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1949-04-13 第5回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月十三日(水曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 池田正之輔君 理事 上林山榮吉君    理事 庄司 一郎君 理事 西村 久之君    理事 水田三喜男君 理事 三宅 正一君    理事 中曽根康弘君 理事 米原  昶君    理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君       石原  登君    天野 公義君       井手 光治君    小金 義照君       小平 久雄君    小峯 柳多君       尾崎 末吉君    鈴木 明良君       周東 英雄君    高塩 三郎君       高橋  等君    玉置  實君       中村 幸八君    西村 英一君       野原 正勝君    平島 良一君       松浦 東介君    若松 虎雄君       有田 喜一君    小野  孝君       小坂善太郎君    笹山茂太郎君       鈴木 幹雄君    奧村又十郎君       川島 金次君    風早八十二君       野坂 參三君    金子與重郎君       松本六太郎君    黒田 寿男君       衞藤  速君  出席國務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 森 幸太郎君         商 工 大 臣 稻垣平太郎君         運 輸 大 臣 大屋 晋三君         逓 信 大 臣 小澤佐重喜君         労 働 大 臣 鈴木 正文君         建 設 大 臣 益谷 秀次君         國 務 大 臣 青木 孝義君        國 務 大 臣 木村小左衞門君  出席政府委員         内閣官房長官  増田甲子七君         総理廳事務官         (経済安定本部         財政金融局長) 内田 常雄君         大藏事務官         (主計局長)  河野 一之君         大藏事務官         (主税局長)  平田敬一郎君  委員外出席者         專  門  員 小竹 豊治君         專  門  員 小林幾次郎君 四月十三日  理事志賀義雄君の補欠として米原昶君が理事に  当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十四年度一般会計予算  昭和二十四年度特別会計予算  昭和二十四年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 植原悦二郎

    植原委員長 会議を開きます。これより質疑を継続いたします。  なおこの際私は政府に対してもひとつ御了解願いたいと思います。ずいぶんお忙しいことはお察し申しますけれども、けさのごときは多数の委員が御出席になつて、一時間以上も待たれております。閣議のおありのことも承知しておりますけれども、いくら閣議でありましても議会の会期もすでに切迫いたしております。まだ多数の質疑が残つております。政府の御希望によれば一定の時期に予算の通過をはかつてくれるようにという委員長に申出もあります。委員の方もよく勉強してくださるし、委員長も非常に努めておりますが、いかにも閣僚の方の出席率が悪いのであります。こういう状態ではいかに委員の方が勉強され、未熟な委員長努力いたしましても、なかなか各位の思うように進捗いたしません。ずいぶんお忙しいところ、閣僚方みな御老齢でお察し申しますけれども、もうひとつよく御努力を願います。
  3. 中曽根康弘

    中曽根委員 きのうに続きまして安本長官にお尋ねいたしたいと思います。私はきのうも申し上げましたように、この予算編成する政府考え間違つている。どうしてかというと、今の日本経済状況では予算編成する基本方針としては少くとも三つのものが必要である。一つ財政規模を縮小することである。第二番目は企業合理化を断行するように措置することである。第三番目は價格体系安定價格体系編成がえする必要がある。この三つ基礎にして予算編成をやらなければならぬ。ところが政府政策はスケールにおいても、あるいは價格体系資金計画生産計画においても、われわれの考え大分違つている。その点でこの予算にはいまだに納得し得ないのであります。政府考え方は、いわゆるコンサプティヴ・インフレーシヨンというか、一般の余剩購買力所得税三千百億をとることによつて全部吸收してしまう。がしかしながら輸出振興のためには物價体系を動かないようにする。從つてその犠牲は一般生活水準の低下に向けられてもやむを得ない。旅客運賃上つて貨物運賃が上らないということは、その端的な表明である。こういうふうに私は解釈をする。そこで予算基本方針は、生産計画資金計画、それから為替レートの問題、價格体系の問題、こういうものと完全に吻合していなければならないと思うのです。そこに私はまだ疑問があるので、まず生産計画資金計画の点について、きのうの質問漏れをいたしたいと思います。  まず第一に資金計画の問題ですが、きのうも大藏大臣と論爭いたしたのですが、私は安定が達せられる瞬間には、蓄積ということは絶望視しなければならぬ、こういうことを主張しておる。それはどうしてかというと、少くとも安定の傾向が見えたときには、それは一般生活水準の向上つまり安定というときには本に書いてありますように、收穫されるときである。生活水準の回復に收穫されるときであつて蓄積に余剩能力が向うような余力は、日本生活水準にはない、こういうふうに考えておる。しかし政府は今や蓄積も可能である、こういうようなお考えであります。ここに出て来ておるところの二千三百億という貯蓄に、その思想が出て来ておるだろうと思うのです。蓄積ができるもう一つの理由は、どうしてもある程度インフレ氣味というか、價格体系変換なしにはできない。それをやる。言いかえれば今のような日本経済の段階では、完全な計画経済をやるか、あるいは少くともある程度インフレ價格体系のある程度変換をやる以外には、資金増加は期待し得られない、こういうのが私の考え方です。そういう点から見ると、この財政政策基本思想は、貨幣面においては安定を強力にやるのだ、しかし生産面においては復興をやるのだ、つまりこの竹馬はきのう言つた通りびつこである。こういうびつこの竹馬経済で完全なこの予算の遂行ができるかということを私は疑うのです。そこで四千二百万トンの石炭生産が可能である、これを希望するというような御返事でありましたけれども、私は実際問題として不可能であるだろうと思います。なぜならばこれだけの預金増加ということは期待できない。かりに万一これが期待できるとしても、一体この中から設備資金にどれだけ向けられるお考えであるか。きのうの大藏大臣答弁によると、千六百億と言われておるが、設備資金産業資金にどの程度振り当てられるか、その点からひとつ承りたい。
  4. 青木孝義

    青木國務大臣 お答えいたします。中曽根委員の御意見は、経済が変動する場合においては資本蓄積できるけれども、変動しない場合、安定した場合においてはこれはできないものだ、こういうような見方のように承りました。それは一つの観察だと思います。経済学の面から御承知通りにそれは一つ見方だと存じます。從つてわれわれはこのインフレーションがいよいよ收束過程に入つて來て、そうして安定する、こういう場合においてもなおその蓄積のできることは、私は否定できないと存じます。そこでこの二十四年度物資生産の見通しの概要についてこの前もちよつと申し上げたと存じまするが、石炭について四千二百万トン、これは昨年に比べまして非常な増加です。約一五パーセントの増加、こういうことになつております。それが一体可能であるかどうか。こういう問題でありますが、これは現在の日本状況をそのままで考えますれば、むずかしいという考え方も当然起つて來ると存じますが、これを掘り出すいろいろな必要な機械を使用するとか、あるいはそのほかこれに対する増産努力というようなことが加わりますれば、必ずしも不可能だとは考えられない。われわれはとかく原則論に支配されがちであります。しかしこの場合、われわれの生産計画というものを考えてみても、ただいいかげんに生産計画を立てておるわけではございません。大体におきまして昨年と今年度というものを考えまして、昨年の程度に比較しまして、この程度ならば何とかできるだろう、あるいはやらなければならぬ、こういつた立場からやつておるのでありまして、その点については十分御了承のことと存じますけれども、とにもかくにもわれわれは一應その生産計画を立てておりますので、それをもう一ぺん申し上げまするならば、石炭につきましては二十三年度実績に比較いたしまして約一五パーセント増し、そうして直接生意用に使用されますいわゆる産業用石炭について見ますると、約三六パーセント増しということを予定いたしております。もちろん予定でありまするからこれに努力が加わらなければならぬし、またその他のいろいろな援助もしなければならぬということは考えます。しかしその援助につきましても、いつまでも援助しておるというようなことがいいか悪いかということを考えれば、今度の予算から見ますれば、大体御了承ができると思いまして、その点は申し上げません。それから電力につきましては、二十四年度は前年に比しまして約五パーセント増、大口産業用につきましては約一〇パーセント増の予定であります。さらに鉱工業の原材料の輸入は、前年度に比しまして約五割増を予定いたしております。そういうようなわけで、一一こまかくは申し上げませんが、おもな点で大体そういう計画を立てて、これに対しまして、生産計画に沿うように企業上における努力を要請するといつたようなことで、その増産計画が不可能であるという考え方は私どもには持てないのであります。
  5. 中曽根康弘

    中曽根委員 安本長官は希望的な計数を述べられましたが、こういう計数は書けばいくらでもできます。しかしこれの裏づけになつている資金計画の点、特に設備資金運轉資金の問題を聞きたいと思います。
  6. 青木孝義

    青木國務大臣 運轉資金設備資金につきましては、政府委員からお答えいたします。
  7. 内田常雄

    内田政府委員 昨日大臣から御説明がありました資金需給見込みは、産業資金として設備資金運轉資金、その他の資金を一括しておりましたが、経済復興計画をなし遂げるためには、初年度たる二十四年度においては、最小限千六百億円程度設備資金が要るということも大臣からお話がございました。この千六百億円につきましては、多々まちまち弁ずるのでありまして、千六百億円よりも千九百億円の方がよい、また千九百億円ぐらい設備資金がどうしてもいるというような要求を集計した数字もありましたけれども、だんだん私ども作業して参りました結果、昨日大臣からお話しになつたような数字になりました。一應私どもが想定しておる設備資金につきましておもな業種を申し上げます。  石炭関係では四千二百万トン掘るためには、二百四十億円ぐらいの資金がほしいと思います。ただし石炭につきましては、御承知のように企業の経営がまだ十分合理化されておらぬから、四千二百万トン掘るにも二百四十億円はいらないという有力な説もございまして、あるいはこの数字はもう少したたかれて、しかも四千二百万トンが掘れるということになるかもしれません。  次に鉄鋼関係ですが、これは本年度百八十万トンを生産いたしまするためには、相当な金がいりまして、九十億あるいは百億とも言われておりますが、一應九十億と御承知を願いたいと思います。  次に大きなものといたしまして電力がございます。電力は、電源増加について戦時中から引継いでおつた計画は、大体二十三年度までに終つたような形でありまして、本年度からはやるとすれば相当大規模電源開発に着手しなければならぬ。そのために約四百億円ぐらいの設備資金、あるいは設備補修資金がいると考えております。  その次に大きいものは船舶でございます。一應私どもは千六百億円の場合には二百億ぐらいと見ておりますが、すでに御承知のように、船舶建造計画について、最近関係方面から相当内容のかわつた好意ある勧告と申しますか、御指示もあるようでありまして、たとえば三十五万トンの大型渡洋船舶をつくらしてもいいというような話も進みつつあります。そうすればこの二百億はさらに大きい金額を要請されるかもしれませんが、初めとしては二百億円でよろしいかと存じます。  次に一番問題になる点は、農林水産関係復興資金ですが、これの出し方もいろいろ問題はございます。昨年度までは復金から資金供給いたしまして農林中金から金を出すところの、農林漁業復興金融制度の道がございましたが、本年度からは復金の新規貸出し資金原則として認められないことになりました。ここに大きな問題がありますが、同時に農林漁業関係は多々ますます弁ずるというかつこうでありまして、大きく申せば、あるいは二百億ぐらいの金もぜひ必要かと思いますが、一應われわれは百億ぐらいの見当考えて参る。そのほか各種の産業等を合せますと、大体千六百億ぐらいになります。  なおこれが調達につきましては、昨日も大藏安本大臣からお話がございましたように、必ずしも簡単には考えられません。また米國日援助見返り勘定からも、これらの産業資金設備資金としての相当額の放出をわれわれは期待いたしまして、実は具体的なA案B案等数字をもちまして折衝中でございますが、それだけでも足りません。私どもはやはり興銀なり、預金部なり、あるいは農林中金なりの資金供給して、これらの長期設備資金を貸出すことが制度上可能な金融機関に金が流れる道をつけて参つて、少くとも千六百億、あるいはそれ以上なお増し得るかもしれないところの資金供給の方策は、具体的に考えております。
  8. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の各業種別融資予定額と去年のものとの比較がございますか。
  9. 内田常雄

    内田政府委員 昨二十三年度設備資金の全体で千百七十五億円程度でございました。これは詳しい業種別はいまだ集計ができ上つておりませんが、御承知のようにこの千百七十五億の大部分復興金融金庫でございまして、昨日配付になりました表にも載つておりますけれども復金から出ましたところの七百二十六億円の大部分は、昨年度においては長期設備資金でございます。そこで昨年度実績といたしまして、復金関係だけが今手元にありますから申し上げますと、石炭関係では二百十九億円、鉄鋼関係では十九億円、二十四年度よりもはるかに少い数字でございます。それから電力関係では百七十億円、船舶関係では百十三億円、それから農林漁業関係では、こまかいものは別として、先ほど申し述べました農林中金から農林水産復興資金として出されましたものが大体二十億円見当という数字になつております。
  10. 中曽根康弘

    中曽根委員 私が聞いた範囲では、昨年度設備資金は十一月の物價水準で千五百億円程度だということでありましたが、その数字間違いですか。
  11. 内田常雄

    内田政府委員 千五百億という数字は私ども集計したこともございませんし、開き及んだこともございません。
  12. 中曽根康弘

    中曽根委員 しからばこの資金計画の問題は一應おいて、價格体系の問題について伺いたいと思います。政府價格体系をこのまま維持して復興をやろうというお考えでありまするが、私らはこの價格体系を現行で維持することは、二つの点からまずい点があると思う。一つ國際價格とのアンバランスがこれよつてますますひどくなる。從つてある一定の時期になると、それを調整しなければならぬというときが來て、時期がすれればずれるほど、このアンバランスがひどくなつて調整恐慌というか、あとになつて非常な摩擦を起すというようなことが一つと、もう一つは、どう見ても現在の資本蓄積なり財政運用をやつて行く上については、生産財にある程度有利な價格体系をつくつてやらなければむりである。たとえ價格水準は動かさないにしても、價格体系の矛盾はどうしてもこの際改めなければならぬと考えておる。ところが政府の方は依然としてこれを動かさないという考えであるが、その点についてはどういう見解でこういう体系をとつておられるか、安本長官から伺いたいと思います。
  13. 青木孝義

    青木國務大臣 従来の價格体系は御承知通りたくさんの物價集計であり、しかも基礎材資その他重要資材一般に関しましての引上げとかそういつた問題は、きわめて愼重に取扱つて参つております。全体の物價体系として今日目標といたしておりますのは、御承知通り低位安定ということを目標といたしておりますので、價格調整補給金を支給しないことによります値上り、そういうものについてはこの基本方針によりまして、極力値上りを食いとめるということについて配慮いたしておりますし、また場合によりましてはその二次、三次の製品によつてこれを食いとめるというような考え方から、現在の物價体系はまず動かさない、こういうことを前提としてわれわれは今日の物價政策方針といたしておる次第であります。
  14. 植原悦二郎

    植原委員長 中曽根君にちよつと御注意申し上げますが、あなたの時間は非常にリミットされておりますから、どうか簡單に願います。
  15. 中曽根康弘

    中曽根委員 それでは簡單に最後にもう一つ為替レートの問題でありますが、為替レートが三百三十円にきめられるということがもつぱら言われております。また輸出補助金というものが全面的に認められておらない。そこで去年の二倍、五億ドルの輸出をやろうというには、重要輸出品についてはある程度國内的措置がとられなければ絶対にできないと思う。東亜地域における貨幣自由性が回復されればある程度望めると思いますが、現在の事態がそう改善されるとは思えない。從つてどうしても生糸とかその他の重要輸出品については、國際貿易憲章で許される範囲國内措置をとらなければならぬと思う。この点について、きのう稻垣さんが生糸の問題については何らかの措置を研究中であると答えられましたが、生糸その他の重要輸出品については、どういう措置考えておられますか、この点をお伺いいたします。
  16. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいまところ、輸出品そのものについてはこれに補助を與えないということでありますが、しかし生産面における企業そのものについて輸出振興に伴います企業合理化、その他の企業そのものの能率、操業度というものを勘案いたしまして、その産業そのものに対しましては一方金融面資材面等におけるところのできるだけの援助を與えて行きたい、こういうことを考えておる次第であります。
  17. 中曽根康弘

    中曽根委員 労働大臣がお見えになりましたから労働大臣に……
  18. 植原悦二郎

    植原委員長 ちよつと労働大臣に入る前に昨日関連質問で留保を願つておきました外資問題に関連する質問をこの際に許します。
  19. 中曽根康弘

    中曽根委員 その前にちよつと運轉資金が抜けておつたのですが、局長から運轉資金のことについて……
  20. 内田常雄

    内田政府委員 一應昨日お配りいたしました数字の面からだけ申しますと、金融機関融資二千五百三億というのがございます。これに米國日援助見返り資金から供給される千四百八十億のうち、直接産業投資されるのではなしに、國債の買入れ等によつて金融機関にもどつて行く金額を足したものが、銀行から貸し出される産業資金になるわけであります。從つてかりに米國日援助見返り資金産業に直接出すものが七百億と見ると、残りが七百八十億になる。七百八十億を足しました三千二百八十三億ですか、それだけが金融機関から出る資金であります。それから今申しました最小限千六百億を引きました残り金融機関からの運轉資金、そのほか直接投資、増資とかで社内に保有される資金がございますが、その中のあるものも金融機関から借りるのではなしに、運轉資金に向うことに相なるのではないかと思います。從つてそのほかの金額を差入れしたものが一應運轉資金つなぎ資金として使われる。われわれが一應想定いたしますところでは運轉資金はまず千六百億程度はいるのではなかろうか、また産業資金計画が完全に動きますればその資金供給もできるはずになるわけでございます。
  21. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の問題で一つだけ伺います。本年度産業資金の需要は大体政府が企図する四千二百万トン、百八十万トンーぺースを施行するためには、どうしても三千九百億くらいいると言われております。そこで総額においてもただいまの御答弁によると三千二百億程度であつて、それをはるかに下まわる数字である。しかも昨年度実績新聞面で見ますと、昨年度は大体設備資金において千二百億、運轉資金において三千二百四十八億、四千五百億の資金計画を実際やつたらしい。これから見ても非常に下まわる数字であつて、昨年度より以上の増産を期待することは、資金面から見ても困難であると思うのです。その点をもう少し説明してもらいたい。
  22. 内田常雄

    内田政府委員 中曽根委員からのただいまの新聞数字は必ずしも明確でございません。昨年度運転資金が非常によけいいりました原因といたしましては、物價の大幅な改訂があつた。そうして五、六月に運轉資金が非常にはいりましたが、本年度には物價全面的改訂をやらない、こういうことでありますと、本年は設備増加に伴う正常の運轉資金しかいらないということになりまして、運轉資金については昨年度とよほど趣がかわりまして、昨年必要としたほど理論的にはいらない。しかし今日いろいろな関係からいたしまして、運轉資金以外にも設備資金つなぎ資金とかいろいろ資金がいりますので、その点われわれ考慮に入れまして、今日の資金計画がうまく行きさえすればゆとりがあるように思います。そう申し上げていいと思います。
  23. 風早八十二

    風早委員 安本長官に対して外資の問題について議事進行として……
  24. 植原悦二郎

    植原委員長 議事進行質問とは一緒になりません。
  25. 風早八十二

    風早委員 それでは議事準行として私は発言を求めます。
  26. 植原悦二郎

    植原委員長 議事進行ならば発言を許します。
  27. 風早八十二

    風早委員 この予算委員会で二十四年度予算案が出るにつきまして、その打出の小づちとしてこれは政府の方も大藏省の方も認めたのでありますが、それにあたる見返り勘定特別会計法案が出されたならば、それと並行して初めて予算審議をやろう、こういうことが一應予算委員会として決議せられておつたと思います。ところが昨日本会議に提出になりまして今日は大藏委員会にかかりました。しかしこれは問題が直接二十四年度予算案の根底になつておるものでありまして、大藏委員会でももちろん法案審議をやられるでありましようが、予算委員会として、これは法案審議というよりも、この法案全体に対して一應その性質を明らかにしておく必要があると思います。私はこの法案妥当性をここで問題にする前に、次の点が明らかになつていなければならないと考える。それは一体この……
  28. 植原悦二郎

    植原委員長 風見さんに御注意いたします。あなた対日援助の批判ですか。議事進行とは違いますから……
  29. 風早八十二

    風早委員 これが明らかにならなければ——これは予算審議に直接関係があるのでありまして、その意味で議事進行発言としてお聞き願いたいと思います。  アメリカの対日援助見返り資金というものは何かということがきわめて不明瞭であります。これは一体アメリカ政府から日本に與えられた贈與であるか、あるいはまた貸付であるか、この点についてまず明らかにされなければならぬと思います。私はその点について政府当局にお答え願いたいと思います。これはこの予算案審議に非常に影響せられると思いますが、委員長どうでしようか。その点を一應伺いたいと思います。
  30. 植原悦二郎

    植原委員長 あなたがお済みならば委員長はお答えいたします。どうかお坐りを願つて……。あなたの議事進行が終わつてからお答えいたします。これは対日援助見返り物資特別会計法法案審議の際に審議さる問題で、ここでこの問題を審議すべきでないと思います。のみならず、もしそういうことでありましたならば、そのことは政府でいかようにお答えになるか、委員長が伺つておきます。
  31. 庄司一郎

    ○庄司委員 議事進行について……。ただいま風早委員議事進行に名をかられての発言は、議事進行の本質の上から本委員会の慣例上、また本質的に公正妥当を欠く議事進行でありまして、アメリカ援助資金等に関する質問は、もとより当該所管の関係のお尋ねに対しては本委員会としては重要でありますけれども、これについてはただいまの委員長発言が妥当であり、また委員会の多年の議事審議上の慣例の上から、ただいまのような風見委員議事進行に名をかりての発言は妥当を欠くものでありますから、御採用にならないように希望いたします。
  32. 植原悦二郎

    植原委員長 委員長はさように承知いたしております。
  33. 中曽根康弘

    中曽根委員 労働大臣に行政整理の問題と労働法規の改正の問題について伺いたいと思います。  まず行政整理の問題でありますが、この政府の出した予算説明によりますと、現業では大体二割、鉄道十二万、逓信三万でありますか、それがちやんと計上してある。ところが一般会計においても計上するような文句がここに書いてあります。予算定員に対して、原則として一般会計三割、特別会計二割の人員を整理して、それに基く節約をはかるということであるが、はたしてこの予算一般会計三割、特別会計二割の節減を企図した予算措置が講じてあるか、どうか、労働大臣に伺います。
  34. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 予算的の措置、その内容のこまかい点につきましては、大藏大臣から別の機会にお聞き願いたいと思いますが、私の閣議その他を通じて承知しておる限りにおいては、そういうふうに予算は組まれておるということに了承しております。
  35. 中曽根康弘

    中曽根委員 今のことを主計局長がおられますから、お答え願いたい。
  36. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 お答え申し上げます。閣議決定の方針につきまして、原則として一般会計三割、特別会計二割でございますが、それにはいろいろの例外がございます。たとえば警察関係でありますとか、刑務所関係でありますとか、そういつた例外がいろいろございますので、全体の三割というわけにもちろん参りませんが、それらの予算上の措置はとつて、この予算ができておるわけであります。
  37. 中曽根康弘

