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1949-05-12 第5回国会 衆議院 文部委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月十二日(木曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 原   彪君    理事 伊藤 郷一君 理事 佐藤 重遠君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 松本 七郎君 理事 稻葉  修君    理事 今野 武雄君       淺香 忠雄君    岡延右エ門君       甲木  保君    黒澤富次郎君       千賀 康治君    高木  章君       田中 啓一君    土倉 宗明君       庄司 一郎君    若林 義孝君       受田 新吉君    森戸 辰男君       小林 運美君    渡部 義通君       船田 享二君    松本六太郎君  出席國務大臣         文 部 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         文部政務次官  柏原 義則君         文部事務官         (学校教育局         長)      日高第四郎君         文部事務官         (教科書局長) 稻田 清助君  委員外出席者         文部事務官   森田  孝君         専  門  員 武藤 智雄君        専  門  員 横田重左エ門君     ――――――――――――― 五月十一日  六・三制完全実施のため全額國庫補助陳情書  (第四六七  号)  制限漢字の改善に関する陳情書  (第四八二号)  六・三制予算並びに教員定数に関する陳情書外  五件  (第四八七号)  新制中学校施設整備に関する陳情書  (第四八八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  教育職員免許法案内閣提出第一一七号)  教育職員免許法施行法案内閣提出第一一八  号)  國立学校設置法案内閣提出第一三〇号)     ―――――――――――――
  2. 原彪

    原委員長 会議を開きます。  前会に引続いて國立学校設置法案の質疑を継続いたします。
  3. 松本七郎

    松本(七)委員 先般來問題となつておりました、大学校試案をめぐつて、いろいろな心配が各方面から起つておりますが、その当時この委員会でも、世間心配しておりますように、大学校案は出さないけれども、いろいろの法律案で分かつ的にこの大学校試案のような線に沿つたものを出して來るのじやないかというような心配について、文部省見解をただしましたところが、当時國立学校設置法でも、そういう意図は全然ないというような、はつきりした御返答があつたわけであります。そこでいよいよこの法律案が出て参りましてからでも、第十五條で、やはりそういう心配世間に今起つております。それは第十五條の命令への委任というところで、「この法律又は他の法律に別段の定めのあるものを除く外、國立学校組織及び運営細目については、文部省令で定める。」こうなつております。これは普通に常識的に文字通り解するならば、重要な個所は当然これは、この法律あるいはその他の法律で定めるのだということが原則であろうと思います。そうして必要な細目については省令でやろうということであろうと思うのでありますが、大学校試案の問題は、ああいう経過をたどつております関係から、ここに書いてあるもので、國立学校組織及び運営細目について政令で定めるということが、全般的な組織運営等の範囲にまで及んで、文部省令でやるのではないか、そういう意図があるのではないかというような心配が今されておるわけであります。そこでそういう点を詳細に明確にしていただきたい。
  4. 日高第四郎

    日高政府委員 お答えいたします。國立学校設置法おいて、文部省令委任されました事項は、要するにこの法律を円滑に実施できるように國立学校設置及び運営細目について規定するものでございまして、文部省が專断的に、國立学校組織運営等について勝手な規定を定める意思は毛頭ありません。文部省令規定しようといたしまする事項は、この法律施行規則としてただいま準備中でございますが、大体次のようなことをきめるつもりであります。  一つは数個の学部を置く大学の各学部学部長、各研究所及び研究施設に、それぞれ研究所長、その他の長を置く。学長監督のもとに学部研究所等のことをつかさどること。  第二は、國立学校分校を置く場合には、分校分校主事を置くということ。  第三に、國立大学事務部局を置き、これに所要の部課を置くということ。  第四は、國立学校に包括された学校課程に関すること。たとえばその課程を担当する教職員の長として主事を置き、学長監督のもとにその課程のことをつかさどること。  第五は、各國立学校に置かれます職、たとえば教授、助教授講師等及びその定員、すなわちこの法律別表に掲げました定員の職による内訳をいたすこと。  第六は、その他國立学校組織運営細目にわたる事項で、学長または校長が定めることを適当とするものは文部省令にさらに再委任規定を設けること等でございます。  なお國立総合大学講座については、勅令講座令をもつて定められておりましたが、新制國立大学は、すべてが從來講座制度のような固定的なものでなく、教室制度のようなものも考えられておりますので、各大学事情に應じて、比較的自由に定め、また改め得るようにすることが、教授研究上にも、また学問の発達の上にも好都合でありますので、各大学意思を十分尊重して、文部省令で定めることにいたしてございます。  またこの法律は、いわゆる大学管理法とか、あるいは行政法とかいうものを分割して立案したものという批評を、ただいまのお話のように聞いておりますが、この法律大学校とは立法理由が異なつておりまして、國家行政組織法に基いて、新制國立大学その他の國立学校設置するために、必要な法的措置をとつたまででございまして、疑惑もしくは立ち入つた推測等のようなことは全然ありませんことを申し上げておきたいと思います。
  5. 松本七郎

    松本(七)委員 次に國立学校職員任免懲戒人事管理の点であります。昨年教育公務員特例法を審議いたしましたときにも、教育公務員については、独立な教育公務員法というものが必要であるということを各委員から指摘されました。今回この設置法によつて公務員法及びこの教育公務特例法によつて規定されるということになりますと、從來大学などの教授その他の任免懲戒その他人事管理に関する事項が、これによつて非常に拘束される、從來より以上に拘束されることになつて來ることは当然であろうと思います。大学自治という観点から、これが矛盾してくるのではなかろうか。この際こういう教職員に関する公務員法というものを独立なものにして行く必要があるではないかと思うのでありますが、政府の御方針を承りたい。
  6. 稻田清助

    稻田政委員 ただいまの御質問の点は、すでに今日の法制といたしましては、教育公務員特例法が施行せられておりまするので、この國立大学に関しまする組織をきめまするこの法案の問題とは多少離れて参る性質のものだと思いますが、教育公務員特例法におきましても、十分大学自治というような点を尊重いたしまして、同法第四條以下の規定に設けられておりまするように、学長部局長採用及び教員採用昇任につきましては、学部教授会の議に基いて、大学管理機関において選考し、任命するというような趣旨がございますので、十分こうした教授会の機能を発揮することによつて大学自治が保ち得られるものと考える次第でございます。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 第三の点は、大学の各学部に置かれる講座またはこれにかわるべきものの種類その他必要な事項は、やはり文部省令で定めるという規定が第八條に掲げられておりますが、こういう点は別な法律によつて定めるのが妥当ではないかと思います。ここでこういう規定を設けた理由をひとつ承りたいのであります。
  8. 稻田清助

    稻田政委員 この点、ただいま日高政府委員の御説明にも言及されたのでありますけれども、新しい國立大学におきましては、すべて從來のような講座制度をもつて一貫するというわけでなく、所により、場合によつては、教室制度というようなものも考えまして、自由な教授研究運営を企図しておるような次第でございます。それぞれの國立大学教授定員、またいろいろなそうした組織等考え、また学校における教育の自主的な目的等考えまして、相当これは時と場合に應じてきめて行く必要があるので、法律をもつて一律に規定いたしませんで、そうした施行的の規定によつてきめることを適当と考えておる次第でございます。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 その点はここでは大綱は法律できめるということにしておいて、その他は別途の法律によつてあるいは大学の別の機関にまかせるというようなことで、大学自体でこういう点まで相当自由にきめるというふうにした方が至当ではないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
  10. 稻田清助

    稻田政委員 言葉が足りませんでございましたが、省令規定いたします場合におきましても、十分御趣意のように、大学自治によつてきめ得るように規定いたしたいと考えております。
  11. 松本七郎

    松本(七)委員 委員長ちよつとお願いしておきますが、質問者が非常に多いようですから、ごく要点だけを一通り質問したいと思います。後に全部終りましてからまた残つたところをやりたいと思います。
  12. 原彪

    原委員長 承知いたしました。
  13. 松本七郎

    松本(七)委員 次に東京文教大学の点でございますが、この委員会で大分前にこの問題が出て参りまして、教育大学という名に修正するというようなこの委員会意向で……。(発言する者あり)そこで日高学校教育局長も、そういう意向を傳えておこうということでありました。私の伺いたいのは、その後の経過についてでありますが、私どもは、当時この名前の問題はむしろ実質の問題が第一義的であつて名前は、なるほど文字から言えば教育けつこうである、しいてこの名前に拘泥する必要はないという考え方であつたのですが、その後両方からいろいろな陳情が参つております。そしてわれわれの調べましたところでは、何か從來からの学閥的な紛爭が、やはりその紛爭の現われであるというふうな面が、非常に強く出て来ておるように思われるのであります。われわれといたしましても、あらためて文教大学という原案を作成されるまでの経過と、その後この委員会教育大学に修正するという空気が出て、それを日高局長から傳えられて後、またこの反対運動が起つて来た経過等について日高局長の御答弁を願いたいと思います。
  14. 日高第四郎

    日高政府委員 文教大学名称のことでございますが、結論的に率直に申せば、この問題にはあまりこだわらずに、内容の充実をはかつてりつぱな大学をつくるというのがいいのではないかというふうに、文部省では考えておるのであります。それで学閥爭いというようなことをちよつと承りましたけれども学閥爭いということをはつきり申し上げるのは、幾分語弊があるかと思いますけれども、これは大学をつくります態度、心構えというようなものの間の食い違いもあるのでありまして、その点は、実はこの前にもちよつと申し上げまして、少し繰返しになりますが、その経過を申し上げますと、昨年の八月に、四校の代表者に集まつていただきまして、東京教育大学という名称をもつて出発してはどうかということをお諮りしまして、それに一應御賛成を得て來たのでありますが、後にその教育という名前に多少歴史的な悪い連想が伴つておるから、それを避けたいという意向文理科大学側に出て参りまして、私どもは初めはそういうものを内部的に整理してほしいということを申しておつたのでありますが、学校側話合いで円満に解決がつきそうもなくなりましたので、文部省相談相手になりまして、教育に類似しておつて、しかも両方を何とか満足させるような名前というので、文教大学ということで、この話をまとめたのでございます。私どもはこれで話はついたという認識のもとに、原案を作成したのでありますが、先ほど衆議院のこの委員会でも、参議院の委員会でも御質問がありまして、教育に改めることが理論的によくはないかというお話で、場合によつては、それを強い勧告にするというようなお話がありましたので、この委員会決議もしくは御勧告をいただいて後に処理をしなくても、文部省がこの辺を学校話合いをつけますとお答えしたわけであります。私どもといたしましては、この大学においては、第一に目的として次のようなことを各学校の間に十分了解してあるはずであります。  その第一は、この大学教育学問的な原理的な、実証的な研究を徹底的にすること、これと連関して、文科及び理科の学問の理論的の研究をも期待しておるのである。  第二には、右の学問研究前提として、これが應用によつて全國の模範的な教育養成学校にしてもらいたいということ。  右の二つの点は、教員養成目的であつて学問はそれの單なる手段であるというようなものではないのだ。学問的研究は、よい教員養成のための必要な前提であり、必要な條件であつてこの研究の背景を持たない、從來のいわゆる教員養成学校が、ややもすれば一時的な思いつきや、あるいは主観的な見解に基く技術的なものに堕するおそれが多いので、この弊をぜひとも改めてもらいたい、こういう意味において、学問的な理論的な研究を十分やつてほしい、そうしてその成果によつてりつぱな教育大学をつくつてもらいたい。こういうことを要望してあります。もちろん学者がいわゆる純粹理論的な研究のみを重んじて、應用やあるいはそれの生産への適用というようなことを軽んずるとか、あるいはそれにむとんちやくであるとかいうことは、從來日本大学の欠点の一面でありますので、これは断じて許すことができないのであります。日本の学界の弊風をためると同時に、從來師範教育において、末梢的な、技術的なものに陥ることを避けるためには、ぜひとも教育学問的研究を徹底的に追求してもらいたい。これは特にこの大学にわれわれが期待するところであるということを明らかに申して、それについては各学校がことごとく賛成を表して來たわけであります。文部省としては、このほかの学校には必ずしも期待することのできない日本教育の進展のためにぜひとも必要な、こういう大学をりつぱにつくり上げて育てていただきたいという強い執拗な希望を持つておる次第であります。私どもは、この根本方針については、四校の間に意見の不一致はないものと確信いたしておつたのでありますが、ただ残念なことに、いわゆる教育大学というものは、終戰後師範学校昇格運動の際に用いられたまずい連想がございますのと、またそれになずんでおるような人々が若干あるかと思われますので、理論的の問題としてではなく、実際上の処置としては、先ほど申しました根本方針を容認していただけるならば、文教大学でよくはないかというのが文部省最後結論であつたのであります。しかしそういう方針を持つて進むのならば、理論的には教育大学でもいいのではないかというような文部委員会の御趣旨につきましては、私どもはそれに傾聽いたし、善処いたしたいというふうに考えて参つた次第でございます。
  15. 松本七郎

