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1949-04-20 第5回国会 衆議院 文部委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十日(水曜日)     午後四時六分開議  出席委員    委員長 原   彪君    理事 佐藤 重遠君 理事 圓谷 光衞君    理事 水谷  昇君 理事 松本 七郎君    理事 今野 武雄君       岡延右エ門君    甲木  保君       川端 佳夫君    土倉 宗明君       黒澤富次郎君    若林 義孝君       受田 新吉君    森戸 辰男君       小林 運美君    渡部 義通君       船田 享二君  出席政府委員         文部事務官         (学校教育局         長)      日高第四郎君         文部事務官         (学校教育局次         長)      剱木 亨弘君         文部事務官         (社会教育局         長)      柴沼  直君         文部事務官         (科学教育局         長)      茅  誠司君  委員外出席者         議     員 平川 篤雄君         専  門  員 武藤 智雄君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件   請願  一 教育映画巡回映写助成に関する請願(石    田一松君紹介)(第九号)  二 義務教育費地方負担緩和に関する請願(    川野芳滿君外四名紹介)(第八七号)  三 新制中学校建設費助成に関する請願(周東    英雄君外名紹介)(第〇六号)  四 新制中学校建設費予算確保請願圏谷光    衞君紹介)(第一二八号)  五 成人の日文化対策に関する請願小川半    次君紹介)(第一三一号)  六 新制中学校建設費助成に関する請願佐藤    榮作君紹介)(第三二号)  七 新制中学校建設費助成に関する請願(河口    陽君紹介)(第二六三号)  八 史料館設置に関する請願森戸辰男君外六    名紹介)(第七三号)  九 新制中学校教育振興に関する請願(淺香    忠雄君紹介)(第七九号) 一〇 青少年教育に対する総合的研究機関設置に    関する請願小林運美紹介)(第二一二    号) 一一 教育映画助成に関する請願小林運美君紹    介)(第二一三号) 一二 史蹟燈明寺畷新田塚修理費全額國庫負担の    請願坪川債二君紹介)(第二一四号) 一三 新制大学入学者検定試験制度施行に関する    請願(林百郎君紹介)(第三〇号) 一四 中尊寺における國宝及び特別保護建造物修    理費國庫補助請願淺利三朗君外五名紹    介)(第二三〇号) 一五 定時制高等学校施設費國庫補助増額請願    (平川篤雄紹介)(第二五三号) 一六 暦法改正に関する請願長野長廣君外三名    紹介)(第二五号) 一七 習事教育振興に関する請願水谷昇君紹    介)(第三五六号) 一八 新制中学校建設費助成に関する請願(村上    勇君紹介)(第二五八号) 一九 教育予算増額に関する請願圓谷光衞君紹    介)(第二六七号) 二〇 同外十五件(高木章紹介)(第二六九    号) 二一 私学助成関する請願圓谷光衞紹介)(    第二八七号) 二二 新制中学校建設費助成に関する請願(瀬戸    山三男君外四名紹介)(第二八八号) 二三 新日本精神教育実施に関する請願内海安    吉君紹介)(第二九三号) 二四 教育予算増額等に関する請願外件(三宅正    一君外十四名紹介)(第二九九号) 二五 新制中学校建設費助成に関する請願(中崎    敏君紹介)(第三二九号) 二六 同(岡田春夫紹介)(第三三〇号) 二七 同(世耕弘一紹介)(第三三一号) 二八 福岡市に國立博物館分館設置請願松本    七郎君外八名紹介)(第三六八号) 二九 無縁故引揚兒童教育施設費全額國庫負担の    請願山崎岩男紹介)(第三六九号) 三〇 宮城学藝大学設立請願庄司一郎君紹    介)(第三七〇号) 三一 新制高等学校國語教育に関する請願(伊    藤郷一君外一名紹介)(第三七一号) 三二 教育映画巡回映写團体暗幕配給請願    (森戸辰男紹介)(第三七三号) 三三 新制中学校建設費助成に関する請願(鈴木    善幸君紹介)(第三七八号) 三四 著作権法改正に関する請願水谷昇君外一    名紹介)(第四〇五号) 三五 高田忠周書石文保護に関する請願井出一    太郎君紹介)(第四一号) 三六 藝術大学邦樂科設置請願水谷昇君外    一名紹介)(第四一二号) 三七 國民道義高揚に関する請願河原伊三郎君    紹介)(第四一七号) 三八 新制中学校建設費助成に関する請願(前田    正男君紹介)(第四三三号)   陳情書  一 開拓地小学校設置陳情書    (第二三号)  二 宗教法人令改正に関する陳情書    (第    三五号)  三 新制中学校施設整備に関する陳情書外一件    (第    五八号)  四 風連村開拓地小学校設置陳情書    (第六八    号)  五 私学助成に関する陳情書    (第七    六号)  六 六・三制校舎建築予算に関する陳情書    (第一一二号)  七 中学校教員の定数に関する陳情書    (第二八号)  八 六・三制に伴う地方財源確保陳情書    (第一三七号)  九 戦災小学校復旧に対する起債及び國庫補助    増額陳情書    (第一六七号)  一〇 仙台工業專門学校工業大学昇格促進    の陳情書(    第九〇号)  一一 六・三制校舎建築予算に関する陳情書    (第二〇五号)  一二 教育予算増額陳情書    (第二一一号)     ―――――――――――――
  2. 原彪