    中曽根委員 そこで労働大臣にお伺いいたしますが、しからば政府原則として一般会計三割、現業一割という行政整理をどうしてもおやりになる決心であるかどうか、この点をお伺いいたします。
  38. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 ただいま申したような率は、全体を通ずる原則ということで、政府としては了解しておるのでありますが、なお各部門ごとにつきましては、多少ずつの現実に即した勘案があるべきものであり、一つの例外といいますか、現実的な考え方もそれにはついておると私たちは了承しております。なおそういう率に從つて断固としてやるのかという御質問でありましたけれども、すでに早くから掲げられておるところの現政府の行政整理の根本的な方式、考え方というものは、全体の閣僚がこれを了承しておるのでありまして、その線に從つて現在最後の案が進みつつあるというのが現状であります。
  39. 中曽根康弘

    中曽根委員 主計局長にお尋ねしますが、それによつて人件費をどれくらい節減しておるのですか。
  40. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 お断り申し上げておきますけれども予算に計上しましたやり方は、予定経費は、一應計算上は人員の整理は出て來るわけでありますが、予算單價を減額するという方法で行つております。從來の人員が百なら百おるといたしまして、それに対して七〇%の人員が残るといたしましたならば、三割割引いたもので実は予算單價が計上してあります。しかしそれは行政整理本部におきましては、具体的な整理人員を確定するまでの暫定措置としましてやつているのでありまして、基礎には、予算として行くなら一應減らすという計画があるわけであります。  それから今の御質問にお答え申し上げますが、本年度予算といたしまして一般会計において減少いたします額は三十八億、特別会計におきまして九十四億、合計いたしまして百三十二億でございます。しかしながら退官退職手当といたしまして、一般会計において十五億、特別会計において三十五億、合計五十億を必要としますので、本年度といたしまして純減少になりました額は八十二億でござまいす。二十五年度以降におきましては、一般会計において四十七億、特別会計において百四十二億、合計いたしまして百八十九億が平年度において減少する一應の予算の計算になつております。
  41. 植原悦二郎

    植原委員長 中曽根君にちよつと御注意申し上げますが、あなたの今の労働賃金や、整理人員に関する御質問は総括的であり、労働大臣に対する御質問のようでありますけれども、昨日運輸大臣に御質問なつたその原則と同じものでありますから、あなたのよくお調べになつておることに対しては敬意を表しますけれども、時間にリミットがありますし、また総理大臣に対しての質問もあなたは留保されておるのですから、なるべくさような原則の一致するものについて局部的に繰返しになるような質問は避けて、その他の新しい、博識のところで質問されればなおけつこうだと思います。
  42. 中曽根康弘

    中曽根委員 よくわかりました。そこで労働大臣にお尋ねしたいのですが、昨日運輸大臣にお尋ねしましたら、十二万人という数字はわしやよう知らぬ。それは大藏省の主計局が計数上つくつたんだろう。自分はこれを断行するというようなことは言えない。これはもつと下るかもしれぬ。なるたけ十二万人という数字を減らしたいということを言われました。その運輸大臣のお考えと、今労働大臣がこれをやるのだというお考えと、大藏省がそのつもりで経費を削減している考えとは不一致のように思いますが、その点は一体どれがほんとうの話ですか。
  43. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 お話を伺つておりましても、別に不一致を來しておるというふうには思いません。私自身は現内閣の基本的の線として、そこに岩本さんもおられますが、そのときからずつと來たところの基本的の原則には、依然として、全部の閣僚了承しておる。それからそれぞれの部門で原則に照し合せて、ある程度原則面との調整という問題は、全然いけないというほどのものではないだろうというふうに一方で考えております。そういう面から考えまして、運輸大臣が昨日そういうふうな御答弁をされたかと思いますけれども、これは根本的に原則をくずしてしまつておるという考え方の上に立つておる御答弁ではおそらくないだろうと思います。しかし運輸大臣自体の御答弁を私拝聽しておりませんでしたから、決定的のことは申せませんけれども、私自身のお伺いした感じはそうではないかと思うのであります。十二万云々、それは多過ぎるという問題はどういう意味で運輸大臣が言われたか存じませんけれども、現実に即して、ある程度の現実論でアジャストするという意味ではなかつたかと思います。これは想像でありますけれども、そう存じます。
  44. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の不一致の点は委員長もお聞きになつてつておられますから、あえて私追究しません。確かに不一致であります。そこで手当の問題ですが、政府考え方によると、手当として本俸、扶養手当と、それから勤務地手当、そういうものに首切りの員数をかけてその三箇月分を予算に計上している。そういうことが予算の單價に出ておるのです。それだけの金額ではたしてこれだけの人員を整理する手当として十分なのかどうか、きのうもちよつと私は運輸大臣に申し上げたのですが、たとえば鉄道の問題について見れば、二十年、三十年と勤めた鉄道職員は戰争前ならば、やめれば家一軒建つ、あとは孫のめんどうでも見ようという明るい希望を持つてつて來た。その人たちがこの際ばつさりとやられて五万、六万の退職金をもらつてすぐ路頭に迷うということでは、長い間使つて來た使用人の立場として見るに忍びないことだと思います。退職手当が非常に少いように思うのですけれども、はたしてそれでよいのですか。大藏省と労働省にお開きいたします。
  45. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 労働大臣としましては法外の退職手当というものは論外でありますが、現在の財政関係、また関係法規の範囲において、できるだけ充実した退職手当を出してほしいということは当然考えておつたのであります。この方法のこまかい点は大藏当局に聞いていただきたいのでありますが、大体閣議その他の考え方は、この際退職する人たちはいろいろに途中で公務員法の関係、また関係法規の変化が起きたけれども、既得権は尊重するという建前のもとに、例の細則に盛られているところの行政整理によつて退職する場合には、普通の場合のほかに相当程度のものを別に出すという、あの準則を生かして処置して行きたいというのが、今度の整理にあたつての退職金に対する考え方の根本なのでありまして、そういう場合に大体どうなるかというと、十箇年勤務した人たちは十箇月分というのが出て來る。それから最小の場合においても、月收の四箇月というものは出すようにするという大きなわくだけは、私ども労働大臣としての関係上これを主張もし、またそれが今度の百原則にもなつております。ただしこの関係につきましては関係方面との折衝も残つておるのでありまして、これらの折衝のこまかい推移に至りましては、私は労働大臣としての立場から、それが実現されるようにということを、ひたすらこいねがつておりますけれども、最近までのこまかい折衝の数字につきましては一々は存じておりません。まだ多少折衝の余地が残つておるのではないかと思います。またそれに対して予算がどういうふうに盛られておるかが問題でありますけれども、それは大藏当局からお聞き願いたいと思います。いかなる場合におきましても方法なり、原則が決定した以上は、約束しただけの額は支拂うようにして行きたいというのが、労働大臣としての考え方であります。
  46. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 お答え申し上げます。昨日も申し上げました通り、行政整理の退職手当のことにつきましては、一應全收入の三箇月分ということで組んであるわけでございます。そのほかに俸給給料の二%というものが從來の予算の慣例と申しますか、從來ある分として組んでありますもので、両方合せまして、かりに現在折衝しておりますような案に落ちつくといたしましても、大体大丈夫ではないだろうかというふうに考えておるわけであります。
  47. 中曽根康弘

    中曽根委員 川島君から関しておるということでありますから……
  48. 川島金次

    ○川島委員 ちよつと関連したことでお尋ねしておきたいのですが、今労働大臣大藏省関係も、退職手当については從來の既得権をそのまま維持したいという見解のようでありましたが、実際問題としてなかなかさういうわけに行かないような事柄をわれわれは聞いておる。ことにある省におきましては、三月三十一日、すなわち二十三年度中に退職を願い出た者に対しましては、從來の既得的な退職手当を出したが、今度の行政整理案によるところの整理の場合には、それよりも不利になるであろうという情報をも流しておる省がある。それからまた退職手当は現金で全額は支給されないで、一部は公債で支給されるのではないかという心配が現業方面に起つております。そういう事柄について、具体的に確実な見通しのある点を御説明願いたいと思います。
  49. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 川島さんのただいまの御質問は、部分的の最近起きた問題かもしれません。それに対しまして総合的の考え方、あるいは檢討を済ましておりませんから、御指摘の点を事実につきまして檢討もし、そうして労働大臣としては何とか考えをまとめあげたいと思いますが、今ただちにこういう方法でという具体的な見通しを申し上げることは、そういつた現実の問題の報告といいまするか、それは聞いておりませんので、しばらくこれについてはもう少し眞相のわかるまで御猶予願いたいと思います。
  50. 中曽根康弘

    中曽根委員 きのう私は大屋さんに聞いたのですが、一体鉄道省は行政整理をやる場合にどういう基準で切るのか。日本でやつているように老朽淘汰でやるのか、またアメリカでやつているように若い者から首を切るのか、そういう基準があるはずだ。そのことを聞きましたら、運輸大臣は國鉄の場合は平均八年くらいの勤続者になるだろう、そういう答弁をしておる。八年ということになると、月收の関係から見て行くと、鉄道省の内部の退職手当の内規から見ると、とうてい月收の三箇月分などという金額では、追いつけないような莫大な金額になるだろうと思う。一般会計の場合でもおそらく同じような準則で行くのだろうと思うのですが、そういう関係からしても私は額が少なすぎると思う。それから行政整理をやる場合に、内閣はどういう基準で首切りをやるのか。年寄りか、あるいは若い者か、そういう首切りの基準につい御見解をわれわれに説明していただきたい。
  51. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 御承知のように行政整理は四月以降に行われることになつておりますが、実際に実質的に整理が行われるのは六月以降くらいになるのではないかと思つております。今のところ各省とも共通した——たとえば年齢、たとえば能力、どういうところに整理の重点を置くかという決定的なものは檢討されておりますけれども、現状においてはその基準はないと思います。それらの点につきましては各省相互にばらばらにならないように一定考え方はまとまると思いますけれども、たとえば先ほどの大藏大臣考え方原則にして行くという面もあるかもしれませんが、全体として八年なら八年の平均になるというような考え方が、一つの基本的な考え方になつておるとも思いませんし、それは目下現実に即した妥当な全体的な基準を檢討中であるというのが実情でございます。
  52. 中曽根康弘

    中曽根委員 行政整理の問題はもつと聞きたいと思うのですが、時間がありませんから労働法規の問題に移ります。  政府はこの前から各地で公聽会をやつて、労働法規の改正試案をつくられました。その内容を批判することは私はこの際避けますが、その後関係方面やその他のいろんな動きによつて、前につくつた試案が多分に変更されておる。前につくつたものよりも緩和されておるといううわさが飛んでおります。そこで労働組合その他においても非常にその動きを心配しておるのですが、政府はこの前つくつたときには大体四つのことをうたつておりました。労働組合の民主性、自主性、責任性の確立、國体交渉の慣行と手続の確立、労働委員会の強化、争議行為と公共福祉との調和、こういうようなことをうたつて宣傳して、これを新聞にも発表したのですが、そういう項目が実際どういうふうにかわりつつあるのか、この際われわれに示していただきたいと思います。
  53. 植原悦二郎

    植原委員長 ちよつと中曽根君に御注意を申し上げます。あなたの時間はほとんどリミットに達しております。そして労働法規の問題は、やがて労働法規の改正案が法律案として審議されると思います。もし時間がありましたならばいかなる質問でも許しますけれども、それはもう予算自体とは相当ほど遠い問題だと思います。ただせつかく御質問なつたのですから、簡單労働大臣答弁だけは願いますけれども、その程度であなたの質問を一時打切つて、どうか次にまわすようにお願いいたします。
  54. 鈴木正文

    鈴木國務大臣 ただいま中曽根さんがあげられました組合自体の民主化、自由な組合への制度を確立するということ、それから國体交渉の場合の慣行手続を確立する、以下あげましたあの根本方針は、最初から労働省当局もまた関係方面も堅持しておる線でありまして、今に至りましても、一回、二回、三回というようにずつと双方の案を持ち寄つて折衝は続けて、その間にいろんな変化はしておりますが、今の四つの根本原則に至つては、ただいまでも全然かわりなく、その方向に向つて動いておると思います。  それから御指摘のように関係筋から提示された法案——法案といいますか、法案基礎となるべき要素が最近提示されたのであります。それらにつきましては、形の上で相当の変化が起きておる。大ざつぱに申しますと、御承知のように最初の案はきわめて親切に——親切といいますか、きわめて具体的に多くの事項を列挙して書いて行く、現在の日本の労働事組合の発展過程に照し合せまして、今のアメリカのようにきわめて進歩した國に比べて、現在日本ではまだ二、三年という実績きり持つておりませんので、誤解が起きないように親切丁寧にする考え方でありました。これに対しまして関係筋の方は、そういうことは実質は同じだから、できるだけ簡明な表現にして行こうというような変化は起きたのでありまするが、今申しました四つの根本的な考え方の問題につきましては、食い違いも起きておりませんし、方向の変化も起きておりません。なおそれ以外の詳細なことにつきましては、今日関係筋の方面の最後的な考え方を発表し得る自由と、その段階に達しておりませんので、これはごく近い将來、委員長も申しましたように、後日皆様に最後に決定したものを見ていただいて審議をいただく段階になると思いますから、これらの点につきましてはしばらくお待ちを願いたいと思います。
  55. 中曽根康弘

    中曽根委員 もう一点……
  56. 植原悦二郎

    植原委員長 労働法規の問題ならば、今後審議する機会がありますから、この場合御遠慮願いたいと思います。川島金次君。
  57. 川島金次

    ○川島委員 安本長官にお伺いいたします。長官は過般の本会議における演説の中で、國民大衆に対する強い耐乏生活を強調されたのであります。國民大衆に対する耐乏生活といいましても、おそよ限界があることは言う事までもございません。そこで昭和二十四年度に國民に対して耐乏生活を要望いたしますとすれば、二十三年度は國民の成年一人当りのカロリーは千四百四十カロリーと私は記憶いたしておる。この千四百四十カロリーを基準としての耐乏生活か、もしくはその千四百四十カロリーを低下せしめるところの耐乏生活を政府は要望するものであるか、まずそれをお尋ねしたい。
  58. 青木孝義

    青木國務大臣 川島委員にお答えをいたします。私どもが今考えておる耐乏生活というのは、食料等の問題についておつしやつたような千四百四十カロリーを、さらに下まわるというようなことを考えての耐乏生活をお願いしたのではございません。それはご承知通りに今までのインフレの進行過程から見て、ようやく緩慢化して來たけれども、これを二十四年度に收束せしめなければならぬ。それについては生活環境もいろいろ苦痛を感ずるというような事柄が起こつて來るであろう、特に物価を上げないということと、賃金もある一定程度にとどめて行きたい、こういうことから耐乏生活をお願いするという意味を強く申し述べたのでありまして、カロリーの点についてさらに引き下げるといつたようなことを考えておらないのでございます。
  59. 川島金次

    ○川島委員 そういう考えでありといたしますれば、國民生活の最低カロリーを将來、もしくは近い将來において引上げるという政府計画や対策があるか、それを伺いたい。
  60. 青木孝義

    青木國務大臣 御承知かと存じまするが、たとえば人事委員会が決定いたしておりまするところの六千三百七円、これらの点につきましても、この決定について、はたしてカロリーがいかなる程度にきめられてあつたかということも、私ども承知をいたしておりません。さようなわけで、今後ともそういう点について、おつしやるように、千四百四十カロリーをできることならば上げたいということは希望的には持つておりますが、今のところどうして上げるかということについては、明確に考えてはおりません。
  61. 川島金次

    ○川島委員 國民全般のカロリーの引上げは、今のところ考えておらぬとおつしやるのでありますが、私どもの言います勤労大衆の生活源というものは、ほとんど生存できない実情であることは御案内の通りであります。しかも二十四年度予算を通して、あるいはまた経済原則を通じて、勤労大衆に要求することは、非常なる生産性の向上ということが大きな要件であろう。そういうことになつて参りますと、労働生産性の向上は、労働生産力の強化にならなければならない。ことに輸出貿易を盛んにして日本経済安定をはかり、ひいては復興を目途といたしますためには、少くとも貿易を中心とした事業、産業に携わる勤労大衆の最低生活を強力に保障し、労働生産性の力を逐次培養しなければならないことは言うまでもないのであります。そういう事柄に対して政府はどのような対策を持ち、どのような見解で今後処して行くのかという点を、重ねてお伺いしておきたいと思います。
  62. 青木孝義

    青木國務大臣 御承知のように、わが國の経済が戰後急速に復興せられなければならぬ、それはわれわれお互いがよく考えておるところであります。從いまして、われわれはインフレションの進行過程であれ、できるだけ生産の増強を考えて参つたのでありますが、今回も依然として生産を増強するという線はかわりはございません。しかしながら相当強激にインフレを收束せしめるために、今回政府方針といたしましては、やはりそこに多少の緩和と申しますか、そういう状態が起つて來ることを考えなければならぬと思います。ことにわれわれは復興計画につきまして、先ほど來から申し上げましたように、多少の遅速が起つて來るのではないかということを懸念いたしております状態でありまして、私どもとしては、それをずらさないようにという配慮をしながら、できるだけ生産の増強に努めたいと考えております。
  63. 川島金次

    ○川島委員 あらためてさらにこの際お伺いしておきたいのですが、先般安本の発表いたしましたところによりますれば、二十四年度の國民分配所得額は二兆九千億余りであります。この二兆九千億余りの國民分配所得を算出いたしました根拠が、われわれの聞いた範囲、あるいは資料の範囲では明確でないのでありますが、その点もつとわれわれの納得の行くような根拠を、資料がありますればここでお示しを願いたいと思います。
  64. 青木孝義

    青木國務大臣 國民所得の通算並びに根拠等につきましては、ただいま私資料を持つて参りませんので、あとにお譲りを願いたいと思います。
  65. 川島金次

    ○川島委員 それではさらに別なことをお伺いいたします。  先ほど私が申し上げましたように、政府は國民の耐乏事生活を非常に強調いたしておりまするが、一体國民大多数の者に対して耐之生活、ことに私どもの見るところによりますれば、今年度予算を通して勤労大衆が大きな税負担をするという方針が一貫して流れているのであります。政府はこの勤労大衆のみに耐乏生活を要求するような形において財政経済を遂行する反面において、特てる者、富める者、これらのぜいたくな生活をする者の追放、彈圧をもあわせて強力に考えて行かなければ、國民の犠牲の公平な負担とは言えない。それはやがて生産復興にも、経済の安定の上にも重大な障害となるであろうと私は確信をいたしております。その意味におきまして、政府はこの富める者、持てる者のぜいたくな生活、享楽に対していかなる追放、あるいはそれを彈圧する方策を持つておるか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  66. 植原悦二郎

    植原委員長 建設大臣参つております。
  67. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいま川島委員は、耐乏生活を勤労者大衆にのみあずけて、富める者に対しては少しもそういう方策を立てておらぬではないか、そういう要求をしておらぬではないかというお話でありますが、私ども考え方から申しますれば、政府といたしましても、さよう事な考えをもつて二十四年度予算を立て、かつ耐之生活をお願いしておるというわけではございません。おそらくこの政策を実行することによりまして、資本関係におきましても企業者、あるいは勤労者各位に対しましても、耐乏生活の起こつて來るであろうということを考えますために、それを一般的にお願い申し上げておるのでありまして、特に勤労大衆にのみそういうことを要請いたして、おるのではございません。さらにまた、それならば富める者がぜいたくをしておるが、それに弾圧を加えるといつたようなことを考えておらぬか。別段今日のところそういうぜいたくをする、特にぜいたくをして目に余る、こういうものについてはもちろん多少の制約があると存じまするが、私どもはそういうものが今日のところ、そんなにわれわれの目の前に行われておるというふうには考えておりません。
  68. 川島金次

    ○川島委員 今の答弁、まことに納得いたしかねます。それでは長官にお教えをいたします。今の國民大衆がその生活にも困窮逼迫を感じておるさ中において、國内には最も富める者、あるいは物を持つ者のみが占有をいたすにひとしい全國には高級料理店、あるいは高級待合式なもの、こういつたものが存在いたしまして、営業を停止されておつても、それぞれやみ営業をしており、大藏省はこれに対して、所定の税をかけておる、こういう一面もあるのであります。なおさらに建設大臣が見えておりますからついでに申し上げますが、一例をあげれば、國民大衆は今日五百万有余の住宅の拂底にあえいでおります。しかるに國内には廣大な邸宅を持つておる者も数限りなくあるのであります。こういう勤労大衆が住まう家屋にさえも逼迫困窮にあえいでいるさ中において、一方においては余裕綽々たる住宅の存在がそのままになつておる。こういつたわずかな事例を見ましても、國民大衆に対する耐乏生活を要求するならば、一面においてはその方面に対しても、犠牲負担の公正の観点に立つてでも、政府はこれに対する強力な対策を打つべきであるというのが私の考え方であります。こういうことについて政府はどんな考え方を持つておるかということを、重ねてお伺いをいたしておきたいと思います。
  69. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいまのおつしやる点から考えますると、もちろんこの大きな変化の経過の後に、わが國におきましてもその例に漏れず、一部の成金というか、やみ屋というか、そういうものが相当に跋扈いたしましたことは、われわれも承知いたしておるところであります。従いましてこういう関係で高級料理店であるとか、そういうところでいろいろぜいたくをする、そういう面につきましては、川島委員も御承知のように、すでにそれぞれこれについては取締りを強行して参つておる次第でありまして、そのまま放任して参つたわけではございません。なおわれわれは、國民大衆とともにこの耐乏生活を何とかして切抜けなければならぬという警告的な、要請的な意味をもちまして、今日二十四年度政府としての予算並びに経済を運営して参りたいということから、私は施政方針の演説の際に申し上げた次第でございます。
  70. 川島金次

    ○川島委員 言葉としては取締つておるというだけで、一應受取るのでありますが、実際はその取締りはきわめて緩慢でありまして、大臣もおそらく御案内と思うのでありまするが、そういう現象は現にわれわれの目の前にあり、われわれの耳に傳えられておるところであります。そういうものを放置しておいて、一面には強く大衆の耐乏生活を要求するということは、私は政策の面において、きわめて大きな矛盾があろうと思う。政府は國民の先頭に立つて耐乏生活の陣頭に立つべきでありまするが、その陣頭に立つなら立つような、政府自身も一面において、そういつた面に対する強力な施策が行われてこそ、初めて私は國民が蹶起して協力をするということになるのではないかと思うのであります。そういう面を捨てておいて、大衆にのみその勤労を強め、あるいは耐乏生活を要求するというのでは、私は日本経済の安定はもちろん、日本経済復興の上において、きわめて重大なる支障ありと考えておるのであります。  そこで建設大臣も見えましたから、引續いてお伺いいたしまするが、私が申し上げるまでもなく、大臣においては、この勤労大衆の住宅の問題については、すでに相当の苦心をされておることであろうと思います。しかしながら財政関係あるいはその他の諸般の事情からいたしまして、住宅復興の問題は遅々として今日進んでおらないということが実情でおるようであります。そこで大臣にお伺いいたすのでありまするが、國内には相当余裕を持つた邸宅があり、あるいはまた神社、あるいは寺院あるいはまた旧軍事建物等、あるいは都会地における焼け残つたビル等があります。これらのものに対して強力な手を打ち、あるいは予算的な措置を講ずることによつて、私は少くとも二百万戸内外の住宅のいわゆる充当ができるのではないかと考えております。こういう事柄について建設大臣はどのような考え方を持つておるか。住宅、ことに勤労大衆に対する住宅問題の解決についてどのような所見を持つておるか、これについてお伺いいたしたい。
  71. 益谷秀次

