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1949-06-24 第5回国会 衆議院 法務委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月二十四日(金曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 小玉 治行君    理事 田嶋 好文君 理事 高木 松吉君    理事 梨木作次郎君 理事 吉田  安君       鍛冶 良作君    古島 義英君       眞鍋  勝君    武藤 嘉一君       猪俣 浩三君    田万 廣文君  委員外出席者         証     人         (横浜市警察局         巡査)     榊  清史君         証     人         (横浜警部         補)      平林  昇君         証     人         (横浜加賀町         警察署長)   佐野 幸康君         証     人         (明治商会社         長)      岩山 明正君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君 六月二十四日  理事金原舜二君の補欠として角田幸吉君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  横浜地檢問題に関する件     —————————————
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  本日は第五國会に引続きまして、横浜地檢問題について証言を求めたいと存じます。本日出頭された方々榊清史君、平林昇君、佐野幸康君、以上三名であります。なおこの際申し上げますが、後藤つぎ君は病氣のため出頭できない旨、診断書をもつて申出がありましたことを御報告申し上げておきます。岩山明正君もいまだ來られておりませんので、この点も申し添えておきます。  証人となられる方々に申し上げます。皆さん本日は御苦労でした。本調査は御承知のように憲法第六十二條に基く國政調査権によつて行うものでありまして、横浜地方檢察廳職員に、はたして世に宣傳せられているように綱紀紊乱があつたかどうか、もしあつたとすればその原因は何であるか。またその行政上の責任はどこにあるかを調査し、もつて取締官憲のこの種不祥事件の発生を未然に防止し、檢察の威信保持に資せんとするものであります。從いまして職員の犯罪を捜査、摘発することをその主たる目的とするものでないことを、あらかじめお断りしておきます。事柄は、檢察権行使明朗化民主化ないしは治安維持の根本にかかわる問題でありますから、証人の自由な良心的御協力を望んでやまない次第であります。  それではこれより証人方々証言を求めることといたしますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げておきます。  昭和二十二年十二月三十日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせねばならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三内親等の姻族または証人とこれらの親族関係ありたる者及び証人の後見を受ける者の刑事上の訴追、また処罰を招くおそれのある事項、あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祈祷の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務知つた事実であつて、默祕すべきものについて、尋問を受けたときに限られております。それ以外には、何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつております。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  榊清史君に代表して宣誓書の朗読をお願いいたします。     〔証人榊清史君各証人を代表して宣誓
  3. 花村四郎

    花村委員長 それではお手元にお配りしてある宣誓書署名捺印をお願いいたします。     〔各証人宣誓書署名捺印
  4. 花村四郎

    花村委員長 次に証言を求める証人順序を申し上げます。榊清史君、平林昇君、佐野幸康君の順序証言を求めることといたしますから、榊清史君以外の方は、証人控室においてお待ちをお願いいたします。  それではこれより榊清史君から証言を求めることにいたします。  榊清史君ですか。
  5. 榊清史

    榊證人 はい。
  6. 花村四郎

  7. 榊清史

    榊證人 二十五歳であります。
  8. 花村四郎

    花村委員長 職業は。
  9. 榊清史

    榊證人 横浜巡査であります。
  10. 花村四郎

    花村委員長 現住所は。
  11. 榊清史

    榊證人 横浜市戸塚区矢部町九七番地。
  12. 花村四郎

    花村委員長 今の勤務場所に勤務せらるるに至つたのはいつからですか。
  13. 榊清史

    榊證人 今年の六月十五日付の辞令で、伊勢佐木警察署外勤係に命ぜられました。
  14. 花村四郎

    花村委員長 あなたは前会衆議院証人に呼ばれたことがございますね。
  15. 榊清史

    榊證人 はあ、あります。
  16. 花村四郎

    花村委員長 この件に関して。
  17. 榊清史

    榊證人 はあ。
  18. 花村四郎

    花村委員長 それで証人國会に出られたことについて、何ら上司から聞かれたことがありますか。
  19. 榊清史

    榊證人 はあ、あります。
  20. 花村四郎

    花村委員長 それはどういうことですか。
  21. 榊清史

    榊證人 それは五月二十三日にこちらで証言をしまして、署の方に帰つてから、すぐ平林主任から報告書を出せと言われました。それで最初出さなければいけないのですかと私は聞きましたが、君も公務員だから出せというので、自分罫紙走り書尋問事項を書いて出しました。そうしたら主任は、その報告書署長あての名で書いてくれ、そういうふうに言われましたから、だから自分はちよつと考えておきますと——最初出しておきましたが、署長あて報告書を出せと言われたもので、平林主任にまた何か策動か何かされると思いましたから、少し考えておくと、そういうふうに自分言つておきました。
  22. 花村四郎

    花村委員長 その報告書というのはどういう意味ですか。
  23. 榊清史

    榊證人 その主任さんが署長さんに報告して、署長さんがまた局長さんに内容を知らせなければわからないというわけで、自分に出せと言つたのであります。
  24. 花村四郎

    花村委員長 この本委員会において尋問を受けたについて答弁をした。その答弁の詳細を出せと、こう言うのですか。
  25. 榊清史

    榊證人 はあ、そうでございます。
  26. 花村四郎

    花村委員長 それであなたの出したというのは、調べられた尋問事項の大要を出したのですか。
  27. 榊清史

    榊證人 はあ、そうであります。
  28. 花村四郎

    花村委員長 そうしたところが、それではいかぬというわけですね。
  29. 榊清史

    榊證人 はあ。まあ、署長あて報告書樣式で書いてくれと言われたので、私は、自分最初は出す氣でおつたですが、署長あてに出せと言われたので、また平林主任から策動でもされるのだと思つて、出さなかつたのです。
  30. 花村四郎

    花村委員長 策動されるというのはどういう意味ですか。
  31. 榊清史

    榊證人 その前からとかくうまく行つていなかつたのであります。
  32. 花村四郎

    花村委員長 この前のときに、本委員会証人として出て証言をするについて、何か指図でもあつたのですか、そういうことはありませんか。
  33. 榊清史

    榊證人 警察の方からですか。
  34. 花村四郎

    花村委員長 警察の方から……。
  35. 榊清史

    榊證人 別にありません。
  36. 花村四郎

    花村委員長 なかつた
  37. 榊清史

    榊證人 はあ。
  38. 花村四郎

    花村委員長 それから報告書を出しませんでしたか。
  39. 榊清史

    榊證人 はあ、結局少し考えておきますと言つて、結末は出しませんでした。
  40. 花村四郎

    花村委員長 それでその報告書を出さなかつたために、その当時勤めておつた警察からほかに左遷されたのですか。
  41. 榊清史

    榊證人 まあ結局報告書上司の命に服せず、考えておくといつて出さなかつたので、とにかく証言してから署の方へ帰つて、すぐ平林主任新聞に報道されたのを見て、榊の偽証じやないかと、さんざん難詰されたわけです。
  42. 花村四郎

    花村委員長 偽証じやないかということで難詰をされたのですか、それはたれからですか。
  43. 榊清史

    榊證人 それは平林主任からです。
  44. 花村四郎

    花村委員長 その難詰したのは、どういう意味ですか。
  45. 榊清史

    榊證人 後藤つぎから事実電話がかかつて來たのですが……。
  46. 花村四郎

    花村委員長 後藤つぎからたれにですか。
  47. 榊清史

    榊證人 平林主任にです。そうすると平林主任は、何年何月何日さような電話が來たか言つてみろと、私にこう言うのです。自分記憶はないから月日は忘れましたが、かかつて來たことは、自分受取つたから事実だと、國会行つて自分証言した、そういうことをはつきり言つたわけです。
  48. 花村四郎

    花村委員長 そうすると、この前の本委員会証人として、後藤つぎから平林主任電話がかかつたことを証言した、その証言について、そういう証言をしたのはけしからぬと言つたわけですか。
  49. 榊清史

    榊證人 結局偽証で、ありもしないことを言つたり、ああいう席上でとやかく言うのはどうかと思うというようなことを自分言つた
  50. 花村四郎

    花村委員長 それであなたは何と言われましたか。
  51. 榊清史

    榊證人 自分は結局うそついたり、よけいなことを言うたら、自分偽証になるのだから、自分は刑務所に行くようになるのだからと、そこで一時間くらい話したわけです。
  52. 花村四郎

    花村委員長 それでそういうような関係から、今勤めておる所へ左遷をされた、こういうわけですか。
  53. 榊清史

    榊證人 結局報告書上司の命に服さず出さなかつたのですが、それと何だかんだ、榊君は風紀を紊すとか、しきりに言われております。それから伊勢佐木の方へ発令になつて、十六日に警部さんのところへ申告しましたが、そのとき、君は監察か何かに調べられたかと問われましたから、自分は惡いことは絶対しておりません。そう言つたら、さつそく加賀町の警部さんの方へ電話をかけまして、電話で何か話していまして、伊勢佐木警部さんが、今度横浜地檢の問題で榊君の証言したことが相当警察を騒がしたようだから、とにかく外勤をやつてくれ、そういうふうに自分は言われました。
  54. 花村四郎

    花村委員長 今勤めている伊勢佐木署のたれですか。
  55. 榊清史

  56. 花村四郎

    花村委員長 署僚警部ですか。それで外勤をやつてくれという話だつたのですか、今の理由で。
  57. 榊清史

    榊證人 はあ。
  58. 花村四郎

    花村委員長 今外勤をやつておるのですか。
  59. 榊清史

    榊證人 その後轉任になつてから、おふくろが今月一ぱい医者診断によると持つか持たぬかわからぬというので、ずつと口頭で連絡して休んでいるわけです。
  60. 花村四郎

    花村委員長 今言われた以外に、何か上司から前に本委員会に出て証言したことについて話がありましたか。
  61. 榊清史

    榊證人 結局その報告書の件で、最初平林主任報告書樣式にして出せというので、しばらく考えておく。五、六回か言われましたが、自分はしばらく考えておくと言つておきまして、その後晝過ぎから署長さんがお呼びだというので、自分は行つたわけですが、そうしたらやはり平林主任と同じようなことを署長さんが言われまして、やはりとにかくしばらく考えておきます。そういうふうに自分言つて、結局出さなかつたわけです。
  62. 花村四郎

    花村委員長 その署長に呼ばれたのは、いつかね。
  63. 榊清史

    榊證人 五月の二十四日か五日だと思います。それで署長さんも、むりに報告を強制しないからというようなことも、ちよつとつけ加えて言つておりました。
  64. 花村四郎

    花村委員長 何か御質疑がありますか。
  65. 猪俣浩三

    猪俣委員 いつだつたか私も日を忘れたが、最初加賀警察署行つて、あなたにいろいろなことをお尋ねしたことがありましたね。
  66. 榊清史

    榊證人 あります。
  67. 猪俣浩三

    猪俣委員 そのときにわれわれが言つたことを、平林あとで知りましたか。
  68. 榊清史

    榊證人 それはこの前第一回の現地調査に出張なされたときは、四月三日です。ちようど日曜日で、自分は当直で朝から勤めていますと、その日に限つて平林主任とか、ほかの経済係監督者も全部出て來たわけです。それで晝ちよつと過ぎになつて、こちらの方々がお見えになつたとき、ちようど諸岡部長がおつたわけですが、それで自分も名刺を出されたり何かして驚いて、すぐ三階に上つて訓授室でお話したわけです。それからその翌日になつて平林主任に、昨日は当直異状ありません。そういう報告をしますと、異状ないわけはない、昨日はだれか來なかつたか、そういうふうに聞かれまして、実は國会の方から何か自分に聞きたいことがあると言つて來ました。自分はそのときは、はつきりこれこれとは主任に話しておきません。こういう個人の問題でなく、署の問題だから、とにかく一應主任に話さなければ困るじやないかと、自分はそのときにさんざん怒られて、ほかのいろいろな件で、とにかく半日小使部屋に入つて主任といろいろな話をしたわけです。
  69. 猪俣浩三

    猪俣委員 その日は主任に話をしないで、ぼくらに直接会つたことはけしからんといつて怒られたわけですか。
  70. 榊清史

    榊證人 はあ。
  71. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういうことを聞かれたとか、どういう話をしたとかいうことを聞かれたのですか。
  72. 榊清史

    榊證人 それはどういうことを聞いたか、そういうふうに言われましたから、自分日本タイヤー記録自分が編纂をして、それで受付の判は自分のが押してありますから、記録の件だけを聞きに來ました。そういうふうに平林主任言つておきました。
  73. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、それはぼくらがたずねて行つたときに、ただちにこういう人間がたずねて來たが、これに会おうかどうかということを平林君に相談しないのがよろしくない、相談して後に会え、こういう意味なんですか。
  74. 榊清史

    榊證人 そうです。
  75. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから今の委員長尋問に対しての答えであるが、ここの証言終つて帰ると、その日平林が、どういうことを言うたか報告しろ、こう言つたのですか。
  76. 榊清史

    榊證人 はあ、そうです。
  77. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたはそのときに、口頭では何か言うたのですか。言わなかつたのですか。
  78. 榊清史

    榊證人 口頭では、最初報告しろと言いましたから、出さなければいけないのですか、そういうふうに言いましたら、君も公務員だし、職務知つたことであるから、署長さんに報告するあれがあるから、すぐ出せ、そう言われまして、自分も考えて、とにかくこれは出さぬといかぬと思つて罫紙尋問事項を全部書いて、一回出したわけです。そうしたら、その罫紙に書いたものを見て、これは署長あて報告書樣式で出せ、そういうふうに主任は言われましたので、これはまた何かやられると思つて自分はしばらく考えておく、そういうふうに言つておきました。
  79. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから平林新聞か何かを読んで、君は偽証していると言うて怒つたというのだね。
  80. 榊清史

    榊證人 はあ。
  81. 猪俣浩三

    猪俣委員 今の偽証と言うて怒られた点は、どういうことなんですか。いま一ぺん詳しく……。
  82. 榊清史

    榊證人 結局後藤つぎからいつ電話がかかつて來たか、それも、ありもしないことをああいうところで言うことは偽証じやないか……。
  83. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、電話がかかつて來たことがないというのが平林の主張だね。
  84. 榊清史

    榊證人 そうです。
  85. 猪俣浩三

    猪俣委員 それをかかつて來たと言うのは、偽証だというのですね。確かにかかつて來たことはあるのかね。
  86. 榊清史

    榊證人 確かにあります。
  87. 猪俣浩三

    猪俣委員 それが後藤つぎということがどうしてわかつたのですか。後藤つぎという名前を言つたか。
  88. 榊清史

    榊證人 結局若い人の声でなくて、年寄りで、平沼後藤ですがと言つて……。
  89. 猪俣浩三

    猪俣委員 平沼後藤言つて年寄りの女の声で……。
  90. 榊清史

    榊證人 はい。
  91. 猪俣浩三

    猪俣委員 それだから、あなたの記憶として、例の後藤だと思つたわけだね。
  92. 榊清史

    榊證人 はい。それもこの問題が起きる以前に、自分電話受取つたことですから……。それから聞くと、とにかくこの前証言しましたようなことを電話で話しました。
  93. 猪俣浩三

    猪俣委員 もう一應確めておきたいけれども、そのときに、平林さんはいるかと言うてかかつて來たのか、昇さんはいるかと言うてかかつて來たのか……。
  94. 榊清史

    榊證人 昇さんおりますか、と言つてかかつて來ました。
  95. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは間違いないですね。
  96. 榊清史

    榊證人 はい。
  97. 猪俣浩三

    猪俣委員 それで君の記憶には、昇さんと言うたから、君はすぐ平林だということを直感したのですか。
  98. 榊清史

    榊證人 自分はすぐ直感しました。それで、主任さんの奥さんつたら、そういうことを言うわけはないし、おかしいなと言つたから、どなたですかと言つたら、平沼後藤ですと言つたのです。
  99. 猪俣浩三

    猪俣委員 最初に昇さんおりますか、こう言つてかかつて來た、それでよほど親しい人か何かであろうと考えたので、あなたはどなたですかと聞いたのですか。
  100. 榊清史

    榊證人 そうです。
  101. 猪俣浩三

    猪俣委員 奥さんじやないというのは、どうしてわかりましたか。
  102. 榊清史

    榊證人 結局、どなたですかと聞き返すと、平沼後藤です。昇さんはおられますか、そういうようにかかつて來ました。
  103. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、いろいろ電話がかかつて來るが、君がそれをはつきり記憶しておることは、そういういきさつがあるから特にはつきり覚えておるのですか。
  104. 榊清史

    榊證人 そうです。
  105. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで平林さんについて、昇さんという電話がかかつて來ることは、ほかにもありましたか、家族以外で、あなたの経驗上
  106. 榊清史

    榊證人 ほかには自分受取つたことはありません。
  107. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは一回ですか、あなたが受継いで出たのは。
  108. 榊清史

    榊證人 自分がじかにとつたのは一回で、そのほか二、三回かかつていると思います。
  109. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはどうしてわかりますか。
  110. 榊清史

    榊證人 それはやはり口調で、おばちやんとか何とか、主任はさんざ言つておりました。
  111. 猪俣浩三

    猪俣委員 おばちやんからかかつて來たということを、主任自身が口で言つてつて、それが後藤おばちやんとあなたは思つたわけですね。
  112. 榊清史

    榊證人 そうです。
  113. 猪俣浩三

    猪俣委員 一体後藤つぎのことを、加賀町あたりでは警察ばあさんとか言つておりましたか。
  114. 榊清史

    榊證人 自分は全然氣がつきません。
  115. 猪俣浩三

    猪俣委員 おばちやんということは、どうして後藤だと君は思つたのですね。
  116. 榊清史

    榊證人 結局最初は昇さんいますかとかかつて來ましたから、どちらですかと言うと、平沼後藤ですと言うから、主任さん、お電話ですと言つて渡すと、おばちやんですかと言つて話しておりました。
  117. 猪俣浩三

    猪俣委員 平沼後藤おばちやんのことを言うのだと、あなたは思つたのですね。
  118. 榊清史

    榊證人 はい。
  119. 猪俣浩三

    猪俣委員 その後おばちやんから電話が來たというのは、ほかの人が取次に出たときに、そのほかの人が平林さんに、おばちやんから電話が來たと言うたのでわかつたのか、あるいは平林自身おばちやんから電話がかかつて來たと言うたのでわかつたのか、どちらです。
  120. 榊清史

    榊證人 そのあとの方です。
  121. 猪俣浩三

    猪俣委員 平林自身がそう言うたのですか。
  122. 榊清史

    榊證人 はい。
  123. 猪俣浩三

    猪俣委員 二、三回ある。
  124. 榊清史

    榊證人 はい。
  125. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはいつごろ……。
  126. 榊清史

    榊證人 一番初めは去年の秋時分です。秋か秋少し前かもしれませんが。それから次にかかつて來たのは、ことしの初めから、やはり三月以前くらいだと思います。
  127. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、それがかかつても來もせぬのに、かかつて來たなんて言うのは偽証だ、こういつてつたのですか。
  128. 榊清史

    榊證人 はい。
  129. 猪俣浩三

    猪俣委員 それからいま先委員長の質問に対して、あなたの答弁の中に、ああいうところでいろいろしやべるのはけしからぬ、こう言つた、こういうふうに聞いたが、そうですか。
  130. 榊清史

    榊證人 結局後藤つぎ電話の件とか、もう一つ日本タイヤー事件本部で半年くらい、主任が言うのには二箇月、本部からやるからというので書類を出したと言つておるのですが、自分はそのいきさつは知らぬのですが、とにかく四月ごろと、九月、十月ごろまでやつてなかつたということは事実です。そういうことは榊君は知つておるのか。自分は、その本部にあつたかどうかいきさつは知らないですが、とにかく四月から九月か十月ごろの間やつてないと私は証言したと、そのときついでに言つておきました。
  131. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、自分としては本部が調べたかどうか知らぬが、とにかく四月ごろ一回事件を取上げて捜査しながら、九月ごろまでほうつておいたという自分には記憶があるから、その旨答弁した。こう言つたんですね。
  132. 榊清史

    榊證人 そうです。
  133. 猪俣浩三

    猪俣委員 それに対して平林は、それがけしからぬというのですか。
  134. 榊清史

    榊證人 結局そういうはつきり知らないことを、どうしてああいうところで言うのか、それでまた本部にも課長とか主任とか証人がおるから、証人をつれて來てもいい、そういうように証言から帰つて翌日かその次の日に、私は難詰されました。
  135. 猪俣浩三

    猪俣委員 君としては四月の第一回の捜査をやつてから、第二回の捜査は九月ごろということははつきりわかつてつたんですか。
  136. 榊清史

    榊證人 はつきりわかつております。
  137. 猪俣浩三

    猪俣委員 わかつておることに対して、ああいうところでそういうことをしやべつたのはけしからぬという言葉になつた……。
  138. 榊清史

    榊證人 そうです。
  139. 猪俣浩三

    猪俣委員 それからなお今のあなたの答弁の中で確かめておきたいが、今回伊勢佐木署に移された原因一つとして、平林風紀を乱した点があるというようなことを言つたのか。
  140. 榊清史

    榊證人 言いました。
  141. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういうことです、風紀を乱したというのは。
  142. 榊清史

    榊證人 結局最初四月三日にこちらの方が現地調査に來られても、署のことであつて報告をしないとか、証言報告書を出さないとか、とにかく榊君は檢察廳事務官の何か、横浜市の巡査か何か、とにかく部屋からだんだん離れて行くような氣がするとか、とにかくこういう團体生活を乱して行くようなやり方をする、そういうふうにしばしば言われました。
  143. 猪俣浩三

    猪俣委員 團体生活を乱して行くようなやり方をするということだね。
  144. 榊清史

    榊證人 はあ。
  145. 猪俣浩三

    猪俣委員 君がここに來て証言したり、われわれが調査に行つたとき会つてしやべつたりすることが、結局團体生活を乱すような、風紀を乱すようなことだというので、君を責めたわけですね。
  146. 榊清史

    榊證人 はあ、そうです。
  147. 猪俣浩三

    猪俣委員 前にあなたがここで証言した時分は、加賀警察経済係をやつてつたのかね。
  148. 榊清史

    榊證人 そうです。
  149. 猪俣浩三

    猪俣委員 伊勢佐木署にやられたことが左遷になるのか、栄轉になるのか、あるいはかわらぬのか。
  150. 榊清史

    榊證人 結局警察の資格としては同等くらいですが、経済係を免ずるということは、自分にはどうも納得が行かないのですが……。
  151. 猪俣浩三

    猪俣委員 経済係を免ぜられて——経済係は普通の背廣を着ているのだね。
  152. 榊清史

    榊證人 はあ。
  153. 猪俣浩三

    猪俣委員 それを免ぜられて、今度は官服を着て外勤係ということになると、法制上の建前でなくして、実際上としては非常な左遷になるのか。
  154. 榊清史

    榊證人 結局栄轉とは言えないわけです。
  155. 猪俣浩三

    猪俣委員 栄轉とは言えないが、普通警察官の常識として左遷されたということになるわけですね。
  156. 榊清史

    榊證人 結局そういうことになります。
  157. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、経済係として何かしくじつたようなことがある場合には、結局そういう取扱いをするのが普通だね。
  158. 榊清史

    榊證人 はい、そうです。
  159. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで伊勢佐木署では、あなたが何か経済係として職務上不都合なことがあつて伊勢佐木署へまわされたと、署僚警部が思つたわけだね、最初は。
  160. 榊清史

    榊證人 そうです。
  161. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで加賀町へ電話をかけて聞いてみたわけですね。
  162. 榊清史

    榊證人 そうです。
  163. 猪俣浩三

    猪俣委員 だれに電話をかけたのですか。
  164. 榊清史

    榊證人 加賀町の大久保署僚警部さんです。
  165. 猪俣浩三

    猪俣委員 大久保という人は何をやつている人ですか。
  166. 榊清史

    榊證人 署僚警部さんです。
  167. 猪俣浩三

    猪俣委員 主任というような意味ですね。
  168. 榊清史

    榊證人 そうです。
  169. 猪俣浩三

    猪俣委員 その電話はどういう電話をかけたのですか。
  170. 榊清史

    榊證人 結局伊勢佐木署署僚警部さんが、榊君はどういうわけでこつちに來たのか。自分はそばに立つて聞いておりましたが、二人で話していることは全然わからないのですが、とにかく榊君はどうしたのだと、しばらく電話で話しておりましたが、電話終つてから、榊君も別に懲戒処分も受けていないし、勤務成績も惡くないし、とにかく今度の地檢の問題で國会行つて証言したことが、たまたま警察を騒がしたというか、その点はつきり知らないのですが、証言したのがあまり法外のことを言つたから、これは世の中が惡いのであるから、とにかくしばらく外勤をやつていてくれ。それで自分も、それじやあやりますから、そう言つて帰つて來ました。
  171. 猪俣浩三

    猪俣委員 伊勢佐木警察署僚警部の名前はわからないですか。
  172. 榊清史

    榊證人 永島です。
  173. 猪俣浩三

    猪俣委員 永島から大久保電話をかけて、それでやつたわけですね。
  174. 榊清史

    榊證人 はあ。
  175. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこであなた自身の現在の心境として、國会へ來ていろんな証言をしたり何かしたために自分左遷されて、非常に残念だという氣持かどうか。
  176. 榊清史

    榊證人 自分は心外にたえないです。
  177. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、いわゆる左遷されたような理由は、國会に來て証言した以外に何もないのですね。
  178. 榊清史

    榊證人 ほかにありません。
  179. 猪俣浩三

    猪俣委員 よろしゆうございます。
  180. 花村四郎

    花村委員長 ほかにありませんか。——なければこれで済みました。御苦労さまでした。ちよつと速記を待つてください。     〔速記中止〕
  181. 花村四郎

    花村委員長 速記を始めてください。  この程度で休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後一時十八分開議
  182. 花村四郎

    花村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際お諮りいたしたいことがあります。去る六月二十二日、委員金原舜二君が委員を辞任せられ、その補欠として角田幸吉君が議長の指名で補欠選任せられたのでありますが、委員を辞任せられた金原君は理事でありましたので、理事の補欠選任を行わねばなりませんが、理事の補欠選任は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 花村四郎