    原委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き請願の審査に入ります。  日程第二、義務教育費地方負担緩和に関する請願文書表第八七号、川野芳滿君外四名紹介議題に供しまする。
  3. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員 紹介議員の一人といたしまして、簡単に御説明申し上げます。  本請願は、宮崎縣民の総意をもつて縣会議長代表者として提出いたしたものでありまするが、要は宮崎縣における義務教育予算額が、今や四億六千九百五十余万円の巨額に達しておるのでありまして、このうち縣費の純負担額は二億七千余万円に達しておるというわけなのであります。従つてその支出は実に縣税総額の四割二分を占むるというのが現在の実情でありましてまことに縣民といたしましては、容易ならざる状態であります。一方におきまして、宮崎縣は全國でも屈指の風水害の多い所でありまして、年々これがためにやむなく負担しつつある諸経費が、またきわめて莫大な額に上つておるのであります。すなわち年々洪水による農耕地の被害は、二万町歩を越える実情であります。そのために減収は七万石を下らないというのが、ほとんど毎年の実情であります。そのほかに土木工作物等の災害もほとんど三億以上というような状態であるのでありまして、そういう状況下において義務教育費の年々増加するのにたいへん苦しんでおるというわけであります。  そこで結論といたしまして、この請願趣旨は、第一にはこの義務教育費全額國庫負担に願いたい、こういうのであります。第三は、もし全額國庫負担が実現不可能または困難ということでありまするならば、その地方負担額に相應する財源として、新たに目的税として教育税といつたようなものを新設してまかなうことを國において容認してもらいたい。こういうわけなのであります。  御承知通りに、近来教育費の非常な不足のために、学校の諸費用に対しましては、いろいろな名儀でもつてその父兄負担をいたしております。たとえばPTAの金であるとか、あるいは後援会費とか、その他いろいろな名儀でこれを補足して来ておるのでありますが、結局これは子供を持つておる父兄のみが間接的に教育費負担しておる、こういうことになつておるのであります。これでは、新憲法が保障するところの、義務教育は無償とするという、その精神にも反しているのではないか。むしろこの際抜本的な対策を國として行つていただきたい、こういうわけなのであります。どうぞ御採択くださらんことをお願いいたします。
  4. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  5. 日高第四郎

    日高政府委員 ただいまの義務教育費國庫負担の問題でありますが、全額國庫負担ということについては、立場によつては、もつともだと思われるところもあるのでありますが、御承知のように地方自治制度というものが確立されまして、地方教育については地方もまた責任を負うというような点においては、現在の半額國庫負担という制度にも、十分な意味もあるというふうに考えられまして、現状において全額國庫負担とするというようなことは、國庫においても非常に窮乏いたしておる点からいいましても、簡単には実行不可能であろうと思うのでありまする  教育税の問題でありますが、これは文部省限りの立場から言いますと、できるだけそういう制度もほしいと思うのでありますけれども、これは日本税制改革全般の問題とにらみ合せて解釈をしなければならないので、教育税の御趣旨に対しては、私どももできるだけ沿うように研究もいたし、また努力もいたしたいと思うのでありますが、税制改革機会を待ちまして、しかるべき研究の結果を税制改革の中に織り入れたいと考えております。
  6. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員 了承しました。     ―――――――――――――
  7. 原彪

    原委員長 次に日程第三、第四、第六、第七、第一八、第二二、第二五、第二六、第二七、第三三、第三八、以上十一件は、新制中学校建設費助成に関する請願でありまして、同一趣旨請願であります。請願者がおられませんので、かわつて圓谷君に説明を願います。
  8. 圓谷光衞

