○庄司
委員 なるべく短時間でもう一点だけで終りたいと思いまして、
日高政府委員と討論的なことは謙遜してやりたくないと思います。ただ法的根拠のないものは、これをわれわれ立法府においてはプライベートと称するのであります。これだけを申し上げておきます。それから生徒一人当りの
教育費が年間を通してどのくらいかかるかということをお伺いしておきたい私の信念は、
学生生徒諸君に、われわれ國民の負担する税を通して一人当りの
学生を教養するために、一箇年に何万円を要するものであるかということを、
はつきりと会得させたいのであります。今から十年前の統計では
大学の平均が一千四百円、医科
大学は一千七百円、專門
学校、師範
学校は九百円、青年
学校は二円六十銭、府縣立の中等
学校は六十五円、そんなものでございました。しかるに十年後の今日においてどのくらいの國家経費を要するものであるかということは、よくこれを明らかにして十分
学生諸君にも御会得を願い、大いに祖國復興のために御奮励を願いたいという親心からお伺いをいたしたのであります。
さて
最後にお伺いしたいのは、一見はなはだ
地方問題のように誤解されるおそれがございますが、そういう偏見の上においてお伺いするのではございません。それは宮城縣仙台市に所在する東北
大学のことであります。ただいま議題とな
つておる
原案によれば、この東北
大学に対して第二高等
学校その他工業專門
学校、宮城師範、宮城青年師範
学校等々が併合されることにな
つております。しかるに宮城縣においては、
地方議会において、ただいま申し上げたところの第二高等
学校を除いた以外の三校は、東北
大学に併合されるよりは現在のまま、旧制のままこれを將來に存置したい、こういうことを
決議されておるのであります。そしておいおい三校の内容が充実され、あるいは拡大強化された適当な時期において、この三校が眞に心から三位一体とな
つて、たとえば、かりに宮城
学藝大学というようなものを
設置したいという念願に燃え立
つておるのでございます。私は決して東京に
大学が十何校とか、九州において九校、北海道が五校あるとか、奈良縣に二校あるというような他縣の例をと
つて申し上げるのではありません。それらはそれぞれただいままで当局の申されるところの原則に從
つて、適正に妥当に
学校の構想等をおきめくださいましたことと思うのでございますが、何とい
つても東北
大学は東北の
大学である。ただ詰め込めばいい、カン詰
教育のようにすべての專門
学校等をこれに併合すればいいというようなことだけであ
つては適切ではない。私は決して
大学設置委員会の御審議が公正妥当を欠いておるとは申し上げません。けれ
ども、
大学設置委員会の
決定が、絶対的なものであるとは決して
考えない。古今東西を通じて誤らざるところの眞理であるとは
考えません。人間のやるところには、たまにはエラーもあり脱線もある。そこで私は、いろいろ過去のいきさつもあつたようでございますが、過去のいきさつについてはあえて申し上げません。最近において仙台工業專門
学校、宮城師範、宮城青年師範等々が心からまとま
つて何とか將來ひとつ独立の
学藝大学をつく
つてほしいという念願に燃えておる。この観点に立
つて、ただいまこの席においてにわかに
文部当局に対して善処を要望するというような
考えは、時期的に私は持
つていませんけれ
ども、東北
大学にしやにむに天くだり的に統合され、併合され、合併されるよりは、現在のままにおいてこの三校が残りたい。すなわち本案より除外してほしいというような熱烈なる要望は、ひとり三校の
学校当局のみならず、その卒業生あるいは同窓会その他種々なる
團体、宮城
地方議会においても、仙台市会においても、
決議によ
つて本院に対して請願書を提出しておるのであります。不幸にして提出されておる請願は本
委員会に付託されておるけれ
ども、議事の進行の御都合上、
委員長よりまだ
関係者を御招致にな
つておりませんので、はなはだ紹介議員として、不肖私は残念に存じます。これも議事の進行の御都合であると
考えております。さような意味において、九州においては、明治工業專門
学校ですか、一方においてはこれが工業
大学にな
つておるところがある。それは十一原則に照して人口が多い、あるいは地域的の
関係からでありましようけれ
ども、一方に
大学に昇格するものがあるのに、三校があ
つてもなれないものがある。これはどういう意味でありましよう、われわれは納得が行かないのであります。そこで今ただちに、ただいま申し上げました三校を、
設置委員会等の審議の
手続を省略して
大学に昇格してほしいというようなことは申し上げませんけれ
ども、東北
大学併合よりこの三校を切り離して、しばらく將來に時をかしていただきたい。この三校の内容の充実のために、また
地方民の熱望のままにこの三校を本
原案より切り離すこと等に対して、御所見があれば承りたいと思うのであります。もし幸いに先輩同僚諸君の御賛成があるならば、私は適当な時期にこの三校を
原案の東北
大学の部門より切り離して、除外していただくところの修正動議を出したいと
考えておるわけであります。念のために御所見の一端を承
つておきたいと思うのでございます。
私の
質問はこの程度で終りたいと思います。