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1949-05-31 第5回国会 衆議院 労働委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月三十一日(火曜日)     午前十一時五十四分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 大橋 武夫君 理事 角田 幸吉君    理事 三浦寅之助君 理事 吉武 惠市君    理事 川崎 秀二君 理事 島田 末信君    理事 石田 一松君       篠田 弘作君    船越  弘君       小川 半次君    田代 文久君       石野 久男君  出席國務大臣         労 働 大 臣 鈴木 正文君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君  委員外出席者         專  門  員 濱口金一郎君         專  門  員 横大路俊一君 五月二十日  委員春日正一君及び島田末信辞任につき、そ  の補欠として中西伊之助君及び木村左衞門君  が議長指名委員選任された。 同月二十三日  委員小淵光平君及び徳田球一辞任につき、そ  の補欠として八木一郎君及び田代文久議長の  指名委員選任された 同月二十五日  委員中西伊之助辞任につき、その補欠として  春日正一君が議長指名委員選任された。 同月三十日  委員木村左衞門辞任につき、その補欠とし  て島田末信君が議長指名委員選任された。 同月三十一日  赤日正一君及び島田末信君が理事補欠当選し  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件。  理事の互選  連合審査会開会に関する件  労働事情に関する件     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。去る五月二十日に理事春日正一君及び理事島田末信君が委員辞任いたしましたので、理事が二名欠員となつています。この際理事補欠選任を行わねばなりませんが、補欠理事選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。それでは春日正一君、島田末信君がその後それぞれ再び委員となられましたので、御両君をそれぞれ理事指名いたします。     —————————————
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより労働事情に関する件を議題といたします。質疑は通告順によつてこれを許します。石野久男君。
  5. 石野久男

    石野委員 私は先般來何回かにわたりまして、労働大臣にお聞きしておるのでございますけれども金属鉱山労働組合爭議の件に関しまして、御所見を承りたいと思います。聞くところによりますると、金属鉱山労働組合は、本日より全國的な一齊ストに入るやに聞いておるのでございます。この爭議は、石炭爭議の問題と関連しまして、長い間の係爭を続けておりまして、その内容とするところは、すでに御承知のように、賃金に対する補給金問題のことかからみまして、昨年の暮れに政府との間に決定しておりました五千四百円ベースというものを、経営者側においては昨年の五月に協定しました線にまで引下げようということ、それから鉱山非鉄金属関係の、たとえば硫化鉱であるとか、銅であるとか、鉛であるとか、亜鉛であるとかいうような問題に対しましての、いろいろと價格上の問題を含めまして、鉱業政策に関しましてのいろいろな要求ども、これがまた連盟から政府に対する要求事項になつて、今闘爭が行われているというように聞いておるのであります。この問題は、今までは金属鉱山労働組合だけの要求事項になつてつたのでございますが、これが石炭産業爭議関連して、同時的に解決さるべきものとして、これらの組合諸君係爭を続けておりました。ところが石炭問題は一應妥結点に到達いたしたにもかかわらず、金属鉱山の方の関係は、まだ解決点に至つておりません。