    圓谷委員 本請願要旨は、わが國を文化國家として再建するために発足いたしました新制中学校建設費、さらに教育復興のために必要なる文部予算が大いに削減されておるということは、まことに遺憾である。かくては現在建設途上にある日本教育に重大な危機を起すであろう。よつてこの際ぜひとも昭和三十四年度において、この新制中学校六・三案の建設費並び教育予算に対して、政府は許す限り必要なる予算を確保せられたいという請願であります。
  9. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  10. 日高第四郎

    日高政府委員 敗戰後義務教育を三箇年延長するということが非常にむずかしい問題であるということは、皆様方も、文部省一般の者も覚悟の上で出発いたしたのでありますけれども、今日新制中学制度を継続し、また充実するために必要な財政的措置が、今のところできておりませんことは、この上ない遺憾なことと存じております。これについては文部省といたしましても、あらゆる努力を惜しまず、あらゆる機会に、これが実現のために骨を折りたいと存じておりますので、請願の御趣旨にはまつたく同感であります。今後も御鞭撻、御援助をいただきたいと思います。
  11. 原彪

    原委員長 次に日程第五、成人の日文化対策に関する請願小川半次紹介文書表第二二号を議題に供します。紹介議員がおられませんので、土倉君に御説明お願いします。
  12. 土倉宗明

    土倉委員 成人の日文化対策に関する請願の大要を、簡単に御説明申し上げます。  本案は、古新聞を各日の醵出によりまして、成人となつた約百万の青年男女文化読本を贈呈いたしたいというのが、その目的でありまして、新聞紙に限りません、古雑誌等醵出によつて、その目的を達成しようというのであります。決して経費も多額に上る見込みはないのでありまして、容易に達成される問題と考えます。  詳しいことは説明書に譲りまして、何とぞ本案採択を希望する次第であります。
  13. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  14. 柴沼直

    柴沼政府委員 成人の日にいろいろふさわしい行事をするということにつきましては、文部省におきましてもいろいろ研究をいたしまして、およそそれにふさわしきものと考えられるような事例をあげまして、こういうふうなことを行つたらどうであろうかというような意味で、各地学校あるいは公民館その他と連絡をとつたのであります。ただいまお示しのように、適当な書籍を記念のために配付するというようなことも、きわめて適切な問題でありまするし、またその経費を支弁するために古新聞、古雑誌等を集めることも、非常にけつこうだと考えるのでありますが、ただこの種の行事は、政府があまり積極的に中心となつて出ることはいかがかと考えておりますのでできるだけそういう趣旨事例をあげて、各地、あるいは各国体の自主的な御活動を願うという程度にとどまるのがよろしいのではないかというふうに考えて、そういう趣旨で今後もやつて行きたいと存ずる次第でございます。
  15. 原彪

    原委員長 日程第八、史料館設置に関する請願森戸辰男君外六名紹介文書表第一七三号。
  16. 森戸辰男

    森戸委員 この請願慶應義塾大学教授社会経済史学会理事の野村さん外九十六名、主として社会史経済史文化史研究されておりまする学者の方々から御請願なつたものであります。  紹介者の一人として、この要旨を申し上げますると、従来わが國の歴史は、いわゆる支配階級歴史でありまして、國民生活に最も関係の深い産業、経済社会文化などの部門がおろそかになつておりました。ことに近世庶民生活研究につきましては、非常に不十分な状態にあつたのであります。從つて今後の歴史研究者は、民間記録による実証的な研究を進めて行かなければならぬ。それでないと、日本歴史を科学的につくつていくということに、非常な支障になるのでありまするところがこの民間資料というものが、戰時から戰後にかけまして、非常に隠滅し、逸散しておる状態にありますので、今にしてこれに対しての十分なる処置を講じないでおりますれば、日本の、ことに社会文化史の面において多くの欠陥が残るということになるのであります。そこでかような大切な民間史料の隠滅を防ぎまして、これら民間史料收集いたし、これらの保存利用とをはかりまして、世界文化に貢献しますることは、もはや個人の力や、研究剛体の力では手に負えませんので、かような目的に沿いまして、國家の力で國立史料保存機関である史料館を設けていただいて、これによつて文書逸散防止対策を講じまするとともに、保存に耐えなくなりました民間史料を國の力で収集するという方途が講ぜられなければなりません。かような趣旨に沿いまして、史料館建設をされたいというのが請願要旨でございまして、それにつきましての計画案といたしましては、史料館設立に約三千二百六十万円の経費が必要となるということになつておるのであります。  かような次第でございますので、全員の賛同を得まして、この請願趣旨が貫徹されますことを望んでやみません。
  17. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  18. 茅誠司

