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1949-03-30 第5回国会 衆議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年三月三十日(水曜日)  議事日程 第七号     午後三時開議  第一 自由討議    (前会の続)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案内閣提出参議院送付)  日程第一 自由討議(前会の続)  國家公務員法の一部を改正する法律案参議院提出)  財政法の一部を改正する法律案内閣提出)  酒類配給公團法の一部を改正する法律案内閣提出)  貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  金資金特別会計法一の一部を改正する法律案内閣提出)  会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期の特例に関する法律案内閣提出)  貿易公團法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)     午後三時二十分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案内閣提出参議院送付
  3. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、内閣提出食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員長小笠原八十美君。     —————————————
  6. 小笠原八十美

    ○小笠原八十美君 ただいま議題と相なりました、内閣提出参議院送付にかかわりまする食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案につきまして、農林委員会における審議の経過及び結果の大要を御報告申し上げます。  御承知のごとく、政府流通秩序確立対策の一環として、主要農林物資につき、昭和二十三年二月または同年七月以降、食料品配給公團飼料配給公團油糧配給公團肥料配給公團及び食糧配給公團三公團を設立いたしまして、一手買取販賣方式による統制を行い來つたのでありますが、現行規定によりますと、これらの配給公團存続期間昭和二十四年三月三十日もしくは三十一日をもつて滿了いたすことと相なつておりまするので、公團統制方式自体改革について結論を得るまで、とりあえずこれら三公團存続期間を三箇月延長いたしたいというのが、提案理由であります。  本法律案は、予備審査のため三月二十六日農林委員会付託となりましたので、ただちに委員会を開いて提案理由の説明を聞き、さらに昨日及び本日の二日間にわたつて質疑を行い、民自党河野、八木、山村、藥師神各委員共産党深澤、竹村両委員より、公團整理統合に関する政府中間的構想公團中間手数料の問題、運営方式等につきましてそれぞれ発言があつたのでありますが、詳細は速記録によつて承知を願う次第であります。いずれにいたしましても、存続期間関係上、本法律案はこれを至急通過せしめる必要がありますので、各派の御了承を得まして、質疑は簡單に行うにとどめ、本日討論を省略して表決に附しましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告いたします。(拍手
  7. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 別に御発言がなければ、ただちに採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  8. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  第一 自由討議(前会の続)
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより自由討議会議を行います。  石田博英君、発言者を指名願います。
  10. 石田博英

    石田博英君 民主自由党若林義孝君を指名いたします。
  11. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 若林義孝君、発言を許します。   (若林義孝登壇
  12. 若林義孝

    若林義孝君 自由討議のこの貴重なる場面を與えられまして、いささか私の所見を述べて御批判を仰ぎたいと存ずるのであります。特に、目下わが國の重要なる部面を占めておるにもかかわらず軽々しき問題のごとく取扱われております文教に関して申してみたいと思うのであります。  口を開けば必ず、進駐軍の好意によりわが新日本の建設が着々と進行してということが、だれのあいさつにも唱えられる用語になつているのであります。あたかも戰時中、あのきまりきつた文句があいさつの中に加えられたと同じような意味合いにおいて、この進駐車好意により云々という言葉日本再建進行状態を説明せられているのでありますが、はたして眞に日本再建が着々として遂行せられているかいなやを檢討いたしてみたいと思うのであります。  むろん経済方面におきまして、特にわれわれ考えるところ、昭和十年前後の日本目標として日本経済の復興を企図せられるがごとく思われるのでありまして、その御厚意はまことに私たち喜びをもつてこれを受けるべきであると考えております。むろん着々経済方面におきましてその発達を見ておりますことは、数字の表わすところでありますが、眞に國家存立というものは、経済のみによつてまかなわれるものではありますまい。私は、経済生活に必要なることを認むる者であります。経済を離れて生活のないことを承知しております。しかしながら、経済のみで生活が成り立つということを考えておりません。経済が必要であると同樣に、文教こそ、文化こそ國家存立最大要素であると考えている一人であります。この大切なときに、文教に関する施策の貧困をともどもに憂える一人であります。政党政派を超越して、この文教の危機を救うべきときだと考えている者であります。(拍手)私は、工場の数が日増しにふえて行くことを承知しております。それと同樣に町にあふるるところのいろいろなる不祥事を見るとき、工場の数がふえるだけ刑務所の数をふやさなければならぬ現状を顧みるとき、政党政派を超越して、いましばらく靜かに思いをここにいたすべきではないかと考えるのであります。  皆さん、一昨年制定せられました新憲法こそ、よほど進んだ高度の文明を持ち、高度の文化を持つ國の國民のみが享有し得る憲法ではないかと考えております。ところが、あの高度の文化を有すべき國民にのみ與えられる憲法が、わが國の文化の進化の程度に即せざるがために、以來二年になります今日、どれほど新しき憲法で與えられたところの自由と人権の尊重を縮少されつつあるかということをお考えになつていただきたいと思うのであります。いろいろな法案が、予想だもせなかつたところの法案が次から次へと提出されまして、新しい憲法によつて與えられたあの廣汎なる自由と人権というものが極度に狭められつつあるのでありまして、これは政党政派を超越して、すべての者が負わなければならぬところの罪であると私は考えております。今これを口に出すときに、ひしひしと私たち自責の念に打たれるのであつて、顧みるならば、これは民主自由党ばかりではない、すべての者が負わなければならぬ國家の重要問題であるから申しておるのであります。この見地に立つてながめてみますとき、私は文教を守る氣持をもつてすべての者が思いを深くここにいたさなければならぬと思うのであります。  今最もこの文教中心になつておりますところのものは六・三制の問題であります。われわれといたしましても、樣子をほのかに伺いつつ苦慮いたしておるのであります。六・三制の学制改革は、廣汎なるところの一大目的のために、この六・三制を中心として、わが國の学制が根本的に改革を見たのでありまして、この労苦に対して、これに協賛をせられました各位敬意を表する次第なのであります。この六・三制学制改革ということに一大希望を持ちつつ、國民全体がこれに賛意を表しつつ、あらゆるものを犠牲にして今日に立ち至つたのでありますが、悲しいかな、今日の現状をながめますときに、党派を超越して私たちは考えなければならぬと思うのであります。  過般來巻き起りつつある税金旋風と呼ばれるところのものがあるが、思えば一方に六・三制の旋風が巻き起りつつあります。せつかくここまで育て上げたところの六・三制が、六・二制に終るのではないかとさえ言われつつあるのであります。事実もしこの施策を誤りますならば、六・二制に終ることを私たち憂うるものであります。司令部から出ておりますものを見るときに、地方予算においても、教育に関するものについては、國家がこれを支弁すべき強き命令をわれわれは與えられておるのであります。にもかかわらず、これがもし不可能だとするならば、財政力弱き地方におきましては、六・二制において打切られざるを得ない惨状に到達するのではないかと憂うるのであります。おそらくこの六・三制の問題こそ、皆樣方の眞に國家を思うところの氣持をもつて善処せらるべきときが來るのではないか。  私は日夜六・三制に関して苦慮せられる全國の方たち思いを一身に受けておるような氣がいたします。おそらく皆樣方も(発言する者あり)きわめてふまじめな氣持をもつて考えられておるかもしれませんが、四十万になんなんとするところの教育者諸君、また一千五百万の子弟を持つておられます父兄の心持を顧みるとき、やじ半分の言葉をもつてこの議場にこだまをすることはできぬと考えるのであります。ぜひとも將來地方自治体におけるところの政治問題—— 昨年におきましても、岡山縣の例を取つてみましても、六・三制に関して自殺をした村長が三名あるのであります。また辞職をいたしました者は二十幾名、あるいは紛糾をいたしておりますものは四十幾村に及んでおるのでありまして、眞にここに十分思いをいたさなければなるまいと考えておるのであります。  私はまず皆樣方に訴えたい。文教というもの、文化というものを忘れる國は滅びるのであります。生活はあつても、眞の人間的生活はあり得ないのであります。連合軍人たち言葉によつて好意によつて経済自立ははかれるでありましよう。今年度経済自立一大目標を立てられて進みつつあることに対しては、私たち國民とともに喜ぶものであります。一方、この自立経済に即應して日本独自の文化を打立てて行くという方策を講じなければならぬと考えておるのであります。  私たちは、高度の文化を必要といたしまする新しい憲法をつくる光栄に浴した一人として、自分みずからがこの憲法恩惠を受ける資格のある人間であるか、あるいはこの日本國会自身が、皆樣方のお互いが、この新しい憲法下における國会議員としてはずかしくないかということを考えて、まず國会自身文化指導者とならなければならぬという決意を持つておるものであります。まずあらゆる面で憲法に即する國会態度國民のだれから見られましてもさしつかえのない態度を堅持して行きたいという氣持に燃えておるのであります。  なお私は、数字を並べることを今日はよすのでありますが、ただ靜かに目を各方面に及ぼすとき、一人の‥‥
  13. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 若林君         ————— 若林君、時間の関係がありますから、適当に結論を出してください。
  14. 若林義孝