それらの関係から、これらの山元におきましては、非常にこの解決に対して不満を持つておりまして、その後たとえば硫化鉱等におきましては、出荷停止などのような問題までも決議されるに至りまして、これに関連するところの硫労関係組合も、去る二十四、五日であつたと思いますが、新潟における全國大会で、この金属鉱山労働組合爭議に同調するというような線にまで、決議がされたとも聞いておりますし、またこれと関連しまする全國繊維労働組合関係方々も、同時的に、これらの係爭に加わつて行くということも聞いておるのでございます。本日金属鉱山労働組合においては、全國的にスト指令がすでに出ていると思うのでございまするが、こういう問題と関連いたしまして、事態は非常に悪化するやもしれないというふうに考えられるのでございます。もしわれわれの聞き及ぶように、金属鉱山労働組合硫労連諸君、あるいは繊維諸君が同調するところのストライキがまき起されるというふうなことになりまするならば、おそらく日本産業に対しましては、非常に大きな波紋を起すようになつて來るだろうと思いますし、さなきだに最近におきましては、各所に不祥な事件も予想されるような時期に、特にまた経済再建の最も必要な時期におきまして、こういうようなことの起るということは、われわれとしましては捨ておけない問題だというふうに思うのでございます。この問題に関しまして政府としましてはどのような御所見でありまするか、一應労働大臣から、その御意見を承りたいと思います。
  6. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 石野さんの御質問に対しまして、一應私から大体のところ、それから関係閣僚などと話し合つた点などをお答えして、細目の折衝の推移、それからただいま御指摘になりました各業界のストライキの機運との関係というふうな問題につきましては、補足的に労政局長からお答えすることにいたします。  硫化鉱の方の全面的ストの問題は、私どもも聞いておりますし、その指令の件もすでに入手しております。労働大臣として、また政府として、この重大な産業復興の時期に、特に重要な肥料関係が深いところの硫化鉱方面で、こういつたストライキが展開されて行くという事柄に対しましては、衷心遺憾でありまするし、また政府もでき得る限りの方途を講じて、そうして適当なる打開の道を開かなければならないと考えております。今日までも漫然と放置したのではありませんけれども、大体この問題は、直接的には賃金補給金のなくなつた後の四月以降——この硫化鉱はあるいは三月になつておるかもしれませんが、そういつた状態になつてからの賃金の体系、賃金考え方というものを、こういうふうにして行くかという題題一つ。それともう一つ並んで、ことに金属関係においては、との問題もそうでありましようけれども、特にこの方面においては、一般的な鉱業政策輸出政策輸入政策というふうなものとの関連が、非常に深いという性質を持つておる点が、注目されるわけでありまして、從つてこれにつきましての解決の策といたしましては、一つは、賃金自体の問題の考え方でありますが、もう一つは今申しましたあとの方の連の政府鉱業政策、それから経営者諸君の今後の経営方針というものと、非常に深いところで結びついておると考えられるのであります。賃金の問題につきましては、一應決定いたしましたところのあの基本的な賃金を、全國画一的な賃金として絶対性を持つて将來もそれを押し通して行くのかという問題も出て参りますけれども、私ども考え方といたしましては、原則としてあのべ一スというものが維持さるべきであるということは十分認める。けれどもまた一方において九原則実行、それから補給金問題、いわゆる企業原則実行とにらみ合せて、その間にそれぞれの企業体の実勢に應じたところのある程度の配慮は、むしろ拂われる方が労資双方のためにいいのではないかと考えられる面もあるのでございまして、原則的の問題としては、労働大臣といたしましては、ただいま申しましたように基本的の標準というものを認めて、そしてあらゆる努力でもつてこれを実現して行く。消極的に言えばこれを維持して行く。積極的に言えば、さらに向上も含まれておりましようが、そういつた考え方にかわりないのでありますけれども、御承知のように賃金の直接補給金の方式というものは、議論はともかくとして、実際は行えない状態に今ある。それから赤字もしくは生産物の、價格引上げによる、そういつた賃金引上げということが考えられないということも、同様であります以上、これは主として労資双方企業努力にまたなければならないのである。