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1949-04-26 第5回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十六日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 西村 久之君 理事 水田三喜男君    理事 中曽根康弘君 理事 米原  昶君    理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君       天野 公義君    井手 光治君       小金 義照君    小平 久雄君       小峯 柳多君    鈴木 明良君       高塩 三郎君    高橋  等君       玉置  實君    中村 幸八君       西村 英一君    松浦 東介君       松野 頼三君    若松 虎雄君       笹山茂太郎君    風早八十二君       野坂 參三君    志賀 義雄君       奧村又十郎君    小坂善太郎君       金子與重郎君    黒田 寿夫君       衞藤  速君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 池田 勇人君         國 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         経済安定本部副         部長官     野田 信夫君         経済安定本部物         價局長     谷口  孟君         大藏事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         議     員 川島 金次君         專  門  員 小竹 豊治君         專  門  員 小林幾次郎君 四月十九日  委員野原正勝君、松木一郎君、尾崎末吉君、庄  司一郎君、平島良一君及び勝間田清一君辞任に  つき、その補欠として坂田道太君、増田甲子七  君、中野武雄君、樋貝詮三君、廣川弘禪君及び  鈴木茂三郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員川島金次君、有田喜一君及び鈴木幹雄君辞  任一につき、その補欠として武藤運十郎君、苫  米地義三君及び犬養健君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度総予算爲替レートとの関係に  関する説明聽取     —————————————
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 会議を開きます。  これより昭和二十四年度総予算爲替レート関係について政府よりの説明を聽取することにいたします。河野政府委員
  3. 河野一之

    河野(一)政府委員 今回爲替レートが三百六十円に決定せられまして、昨日より実施せられました結果、先般通りました予算影響があるかどうかという問題でありますが、これは予算というものは一應の見積りでありまして、その積算基礎異動を生ずることになりますれば、一應は補正するというのも一つ考えでありますが、大体、大した異動なしに行けるのじやないかというふうに考えております。理論的に考えますと、貿易特別会計金額がかわるであろう、あるいは一般会計から貿易会計へ入れております輸入補給金がかわるんじやないか、こういう問題がございます。それから対日援助の千七百五十億円でありますが、これはかわらない見込みであります。それから貿易公團政府関係機関でありますが、これについて異動を生ずるということも一應は考えられます。それから塩の價格差補給金について、多少の異動が生ずることもあるのでありますけれども、これは全般的に見まして、予算といたしましては、その数量及び單價積算かも來るのでありますが、これは一應現在におけるいろいろな見込みでありまして、実行上においていろいろとかわつて参ります。また塩以外の補給金につきましても、これはアメリカの物價もまたかわることでございますし、それから実行において輸出入の数量もかわるわけであります。  それからさらに價格調整費の根本的な処理方法——物價の問題にも必然に触れて來る面もあるのでありますが、今後いかにしてこれを縮減するか、そういう面からいたしまして、多少三百六十円のレートの問題でふえる点がありましても、その面は價格調整費の他の面において削減することによつて、実質上支障なく行ける、こういうふうな考えでありまして、現在の段階におきましては、ただいまのところ特に補正を要せず、このままのかつこうで当面やつて行ける見込みであります。大臣もこの委員会においてたびたび述べられましたごとく、價格調整費を縮減し、また予算実行上においていろいろな節約をやつて行くというような行き方からしまして、その問題とあわせて適当な機会において調整をするというようなことでさしつかえたいのじやないか。この際全面的に予算を動かすという必要はないものと考えております。
  4. 西村久之

    西村(久)委員 ただいま主計局長お話では私ども納得が行かないのであります。なぜかと申しますと、それだけのことは新聞にもう出ておるのであります。その内容をいま少しく私どもは詳しく承知いたしたいので、この会を催しておるわけでございますから、主計局長の方で内容を詳しく——輸入物資関係等に対する八百三十三億の算定基準となるべき今後の異動基準でもお示し願いまして、納得の行く御説明が願いたいものだと私は希望いたします。從いまして安本よりその係官に早急に御出席を願いまして、産業界に及ぼす影響が甚大であることを考えまするから、明細に御説明が願いたいと存じます。
  5. 植原悦二郎

    植原委員長 今安本を呼んでおりますが……。
  6. 中曽根康弘

    中曽根委員 河野さんにもう少し伺いたいですが、主計局長予算編成の中枢におられる方ですから、方針でも一應お聞きしたいと思つております。三百六十円にきめられた結果、政府立場として一應考えられるのは、補給金の方をふやすか、あるいはこれをやめて價格体系に手をつけるか、あるいは経費の節減その他によつてその費用を捻出するか、三つしかないだろうと思います。今までの新聞や今の主計局長お話によると、最後の予算実行上の措置によつて、何とかやつて行くというお話なんですが、こうなるとやはり今までわれわれが通過させた予算に手をつける部面が出て來るだろうと思います。というのは食糧だけでも八十八億円くらいいる、肥料だけで十九億円、その他の工業原料で八十九億円の不足が、三百三十円の場合と比較して起る。かように考えております。これだけの金を安定帯物資、あるいはその他の輸入物資補給金から捻出するとなると、これは関係産業自体のコストの合理化の問題にも響いて來て、ひよつとするとそれがまた賃金の方に響いて來るおそれがあると思います。その辺をどういうお見通しで、現状維持のまま操作を続けて行くのか、もう少し私説明していただきたいと思います。
  7. 河野一之