    若林義孝君(続) 貧しい家であつても、何も人に見せるべき、誇るもののない家庭でありましても、ただ一人の子供のためにつくられた竹馬がそのかたわらに置かれてあるとき、その家庭に向つて限りなき敬意を拂うものであります。日本敗戰國で、あらゆるものに耐乏生活をしなければならぬことは承知いたしておるのであります。しかしながら物は少い。苦しい間柄であるけれども子供を育て、第二の國民を育て上げようとする文教に関して特別の心持が現われるであろうというこのことを、私たち敗戰國であるけれども、靜かに誇りとなし得るよう、今よりも後の日本、これから続く日本國民のために心づかいをしておるということを國民が納得し、また國民がこれに希望をつなぎ得る諸施策が講ぜられんことを切に希望いたしまして、私の話を終る次第であります。(拍手
  15. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 石田博英君、発言者を指名願います。
  16. 石田博英

    石田博英君 民主自由党柳澤義男君を指名いたします。
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 柳澤義男君、発言を許します。     〔柳澤義男登壇
  18. 柳澤義男

    柳澤義男君 私は、ここに大切なる自由討議の時間をきわめて少しく頂戴いたしまして、アメリカ國会議員使節を兼ねた研究員團を派遣すべきことを提案いたしたいと思います。(拍手)  まずわが國の世界における現在の地位を考えてみますると、まことに残念ながら、完全なる独立國と申すことはできません。たとえば、外務省がありましても外交官がない。外國へわが團の使臣を置くことを認められておらぬ。これが現状であります。言いかえれば未だ國際関係におきましては独立國家としての交際を許されておらぬのであります。  終戰すでに四年になんなんといたしまして、憲法規定で一切の武力を捨て、平和國家として立つて行くことを念願としておるわが日本國民は、一日もすみやかに講和條約の締結を期し、國際場裡における独立國として世界平和に貢献せんことを望まないものはないでありましよう。從いまして、今後のわが國は、講和條約ができ、眞に國際場裡にその一員として立つ場合におきましても、かつて日本のように、軍國的な、鎖國的な歩み方はまつたく考えられるわけではありません。  かつて日本は、その國境を守るのに、バリケード、大砲をすえつけてこれを守つた。今後の日本は、もつぱら外國人との文化的理解のもとにこれを維持して行かなければならぬのであります。さような次第でありますから、わが國民文化の向上を期するということは、もとよりでありまするが、國民の代表たるべき政治家は、常にこの方向に向つて最大努力を続けなければならないのであります。  さらに、飜つて國内政治実情を考えてみまするときに、政府政策の実行にいたしましても、御存じ通り、いくたの点におきまして戰勝諸國指導にまたねばならぬのであります。從つて、わが國民生活実情を、常にわが政治指導者、なかんずくアメリカ人に眞にこれを理解せしめて、わが國情に適するような指導を受けるように最大努力を拂うことこそ、國民指導するわれわれの責務であると思うのであります。  私は、わが國の政治哲理は、今や政治外交であると申し上げてもさしつかえなかろうと思うのであります。かように考えてみまするときに、まずわが國の政治に最も大なる影響を持つところのアメリカ政治、これにつきまして、私は國民を代表して、國会におきまして、國会議員の中から幾人かずつアメリカに派遣いたしまして、まずわが國民の名において、アメリカ指導に対してアメリカ國民感謝の意を表すべきであろうと思うのであります。  しかしながら私は、ただ感謝の意を表する遣米使節というだけではなく、これを兼ねまして、日本政治家としてアメリカ政治家と面識を持ち、交際を持ち、さらにアメリカ政治実態をつぶさに研究し、また日本國民眞実の姿を直接アメリカ政治家によく知らしめる眞の政治勉強ということこそ、大きなる目的でなければならぬと思うのであります。  大体、われわれ日本政治家は、外國政治家と接触し交際する機会がきわめて少い。しかしながら、今日世界の一國家としての日本を考えて行かなければならないわれわれは、かようなことを、まことに遺憾に思う。私は、留学中見聞しておるところでありますが、地理的の関係もありまするが、外國政治家は、世界の知識を体得しようとする熱意が非常に強い。語学のときにおきましても、支障のないように勉強これ努めておる。わが國は、國内の政治もまた外交に直結されておる今日におきまして、たとえば連合軍との交渉にいたしましても、通訳を介さなければ話も通じないというようなことでは、かりに意思の疏通ができましても、感情疏通にはなはだ支障を來たす場合が多かろうと思うのであります。  ことにわれわれは、近き將來におきまして講和條約を結ばなければならない。そこで、せめてこの條約の締結前に、まず二、三十人の議員を派遣して十分なる感情の融和をはかるべきではなかろうかと思うのであります。そうすることによりましては、講和條約も予期以上のりつぱなる成果をあげることができるのではなかろうかと私は信ずるものであります。しかし、私のこの提案は、ただ一回だけではなく、單なる遣米使節というだけでになく、現在のわれわれの地位におきましては、毎年継続して幾人かの議員を、いわば議員としての地位議員としての資格において留学をさせる。軍に現在あるような事務的な渉外機関のみではなく、または現在國民外交の役を果してあちらに渡つておりまする二、三の新聞記者といつたような行き方ではなく、政府政策一つとして國会議員を派遣し、政府が眞にわが國の政治外交であるという実をあげることに努力せんことを提案するものであります。(拍手
  19. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 前田種男君、発言者を指名願います。
  20. 前田種男