しかし企業努力と申しましても、労資双方が十分にその努力を傾け得るところの基礎的條件としての たとえば資材とか、資金とかいう政府政策というものが、これをバツクするのでなければ、望み得ないのでありまするから、それに加えるに、政府政策というものと三つが一体になつて企業の成績を上げて行く、そうして原則として認められたところの賃金を、現状においては維持して行くというのが適当でありましようし、遠い將來にわたつては、さらに向上して行くということも含めて、積極的に考えてこれはいいと思いますけれども、そういう考えでもつて政府は臨んでおるわけてございます。從つてもう少し具体的に申しますと、特にただいま御指摘になりました硫化鉱の問題を取上げますと、その買上げ價格の問題、それから輸入等の問題につきましては、すでに関係閣僚とも打合せいたしまして、そうして着た新しい政策への進展をはかつておるわけでございます。しかしただいま御指摘にありましたように、ストライキ自体が、部分的なストライキから、すでに全面的なストライキに移つたこの段階においては、政府といたしましては從來よりも強力に、それから時間的にも急ぎましてこの問題の解決に当るという必要の段階なつたわけであります。從つて一昨日あたりから関係閣僚会議も、それから関係者事務当局会議も、盛んに進めておるのでございます。この問題につきましては、関係方面意向もありますので、一概には申し上げられませんけれども爭議解決のバツクをなし得る方向に相当政策を進め、進展させ得ると考えておるわけでございます。なお爭点となつておりますところの賃金の問題、それから労資双方主張点等につきましては、労政局長から話してもらいますけれども、要するに現段階におきましては、政府としては今申しましたような態度と援護をなしつつ、中労委のあつせんによつて、急速なる解決をはかりたいという考え方方針の上に立つておるということを、お答え申し上げます。
  7. 賀來才二郎

    賀來政府委員 大臣のお答えに対しまして、補足的に申し上げたいと思います。大体の筋につきましては大臣から申し上げた通りでありますが、本日から予定通りつておりますならば、全國の硫化鉱三十四山が、本日からストに入つておるはずであります。石野委員の御指摘のように、硫労連すなわち硫化肥料組合連合会は、きようあすと、同情スト的な入り方でありまするが、出荷停止ストライキを二日間やるということになつております。これもきよう入つたと思いますか、また報告を受けておりません。これに対しまして労働省といたしましては、この問題は從來石炭金属鉱山とが共同闘爭の形でやつてつておりまして、いずれも地下労働である同一條件にあるから、同一労働條件を得たいというふうな意味で、やつて参つたのでありまするが、御承知のように石炭につきましては、今増産傾向にありまするし、さらにメリツト制実施等によりまして、なお解決のためには好條件というふうなものも見られるのであります。従いまして先般の中労委のあつせんにつきましては、最後的に特別の扱いをする鉱山がどこかというふうな点について、まとまりができておりませんけれども、大体の筋におきましては、一應四、六の暫定措置といたしましては、解決かつく目途になつておるのであります。これに対しまして金属鉱山石炭のような好條件と申しますか、ある程度有利に使い得る條件がほとんどないのであります。ただいま大臣から申し上げましたように、増産傾向にあるというよりも、目下のところは、需給関係正常化をはからなければならないという大きな問題が一つあります。それから價格につきましても、この際に國際債務との関連において、價格を是正しなければならないというふうな條件もありまするし、増産という傾向にはないのであります。硫化鉱は特に増産をしてもいいわけでありますけれども、これはまたいろいろな條件で、実施がむずかしいという状況下にあるわけであります。いわんや價格政策がそういうふうなことで、非常にむつかしい状況にありますので、石炭と同じような立場闘つて來ました金属鉱山といたしましては、石炭と同じような方角に、解決をつけることが非常にむずかしい状況にあります。組合といたしましては、今日までの主張を当然何とか維持しようとする氣持はわれわれもよくわかるのでありますが、非常に條件が違つておりますので、このままストライキを無期限に続けて行きましても、はたしてさよな解決がつくかという点は、われわれといたしましても、至難な状況にあると考えるのであります。