    益谷國務大臣 今日最も住宅難に悩んでおる階層は、申すまでもなく勤労者の階層であります。これの解決のために日夜苦心をいたしております。本年度予算といたしましては、いわゆる庶民住宅については、大体二万二千五百戸の建設予定であります。これはもとより十分ではありません。十分ではありませんが、各地住宅の不足のことを十分に檢討いたしまして、各地方に配分する所存でございます。なおただいまも御質問になりましたが、いわゆる余裕住宅であります。大邸宅と申しまするか、比較的余裕のある住宅であります。これにつきましては御承知通り、余裕住宅税を課して、一面税制の上からこれを開放する道を開いておりますと同時に、政府といたしましても、各地方に厳重に指令を出しまして、これをいわゆる庶民階層の住宅に轉用するように勧獎いたしております。これは便所をつくりますとか、また炊事場をつくるというような、比較的わずかな費用でこれを轉用することができるのであります。しかし遺憾ながら今日なお遅々として進んで参つておりません。余裕住宅に比してこの轉用せらるる住宅の数は非常に少いのであります。私どもといたしましては、今後も一層強く各地方に轉用を勧獎して参りたいと存じておるのであります。また寺院等の問題でありまするが、これは信仰の関係もありますので、寺院を——あるいは学校に使つておるのもございますが、住宅といたしてこれを轉用するかどうかということは、よほど愼重に考慮をいたさなければならぬと存じておるのであります。ただいまの段階においては、今ただちに寺院を住宅に轉用するというような考えを持つておりません。
  72. 川島金次

    ○川島委員 私どもの調べましたところによりますると、若干の誤差があろうと思いますが、國内の大邸宅を開放いたしますれば、およそ推定の收容数は、家族二、三名といたしまして、六十万戸程度の收容力を持つた邸宅が國内にあるのではないかということが一つ。それから目下休業いたしておりまする高級待合、料理店の開放によつて、およそ十万戸内外。さらに神社、寺院、教会を開放することによつて、二十万戸内外。さらに燒けましたビルの補修改造によりまして、およそ五万戸内外。さらにまた兵営、飛行場その他旧軍事用の施設、工場等を補修することによつて、およそ五十万戸くらいの收容力が出て來るのではないかという調査をわれわれはいたした。こういう事柄に対しまして、ただ單に從來のごとき勧獎の程度では私はこの問題は解決できないと思う。そこで大臣にお伺いいたすのでありまするが、この大邸宅の開放、あるいは休業中の高級料理店、待合、そういつた余裕住宅に対し、開放をさすべき強力な法律的措置大臣考えておるかどうか。これをひとつお聞かせ願いたい。
  73. 益谷秀次

    益谷國務大臣 先ほどお答え申しました通り、余裕住宅に対しては、政府は各地方公共團体に対して指令を出して、一日もすみやかに住宅難を解決するように、熱心に慫慂いたしております。しかしながらただいまの段階におきまして、余裕住宅を法的措置をもつて住宅に轉用するということは、よほど愼重に考慮しなければならぬと思います。ただいまのところはその法律をつくるというところまで参つておりません。
  74. 川島金次

    ○川島委員 大臣にそういうお考えがないとすればやむを得ませんが、われわれはそういう事柄を強く主張いたしまして、ぜひとも勤労大衆の住宅難の解決に当る事べきだと私ども考えておるのであります。  そこでさらに大臣にお伺いいたしますが、ことに勤労者の住宅に充てるための一定規模の住宅に対しては、現行の複雑な建築法規を緩和して、もつと簡易に建築ができるという方法を、大臣考えておるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  75. 益谷秀次

    益谷國務大臣 住宅の建築制限に対する問題でありますが、私、就任以來熱心にこれを緩和するように努力いたしております。これは徐々に緩和できるものという見通しを持つておるのでありますが、今日この段階におきましては、遺憾ながからどの程度に緩和するか、ということは申し上げる時期に達しておりません。  なお、先ほどの御質問の点でありますが、余裕住宅とか、あるいは燒けビルを庶民住宅に轉用するという問題は、いろいろ研究いたしております。しかしながら結局これを無償で政府が取上げて参るというようなこともできないのであります。これは憲法が許しておりません。そういう関係で、財政上の関係も十分に考えなければならぬので、先ほどお答え申し上げた通り、ただいま法制をつくる時期に達していないとお答え申し上げた次第であります。
  76. 川島金次

    ○川島委員 さらに建築案のことでお伺いします。大臣も御案内と思うのですが、最近勤労者がやむを得ず市中銀行その他の信用によつて、みずから住宅を建設していることは各方面にある。さらにまた地方の府縣もしくは市町村等において、住宅計画を立て、それを勤労者に月賦償還的に譲り渡すということをやつておることはいいのでありますが、ただその場合に不動産取得税がかかる。御案内の、昨年まではわずかに〇・〇七%程度の査定價格に対する税でありましたが、今日ではその査定價格に対する二〇%という不動産取得税がかかつて参ります。從つて勤労者がかりに七、八万円で家を、ほんとうのバラック建てで建てた。そうするとそれが十万ないし十二、三万に査定されて、不動産取得税が二万数千円かかる、こういう事態が各地に起つておる。こういう事柄に対して一体大臣はどのように考えておるか。税率は定まつておりますから、やむを得ませんが、勤労者がみずからの力もしくは府縣の力、市町村の力を借りて、ようやく辛うじて入りましたその住宅に対して、さらにまた勤労者に水増し的な査定をいたしまして、百分の二十という高率な税をかけておるということは、現実の事実であります。こういう事柄が、勤労者の住宅の解決に対して、一層大きな障害をなしておるのではないかと考えるのであります。こういう事柄に対して大臣はどのような考え方を持つておるか。それからまた同時に大藏省当局にもお伺いするのですが、こういう事柄に対して、どのような見解でやつておるのか、それをお聞かせ願いたいと思う。
  77. 益谷秀次

    益谷國務大臣 不動産取得税が百分の二十であるということは、質問者の仰せの通りであります。ただ水増しの税金をかけておるということは、私承知いたしておりません。おそらくはさようことはないと信じておりますが、もしもさような建築費以上の査定をいたして、それに対して二割と申しますか、二〇%の税を課税するということになれば、それは不当であります。さようなことが万一ありますならば、建築行政を担当いたしておる立場から、十分に注意をいたしたいと存じておる次第であります。
  78. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 建設大臣も言われました通り、水増しの査定をいたしておるというようなことは、私どもはあまり承知いたしておらないのでございますが、ただ建築價格というものは、從來の例から見まして、お互いの内約と申しますか、非常に低く申告されるというような傾きが現在でもあるようでございます。そういつた点から、いろいろ問題が起るのではないかと思いますが、ことさらにこれを水増しをして課税するといつたようなことは、現在いたしておらないと存ずるのでありまして、この点は地方でございますが、もしそういうことがありますならば、嚴重に調査いたしまして、適当な処置をとりたいと考えております。
  79. 川島金次

    ○川島委員 水増しはないということでありますが、実際に地方においてはあるのです。あるから私は言うのです。そこで住宅の不動産取得事税を徴する場合に、政府は最近税法の一部を改正するような意見があるようでありますが、全面的な改正はいずれシヨープ博士が來朝してから、やるということを言われております。そこで関係当局にお伺いしておくのでありますが、この不動取得税に対して、ことに勤労者の住宅に対しての不動産取得税を軽減するという考え方はないか。私は勤労者の住宅に対しては今日の百分の二十は重税だと思う。そこでこれをできるだけ軽減するということは、住宅難解決の問題の税法改正を通じての一つの方法であろうと思うのでありますので、そういうような考え方大藏当局にあるかどうか、それをこの際重ねて聞いておきたいと思うのであります。
  80. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 地方財政も非常に窮乏いたしておりますので、今ただちに住宅に対する不動産取得税を軽減するというようなわけにはなかなか参らないと思うのでございますが、現在の実行上の取扱いを申し上げますと、大体十五坪以下のいわゆる庶民住宅につきましては、査定價格におきまして、多少のかげんと申しますか、手心と申しますか、そういうことによりまして、実質上一割程度の課税になるように、現在やつておるように私は承知いたします。この建築價格というものは、見方がいろいろあるものでございますから、できるだけ実情に即してやつて行きたいと思いますが、ただいま二割の税率を下げるという考え方には、現在のところなつておらぬことを御了承願います。
  81. 植原悦二郎

    植原委員長 先刻川島君から安本長官にお尋ねになりました國民所得の基礎と申すか、基準と申すか、そういうことを御質問になつて安本長官はその答えを留保されておりますが、この際にお答えになるということでありますから、お答えを願います。
  82. 青木孝義

    青木國務大臣 先ほど川島委員から御質問になりました二十四年度の國民所得の推計について、二兆九千七百四十二億円の所得算定の根拠を簡單に申し上げます。二十四年度の國民所得は、二十三年の暦年でございます一月から十二月の國民所得を基礎にして、二十四年度中の雇用、生産等の見通しに基きまして、かつその上に物價、賃金水準については、二十三年の十一月水準によつて推定したものであります。二十三年の國民所得は一應の実績でありまして、その各業種別勤労所得、それから個人業種所得等を基準にいたしまして、それぞれに見合うところの雇用賃金、もしくは生産物價等の推移を当てはめて、算定したものであります。勤労業種所得以外の個人所得、法人所得等につきましても、それぞれに應じた指標によりまして、同様算定しておるその結果、二十四年の國民所得は、暦年で二兆九千二百八十六億円、年度にいたしまして四月一日から翌年の三月三十一日までは二兆九千七百四十二億円という推定をいたしたのでございます。
  83. 植原悦二郎

    植原委員長 これにて休憩いたします。午後は一時半より開会いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時五十八分開議
  84. 植原悦二郎

    植原委員長 件憩前に引続き会議を開きます。  これより質疑を継続いたします。川島金次君。
  85. 川島金次

    ○川島委員 その前に委員長議事進行について申し上げます。委員会は出席者がわずかでありまして、ことに絶対多数を占めまする民主自由党の出席者が少いことはまことに遺憾でありますが、委員長のたつての懇請でありますから質問を開始いたします。委員長は早急にもう少し委員を招集していただきたいことを望んで質問に入ります。
  86. 植原悦二郎

    植原委員長 川島君の議事進行発言に対してお答えをいたします。川島君の御指摘のように委員長はつとめて委員出席をはかるように手配をいたします。
  87. 川島金次

    ○川島委員 承知しました。農林大臣が見えておりますのでその点についてだけの質問をいたします。  まず最初にお伺いをいたしたいのは、最近米價の改訂が傳えられております。この米價改訂の價格と、それから実施の時期、その米價改訂を根拠とするパリティー計算の改善をやつた上での米價改訂であるか、この三つをまずお尋ねいたしたい。
  88. 森幸太郎

    ○森國務大臣 お答えいたします。米價の改訂につきましては、新聞等で予報されておつたようでありますが、ただいま閣議で決定を見たような次第であります。詳しいことは物價廳、安本より発表されることと思いますが、現在のパリティー指数によつて、このたび為替レートが近く決定されるまでに、物價の上げるものは上げ、下げるべきものは下げる、一應落ちつかせた方がいいというような気持で、この際消費者價格をたしか十六日と思いますか、上げることになつたわけであります。その根拠とするところは、本年四月より一箇年間のパリティーの動き、その他の環境を見まして、現在のパリティーが一四三ということになつておりますので、それを基準として決定されたことに報告を受けたわけであります。さよう御承知をお願いいたします。
  89. 川島金次

    ○川島委員 大臣のお答えは低声でちよつと聞きとれないところもあるのですが、パリティーは最近一四二になつた、こういうのですか。
  90. 森幸太郎

    ○森國務大臣 一四三・一六であります。
  91. 川島金次

    ○川島委員 それを根拠として米價の改訂をする。今米價の價格の点が触れてなかつたようでありますが、十キロ三百五十七円の價格を四百五円、こういうふうに私は聞いておりますが、これは間違いないのですか。
  92. 森幸太郎

    ○森國務大臣 現行價格は精米においてお話の三百五十七円であります。それが四百五円に改訂されました。小麦粉十キロについては、現在米價と同じく三百五十七円でありまするが、これも四百五円に訂正されました。精麦は三百三十九円が三百八十四円、かんしよは十貫目当り二百七十円が三百六円、ばれいしよは十貫目二百七十円が三百六円、澱粉十キロ三百五十七円が四百五円、かんしよ澱粉十キロ二百八十六円が三百二十四円、とうもろこし粉十キロ二百八十六円が三百二十四円、その地雑穀でありますが、平均値上げ倍率は米におきまして、一一三・四四%ということになつております。
  93. 川島金次

    ○川島委員 大臣が今申されましたパリティーの計算基礎となりまする一四三・一六、これは從來のごとく例の十二品目の卸買相場によつてこのパリティーを出したのか、それとも小買價格を基本としてこのパリティーを出したのか、その点をお尋ねしたい。
  94. 森幸太郎

    ○森國務大臣 從來の計算の方法によつたのですが、これは物價廳において主管しておりますから、そのパリティーの計算方法についてははつきりわかつておりません。
  95. 川島金次

    ○川島委員 物價廳でこういう物價関係をやるということは存じておりますが、少くとも農林大臣であられますあなたにおかれましては、米價の問題は生産者にとつてももちろんのこと、消費者、市民大衆にとりましても重大な生計に関する問題であります。從つてどもの常識からいたしますならば、單に米價の問題は物價廳の管轄だというのでなくして、少くとも所管大臣である農林大臣においては、こういつた米價の改訂等のごとき重要問題については、逐次連繋されているべき性質のものであり、そうしてまた物價廳に対する算定の基礎の問題、あるいは最後の仕上げの問題についても、農林大臣は相当重大な関心を寄せるべき立場にあると思います。従つて私は物價廳の関係者にこういうことをお尋ねせぬでも、もとよりすでに農林大臣においてはこの明細のことについて、相当関知をしておるという私は常識的な判断で、お尋ねをいたしておるのであります。それではお尋ねいたしますが、今後も米價等の問題のごときは、單に安本にまかしておいて、農林大臣はこれに対して関與せず、こういう立場でおるのでありますか、お尋ねしておきます。
  96. 森幸太郎

    ○森國務大臣 全然関與せぬということではありません。御承知の食管法におきまして、米價を生産費その他資材等の四囲の環境によつてこれを定めるという一面があるのでありますが、この食管法はまだそのままに現存しておるのでありまして、本来をいえば、農産物の價格は食管法によつても定め得まするが、三年前でありましたか、パリィテー計算によつてすべての物價を制定するという方式でやつておられまして、物價指数によつたわけであります。物價指数の算定につきましては、もとよりその内容については生産者の立場をよく考慮して、考えなければならぬことはもちろんでありまするが、今日の農業生産の資材等におきましても、このパリティー指数によつてすべて考えられておるのでありまするから、同じ政府内においてやることについて、会議はもちろん受けるのでありまするが、物價廳が責任をもつて考えていることについて、会議を受ける程度において、私はさしつかえないと考えておるわけであります。
  97. 川島金次

    ○川島委員 後刻機会がありましたらば、これは農林大臣を経てもよろしゆうございますが、もし農林大臣の方から連絡ができますれば、安本の方に御連絡を願いまして、このパリティー計算の基礎についての明確な説明をお願い申し上げたいと思います。  さらに重ねてお尋ねいたしますが、米價その他の改訂によりまして、生計費へはどの程度の影響を及ぼすということの資料を農林大臣はお持ちでありますか。ありましたならば、それを御説明願いたい。
  98. 森幸太郎

    ○森國務大臣 今手元に資料を持つておりませんが東京の標準家族に対しまして、一家族二百円程度の上昇と承知しております。
  99. 川島金次

    ○川島委員 この問題につきましては、あらためて安本関係者が参りましたときに、詳しくお尋ね申し上げることにいたしまして、この程度でこの質問は終ります。  続いてお尋ねをしておきたいのは、われわれの二十四年度、あるいはまたアメリカ年度におきまする本年の七月から來年の七月、この関係をにらみ合せての國内の國民の食糧の確保ということが、きわめて重要な事柄であることは言うまでもないのであります。そこで私は農林大臣に責任をもつてお答えを願いたいことは、二合七勺の國民配給が、今日のところ何らの心配なくして確保の見通しがあるかどうかということが第一点。第二点は農林大臣が所管いたしまする食糧生産計画は、二十四年度にはもちろんありまするが、その計画に伴いまするところの肥料あるいは衣料等の配給見込み、そういう事柄につきまして、具体的な計画がありますることは言うまでもないと思います。その生産計画に見合うに足るだけ、肥料、衣料あるいは農機具、こういつたものの配給計画がありましたならば、この機会にお尋ねしておきたいと思います。  それから次にはこの生産計画に伴います農村生産資金——災害復旧その他の問題は別といたしまして、現状のままにおける食糧生産計画の遂行に必要なる資金関係、これらのことについてどの程度の対策を持つておるか、その点を伺いたいのであります。
  100. 森幸太郎

    ○森國務大臣 食糧の給需推算につきましては、アメリカの会計年度が七月より始まりますので、近く國会が開かれましたときに決定されるのでありまするから、今はつきりと確実性のあることは、責任をもつて申し上げられないのでありまするが、從來懇請をいたしておりまする予定数量を考えますれば、二合七勺の配給は決して不安がないということを確信しておるのであります。本年の冬は少し暖かかつたために、麦作におきましては異常なる成育をいたしまして、九州、四國方面において、違作を見ておるのでありますが、関東、東北等の寒冷地におきましては、比較的この被害がありませんので、今日各地方よりの報告をとりまとめましても、そう憂慮すべき減收は見ないと考えておるのであります。また本年は先ほどこの席でも申しました通り、かんしよ、ばれいしよの生産を増強いたしまして、かつその貯蔵法等も考慮いたしまして、二十四米穀年度におきましては決して不安もなく、二十三米穀年度を終つて継続し得るという確信を持つておるわけであります。  生産資材におきまして、肥料の方面においても予定通り生産が予期せられまするし、電力、鋼材、資材等の面におきましても、予想以上の供給を傳えておりまするから、生産の面において決して心配することはない、かように考えておるのであります。農機具の面におきましても、鋼材の生産が向上いたしておりまするので、これまた不都合のないように配給ができようと考えております。  資金の面におきましては、この三月をもつて一應農林水産の復興金融の資金が消えておるのでありまするが、復興金融金庫が御承知のような状態でありますために、從來通り農業資金をこの方面から仰ぐことができ得ませんけれども、今政府といたしましては、昨年九月から設けました農林水産復興金融の制度に基きまして、相当額資金を確保いたす見込みを立てております。それによりまして農業経営資金の方面においてはさしつかえのないようにやつて行きたい、かように來えておるわけであります。ただ遺憾に考えますことは、公共事業費が予定通りの見積りをなし得ないような事情に立ち入りまして、昨年來の災害復旧、土地改良等の面にその復旧が遅れるという点でありますが、できるだけ資金等の融通も考慮いたしまして、これらの事情が生産に寄與するようにいたしたい、かように考えております。
  101. 川島金次

    ○川島委員 大臣答弁はまことに抽象的であります。私の聞こうとしておるのは、その生産計画に見合うに足るだけの本年度の農機具、肥料、衣料あるいは資金等に対する具体的な数字を知りたいのです。それを御説明願いたい。
  102. 森幸太郎

    ○森國務大臣 資金の面につきましては、今申し上げましたように、すでに計画を進めておるのでありますから、はつきり幾ばくの資金をまわすということは申し上げられませんが、しかし食糧の需給推算につきましては、先ほどもお断りいたしました通り、実は百八十万トンのアメリカよりの輸入を懇請いたして、これを予定いたしておるのであります。しかし先ほどもお答えいたしましたように、アメリカの七月からの國会において実現される情勢でありますから、これをはつきりと予定したごとく——需給推算の数字は持つておりますが、申し上げることはどうかと考えるのであります。肥料の生産等におきましては、予定表を持つておりますので、後刻御報告申し上げます。
  103. 小坂善太郎

    ○小坂委員 関連して……。ただいま農林大臣お話の中の肥料の生産でありますが、この渇水期におきまして、非常に電力が豊富だつたために、予定よりよけい生産されたということは非常にけつこうだと思つておりますが、この配給計画につきまして、予定より生産された分についての見込みが、少し少くなつておるのじやないかというようなことを実は聞いておるのであります。最近反当り窒素肥料において、五貫八百匁から六貫匁にふやしたということでありますが、さらにもう少しおふやしになつてもよいような事情であるかのように聞いております。石灰窒素関係で私の聞いております範囲では、第二・四半期の末になると、六万トンくらい滯貨ができてしまうというような話も聞いておりますので、この肥料の非常に必要なる時期に、こういうことになりますことは、國家的にもまことに残念なことであります。また公團が現在のような状態になつておりますと、公團からの金融というようなことができませんので生産会社において、この面からの金詰まりが出て來るということも憂慮されておる状況でございますが、この間に処して、何か大臣から、さらにこの配給計画を増すというようなお話を承わればと思うのであります。
  104. 森幸太郎

    ○森國務大臣 肥料の増配につきましては、麦作地がこういう状態でありましたために、一時的ではありますが、ばれいしよに轉作しなければならないような場合もあります。あるいは被害の状況によりましては、即効肥料をさつそく配給いたしまして、回復するというような点もあります。そういう方面には特配の処置をとつたのであります。また本年は繭の増産をはからなければならぬというので、特に桑園に対する肥料の増配をはかる等、できるだけのそういう人爲的な処置をとつた面もあります。今小坂さんのお説のように、ことに石炭窒素等においては順調に生産ができておりますので、もし予定するように外國肥料が入りますならば、今お話のようになりましようし、相当予定遡りに生産が行われるのではないかということを予想されるのであります。できるだけ確実に早く肥料を配給いたしたい。とにかく春肥料といたしましては、遅くとも六月一ぱいに農家の手元に届かなければならないのでありますから、そういう氣持によつて肥料の配給を取急いで行いたい、かように考えておるのであります。
  105. 川島金次

    ○川島委員 これもまた大臣が後ほどと言われると困るのですが、先ほど、午前中の私の質問に対して、安本長官青木さんは、國民成年一人当り千四百四十カロリーは、絶対に確保するという具体的な確信を持つておる、こう言うのであります。從つて農林省の管轄である食糧の二合七勺確保と、さらにそれに加えまして、みそ、しようゆあるいは食用油、砂糖こういつたものの生産計画もしくは輸入計画と同時に、配給計画の見通しが、具体的に立つていなければならぬはずだと思うのであります。そこでそれらの問題に関する生産計画、配給計画について、資料がありましたならば御説明願いたいと思います。
  106. 森幸太郎

    ○森國務大臣 千四百カロリーの確保につきましては、もちろん二合七勺の配給によつて計算されておるのであります。從つてみそ、しようゆうの配給も、このカロリーの計数のもとにおいてなされておるわけでありまするが、こまかい数字は今ここで手元に持つておりませんから、千四百カロリーの算出基礎については後ほど表によつてお示しいたすことにいたします。
  107. 川島金次