    松本(七)委員 その次には、愛知学藝大学のことですが、これは大学校設置委員会に出た案において、この学藝大学をどこに置くようになつておりますか。
  16. 日高第四郎

    日高政府委員  学藝大学の二年及び三年のコースを受持ちますいわゆる地元本部と申しますのは、名古屋もしくは岡崎決定するであろう。しかしこれはまだ未決定であるけれども愛知の場合にはこういう建物を、岡崎の場合にはこういう建物を予定しておるのであるけれども、これは今ただちに決定しかねる事情にあるが、いずれにしても相当なものが手に入るということをお話をして、その上で審査を受けておる次第であります。
  17. 松本七郎

    松本(七)委員 それについて何か愛知縣縣会においてこの学藝大学として新発足することについても研究いたし、その結果を文部省にも報告したという縣会委員長報告があつたのであります。ところが文部省に対する報告には、何か縣会委員会で、全会一致岡崎市にきまつたというような報告文部省にしておるという話がある。そこでそういう事実はないかというので、現在愛知で問題になつておるようです。この刷新委員会に出た案で、そういうふうにまだ決定的でないとすれば、今後どのように処置されるお考えでありますか。
  18. 日高第四郎

    日高政府委員 実はつい先ごろになりまして、四月ですか三月ごろに、大体その位置については文部省一任するという結論なつたという御報告を受けたのでありますが、一月承りました設置調査委員会とか申す委員会決議と申しますか結論というものは、大体岡崎にきめてくれということになつてつたのであります。これの手続順序等において、地元に十分でなかつた点がありましたので、それを縣会にはかつて縣会で了承を得たということを前提にして文部省一任をする、こういう御報告を一方では受けたのであります。他方ではこの問題については当然名古屋が最も適切な位置にあるという認識をもつて、われわれは特別に文部省に対しては運動をしなかつたのであるから、常識的に考えるならば、当然名古屋に來るものであるという強い期待を持つて文部省一任をしたのだ、こういうお話であります。形式は一任するということになつておるのでありますが、両方から注文がついておりますので、私どもとしては両方関係者に対して、縣会で十分な了解を得て決定をしてくださるか、あるいは文部省判断にまかせてくださるか、いずれかに御決定願いたいということをお願いしてありますので、まだ解決には至つておりませんが、近日中に何らかの決定を見ることができるのではないかと期待いたしております。
  19. 千賀康治

    千賀委員 ちよつと関連して、ただいまの問題の中で、ひとつ明確に伺つておきたいのは、これはもちろん本部位置ですが、岡崎決定をせられるならば、岡崎は國の方に対してその校舎になるべき十分なる建物と土地を寄付し、なお相当なる額の現金も寄付をしましようということを正式の手続をもつて、すでに地方議会決議を経て文部省に申し込んでおります。名古屋の方は私は一向知りませんが、名士屋の方に位置がきまるならば、明倫中学を居抜きで寄付しますという名古屋側の言い分であるということを聞いておりますが、明倫中学名古屋所有にあらずして、これは愛知縣所有であります。愛知縣所有のものを、名古屋市がおれの方はこれを寄付しようと言いましても、その了解を得るのには、もちろん愛知縣民了解がいり、少くも愛知縣議決機関決議を経ていなければこれを供出しますということは言えないはずだと思うのでございまするが、私はいまだ寡聞にしてその決議がなされておるということを開きません。なお決議を経た正式な申込みが、名古屋市から政府にされておるということも聞きません。一方は万端の準備を完了して、正式にまじめにお相手になつておるのに、片方は必要な手続もせずに、ただはつたり一本やりでやつておるということを、大体私は地元ですから、聞きつつあるのでありますが、文部当局は私の今申した名古屋市の態度についての認識が誤つておるか誤つていないか、どうお考えになりますか。もしも私の言葉が誤つておるならば、この際この委員会において御高教を得たいと思います。
  20. 日高第四郎

    日高政府委員 実は愛知縣においては三河の出身の方と尾張の出身の方との間に、相当見解の相違がおありになるらしくて……
  21. 千賀康治

    千賀委員 いや、私の聞いておることだけ答えてください。明倫中学取扱いについてのことだけでけつこうです。
  22. 日高第四郎

    日高政府委員 いや、その明倫中学取扱いについても、私どもが伺うことがまちまちでありまして、私どもには、はつきり判断ができないのであります。そういうために、私は縣会で正式な決定をしていただきたいということを申してあるわけでございます。今千賀委員のおつしやつようなことは、私もかつて聞いております。それは頭に置いて交渉をするつもりで、今まで参つておる次第であります。
  23. 千賀康治

    千賀委員 今聞いておるということではいけない。今は大学設置問題が上程をされたほとんど最後関頭でございます。この最後関頭に立つてさえも、今申し上げた明倫中学寄付がいまだ愛知縣の正式な承諾を得ていないということであれば、これを候補地にしておれの方は寄付するということは、およそ道の遠い話だと思います。私はこれ以上のことは申しませんが、あなた方はそうした手続を経た申込みをしておるのに、いまだ正式な手続を経ず申込んだお方たちと同じウエイトでこれをお考えになることがどうかと思うのでこの質問を発した次第でございます。
  24. 日高第四郎

    日高政府委員 正式の手続であると私は一應思つて、内定をすべく視察に参つたのでありますが、それには正式の手続でない縣会議長の主観的な注釈が加わつておるのだという非難がありまして、文部省に非常にたくさんの方の連署をもつておいでになりましたので、事はむしろ地方の政治問題であるというふうに考えまして、文部省はそれをさばく立場におりませんので、なるべく縣会で御決定をいただくか、あるいはそれとは別に文部省の独自の立場判断できるような立場に御返事をいただきたい、こういうことをお願いいたしてある次第であります。
  25. 千賀康治

    千賀委員 どうも私の問いと違いますが、時間を尊重しますから終ります。
  26. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいまの問題は先般の紛爭した福岡の学藝大学のジュニヤ・コース設置問題の二の舞を踏むおそれが多分にあります。それですから文部省としましても十分愼重取扱いを願いたいと思います。そのほか別表第一の職員定員の問題及び学生定員問題等について質問したい事項がありますけれども、持ち時間も経過いたしましたから、これで保留いたして打切つておきます。
  27. 渡部義通

    渡部委員 私の質問しようとすることも、大部分の項目は他の委員から質問されておるので、追加的に若干の質問をしたいと思います。  第一に十四條の問題でありますが、昨日法制局長がこの席上で次のような言明をしたのです。これは御承知のように教育職員免許法案に関連しての質問でありますが、今申し上げた法案の第五條の第一項第六号における「日本國憲法施行の日以後において、日本國憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の團体を結成し、又はこれに加入した者」こういう項目を設けることは、これは今なおあまりにも制限し過ぎるものではないかというふうな意見を昨日言明されたように思います。つまりこのようなものをもつて教員の自由をあまりに制限し過ぎてはいないかということを関係方面で言われたということを、この間法制局長が言明しているように聞きました。そうだとすると、同じ文句が國家公務員法案の中にあるのでありまして、この法案における十四條の教員任免懲戒その他の人事管理に関する事項國家公務員法その他できまるということになると、これは傳えられたような自由の制限をここにもまた持込むことになると思うのです。こういう点に矛盾を考えられないかどうか。いわんや現在ではどこの大学においても、こういう人事問題については傳統的な自治があるのであつて、しかもその上に最近では、たとえば名古屋大学におけるごとく、あるいはその他の大学に見られるように、学生までがこの問題について自由な発言権を持ち得るようなところにまでなつておる。このようなときにこういう十四條のような條文をここに規定することは、現実のようやく自由な民主的な傾向が芽生えようとする傾向に対して、これを抑圧する結果にならないかどうか。まずこの二点をお伺いします。
  28. 稻田清助

    稻田政委員 第十四條の規定は、御承知のごとくこういう國家行政組織法関係における各種の組織法に、必ず入れてあります條文でございまして、結局國家公務員法が、國家公務員任免懲戒その他人事に関する事項規定であるということを、念のために挿入した問題であります。從いましてただいま御指摘の問題は、國家公務員法それ自身の問題となつて参るわけであります。しかして教員免許法第五條に同様の趣旨規定を設けましたのは、とにかく國立学校職員については國家公務員法規定がございます。それと相対しまして同様の規定を置くわけでありますが、教員につきましては、國立学校職員であろうと、あるいは公立学校職員であろうと、あるいはまた私立学校職員であろうと、教育基本法の精神によりまして、國民全体に対して盡すべき地位にあるという点についてはかわりがない。そういうような点で國家公務員と同様の扱いをこの私立学校にも及ぼすという趣旨のもとに設けたのでありまして、帰するところ、問題は國家公務員法のあの條文がいいか悪いかというような点に帰着いたすことだと考えております。われわれといたしましては、現在國家公務員法が施行になつております。しかしてまたこれが職員任免その他に関しまする根本法であり中心法である。從つてあらゆる点をそこにそろえて参るということは立法の上において考慮すべきことであろうと考えた次第であります。
  29. 渡部義通

    渡部委員 当局としてはこの法案をつくる場合に、過去にどういう法案があるからどうするということ以外に、こういう法案が妥当なものであるかどうかというはつきりした見解を持つのが当然だと思うのです。そういう立場から言いますと、昨日関係方面意見としてわれわれに法制局長が明言したことと、これはあまりにも自由を制限し過ぎはしないかという意見についての文部省見解も、從つてはつきりしていなければならないと思います。そういう点について文部当局はどういうふうにお考えになりますか。
  30. 原彪

    原委員長 ただいま渡部君は関係方面意見ということをおつしやいましたが、昨日法制局長の御説明では参考意見として出されたと私は記憶しております。
  31. 渡部義通

    渡部委員 では参考意見に訂正いたします。そういう意見についても文部省では一定の見解があるべきだと思うのです。
  32. 稻田清助

    稻田政委員 文部省におきましては、この法律案を立案する場合におきまして、ごく最近の國会において議決せられ、現行法となつておりまする國家公務員法の精神にのつとることが、最も適切であると信じて参つたのであります。
  33. 渡部義通

    渡部委員 そのことをお聞きしておるのではありません。昨日法制局長が発言になつたような参考意見が出ておるとすれば、そういう参考意見は、これは非常に多くの人が支持するような意見であると思うのです。こういう点についても、やはり文部当局として一定の意見なくしては、法案についての見通しが立たないと思うのです。それをお聞きしておるわけです。
  34. 稻田清助

    稻田政委員 かりに國会で國家公務員法が修正になりますれば、また別の意見が成り立つだろうと思います。
  35. 渡部義通

    渡部委員 文部省は、少しも私の質問の要点に答えようとしないのですが、それには答えられない事情があるのですか、あるいは答えようとする意思がないのですか。
  36. 稻田清助

    稻田政委員 各省大臣及び政府職員は、法律を忠実に実施する責任を持つておりますので、現行法に関連いたしまして立法する場合には、その趣旨によつてやるほかはないと考えております。
  37. 渡部義通

    渡部委員 これは非常に重大なことである。個人の意思ではなく、文部省意思を聞いておるのであつて文部省はやはりそういう点について、明確な意見を持たないでこういう法案をつくることは、非常に妥当でないとわれわれとしては考えられるわけです。
  38. 柏原義則

    ○柏原政府委員 國会は國の最高機関でありまして、文部省はでつちみたいなものであります。そこであなた方が主であつて、あなた方がこうしろとこの法案できめていただく通り忠実にやるのでありまして、積極的に、國会を無視してこちらが立法するという権能は、私たちにはないのであります。それではつきりすると思います。
  39. 渡部義通

    渡部委員 それではその問題については文部省は答弁する意思も力もないものと認めて、次にこの大学に置かれる職員定員というところで、たとえば東京大学を例にとりますと、五千八百六十七人という数字が出ております。この数字は、第一に新しく東京大学にできようとしている教育学部、教養学部、この二つの学部を含むものであるか。さらにまた東京大学のほかに第一高等学校や東京高等学校が合併されるわけでありますが、そういう各二つの高等学校を合併した総数の定員になつておるのであるか、その点をまずお聞きし、同時にこの数字は今度の予算に計上された形で考えられておるのかどうか、この点を伺います。
  40. 稻田清助

    稻田政委員 この定員は第二條、第三條に掲げてあります各学部及びその下に掲げております包括される学校すべてを含んでの定員でありまして、予算と相対應して計上いたしております。但し附則にありますように、定員法が成立いたしました場合においては、若干の影響があるという性質のものでございます。
  41. 渡部義通

