○谷口善太郎君
日本共産党を代表して
本案に反対いたします。
本案の
目的とするところは、今社会党の足鹿君の説にもありましたことく、
地方配付税を大幅に削減した穴埋めと、國が
地方に渡さなければならないいろいろな
負担金を常に國が渡さないでいるという実情から來る
地方の窮乏状態を打開するための手段として、
吉田内閣が掲げておりますところの増税をやらないという、この公約を裏切
つて、ここに大きな増税をやろうとしているところにあります。國の税金も、
地方の税金も、拂うのは人民大衆でございまして、國の
予算で増税をやらなくとも、
地方の
予算で増税をやれば、申すまでもなく困るのは人民大衆であります。これを実行しようというのが
本案の眞の
目的であり、第二の
目的は、こういうふうな非常な無謀な増税をやるに当
つて、当然
國民大衆から反撥を食うであろう、これに対して、その徴收方法に警察的手段を用いてこれを強化しよう、こういう法的根拠を與えようとするのが
本案の
目的であります。
私どもは、すでに配付税が減額されましたときに、これは國の
負担を
地方團体に轉嫁するものとして強硬に反対して來たのでありますが、この穴埋めのためになされる
本案には、もちろん根本的に反対せざるを得ないわけであります。のみならず、この
改正案で増税となります税額は、いろいろな意味から、ただに人民大衆を收奪するというだけでなく、
吉田内閣の持
つている最も大事な物價体系の廃家にすらなるものであることを指摘したいと思うのであります。
住民税は、御
承知の
通りこれは人頭性的性格を持
つているのでありまして、有産者も、あるいは社会の上層にいる人間も、無産者労働階級も、ともにほとんどその差がなく課税されるという点、こういう性質を持つ税金でありますが、これが九百円から千四百五十円に増額される。申すまでもなく、勤労者大衆にと
つて非常な苛酷な重税であることは明らかであります。
また地租、家屋税、これの増徴は、先ほど足鹿君の言葉の中に、この結果として家賃、小作料が必ず上るであろうということをおつしや
つていましたが、
委員会における
政府の説明によりますと、上るであろうではなく、確かに小作料と家賃を上げることを明言しているのであります。(
拍手)このことは、土地を持つ地主、家を持つ家主を保護するところの
政策でありまして、有産者を保護し、その反面に勤労階級を收奪しようという
民主自由党の階級的性質が明らかに現われていることを、私どもは指摘せざるを得ないのであります。(
拍手)
特に小作料の値上げについては非常に大きな問題があります。御
承知の
通り小作料は、今日の物價の状態から見ると明らかに安い。この点につきましては、
政府も、特に小作料もしくは家賃の値上げになることを承認しつつ、しかしこれはだれが見ても非常に低い賃貸
價格のままで置かれているので、これの改訂は当然である、こういうふうに説明していたのでありますが、家賃もしくは小作料の低いことは、その低さの中で今日の勤労階級の生活が維持されている。特に小作料の場合は、日本における土地開放、農民解放の戰後強行されつつあるこの重大な
政策実行の上において、地主的土地所有、この問題に対して痛烈な一撃を與えることによ
つて土地革命が実行されつつある。この点を私どもは指摘したいのでありますが、今度の増税は、この土地改革の根本とな
つているところの地主の土地所有に何らの
利益も與えないというこの施策に、かえ
つて利益を與えようとする。反面に、そのような状態で、物價体系の中で均衡をとろうとしておる
政府の米價
政策は、この地租値上げによる小作料の値上げが行われるとすれば、当然この物價体系に一つの欠陥が持ち込まれることになる。從
つて、もしも小作人の生産する米價に大きな改訂を與えて、生産費を償う米價で
政府が承認するならば、これはよろしい。しかし、米價を抑えて小作料だけを値上げする。こういうやり方は、
政府の施策を認めるとしても、すでにその破壊が行われることを私どもは指摘したいのであります。(
拍手)この点につきまして、
委員会で物價廳の菅野第五部長にお尋ねしましたところ、彼は、この点については何らの返事もできない。こういう状態でこの悪法が強行されるとすれば、当然農民の側から大きな反撥があり、
地方の財源としてこの税率の値上げが実行できるかといえば、その反対のことになることは明らかであります。
次に入場税の問題でありますが、これはなかなか
委員会でおもしろいことがありました。博物館、動物園、美術館、植物園のごとき文化的な施設に対する入場税の徴收は、