從いまして中労委のあつせんと並行いたしまして、事務当局及び関係大臣の間で、この解決をなるべくよきに導くように、鉱業政策実施の仕方につきまして、いろいろ打合せをやつておりまして、中労委のあつせんと並行的に進めておるのであります。中労委におきましては、やはりわれわれと同じような見方をしておりまして、この爭議はすみやかに解決したいというので、本日午後にも政府事務当局末弘会長との懇談をやりまするし、場合によりましては明日あたり会長関係大臣とのお話合いも願いまして、この数日中にも解決をはかるような方角に、中労委とともに努力をいたしておるのであります。これが現状でありまするし、なおわれわれといたしましては、これがうまく参りますならば、数日中には——すなわち硫労連ストは二日間で、ちよつととめるには間に合いませんが、その後あたりには、解決をするのじやないかというような希望を持つて努力をいたしておる最中でございます。
  8. 石野久男

    石野委員 非常に問題が、質問の要点といたしましては多岐にわたりますので、ます大きなところからお尋ねいたします。先ほどの大臣の御答弁によりましても、また賀來局長お話によりましても、この問題を解決するのには、当然鉱業政策関連して來るし、それがいわゆる内外の價格の操作の点、調整の点に関係するということは、われわれもそのように承知しておるのであります。ことにこの硫化鉱のごときに至りましては、大体本年度の輸入計画として持たれておりまする約十万トンというものに対しまして、前には三億五千万くらいの補給金があつたはずでありまするが、数日前でございましたか、それが四億四千万くらいに、補給金の額がかえられておるようにわれわれは承知しております。この十万トンという硫化鉱は、御承知のように國内の生産といたしましては、大体一箇月分の生産量に相当するものと予想されるのでございます。われわれはやはりこの輸入の問題それ自体については、今労働当局に対していろいろとお尋ねするよりも、後に商工当局などに対してお尋ねする方がよろしいかと思うのでございますが、この十万トンの輸入計画それ自体につきましても、いわゆる業者にしても、あるいは労働者の側にいたしましても、納得の行かないものが非常に多い。もし十万トンの輸入をするために、四億数千万円の補給金をするだけの政府支出ができ得るならば、むしろこの際に國内産業に対して、それだけの不足しておる資金の融通をすることによつて國内産業整備強化をはかるならば、おそらく十万トンはおろか、それ以上のものを、日本國内における生産でカバーする自信を持ち得るということが、業者もまた労働者も、ともに主張している点であります。この点は政府のいわゆる貿易政策といたしましても、硫化鉱だけの問題にとつても、非常に納得の行かない線なのでございます。いずれにいたしましても、そういうような関係からいたしまして、今度の爭議解決にあたつては、ただ賃金補給金が切られたとか、あるいは價格に対する補給金が切られたとかいう問題じやなくして、根本的に、貿易政策関連する鉱業政策それ自体解決されなければ、今度の解決点か出ないのだ、こういうふうにわれわれは見ておるのでございます。特に中労委の方で積極的にお考えになつていただきまして、今明日中でも関係当局とこの問題について、いろいろと御相談になられるということは、非常に私たちにとてもうれしいのでございますが、從來われわれの承知しているところでは、中労委は相当この問題を未然に防ぐための努力をしておつたと、承知しておるのでございます。しかしながら中労委としましては、事がそのように鉱業政策の面に関連し、價格の面に関連するということから、中労委自体が、政府の出方がわからないために、ほとんど手をつけることができないというような状態に置かれておつたと、承知するのでございます。從つて政府といたされましては、これに対する基本的な考え方を明示することなくしては、おそらく中労委は、この問題に対して積極的な解決策を見出すことは、できないだろうと思うのでございます。今日でも、明日でも、中労委末弘会長関係当局方々が御相談になられるにいたしましても、まず政府がこれに対する基本的な考え方を持つておられなかつたならば、おそらくその会見なり、打開策は見出し得ることができないだろう、こういうふうに思うのてございまして、ここで労働政策立場から、政府のこれに対する基本的な考え方、特に非鉄金属、いわゆる硫労連関係関連産業——これは特に肥料関係して來る重大な関連産業でございまするが、これらを基本的にはどういうふうに持つて行こうとするのか、特に労働政策の面からする御所見をいま一度承りたい。先ほど労働大臣は、この点に関して普遍的にではあるけれども、お述べになつたことは承知しておりますけれども、それだけでは私納得しませんので、もう一度この点について、積極的な御意見の発表をいただきたいと思います。