    河野(一)政府委員 アメリカの物價がその通りであるといたしまして、それからこれが動かないといたしまして、貿易関係数量がそのままであるといたしまして、かつ日本の物價体系をそのままの現状にすえ置くということを前提にいたしますれば、補給金はふえざるを得ない、これはその通りでございます。しかしながらそういたしますと、補正予算がいるとか、あるいは税がふえるとか、こういう問題に一應はね返つて來るわけでありますが、私どもといたしましては、これがためにそういうような措置をとることは考えておりません。と申しますことは、まずアメリカから輸入せられますものにつきまして、最近の状況で申しますと、價格相当下りつつあるという点がございます。また下るであろうということが予想もできるわけであります。それから貿易関係で一應予定しております数量につきましても、実行上いろいろかわつて來る点がございます。当初の計画は一應の見込みでありますが、ふえるとともございましようし、減ることもございます。それから補給金の問題につきましても、今後においてある程度実行上におきまして、たとえて申しますれば、吸收の段階というようなことも考え補給金を減らす。あるいは自由價格に対して現在迂回して補給金が行つておるというような点もありますので、こういう点につきまして目下研究しておる段階でございます。その面では相当減る面もあると考えられますので、彼此勘案いたしまして、補正予算考える必要がない。当面これでやつて行ける、こういう考えでおるわけでございます。
  8. 風早八十二

    風早委員 ちよつと主計局長にお尋ねしたいのですが、この爲替レートの一本建は予想ではされておつた。しかしその中におきまして大体六月以前はなかろう、ことにアメリカ会計年度見合つて、これが問題となつて來るであろうということも言われておつたわけであります。しかし今突然こういうふうなことになつて來るとしますと、形の上ではむしろ日本会計年度にこれが見合つて出されたというようにも考えられる。その辺の事情をひとつ明らかにしていただきたい。  なおそれにつけ加えて、政府はこの時期が非常に早目決定されるということについては、何ら見通しを持つておられなかつたのかどうか、また見通しがおありになつたとすれば、なぜ今度の予算案編成に際して、すでにこのことを考慮してなされなかつたか、こういう点について率直にひとつその事情を明らかにしていただきたい。
  9. 河野一之

    河野(一)政府委員 後段の見通しの問題でありますが、これはいろいろ考え方があろうかと思います。しかし私は私の立場として、この見通しにつきまして当時どうであつたかということを申し上げますことはちよつとはばかりますので、遠慮させていただきたいと思います。  それから前段の問題でございますが、これは千七百五十億という援助物資関係のものは、これは日本会計年度で入つて参るということで当初予算が組まれておるのでありまして、爲替レート決定が早くなつたからといつて、これを私どもは七月から六月までのアメリカ会計年度において今回來たのであるというふうには考えておりません。
  10. 風早八十二

    風早委員 またあとでこの問題は大藏大臣に伺いたいと思いますから、その際に残しておきます。今伺いたいのは千七百五十億の見返り資金はかわらないというお話がありましたが、そういたしますと、これは三百三十円換算で、およそ五億三千三百万ドルという外資の援助があるということが、一應前提にたつておる。これはしばしば政府説明の中にもあつたわけであります。そういたしますと、五億三千三百万ドルが削減されるということを考えているわけですか。この点ちよつと伺いたいのであります。
  11. 河野一之

    河野(一)政府委員 風早君のおつしやいました五億三千三百万ドルで、仮想レート三百三十円というお話でありましたが、この点は政府としては確認いたしておりません。これはいろいろ新聞にも出ておりますが、初めからしまいまで政府としては確認しておらぬわけであります。千七百五十億という日本の円の金額で、これだけのものを出すのだということに最初からなつておるのであります。從つてこの爲替レート決定いかんにかかおらず、かわらないものというふうに私ども考えております。
  12. 中曽根康弘

    中曽根委員 懇談的に河野さんに伺いたいのですが、先ほどのお答えによりますと、價格調整金操作によつてこれを切抜けるような構想のように承つております。アメリカの物價が下るという予想は、予算通つてまだ一週間しかたたないので、あれを審議したときと状況が大してかわつていない。そういうことはこの際問題にならない。價格調整費に手をつけるとすると、政府がお出しなつ價格調整費内訳がある。そうするとこの内訳数字に必ず変動が來るだろうと思う。変動が來るということは、私は價格調整費として政府がお出しになつたのには、数字にずさんな面があつたか、あるいはゆとりを持つて多少数字をふやしておいたのか、そういうことすら疑わしいのですが、そこはそことして、ともかくお出しなつ資料変動がないことになると、一体どの方面でその金を捻出するのか、そこを実は聞きたい。それを重要産業あたりでは一番聞きたがつておるが、それを政府は言う義務があるだろうと思う、その辺どういうふうな数字変動があるかということを一應ここでお聞かせ願いたいと思います。
  13. 河野一之

    河野(一)政府委員 中曽根さんのおつしやることはもつともだと考えるのであります。この問題につきまして目下いろいろな点から研究いたしておりますので、この点においてどういうふうにするかということをちよつと申し上げるまでの段階に至つておりません。しかしこれは関係方面関係もございますので、確定的な考え方になかなか至らないのでありますが、ある程度價格調整費を順々に計画的に時期的に減らして行くという方法はないだろうか。それから生産者價格がきまりまして、消費者價格がきまりますと、どうも生産者價格で計算したときの單價数量が相当ふえましても、やはり生産者價格を一應改訂するまでは置かれるようなかつこうになつております。從いましてそれを常時原價関係を見て行つて調整する必要はないだろうか。それからそれと今後マル公なんかが整理せられるものがあるといたしまして、そういうものに対して迂回的に補給金が行つておる面が相当ございます。そういつたものの自由價格に対して、補給金を迂回的ながらやる必要があるだろうかどうかというようなこと。それから管理部面その他におきまして、人員の面で相当節約してもいい面があるのではないか。個々の産業についての問題になりますが、こういつた点を目下考えておるわけでございます。具体的の産業につきまして、どの部面についてどういうふうにするかということの詳しい具体的な数字を得るまでに至つておりませんが、目下方法としては着々と考えておるわけであります。
  14. 中曽根康弘