    茅政府委員 今回提出されました請願の御趣旨は、文部省としてまつたく同感でございます。われわれの最も関係の深い近世庶民生活に関する更科につきましては、ただいま御説明がございました通り礎來あまり関心が拂われておらなかつたのでありまして、われわれと関係の一番深いところの生産榮生活の本拠を置いておりました庶民現実生活は、不明に属しておつた部分が多くて、これを知り得ないような状態でございます。史料の最も豊富な近世史の重要な面が、研究資料の不備によつてこういうような状況にあるということは、まことに遺憾千万であると存じます。このような研究資料は、全國各地に死藏されておるのでありますが、戦争の後になりまして、これがまさに散逸しようとする危機に瀕しておるのであります。こういう文化財の消失ということは、日本のみならず、人類の文化にとりましても、償うことのできないところの損失であると存じます。  文部省は、昭和二十三年度予備金五十万円をもつて学術資料調査員專門学者に御依頼いたしまして、全國の郷土史家協力のもとに、さしあたつてこの庶民史料の蒐集に着手いたしたのでございます。昭和二十三年度にはまた予算五十万円を計上いたしまして、さらに継続してこの収集に当りましたが、予算の額があまりにもわずかでございましたので、收集の対象になるところの史料は多いにもかかわらず、急速に十分な収集目的を達することができないというような実情でございました。今後はすでに調査をいたしまして調査済みのもの、かつそれが散逸するおそれがあるというものにつきましては、急速にかつ計画的に収集をいたしまして、十分な措置が講ぜられるような、そういう予算措置をいたさねばならないと考えております。このようなことでありましたけれども、二年間に散逸危機を防止し得ましたところの文書記録の数は非常に多くて、約八万点に達しておりまして、目下これを整理するために東洋文庫に二部屋を借用いたしまして、この整理に当つております、しかしこれだけでは非常に不足でございまして、これを十分に収容して、かつ安全な施設を持つ國立史料館の設置されるということは、私どももまつたく希望しておるところでございます。  今年度学者の熱望にこたえまして、史料館設置費を要求しました結果、施設費といたしまして八百十万円が大藏省から内示されております。かような施設ができまして、かつ貴重な史料が一日も早く一般研究者学術研究に資し得るようにすることが、われわれの最も望むところでございます。今後におきましては、文部省ではこのような史料を急速に全国的に調査いたしまして、計画的に蒐集し、散逸を少しでも少いようにしたいと思つております。そうしてこのような史料史料館に蒐集いたしまして、整理保存し將來の学術研究の重要な資料として、利用に供したいと存じております。  なお、中央史料館を置きました上におきましては、さらに地方にも分館を設置いたしまして、できるならば、たとえば新潟とか、岐阜、高知、鹿兒島というようなところにも、数縣にこの分館を置きたいというような考えでおりまする。
  19. 原彪

    原委員長 日程第九、新制中学校教育振興に関する請願淺香忠雄紹介文書表第一七九号。
  20. 若林義孝

    若林委員 かわりまして、私から御説明をいたします。  先ほど圓谷委員から御説明になりました新制中学教育費に関するものと大同小異になると思います。ただ具体的に、補足的なことになると思うのでありますが、この請願は、近畿、東海北陸の十一縣の各中学校代表校長たちが寄りましてお願いをするわけでありまして、六・三制の趣旨を達成し、新しい中学校教育を充実振興するために、左の三点について特に御配慮を願いたいということなのであります。  第一は、義務教育であるところの中学校教員定員数は、一学級二名と定められたい。この際各学級生徒数は四十名とするということであります。その理由は、廣汎中学校の教科の目的を達成するためその理由の第二は生徒指導を徹底し、個性の伸暢をはかるためというのであります。  第三のお願いは、校舎を速急に整備されたいということであります。すでに六・三制によりますところの予算が打切られるようなことになつておるのであります。まさに六・三制の中学教育危機であると思うのであります。このお願いによりますと、この費用は三十三年度の一倍半を確保されたいというのであります。その理由といたしましては、第一は学級数自然増加があるため、第二の理由地方財政枯渇補填のため、第三の理由建築資材單價及び工事費の値上りというのであります。  第三の請願趣旨は、現職教員の再教育指導主事教育のため、國庫補助増額お願いしたいというのであります。特に教育関係しておられますところの各教育者たちは、命がけで文教の危機を救わんとしておるのであります。本請願文化國家建設したいという念願で教育を死守しようとするところの心からなる叫びでありまして、先ほど來の御答弁にもありましたが、この強き願いを御審議の上、御採択を願いたいというのであります。
  21. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  22. 日高第四郎

