○
齋藤(邦)
政府委員 私から三つの
法律案につきまして、その
概要を御説明申し上げたいと存じます。
まず
最初に
職業安定法の一部を
改正する
法律案の
概要を、御説明申し上げます。お
手元にお配りいたしてあります
職業安定法の一部を
改正する
法律案資料をごらんいただきたいと存ずるのであります。その
最初にあります
法律案の
要旨につきまして、できるだけ簡潔に御説明申し上げたいと存じます。
御
承知のように、
職業安定法は、
職業安定に関する
根本法でありまして、この根本の
内容とするところのものは、
政府が全國に
公共職業安定所を設置し、それによりまして
無料の
職業紹介事業を行うことでありまして、
民間の
職業紹介事業の行う
募集等につきましては、封建的な非民主的な
募集の
形態、あるいは
職業紹介の
形態は、これを規制するけれども、あとうる限り、
公共職業安定所が十分な
仕事をすることができない面につきましては、
民間の方々の御
協力を願いまして、國の
公共職業安定機関と相
協力して、
職業紹介という問題をや
つて行こうという
仕組みにな
つておる
法律案でございます。そこで今回の
法律案の、一番大きい点は、
学生、
生徒及び
新規学校卒業生の
職業紹介につきましては、新しい
一つの道を開いたということでありまして、それがこの
法律の一番大きな
要旨であるのでございます。御
承知のように
学生、
生徒、いわゆる在学中の者につきましては、以前は
家庭教師といつたような
内職があつた
程度でありますが、最近におきましては、
学生、
生徒の生活も、非常に困難にな
つて參りまして、
内職といたしまして、各
方面の
仕事に從事するようにな
つて參つて來ております。さらにまた
新規学校卒業生といたしましても、御
承知のように
労働市場が逼迫いたしておりますので、その
就職がきわめて困難な
情勢にな
つておるのでございます。先般來大臣からも話がありましたように、ここ一年の間に
新規学校卒業生といたしまして、職なく
労働市場にほうり出される者が、大体十万人くらい出るのではなかろうかという予想が立
つておるような次第でございます。そこでこういう
情勢に対処いたしまして、
学生、
生徒並びに
新規卒業生の
職業紹介のやり方、これに根本的な
改正を加えたいという考え方であるのでございます。こういう
学生、
生徒並びに
新規学校卒業生の
職業紹介につきましては、
方法といたしましては、
自分が
職業を探すということが
一つの
方法であります。二番目には、
政府が経営いたしております
公共職業安定所が
職業のあつせんをする。これが二番目の
方法であります。それだけでは十分に
職業紹介の
目的を達することができません。
学生、
生徒につきましては、
学校におきましては十分身分的な、あるいは家庭的な事情もよく
承知いたしておりますので、この際
学校の
協力をいただきまして、
学校と
公共職業安定機関が相
協力し、緊密な
連絡のもとに、この
職業紹介に当
つて行くという
仕組みを考えたわけでございます。その
仕組みとして考えました
方法が
二つあるのでございます。まず第一の問題は、
学校が直接
職業紹介をやる、こういう問題でございます。この問題につきましては、
現行法の三十三條一の
規定によりまして
無料の
職業紹介事業を行うといたしますと、これは
労働大臣の
許可を要するということに相な
つております。
從つて学校が
自分の
学生、
生徒の
職業紹介、あるいはその
学校の
卒業生を
紹介しようといたしますると、
労働大臣の
許可が必要ということになるのでございますが、
学校の公共的な
性質にかんがみまして、今回
事務を簡素にするという意味も含めまして、
学校に関する限りは、
労働大臣の
許可をやめまして、
労働大臣に
届出をすることによ
つて、この
職業紹介を行い得る、こういうことにいたしたいと存じまして、
改正法の三十三條の二として「
学校の行う
無料職業紹介事業」という
一つの
條文を起しまして、これによ
つて労働大臣に
届出をすることによ
つて、
職業紹介事業を行い得る、こういうことにいたしたのでございます。三十三條の二をちよつとごらんいただきたいと在ずるのでありますが、三十三條の二に「
学校教育法第
一條の
規定による
学校の長は、
労働大臣に届け出て、その
学生若しくは
生徒又はその
学校を卒業した者について、
無料の
職業紹介事業を行うことができる。但し、
大学及び
高等学校以外の
学校の長がその
学校を卒業した者について行う
職業紹介は、その者がその
学校を卒業した後六箇月以内の場合に限るものとする。前項の
規定により
無料の
職業紹介事業を行う
学校の長は、
求職者を、その
住所又は
居所の
変更を必要とする
職業先に
紹介してはならない。但し、
労働大臣の
許可を受けた場合及び
大学の長又は
高等学校の長が
無料の
職業紹介事業を行う場合は、この限りでない。」かようにいたしたのでございます。特に第二項の場合、
大学、
專門学校につきましては、
求職者をその
住所また
居所の
変更を必要とするような
就職先に
紹介することが多いのでありまして、むしろこういうものが
大学、
高等学校等については多いのでございます。ところがその以下の、すなわち
中学校、
小学校等につきましては、
居所の
変更を必要とするような
就職先には