    ○川島委員 さらにお尋ねをいたしまするが、最近農村におきましては、これは全体的な現象でありまするが、いわゆる過当、不当な税金のために、農民が非常に苦しんでおることは、大臣も御案内のことと思います。そこで私の承るところによりますと、税の過当なるために、やむにやまれず、純粋な農家が貴重なるところの耕作権を放棄するという現象が非常に多くなつて参りました。私どもは埼玉懸でありまするが、割合に條件のよい埼玉懸においてすらも、税のために遂に耕作権をやむなく放棄するという農家が今日出て参つておりますおそらく全國的にこの現象は廣まつておるのではないかと私は推察いたしておりますので、この機会に大臣から最近における全國農村の耕作権放棄の戸数あるいは反別、そういつたものがおわかりでありましたならば、御説明願いたいと思います。
  108. 森幸太郎

    ○森國務大臣 お話のような、一部において、せつかく耕地を得ながら、これを放棄したというような向きも聞くのであります。これは全國的ではないようでありまするが、局部的にそういうふうな現象を承知いたしておるのであります。今はこれが何戸、何町歩実現しておるか、またはその放棄した耕地がどういうふうに処置されておるかというこまかい数字は持つておりませんから、いずれ表にしてお答えすることにいたします。
  109. 川島金次

    ○川島委員 どうもせつかく農林大臣は出てきたが、われわれ委員質問に対して、具体的に答弁ができないということになるのは、まことに私ども遺憾に考える。農林大臣にさらにいろいろ質問がありますが、われわれの聞きたいのは、抽象的な説明でなくして、最も具体的なものをわれわれは聞きたい。それによつてこの予算全体をにらみ合せて審議をいたしたいというのがわれわれの建前であります。ところがどうもわれわれの質問に対しては、——具体的な納得の行く説明がない。これでは質問の意味をなさぬと私は思うのであります。委員長からひとつ御注意を願いたいと思います。
  110. 森幸太郎

    ○森國務大臣 重大な問題でありますから、私はいいかげんな心覚えでお答えしないのであります。それでありますから、あらためて書類によつてしつかりしたものをお答えしようと、こういうのであります。決していいかげんな無責任なことを申し上げておるのではありません。
  111. 川島金次

    ○川島委員 そういうことはわかつておりまするけれども、あらかじめ私から農林大臣にはどんな質問が行われるかということは、いろいろな意味において御承知のことと思います。從つてこの委員会に御出席の場合には、しかるべき資料を御持参になつて出席願うということが正しいことであると思う。どうも貴重なる委員会の審議時間でありますから、その貴重な時間をできるだけ有効に使つていただくことが、私は委員会進行の上においてもきわめて必要なことだと思う。これに関して委員長はどのような御所見でありますか、ひとつ委員長の御所見を伺いたい。
  112. 植原悦二郎

    植原委員長 今の川島君の御意見に対しては、森農林大臣がお答えになりました。いかなる大臣であろうとも、すべての質問に対して十分の資料を整えて即座に、ということは、そうできればけつこうでありますけれども、人間の力で、そうできないこともありますので、ただいま森農林大臣の述べられたことは、御了承くだすつてしかるべきと思うのであります。
  113. 川島金次

    ○川島委員 ちよつと私は議事準行について言いたいのですが、一体こういうことがよいか悪いかは別として、予算委員会あるいは本会議を通じて、議会には一種の慣例があります。と申しますのは、委員質問をする場合には、あらかじめ大体において質問を受ける大臣の方からもそれぞれの連絡がある。そしてあらかじめ委員会もしくは本会議に立つ質問者の内容は察知できるような連絡をされて、努めておる。その事柄が私どもにもあつたわけです。従つて私の質問するところの内容は、あらかじめ大臣においてわかつておるわけです。にもかかわらず、この機会において何も持たずに來ておる。まことに誠意がない。何のためにそういう連絡をするのか、私はまことに残念に思います。遺憾に思います。それでは質問の意味がなくなります。委員長からひとつ大臣の方に今まで申し上げたことについて答弁ができるかどうか、御連絡を願います。
  114. 植原悦二郎

    植原委員長 御注意申します。ただいまのお言葉に対しては、森農林大臣はお答えがないようであります。次の質問を継続願います。
  115. 川島金次

    ○川島委員 委員長、連絡してください。
  116. 植原悦二郎

    植原委員長 森農林大臣、お答えがありますか。——どうか、ごらんの通りでありますから、次の質問を御継続願います。
  117. 川島金次

    ○川島委員 今までの私の質問に対する具体的な答弁は、後ほどゆつくり具体的に詳細に承ることにいたしまして、やむを得ず先に進んで行きます。私の承知しております範囲におきましては、今日の農村の課税負担の問題は、もはや限界を通り越しておると私どもは見ております。この不当な一方的な割当徴税に対して、今や國内の数百万戸に上る農民諸君は、眞に血を吐く思いであえいでおるということも、大臣はおそらく推察されておることだろうと思うのであります。こういう現実を目の前に置きまして、少くとも所管大臣である農林大臣は、この農村課税の問題に対して、何とかくふうを凝らして、農村の過重な負担を緩和するという誠意と努力すべきであると私は思います。なるほど徴税関係はずつと大藏省の管轄であると言えばそれまででございます。しかしながら少くとも今の日本の徴税といわず、政治の全体は、総合的な上に立つてのみ初めて均衡のとれた財政経済というものが打ち立てられる。そういう観点からいたしまして、農林大臣は今日の農村における徴税強行に対してどのような考え方を持つているか、それについての具体的な所信をこの機会に御表明願いたいと思います。
  118. 森幸太郎

    ○森國務大臣 お話のように、今日農村の負担は非常に重いのであります。しかも所得税の課税につきましても、各税務署等において反当りの收穫見込が異なつているという、まことに非科学的な課税がされておるのであります。私は今日の日本の再建の場合において、國民のだれもが國民の責任の一つとして、納税の義務を負担しなければならないことはもちろんでありますが、今日財務当局が農村に対して考えているような課税がはたして適正であるかどうかということに、私は疑いを持つものであります。われわれ國民の義務として税金を納めることについては異議がないのでありますが、この納める税金に対しましては、自己の納得の行く適正な課税でなければならぬと思うのであります。つきましては本年度農林省の仕事といたしまして、全國の地区を定めまして、相当数の標準農家によりまして、農村は一体どれだけの收益を上げているか、またどれだけの課税を受けてもよいのかという、科学的に説明し得るような基礎をつくるという計画を立てておるのであります。すなわち農家において、簡單なる方式によりまして、農家の收入をはつきりさせ、そして農業経営の上においておのずから欠点も発見されるのでありますから、農業経営改善の一助にもなりますので、そういう方式をぜひ盛つて行きたいと思つているのであります。それにしましても、とりあえずの問題といたしまして、今日農業経営の家族労働者に対する控除がないのでありますが、これは当然農業を経営する上におきまして、その家族が農業に従事しておりますようなものには、一つの控除をすべきものと考えております、目下財務当局に対しまして、その実現に努力いたしておるのであります。その他蚕糸業に対する事業税のごときものは、もちろんわれわれの立場といたしましては、食糧壇産と同じ氣持において、課税すべからざるものである。これは地方税制でありますが、そういう考えをもつてその実現に努力いたしておるのであります。今日農産物の價額におきましても、ほかの物資に比較して、このままではわれわれは安いと考えておりますので適正な時期において、生産者の價格も是正して参りたいと思います。また一面においては肥料、農機具等の資材におきましても、できるだけ價格を安くいたしまして再生産の力を増して行くようにいたしたい、かように考えているわけであります。
  119. 植原悦二郎

    植原委員長 川島君、ただいま総理大臣がお見えになりましたので、総理大臣に対する質疑を保留されている方もありますし、総理大臣の時間は四時半にまた他にお約束があつてお出かけになるということで、時間が制限されておりますので、あなたの順番も参ると思いますが、保留されている順位によつて、総理大臣に対する質疑を許したいと思いますから、御了承願います。小坂善太郎君。
  120. 小坂善太郎

    ○小坂委員 私は内閣総理大臣に対しまして、実は與党の立場でございますので、なるたけ献策を申し上げたいというような氣持で御質問申し上げたいと思うのです。  ます総理大臣は、政治を長期にわたつて安定させなければならないということを非常に強く御主張になつておられて、私どもとしてもまことに同感であります。日本経済がドツジ公使によつてあらためて竹馬経済であるということを指摘されたことは、私どもとしては、まことに自分で言い出せなかつたことを遺憾としなければならない、こう思うのでありますが、竹馬の足を切るという非常に強い方針も、今日の予算に関する限りは、大体千七百五十億という円資金の見返りを一本の足とする、さらに價格調整費において約二千二十二億円を一本の足とするということで、足の高さがきまつておるだけで、さてどうこの足を短かくして行くか、幾年後にこの足がなくなるかという構想は出て來ない現状であります。しかしこの仕事はどうしてもしなければならないので、その間における政治的、社会的影響は相当に困難なものが予想されますので、そういうことをあえてするということは、これは政治の安定に求めなければならぬ。もちろんその間に公平の原則が流れていて一部の者の犠牲においてこれを安定するということはもちろんできませんが、いずれにしても、かなりの苦しみに耐えるというためには、どうしても政治が不安定であればできないと思います。総理大臣がこのことを明快に指摘せられておりますが、われわれとしても全力をあげてこれに協力したいと思つております。そこでただいまの憲法を見ますと、憲法の六十九條によらざれば解散ができないことになつておりますので、憲法の條文から見た限りにおいては、絶対多数を民主自由党が得られてさらにわれわれも協力しております限りにおいては、そういうことはないように思います。すなわち不信任案が通るということは、議会の数の上においてはないと思いますが、さらにその上に首相とされましては、どういうお考えをもつて政治を長期にわたつて安定させて、この難局を乗り切ろうと思つておられますか、それをお伺いしたいと思います。
  121. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 お答えをいたします。やや仮想に基いてお答えするようなことになりますが、これは私の心持として申し述べるのです。かりに憲法第六十九條以外に解散の道がないといたしましても、民主政治の行き方から申しまして、現内閣なりわれわれが國民の信頼を失つたというときには、憲法の條章いかんにかかわらず、政治道徳から申して潔く引退すべきものではなかろうかと考えます。その結果長期政局に当るということも少々怪しくなるのでありますが、しかし長期われわれが政局に当るよりも、民主政治を確立するということの方が大事であろうと思いますから、もしわれわれの施政にして、失政が多くて、國民の了解を得ないようなことがあつたら、私としては潔く退陣いたすつもりでおります。
  122. 小坂善太郎

    ○小坂委員 そこで私どもといたしましては、総理大臣は、修正資本主義というのはまことにわからぬ、こういうお言葉をよく聞くのでありますが、私どもとしては、資本主義という原則につきまして、もちろんこれを認めておるのであります。修正資本主義というのは、資本主義の原則に基きまして、そしてその間に領土も狭くなる、生産設備も非常に貧弱になつておる、この日本状況をどういうふうにすれば、生産を上げ得るかという構想を、戦前の資本主義と対比して、一つのリヴィジョン・キャピタリズムというもので表現しておりますが、根本は資本主義なんであります。それで修正資本主義はわからないということを総理大臣はしばしば御言明になつております。しかしわれわれは、資本主義というものは流動するものであつて、民主自由党におかれましても、もちろん戦前の資本主義に帰るということはお考えにならないでしようから、その間にきわめて考え方の相違というものはなくなつて來る。両者の考え方は非常に近接して來ているのではないかと考えております。これは野党でおられたときの民主自由党としての総裁のお言葉を、現在多少おかえになつておられるかどうかということを、はなはだ失礼でございますが、伺いたいと存じます。
  123. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 確かに私が修正資本主義はわからないと申したのは事実でございますが、さて非常な信念を持つて資本主義の新旧の間に、どういう相違があるかということをわからないと申すのであつて、観念的にここがわからない、ここがどうというのではなくて、ごく漠然たる考えのもとに私にはわからなかつたのであります。わからなかつたという事実だけの話で、どう違うかということは今なお私にはわかりません。しかしお話のように、いずれにしても資本主義であるならば、年寄りと若いもの、小坂君と私の年齢の違いぐらいの程度の差はあるものと思います。
  124. 小坂善太郎

    ○小坂委員 このことはあまり申し上げてもなんでございますが、結局社会党の右であるとか、自由党の左であるとか、そういうあいまいな表現をすることがわからないのであつて、もつと明確に言えば、今総理のお言葉で私どもきわめて虚心坦懐に了解いたしましたので、この程度にいたしておきます。  さらに具体的な問題に入りまして、どうしてもこの健全財政を強行して参りまするに際して、経費を節約せねばならないことは当然でありますが、ただいま予算の実際の施行状況を見ますると一應予算に組まれましていわゆる既定経費になりますると、なかなか節約はできないのであります。新しく予算に組み込むときは、かなり必要なものでも巌重な査定を受け、一たび組まれたものは、きわめて簡單に惰性として執行されるという状況であります。これを何か査察するような特別な機関を設けますならば、非常に國費の節約になるように考えるのでありますが、この点に関して御所見を承りたいのであります。
  125. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 お答えいたします。御質問通りにわれわれも考えますので、これは大藏大臣もしばしば言明されたと思いますが、予算を実施面においてさらに厳重に支出を監督するということは、大藏大臣からもしばしば言明があつたはずと思います。また閣議等においても言明しておつたのであります。さてこれが実際の機関として実行方法はどうするかということについては、まだ話し合つておりません。しかし御趣意はごもつともでございまするから、なるべく方法を考えることにいたします。
  126. 小坂善太郎

    ○小坂委員 さらに中央、地方を通じまする財政の調整と申しますか、ただいまこの委員会でも木村地方財委の委員長が、地方財政委員会としても、私としてははなはだ困るのであるが、國務大臣としては了承せざるを得ないというような表現をしておられまして、非常に全体の均衡予算を強行する意味から、そのしわが地方に寄るという現象がございまして、これを何とか調整しないと、非常に困る問題だと思うのであります。しかしながら現在の機関といたしますと、地方財政委員会が配付税を配付するという権能を持つておりまするが、さらにもつとさかのぼつて地方財政の根本をつくということは、何ら権限を與えられていない。地方の懸会において議決すれば、そのまま縣政はその予算に基いて運営せられまして、これはもつと大きな目から見て調整することが必要ではないかという感じがするのであります。なるほど民主化というものは地方自治の確立でございましようけれども、現在のような非常に緊急の事態におきまして、やはり中央から一本にそれを監督し、調整するという機関をつくりますることは、民主化という観点から逆行すると言われるかもしれませんけれども、これは結局國の財政状態を改善して國民負担を軽減し、さらに國政を健全なる軌道に乘せる上から申しましても、必要なことではないかと考えられます。そこで何事かそういう中央、地方を通ずるところの財政の調整機関というものを——具体的な御構想としては、あるいは突然こういうことを伺いましてもお答えでき事ないかもしれませんが、これについての首相のお考えをお漏らし願いたいと思うのでおります。
  127. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 これは御承知通り、中央が地方から一旦税を取上げてそれを再び配付する、二重の手数をやつておるような事態になつてつて、それがどういうふうにしてこういうことになつたかということをだんだん聞いてみますると、中央が取上げる場合に、地方との間の了解でこれだけは取上げる、そのかわり割もどしをこれだけするという、いつのころでありますか、地方と中央との間の財政の区分の場合に妥協ができて、そして現在の配付税というようなことになつたのだそうであります。しかしそれは、はなはだ手数が多いことであり、また地方としても迷惑なことでおり、それよりもむしろ所得税の附加税で行くとか何とかいう方が、簡單ではないかという話もしばしば聞くのであります。ただ今日漠然として私の考えのうちには、中央、地方の間の歳入の割振りをどうするかということは、一般、税制を勘案する場合に考えたい、こう私は思つてつたのであります。それ以上今お話のように何かの機関を設けたらよかろうということについての話はまだ進んでおりませんが、しかしいずれにしても、今の制度ははなはだ複雑であるということはみな認めておりまするから、一應税制審議会においては、中央、地方を通じての税制を審議するはずになつております。
  128. 小坂善太郎

    ○小坂委員 さらにもう一点伺いたいと存じますが、現在官廳機構を相当に整備いたしまして、その能率化をはかろう、いわゆる行政整理を官廳機構の整備という一面から非常にお考えになつていらつしやる。これは当然の道筋だろうと存じますが、さらに官廳事務の能率化について、少しくお考えを承りたいと思うのであります。現在役人がふえて官廳機構が非常に複雑であるという事は事実でございますけれども、これはやはり全体の経済機構なりその他の環境が複雑になれば、これも一つの自然の流れとも思われるのでございまして、問題は役人が多いということを申しますが、役人が多いには多いだけのやはり社会的な、あるいは経済的な環境があるのであります。しかし國民の役人が多過ぎるという声の裏には、役人が非常にいばるということが強く含まれておると思うのでありまして、これを一体どういうふうにすればいいかという問題を少しく考えてみますると、どうも日本では、二級官なり三級官なりの役人が、自分でもつて大衆と接して、そして大衆からの要望を自分の手で処理して、全部机の上に一件一件の書類を積み上げておる。私ども寡聞でございまするけれどもアメリカの例など聞きますと、実際に大衆に接する窓口の人はきわめて少く。そのうしろには書類を整理する人が非常に多い、いわゆるファイリング・システムというものをやつている。その結果非常に能率がいいということを聞くのでありますが、私は行政整理を考えるにあたりまして、すぐに失業者の問題を考えなければならないということと関連いたしまして、むしろ役人としていろいろな行政機構を切盛りする役人と、そのうしろにあつてファイルをしていわゆる事務の整理をするという、これは役人といいますか、準役人というものによつてわけで——行政事整理によつて出た時分のさしあたりの失業対策は、なかなか困難であるというようなことも勘案いたしまして、そういう一つの失業のプールといいますか、インテリ階級の失業の一つの仕事をそういうところにためて置いて、むしろ全体的に國民の負担を軽減して行く。行政事務の能率を非常に上げて行くという面もお考えなつたらいかかがという考えを持つておるのでありますが、この点に関してお尋ねしたいと思います。
  129. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 今のファイリング・システムということについても、今度の電氣通信省、郵政省といいますか、從來の逓信省を二つにわけて、そして電氣通信省と郵政省ですかにわけた。このわける場合において、いわゆるファイリング・システムを大分取入れたように承知しております。  もう一つは、内閣の考えておることは、認可制度、許可制度がずいぶん複雑で、一々認可、許可制にしなくてもいいようなことまで認可、許可制になつておる。その結果ある人の話でありますが、豚小屋をこしらえようと思つたところが、二十七通とか届書がいるというような状態で、はなはだばかげたことであるというような風評も聞いたのであります。そこで今日さしあたり考えているのは、官廳の許可、認可の制度といいますか、たとえば警察にしろ、どれだけの許可権を持ち、認可権を持つておるか。各官廳から、その官聽の持つている許可権、認可権を書き出させて、それを整理しようというようなことも考えております。いずれにしても、從來の官廳組織なり、事務の仕方が、あまり事務的でなかつたということは言えるのではないか。これは行政整理もいたしますが、同時に行政の簡素化ということに観点を置いて十分整理いたしたいと思つております。
  130. 小坂善太郎

    ○小坂委員 総理大臣のお考えよくわかりましたのでありますが、さらに能率の点から申しまして、今のお話にも関連いたしまするが、官廳から要請せられるところの資料の提出というものが、非常に無系統に、はなはだ統制なくなされておるのであります。私の聞いております限りにおきましては、石炭業者において大体月に二百通はいる。製鉄業者において二百五十通はいるということを申しておるのであります。これも私のはなはだ寡聞な聞き込みであるいは違つておるかもしれませんが、アメリカあたりでは統計基準局長の認可を得ないと、あらゆる資料を提出する必要はない、民間業者はその責を負わないでいいというようなことがあるということを聞いておりますが、書類の提出が、人的にもあるいは物的にも非常にむだが多いのでありまして、何かそういうようなことをはつきりとお出しになりまして、今のむだに人が忙しがつている状態を、さつぱりと改革していただきたいと思いますが、これについて、簡單でけつこうでありますから、お答え願いたいと思います。
  131. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 その点については、当局においてよく考えるようにいたします。
  132. 植原悦二郎

    植原委員長 小坂君、かなりあなたの方の時間をオーバーしていますし、また総理大臣質問する人はかなり多うございますから、なるたけ節約して願います。
  133. 小坂善太郎

    ○小坂委員 では簡單にいたします。今度の予算におきまして、非常に健全財政を強行して行くと、デフレになる、その間の調整を円資金見返り勘定でもつて調整して、ディスインフレーションにするということでありますが、この千七百五十億の運用が非常に重大な問題でございまして、これについての委員会を大藏省内につくるというようなことを、先般來大藏大臣も述べておられましたが、この運用を一歩誤りますと、復金の二の舞いになる。また今復金を解消いたしまして、復金債券を日銀がそのほとんど大部分といつていいくらい持つているのでありますが、日銀が復金債券を背負い込む、政府が日銀の持つているのを買上げる、すなわち日銀にそれだけの資金が出て來るのでありますが、この日銀が市中銀行からの公債を買い上げて、いわゆるマーケット・オペレーションと申しますか、そういう操作をするということになつて來る、大藏省内におけるその委員会、あるいは日銀がオーペレートをした資金の運営委員会というものが非常に大きな問題であります。これは日本産業の長期資金供給問題としても大きいし、また外國の日本に対する感情と申しますか、外國の納税者の負担において出した資金が、日本においていかように運営されるかということはきわめて重大な問題でありますので、これについてひとつ総理は断固たる決意をもつて、どこからも突つかれない一つの構想を持つた委員会をおつくりあらんことを、総理御自身指示されることを強くお願いしておきたいと思います。以上をもつて質問を打切ります。
  134. 植原悦二郎

    植原委員長 今のは小坂君の総理に対する御希望ですね。
  135. 小坂善太郎

    ○小坂委員 そうです。
  136. 植原悦二郎

    植原委員長 その点はあなたおいでにならなかつたけれども大藏大臣も相当この委員会において詳細にお答えになつておりますから、それを御承知おき願いたいと思います。
  137. 小坂善太郎

    ○小坂委員 いや、私もおりまして、よく大藏大臣からも聞いておりますが、これは総理に直接お話申し上げて、よく要望しておきたいということで申し上げたのでありますから、どうぞ。
  138. 植原悦二郎

    植原委員長 川島金次君。
  139. 川島金次

    ○川島委員 総理大臣に私からも二、三お尋ねをいたしたいと思います。  第一点は、吉田総理は総選挙の結果、與党が多数をかち得た。その頭数だけでも國会の勢力安定は一應形づくられる形になつておりますにもかかわらず、民主党の方面に働きかけて、強引な合同あるいは連立を策したのであります。その事柄について、世間ではいろいろ風評をされておる。その風評の三、四点の中で一つの注目すべき点が世間で当時いわれておつた。それは憲法の改正という問題である。何か吉田総理は國会内において三分の二以上の與党を形づくることにきわめて熱心であつたという事柄の一つには、近い將來において政府は憲法を改正するであろう。憲法改正の方針があるであろう。こういうことが傳えられておつたのであります。今日でもまだ一部ではそういうことを観測している向きもないのではないのであります。そこではたして吉田総理には憲法改正の方針がおありであるのか。もしありといたしますれば、憲法を改正すべき内容は、どの点を改正したいのか、こういう事柄について御所見がありましたならば、お漏らしを願いたいと思います。
  140. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 憲法改正の意思ありやいなやということは、この間本会議でも私はその意思がないということを言明しておきました。でありますから、その意思はただいまのところ持つておりません。
  141. 川島金次