  9. 賀來才二郎

    賀來政府委員 先ほど申しましたように、またただいま石野委員から御指摘がありましたように、中労委におきましても、非常に解決努力をいたして参りましたし、また今努力をいたしておられるのでありまするが、やはりこの問題の解決は、数字で申してはいかがと思いますが、七割くらいまでは鉱業政策いかんということか、非常に影響を與えているのだ。末弘会長と昨日打合せましたところでは、われわれの方の政策をすみやかに方角づけることも必要である。それによつて、数日中にもあつせん案を出そうということになつておるのであります。政府の方といたしましては、われわれ事務当局の打合では、大体どの方角で、問題点がどこにあるということはわかつたのでありまするが、御承知のように金属鉱山関係は、終戦後、需給関係が先ほど申したように正常でなかつた点もありますし、さらに石炭のように需要が非常に多くて、それに対しまして生産が少いので、各方面において問題になるというようなことが、金属鉱山においては少かつたのであります。従いまして、総司令部関係との交渉におきましても、いろいろ問題があるのであります、從つて政府において個々の対策をやることになりましても、総司令部との打合せによつてこれか解決をいたしますには、相当時間がかかるという状況にあるわけであります。從いましてわれわれの考え方といたしましては、まず賃金については石炭と同じような形になりまするが、本格的な賃金決定ということは、さしあたり困難であろう、かように見ておるのであります。石炭におきましては、四月六月の賃金を今きめまして、七月以降はその後の団体交渉によることになつておりますけれども金属鉱山関連いたしましては、七月以降において本格的な賃金決定することは、鉱業政策がはつきりきまれば——おそらくきまらぬと思いますから、非常に至難ではないかというので、さしあたり三—五と申しますが、三月から今月までのものをどうするかということ、それから六、七、八の三箇月をどうするかというふうに、二つにわけまして、この八月末までの一應臨時的なと申しますか、暫定的な措置を講じなければならぬのではないか、というふうな見方をいたしておるのであります。さらに今度の爭議におきまして、最も焦点になつておりますのは、組合側はあくまで中央交渉において、全國的な統一賃金を認めよという要求であります。使用者側はそれに対しまして、もし中央協定によつて全國的な統一賃金をやるならば、これは四千三百円しか出せないのだ。それ以上の問題については、各地方企業別、あるいは鉱山別できめるよりほかしかたがないので、中央交渉に應ずるわけに行かないという点、すなわち金額の問題と、中央統一賃金という問題が、主要な爭議点になつておるのであります。われわれの考え方といたしましては、少くとも十二月協定のように、政府補給金のありまする立場における中央統一賃金というものは、九原則下の今日においては、これは至難である。かような見方をいたしております。しかしながら何らかの形におきまして、たとえて申しますならば、石炭の方においてとりましたような、ああいう中央協定、おそらく地方、あるいは企業別にきめるという程度が、石炭よりも、もつと強度のものであり、はつきりしたものになるとは思いますが、何らかの形で、中央でやはり一應の基準を出すというふうな方角に行かなければならぬのではないか、この点は中労委でも大体その方角をとつておるようであります。  それから價格政策の問題は、先ほど申しましたように、今日至急にこれをきめるわけには参りませんが、しかしながら何らかの形におきまして、とりあえずやはり輸入の問題は、これを解決して行かなければならないという状況にありますし、さらに硫化鉱と硫安との價格関係につきましても、早急に解決しなければならないであろう。そこ、緊急措置と、恒久的な措置とにわけて対策を講じなければ、中労委のあつせんも、なかなか具体的に示すわけに行かないという状況にありますので、とりあえず緊急にどうするかということと、それから恒久の方角はどうするかということで、目下——本日もやるわけでありますが、事務当局関係大臣との相互の協議で、今案を進めておる次第でございます。