紹介してはならないことにいたしてあるのでございます。その
趣旨とするところのものは、御
承知のように
小学校、
中学校等におきましては、いわゆる御
承知の
繊維女工募集といつたふうな問題がありますので、
遠隔地の
紹介は
学校には行わせない。
大学專門学校だけは
遠隔地の
紹介を許すけれども、
小学校、
中学校等は
遠隔地の
紹介を行うことを許さない、こういう
仕組みにいたしたのでございます。これが
一つの
方法でございます。
それから二番目の問題に、
学校の
同意を得た場合、あるいは
学校の要請があつた場合には、
安定所の
業務の一部を
学校に行わしめるという
方法を考えたことであるのでございます。
法律の第二十
五條の三と四に
規定されております、この
規定は、
学校に
公共職業安定所の
業務の一部分を分担せしめるのでありまして、もつと簡單に申し上げますと、
学校が
公共職業安定所の一種の
ブランチの形にな
つて、
業務を
行つて行く、こういう形でございまして、從いまして
学校と
職業安定所の
関係は、
命令関係はございませんで、
学校から要請のあつた場合、また
学校の
同意を得た場合に
限つて、こういう
方法を行う、こういうことにいたしたのでございます。先に申し上げました
学校が
届出でやりますときにに、
安定所と
学校とは対等と申しますか、
学校は
独立の形において
職業紹介をやるのでありまして、
安定機関は監督するという形をとるのでございます。ところが第二十
五條の三及び四でやりまする場合には、
学校が
安定所の一部に入り込むという
仕組みに相なるのでございます。こういう
仕組みによりまして、
学生、
生徒の
職業紹介につきまして、
学校の全面的な御
協力をお願いいたまして、これによ
つて職業紹介を円滑に進めて參りたい、かように考えておるのでございます。なお二十
五條の三の第二項をごらんいただきたいと存ずるのでありますが、この
安定所の
業務の一部を分担する場合に、
学校はどういう
業務を分担するかということを
規定いたしておりますのが、第二十
五條の三の二項であるのでございます「一
求人申込を受理し、且つ、その受理した
求人申込を
公共職業安定所に
連絡すること。二
求職申込を受理すること。三
求職者を
求人者に
紹介すること。四
職業指導を行うこと。五
就職後の
補導を行うこと。六
公共職業補導所への入所のあつ旋を行うこと。」こういうことにな
つておりますが、
学校と、
公共職業安定所の
関係におきましては、大体において
学校は
生徒のいろいろな一身上のこと、あるいは
能力の問題、そういつたふうなことを調べていただくことが適当でありますので、
求職申込みの受理ということを主として
学校にや
つていただき、
安定所の方では、主として
求人申込みの方をや
つて行く、すなわち
安定所にいろいろな
求人申込みがあると、
学校の方に
連絡する。
学校の方では
学生、
生徒卒業生の
求職申込みを、これを
安定所と
連絡して相談して行く、こういう
仕組みにいたして行きたいと考えておるのでございます。なおこういうふうに
学校が
安定所の
業務の一部を行う場合におきましては、
公共職業安定所は
当該職業紹介の
業務の一部を行う
学校に対して、
経済上の援助を與えることができることにいたしておるのでございます。すなわち
公共職業安定所で用いております
求人票、あるいは
求職票といつたふうなものも
学校に提供いたしまして、これによ
つてや
つて行こう、こういうことでございまして、その
規定は二十
五條三の第五項に
規定されておる次第でございます。
以上
二つの
方法によりまして、
学校が
独立に
届出によ
つて職業紹介をやれるという道、
学校が
安定所の
ブランチとしてや
つて行くという道、この
二つの道によりまして、
学生の
職業紹介を円滑にして參りたいと考えておりますが、なお
原則的な問題といたしまして、第二十
五條の二に、
安定所と
学校との緊密な
協力関係の全般的な
原則を、定めておるのでございます。第二十
五條の二「
公共職業安定所は、
学校教育法第
一條の
規定による
学校の
学生若しくは
生徒又はその
学校を卒業した者の
職業紹介については、第二節の
規定によるの外」第二節というのは、
職業紹介の
一般の
原則でありますが、その
原則のほか「
学校と
協力して、これらの者に対し、
労働力の
需要供給の状況その他
職業に関する情報を提供し、
職業選択に必要な
助言援助を與え、及び
公共職業安定所間の
連絡により、これらの者に適当なできるだけ多くの
求人を開拓し、その
能力に適合した
職業にあつ旋するよう努めなければならない。」と
規定いたした次第でございます。
以上が
学校生徒の
職業紹介の
関係でありまして、これが今回の
法律案の
改正の一番大きな
内容をなしておるのであります。
二番目が
身体障害者の
職業補導の問題であるのでございます。御
承知のように、
身体障害者につきましては、昨年度までは全國に專門の
職業補導所を三箇所経営して
參つたのでございますが、本年度の予算におきまして、さらに二箇所の新設が認められるように相な
つたのであります。
身体障害者の
職業補導につきましては、
原則といたしましては、
一般の
職業補導所に入れまして、
通常の
職業補導を受ける者とともに、一緒にこれを
行つて行く、同じ施設において