    花村委員長 御異議がなければ、角田幸吉君を理事に御指名いたします。
  184. 花村四郎

    花村委員長 これより午前に引続き証人より証言を求めますが、この際岩山明正君が來られましたことを御報告申し上げておきます。
  185. 猪俣浩三

    猪俣委員 榊君にちよつと一点聞きたいことがあるのですが、もう一度ちよつと……。
  186. 花村四郎

    花村委員長 猪俣委員より榊清史君にお尋ねしたいことがあるそうでありますから、供述台にお立ちを願います。
  187. 猪俣浩三

    猪俣委員 横浜の自治体警察警察局長というか、警察長というか、小林という人がありますね。
  188. 榊清史

    榊證人 はあ、あります。
  189. 猪俣浩三

    猪俣委員 この小林局長が横浜の自治体警察職員を集めて訓授をしたことがありますね。
  190. 榊清史

    榊證人 はあ、あります。
  191. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはいつごろですか。
  192. 榊清史

    榊證人 四月三日の現地調査に來られて後間もなくでありますが、日にちははつきり覚えてないのです。
  193. 猪俣浩三

    猪俣委員 四月三日の当法務委員会現地調査の後、間もなくですね。
  194. 榊清史

    榊證人 はあ、そうでございます。
  195. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういう内容の訓授をしたのですか。
  196. 榊清史

    榊證人 警察で総合査察がありまして、局長さんが訓授された。その内容は、結局巡査の中に、内部の恥を外部へさらけ出しておる者がおるから、そういうのは注意しなければいかぬ。そういうことでありました。
  197. 猪俣浩三

    猪俣委員 内部の恥を外部にさらけ出しておるものがあるから、注意しなければならぬという訓授があつたのですね。
  198. 榊清史

    榊證人 はあ。
  199. 猪俣浩三

    猪俣委員 それを証人も聞きましたか。
  200. 榊清史

    榊證人 自分はその場ですわつて聞いておりました。
  201. 猪俣浩三

    猪俣委員 聞いておつたのですね
  202. 榊清史

    榊證人 はあ。
  203. 猪俣浩三

    猪俣委員 その後証人加賀警察署へ帰つたときに、平林から何か言われましたか。
  204. 榊清史

    榊證人 はあ、言われました。
  205. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういうことを言われましたか。
  206. 榊清史

    榊證人 結局、榊は局長の訓授を聞いたか。自分は、聞きました。そう言うと、あの訓授は榊君のことを言つておるのだ。そういうふうに言われましたので、ああそうですか。自分は心外にたえませんでしたが、その場はああそうですかと言つて打切つて、また仕事に手をつけておりました。
  207. 猪俣浩三

    猪俣委員 その程度ですね。
  208. 榊清史

    榊證人 そうです。
  209. 猪俣浩三

    猪俣委員 あれは榊のことを言つておるのだがと言うた程度で、その日は收まつたのですか。
  210. 榊清史

    榊證人 はあ。
  211. 花村四郎

    花村委員長 それはどこで訓授したのですか。
  212. 榊清史

    榊證人 加賀警察の三階の訓授室であります。
  213. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その訓授が済んだあとかで、平林主任があなたに、どうも榊は共産党らしいというようなことを言つて、何か難詰したようなことはありますか。
  214. 榊清史

    榊證人 はあ、あります。
  215. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どういうことを言つたのですか。
  216. 榊清史

    榊證人 それは、結局警察の内部のことですが、監察の問題とか、四月三日に現地調査に來られたとき、自分言つたこととか、した行動について、どうも榊は共産党らしい。署長さんも局長さんもかんかんになつてつておる。わたしも署長さんから注意をしろと言われた。そういうふうに自分を難詰しました。それから自分はその後研修所へ行けと平林主任に言われましたが、自分は家庭の事情が少しあつて、少し延ばしてくれ、そういうふうに言いましたら、これは、事はこういうふうに大きくなつて行つておるから、わしの一存に行かぬから、とにかく署長さんにもう一回意見を聞いてみる。わしも署長さんに……。
  217. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこまででいいです。そうすると、こういうことですか。あんたが共産党らしいということで、署長がかんかんに怒つておる、こういうことですか。
  218. 榊清史

    榊證人 そうです。
  219. 梨木作次郎

    ○梨木委員 よろしゆうございます。
  220. 花村四郎

    花村委員長 それでは済みました。御苦労さん。  平林昇君ですな。
  221. 平林昇

    平林證人 そうであります。
  222. 花村四郎

  223. 平林昇

    平林證人 三十四才であります。
  224. 花村四郎

    花村委員長 住所は。
  225. 平林昇

    平林證人 横浜市中区吉野町三丁目五十番地。
  226. 花村四郎

    花村委員長 職業は。
  227. 平林昇

    平林證人 警察吏であります。
  228. 花村四郎

    花村委員長 どこの警察に、いつからいつまで勤めておりますか。
  229. 平林昇

    平林證人 横浜加賀警察署に、昨年の二月から現在まで。
  230. 花村四郎

    花村委員長 この前当委員会に、証人として出頭されたことがありますね。
  231. 平林昇

    平林證人 あります。
  232. 花村四郎

    花村委員長 あなたは榊清史という人を御承知ですね。
  233. 平林昇

    平林證人 知つております。
  234. 花村四郎

    花村委員長 どういう関係で知つておりますか。
  235. 平林昇

    平林證人 榊君は横浜巡査を拜命して、加賀町署に参りまして、外勤をしておりました。私の方の課員として助勤に使つておりました。そのうちに非常によくやるものですから、経済の事務員としての辞令をもらつて、引続いて六月の十五日まで勤務して参りました。その関係で知つております。
  236. 花村四郎

    花村委員長 そうすると、あなたの部下として加賀町署で働いておつたわけですね。
  237. 平林昇

    平林證人 そうであります。
  238. 花村四郎

    花村委員長 勤務ぶりはどうでした。
  239. 平林昇

    平林證人 最初は非常にまじめでありましたが、だんだん勤務がふまじめになりまして、欠勤等は月に四回ないし五回無断で欠勤をして、出て來ても何も言わないというような状態がしばしばあり、また書類の編纂等も、責任観念が非常に薄くて、経済の事件の書類を扱つても証拠品を紛失したり、そういうことがたびたびありました。それからかつぎ屋など、食糧管理法違反等の軽微な被疑者に対しても手錠をはめたり、場合によつてはこれを毆打したりするようなこともしばしばありましたから、その都度懇切に指導をして参りましたが、反省の余地は全然認められませんでした。
  240. 花村四郎

    花村委員長 それでそういう行為に対する何か制裁でも受けませんか。
  241. 平林昇

    平林證人 制裁は別にしておりません。これは私がその都度——私並びに巡査部長や同僚がよく戒めて、反省を促して参りました。
  242. 花村四郎

    花村委員長 それで反省をしなかつたですか。
  243. 平林昇

    平林證人 反省はしておりません。
  244. 花村四郎

    花村委員長 それで伊勢佐木警察署に六月十六日に轉任になりましたね。
  245. 平林昇

    平林證人 はあ。
  246. 花村四郎

    花村委員長 この轉任の理由はどういう理由ですか。
  247. 平林昇

    平林證人 轉任については局長がやつておりますから、轉任の理由は私どもにはわかりませんが、今申し上げたような事例については、私から署長報告はいたしました。
  248. 花村四郎

    花村委員長 そういう不当な行為をしばしばやる場合には、もちろん何かそれに対する制裁を與えなければいけないじやないですか。與えないのでもいいのですか。そのまま放任しておいても……。
  249. 平林昇

    平林證人 放任したわけではありません。本人が……。
  250. 花村四郎

    花村委員長 注意をしても反省しない場合に、そのまま放つておいていいのですか。何かやはりそういう服務紀律に反するような所為をした場合には、それ相当の処置をしなければいけないのじやないですか。どうですか。
  251. 平林昇

    平林證人 本人が年齡も若いし、警察官を拜命してまだ一年半ぐらいでございますから、私は何とかして善導しようと思つて——実は本來ならば処分すべきでありますが、本人の反省を今日まで促して來たのであります。
  252. 花村四郎

    花村委員長 促しても反省しない場合には、それに相應する処置をせぬということは、それは上官としての怠慢になりわしませんか。直るならば別ですが、直らぬ場合には処置しなければいかぬじやないですか。そういうことが官紀を紊乱するもとになるのじやないですか。どうです、それは。
  253. 平林昇

    平林證人 私は上司に対して報告をしておりますから、それに対して処置をするかしないかということは、懲戒委員会——署長なり課長をもつて組織される懲戒委員会が取上げてやるべきであつて、私の権限ではないと思います。
  254. 花村四郎

    花村委員長 あなたの権限であるかどうかを聞いておるわけではない。そういう場合には処置すべきが至当じやないか、あなたの意見を聞くわけであります。
  255. 平林昇

    平林證人 至当であります。
  256. 花村四郎

    花村委員長 そのことはあなたは上司報告したのですね。
  257. 平林昇

    平林證人 報告いたしました。
  258. 花村四郎

    花村委員長 したが、結局上司が取上げなかつたというわけですね。その行為に対して何らの処置を講じなかつたということは、あなたの報告を取上げなかつたということなんですか。
  259. 平林昇

    平林證人 そういう解釈になります。
  260. 花村四郎

    花村委員長 そこで実はこの加賀町署から伊勢佐木署に轉任になつたということは、榊清史がこの前本委員会に出頭をして証言をした。その証言の内容を報告しなかつたという意味において、上司の命に服從せないというような理由で、左遷をされたわけじやないですか。そういうことはありませんか。
  261. 平林昇

    平林證人 先ほど申し上げましたように、轉勤等については局長がやるのですから、私どもにはわかりません。もちろんそういうことによつて左遷されたものとは、私は思つておりません。なぜなれば、伊勢佐木加賀町から見て決して左遷というような署ではないと思います。むしろ私は栄轉であると思います。そして経済の係員から外勤に出るということも、これはしばしばあり得ることでありまして、局長は外勤第一主義をもつて、むしろ経済でも外勤に待遇をよくして行くというのが横浜市の実情でありますから、決して私は左遷ではないと思います。
  262. 花村四郎

    花村委員長 そうですか。それから、四月三日に本委員会から本委員会を代表して加賀町署へ調査に行つたことがあるのですが、それはあなたは御承知ですか。
  263. 平林昇

    平林證人 調査に來たことは、ちようど日曜だと思いますから、当直の巡査部長から聞きました。
  264. 花村四郎

    花村委員長 それで、その調査に行つたのち、間もなく小林自治体警察の局長が加賀町署の三階の訓授室へ來て、そして加賀町署の署員を集めて、訓授をしたことがあるそうですね。それはどうですか。
  265. 平林昇

    平林證人 四月の……。
  266. 花村四郎

    花村委員長 四月三日後、間もなく小林局長が加賀町署の三階の訓授室へ來て、そして何か訓授したそうじやないですか。
  267. 平林昇

    平林證人 そのためにですか。
  268. 花村四郎

    花村委員長 いやそのためじやなくて、訓授をしたことがあるかないか。
  269. 平林昇

    平林證人 訓授をしたことは、自治体警察の発足して一周年のときに來て、一度訓授されたことがあります。それ以外にはありません。
  270. 花村四郎

    花村委員長 いや四月三日に、この委員会の委員が國政調査加賀町署へ行つたのだが、それから間もなくして加賀町署へ小林局長が來て、三階の訓持室で訓授をやつたことがあるでしよう。
  271. 平林昇

    平林證人 日にちの点をはつきり記憶しておりませんから、もしそれが前後するといけませんので……。
  272. 花村四郎

    花村委員長 いや訓授したことがありますか。
  273. 平林昇

    平林證人 あります。
  274. 花村四郎

    花村委員長 その訓授の内容の一部で、この警察署の中で、内部の恥を外部にさらけ出すような者があるから、注意をせんければいかぬ、というような意味のことが訓授の一部にあつたそうですね。
  275. 平林昇

    平林證人 そういうことは記憶しておりません。
  276. 花村四郎

    花村委員長 記憶しておらぬというのは、忘れたという意味ですか、ないという意味ですか。宣誓をしてありますから、事実あることを隠したり、あるいはないことを附加したりすると制裁がありますからね。あらかじめ注意をしておきますが、あつたことはあつたで、はつきり言うてください。
  277. 平林昇

    平林證人 その訓授の内容の点については、はつきり私記憶しておりません。というのは、あるいは言つたかもしれないですが、私は忘れております。しかしその訓授の内容については、当時記録がとつてあると思いますから、もちろん言つてあれば記録に残つております。局長の訓授は必ず警務係が記録にとつてあると思います。
  278. 花村四郎

    花村委員長 記録をとつてあるとか、とつてないとかいうことを聞いておるのじないのです。それでその訓授で、ただいま言うたような内容は記憶がないということであるのだが、その訓授をあなたは聞きましたか。聞きませんか。
  279. 平林昇

    平林證人 聞きました。
  280. 花村四郎

    花村委員長 聞いたが、今私が申し上げたようなことは忘れた、こう言われるのですね。
  281. 平林昇

    平林證人 そうです。
  282. 花村四郎

    花村委員長 そこでその訓授のあとで、あなたは榊清史君を呼んで、そうしてあの小林局長の訓授を君は聞いたか。あの訓授は要するに君のことを意味しているのである、というような意味のことを言うて注意を促したというが、それはどうですか。
  283. 平林昇

    平林證人 そういうことは言つておりません。
  284. 花村四郎

    花村委員長 言いませんか。
  285. 平林昇

    平林證人 言いません。
  286. 花村四郎

    花村委員長 榊清史君はそのようなことを言うたと、はつきりここで申しておりますが、あなたの記憶違いではないですか。よく考えて供述されたらどうです。
  287. 平林昇

    平林證人 私はそういうことは、言いませんが、われわれは局長の今の訓授をよく体して、そして民主警察官としてりつぱに職務を遂行して行かなければならぬ。これはわれわれ一人々々に與えられた教訓であるから、今日から心を入れかえて、皆が新しい氣持でやつて行かなければならぬ。ここに自治体警察が発足されて一年になつて、自治体が非常に弱いという非難を受けているから、われわれは一層正しい者のために強く戰つて行かなければならぬということを言つたのでありまして、決して榊君のことについて、局長ともあろうものが、訓授の材料にすることはないと私は思います。またそういうことは言つておりません。
  288. 花村四郎

    花村委員長 そうすると今あなたの言われた「局長の今の訓授」というのはどういう訓授ですか。
  289. 平林昇

    平林證人 今の訓授というのは、そのとき局長が自治体警察一周年のあとを顧みて、非常にまだ警察官の信念の確立ができておらぬから、一層信念を確立して、りつぱな民主警察をつくり上げるようにと言われたことであります。
  290. 花村四郎

    花村委員長 あなたは訓授の中でそういうことだけ覚えておつて、さきぼくが言うた、内部の恥を外部にさらけ出すような者があるから、注意しなければならないという訓授だけは忘れているのですね。
  291. 平林昇

    平林證人 そういう……。
  292. 花村四郎

    花村委員長 そういう訓授をしたそうじやないですか。それではそういう訓授だけあなたは忘れて、ほかの訓授だけは覚えているのですか。どうでしよう。
  293. 平林昇

    平林證人 記憶にありません。
  294. 花村四郎

    花村委員長 そうですか。そうするとさらにお尋ねしますが、この前の当委員会横浜地檢の問題に対して、五月の二十三日に、榊清史君が当委員会証人として出頭して、証言をいたしました。それは御承知ですか。
  295. 平林昇

    平林證人 知つております。
  296. 花村四郎

    花村委員長 知つておりますね。それでこの榊清史君が署に帰られた後において、あなたはこの榊清史君に向つて國会の法務委員会において証人として供述したその供述を報告書につくつて署長に出せということを数回にわたつて言われたそうですね。
  297. 平林昇

    平林證人 数回ではない、二回ぐらい言いました。
  298. 花村四郎

    花村委員長 署長にあてて、國会証人になつた人に報告書を出せというのは、何かそれは法律上の根拠があつて言われたわけですか。
  299. 平林昇

    平林證人 私はこの証言自体が公聽の席において行われましたから、当然加賀町署員として、署長職務に関して証言したことを報告すべきが当然だと思いましたから、署長に話したところが、それは報告書を出してもらつた方がよいだろう。君も報告書を出してくれと言われましたから、私も出すことにして、榊巡査にも報告をするように言つたのであります。
  300. 花村四郎

    花村委員長 それであなたは出しましたか。
  301. 平林昇

    平林證人 出しました。
  302. 花村四郎

    花村委員長 それでその報告書を出すというのは何かもちろん法律にはないようですが、内規でもあつたのですか。
  303. 平林昇

    平林證人 内規は別にないと思います。しかし当然職務に関して何したことは上司報告しなければ、上司が監督指揮することができないと思います。
  304. 花村四郎

    花村委員長 そうすると國会証人として証言したことが職務に関するものであつて、しかもそれが上司報告すべきものである。こう署長も考えており、あなたも考えておられたのですか。
  305. 平林昇

    平林證人 そうであります。報告書の提出を求める前に、署長、局長にも伺いましたところ、それは出してもらつた方がよいというような話がありましたから、そういうふうにしたのであります。
  306. 花村四郎

    花村委員長 証人に立たれる前に、あらかじめ委員長より証人の心得べきことをこの前にも申し上げておき、本日も宣誓前に申上げたのですが、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律から言うても、その証人職務上の祕密に関するものであるということで申立てをいたしたときは、その証人の属する公務所またはその監督廳の承認がなければ、証人または書類の提出を求むることができないという意味の規定はあるのでありまするが、そういう申立てをせぬ場合においては、証人が自由に証言をなし得ることになつており、またみだりに証言を拒むことができぬということになつているわけなんです。從つて職務に関することであつても、証言を拒まぬ限りにおいては、國会において証言をせねばならぬ義務を持つているわけであります。ぞの法律上の義務に基いて供述をした事柄に対して、いかに上司であろうとも、その証言報告を求めなければならぬという理由が一体どこにありますか。それはどう考えられますか。
  307. 平林昇

    平林證人 私はそのことについて署長に伺いましたところ、署長からそれは出してもらいたいという命令がありました。
  308. 花村四郎

    花村委員長 署長から命令があつて、それを取次いだわけですか。
  309. 平林昇

    平林證人 そうであります。
  310. 花村四郎

    花村委員長 それで結局榊清史君が、尋問された事項に関する何か書類を出したそうですね。
  311. 平林昇

    平林證人 それは出しておりません。
  312. 花村四郎

    花村委員長 それで報告書は出しましたか、出しませんでしたか。
  313. 平林昇

    平林證人 報告書を出すのは私はいやだということでありました。それじや一應どういうことであるか、書類を出すのがいやだつたら、口頭報告してもさしつかえないというように話しましたが、口頭でも私はいやだと言つて拒否しておりました。ですからそのままであります。
  314. 花村四郎

    花村委員長 そこで報告書を出せということをしばしば要求したばかりでなくて、その榊清史君に向つてあなたが、國会の法務委員会における君の供述は偽証であるということを言い、さらに後藤つぎより自分電話がかかつたというようなことは、まつたく事実無根であつて、ああいうことを言うのはけしからんじやないかというので、大分詰問したそうですね。
  315. 平林昇

    平林證人 それは法務委員会における証言偽証であるとは言いませんでした。しかし翌日の新聞に、日本タイヤー事件が戸塚署から騒がれて手をつけた。そういうことが榊の証言として載つておりましたが、そういう新聞に出ておる事実の通り君が言つたとすれば、君の言うことは間違つておるじやないか、そういうことは何の根拠によつて君が言つたのかということは、私言いました。それから後藤つぎ氏からしばしば電話がかかつて來るということは、もちろん一回くらいは私が係長へ行つてからあつたと思いますが、しばしばはなかつたのであります。そういうことをどうして君は証言できるのだと、新聞に出ておることについて私は言つたのであつて國会において証言したことが云々ということは言つておりませんでした。
  316. 花村四郎

    花村委員長 しかし榊清史君は、本日ただいまこの委員会において、今言うたことをはつきり言うておりますが。
  317. 平林昇

    平林證人 榊君は今までそうした社会における秩序の破壞と混乱を招くようなことを、常にないように事実を捏造して言つておることがあります。ですからそれは私には信じられません。
  318. 花村四郎

    花村委員長 それなら、あなたのことについて榊清史君がそういうことを言われることは、何かあなたに恨みでもあるようなことがあるのですか。
  319. 平林昇

    平林證人 先ほど委員長から、そういう欠勤や惰勤の状態が続いて、なぜ処罰をしなかつたかというおとがめを受けておりますが、私は自分の弟のつもりで、今までできるならば私がかわつて処分を受けても善導してやりたいと思つて、今日まで努力して参りました。從つて欠勤、惰勤等を数回にわたつてやりましたが、私はこういう事実がありましたが、これはひとつお許し願いたいということを署長にお願いしました。ですから、私は榊君から反感や恨みを持つて言われるようなことはないと思います。
  320. 花村四郎

    花村委員長 恨みを持つておらないのに、あなたがお前は偽証したのだということや、あるいは事実ないことを言つておるというようなことを、ことさら言うておなたを不利益な立場に追い込むようなことを言う必要はないではないか。
  321. 平林昇

    平林證人 ないと思います。
  322. 花村四郎

    花村委員長 そうすると、あなたが言われたのじやないですか。
  323. 平林昇

    平林證人 私は翌日の新聞には、そういうような係長が戸塚から騒がれて事件をやつたということが出ておりましたから、これは警察の威信にかかわる。事件が遅れた理由というのは、前会にも申し上げた通り相当な理由証人があつて、そのために遅れたのにもかかわらず、戸塚から騒がれて事件を初めたということが出ておりましたから、私はその点について一應本人を責めたことがあります。
  324. 花村四郎

    花村委員長 それならば、新聞記事で出たからといつて、それを種にして本人に云々するのは間違いではないですか、新聞が間違つているのかもしれない。それを確かめましたか。新聞を眞実なりとして本人にいろいろ言うたわけですか。新聞の記事は、御承知のように何もかも眞実をもつて埋められているものではないではないですか。
  325. 平林昇

    平林證人 しかし何らかの根拠がなければ、新聞には発表されないと思います。
  326. 花村四郎

    花村委員長 それではさらにお尋ねいたしますが、報告書の問題ですが、上司から命令があつたから、そのことを榊清史君に言うたのだとおつしやられるのですが、上司の命令でも、これは必ずしもすべてがいいことばかりであるということも言い得ないでしよう。間違つたようなことでも、上司から命令があればその命令に準拠して、おやりになるという方針であなたはやつて來ておられますか。
  327. 平林昇

    平林證人 そういう方針ではありません。私も間違つた命令に対しては、意見を具申しております。
  328. 花村四郎

    花村委員長 そうしますと、國家の最高機関である國会において、しかも法律上の規定に基いて、当委員会が喚問した証人証言に対して、その証言上司の圧力をもつて詳細にその報告を求めるということは、人を取調べる職務に携わつておるあなたとして、そういうことが正当であると考えますか、それは当然だと思いますか。
  329. 平林昇

    平林證人 私は私生活以外で公務に関することは、そこの署に帰属して、上司の監督を受ける以上、やはり一應報告すべきものと解釈しておりました。
  330. 花村四郎

    花村委員長 そういう報告を求めるということは、証人の供述に対して上官のつまり圧力を加えるもので、國会の公正なる調査権の発動に少くとも支障を來すような惡例を残す結果となると思うのですが、そういうことをあなたお考えになりませんか。
  331. 平林昇

    平林證人 本日もお見えになつておられる傍聽の方々が、当日もおられましたから、これは公表されてもさしつかえないものであると、私は解釈いたしました。
  332. 花村四郎

    花村委員長 公表する、しないは、それは本人の意思で、そういう供述内容の報告を上官の命令によつて、その報告を求めるというようなことは、少くとも不当じやないですか。不当であるとあなた考えないですか。証人証言というものは、何人からも掣肘も受けなければ、圧迫も受けない、眞の自由な立場に立つて、事実をありのまま述べなければならぬということに相なつておるものですが、そういう供述に対して、上官から下の者に対して報告を求めたり、いろいろすることは不必要なこともあるばかりでなくて、また將來國政調査に対して惡影響を及ぼすような事態が生ずるおそれがあることはわかるではないですか。そう考えませんか。
  333. 平林昇

    平林證人 一般の方々が傍聽されているから、私はそう考えましたが、もし私の考えが間違いであるとすれば、ただいまより訂正いたしたいと思います。
  334. 花村四郎

    花村委員長 それでは榊清史ちよつと出て來てください。  ただいま証人平林昇君が供述をせられたことを、あなた初めからお聞きのようですが、違つた点がありますかどうですか。先ほどあなたが述べられたことが眞実で、あなたの供述に反する平林昇君の供述は間違いであると思われるかどうですか。
  335. 榊清史

    榊證人 先ほどの五月二十三日の証言で、いろいろ署の方で新聞を見られて、偽証であると、そう言つたことは事実であります。それで後藤からも、電話が一回ぐらい來たことは記憶すると言つておりますが、一回は自分が出て受取つてあと二度、三度來ておることは事実です。  それから先ほど勤務など無断欠勤をするとか何とか言いましたが、それはあとから部長さんに報告をしております。その休む前の日には、おふくろもああいうわけで寢ておるわけだし、前には電話が戸塚から加賀町へなかなか通じないのです。それでかけておることは事実で、通じないから結局休んで、大急ぎでその翌朝勤めて部長さんにお話したのです。
  336. 花村四郎

    花村委員長 その他あなたの証言と食い違つておるところがありますか。先ほどから聞いておつて平林昇君の言われることがほんとであるのか、あなたの言われたことがわんとであるのか。
  337. 榊清史

