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花村委員 私らはこの
経済調査廳設置の際に、これは無用の長物だと
言つて反対したのでありますが、しかししばらくその実績を靜かに見てお
つたのでありますけれ
ども、今日から振り返
つて考えて見れば、われわれの言うたことがやはり的中している。権限を削
つたものじやないとあなたは言われるのですが、今材料がありませんけれ
ども、多分調査官にいたしましても、査察官という名義を用いて、しかも刑法の二百二十四條ですか、司法警察官と同樣な権限を與えられて、経済違反の檢挙を
もつぱらやるというような建前を、しかもその名前も経済査察廳と呼ばれてお
つた。それを、そういう経済警察を復活するがごとき、司法警察官的な権限を持たせることはいかぬ、しかもこの
経済調査廳の権限においては、
ちようど今日の警察署と同樣な経済署という名前でしたか、名前ははつきり記憶がありませんが、警察署のような小さいものが全國へばらまかれる計画であ
つたんじやないでしようか。それはあなたも御承知でしよう。そんなものは私が
説明しないでも、法案をごらんになればよくおわかりになることであろうと思う。そして権限もいろいろ縮小せられ、その権限の内容における性格がかわ
つて來たから、三千五百名でいいということにな
つた。三千五百名でありましても、これを有意義に使い、そして眞に業者の中に解け込んで、民主的に、官吏風を吹かせなんで、経済違反のないようにうまく指導して行きますれば、
相当の効果をあげ得るのです。そういう予防的な措置を講じておらないから漁網用の綿糸においてすらも、三割も横流れがされている。これをあらゆる統制物資について考えて見たらどうでしようか。すこぶる多いものである。こういうことは要するに犯罪予防の面を必要とするということを
経済調査廳設置法案のときに何度も繰返しておる経済違反の檢挙じやないということを栗栖安本長官も、ときの鈴木
法務総裁も、その他の
政府委員も繰返して言うておる。ここに私はちやんとしるしをつけて持
つておるから読み上げてもいいのだが、時間がかかるから申し上げませんが、何度も繰返しておる。そうしてそこへ向
つて全委員が万全の考慮を拂
つている。経済警察の復活に相な
つてはならぬ、違反行為に集中することがあ
つてはならぬ、違反行為に沒頭することがあ
つてはならぬ、犯罪予防の面に働いて、その働き中違反の出た場合においてはなるべく警察官にやらして、
経済調査官というものは、犯罪には手を触れぬようにするということまで強調しておいた。そういう意味のことを
政府委員が
説明しておるのです。でありますから、これはただ机上の
議論を言うのじやない。そういうことがこういうことに現われて來るのである。こういう大きな違反を起すようなことにな
つて——むろん起した人も惡い。起した人が惡いから刑法上の
責任を負うのでありまするが、こうなさしめたことは、予防の面にそのよろしきを得なか
つたからで、監督官の方でも大きな
責任を負わなければならぬのではないかと思うのでありますが、こういう点について
経済調査廳の機構が小さくて、統制物資が多いから手が間に合わぬなどという答弁をなさるのならば、もう
経済調査廳からお引きになるのがよかろうと思う。そういう観念を持
つた人では國家の統制などは思いもよらぬことで、百年河清を待つにひとしいものであります。そういうことであ
つては困る。またそういうことであ
つてはならぬ。しかしながら私は今日あなた方に対して、熱意がないとは申しません。もちろん官吏として
相当に努力はしておられることも認めるけれ
ども、その努力が軌道に乘
つて、その與えられた本然の仕事に対して精根を傾けるのでなければ意味をなさないことになる。でありまするから、こういう問題はむしろ天下に発表して——少くとも経済廳ということを知
つておるものは、経済廳の無能を
自分みずから暴露したものであると申し上げてよかろうと思うのでありまするが、こういう点については十分に御考慮願いたいと思う。
次に與えられた資料の中で保管請書徴取調べというのがあります。保管請書徴取ということを
行つておることを私も現に知
つておる。これは現に
先ほど司波さんが言われた津田纖維でも、昭和倉庫株式会社に百九十梱、岩友倉庫株式会社に百二十七梱、最近に配給された綿糸が入
つておるのであります。ところがその綿糸に対して保管請書なるものをと
つて、この綿糸はわれわれの許可あるまでは手を触れることもできなければ、処分することもできなければ、搬出することもできないというので、ほとんど差押えしたと同樣な状態に置いてある。今日実は津田纖維でも、その糸が出て來ないがために、四百の職工が手をこまぬいて工場を休まなければ相ならぬことにな
つておる。でありますから私は安本長官の青木君に対しても、どうも不合理なことじやないか、配給や消費の円滑をはかろうという目的をも
つて経済調査廳ができておるのに、生産を阻害するようなことをや
つておるのだから、こんなばかげた官廳はないじやないかと
言つて抗議を申し込んで、きようは出て來てもらうように
言つておいたのだが、出て來ない。個人的な話でははつきりしないから、公の場所において明快なる答弁を求める意味において安本長官の出席を求めたのでありますが、出て來ない。
法務委員会を侮辱する意味はありますまいが、こつちは侮辱されるような氣持もして、これはけしからぬと思うのでありますが、とにかくここに保管請書というものがある。これは一体どういう性質のもので、いかなる
法律によ
つてこういうものをおとりにな
つておるか、それをまず第一にお尋ねします。