行つて行くということを、
原則とするのでありまますけれども、
通常の
職業補導を受ける者と一緒に
職業補導を受けることが困難な者については、
独立の
補導所を設けてや
つて行く。こういうことであるのでありますから、これにつきまして、今回第二十六條の二に、はつきりこの点を明記いたしたのであります。第二十六條の二の第一項の但書であるのであります。「但し、
通常の
職業補導を受ける者と共に
職業補導を受けることが困難であると認められる者については、その者の
能力に適するよう、
補導の種目及び
方法を選定し、特別の
公共職業補導所を設けて、
職業補導を行うことができる。」かように明記いたしたのでございます。これが
身体障害者に関する
職業補導の
規定でございます。
それから三番目の大きい問題は、
國際労働條約の
規定及び勧告の
趣旨にのつとりまして、
政府以外の者の行う
有料職業紹介事業を、
実費及び
営利の二種に区別いたしまして、
おのおのによる
許可料、
保証金に
差等を設ける
規定を設けることといたしたのでございます。すなわち
改正法の第
五條の
定義の中に「この
法律で
有料の
職業紹介とは、
実費職業紹介及び
営利職業紹介をいい、
実費職業紹介とは、
営利を
目的としないで行う
職業紹介であ
つて、
職業紹介に関して、
実費としての
入会金、
定期的掛金、
手数料その他の料金を徴收するものをいい、
営利職業紹介とは、
営利を
目的として行う
職業紹介をいう。」とここに
二つの
種類にわけたのであります。この
実費と
営利と
二つにわけましたのは、後に出て參りますが、
許可料、
保証金あるいは
手数料につきまして、それぞれの
差等を設けるという意味合いにおいて、この
定義をここで明確にいたしたのでございます。この
実費と
営利と
二つにわけますところの概念は、一九二三年の
有料職業紹介に関する條約に基いているものでございます。この
有料職業紹介につきましては、後に
條文といたしまして第三十
二條に
規定されているのでございます。御
承知のように
有料職業紹介事業は、
現行法もそうな
つておりますが、
國際労働條約の
趣旨によりまして「何人も、
有料の
職業紹介事業を
行つてにならない。」というように
有料職業紹介の禁止を
行つております。しかしながら「美術、音樂、演藝その他特別の技術を必要とする
職業に從事する者の
職業をあつ旋することを
目的とする
職業紹介事業について、
労働大臣の
許可を得て行う場合は、この限りでない。」ということに相な
つております。
現行法もそうな
つておりまして、これに基きまして、現在のところ
相当数の
職業紹介の
許可をいたしておるのであります。現在
許可しておりますもので多いのは、
看護婦、
医師等、この例が非常に多くな
つております。この
有料職業紹介につきましては、
許可料という制度があるのでございます。すなわち
民間の
職業紹介事業によ
つて損害を
求職者に與えた場合、この損害の補償に充てるための、一定の
保証金という制度を設けておるのでありすが、
現行法におきましては、これを
命令事項といたしまして、
命令に定めておるのでありますけれども、やはりこうした事柄は
法律に
規定することが適当でありますので、この
改正法の第三項におきまして、
営利についてのみは「
労働大臣の定める五万円を超えない金額の
保証金を供託しなければならない。」こういうふうに
規定いたしたのであります。さらに
許可料につきましては、
物價廰長官と協議して
労働大臣がこれを定める。この場合につましても、
実費と
営利の
おのおの差等を設けて參りたいと考えておる次第でございます。そこで現在
許可料、
保証金、
手数料につきましては、
実費と
有料で、どういうふうな区別をして、と
つておるかということをざつと申し上げてみたいと存ずるのであります。
許可料につきましては、
実費の
職業紹介は人口十万以上と十万以下とにわけておるのでありますが、十万以上のものにつきましては五万円、それから人口が十万以下のものにつきましてはその半額ということにいたしておるのであります。なお
手数料につきましても、
実費と
有料とをわけまして、
実費の方は
受付手数料といたしまして一件三十円、それから
紹介手数料としては百円、
有料職業紹介につきましては、
受付手数料は五十円、
紹介手数料は、
紹介されて
就職した後の賃金の大体月額の一割、こういうふうな定めをいたしておるのでありまして、これは今まで全部
命令で定めておりましたものを、今回
法律で定めて明らかにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
次に
民間の
職業紹介事業を行うものにつきまして、
一つの
兼業禁止の
規定を設けることにいたしたのでございます。それは三十三條の四でございまして、「
料理店業、
飲食店業、
旅館業、古物商、
質屋業、
貸金業、
両替業その他これらに類する営業を行う者は、
職業紹介事業を行うことができない。」という
兼業禁止の
規定を設けたのであります。これも一九三二年の
國際労働全議の
有料職業紹介に関する
勧告案に基いたものでありまして、この
規定を今回ここに明記することにいたした次第でございます。
職業安定法の
改正法律案は、以上の三点が重要な点でありまして、そのほかの点につきましては、一昨年