    渡部委員 定員法が、現在考えられておる形で成立した場合において、この数字はどういう形に、どういう方向に変更しようとする傾向にありますか、文部省の見通しをひとつお伺いいたします。
  42. 稻田清助

    稻田政委員 ただいまのところ、全体においての開きがおよそ百名余りと考えております。
  43. 渡部義通

    渡部委員 こういう問題はある場合には教員の、首切り問題にも関係して來る重大な問題でありますので、これについての具体的な詳細な資料を委員会に提出されんことを希望します。
  44. 稻田清助

    稻田政委員 定員法に関連して御審議になる機会があろうかと思います。
  45. 渡部義通

    渡部委員 その具体的な数字は、定員法の際に提出されるということになるはずですか。
  46. 稻田清助

    稻田政委員 この内訳までは、いろいろ折衝の関係がありますので、その時期に間に合うかどうかは申し上げかねますが、できるだけ御要求の趣旨に沿つたような資料を提出いたしたいと考えております。
  47. 原彪

    原委員長 よろしゆうございますか。
  48. 渡部義通

    渡部委員 それでは一應保留して打切ります。
  49. 千賀康治

    千賀委員 簡單に一つだけ御質問いたします。地方の師範その他專門学校以上のものが、ことごとく國立大学に移管をされるのでございますが、この地方学校の現勢から申しますと、すでにでき上つたもの、でき上りつつあるもの、いまだ計画に近いようなもの、あるいは改造を要するもの、いろいろな種々雑多な状況にあると思いますが、その維持、管理につきまして予算のあんばいはどうせられるのか。ことごとくこれを國の費用でやられるということが、もちろん私どもは公平であると思いますけれども、中には相当に地方費で設備の一部分をやらせよう、あるいは大部分をやらせようというところもあるだろうと思います。これはやらせようということは、地方からやるといつて申し込んで來たのも、もちろんこれに加えるのでありますが、國として、地方でやつてもらうことはけつこうではございますが、國立大学になつて一様に國の経営ということになりますと、無限に地方におんぶしておるということも國の権威上いかがかと思うのであります。この点將來どうせられるのか、將來というより今日以後はどんな方針でやられるのか、伺つておきたいと思います。
  50. 日高第四郎

    日高政府委員 地方に一番関係の深い師範学校大学に轉換することにつきましては、各学校並びに地方で強い要望がありまして、これを改善するためには國にだけ頼つておらずに、自分たちも積極的にこれの改善に進みたいというような御意思もございます。それは今日の日本の國家財政においては十分な措置ができませんので、それもお願いをいたしてある次第でございます。これはおもに出発に際する大学設置委員会の基準に適合する限度内における臨時費の御援助を期待いたしておりまして、それ以後の問題については、なるべく地方の負担もしくは犠牲をかけないようにいたして行く方針で今日まで参つております。
  51. 千賀康治

    千賀委員 さらにお伺いをいたしますが、この大学設置委員会が要求する一通りの設備と申しましようか、完了するまでの費用の何分の一というか何十パーセントに相当するか、どのくらい國の費用と地方の費用とがこの出発に際して負担の割合になるか、こういうような御計算がありましたら伺いたいと思います。
  52. 日高第四郎

    日高政府委員 実は地方の実情によりまして、そこにたいへんな開きがあるものですから、個々の場合は大体調べてございますが、全体としてのデータは、まだそれを集計するまでに至つておりません。
  53. 千賀康治

    千賀委員 今國会中に大よその集計はできるでしようか、むずかしいでしようか。もしできるならば書面でけつこうですから、それをわれわれにいただきたいと思いますが、お見込みはいかがでしようか。
  54. 日高第四郎

    日高政府委員 概略の計数上の整理ならば、間に合うと思います。ただ確実な將來の見通しまでは、いろいろな複雑な條件が伴つておりますので、十分な調査は間に合いかねると思いますが、できただけでも御報告いたしたいと思います。
  55. 千賀康治

    千賀委員 けつこうです。これで終ります。
  56. 原彪

    原委員長 今野武雄君。
  57. 今野武雄

    ○今野委員 今までと重複する点を除いて、ごく簡單に御質問申し上げます。最初にお伺いしたいのは、昨日武藤議員の御質問に対して、事務当局から学生定員の発表があつたようでありますが、新しい大学学生が大体四万九千、それから旧制の大学が四万八千幾らというようなお話でありましたが、この旧制大学というのは、專門学校などを一應含めていないように考えますが、いかがなものでしようか。
  58. 日高第四郎

    日高政府委員 含めてございます。官立大学、高等專門学校全部を含めまして四万八千何がしであります。
  59. 今野武雄

    ○今野委員 次にもう一つお伺いしたいのは、職員定員でありますが、これはどういうふうにおきめになつたのでございましようか。何かちよつと突然こういう数字が出ているので伺いたいのです。なお教授、助教授その他の職については、後に文部省令できめて、それに合せるというようなお話でありましたが、こういう数というものは、はたして十分間に合うという意味でこういう人数が出たのでございましようか、それともほかの理由から出たのでございましようか。
  60. 日高第四郎

    日高政府委員 職員は現在の定員をもとにしまして、——併合その他によつて若干の差はありますけれども、基本は現在の定員でございます。現在各学校定員をそれなり入れて出してある次第であります。
  61. 今野武雄

    ○今野委員 各学校定員を合併した場合には、つまりそれをみんな合せてでございましようか、そう考えてよろしゆうございますか。
  62. 日高第四郎

    日高政府委員 本年度の予算定員によりまして、各大学ごとにそれに包括される学校学生の募集に伴つて生じた職員を、新制國立大学における学生収容数その他の事情に應じて配置いたしました職員数と、包括される学校職員定員とを合せて規定いたしてございます。
  63. 今野武雄

    ○今野委員 次に第五條國立大学の付属施設に関する規定でありますが、その中にたとえば看護婦養成施設といつたようなものが入つておりますけれども、こういうところでは何か勤労を課しておるように考えられます。当然のことでありましようが、私ども労働基準法の第七章の技能者の養成に関する規定がここに準用されると考えますけれども、そう考えてよろしゆうございましようか。
  64. 稻田清助

    稻田政委員 こうした養成施設において、職業的な陶冶をいたす意味におきまして、各種の実習はいたしております。しかしながら勤労と申す性質のものではないと考えております。
  65. 今野武雄

    ○今野委員 私の問いに答えていただきたいのであります。つまり労働基準法の第七章によれば、いかなる理由に拘泥せず、その他のことで、とにかくこの実習とかいろいろな名目でもつてやる場合でも、この法の規定を受けるというふうになつておりますが、この点についてはそれを準用されないというお考えでございましようか、いかがですか。
  66. 稻田清助

    稻田政委員 もちろんこの活動の性質は、ただいま申しましたような教育的の実習という意味に解釈いたしておるのでありまして、直接はお話のような労働関係の法規は適用ないと思つております。しかしながらああいう法規が存在いたします以上は、十分それらの法規の精神をくみながら、教育上遺憾のないようにいたしておる次第であります。
  67. 今野武雄

    ○今野委員 なおこれは非常に重大な問題ですから、念のために御質問いたしますが、病院とか農場とかその他に勤務して働いておる者については、もちろん労働基準法が実施されておることと存じますが、その点はいかがでありますか。
  68. 稻田清助

    稻田政委員 職員につきましては、もとより労働基準法の適用があるわけであります。
  69. 今野武雄

    ○今野委員 次に、東京などにおきましては私立大学や何かの夜学がたくさんございますけれども地方の勤労青年のためには、なかなかそういう機会が得られないのでございます。文部省におきまして、そういう勤労青年のために機会をつくつて國立大学の夜学などを設置するというお考えがありましようか、それともございませんでしようか、ちよつとお聞きしておきます。
  70. 日高第四郎

    日高政府委員 まず正規の大学を充実いたしまして、できるだけ早い機会に、また一方が完成した後というように、あまりきゆうくつに考えませんで、事情の許す限り夜間学部をつくつて、勤労青年のための就学の道を開きたいという考えを持つております。まだそこまで力が及びませんのは、はなはだ残念に存じます。
  71. 今野武雄

    ○今野委員 もう一点だけ念のためにお伺いいたします。これはすでに松本委員並びに渡部委員からお聞きした点でございます。つまり第八條、第十四條、第十五條の御説明を聞いておりましても、なお釈然としないところがあるのでお聞きするわけなんですが、大学自治の原則ということにつきましては、昨日も高瀬文部大臣から非常に誠意のこもつたお答えがあつたように思いますが、この大学自治というのは、單に法律法制的な面から獲得さたれものではなくして、長い歴史の後に獲得されたものであり、これこそが学問研究の自由をほんとうに保障するものなのであります。文部省ではこういうような法律の実施にあたつて、こういう大学自治、それは教授自治もありましようし、学生自治もありますが、そういうものを確保して行くという御信念がありますでしようか、その点重ねて言明を願いたいと思います。
  72. 日高第四郎

    日高政府委員 学問や、文化の向上のためには、それに携わる者の自主的な自律的な活動及び創意くふうが必要であることは、文部省も十分認めておりますので、現在の法制において許される範囲においては、できるだけ自治を重んじて行きたいという方針をとつておることは、明言してさしつかえないと存じております。
  73. 今野武雄

    ○今野委員 その点を重ね重ねお願いして、私の質問を終ります。
  74. 原彪

    原委員長 受田新吉君。
  75. 受田新吉

    ○受田委員 私はこの設置法案の中の附則に掲げてある職員定員のことをお尋ねしたいのでありますが、嘱託のごとき臨時職員をこの中に含んでおられるかどうか。学校によつては含んでおり、または含んでいないような差別のあるところはないかという問題。それから今度これに切りかえるために現在非常に不安を與えておる職員はないか。首切りにも影響する問題でありますが、この職員の身分を確保する意味において、國立大学の新しい出発にあたつて職員に不安を與えるような傾向はないか。この二点についてまずお伺いしたいのであります。
  76. 稻田清助

    稻田政委員 御質問の第一点でありますが、嘱託その他予算に計上いたしておりますものは、すべてここに計上いたされておるわけであります。なおその整理の問題でありますが、これは定員法の問題になりますけれども学校につきましては、教員は整理しない、事務職員については欠員の半数を整理するというような方針でございますので、全体に及ぼします影響は、ほかに比較して非常に軽い状態だと考えております。  なおちよつとお許しを得まして、先ほど今野さんの御質問に対しまして私申しました点を訂正いたしますが、学校職員に対しまして労働基準法が問題になつておりましたが、もとよりこれは國家公務員法が適用になりますので、その点訂正しておきます。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 その次に第三章の「名称及び位置等」の中にあります学藝学部教育学部の問題であります。先ほど東京文教大学名称の問題で種々話題を提供したわけでありますが、教育学部というものと、学藝学部というものがまちまちに各縣でつくられておりますが、これは名称に伴つて内容に相違があるのでございますか、ただ便宜的にその地方の声を尊重して、言葉の遊戯にとらわれた決定であるか、その点ちよつとお伺いいたします。
  78. 日高第四郎

    日高政府委員 これは内容に相違がございます。大体は一般教養をやるものを学藝学部考えておるのであります。教員の養成については、その一般教養を特に重んじなければいけないというのと、それからいわゆる師範学校昇格運動の場合に用いられた教育大学という言葉は極力避けるという教育刷新委員会方針から、教員養成を主とする学藝学部というものもできておるわけであります。教員養成を主とする学藝学部というのは、一般の学藝学部のほかに、教員を養成するのに必要なコースをそれにおぶせておるわけです。そのコースが独立できるようなものを教育学部というふうに考えておるのであります。内容と規模に應じて名称がかわつておるのでありまして、單純な好みでやつておるわけではございません。そうしてこれが適切であるかどうかについては、大学設置委員会の審査の場合に、いろいろ名称の変更修正等も受けておる結果でございます。
  79. 受田新吉

    ○受田委員 それでさしあたり東京の各種の師範学校学藝大学ということになりましたし、それから今問題の教育大学というものにかりにかわつたといたしまして、そういうものが二つあるわけですが、この二つの調整は大体今の御説明で了承したのでありますが、各縣に教育学部という、今の師範学校の昇格のような形でできたものと、そのほかのものを含めた一般教養を主とする学藝学部というものがまちまちにできたことによつて、これは地方大学教育を個性あらしめるという効果があるのですか。それとも教育学部とか、学藝学部というような、ある点に一つの統制をとるような必要はなかつたか。これは設置委員会の方の問題になるのでありますが、一應文部省として何らか師範学校の昇格ということに対して、構想をお持ちではなかつたのでございましようか。
  80. 日高第四郎