    中曽根委員 お答えはごもつともな点があると思いますが、しかし價格調整金をお出しなつたときの説明によると、各企業とも大体二、三%の節約をやらしてこの價格調整金が出ておるということになつている。そうすると、これ以上節約することがはたして可能かどうか、その点疑問があると思います。  もう一つは、池田さんも價格調整金からなるたけ金を出したいということを言つておられたのですが、石炭四千二百万トン、あるいは鉄鋼百八十万トンベースというものは実現困難だ。從つて補給すべき数量がそれほど多くならないから、價格調整金節約し得るという考え方があると思いますが、そういう余地はないのでしようか。
  15. 河野一之

    河野(一)政府委員 その点ごもつともであると思います。しかし最近の石炭情勢でありますと、このままで行きますれば四千二百万トンの達成は必ずしも不可能でないと考えられるわけであります。問題は鉄鋼でありますが、鋼鉄も予定しております鉱石がその通か入り、かつ石炭が四千二百万トンということになれば、必ずしも不可能でないという点で、特にこの方面から削減ということも考えられないわけであります。その他の物資につきましても、かりに数量がふえれば單價は減る。また数量が減れば單價はあるいは上るかもしれませんけれども数量が減ることによつて減少するというような面もありますので、もう少し各企業の実態をとらえまして、具体的にやつて行きたい。予算を急ぎましたために、その当時の原價なり生産見込みだりを見てやつたので、実行上においてはある程度異動が生ずるということも御了承願いたいのであります。必ずしも十分に余りがあるというふうにも考えておりませんが、さりとて今度の問題に関連いたしまして、あの價格調整費で足りなくなるというふうにも考えておらぬのであります。
  16. 中曽根康弘

    中曽根委員 もうちよつとお尋ねしたいのです。今風早さんがお聞きになつた千七百五十億円の問題ですが、確約というか、確認した数字でないとおつしやるけれども、一應そういう数字予算基礎に置いて、援助資金特別会計法というものもお考えになつたのだろうと思います。三百六十円になれば千九百億くらいになる。そうならないとすれば、今風早さんがおつしやられたように、削減されるのではないか。五億三千万ドルが減るかどつちかだろうと思う。どつちでもない、あるいは五億三千万ドル自体が、もちろん見通し数字であるけれども予算基準にした数字に変更が來ておるのではないかとも考えられるのです。一旦こういう基準を置いて予算をつくつた以上、形式的にもその基準変化が出て來れば、またわれわれに詳細説明してもらはなくちやならぬと思いますが、一体どつちなのですか。
  17. 河野一之

    河野(一)政府委員 これも大臣からお答え願つた方がよいかもしれませんが、援助資金として円貨で千七百五十億円を計上することに初めからなつております。この積算基礎については、分析してみれば、あるいはおつしやるような点がいろいろあるのかもしれませんが、そういうことで初めから考えております。
  18. 風早八十二

    風早委員 委員長……。
  19. 植原悦二郎

    植原委員長 風早さん、あなたの質問も少し固くあら探しのような感じがするし、主計局長も固くなつて、あまりあげ足をとられないようにというふうにも見えるので、そういうことではたく、実は今の千七百五十億の問題も、アメリカでは五億三千万ドルと新聞出しておる。そうすると千九百億になりはせぬかという御議論も、私はごもつともだと思うのですが、眞相をつかまえるために、委員の方も政府の方も懇談的にこの問題を考慮するという立場で、もう少しやわらかに願いたいと思います。これは委員長の希望です。
  20. 志賀義雄

    志賀(義)委員 議事進行でもありませんが、それについてちよつと……。先ほど西村委員から納得が行かないと言われたが、今委員長の言われるように、あげ足をとらないで新聞に出た範囲でということになると、つい委員の側でも、そんなことでは納得ができないからと言つてほじくることになるが、これはやはり主計局長のやり方が惡いからです。そこは予算委員会ですから、もう少し立入つて言われてさしつかえないと思うのです。こういう場合には、予算委員会の方から請求するまでもなく、政府の方から進んでこういう会合を持たれるようにすべきものです。もう少し詳しく言われたらどうです。そうすればその辺はつきりすると思います。
  21. 小坂善太郎

    小坂委員 どうですか、私は速記を止めて懇談会にしたらどうかと思います。大体質問答弁大臣に聞くようなかつこうで、河野君も大臣なつたつもりではないでしようが、非常に愼重に言つている。これでは聞きたいと思うことはちつとも聞けないし、新聞を読めばすぐわかる。速記があるということで、関係筋の氣がねをされている面もあるでしようから、速記をとめて懇談してみたらどうですか。速記をとつての話は大臣が出てからやつていただくことにして……。
  22. 植原悦二郎

    植原委員長 小坂君のお話、私はそれもけつこうだと思います。どうかもう少し固くならないでお話を願いたいと思います。
  23. 西村久之

    西村(久)委員 小坂君の御意見に私は反対するのではありませんけれども主計局長はこの程度よりお知りにならぬのではないかと私は思つている。それで物價廳担当責任者に來てもらいまして、輸入物資に対する補給金算定等を、日本はこういうふうにすればこういうふうになるというお役所の方ではあらかたのそろばんが出ておるのではないと思いますので、そこのところを詳しく知らしていただきたいと思います。そうすれば追加予算は組まなければならぬものであるか、この程度のものならば、内輪の操作でわれわれも承認してよろしいものであるかどうか、ということがおのずからはつきりして來るのではないかと、かように考えるのであります。河野主計局長にこれ以上、お尋ねいたしましても、今までの答弁を繰返されるだけで、その程度の御答弁は私どもお尋ねせぬでも、大体頭の中で判断のできる事柄でございますから、安本責任者を呼んでいただきまして、資料として出されましたものの計数にどの程度狂いを生じて來るか、この計数はこう操作して、こういうふうに政府は進めたいという数字的なものを実は伺いたいのであります。
  24. 植原悦二郎