    榊證人 それから新聞の記事を見てと言いますが、先ほど主任さんも言われましたが、それは新聞に出た記事は根も葉もないことである。榊君は戸塚から騒がれて私がやつたということを言われましたが、私は戸塚から騒がれて、それで平林主任さんに言つたり、こちらで言つたことはありません。
  338. 花村四郎

    花村委員長 何か御質疑がありますか。
  339. 猪俣浩三

    猪俣委員 榊巡査があなたの部下として仕えている間に、もろもろ不都合なことがあつたという点について、もう少し確かなところを聞きたい。勤務はふまじめであつたというが、どういう点がふまじめか、具体的にどういうことか。
  340. 平林昇

    平林證人 榊君は二十二年の九月に拜命いたしまして、二十三年一月六日警察学校を卒業して、二十三年七月一日に経済係の助勤として私が警察署へ入れました。そして最初庶務を担当しておりましたが、最初は非常にまじめでよくやつて、おりました。ところがだんだん仕事がなれるにつれまして、三月十八日から二十二日までの五日間無断で欠勤をいたしましたので、私どもの同僚の係員を、おかあさんがぐあいが惡いのだろうと思つて見舞にやらせながら、事情を尋ねましたが、何とも言つて参りませんでした。さらに三月三十日から三十一日の二日間、これも無断で欠勤いたしました。それからさらに四月の二十五日、五月の十三、十四。六月の二日、九日というふうに無断で休んでおります。これは電話の都合などで連絡がとれない場合もあると思いますが、翌日出て参りましても、こちらから事情を聞くまで報告をいない。どういう事情で休んだということは報告しないようであります。また部長からもそういう報告を受けておりません。しかしながら母親が病氣であるという点でありましたから、私はつとめてこの点は早く帰るようにというふうにも言つておりましたが、別にとがめてはおりませんでした。  なおこれは勤務の状態でありますが、先般も問題になりました日本タイヤーの書類の送致につきましても、十一月の十五日に送致してあるにもかかわらず、十月十五日に送致したというように送致簿が作成してあるために、この犯罪の記録を探すために約一箇月間の食い違いがありまして、非常に苦心をいたしました。それで前から順に日を繰つて行きますと、やはり十一月十五日の送致が正当であつた。しかし送致簿には十月十五日というふうに記載されておつた。これは一つの例でありますが、なお二十四年二月十九日に軍政部から引継いだ事件で、横浜市東山下町一九二番地の李福如という中華料理店の事件を榊君が担当しておりましたが、これに対する証拠金が紛失されております。これは私が一應立てかえて書類を整理し、なおどういう理由のもとになくなつたのかよく調査するように命じておきましたが、一向にその点誠意が認められませんでした。これは今までかつて証拠金の紛失ということは、経済係においてなかつたのでありますが、榊君が赴任して初めてこういうようなことが起きたのであります。  なお今度の轉勤に際しても、二十七件に上る未処理の書類をそのまま私に報告せずに、前におる者にそのまま引渡して行つてしまう。これは当然轉勤に際して上司報告しなければならぬものでありますが、私はその後係に言いました。この事件の処理のために、連絡をとつて來てもらうようにしたのでありますが、全然その後書類は出て見えないようであります。なお庶務担当中、書類があつて証拠金がない。証拠金があつて書類がないというものがしばしば見受けられまして、その都度私は懇切に指導して來たつもりでありますが、本年の二月ごろの事件がまだ未処理にされて、自分が持つている。何らその事件について報告されていないということは、これは決して私はまじめであるとは申されないと思います。
  341. 猪俣浩三

    猪俣委員 最初あなたが言つた証拠金が紛失したというのは、いつごろの話ですか。
  342. 平林昇

    平林證人 この報告がありましたのは、榊君が休んだあとだと思いますか、三月中……。
  343. 猪俣浩三

    猪俣委員 三月中のことでありますか。
  344. 平林昇

    平林證人 そうであります。
  345. 猪俣浩三

    猪俣委員 私は形の上のことを言うのではないが、警察官仲間の常識上で聞きたいのだが、ある警察署経済係をして、普通の平服を着ている人が、やめてほかの署の外勤にまわされるということは、これは栄轉でありますか、法制上のことじやなく、常識上はつきり答えてもらいたい。いいかげんのことを言わないで、栄轉栄轉でないか、君は伊勢佐木署の行つたの栄轉だといつておるが、そういうことが警察官の常識上言えるかどうか……。
  346. 平林昇

    平林證人 局長は外勤第一主義を唱えており……。
  347. 猪俣浩三

    猪俣委員 局長はともかく、平服の巡査経済係をやつている人が外勤にまわされて、官服を着てあれするのが栄轉ということができますか。
  348. 平林昇

    平林證人 今まで制服を着ることが……。
  349. 猪俣浩三

    猪俣委員 今までのことだ。局長がたといどう言おうと、今までの警察の常識、法律上のことでなく、あなたの仲間の常識判断として、警察経済係が他の警察署外勤にまわされて官服を着なければならぬ立場になつた場合に、これを栄轉と言うかどうか、その点だ。
  350. 平林昇

    平林證人 私は伊勢佐木の場合は栄轉だと思います。
  351. 猪俣浩三

    猪俣委員 そういう警察官の常識かね。
  352. 平林昇

    平林證人 私の解釈であります。他の者はどういう解釈か知りませんが……。
  353. 猪俣浩三

    猪俣委員 一般の警察官仲間の常識はどうだと聞いておるのだ。
  354. 平林昇

    平林證人 世間のことはわかりません。
  355. 猪俣浩三

    猪俣委員 君自身は栄轉の確信を持つておるか。
  356. 平林昇

    平林證人 持つております。外勤だから左遷とか、特務だから栄轉だという観念自体が、私は間違つていると思います。
  357. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういう点から栄轉か。本人の自分の意思にあらずして、他の職に移される。それがどういうふうに栄轉なのか。
  358. 平林昇

    平林證人 待遇とか、労務加配、被服の点において、むしろ外勤は特務よりもはるかに優遇されております。なお労休等もありまして、特務よりも……。
  359. 猪俣浩三

    猪俣委員 人間は物質的なことばかりで生きておるんじやない。物質的なことばかり言うものじやない。栄轉左遷かということは、全体の常識として、それが栄轉だとどうして言えますか。本人が希望したんでないんだぞ。突然まわされて、本人ははずかしくて、どうしようかとまで考えておるらしい。
  360. 平林昇

    平林證人 それは私が轉勤させたのでないから、私にはわかりません。
  361. 花村四郎

    花村委員長 わからないが、警察官の常識というものがあつて、そうしてある警察署経済係で、私服で働いておつた者が、他の警察署外勤にまわされるというようなことは、一般的に警察の内部の人が左遷であるというように考えておるんじやないか。これはどこでも考えておるんだが、証人一人がそれを栄轉だと思うのですか。そんなことは警察の常識になつているんだから、そんなことを何も事あらためて、腹にないことを言わなんでもいいじやないか。
  362. 平林昇

    平林證人 しかしそれは、委員長のお言葉のように外勤、特務というものを、そういうふうに区別されて考えたら、外勤をまじめにやる者はなくなると思います。
  363. 花村四郎

    花村委員長 それだから、そういう区別をするのが惡いとかいいとか言うのじやない。いい、惡いはぼくらも考えを持つておる。そういうぐあいに、特に外勤になつたからいいとか惡いとかいうことを考えること自体がいけないのだが、しかし一般に警察の官吏として、そういう考えを持つておるんじやないかと、こう聞くんだ。
  364. 平林昇

    平林證人 今までは確かにそういう考えを持つておりました。私だけでなくて、常に幹部はそういう観念を捨てて、外勤第一主義で行くんだ、特務に入ることが優遇の道じやない……。
  365. 猪俣浩三

    猪俣委員 わかつた。君は栄轉だと考える。しからば一体証拠金をごまかしたり、はなはだ勤務状態が不都合だということをあなた言うたろう。そういう人間を栄轉させるのはどういうわけだ。
  366. 平林昇

    平林證人 それは人事の異動については、局長以外の者にはわかりません。
  367. 猪俣浩三

    猪俣委員 局長が全部やつたのか。君ら何も内示しないのに、局長がやつたのか。
  368. 平林昇

    平林證人 一應勤務について報告はしております。しかし動かすか動かさないかということは、私にはわかりません。
  369. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかし勤務状態がはなはだ不良だという報告をしておるわけだね。それに対して局長は栄轉させたわけだ。そういう結論になるね。冷靜に考えてどう思う。今あなたは栄轉言つたけれども、しかし前の文句では、はなはだ不都合だ、証拠金をごまかしたり、無断で休んだり、はしにも棒にもかからぬ。それを局長は栄轉させた。あなたの考えはどうだ。
  370. 平林昇

    平林證人 私はこういう報告は、今日までそれほど詳細に、本人の恥を表わすためにしておりませんでしたが、しかし概要は報告しております。それに伊勢佐木に行かれたということは、私の同僚、榊君の同僚なども、加賀町から伊勢佐木に行つたのだから、警視正のところから警視長のところに行つたのだから、栄轉も同じだ。決して左遷じやない。だから失望することはないから、一生懸命努力してやつてくれと仲間は激励していました。
  371. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは違うのだ。君の言うのと意味が違うのだ。本人が非常に悲観してやめようかどうかなんと言うから、みなが激励して言うんだ。それを君、そんな、ここは國会だからごまかさぬ方がいいよ。まじめに答弁したまえよ。そんなことじやない。よく知つているこつちや。そんな君、へりくつばかりこねちやだめじやないか。正直に、素直にありのままのことを答弁してもらいたいね。それじやわれわれこの先君の言うことを信じられないことになつてしまう。素直な心でやつてもらいたいのだ。神聖な場合なんだから……。
  372. 平林昇

    平林證人 わかりました。
  373. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで結局今度はあなたの見解だ。今回榊が突然何ら自分から進んだことでなく、同意したわけでも何でもないのに、突然伊勢佐木にまわされたということは、これは局長が、あなたのさつき言つた証拠金を紛失したとか、勤務がふまじめであつたという報告を聞いて異動したものと思うかどうか、その辺はわからぬのかね。
  374. 平林昇

    平林證人 その辺はわかりません。
  375. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、何のために異動が來たのかもわからぬかね。
  376. 平林昇

    平林證人 わかりません。
  377. 猪俣浩三

    猪俣委員 君の部下を異動するのに何の話もないのか。
  378. 平林昇

    平林證人 それはわかりません。それは全然予期しない場合でも、君の方の部下を異動させるからと言うことはありません。
  379. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから四月の三日、ぼくはほんとうはその日は忘れちやつたんだが、その後だね。われわれが法務委員会として横浜に出張して、いろいろ各署を調べた。壽にも行つた。何の前ぶれなしに行つた。壽でも二、三の人間に会つている。それから加賀町にも行つた。何の前ぶれもしないし、署長の許可なんかとりません。主任の許可なんかとりません。國政調査行つているんだから。ところが、われわれがその國政調査に行つたときに、あなたはそれをすぐ自分報告しないのはけしからんと言つて、榊君を叱つたというが、それはどうだ。
  380. 平林昇

    平林證人 さあ、それは……。
  381. 猪俣浩三

    猪俣委員 國政調査の來たことを自分報告し、自分たちに報告した後に、その國政調査の人たちに会うのが順序だ。なぜそれをしなかつたかということをあなたは言わなかつたか。
  382. 平林昇

    平林證人 そういうことは私は言つておりません。われわれもちろん署長に許可を受けて、法務委員の方が調査されるということは大事と思いますから、私はそういうことは本人に申しておりません。
  383. 猪俣浩三

    猪俣委員 とにかく本人が報告しない、自分たちに知らせてくれぬのは不都合だということを言いませんでしたか。
  384. 平林昇

    平林證人 言いません。
  385. 猪俣浩三

    猪俣委員 そのときにわれわれが行つたということで、榊君の行動というものに対して、何かあなたは言わなかつたか。何もその点については触れなかつたか、どうだ。
  386. 平林昇

    平林證人 ……。
  387. 猪俣浩三

    猪俣委員 それも忘れたかね。どうも、かんじんのところを忘れてしまつて困るね。榊に何か言つたでしよう。それは小林局長も言うておるんだから、そんな君があまり思案して考えて言わぬでもいいのだよ。
  388. 平林昇

    平林證人 しかし私は、何か來たこと自体が——私はそのときちようど日曜でもあつたから知りませんでしたが、榊君が報告しなければ当然これは知らないのですから、どうしたということを、榊君を責めることはないと思います。
  389. 猪俣浩三

    猪俣委員 その問題については、榊に報告しろの相談しろの、何ら触れなかつた、こう言うのだね。きよう衆議院から來たそうじやないか、どうしてそれを話してくれなかつたかというようなことを全然言わなかつたのか。——われわれ行つたことと榊君の行動について、何か言つたか言わなかつたかという……。
  390. 平林昇

    平林證人 何か言つたかもしれませんが、その内容はよく記憶しておりません。それはどういうことだつたかというようなことを聞いたかもしれません。
  391. 猪俣浩三

    猪俣委員 記憶していないものを追究してもしようがない。あなたはかんじんのところへ行くとそれを言わない。  それから榊君が証人として当委員会証言をして——それは五月二十三日だつたが、帰ると間もなく君に呼び出されて、証人に呼び出されたその報告書を出せと言われた。榊君は何か尋問事項みたいなものを紙に書いて君に出したけれども、そんなものじやだめだ。署長さんあての書式にして出せと言つたことはないのか。
  392. 平林昇

    平林證人 それはそう言いました。すべて上司に対して出す書類は、その署長あてに出すことという規則があるのでありますから、メモでなくて、一應署長の名前で出してもらいたいと申しました。
  393. 猪俣浩三

    猪俣委員 そのときかその翌日か、お前は偽証をしておると言うて、榊君を責めたというのであるが、偽証したということは、どういうところが偽証だとあなたは思つたのか。
  394. 平林昇

    平林證人 それは新聞に……。
  395. 猪俣浩三

    猪俣委員 新聞でもいいが、あなたの頭でどこが一体偽証とそのとき思つて、榊君に偽証したのだと責めたか、その点を聞きたい。
  396. 平林昇

    平林證人 各紙の神奈川版に、日本タイヤー事件を戸塚署に騒がれて加賀署が始めた。そういうことが新聞の記事にありましたから、私はこの通りの証言をしたとすれば、それは君、偽証じやないか。事実加賀署が戸塚署に騒がれてやつたのじやないという明白な根拠がある。これは新聞の記事の通り証言したとすれば、君の証言偽証になりはしないか、そう言つたことはあります。
  397. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはわかりました。それから、後藤つぎから電話などかかつたことはないのに電話がかかつたと言うたのは、これも偽証だと言わなかつたか。
  398. 平林昇

    平林證人 それはしばしばかかると言いましたから、しばしばかかるという、そんなことはありませんでした。そんなに私も用がありませんし、向うも用がないと思いますから。
  399. 猪俣浩三

    猪俣委員 榊君、ちよつと來てください。君が偽証したと言つて責めたとき、加賀署の日本タイヤーの問題、それといま一つは何かね。
  400. 榊清史

    榊證人 それから後藤つぎ電話
  401. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは、後藤から電話がかかつて來たこともないのに、電話がかかつて來たと言つたの偽証したと言うのか。
  402. 榊清史

    榊證人 はあ、そうです。いつ何時——何月何日の何時何分にかかつて來たか言つてみろ。ああいうところでうそを言うのは偽証ではないかと、あのときは大きな声で相当自分を難詰したようなわけです。事実私は、昨年九月か、十月、秋ごろですが、一回受取つたことは確かです。平沼後藤です。昇さん、いますか、と。
  403. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするとそのときに、お前は後藤つぎから電話がかかつて來たという証言をしたが、何月何日の何時何分にかかつたか言え、そう言つたか。これは平林は、かかつて來た覚えはないということを言わなかつたか。自分後藤つぎから電話がかかつて來たことはないのだ。しかるにお前はああいうことを言うが、何時何分にかかつて來たのか言えと言つたのじやないですか。
  404. 榊清史

    榊證人 そうです。
  405. 平林昇

    平林證人 違います。それは私の言つたのは、ちよちよいかかつて來る。ちよちよいというのですから、一日に何回もかかつて來たように聞えますから、一体君に記憶があるなら言つてみなさい。それは一回や二回かかつて來たことはあつても、しばしば電話がかかつたことはない。それを言つたのです。
  406. 猪俣浩三

    猪俣委員 後藤つぎとあなたは面識がある仲だね。
  407. 平林昇

    平林證人 そうでございます。
  408. 猪俣浩三

    猪俣委員 懇意だね。
  409. 平林昇

    平林證人 懇意というほどではありません。
  410. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかしあなたのことを昇さんと言うておるが、昇さんなんと呼ぶのは懇意なのだろう。あなたのことを昇さんと言つたのを聞いたことはないか。
  411. 平林昇

    平林證人 はあ、私のところに來れば平林さんと言います。
  412. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたは後藤さんのことを何と言うのかね。
  413. 平林昇

    平林證人 後藤さんであります。
  414. 猪俣浩三

    猪俣委員 うそを言うな。ばあさんと言つておるのではないか。
  415. 平林昇

    平林證人 私はばあさんだとか、じいさんだとか言つたことはない。
  416. 猪俣浩三

    猪俣委員 ばあさんから電話がかかつて來たということを、あなたの口からしばしば聞いたと榊さんは言つておる。とにかく電話がかかつて來たことは否認しないのだね。
  417. 平林昇

    平林證人 そうです。
  418. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかししばしばというのが不都合だ、こう言うのだね。
  419. 平林昇

    平林證人 しばしばかかつて來るということは……。
  420. 猪俣浩三

    猪俣委員 何べんくらいかかつて來たのか。
  421. 平林昇

    平林證人 私が行つてから、二回くらいあつたと思います。
  422. 猪俣浩三

    猪俣委員 いつごろ——何時何分とは言わぬが、いつごろだね。
  423. 平林昇

    平林證人 記憶しておりません。
  424. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは何月ごろですか。秋だか春だか夏だか、それがわからぬのに、何時何分ですか、わかるはずはないけれども、いつごろか。去年かことしか。
  425. 平林昇

    平林證人 去年です。
  426. 猪俣浩三

    猪俣委員 去年のいつごろか。
  427. 平林昇

    平林證人 去年の二月ごろです。
  428. 猪俣浩三

    猪俣委員 そのとき一回かかつて來たきりですか。
  429. 平林昇

    平林證人 その後は一回くらいありました。
  430. 猪俣浩三

    猪俣委員 去年の秋ごろからことしの春にかけて、榊君の耳に入つただけでも数回あると言うのだ。榊君は、一回は取次に出ておるし、そのときにも昇さんいますかと言つて電話がかかつて來た。それであまり親しそうなことを言うから、あなたはどなただと言つたら、平沼後藤つぎだと言うた。それで覚えておつた。そのときあなたは電話に出て、ばあさんと言うて話をした。それからばあさんから電話がかかつて來たということが、しばしばあなたの口から出ておるということを言うのだが……。
  431. 平林昇

    平林證人 そんなことは知りません。そんなことは私、言うわけはないと思います。
  432. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするとあなたが偽証だと言つたことは、その電話がしばしばということと、それから日本タイヤーに関する事件について、戸塚警察から言われて調べたということが偽証だ、こういう意味か。
  433. 平林昇

    平林證人 そうであります。
  434. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで非常に不都合だと言つてあなたは怒つたでしよう。榊に対して、怒らなかつたかね。
  435. 平林昇

    平林證人 怒りました。
  436. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこであなたは、前にさかのぼるけれども、小林局長が職員を集めて訓授をした際に、今委員長が聞いたことを、あなたはあまり知らぬようなことを言うておるのであるが、これはぼくらも小林さんに会つて、小林さんの口からも聞いた。それをあなたが聞かぬと言うなら、これは上司の訓授を全然頭にとめておらないというような、はなはだ不都合な主任さんになるね。小林さんがそういう訓授をしたと言うが、あなたはどうして否認するのか。否認するなら否認するでよろしい。われわれにはわれわれの考えがある。警察内部の恥を外部に漏らす者があるから氣をつけろという訓授をしたというのは、あなたはどこまでも聞いていないと言うのか。聞いてないならないでよいのだ。
  437. 平林昇

    平林證人 ないとは申しません。私の記憶がないのです。
  438. 猪俣浩三

    猪俣委員 いつごろの話ですか。その訓授の話はいつのころですか。今年の四月以降の話じやないですか。——それではもう一ぺん聞こう。その訓授が終つて後に榊に会つて、お前はあの話を聞いたか。あれはお前のことを言うたのだぞということをあなたは言うたじやないか。どうだね、言うた覚えはないですか。
  439. 平林昇

    平林證人 それは榊君だけでなくて、部屋の係員全部に対して今の局長の訓授を……。
  440. 猪俣浩三

    猪俣委員 そういうさつき委員長の言うたようなことを言わぬでもよろしい。榊、お前のことを言うたのだぞということを言つたのかどうか。
  441. 平林昇

    平林證人 そんなことは言つておりません。
  442. 榊清史

    榊證人 それは確実に言つております。
  443. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういうふうに言つた……。
  444. 榊清史

    榊證人 自分は制服を着ておりましたから、脚絆をとりながらやつておると、主任さんが榊と呼ぶものですから、行つたのです。今の局長さんの訓授を聞いたか。聞きましたと言つたら、これは榊のことを言つたのだぞ。そういうことを言つたことは事実です。
  445. 平林昇

    平林證人 私は係全部に言つたけれども、この訓授は榊君お前に言つたのだぞとは、私は言いません。私は局長が一個人に対してそういうことを言つたことはないと思います。これは局長が署員全部に対して言つた訓授だと思います。
  446. 猪俣浩三

    猪俣委員 君が頭に考えて、あるいは君は頭にそう思わなかつたのかもしれないけれども、榊君に対しておどかしてやろうと思つたのかもしれないけれども、お前のことを言つたのだぞ、氣をつけろというようなことを言つたことはないかというのだ。その事実だ。
  447. 平林昇

    平林證人 そういうことはありません。
  448. 榊清史

    榊證人 あります。それは事実です。
  449. 猪俣浩三

    猪俣委員 間違いないですね。
  450. 榊清史

    榊證人 はい。それからあのときは主任さんも制服を着ておりました。総合査察のときには全部制服を着ておりました。
  451. 平林昇

    平林證人 私の係が十七名おりましたから、その十七名に聞いてみればわかります。
  452. 花村四郎

    花村委員長 その十七名にどういうことを言われたのですか。さつき言うたようなことは小林局長が訓授をしておるのだから、あなたがさらに集めて言う必要はないじやないか。
  453. 平林昇

    平林證人 しかし局長の訓授は、それが正しいのであれば、みんなが反復して、そうして自分の執務の中に取入れることが必要であると思いましたので、私は何回もそれを強調していかなくてはならないと思いました。
  454. 花村四郎

    花村委員長 それでは主任として訓授をしたというのですか。
  455. 平林昇

    平林證人 私は訓授をしたとは思いません。ただその記憶を深くするために、私はみんなとそういうことを語り合つたのであります。
  456. 猪俣浩三

    猪俣委員 小林局長がそういう訓授をしたかということを聞いておるのだ、しかし君は言うた方がいいですよ。小林局長はちやんと言うておる。聞いたことはないかね。ほかのことは堂々と述べておいて、そのことになると聞かないということを言う。局長の訓授がそうすぐこつちからこつちに拔けてしまつては困るよ。君、もう少しまじめに答弁しなさいよ。それからもう一ぺん話は戻りますが、あなたは金港木材株式会社というのを知つておりますか。
  457. 平林昇

    平林證人 知つております。
  458. 猪俣浩三

    猪俣委員 深堀監督官という人が横浜におりますか。
  459. 平林昇

    平林證人 おります。
  460. 猪俣浩三

    猪俣委員 それに調べられたことはないですか。
  461. 平林昇

    平林證人 調査に來たことはあります。
  462. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういうことを調査したか。
  463. 平林昇

    平林證人 それは材木の輸送証明のことであります。輸送証明より実際積んでおる石数が超過しておるという形式犯がありまして、これについて取調べられたところ、実際の元の割当証明書は、ただ輸送上の操作で分括輸送したために、輸送証明書と実際に運んでおつた石数と合つておらなかつた、こういう事実がありました。これは上司檢察廳報告して指揮を受けて処理をいたしました。その処理が不当であるということで調査に來たことがあります。
  464. 猪俣浩三

    猪俣委員 処理が不当だということで、深堀監察官が調査せられたことがあるのですね。
  465. 平林昇

    平林證人 そうです。
  466. 猪俣浩三

    猪俣委員 その金港木材のわきにあなたは家を持つておりますか。
  467. 平林昇

    平林證人 ありません。
  468. 猪俣浩三

    猪俣委員 家を新築したことはないか
  469. 平林昇

    平林證人 ありません。
  470. 猪俣浩三

    猪俣委員 親戚か何かで家を持つておる人はありませんか。
  471. 平林昇

    平林證人 金港木材のわきにはありません。
  472. 猪俣浩三

    猪俣委員 伊勢佐木町の裏にはありませんか、あなたは家を新築したことはありませんか。
  473. 平林昇

    平林證人 ありません。
  474. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑がありますか。梨木作次郎君。
  475. 梨木作次郎

    ○梨木委員 榊君が國会証言をしたあと、あなたが帰つて來て、証言の内容についてその日に尋ねたのですか、翌日尋ねたのですか。
  476. 平林昇

    平林證人 当日はおそくなりましたから、翌日だと思います。
  477. 梨木作次郎

    ○梨木委員 翌日あなたは新聞を見た後に榊君に質問したのですか、それともその前ですか。
  478. 平林昇

    平林證人 新聞を見た後であります。
  479. 梨木作次郎

    ○梨木委員 新聞に書かれてあることは、あなたは榊君が國会でその通り陳述したものと考えたわけですか。
  480. 平林昇

    平林證人 各社の新聞記事が同一でありましたから、私はそのように解釈いたしました。
  481. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そしてそれではうそを言つたのだなということで、榊君を難詰したということになるわけですか。
  482. 平林昇