    日高政府委員 新制中学振興のために必要な処置として、義務教育教員の数を、一学級生徒四十人に対して二人の割合にするという御趣旨は、まさに理想的でありまして、そうあつてほしいのでありますが、現在の状況におきましては、主として財源関係から、それができないのははなはだ残念であります。私どもとしては、そういう目的に向つて少しでも近づくように努力して参りたいと思つております。  第二の校舎の設備につきましては、青天井でもよい教育ができるというのは、そういう場合もあるでありましようけれども、原則的には、やはり何とか満足できる教室なしには一般的に教育振興ということは期待できませんので、その点はまつたく同感でありまして、なるべく早い機会最小限度必要教室はぜひともつくりたい所在で、今後とも努力して行きたいと思うのであります。先ほど申し上げましたような状況で、はなはだ申訳なく、また遺憾に存じております。  第三番目の教育長あるいは現職教員講習会等につきましては、わずかではございますけれども、そのための費用を計上いたしておりまして、これが有効適切な再教育のできるように骨折るつもりであります。     ―――――――――――――
  23. 原彪

    原委員長 日程第一〇、青少年教育に対する総合的研究機関設置に関する請願文書表第二一二号、小林運美紹介
  24. 小林運美

    小林(運)委員 本請願は、現下におきまする青少年現状にかんがみまして、青少年一般に関する総合的な科学的研究を行い青少年指導に関する根本的施策を打立てまして、恒久的な施策を促進することは文化國家建設する上に欠くことができないのでありますが、基礎的研究調査がほとんど行われていないことはまことに遺憾な次第でございます。つきましては、すみやかに政府青少年教育に対する総合的研究機関を設置されたいというのが本請願趣旨でございます。よろしく御審議の上御採択あらんことをお願いする次第であります。
  25. 原彪

    原委員長 政府所見を伺います。
  26. 柴沼直

    柴沼政府委員 ただいま御説明になりました請願趣旨は、文部省といたしましてもまつたく御同感に存じておるのでございます。実は文部省といたしましては青少年の教化に関する審議会を委嘱いたしまして、その專門の学者の方にいろいろと御研究を願つておるのでありますが、その結論といたしまして、まさにただいまお話の通り理由で、基礎的な研究をする総合的な研究所をぜひ設置するようにという決議が出まして、文部大臣に答申されておるような状況でございます。文部省といたしましてもこの問題を取上げて、予算化するように努力いたしたのでございますが、ちようどこのような時節で予算額が相当の制限を受けましたのみならず、研究者を増員することも、人員整理等関係上、本年度におきましては認められない状態でございましたので、本年度は残念ながら実現できなかつたのであります。今後もし許されるならば、皆さん方の御協力を得まして、ぜひ一日も早くこの種の研究所を設置して参りたいと考えておる次第であります。     ―――――――――――――
  27. 原彪

    原委員長 日程第一、教育映画巡回映写助成に関する請願文書表第一九号。日程第一一、教育映画助成に関する請願文書表第二一三号。日程第三二、教育映画巡回映写團体暗幕配給請願文書表第三七三号。以上三件を一括して議題に供します。紹介議員説明を求めます。
  28. 森戸辰男

    森戸委員 この請願を出した人は、東京中小学校校長さんからできておる東京文化教育映画協会專務理事日野鶴吉君であります。この請願要旨は、教育映画巡回映写は、中央地方を通じて学童の文化水準の向上に多大の貢献をしておると思われます。しかるに巡回映写晝間映写関係上、暗幕を必要とするのでありますが、現在これを欠くために、十分な効果をあげることができない状態にあるのであります。つきましては巡回映写團体に対しまして、機械一組について六尺に九尺の暗幕を公定價格で配給されたいというのであります。
  29. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  30. 柴沼直