  10. 石野久男

    石野委員 ただいまのお話によりますと、鉱業政策につきましては、八月以降について考えるにしましても、まだそのときでも鉱業政策というものは、はつきり出ないだろうというようなお言葉があつたわけでございます。もしこの賀來局長のお言葉が、政府意見であるとしますと、おそらく臨時的な措置であつても、恒久的な措置でありましても、とても非鉄金属鉱山関係、特に鉱業政策の範疇に入るべき産業におきましてのトラブルは、絶えないものであろうと私は思うのでございます。この点について、それは賀來局長個人の御意見であろうか、それとも政府としましては、鉱業政策についてはやはりそういう時期になつても、八月過ぎても、またはつきりしたものは出ないというような状態にあろのかということを、いま一度お聞きしたいのでございます。
  11. 賀來才二郎

    賀來政府委員 私が申し上げましたのは、政府の全体の意向として、最後的決定について申し上げたのではないのであります。昨日あるいは一昨日以來、労政局長といたしまして、鉱山局長といろいろ打合せておるのでありますが、鉱山局長見通し及びそれに対しまするわれわれの考え方から見ましても、先ほど申しましたように、非常にこの問題は——たとえば價格は國際的な面からこれをやらなければならないとか、あるいは輸出入の問題がありますとか、あるいは硫化鉱につきましては、國際的な観点と、あわせて國内的にも処置をして行かなければならぬ状態にある。かような点から見まして、最も早く解決すべきであるけれども、われわれとしては最大限やはり七、八月ぐらいまでかかるのではないかということを、事務当局の間で見通しをつけたことを申し上げたのであります。
  12. 石野久男

    石野委員 私はあまりこまかい價格政策だとか、あるいは鉱業政策だとかいうことにつきましては、今後もまた連合委員会がありますので、その節商工当局のおいでになつたときに、こまかくお聞きしたいと思うのでございます。問題を特に労働政策の方に限りまして、ただいま賀來局長からお話がありましたように、臨時的な措置と、恒久的な措置にわけて考慮したいということ、よくわかります。それについてなお一度念を押しておきたいのでございますが、今度の問題の解決あたりましては、労資双方関係においてこの問題を解決することは、ただいまも言いましたように、鉱業政策が、賀來局長言葉をしても、七割までを含んでおるような、そういう重要な爭議の内容になつておる関係上、おそらく労資双方解決だけでは、とうていその解決点を見出せないと思うのでございます。そこで臨時措置をとるにあたりまして、政府としては積極的にこの問題について、介入というと何でございますが、あつせん、調停の労をとるという方向の御決心であるということの、確認をしてよろしいかどうかということを、お尋ねしたいのであります。
  13. 賀來才二郎

    賀來政府委員 石野さんの御指摘通りに、この問題は、政策ときわめて結びついていることが明らかでありますから、政府も活発に動かなければいけないと思つております。從つて積極的に政府——この問題については、形の上での実際のあつせんは、中労委がいたしますけれども中労委と並行してと申しますか、もつと積極的に政府自体考え方というものをも、中労委に傳えて、そうして中労委にすみやかに解決し得る——先ほど石野さんからこれも御指摘がありましたが、中労委自身が将來への見通しをつけ得るように、政府の態度を明らかにして行きたい、そういうふうに考えております。
  14. 石野久男