職業安定法が施行されまして
以來今日まで、一年半の経過を経ましたので、その実績にかんがみまして、多少字句的な整備をいたした次第でございます。
次に
緊急失業対策法案につきまして、その
概要を簡單に御説明申し上げたいと存じます。
御
承知のように
公共事業の問題が中心でありますが、
公共事業につきましては、お
手元にお配りいたしてありまする
緊急失業対策法案の
審議資料の中に、
公共事業計画原則というものがありますので、これをごらんいただきたいと存ずるのであります。
公共事業につきましては、
昭和二十一年五月二十二日
連合軍総
司令部から
日本公共事業計画原則という
メモランダムが出ております。この
命令によりまして、初めて
日本に
公共事業というものが実施されることに相な
つたのであります。この
公共事業の
目的とするところのものが、まず
最初の一にあります。「先ず
基礎的必需品、特に食糧、衣服、
燃料及住居の生産、配給を増加又は促進する
事業に重点を置くべきである。」第二として、「右に特筆せる
生産計画を樹立するに当り、又は其の
場所の選定に当り考慮を要するは、
経済復興並に
物資的復興に直接資する所ある
斯種計画には、能ふ限り多数の
失業者を有効に活用すべきことである。」こう定められておるのでございます。すなわち
公共事業は
日本の戦後
経済復興と
失業者吸收という
二つの
目的で
命令が出されております。そしてこの
公共事業に就労する
労働者の問題につきましては、この
原則の第九項に「
事業計画に使用せらるる労務者は、
公設職業紹介所の
紹介に依るべきである。」と定められておるのであります。すなわち
公共事業につきましては、
公共職業安定所の
紹介する
失業者を
使つてこの
事業を
行つて行く。こういうふうに定められて
參つてお
つたのであります。しかしながら御
承知のように、
公共事業の
実施地域と、
失業皆の
分布地域とがマッチしないということ、あるいはまた
公共事業を実際に行いますと、主として
事業の遂行、すなわち
建設復旧という
方面にのみ主力が注がれまして、
公共事業に
失業者を吸收するということが、きわめて困難な実情に今日まで置かれて
參つたのでございます。そこで昨年の四月でありますが、
経済安定本部におきましては、この
公共事業に
失業者を吸收せしめまする一定の率を定めたのでございます。これもお
手元にお配りいたしてありまする
審議資料の最後に一覧の表で掲げられてあります。すなわち河川、道路、農業、水産、港湾、
都市計画といつたふうにあるのでありますが、これにつきまして、
直営事業の主として非
熟練労働者につきまして、その使用すべき非
熟練労働者のうちの大体十パーセントないしは五十パーセント
程度は、
公共職業安定所の
紹介する
失業者を使わなければならない。もちろん
安定所の
紹介によ
つて行く者がなければ、そのときには
安定所の証明によりまして、
自分で
労働者を
募集してもよろしい。こういうふうに定められて
參つておるのであります。すなわち
河川等は一〇%でありますが、都市において行われまする
都市計画につきましては、あるいは五〇%、六〇%という率が定められて今日まで來ておるのでございます。こうした
仕組みにおきまして、今日まで
公共事業に
失業者をできるだけ吸收するようにという努力を、続けて
參つておりまして、昨年度の実績を申しますと、
公共事業に就労する
労働者は実人員で約五十万人
程度でありましたが、
公共職業安定所の
紹介によりまして就労いたしました者は大体そのうちの十万人であつた。二〇%の十万人という者は、
公共職業安定所の
紹介によりまして、就労をいたしておつたような次第であります。こういうふうな状況で
參つたのでありますけれども、御
承知のように
経済九
原則の強行というふうなことからいたしまして、将來
失業が深刻になるという段階になりましたために、現在まで
行政措置として
行つて參りましたことを
法律に明文として掲げるということ、それからもう
一つの問題は、
從來公共事業と称して
行つておりました
事業のうちにも、実際は二
種類あつたわけでございます。
一つは復旧建設的な
事業、もう
一つは
失業者を吸收することのみを
目的とするような
事業、この
二つの
種類がありましたので、今回
公共事業を
二つにわけました。すなわち
経済安定本部で今まで
行つておりました
公共事業を
二つにわけまして、建設、復旧のような
事業は、
公共事業として從來の
通り経済安定本部がこれ行い、
失業者吸收のみを主とした
目的として行う
事業を、
失業対策事業として
労働省がこれを行う。こういうことにいたした次第でございます。
ここでまず第一に、この
法案の大体の
概要を御説明申し上げたいと存じますが、
法律の
目的は第
一條に掲げられてございま通り、多数の
失業者の発生に対処して、できるだけ多くの
失業者を吸收するということを
目的といたしております。
第
二條は、
失業対策と
公共事業を
二つにわけたということでありまして、その
定義を
二條に掲げてあります。
そこで第二章といたしまして、
失業対策事業の事柄が
規定せられておるのであります。まず
失業対策事業の方から申しますと、第四條に
失業対策事業の要件、
性質が掲げられております。すなはち
失業対策事業はできるだけ多くの
労働者を使用する