    平林證人 そうです。その新聞記事の通りであるとすれば、これは間違つておるぞと言いました。
  483. 梨木作次郎

    ○梨木委員 新聞記事の通りであるとすればという仮定でなくて、あなたはやはり新聞記事の通りのことを言つたのだと考えたのでしよう。
  484. 平林昇

    平林證人 それですから、この新聞の通りに言つたとすれば間違つておるではないか。そうしたら榊君は、いや新聞に書いてあることはでたらめです。私はあんなことは言いませんでした、こう言いました。そうか、君がそう言わなければけつこうな話だ。しかし各社の記事がみな同じことが書いてあるが、この通りに言つたとすれば、君の言うことは間違いじやないか、こう言いました。
  485. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そのときにあなたは相当怒つたというじやありませんか。
  486. 平林昇

    平林證人 怒りました。
  487. 梨木作次郎

    ○梨木委員 怒つたのは、やはり榊君がそういう趣旨のことを言つたと考えて怒つたのじやありませんか。
  488. 平林昇

    平林證人 それは怒つたという理由は、私個人の考えでは……。
  489. 梨木作次郎

    ○梨木委員 結局こいつうそを言いやがつた、そう感じたから怒つたのでしよう。
  490. 平林昇

    平林證人 そうです。
  491. 梨木作次郎

    ○梨木委員 大体そういうようにあなたはうそと感じても、あなたの下僚の人が國会で陳述したことをあとでとやかく詰問することは、どういう結果を生むかということをあなたは考えませんでしたか。そのあなたが難詰しておつた現場で、あなたの他の同僚がそれを見ておりませんでしたか。
  492. 平林昇

    平林證人 見ておつたと思います。難詰したと申しますが、私はそう猛烈な言葉で責めたわけではありません。ただ普通に話すより少し語調を強めたかもしれませんが、そう責めたとか難詰したとか、本人が畏怖の念を感ずるようなことはしておりません。
  493. 梨木作次郎

    ○梨木委員 しかし上司からそういう趣旨のことを言われれば、やはり下の人は何かしかられているというように感ずると思うのですが、それはどうあなたは考えますか。どうですか。
  494. 平林昇

    平林證人 今までいろいろ注意を受けても、反省するでもないし、謝罪するでもないから、そういうふうに感じているとは私は思いませんでした。
  495. 梨木作次郎

    ○梨木委員 しかしそういうように國会証言して帰つて來て、そのことがうそだとかほんとうだとか言つて、いろいろととりざたを上司であるあなたがされるならば、今後やはりあなたの下僚の人が國会へ呼び出された場合に、実際言いたいことも言えなくなるという結果が招來されるということを、あなたは考えませんでしたか。
  496. 平林昇

    平林證人 それは正しいことであれば、私はたといどんな圧迫があつても主張できると思います。
  497. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それはりくつだ。正しいことであれば、どこでも堂々と言えるというのはりくつであつて、現実にそういうことが行われていますか。正しいことを正しく言つてその通りに世の中が通つておりますか、あなたは通つておると思うのですか、そう考えますか。
  498. 平林昇

    平林證人 そう考えられない場合もあります。
  499. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ありますね。そうするとやはりそういうやり方は、少くとも國会の國政調査の供述を自由にさせることを妨害するようなことだとは、あなたは考えませんか。妨害するような結果になりはしませんか。
  500. 平林昇

    平林證人 しかし榊君の言つたことが正しいことであれば、これは私は認められると思うのですが、新聞記事の通りであるとすると、それは私は正しくないと思つてつたのです。
  501. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それはそれでよろしい。あなたはそう感じても、しかし國会証言して帰つて來て、その問題についてあれこれ言われるようなことを上司であるあなたがされると、今後証人に出る人が、また帰つて來て上司からあれこれ言われはしないかということで、やはり心理的な圧迫を感じて、國会の國政調査が実際正しく遂行できないようなことになることを、あなたは考えられませんかということを聞いているのです。
  502. 平林昇

    平林證人 そういうことも、よく考えてみると考えられます。
  503. 梨木作次郎

    ○梨木委員 考えられますね。あなたは何か榊君に、榊君はどうも共産党員らしいということを言つて、大分責められたというようなことを聞いていますが、どうですか。
  504. 平林昇

    平林證人 そういうことはありません。私は思想は自由だと思つておりますから、何党であろうとかまわないと思います。
  505. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その点榊君、どうですか。
  506. 榊清史

    榊證人 それは事実言われました。
  507. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どういうことですか。
  508. 榊清史

    榊證人 結局現地調査に來られたから、榊君が共産党じやないかと署長さんも言つておるから注意しろ。署長さんに私が言われたからと言われて、自分もそのときに主任さんに、私はそういうことは全然やつてないから、うちの近所とか何か調べてもらえばわかりますからと言うと、とにかく榊君みたいな言動をするのは共産党であると言われる。そこで私は、本部の監察へ行つて、実はこういうわけで、共産党とか何とかいつておると言つたら、監察の警部さんが、署長の意見を聞いたかと言われました。そこで私は署長さんにその後会つて聞くと、佐野署長さんは、私はそんなことを言つた覚えはない。平林君が何か君から聞きたいことがあつて、それで言つたのだと言われました。そういうふうに、主任さんから共産党であると言われたことは事実です。それからまた署長さんに会つて、その後また主任さんに言うと、いや榊君みたいなことをするのは共産党みたいだ……。
  509. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それは署長言つたのですか。
  510. 榊清史

    榊證人 主任さんです。それから私も確かに聞いたことを、本部行つて言訳したわけです。そのときも主任さんに私は話したのですが、そうしたら五回か六回、榊君みたいなことをすれば共産党みたいにとられる。そういうふうに主任さんは言つておられました。
  511. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どうですか、そういうことを言つた覚えがありますか、榊君みたいなことをやればどうも共産党らしく考えられるということを……。
  512. 平林昇

    平林證人 そういうことはありません。それは私のそばに部長もおりますし、係もおりますから、どうぞよくお聞き願いたいと思います。私が実際言つておるかどうかわかります。私は共産党とか、そういうことは言つておりません。
  513. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それからあなたはさつき榊君の勤務状態について、あまりよくないことがあるということを述べられましたが、それについて、大体証拠金の紛失したこと、これは二月ですか三月ですか。
  514. 平林昇

    平林證人 事件が二月ですから、三月ごろかと思います。
  515. 梨木作次郎

    ○梨木委員 報告はいつされました。
  516. 平林昇

    平林證人 報告したのは四月ごろかと思います。よく記憶しておりません。
  517. 梨木作次郎

    ○梨木委員 報告は四月ごろだと思うが、はつきりしない、こういうわけですか。
  518. 平林昇

    平林證人 そうです。
  519. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それに対して上司の方から何という回答がありましたか。そういう報告をしたので、それでは榊君をどうこうしようということについて、何か回答がありましたか。
  520. 平林昇

    平林證人 それはそのときに私はすぐ報告しませんでした。というのは、たくさんの書類がありますから、どこかへはさまつて間違うということもあるから、よくそれを探してみた方がいいだろう、一應私が出してもいいから、とにかく探してみたらよかろうということで、最近に至るまで私は上司に言いませんでした。
  521. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると証拠金の紛失の問題については、最近まで報告してないわけですね。
  522. 平林昇

    平林證人 そうです。
  523. 梨木作次郎

    ○梨木委員 最近というのは、いつされましたか。
  524. 平林昇

    平林證人 六月になつてからです。
  525. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それからそのほか無断欠勤の状態を報告されたのも六月になつてからですか。
  526. 平林昇

    平林證人 それは前に報告してありますが、これは本人のお母さんが病氣のためにこういうことになつたと思うということをつけ加えておきました。
  527. 梨木作次郎

    ○梨木委員 こういう何べんも無断欠勤しているということについて、六月になつてから包括して報告したことはありませんか。
  528. 平林昇

    平林證人 全部包括して報告したのは、一昨日であります。
  529. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると、証拠金紛失の問題を六月になつて報告しており、六月十五日に轉勤の辞令が出ているということになると、この報告なんかが基礎になつて轉勤になつたとは、あなたはお考えになりませんか。
  530. 平林昇

    平林證人 それはよくわかりません。
  531. 梨木作次郎

    ○梨木委員 証拠金というのはいくらです。
  532. 平林昇

    平林證人 証拠金は二百二十五円四十四銭であります。
  533. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どうですか、榊君。そういうことがあつたですか。
  534. 榊清史

    榊證人 李福如の政令違反ですが、これは四月三日の現地調査に來られたときに、皆さんがお帰りになつて自分一人しか残つていないから、書類を全部ひきだしをあけて調べたのですが、そうすると李福如の封筒とも全部ないのです。封筒も書類と一緒にこういうところにつけておくのですが、証拠金が一銭も残らず、それが全部ないのです。その價格表示のものは差押え調書の間へ入れておきまして、それはなくなつていないのですが、それはまた袋をあらためて、証拠金なしでつけてあります。この押收されたのはお米とか野菜なんですが、二百五十円見当です。結局二日か三日たつてから、私も極力探そうと思つて、どこを見てもなかつたので、主任さんに、この証拠金がないですが、四月三日に氣がつきましたからと言つたら、一應調べてみろというふうに言われましたから、また一日か二日調べてもなかつたので、それからお金は私が立てかえてしまいますが、買受書に困りますと言つたら、主任さんが、それでは証拠金がなくなつたと言わないで、買受書だけ必要だからもらつて來いということでしたから、それで押收処理簿を見て、数量と月日を言つて、私はもらつて來た。お金はまだ私は立てかえてないのですが、その例はまだあるのです。
  535. 梨木作次郎

    ○梨木委員 これはあなたの責任ですか。
  536. 榊清史

    榊證人 私の受持つた事件です。
  537. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでほかにも、こういう証拠金とか証拠物が紛失するということは、ちよちよいあるのですか。
  538. 榊清史

    榊證人 私の証拠金がなくなつた時分には二、三回あつたわけです。金額がちよつと大きいですが、三千円とか、タバコも押收したタバコが五、六百本なかつた。そういうことも私は耳にしております。
  539. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どうですか、そういうことは。平林さん。
  540. 平林昇

    平林證人 タバコの方は聞いておりませんが、榊君の隣におる人が証拠金がないと言つて來ましたから——その問題がある前までは、庶務の方で一括してその証拠金を保管しておいたのです。そうすると非常にわかりにくいものですから、各自が証拠金を保管するようにと言つて、私はかぎを借りて、ひきだし一つつけされたのです。自分が預かつた硝拠金は、自分が責任を持つて保管するように言つておきました。榊君のがなくなつたあとか前か、同じころだと思います。やはり一人の人の証拠金がないと言いましたが、そんなばなかことはないから、徹底的に探せと命じておきました。
  541. 梨木作次郎

    ○梨木委員 なくなつたことはあるのですね。
  542. 平林昇

    平林證人 あります。
  543. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その人はあなたの部下じやないのですか。
  544. 平林昇

    平林證人 私の部下です。
  545. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それは上司報告されましたか。
  546. 平林昇

    平林證人 しました。
  547. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それはいつごろのことですか。やはり四月上旬のことですが。
  548. 平林昇

    平林證人 それは四月よりもつとあとだと思います。
  549. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その人はどうなりましたか。あなたはそれを報告されましたね。その人は今でもあなたの部下でおりますか。
  550. 平林昇

    平林證人 おります。
  551. 梨木作次郎

    ○梨木委員 轉動とか何とか言うのではないですね。
  552. 平林昇

    平林證人 ないのです。ですからそのことについては、部屋の中に置いてあるものがなくなるということは、今までないのだから、徹底的にわかるまで探すようにと命じてあります。
  553. 角田幸吉

    角田委員 あなたにお尋ねするのだが、あなたの警察では、証拠金なるものを預かつておるようであるが、これはだれの責任において預かつておるのですか。法律上はどの規定によつて、だれの責任において、どれだけの金額をだれが預かつておるのであるか、そのことをお聞きしたい。
  554. 平林昇

    平林證人 これは軍政部に機動班というのがありまして、それが事件の取締りをします。そうするとその押えた証拠品を持つて参ります。たとえば証拠品のうちには菓子もあるしお米もあるし、いろいろのものがあります。それをその押えられた被疑者と警察官と食糧公團と、もしくは係の者、三者が立会いの上でその品物を換價処分いたします。そうして代金にかえたものは買受書を一部作成しまして、その買受書と代金と、一應その事件を担当した係官がそれを保官して、書類ができると、それに証拠金をつけて檢察廳もしくは軍政部へこれを送ります。
  555. 角田幸吉

    角田委員 たれの責任ですか。
  556. 平林昇

    平林證人 これはあて名は署長のあて名で……。
  557. 角田幸吉

    角田委員 これは金銭ですか。
  558. 平林昇

    平林證人 そうです。
  559. 角田幸吉

    角田委員 金銭については、いやしくも証拠金であろうと何であろうと、法律の規定に準拠しなければいけないじやありませんか。
  560. 平林昇

    平林證人 それは從來辺部もしくは軍政部の通牒に基いて処理しております。
  561. 角田幸吉

    角田委員 どういう通牒があるのですか。だれが預かづてもよろしいという通牒があるのですか。まさか一巡査にそれを自由に保管さしてよろしいという通牒はないと思うのですが、その点はいかがですか。
  562. 平林昇

    平林證人 自由にさしてもよろしいという……。
  563. 角田幸吉

    角田委員 通牒はないと思う。そこでどういう取扱いを警察の方でやつておるか。だからそういう問題が起つて來るのだ。ほんとうに法律上の根拠によらざるそういつて取扱いをするから……。
  564. 平林昇

    平林證人 それは被疑者を呼んで聞取りをとつたり、買受書をとつたりする期間だけですから……。
  565. 角田幸吉

    角田委員 それは金銭を預かつたたびごとに、署長にあなたは報告しておりますか。
  566. 平林昇

    平林證人 しておりません。
  567. 角田幸吉

    角田委員 そうしてあなたがその係の者に命じた。こういうこてどすね。
  568. 平林昇

    平林證人 主任は大体聞取書と意見書を書くだけで、報告書とか、いろいろ始末書を書く場合は係がやりますから、その書類がまとまつてできるまで係のところにあります。
  569. 角田幸吉

    角田委員 あなたは先刻來聞いておると、いやしくも國政調査といえども、職務に関することについて述べたことは、これを上司として監督上見ておる必要があるので、というようなことを言われておるのだが、いやしくも金銭を預かつて、何人の責任ということも法律に規定がないのに、署長に一度も報告しないのですか。あなたのおつしやることが違うじやありませんか。
  570. 平林昇

    平林證人 何円何十銭ということはその都度報告いたしません。しかし一括してそれを軍政部へ送るときは……。
  571. 角田幸吉

    角田委員 証拠金として預かつておるものは、今幾らありますか。
  572. 平林昇

    平林證人 それは台帳を見なければわかりません。
  573. 角田幸吉

    角田委員 およそどのくらいありますか。——それからもう一つ、あなたについでに伺つておきます。今は軍政部に関するものらいしいが、渉外関係にわたらざる事件について、証拠金を預かつておるような例があるのかないのか。
  574. 平林昇

    平林證人 それは事件を送致するまでは警察に保管しております。
  575. 角田幸吉

    角田委員 その保管はどういう規定に基いて從來取扱つておりますか。
  576. 平林昇

    平林證人 それは本部の通牒に基いてやつております。
  577. 角田幸吉

    角田委員 どういう取扱いでたれが預かつてもよろしいという通牒があるのかどうか。それはどうなんですか。金銭を保管する者は、保管する責任において保管しなければならない。でたらめにやつているのではないですか。その点について……。
  578. 平林昇

    平林證人 でたらめにはやつていません。それは明確に台帳がありまして、その台帳によつてちやんと責任者と、その取扱い者、取調べ者というものが被疑者立会の上捺印をしてやりますから、でたらめなどは絶対にできないことになつております。
  579. 梨木作次郎

    ○梨木委員 私はこの程度でけつこうです。
  580. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。
  581. 田万廣文

    ○田万委員 警察官は大体一般的に比較的正直なものと思うのでありますが、今の話を聞いておりますと、同じ警察官でありながら裏表になつておる。あなたの言うことと榊さんの言うことはまるつきり反対です。
  582. 平林昇

    平林證人 そうであります。
  583. 田万廣文

    ○田万委員 どちらがほんとうで、どちらがうそかということになるのでありますが、さつきあなたが榊君の欠点として取上げて、手帳をいろいろ読まれましたが、あの程度の欠点ですか、榊君の欠点というのは。
  584. 平林昇

    平林證人 そうです。
  585. 田万廣文

    ○田万委員 すると、先ほどから聞いておると、あなたの証言のうちに、破壊と混乱をはかることを榊がしきりにやつておるという言葉がありましたね。
  586. 平林昇

    平林證人 はい。
  587. 田万廣文

    ○田万委員 先ほどの手帳で読んでいるくらいのことが破壊、混乱ということになるのですか。
  588. 平林昇

    平林證人 それは同僚としばしばけんかをします。協調しません。
  589. 田万廣文

    ○田万委員 具体的に破壊、混乱とあなたが言われておる言葉の事実に、榊君の行動においてどういうものがあるか、ちよつと言うてみてください。
  590. 平林昇

    平林證人 係が十名なら十名まとまつて一つの仕事をやつて行こうという場合に、一人の者がそれに協調せずに、けんかをしたり、融和を欠いたりすると、その組織というものは破壊されます。完全な仕事ができないと思います。
  591. 田万廣文

    ○田万委員 その程度のことですか。
  592. 平林昇

    平林證人 そうです。
  593. 田万廣文

    ○田万委員 先ほど梨木君から話があつたが、共産党の問題で、一般に事実かどうかわからないのですが、破壊、混乱という言葉自身と共産党という言葉とのコネクションが、どうも梨木君の氣にもさわつておるように思うのだが、あなたは先ほど共産党であるとかないとかいうことは言わぬとか何とかいうことを言つておるが、言うたことはありませんか。
  594. 平林昇

    平林證人 言うておりません。共産党なんということは言うておりません。
  595. 田万廣文

    ○田万委員 らしいということを言つたのだね。
  596. 平林昇

    平林證人 共産党らしいとも言いません。そうした秩序を乱すようなことは避けなければいかぬ……。
  597. 田万廣文

    ○田万委員 それは常識でわかる。
  598. 平林昇

    平林證人 お互いに円満にやつて行かなければならぬということを言いましたが、共産党員であるとか、共産党らしいということは言いません。
  599. 田万廣文

    ○田万委員 破壞、混乱という言葉を使われたのですが、同僚の間でけんかするくらいのことは、君たちもやると思うのですが、それでもつて破壞、混乱と言えますか。常識的に警察職務を忠実に執行するにあたつて、他の警察官を使嗾して職務の執行を紊乱するというような事実ではないじやないですか、榊君の今の話を聞いておると……。
  600. 平林昇

    平林證人 そういうこともあるのです。
  601. 田万廣文

    ○田万委員 どんなことが……。
  602. 平林昇

    平林證人 これは榊君の後へ澁谷君というのがおりましたが、これは非常にまじめにやつておりました。ところが榊君の報告によると、澁谷君はときどき氣に食わなくなると二時間でも三時間でも怒つて出てしまう。こういうことを言つております。これはそういうことで、その仕事を中断して出るようでは困るというので、澁谷を呼んで事情を聞きましたところが、榊君が、先輩として親切に教えずに、何かそこに不和を招くようなことを言う。これで耐えられなくなるからということで、庶務の仕事をやらしても、いつもごたごたしておりまして、まとまつた仕事ができませんでした。また他の同僚ともいろいろ言い合うているところを見受けたことがあります。
  603. 田万廣文

    ○田万委員 いろいろやつているというのは……。榊君ちよつと……。今証人に立つておられる平林君が、あなたのことを言われましたがそういう事実はあるのですか。
  604. 榊清史

    榊證人 それは澁谷君が私の後に、経済係の庶務係として入つて來ました。自分と二人で担当して書類提出もやつておりまして、二月か三月やつておりましたが、わしと一諸に仕事がやつて行けないのがわかつたのであります。とにかく檢察廳行つても、二時間も三時間も帰つて來ないから、自分の目から見れば、事務的能力がないわけで、澁谷君にわしは再三言つた。とにかくやるだけはできなくつたつてやれ。それはわしも仕事のことになると、ちよつと夢中になつてしまう方ですから、ときには穏やかなことを言わずに、けんかもしてしまうのです。そうすると澁谷君は、それじや私はもうやめちやうと言う。たれがやめろと言つた。——わしもその辺で口論はいたしましたが、それはあるときは、わしはもう警察官をやめるからと澁谷君がそう言われる。じや部長さん、澁谷君がこれごれ言つているからと部長さんに話をし、それきりしばらく默つていたのであります。それから主任さんが何とも言われなかつたそうですが、あとから澁谷君に聞くと、澁谷君があいさつして、長い間済みませんと主任さんに話したら、長い間御苦労さんでした。それで行けとも何とも言われなかつたそうです。
  605. 田万廣文

    ○田万委員 では榊證人に聞きますが、とにかく平林証人の言われるような破壞、混乱というようなことは、榊君の方ではやつておらぬというのですね。
  606. 榊清史

    榊證人 私はそういうつもりでやつてはおらぬのです。同僚と言い合いをやる場合にも、結局仕事の面で私今まで二、三やつております。
  607. 田万廣文

    ○田万委員 仕事をうまく遂行する意味において激励するので、けんかをすることはあるが、破壞あるいは混乱というようなことはやつたことはないというのですか。
  608. 榊清史

    榊證人 そういうことは絶対やつておりません。
  609. 田万廣文

    ○田万委員 下つてください。  続けて行きます。先ほどの証言の中に、榊君のことについていろいろ報告なさつた言つておりますが、報告の内容については、先ほど手帳で読まれた程度の報告の内容ですか。
  610. 平林昇

    平林證人 そうです。
  611. 田万廣文

    ○田万委員 それは間違いありませんか。
  612. 平林昇

    平林證人 間違いありません。
  613. 田万廣文

    ○田万委員 今あなたは榊君についていろいろ破壞、混乱というような言葉をもつて表現せられた行為、そういうものは報告書には記載してあるのですか、ないのですか。
  614. 平林昇

    平林證人 ありません。
  615. 田万廣文

    ○田万委員 先ほどの手帳の事実と、今あなたが破壞、混乱という言葉で表現された事実と、どちらが重大であると思いますか。職務警察官としてはどつちが惡いですか。
  616. 平林昇

    平林證人 それは前に手帳で表現しましたその内容によつて警察の秩序を乱すような行動をとつているというふうにぼくは解釈されると思います。
  617. 田万廣文

    ○田万委員 私が尋ねているのは、破壞、混乱という言葉で先ほど表現せられた——今具体的に言われた事実と、先ほど手帳に書いてあつた事実と比較した場合に、どちらがより重大なる報告書の内容になるべきものであるかということです。
  618. 平林昇

    平林證人 同じであると思います。
  619. 田万廣文

    ○田万委員 その破壞、混乱という言葉を使つて表現した事実については、報告してないのですが、なぜしなかつたのですか。少くともわれわれが常識的に考え得ることは、上司に部下のことを報告するにあたつては、いいことも惡いことも書かなければならぬ場合があるでしよう。その際に忠実に、今次の委員会における証言のように、あることはある、ないことはないということを忠実に報告すべき義務がある。
  620. 平林昇

    平林證人 あります。
  621. 田万廣文

    ○田万委員 良心的にそれをわれわれから考えれば、より重大だと思われる点の報告をなさらずして、それよりもはるかに軽い事実を報告していることは、あなたが言うことが事実とすれば、あなたは上司に対する職務の忠実なる執行をやつておらぬというふうに考えられるが、その点はどうですか。
  622. 平林昇

    平林證人 私の破壞、混乱という言葉は、解釈によつては誇張であつたかもしれませんが、警察官が職務を執行する場合に、たとえば強盗をつかまえるのに五人の力をもつてやるとき、一人が協調しなかつたら、それをつかまえることはできないと思います。経済事犯も結局同じでありまして、一人が協調を欠いたら、そこから機密が漏れ、また士氣が沮喪して仕事ができないと思います。私はこの点をそういうふうに表現をしたのでありますが、私の表現の方法が惡ければ……。
  623. 田万廣文

    ○田万委員 ここで聞いておる人は弁護士とか、みな相当な人が聞いておるのですが、そういうことをもつて破壞、混乱の説明にはならぬと思います。
  624. 平林昇

    平林證人 それでは訂正いたします。
  625. 田万廣文

    ○田万委員 それはよく注意していただきます。本日この委員会であなたが申されたことは、榊君と大分食い違つておると思う。もしあなたに、間違つたというよりも、知つておらなければならないものを知らないというふうに言われた事実が明らかになれば、重大なる責任があるということを、あなたはよく考えて今まで話をされたのですね。
  626. 平林昇

    平林證人 私の記憶しておる限りのことは、すべて申し上げたつもりであります。
  627. 田万廣文

    ○田万委員 あのときに記憶がなかつたというよりも、知つてつたが知らなかつたと言われたような責任を、あとから追究されるようなことは全然ないですな。
  628. 平林昇

    平林證人 ありません。
  629. 田万廣文

    ○田万委員 けつこうであります。
  630. 花村四郎

    花村委員長 ほかにありませんか。なければこれで終了いたしました。どうも御苦労さまでした。しばらくそこで待つてつて下さい。
  631. 平林昇

    平林證人 ちよつと申し上げたいと思います。先ほどの証拠金の件ですが、私が、なくなるわけはないから、とにかく探してみなさいと言つて、最近に至るまで上司報告しなかつたのであります。これは、部内においてそういうものがなくなるということはあり得ないと信じておりますからで、書類が相当ありますから、その間に挾んでおくようなことがないかと思つて報告しなかつたのであります。
  632. 角田幸吉