    前田種男君 日本社会党足鹿覺君を指名いたします。
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 足鹿覺君、発言を許します。     〔足鹿覺登壇
  22. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、税制問題、特に所得税農村課税の面における運営から來る各種矛盾を指摘し、近き將來においてすみやかなるこれが改革と合理的な運営を確立すべきことを提唱いたしたいと存ずるものであります。  現存の所得税法は、その根本を自主申告納税制によつておるのでありまするが、大藏省の各單位税務署に対するところの指導方針は、徴税目標額をすでに割当て、この目標額に対して全力をあげて徴收するという方針を指示するとともに、一方においては、実情に即し、市町村実態に即したことく課税を行えという、相反するがごとき指導をあえて行つているのであります。しかも、この所得標準につきましては、事前目安と称して画一課税方針をとり、しかもその基準は、中庸の農家をもつてこれに充てておるのであります。  現在の日本の過小農経営実態から考えてみまするときにおいて、五反未滿程度農家のいかに多いかということは、各位のすでに御存じ通りであります。ここに大きなる現実との食い違いができることは申し上げるまでもありません。しかも、この目安標準に達せざる申告に対しては、すべて更正決定をもつて報いられておるのであります。しかも、この農家收入基準たるべきものは、すなわち耕作面積と、これからよつて生ずる反收にあることは自明であります。  しかも、この農家收入の基本をなす米麦主食收入に対して、これに供出の事前割当量をそのまま適用しておることは、きわめて不合理であり、実情に遠きこと実に大なるものを感ぜざるを得ないのであります。しかもこの事前割当は、各農家の個々が下から積み上げたものではなくして、政府一定量を國の方針從つて割当て、これを縣、郡、市町村、部落、農家天くだつて來つつあるのでありまして、およそ事前割当量と実收量、これに開きのあることは当然といわなければなりません。しかるに、この事前割当中心とし、これを課税基準としておることは、矛盾もはなはだしいといわなければならぬと存ずるのであります。(拍手必要経費の算定の点についても、自家労力あるいは自給肥料はすべて認められておりません。  特にわれわれが具体的に大きなる矛盾を指摘したいことは、公租公課は、大藏省の昨年十二月に発しましたところの実務要領によりますると、反当百六、七十円を目安としておるのであります。しかるに、現在の日本の情勢は、戰爭中における水路の荒廃、あるいはその他の農業施設荒廃のままにまかせられ、これが復旧等において、著しい事例においては、賃貸價格の百分の二百二十というような大きな水利費をかけられておる実例すらあるにもかかわらず、百六十円ないし七十円で公租公課をとどめるということは、すでに大きなる矛盾をこの一点から言つても指摘し得るのでありまして、少くとも日本の、われわれ山陰の地方においての実情を見まするのに、一反当り四百円ないし五百円の特別負担を受けている町村はざらに見ることができるのであります。  このような点を指摘いたしまするならば、現行所得税のうち、自主申告とこれが更正決定矛盾は、よく各位が御了解のことと存ずるのであります。  しかも、この更正決定矛盾に対して再審査の請求を行わんとするときにあたり、地方税務官僚はどういう態度農民に接しておられるでありましよう。もし再審査を請求するならば、一本の柿の木も、一羽の鶏も、すべてこれを現金所得において計算をするが、それでいいか、かくのごとき威圧的態度をもつて、無知な、そして淳朴な農民に接する税務官僚のきわめて多いことを、私は指摘いたしたいのであります。(拍手)しかして、もし泣き寝入りに農民引下つたとするならば、三月二十五日までに納めぬ者に対しては、百円につき日歩二十銭という高利貸し的な金利を徴收し、さらに確定申告更正決定との差額に対しては、驚くなかれ、二割五分の追徴金を徴收しつつあるのであります。  これに対して、私どもが眞に適正な納税を主張し、いろいろと相談に乗つて、種々実情について調べたのでありますが、現在においては、すでに税金のあらしによつて——農村実情を申し上げますならば、協同組合貯金総額が三百五十万円、所得税総額が二百四十万円、村税、縣民税の滞納三十万円、肥料代の未拂五十万円を差引くとき、協同組合の預貯金は残額三十万円に過ぎない結果を見つつあるのであります。すでに農地改革の裏ずけとして新生協同組合の発足を見ましたけれどもかくのごとき実情においては、はたして協同組合の健全なる発達をこいねがうことができましようか。私どもは、かかる観点より、現実矛盾の上より、理論ではなくして、現在の自主申告制内容が、すでに政府みずから一方的、画一的な割当課税をもつて自主申告制精神を没却しつつある。特に独善的大藏官僚の猛省を促したいと存ずるものであります。(拍手)  しかも、税務官僚のずさんにして、きわめて不親切なるは、これまた定評があります。税務官吏といえども人である。多数一緒に殺到する更生決定に対しては、いろいろ晝夜兼行の疲れもあるとは存じまするが、誤算訂正について著しい事例は、鳥取縣西伯郡庄内村において、四百八十戸の農家のうち四百二十戸を税務署において誤算訂正をした事実を知つておるのであります。もし、これらに納税適正化への協力者がなかつたとするならば、すべてうやむやのうちに、この一方的天くだり課税のもとに呻吟しなければなりません。  私は、この事例をもつてし、特に畑作農家に対しては、普通畑と桑園との二重課税、早魃田を畑に轉換した際の二重課税普通畑作陸稻の二重課税、これらの不当な課税に対しては、むしろ農民に対し、いろいろなるところの弾圧的、威嚇的な行動が現在横行しつつありますが、かような重大なる過失をしたところの税務官僚に対しましても、國法をもつて処断する措置を購ずべきものと存ずるのであります。  私は、以上の事実から、ここに一つの提唱をいたしたい。各税務署方針がまちまちであることに対し、大藏省は眞に心から反省をし、地方の末端にまで実務要領精神の正しい点を十分滲透する措置をとるべきである。同時に、國民のふところに手を入れて税金を取上げるような現在重い立場にあるこの重大な職責を遂行する税務官吏の、最も嚴正なる教育と修練を積むところの制度を拡大、整備、強化すべきであるということをまず申し上げたい。  さらに、全般的な総合的な立場においては、現在大藏省に設置せられつつあるという税制審議会の構成及びその審議内容等について、すみやかに國民大衆にこれを公表し、その嚴正なる批判を求めることが妥当であると考えるものであります。現在各種の公約が與党においてもたな上げせられ、きわめてお苦しみのようでありますが、この農村に対して少くとも関連を持たない人たちは、おそらく一人もないと思う。しかるにもかかわらず、これらの問題について一大勢力を形成せられた民主自由党の具体的な税制問題、特に農村課税政策の公表のないことは、われわれの最も遺憾とするものであります。すみやかに農村課税廣汎なる税制についての、少くとも公党としての政策を公示し、もつて國民批判を求められんことが適当であろうと存ずるのであります。(拍手)  あえてここに意見を述べまして、衆議院における農村出身の皆さんはもちろんのこと、あらゆる関係方面の輿論を喚起し、これが適当なる解決は超党派的立場において処理できるがごとく進められんこと要望する次第であります。(拍手
  23. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 高倉定助君、発言者を指名願います。
  24. 高倉定助

    ○高倉定助君 農民新党は小平忠君を指名いたします。
  25. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 小平忠君、発言を許します。     〔小平忠君登壇
  26. 小平忠