    ○川島委員 その憲法改正問題は私はうかつにしてつい知りませんでしたから、お尋ねしたのでおります。  次に第二点は、先般来も、前國会当時におきましても、総理はしばしば暫定講和という意味の言葉を漏らされております。この暫定講和という問題については、受取り方によりましては、非常に意味深長なものがあるようにわれわれ開き及んでいるのでありますが、この暫定講和という問題について、総理は今もつて考えておられるような節があります。そこでお尋ねいたしたいのは、暫定講和というその内容について、何か総理に具体的な御構想があらるるのかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  142. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 私は暫定講和という言い表わし方をしたことはないつもりでありますが、暫定條約という意味合いの話をいたしているのであります。すなわち講和條約ができないとするならば、個々の問題について暫定的のとりきめをして行つて、そしてその結果においてその総計が結局講和條約締結と同じような効果を生ぜしめるというよりほか、現在のところ講和條約についての見通しがないとすればそれ以外に方法がない。たとえば海外に出かけて行くということは講和條約ができない限りはできない、あるいは海外に出かけて行くことはいけないと言われればそれまでの話で、敵國の関係であるから通商もできないと言われればそれまでの話であります。現に為替レートのとりきめ、あるいはバイヤーが来たときに取引を許すというようなことをして、結局において講和條約になるということを考えるより、今日の状態においてはしかたがない、講和條約については、今日の客観情勢が許さないとするならば、個々の問題について暫定とりきめでやつて行く。それが累積して結局は講和條約にかわるような現実の事態を現わして行くよりほかに、方法はないのじやないかという考えで申したのであります。
  143. 川島金次

    ○川島委員 ただいま総理のお話では、暫定條約の内容の一つとして、海外に出る移民等の問題についても触れられたような感じで、私は今のお考えを聞いたのであります。実は最近私の手元ヘブラジルの在留邦人から手紙が参りました。その内容によりますと、在留邦人の考え方はまことにもつともです。日本の多難な復興を期事するためにも、日本の國内の人口問題の処理がきわめて重要な事柄だ。その意味合いにおいてわれわれ海外におる在留邦人もいろいろ常に大きな関心を持つておる。この手紙を見ますと、最近同國内において連邦移植民審議会によつて起草された外國移民入國法の原案が連邦下院に上程された。その結果本年の一月十五日に可決通過を見まして、目下上院で審議されておる。しかもその内容は、詳しくはわかりませんが、人種的な差別などは原則的に考えておらない。從つて占領治下にある日本人のブラジルに対する移民等についても、原則としては別に区別をしておらない。こういうことが今ブラジルの國会において非常に熱心に討議されておる。こういう事柄をも考え合せられまして、占領治下にある日本においても、すでにこういうことがこちらの方で熱心に取上げられておるときであるから、日本の政治家も政府も、この機会に相呼應して何らか手を打つべきではないか、少くとも日本復興の上に重大な問題であるところの人口問題の処理の一つの方法として、熱意を持つてこの問題を政府考えてほしい。こういう意味の手紙を数日前に受取つたのであります。この間総理のお話によると、そういう海外移民の問題について触れるということは、目下の状況では好ましくないというような意味のお話があつたことを記憶しておるのでありますが、少くとも私は総理におかれましては、ただいま申されたように、個々の問題を取上げて、その可能なる限り暫定條約を積み上げてそのまま最後においてわれわれ八千万國民が耐乏しておる講和條約に持つて行きたい、こういう総理のせつかくの熱意があるのでありますから、こういう事実もあることを含めて、総理は何らかこの機会において政府として最も適当な懇請の方法なり、あるいは他の方法をもつて御折衝されるという考え方を持つてしかるべきではないかと考えるのでありますが、これに対する総理の御所見をもう一ぺんこの機会にお伺いしておきたい。
  144. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 私は海外移民のことについて触れたことはちよつと記憶が確かではありませんが、御趣意はまことにけつこうなことだと思います。もしもお話のようにブラジル議会においてそういう議案が出たとすれば、われわれとしては一つのいい知らせであつて、まことに喜ばしい知らせだと思いますが、さてこれに対してどう処置するかということは、なお詳しいことを承知した上でお答えをいたしたいと思います。
  145. 川島金次

    ○川島委員 これは一つの例でありまして、海外におる在留邦人も祖國のいろいろな困難な事情をはるかにしのんで、こうした問題について非常に心配していることでもあり、しかもこういうよき例が出ておることでもありますので、総理におきましては、ぜひともこういつた海外の移民の問題についても熱意をもつて、今後とも機会があれば折衝されることを強く希望しておきます。  次いでお尋ねいたしますが、最近新聞紙上で選挙法改正の問題が、選挙管理委員会の案としてかなり具体的に報道されております。これは総理直接の管轄でないと言えばそれまででありますが、政府においては今日の選挙法に対してどのような考え方を持つておるか。また先般新聞紙上に発表されましたが、選挙管理委員会の選挙法改正についての具体的なこまかなものが出ておりましたけれども、あれを出すについては総理もさだめし御存じのことと考えるのであります。そこで総理は選挙法の改正についてどのような考え方を持つておられるか、もし今日構想がありましたならば、あるいは御所見がありましたならば、お聞かせ願いたいと思います。
  146. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 選挙法改正については、こういうふうにしたらよかろうという構想というような具体案は、私は今ここでお話するほどのものを持つておりませんが、しかしこの間の総選挙において、私の体驗するところによつても、かなりきゆうくつであるのみならず、ほんとうに民意を反映せしむるような、あるいは國民に党の考えなり候補者の考えなりを徹底せしむるのには、はなはだきゆうくつであるという体驗をいたしましたので、これは何とか選挙法を改正いたさなければならぬという必要を体得しておりますが、しからばこうしたらよかろうというような具体案まで今私としては考えておりません。しかし政府としては考えざるを得ない立場にあるのであります。これだけ申し上げておきます。
  147. 川島金次

    ○川島委員 ではさらにお尋ね申し上げます。政府は今年度の総予算案を上程するに先だちまして、総理から本会議において施政方針に関する演説をなされ、その当時繰返し強く國民生活に対する耐乏を要望されておる。國氏に対して耐乏生活を要望することは、ある程度どもも感じといたしましては了承できるのでありますが、私は日本経済を安定し、困難なる経済復興せしむるためには、物質的にも精神的にも國民全体が平等の立場において、負担の公平な立場において、日本経済の安定と復興をはるべきが鉄則であろうと思うのであります。從つて単に耐乏生活を要望いたしましても、その要望の対象において、國民の一部に耐乏生活どころでない、この時局にふさわしからざる持てる者、あるいは富める者がぜいたくな暮しをするような面がないではないことは、総理もとくに御承知のことと思うのであります。國民の耐乏を強く要望するためには、その半面において、少くともただいま申し上げましたような面に対しましては、できるだけ強い力をもつてそのぜいたくを抑制して行く、そういう政策をも強行するのでありませんければ、私は國民全体が平等に犠牲を負担し、そうしてこの困難な時局を乗り切るという氣合が、かかつて來ないと考えるのであります。ところが施政方針の演説におきましても、その後各大臣のいろいろの説明やあるいは答弁におきましても、その点がどうもはつきりいたしておりません。私はそれであつてはならないと思います。そこで総理にあらためて私はこの点につきましてお伺いするのでありますが、耐乏生活もよかろうが、その耐乏生活にあらざる極端な方面に対する強い抑制をはかつて行くべき事柄が、最も必要であると私は思うのでありまして、その点に対する総理の御見解をお伺いいたしておきたいと思います。
  148. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 御質問の御趣意はごもつともと思います。單に國民の一部に耐乏生活を望むのみならず、また自然耐乏生活なり、あるいは事業その他の経営の上において、この予算を実行するがために、いろいろきゆうくつな問題が生ずることは御承知通りであります。たとえば教育にしても、あるいは地方の財政にしても、またその他個人の生活の上においても、あの予算を実施するために、いろいろな影響を生ずるということは、演説中のにも申しておいたつもりでありますが、さらに私の演説の中にも、この敗戰後の日本の実情に対する認識がはなはだ欠けておる。そのために財政甘その他の改革もだんだん延び延びになつて、そうして今日においてあるいは外科手術といいますか、ひまし油を飲むというような、ごく荒つぽい処置をとらなければならぬような事態に立至つたのだということを申す一面においては、國民全体が敗戰後の日本の実情を直視して、そうしてその建直しを國民一般あげてこれを考えるようにしたい。つまり他の言い方から申せば、耐乏生活の必要が國民に徹底するようにしたいものであるという趣旨を述べておいたつもりであります。
  149. 川島金次

    ○川島委員 今の総理のお言葉はよくわかるのでありますが、どうも矛盾した政策がややもすれば現われて來るのじやないかと考え、また現にそういう矛盾した面がないではないのであります。この事柄についてはあとでまたほかの大臣に対して御質問を申し上げたいと思うのですが、例をあげますと、國民が耐乏生活に甘んじなければならぬ。このことを強調しておきながら、たとえば卑近な例でありますが、傳えられますところによりますと、國民の一般に配給されるところの酒、あるいはタバコ、こういつた事柄に対しまして、政府は近く配給タバコをやめて自由販賣にする、あるいは酒の國民配給もやめてこれも自由販賣にする。そういつた事柄は、少くとも國民の耐乏生活を強調し、一方においてそういつたぜいたくな生活を大いに抑制するという政府考え方とはいささか矛盾するのではないかという考え方をわれわれは持つのであります。そういつた矛盾した形において、はたして國民がその政府の要望するところの耐乏生活によく納得して協力できるかというところに、私は少くとも疑念を持つ一人であります。なおさらにこれまた卑近な例でありますが、今日においてもなおかつ表面上は休業をしているということではございますけれども、全國にはかなり高級な料理店あるいは高級な待合が実際において営業を続けているような始末です。こういつたことをそのままにしておいて、はたして國民に強い耐乏生活が要求できるかどうか、その要求は國民にはたしてすなおに受取れるかどうかということは、非常に私は懸念される問題であろうとうのであります。この事柄について総理の重ねての御所見を承つておきたいと思うのであります。
  150. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 國民への生活の上において矛盾かあるいは不平等な点がありましたならば、それは喜んで訂正いたします。
  151. 川島金次

    ○川島委員 そうすると今のタバコ、酒の配給の問題はとりやめて、いわゆる自由販賣にするという事柄は、政府としては考えないということに受取つてよろしいのでありますか。
  152. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 私はタバコ、酒等の販賣についてあまりよく承知いたしておりませんから、これは関係大臣からお聞きを願いたいと思います。
  153. 川島金次

    ○川島委員 その問題はあとで関係大臣から承ることにいたします。  最後に一点お伺いいたしたいと思います。それは、昭和二十四年度予算の実施を中心とする日本財政経済の中核をなすものは、私はいわゆる金融政策だと思います。この金融政策が一歩誤りますれば、私はこの予算の実施の上において、重大な障害ともなり破綻をも來すおそれありという心配を持つている一人であります。そこで大藏大臣はしばしばこの委員会におきましても、信用統制を行うのだと言明されております。しかしながら今日の現状におきまして、政府考えるような信用統制が——日銀及び市中銀行を通じて政府の目途とするような統制が、はたして可能でおるかどうかということに、私は一種の疑念を持つているのであります。もし政府が強力に信用統制を行つて日本経済を安定し、必要なる産業の育成と培養をはかるということでありますれば、私はこの機会にこそ、日銀初め市中銀行の國家管理というものの問題に入つて行かなければ、眞の信用統制というものの計画が実施困難な事情になるのではないかと、かように考えるのでありまするけれども、この問題について総理の所見をお伺いしておきたいと思います。
  154. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 問題がたいへん專門的で、私にもちよつとお答えがしにくいほどむずかしくありますから、当局大臣からお聞きを願いたいと思います。
  155. 植原悦二郎

    植原委員長 大藏大臣はその点についてかなりこの委員会においてお答えになつたと思います。それでもし次の御質問があつたら次の御質問を願います。
  156. 川島金次

    ○川島委員 では商工大臣にお伺いいたします。
  157. 植原悦二郎

    植原委員長 総理の時間が限られておりますから、総理に対してだけ御質問を願います。それであなたの総理に対する御質問は終りましたね。次に圖司安正君。
  158. 圖司安正

    ○圖司委員 私は総理大臣に対しまして、農政の根本問題について二、三お伺い申し上げてみたいと思うのであります。  農はわが國にとつて昔から國家の大本でございます。しかるに今日の農村は最も危機に立つていると私は考えているのであります。農地改革以前におきまする農地問題と、農地改革後における農村問題は、明らかに性格をかえたと思われるのでございます。と申しますのは、地主はもはや今日原則として存在はいたしておりません。ほとんど三町歩以下の中農に限られておるのでございます。ところが自由経済を推進して参りますならば、土地兼併の弊害は法律によつて制限せられておりましようけれども零細農になる危險性は多分に残されておると思うのでございます。もし今中農主義が破壊せられまして、零細農あるいは兼業というものが農家の大部分を占めることになりましたならば、國家の最も重要ないわゆる至上命令とでも申すべき食糧増産が、とうていその目的を達し得られないような結果になるやと私は恐れるのであります。中農に力を入れて耐乏生活を説かれることもけつこうではございますけれども、その創意くふうによつて経営の改善を求め、経済の発展を意図せられまして、わが國の再建に寄與貢献せしめることこそ、今日とらねばならない農政の根本問題であろうかと私は考えておるのでございます。つきましては、現在この危機に立つておる日本の農村をながめますと、どうしても中農に対して國家が保護助長をする道を講ずることが肝要であると考えるのでございますが、予算においてそういう点をいかように御考慮になつておられますか、その点をまずお伺い申し上げたいと思います。
  159. 植原悦二郎

    植原委員長 総理の時間は非常に限定されております。あなたの質問はむしろ所管大臣にお答えを願つた方がもつとはつきりすると思いますから、それはどうか所管大臣に譲つていただきたいと思います。
  160. 圖司安正

    ○圖司委員 では今後の農政に対する根本方針をお伺いいたしたいと思います。
  161. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 その点は私にとつては非常にむずかしい問題ですから、所管大臣からお聞きを願いたいと思います。
  162. 圖司安正

    ○圖司委員 人口問題に対して、特に農村人口とその他の人口との関係をお伺い申し上げたいのでありますが、農村人口はいわゆる國家発展の基礎であると考えておるのであります。農村人口が清新にして健全である限り、その國家の命運はますます助長せられて行くと考えられるのでありますけれども、今日日本の農村の人口は、最も不健全なる方向に向いつつあるのではないかとおそれておるのであります。何となれば、二、三男はすでに希望を失つているのであります。しかももとは清新健全な農村のプールから、その人口が都会に流れて参りましたものが、現在においては都会から優勝劣敗によつて落伍した人口が、農村に流れつつあるのでございます。それが開拓をして、あるいは土地改良をして、あるいは農村の教育をして、今日の混沌たる状態に陷れておるのではないかと考えるのでありますが、農村人口を清新健全なる人口に維持培養せられる方途について、政府はいかなるお考えを持つておられますか、つまり、農村人口は具体的に申し上げましたならば、大体全人口の半数以上は占めておらなければならぬと思うのであります。そういたしますと、二、三男に対する將來の教育方針なり、あるいは農村自体における二、三男消化の経済機構なり、その他社会の改善という事柄を、どういうふうに有機的にお考えになつておられまするか、その点をお伺いいたしたいのであります。
  163. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 それも私にとつては非常にむずかしい問題で、自信をもつてお答えしにくいのでありますが、しかし私は始終日本の農村と都会との関係は緊密であると言つておるのであります。たとえば外國の都会のごとくに、いなかから都会に入る、あるいは都会に移住した人がそのまま都会において何代か過ぎた、そのために直接地方と連絡がないというのが、現在外國の大都会の状態でありますが、仕合せに日本の都会と農村との間には、あるいは親戚故旧が残つておる者もあるとか、あるいは学校の同窓の者がおる。そのために都会において失業者ができても、村落においてこれを吸收するというようないい関係が残つておるので、この関係は自然の経済状態から永久に保存することはできないでありましようけれども、現在においてはとにかくこの関係が残つておる。たとえば東京が戰災にかかつても、郷里の府縣に行つて、親戚、故旧によつて生活が相当に安樂にできる、あるいは少くとも窮乏に陷らなかつた事態が現実に見られておる。この関係は農村が人口を養うというか、農村の余裕によつて、都会における不幸な人を吸收するといい状態が、現に存在しているので、私は始終外國の新聞記者などにも、日本の失業問題についてはその点を指摘して、いわゆる失業問題は欧米の失業問題とよほど形が違うのである。從つて日本の農村なりあるいは農村における生活を、なるべく余裕あらしめるようにいたしたい。これはお話の中農の組織を維持したいとか、発達したいということになるでありましようが、あまり農村をして枯渇せしめないようにする用意は、政府として持たなければならぬと思います。  また教育問題についてもそうでありますが、六・三制の教育を実施した結果、各地において高等学校なり大学なりをこしらえてそれによつて地方人がわざわざ東京なり都会へ出て來て、そうして地方との間に連絡を失うとか、あるいは郷土の観念を失うということにならずに、その土地々々の学校において教育を受けることができるということが、これが農村生活を維持するゆえんであつて、六・三制の考え方もまたそこにあるのであると思います。  かたがた村落、農村等の維持発達にについては、これは政府としても國家としても十分考えなければならぬということは、私もよく承知いたしております。なるべくそういう線に沿つて行きたいと思つております。
  164. 植原悦二郎

    植原委員長 圖司君、今のような種類の質問ならば所管大臣に願います。特に総理大臣を煩わす必要もないと思いますから、他の方にお譲り願いたいと思います。
  165. 圖司安正

    ○圖司委員 東北振興の問題についてちよつとお伺いしたい。
  166. 植原悦二郎

    植原委員長 それでは総理大臣でなければならないような質問をなさるという條件のもとに、あなたに発言をお許しいたします。
  167. 圖司安正

    ○圖司委員 大正八年だつたと記憶いたしておるのでありますが、原内閣において、東北振興問題を特に取上げて、東北振興に対する政府としての総合施策を講じておつたのであります。さらにまたその後昭和五年でしたか、やはり内閣に雪害対策調査会を設置いたしまして、東北、北陸、北海道のいわゆる積雪地帶に関する総合的な振興対策を、内閣においていろいろと樹立実行に当られたのであります。今日日本の國情を見ますると、氣候的には一年間の少くとも三箇月事ないし六箇月雪の中に埋められまして、ほとんど雪のない地方とは、社会的にも経済的にも自然の制約を受けておるばかりでなく、いろいろの面において同日に論じられない地方があるのであります。これらの地方に対しまして、政府は総合的な施策を立てられましてその発達を企図せられる御意思があられるかどうか。原内閣の東北振興対策調査会、あるいはその後の雪害対策調査会のようなものをお設けになる御意思があるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  168. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 今の問題でございますが、これは総合國土開発審議会において取扱うということになつておるのであります。
  169. 圖司安正

    ○圖司委員 特に力を入れてやつていただきたいのであります。
  170. 植原悦二郎

    植原委員長 野坂參三君。
  171. 野坂參三

    ○野坂委員 私は総理に二、三質問したいのであります。  総理は施政演説の中で外國からの援助なしに日本は自立して行かなければならないということを強調されたし、特にまた自主精神ということを強調されて、非常にけつこうなお言葉だと思います。われわれも全的にこの言葉自体には賛成いたします。さていろいろの経済政策その他を見まして、特に今度出された予算、その手続、内容を見た場合には、総理の自主精神に反するような事実が非常にたくさんある。特に私は総理に申し上げたいことは、自主精神、自主精神と言われますけれども、実際にやられておることを見ますと、前の芦田内閣、片山内閣、それと比べても、非常に自主ということが現実になくなつて来ておるということを、われわれ日本人として深刻に考えなければならない。それでこういう問題については、私はここで長々しく総理にお聞きしたいと思いませんか、予算の問題にからめて申しますと、今度のこの予算は、いわゆるドツジの関係方面の内示案を基礎にして編成されたものでありますが、こういう形は今までの日本予算の形で前例のない——芦田内閣も片山内閣でも、ここまでは行かなかつた。結局これはだれがつくつただれのための予算であるか、これをわれわれが考える場合にお伺いしたいのは、このような予算編成の方法とか、径路を今後もおとりになるつもりでおられるのでおりましようか、あるいはまたこれが最後であるか、これをまず第一にお聞きいたしたいと思います。
  172. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 これが私が施政演説において申した通り、ドツジの声明、あるいはまた九原則、これは私としては今日日本がなさなければならぬ筋合いのものであつて、私はその原則、主義においては全然賛成いたしておるのであつて、賛成しておるからこそ、この予算ができたのでありまして、それが内示案とどういう関係があるかないにしても、この予算案は、この間申した通り内閣の責任においてなされたものであつて、その由來がどうであろうが、予算案そのものは吉田内閣の予算案なのであります。將來のことはわかりません。將來はどうなるか、將來において再びこういうことをするかしないかということは、私はここに言明のなにはないと思います。
  173. 野坂參三

    ○野坂委員 非常にわれわれとしては情ないお話だと思うのであります。自主精神に基いて政治をおやりになると言いながら、このような予算の編み方は、これが最後であると確言できなくて、將来またこういうことをおやりになるかもしれないということを聞いて、われわれ國民としては暗澹たる將來を見なければならぬと思うのであります。私はこの意味におきまして、総理としても党を超越して、日本という國をごらんになりまして、今こうしてどんどん自主がなくなつて來ておる、これをいかにしてわれわれは回復するかということについて、眞劒にお考え願いたい、考えるだけでなしに、実際政治の上でやつていただきたいと思います。これは國民の声であります。これに関連してもう一つお伺いしたいのは、將來の予算でも、あるいはああした自主性のないコースをとりになるかもしれないということでありますが、今のこの日本予算編成にあたつて、御存じのように旧憲法下の予算編成と同じ方法、形、コースをとつて來ております。つまり大藏省の官僚の方でつくつて、これをわれわれ議員に提出する。こういう形をずつととつて來ておりますが、これについて総理としては、ある民主的な変更を加えるというふうなお考えはないであろうかどうか。もう少し具体的に申しますと、たとえばアメリカのような、ああいう予算編成を一足飛びにやることはあるいはむずかしいかもしれません。しかしながら予算編成にあたつて、單に大藏官僚だけがやるのでなくて、國会の方、あるいは予算委員会でも何らかの形で、こうした民主的な意見を編成の中に織り込んで行く、こういうコースをとるべきではないか。先ほどの自主性の問題と、もう一つこういうことを私は考えるべきではないかと思うのであります。これについて総理の今具体的な御意見はなくとも、こういう考え方で今後予算編成したらどうかという意見に対して、どういうお考えですか。
  174. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 私の申すのは、予算案は自主的に考えたのであります。それがドツジの発案であろうが、どこの発案であろうが、政府はこれがいいと考えて、政府の責任において出したのでありますから、私はこれは自主的に編成した予算であると断言いたすのであります。將來のことはわからぬというだけの話であります。また今お話の民主的に編成する意思がないか、これは私においては民主的という編成の仕方がよくわかりませんから、お答えができません。
  175. 野坂參三