    植原委員長 ただいま安本の係の者が商工委員会出席しているということで、こちらから使いをやつて商工委員会はこの問題に対しては目下の状態においてはむしろ從であるから、そちらをやめて予算委員会に來るようやつておりますから、さよう御承知を願いたいと思います。小坂君の問題は、こうやつているのも何だから、速記をやめてもう少し主計局長から御存じの範囲で、ざつくばらんにお話を願いたいという意見でありますから、その点に対しては、西村委員も御異存ないと思いますので、この際速記ちよつとやめていただいて、安本当局者が参りますまで、懇談を願うことにします。     〔速記中止
  25. 植原悦二郎

    植原委員長 これより速記を許し、まず爲替レート予算関係について、一應大藏大臣の御説明を願います。
  26. 池田勇人

    池田國務大臣 先日より対米爲替一ドル三百六十円ときまつたのでございます。予算をつくります場合につきましては、一應三百三十円を想定いたしてつくつたのでございますが、私としては当時よりある程度これが上ることを希望し、またこれを予想しておつたのであります。しこうして三百三十円で一應想定し計算はいたしておりますが、これが三百六十円になつたときにはすぐ予算の施行に困るかという問題が起つて來るのであります。しかし私は先ほど申し上げましたように、ある程度上つて補正予算をただちに出す必要はないという考えでおるのであります。  もちろん第一に問題になりますのは、輸入補給金の八百三十三億がどれだけふえるかという問題が起つて來ます。これは先般の会議でもたびたび申し上げておりますように、輸入します物資をどういうふうに選択するか、一應は御審議を願つたので行きますが、情勢変化によりまして、輸入物資の選択につきまして考慮を支拂つたり、あるいはアメリカ市場價格変動考慮しなければなりませんし、また一應の予定でありまして、これが輸入数量減つて來ることにたりますれば当然減るのでございます。從いましてただいまのところ、八百三十三億円が百五十億円程度そのままで行けばふえることになるのでありますが、いろいろ施策を講じまして、ただいまのところ、これを補正しようという氣持は持つていないのであります。  なお補給金を出さない輸入物資につきまして、原價が十一分の一上ることになるのであります。これらにつきましても企業整備等によりまして吸收し得ると考えて、いまただちに予算補正する措置はとらないと考えておる次第でございます。
  27. 風早八十二

    風早委員 お待ちしておりました大藏大臣が來られましたのでお伺いしたいと思いますが、爲替レートの三百六十円が、予算が終りまして一週間後に突然こういうふうにきまつたことについては、これはドツジ公使がせつかく大体三百三十円という了解であつたということと思い合せますときに、この一週間に内外——内外と申しましても、アメリカ情勢にも相当変化があるというふうに考えられるのでありますが、アメリカ市場價格変動というような形で今大藏大臣出しておられましたが、どういう市場変化があつたのであろうかということについて、ひとつ率直にお話願いたい。
  28. 池田勇人

    池田國務大臣 アメリカの物價の変動は、ただいまはつきりとは申し上げられませんが、いろいろな説がございまして、向うは通貨の増加よりも、生産品増加が非常に越えております。從いまして將來はある程度の物價値下りということが有力な説になつておるのであります。しかし輸入補給金考えますときに、そういうことも考慮に入れなければなりません。しかしそれは見通しでございますので、実行してみなければわかりません。從つて私はただいまのところでは、これで乘り切りたいという考えを持つておるのであります。なお三百三十円が三百六十円になつた経緯につきましては、私とドツジ氏との間のことでございますので、ここでは申し上げたくないと存じます。
  29. 風早八十二

    風早委員 私もドツジ公使とあなたとのことは別に伺いたくないのですが、ただ今の御説明では非常に樂観しておられる。現にそういうふうな宣傳もききまして、新聞で見ましても株式取引所なんかであの通り買氣が殺到して、扇風機をかけなければならないという大騒ぎになつておる状態です。ところがこれはとんでもない話で、やはりこの一週間における國際情勢変化をもう少し深刻にまじめに考えて、これを國民にもやはり明らかにして行く責任が政府としてもあると思う。このままで行けば、どうしても國際的な大きな混乱の中へ、日本がひつくるめて巻き込まれて行くという危險さえも出て來ておると思う。極東の情勢ともにらみ合せて、どうして急にこんなふうにかわつたかということについて、もう少し率直な御感想を伺いたい。政府としては一体どの程度にその問題を考えておられるか。ただ内部でやりくりがでるのだというだけの問題ではないと思う。結局この問題の根本は、まず第一に貿易計画がはたして実行できるかどうかということに來ると思う。その点についてすでにアメリカ側におきましても、現在立てられた日本の貿易計画が、その計画通りには実現しないという見通しを早くから持つてしまつた。それについてこの一週間の國際情勢変化、ことに極東情勢変化、こういう点について深刻に政府としては考えておられるはずだと思うのでありますが、それをどういうふうに考えておられるか。そうしてまた政府としては、やはり國民にそれだけのことを明らかにして行く必要があるわけであります。それでなければ、國民としてもこの決定した予算実行について、ほんとうに協力して行くことがなかなかむずかしかろう。相当の大問題である。ただ形式的な数字上の問題じやないと思う。そういう点についての御感想をもう少し率直大胆に御披瀝を願いたい。
  30. 池田勇人

    池田國務大臣 最近一、二週間の國際情勢に非常な変化があつたから、急いで爲替レートを設定したのだろう、こういう御質問のようでありますが、私は決してさよう心得ておりません。九原則の一番の目的である均衡予算ができ上つたのでありますから、その次に來るべきものは單一爲替レートの設定でございます。しかして私はなるべく早く設定した方が債権がそれだけ早いのだという考えを持つておるのでございます。
  31. 風早八十二

