこの法案といたしまして、政府拂下げをなし得るというような、いわゆる授権立法を決めた。而も最後の讓渡を実施するかどうかという場合におきまして、衆参両院において最終的な同意を與えない限りは、実施できないのであります。かようにお考えを頂きまして御了承を得たいと思うのであります。
  82. 天田勝正

    ○天田勝正君 もう運営委員会が終りまして、直ぐ本会議が始まつて、懲罰の議案が出されることになつておりまして、実は私もその吊し上げをくう方の一人になつておりまして、長くおるわけに行きせんけれども、今までの質問で簡單にお答え願いたいのがまだ残つております。先程御質問申上げましたこの法案の八條の「この場合における國債証券の引渡價格は、時價及びその交付價格を参しやくして、大藏大臣が定める。」この大藏大臣が定めるところの参酌しての價格というものは、一体幾らになるかということを簡單に伺つて置きます。それから赤字営業上の運賃差という問題と、運賃計算における併算という問題については、実はこれは國有か、民有かという重大議論なんです。そこで今佐藤さんとこれを議論しておつても始まりませんので、ただ併算するという方式が行くか、通算という方式で行くか、これだけを伺つて置きます。第三に一つだけ新らしい点で伺いたいのは、この問題につきまして、國有鉄道審議会で答申案を政府に出しております。概略は何もただ審議会意見だけを書いたのではなくして、拂下げを可とする論拠と條件、それからこれを否とする論拠、こういうものを挙げて後に審議会意見、そういうふうな丁寧なやり方がしてあります。そこでさつきお答えの中でサービスという問題が出ましたが、この答申案で書かれておるのを見ましても、社線になつた方がサービスがよくなるということを言われておる。ところが私共考えまするに、サービスにも勿論二色ある。眼に見えるところの確かに客車が綺麗になるという行き方のサービス、或いは夜遅くなつてでも走るというようなサービス、こういうサービスの改善という面もあることは私も佐藤さん同様認めます。だがサービスとはそれのみでないのでありまして、私は実は鉄道に乘る度ごとに、最近に至るまで鉄道員がよく走つて行つた鉄道の後を見送つておる、或いは何かの機会にも直ぐ確認ということが書いてある。何のためにあんなに確認々々と書いてあるか、又何のために汽車が行く度、電車が通る度にいつまでも見送つておるか、こういうことを疑問に実は思つてつたのですが、最近それがよく分りまして、一にも確認、二にも確認、三にも確認という工合で、暗くて見えないときは手でさすつても見ておる、こういうことは実は旅客の生命を預つておる鉄道といたしましては、そこまで注意しなければならんという精神でやつておられるというのが分つたのであります。こういう点を比較いたしますると、確かに社線になりますと眼に見えたところの客車が綺麗になるということはあるでありましよう。併し私の見るところでは社線の諸君は、あれ程に規則に縛られたといいますか、規律通りの確認を確かにしておりません。電車の見送りでも國有鉄道の諸君程やつておらないので、外の確認の点なんかも、やはりこういう点ではサービスが落ちておるのではなかろうか、このように考えるのでありますが、実はこれは鉄道当局が答えられる方が妥当だというお話もありましたが、私は佐藤さんは長く鉄道人としてやつておられるのを承知しておるから、そのつもりで御質問申上げておるのでありまして、これらの点について簡單に一つお答え願いたいと存じます。 委員長板谷順助君) 簡單明瞭に一つ御答弁願います。
  83. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) 時價云々の方は大藏当局の方からお答えすることにいたします。そこで問題は國有是か民有是かという議論になりますと、これは大変な議論でありますが、私共この機会にはその点の議論はいたさないつもりでおりまして、ただここに一言申上げますことは在來の考え方をそのまま堅持しておる。いわゆる鉄道國有法地方鉄道法と二つの法規があることだけは念頭に置いて、この拂下げと言いますか、拂下げをなし得る法案審議をしておるのだ、かよう一つ御了承頂きたいと思います。でこの機会に民営に移すとか、或いは國有に移すという議論はちよつとそれじや行き過ぎるように思いますので、在來からの考え通りの考え方でこの問題を取扱つておる、この点だけ御了承頂きたいと思います。
  84. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこで併算であるかどうか……
  85. 佐藤榮作

    衆議院議員(佐藤榮作君) それから併算の問題でありますが、これは昭和十九年以後併算に変つております。元は通算であつたのが併算に変つております。これは時々変え得る仕組のものでありますので、今日十九年以後変つてはおりますが、過去はこれを通算でやつてつたのでありますので、必ずしも併算が原則だとか、通算ができなしとか、こういう趣旨のものではないように思つております。それからサービスの点はこれ亦相当議論に亘りますので私は余り触れたくないのであります。只今天田委員お話のごとく國有鉄道の規律のあるこの営業振りは、確かに國有鉄道が國民の信頼を得るゆえんだと思うのであります。私は最近労働運動が非常に活溌になつて、或いは規律が頽廃したとか、何とか批評する人がありますが、尚國有鉄道にはこの生命を預かる、財産を預つておるという強い感じの下において、規律のある運営をしておるということは、あらゆる場合において、又どこへ行つても言い得るようなことでありまして、私共非常に心強く思つておる次第であります。ただそのサービスということになれば、これは総体的に実は考えて行つて、利害得失をやはり考えて行かなければならない、だから拂下げの問題はどこまでも今日授権立法で議論するには少し早い問題が各委員会においていつも審議されておるように思うのでありますが、具体的に当該線区を讓渡するかどうか、一体誰がそれを経営するかどうか、又どういうような経驗があり、経綸を持つておる人が経営するかどうか、又地方の人はその新らしい経営者に対して如何なる援助をするか、協力するか、各方面から具体的に判断して決めなければならない、かように考えておりのであります。この点では私も御意見と同じような氣持でこういうことをこの機会に申上げて置きます。
  86. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 國債証券の引渡價格は具体的の問題が起りませんければ分らない問題で、今から決めておる問題でありません。そのときに大藏大臣がこれを定める権限があるということを規定したのがこの規定であります。
  87. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 本日はこの程度で散会いたしたいと思います。尚質疑相当つておりますので、明日は日曜でありますけれども、休むか休まんかということは今議院運営委員会にかかつておりますから、いずれ公報に以て御通知申上げます。本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会  出席者は左の通り。   運営委員    委員長     板谷 順助君    理事            小泉 秀吉君            小野  哲君            丹羽 五郎君    委員            内村 清次君            植竹 春彦君            大隅 憲二君           橋本萬右衞門君            入交 太藏君            門屋 盛一君            飯田精太郎君            高田  寛君            村上 義一君            結城 安次君            鈴木 清一君   大藏委員    委員長     櫻内 辰郎君    理事            波多野 鼎君            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            天田 勝正君            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            中西  功君            木村禧八郎君            小川 友三君   衆議院議員            佐藤 榮作君            前田  郁君   政府委員    大藏事務官    (國有財産局    長)      舟山 正吉君