    角田委員 金銭の取扱いはそういうことでは困る。君は弁償する能力があるからだが、弁償する能力がなかつたら、國民に対してどうするか。
  633. 平林昇

    平林證人 その通りであります。責任を痛感しております。
  634. 角田幸吉

    角田委員 でたらめをやつておるのだと言われても、君は一言も返す言葉はないだろうと思う。金を弁償する能力があるからいいが、弁償する能力がなかつたときは、結局は國民に迷惑をかけることになる。
  635. 平林昇

    平林證人 その点について、帰りましたらすぐはつきりしたいと思います。
  636. 角田幸吉

    角田委員 ぼくの方は國政調査として君の方を調べなければならぬことになつておりますから、いずれまた……。佐野幸康君ですね。
  637. 佐野幸康

    佐野證人 はい。
  638. 花村四郎

  639. 佐野幸康

    佐野證人 四十三歳。
  640. 花村四郎

    花村委員長 住所は。
  641. 佐野幸康

    佐野證人 横浜市中区山下町二〇三番地。
  642. 花村四郎

    花村委員長 職業は。
  643. 佐野幸康

    佐野證人 横浜加賀警察署長
  644. 花村四郎

    花村委員長 加賀町署の署長としていつから勤務せられておりますか。
  645. 佐野幸康

    佐野證人 昨年の十月二十五日からであります。
  646. 花村四郎

    花村委員長 前に加賀町署に勤務しておりました榊清史君を御承知ですか。
  647. 佐野幸康

    佐野證人 承知しております。
  648. 花村四郎

    花村委員長 それはあなたの部下として、経済係に勤務をいたしておつたそうですね。
  649. 佐野幸康

    佐野證人 はあ、さようであります。
  650. 花村四郎

    花村委員長 それで榊清史君の勤務振りはいかがでしたか。
  651. 佐野幸康

    佐野證人 最初の間は、私はあまり巡査のことまではわからなかつたのであります。一月ごろからは、大体巡査のことまでわかるようになつて参りました。経済係として庶務の仕事をやつておりました関係から、私の部屋には経済関係の書類をときどき持つて來ましたが、その程度でありまして、別に本人とあまり深く口をきくというようなこともございません。二月ごろから、何かだんだんと勤務の方もあまり熱心でないというようなことを、幹部の方から聞いたことがございます。結局熱心でないというようなことは、欠勤をするというようなこと、——何か三月の末ごろに無断欠勤をやつたということも監督者から聞きまして、よく注意をして使つて行くようにということを申しておきました。
  652. 花村四郎

    花村委員長 勤務振りがすこぶるふまじめで、事件処理などもスムースにやらずに、あるいは証拠金等を紛失したりして、警察官としての職務振りが惡いということを、平林昇という主任からあなたの方へ報告してあるそうですが……。
  653. 佐野幸康

    佐野證人 聞きました。諸岡という巡査部長がおりますが、これからも、平林主任から聞いたほどのことではないのですが、聞きました。
  654. 花村四郎

    花村委員長 そこで、そういう日常の勤務振りから見て、平林主任がたびたびその反省を促し、注意をしたそうでありますが、遂にその効なくして、依然としてそういうふまじめな勤務振りをしておつたというのですが、それに対して、あるいか警察官の服務紀律に違反するとか何とかという意味において、処置をする必要があるのじやないですか。
  655. 佐野幸康

    佐野證人 無断欠勤というようなことについては、報告をしなければならないと思つておりましたが、無断欠勤をした直後に私聞いたのではございませんで、無断欠勤をしてから数日を経て聞きましたので、ことさらにそれを荒立てて、本人を傷つけるというようなことも芳ばしくない。かように考えまして、できることならお互いの間で戒めあつてりつぱにやつて行きたい、署長としてかように考えておつたのであります。
  656. 花村四郎

    花村委員長 それでは大して勤務振りが惡いというのでもないですね。どうでしようか。その程度は……。
  657. 佐野幸康

    佐野證人 勤務振りというのは、責任の点においてそういう無断欠勤をやつたということと、それから事件を——民衆処遇といいますか、取調べをするような際に、本人の性格から來るのだとも思いますが、ちよつと短氣だというようなことを聞いておりますが、短氣のためか、経済で調べるにあたりましても、被疑者を非常に大きな声で調べたり、前にものさしなどがありますと、それでちよつと頭をたたいたりして調べるというので、民衆処遇もあまりよくないと認めております。
  658. 花村四郎

    花村委員長 それでこの榊清史君が六月の十六日に加賀町署から伊勢佐木署に轉勤になつたのですね。その轉勤になつた理由はどういう理由でしようか。
  659. 佐野幸康

    佐野證人 結局私は平素の本人の勤務成績、執務の態度、それから経済の部屋の中におりまする同僚との融和の点も欠けておるように見受けております。それから経済主任並びに巡査部長に対しても、何か反抗的な態度に出るようなことがあるということを聞いておりましたので、この点につきましては、本部の方に口頭で私も具申をいたしております。適当な機会にそういうような経済係内の空氣を一掃して明朗にしなければならぬ。かように考えまして、適当な機会に異動をしていただいた方がよいということを具申してあります。但し私には他の警察署へ異動させる権限はないのであります。
  660. 花村四郎

    花村委員長 その異動の権限はだれにあるわけですか。
  661. 佐野幸康

    佐野證人 警察長であります。横浜市では小林警察局長であります。
  662. 花村四郎

    花村委員長 そうすると小林局長が、その権限を持つておるわけですか。
  663. 佐野幸康

    佐野證人 さようでございます。
  664. 花村四郎

    花村委員長 そこで加賀町署の経済係という地位から、伊勢佐木警察署外勤の係に轉じたというような場合には、これは栄轉ですか、左遷ですか。どちらですか。
  665. 佐野幸康

    佐野證人 私は栄轉とも左遷とも考えておりません。私はいつも警察官に申しておるのでありますが、警察官というものは、たとえば係がかわりましても、巡査巡査として、また他の署に轉任になりましても、その階級が上つて轉任というようなことでなければ、栄轉でもない。また他の署に、甲の署から乙の署に移りましても、それは左遷でもない。かように考えております。
  666. 花村四郎

    花村委員長 それはあなたの考えておられることが正当でしようが、しかし警察の常識としては、一警察の私服である経済係から他の署の外勤にまわされるという場合においては、大体そういう轉任の方法は歓迎しないのみならず、左遷と見るのが、これが一般の常識のようにわれわれは常に聞いておるのですが、それはどうでしようか。
  667. 佐野幸康

    佐野證人 最近横浜市におきましては、これまで外勤と申しておりましたが、第一線の警邏本位に警察の組織を立てかえて行かなければならないというようなことになりまして、警邏係に主として優秀な人を持つて行くというような方針になつておるように聞いております。また私もそういう方針で進まなければならぬことを痛感しておるのです。
  668. 花村四郎

    花村委員長 そうすると、伊勢佐木警察署外勤係というのは、これは今言われる警邏係の優秀なる者を採用するポストである、こう言つていいわけですね。
  669. 佐野幸康

    佐野證人 但し警邏係というのが非常に人員が多い関係から、全部優秀な人を持つて行くというようなことはできないと思うのであります。從つて私の署におきましても、警邏係の人を刑事の方に一箇月ないし二箇月助勤に入れまして、またそれを第一線の警邏係に出して警邏係をさせるというような方針もとつております。
  670. 花村四郎

    花村委員長 そうすると、この榊清史君の問題に移りますが、榊原吏君は加賀町署の経済係から伊勢佐木署外勤である警邏係に行つたというのは、優秀な警察官という意味で轉任を命ぜられたのであるか、あるいは優秀でないというグループの方の人として轉任をせられたのでしようか。どうでしようか。
  671. 佐野幸康

    佐野證人 榊君個人の場合は、優秀とは考えられないと思います。
  672. 花村四郎

    花村委員長 そうですか。そうすると結局榊清史君の轉任は栄轉でもなく、左遷でもないと言われるわけですね。
  673. 佐野幸康

    佐野證人 そういう考えを持つております。ただ一言つけ加えて申し上げておきたいことは、警察署の格とでも申しましようか、市内に十二の警察がございますが、十二の警察の中で、伊勢佐木警察署というようなところは、第一位の警察であるという考え方は、警察官一般が持つておるのであります。從いまして伊勢佐木警察署には警視長には警視長というような署長を配置しておりまして、重要な警察だということが言えると思うのであります。從つていい警察に行つたということだけは考えられます。
  674. 花村四郎

    花村委員長 しかしこの経済係から外勤に轉ずるというようなことは左遷であるというか、轉勤する者があまり好まないというようなことが、旧來の警察署における常識のように思われておつたのですが、これはよいことか惡いことかは別として、そういう空氣のあつたことだけはどうですか。
  675. 佐野幸康

    佐野證人 從來はそういう空氣があつたように考えております。最近におきましては、非常に自治体警察になつて以來、そういう空氣は相当是正されて來ておるということだけは明らかだと思います。
  676. 花村四郎

    花村委員長 そこでこの榊清史君の轉任は、同君が五月二十三日の当委員会において証人として証言をいたしたその証言報告書を、署長に出さなかつたというようなことに端を発しまして、その轉任が行われたいう話であるが、それはどうでしようか。
  677. 佐野幸康

    佐野證人 そういうことは決してございません。
  678. 花村四郎

    花村委員長 ありませんか。しかし榊清史君が五月二十三日当委員会において証人として証言をしたことは御承知ですね。
  679. 佐野幸康

    佐野證人 承知しております。
  680. 花村四郎

    花村委員長 それでその証言をするときに、あなたに何か話がありましたか。
  681. 佐野幸康

    佐野證人 証言については何も話がございませんでした。
  682. 花村四郎

    花村委員長 証人に出ることについて……。
  683. 佐野幸康

    佐野證人 証人に出ることにつきまして、平林警部補は前日に私のところに、明日行つて参りますということを報告に参りました。しかし榊巡査は参りません。参りませんでしたが新聞で二人の者が証人に出頭するということは承知しております。
  684. 花村四郎

    花村委員長 そこで五月二十三日の翌日か、あるいは翌々日ごろか、あなたが署長として、この榊清史君が本委員会において証言をしたその供述内容を報告書として署長あてに出せという命令をしたそうですね。
  685. 佐野幸康

    佐野證人 いたしました。
  686. 花村四郎

    花村委員長 それ命令はいかなる法律か、あるいはいかなる規則か、またいかようの慣例か、何に根拠して出されたわけですか。
  687. 佐野幸康

    佐野證人 從來警察では、署長を中心といたしまして、署長の命令指揮のもとに署員が活動しておるのであります。從いまして、署の職務上のことに関しまして、どこか出頭したとか、あるいは調べを受けたとかいうような場合には、署長はそのことの報告を聞きまして、さらに上司にその状況を報告することになつております。また警察法の四十八條かと思いましたが、これに基きまして、自治体警察警察長は、その警察内の職員の任免でありますとか——これはもちろん公安委員会の承認を受けるのでありますが、全職員を監督するというような規定がございます。それから警察の事務分掌規則というのがございまして、その事務分掌規則によりまして、警察署長警察局長の命令を受けて、管内に発生する事件の処理並びに職員の指揮監督をするというようなことになつております。それで指揮監督の点からそういうことをしていただくようになつたのであります。
  688. 花村四郎

    花村委員長 そうするとそれらの條文に、署長は署員を指揮監督せんければならぬという規定があるので、その規定の建前から報告書を求めたというわけですね。
  689. 佐野幸康

    佐野證人 そうです。
  690. 花村四郎

    花村委員長 指揮監督と、証人に出た署員の報告を求めることとは別じやないですか。それも指揮監督のうちに入りますか、そういう解釈ですか。
  691. 佐野幸康

    佐野證人 署長として指揮監督をする場合に、何か署員の失態その他があつてはならないと思いますので、職務上に関して呼ばれた場合におきましては、どういうようなことで呼ばれたかということは、一應署長として知つておかなければ指揮監督ができないと考えております。
  692. 花村四郎

    花村委員長 そうすると裁判所等で、民事事件あるいは刑事事件証人に呼ばれた場合でも、やはりいかなる証言をしたか、その証言の内容の報告を求めていますか。
  693. 佐野幸康

    佐野證人 求めております。
  694. 花村四郎

    花村委員長 そういうことは指揮監督のうちへ入りますか。
  695. 佐野幸康

    佐野證人 それが警察のこれまでの例になつておりまして、裁判所の証言に出る場合にも、署長署長に、こういうわけで裁判所の証人行つて参りました。こういう証言をして参りましたというようなことは、報告書でなくても、口頭でも報告を受けております。
  696. 花村四郎

    花村委員長 証人に出た署員が任意に報告することは別だが、上司の命令をもつて報告をしろというような要求をすることが、指揮監督の職務権限のうちに含まれているとあなたは考えておるのですか。
  697. 佐野幸康

    佐野證人 強要をして報告をさせるというようなことは考えておりません。
  698. 花村四郎

    花村委員長 強要ではないというと、命ずるのですか。本人が自由に報告する場合は別問題ですが、本人が報告をしないのに、上司報告をしろと言うて命ずることが、署長職務権限の中に含まれた権限であると考えておられるのですか。
  699. 佐野幸康

    佐野證人 從來の慣例から行きまして、もし報告をとつた場合には、私のところへとめておかないで、さらに警察長に報告するのが、警察内における通例のことだと考えます。
  700. 花村四郎

    花村委員長 それは國会でだれか調べられて、そういう慣例があつたのですか。それは慣例に基くと言われるのだが、國会でだれか証人として調べられたことがあつて、そうしてその証言報告を求めて、上司報告したという例は、どういう例がありますか。
  701. 佐野幸康

    佐野證人 國会の点では違いますが、國会署長が呼ばれたというのは五月の何日でしたか、それが初めてだと思つております。しかし裁判所等には証人として常に呼ばれております。
  702. 花村四郎

    花村委員長 それは上司署長に対して、そういう報告をとれという命令をしたわけでもないのですね。
  703. 佐野幸康

    佐野證人 命令ではありません。
  704. 花村四郎

    花村委員長 それでは署長のはからいでやつたのですか。
  705. 佐野幸康

    佐野證人 さようであります。
  706. 花村四郎

    花村委員長 たとえば國会で調べることは、要するに國会調査権という憲法上與えられた権利である。そこで國民は國会証人として呼ばれた場合には、出頭をして供述をしなければならぬところの義務があるわけであります。その國民として課せられたる義務を実行履行するという意味において、國会に出て証人として証言をするのですが、そういう憲法上当然國民としてなさなければならない義務の履行について、上司がその内容の報告をしろというようなことを言わなければならぬものですか。警察行政実施の上から言つて、それをやる必要があるのですか。
  707. 佐野幸康

    佐野證人 やはり私の署に起つたことについて呼ばれたような場合においては、署員がどういうようなことを言われておるかという点だけは、署長として知つておきたいと思つております。
  708. 花村四郎

    花村委員長 それを知りたいということであれば、議会における速記録をごらんになればはつきりわかるのじやないですか。
  709. 佐野幸康

    佐野證人 速記録はもちろんすぐ発行されるものではございませんので、できることであれば、早くそういうことを署長として知つておきたいと考えております。
  710. 花村四郎

    花村委員長 國会証人として出て來て、そして自由なる意思に基いて偽らざる事実を証言しているというような場合に、もしあなたの言われるように、上司がその証言報告を求めるというようなことになると、後に証人として出る者が、供述内容を常に警長に報告をせんければならぬということになり、供述しようと思うこともしない。署長にしかられるようなことがあつてはならぬというので、供述をすることを躊躇したりするようなおそれが出て來やしませんか。
  711. 佐野幸康

    佐野證人 そういうことはないと考えております。少くとも國会証言する場合においては、宣誓をいたしまして眞実を申し上げるのでありますから、別につけ加えることもなければ、遠慮することもないと思います。
  712. 花村四郎

    花村委員長 それならば証人証言に一々干渉して、どういう内容の証言をしたか、あるいはそれについて報告しなければいかぬというようなことを上司の命令をもつて言うことは、少くとも自由であるべき証人証言に重大なる影響を來すということは考えられるのじやないですか。
  713. 佐野幸康

    佐野證人 報告を出さなければいけないというようなことは、私申した覚えはございません。
  714. 花村四郎

    花村委員長 それだが、あなたは報告書を出せということをしばしば要求したそうじやないですか。
  715. 佐野幸康

    佐野證人 しばしば要求いたしません。実はその当時の状況を申し上げますと、こちらに平林警部補と二人が証人として呼ばれました翌朝、曜日は忘れましたが、出勤して來ますと、平林警部補が口頭報告に参りました。きのう証言行つて参りましたということで、私も深い内容を知ろうとは考えておりませんので、その当時どういう報告つたかということは記憶に残つておりません。二、三聞かれまして、それについて報告して來たというようなことを聞きました。それから平林警部補が、これは報告書にして出しましようかというようなことを言われましたので、まあ聞いたようなことであればいいが、もし簡單にでも報告ができたら、上司に私も報告をしておきたい、かように考えましたので、出してくれと言つたのです。そのときに平林警部補が、榊君も行つたので、榊君のも一緒に報告書にして二人で出しましようかというようなことを言つておられたので、そうしていただければいいということを言つてつたのであります。
  716. 花村四郎

    花村委員長 それで平林主任報告書を出しましたか。
  717. 佐野幸康

    佐野證人 それから約二、三時間経つたと思いますが、私も仕事の関係で外に出まして、もどつて参りましたとき、実は榊君が報告書は出せないというようなことを言つておりますと言いますので、報告書を出せないならいいじやないかと私も言つておりました。それからちようど今取扱つております事件報告で、経済と経理の係を両方連れて本部報告に行かなければならないことになりましたので、そのついでに平林警部補も経理の方の警部と二人帶同して行きますので、そのときにちよつと局長にでも報告しておいたらどうかということで、平林警部補からも報告書はとらなかつたのであります。出かけるときに、榊巡査報告書に書いて出せないというようなことでありますから、きのうの状況だけでも聞いて、局長に報告したいと思いまして、ちよつと二分間ばかりだと思いますが、出かけるときでありましたから、署長室に榊巡査に來てもらいまして、きのうの状況はどうだつたと云いましたところが、まあ内容については話せませんというようなことでありましたので、何か私は非公開で法務委員会というようなものを聞いておられるのかと思いまして、ああそうか、非公開でやられたのですかと聞き返しましたところが、いや公開です。從つて公開ですというような言葉を聞きましたので、公開ならばどうせ新聞にも出ることであろうと思うといいましたところが、新聞にも出るとも思いますというようなことで、内容が話せないなら私も内容まで聞く必要はないということで、立話ですぐ私平林警部補と捜査の小方警部を連れて事件報告本部の方に参つたのであります。その間時間は二分か三分程度だと考えております。
  718. 花村四郎

    花村委員長 平林主任証言をした内容を書いた報告書を出したと言つておるが、どうです。あなたは受取られませんか。
  719. 佐野幸康

    佐野證人 口頭報告だけであります。
  720. 花村四郎

    花村委員長 口頭報告だけですか。それから四月三日、当委員会から國政調査意味をもつて委員を派遣したのですが、その派遣したときに加賀町署へ法務委員が参りまして、そうして榊清史という人を調べたそうですが、その取調べを受けるについて、主任に何らの話もなかつたということで、平林主任に文句を言われたというのですが、そういうことを聞いておられますか。
  721. 佐野幸康

    佐野證人 國会から何か調査においでになつたというようなことは、私その翌日だつた記憶しておりますが、月曜日のように記憶しておりますが、おいでになつた当日は日曜でありまして、私も仕事で疲れておりましたので、一日官舎に休んでおつたのであります。翌日出勤をいたしまして、交通訓練日でありましたので、朝早く出て管内の交通訓練の状況を見て帰つて來たときに、たしか平林主任から、昨日國会の方から、何か調査に参られて、榊巡査についていろいろと聞いて帰られたというようなことだけを報告を受けております。
  722. 花村四郎

    花村委員長 榊清史君が当委員会証人として出頭して証言したことについて、平林主任が、君は偽証をしたのであるとか何とかいうので、大分文句を言うたそうですが、そういうことは聞いておりませんか。
  723. 佐野幸康

    佐野證人 聞いておりません。
  724. 花村四郎

    花村委員長 この証言の内容についてそれを報告しろというようなことは、これは穏当なことじやないじやないですか。いくら上司であるからというて、神聖な場所において宣誓をして、そうして証言をしておる事柄について、上官であろうとも、その証言の内容を報告しろというようなことは、これは言うべきことじやないじやないですか。それは監督上に何ら関係はないじやないですか。
  725. 佐野幸康

    佐野證人 報告しろという強い言葉を用いて私もやつた覚えもございません。ただ先ほど申しましたように、平林警部補が報告に参りまして、きのうこういうことで行つて來ましたということと、内容はもちろん私記憶しておりませんが、何か二、三の点について聞かれて参つたというようなことだけ記憶しております。そのときに、それじや榊君と一緒に報告書でも出しましようかというようなことを言われたので、こういう所へ來たことは初めてでありますが、從來の慣例から報告書という形にしなくとも、口頭でも何かちよつと言つて來たというあいさつ程度のことはやつておりますので、そういう意味での私は報告書と考えておるのであります。
  726. 花村四郎

    花村委員長 それだが、平林主任榊清史君に対して報告書の提出をしばしば要求したというが、平林主任署長からそういう命令があつたから、榊清史君に言うたんだ、こう言うておるのですが、あなたは命令したわけじやないのですか。
  727. 佐野幸康

    佐野證人 今申し上げたように、平林主任報告書にしてそれじや出しましようというので、それじや出してもらおうかというような程度だつたと思います。榊君のもそれじや一緒にして出しましようという話だつたのです。
  728. 花村四郎

    花村委員長 しからばその報告を求めてどうしようというのですか。
  729. 佐野幸康

    佐野證人 どうということはございませんが、何か警察の署員職務上のことについて間違つた点でもありましたなれば、やはり直して行かなければいけないというような点は考えておるのであります。
  730. 花村四郎

    花村委員長 間違つた点とはどういうのです。
  731. 佐野幸康

    佐野證人 結局署員の行つた行為が、國会から質問を受けるようなことでもあつた場合に、こういつた行為を改めて行かなければいけない。たとえば書類の作製の上に手落ちがあつたとか何とかいうようなことがあつたなら、今後そういうことのないように十分氣をつけて行かなければいけないという意味の誤つた行為というのです。
  732. 花村四郎

    花村委員長 それはどういうことですか。証言中に何か手続上の間違いがあつたことを言うてある場合には困るというのですか。
  733. 佐野幸康

    佐野證人 いいえ、そういう意味ではございません。署員が過去において行つたことにつきまして、こちらから質問を受けまして、間違つたことが——おそらくはないと思うのでありますが、そういうことがあつた場合に改めて行きたい。
  734. 花村四郎

    花村委員長 その改めるというのはどういうのです。証言をした人に改めさせようというのですか。
  735. 佐野幸康

    佐野證人 そういう意味ではありません。署で行つた仕事については、署長が全責任をやはり負つておりますので……。
  736. 花村四郎

    花村委員長 それなら署長の責任とは関係ないじやないですか。ここへ証人が出て來て、そうして証言を求められて、求めらるるままに供述をして來たという場合に、その供述を署長として知らなければならぬということが一体どこにあるのです。
  737. 佐野幸康

    佐野證人 供述内容について深く知らなければならぬというようなことは考えておりません。
  738. 花村四郎

    花村委員長 それじやその報告を求むるという趣旨がどこにあるのです。それをもう少し具体的にはつきり言うてください。
  739. 佐野幸康

    佐野證人 趣旨はこちらへ参りまして、あの当時私何かちよつと記憶しておりますのは、警察署で犯罪の摘録が、紛失したというようなことがあつたということを聞いておりますが、その摘録が結局何か綴じ間違いで倉庫の中に入つてつて、発見をしたというようなことを報告を受けておりますので、そういうようなことについて、署の職務執行上あやまちがあつたというようなことがあつたのかないのかという点も知りたかつたのであります。
  740. 花村四郎

    花村委員長 そんなことは証言の内容の報告を求めなくても、署の方で調べればよい、わかることじやないですか。署に起つた事柄は署で調べればいいのじやないですか。
  741. 佐野幸康

    佐野證人 もちろん署に起つたことですから、署で取調べてわかつております。
  742. 花村四郎

    花村委員長 わかつておることなら、何も報告を求める必要はないのじやないか。
  743. 佐野幸康

    佐野證人 ですから私は深くどこまでも報告を出して、それを知りたいという意味での報告を求めた覚えはないのであります。これはたびたび申し上げるようですが、平林主任が参りまして、報告書を出しましようかと自発的に申しますので、それなら出してもらいましようかと言つたのであります。
  744. 花村四郎

    花村委員長 それから四月三日、当委員会から委員が國政調査に参りまして間もなく、小林局長が加賀町署へ参りまして、三階の訓授室に署員を集めて、そこでいろいろ訓授をしたそうですが、そういうことがありましたか。
  745. 佐野幸康

    佐野證人 四月のいつ……。
  746. 花村四郎

    花村委員長 四月三日に、國政調査に当委員が行つたのですが、その後間もなく、日はよくわかりませんが、間もなく小林自治体警察の局長が、加賀町署へ來られて、そうして訓授をしたという事実があるそうですがね。その訓授は署長は聞きませんか。
  747. 佐野幸康

    佐野證人 局長が來て訓授をしたのは、日は私はちよつと記憶にありませんが、自治体警察の一周年を過ぎましたので、総合監察というものを各警察署に実施をいたしたのでありますが、総合監察の日もちよつと忘れておりますが、その際に署員を全部集めまして訓授をしたことはございます。これは前と同じような歩調でやられたようであります。
  748. 花村四郎

    花村委員長 その訓授のうちの一部に、この加賀町署の内部の恥を外部にさらけ出しておるものがあるからして、注意をせなければいかぬというような意味の訓授があつたそうですね。それは御承知ありませんか。
  749. 佐野幸康