事業でなければならない。それからこうした
事業を実施する
場所は、多数の
失業者が存在する所の
場所でなければならないといつたふうに、第四條にその
失業対策事業の
性質、要件が掲げられてあります。
それから
失業対策事業を実施する場合いろいろな
手続が第
五條、第六條、第七條、第八條に掲げられておるのでございますが、それを大ざつぱに申しますと、
失業対策事業の
一般的計画は
労働大臣がこれを定めるということに相な
つております。第六
條労働大臣は、全國の雇用の
情勢を
調査いたしまして、その
調査に基いて多数の
失業者が発生し、またに発生するおそれがあると認める場合には、あらかじめその地域に必要な
失業対策事業を行うための
一般的計画を樹立しなければならないと定められております。第七條は、
失業対策事業の種目の
規定の問題でございます。すなわち
労働大臣は、こうした
一般的計画に基きまして
失業者の所在地域、あるい
失業者の数、あるいは
失業者の状況といつたものを、
経済安定本部総務長官に通知をいたします。そういたしますと、第七條の第二項によりまして、
経済安定本部総務長官は、どういう
事業が
失業対策事業として最も
経済的効果があるものであるかということを考えまして、これを
労働大臣に提示する。すなわちこういう
手続を経て、あらかじめ
失業対策事業についての
事業種目、あるいは規模等を準備しておきまして、そしてそれに基きまして
失業が深刻になり、あるいは多数の
失業者が現われましたときに、第八條の
規定に基きまして、
労働大臣は
事業の開始または停止というものを命ずる。こういうことに相な
つておるのでございます。
失業対策事業の経費の問題でありますが、
経済の問題につきましては、第九條に定められてありまして、國がみずからの費用で行う場合と、地方公共團体が行う場合とありますが、地方公共團体の行う場合には、國庫はその経費の全部または一部を補助するということが定められております。これが第九條であります。
それから第十條は、
失業対策事業に使用する
労働者に関する
規定でございまして、
失業対策事業は、もともとが
失業者を吸收することを
目的とする
事業でありますので、特殊な技術者、技能者、監督者といつたふうな特殊なものは除きまして、すべて
公共職業安定所の
紹介する
失業者でなければならないということが、第十條で定められておるのでございます。以上が
失業対策事業に関する
規定の重要な点であります。
次に
公共事業の
規定でありますが、これは第十
二條から
規定されております。その
内容とするところのものに、昨年の四月から
公共事業につきまして
失業者の吸收率を定めたあの
仕組み、
行政措置で
行つておりましたその
仕組みを、そのまま第十
二條以下に
法律で
規定するということにいたしたのでございます。
第十
二條に、
失業者吸收率の決定に、
労働大臣が
事業種別に從
つて職種別、地域別にこれを行うということが書いてあります。
それから第十三條に、
公共事業の
事業主体は、この吸收率が定められておりまする場合には、その吸收率の範囲までに、
失業者を雇い入れておかなければならないということを定めてあります。そうしてこの吸收率を定められておりまする
事業の主体は、第十三條によりまして、
公共職業安定所の
紹介によ
つてこれを雇い入れなければならない。かように
規定せられております。
次に罰則の点でありますが、これは大体におきまして刑罰の罰則は
一つもございませんので、
失業対策事業につきましては、この
法律に違反の行為がありますれば、補助金の返還あるいは
事業の停止ということが、掲げられであります。また
公共事業につきましては、
公共事業の実施主体にこの
法律に違反する行為がありますれば、
労働大臣に
経済安定本部総務長官に対し、違反事項の是正を要求する。そうすると
経済安定本部総務長官は、この要求に基きまして、必要な措置を講じて行くことが、第二十條の二項に掲げられておるような次第であります。以上が
緊急失業対策法案の
概要でございます。
次に
失業保險法の一部
改正法律案につきまして、簡單に御説明申し上げます。これにお手もとにお配りいたしてありまする、失策保險法
改正要綱をごらんいただきたいと存ずるのでございます。今回の
失業保險法の
改正の最も重要な点は、この
失業保險法改正要綱の中にあります適用範囲の拡張、保險給付の
内容の改善、保險料率の引下げ、日雇
労働者に対する
失業保險制度の新設、こういうことが、この
改正法案の最も重要な点をなしておるのでございます。この要綱に從いまして必要に應じて
條文を引きながら簡單に御説明を申し上げます。
まず第一に保險料算定の基礎となる賃金の範囲。
変更及び賃金の最高制限額の撤廃という問題でございます。從來におきましては、保險料並びに保險金算定の基礎となる賃金につきましては、すなわち越年資金といつたような臨時に支拂われる賃金及び三月を越える期間ごとに支拂われる賃金、これは賞與等でありますが、こういうものは両方とも賃金からこれを除いて計算をいたしてお
つたのであります。しかるに今回におきましては、保險料を算定する場合におきましては、こういう臨時給與は賃金の中に含めてこれを計算するということにいたしたのでございます。それが
法律の第四條の
規定であるのでございます。なぜこ