    ○小平忠君 私は、農民新党を代表いたしまして、食糧問題、農村課税問題、文教問題等につきまして、率直に意見を申し述べたいと思うのであります。  第一に食糧問題であります。食糧を増産し、すみやかに民生の安定を期するは、現下日本復興に與えられた最も重要なる課題であります。しかるに、現在増産をはばむ幾多の惡條件が山積し、さらに集荷配給機構の矛盾きわまる措置によりまして、生産者は供出問題に、消費者は食生活に、戰後長い間悩まされて参つたのであります。私は、この生産を阻害する幾多の惡條件を根本的に打破するにあらざれば日本経済安定はとうてい期し得ないということを、断言してはばからない者であります。すなわち、その根本的問題は農産物價格の適正化であり、供出制度の根本的改革であり、さらに農業生産、必需資材の確保であり、さらに災害復旧あるいは農村金融問題の解決が最も重要なる問題として取上げられなければならないのであります。  まず農産物價格につきまして見まするのに、毎年全國農民の切実なる要望があるにもかかわらず、実にその價格の決定については、他の物價ときわめて均衡のとれない低物價にきめられておるのであります。すなわち、現行の農産物價格はまことに低位であるという結論が現在強く叫ばれておる。農業の拡大再生産を償えるどころか、農民生活を破綻の窮地に陥れておるという現状であります。特に米價について見まするのに、生産者價格は石当り三千五百九十五円に対し、消費者價格は幾らかといいますと、五千三百五十五円でありまして、その開きは実に千七百六十円に達し、消費者においても、まじめな生活をしておる者は、この主食の購入にも事欠くという現状であります。  皆さん、その理由は一体那辺にあるのか。すなわち、食糧配給公團なるものを介在せしめて、全國八万七千有余の職員を配し、その人件費だけでも年額実に八十七億八千三百余万円に達するのであります。そうして、一般國民の消費大衆がこの厖大なる費用を拂つておる。すなわち、食糧公團なるものを介在せしめて中間マージンを搾取し、非常に消費者價格が高額になるという結果をもたらしておる現実を、諸君は何と考えるか。  そこで、どうしてもこの農産物價格については、特に米價については、生産者も消費者も納得の行く適正なる價格をきめなければならないと思うのであります。そのためには、從來のごときこの價格決定にあたつては一片の閣議においてきめられております行き方を断固改正しなければならぬ。すなわち農産物價格については、民主的に下から盛り上つた眞実の意見を反映するところの價格委員会を構成し、この意見を十分に参酌て、最終の決定は國会のこの議場においてなすべきであるということを、私はこの機会に強く主張するものであります。(拍手)  さらに、その場合において特に問題となるべき点は、現在の米價の基準であるパリテイー計算、このパリテイー計算の基準並びに基準年度はまことに不合理きわまるものであります。現にこの問題については、連合軍当局も指摘いたしております。本年こそ、このパリテイー計算の基礎を根本から是正すべきであることを、私はこの機会に主張いたしておきます。さらに北海道、東北の單作地帶においては、どうしても特別價格というものを設定しなければなりません。すなわち私は、食糧問題の解決、特に供出問題の解決は、まずこの農産物價格に十分に重点を置いたならば、すなわち生産者も消費者も納得の行く價格をきわめるならば、この問題は立ちどころに解決すると思うのであります。  次に供出制度の根本的な改革の問題でありますが、現在行われておる供出制度は、農民の生産意欲を極端に低下せしむる方向にあるのであります。まずその大きな問題を取上げれば、現在の食糧確保臨時措置法、これをただちに廃止して—— 私がそう申し上げれば、まことに極論であると言われるかもしれませんが、私の根本的な考え方は、現在の食糧確保臨時措置法を廃止して、すなわち食糧管理法を民主的に改正することであります。すなわちその結論は、現在の事前割当あるいは超過供出制度を廃止して、自主的な農民の組織あるいは農業協同組合の手によつて供出の割当あるいは出荷等を行うことが絶対に必要であります。その場合にやはり問題になります点は、適正なる農産物價格を設定することが前提でありますから、かかる観点において、從來のごとき事前割当あるいは超過供出制度を廃止して、もう一ぺん繰返しますが、民主的な、自主的な農民の組織あるいは農業協同組合の手によつて割当をし、あるいはそれを集荷するという方向に持つて行くことが絶対に必要であるということを私は主張いたしたいのであります。  以上申し上げたような原則の上に立つて行うならば、純眞な農民に司法権を発動して、すなわちあの無知な、純情な農民に強権を発動して、法のさばきを受けさせるというようなことをなさなくても、農民が納得の行ける方法であるならば、農家保有量を残す全数量を喜んで出荷されるということを、私は確信してはばからないものであります。(拍手)すなわち経済九原則の末項に示されておりまする供出制度の改善、このことは、その趣旨にほかならないと思うのでありまして、この点を、私はこの機会に強く主張いたしたいのであります。  次は、農業生産に欠くべからざる資材の確保でありますが、現在農業生産上欠くべからざる肥料、飼料、農機具、作業衣、地下たび、これらについて見まするのに、現在正式ルートにおいて配給されておるものは、実にその需要量の半分ににも滿たないという現状であります。さらにその價格も、他物價に比しきわめて高額であります。それにまた、適期に配給されていないために、農民は常に大いなる支障をこうむつておるのであります。特に化学肥料たる硫安、石灰等は、戰前に比しまして著しい減産を示しておるのでありまして、特に肥料あるいは飼料のごときは、これはやはり肥料、飼料配給公團なるものを介在せしめて、複雜なる機構の上に、さらに中間マージンを増大せしめて、その結果は当然配給價格が高額となり、さらに適期配給すら不可能の現状でありまして、私はこの方法も、公團なるものをただちに廃止するということの強き主張をこの機会に申し上げたいのであります。  すなわち、農民のみが必要とする肥料、飼料のごときものを—— 昨年來農業協同組合の設立を政府はあげて指導し、獎励したが、この農民自身の協同組合の組織によつて一元的に配給せしめるのに、それを不可能とする理由は一体那辺にあるのか。私は、特にこの問題を強く主張いたしたいのであります。すなわち、現在の農業生産に欠くべからざる必需資材というものは、現在これに関係ある公團をただちに全廃して、これを農業協同組合の系統組織をして一元的に配給せしめるということが、私は本問題解決の重大なるかぎであるということを、この機会に強く主張いたしたいのであります。特に肥料につきましては、現在絶対量の不足であります。この点の打開につきましても、さらに農家個々に家畜を獎励して自給肥料の造成につとめる。さらに電源を開発して化学肥料の増産に努めるというように、化学肥料、自給肥料の増産という点につきましても現在積極的な政策がなされていないのであります。この点もあわせて、現政府は積極的な政策を断行すべきであります。  次に、食糧問題の重要なる課題として開拓並びに農地の改良整備の問題でありますが、日本現状は、すみやかに最低百五十万町歩の開拓を実現して多くの海外引揚者を收容し、足らざる食糧を増産して民生の安定を期するということは、また重要なる問題であります。それと同時に、特に排水あるいは灌漑、客土、酸土矯正というような大規模な事業につきましては、國費をもつて政府みずからその責任をもつてやらなければなりません。しかるに、仄聞するところによりますと、政府は開拓事業に対しましては國庫予算の大幅な削減を行おうとし、さらに農地改革、農地の改良事業にに対しまするところの公共事業費は全然これを計上せざるかのごとく仄聞するのでありますが、私は、もしこのままにこれを放任するときには、すでに四十余万町歩の開拓をなされているこの既墾開拓地の経営はあすから不能になり、あるいは海外から引揚げました多数の入植者が、ただちにあすから路頭に迷うというような結果を、もたらすのではないかということを、私は憂慮するのであります。さらに、戰爭によつて荒廃いたしました農地の復旧や改良整備事業は、まつたく日本の食糧増産に重要なる問題でありますから、政府はこの事業に対しましては優先的に國庫の予算を計上すべきであるということを主張いたしたいのであります。  次に災害復旧促進の問題でありますが、数次にわたる災害によりまして、荒廃に瀕せる耕地の復旧並びに災害防除に関する政府施策は遅々として進みません。すなわち、耕地最盛期を目前に控えまして、食糧増産意欲に燃える農民の困苦欠乏たるや実に涙に値するものがあるのであります。ゆえに應急復旧工事につきましては、全額國庫負担のもとに迅速に実施すべきであるとともに、災害地に対する資材は、目下需要量の半分にも滿たない現状でありますから、すなわちセメントあるいは鉄材というようなものにつきましては、すみやかに完配することが絶対必要であります。さらに災害農家復旧のために低利の長期資金を供給するとともに、災害地に対しまする國庫助成金あるいは應急復旧工事金は、これも迅速に支拂いをしなければなりません。なお恒久対策といたしましては、河川の改修整備、山林涵養あるいは農業共済制度を拡充強化いたしまして、数字にわたつて受けて参りました災害を未然に防止する方途をすみやかに講じましてこそ私は食糧増産が期し得られる、こう思うのであります。  次に農村金融の問題であります。政府は、現在農村金融の逼迫にかんがみまして、農林漁業復興資金の融通、あるいは農業手形制度、あるいは開拓者資金融通制度などを実施いたしておるのでありますが、その制度はいまだ不十分でありまして、現在農村の資金難というものは、これまた言語に絶するものがあるのであります。すなわち、まきつけ最盛期を目前に控えまして、二十三年度の税金農民は納めることができない。そのために、農業経営にはなくてはならぬ牛や馬あるいは小家畜を賣つて、それを税金に充てておる現状であります。もし、かかる状態に放任するときは、本年度の食糧増産にまことに憂慮すべき結果を招來するということを私は申し上げたいのであります。すなわち政府は、本年度農業経営に今ただちになくてはならないところの営農資金をすみやかに融通する方途を講じなければならないのであります。それと同時に、現在の農林中央金庫、この農林中央金庫は徹底的に改組して、協同組合方式によるところの農村金融機関を確立することが、また重要な問題であります。それと同時に、政府は強力なる農林漁業復興金庫を創設いたしまして、現在資金難にあえいでおる農村金融問題に対しましては政府みずからの責佐において速急に解決すべきであるということを、これまた強く主張いたしたいのであります。(「そんなことはわかつておる」と呼び、その他発言する者あり)この問題は、諸君方がそうおつしやつても、現実日本の八千万國民の米びつをあずかつておるところの農漁民に対し、私は以上のような処置を講ずることは当然であると思う。特に農民に対しては、安心して食糧を増産し得る方途を講じてやつてこそ、私は日本の食糧問題が解決すると思うのであります。  以上申し上げました諸政につきましては、これはただちに断行する。特に日本は、戰前におきまして、八千万石の食糧を生産しておつたのであります。その数量というものは、現在においても決して不可能な数量ではございません。ただ、供出や價格の不適正な、この生産を阻害する悪條件をそのままに放任しておきますから、年々連合軍より二百万トンに近い食糧の放出を仰ぎ、その結果多額の國庫支弁をしなければならぬという結果になるのであります。日本は、その食糧政策よろしきを得ますならば、食糧については絶対に自給自足のできる國であります。それを、頭から食糧は足りないものということをきめてしまつて、天くだり的な供出、天くだり的な事前割当を強要し、この要求に應じないときには司法権を発動して、純眞な農民が法のさばきを受けるというような、こういう独善的な方法がとられているから、日本の食糧問題は解決されない。(拍手)私は、ひとり農民のみを犠牲にして、しぼれるだけしぼり上げようというこの政策に対しましては、断固反対するものであります。(拍手)すなわち、食糧問題の解決は農産物價格の適正化であり、さらに供出制度の根本的改革であるということを、私は再度強調いたしたいのであります。  第二に、文教問題につきまして簡單に申し上げたいのであります。日本教育制度を振り返つて見まするのに、明治以來、戰後ほど日本教育制度につきまして大きな変革を見たことはないのであります。特に、日本が戰爭を放棄して文化國家を建設するという、まことに日本將來を考えて進む場合において、日本將來を背負つて立つところの青少年に対する教育に対しまして、私は重大なる責任と自覚をもつて本問題は解決しなければならぬと思うのであります。すなわち六・三制実施もこのことにほかならないのでありまして、この六・三制の問題につきましては、第一次吉田内閣におきまして本制度を実施し、目下全國の都市、農山漁村におきましては、着々これを実施に移しているのであります。しかるに、仄聞するところによりますと、政府は六・三制実施のための二十四年度公共事業費に対しましては、昨年度の予算の五分の一に滿たない、まことに僅少なる予算を計上しようというような趣きでありますが、私は、かかる方途を講ずるならば、六・三制を根本的に中止するという結果にほかならぬと思うのであります。もし、かかる結果を生ぜんか‥‥
  27. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 小平君、割当時間が終りました。簡單に結論をお述べ願います。
  28. 小平忠