    風早委員 ただいま早くきまるものはきまつたがよかろうというお話ですが、問題は三百六十円にきまつたことです。わずか一週間かそこらでそのレートが違つたことです。それは時期の問題もありますけれども、問題は三百六十円にわざわざ変更して、しかも時期が繰上げられてきまつたということでありまして、そのために事実今まで心配しなくてもいいことを、政府としても心配しなければならない。また実際そういう心配が國内的に起つて來るわけであります。そういうことをなぜ一週間なら一週間前にやらないか。これは池田大藏大臣としては、何も日本政府の知つたことじやないと言われるかもしれませんが、そうじやないと思う。現に大藏大臣は三百三十円に大体きまつてそれを基準にするときに、それよりも上ることを希望し、かつそれを予想しておつたというようなお話である。これはきよう初めて伺つたのですが、これはどうも少しおかしいと思う。一旦三百三十円を基準にして組み立てられた予算は、そう簡單にかえられるものではないのでありまして、むだな非常な骨をまたおらなくちやならぬ。それはやはり不可抗的に新しきいかんともしがたい情勢が起つて來た。これは現在はまだ非常に表面化しておらないとしましても、アメリカの経済情勢にいたしましても、大きな変化が起る一つのきざしが出て來たという点を、率直にわれわれは凝視しなければならぬと思う。そうでなければ、こんなただ言い訳的な数字上のやりくりということでは、問題は解決しないのでありまして、私はただきまるものが早くきまつたという問題でないということを申し上げて、今の御説明はいささか訂正を要求したいと思います。
  32. 中曽根康弘

    中曽根委員 大藏大臣にお尋ねしますが、先ほども主計局長にお聞きしましたところ、價格体系には手をつけない。それから追加予算も組まない。合理化あるいは操作によつてつて行く、こういうお話ですが、ところが御存じの通り八百三十三億の半分くらいの四百億は食糧と飼料です。そういたしますと、食糧代金は合理化の余地がないのですから、残りのもので合理化をやらなくちやならぬということになる。そうすると鉄鋼とかソーダ灰とか非鉄とかあるいはその他のものになるわけでありますが、半分は手をつけられないとすれば、何から合理化の余地を見出すのか、政府出しました案によると、補給金單價も下げられしおるし、十二、三%の合理化もやつて予算というものは出ておる。それにさらにやるとすれば、一應考えられるのは、石炭四千二百万トンあるいは鉄鋼百八十万トンは達成不可能で、そこに余剩が出て來るというようなことも考えられるが、どこからひつぱり出すかということを、この際國民に明らかにする必要があるだろうと思う。これをぜひお漏らし願いたいことと、もう一つは單一爲替相場の決定によつて、一面には外資導入を促進するというような面もあるだろうと思うが、そうなると大藏大臣が言われた資産の再評價という問題が出て來る。もしそういうふうなコースに進んで行くとすると、再評價をやるとすれば、当然減價償却に響いて行つてマル公に響いて行く、物價体系に響いて行く、そういうものが本年度の予算のコースの中に行われるのではないかと思う。そうなるとやはり價格体系予算の問題にひつからまつて來るので、この点をどうするのか、以上の二つの点についてお尋ねいたしたいと思います。
  33. 池田勇人

    池田國務大臣 價格補給金等の削減の問題でございますが、これはただいま研究をいたしております。私の考えをもつてすれば、相当程度の減少を期したいという考えを持つておりますので、数字的に今ただちに予算を組みかえるという考えは持つておりません。  次に三百三十円が三百六十円になつたならば、一般物價に影響するだろうというお話でございますが、これは一般物價水準は動かさない方針を堅持いたしておるのであります。あるいは個個の物價、個々の品物につきましては上るものもあると思うのでありますが、極力企業能力によりコスト低下を期待いたしまして、動かさない方針を堅持したいと考えております。  再評價の問題は、こうなつて参りますと、私は早急に手をつけなければならぬと思つております。先般もお答えいたしましたが、税の問題とも関連し、外資導入とも関連し、償却の問題等も考え、そうして物價にも影響を及ぼしましようが、物價にはなるべく影響を及ぼさないような方法で行きたいと考えております。
  34. 中曽根康弘

    中曽根委員 物價に影響を及ぼさないで再評價をやるのは、非常にむずかしい技術を要するのですが、一体どういうふうな御構想でおやりになるのか、お漏らし願いたいと思います。
  35. 池田勇人

    池田國務大臣 御説の通り非常にむずかしい問題でございますので、ただいま研究をいたしております。
  36. 植原悦二郎

    植原委員長 今安本長官を呼んでいますから、大藏大臣に対する御質問は、ほかにあればですけれども、なければこの程度にして、安本長官の説明を聞くことにします。
  37. 小峯柳多

    ○小峯委員 先ほどのお話の中では、対日見返り資金特別勘定のことが語られなかつたのですが、その勘定の中に予想される変化はどうですか。
  38. 池田勇人

    池田國務大臣 千七百五十億円には手をつけない考えでございます。これは三百三十円で予算で認められるものを逆算したわけでもないのでありまして、千七百五十億円でただいまのところは、本年度は進んで行く考えでおります。
  39. 小峯柳多

    ○小峯委員 先ほど主計局長に伺つたのですが、対日援助見返り資金特別会計法案によりますと、貿易特別会計からの繰入れは、米國対日援助物資アメリカ合衆國通貨による價格を、大藏省令で定める換算率によつて換算した價格に相当するものとある。すなわち物資が入つたものをそのまま換算して見返りに入れるのでなくて、適当に手かげんをやつて千七百五十億円というものを繰入れるということに解釈していいのですか。
  40. 池田勇人

    池田國務大臣 その通りであります。
  41. 小峯柳多

    ○小峯委員 そうしますと、貿易会計の方には入り方いかんによつては、勘定で残るものも出て來るし、その両方の調整で対日資金を運用するということですか。
  42. 池田勇人

    池田國務大臣 その通りでございまして、二面がございますから、非常にたくさん入つて來たときには、千七百五十億円をたくさん繰入れるかもしれませんが、一應千七百五十億円にいたします。それから入りの少いときには、千七百五十億円入れ得られぬかもしれませんが、そのときには歳出の方を落す、ということに相なつております。
  43. 小峯柳多

    ○小峯委員 そうすると千七百五十億円を資金計画の中で読み込んだやつは、これは相当彈力性のあるものと解釈したければならぬのですが、そうですか。
  44. 池田勇人