    日高政府委員 各地方に一つずつ、一般教養を受持つ学部、もしくはそれが十分でない場合には学部か、それの未発達の状態の部かを必ず置く。それと同時に、教員養成に必要な学部か、もしくは部を置く、こういう方針原案を立てて参りまして、それは地方の実情に應じて結びつく学校との関係等によつて、あるときには教育学部となり、教育学部というものができるときには、必ずそれのあとの半分としての学藝学部というようなものがどこかにあります。それでなければ、学藝学部を場合によつては文理学部という名前で呼んでおる場合もありますが、文理学部というのは、大体旧制の高等学校を充実して新しい大学の規格にいたしたものを文理学部という名前で呼んであります。教育学部ができておる場合には、必ず文理学部というようなものがコンバインされております。
  81. 受田新吉

    ○受田委員 それからこの附則にあげてある條項の中に、水産講習所の問題が取上げられています。農林省の所管に属していた專門学校、それから運輸省の所管に属していた專門学校、その他逓信省の所管に属していた專門学校というものが幾つもあつたのですが、これらを國立学校設置法において、ただ水産大学だけを取上げて、しかもそれがごく一部であるようですが、そのほかはどういうふうに設置されておるのか。今後これに統合される御意思を持つておられるかどうかお尋ねしたいと思います。
  82. 日高第四郎

    日高政府委員 逓信省所管の無線電信講習所というのは、昨年の八月に関係者話合いの上で文部省に移管されまして、現在は文部省所管のものになつております。それから運輸省所管の從來の商船学校でございますが、これは大学設置委員会に商船大学として申請をいたしておりまして、所管の問題を解決した上で決定することになつておりましたが、急に事情がございまして、運輸省の方のは先方から大学になることを取消して参りましたので、これは國立学校設置法の中に入れられない状態でございます。水産講習所の方は、名前は講習所でございますが、御承知のようにれつきとした学校でございますので、それを將來文部省に移管する了解のもとに一年間だけ農林大臣の所管にして置いて、その間に準備を整えて文部省に移管する予定で進んでおります。そのほかには格別政府の立てている学校教育法による学校というものはございません。
  83. 原彪

    原委員長 本法案に対する質疑者はあと三名ほど残つておりますが、それは四時からまた本委員会を開きますので、そのときにしていただきたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  84. 原彪

    原委員長 それでは次に教育職員免許法案教育職員免許法施行法案を一括議題とし、質疑に入ります。質疑は通告順によりこれを許します。松本七郎君。
  85. 松本七郎

    松本(七)委員 先般質問申し上げました点で、政府の答弁によりますと、第五條の六の例の「日本國憲法施行の日」云々の「暴力で破壊することを主張する政党」云々というのは、非合法的なものを予想したのだという御答弁でありましたが、昨日の法制局長からの報告にもありましたように、これは相当問題があろうと思います。これらの点については、いずれ当局としても後に檢討することになりましようが、そのときの参考として伺つておきたいのは、ここに規定してあります暴力というこの考え方が、非常に廣範囲で漠然としておるのですが、どういうふうな内容のものとして規定されておるのですか。
  86. 稻田清助

    稻田政委員 政府を暴力で破壊することを主張する、いわゆる暴力革命といつたような性質のものであろうと思いますけれども、法的に申し上げますれば、その手段が非合法的な手段をもつてそうしたことを遂行する、しかしてそういうことを政党の綱領あるいは秘密綱領として支持する、あるいはその政党の連続的な行動によつてそういうことがその根底にあることがはつきりしておる場合というふうに解釈せられます。
  87. 松本七郎

    松本(七)委員 それから第九條の例の臨時免許状の問題ですが、「その免許状を授與したときから三年以内に」云々と規定してあります。これは短かい期間でもつて規定の単位を修めて行かなければならぬような相当苦しい状態だと思うのですが、何單位とつて教員になるとか、そこをちよつとお伺いいたします。
  88. 稻田清助

    稻田政委員 臨時免許状については、都道府縣教育委員会規則あるいは都道府縣規則でもつて、その縣における教員の充実状況を考慮して随意にきめ得るのでありまして、お話のような單位の要求はないのであります。ただ学校と比較いたしましては、第五條にありますように少くとも高等学校卒業程度はなければならぬということになつております。
  89. 松本七郎

    松本(七)委員 少くとも高等学校程度ということになると相当なもので、高等学校の年限が三年であるから三年というふうに規定されたのですか。
  90. 稻田清助

    稻田政委員 この三年は、別に高等学校とは関係ないのであります。およそ教員になります以上は高等学校程度までの普通教育を履修した者であることが必要だと考えまして、この三年以内と申しますのは、その縣の需給状況によつて適宜きめてもらいたい一應の期間であります。もとより事情によりますれば再発行いたしまして継続することは許されるわけであります。
  91. 松本七郎

    松本(七)委員 そうするとこの資格を得ようとするには、三年間では私はむりがあるのじやないかと思いますが、いかがでありましようか。
  92. 稻田清助

    稻田政委員 ちよつとただいまの御質問の御趣旨はつきりわかりかねるのでありますけれども、三年切れましてそれが適当であると考えればまた臨時免許状を再発行する、いずれにいたしましても臨時免許状というのは本免許のない場合に限つて発行する趣旨でありますので、そのときどきの事情によつて発行し得るようにいたしたわけであります。
  93. 今野武雄

    ○今野委員 私念のためにお伺いしたいと思います。この法案を読んでみたのですけれども、なかなかわかりにくいところがたくさんあるのであります。こういう法案が非常に急いで出されておる理由は、どういう理由でございましようか、今すぐにこれがなければどうにもならないというような事情がありましようか。
  94. 稻田清助

    稻田政委員 新しい教育が出発いたしますれば、それに從事いたします教育職員の資格を定めることが必要になつて來るということは、もとより当然でありまして、今日これが出るのは遅きに失したような感がございますが、かたがた教員養成をいたします大学設置の問題にも関連いたしまして、彼此比較研究しながら今日に至つたわけであります。今日國立学校設置法が出発いたします場合に、先ほど日高政府委員の答弁にもありましたように、必ず一府縣には教員の一学部を設けることになつております。從つて一方において教員の免許の資格がきまりませんと、それらの部における教育の概要がきまつて來ない、またただちに入ります学生においても履修すべき單位等について迷うところがあるというような問題もございます。かたがたいずれはこの免許に関する規定ができるであろうということによつて、現在の教育職員の方々としては、できるだけこうした問題を決定されることを希望もしておられるような次第もありますので、急速にこの法案を御決定いただきたい、こういう趣旨であります。
  95. 今野武雄

    ○今野委員 ただいまの御説明の御趣旨については非常によくわかるのでありますが、ただこういうものが出されて非常に日にちがたつて十分こちらで考えをまとめることも不可能でありますので、突如として出て來ておるという点が一つと、それからもう一つ、かりにこういうものが半年でも遅れれば非常に大きな支障が來るかどうか、そういう点についてもお伺いしたい。
  96. 稻田清助

    稻田政委員 ただいま申しましたように、新制大学のキャリキュラムがきまりませんと新制大学が出発しかねるというような状態もありますので、從つて緊急性があるわけであります。
  97. 稻葉修

    ○稻葉委員 問題となつております第五條の第六号は現在におけるそういう政党その他の團体ではなくして、將來結成されることがあるべき非合法的政党及びその團体を予想してこれを規定しておられるわけでありますか。説明ではそういう趣旨のようであります。從いまして、そういう場合には当然刑法上の処罰の対象となるべき性質のものであつて、從つておそらくは禁錮以上の刑に処せらるべきものに該当するものでありますから、第四号の「禁こ以上の刑に処せられた者」というのと重復すると思うのであります。暴力をもつて日本國憲法施行後に成立した政府を破壊するような行動が罰金刑というような場合はほとんど予想せられない、すべて少くとも禁錮以上の刑に処せられるべきはずであります。從つて第四号がある以上は、第六号はこれを不必要と考えますが、その点いかがですか。
  98. 稻田清助

    稻田政委員 ただいまの点でありますが、刑法の内乱罪あるいは騒擾罪あたりにおきましては、もとより首魁は相当罰せられるのでありますけれども、必ずしもその結社に加入しております者全員が処罰される次第ではないと考えておるのであります。從いまして、刑法をもつて足りるという御説に対しましては、私どもは別段に考えるわけであります。
  99. 稻葉修

    ○稻葉委員 その点はいずれ討論の際に譲ります。  第二に先般も質問申し上げたのでありますが、第五條の第二項に、免許状の授與権者について、國立の場合と私立学校の場合とによつて、一方は都道府縣の教育委員会が授與権者となり、一方は都道府縣知事がその授與権者となつております理由についてお尋ねいたしましたところ、政府委員の御答弁では、私立学校について教育委員会が同様にこの授與権者となる場合には、私立学校に不利に、公立学校に有利に授與する場合も考えられるので、というお答えでありましたが、その通りでありますか。もう一度念を押してお聞きしたいのであります。
  100. 稻田清助

    稻田政委員 これは必ずしもそう申し上げたのではないようであります。要するに、現在の行政管理の系統の相違からこの條文が出て参つたわけであります。教育委員会法ができましたときに、教育委員会法によりまして学校教育法の一部を改正いたしまして、私立学校の小学校、中学校、高等学校は都道府縣監督廳すなわち知事の所轄に属することになつておりますので、そうした点で教育委員会が私立学校を扱わないという系統のわかれが生じました。そこから出発してこの條文ができましたように御了承願いたいのであります。
  101. 稻葉修

    ○稻葉委員 この点につきましても、意向がわかりましたから、討論の際に譲ることにいたします。  なお本法全文の根底となつている立法精神と申しますか、そういう点について多少疑問のある点をお尋ねしたいのであります。しかしこの法律教育のことに関しまして、いかにも教育者独自の伸び伸びした教育を阻害し、從來教育官僚統制主義を非常に強く現わしているような疑いを持たれる條文が非常に多いのであります。それは一々指摘しませんけれども、それらの点については、おそらく文部省の御答弁は、そういう点は全然心配はないとおつしやるでしようけれども、まだ私どもにはどうも疑問と思われる点が多々ありますので、希望意見といたしまして、どうかそういうことのないように、少くとも運用におきまして、万全の御処置を講ぜられんことを希望して私の質問を打切ります。
  102. 原彪

    原委員長 渡部君。
  103. 渡部義通

    渡部委員 第一に免許状に関する條項ですが、校長の免許状ということがあります。現に校長は公選されているように考えますが、もしこの校長の免許状というふうな問題が出て來ますと、優秀な教諭あるいは教授教員大衆の推薦によつて、その地位につくというようなことが制限されるんじやないかと思いますが、その点はどうですか。
  104. 稻田清助

    稻田政委員 御承知のごとく、学校教育法施行以來、今日におきましては、とりあえず校長にはこういう免許状が設けられているわけであります。もとより校長は教員としての資格を十分備えなければならぬのでありますけれども、同時に学校管理者として、学校の内部あるいは学校の外に対しまして相当管理的の能力を持たなければならぬというような意味におきまして、特にここに校長免許状を設けたわけであります。あるいは本法が施行せられます後におきましては、ごらんの通り相当長い年数教員としていい成績をあげている方々につきましては、校長免許状取得の道が大きく開かれているわけであります。実際の運用によりまして、お話のような優秀な校長がそれぞれの学校に得られることに、あえて妨げる点はないではないかと考えます。
  105. 渡部義通

    渡部委員 これに関連することですが、熊本縣では校長の試驗をやつている事実が報告されていますが、こういう報告文部省の方にも届いているかどうか。またこういうことにこの校長免許状という問題が関連しているかどうか、お伺いいたします。
  106. 日高第四郎

    日高政府委員 そういう報告は聞いておりません。あるいは私が聞いていないだけかもしれませんけれども、私は聞いておりませんので、調べてみます。  それから私どもとしては、地方教育委員会がございますので、文部省としては、それに特別な干渉がましいことはいたさない方針になつており、またいたせない機構になつていると思います。
  107. 渡部義通

    渡部委員 それから茨城縣と鹿児島縣で指導主事教員考課または教員の思想調査をやつている事実がありますが、こういうことは、後に出て來る免許状の授與云々というようなことに関連を持つものであるかどうか。あるいはそういうことの基礎のためにやられているのかどうか、またこういうことをやつているのは違法ではないかという点をお伺いいたします。
  108. 稻田清助

    稻田政委員 ただいまの事実につきましても、承知いたしていないのでありますけれども、指導主事の行動その他は、この免許法案とは関係はないのであります。
  109. 渡部義通