規定を設けたかと申しますれば、この保險料は一見税金といつたふうな
性質のものであり、また
事務的にも、保險料を計算する場合に、きわめて簡單であるということもあり、あるいはまた保險料の脱納を防止するといつたふうな意味等もありまして、保險料の算定の基礎となる賃金には、臨時給與も含めるということにいたしたのであります。しかしながら保險金につきましては、臨時給與はこれを除いて計算をする。それが
改正法の
法律第
五條及び第十七條の二の
規定であるのでございます。なお保險料並びに保險金の賃金に関する問題といたしましては、その要綱の三にありまするように、保險料及び
失業保險金算定の基礎となる賃金の最高制限額を今回撤廃することといたした次第であるのでございます。
次に適用範囲の問益であるのでございますが、今回適用範囲を拡張いたしまして、土木建築
事業、旅館、料理店、飲食店その他接客業、娯樂場の
事業、及び映画製作、映写、演劇の
事業に從事する
労働者をも、一應すべて
失業保險の被保險者として適用することにいたしたのであります。これは
法律の第六條の
規定でございます。從來の第六條の法文の体裁は、
現行法と全然うらはらに書いてあるのでございまして、
現行法におきましては、適用する
事業をすべて列挙するやり方をいたしたのでありますが、今回はそれを逆に、除外するものを列挙いたしまして、それ以外の
事業はすべて包含する、こういうことにいたしたのであります。新規に包含されまするものとしては、今申し上げました土木建築の
事業、あるいは娯樂場の
事業、あるいは映画製作、映写、演劇の
事業が入るのでございます、結局におきまして、
失業保險の適用を受けないものは、第六上の一のイ、ロ、ハ、ニ、ホにありますように、農業
関係、水産、牧畜、養蚕の
関係、それから教育、研究、
調査の
事業、保健衛生の
事業、社会
事業、司法保護
事業、こういう
営利を
目的としない
事業のみが、
失業保險の適用外といこうとになりまして、
経済の変動によりまして
失業のおそれのある
事業は、ことごとく
失業保險法の適用を受けることにいたしましたことが、きわめて大きな
内容でありまして、この適用範囲の拡張によりまして、約五十万
程度の
労働者が、この被保險者と相な
つて來ることにな
つております。
それから次の
改正の大きい点は保險給付の
内容の改善でございます。これは
改正法律案第十七條であります。
現行法のやり方を申し上げますると、
現行法は平均百分の六十をも
つて失業保險給付率の基準といたしております。賃金の高いものにつきましてほ最低百分の四十に逓減し、賃金の安いものは百分の八十に逓増するというやり方をいたしてお
つたのでありますが、実際の給付率は平均いたしますと五十四・三パーセント
程度の低い率であります。これを今回一律百分の六十に改めることといたしたのであります。このことによりまして、できるだけ
失業労働者の生活の最低を保障いたしたい、かように考えたのでございます。それと同時に、
失業保險金の日額の最高制限を三百円といたした次第でございます。
それから次に保險給付の
内容の改善としてきわめて大きい問題は、
失業保險金のスライド方式の採用の問題であります。第十七條の三でございます。第十七條の三の、
失業保險金額の自動的
変更という問題でございますが、この問題につきましても、大体におきましては、
現行法でもある
程度のスライド制は採用いたしてお
つたのでありますが、そのスライド制はきわめて時期的にずれがありまして、大した効果を発揮することができなか
つたのであります。そこで今回これを改めまして、第十七條の三にありますように「
労働大臣は、
労働省において作成する毎月勤労統計における工場
労働者の平均給與額が、
失業保險金額表の制定又は
改正の基礎と
なつたその統計における当該平均給與額の百分の百二十を超え、又は百分の八十を下るに至つたと認めるときは、
失業保險金額表を
改正し、その平均給與額の上昇又は低下した比率に應じて、その賃金等級に属する賃金日額及び
失業保險金の日額(第十七條但書に
規定する額を含む。)をあらたに定めなければならない。前項の
規定によ
つて失業保險金額表が
改正された場合においては、
改正前に離職した者に支給すべき
失業保險金は、
最初の離職の日に効力を有した
失業保險金額表においてその者の賃金日額の属する賃金等級につき、あらたに定められた
失業保險金の日額によるものとする。」すなわちその月その月におきまして、失失保險金額表を制定いたしまして、Bの月の勤労統計の平均給與額が、Aの月の百分の百二十ということに、工場
労働者の平均給與額が上りますと、上つた比率に應じまして、等級はそのままにして保險金額を動かして參るのであります。從いましてこの
規定の二項によりまして、スライドをやる前にやめておつた者も、自動的に保險金額が増加するように相なるのであります。
一つの例を用いて申しますと、かりに一万円でやめた者は、この保險金といたしましては、百分の六十でございますから六千円もらうわけでございます。ところが工場
労働者の保險給與額が百分の百二十と、二〇%上りますと、やめた一万円を一万二千円として計算して、その一万二千円の百分の六十というものを動かして給付する、こういうことにいたすのであります。すなわち物價の変動、工場
労働者の保險給與額の上昇、あるいは低下によりまして、