    池田國務大臣 ある程度その通りでございまして、今度の予算は相当各方面に彈力性を持たせております。
  45. 小峯柳多

    ○小峯委員 笑話になりますが、どうも彈力性が多過ぎます。こんなことを言つていいかわかりませんが、私ども公使にお目にかかつたときには、相当きつちり組んだ予算だということを伺つたのですが、どうも彈力性があり過ぎるように思つておりますが、その辺の見解はどうですか。
  46. 池田勇人

    池田國務大臣 それは形式的に向うの予算で認められるドル資金を三百三十円でやつたといたしまして、三百六十円になつたときには、これを形式的にやりますとふえる。しかしそれはふやさずに、千七百五十億円は、これこそはつきり返つて來るいい條件になる。彈力性と申しますのは、いいかげんというわけではございません。予算の執行上均衡予算はこれで行くのだということにいたしまして、実際均衡予算にいたしたい。いいかげんな数字という意味ではございません。
  47. 植原悦二郎

    植原委員長 今安本の物價局長が見えたようですが、物價局長の説明を伺うことにいたします。
  48. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。爲替レートが三百三十円の予定から三百六十円に上りました関係上、輸入補給金は一應八百三十三億円に計上してありますが、これがいかに変化するかという問題であります。三百六十円にレートがきまりました関係から、食糧、肥料、工業原材料、纖維その他を合せまして値上りの概数は、結局約百五十億円ということに相なります。この百五十億円をどういうふうに調整するかという問題でありますが、このほかにいま一つの問題といたしましては、輸入補給金を支出しないものの國内拂下げ價格が、三百三十円から三百六十円のレートの引上げによつてつて來るという問題がもう一点あるわけであります。この輸入補給金八百三十三億円の不足の百五十億円をいかに調整するかという問題は、結局予算の許される範囲において、内部において調整する余地はまだあると思います。それは價格調整補給金が千二億組んであるのでありまして、今後これの圧縮等によりまして、内部において何がしかの余裕を出す。そしてこれを輸入補給金の不足分にまわして行くという余地もあろうかと思います。極力そういうふうに許された範囲において調整をいたしまして、なおかつそこに不足が生じました場合には、予算の上で増額が認められない場合におきましては、結局三百六十円の設定されたレートを維持する立場から、物價の最終段階における水準を堅持する必要がありますので、ただいま考えておりますところの補給金支出の対象を整理して、あまり物價に影響のないものから逐次これを落すとか、あるいはその補給率を切り下げて來るというような措置をとりまして、結局輸入物資を消費する各段階におきまして、あとう限り吸收措置をとつて、最終段階においては物價は動かさないような方策をとることに相なると思います。從いまして輸入物資を使つて生産をする企業等は、いま少しく合理化の度を高めて行く必要が生じて來ると考えております。
  49. 小峯柳多

    ○小峯委員 ただいま総括的に伺つたのでありますが、中のやりくりで、補給対象物を減らしたり、補給金を減らすということでありましたが、具体的にはどういうことになつておりますか。
  50. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。この問題は関係方面ともただいま折衝いたしておりまして、まだ具体的な結果を申し上げる段階ではありませんけれども、至急これは決定をいたしたいと思つております。
  51. 西村久之

    西村(久)委員 私はどうも政府のお述べになることがわからないのであります。先ほどの御説明を伺いますと、安定帯物資補給金を減して、その減した金を輸入物資の不足を訴える方に充当して行く考えであるというように御説明があつたのであります。そうだといたしますと、安定帯物資の方の関係價格を減らすのは、政府は減らすつもりでありましようが、関係方面の同意が得られるおつもりであるか、私は心配するのであります。この点は物價に影響する関係があるので、相ならぬというのが向うの強い御意見ではないかと考えまするので、念のために、ゆとりがないのではないかということを心配いたしますために、お尋ねをいたす次第であります。
  52. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。價格調整補給金は一千二億円に組んであります。もちろんこれに余裕が大いにあるとは考えておりませんけれども、今後実行にあたりましては、これは逐次企業の操業度なり、合理化とにらみ合せまして節約するという方針であります。そこに何がしかの節約分が出た場合にこれを他にまわすことが、つまり輸入補給金の不足分に充当することが必要になつて來ると思うのであります。この点まだ関係当局と確定的な打合せはいたしておりませんけれども、ぜひそういうふうにいたしまして、物價全体の水準を最終段階においては上げないような措置をとりたい、こう考えておる次第であります。
  53. 西村久之

    西村(久)委員 お考え一應了とするのでありますが、そういうことができないぎりぎりのところで一千二億は算出されたものではないかと私は考えるのであります。これにゆとりがあつて、今政府のお考えになりましたように、五十億でも百億でもゆとりがつけられるものでありますならば何をか言わんやであります。國民が非常に重い負担を受けて行かなければならぬ今日でありますから、前の予算にお組みになつた際に、政府でもそれだけは税の軽減をはかられる、関係方面でもそういう方面のゆとりのあるものは、私はある程度節約をされて、予算編成に当られたのではなかろうかと思うのでありますが、私ども考えでは、爲替が三百三十円から三百六十円になりましたその関係は、必ずやここに何らかの方法予算上にひびが入つて來るのではないかということを心配いたしますので、お尋ね申し上げておるので、政府の樂観論には私は、簡單にここで御同意申し上げません。関係方面意見がどういうふうにかわるか知りませんが、大いに政府のお考えになるような方向に進んで來ることを希望いたしまして、私は質問は本日はいたしません。
  54. 植原悦二郎