    石野委員 最後に一つだけお尋ねいたします。今度の爭議は、先ほど賀來局長は三十四鉱山というふうに言われておりましたけれども、われわれの聞いた労働組合関係からの意見によりますと、三十八鉱山がこれに参加するはずでございますし、硫酸工場が九つほと入るはずであります。なお今までほとんどこういうような全鉱連の爭議の形のときには、それに積極的に参加していなかつた岩手縣の松尾の山元におきましても、今度は同調するということを言つておりますし、岡山の方の柵原におきましてもこれに参加する。特にこれらの山元は、硫化鉱においては、ほとんど全國の五五%からも持つところの大きな山元でありまして、これは非常に大きな問題になろうと思うのであります。それに加うるに硫安関係硫労連が参加し、なお全繊維が仕事ができないから、硫労連関係出荷停止によつて、また仕事が困難になるというので問題になつてる。非常に爭議が大きくなると思うのでございます。しかもこの爭議は、昨日の東京都におけるところの都議会において、いわゆる公安條例等について起きております不祥事などを考えますならば、こういう全國的な爭議というものが、今後非常に不測の事態を生み出すようなこともあるのではないかということを考えるのでございまして、ぜひこの問題については、ただいま労働大世のおつしやられたような意向によつて、積極的なごあつせん、御調停をされて、一日も早くこれを押えられるように、食いとめるようにしていただきたいのでございます。  なお私はこの際一つお尋ねしておきまするが、本日の新聞紙によりますると、東京都の議会に対しまして、公安條例に対するデモ千三百が昨日行われましたが、その席上で東京交通労働組合組合員である橋本金二という二十五歳の方が、生命をなくするというような事態が起きておるのでございますが、この問題についての当局の得ておる事情を一應ここで御説明いただきたいと思います。
  15. 賀來才二郎

    賀來政府委員 まだ詳細な報告は受けておりませんが、われわれが大体話を聞いておりますところによりますと、今度の都議会には公安條例を出す意向はなかつたのだそうであります。それがとう間違えましたか、突然提案されるであろうというので労働組合側が都議会に対しまして、ああいうふうな運動をやつたというふうに聞いておるのであります。橋本君が災難にあわれましたことは、われわれとしても非常に氣の毒に思うのであります。弔意を表する次第でありまするが、あれは不慮の災難と申しますか、ああいうふうな状態下におきまして、あやまつて墜落をしたのだというふうに報告を受けておる次第であります。     〔「もういい」と呼び、その他発言する者あり〕
  16. 石野久男

    石野委員 この問題につきましては、ただいまも、もういいという話もあるのでありますけれども、すでにこの問題については、前に勞働法が改正されるときに、暴力行使云々の問題について、特に法務廰関係、あるいは勞働大臣に対しても、不測の事態が起きることを、われわれは警告していたのであります。今度の問題は、勞政局長は不慮の災難てあるというふうにお話になりました。それが不慮の災難であれば、非常にけつこうなのでありますが、われわれは事態を十分に調査していないので、何とも言えないのであります。しかし新聞の記事等によりますと、これはある人の談によりますれば、橋本君が警官に突き落されて、階段を落ちたというふうに言われておりまするし、また落ちた橋本君を足でけりつけた警官を目撃したということが、新聞報道にあるわけであります。こういう事態を含めまして、この問題は非常に重大だと思います。ただいまの賀來局長お話では、入手しているだけの事情であろうと思うのであります。私はこの問題はどうでもいいという同僚委員意見もありまするけれども、この問題をほうりつぱなすわけにけ行かない。特に勞働委員会といたしましては、臨時に起きた問題であつて、実に重要な問題であると思うので、提起しておるのであります。いずれこの問題につきましては、後ほど十分な調査を当局にしていただきまするとともに、勞働委員自体としまして委員長にお願いしたいのでありますが、これはほうりつぱなしにできない問題だと存じまするので、ひとつ何らかの措置をとるように、おはからい願いたいということを申し添えまして、私の一應の質問を終ります。
  17. 吉武恵市

    ○吉武委員 大分時間が過ぎましたので、簡単に勞働大臣にお伺いしたいと思います。先ほど石野君からお話がありましたが、今後の勞働問題は、経済政策の面ときわめて密接な関係が起つて來ると思うのであります。私は先般石炭の問題について、合同審査の際に申し上げたことでございまするけれども、先般商工省から提案になりました公團の四千カロリー以下の低品位炭除外につきましても、実は勞働者が約八万、家族を含めますれば四十万の失業問題に関する大きな問題でありましたが、幸いにして商工委員会では、宇部三千五百、常磐三千七百に決定されまして、除外され、ただちに失業にさらされる勞働者の数が、約一万四、五千にとどまつたのでありますけれども、また二、三日前突如として、宇部炭及び常磐炭につきましては、四割の受入制限の命令が出ておるのであります。