失業労働者の実質的な賃金を保障して、その実質賃金の百分の六十、こういう制度にいたしたのでございまして、今回の
改正法律におきましては、きわめて重要な部分の
一つであるのでございます。
次が保險料率の引下げの問題でございます。これは
現行法の第三十條でございます。
改正法第三十條第一項中「被保險者及び被保險者を雇用する
事業主について、各々千分の十一」を「百分の二」にするという
改正でございます。すなわち
現行法におきましては、保險料率に、
労働者の賃金の千分の十一を
労働者が負担し、
事業主がその同額の千分の十一を負担して
參つてお
つたのでありますが、この保險料率を定めた当時のいきさつ、あるいはまたこの
法律施行後現在までの一年半にわたる実績等によりまして、現在のところ、保險料も相当な積立剰余金を生じまして、すでに二月末までに四十六億
程度の剰余金を生じて參り、三月末までには五十億にな
つておると証じておりますが、五十億の剰余金を持
つておるという
情勢にもありまするので、将來の
失業情勢ともにらみ合せて、ある
程度低減をいたしましても、保險
経済といたしましては、強固なものがあると
事務的にも考えられましたから、今回保險料率の引下げまして、千分の十一を千分の十ずつ、つまり百分の一、百分の一、すなわち百分の二を保險料としてとるということに、
改正いたしたのでございます。これも大きな
改正の一部であります。
それから次は六、七、八に関連する問題でありますが、保險料徴收
方法の改善を行うことにいたしたのでございます。保險料の徴收につきましては、今日までのところでは、いわゆる納入告知書を発行いたしまして、それによ
つて事業主に保險料を納付せしめるというやり方をと
つてお
つたのでありますが、今回所得税の納入と同じように、申告納入の制度をとりまして、
事業主に対しまして、保險料徴收の自主性を発揮していただくと同時に、
事務の簡捷をはかることといたしたのでございます。これが
改正法律第三十四の
規定でございまして、やり方は所得税の納入と同じようなやり方で、申告納入の制度をと
つたのであります。
それから七番目は延滞金の額の引上げ問題でございまして、これは三十六條でございます。これは國税徴收法に準じて、延滞金の額を引上げたのでありまして、保險料額百円につき、一日二十銭とすることといたしたのでございます。次が追徴金の制度でありまして、これは二十四條の四でございます。すなはちこれは從來の納入告知書を発してやりますやり方をやめて、申告納入制度にいたしましたので、所得税と同じように、追徴金制度というものを設けることといたしたのでございます。この制度はいわゆる申告納入の制度と表裏をなすものであるのであります。
次に日雇
労働者に対する
失業保險の問題でございます。日雇
労働者の
失業保險につきましては、新しく第五章に日雇労働被保險者に関する特例という條章を設けまして、三十八條の二以下に十五まで、その
規定を定めてあるのでございます。その
内容につまして御説明を申し上げます。まず第一に被保險者の範囲でございますが、これにつきましては、
原則として
失業保險の制度を行いますときに、一番考えなければなりませんのは、
失業保險の給付を行う際には、
安定所を必ず利用するということが、世界各國いかなる國におきましても、この根本をなしておりますので、
原則として
公共職業安定所の所在地の日雇
労働者をこの適用とする、これが第一の
原則であるのでございます。適用範囲の保障は三十八條の三に
規定せられております。すなわち
公共職業安定所の所在する市町村及びその隣接の市町村内に居住する日雇
労働者が、適用
事業所に雇用される場合でございます。適用
事業所と申しますのは、
一般の
失業保險の適用
事業の
定義、範囲として前の第六條に掲げられておりますように、常時五人以上の
労働者を雇用するところの
事業主、これが適用
事業所ということになるのでございますが、この
安定所の所在地の市町村に居住する
労働者であつその適用
事業所に雇用される場合、これが第一の
原則でございます。しかしながら適用区域外の地域に居住する日雇
労働者でありまして、適用区域内の
事業所に雇用される場合がございます。すなわち適用区域外から適用区域内の工場に通
つて働きに來る者もありますので、その者も日雇
失業保險法の適用を受けさせることにしております。それから第三番目に、適用区域外の地域に居住する
労働者が、適用区域外の
事業場に雇用される場合で、日雇
失業保險法の適用を受けさせることの、きわめて必要なものがあります。すなわち適用区域外の辺鄙な所は、きわめて大きな土木
事業を行うもの、あるいは発電所の建設、あるいは鉱山、そういつたような大きな
事業所がございますと、その
事業所を
労働大臣が指定して、その
事業所に働いておりまする日雇
労働者をも、この日雇労働被保險者の中に加えることにいたしておるのであります。以上の三つのものが日雇
労働者の強制被保險者でありますが、
一般の
失業保險と同じように、前号以外の者につきましても、任意加入の道を講じておるような次第でございます。それが三十八條の四でございます。
それから次は受給資格及び受給要件であります。これは第三十八條の六及び九に
規定せられております。
失業保險の受給資格は、
失業の日の属する月の前二月間に、その者について、通算して三十二日分以上の保險料を納付したこと、すなわち