    植原委員長 この場合、一應予算と為替レート関係について安本長官がお出になりましたから、安本長官の御説明を伺つておきたいと思います。
  55. 青木孝義

    ○青木國務大臣 私がここへ参ります前に、大藏大臣からもいろいろと御答弁があつたことと存じます。この爲替レートが三百六十円にきまつたことによつて生ずるところの物價への影響、ひいては予算全体への影響、こういうことが当然一應考えられるということは、私もその通りだと思います。問題は、御承知の通り輸入物資についての補給金が八百三十三億の中でまかない得られるかどうか、こういうことでありますが、この点は大体概算いたしまして、御承知の通り百五十億というものが足りなくなる、こういうことが一應考えられます。その他補給金を伴わないものにつきましても二百八十五億というものが一應推算されるのであります。しかしながらこの予算のきまりました結果から見まして、大体政府といたしましては、この程度の足りない部分は、予算のきめられた範囲で何とか処置して参りたい。ことに二次、三次の製品でこれを吸收するとか、あるいはともかくも合理化を強く行うというような面で、どうしてもこの際物價を動かさないで、現在のきまつた予算の中で措置して参りたい、こういうことの考えから、ただいまおそらく御答弁になつておりましたように思いますし、私どもといたしましても、御心配の点はよくわかるのでありますが、この際しばらくこの予算実行して行くことによつて、万一これが維持できないというような事態が起つて参りました場合には、あらためてこれに対する措置を講ずるというような考え方をもつて、少くとも今日のところ、この予算内で物價の上らないように、また個々の價格については、吸收する意味におきまして、いろいろと考えなければならぬ部分が生ずると存じますけれども、ただいまのところ、このままの状態で維持して参りたい、こういう考えであります。
  56. 植原悦二郎

    植原委員長 小峯柳多君。
  57. 小峯柳多

    ○小峯委員 私は今度の予算の中で、價格調整費の問題が一番大きな問題の一つだと思いますが、ことに実行予算で節減をして行くということになりますと、どうしても價格調整費の繰りまわしを考えて行かなければならぬと思います。ただいま安本長官からお話がありまして、やれなくなつたらまた別の筋を考えられるということだつたら問題はないと思うのでありますが、むしろそうでなくして、一應見通しをつけて、これでやつて行くということになりますと、当然價格調整費の節減の問題が出て参ると思います。先ほど物價局長は、まだ作業をしていないとおつしやいましたが、筋道として、考え方として、この價格調整費がどういう筋道で節減できるかというその筋道を伺つておきたい。先ほど大藏大臣アメリカの物價は下るだろうというようなことを、價格調整費を切下げる理由の一つとしておられたようでありますが、今また安本長官は合理化の話をされましたが、思いつきでなくて、もう少し筋を立てて價格調整費の節減の見通しをはつきり立てませんと、今おつしやつたようにやれなくなつたらまた別の筋を考えるというならいいのでありますが、そういうふうに簡單なわけには行くまいと思うので、そういう意味で價格調整費を節減する筋道——具体的な作業についてはまだ態度はきまつていないと思うが、考え方の筋道を伺つておきたいと思います。
  58. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。價格調整費は、御承知の通り、現在の物價水準を低く抑えるために出されておる費目でありまして、これは日本が今後國際場裡に立つて、ほんとうの強靱な輸出力をつけるためには、きわめて不自然な状態であります。しかしながら一挙にこれを撤廃することもできないので、今度もああいつたような総額約二千億の調整費関係の支出が計上されたわけであります。しかしこれはあくまでも日本の経済力が回復しまする過渡期における経済的措置であります。この費目は逐次減少いたします。そして適時に打切らるべき問題であります。時々刻々日本の経済の実態に即應いたしまして、このものは落して行くことが必要になります。今後はこれをいかに落すか、具体的な計画を立てるわけであります。大体の考え方といたしましては、月々の操業状況合理化の進度、そういつたようなものを見まして、補給金單價を引下げる。そして節約をはかる。こういうことを考えておるわけであります。また輸入補給金につきましても、輸入物資を使つてものを生産する企業におきまして、補給金が今度百五十億不足することによつて、さらに調整をして、なおかつ足りぬ分が出ると思いますので、これは今申しますようなラインに沿つて企業合理化なり操業の向上なりを見ながら、逐次落す。その場合に結局企業合理化の度が、三百三十円レートで八百三十三億円補給金が出た場合に比べて、強くなる。こういうふうに考えます。これは経済の実態と即應して考慮せらるべき問題であります。今具体的にはお答えする用意は持つておりません。
  59. 小峯柳多

    ○小峯委員 お話の筋合はわかつたのでありますが、そうしますと、毎月なりあるいは二箇月ごとなりにでも、補給金單價を切下げるというふうな作業をなさつて行くお考えであるか、伺つておきます。
  60. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。期間はどういうふうになりますか、あるいは四半期になりますか、その点もはつきりいたしませんけれども、時々刻々この実態を把握いたしまして、そして一定の計画のもとに、逐次これを下げて行くような方向で処理したい、こう考えております。
  61. 小峯柳多

    ○小峯委員 安本長官に伺いたい。この三百三十円を想定して予算を一應組んだ。随所にそういう形跡があるのですが、これが三百六十円に急にきまつた。先ほど風早委員からも、この間の経緯に関して御質問がありましたが、その辺の経緯をおさしつかえない限り長官から伺いたい。
  62. 青木孝義

    ○青木國務大臣 前の予算はともかくといたしまして、今回のレートの設定は、もちろんワシントンからのあれできまつたということに私どもは聞いております。(笑声)
  63. 小峯柳多

    ○小峯委員 答弁がしにくいのだろうと思いますが、ふしぎに思いますことは、あの予算をあれほどいろいろな意味で指導してつくられた。その責任者がまだおる間に、少し樣子が違うものが出て來たので、線が違うのじやないかというような感じが実はいたしておるのであります。正式にこんな答弁を求めては、あるいは困るでしようが、その辺のことを、機会を得て、秘密会なり、何なりでもいいのですが、ぜひ委員にすつぱりした話をなさる機会をつくつていただきたい。これは答弁はいりません。希望を申し上げておきます。
  64. 植原悦二郎