    ○小平忠君(続) かかる問題に関しましては、日本のこの教育制度につきましては、先ほど社会党の足鹿君が主張されましたように、これは笑いごとではない。ほんとうに超党派的態度において、これは断固断行すべきである。  以上申し上げましたような点につきましては、わが農民新党といたしましても、すでに政府に強力に申し入れておるのであります。諸君、今次総選挙において、吉田内閣は圧倒的な多数議員を獲得して内閣の成立を見たのでありますが、今後諸君は、民自党の代議士諸君は、この圧倒的な多数議員に依存して、全國農民の切実な要望である食糧増産のための諸方策や、これに要する経費、あるいは六・三制実施のための最低限の予算をもとれないような政府であつたならば、これすなわち政府の、民自党の無能ぶりを天下に示すものであり、さらにこれは、すなわち民自党の公約を國民に裏切つたことになるのでありますからして、この際民自党は、この最小限の予算もとれないような吉田内閣であるならば、私はこの機会に重大なる決心をすべきであるということを強く申し上げたいのであります。(拍手)  以上申し上ぐる点は、時に民自党といえども、諸君、全國農民の多数なる輿論があるのである。從つて、私のこの主張は全國農民の切実なる声であるということを銘記しなければならぬと思うのであります。  私は以上申し述べまして降壇いたします。(拍手
  29. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて自由討議は終了いたしました。
  30. 今村忠助

    今村忠助君 この際暫時休憩されんことを望みます。
  31. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつてこの際暫時休憩いたします。     午後四時三十四分休憩      ————◇—————     午後六時十八分開議
  33. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 休憩前に引続いて会議を開きます。      ————◇—————  國家公務員法の一部を改正する法律案参議院提出
  34. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、参議院提出國家公務員法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  35. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  國家公務員法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。人事委員会理事木村公平君。
  37. 木村公平

    ○木村公平君 國家公務員法の一部を改正する法律案に関する委員長報告を、かわつて行います。ただいま議題と相なりました、参議院提出にかかる國家公務員法の一部を改正する法律案に関する本委員会審査の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。  本法案は、今日、本委員会に付託となつたものでありまするが、その趣旨は、各公團存続期間がそれぞれ三箇月間延長されることに伴つて公團職員の特別職に関する規定の有効期間もそれだけ延長する必要がありまするので、國家公務員法の第二條第三項第十四号中「三月三十一日限り」とあるのを「七月一日に」と改め、この法律を公布の日から施行しようとするものであります。  本委員会といたしましては、本日これが審査にあたり、特に発議者たる参議院人事委員長中井光夫君の出席を求め、同君より提案理由の説明を聽取し、ただちに討論に移つたのであります。本案に対する各党委員質疑は活発に行われたのでありまするが、木村公平の動議により、討論を省略して採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決した次第であります。  右、御報告いたします。(拍手
  38. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 別に御発言がなければ採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  財政法の一部を改正する法律案内閣提出)  酒類配給公團法の一部を改正する法律案内閣提出)  貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  金資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期の特例に関する法律案内閣提出
  40. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、内閣提出財政法の一部を改正する法律案酒類配給公團法の一部を改正する法律案貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案金資金特別会計法の一部を改正する法律案会計法の一部を改正する法律案昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期の特例に関する法律案の六案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  41. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  財政法の一部を改正する法律案酒類配給公團法の一部を改正する法律案貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案金資金特別会計法の一部を改正する法律案会計法の一部を改正する法律案昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期の特例に関する法律案、右六案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大藏委員長川野芳滿君。     —————————————
  43. 川野芳滿

    ○川野芳滿君 ただいま議題となりました財政法の一部を改正する法律案に関し、大藏委員会審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、財政法施行二箇年の経過にかんがみ、その若干部分について改正をいたさんとするものであります。その改正の主要点を述べますれば、まず第一点は目的予算の廃止であります。すなわち從來、歳入歳出予算は目的別予算(甲一号)と組織別予算(甲二号)とからなつていたのを、甲一号を廃して組織別予算一本とし、これによつて予算の執行における政府各機関の責任を明確にしようというのであります。  第二点は、財政法第二十四條の予備費の計上に関し、計上しなければならないとの規定を改め、必要により計上することができるということに改めたのであります。  第三は、予算の流用に関する規定の改正であります。すなわち歳出予算は、原則として、予算の定める各部局等の経費の金額、または部局等内の各項の経費の金額の移用はこれを禁止するところでありますが、予算執行上の必要に基き、その効率的使用をはかるため、あらかじめ予算をもつて國会の議決を経た場合に限り、各部局等の間または各項の間において彼此移用することもできる道を開くとともに、他面、目または大藏大臣の指定する節相互の間の流用に関してはすべて大藏大臣の承認を要することとし、流用の適正を期せんとするものであります。  第四は、目節の区分を付さないでも予算の配賦ができる例外規定を設けるものであります。すなわち、予算が成立したとき、内閣は國会の議決したところに從い、各省各廳の長に対し歳入歳出予算を配賦することになりますが、この場合、歳出にあつては項を目及び節に区分しなければならないことになつております。しかし、終戰処理費、賠償施設関係経費その他公共事業費等の特定経費につきましては、配賦のときまでに目及び節の区分を明らかにすることができないものがありますので、これらの経費につきましては、当分の間予算執行のときまでに目または節の区分をすることができる例外を認めようとするものであります。なお右に関連し、他に用語の改正、規定の整備等の若干の改正をなさんとするものであります。  本案につきましては、二十八日政府よりの説明を聽取し、本三十日質疑に入りましたが、荒木委員、川島委員、風早委員、河田委員より熱心なる質疑が行われました。  次いで討論に入り、社会党を代表して川島委員は、甲一号の廃止は新財政法精神に逆行するものであり、流用移用の緩和は濫用を來すべきものとの意見を述べて反対の意を表明され、民主党代表の荒木委員は、甲一号の廃止は予算審議の尊嚴を害するものであり、流用に関しても予算の適正を期し得ないこと、及び目節を付せずして配賦するは便宜主義的であり、妥当でないこと、これら基本法を朝令暮改すべきにあらずとして反対の意を表され、共産党の河田委員は、甲一号の廃止は政府政策中心点を予算上より隠さんとするものである旨、及び大藏大臣の権限強化は國会及び各部局の責任をそこなうものであるとの意見を述べて反対の意を表せられ、最後に、民主自由党を代表して宮幡委員は賛成の意を表されました。かくて討論は終結し、続いて採決に入りましたが、多数をもつて原案通り可決いたした次第であります。以上御報告申し上げます。  続いて、ただいま議題となりました酒類配給公團法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  本法律案は、酒類配給公團法の有効期間を三箇月間延長せんとするものであります。すなわち酒類配給公團は、昨年三月一日、酒類配給公團法によつて設立せられ、本來の目的である酒類の適正円滑なる配給のほか、酒税の確保に寄與して來たのでありますが、同法は他の配給公團法と同樣、本年四月一日をもつてその効力を失うことが附則第二條に規定せられております。しかるに、わが國現下の経済情勢及び行政整理の問題とも関連し、公團方式の全般的檢討が続けられ、本公團もやがて廃しせられるべく予定せられているが、公團廃止に伴う受入れ態勢の整備についてなお期間を要するので、さしあたりその有効期間を三箇月延長せんとするものであります。  本案は、去る二十六日委員会に付託せられ、二十八日政府よりの説明を聽取し、三十日質疑に入りましたが、島村委員、前尾委員、荒木委員、川島委員、風早委員の諸君からは、終始熱心なる質疑が行われました。次いで討論に入り、民主自由党を代表して宮幡委員は、公團廃止に関して遺憾なき準備を加えられんこと等を希望して本案に賛成され、民主党代表の荒木委員もまた公團廃止に伴う受入れ態勢の整備等に関して希望意見を述べて賛成、共産党の風早委員は、公團関係職員の生活確保の問題及び酒税の軽減を希望する旨を付して本案に賛成されました。続いて採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。  続いて、ただいま議題となりました貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  今回改正します目的は、貿易資金の不足を補足するための應急措置を講じようとすることであります。  まず第一は、貿易資金の不足を補足するための借入金または融通証券の発行限度額の引上げであり、現行法定限度額は二百五十億円でありますが、昭和二十二年度末において六十六億円借入れ済みとなつておりますので、昭和二十三年度における限度額の余裕額は百八十四億円となつております。しかるに、昭和二十三年度中における輸出物資の賣入れ等に要する資金の支拂額は、輸入物資の賣拂い代金等による資金の受入額に比して約二百三十三億二千三百万円超過いたしますので、昭和二十三年度における限度額の余裕額百八十四億円を全部借り入れましても、なお約四十九億二千三百余万円の資金不足となりますから、今回現行の法定限度額二百五十億円を増額して三百億円に引上げようとするものであります。  次に第二は、現在貿易特別会計の歳入歳出の決算上の過剰金は一般会計に繰入れることになつておりますが、これを貿易資金に組み入れて、その増加に充てるように改正しようとするものであります。  本法案は、去る二十八日、本委員会に付託され、二十九日提案理由の説明を聽取し、本日質疑に入りまして、社会党の川島委員、共産党の風早委員民主自由党の小山委員より質疑がありました。次いで討論に入りまして、宮幡委員民主自由党を代表して賛成せられ、風早委員は共産党を代表して、借入れ限度額の増額は特別会計における追加予算であつて、その財源は薄弱な根拠であると、反対意見を述べられました。次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。  続いて、ただいま議題となりました金資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大藏委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  今回改正する点は次の二点であります。すなわちその第一点は、金資金の不足を補足するための一般会計からの繰入金の限度額の拡張でありまして、この限度額は現在六億円になつておりますが、昭和二十四年度中における貴金属の買上げ予想額は、拂下げ見込み額に比して約二十六億三千三百万円超過いたすことになりまして、この金額だけ資金が不足することになりますので、この金額と現行法定限度額六億円との合計額三十二億三千三百万円まで一般会計からの繰入れ限度額を拡張いたそうとするものであります。  その第二点は、この会計の繰越しに関する規定の整備でありまして、從來会計規則にありました支拂義務の生じた経費を翌年度に繰越すという規定をこの法律に掲げることとしたのであります。  本案は、二十八日に付託され、二十九日提案理由の説明を聽取し、三十一日質疑に入り、次いで討論に入り、宮幡委員民主自由党を代表して賛成意見を述べ、風早委員は共産党を代表して反対意見を述べ、ただちに採決に入りましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。  次に、ただいま議題となりました会計法の一部を改正する法律案につきまして、大藏委員会審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  今回改正します要点は、予算の執行を適正ならしむるために、新たに支出負担行為に対する認証の制度を設け、これに必要な規定を設けようとするものであります。  第一は、予算執行の第一段階である契約等の実施の面で統制を強化し、支出の面からの統制は極力これを簡素化しようとするものであつて、從來の契約等の計画を、支出負担行為の計画と改称いたしますとともに、他の統制範囲を全経費に拡張し、また新たに支出負担行為に関する認証制度を設け、この支出負担行為が法令または予算に違反することの有無等その他計画の適否について、各省各廳の長の指定する認証官の審査を受けさせ、この面からの自律的統制によつて不当支出の抑制をはかり、健全財政の実現を期そうとするものであります。  第二は、出納完結期限を延長することについてでありまして、現行の法定期限たる七月三十一日までに出納事務を完結せしめることは、現下の経理事務の実情では非常に困難でありますので、これを当分の間八月三十一日まで繰り延べることができることといたさうとするものであります。  本案は、去る二十八日に付託され、二十九日提案理由の説明を聽取し、本日質疑に入りまして、次いで討論に入りましたところ、宮幡委員民主自由党を代表して賛成せられ、河田委員は共産党を代表して、改正によつて大藏大臣に権力を集中することになるとして反対せられました。次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。  次に、ただいま議題となりました昭和二十四年の所得税予定申告書提出及び第一期の納期の特例に関する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出期日及び第一期納期に関し特例を設けんとするものであります。すなわち所得税の第一期申告及び納期は、現在四月一日から同月三十日までとなつておりますが、前年度所得更正決定及び今年度予定申告書提出指導等についての税務行政の実情を考慮し、昭和二十四年に関しては、四月予定申告書を本年六月一日から三十日までに提出することとし、從つて、第一期納期も六月一日より三十日までにしようというのでありまして、経済諸情勢の推移に應じ、國民の租税負担を調整し合理化する等のため、所得税法の改正について政府は檢討を続けているが、当面の必要に應じ、本法律案をもつて特例を設けんとするものであります。  本案は、去る二十九日提案理由の説明を聞き、本三十日審議に入り、三宅委員、荒木委員、川島委員より熱心なる質疑のあつた後討論に入りましたが、民主自由党を代表して宮幡委員は、希望意見を付して原案に賛成され、共産党代表の風早委員は、申告制度の徹底を條件として賛成意見を述べられました。次いで採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。  以上、はなはだ簡單でございますが、御報告申し上げます。(拍手)     〔「大臣を出せ」と呼ぶ者あり〕
  44. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 大藏大臣は、やむを得ない用務のために出席いたすことができないということであります。  討論の通告があります。これを許します。川島金次君。     〔川島金次君登壇
  45. 川島金次