    渡部委員 そういうことが違法であるかどうかについて尋ねたはずですが……
  110. 稻田清助

    稻田政委員 この免許状につきましては、この取上げの條項にありますように、故意に違法行為をやつた場合、あるいは非行の場合でありますけれどもお話の点がはたして指導主事の権限を越え、あるいは各法規に反するかどうかは、もう少し具体的に突き詰めませんと、ちよつと解釈がしにくいと思います。
  111. 渡部義通

    渡部委員 その点は今後必ず調査された上、この委員会報告されることを希望して次に移ります。  第二に「普通免許状を一級及び二級とする。」という規定がある。その一級というのは「学士の称号を有すること」二級というのは「大学に二年以上在学し」云々という規定がありますが、こういう規定がはたして必要であるかどうか。またはこういうことの結果、教員問題における差別の関係が生ずるということについて、またはその影響について、教師に対する生徒や学生たちの差別観が生れて來はしないか。そういう弊害については、文部省は十分考慮されておるかどうか。
  112. 稻田清助

    稻田政委員 先般も申し上げましたように、大体新しい免許法におきましては、一級をもつて標準といたしておるわけであります。しかしながらその全部の四年制の大学を卒業した者をもつてというわけにはただちに行きにくい。そういたしますと無資格の教員を予定しなければならぬというようなことから、二級を設け、仮免許状を設けた次第であります。だんだん一級をもつて充実して行くように希望する次第であります。もとよりこうした教員資格にいろいろな段階がありまする以上、相当優秀な成績をもつて、長い経歴があり、または学歴のある方々とそこに至らない方々との間に、程度の差があるということは、これは自他ともに明らかなことでありまして、そうだからと申しまして全部そこに弊害が生ずるようなことは考えられないと思います。
  113. 渡部義通

    渡部委員 その点は討論に譲つて次に移ります。  次に先ほど申し上げました日本國憲法云々ということは最も重大な問題でありますが、これも文部省意見はつきりしませんから、討論の際にわれわれの意見を十分述べることにして、さらに十一條に移ります。第十一條の中で「免許状を有する者が、法令の規定に故意に違反し、」の次に「又は教育職員たるにふさわしくない非行があつて、」云々という文句があるわけです。この「教育職員たるにふさわしくない非行」ということの具体的な内容はどういうものであるか、これは非常に重大な問題でありますので、一々の具体的な見解を伺います。
  114. 稻田清助

    稻田政委員 いろいろな場合がございまして、具体的に網羅的に申し上げることはできにくいと思うのでありますけれども、この十一條の末尾にございます通り、懲戒免職の処分を受けて、その情状が重いと認められたときに限つて免許状の褫奪を行うわけであります。大体そういう点とにらみ合せて御解釈いただくよりほかはないと思います。
  115. 渡部義通

    渡部委員 この点は第五條の六点以上に、重大な教員の自由に関する、あるいは行動に関する問題だと思いますので、われわれは文部省としてどういう場合に懲戒されて來たのか、また現にどういう場合が非行と認められる状態に置かれておるのか、たとえば中野の多田小学校にあつたような事件も非行であるのか、そういう事柄が全國至るところに現に起きておりますので、次の委員会文部当局の非行とすべき問題、そういうことを具体的に調査された上で——、これは文部省としてはほとんどわかつておるはずだと思いますから、その実例に基いて、こういう点がどうであるかということをはつきりされることを希望してこの点は終りたいと思いますが、一体教育職員たるにふさわしくない非行というような事柄を、だれが認定するのか、その点はどうですか。
  116. 日高第四郎

    日高政府委員 認定は授與権者でありますが、所轄廳の報告に基いて認定するわけであります。
  117. 渡部義通

    渡部委員 他に問題がありますが、今委員長の方から長いようだつたらよしたらという注意がありましたからこれで一應質問を打切ります。
  118. 原彪

    原委員長 この程度で休憩し、午後四時に再開いたしたいと思いますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 原彪

    原委員長 それでは休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後五時二十八分開議
  120. 原彪

    原委員長 休憩前に引続き会議を続行いたします。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 教育職員免許法案に対しまして、晝の間に、参考人の四名の方が種々意見を述べられたのでありますが、それをも取合せて、私は左の数点にわたつて政府の所信をただしたいと思います。  まずこの教育職員免許法案によつて、現在職にある教員がどの程度有資格者として浮び上るか。それから仮免許状、臨時免許状及び普通免許状の獲得の比率がどの程度になるか。この点について実際問題をまずお尋ねしてみたいと思います。
  122. 稻田清助

    稻田政委員 ただいまの点は、いろいろな方式で切りかえられる関係で、なお具体的に当つてみなければ正確な比率はわからないのでありますけれども大体一級普通免許状を受けられます者は、約三〇%ぐらい、それから二級普通免許状を受けられます者は約三〇%ぐらい、仮免許状が二〇%ぐらい、臨時免許状が二〇%ぐらい。もつとも大よそでございますので、上下はあろうかと思いますが、そういうような見当でございます。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 臨時免許状を授與する場合は、第五條の第三項に、普通免許状または仮免許状を有する者を得ることが困難な場合に限つてこれを授與することになつておるのでありますが、現実の問題として、この嚴正な規定のもとにおいては、非常に多数の犠牲者を出すような感じがするのであります。今の比率は約三分の一ずつぐらいになつているようでありまするが、実際問題として特に無資格の職員が多い現状において、非常な犠牲者を出す心配があるのであります、特にこれに関連する問題として、相当教員の整理を行わなければならない現状に立ち至つておる地方の実情をよく考慮していただきたい。定員定額の問題で非常な不安に脅えている第一線の教職員が多数あるわけでありまするが、本日内閣委員会に提出されている定員法には、この教員の犠牲者に対する救済の道は何ら講ぜられておりません。これらの問題について、一應関連する問題を先にお尋ねしたいのでありまするが、この資格問題に関連して整理問題の意向政府側にただしたいと思います。
  124. 稻田清助

    稻田政委員 この施行法第二條の第一項の一番最後の三十四というところにございますように、現在助教諭の仮免許状を持つております者をそれぞれ切りかえておるわけでありまして、ただちに失格するわけではないのであります。また本法によりまして別表第四で臨時免許状から仮免許状になりますには、三年の経歴、最低單位数を修得すれば上に上つて参るわけでありますから、現在助教諭の仮免許状を持つておられる方々は、十分希望に満ちて進んで行かれる、こういうような次第に相なつておるわけでございます。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 これは重大な問題であるので大臣のおいでになる機会にまずお尋ねして、それから最後の問題に移ることにいたしますが、定員定額の問題で、文部省が小学校を一・三五、中学校を一・七という基準に切りかえたのであります。このために昭和二十二年の十二月三十一日までに昇給をしておつた学校職員、府縣の職員はある程度の保障をされておるけれども、二十三年以降のものは、やみ昇給という嚴正な審判のもとに、今非常な差異のある待遇を受けておるようであります。從つてこれらに対して定員定額の二つの問題から、当然各府縣とも多数の犠牲者が出ることは火を見るよりも明らかであります。そうした教員は整理しないということに、はつきり政府は前に言明しておるにかかわらず、整理せられざるを得ない実情に立ち至つておることをお認めであるか、または断じて整理はないのだという既定方針を確認されるか。もし整理をするという実態に立ち至つた場合には、本日提案されている定員法と関連して、いかにこれを救済するかということは重大な問題でありますので、大臣の御答弁を願いたい。
  126. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 前から私が首切りはしないんだというふうなことを申し上げましたが、それはつまり定員定額から申しまして、小学校は五十人一クラス一・三五、中学校は一・七ということで行きますれば、現在の職員の数とクラス数とを比べてみますと、全國的に見まして余つておるわけではないと、こういう意味で実は申し上げたわけであります。しかしそれは全般的な平均の問題でありますから、具体的に個々の学校なり、縣につきましては、よけい職員を持つておつた所もございましようし、欠員の多かつた所もありましようから、多かつた所はあふれるということもあるかもしれません。それはできるだけその配置を考えてやれば事実上、現職の方がやめなくとも済む、こういう意味であつたわけであります。それで定員定額の問題は、今度の三割行政整理とは全然別個にきめられておる財政上の処置でありますから、三割整理と全然同一に考えるわけには行かないと思います。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、他の官廳の政府職員がこの定員法によつてある程度退職の保障をせられる場合に、この機会に整理せられるであろう教育職員の場合は、救済の余地なしとすれば、非常に不公平な形になるようですが、これにはいかに調整なさるお氣持でしようか。
  128. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 先ほども申しましたように、むろん、小学校、中学校職員の身分は、文部省直轄ではございませんで、教育委員会でやる仕事でありますけれども、やはり地方的に、今度の定員定額のために、いろいろ違つた特殊な事情が起るということもありましようから、そういう場合については、文部省としても十分注意いたしまして、できるだけそれが配置轉換等で円滑に解決できるように努力をする、こういう考えでおります。そうして今度の行政整理に伴う退職手当の措置とは全然別個の問題ですから、同じに扱うというわけには参りません。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 教育職員が非常に不利な立場にならないように、定員法によつて保障される政府職員と同様な道が開かれるように御盡力を願うとともに、特に地方の各都道府縣は、中央が教育予算の大幅な削減をやつたのに應じて、義務教育費國庫負担法で中央が負担しない部分は、地方も負担しなくてもいいという、非常に安易な氣持でこれを処理しているようですが、この点について、義務教育費國庫負担法で中央が負担しない部分は、地方がこれを負担してさしつかえないのであるという指導をしておられるかどうか。中央の負担しない部分を地方が負担するのは越権であるというような感じがしておるようでありますので、現実に整理に直面している府縣が相当あると思います。その際に府縣の態度でこれを救済し得るような道が開かれるような指導を、文部省としてなさる必要はないですか。
  130. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 お答えいたします。ただいま定員法との関連のお話がありましたが、定員法は國立の学校職員定員でありまして、今お話のありました小学校、中学校等の職員はその中には入つておりません。そうして國立の学校につきましては、教員については全然整理がない、そして事務職員について、欠員の半分だけが整理されるということになりますから、現実にはないということになります。定員法にありますのは全然別の問題で、お話定員法が引合いに出されましたから申し上げたわけです。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 今の定員法で一方では保障される職員があり、地方公務員である教育職員はこれに関連する保障がないということは、非常に不公平ですから、定員法に準じたような取扱いがされないものであるかということを先ほどからお伺いしているわけです。
  132. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 その次の御質問でありますが、定員定額というのは、國家予算で地方財政に対する補助を與える基準をきめているだけであります。そうでありませんと、國家の財政計画から行つて非常に困りますからそうなつたわけでありますが、しかし地方財政が許すならば、あの定員以上に地方教育のために先生を雇われてもむろんさしつかえないことでありますし、また予算上整理される場合に地方で適当な処置を講ぜられるということもむろんさしつかえないことで、文部省としてはそういう場合があればできるだけ退職の場合について地方がめんどうを見るように勧獎する、こういうつもりでおります。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 定員定額の問題について、いま一つ簡單にお答え願いたいのは、昭和二十二年末の現在給によるところの全國の各府縣の実情は、非常にでこぼこになつていると思います。それを先ほど文部当局の御意向を聞くと、二十三年度の実績を報告させて、その報告に基いて、この定員定額の問題についてはそのでこぼこを調整するような用意があるというお言葉つたのですが、そうなれば、たとえば小学校の本俸五千六百何がしのこの額は、全國的に平均化されると思いますが、そう解釈してよろしいのですか。
  134. 森田孝

    ○森田説明員 ただいまの御質問でございますが、各府縣に内示いたしました額は、二十二年度の六月、九月、十二月の三箇月の平均をとつたものを基準にした額でありますが、その後におけるところの二十三年度の実績は、二十三年度の決算を見なければわからないわけであります。從つて、目下二十三年度の決算の報告を各府縣に求めておりまして、これを参考にいたしまして、先ほど内示いたしました額を調整したいと考えております。もちろん予算はすでに決定いたしておりまして、全國平均額は限られておりますので、その範囲内においての調整でありますから、その点を御承知おき願いたいと思います。
  135. 受田新吉

