○森田
説明員 ただいま
柏原政務次官から大要御
説明になりました
文部省設置法につきまして、一應趣旨を御
説明申し上げます。
文部省の
設置法は、ほかの省の
設置法と同様に、國家行政組織法の実施に基きまして策案いたしたのでございますが、ほかの省の
設置法の目標といたしております行政の簡素能率化という目的のほかに、戦後日本の
教育民主化の一環といたしまして、
教育の
地方分権がなされつつあります。
教育委員会法の実施によりまして、
地方教育行政が
教育委員会に移管せられまして、同時に将来は大学行政法が制定せられまして、大学に関する
教育行政が大学にそれぞれ移管せられるというような方向に進んでおります。これに基きまして
文部省自体の機能なりあるいはまた構成なりも、この方向に沿うように
改正することが、ほかの省とは違います
文部省の
設置法の一つの主眼点にな
つておるのであります。從いまして
文部省の
設置法の、たとえて申しますと、第四條には
文部省の任務が
規定せられておりますが、各省とは違いまして、その任務の
内容が非常に具体的に書かれておるのであります。また第五條の
文部省の
権限につきましても、特に第二項を設けまして
文部省は、その
権限の行使にあたりまして、
法律に特別の
規定がある場合のほかは、行政上及び
運営上の監督を行わないということを、特に明記いたしたのであります。
次に本省の内部部局につきましても、特に
内容面についてはその最低基準を設けますと同時に、それに即應し、かつそれ以上に基準を上げるべく指導助言を與えることになるのであります。
従つて内容の面につきましては從來の
中央集権時代とは違いまして、権力的な行政はこれに付随せしめないということが中心になりますので、法令に基く
権限なりあるいはまた権力の根源となるような物や金の取扱いは、
内容面を取扱う局とは甄別することが、この局の構成の一つの中心にな
つておるのであります。
局の構成についての第二の点は、その
内容面を取扱う局といたしましても、その行政の対象とな
つておる社会層によ
つて、はつきりと区別をいたしておる点であります。初等中等
教育局は、現在
教育委員会の管轄に属しております高等
学校以下の
学校教育の
内容を指導するところであります。大学学術局は、大学
関係及び
研究所その他の
研究を、取扱うところでありまして、これは各省の持
つておられる
研究とは違いまして、
文部省の関する学術
研究につきましての援助助言は、主として基礎科学及びその應用の
研究が中心でありまして、大学及び
研究機関が主として
関係いたしますから、大学と学術とを一本にして一つの局にいたしたのであります。
社会
教育局は
学校教育以外の社会についての
教育の指導なり助言をいたす局でありましで、文化國家建設に
関連して文化局という名前も一應
考えられるのでありますが、先ほど申しましたような局の編成の趣旨を明確にする意味におきまして、社会
教育という言葉を使
つたのであります。
なお次の調査普及局は、これらの指導助言をなす場合におきましては、抽象的な、あるいはまた一方的独断的な指導は、民主
教育の建前からしましても排除すべきであります。常に基本的な具体的な正確な材料をもちまして、その
実情に即應したような施策が
考えられなければならぬという意味におきまして、今後の
文部省におきましては、中心的な基礎的な重要さを持
つて來る
関係上、これを一局といたしまして、なおこれに付随いたしまして、その施策が徹底するようにこれを普及するという事業をこの一局に持
つて來たのであります。この調査普及局には別に國語に関する
事務が持
つて來られておるのでありますが、この國語の問題は現在調査面及びその文化なり、
教育なり、学術なりの基礎的な面をなしておるという
関係上、調査普及局に持
つて参
つたのであります。同時にその結果を單に文書といたすのみならず、あらゆる公文書なり、あるいはまたその他の図書、出版におきましても徹底せらるるように普及いたしたいという
考えも加わ
つておるのであります。
次に管理局は、先ほど申し上げました
法律に基く
文部省の
権限、たとえば大学、あるいは法人の
設置廃止の認可、あるいはまた
教員とか
教科書の
検定、あるいはまた著作権法に基く種々なる
権限行為その他
法律に基く
権限行為を行う局であります。
教育施設に関しましては、現在
教育施設局を構成いたしておりますが、臨時物資需給調整法の存続しておる限りにおきましては、言いかえれば、統制経済が行われておる限りにおきましては、
教育の伸張もまた物の
裏づけが根本的に必要であるという意味におきまして、行政整理の
関係上、局にはいたしませんでしたけれども、部といたしまして、管理局にこれを付置することにいたしたのであります。
なお次に、
文部省の付属の機関につきましては、先ほど次官からの御
説明にありましたように、國立
学校をこの中に一本に
規定すべきでありましたが、非常に尨大なものになる
関係上、特にこれを他の
法律にまとめて出すことにいたしまして、本法におきましては詳細な
規定はいたさなか
つたのであります。ただ第十五條に、國立の
学校については別に定めるということだけを
規定いたした次第であります。
それからその他の八つの
研究機関及び國立博物館とか、緯度観測所、芸術院というようなものにつきましては、それぞれこの
法律にその主要なる事項を
規定したのでありますが、ただ先ほど次官から御
説明のありました
通り、評
議員と申しましても、
相当重要な
権限を持
つた評
議員、単なる諮問に應ずる答申の機関というのみならず、
相当勧告もなし得るような機能を持たせた評
議員会をできるだけ付置いたしまして、それによ
つて教育の
民主化の方向に沿おうと努力いたしたのであります。ただ緯度観測所は、國際的な観測事業を行
つておる
関係上、これを設けなか
つたのであります。國立國語
研究所は、別に國立國語
研究所
設置法によ
つて詳細が
規定せられておりますので、本法によ
つてはこれを入れなか
つたのであります。日本芸術院は、主として芸術上の勲労のあ
つた人々を表彰する意味において設けられておるのでありまして、これが
運営につきましては特に評
議員を設ける必要はないという意味で、評
議員を設けなか
つたのであります。その他の
研究機関につきましては、評
議員会を設ける趣旨にな
つておるのであります。
次に二十四條以下に書いてあります
文部省に付置いたします
審議会でありますか、この
審議会は各省の
審議会に比べますと、非常に数が多くな
つております。と申しますのは、先ほど申しました
通り、
文部省の行政は
教育民主化の方向に沿わなければならないので、いろいろな専門的な、あるいはまた
関係者の御
意見を十分に尊重して
教育行政を
運営して行くというその趣旨を徹底する意味におきまして、他の省に比べまして非常な多くの
審議会が付置せられることにな
つておるのであります。なおこの
審議会は、現在
文部省にありますいろいろの
委員会なり、分科会なりを総合いたしまして、一つの
審議会になしたものもありますので、特に各省とは異なりまして、その第二項に、分科会を
政令で設けるという特別の
規定を置いてあるのであります。これによりまして現在あります
文部省の
委員会なり調査会なりその他
審議会なりは、おおむねここに掲げてありますところの
審議会に包括し、あるいはまた引継がれるという結果になるのであります。
次に
地方支分部局のことであります。從來
文部省は
教育施設局の出張所を全國各
地方に八つ持
つてお
つたのでありますが、今度
教育施設局が部にな
つた関係上、これを
教育施設部の出張所と改名いたしまして、從前
通り存続することにいたしたのであります。
附則におきましては、それぞれ当分の間
文部省においで所掌いたします過渡的な各種の
権限につきまして、あるいはまた
事務につきまして、若干の
規定を設けている次第であります。
以上簡單でありますが、御
説明を終ります。