    ○川島金次君 私は、ただいま上程になりました六法案のうち、第一の財政法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表して断固反対の意を表明するものであります。(拍手)  言うまでもなく、財政法は、一昨々年、第一次吉田自由党内閣のもとにおいて成立をいたしたものであります。しかもこの財政法は、新しき憲法精神にのつとり、財政と予算とを國民のものとする、言いかえれば、財政及び予算の編成をできるだけ民主化するとの大精神をもつて制定されたのであります。しかも、その財政法に基く予算の編成は、あくまでも國民のものである。從つて予算は、國民勤労大衆が一瞥して、具体的に明確に了解し、把握のできるものでなければならぬという精神財政法というものが組立てられたのでございます。しかして、われわれ國民大衆が重大な負担をいたしておりまするこの血税の資本を、政府財政法に基いて総予算の上においていかにこれを使用されるかということをも明確に國民の間に了解せしめたいというのが、財政民主化の精神であつたはずであります。  この意味において、一昨々年、財政法が原案として衆議院に上程されて参りました当時、その原案にすらも、いまだ徹底した民主化されたものでない部分が相当にあつたのであります。そこで、わが党におきましては、野党時代でありましたが、財政の一層の民主化、予算編成の一層の民主化、予算というものを國民の自主的なものにいたしたいという念願のもとに、一部の修正案をすらわれわれは提出いたしたのでありまするが、当時第一次吉田内閣を支持いたしまする自由党の多数によつて、われわれの民主化徹底案は葬られたのであります。しかるに、今回政府は、現在の財政法を改正いたしまして、その民主化を二歩、数歩退歩せしめたいとの意図があるやに思わせるような改惡案をば、ここにおくめんもなく上程して参つたことについて、われわれは衷心から、國民の名において、重大な疑念をさしはさまなければならぬものであります。(拍手)  まず第一に政府が改正せんとする骨子は、部局間におけるところの流用を許したいとうこと。第二は從來御承知のごとく、予算の編成にあたりましては組織別と目的別とを二通りつくつて予算案として議会に上程すべきことが財政法規定であるのであります。さらにまた第三には、款項並びに目節等の流用等に対しましては、從來とも、特に旧憲法下においては、ややもすれば時の政府、あるいはまた時の所属長官において、この款項目を濫用するおそれが多々あつたのであります。かるがゆえに、その財政の流用あるいは濫用を根絶するために幾多の明確な基本法規を定めて参つたのが、財政法現行法であります。  しかるに政府は、このたび、ただいま申し上げましたように、目的別の予算と組織別の予算とを両建にすべしという明確な規定に反しまして、目的別の予算はこれを廃止しようというのが本法案の第一の項目であります。第二には、部局別の予算をも必要によつては流用のできるようにかえたいというのが改正の内容であります。第三には、ただいま申し上げましたように、さらに末端における目節に列記いたしました予算をも、これまたときによつて、必要によつては流用許したいというのが、この改正案の内容であります。  冒頭に私が申し上げましたごとく、予算というものは、國民が血税によつて蓄積した資本を國家が使用いたしまする場合に、國民の前に、款項はもとより、目節に至るまで明確に具体的に示して、眞に予算編成の民主化をはかるということが、予算編成の根本を貫く建前でなければならない。(拍手)しかるに政府は、この建前を一つくずし、二項をくずし、三項をくずして、その内閣の御都合によつては、多数をたのんで重要な、明確な予算を流用しようというこの考え方に対しましては、財政法精神はもとより、國民の予算であるべきこの観点に立ちましても、わが党はこの改正案に断固として反対の意を表明せざるを得ないのであります。(拍手)  最後に私は、この機会につけ加えておきますが、ことにこれは自由党の諸君に申し上げておきたい。本日暫定予算が、予算委員会において、自由党の諸君の多数をたのんだ、むしろ暴力的行為によつて成立せしめられたという話であります。そもそもそも本日衆議院の予算委員会に上程されました暫定予算なるものは、政府が本日上程いたしましたこの財政法の一部改正案が成立するということが一大前提になつておるのであります。しかるに、その基本であるべき財政法の改正が未だ衆議院において審議の半ばにあるにかかわらず、その基本法を無視して、しかも予算委員会においては、在野党に討論の機会をも與えずして、その予算の成立を強引に、暴力的手段をもつて通過せしめた。財政法の基本的精神を蹂躪するのみならず、自由党の諸君は多数をたのんで、この重大なる予算、國民の負担に帰すべきところの重大なる予算を、基本法の成立を前提とすべきにかかわらず、これをも無視し、さらに討論の機会も與えずして、これを強引に通過せしめたというこの一点は、断じてわれわれの黙過し得ざる問題であるということを、この機会に強調いたしておきたいのであります。(拍手)この事柄は、少くとも自由党の諸君が、議会におけるみずからの審議権を冒涜し、國民の名において行うべき國会の権威を、みずからの多数をたのんだ暴力的行為によつて無視いたしたということにも相なるのでございます。(拍手)この事柄に対しましては、明日予算上程の際に、われわれ同僚から、國民の名においてさらに鋭い批判をすべき事柄になつておるのでありますが、この財政法に直接きわめて重大な関係がありますので、ここに最後に、私は自由党諸君に一大警告を発する次第であります。  以上の所見に基きまして、私ども日本社会党は、この財政法の一部改正はきわめて改惡のはなはだしいものであると断定いたしまして、断固反対の意を表明するものであります。(拍手
  46. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 河田賢治君。     〔河田賢治君登壇
  47. 河田賢治