國民の文化に対する大きな関心を抑制するものであるから当然反対すべきだ、あるいは反対であるという
意見が
國会の内外に高く、私どもの
委員会でも、
民主自由党の
諸君もこれに同調されました。
また映画、演劇あるいは学生の野球、こういうものに対する入場税の全廃もしくは値下げ、これも先ほど
委員長の
報告にあつた
通り、全員これをなすべきだという
意見でありました。そうして、これが大体通つたのでありますが、先ほど
委員長の
報告には、いろいろの情勢上、特に地租、家屋税あるいは住民税のごとき税金を一方に値上げし、選択税である入場税を値下げするような状態ではよろしくないので、これを取下げたという発表がありましたが、実はそうではなくて、
委員会全体の
意見で映画、演劇等の入場税を引下げることが決定され、てしかる後、ある方面からの
要望によ
つてこれを引下げないことにしたのであります。このことは、
國会のこの案を
審議するところの
委員会が全員で引下げることをきめて、別な方面からそれに反対論が出るとただちに引下がるという、この事実の中に、絶対多数を擁する
民主自由党の自主性を持たない本質が暴露されておる。(
拍手)わたしどもは、こういう日本の
國会の自主性のない状態に対しては、ただに入場税問題のみならず、こういう状態に対しては断固として鬪わざるを得ないのであります。また競馬、ゴルフあるいはマージヤン、有産者階級がこういう高級な賭博をやる。腐り果てたこういうものには、うんとたくさんの税率をかけるべきだという
意見を私は出したのでありますが、これには
民主自由党の
諸君は一顧も與えられなかつた。も
つてその党の本質がまた明らかになるものと思います。(
拍手)
私どもは、入場税のうち競馬、ゴルフ、あるいは競馬、マージヤンのごときものはとるべきだと思いますが、その他は全廃すべしという
意見を持ちますが、ただ私は全廃々々を言
つているのではないのであります。こうして
地方の税金の減收になるおそれがあるならば、私どもは、今日
政府当局まで認めている有産者階級、資本家階級の大きな脱税を摘発すれば、これによる
地方税も必然徴收され得るのでありますから、この脱税摘発をやることを主張いたします。四月二十三日の
大藏委員会における平田主税局長の
答弁に、昨年九月以來六十一億くらいの脱税があつたことがわかつた、これは調べればもつともつとたくさんの脱税が発見されるだろうというような意味のことを言
つており、その脱税の中に一口三億六千万に及ぶものもあり、あるいは一億以上に及んでいるものもある。特にそういう例をあげておるのでありますが、これを摘発すれば、こういうばかばかしい人民收奪の悪税を増收しなくても当然
地方財政がまかない得るという見地に私どもは立つのでありますが、同時に國の
財政において、先ほど足鹿君からも申しましたので詳しくは申しませんが、独占資本家を助ける
價格調整費を全廃すれば、
かくのごとき悪法は無用になる、私どもはこう言いたいのであります。
しかるに
國民に対する税金は、本年ばかりでなく、本年に至るまでに刻々と増税されまして、また
地方税も法定外独立税は実に何百を数え、生活分野のすべてにかかる恐ろしい状態でありまして、ただ今税金のかけてないものは、極端に言えば空氣と日光にすぎない、こういう状態にな
つておくところへ、こういう増税をいたしますれば、先ほど申しましたように、当然これに対する反対的人民運動が起ります。また非常に不当な、非常に公正でない徴税手段も当然とられることは、今日までの例が示しております。これに対しまして、いわゆる滞納
処分強化あるいは罰則の強化を今度の
改正案でいたそうとしたのでありますが、これに対しましては、入江衆議院法制局長すら、非常にむりがあり、
関係当局すら、これはよろしくないではないかという発言があつたくらいでありまして、当然われわれの反対したところであります。
今度の
修正案でこれが全廃されたことは、私どもも、もちろん反対ではありません。ただ、その点は
修正されましたが、第百三十七條の二でいわゆる不納運動の罪を設定し、公正な税金を納めるために、あるいはまた税金が納められなくて、しかも不当な課税を訂正してもらうために、そういう意味で税務署もしくは徴税役人に交渉するこの民主運動すら、これを犯罪視し、これを非常な苛酷て罰則によ
つて処断しようという條文が入
つているのであります。この運動に対して、
諸君は、これうただ反税鬪爭、あるいは
政府に対する税金を納めない不納の運動というふうに解釈をされておりますが、先ほど主税局長の脱税の問題の中で、たとえば……