    ○受田委員 これで教育職員の免許法に伴う整理に対する不安及び待遇の質問を終りまして、直接免許法に関係した点につき一、二政府の所信を質したい点があります。それは、今日午前中以來の質問で、ある程度政府意向はわかつたのでありますが、ここにはつきりとこの際政府が反省的にこれを改めるという氣持を持つておられるかどうかお伺いしたい点は、第五條の第四号の禁錮以上の形に処せられた者を削除することであります。それで禁錮以上という問題ですが、終戰前に禁錮以上の刑に処せられた者を含むことになると思います。それであるならば、現に職にある人の中には禁錮以上の刑に処せられ、懲役にも入つておる人が相当あるのですが、それらをみな整理するのかどうかということと、それから、特別の破廉恥罪を除いた、ほんとうに、たとえば若氣の至りで交通事故とか單なる過失で禁錮以上の刑に処せられた者がある。そういうものが全然ふさがれることになるので、これに対して全然削除するか、あるいは年限を設けるかして、こういう條項を緩和される意図をお持ちになつておられるのではないか。その次の第六号の憲法施行の日以後云々の規定に対しても、同様のお氣持を持つておられるのではないか。この二項について政府の所信をいま一度確認したいと思います。
  136. 稻田清助

    稻田政委員 前段の御質問に関しましては免許法施行法案の附則に救済の規定が出ているのでありまして、施行の際に現に校長または教員の職にある者につきましては、学校教育法第九條第三号の規定を適用することになつて、救われることになります。それから第三段の御質問に対しましては、今朝來たびたび申し上げておりますように、今日國家公務員法規定の中にも、同様の趣旨規定がございまして、國家公務員たる教員に関しましては、その趣旨が適用になるのでございますけれども、公立学校職員あるいは私立学校職員といえども同様に考うべきものと考えましてこの規定を存置をいたしたわけでございます。
  137. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ、特に免許状の性格から、種類の異なつ学校間における人事異動がどうもはばまれるようになつておりますが、これらについてその適性に應じて修得した学科の單位の問題の処理ができるような道を開く必要はないか。たとえば、小学校、中学校、高等学校という初めから目ざした学校でずつと通つて行く人も——それは普通であつて適当でありますが、その中にさらに異種の学校に随時移動し得る道を開くように措置をとる必要はないか。それからこの法律は九月一日から実施せられることになりますが、それまでにこれらの準備工作が完了する見通しを持つておられるか、この点を伺いたい。
  138. 稻田清助

    稻田政委員 ただいまの前段の御質問に関しましては、免許法施行法案の第二條一号か三十四号までの間に、御趣旨をくみまして、学校間の融通がつきますように相当廣い規定を設けているわけであります。また本法の別表におきましても、当面の取扱い方は別に就職すべき学校によつてつていないのでございますから、相当その間の融通はつき得るように考えられます。それから次のお尋ねであります本年の九月までに一切の準備が完了するかという御趣意でございますけれども、この附則によりまして現在仮免許状を持つております者その他についての救済規定がございますので、新しくこの規定を布達いたしますために、各都道府縣教育委員会あるいは都道府縣の知事の手元において、十分この期間において準備ができるものと私ども考えております。
  139. 受田新吉

    ○受田委員 一應質問を終ります。時間ですから……
  140. 原彪

    原委員長 教育職員免許法案並びに同施行法案に対する質疑はもうございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 原彪

    原委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  142. 原彪

    原委員長 次に國立学校設置法案に対する質疑を続行いたします。
  143. 小林運美

    ○小林(運)委員 この問題につきまして私は昨日当局に御質問を申し上げたのでありますが、続いて二、三の御質問をいたしたいと思うのであります。昨日の当局のお話によりますと、この國立学校設置法案の提案理由の説明の中に、二、三の学校については目下設置委員会に諮問中であるというようなお話がありまして、本日設置委員会の総会が文部省において開かれたようでございますが、その内容をお聞きいたしますと、長野縣の中に存在いたしまする國立学校につきまして、二つの問題を提起して御諮問をされておるようでございます。私がお尋ねしたいのは、上田繊維專門学校を單科大学にしたいという地元の要望も、すでに当局は御存じのことと思いますが、かような問題について、二つの諮問をされておるようであります。かようなことが、今まで設置委員会に六十七校の諮問をされたと思いますが、前例がございますかどうか、文部大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  144. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 お答えをいたします。ただいままではこういう諮問はございませんでした。それは前に御説明申し上げましたように、設置委員会文部省それから地元等でもつて十分相談をいたしまして、原則に從つて一つの案を立てることに意見が一致したわけであります。從つて一つの案として設置委員会に提出したわけであります。ところが長野縣と秋田縣につきましては、地元の非常に強い要望と、文部省が原則に從つて処置しようとする考え意見の一致がまだ到達しなかつたわけであります。それで原案につきましてはまだ一致しないからというので、それを設置委員会へかけないで、留保の形になつておつたわけであります。しかし國会におきましてこの設置法決定されるにつきましては、設置委員会におけるこの問題についての意見はつきり聞いておく必要がありまして、このたびは今までとは違つた形において設置委員会に諮問をしたわけであります。
  145. 小林運美

    ○小林(運)委員 ただいまの文部大臣の答弁に対しましては、私は意見といたしましていろいろございますが、これはあとに譲りまして、この上田繊維專門学校の單科大学設置につきまして、すでにわれわれは文書をもつて質問書を出しました。その答えによりまして再質問いたしておる次第でございまして、詳細はこの質問書によつて大体は了承しておりますが、この件に関しまして、二、三さらに御質問申し上げたいのであります。この答弁書が二つ出ております。四月五日と四月二十日付で答弁書が出ておりますが、その答弁によりますと、両方ともこの問題を決定する前に、すなわち設置委員会に諮問をする場合には関係方面と協議して設置委員会に諮問をするというふうに答弁がございますが、今回諮問されました場合には関係方面とあらかじめ御協議の上されましたかどうか、その辺をお伺いいたします。
  146. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 お答えいたします。正式の手続といたしましては、設置委員会で答申の案をつくりまして、関係方面と折衝するわけであります。しかしこういう案を設置委員会にかけるかどうか、設置委員会意見を聞くかどうかということにつきましては、一應関係方面と話し合つてやる、こういうことになつておるわけでございます。
  147. 小林運美

    ○小林(運)委員 そうすると諮問をする前にこの二つの話を想定して関係方面と折衝はしなかつたのでございますか。
  148. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 具体的なこれがいいか惡いかということは設置委員会で審査した上でありませんとわかりませんから、そういう折衝はできないのであります。こういう二つの案で設置委員会にかけるということについては話をしてあります。
  149. 小林運美

    ○小林(運)委員 本日設置委員会の総会にこの問題が諮問されたそうでございますが、その結果はどんなふうになりましたか、御答弁願いたいと思います。
  150. 原彪

    原委員長 政府当局より、まだ手続上の問題があるので秘密会にしてくれという要望がございますので御諮りいたしますが、いかがでございましようか。
  151. 圓谷光衞

    圓谷委員 秘密会の必要のないものだけ先にやつて、秘密会は一番あとにしたらどうですか。
  152. 原彪

    原委員長 さようにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 原彪

    原委員長 それではさようにいたします。
  154. 小林運美

    ○小林(運)委員 次に設置委員会の問題に関してちよつとお尋ね申し上げたいのでありますが、実は私本日設置委員会の総会があるというので、この設置委員会を傍聽いたしたいと思いまして参りましたところが、設置委員会は非公開の秘密会だというお話で、引下りました。われわれは國会におきまして、本会議はもちろん、最近におきましては委員会もかくのごとく國民の多数が関心を持つて傍聽しておられるのであります。設置委員会におきましても、やはりわれわれの國の政治の一環といたしまして、いかに文部省方針をきめる諮問とはいえ、これを秘密会にするとは非常におかしな話であると考えるのであります。しかもこの設置委員会法律的なものを調べてみましても、秘密会にする、どうこうという規定もございません。それを秘密会にするというのは、どういうわけか、これは文部大臣といたしまして明確なる御答えを願いたいと思うのであります。
  155. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 設置委員会というのは、法令に基いて文部大臣が諮問しなければならぬ機関としてできておるものでありまして、委員長があり委員がありまして、自治的にやつておる機関でありますので、文部大臣といたしまして秘密会をやめろと言うわけにもいかないし、やはりそれは設置委員会方針に從つてやるべきものであると考えております。
  156. 小林運美

    ○小林(運)委員 これらにつきましても意見にわたりますので、後刻意見を申し上げたいと思いまして、質問はこの問題につきましては打切ります。  次にこの大学設置に関しまして、文部省はすでに十一原則なるものを決定いたしまして、このわくにはめていろいろ決定をしておつたようでございます。その十一原則というものがありますが、この十一原則がときどきかわつております。しかも御当局の都合のよいようにこの原則をかえておる。これははなはだけしからぬとわれわれは考えるのであります。これは例は幾つもございます。十一原則が初めから十一原則であつたか、九原則であつたか知りませんが、とにかくどんどんかわつて参ります。昨年の夏ごろの原則から、いつの間にかかわつております。たとえば女子教育の問題にいたしましても、その他相当の問題が原則と称して都合のいいようにたくさんかわつておる。これは一体どういうわけであるか。これらの個々の問題につきまして、私はここでいろいろ申し上げたいのでありますが、時間がないので一般的に申し上げたいと思います。特に十一原則の中にある女子教育の問題でありますとか、あるいは水産商船大学の問題でありますとか、その他いろいろございます。これがいつもわれわれから考えますと、何だかわけのわからぬような方針、感情と申しますか、そういうものによつてつてにかえられておる。しかも自分の都合の惡い方には十一原則があつてこれはだめだというようなことを言つてお茶を濁しておる。これはもつてのほかだと思いますが、文部大臣はこの点についてどういうふうにお考えになりますか、明確に御答弁願いたいと思います。
  157. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 ただいまのお話の中に、文部省が十一原則をかつてに破つておるというお話がありましたが、私はそのようなことはないと思います。しかしこまかい点はこの実行に当りました局長から御説明申し上げます。
  158. 日高第四郎

    日高政府委員 十一原則は文部がかつてにきめたものではございませんので、かつてにかえるわけには行かない原則でございます。ただ十一原則の中には、註釈みたいなものもついています。註釈の部分は一般に学校等に示す場合には、必要のないような註釈もございますので、その辺は省というような場合には消して発表した場合もありますが、十一原則そのものはかわつてはおりませんし、文部省に都合よくかつてにかえたという事実はないと確信いたしております。
  159. 小林運美

    ○小林(運)委員 かつてにかえたことはないというお話でありますが二、三の例を私は申し上げたいと思います。これは議論になりますと時間を消費いたしますので、二、三質問の形で申し上げます。水産商船大学をここにおいては別にいたしております。その理由とするところは他省の所轄ということになつておりますが、將來これが文部省の所轄になつた場合には、この十一原則によりましてこの單科大学を総合大学にいたしますかどうか、その辺をお伺いいたします。
  160. 日高第四郎

    日高政府委員 十一原則の処理の場合には、関係方面との了解においては、文部省が担当しておる学校の処理の問題というふうに前提されております。水産の学校及び商船の学校等は、あとで文部省所管の問題として出て参りましたので、十一原則によつて処理されたあとの問題としてそれが発生したわけでございます。
  161. 小林運美

    ○小林(運)委員 そうすると、この十一原則というものは私が先ほど申し上げましたように、あとで出て來たものは適当に処理をするというようなことであつて、どうもあなた方の言うことと、実際やつておることがかわつておるように私は考えます。それからここに水産大学が神奈川縣となつておりますが、東京の水産大学が神奈川縣にある。しかもこの大学設置の十一原則の中には、人口の稠密度であるとか、あるいは地域の廣大であるとかいうようなことを十一原則で規定しております。神奈川縣はその中に入つていないはずである。これに別の單科大学を水産大学としてやるのは、これは十一原則をあなた方みずからが破つておるといつても過言ではないと思います。こういう事実がここに現われておる。これでもやはりそういうことをおつしやるのかどうか。
  162. 日高第四郎

    日高政府委員 水産大学につきましては、積極的に文部省から農林省の学校文部省に移せという話をいたしたわけではないのでありますが、大学設置に関しましては大学設置委員会にかけて申請をいたしましたあとで、この問題は関係方面との話合いの上で、文部省に所管を移せというような指示もありまして交渉いたして参つたのでありますが、なかなか意見の一致を見ませんままに、大学設置委員会にかけてしまつたわけであります。これは最近のうちに所管を決定するという前提をもつてかけたような次第でありまして、初めから文部省の所管の学校として処理いたしたわけではないのであります。水産講習所は御承知のように東京にありましたのですが、戰災のために臨時に神奈川縣に疎開しておる次第でありまして、その辺は特殊の事情として御了承いただきたいと存じております。
  163. 小林運美