    ○河田賢治君 私は、日本共産党を代表しまして、財政法の一部改正についての本法律案に反対の意見を表明するものであります。  第一に、今度の政府政策中心点がどこにあるかを國民におおい隠す目的があるのであります。言うまでもなく、予算は目的別と組織別とによつて出すが、その目的別において出すということは、これは民主自由党の前身である日本自由党、また当時の日本進歩党、國協党、これらの人々によつて賛成されたものであります。ところが、この目的別の予算が今度組織別に変更されるということは、たとえば公共事業費の問題あるいは終戰処理費の問題その他六・三制の問題、こういうはつきりとした予算の編成、また組まれたものが國民にはつきりとわかるものを、すつかりおおい隠して、そうして組織別の各官廳ごとの予算にもどそうとするもので、これは明らかに政府政策を隠蔽し、國民にこの審議をあいまいにする、こういう意図を持つておるのであります。  政府は説明において、この二つの種類の予算があるように考えておりますけれども、まだ國民に非常にこの予算の理解が困難である、こういう説明のもとに今度提案されたのでありまするが、しかしながら、これは明らかに欺瞞でありまして、今日六・三制の問題、公共事業費、こういうものの削減があるということが新聞に一たび発表されるや、各國民の間から、これに対するごうごうたる輿論が起つて参つたことによつても、この目的別の編成の問題がいかに國民の間にはつきりわかつているかということが言えるのであります。にもかかわらず、今日この予算編成を、また古いところの法律、あの旧憲法の法律のもとにもどして行こう、こういう態度に対して、私たちは第一に反対をするのであります。(拍手)  第二に、大藏大臣の権限強化によつて國会並びに各行政省の自主的な責任を侵害しておるという点であります。これはできる限り、川島議員からも話がありましたから簡單に述べまするが、御承知のように、今度の法案の第三十三條によりましても、議会において決定したものが、大藏大臣が承認する場合にはこれを移用することができる。しかし、大藏大臣が承認しないならばこの移用はできない。こういうふうに、國会が決定しましたものでも、大藏大臣一個の考えによつてこれをくつがえすことができる。こういう國会を無視したところの法律を今つくられつつあるのであります。このことは、先ほど問題になりましたように、暫定予算の提案に対しましても、この國会がまだ財政法審議を終らないうちに、この法律が通つたものと仮定して暫定予算が提出されたところにおいても、明らかに今日政府國会を無視しておるということが言えるのであります。  次に、行政各官省の予算の流用あるいは移用、こういう問題についても、大藏大臣が大きな権限を持つておるそのために、各行政官省の独立的な自主性がこれによつて脅かされておるのであります。これは会計法の今度の改正の中にも盛られておりますように、たとえば認証官の指定は大藏大臣に協議しなければならぬ、こういうことがあります。こういうふうに、認証官の任命にしましても大藏大臣の風下に立つて、他の各官省はこれによつて予算の執行をして行かなければならぬ。また本案についても、そういうふうにして、各官省ごとにおける各長官が、この予算に対する執行の責任をだんだんだんと持てないようにしているということ、こういうふうにして、今日ますます大藏大臣にこの権限が強化されている。この点が大きな問題であると思うのであります。  第三に、本改正案は新憲法精神にもとるということであります。これは御承知のように、この前この財政法が初めて議会に提出されました場合に、新しい憲法のもとにおいて、できる限り民主的に今後財政の運用をするという政府の説明のもとに、民主自由党の前身でありますところの日本自由党を代表しまして、杉田一郎委員は、二十二年三月二十四日の委員会において、新憲法の制定に即しまして、まことに妥当なものと認めます。原案通り日本自由党を代表して賛成するものである、こういうことを述べられており、また日本進歩党を代表して小野瀬忠兵衞委員は、日本進歩党を代表いたしまして、政府提出財政法案並びに会計法を改正する法律案に賛成の意を表しておるのであります。このようにして、当時の議会において全部賛成されたのでありますが、しかも今日、このようにして‥‥
  48. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 河田君‥‥
  49. 河田賢治

    ○河田賢治君(続) もうすぐです。このようにして、財政法案を新しい憲法に対して軽々しく変更するということ、この点については、民主党の荒木萬壽夫君もまた民主党を代表してこの改正案に反対しておられるのであります。ですから、私たちは、この新しい憲法精神を守るために、またわが党が予算の編成権は國会に持たなければならぬという建前から申しましても、かように財政法がますますます古い憲法の時代に逆行する、こういう法案に対して絶対に反対するものであります。(拍手
  50. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論を終局いたしました。  これより採決に入ります。まず財政法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  51. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  次に貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案金資金特別会計法の一部を改正する法律案会計法の一部を改正する法律案、右三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告は可決であります。三案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます     〔賛成者起立〕
  52. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  次に、酒類配給公團法の一部を改正する法律案昭和二十四年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期の特例に関する法律案、右両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  貿易公團法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  54. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、内閣提出貿易公團法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  55. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  貿易公團法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。商工委員会理事神田博君。     —————————————
  57. 神田博

    ○神田博君 ただいま議題となりました貿易公團法の一部を改正する法律案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を概要御報告申し上げます。  まず本案の趣旨につきまして御説明申し上げます。すなわち、昭和二十四年三月五日附日本政府あて連合國最高司令官覚書によりまして、食糧貿易公團及び原材料貿易公團は三月三十一日をもちまして廃止するとともに、これらの公團の從來取扱つて参りました業務のうち四月以降も存続を要することとなりましたものは、他の政府機関に移管すべきこと等が要請されたのであります。すなわち、食糧貿易公團及び原材料貿易公團を廃止いたしまするとともに、これらの公團の從來行つて参りました業務のうち三月末日までに未清算のものについては、四月以降も存続する貿易公團に引継いでなし得ることといたしたのであります。なお、廃止貿易公團の資産及び負債のうち六月三十日までに清算を完了せるものにつきましては、貿易資金特別会計におきまして一括承継いたしまして、その資産の有効利用及び負債の適正処理をはかることといたしたのでございます。以上申し述べました点が、この法律案提出の理由並びに改正の要旨であります。  本案は、三月二十八日に本商工委員会に付託せられまして、本日委員会を開きまして政府委員より提案理由を聽取いたしました後、早速質疑に入つた次第であります。  次に、質疑のおもなるものを申し上げますと、民主自由党村上勇委員より及び民主党小川半次委員よりそれぞれ失業対策の万全を期すべきであるとの意見の開陳あり、社会党今澄勇委員、共産党聽濤克巳委員よりは、爾今あらゆる公團が、今回の貿易公團の取扱いのごとく、突如として、かつ無慈悲に職員の大量馘首を行うことは、どうとても納得ができない、かつ解雇事前通告期間の一箇月をも認めざるは暴挙であるとの反対意見の開陳がございました。以上に対しまして、政府委員より、失業対策等については、政府側においても今後あらゆる機会に万全の努力を拂うこと、本公團以外の他の公團の今後の取扱いについては、いまだ結論に達していないこと、さらに退職金については、関係当局との折衝の結果三箇月と決定せる旨の答弁がありました。  次に討論に入りましたところ、民主自由党村上委員より、退職手当の増額、失業者の処置等に対し政府の一段の努力を要望して賛成する旨の意見があり、民主党永井委員より、馘首職員の今後に対する温情あるとりはからいをお願いしたいという希望を付しての賛成意見がありました。次に、社会党今澄勇及び共産党聽濤克巳委員より、退職金の過少、法案提出の期日の切迫、失業受入れ対策の無準備等の理由によりまして、それぞれ反対意見の開陳があつたのであります。次いで採決に入りましたところ、多数をもちまして原案通り決定いたしました次第であります。  右、御報告申し上げる次第であります。(拍手
  58. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。討論の申合せ時間は五分でありまするから、御了承を願つておきます。今澄勇君。     〔今澄勇君登壇
  59. 今澄勇