    佐野證人 記憶にありません。
  750. 花村四郎

    花村委員長 あなたはその訓授を聞きませんか。
  751. 佐野幸康

    佐野證人 聞きました。
  752. 花村四郎

    花村委員長 聞いておつたのですか。
  753. 佐野幸康

    佐野證人 はあ。その総合監察のときの訓授は、私は一番前におりまして全部聞いておりました。
  754. 花村四郎

    花村委員長 今言つたような訓授はしないのですか、訓授のうちに。
  755. 佐野幸康

    佐野證人 そういうことは訓授の中になかつたように記憶しております。
  756. 花村四郎

    花村委員長 あるという者もあるのですが、どうですか、ないとはつきり言えますか。
  757. 佐野幸康

    佐野證人 私はそういうことは聞いておりません。
  758. 花村四郎

    花村委員長 どういう訓授をされたですか。
  759. 佐野幸康

    佐野證人 あのときの訓授の内容は、結局警察官の使命というような点について訓授をされておつたのであります。それと同時に警察の今後におけるあり方というような点について訓授をされております。
  760. 花村四郎

    花村委員長 御質疑はありませんか。
  761. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたはそうすると、この國会で榊巡査証言したことについては、ただ口頭でも何でもいい、そういうことを調べられたかを聞けばいいという心持であつたのですか。
  762. 佐野幸康

    佐野證人 そういう内容を深く聞きたいというような氣持でもなかつた。簡單にきのう行つて來たというようなことを、ちようどこちらに呼ばれた翌日、先ほど申し上げましたように本部に行く関係もありましたので、一應局長にまで通じておきたいという氣持が私にはあつたのであります。
  763. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると正式な報告書として、署長あての文書をもつて提出せよというような命令を出したことはないわけですね。先ほどあなたが言つた程度で文書でなければならぬというようなことはなかつたのですね。警察署長あてのもので、しつかりした正式の文書でなければならぬということは……。
  764. 佐野幸康

    佐野證人 そういうことはありません。その後それも出すようにと私も言つた覚えはありません。
  765. 猪俣浩三

    猪俣委員 平林君、それでは君の言うことは違う。君は榊君がこういうことを尋ねられたときに書いて出せ、こんなものではない。署長あての正式な報告書で出せと君は言うた。だれがどうしてどういうふうになつたかといえば、署長の命令だ、こう君はさつき証言したね。
  766. 佐野幸康

    佐野證人 從來慣習上警察の命令は、どんな命令でも署長に出すことになつております。
  767. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは署長の命令であつたかどうか。さつき署長の命令だと言つたが……。
  768. 平林昇

    平林證人 私は署長の意思はすべて遵奉しなければならぬ。命令だと解釈しております。
  769. 猪俣浩三

    猪俣委員 だけれども、署長あてに正式の報告なり、正式の文書で出せと署長言つたのかどうか。
  770. 平林昇

    平林證人 正式の文書で出せとは言わぬのです。
  771. 猪俣浩三

    猪俣委員 それならばなぜ榊巡査がメモを出したのを、これではいけない。署長あてちやんとした報告書を出せと君が言つたのですか、署長の命令だと先ほど君は言つたが。
  772. 平林昇

    平林證人 どんな書類でも警察署長あてに出すのが建前になつております。
  773. 猪俣浩三

    猪俣委員 君の頭でそう考えたのか。
  774. 平林昇

    平林證人 そうです。
  775. 猪俣浩三

    猪俣委員 それじや君のさつき言うたことと違うじやないか。どつちがほんとうなのか。証言が違つておりますね。榊君が出したものを拒絶して、正式の文書で署長あてに出せと言つた……。
  776. 平林昇

    平林證人 警察の文書はすべて署長あてに出すことになつておりますから……。
  777. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは署長の命令だ、署長がそう言つたと君はさつきから証言している。この点については数次にわたつて質問しても、君はそうだと言つているではないか。
  778. 平林昇

    平林證人 私は報告書にすべきだと思いますし……。
  779. 猪俣浩三

    猪俣委員 報告書でなければならぬ、なぜメモではいけないのか。これは署長の命令だからと、こういうふうに君は答弁している。それじや違うじやないか。
  780. 平林昇

    平林證人 それで書類で……。そういうふうにしてもらいたいと話しました。
  781. 猪俣浩三

    猪俣委員 署長口頭でも何でもよいから、ただそう話の内容に深く立入つて書かぬでもよいという程度に証言した。そうするとあなたの先ほどの言葉と榊君に対する言葉とは非常に違う。だから榊君は、署長あてに正式の報告書を出すのにはどうしたらよいかということで心配になつて、結局出さなかつた。そうすると署長の態度と君の言うこととは違うね。君個人の意思でそういうことを榊君に言つたわけですね。
  782. 平林昇

    平林證人 そうです。私はそういうように解釈しました。
  783. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはけしからぬ。それじあもうよろしゆうございます。  今小林警察長ですか、それの訓授をあなたは聞いたけれども、その内容について委員長の尋ねることは聞かない、こういうのだがね。これは小林隊長にわれわれ会つて聞いておるんですよ。これは加賀警察の恥を外部に出す者があると言つたか、ただ漠然として警察署の内部のことをほかに吹聽したり、バラして歩く者があつたら、それには氣をつけろと言つたか、そこははつきりしないですが、とにかく内部のことを外部に漏らす者があれば、それはひとつ氣をつけなければならぬという言葉があつたのじやないですか。あなたは聞いたことは言わなければいかぬと思うのですが、現に聞いたという人がたくさんあるんです。加賀警察と指定したか、あるいは漠然と署内のことを外部にかれこれ言う者があるが、それは愼んでもらいたいという言葉があつたか、いずれにしてもそういう言葉があつたのじやないですか。
  784. 佐野幸康

    佐野證人 私の記憶にはありません。
  785. 猪俣浩三

    猪俣委員 それではお聞きいたしますが、あなたの職務の遂行上、加賀警察の管轄内の何か会社があつたといたしまして、その会社に何か不正な事実がある。場合によつては上の方まで行くかもしれない事実がある。そこで一事務員をあなたが調べた際に、その調べられた事務員がどういうことを調べられたか、社長に聞かれても言わなかつた場合に、社長なり上の人がそれで非常に怒つてしかりつけるというようなことになつたならば、あなた方は一体どう感ずるか。そしてまたそういう態度によつて、さつき委員長言つたから私は聞かぬけれども、自由な心証のもとに証言ができないことが將來起るということになると、これは國政調査上大きな問題なんで、いわゆる生殺與奪の権を握つておる者がどういうことを言おうとしておるのが知らないが、平林警察署長あて報告書はメモみたようなもので出してはいかぬというように言つたら、一体將來われわれの國政調査が円滑にできるとあなたはお思いになりますか。
  786. 佐野幸康

    佐野證人 強制して出させるということはよくないと思つております。
  787. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなた方はよく相談して來られたと思うのですが、これは常識上わかることと思うのですが、榊が今回突然伊勢佐木署に移された。これはあなたは決して栄轉でも左遷でもないという。しかしそれはわれわれの聞いておる警察官の常識とは違う。新しい自治体警察になつてどういうことになつたか知らないが、とにかく榊個人について言うと、榊は何というか、非常に心外千万に、恥辱のことと考えておるのです。そういう心情があなたにわからないことはないと思う。たとえばあなたが何の相談もなしに、それがたとえ同等の地位の警察署長にしても、いきなり移される、異動させられるという事態が起つた場合、それはあまりいいことではないのではないですか、どうですか。官吏としてそこにまじめに勤めている者が、本人の意思によらず、同じ地位にあつても異動させられることが——上つて行くならいい。また本人が希望するならいいのですが、本人が希望せざるにかかわらず、たとえ同じ地位であつても突然よそへ移されるということは、左遷という氣持になりませんか、ざつくばらんにあなたがお考えになつて
  788. 佐野幸康

    佐野證人 あまり左遷とは思つておりませんが。何かお話の内容が、今度の榊巡査の轉勤が、國会に……。
  789. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたにそういうことがあつたとしても、別に左遷とも何とも思わない。——何ら地位が向上するわけでもなく、何でもないにかかわらず、あなたがひよつとほかの警察署長に移されるということは、通例左遷と考えるのが常識だね。警察官はそういう常識を持ち合せないかもしれないが。
  790. 佐野幸康

    佐野證人 警察では轉勤等の場合におきましては、適材適所というような配置の関係で、知らずにぽつと來るのが大体普通になつております。しかし前もつてどこへ自分が……。
  791. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは了解を得ないでやる場合もあるでしようが、あなた自身にとつてみれば、あまりありがたいことではないでしよう。地位も上らないのに、そして同じ横浜署内でひよつと移されてしまうということが名誉でないことだけは事実ではないか。
  792. 佐野幸康

    佐野證人 それは仕事の関係で、別にそれは恥辱でもない……。
  793. 猪俣浩三

    猪俣委員 しからばあなたの警察大久保という人がおりますか。
  794. 佐野幸康

    佐野證人 おります。
  795. 猪俣浩三

    猪俣委員 その大久保警部補ですか。
  796. 佐野幸康

    佐野證人 警部です。
  797. 猪俣浩三

    猪俣委員 その警部のところに伊勢佐木署から電話がかかつて來たことを知つておりますか。
  798. 佐野幸康

    佐野證人 聞いておりません。
  799. 猪俣浩三

    猪俣委員 現に伊勢佐木署警部は突然榊が経済の方から外勤にまわされて來たので、どういうような惡いことをしたのだということで、あなたの警察電話を榊の目の前でかけて聞いている。これが常識であろうと思う。あなたにこの点はここでどうしても聞いておきたい。そうしたところがその大久保氏の返答についてこの伊勢佐木署の、署僚警部というのだそうですね。主席の警部の永島氏が榊に言うた。お前別に惡いことしたのじやない。國会証人に出てしやべつたことが、何かたたつたらしい。大久保はそう言うていたそうだと言うて、榊君の目の前で電話をかけて、向うの返事はわからぬが、永島君が榊君にそういう話を聞かせた。お前惡いことをしたのじやないのだから、あまり力を落さないで、ここでやれと言うてくれた、こういうのだ。それが常識だろうと思う。あなたはそれをここでどこまでも否認しておるが、そういうことはあなたは知りませんか。
  800. 佐野幸康

    佐野證人 そういうことは大久保警部に聞いていただかないと、私はそういうことをだれにも口に出したことはありません。
  801. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、あなたは伊勢佐木署へこれを配置したことの理由は、これはどういう理由ですか。あなたがしたのじやないにしろ、あなたは上司の命令で監督すべき立場だから、あなたに無相談でやる道理はない。どういう相談のもとに榊を伊勢佐木署へ移したのですか。
  802. 佐野幸康

    佐野證人 轉勤の点につきましては、先ほど申し上げましたように、四月の十日か十一日と記憶しておるのでありますが、榊巡査警察学校へ入校するようにということで、本部へ上申をしてあつたのであります。それは榊巡査ばかりでなく、十六名の警察官が全部現任教養を受けなければならない。相当受けたのがありますが、たしか六期生として榊巡査を四月十四日から二箇月警察学校の方へ入校するようになつてつたのであります。ところが入校の前に、報告書は警務主任の方で企画をいたしまして、私も判をついて、この十六人が行くということで報告を出しておいたのでありますが、十二日か三日ごろと思いますが、榊巡査が監察課の方へ突然晝ごろ行きまして、やめさせてもらいたいということを言つたようであります。監察の方から電話が私のところへかかつて参りまして、榊巡査が今やめさせてもらいたいと言つて來たが、署長に何も話がないかと言われましたので、私何も聞いておらぬと言つたところが、それでは署長の方へ行くように帰すからという電話で、それでは私も來てもらいましようと電話を切つたのでありますが、電話を切つてしばらくすると、榊巡査署長室へ参りまして、実は警察学校へ行くのは私は困るのだと申されるので、何か事情があるのかと聞きましたところが、事情は親が病氣であるから困るというようなことを言つておられたのであります。そのときに私、榊巡査に、親が病氣でぐあいが惡いなら、なぜそういうことを署長に話してくれないか、署長は別に親が病氣の者も警察学校へお前行かなければならないというような氣は毛頭ないのだということを言つて、親の病氣を聞きましたら、何か非常に長い病氣でわずらつてつて、家庭の事情もそのときちよつと聞きましたところが、兄弟が三人ばかりおるというような話でありまして、お父さんもおる。毎日出勤して署へ來ておるのだから、学校へ入つても、その程度ではさしつかえないのじやないかということを私申したことがありますが、やはり親が病氣だから行きたくないと言うので、それならすぐ交代の人を出しましようということで、山崎という経済の巡査をかわりにすぐ上申をいたしまして、学校に行くのをとりやめたのでありますが、本人は何かそのときも、経済の部屋の中の空氣がどうもおもしろくないというようなことを申されておりましたので、それは十人も十六人も同じ部屋におつて仕事をするのであるから、お互いが讓る氣持で融和して行かなければいけない。君の方からまずいというような氣持で当ると、相手もまたそういう氣持になるだろうし、そういう点については、監督者の方にも私からよく話をしておくから、そういう氣持で一生懸命やつてもらいたい。学校の点は、親が病氣であれば、すぐかわりの人をやるということで、とりかえてやつたのであります。このときに榊巡査も、できればどこか経済の部屋を出て、他に行きたいというようなことも漏らしておりましたので、その点につきましては、警務部長にも私、その後報告をしてあります。適当な時期に異動してもらうようにということは申しておいたのであります。
  803. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、あなたの今の答弁から見ると、本人がやはり経済係よりほかに移りたいという希望が前にあつたようだから、それを思い出して伊勢佐木署外勤にまわしたのだ、こういうことになるわけですか。
  804. 佐野幸康

    佐野證人 それからその後、もう一つ、たしか署内の空氣が——署内と申しますよりも、経済室の係内の空氣がお互い同僚同士もあまりよくない。それから監督者にしましても、そういうような本人の性格と申しますか、何か監督者にも当り散らすというような考えも見えるというようなことを聞きましたので、前の話と一緒に、適当な時期に異動してもらつた方が、本人のためにもよくはないかということだけは口頭具申をしてあります。
  805. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、大久保署僚警部だそうだが、こういうことは大久保は知らぬのですか。あなたのそういうようなことは……。
  806. 佐野幸康

    佐野證人 今申し上げましたような……。
  807. 猪俣浩三

    猪俣委員 伊勢佐木署にやるについての理由などは、大久保は全然あずかり知らぬのですか。署僚警部だそうだが……。
  808. 佐野幸康

    佐野證人 あずかり知らぬということはないと思いますが……。
  809. 猪俣浩三

    猪俣委員 とにかくあなたのおつしやるところでは、本人にかねがねそういう希望があつたので、それを実現さしてやつたように聞えるが、さような事情を大久保署僚警部は、知つてつたのか、知らぬのかということです。
  810. 佐野幸康

    佐野證人 そういう深い事情は知らないのじやないかと思つております。
  811. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、署僚警部であつて、人事異動については全然事情を知らぬのですね。
  812. 佐野幸康

    佐野證人 なかの空氣がうまく行つていないというようなことだけは知つておると思います。
  813. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかし伊勢佐木署署僚警部の質問に答えて、こういうことを大久保言つておる。まるであなたの言うことと違う。それでは、署僚警部署長とそんなに腹が違つておるのでは、警察が円満に行きますか。
  814. 佐野幸康

    佐野證人 そういうぐあいに曲げて考えておるのかもしれませんが、私はそう大久保警部が考えておるとは考えておりません。
  815. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたが小林警察局長にお会いになつて、この榊のことについて、証言問題をめぐつて何か相談なさいましたか。
  816. 佐野幸康

    佐野證人 相談はいたしません。
  817. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういう報告をなさつたですか。
  818. 佐野幸康

    佐野證人 ちようど晝ごろでしたが、こちらに証言に上つた翌日の晝ごろ、現在加賀町で扱つておるちよつと大きな経済と刑事の合同搜査でやらなければならぬような事件がありまして、その事件に手をつけるために報告に参つたのであります。そのとき経済の方の平林主任と刑事の方の小方警部と二人連れて行きまして、局長の部屋に入つてわきの方で待つておりますと、刑事部長が何か前の日に経済部から來た酒寄警部の話を、証言に出てこういうことを言つて來られたらしいというような報告をしておつたのを蔭の方で聞いておりましたので、実は平林警部補も事件のためにこういうわけで來ておりますから、ぜひ一緒に報告をさせましようかということで、そばにおりましたものですから、平林主任を呼びまして、平林主任から局長に報告をしたのであります。その際に榊巡査も参りましたが、榊巡査は何か出がけに私ちよつと聞いたので、まあ内容については話したくないからというようなことを言つておられましたので、それではまあ聞かなくてもいいからということで、そのことを局長に報告をしておきました。
  819. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするとそのときに局長は、榊は報告書も出さぬ、それから内容の報告もしない、それはどうも困るじやないか、不都合じやないかという話はなかつたんですか。
  820. 佐野幸康

    佐野證人 不都合だとは言いませんでしたが、どういうわけで出さないのかということはありました。どういうわけで出せないだろうかというようなことはちよつと言つてつたと思います。
  821. 猪俣浩三

    猪俣委員 簡單に……。
  822. 佐野幸康

    佐野證人 はあ。
  823. 猪俣浩三

    猪俣委員 それでは警察としては非常に困るじやないかとか、署長としても統制ができぬじやないかというようなことは言わなかつたですか。
  824. 佐野幸康

    佐野證人 そういうことは言いませんでした。
  825. 猪俣浩三

    猪俣委員 ふしぎだね。私らが小林局長に会つたときには、小林君は私らに対してそれをしきりに主張しておつた。しかるにあなた方にそれを言わないというようなことは、私はあなた方の言を信ずるわけにはいかぬ。私らに言うたのだから、それは報告書ちやんと出さぬというのは、どうも榊は不都合だ。何の意味で出さぬのか、それは警察の統制上、指揮監督上ちやんとその報告は聞かなくてはならぬじやないか、こういうことを言うておりましたが、そのときに、私は前にこういう訓授もしておつたということも聞いておる。それをあなた方はみんな否認しておる。だめだよ、私大元からちやんと聞いて來ているんだから……。
  826. 佐野幸康

    佐野證人 私は否認も何もしません。記憶にあることだけを申し上げておるのです。
  827. 猪俣浩三

    猪俣委員 だけれどもおかしいじやないか、四月の局長の訓授も何も否認しておる。それがあなた方ぴんと來なくちやならぬ。すでに國政調査もわれわれやつたあとのことだから、ほかのことは忘れても、それだけはあなた方忘れたらいかぬと思う。それを忘れるというのがわれわれふに落ちない。ことに檢察廳は私たちにそういうことを意思表示しておる。それにもかかわらず、あなた方にはそういう意見をちつとも言わぬというようなことは奇怪千万じやないですか。
  828. 佐野幸康

    佐野證人 それは打合せとか何とかいうことは私全然聞きませんが、その報告を申し上げたときに、今申したように、どうも報告を出さないことはないだろう。変だなということを言つておられました。
  829. 猪俣浩三

    猪俣委員 官吏が出張して行つて、そうして報告してもらわぬということは、実にどうも官の取締り上困るという非常に封建的なことを言つてつた。それで私は印象に残つておる。しかしそのときはわれわれがなぜ檢察廳に行つたかというと、どうも警察局長が、あなたの警察署なりその他で、内部のことを漏らす者があつて困るというような訓授をして歩いたということが耳に入つたので、これは下手をやると、ここへ來て証人となつて証言したような者に対して、何か身分上の変動を起さなければいいがと心配した。そうなつて來るとわれわれの國政調査というものが頓挫してしまう。そこで警察署にその旨を書いて、どういうことをここへ來て言つても——あるいは警察に事実あるならば不利なことを言うかもしれぬ。しかしそれによつて報告しろ、さあ何を言うた。上司に対して惡いことを言うたなら、なかなか言いにくいことはあなた方人情上わかるでしよう。そうなるとわれわれの國政調査から言うと、あるいはあなた方あるいはそれ以下の幹部諸君の知性を調査しなければならぬこともあるが、その場合にずいぶん下つぱの人の言うたことを一々どう言うた、署長は大どろぼうしておりましたというようなことを言つても、かりにそれが事実であつても、その報告書を長上の者の面前に出せぬことは事実でしよう。そういうことをわれわれは國政調査によつても考えなければならぬし、それによつて異動されたりなんかすると、われわれの國政調査が鈍るようになるから、さようなことをしてもらわぬようにということを、老婆心で折入つて局長に頼んで來た。それはあなた方に通じてあるはずだろうと思う。われわれが頼みに行つたのだから、傳えないとすると小林は不都合千万だ。しかるにかかわらず、かような行動をやつておる。それであなた方はまるでひた隠しに隠して、やあこれはあるいは勤務状態がおもしろくないからだの何だのと言つておる。まじめな巡査であることは、証人が何人もおる。非常に熱心過ぎるために同僚と衝突することがある。この男の行動を私たち調査してよく知つておる。非常に執念に巡査だ。だから経済にも拔擢されて來ておるわけなんだ。それがいきなりこういうふうになつたということで、本人に対してわれわれ実に氣の毒であるとともに、こういうことでは調査の進展上われわれは困ると思つてあなた方に聞いたのだけれども、あなた方はほんとうのことをおつしやらない。すべての周囲の事情から、それはいくらあなた方が陳弁してもぼくはそうとれない。小林隊長の話ぶりから見て、われわれが特に頼んで來たのだから、それはこういうことだと、われわれの頼みに行つたことをあなた方は聞いておりませんか。身分の変動をすると言うと誤解を生ずるから、そのためでないにしても、國会行つて証言なんかして來たから飛ばされてしまつたという誤解が起ると困るから、とにかくそういうことをしないようにしてくれということを、小林隊長に私は懇切丁寧に懇願して來た。だから今言つたように、報告はどうしても出さなければならぬというような封建的なことを言つてつても、私たちはそれにさからわぬようにして來た。しかるにこういう結果を來しておる。あなたはどう思いますか。
  830. 佐野幸康

    佐野證人 今度の異動は、私國会へ來て証言したことを報告しないということで異動したことは考えておりません。
  831. 猪俣浩三

    猪俣委員 その話について、小林から何も話を聞きませんでしたか。報告しないのは不都合だとか、どうもあれはどういう男だか、疑問の男だとかいうようなことを小林から聞きませんでしたか。
  832. 佐野幸康

    佐野證人 どうも報告しないのはどういうわけだろうなという、今言いましたようなことを……。
  833. 猪俣浩三

    猪俣委員 そのことを簡單に一言言つただけですか。そのときにあなたは平林と御一緒になつて、榊のことについて相談したのではないですか。
  834. 佐野幸康

    佐野證人 違います。平林警部補は報告してすぐ出て來てしまいました。
  835. 花村四郎

    花村委員長 高木松吉君。
  836. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私は別に証人の責任を問う意味ではなく、國政調査を眞劍にやりたいという意味で聞くのだから、あなたの現在思つておることをざつくばらんに言つていただきたい。そうしませんとわれわれも職務執行がまじめにできなくなるという危險があるのみならず、それはただちに國家に重大な影響を及ぼすのであるから、その点をよくお考えになつて、別にあなたの責任を問うわけではないのです。それで私どもは先ほどから問題になつておるこまかい具体的な問題よりか、その根本に流れておるものさえはつきりさせてもらえばいいのです。というのは命令を口頭でしたからとか、命令を強い意味言つたからとか言うが、少くとも署長が命令をすれば、末端にはたとえ強い意味で言おうが、弱い意味のあなたの心構えで言おうが、強制しようがしまいが、末端の氣持は同じことですね。それでなければ統制がつかない。そう運営さるべきものでしよう。どうなんですか。あなたが命令を出し、それがあなたの心の中では強い意味で命令を出しても、弱い意味で命令を出しても、末端の受ける立場の人から言えば、その命令は同じように受けて、それに從わなくてはならぬところの義務がありますね。
  837. 佐野幸康

    佐野證人 もちろん署長の命令に対しましても意見を述べまして、これはこういうわけだから報告が出せないとか、この命令に対してはこういう考えを持つているというようなことは、警察官はだれでも十分意見を述べまして、納得の行つた上で、その命令を遵奉するということになつております。
  838. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで大体それに対して意味の相違のある場合においては、上司の言う通りにしなければならぬことになることは間違いありませんね。そうでないと意見の相違した場合統制がとれませぬから……。
  839. 佐野幸康

    佐野證人 相違が起きた場合に、その意見に対しまして意見を述べまして、それで納得すればもちろん……。
  840. 高木松吉

    ○高木(松)委員 納得した場合は問題ないのです。それを聞いているのではない。あなたの意見と一巡査の意見とが相違した場合に、どちらの意見をあなたの側で行わせるかということです。
  841. 佐野幸康

    佐野證人 それは職務執行の場合においては、署長の命令を実行させる。
  842. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あまりかたくならないでざつくばらんに言つてください。そこでわれわれ先ほどから問題なのは、委員長も開かれたし、猪俣君からも言われたが、はつきりしないからこれははつきりしておきたいのだが、一体國会へ來て証言をするというのは、われわれの解釈では國民の義務であつて、決して署の職務事項でないということだけは明らかなのですね。どうお考えですか。要するにその当時どう考えていたか、現在どう考えているか、二つにわけて、その当時の……。
  843. 佐野幸康

    佐野證人 あの当時は國会証人に呼ばれた場合に、署で行つた仕事のことについていろいろ調査をされるのだ。かように考えておりましたので、この調査したことについて署長としてやはり承知をしておりたい。当時そういうぐあいに考えておりました。
  844. 高木松吉

    ○高木(松)委員 やはりこの証言を行つたことも職務に関して行つたとして、署であなたは監督権を行使したい。こういう考え方ですね。現在はどう思いますか。
  845. 佐野幸康

    佐野證人 きようこちらへ参つてみまして、やはり職務上に関したことでこちらで私が証言したことは、上司には一應私は報告しておきたい。かように考えております。
  846. 高木松吉