    ○野坂委員 総理は非常に感情的になられているようですけれども、冷静にお考えになつてお答え願いたいと思う。つまり私の申し上げたいことは、この前のたしか第二國会だつたと思いますけれども、このときには予算委員会に二つの小委員会がわかれて、一つの小委員会の方は予算編成に参加するということになつて、私もその委員で二、三回会合に参加したことがあります。つまり、こういうふうにして、單に大藏官僚だけが予算編成をやるのでなくして、やはりこの予算委員会その他の組織が、この編成の間に参加するということを私は考えるべきではないだろうか、ということを今言つておるわけです。これについての総理大臣の御意見をお伺いしたい。もうすでに、ちよつと初歩的ではありますが、こういうような形の線は出ておつた
  176. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 御意見として伺つておきます。
  177. 野坂參三

    ○野坂委員 それでは、次にお伺いしたいのは、米國日援助見返資金特別会計法案というものが今度出されました。これは、昨日この委員会でもある他の委員から質問されたし、またきようは大藏委員会でも相当重要な議論がなされたように私聞いております。これは今まで日本で出された法律案の中で稀有に属するものじやないか。私は寡聞にして知りませんけれども、これと同じものは過去三年半の間にもなかつたと思う。と申しますのは、これによりますと、連合國司令官に、この資金の運営とか使用運用というようなことについて、日本政府が承認を得なければならない。それからさらに、これの監督監査も連合國最高司令官から受けなければならない、報告もしなければならない義務を日本政府が負つている、こういうふうに書いてあります。これが、しかもこの國内法にちやんと書いてある。それで私は外交官である総理大臣にお伺いしたいのは、まず第一にこうした條項を國内法に盛るべきであろうかどうかということです。こうしたものは普通われわれが常識で知つておる程度では國際法なのである。たとえばマーシャル・プランにしても、ヨーロッパのあの國々においてはこれは條約がありますから、協定の形でアメリカとおのおのの國との間に締結されております。日本はもちろん講和前でありますために、こうした條約とか協定を結ぶことは正式にはできないでありましようが、しかしながらこの性格は國内法に盛るべきものではないのであります。そうなれば現段階の日本においては今まであつた、たとえば命令——ディレクティヴであるとか、あるいはメモランダムであるとか、あるいは今は適用できないでありましようけれども、過去にあつた政令のような形でこうした規定はなさるべきであつて、國内法でやるべきではないと私は考えます。大藏委員会の方でもそういう意見が出たそうでありますが、これについての総理の御意見を伺いたい。
  178. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 これは主管大臣からお答えいたします。
  179. 野坂參三

    ○野坂委員 主管大臣と申しますと、大藏大臣ですか。
  180. 植原悦二郎

    植原委員長 大藏大臣は今おりませんから、やがてそのことは大藏大臣にお傳えいたします。
  181. 野坂參三

    ○野坂委員 それではこの問題はきわめて重要でありますから、できるだけ所管大臣からでなしに総理大臣からお答え願いたいと思います。われわれがこの條文を見ますと、今申しましたように連合國最高司令官の承認とか監督を受けなければならないことになつておるのですが、一方ではこの資金については國会にこれの予算を提出して、國会がこれの承認の決議をしなければならないことになつておる。そうすると、もし國会で決定したことが連合國側の承認を得ることができなかつたとしたならば、一体どうなるのであろうか。一体どちらに優先権があるのか。どちらが先であり、どちらに最高の権限があるのか、この点についてお聞きしたいと思います。これは日本の主権の問題として重大な問題であると私は思いますから……
  182. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 これも主管大臣からお答えいたします。
  183. 植原悦二郎

    植原委員長 野坂君に申しますが、その法案は今大藏委員会において審議されておりますから、そこでずいぶん質疑應答の機会があろうと思います。ここでではなるべく総理大臣に関すること——今の法案に対することについては、主管大臣がお答えすると総理大臣はすでにお答えになつておりますので、この場合はその点以外の点で御質問願いたいと思います。
  184. 野坂參三

    ○野坂委員 ただその点が、どこからどこまで主管大臣がお答えになる能力があり、総理大臣にその能力がないのかわかりにくい。今までわが國際法の問題についてお聞きしたのは、総理大臣は同時に外務大臣であるから、その立場からしてもはつきりお答えができると思つたのですが、お答えができないということですから、それは所管が大臣の方にお聞きすることにしまして、もう一つ、これは政治的に非常に重大な問題ですから、総理大臣は責任をもつてお答え願いたいのであります。それはたとえばガリオア・フアンドとかイロア、ああしたものは一体贈與であるか、それとも日本に貸與されたものであるか。言いかえればわれわれ日本がもらつたものであるか、それとも借りたものであるか、この問題はこの法案を離れても、日本の今後の経済予算の問題に対して決定的に重要であると思います。と申しますのは、御存じのようにマッカーサー元帥が昭和二十二年二月二十日付—これは渉外局より発表されたものですが、アメリカ陸軍省にあてられたメッセージの中にこう書いてあります。日本に対するいわゆる援助資金は、將來日本に対して請求されることになるが、これは日本資産に対して米國が先取特権によつて保証されるべきである。だからこれは慈善ではない。つまりただで日本にやつたのではない。慎重に考慮すれば米國の納税者としては、この処置によつて一ドルたりとも損をすることはない。つまりいわゆる援助資金はただで日本に贈與されたものではなく、アメリカの納税者は一ドルも損はしない。將來返してもらうのだ。こういう意味のことがはつきりこのメッセージに書いてあります。そうしますと、今言つたようなガリオア・イロア・フアンドはわれわれとして借りたものである。日本に対する贈與ではないと理解してさしつかえないものであるか。この点総理大臣のお答えを願いたい。これは所管大臣の問題でないと思います。
  185. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 これも所管大臣からお答えをいたします。
  186. 野坂參三

    ○野坂委員 このような日本の自主に関する基本的な問題についても、総理大臣からお答えにならないとしますと、一体総理大臣は何の仕事をおやりになつておるか、ちよつとわかりかねます。それじやしかたがありませんから先に進みますが、こういう問題については私は明確な政府側としての御回答を他の機会でもよろしゆうございますからやつていただきたいと思います。  それではなるべく総理大臣の所管の問題についてお聞きしたいと思いますが、四月七日の参議院本会議で私たちの方の細川嘉六君の質問に対して、総理大臣はこういうふうにお答えになつております。永世中立の立場をとることがいいか悪いかについては多少の疑いがある。この言葉通り解釈すれば、日本としては永世中立などをやることがいいか悪いか、この点確信がないか、あるいは永世中立をとる必要はないのではないかというふうにもわれわれには解釈されます。御存じのように朝日新聞でもこれを社説に取り上げておりますが、この際総理大臣からこの問題についてのお答えを願いたいと思います。
  187. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 それはその新聞に書いてある通り疑問があると私は申したのであります、疑いを今なお持つておるのであります。
  188. 野坂參三

    ○野坂委員 もう一つそれに関連しまして、これは一度すでにだれかが聞いたかもしれませんけれども、これはやはり非常に重要でありますから、私としては外務委員会で直接に近藤政務次官に聞いたのでありますが、これも三月二十四日の新聞にINSの電報として載つておりますが、いわゆる太平洋防衛條約の問題について近藤政務次官が外人記者にこう語つている。武装解除された日本にとつて、独立と領土保全を維持する唯一の方策は、こうした太平洋防衛條約の中に入ることである。まだ対日講和條約が締結されていなくても、日本の防衛同盟参加の妨げにはならない。こういうふうな御意見が発表されております。これは近藤政務次官の御意見によると個人の意見だということになりましたけれども、しかし政務次官の職にある方が、こうした外交関係について発言している限りは、これはわれわれとしても相当重大でありますし、たとえば今後日本がそうした方向は進むということについては、われわれとしては大きな関心を持つておりますし、意見もありますので、総理大臣の御意見をここでお伺いしたいと思います。
  189. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 この問題はこの間もこの委員会においてお答えをしましたが、假定の問題について私はお答えはできません。
  190. 野坂參三

    ○野坂委員 私は、つまりこういう太平洋條約ができる、あるいはできないというふうな假定で質問しているのでなくて、近藤政務次官が政務次官の職にありながらこういうことを言われたということについて、総理大臣はこういう意見に御賛成であるかどうかということをお聞きしているのです。
  191. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 近藤政務次官がそういう意見を発表せられたかどうであるかということは、しばしばここで聞きまするが、私はまだ近藤君から言明を行つた話のいきさつ等については承知いたしておりませんから、ここではお答えをいたしません。
  192. 野坂參三

    ○野坂委員 ごの問題に関連して、もう一言非常に重要なことを総理からお聞きしたいのは、われわれとして日本はあくまで平和と独立を守つて行かなければならないのであります。これについての総理の基本的な構想はどういうふうなものであるか、これをお伺いしたい。
  193. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 どうもそういう抽象論でのお話ははなはだ迷惑であります。私はお答えはできません。
  194. 野坂參三

    ○野坂委員 このような軍事な問題は、抽象論とか、こういうようなところで無視するという問題ではないと思う。日本の國民全体がこういうことを知りたがつている。ところが内閣においても重要な政務次官の地位にある人がこうしたことを言われた。これは暴言だと思う。また総理大臣自身、参議院でも永世中立の問題についてお答えになつている。これについて日本の國民は実は非常に不安を感じていると思う。新聞でもはつきり書いています。だから総理大臣はこれに対して、私のこの質問をいい機会にしてお答えになるのが当然だと思う。しかしお答えになりたくなければ聞きません。  さてもう一点。これは貿易の問題になりますが、総理大臣はいつか中共の貿易の問題についての質問に対して、中共が赤であろうが青であろうが、日本と中國とは貿易をしなければならない、こういうふうに御言明になつておられますが、総理大臣のお考えでは、將來間もなくできるであろう中國共産党中心の、いわゆる連合政府日本との貿易等を、考える場合において、どういうふうな御構想を持つておられるか。特にお聞きしたいのは、中國共産党を中心とするこうした政府が、今の吉田内閣のような政府と喜んで貿易をするでおろうか、こういう点についての見通しをお願いしたい。
  195. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 吉田内閣と今度できる中國政府と貿易をするかしないかということは、中國政府にお聞きになつた方が確かであろうと思います。
  196. 野坂參三

    ○野坂委員 総理にお願いしたいことは、総理として、外務大臣として、その意見をひとつお聞かせ願いたい。一体中國政府がどういうふうに考えているか……。これは単なるじようだんではないと思います。  それから最後にお聞きしたいのは、これは七日の新聞記者との会談の中で、総理が非日活動に関連してこういうふうに言われておるということが新聞に載つております。この新聞記事はどの新聞記事も同じですから、大体正確ではないかと思いますが、徳田君は日本の植民地化などと言うけれども、むしろ徳田君の考え方の方がどこかの國の属國になるような感じがする、そうしたわれわれ共産党員としては重大なる誹謗ですが、こういう発言をされましたがまず第一にお聞きしたいのは、一体どういうわけで徳田君の言つたことが他國の属國になるというふうに総理が解釈されるのか、これは具体的に説明を願いたい。と申しますのは、徳田球一君が総理大臣の施政演説について本会議発言した政府に対するいろいろ施政の批判の中には、具体的にたとえば片貿易の問題とか、不等價貿易の問題か、いろいろな具体的事実を示して、だからここに日本の自主性はないではないかということを具体的に示したと思う。ところが総理の方ではただ一言で、徳田君の言つたことは、これはどこかの國の属國になることではないかというふうに述べられている。この具体的な御説明を願いたい。第二には、どこかの属國というのは、一体どこの國をおさしになつているのか、これもひとつお聞きしたい。
  197. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 私は新聞に言つたことについて、一々責任を持つわけに行きません。
  198. 野坂參三

    ○野坂委員 そういうふうな御答弁では、質問しても意味がないように思います。しかし私がここで申し上げたいことは、この記事に載つているのは、今の総理のお言葉なら、これはすべて新聞記者の責任であり、新聞記者がうそを書いていることになる。もしうそを書いているのがほんとうなら、総理は自分の言つたことに責任を持たれるはずである。少くとも今、議会において認められている共産党の指導者に対して、こうした誹謗をかけておいて、これに対して何らの説明もしない。一体これで政治が実際勤まりますか。  私はこれ以上は質問しませんが、最後に結論と申しますか、先ほどから私は総理にいろいろ聞きました。たとえば予算編成の問題から、あるいは見返り資金の問題、これを見てもはつきりと自主性がだんだんなくなつて來ている。前よりはもつとなくなつて來ている。だれが一体こういうことをやつているかといえば、総理大臣が施政演説で何と言つているか。今までの日本の破壊をやつたのは結局インフレです。このインフレはだれがやつたかといえば、今までの政府がやつたということを言つている。つまり吉田総理大臣をひつくるめて今までの政府日本の破壊をやつている。これが私は今日の自主性を失わせた根本原因であると思う。しかもこれによつて今日の吉田内閣の政策を見れば、まつたく自主性を失つている。これを考えたときに、吉田総理が徳田君に言われた言葉は、そのまま私はあなたに返上します。
  199. 植原悦二郎

    植原委員長 若松虎雄君。
  200. 若松虎雄

    ○若松委員 総理に一、二お伺いをいたします。  ただいま上程されておりまするところの予算案日本の安定をもたらすということで、私どもは毎日熱心に討議を重ねておるのでありますが、ただここに一部の間には一つの不安を持つておる点があるのであります。といいますのは、日本の安全保障の問題でありますが、占領下におきましては、もとより占領軍の駐屯地であります間は、内外ともに不安を来すような心配はないのでありますけれども、私どもの常識といたしましては、講和條約ができたならば、ただいま身に寸鉄を帯びない、いわゆる武装を持ちませんし、また憲法では戰爭を放棄した日本でありまするから、私どもはこれを監督してもらいたいと思いまするが、ただ講和條約ができましたときには、やがて國際連合へ加入いたしまして、いわゆる参加國の集團保障ということを当てにしておるのであります。一方國際連合の今の活動ぶりを見ますと、いかにも貧弱なような氣がいたします。たとえば連合が取上げておりますところのアラブの問題にいたしましても、またインドネシアの問題にいたしましても、どうも一向きまりがつかないというようなことで、いかにも國際連盟の末期のような症状を呈しておるようで、まつすぐに参りましても非常な不安があるのであります。かてて加えてまだ講和條約の前途が非常に長いという折柄、この二月に來朝せられました米國のロイヤル陸軍長官のアメリカ國防に関する意見の発表がありました。それが世界に波紋をかもしたのでありますが、それによりまして、いろいろ世界の新聞や雑誌等において、私どもが拾い読みをしてもいろいろなことが傳えられております。その中に日本はいずれの國においても占領ということはしないだろう。八千万の人口を養わなければならぬ義務があるからという文句がありまして、いろいろとその記事等から推察いたしますると、どうやらいわゆるアメリカの國防上の地位から見ましても、日本の重要性が薄らいだ。ややもすれば一朝事あるときは、日本をさつさと引揚げて行くのではあるまいかということで、非常に危惧している向きもあるのであります。こういう点で私どもは今占領下にありますから、まあこの過渡期においてはどんなことが起りましても、占領軍がやはり日本の安全の保障をやる、また將來講和條約ができましたときには、相当の安全保障があるのではないかと思いまするけれども、やはり一部の人にはそういう不安があるような氣がいたすのであります。そこでこういう予算審議して、大いに日本の安定を企図しておるときには、そういう不安があることははなはだ私ども芳ばしくないと思いまするので、これに対する総理の所見を拜聽いたしたいのであります。
  201. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 それは私の施政方針の中に申し述べたと思いますが、今日世界のいずれの國も、戰爭を欲しておる國はないのであつて、どうかして平和を維持したいと思うから、いろいろな條約ができたり、協約ができたりしておるのであつて、世界全体の傾向といいますか、世界の趨勢から考えてみて、二度も大戰が起つた今日において、再び戰爭を起すということは、だれもきらつておるだろうと思います。ゆえに平和は世界の輿論であつて、そうしてこの平和を乱さんとするものに対しての警戒はあつても、今ただちに戰爭を起そうというようなことは毛頭ないはずであると私は信ずるのであります。それは樂観に過ぎるというお考えがあるかもしれないけれども、あまり悲観に流れて、そうして海外情報等に動かされて、一喜一憂することは、私は日本國民としてよくないことであり、またロイヤル氏の声明といいますか、発表については、その後ロイヤル氏自身も取消しをいたしておるような次第であつて、國際問題は今日でははなはだ微妙でありますから、われわれとしても言動はごく愼重にいたしたいと思います。一應のお答えをいたしておきます。
  202. 若松虎雄

    ○若松委員 次に私は占領軍の日本管理政策が非常に変轉しておると思うのでありますが、これに対処する意味において、総理の御意見を伺いたいと思うのであります。と申しますのは、占領軍の進駐当時の管理政策は、主として日本の軍備の撤廃、武装の解除というような点に集中されておりました。またこれに付随いたしまして、いろいろと日本が再軍備をし得ないような方針が主になつてつたのであります。しかるに昨年の一月あのサンフランシスコでロイヤル陸軍長官のいろいろの意見の発表があり、また同じく一月の末つ方あのマッコイ極東委員会の議長が、今度政策の轉換をして日本を自立させるというような意味の声明があつたように思うのでありますが、あれを契機といたしまして、いろいろと昨年來日本の管理政策には変轉を來しました。現に昨年の七月に今問題になつております九原則のもとになりました十原則等も現われたのでありますが、そういうふうしてかわつて参りまして、日本に対する政策が変轉いたしますと同時に、日本の自主、自立ということが非常に叫ばれたのでありまして、現在問題になつております予算にも、そういう意味が多分に入つておると思われるのであります。そこで私はこの予算の面を見まして、賠償施設処理費というのがここへ掲げられておりますが、これが幸いにして昨年よりも今年は減額されておるのであります。しかも賠償施設処理費の撤去に関する費用が非常に少くなつておりますが、これはまあ撤去が一應済んだのではないかというような感もいたしますが、私はこの点にかんがみまして、今九原則のおもなる結局のはけ口というものは、日本の貿易を進展させるという意味においては、日本産業が殷賑をきわめなければならない、そういう点に追い込まれて來ておるような立場でありまするから、ちようど向うの政策の轉換にこちらも呼應いたしまして、ほんとうの自立経済の趣旨から言いまして、今一例をあげました賠償の問題等もたいへん機微な問題ではありまするけれども日本が立ち行くためには、どうしてもこれだけの産業水準を認めなければならないかということは必ず起るでありましよう。由來私どもは片山内閣といわず、芦田内閣といわず、いろいろ私どもの知合いがちよちよい占領車の方にもお会いしますが、ややもするとどうもわれわれに向つてどうすればいいかというようなことで、いろいろな聞合せがあるのでありますが、結局お前の國の政治であり、お前の國の産業であり、お前の國の経済ではないかという声を、ときどき私は断片的に聞くのであります。総理は今私が申し上げたような趣旨で、大きく日本の自給自足、できれば自給自足でありますけれども、自立の経済を自主的におはかりになるというような考えが——もちろんあると思いますが、この点について、何か具体的な方針をお示しくださればけつこうだと思います。
  203. 吉田茂

    ○吉田國務大臣 日本に対する占領政策お話通り氣分から申しても実際から見ても、だんだん変轉して來ておることは事実であろうと思います。占領の当初においては、日本の事情もわからず、日本が軍國主義であり、國家主義であつて、非常に危険な國であるという感じで日本に臨んだ人はずいぶんあつた。また米國政府自身も、連合國の多くも、そういう考えで臨んだことであろうと感ずるのであります。実際は別といたしまして、感じとしてはそういう感じが多分にしたのでありますが、爾來三年やがて四年になろうとする今日において、気分は確かに変轉しております。のみならず、実際において今日日本の自主のために、たとえば九原則にしても十原則にしても、あるいはまたドツジ案にしても、これは日本の自立を前提といたします。日本の自主のために、日本の自立を助けて行きたいという氣分から出て来た考え方であろうということはきわめて明瞭であります。從つてまた日本といたしては、あくまでも自主、復興、再建の熱意に國民が燃えておる。政府自身もその考えをもつて極力日本の自立なり自主回復のために努力しておる。この熱意が相手方に了解されて、すなわち彼我ともに日本の独立自立を助けるということになるのであつて、この彼我のの考え方については現に一致しておると思いますので、日本の自立の將來については、私は決して疑惑を持つておらないのであります。
  204. 植原悦二郎

    植原委員長 総理は前に申し上げた通りお約束があつて、四時半までにそこにおいでにならなければならないそうでありますから、総理に対する質問はこの程度にしていただきます。川島金次君。
  205. 川島金次

    ○川島委員 商工大臣が見えておりますから、まず商工大臣にお尋ねいたしたいと思います。最近承るところによりますと、繊維品並びに鉱工製品の両貿易公園に少からぬ輸出不向きな製品ができて、ストックが積み重つておるということを聞いておる。その事実がありますかどうかをますお尋ねいたしたいと思います。
  206. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 ただいま公團で持つておりますストック品は、ランニングのストック品を合せますと、大体二百五十億から三百億見当になつておりますが、しかしながら今御指摘のようないわゆる滯貨という意味のものは大体七十一億円であります。この七十一億円ができましたわけは、いわゆる見込み注文で、流通市場その他についての研究が足りなかつたり、あるいは規格について見当を誤つたりいたした関係上、七十一億円の滯貨ができておるのであります。この七十一億の滯貨については、大体そのうちの六十四億は、おもに繊維品でありますが、これは國内放出をいたしたいと考えております。その差額につきましては、大体ここ二、三箇月のうちに輸出して処分ができるもの、あるいは多少フロア、プライスを下げて賣る、あるいはまたこれを民間に拂い下げて、民間においてこれを手直しして外に向けて出す。こういうようなことを考えております。大体そういう見当になつております。     〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕
  207. 川島金次

    ○川島委員 今の大臣の説明によりますると、七十一億のうち六十四億は國内に放出する計画のようでありまするが、その六十四億に達しまするストックの——これは大体製品であるに違いありませんが、そのおもなる品目はどのようなものでありますか。
  208. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 これは私今手元に持つておりませんが、大体繊維品であります。
  209. 川島金次

    ○川島委員 この六十四億をかりに放出いたしました場合に、その價格はそのままの價格で國民に放出する形になりますかどうか。
  210. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 價格の点につきましては、これはなお検討いたしてみませんと、見積り價格そのままで放出することにきまつておるわけでありません。從來ともいろいろそういう点については、國内への放出の点を考えておりまして、必ずしもわれわれの方で見積つておる價格という意味ではなかろうと思います。
  211. 川島金次

    ○川島委員 今の六十四億の放出の計画に対する品目等について、できれば今日中に内容を知りたいと思いますので、その向きへお願いをしたいと思います。  次にお尋ねいたしますが、最近東京都の調査によりますものと言われて某氏の傳えるところによりますれば、東京都内だけの問題でございませんが、全図的に御案内の通り、中小業者の課税圧迫によりましてやむを得ず廃業もしくは閉店をいたしまするものが続出いたしておりますることは、大臣もすでに先刻御案内と思います。その東京都だけの最近発表になりましたものを見ましても、東京都がたとえば魚類商について七百六十軒を調べたところ、その中の百九十九軒が税の過重に耐えかねて閉業をいたしました。乾物商が三百四十八軒調べたところ百一軒品、金物屋は百軒に対し二十軒、洋服屋が三百八十軒に対し百六十軒という著しい閉業閉店の状態が出て來ておることを明らかにいたしておるのであります。おそらくこれは東京都内における中小業者の現象にとどまるものでなくて、全國の大都市、中小都市においてこのような現象が非常に現われておるということは、われわれも想像にかたくないのであります。そこで商工省はこういう問題につきまして、最近調査をされておりまするならば、この税金の問題に事よつて閉業もしくは閉店のやむなきに至つた数がわかつておりますれば、この機会にお示しを願いたい。かように思うのであります。
  212. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 この数につきましては、遺憾ながらまだ商工省において数がまとまつておりません。從つてどの人たちが税金のために廃業したかどうかという数字についてはわかつておりませんが、しかしながら中小企業廳においては、すべてそういう問題についての御相談にはあずかつております。從つてどういう情勢にあるかということを集めたいと存じまして、極力これが資料を得ることに努力はいたしておりますけれども、まだ完全に集まつておらぬことを遺憾に存じます。
  213. 川島金次