    ○小林(運)委員 まだその他に十一原則の問題につきましては、いろいろ申し上げたいこともございますが、どうもこの二、三の問題を提起いたして考えてみましても、実にしどろもどろのように私は考えます。從つてわれわれはかような十一原則によつて拘束される必要はないと実は私考えております。從つて今後の問題につきましても、こういうことは文部当局としてあまり強調されないようにお願いいたしたいと思います。  なおこの問題とは別問題でございますが、先ほどの委員会におきまして、幾多他の委員の方からお話がございました大学の経費の問題であります。六・三制さえ國家の予算といたしまして現在日本の國勢から考えまして、なかなか支出に困難である。ましてこの國立大学におきましても、経費の困難な事情はよくわかつております。そこで相当の部分は地方の負担あるいは業者の負担によつて、この大学について努力を進めて行かなければならないという情勢にあることも文部当局はすでに御存じのことと思います。特に上田繊維專門学校の單科大学の問題につきましては、地元はもちろん、全國の関係業者はこぞつてこの大学をつくるならば、特別な支出をわれわれの手によつてつて行きたいということを強力に申し上げておることは、すでに御存じの通りであります。ところが、これがもしその要望するように行かない場合には、この経費も支出が困難であるということも御承知の通りであります。そういつた場合に、われわれは國家の財政を極力節約して学校教育方面にも協力して行きたいという考えを持つておる國民に対して、政府はそういう特殊な希望を持つてある者を投げ捨てても、十一原則とか、何とかいう画一的なお考えによつてほつたらかしておく。こういう責任は一体だれがとるか、これは文部大臣といたしましても十分お考えを願わなければならぬ。これに対しまして大臣の御所見を伺いたいのであります。
  164. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 六・三制遂行さえ非常に困難な財政的事情にありますので、一面におきましては、その他の大学等につきましての方針は、よほど考慮しなければならないだろうという意見も一方にはあります。しかし私は、終戰後の武器を捨てた日本としては、何としても百年の計を考えるならば教育が一番大事だと思う。ですから、たとい一時的には非常に無理がありましても、やはりこの際は教育全般の日本におけるレベルというものは決して落したくない、できるだけやはりこれは無理でも上げて行かなければならぬ。こういう考えをもちまして、ある程度の無理はありますけれども、ぜひとも大学教育というものを普及向上させたいということでこの案ができたわけであります。上田繊維專門につきましての今のお考えは、地元といたしまして、上田繊維の教育について非常に熱烈な御後援をいただくということは、そういう立場から申しまして、私どもとしてはまことに感謝にたえないのであります。しかし上田繊維と同じような事情にありますものが他にもたくさんあるのでありまして、それらをやはりいわゆる原則に從いまして処理しておるわけであります。なぜそうするかと申しますと、説明のときにも申し上げましたように、大学のレベルを維持したいということと、財政的な理由、つまり学校を独立に幾つかたくさんふやしますと、どうしても学長なり総長もふえるのですし、経費もふえるわけです。それをできるだけつづめるということも一つの大きな理由で原則ができておるわけであります。上田につきましては、いろいろ御意見も伺いました。それで特に上田については、考慮すべき特殊な事情があるならば考慮しよう、こういう考え文部省は進んで來たわけです。從いまして文部省としての原則通りの方針ならば、初めから一つにすべきものである。しかし非常に熱心な御意見もあり、またわれわれとしても、それならば十分愼重考えようというので、実は留保されて來たような事情にあります。ですからその点を一つ十分に御考慮を願いたい。
  165. 小林運美

    ○小林(運)委員 経費の問題につきましては、なお二、三の考え方もあります。総合大学にするために、かえつて経費がかさむというような事情も、この上田の場合においてはあることは、すでに御説明申し上げたと思いますので、重ねて申し上げませんが、なお十一原則の問題につきまして、人口の問題とか、あるいは地域の問題というようなことを考慮して云々というようなことが書いてあります。北海道におきましては、非常に地域が廣大であるために、これをわけたというようなことになつておりますが、新制大学に入学する希望者は、新制高等学校の卒業生が入つて來ることになりますので、その地域の中に新制高等学校の数というものが、これはただ漠然と土地が廣いとか、人口が多いとかいうこととは別問題といたしまして、教育の程度と申しましようか、非常に新制高等学校が周囲にたくさんあるというようなことを十一原則に当てはめないだろうか。十一原則にはそういうことは書いてありませんが、そういうことを考慮に入れたか入れないかということをお尋ねしたいのであります。
  166. 日高第四郎

    日高政府委員 十一原則を立てましたのは、昨年の七月十日ごろだと思います。新制高等学校の出発は昨年の四月でございます。まだ全國的にいろいろの調査をする方法も手段も講ずることができませんので、その際には私どもの方としては、新制高等学校の数そのものは考えの中には入つておりません。ただ全体としての教育の施設その他については、むしろ教育刷新委員会において原則を立てる場合の参考として相当緻密な指示がありまして、それを参考にいたしまして十一原則をつくるときに考慮をいたした次第でございます。
  167. 小林運美

    ○小林(運)委員 ただいまのお話では、考慮をすべきであるというような意向のようでございますが、特にこれは考慮していただきたいのであります。なおこの問題につきましては、いろいろ御質問も申し上げたいのでありますが、先ほどこの公開の席上では大臣からお話ができないというようなことでありましたので、秘密会におきまして御意見を伺つた上で二、三御質問申し上げたいと思いますので、私の質問を保留いたしまして一應終ります。
  168. 原彪

    原委員長 庄司一郎君。
  169. 庄司一郎

    ○庄司委員 最初に簡單に政府にお伺いしたいのは、ただいま日高政府委員の御言明によれば、十一原則という大学設置の基本的な原則らしいものが、昨年の七月に制定されたようなお話でございますが、この十一原則なるものはいかなる法的根拠を持つておるものであるか。またむろん現政府として、あるいは現在の文部省の最高幹部の諸賢も、その十一原則はもとよりそれを拳々服膺されて、全國幾十の大学設置案といういわゆる幹事案なるものを、設置委員会に対して御提案になつたものと推定するものでございますが、憲法でさえも合法的に國会においてこれを改変することができ得るのであります、十一原則々々々々と、ややもすればこの十一原則なるものを何か絶対的なものであるかのごとく振りまわされておるようでございますが、十一原則なるものは、國民の輿論代表機関である國会において、これを承認したものでも何でもないと私は考えておるのであります。そこで十一原則なるものは、ただ單に昨年の七月、当時における政府が制定された。これは一体どういう法的根拠を持つておるか。またその十一原則によつて、われわれ國会議員に対して大学設置法案を御説明なさる場合におけるこの十一原則なるものに対する法的根拠並びにその信念、そういうものをきわめて簡單にお伺いしておきたいと思うのであります。
  170. 高瀬荘太郎

    ○高瀬國務大臣 お答えいたします。十一原則というものは、むろん何ら法的根拠がある原則ではありません。文部省が前に申しましたように、大学の学術の水準を維持するということと、それから財政的な負担を軽くするという建前から、日本全体の高等学校、專門学校大学校を統合して新國立大学にしようという方針を立てまして、それを実行するについての一つの基準としてきめたわけであります。ですから決してこれを破つてはならないというような法的根拠はないのであります。ただしかし一つの基準をきめてやりませんと、二百六十幾つかの学校を六十幾つかにまとめようといたします場合には、事実上困難であります。それで一つの尺度としてきめたわけであります。ですから、例外を全然認められないというようなものではないのであります。ただしかし例外を認めるにつきましては、やはりその根拠がなければならない。それでそういう基準によつてすべての他の地方における大学の整理統合をして來たのでありますからして、例外を認める場合には、どんな根拠によつてこの縣については例外を認めるかということを考えた上で例外を認めなければならない。それで問題になりました秋田、上田につきましては、いろいろ地元の方からもお話がありまして、その間に例外を認めるだけの根拠が発見できるかどうか、ずいぶん文部省としても愼重に考えました。そうしてその根拠というものは、やはりほかの地方における当局の方々が納得できるような根拠でなければ、例外を認めるというわけには行かないわけであります。それでほかの縣におきましても、やはり大部分はそれぞれ独立して大学になりたいという希望を持つておられた。けれども、さつき申上げましたような事情から、これを統合することにしたのでありますから、相当に希望に反して統合を実行しておる。ですから、その人たちに納得の行けるような根拠があれば、むろん例外は認めていい。それがあるかどうかについて愼重に研究をいたしましたのですが、文部省としては、そのはつきりとした他を納得させ、そうして問題を起さないような例外を認める根拠というものが、まだ十分認められないという結果がこういうことになつたわけであります。
  171. 庄司一郎

    ○庄司委員 法的根拠なき旨の御答弁によつて、十一原則はただ單に一方的な文部省のプライベートな原則であることを発見いたしました、さように本員は了承いたしました。  次にお伺いいたしたいのは、ただいま議題に相なつております國立大学設置法案、この六十幾つの大学及び若干の專門学校、高等学校等、これがこのまま大体において本委員会並びに本会議を通過するものと考えまするが、そのあかつきにおいて、すでに昭和二十四年度において、ただいま議題となつておる本法案に即しての大学あるいは高等学校、專門学校数に対処して、どのくらいの予算を確保されておられますか。またそれらについて將來追加予算をお見込みになつておるか、さような御意図があるかないか。また大学あるいは專門学校、高等学校学生、生徒諸君の一人当りの國費支弁の教育費はどの程度に相なつておるか。これは文部大臣でなくてけつこうでございます、他の政府委員の諸君の方が詳細御存であろうと考えますが、本法によるところの大学等の予算総額、しかしてこの後為替レート関係等々を勘案して、さらに追加予算を要望される御意図はないか。生徒の一人当り向う一箇年間の二十四年度における教育費は、大体どの程度についているか。これは最後にいま一点お伺いしたい前提として、参考までにそこに資料があれば、承つておきます。もしなかつたらあとでよろしゆうございます。
  172. 日高第四郎

    日高政府委員 ただいま十一原則は文部省のペライベートの方針だというお話がございましたが、これは事実はいろいろ事情がございまして、関係方面との十分な了解と檢討を受けた上のものでありますことを御了承いただきたいと存じております。  それから予算につきましては、大体二十四年度における國立大学の予算は、旧制の高等專門学校学生募集停止に伴つて生ずる既定経費の六億四千万円、設備その他の経費として増額した約三億円弱、合計九億四千万円程度で新制大学を出発させることになつておるのであります。今後の改善費としましては、四年間に今日の予算基準で申しますと、約六億円ずつ増して行けば、もちろん十分ではございませんが、新制大学にふさわしい内容を充実して行くことができる見込みを立てておるのであります。多少の増減は免れないかと思いますが、それを予定いたしますれば、急に追加予算を必要とするような事態はなくて済むという見込みでおる次第であります。  それから一人当りの学生の経費と申しますのは、大学によりましては、研究所がございましたり、あるいは病院等がございましたり、大学院等がございましたり、非常に内容が複雑でございますので、まだ十分な一人当りの計算は出ておりません。そのうちにこれを整理いたしまして、できるだけ綿密な分析をいたし、合理的なものをつくりたいというふうに考えておる次第であります。
  173. 庄司一郎