    ○今澄勇君 ただいま上程されました貿易公團法の一部を改正する法律案について、日本社会党を代表いたしまして反対の意見を述べるものであります。  公團の全面的な運営組織、あるいは今後のあり方については、現政府としては何らの定見なく、配炭公團法のごとく、ただ單に三箇月を延長して、その間に何らかの善後策を考えたいというような無定見な状態であることは、予算案その他のものをおしなべて現政府に一貫しておるところの態度であります。(拍手)  しかるに、なぜこの貿易公團法をもつて、三月三十一日を限つて公團を廃止しなければならないかという質問に対して、政府は、三月五日の関係方面のメモランダムによつてこれを行わなければならないという、まことに驚き入つた答弁であります。貿易公團の問題については、昨年の八月関係方面よりメモランダムが出て、これを二公團に減らしたらどうかということがあつたことは、御了承の通りであります。今日まですでに半歳になんなんとしておるのに、急にこの二公團だけを、そのように緊急に廃止しなければならないという。にもかかわらず、これが失業対策については何らの手も打たれておらない。  しかも増田官房長官は、公團関係の代表者の質問に、三月に入つてから失業対策その他を完備しなければ決して君たちの首を切ることはないと、明らかに言明しておられる。しかも、貿易公團の総裁もそれと同じ意味のことを言明しておられる。有田、松田商工両次官も、会見の席上において、こういう意見を述べておられるのである。なお、政府與党たる民主自由党においても、塚田政調副会長は、これら公團代表者に面会して、三箇月間これを延期してその対策を考えることが妥当であろうと言明しておるのである。しかるにもかかわらず、この法案を二十八日に衆議院に提案して、今日一日だけで委員会質疑を了して、ただちにこの本会議で、有無を言わさず絶対多数をもつて押し切り、二千七百名の失業者を生ぜしめようという態度のごときは、まことに多数を擁する横暴と言わずして一体何ぞや。(拍手)  われわれは、この公團法の一部改正の法律案の裏には、なお二点の疑問を抱くのであります。それはすなわち、中小貿易業者を抑圧し、大きな特手筋貿易業者の利益をはかるべく、これらの公團法の急速なる改正を行つたのではないかと存ぜられる点が第一点。しかも、さらにそれらの公團の二千七百人の者を急に首切つて、四月からどうなるかという見通しについては、政府責任者は、委員会において、四月一箇月は給料を與えて何とかこの連中を食いつながせなければ事務の上に大いなる支障を生ずることをおそれるという答弁でした。政府みずからが、四月において入つて來る船の荷揚げ並びに幾十万トンと数えられるストツクを持つておられるこれらの公團運営に大きな支障があるということを了承しておるにもかかわらず、いきなり今日この法律案を本会議に上程いたそうとするその態度の裏には、今後十二万の全國公團の從業員並びに全國のあらゆる勤労者の首切りの場合において、このような無慈悲な、情ない行為を繰返さんとする意図がひそんでおるものであると、断言せざるを得ないのであります。(拍手)  われわれは以上の二点の理由と—— さらに失業者に対しては、この失業者をいかなる方面に配置轉換するかという質問に対しては、失業者の配置轉換は考慮しておらないという答弁であります。しかも、貿易公團の裏門家を関係官職に吸收するという道は黙されておる。このような策をとらないこの法律の改正は、血も涙もなき、まことに無慈悲なる法律であり、このような法律を一挙に多数をもつて押し切らんとする政府與党は、まことに盲へびといわざるを得ないのであります。  かかる観点より、私は本案に反対の意を表する次第であります。(拍手
  60. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 次は橋本金一君。     〔橋本金一君登壇
  61. 橋本金一

    ○橋本金一君 私は、民主党を代表いたしまして、二、三の希望を付して賛成をいたします。  御承知のごとく、近く廃止の対象となつております各種公團は、いずれも三箇月間の廃止延期となつておるのであります。しかるにかかわらず、ただいま上程になりました食糧並びに原材料貿易公團に限りまして三月三十一日をもつて即時整理されることとなり、しかも整理せられる職員は、退職について一箇月の予告手当も與えられず、労働基準法並の退職慰労金をも認められぬのであります。かかる結果、整理の対象となる二千七百余名の職員は、生活の保障もなく街頭に放り出されなければならない結果と相なるのであります。今後整理せらるる公團関係者に、きわめて不安の感を與えるのであります。  政府は、ここに思いをいたされまして、これら職員に対し労働配置轉換の対策を立てるか、あるいは労働基準法並の処置をとらるることを強く希望いたしまして、本案に賛成をする次第であります。(拍手
  62. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 聽濤克巳君。     〔聽濤克巳君登壇
  63. 聽濤克巳

    ○聽濤克巳君 私は、日本共産党を代表いたしまして反対意見を開陳いたします。  第一には、すでに社会党の今澄君から表明されました通り本案内容になりまする從業員の生活保障について、ほとんど何らの手も打つていないということ。これはすでに四公團六千七百名のうち二千七百名の首切りを意味しておるのでありますが、さらに問題は大きうございまして、これは日本にある全公團、十五公團の從業員十二万余名の運命をすでに暗示しておる問題でございます。さらにもう一言加えまするならば、民自党内閣が計画しておりまするところの行政整理の先がけをなすものと考えられます。しかも、かかる重大な從業員の生活の問題について何らの保障を與えることのない無慈悲なやり方は、やがて來らんとする行政整理がいかに無慈悲に敢行されるかを明白に物語つておる。これは、日本における重大なる社会不安を挑発するところの、日本再建を妨害する重大なる行為とならざるを得ないのであります。(拍手)  さらに第二には、この公團廃止には、日本におきまする大貿易業者が外國商融と直接取引することにより、日本における貿易市場を独占しようとする大きなたくらみがはつきり現われておるのである。公團は、すでに日本の大独占資本と官僚とが過去二年有余にわたりまして巧みにこれを利用して参りましたが、今日におきましては、これら独占資本は、政府の庇護のもとにたくわえて参りましたこの大きな実力を利用しまして、今では公團をむしろじやまものにいたしまして、これを撤廃して、そうして自由に中小工業を圧迫し、中小企業を圧迫して日本の市場を独占しようという、明々白々たる計画に基いて行われておると考えられるのであります。日本公團廃止というこの民自党内閣のやり方は、今強行されつつありまする集中生産方式と並行いたしまして、日本の中小企業を全滅させ、そうしてあらゆる美名のもとに事実日本の産業を大独占資本の手中にゆだねようとするところの、一つの陰謀であると考えるのであります。このゆえに、第二点としまして、私はこの案に絶対に反対せざるを得ないのであります。  第三点としましては、この公團の廃止・縮小に伴いまして、公團の資産の問題について、いかなる処置がとられるかが重大な問題であります。すでにいろいろな問題がありますが、この中でも、この公團の持つておりまする未回收金の状態かどうなつておるか。これはすでに莫大なものがあると傳えられております。さらに、不良品の名のもとに國内向けに拂い下げようとするところの物資も莫大に上つていると傳えられておる。政府委員委員会において報告したところによりましても、鉱工品公團におきましては、すでに滞貨は三十億円に上り、このうち輸出向けは二十七億、國内向けとして十一億があると発表しておる。さらに繊維公團におきましても四百十億の滞貨があり、そのうち輸出向けとして三百億、内需向けとして百十億があるという数字を発表しております。これらは、この不良品拂下げ問題の内容を暗示するものであると考えられます。さらに價格差益金の保留金がどう処理されるであろうか。こういう大きな問題をそのまま伏せておいて、公團の廃止・縮小をたくらむがごときことを行うならば、過去の経驗によりましても、おそらくは、先日きまりました考査委員会にかかるべき重大なる不正行為の発生するおそれがあるのであります。(拍手)  しかも第四点としましては、さらに三月三日付の日本経済新聞が報道しているところによりますれば、公團の組織を一本に統合して日本通商産業公社なるものをつくり上げようと政府は計画していると報道されております。しかるに政府委員は、これについて何らの言明をすることをも回避いたしました。しかしながら、これはすでに鉄道公社問題、專賣公社問題などとからみまして、実に日本産業の重大なる方向を示すものである。
  64. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 時間が参りました。
  65. 聽濤克巳

    ○聽濤克巳君(続) もうすぐ済みます。それでは結論に移ります。  以上のような理由によりまして私は反対するのでありまするが、最後にもう一点申し上げますならば、こういう重大な案件が二十八日に委員会に付託され、三十日の今日これが審議されまして、そうして四月一日に二千七百名を首切ろうという暴戻なやり方であることを、私は強く反対せざるを得ないのであります。しかも、この委員会におきまして、民自党も民主党の各委員も、すでに事実は反対を表明していたりであります。それにもかかわらず、採決の段になると多数をもつて決定したのは、まさに党利党略による政治が行われている証拠として、私は断じて認めることのできないところであります。  以上をもつて私の反対討論を終ります。(拍手
  66. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  67. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  明三十一日は午後二時より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後七時二十八分散会