    ○川島委員 できれば早急に、こういう問題は重大な事柄だと思いますので、所管大臣においてもそれぞれの機関を動員されて御調査を願い、すみやかにこれが対策を立つべきであると私は考えるのであります。そこで今申したように、魚類商は二六%、金物商は二〇%、洋服商は四三%に及ぶ閉業、廃業というさんたんたるありさまであるのであります。おそらく商工大臣においても、今日の税が一般中小業者をいかに圧迫しておるかということは、この一つの現象をとらえても明確に看取できるのでありまして、これらの問題に対して商工大臣は、税制の改正を通じて、これらの現象を一日もすみやかに食いとめるべきであると私は考えるのでありまするが、商工大臣はこれらの事柄に対して今日どのような考えを持ち、どのような熱意をもつてこれが緩和に努めようと考えておらるるか。その事柄について具体的に御明示を願いたい。
  214. 稻垣平太郎

    ○稻垣國務大臣 根本的の税制の問題につきましては、税制審議会で検討されることであろうと存じます。またぜひ檢討をしていただきたいと思いますが、さしあたりの問題といたしましては、中小企業廳におきまして中小商工業者のこういつた問題に対するクレームと申しまするか、そういつた事件に対してむしろこちらから進んでいろいろ御相談に当つておる次第であります。御承知通りに、中小商工業者は一々帳簿その他をとつておられない。こういつたことのために非常にそこに間違いも起るということもありまするし、また課税のことについて知識がないために、いろいろな問題の起ることもあるのであります。そういう点について中小企業廳の方においては、出向いてまで指導をいたしておるようなわけであります。
  215. 川島金次

    ○川島委員 もちろん税制の事柄は税制審議会、あるいは大藏省の所管ではありましようが、こうした問題はきわめて重要な事柄でありますので、所管大臣においても十分今後の税制対策について関心を持ち、すみやかに中小商工業者の税負担による圧迫から、できるだけ解放するという考え方に立つべきであろうと思うのであります。  次に、大藏大臣の來られる前に、運輸大臣ちよつとお尋ねいたします。國鉄は敗戰後年々輸送計画を立てて参つたのでありますが、何か二十四年度にはごの輸送計画をとりやめて、自由輸送的なものに改めて進んで行く、こういう考え方があるやに承つておりますが、事実でありますか。
  216. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 事実であります。
  217. 川島金次

    ○川島委員 事実であるといたしますれば、そういう考え方になりました根拠をお示し願いたいと思います。
  218. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 國鉄の輸送力の関係その他を考慮いたしまして、一例を申すならば、駅々に自由に貨物を持つて参つて、それを從來のごとき統制でなしに、自由に受付けるという制度をこの際公開いたしたならば、荷主の方が非常に便利である。またそれが國鉄の輸送力から考えまして今日はできるという考え方から、一部自由輸送にいたしたのでありますが、重要なものはもちろん計画輸送の面が残つておることを御了承願いたいのであります。
  219. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、重要な生産資材あるいは食糧等は、もとより計画輸送をいたされることと思いますが、その計画輸送のわく内に入るものはどのようなものであつて、その輸送計画量は二十四年度はどの程度のものであるか。これがわかつておりましたならば伺いたい。
  220. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 二十四年度の総計画輸送量は一億四千万トンであります。それでその内容につきましては、今私数字がございませんから、後日お手元に差上げることにいたします。
  221. 川島金次

    ○川島委員 さらにお尋ねいたしますが、國鉄は最近において旅客運賃の値上げをするというとが決定的になつたらしい。その旅客運賃を値上げをすると同時に、從來勤労大衆の利便のために、または生計上に及ぼす影響等を勘案いたしまして、定期券のごときにつきましては格段の措置をとつて來たのでありますが、今回は承るところによりますと、一箇月の定期は從來のような基準によつて割引をするが、三固月、六箇月はその割引率を廃止して相当大幅な値上げをする。こういうことになるように聞いておるのでありますが、一体そういうことによつて一般の勤労大衆に及ぼす生計費の増長ということを考えておつたのかおらないのか、その点について御意見を承りたいと思います。
  222. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの御質問で、定期券はまさに川島君のおつしやる通り、在来は一箇月、三箇月、六箇月の三種類がございまして、割引の率がそれぞれ逓減式になつてつたのでありますが、今回は三箇月も六箇月もひとしく一箇月のレートと同じ率に抑え適用いたすということになりました。実際上はやはり三箇月の定期券ないし六箇月の定期券を発賣いたすことはいたすのであります。しからばさような措置をいたしました根拠と申しますると、これはさような率を上げないで済めばけつこうでありますが、やはり普通の定期外の運賃を六割上げることにいたしました関係上、さような措置をとつたのであります。この措置を決定いたします前には、それぞれ数年前の戰時中の國民の所得と鉄道運賃の比率というような数字、また現在の國民の所得と運賃の比率及び一般物價の比率というような各方面の國民負担力の、バランスを検討いたしまして、この程度までは國民に負担していただける、さような見地に立ちましてやつた次第であります。
  223. 川島金次

    ○川島委員 言うまでもなくこの定期券は、大体勤労者が利用をいたしておるものが多いのであります。從つてこのような取扱いをいたします事柄は、從來と違つて勤労者に直接大きな影響を及ぼすことは申すまでもありません。從つてこの事柄が実施になりますと、私事ども考え方といたしましては、勤労大衆の生計費に大きな響きが参りますが、この事柄について、運輸当局は一般の定期券利用者である勤労大衆の生計に及ぼす影響、あるいは具体的な率等を研究されたことがありますかどうか。ありましたらその影響率をお示し願いたいと思います。
  224. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 戰前におきます家計費の中に占める交通費、また六割値上げしない現在におきます家計費における交通費の比率、また六割上げられた場合の比率というものは、それぞれ詳しい調査ができておるのでありますから、これもあとからお届けいたします。
  225. 川島金次

    ○川島委員 さらにお尋ねいたしますが、最近國鉄では三月三十一日までに退職願いを出した人員が、およそ一万二千人と傳えられておりますが、これは事実でありますか。
  226. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 大体において事実であります。
  227. 川島金次

    ○川島委員 この三月に入りまして、突如としてこのような大量の退職願い者が出ましたことは、その一面の理由として、今回の行政整理に伴う退職退官手当と、三月三十一日、いわゆる二十三年度中に退職退官をいたした者についての退職手当の率とがたいへん隔たりがある。言いかえれば三月三十一日までにやめた者に対しましては、從來の運輸省内におけるところの基準によつて手当を支給する。しからざる者に対しては著しく不利になるということを各方面に喧傳されまして、その結果としてこのような大量の退職願い者が出たということでありますが、それも事実でありますか。
  228. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 その問題につきましては、退職を願い出た者の考え方は、ただいま川島委員の御指摘になりましたようなことを考えて、旧年度内にやめた方が退職手当がよけいもらえるというさような考え方で、あるいは退職の申出をしたのであろうかと思うのでありますが、政府としては今回の閣議におきまして、この行政整理によります退職手当は、旧來の準則を尊重し、かつ最低は四箇月を下らないという閣議決定をいたしておりまして、その決定の案を関係当局にただいま持ち込んでおりまするような次第でございまして、旧年度におきまする退職も、新規ないわゆる行政整理におきまする退職手当の率も、そこに差異をつけないという考えで進んでおることを御了承願います。
  229. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、二十三年度中にやめた者に対する從來のいわゆる既得権、既得的な退職手当がもらえるのであつて、整理に及んでの退職者に対しても、從來の運輸省内におけるところの既得的な退職手当の額がそのまま支給される、こういうふうに理解してよろしいのでありましようか。
  230. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 さように閣議では決定いたしまして、ただいまそれを関係方面に持ち込んでおる次第であります。
  231. 川島金次

    ○川島委員 その場合に、さらにお尋ねいたしますが、全額現金で支給されるものなりや、あるいはまた一部は公債で支給されるというような話も出ておるのでありますが、いずれが正しいものでありましようか。
  232. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 その支給の内容につきましては、まだ決定を見ておらないのであります。
  233. 川島金次

    ○川島委員 さらにお伺いいたしますが、税法から申し上げますると、この退職手当等に対しましては、その半額に対して一定の税率をかけております。すなわち大体私の記憶では最低二〇%程度の税率がかかつておるのではないかと思います。そうすると國鉄の人たちのみならず、今回の政府の行政整理によつてやめます被整理者、中には一生をささげて政府の雇い人として働いて來ております人たちが、今度大量にやめ、一方においては非常な物価高であり、勤労大衆の生計費は赤字に赤字をもつて積み重ねられておるという実情であります。そのとたんにおいて整理を受ける從業員が、辛うじて二十万ないし三十万の退職資金をかりにいただいても、そのうちの半額に対して最低二〇%から累進的に税をかけるというのが、今日の税法の建前になつておりまするが、こういうことは私は非常に考えなければならぬ問題であろうと思いますので、運輸大臣のみならず、これは関係各省の大臣にも関係があるのでありますが、この事柄に対して特例を設けて、何とかこれに対する税の軽減あるいは免除という事柄を、政府もしくは運輸大臣考えておるかどうか、これについてお答えを願いたい。
  234. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの点は今考えておらぬのでありますが、御意見として承つておきます。
  235. 川島金次

    ○川島委員 さらにお伺いいたしますが、國鉄の從業員の中で懸会議員、もしくは地方市町村会議員を兼職しておる者が御案内の通り相当多いのであります。しかもきわめて多くのこれら國鉄の從業員の人たちが日本の民主化、また健全なる労働組合の運動、あるいは健全なる地方自治の発展のために努力をし、相当の功績を上げております。この事柄はわれわれも認めておるのでありまするが、公共企業体労働関係法及び國有鉄道関係法等々の事情からいたしまして、四月一日からこの兼職が禁止されるところを、法律が六月一日まで延びましたため、この兼職が猶予されるのでありますが、さらに私ども考え方といたしまして、できれば最小限度この國鉄の從業員が兼職いたしておりますところの地方のいわゆる議員の兼職について、現在任期にある者に対しては、任期中は少くともこれは兼職せしむるということが妥当ではないかと私ども考えておるのでありまするが、運輸大臣はこれに対してどういう考えを持つておりますか。
  236. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの点につきましてはコーポレーション、日本國有鉄道法の実施法案をただいま議会に提出いたす運びをいたしておりまするが、その中ではただいま川島君の御希望になりましたように、條文を書いてとりはからうようにいたしてあります。
  237. 川島金次

    ○川島委員 運輸大臣にはその程度でとどめておきます。
  238. 西村久之

    西村(久)委員長代理 ちよつと川島君にこの際おはかりいたしますが、大藏大臣を呼ばしておるのですけれども、お見えでないから、先ほど圖司君が総理にお尋ねになつた点を、農林大臣がお見えになりましたから、農林大臣にお伺いしていただきたいと思います。
  239. 川島金次

    ○川島委員 では私が尋ねたことがありますから、ついでに御答弁願います。
  240. 西村久之

    西村(久)委員長代理 この際圖司君から先ほど総理にお尋ねになつ関係の問題を農林大臣にお伺い願いたいと思います。圖司安正君。
  241. 圖司安正

    ○圖司委員 農林大臣に対しまして、農政の根本についてお伺い申し上げたいのであります。現在の日本農業に課されておる使命は、増産第一主義であると考えるのであります。しかるに御承知のように農耕地には制限があり、人口の増加は無制限であると言つてもさしつかえないのでありますが、この矛盾が解決せられざる以上、自給自足主義をとることは、不可能であろうかと思われるのであります。でありますから國民に対しては耐乏生活を説かれると同時に、食生活の改善であるとか、あるいは創意くふうによつて、できるだけ農業者の増産に対する負担を軽からしめると同時に、さらに農業者に対しましては、積極的に農業それ自身の中に含まれておる幾多の矛盾なり、あるいは障害を克服いたしまして、自給度を高めることに全力を注がしめるような方向に向けて行く必要があろうかと思われるのであります。それにつきまして考えなければならない問題は、ます農家経済の安定をはからしめることが根本であります。安定農家をつくり上げることが根本であると考えるのでありまするが、今インフレ時代におきましても、インフレからさらにディスインフレ、デフレヘと進行するにつけましても、安定農家はややもすると破壊せられるおそれがあるのではないか。言葉をかえて言いましたならば、デフレになつても安定農家を培養発展せしめる方策につきまして、農林大臣はいかうなる御構想を持つておられるか。それに対しまして農業の長期計画のようなものをお考えになつておられまするかどうか、その点をお伺い申し上げたいと思うのであります。
  242. 森幸太郎

    ○森國務大臣 圖司さんにお答えいたします。問題が非常に大きいのでありまして、日本の農業行政を考えますときに、極限された國土において、限りなく増加する人口をどうして包容いたして行くかという問題でありまして、これはひとり農林行政だけの問題ではなく、わが國政の上の最も重要な問題として取上げなければならぬと思うのであります。耕土は狭められ、人口は年々百六十万ずつも増加して行く、この増加して行く人口をどうして養つて行くか。一部にはすでに産兒制限であるとか、あるいはいろいろな問題まで起つて、まじめに論議されつつあるような今日、將来の問題をどういうように解決するか。しかも現段階におきましては、連合國から食糧を仰いで、ようやくにして生活をいたしておる。このアメリカからの食糧輸入もいつこれ杜絶されるか、これもわれわれの考え得ない問題でありまするから、かように考えて來ますると、日本の食糧問題は実に一日もゆるがせにできない大きい問題と考えるのであります。  しからば現段階においてどういうことを考えて行くかということになるのでありますが、さしあたりの問題として、まず外國からの食糧輸入をできるだけ早く断り、日本再建の道を早める意味におきましても、この食料輸入をできるだけ少くして、自給自足の方面に持つて行くということに考えて行かなければならぬと思うのです。そうしますればここに増産の方をどういうようにして行くか。消費面においても増産面においても考えなければならぬのでありまするが、消費面につきましては、いつかここでもどなたかにお答えいたしましたように、今まで日本の國民はカロリーということにのみ重きを置いて生活しておつたりで、米麦を主要食糧として考えておつたのでありますが、不幸戰爭のためではありますが、いろいろの雜食、いわゆる粉食でありますとか、パン食でありますとかいうことを余儀なくされて、今日の食生活は戰前とはよほどかわつておるのであります。この変化いたしましたる食生活を今後持続せなければならない。いわゆる今までのような穀物主食という考えよりも、総合的な食糧を考えて行かなければならぬとともに、日本は幸い水産國でありますから、この水産方面も取入れて、カロリーとさらに栄養の面において食生活を考えて行くということを、國民は現在より將來に考えて行かなければならぬと思うのであります。  さて生産の面におきましては、御承知通り戦争中土地が非常に荒廃いたしまして、地方は減退いたしております。現にはなはだしきに至りましては、硫酸アンモニアなどを施しましてもほんとうの力は出ないほどに土地が荒廃いたしておる。ことにまた酸性土壌がふえておるというような情勢でありますから、まず土質の改良を考えて行かなければならぬと思います。この土質の改良には有畜農業を取入れ、あるいは手間肥の方面に行く。とにかく土質を改良して行くことをまずもつて考えて行かなければならぬと思います。  次には耕地の拡張維持であります。既墾地に対しましてはその土質を改善いたしまして生産力を高めるとともに、新しく土地を設けて行く。それは開墾干拓等でありまするが、この干拓につきましても海岸を干拓するものと沼を干拓するものとあります。これらの問題につきましては十分なる配慮を拂いまして、できるだけ耕地を廣めて行きたいという気持を持つております。また開墾の方におきましても、國土の保安を妨げない程度に開墾地をつくりまして、耕地の増加を求めて行くということにせなければならぬと思うのであります。こういうことで耕地を廣げ、そうして土質を改良して行くのに、農業生産者が農業生産に対して相当に報いられるように考えて行かなければなりません。いわゆる生産物資と農産物との価格があまりにもかけ離れておつてはいけない。そうして樂しんで励みがいのある農業であらなければならないと思うのであります。  ただそういうことによつて、この増加する人口をどう消化して行くかという問題でありますが、これはいかに今日の耕土の生産力を倍加いたしましても、またあらゆる方法を講じましても、將來何年か後には必ず人口過剩という問題が起つて来るのであります。どうしてもここでわれわれは日本のみの自給自足をはかり得ない段階に到達すると思うのであります。そういう場合にはベルギーの例を引くのではありませんが、この増加する人口を家庭工業、あるいは軽工業の方面に利用いたしまして、そうしてこの工業力によつて海外貿易を求めて、食糧を獲得するという方面に考えを及ぼさなければならぬ。かように考えておるのであります。  しからばさように考えながら現政府においては、この農業生産に対する予算をどれだけ見積つたか。そういう重要な食糧事情であるにもかかわらず、農業生産に対する予算を一向に計上しないではないかというおしかりをこうむるかと思いますが、前に申しましたことは、日本の食料事情についての農政の大綱をお話申し上げましたので、その氣持でもつて私は行きたいと考えておるのであります。それで本年の予算においてはこの氣持に対してできるだけとにかく努力いたしたのでありますが、御存じの通り、どうしてもあれ以上の予算を獲得することができなかつたのであります。しかし今後予算が許され、あるいはその機会が與えられるならば、あくまでもこの線に沿うて、私はこの農林行政を実現して行きたいと、かように考えるのであります。しかし干拓計画にいたしましても、あるいは開墾の計画にいたしましても、非常に厖大であります。厖大でありますし、このたつとい國土をもつて計画を実行して行くのでありますから、できるだけ重点主義で、一日も早く耕地化されるところの方面に力を盡して行きたいと出考えておるわけであります。
  243. 圖司安正

    ○圖司委員 ただいま農林大臣からきわめて雄大なる日本の農政の構想を承つたことに対しまして、同感の意を表するものであります。だが私の申し上げたいのは、もう少し内部につつ込みまして、農業人口と他の有業人口との占める割合はどういう形が好ましい形か、それが國家発展のために、あるいは経済再建のために、きわめて重大なる意義を持つ形であるか、さらにまたつつ込んで、農家の生活を安定せしめるためのいわゆる安定農家というものの持たなければならないところの経営規模はどうあるべきか、さらに安定農家は全農家の中の何パーセントを占めることが、日本農業の正しいあり方であるかというようなことの御構想を承りたい。
  244. 森幸太郎

    ○森國務大臣 安定農家の問題でありますが、これは農村経営の上においてただ簡単に決定するわけには行かないと思うのであります。農家と申しましても、郊外地の農家あるいは湖辺地方の農家、山間地方の農家、あるいは東北地方の農家、関西地方の農家というふうに、農家の経営については、その四囲の環境によつて非常に違つて来るのであります。でありますから安定農家ということは、その環境によつて経営がなし得るという規模考えなければならぬのでありますから、從つて一様にかような農家であるということは申し上げかねるのであります。しかし日本の耕地は御承知通りに、非常に狹いのでありまして、平均の耕作に反別から申しましても、まことに小規模であるのであります。さらに土地は再分配されたのでありまして、今後いずれ法律をもつて御相談申し上げて御協議いただきたいと思いますが、もうこれ以上に細分されては農業経営は成立たない限度に達しておりますので、民法の関係等にかんがみまして、これ以上小さい農家にならないという計画をもつて構成いたして行きたいと考えておるわけであります。また都会附近等においてはさらにこの都会地との連絡によつて工業を起す、また山村は山村らしく、漁村は漁村らしく、おのおの先ほど申しました地理的環境に従つて農村工業を興して行く。年間を通じて労力を利用するという方法に出て行かなければならぬと思うのでありますが、今日はおそらく五反か四反の小現模の耕地しか與えられていないのでありますから、その規模によつて農業経営を立てて行かなければならぬと思うのであります。しからば全人口に対して何割が農村にあるべきかということについては、相当の議論もあろうと思いますが、私といたしましては、今ただちにどれだけ農家が存在することが、日本の國情の上においてよいかということは、はつきり申し上げかねるのであります。
  245. 圖司安正

    ○圖司委員 ただいま農林大臣から農業人口の概貌について、あるいは安定農家の根本的の構想についてお伺いすることができたのでありますが、わが國の農業は御承知のように、家族労作経営でありまして、それを專業として、しかも生計が成立つというところに、安定農家の概念的な構想があろうかと私は思つております。それが具体的にはいかなる経営面積を持つべきであるか、経済の型はどうあるべきかということに対しましては、ただいま農林大臣お話なつ通り、地域により、あるいはその農村の占める外部の環境との関連おいて、いろいろ違つて來るだろうと思うのでありますけれども、もし農地改革後における現在の農業政策を、従来のごとく自由主義的な考え方にまかしておきましたならば、零細農がますますふえるであろうことは予測せられるのでございます。從つてただいま農林大臣お話になりましたように、農業資産に関する限りは特別法令をもつてその零細化を防止するという考え方は私は正しいと思います。同時にそうしたことに対してもう一歩つつ込みまして、しからば安定農家の占むるところの今後の日本経済の重要性というような御構想のもとに、農業総合研究所あるいは各種機関の試驗研究所というようなものを、ひとり政府機関ばかりでなく、民間の機関に対しましても、統合的な有機的な指導監督についての御構想がございましたならば、この際承つておきたいと思うのであります。
  246. 森幸太郎

    ○森國務大臣 農業経営に関する試驗研究は、ただ單に政府の部門によつてのみ考えられるというものではないと思います。別段に自分が科学的に研究したわけでなくとも、これが長い間の体驗によつて一つの法則が生み出されるということはたくさん世の中にあるのであります。たまたま農村に行きまして、老農家なり篤農家に会いましても、その考えておること、やつておられることが、実に合理的であり、科学的でもあるにもかかわらず、御当人は一向別に科学的に研究したものではない。ただ自分の長い体驗によつてこれをやつておる。こういう事実をわれわれは認めるのであります。そういうたつとい体驗をわれわれは科学的に取入れまして、一日も早く普及をいたしたい、こういう考えでありまするが、またこういう方面ついていろいろ研究もされておるのでありまするから、そういう人々の総合的な研究機関等を設けるというお氣持の御意見であつたと思いまするが、われわれは官僚主義に立てこもつて、決してそういう方式を取上げないというつもりで事なしに、よろしくそういう民間の経驗者あるいはそういう研究者と協力いたしまして、これはひとり農業だけではありませんが、日本のあらゆる産業の発達のために、そういう機関を設けることも必要であろうと考えているわけであります。
  247. 圖司安正