    ○庄司委員 なるべく短時間でもう一点だけで終りたいと思いまして、日高政府委員と討論的なことは謙遜してやりたくないと思います。ただ法的根拠のないものは、これをわれわれ立法府においてはプライベートと称するのであります。これだけを申し上げておきます。それから生徒一人当りの教育費が年間を通してどのくらいかかるかということをお伺いしておきたい私の信念は、学生生徒諸君に、われわれ國民の負担する税を通して一人当りの学生を教養するために、一箇年に何万円を要するものであるかということを、はつきりと会得させたいのであります。今から十年前の統計では大学の平均が一千四百円、医科大学は一千七百円、專門学校、師範学校は九百円、青年学校は二円六十銭、府縣立の中等学校は六十五円、そんなものでございました。しかるに十年後の今日においてどのくらいの國家経費を要するものであるかということは、よくこれを明らかにして十分学生諸君にも御会得を願い、大いに祖國復興のために御奮励を願いたいという親心からお伺いをいたしたのであります。  さて最後にお伺いしたいのは、一見はなはだ地方問題のように誤解されるおそれがございますが、そういう偏見の上においてお伺いするのではございません。それは宮城縣仙台市に所在する東北大学のことであります。ただいま議題となつておる原案によれば、この東北大学に対して第二高等学校その他工業專門学校、宮城師範、宮城青年師範学校等々が併合されることになつております。しかるに宮城縣においては、地方議会において、ただいま申し上げたところの第二高等学校を除いた以外の三校は、東北大学に併合されるよりは現在のまま、旧制のままこれを將來に存置したい、こういうことを決議されておるのであります。そしておいおい三校の内容が充実され、あるいは拡大強化された適当な時期において、この三校が眞に心から三位一体となつて、たとえば、かりに宮城学藝大学というようなものを設置したいという念願に燃え立つておるのでございます。私は決して東京に大学が十何校とか、九州において九校、北海道が五校あるとか、奈良縣に二校あるというような他縣の例をとつて申し上げるのではありません。それらはそれぞれただいままで当局の申されるところの原則に從つて、適正に妥当に学校の構想等をおきめくださいましたことと思うのでございますが、何といつても東北大学は東北の大学である。ただ詰め込めばいい、カン詰教育のようにすべての專門学校等をこれに併合すればいいというようなことだけであつては適切ではない。私は決して大学設置委員会の御審議が公正妥当を欠いておるとは申し上げません。けれども大学設置委員会決定が、絶対的なものであるとは決して考えない。古今東西を通じて誤らざるところの眞理であるとは考えません。人間のやるところには、たまにはエラーもあり脱線もある。そこで私は、いろいろ過去のいきさつもあつたようでございますが、過去のいきさつについてはあえて申し上げません。最近において仙台工業專門学校、宮城師範、宮城青年師範等々が心からまとまつて何とか將來ひとつ独立の学藝大学をつくつてほしいという念願に燃えておる。この観点に立つて、ただいまこの席においてにわかに文部当局に対して善処を要望するというような考えは、時期的に私は持つていませんけれども、東北大学にしやにむに天くだり的に統合され、併合され、合併されるよりは、現在のままにおいてこの三校が残りたい。すなわち本案より除外してほしいというような熱烈なる要望は、ひとり三校の学校当局のみならず、その卒業生あるいは同窓会その他種々なる團体、宮城地方議会においても、仙台市会においても、決議によつて本院に対して請願書を提出しておるのであります。不幸にして提出されておる請願は本委員会に付託されておるけれども、議事の進行の御都合上、委員長よりまだ関係者を御招致になつておりませんので、はなはだ紹介議員として、不肖私は残念に存じます。これも議事の進行の御都合であると考えております。さような意味において、九州においては、明治工業專門学校ですか、一方においてはこれが工業大学になつておるところがある。それは十一原則に照して人口が多い、あるいは地域的の関係からでありましようけれども、一方に大学に昇格するものがあるのに、三校があつてもなれないものがある。これはどういう意味でありましよう、われわれは納得が行かないのであります。そこで今ただちに、ただいま申し上げました三校を、設置委員会等の審議の手続を省略して大学に昇格してほしいというようなことは申し上げませんけれども、東北大学併合よりこの三校を切り離して、しばらく將來に時をかしていただきたい。この三校の内容の充実のために、また地方民の熱望のままにこの三校を本原案より切り離すこと等に対して、御所見があれば承りたいと思うのであります。もし幸いに先輩同僚諸君の御賛成があるならば、私は適当な時期にこの三校を原案の東北大学の部門より切り離して、除外していただくところの修正動議を出したいと考えておるわけであります。念のために御所見の一端を承つておきたいと思うのでございます。  私の質問はこの程度で終りたいと思います。
  174. 日高第四郎

    日高政府委員 ただいま御指摘になりました宮城師範、仙台工業專門学校等の東北大学との合併の問題につきましては、御詳述になりましたように、私どもも相当いろいろの難点に出会いまして苦心はいたして参つたのでありますが、仙台工業專門学校は東北大学の隣りにありまして、東北大学の工学部も新しく大学の工学部になりますし、仙台の工業專門学校も新しい新制の工業大学になろうとしますと、性格が両方から近づいて参りますので、これが合一いたしますことは、全体から考えましても比較的自然でもあり、合理的でもあるという判断で話を進めて参つたのであります。これは單純な理論の問題でございませんので、いろいろ支障もあるかに見えまして、私どもも非常に苦慮しておつたのでありますが、幸いに大学設置委員会最後の総会の直前に、これが合一の話が学校間にまとまりましたので、私どもは積極的な意味をもつて、いい工学部をつくるために原案に乗せたわけでございます。  それから東北大学に新たにできます教育学部と、宮城師範との合一の問題につきましても御詳述になりましたけれども、いろいろ難点がございまして、相当苦心をいたして参つたのであります。これは一面に苦心はございますが、昭和二十二年の十二月八日付で、從來の師範学校は、できるならば総合大学の一環として轉換するように衆議院の文教委員会からのおさしずが出ております。私どもとしてはなるべくその趣旨に從つてやりたいという氣持もございますし、またそれが出発の際には、ある程度の困難はございましようけれども、れつきとしたりつばな大学と結びつきまして、教師の養成機関が新しい意気込みをもつて出発することには、全國の模範になり得ることを期待いたしまして、その両方の結合を骨折つて参つたのであります。それで最後の段階に至りまして、両方学校当局の間に了解ができましたので、これも大きな期待をもつて教育学部の一環として出発するように骨折つて参つたのでありますし、今後もできるだけそういうふうにとりはからつて行きたいというふうに考えておる次第でございます。しかしこれについてはいろいろな御意見もございましようし、ぜひ愼重に御審議の上、御賛成をいただければ幸いだと存じます。
  175. 圓谷光衞

    圓谷委員 宮城の方から三つの学校を旧制のままで保留したいという意見が出たのでありますが、日高学校局長は、十一原則の中には、全國に七箇所——北海道、東京、愛知、大阪、福岡というふうに、ここには一縣に三校以上認めるということであつたのです。その当時私もお願いしたことがあるのですが、仙台は東北文化の中心であつて、隣接縣である福島縣も從來たくさんの学生がおせわになつておる。北海道を認めるならば東北七縣でも、たとい人口は少くても、だれが見ても仙台は東北文化の中心になつておる関係上、二つの大学を認めていただきたいという念願を持つてつたのですが、それがどうしてできなかつたのであるか、その辺の事情をお伺いしたい。
  176. 日高第四郎

    日高政府委員 その点においては、ごもつともな点があると思いまして、話はしたこともあるのであります。それから十一原則が確立する前には、そういうことも考えたこともあるのでありますが、十一原則ができますときに約束がありまして、この原則については両方で信義を守つてトラブルを避けようということになりましたので、宮城はお話のように東北大学がございますし、これは歴史的に申しますれば、除外例の区域にいたしたいという氣持も初めにはございましたが、先日申し上げましたように、人口、学校数その他のいろいろな條件から見合せまして、除外例の中に入り得なかつたことを遺憾に存じております。それで御了承おきいただきたいと思います。
  177. 圓谷光衞

    圓谷委員 もし三校が脱けた場合に、東北大学の中にあつた工学部というものは燒けておるはずでありますが、これでは工学部というものが支障を來すと思います。この点をひとつ伺いたいと思います。
  178. 日高第四郎

    日高政府委員 一本になる方が積極的な意味もありますし、両方学校のためにいいのではないかというふうに考えております。全然脱けますと、東北大学としては燒けておるだけ弱いところができると思います。
  179. 圓谷光衞

    圓谷委員 ただ地域が近いから、これを入れれば便利だというだけでございますか。燒けたものだから、これは当然國家において復興しなければならぬのでありますが、その理由は近いからという意味ですか、そこをひとつもう一回……
  180. 日高第四郎

    日高政府委員 両方でございます。
  181. 千賀康治

    千賀委員 愛知工業大学名称のことでお尋ねいたします。愛知工業大学は、元名古屋高等工業学校で、数十年の歴史を持つております。愛知工業大学とおきめになつたのは、これは大学設置委員会だけの案か、あるいは政府もこれに同調なさるべき何か根拠があつたのか、それをお伺いいたしたいことと、愛知縣の衆参両院議員二十五名の、そのほとんど大部分の意見を聞いて見ましたが、この名称名古屋工業大学にかえてもらいたい。昔の名古屋高等工業学校のその思い出を生かしてくれた方が、学生の感情にも合うし、縣民のなじみもよいのだという意見でございます。名称を変更いたしましても、反対運動はどこにもないし、またその名称変更によつて被害を受けるべき相手方もないので、その点非常にいいと思いますが、われわれより修正を受ける方が政府側としてやりよいのか、または政府の提案でかえる方がよいのか、事務的な取扱いについて御所見を伺いたいと思います。
  182. 日高第四郎

    日高政府委員 名称の変更については、実は私聞いておりません。愛知工業大学という名前両方学校話合いでできておることでございまして、大学設置委員会にかけまして、可決されたものでございます。文部省はそれを取次いでこういうふうに提案しておるのでございますから、ぜひともかえる必要がございますれば、御修正をいただいた方がやりいいと思います。
  183. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 簡單にお尋ねいたしたいのであります。前國会におきまして東京藝術大学に書道科設置の請願がありまして、それが採択されたのでありますが、東京藝術大学には書道科が置かれておりますか、その点をお聞きしたいのであります。  なお各大学の学科の内容といいますか、種類といいますか、そういうものを印刷したものがありましたならば、御配付を願いたいと思います。  もう一つ各府縣の学藝大学には書道科が置かれてあるのかどうか、これだけお尋ねいたします。
  184. 日高第四郎

    日高政府委員 あとの問題からお答えいたします。各府縣の学藝大学もしくは教育学部等については、講座がございまして、自習することができるようになつております。それから藝術大学の中には、書道は入つておりません。それは美術学校そのものの中から、そういう案が出ておりませんので、今のところは入つておらないのであります。
  185. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 奈良の女子高等師範学校が、今度大学に昇格することになつておりまするが、この中には美術科といいますか、藝術の中に書道科というものが特に置かれておりますか、これをお伺いいたします。
  186. 日高第四郎

    日高政府委員 女高師の轉換します女子大学の中にはないかと存じます。師範学校の轉換いたします学藝大学の中には、書道の講座があるように聞いております。
  187. 今野武雄

    ○今野委員 先ほどのことに関連してちよつとお伺いしたいのであります。先ほど東北大学のことについていろいろ質疑應答があつたのでありますが、念のためにお伺いたしたいと存じます。十一原則というものによつて、一つの大学しか設けられない縣と、そうでない縣とがきまつたようでありますが、これで見ますと、二つ設けられる縣については、みんな三つぐらい設けられておるのであります。一つから三つに飛ぶようになつておりますが、これは人口とかいうような規準できめたとすれば、こういうことはあまりないように思うのですが、一体どういう理由でございましようか、念のためにお伺いいたします。
  188. 日高第四郎

    日高政府委員 これは先日申し上げましたように、日本学校が都市に集中いたしておりまして、東京、大阪、京都には学校が集中して存在しています。私の記憶が間違いなければ、東京には大学、高等專門学校が百六十九あつたかと思います。それから京都には四十一、大阪には四十二あつたかと記憶いたしております。こういう意味において、現実に非常にたくさんの学校がありますので、それを一つに結びつけることは実行不可能な状態でありまして、こういうふうになつておる次第であります。北海道は地域が廣大でありますので、これはむりに結びつけても連絡がつきにくい状態なので、ああいうふうに決定されたわけであります。
  189. 今野武雄

    ○今野委員 私が特に関心を持ちますのは、名古屋が三つであるということ——名古屋はそんなにたくさんの学校はなかつたように思われますが、三つになつておる。それに比較いたしまして仙台の場合が少し虐待されておるように考えられるのでありますが、その点、いかがでございますか。
  190. 日高第四郎

    日高政府委員 名古屋も、全國的にいえば相当学校の集中しておる所でありまして、名古屋大学には、八高と経済專門と高等師範が合併されております。それからそのほかに学藝大学は師範学校が三つ一緒になつてできております。それから工業專門につきましては、縣立のものと結びついて、名古屋が特に工業都市であるという意味において、工業大学を別につくつたわけであります。そういう事情でこういう結果になつたのであります。
  191. 原彪

    原委員長 國立学校設置法に対して他に御質疑はございませんか。——それでは先程政府から申し入れがございました、その筋との折衝についての説明がございますので、これを秘密会にしたらよろしいかどうかお諮りいたします。秘密会にしてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 原彪

    原委員長 それではさようとりはからいます。傍聴者の方は暫時室外に御退場願います。速記も中止いたします。      ————◇—————     〔午後六時五十六分秘密会に入る〕     〔速記中止〕     〔午後七時十六分秘密会を終る〕      ————◇—————
  193. 原彪

    原委員長 秘密会を閉じまして、会議を続行いたします。
  194. 小林運美

    ○小林(運)委員 ただいま秘密会におきまして、答申案につきまして大体お話を承つたのでありますが、もちろんこれは秘密に属することでありまして、その答申の内容については正式にははつきりいたしません。この問題につきましては、明日はつきりいたすそうでありますから、はつきりいたしましてから、私の質疑を継続したいと思います。留保をいたしたいと思いますが、御了承を願いたいと思います。
  195. 原彪

    原委員長 本法案に対して他に御質疑がないようでありますから、本日の質疑はこの程度とし、散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 原彪

    原委員長 では散会いたします。     午後七時十八分散会