  65. 風早八十二

    風早委員 貿易廳長官は來ておられますか。
  66. 植原悦二郎

    植原委員長 貿易廳長官はおられません。
  67. 風早八十二

    風早委員 おられなければ安本長官に伺います。大体根本問題はどうも伺つてもむだなように感じますが、大体今度三百六十円にきまつた結果、貿易計画の実行にどういうふうな変化があるか、この点だけでもいいですから、ひとつ安本長官に伺います。
  68. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただいまの風早さんの御質問でございますが、御承知の通り輸入物資について特に三百六十円という爲替レートに基くところの輸入がなされるといたしますと、やはりそのうちのおもなる輸入品である食糧はなお補助金が増加する、こういうことも一應考えられるのであります。それからまた輸出面におきましても、御承知の通り、三百六十円という爲替レートに基いてやりますれば、前々からわれわれが想定して参りました三百三十円から考えますれば、多少輸出が樂になつて來たということが考えられますし、それから來りますところの輸出産業の面につきましては、從つて幾らかゆるやかになつて來た。そのために外國貿易に対する産業面の考え方は、幾らか日本の輸出面で救われて來るということが考えられるわけであります。ここでもちろんこの輸入関係において、政府としては八百三十三億円なり、あるいは千二億円、これらの助成金の中でこの操作に当つて参ります関係からしまして、ともかくも輸出がよけい増加できるということは、われわれにとつてはけつこうなことであるというふうに考えておる次第であります。ことに輸出振興を目ざしておりまして、進んでは國際物價にさや寄せさして行こうという考え方としては、三百六十円という爲替レート予想以上に輸出に有利だということの考えを持つている次第であります。
  69. 風早八十二

    風早委員 輸出についてそういうふうな幻想をやはり一般國民も持つておるのでありまして、これは先ほども申しましたが、実際今の株式取引所のあの買いの殺到を見てもわかるのです。わかりますが、それはいやしくも識見ある政府としては、そういうことをやはり樂観材料として考えられたならば、これはたいへんな間違いです。今日御承知の通り、輸出はほとんど輸入を前提にして、輸入物資をもらい、補給金をもらうというふうな企業経営だけが、輸出の可能性を持つておるのであります。そういう意味で、まず問題は輸入にあると思うのです。この輸入の点も、今のような困難が新しく起つて來るということになれば、これは輸出について、そう樂観をすることはたいへん禁物じやないかと思うのです。もう少し実際に、今度の予想よりも三十円の引上げによりまして、輸出の面では、はたしてどれくらいここで採算割れを免れるものが出て來るか、こういう点について計算がありましたならば、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  70. 青木孝義

    ○青木國務大臣 ただいまのところ、まだはつきりとしたそういう作業ができておりませんので、できるだけ早くそういう点についての研究を遂げたいと存じております。
  71. 植原悦二郎

    植原委員長 米原昶君。
  72. 米原昶

    ○米原委員 先ほどから主計局長大藏大臣説明にも、詳しい数字については言われないのでよく私納得が行かぬのですけれども、若干わかつたのアメリカ市場変動するということです。それを大体見込んでおられる。ドツジ公使自身もそういうふうに考えておられたというお話がありましたが、そうなつて來ると——大体アメリカの物價が二、三割下るというさつきもお話がありましたが、アメリカの経済恐慌ということをある程度考えられると、やはり輸出の面にも相当決定的な影響をむしろ與えて來るのじやないか。そういう点を考えて、輸出がゆるやかになるとそう簡單に言えないと思いますが、そういう点を考慮してどんなものかということを、少しく説明していただきたい。
  73. 青木孝義

    ○青木國務大臣 私どももきわめて概念的に申し上げますれば、ただいまおつしやつたアメリカの物價が二割下るだろう、こういうことはアメリカの恐慌を予想して、日本の輸出がどんなふうに影響をこうむるか。こういう点だと思いますが、これは二割下るであろうということが、はたしてアメリカの恐慌であるかどうかということも問題でありますし、またそれだけの生産過剩がアメリカの経済に対して、確かに二割の影響があつたといいながら、はたして恐慌という程度まで行くのかどうか。こういうことも問題になるでありましようし、またわが國の輸出がひとりアメリカのみでないことは御承知の通りでありまして、あるいは南方とか、アジア諸地域にどれくらい出るかということも考えなければならぬし、それからその他の地域についての貿易関係考えなければならぬと思いますので、今後に属する問題であると思います。
  74. 植原悦二郎

    植原委員長 今日はこの程度において散会したいと思いますが、散会前に私は政府に対して、少しく御注意を喚起いたしておきたいと思います。かような爲替レートの一本建は、かねて予想はしておつたことではありますが、政府予算編成されるときには、大略三百三十円をベースとして輸出入の貿易を考慮され、その他の関係において予算編成されたことと私ども推測いたしております。予想より早く爲替一本レートの定まつたことは、將來に対していい影響を與えるのでありましようけれども、すべての者がほぼ考えておりましたよりは、かような急激の変化のありましたときには、予算委員長予算委員会を開いて政府説明を求むるまでもなく、今日國会が國家の最高権威である場合において、政府が先んじてかようなことを説明いたすということを申し込んで、かかる機会をつくるべきが議会を尊重する当然な道だと思います。將來さような御考慮を煩わしたいものだと思います。のみならず、今日は主として輸入に対する八百三十三億の補給金の問題に対しての質問應答がかわされましたが、この爲替レートの三百六十円は、輸出入ともに影響すること甚大だと思います。そうしてこれらの品目に対して、どういう品目に対してどういう影響があるとか、どうとかいうことは、ただちにわからないことでありましようが、少くもそれらに対してかねて御計画しておられることと、このために輸出入ともにどれだけの変化影響があるか、さようなことをもう少し正確にお調べになつて、特に予算委員会を開く必要のない場合においても、数字や表において、予算委員会に対して御説明をしてくださるような手続をとつていただくことをこの際に申し上げておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十九分散会