    ○高木(松)委員 現在でもその通りにすべきものであるとお考えになるわけですね。あなたの心境として……。
  847. 佐野幸康

    佐野證人 私の心境は報告したいと思つております。
  848. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それから小林局長は、少くとも國会証言したことは、上司報告すべしという考え方を持つて、あなた方にさように行えと言つておりますね。
  849. 佐野幸康

    佐野證人 國会証言したことというのは、聞いたことはございませんが……。
  850. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういう具体的なものはあつたのでしようね。それに対して証言報告をしろと言つて平林を連れて行つたときに、平林報告し、それから榊もどうしたのだと言つて不審な顔をしたというのだから、少くともあなた方の中では、局長がかような考え方を持つているということだけはわかつておる。
  851. 佐野幸康

    佐野證人 局長は考えているかどうかはわかりませんが、常識として……。
  852. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ぼくはあなたにそういうことを聞きたいのではない。あなたが言つたその具体的なことを通じて、局長はどういう考えを持つておるとあなたが感知したかということを聞きたい。ざつくばらんに言つてもらいたい。これは重大な問題ですね。りくつを言うようになりますが、今みたいに、あなた方のやるようなことをやられておつたのでは、國会の國政調査ということは台なしになつてしまう。われわれはありのままの姿を見て、それを是正して行きたい。またいい方は伸ばしたい。惡い方はためて行きたいという考え方で、われわれは眞劍に研究しているときに、いわゆる証言の自由が、その人の弱い心であろうが何であろうが、拘束されたり圧迫されたりするような事実があると、眞の姿がいわゆる國会に現われて來ないという重大な問題が起きて來るのです。だからその点をわれわれ考えて、あなた方がその点に関する取扱いをどうされているかということをはつきり把握したいのだから、その意味においてあなたが事実ある通りのことを言つてもらいたい。
  853. 佐野幸康

    佐野證人 私はここへ参りまして証言することも、ありのまま上司報告することも、同じことだと考えております。
  854. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや、そんなことを聞いておるのではない。今の小林局長があなたに対して、國会証言報告すべしという命令を出したか。出さないにしても、そうすることがいわゆる警察側の方における取扱いであるという考え方を持つてつたかということを聞いておるので、それに答えてもらいたい。
  855. 佐野幸康

    佐野證人 從來の警察の例としてやはり……。
  856. 高木松吉

    ○高木(松)委員 從來といつても、この問題は今度初めて起つたのだから、從來の例でなくして、この問題に限つてどうなるかということを考えてもらいたい。小林局長はどういうことをあなたに命令し——命令しないとしても、どういうことを要求しておるとあなたの方では考えていられるか。この点に対して答えてもらいたい。
  857. 佐野幸康

    佐野證人 しいて報告するようにという考えは持つておらないのではないかと思いますが、部下としまして……。
  858. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私の言うことをよく聞いてもらわないといかぬ。しいてとか、しいてでないとか言つても、職務に関しての命令を発する権限がそこまで及ぶのだという解釈か、解釈でないかということを聞きたいのです。
  859. 佐野幸康

    佐野證人 そこまで及ぶという考え方で……。
  860. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうなると、私は何もあなたを責めようとは思わないけれども、あなたの言うことを全面的にわれわれは信用しかねる。少くとも平林を連れてあなたは行つた
  861. 佐野幸康

    佐野證人 連れて行つたというのは……。
  862. 高木松吉

    ○高木(松)委員 行つたことは事実だね。榊も行つたんでしよう。
  863. 佐野幸康

    佐野證人 行つておりません。
  864. 高木松吉

    ○高木(松)委員 榊は途中で、報告書を出すのはいやだとか何とかいう問題になつて、先ほどの会話がありまして、その会話に基いてあなたはどういうことを感じられているかということを聞きたいのです。平林報告させられたんでしよう。小林君には。
  865. 佐野幸康

    佐野證人 させられたわけではありません。
  866. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは要するに意思の問題じやなくて、したかしないかの問題です。したんでしよう。
  867. 佐野幸康

    佐野證人 いたしました。
  868. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは小林局長の方では職務に関するものとして報告を受けているでしよう。それはどうですか。
  869. 佐野幸康

    佐野證人 職務に関するものだと思います。
  870. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そんなことがわかつていたら、はつきり言えばいいじやないですか。そこであなたはやはり國民の一人として、國家の將來のために貢献しなくてはならぬ義務はお互いにありますね。そこで別にあなたが警察官だというので私は聞くのではないから、いま少しほんとうの氣持になつてもらいたいことは、末端の者が國会へ來て証言をする。その証言に対して書面であろうがなかろうが、報告をしなければならぬという事実が——これは法律上の根拠があるなしにかかわらず、事実があつたとしたならば、末端の者が國会へ來て自由に証言をなし得るか、得ないか。心的影響があるかないか。どう思いますか。
  871. 佐野幸康

    佐野證人 心的影響はないと私は考えております。
  872. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは大した違いでしよう。そういうことを少くともあなたが考えておられたのでは、大きな誤りだと思う。それならば先ほど猪俣委員から言われたように、あなたがかりに非行があつたとしたときに、その証言上司のあなたに報告しなければならぬという義務を課せられているものなりと下僚が考えて國会へ來たときに、やはり心的状態に影響しないでしようか、報告するという義務のために。
  873. 佐野幸康

    佐野證人 事実を事実として報告することは……。
  874. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そんな観念の問題ではない。おのおのの心の問題を言つているんだ。どういうふうに見るか。少くとも常識ある者から言えば、かような事実があつたならば、自由の証言をなし得ないであろうということを想像することは、何人もできるんですよ。そういうできることをあえてするということになると、國政調査はありのままの姿をつかむことができないという重大な問題にぶつかる。そこであなたに聞きたい。だからざつくばらんにお話していただきたいというのはそこなんです。
  875. 佐野幸康

    佐野證人 私は宣誓をいたしまして、事実を申し上げる……。
  876. 高木松吉

    ○高木(松)委員 むろん宣誓しておることは百も承知しております。だからあなたも思つておることをありのままに……。
  877. 佐野幸康

    佐野證人 思つておることをありのままにここで申し上げております。
  878. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、ほんとうにあなたは今私に答えるようなことしか思つておらぬのですか。そうすると、これまたその上に大きな重大問題を私どもは見てとらなければならなくなるのです。それが答えられなければよろしゆうございます。私の方はその程度でもかまいません。  そこでいま一つ、さいぜんの榊巡査をこの問題後において、猪俣委員の質問、委員長の質問のようにしてかえたことは、一体あなた方がその中の專門的知識にあらずして、社会人として見た場合に穏当と思いますか。それともこれは少し社会的な響きがおもしろくないと思いますか、どつちですか。
  879. 佐野幸康

    佐野證人 榊巡査の異動を私は……。
  880. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ちよつと私の言うたことを聞いてから……。とにかくあなたの言うことは、上司に対して報告しろと言つても、口頭でも書面でも報告をしなかつた、こういう事実があつた。しかもこれは國会に呼ばれてそういう事実があつた。そうしてその上に、今言つたような事実のもとに、あなたの方は正当なりとして異動をしたわけですね。これから私聞くのですから、よく頭を靜かにしてください。そういうことは社会的に見たときに、部内のあなた方はりくつがあるでしようけれども、世間はどう思うかという問題のときに、世間では、國会行つて眞実ありのままをしやべつたので、遂にあなた方に不利益になるようなことをしやべつた疑いで、左遷させられたのではないかという疑いを國民多数は思うのではなかろうかということなんです。それに対してあなたの考え方はどうですか。それに無関心でぽんぽんやられたのでは困るから、むろん関心を持つべきであろうと思う。どういう関心を持ちますか。
  881. 佐野幸康

    佐野證人 榊巡査がこちらに参りまして証言したことを報告しなかつたからというようなことで、私はあまりそのことによつて巡査がどうも職務上の義務に反しておるとかいうようなことは強く考えてもおりません。そのことによつて今度の異動は……。
  882. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いわれは別としてざつくばらんに……。
  883. 佐野幸康

    佐野證人 ざつくばらんに考えておりません。
  884. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それが社会でどう思うかという社会的影響について、あなたは考えたことはないのですか。
  885. 佐野幸康

    佐野證人 社会的影響と申しますと、きのうか何か新聞に出まして、不利益な証言をしたために左遷をさせられたというような記事がありました。
  886. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこですよ。
  887. 佐野幸康

    佐野證人 ああいう記事が出ますれば、警察として何かその裏に……。
  888. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういう深い動機を聞いておるのではない。
  889. 佐野幸康

    佐野證人 警察に不審を抱くような行為があるのではないかと、一般に世間からとられることは警察として非常に……。
  890. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私はそういうことを聞いておるのではない。警察の内部の関係にあらずして、外部から見て、榊巡査の轉勤というものが左遷だと世間の人が見ておるということだけは否定できないでしよう、新聞にまで出ておるから。
  891. 佐野幸康

    佐野證人 新聞にああいう記事を出されれば……。
  892. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこを聞きたいのだ。官吏を呼んだ場合には、官吏には官吏服務紀律があつて、上下の関係があつて、監督権の行使があるので、官吏を呼んだときに、そういう問題がたびたび起ると、人間の心的に及ぼす影響というもので、遂に眞実の証言をなし得ないようなことになるのではないかということになつて、これは重大な問題だと思う。あなたに質問するのだから、あなたはほんとうにありのままをもつてわれわれの國政調査に協力してもらいたい。こういうことです。
  893. 佐野幸康

    佐野證人 私は十分協力しておるつもりです。
  894. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや、われわれ委員としては協力の態度は遺憾ながら認められません。この以上聞いたところでしようがないから、私はどうも……。
  895. 佐野幸康

    佐野證人 私は十分協力申し上げるつもりです。
  896. 高木松吉

    ○高木(松)委員 具体的なものを見ると、何かかばわんがための証言のような感じを受けるが、ざつくばらんでない。
  897. 佐野幸康

    佐野證人 私は別に何もかばわなければならぬとか、かばいたいとかいうものはありません。
  898. 高木松吉

    ○高木(松)委員 われわれの感じはあるということをあなたに申し上げておく、そういう感じをもつておる。だから、そういう感じを受けないような証言をしていただかなければ、まつたくわれわれとしてはそれを信用して、その証言に基いて國政を調査することができないということを言いたい。
  899. 角田幸吉

    角田委員 あなたが加賀警察署に勤務される前に、ほかの警察署長をなさつたことがございますか。
  900. 佐野幸康

    佐野證人 ございます。
  901. 角田幸吉

    角田委員 何箇所ぐらいでございますか。
  902. 佐野幸康

    佐野證人 警察署長は保土ケ谷警察署一箇所であります。
  903. 角田幸吉

    角田委員 司法主任をやつた御経驗がございますか。
  904. 佐野幸康

    佐野證人 司法主任をやつた経驗はございません。
  905. 角田幸吉

    角田委員 あなたの警察に金庫がございますか。
  906. 佐野幸康

    佐野證人 金庫がございます。
  907. 角田幸吉

    角田委員 あなた先ほど聞いておつたようでありますが、あなたの警察で被疑者からしばしば保証金を赤かるようなことがあるそうですね。
  908. 佐野幸康

    佐野證人 経済事犯では、相当保証金は預かることがあります。
  909. 角田幸吉

    角田委員 預かる事例がある。その保管はあなたはどうなさつておりますか。
  910. 佐野幸康

    佐野證人 保管は、前には庶務の係が保管をしておるというように聞いております。
  911. 角田幸吉

    角田委員 聞いておつて、あなたは監督をなさらないのですか。
  912. 佐野幸康

    佐野證人 直接私はどこに金があるかということを見ませんから……。
  913. 角田幸吉

    角田委員 しかしあなた金銭ですよ。これはほかのものと違うです。紛失しやすいものだということをあなた警察官で御存じでしよう。
  914. 佐野幸康

    佐野證人 よく知つております。それでありますから、机のひきだしにもかぎがかけてあります。
  915. 角田幸吉

    角田委員 そこでその責任者はあなたのところでだれにさしておりますか、現在……。
  916. 佐野幸康

    佐野證人 現在は各係々が保管をするようになつております。
  917. 角田幸吉

    角田委員 そうですか。先刻平林君の言葉によると、数度その金が紛失されたというようなことをここで証言されておるのですが、あなたそのことを承知いたしませんか。
  918. 佐野幸康

    佐野證人 証拠金と保証金が何か……。
  919. 角田幸吉

    角田委員 証拠金が食い違つてつたり、あるいは証拠金が紛失されたりしたような事実がたびたびあつたということを、あなた御承知ですか。
  920. 佐野幸康

    佐野證人 二度くらいあつたように聞いております。
  921. 角田幸吉

    角田委員 あなたは責任者として、その処置をどうなさいましたか。
  922. 佐野幸康

    佐野證人 食い違つておるというような報告を受けました。
  923. 角田幸吉

    角田委員 報告だけでうつちやつてしまいましたか。その責任をどう処置なさいましたか。
  924. 佐野幸康

    佐野證人 平林主任が何か立てかえたというようなことを聞きました。
  925. 角田幸吉

    角田委員 立てかえたということを聞いて、その処置はなさらないのですね。
  926. 佐野幸康

    佐野證人 それについて私の方は……。
  927. 角田幸吉

    角田委員 何ら関せずえんというわけですか。
  928. 佐野幸康

    佐野證人 関せずえんではありませんが、経済の方に対しましては、相当仕事も過労なことが多いので、主任の方には督励費というようなものも多少本部から出ておりまして、これも出しております。
  929. 角田幸吉

    角田委員 督励費は関係ない。その保管金を現在——保証金がどの程度に扱われて、およそ何件ぐらい現在ありますか。あなた警察署長として、責任者としてそのくらいのことは監督なさるのが、自分の責任だろうと思うのでお聞きするのです。金額にしておよそ幾ら、そうして件数にして何件くらい現在ありますか。
  930. 佐野幸康

    佐野證人 主任報告がないと、私わからないのであります。
  931. 角田幸吉

    角田委員 そうすると、あなた主任報告なさらないことについては、重大だと思われる金銭についても監督をなさらないのですね。
  932. 佐野幸康

    佐野證人 主任によく命じて、監督するように常にしております。
  933. 角田幸吉

    角田委員 主任に命じて監督するようにして、自分はやつておらぬから一切承知せぬということになりますか。
  934. 佐野幸康

    佐野證人 それについての責任は私……。
  935. 角田幸吉

    角田委員 責任問題を問うておるのではありません。私がお尋ねいたしますのは、ただいま何件ぐらいその保証金を預かられておるか。そしてその金額はおよそ何ほどであるかということを、あなたの責任においてあなたから承りたい。
  936. 佐野幸康

    佐野證人 私承知しておりません。
  937. 角田幸吉

    角田委員 承知しておりませんね。このことははつきりしておかなければなりません。そこであなたは先刻、國政調査國会における証言であろうと、また裁判所において証言をしたものであろうと、これは報告さすべきものであり、あなた自身が今日の証言内容を上司に御報告するとおつしやいましたね。
  938. 佐野幸康

    佐野證人 はあ。
  939. 角田幸吉

    角田委員 それではあなたは、榊証人の今日の証言帰つてから報告させますか。
  940. 佐野幸康

    佐野證人 私は榊巡査に対しては、今職務上では関係がありません。
  941. 角田幸吉

    角田委員 そうですか。そうすると、あなたには何も関係のない人ですね。
  942. 佐野幸康

    佐野證人 職務上においては関係がありません。
  943. 角田幸吉

    角田委員 そうすると今日榊巡査が、あなたの警察において何回か金をなくしたり、それから書類と金銭の食い違いがあつたということも、あなたに対する報告の義務はないというわけですね。
  944. 佐野幸康

    佐野證人 過去において、榊巡査が私の署におつた間のことについては、私に責任があります。
  945. 角田幸吉

    角田委員 そうすると、あなたは帰つてから今日のことを上司に御報告なさいますか。あなたの警察において金銭上の食い違いがあり、そしてまた紛失したものがあるということを、あなたは明日帰つて上司に御報告なさいますか。
  946. 佐野幸康

    佐野證人 報告いたします。
  947. 角田幸吉

    角田委員 それじやけつこうです。
  948. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ちよつと伺いたいのですが、私は警察民主化ということは、警察の内部のいいこと、惡いこと、これをすべてさらけ出して、そして國民の批判を受けるというようなやり方をするのが、最も警察民主化に役立つと思うのですが、あなたはどう考えますか。
  949. 佐野幸康

    佐野證人 いいこと、惡いことを一般にさらけ出すということは、惡いことを一般に公表しろということでございますか。
  950. 梨木作次郎

    ○梨木委員 必要があれば……。
  951. 佐野幸康

    佐野證人 必要があれば、もちろん公表してさしつかえないと思います。
  952. 梨木作次郎

    ○梨木委員 いや、さしつかえないということじやなくて、警察内部のいろいろないいこと、惡いことを、できるだけ一般に周知せしむるような措置を講ずることによつて、國民の批判を受けるようにした方が、それが警察民主化されるために非常に役立つことだという……。
  953. 佐野幸康

    佐野證人 そう思つております。
  954. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ところで、あなたとしては、自分の部内のいろいろなボロ、こういうボロを外部へ発表されることを好みますか、好みませんか。
  955. 佐野幸康

    佐野證人 ボロをことさらに発表するということを好んではおりません。
  956. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そういうことを発表されたら、あなたは好んでおられないわけですね。
  957. 佐野幸康

    佐野證人 おりません。
  958. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこで、そういうことを発表した人があつた場合に、その発表したことを報告を求める場合は、あなたが好まないことをやつたことになりますね。そうでしよう。好まないことをやつたことになりますね。
  959. 佐野幸康

    佐野證人 はあ。
  960. 梨木作次郎

    ○梨木委員 結局は、あなたと、それからあなたの部下の人とが、利害が相反することになりますね。結局あなたの好まないことをやつたのだから、そういうことになりますね。好ましくないことをやつたということになるね。
  961. 佐野幸康

    佐野證人 はあ。
  962. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そういう場合に報告を求めることは、これは相手方に対してむりを求めることになるね。そういうことになりますね。
  963. 佐野幸康

    佐野證人 好まないことを求めることは、むろんむりなことになります。
  964. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そういうことをされると、國会において私たちが警察民主化するために、警察内部のいいこと、あるいは惡いことをすべてあからさまに発表して欲しいわけです。それを求める場合に、そのあなたの方の好ましくないことを発表した場合に、國会でどんなことを言つたというようなことを聞かれたんじや、これは國政調査に非常にじやまになるということは、あなたも大体見当がおつきでしよう。
  965. 佐野幸康

    佐野證人 わかります。
  966. 梨木作次郎

    ○梨木委員 だから、やはり報告を求めるということはいいことじやないわけですね。
  967. 佐野幸康

    佐野證人 求めることはよくないと思つております。
  968. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ですから、今後あなたはこういうような場合に、報告を求めるようなことはやはりされますか。それともしないですか。
  969. 佐野幸康

    佐野證人 國会に対して証言したことを報告しろとか何とかいうことは、求める考えは持つておりません。
  970. 梨木作次郎

    ○梨木委員 今後に……。
  971. 佐野幸康

    佐野證人 はあ。
  972. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこで、とにもかくにも榊君が國会で、警察の、一般の世評から言えばボロを暴露した。こういう事実があつたわけですね。ボロか何か知らぬけれども、あまり好ましくない……。
  973. 佐野幸康

    佐野證人 そういう榊巡査のこちらへ來ての証言が、警察の内部のボロを証言したというようなことは考えておりません。
  974. 梨木作次郎

    ○梨木委員 しかし、あまり好ましくないことを言つたということはどうです。
  975. 佐野幸康

    佐野證人 それも考えておりません。
  976. 梨木作次郎

    ○梨木委員 しかし一般の普通常識から言えば、あなた方警察署内部のボロに類するようなことを言つたという事実が、客観的に批評されているわけです。そこへもつて來て、今の轉勤という事実が起つているわけです。
  977. 佐野幸康

    佐野證人 榊巡査が何か加賀町署のボロをさらけ出して、私がその証言したことを求めたときに拒んだというようにも考えておりません。またここへ來て加賀町署のボロを証言したというようなことも承知しておりません。これは新聞に発表されたことを見まして……。
  978. 梨木作次郎

    ○梨木委員 あなた新聞に発表されたことをごらんにならないのですか。
  979. 佐野幸康

    佐野證人 見ました。
  980. 梨木作次郎

    ○梨木委員 見ましたでしよう。だから……。
  981. 佐野幸康

    佐野證人 別にボロをさらけ出したというようなことは、新聞記事にはなかつたように私は考えております。
  982. 梨木作次郎

    ○梨木委員 平林さんは、何かボロと感じたらしいね。
  983. 佐野幸康

    佐野證人 それは見解の違いかも知れません。私はボロとは感じておりません。
  984. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこでもう一つ伺いたいのですが、まあ平林さんはボロと感じたということを國会証言した。その後間もなく轉勤という事実が起つております。この人事はどうも穏当ではないと私は思うのです。これは先ほどもお尋ねがありましたが……。
  985. 佐野幸康

    佐野證人 私はきのうの新聞を見て直感したのですが、何か榊巡査署長なり平林警部補の不利になるような証言國会でしたために、そういうことにからんで異動をしたというお考えを皆さんお持ちのようでありますが、そういう異動ではないと私は考えております。また本部においてもそういう考えを持つておらないと承知しております。
  986. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこで伺いますが、それでは少くとも榊巡査の異動については、とにもかくにも平林主任が憤慨するようなことを國会証言したと新聞に報ぜられておつた。そのことをあなたは御承知にならぬのですか。
  987. 佐野幸康

    佐野證人 そういうことは存じません。
  988. 梨木作次郎

    ○梨木委員 だつて新聞をごらんになつたでしよう。
  989. 佐野幸康

    佐野證人 新聞は見ましたが、そういうことがあつたように記憶しておりません。
  990. 梨木作次郎

    ○梨木委員 とにかく、榊巡査がこういう証言をしたということは、新聞でごらんになつているでしよう。
  991. 佐野幸康

    佐野證人 見ております。
  992. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それを見て平林主任は、あれは偽証だと憤慨しているわけです。
  993. 佐野幸康

    佐野證人 私はそう感じません。
  994. 梨木作次郎

    ○梨木委員 しかしそういう事実があつたわけです。こういう場合に、人事は最も愼重を期さなければならぬと私は思います。今もしここで異動するならば、國会証言と結びつけて、これは左遷でないかというような疑いが世上の口に上るわけですよ。この点をあなたは異動について考えたか考えないかということをお聞きしたい。
  995. 佐野幸康

    佐野證人 異動について、私は先ほど申し上げましたように、四月ごろに……。
  996. 角田幸吉

    角田委員 そういう非難を受けやしないかということを、あなたは考えなかつたのですか。
  997. 佐野幸康

    佐野證人 地檢の問題につきましては、私は全部済んだと考えておつたのであります。新聞だけを見ておりますから……。世間が榊巡査を一人動かしたために、地檢問題と結びつけて左遷をしたと考えるとは思つておりませんでした。
  998. 角田幸吉

    角田委員 それはそうですが、しかし……。
  999. 佐野幸康

    佐野證人 結びつく理由も私としては見出せなかつたのであります。
  1000. 角田幸吉

    角田委員 あなたはそういう感覚で人事の異動をやられたわけなんですね。
  1001. 佐野幸康

    佐野證人 私は人事の異動はやりません。
  1002. 角田幸吉

    角田委員 いや、人事の異動について少くとも関與しているわけですね。関與されておらないとは言えない。
  1003. 佐野幸康

    佐野證人 関與と申しましても、四月の警察学校へ行かぬという問題のときに、榊巡査が動いてもいいというような考え方を持つてつたので、そのことについては私は適当な時期に異動してもらつた方がいいというようなことを……。
  1004. 角田幸吉

    角田委員 その適当な時期について、あなたとしては、少くとも國会で榊君の言つた証言が問題になつているはずです。これは常識的に考えても署内で問題になつていると思う。これはあなたは署内では問題になつていないとお考えになつておられるのでしようか。
  1005. 佐野幸康

    佐野證人 あまり問題にもなつているとは考えません、私の署内では。
  1006. 角田幸吉

    角田委員 それで、この異動をやつても、國会証言とたいした結びつきがあるというような非難はあり得ないと考えて、このことをやつたわけですね。
  1007. 佐野幸康

    佐野證人 そう考えております。
  1008. 角田幸吉

    角田委員 よろしゆうございます。
  1009. 田万廣文

    ○田万委員 現在の心境といたしまして、いろいろ各委員の方が聞かれましたが、結論として今日の氣持の上においても、警察関係における取調べのみならず、特に警察関係において、國政調査権の発動として法務委員会において証言したその者に対して、あなたの部下なら部下に報告を求められる氣持がおありですか、ないのですか。
  1010. 佐野幸康

    佐野證人 報告を求めたいとは考えておりません。
  1011. 田万廣文

    ○田万委員 思つていらつしやらない……。
  1012. 佐野幸康

    佐野證人 自発的に報告して來るものは受けます。
  1013. 田万廣文

    ○田万委員 自発的はこの限りにあらず。しかし上司として彼に対して報告を求める氣持はない。
  1014. 佐野幸康

    佐野證人 しかし私は上司に本日のことを報告する氣持でいるのです。
  1015. 田万廣文

    ○田万委員 それが聞きたかつたのです。氣持はないという形において、ただちに今日の法務委員会におけるところの証言については、上司報告するという氣持と矛盾しておりはしないかどうかということをお聞きしたい。
  1016. 佐野幸康

    佐野證人 自発的に、私個人の考えですから……。私は自発的にやはり報告をしておきたいという氣持でおります。
  1017. 田万廣文

    ○田万委員 その報告するという氣持は、どういう意味合いにおいてですか。報告する趣意はどこにあるのですか。
  1018. 佐野幸康

    佐野證人 やはり警察は階級にわかれておるのでありまして……。
  1019. 田万廣文

    ○田万委員 階級にわかれておるだろうが、証言と階級と何の関係がある。
  1020. 佐野幸康

    佐野證人 やはり職務自分で異動の問題について……。
  1021. 田万廣文

    ○田万委員 証言することは職務上の仕事ではないですよ。証言はどこまでも証言でなければならぬ。
  1022. 佐野幸康

    佐野證人 証言証言でありますが、その証言内容が、私の今お尋ねをいただいておることが何か異動について、どうだとかいうような御質問をいただいておりますので、そういう点についてはこういう考え方でおりましたということを……。
  1023. 田万廣文