失業の日の属する月の前二月間において、三十二日分以上の保險料を納付する、これが
失業保險の給付を受ける受給資格であるのでございます。すなわち例を引いて申しますれば、一月にかりに二十間働いた、二月に十二日働いたという場合、三月に
失業いたしますると、三月目には
失業保險の給付を受ける。こういうことにな
つております。一月に十六日働き、二月十六日働いてもけつこうであります。一月に二十日、二月は十二日、あるいは一月に十二日、二月に二十日、そういう計算でもけつこうでありまして、いずれにせよ、
失業の日の属する前月、前々月において、三十二日以上働いて保險料を納付する。これが
失業保險の受給資格であります。それから受給の要件でございますが、
公共職業安定所に出願して
失業の認定を受けて、
失業者であるということがわかりましたときに、
失業保險金を受取ることにな
つておりまして、この点につきましては、
一般の
失業保險の場合と同じでございます。但し待期期間の問題でございますが、待期期間の問題につきましては、
一般の
失業保險の被保險者につきましては七日間の待期を設けてあります。しかしながら日雇いにつきましては、その日の收入によ
つて生活をするということが多いのでありまして、七日の待期を設けるということは、実情に沿いませんので、今回待期につきましては
二つの場合を用いたのであります。
失業の日の属する月に、通算して五日または継続して五日の待期ということにいたしたのであります。すなわち継続する場合には五日間、通算する場合には七日間の待期を設けた、こういうことにいたしたのであります。なおこの待期につきましては、三十八條の九の末項によりまして、給付がきわめて少いという場合には、この待期をさらに一日短縮する、さらにまた給付がきわめて多くなりまして、保險料の方があまり集まらない場合には待期を一日延ばす、こういう
規定もありますので、日雇いの
失業の実情並びに保險
経済の実情ともにらみ合せましてこの待期間の短縮、または長くすること等も考えておるような次第でございます。それが三十八條の九の末項の
規定でございます。
次に
失業保險金の支給でありますが、
失業保險金は
公共職業安定所において
失業の認定を行つた日においてその日分を支給する。すなわち
失業保險につきましては、
一般の保險と違いますので、その日分、その日分を支給する。こういうように日拂いの計算にいたしております。これが三十八條の九でございます。それから
失業保險金を支給する日数でありますが、これは三十八條の九にありますように、
失業保險金を支給する期間は、最長十三日分を支給することにいたしておるのでありますけれども、被保險者が、前二月におきまして稼働いたしました日数に應じて、十三日を十七日まで延ばすことができるということにいたしております。すなわち四日ごとに一日分を加えまして、最長十三日から十七日を限度として
失業保險金を支給する。こういうことを講じておるのでありまして、それが三十八條の九の第一項の
規定であります。
次に
失業保險金額でございます。
失業保險金額につきましては、
一般の場合におきましては退職時の賃金の百分の六十ということにいたしてありますが、日雇につきましては、さようなことはきわめて煩瑣でありますので、今回は定額制の
失業保險金の制度を取
つたのであります。この要綱の四にあります。三十八條の八でございまして、すなわち
失業保險金の日額は、第一級百四十円、第二級を九十円といたしたのであります。第一級と申しますのは、日雇い
労働者の一日の賃金が百六十円以上のもの、第二級というのは百六十円未満のものであります。すなわち百六十円以上のものにつきましては、保險金額は百四十円、未満のものにつきましては九十円の定額ということにいたしてあるのであります。
次に保險料額及び納付の
方法であります。保險料額につきましては、この日雇もやはり定額制を採用いたしまして、賃金百六十円以上のものについては六円、百六十円未満のものについては五円と定めてあります。第三十八條の十一の
規定であります。すなわち第一級の百六十円以上のものは六円、第二級のものは五円といたしておるのであります。この場合に保險料の
事業主の負担は、第一級、第二級、いずれの場合におきましても、
事業主の負担いたしまする保險料額は三円であります。
労働者の負担する保險料額は第一級のものについては三円、第二級のものにつきましては二円ということに定めてあります。三十八條の十一の第二項の
規定でございます。
次に保險料の納入の
方法でございますが、これにつきましてはスタンプ制度を採用することにいたしておるのでございます。三十八條の十二でありまして、「
事業主は、その雇用する日雇労働被保險者に賃金を支拂うつど、その者及び自己の負担する保險料を、
失業保險印紙をと
つて納入しなければならない。」と定めてあります。
次は前項の義務を怠つた
事業主に対しては、追徴金及び罰則を科す、こういう
規定であります。
それから六以降は大体きわめて
事務的な問題でございまして、六は
一般の被保險者との調整の問題でございます。それから第九が
失業保險
審査官の職権
審査の廃止、第十は
失業保險
委員会の中央
職業安定
委員会への統合等であります。その他多少
事務的な
規定を整備いたしたのでありますが、その点につきましては、説明を省略させていただきたいと思います。