    ○圖司委員 農業総合研究所というものが終戰後において農林省で設置せられております。同時に積雪地方の支所も、かつて昭和八年であつたと思いますが、山形縣の新庄町に設置されました積雪地方農村経済研究所を農業総合研究所の支所として、現在いろいろな調査研究に当らせているのでありますが、予算を見ますと、わずか千六百八十一万七千円ぐらいしかないようであります。こんなちつぽけな予算では、はたして総合的な研究ができるかどうか、はなはだ疑問にたえませんし、同時に積雪地方、特に東北地方の農業の改善すべき点、今後発展をはからなければならぬ点においては多々あるだろうと思うのであります。大きく國家的に見ましたならば、日本農業の基盤は積雪地方にあるとさえ私は思うのであります。そうした点におきまして、農業総合研究所の予算をもつと増加いたしまして、今回の予算ではできないかもしれませんけれども、近き將来におきましてこれを増額せられて、ほんとうに日本農業の基本的な問題に対して、権威ある調査研究をなさり、それに関連して、今後日本農業において、もつとも比重の高い東北、北陸、北海道のいわゆる積雪地方の農村に対して、政府としては特に力こぶを入れられるお気持があられるかどうか、その点についてお伺い申し上げたいと思います。
  248. 森幸太郎

    ○森國務大臣 日本の地勢が食糧増産の立場から考えまして、関東より北海道に延びておるこの範囲が、最もいろいろの天候に対する研究をいたさねばならぬところと思うのであります。作物の栽培は温度が中心となりますので、関東以北の寒冷地に対しては、特に慎重なる対策をもつて進まなければ相ならぬと思うのであります。暑過ぎて作物が悪かつたということはほとんどないのでありまして、いずれもが寒かつた、あるいは雪が多かつたというような天候に支配される被害の状態が多いのであります。こういう関係から、かつて東北振興については、政府も重大な力を入れた時代があつたのでありますが、なおかつまだ未完成に終つておる研究がたくさんあるのであります。雪害地における研究のごときはまだまだ完成いたしておりません。こういうふうな研究についてはさらに力を入れて、雪害対策を考え基礎をつくらなければならぬと思います。北海道のごときも特に総合開発ということが考えられておるのでありますが、ああいう寒害地に対しましては特に考えなければならぬと同時に、それと同じ意味における関東、東北におきましても、雪害対策には一層力を入れなければならぬと思います。今お示しのような、予算の上から申しますと、まことに貧弱でおりまして、大きいことを考えながらその予算ではできないではないか。こういうおしかりをこうむるかと思いますが、とにかく一年において完成すべき試驗ではありません。永年に継続して試驗しなければ結論を得られないのでありますから、漸を追うて過去の試驗成績を生かして、將來これをさらに強化して行く方針のもとに進んで行きたいと考えておるわけであります。
  249. 圖司安正

    ○圖司委員 昨日土地改良と災害対策の予算がまことに貧弱であるから、これに対して増額をするか、もし増額ができなかつたならば融資の道を開くか、融資した場合においては、少くとも利子だけは國庫をして補給せしむる道を講ぜられるようにいたしてもらいたいというような決議案が、満場一致をもつて議決せられたのであります。その際私も申し上げたのですが、今日の農業はもはや自由企業的な性格はきわめて薄くなつておりまして、ほとんど公共的な性格を持つておるものと考えられるのでありますけれども補助政策だとかあるいは助成政策だとか獎励政策というような考え方は、そうした意味におきましては、もはや過去に属する問題であつて、今後の日本農業を発達せしめるためには、國家の責任において相当に力を入れていただかなければならぬ。必要な施策を立てて、それを強力に実行に移して参るような方向に向けて参らなければならぬと思いますが、そうしたことを考えますと、現在の土地改良、災害復旧というようなことに対して、あまりにも力が入つておらないように思われるのであります。しかしこのことに関しましては、この委員会におきましてもたびたび論議せられたことでございますから、それ以上申し上げません、が、特に強調いたしたいことは、土地改良にしても、災害復旧にしても、あるいは開拓にいたしましても、最も気候的に恵まれておらないところのいわゆる積雪地帶において、その必要性が痛感せられておるという事実でございます。特に既設の開拓團の困窮ぶりなどを見ますと、住宅におきましても、あるいは保健衛生の点におきましても、加工施設なりその運営というような面におきましても、はなはだ遺憾の点が多いのを痛感いたすのでございますが、農林大臣といたしましては、そうした特に必要とするところの積雪地方の土地改良、災害復旧、開拓というようなことに対して、特別どういう御構想を持つておられるか、お伺いいたしておきたいと思います。
  250. 森幸太郎

    ○森國務大臣 きのうも本会議においてこの問題について御決議がありました。御決議の趣旨に対しましては、毛頭われわれは反対する理由はないのみならず、政府に対する御注意と受取つたのであります。できるだけ御決議に沿うべく努力を続けたいと考えます。しかし土地改良等につきまして、特に雪害地方についてのお考えがないか。こういう御質問でありますが、積雪地方に対する考え方と、普通の土地に対する考え方は、おのずからかわつて來ると思うのであります。その地方のいわゆる土地を改良する点はいずれにあるかという点はいずれにあるかという要点をつかまえまして、その主眼点に対する施設を行うわけでありますから、格別に雪害地に対して特に厚いということも考えられないのでございますが、雪害ということは普通の土地にない害であります。それでありますから、雪害に対しては普通の土地とは別に取扱われることになるのでありますが、雪害地だからということは別に考えずとも、そういう特殊の雪害地方に対しましては、おのずから特別の施設を考えて行かなければならぬと思つておるわけであります。     〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 圖司安正

    ○圖司委員 農林大臣の今の御答弁は、結論においては私の質問と同じ結果になるだろうと思うのであります。從つてさように了承いたしておきたいと思うのであります。  最後に、先ほど農林大臣お話になりました農業資産特別法によりまして、農家の財産はおそらく一人に相続されるのではないかと思うのであります。そういたしますと、新しい民法のもとにおきましては、あえて長男が相続するとは限らないでありましようけれども、少くも一人が相続いたしましたならば、かりに三人あるとしたならば、二人の子供は他に轉業しなければならぬことになると思うのであります。戰前でありましたならばそうした農家の余剩人口といいますか、これは自由に都会に流れ、あるいは海外に発展する道も開かれておつたのでございますけれども、今日におきましては、もはやそうしたことは考え得られないだろうと思います。すなわち農村におきまして余剩人口を消化しなければならない。そうなりますと、農村を工業化するとか、他に就業の場を発見するような施策を講じてやらなければならないし、そうした場合に、さらにその子弟に対しまして、適当な教育を施すということもきわめて必要になるだろうと思うのであります。つまり農に親しむ者に対しましては農業教育をやる。工業に適する者に対してはそれに必要な教育を施す。かつて農村におきましては実業教育ということが大きく取上げられ、あるいは青年道場であるとかその他いろいろな農村教育の施設があつたのでありますけれども、今日はそうした実務的なあるいは実業的な色彩の教育は、ほとんど影を没したやの感がないわけでもないのであります。こうしたことを考えますと、將來日本を背負つて立つところの農村の子弟が、いたずらに都会に流れ來るような道を農村においてせきとめる。そして農村において農業以外の仕事に從事してなおかつ生計が維持して行ける。さらにその水準を高めることができるというような方向に向けて指導して行くことがきわめて大切にと思うのでありますが、農業教育に対します農林大臣のお考えを承つておきたいと思うのであります。
  252. 森幸太郎

    ○森國務大臣 お答えいたします。この農業教育につきましては、私は非常に心配いたしておるのであります。以前は制度の上におきまして、公立の農業学校が設立されておりました。農村の子弟はたいがいこの三年ないし五年の公立農業学校の課程を終えまして、普通科目とともに農業技術を修得いたしまして、これが地方農業経営の中堅となつてつたのであります。ところが今学制の変革によりまして六・三・三制となりまして、これが新制高等学校となつたのであります。それでありますから、義務教育を終りました中学校卒業生が、ただちに農業に從事するということを考えましても、その技術を持つておらないのであります。それでありますから、今農林省におきましては、農事試驗場におきまして、主としてこういう方面の子弟を教育いたしまして、眞に農業の中堅となる人の養成に導いて行きたい、かように考えているわけであります。なお家督相続の場合におきまして、土地を再分配しないという方針から、たれかその一人がこれを継続するとしてその他の者はどこへ行くか、それが都会へ走るか、あるいは農村にやつかいになるかという問題でありますが、これは都市といえども人口が増加し、農村といえどもこれ以上増加する人口を防ぎ切れないときに、かかるいわゆる農を離れた子弟をどうして包容して行くかという問題にぶつかつて來るのでありますが、この問題に処する方法といたしましては、ここに農村工業を興しまして、この青年をその地方の環境に適合する工業に從事せしむるといつたことに持つて行くことも適当なやり方である、かように考えておるのであります。人おのおの性分がありまして、必ずしもかような計画通りに進むとは思いませんけれども政策の上からそういうようなことをせなければ、この制度の完備を期したというわけに行かないのでありまして、そういう方面に政策を持つて行きたい、かように考えておるわけであります。
  253. 圖司安正

    ○圖司委員 農林大臣に対する質問はこれだけです。あと大藏大臣と、ちよつと文部大臣に……
  254. 植原悦二郎

    植原委員長 先刻野坂さんから総理大臣に対して質問がありましたが、それは所管大臣から答えた方がよろしいということでありました。ただいま大藏大臣出席されております。あなたの御質問は対日援助見返り資金の特別会計法に関してであります。あなたの質問の要旨を私が要約して申すこともよろしいのでありますが、あなたがここにおられますから、直接要点だけをお述べになつた方がかえつて明瞭になつてよろしいと思いますから、そのことを簡單に繰返してお述べを願つて大藏大臣の御啓弁を煩わしたいと思います。
  255. 野坂參三

    ○野坂委員 それでは先ほど総理大臣にいわゆる見返り資金の問題についてお聞きしたのですけれども、何もお答えがなくて、所管大臣に聞いてくれということなのでお聞きするのですが、この問題は法案自体としては大藏委員会で当然審議すべきものですけれども、性質上予算に直接関係があり、この性格がはつきりしなければ、予算の上にも、重大な影響があると思いますので、わざわざ私はお聞きしたい思います。  第一の問題、総理大臣にお聞きしたのは、案は私大藏委員会ちようどそのとき傍聽したのですが、大藏大臣のお答えがありました。この四條の第六項、つまりこの資金の運用、使用については、連合國最高司令官の承認を経なければならない、第七項の監査を受けなければならない、報告する義務がある、こういう問題は國内法としてやるべきであろうか、こういうことが大藏委員会事でも問題にされて、大藏大臣としてお答になりました。私はもう一度はつきりしない点があるので繰返してお聽きしたいのは、今までこのような法律の形をとつたのは珍しいので、先ほど聞いても、ただ一回貴金属についてアメリカの方で指令というような言葉が載つた法案一つあるというようなことを言われましたが、これは単に貴金属の指令の問題ではない。大藏大臣が言われましたように、これがいわゆる打出の小づちで、すなわち日本経済全般を握るほどの大きな問題である。この打出の小づちを一体だれが握つて、だれが振るかによつて日本経済に大きな影響がありますので、こういうようなものは國内法の中にこうして織り込まないで、國際法的なものにすることができなくても、今まであつたような形態の、たとえばディレクティヴとか、あるいはメモランダム、あるいは去年まで実際行われたような政令のような形、これは今やるべきではないと思いますが、こういう形もあると思います。こういう形になぜおやりにならないで、こうした國内法の中にかつてないような、率直に言えば自主権のない、植民地的な條項をお入れになつたか、この点を私はお聞きしたい。
  256. 池田勇人

    池田國務大臣 お答え申し上げます。もともとこの金はアメリカの納税者の負担においてできたのであります。しかしてその使用につきましては、政府が責任を負つて施行いたすのでありまするが、一応占領治下でありますので、向うの最高司令官と相談することもやむを得ないという考えのもとに規定いたした次第でございます。
  257. 野坂參三

    ○野坂委員 その点は私は今の状態においてやむを得ないにしても、こういう法律の形です、つまりなぜ今までとられたようなディレクティヴのようなものを、たとえばほかの形でこの法案とは別個に出すとか、あるいは前文にするとか、そういつたようないろいろな趣向があるのじやないかと思います。そうではなくてこの國内法の上に一つの明確な條項として入れられることに私は問題がある。なぜこういうようなことをされたか。これがもし例になれば、將來日本にいろんな法案が出ますときに、やはりこうした監督とか承認とかいうようなことが出てくる可能性があると思います。これは最後に守るべき一線ではないか。どうしてこの一線をくずされるか。ここに問題があると思う。
  258. 池田勇人

    池田國務大臣 この資金は、先ほど申し上げましたように、特殊の資金でございますので、私はこの特別会計法に入れるのもやむを得ないと考えております。
  259. 野坂參三

    ○野坂委員 しつこいようですが、もう一度お尋ねします。先ほど申しましたようにディレクティヴの形とか、こういつた形でとつてはさしつかえができるものですか。
  260. 池田勇人

    池田國務大臣 いろいろ考えてみましたけれども、この方がいいということに考えたのであります。
  261. 野坂參三

    ○野坂委員 それではこれ以上、私この問題については、お聞きしません。別の機会にまたお聞きいたします。  次に第二の点として、第四條の先ほどあげた第六項、第七項の承認の問題と監査の問題、こういう問題が一方にある。他の一方には、九條では、この会計の予算をつくつて國会に提出しなければならないとありますが、これは普通常識で考えれば、國会に提出するだけではなしに、國会の承認とか、こういうことがもちろんあると思つてさしつかえありませんか。
  262. 池田勇人

    池田國務大臣 他の予算案と同様に國会に審議権がございます。
  263. 野坂參三

    ○野坂委員 そうしますと、この九條では、國会にこれを審議決定する権限がある。一方では承認とか、監督の権限が最高司令官の手にあるといつた場合に、たとえば一つの問題が起つたときに、國会の意見と最高司令官の意見と違つた場合には、一体どちらが最後の決定権を持つか、この点について伺いたい。
  264. 池田勇人

    池田國務大臣 これは日本政府が最高司令官の承認を経て出したものでありまして、あくまで日本政府の責任における提案でございます。從いまして、他の法案と何ら違いはないと考えます。
  265. 野坂參三

    ○野坂委員 具体的に申しまして、たとえばこの資金の使途の問題とかいろいろ問題が具体的に出て來ると思います。その場合に國会において、この資金はこの方面に使うということをかりに決定したとします。その場合に最高司令官の方において、これは承認できないというふうな場合が起り得ると思います。またこういうことを予想しなければならないと思いますが、この場合に一体向うの承認とかいうものはどれだけの権限があるのか。國会のこうした決議を否定するだけの力を持つているのか。反対に言えば、國会できめたことは、これは最後の決定であつて、司令官の承認ということは、第二義的になるか、こういうことであります。
  266. 池田勇人

    池田國務大臣 政府の案として提案いたしたのでございまするから、別にほかのものとかわりはないと思つております。
  267. 野坂參三

    ○野坂委員 どうも私の言つていることが大藏大臣には誤解されているのではないかと思いますけれども、私のお聞きしたいのは、非常に単純な問題で、つまり國会にこの問題を決定する最後の決定権があるのか、あるいは司令官の側にあるのか、これだけの問題なんです。
  268. 池田勇人

    池田國務大臣 そういうことは万々ないと私は考えておりまするが、政府がこの法案によりまして、予算の推察をいたしました場合におきましては、ほかのと何らかわりはないと考えております。最高司令官と政府との間におきましては、これは別個の問題だと考えております。
  269. 野坂參三

    ○野坂委員 別個の問題ではなく、この法案の中にはつきり書いてございます。つまりこの資金の運用とか使用については、これは連合國司令官の承認を経なければならないとはつきり書いてあります。この條項の中に、片方は國会が審議し決定しなければならぬというふうに書いてある。この二つの決定権は、一体どちらが上でどちらが下かという点なのです。この点が私の法案の生命の問題にもなり、予算の生命の問題にもなつて来ると思う。もし國会の方に最後の決定権がかりにないとすれば、この予算をつくつた理由がないということになります。
  270. 池田勇人

    池田國務大臣 そういうふうな場合が起りましても、それは政府と國会との間の問題だと考えております。
  271. 野坂參三

    ○野坂委員 政府と國会の場合に限るとしても、國会の決定というものが一つあります。片方にこれを承認してもらわなければならない。その場合において、これはいけないという回答が來た場合にどうするかということであります。
  272. 池田勇人

    池田國務大臣 私は今それをここで論議してはいかがかと思うのでありますが、繰返して申し上げますように、この法案につきましても他の法案と同様で、政府と國会との関係を律するものと考えております。
  273. 野坂參三

    ○野坂委員 それではこの禅問答をいくら続けてもしかたがありませんが、大藏大臣にもう一度だけお聞きしたいのは、それはもしこのような席上でお答えできなければ別の、たとえば秘密会なりでお答えできますかどうか。違つた説明が……
  274. 池田勇人

    池田國務大臣 必要あらばお答えしてもよろしゆうございます。
  275. 野坂參三

    ○野坂委員 もし今言つたような会合を開いてもらうかどうかはあとでお願いしたいと思います。私はこの問題がはつきりしなければ、この法案自体を審議しても意味はないと思います。それからこれは予算自体に決定的な影響がありますから、この問題はあくまではつきりして行きたいと思う。  それでその次にお聞きしたいのは、大藏委員会でも問題になつたそうですが、この資金の性格の問題です。これも総理大臣にお聞きしたけれども、お答えができなかつたようでありますが、このいわゆる援助資金というものが増與であるか、貸與であるかという問題です。御存じのように、二十二年のマッカーサー元帥がアメリカの陸軍省にあてたメッセージの中に、はつきりと日本に対するいろいろの援助資金はこれは慈善ではない、慎重に考慮すれば、米國の納税者はこれによつて一ドルの損もしない、こういうことがはつきり言われております。その文面で見ますと、ガリオアとかイロアとか、ああしたフアンドはすべて日本が借りた性格を持つている、贈與ではないというようにこの文面では明らかに書いてありますが、このフアンドは一体贈與であるか、あるいは借りたものか、その点についてお聞きしたい。
  276. 池田勇人

    池田國務大臣 今回この見返り資金特別会主計を設けましたのは、從來ガリオアとかイロアとか申しまして、その使途が國民にはつきりわかつていなかつたものを、この特別会計によつて、はつきりアメリカからの援助を出しただけでございまして、この特別会計法を設けましたからといつて、今までの性質がかわつて来るわけではないと私は考えております。しからば今までのガリオアとかイロアとかの資金を、贈與なりや貸與なりやという問題は依然としてきまつておりません。これは私は講和会議においてきまるべきものと考えております。
  277. 野坂參三

    ○野坂委員 講和会議によつて正式にはこれは決定されることになるでしよう。しかしながらわれわれとしては、これが貸與の性格を実質上持つておるか、あるいは増與の性格を実質上持つておるか、これによつて、取扱い方が相当違つて來やしないかと思う。かりに貸與の実質を持つものならば、これは憲法の第八十五條によつて、当然國会の承認を得なければならぬと思うし、また増與なら増與としていろいろ手続があると思いますから、この点をもう少しつつ込んでお答え願いたい。つまり形式上は講和会議に行くでしようが、実質上はどうなつて行くのですか。
  278. 池田勇人

    池田國務大臣 野坂委員もおわかりのように、実質上今きめられない問題だと思います。ただイタリアその他の西ヨーロッパ諸國におきましての例を見ますと講和條約でこれは増與になつた例もあるのであります。私からはそれ以上のことは申し上げかねます。
  279. 野坂參三

    ○野坂委員 この問題についても、もし秘密会ならばもう少しつつ込んで話せるという御意向でしようか。
  280. 池田勇人

    池田國務大臣 この問題につきましては、秘密会でも議論の余地はないと思います。
  281. 野坂參三

    ○野坂委員 そうしますと、この法案についていろいろ疑議が出て來ると思います。このフアンドの性格がはつきりしない限りは疑議が出て來る。これは私はここでこれ以上この問題については追究しませんが、さらに見返り資金の問題についてもう一つお伺いしたいことは、大藏委員会に出されましたこの法案は修正できますかどうか。特に申し上げたいことは、第四條の六項、七項、そのほかにもありますけれども、一番重要な点はここだと思いますから、これは國会に修正する権限がありますか。
  282. 池田勇人

    池田國務大臣 この法案につきましても、他の法案と同様でございます。
  283. 野坂參三

    ○野坂委員 それではひとつ手続の問題といたしまして、この会計の予算を内閣はつくつて一般会計の予算とともに國会に提出しなければならない。さらに次いで、前項の予算には歳入歳出予定計算書を添付しなければならない、こういうようになつておりますが、今大藏大臣の見通しでは、この会計の予算がいつごろできますか。また計算書がいつ添付されますか、これが一つ。もしこの計算書とかあるいは添付される書類ができない前には、予算は通過できないではないかというように、考えられるが、この点について……
  284. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 今提出になつております予算通りますれば、それと法案通りますれば、すぐ会計が動き出す、こういうことになつております。この中の予定計算書でありますが、これはちよつと遅れておるのでありますが、一両日中に一般会計において予定経費要求書とともに出ると思います。
  285. 野坂參三

    ○野坂委員 そうしますと、これは当然ここで審議されるものですね。そうして、これについて修正もできるかどうかという点について。
  286. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 予定経費要求書及び予定計算書は現在出しております予算の内容を説明したようなものでありますから、参考書類であります。修正の問題になりますと、これは予算の方の問題でありまして、これはほかの方の一般予算と同じだと考えております。
  287. 野坂參三

    ○野坂委員 これは法案によりますと、この資金大藏大臣が責任をもつて処理することになつておりますが、それに付随して何か委員会のようなものをつくるというような計画があるかどうか。あればどういう性格でどういう構成になつておるか。これをひとつお伺いしたいと思います。
  288. 池田勇人

    池田國務大臣 この特別会計における仕事は大藏大臣の所管で行います。ただ見返り資金の運用につきましては、ただいま具体的の問題を関係方面並びに安本大藏省で検討いたしております。
  289. 野坂參三

    ○野坂委員 最後にもう一言お聞きします。それは先ほど最高司令官の監査とか承認とか、あの問題に関連しますが、たとえばこのフアンドを、政府の出された予算を見ましても、公債に向けるとか、長期資金に向けるとかいうことがありますが、この場合において、私はこのフアンドの使い方いかんによつては、日本経済上きわめて重要な影響があると思います。從つて、この資金政府が自己の責任によつて使用されるか、あるいは最高司令官の強力な意向を常に聞きながら実行されるか、これによつて、この使い道も違つて来るし、性格も非常にかわつて來ると思います。そこで私は大藏大臣に望むことは、もしここで公開でお話ができなければ秘密会でもよろしいが、こういう問題について、もう少し具体的な率直な御意見が承りたいのです。これは一箇の予算の問題でもなければ、法案の問題でもないと思います。將來の日本経済がほんとうに自主的に再建できるかどうかという根本問題になりますので、先ほど私が申しましたように、必要があれば委員長の方で、秘密会か何か適当な方法によつて、率直な具体的な御意見が承りたいと思いますが、必要があれば聞いていただきたいと思います。
  290. 植原悦二郎

    植原委員長 それは野坂君の御希望ですね。いずれ考慮いたしまして、しかるべくとりはからいます。     —————————————
  291. 植原悦二郎

    植原委員長 なおこの際お諮りいたしたいことがあります。理事志賀義雄君が理事を辞任されましたので、その補欠を選任いたしたいと思いますが、これは委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 植原悦二郎

    植原委員長 御異議なしと認めます、よつて米原昶君を理事に指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時から会議を開きます。    午後五時三十八分散会