    ○田万委員 そういうような、第三者から非難される。それがあたつておる、おらないは別といたしまして、いわゆる社会通念において非難されがちな行動自身は、今後愼むべきじやないかということについて、あなたの常識として……。
  1024. 佐野幸康

    佐野證人 愼むべきだと思つております。
  1025. 田万廣文

    ○田万委員 ではあなたが今日言われたことを上司報告するということは、われわれが考える立場においては、今日の法務委員会において平林さんなりあなたの証言から受けた感じは、共産党の梨木君が言われておるが、何か臭いものにふたをする意味において、惡い者を削除して統制をとるという意味合において報告を求め、また報告をするというふうに受取りがちになるのだが、あなたの氣持とは別個な社会的な観念があるということですが、これはあなた認められますか。——そういうふうに世の中というものは、あなたの思つていらつしやるほどしかく簡單なものではない。いろいろ見る角度によつてつて來るが、第三者的に考えた場合は、今度の異動はどうも変だと思われているらしいですね。
  1026. 佐野幸康

    佐野證人 その思われることが、何か地檢の問題と関連があるという考えを持つている人はそう思われるかもしれません。
  1027. 田万廣文

    ○田万委員 かたい警察のからから一歩出まして、いわゆる民主警察なら民主警察になつたというあなたの氣持を、もう少し大きく一歩踏み出せば、われわれ第三者の氣持がわからないような警察官に、何で民主警察ができるかということになるのですね。
  1028. 佐野幸康

    佐野證人 もちろん第三者の氣持に立つて考えることはありますが、……。
  1029. 田万廣文

    ○田万委員 上司の氣持に立つて考えるという氣持があるならば、元にかえつたならば、初めあなたの今日の証言は、下僚から報告を聞くということは警察法の四十八條ですか、指揮監督権によつてやるのだという権利を主張なさつておられる。ところが、後にだんだん調べて行くと、平林さんから自発的に報告をさせようかという話があつたの報告させたというような話があつた。いずれが正しいかということはわれわれはまだわからない。
  1030. 佐野幸康

    佐野證人 ですからそれは、署長がすぐ報告書を持つて來いというような強い考えを持つておれば、すぐにやつたと思いますが、あの当時は、——その当時のことを私申し上げておるのでありますから。先ほど申し上げましたように、平林警部補が報告に來たので、報告書を出しましようか。と自発的に申されたので、では出してもらおうじやないかと言つたのであります。
  1031. 田万廣文

    ○田万委員 それで平林さんから言われて、あなたが報告書をとろうという氣持になつたという証言でありますが、今日の法務委員会証言をただちに上司報告するというような考えを持つているあなたとしては、やはりお前もわしに報告をせぬが、おれにすべき義務があるのじやないかというような感じを持つておられたのじやないですか。それが常識じやないですか。
  1032. 佐野幸康

    佐野證人 強制して……。
  1033. 田万廣文

    ○田万委員 強制でなくても、当時においてはそういう氣持を持つておられたのではないですか。
  1034. 佐野幸康

    佐野證人 当時においてはそういう氣持でおりました。
  1035. 田万廣文

    ○田万委員 そうでしよう。それが普通だと思う。
  1036. 佐野幸康

    佐野證人 さつき申し上げましたように、警察官として何かあつた場合には、すぐ報告をするというような從來の慣例がありましたので、國会は初めてでありますが、警察官はそういう慣例に基いて報告をしているわけであります。
  1037. 田万廣文

    ○田万委員 そういう慣例は、今後この國政調査の行き方については大いに訂正しなくちやならぬという氣持を、今日持たれたわけですね。
  1038. 佐野幸康

    佐野證人 持ちました。
  1039. 田万廣文

    ○田万委員 けつこうです。
  1040. 花村四郎

    花村委員長 それでは最後にちよつとお尋ねしておきたいと思うのですが、先ほど民事刑事等の事件証人として出た場合に、その証言した内容の報告を受けるのが今までの例になつている。こういうことですが、それは要するに、指揮監督の上からそういう方途を講じているというようなお話でしたが、民事刑事事件証言報告を求めてどうしようと言うのですか。
  1041. 佐野幸康

    佐野證人 どうしようということはないのでありますが……。
  1042. 花村四郎

    花村委員長 必要のないことですか。
  1043. 佐野幸康

    佐野證人 刑事事件等の場合においては、証言に出る場合、事件自分が取扱つたとか、現場においてどういうようなものを見たとか、あるいは逮捕したとかいうようなことで証言を求められる場合が多いのであります。從つてそういうことは、自分警察署において起つた事件承知する責任のある署長としては、やはり承知しておく必要が……。
  1044. 花村四郎

    花村委員長 承知するといつても、警察署内で起つたことはすべて署長承知しておるのであるから、証言を聞かんでもそんなことはわかるわけでしよう。警察署に起きたことはみな署長が知つているのじやないですか。証言によつて知るのですか。
  1045. 佐野幸康

    佐野證人 承知しておりますが、やはり証言も、どういう証言をするかというようなことを、從來は口頭なり書面なり、あるいは書面で全部やらない場合もありますが、大体口頭報告するのが通例であります。
  1046. 花村四郎

    花村委員長 だが、そういう証言にまで立ち入つて干渉するということが、監督のうちに入ると考えておられますか。それまで警察官は束縛するのですか。
  1047. 佐野幸康

    佐野證人 干渉とは私考えておらぬのであります。
  1048. 花村四郎

    花村委員長 干渉という言葉は語弊があるかもしれませんが、他人の事件の法廷に出て、裁判官の前で証言したその証言までも報告を求むるという必要は、ちつともないじやないですか。ないことまでやつているのですか。
  1049. 佐野幸康

    佐野證人 求むるというのではなく、自発的にみなやつております。
  1050. 花村四郎

    花村委員長 そういうことを自発的にやらせる必要もないじやないですか。やめさせたらいいじやないですか。
  1051. 佐野幸康

    佐野證人 必要がない場合にはやめさせます。
  1052. 花村四郎

    花村委員長 不必要な場合にはやめさせるというなら、これは必要がないじやないですか。どういう必要があるのですか。刑事事件つて警察内で扱つたことをもつて証言するのでしよう。警察内で扱つたことを署長は知つている。その知つていることを証言したつて、そんなこと報告させる必要はないじやないですか。そういうことが公正であるべき、また眞実を述べるべき証人証言にまで影響を來すということになる。これは國会ばかりでない。ことに民事等の私人関係の証人証言にまで立ち至るというようなことは……。
  1053. 佐野幸康

    佐野證人 民事関係につきましては、もちろんそういうことはやつておらないのであります。
  1054. 花村四郎

    花村委員長 刑事関係にしてもそうじやないですか。そこまで立ち至つて監督権を発揮するなということは、昔ならいざしらず、民主化された日本の警察でやるべきことではないじやないですか。
  1055. 佐野幸康

    佐野證人 やはり刑事事件におきましては、署長事件捜査の責任者になつております。從つて事件を扱つた者が責任者としてむろん法廷に出るわけであります。法廷に出た場合に、きようは事件についてどういう証言をやつて來たということは、その署長と一体となつて仕事をしておる証人としては、やるのが例となつております。
  1056. 花村四郎

    花村委員長 例になつているでしようが、要するに警察で扱つた眞相をそのまま述べるのだから、警察で扱つた事柄は警察署長が知つているのだから、そんな報告を求むる必要はないじやないか、こういうのです。そういう必要はどこにあるのですか。それが昔の官僚式というのじやないですか。部下のやつたことはみんな上官に報告しろというのは、非民主的な、いわゆる旧來の型を破らない、昔ながらの警察の考え方じやないですか。
  1057. 佐野幸康

    佐野證人 やはり階級をわけて仕事をしておる警察としては、そういう方法でやるのが一番いいのではないか、こういう考え方を持つているのであります。それによつて民主化されないということは考えておりません。
  1058. 花村四郎

    花村委員長 それでどこに実益があるというのですか。警察で犯人を檢挙し取調べたということは、署長報告して、あなたはみんなわかつているはずだ。あるいは小さな事件はわからぬかもしれないが、……。
  1059. 佐野幸康

    佐野證人 わからぬ点もございます。
  1060. 花村四郎

    花村委員長 いずれにしても、りくつの上から言えば報告すべきもので、署長が知つておらなければならないのだ。それをその警察であつたことを証言したからといつて、その証言を一々上司報告しなければならぬという必要はないじやないですか。それを聞かなければならぬというのは、間違つたことを言うたのかどうかを檢討しようという意味になるのですか。
  1061. 佐野幸康

    佐野證人 そういうことはないのであります。
  1062. 花村四郎

    花村委員長 そういうことがなければ、実益がないじやないですか。どういう実益があるのですか。
  1063. 佐野幸康

    佐野證人 実益の問題よりも、一体として仕事をしている関係で……。
  1064. 花村四郎

    花村委員長 証言など求めたつて、一体として仕事に貢献する何らの実益がないじやないですか。そういうことはかえつて有害だ。自由に証言すべき証言も、後にこういうことを言つて署長報告しなければならぬから、実際のありのままの姿のことを言えぬというような場合が出て來る。それだからこそ実益というものはちつともないじやないですか。それを繰返しておるということが、要するに世間で言う官僚的な昔ながらの考え方である、こう考えませんか。
  1065. 佐野幸康

    佐野證人 私は、警察署長を中心として一体となつて仕事をやる場合において、扱つた事件職務上のことについて、取調べを受けたとか、あるいは刑事事件等で証言をしたとかいう場合においては、やはりこういうようなことがあつたということだけは、一体の関係からいたしまして、上から下まで知つておく必要があると考えております。
  1066. 花村四郎

    花村委員長 それは一体の関係にはなりましようけれども、警察でできた事柄を裁判所で証言して、その証言署長に話をするということがどこに一体性があるのですか。警察内における仕事に対しては、署長と心を合して、一体となつて働かなければならぬが、裁判所で証言したことを署長報告するなんということには、どこに一体性の理由があるのですか。
  1067. 佐野幸康

    佐野證人 職務上のことに関してだけであります。職務上以外のことに関しては、もちろん報告の必要もないし、また聞く必要もないと思つております。
  1068. 花村四郎

    花村委員長 そういうお話ならそれでいいのですが、そこで先ほど田万君からも質問があつたのだが、國会の問題に移りますが、國会証言したことを、下僚があなたに向つて報告しなくてもいい、報告しないのは当然だという意味にお聞きしてもいいでしようね。
  1069. 佐野幸康

    佐野證人 まあ自発的な報告は……。
  1070. 花村四郎

    花村委員長 自発的な報告をするのは自由だから、そんなことは聞く必要はありません。それだから報告をしなくてもよろしい、こう考えられるという先ほどの話でしたね。
  1071. 佐野幸康

    佐野證人 強制的にということだけです。自発的な点は……。
  1072. 花村四郎

    花村委員長 強制的にやることはもちろんいけませんけれども、自発的にやることは、本人がかつてにやるのだから、何をやろうともそんなこと干渉する必要はないのだから、とにかく報告はしなくてもいい、こういう考え方なんでしよう。
  1073. 佐野幸康

    佐野證人 現在はそういう考えを持つております。
  1074. 花村四郎

    花村委員長 それならば、あなたがこの國会で調べられたことについて上司報告するなんという古い頭で解釈をして、そんなことおやりにならぬ方がいいじやないですか。
  1075. 佐野幸康

    佐野證人 それは自発的に各人の考えで……。
  1076. 花村四郎

    花村委員長 自発的でも、そんな無益なことをやらずに、上司報告に行く時間があつたら、ほかのもつと重要なことをやられた方がいいんじやないですか。そういう無益なことを今日までの役人はやつておるから、役人というものが非難をされるのだ。そういう不必要なことを、そして上司の鼻息をうかがうような——鼻息をうかがうと言えば言葉が過ぎるかもしれませんが、上司のきげんをとるような無益な報告をやるというのは……。
  1077. 佐野幸康

    佐野證人 きげんとは考えておりません。
  1078. 花村四郎

    花村委員長 あなたは考えておらぬけれども、旧來の役人はそうなんだ。そういう無益なことはやらぬ方がいいじやないですか。上司報告する必要がないじやないですか。権威ある一國の警察署長が、正々堂々と眞実を國会において述べたその事柄を、一々上司報告するなんてばかげたことがありますか。
  1079. 佐野幸康

    佐野證人 報告しても別にさしつかえないと思います。
  1080. 花村四郎

    花村委員長 さしつかえないが、そんな無益なことをやる必要がないじやないですか。こう言うのです。あなたが報告するというような氣持を持つことは、やがてやはり下僚からの報告を求めるという氣持が出て來る。その点は結びついて來る。そんな無益なことは今日から改められて、そういう旧弊は打破されたらどうです。そこまで希望するのです。
  1081. 佐野幸康

    佐野證人 よく考えております。
  1082. 花村四郎

    花村委員長 ほかに質問がありますか。——それではこれで済みました。
  1083. 平林昇

    平林證人 先ほど梨木委員から、警察のボロをさらけ出すというお言葉がありましたが、私はそういうふうに解釈しておりません。ただ事実でないことを発表されるということは警察の威信にかかわる。事実であれば、たとい警察のボロであつても、堂々と批判されるものと思います。私はただ加賀町署のボロがさらけ出されたというふうには見ておりません。ただ加賀町署で取扱つたことと内容が食い違つておる。事実でないことが発表された。これは私の遺憾とするところでありまして、私たちに失態がありますれば、いかなる批判も私は喜んで受けます。
  1084. 花村四郎

    花村委員長 わかりました。
  1085. 榊清史

    榊證人 先ほど署長さんが研修所の問題のとき、榊君もどこかへ出たいというようなことを言つておりますが、私はそのとき経済室にもなけたことだし、今出たくない。それで私は経済室におつたのです。どこかへ出たいかとは聞かれましたが、私は出たいとは絶対に言つておりません。それから先ほど平林主任さんが言われましたが、新聞に報道されたことは根も葉もないことでないか。これを榊君が言つておることは事実だ。それで偽証罪とか何とか言つて難詰されたことは事実です。
  1086. 花村四郎

    花村委員長 そうすると、佐野幸康君の先ほど言われた、榊清史君が轉任したいと申し出した來たという事実はないと言われるのですね。
  1087. 榊清史

    榊證人 自分はそういうことは絶対言つてないのです。
  1088. 花村四郎

    花村委員長 そうして平林昇君の言われた供述中、難詰された。國会証人として法務委員会に出て証言した供述は偽証であると言われたということははつきりしておる、こういう意味ですね。
  1089. 榊清史

    榊證人 そうです。
  1090. 花村四郎

    花村委員長 わかりました。それでは御苦労さまでした。これで済みました。  これより証人岩山明正君に証言を求めることといたしますが、証言を求める前に証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証人証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて、默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるとろによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。     〔証人岩山明正宣誓
  1091. 花村四郎

    花村委員長 それではお手元にお配りしてある宣誓書署名捺印をお願いいたします。     〔証人岩山明正宣誓書署名捺印
  1092. 花村四郎

    花村委員長 岩山明正君ですか。
  1093. 岩山明正

    岩山證人 そうです。
  1094. 花村四郎

  1095. 岩山明正

    岩山證人 三十七。
  1096. 花村四郎

    花村委員長 職業は。
  1097. 岩山明正

    岩山證人 会社重役。
  1098. 花村四郎

    花村委員長 現住所は。
  1099. 岩山明正

    岩山證人 横浜市南区西中町1丁目二十三番地。
  1100. 花村四郎

    花村委員長 前会本委員会において証人として証言をいたしたことがございますね。
  1101. 岩山明正

    岩山證人 あります。
  1102. 花村四郎

    花村委員長 その証言の中ではつきりしない個所がありましたので、再びおいでを願つたわけですが、鈴木茂雄というのを御承知ですね。
  1103. 岩山明正

    岩山證人 知つております。
  1104. 花村四郎

    花村委員長 その鈴木茂雄君があなたの事件のもみ消し運動であなたのところに金をとりに來られたことがありますが、その金をとられに來たうちで、檢察懇話会に一万円、司法記者倶樂部に五千円を渡したいから、その金を出してくれと言うて來たことがありますね。
  1105. 岩山明正

    岩山證人 ございます。
  1106. 花村四郎

    花村委員長 その顛末を詳細におつしやつてください。
  1107. 岩山明正

    岩山證人 それは最後に金を渡したことになるのでありますが、九月の初めか八月の下旬だつたと思いますが、鈴木さんが來られまして、後藤さんの話によると、檢事さんたちがあした箱根へ行く、それについて、その費用の一部にというようなことで差出せば心証もいいだろうと言うので、どのくらい出したらいいだろうかと私が聞いたところが、まあ一万円くらい。どういう名目で出すのかと言いましたら、檢察懇話会というのがあるから、それへ出してもらえばいいのだというようなぐあいに言われておつたのであります。さらに私といたしまして、このことが新聞に出ると、やみをやつたということでたいへん信用上おもしろくないというので、何か新聞に出るのをとめることはできないかと聞いたところが、それは私の方でもつてうまくやるから、裁判所の方の記者倶樂部があるから、その方へ私の方から渡りをつけておくから、まあ五千円ばかり出してくれというので、同じ日でありましたが、名目は違つておりましたが、そのとき私が会社の封筒に一万円と五千円とを入れまして、あて名を檢察懇話会、片一方は司法記者倶樂部、名目はよくわからなかつたのでありますが、記者倶樂部というようなことを書いて、私が裏にのりづけをして、私のたしか印鑑を押したようにも覚えておりますが、鈴木さんに渡したのであります。
  1108. 花村四郎

    花村委員長 それでその金は檢察懇話会並びに司法記者倶樂部に渡したということでしたか。
  1109. 岩山明正

    岩山證人 渡したと言つておりました。
  1110. 花村四郎

    花村委員長 渡したと言つてつた。今言われたことは間違いありませんね。
  1111. 岩山明正

    岩山證人 ありません。
  1112. 花村四郎

    花村委員長 それから書類を持つて來られましたか、手紙を。
  1113. 岩山明正

    岩山證人 はい。持つて來ました。
  1114. 花村四郎

    花村委員長 それを提出してください。
  1115. 岩山明正

    岩山證人 これはここで公開なさるのですか。委員会の中だけでもつてこれを保管なさいますか。
  1116. 花村四郎

    花村委員長 もちろん委員会受取るわけですが、公開するものではありません。
  1117. 岩山明正

    岩山證人 それじやお出しいたします。
  1118. 花村四郎

    花村委員長 三通ですか。
  1119. 岩山明正

    岩山證人 三通です。
  1120. 花村四郎

    花村委員長 それでは岩山明正君の任意提出にかかる鈴木茂雄より同君にあてた手紙三通をお預かりいたしておきます。何か御質疑がありますか。——もう一つお伺いしておきますが、前に供述された鈴木茂雄に渡された金の額は間違いありませんね。
  1121. 岩山明正

    岩山證人 私の記憶では間違いありません。
  1122. 花村四郎

    花村委員長 それからその金はどう使つたかということを、あなたに報告されましたか、しませんか。
  1123. 岩山明正

    岩山證人 一部報告を受けています。一部というのは、最初に言われた署の人たちを接待したというのに使つたということです。あと後藤さんの方に届けてあるということで、それがどう使われたか私にはわからない……。
  1124. 花村四郎

    花村委員長 そういう報告を受けたわけですね。
  1125. 岩山明正

    岩山證人 はい。
  1126. 花村四郎

    花村委員長 それで警察の人を招待した。そうして使つたという金の額は幾らと申しましたか。
  1127. 岩山明正

    岩山證人 たしか一万五千円か二万くらいに覚えておりますが、多分そのとき私はたいへん高いものだと思つただけなんです。
  1128. 花村四郎

    花村委員長 そして、あと後藤つぎの方に渡してあるという報告つたんですか。
  1129. 岩山明正

    岩山證人 そういう報告であります。
  1130. 花村四郎

    花村委員長 後藤つぎがあなたのところに行つたことがありますか。
  1131. 岩山明正

    岩山證人 ございます。
  1132. 花村四郎

    花村委員長 そのときに、後藤つぎにあなたは聞く機会はありませんでしたか、金を受取つたかどうか……。
  1133. 岩山明正

    岩山證人 來たときにはすでに、後藤さんから私が呼ばれまして言われますのに、岩山さん、あなたは鈴木に金を渡しているそうだが、私のところに何か届けて來たというふうに人から聞いたけれども、たいへん迷惑しているということを言われたものですから、私も何が何やらわからないで、こういう問題はこうなつたらどうという判断がつきませんので、聞くわけにも行きませんし、ただ後藤さんから金額はどのくらい渡したかと聞かれたときには話をいたしましたが、それがいつ幾日幾らとか、どういう名目で持つてつたかということは、後藤さんあなた受取りましたかということを聞くこともできませんので、むだになつても仕方がない、私がだまされたかなというようなあれがありましたので、聞くような氣持もなかつた
  1134. 花村四郎

    花村委員長 そうすると、その後藤つぎの話によると、後藤つぎのところにあなたの金が行つておらない、ことがあなたに受取れましたか。
  1135. 岩山明正

    岩山證人 どうも何がなんだかわからないという氣持でした。
  1136. 花村四郎

    花村委員長 今言われたことは記憶はつきりしているわけですね。
  1137. 岩山明正

    岩山證人 どの点でございますか。
  1138. 花村四郎

    花村委員長 大体今言われたすべては……。
  1139. 岩山明正

    岩山證人 はつきりしております。
  1140. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。梨木作次郎君。
  1141. 梨木作次郎

    ○梨木委員 あなたは昭和二十二年の九月初めごろ、後藤つぎさんのところに、後藤つぎさんから呼ばれて行つたことがあるのですか。
  1142. 岩山明正

    岩山證人 はい。ございます。
  1143. 花村四郎

    花村委員長 どういうような用件で呼ばれたんですか。
  1144. 岩山明正

    岩山證人 それは十万五千円渡してからです。二、三日たつてからだと思いますが、後藤さんから電話がかかつて來まして……。
  1145. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どういう電話……。
  1146. 岩山明正

    岩山證人 明日の朝九時ごろまでに來てくれ、私はいなかつたのですが、家内が取次いたんですが、言つていました。
  1147. 梨木作次郎

    ○梨木委員 行きましたか。
  1148. 岩山明正

    岩山證人 はい。
  1149. 梨木作次郎

    ○梨木委員 行つたらどういう話でしたか。
  1150. 岩山明正

    岩山證人 この間お話しました通り、たずねて行きましたら——後藤さんに会つたのはそれが初めてです。いや二回目です。間違いました。一回目はつたのやで会いました。そのときは二回目です。それで、岩山さん、あなたの方から鈴木という新聞記者に金が行つているけれども、一体幾らとられたのか。どういう理由で出ているのかというので、私がそこで説明したのです。
  1151. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その場に宮崎さんはおつたのですね。
  1152. 岩山明正

    岩山證人 おりました。
  1153. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それはあなたが後藤さんに会つているうちに、宮崎さんが入つて來たのですか。初めから後藤さんと宮崎さんがおつたところに、あなたが入つてつたのですか。
  1154. 岩山明正

    岩山證人 はあ、おりましたところに入つてつた
  1155. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それで……。
  1156. 岩山明正

    岩山證人 それで宮崎さんがおりましたものですから、私もびつくりいたしまして、これはおかしいと思つたのですが、そのとき宮崎さんが——この方は宮崎さんという人だよと初めてそこで言われたものですから、ああこの人が宮崎檢事かとわかつた。それであなたの方で出すということは、われわれの職業に非常に迷惑だ。
  1157. 梨木作次郎

    ○梨木委員 宮崎さんがそう言うのですか。
  1158. 岩山明正

    岩山證人 はあ、そうです。われわれは一銭ももらつていないのだ。鈴木というやつはけしからぬやつだ。どうもそんなやつがいるので、われわれは迷惑しているのだというようなことを言われました。
  1159. 梨木作次郎

    ○梨木委員 言われて、それからそれを何か貸金の証書にでも通しておいたらよかろう。
  1160. 岩山明正

    岩山證人 そのとき途中で、宮崎さんは二階へ上つたように私は覚えておりますが、後藤さんが、とにかく鈴木に私の方から話をして、金をあなたの方に返させてやるからという話だつたのです。
  1161. 梨木作次郎

    ○梨木委員 後藤さんが。
  1162. 岩山明正

    岩山證人 はあ。
  1163. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうしたらよかろうということを宮崎檢事が言つたのですか。
  1164. 岩山明正

    岩山證人 よかろうと言つたのは、後藤さんが、その後鈴木さんと一緒に私の家へ來たときに言つた言葉ははつきりしておりますが、そのときに言つたかどうかということは、前に申し上げた通り、はつきりしていないのです。
  1165. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この前、あなたに横浜で伺つたときには、そのとき宮崎檢事は、そういうのならば返してもらいなさい、返してもらつた方がいいのですよというようなことを言つたように聞きましたが……。
  1166. 岩山明正

    岩山證人 それがはつきりしないのです。後藤さんと二人で言われたかどうか。とにかく私の方から金が出ておる。そういうことでわれわれは迷惑をしておるということは言われたのですが、はつきりと借金の証文にした方がいいと言われたのは、後藤さんが私の家へ鈴木と一緒に來て、話をされたときだと思います。
  1167. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうですか、この前は、はつきり返してもらいなさいと宮崎さんが言つた……。
  1168. 岩山明正

    岩山證人 あるいはそのとき言つたかもわかりません。返してもらえということは、お二人さんの口が合つたように思いますから。
  1169. 花村四郎

    花村委員長 これで済みました。どうも御苦労樣でございました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十四分散会