これは貯炭場がないから、山元で一應とめ置けということではございますけれども、実質的には公團が受入れなければ、金が拂えないのでありますから、結局四割の出炭制限になるわけでありまして、現在石炭業者としましても、金融に非常に困つておるときでありますから、とうていその金融の道を求めるということも、むずかしいでございましようし、勢い四割の勞働者の制限にまで、及んで來るおそれがあるわけでございます。こういうふうな問題が突如として出て來ることは、非常に勞働不安を起すわけでございます。あるいは勞働大臣はこれらの問題について御関係になつてつたのであるか、私はおそらく御存じない間に、一方的に処置が出ておつたのではないかと思うのでありまして、今後これらの問題につきましては、勞働大臣としても重大な御関心をお持ちになると同時に、商工当局とできるだけ御連絡を願えないものかという点を私は感じておるわけでございます。なお今日の日本状態において、それならば貯炭が非常に多くなつたほど生産が増加しておるかというと、日本経済の再建の上においては、まだまだ基礎的な燃料不足が一般にいわれておるわけであります。司令部でも四千二百万トンの増産を奨励しておるようなときであります。そのときに貯炭がそれだけでき、また四割制限をするというようなことは、私は経済のやり方の上において、まだ割切れないものが残つておるのではないかという点を感ずるわけであります。われわれ民自党といたしましても、できるだけ從來の不必要な統制は撤廃をして、そうして自由な経済へと、復帰したい念願を持つておるわけでございますから、この点につきましては、わが党といたしましても考究をするつもりではございまするけれども政府当局におかれましても、かくのごとく突如として四割の制限をしなければならぬというような政策がとられまするならば。今日の石炭の使用制限を思い切つておはずしになる。そうすれば、一般の民需としては非常に燃料に困つておるときであります。そして一方國民の需要の方をふさいでおいて、しかも貯炭がたくさん出たからといつて、突如として四割の制限をする。そしてそれだけの失業者がおつぽり出されるということは、私はどうも矛盾のような感じがするわけでございます。これは勞働大臣というよりも、むしろ商工大臣の経済政策の面ではございますけれども、その結果が常に勞働大臣として責任を負わなければならぬ問題でございますので、どうかひとつ今後のそういう経済政策の轉換につきましては、十分なる御関心と御連絡を願えないだろうかという点であります。
  18. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 御指摘の送炭の一時的の制限という問題は、率直に申しまして、現地及び関係方面決定したのでありましようけれども、事前には、その情報を入手しておらなかつたのは事実であります。それから御指摘のような勞働問題の面から見て、大きな問題を含んでおることも事実でございますから、この問題につきましては、ただちに商工大臣とも話しまして、善処いたしたいと思います。もう一つ、吉武さんの御指摘になりました廣い意味の鉱業政策の問題につきましても、今日以後、勞働問題のきわめて重要なウエートをその方面が持つて來ることも、しばしば各委員から御指摘通りでありますから、今後は一層商工省、安本、石炭の問題になつて來ると運輸省も関係があるでしようけれども、そういう方面と連絡を緊密にして、せつかく掘り得るものを掘らずに、そうしてそのしりが、労働問題に來るというようなばかげた形は、なるべく避けるように、極力努力いたしたいと思います。     —————————————
  19. 倉石忠雄

    倉石委員長 この際、お諮りいたします。ただいま商工委員会において金属鉱業に関する件が議題となつておりますが、本件は本委員会の労働事情に関する件と、重大なる関連性がございますので、連合審査会開会の申込みをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めまして、委員長においてさようとりはからいます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十一分散会