    柴沼政府委員 教育映画巡回映写のために暗幕の必要なことは、私どもも再三お話を受けまして、大いに努力しなければならないと考えておるところでございまして、昭和三十三年におきましては、わずかではございますが、五万ヤールほどのわくがとれたのであります。これを目下実行に移すべく手配をいたしておりまして、現在その暗幕が織られつつある状況であります。但し五万ヤールでは、実はただいま森戸先生からお話の巡回映写團体全部に配給するというのには、非常に足りないのでございますが、このわくは三十四年度も引続き廣げてもらいまして、それによつて請願趣旨を実現させたい、かように考えまして、関係者は目下努力いたしておるところでございます。
  31. 原彪

    原委員長 日程第二一を議題に供します。史蹟燈明寺畷新田塚修理費全額國庫負担請願文書表第二一四号、坪川信三君紹介
  32. 松本七郎

    松本(七)委員 紹介議員にかわりまして、本請願趣旨を申し上げます。  本請願要旨は、福井縣吉田郡西藤島村の史蹟燈明畿畷新田塚は、昭和三十三年六月の北陸震災のため堂宇は全壊し、碑石は倒壊いたしましたが、次いで起りました豪雨のために九頭龍川の堤防が決壊いたしまして、全壊した堂宇は押し流されて埋没いたしました。これが復旧には五十万円を要するのでありますか、新田塚を管理する藤島神社も、震災のために困窮しておりますから、その復旧費の全額國庫負担とされたいというのであります。
  33. 原彪

    原委員長 政府所見を伺います。
  34. 柴沼直

    柴沼政府委員 史蹟燈明寺畷新田塚の破損につきましては、報告を受けておるのでありまするが、実は手配が遅れまして、まだ現地の調査が私どもの方で十分に済んでおりませんので、早急に調査をいたしまして、できるだけ請願の御趣旨に沿うように努力して行きたいと考えております。しばらく御猶予を願いたいと思います。     ―――――――――――――
  35. 原彪

    原委員長 日程第一三を議題に供します。新制大学入学者検定試験制度施打に関する請願文書表第二二〇号、林百郎君紹介
  36. 渡部義通

    ○渡部委員 紹介者がおりませんので、私から御紹介いたします。  この請願要旨は、学問の自由が保障されている現在、あらゆる困難を忍んで苦学する多数の人材に前途の光明を與えるために、新制大学に入学しようとする者で高等学校を卒業しない者に対して、新制大学入学者検定試験制度を施行してほしいというのであります。  今私の意見を加えて申し上げますと、現在いろいろな関係からしまして、高等学校まで順調な過程を経て大学に入る準備をなすことが非常に困難な人が多いようであります。しかしこのような人の中にこそ、むしろ現在の状態から言いますと、いろいろな才能が埋まつておるのであり、人材がゆたかであるのであります。こういう人たちにいろいろな困難の中で自分自身を修養し、修学し、鍛えて、そうして高等学校卒業と同じくらいの学力に達し、識見を持つておる人たちが多数あるのであつて、こういう人がそれ以上の学問をするために大学に入れないというような事情があれば、それは教育が主として財政的な理由から機会の均等を失わしめていることになるのでありまして、こういう希望者が非常に多いばかりでなく、こういう希望者の要望を国家が入れるような制度をつくることこそが、新しい才能を生み出し、新しい日本の科学技術的な才能をゆたかにして行く上に、ぜひとも必要であると考えられるわけであります。従来は專門学校に対する入学者検定試験があつたのが廃止されたことによつて、今まで最小限度にさえ與えられておつた條件が奪われている。この際そのような事情を考えられて、ぜひ独力をもつて苦闘しながら大学をも終えたいという希望者に、教育機会均等の道を開かれることが國家のために必要である、こう考えるわけであります。
  37. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  38. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 通常の家庭におきまする高等学校に進学できない勤労大衆青年のために大学進学の機会を與えますため國家的な検定制度を設けたらどうかという御請願の御趣旨であると思います。ただいま新制大学につきましては、旧制の中等学校を出ました者に対しまして、專検あるいは実検等の合格者に対しまして入学資格を與えるために、二十三年度及び二十四年度におきまして、暫定的に入学資格を與える検定をやる予定でございますが、それは暫定的なものでございまして、根本的な問題といたしましては、そういう大学入学の検定制度あるいは高等学校の卒業程度の検定制度を考えたらどうかという問題でございます。ただいま新制高等学校につきましては、学校教育の面から申しまして、特に実験、実習を伴いまするような制度につきましては、一定の学校教育を必要とするという考え方が相当強うございまして、たとえば通信教育等につきましても、全部通信教育によつては、資格をとり得ないというような状況でございます。こういう意味におきまして、一般の高等学校に行けない者に対しまする検定制度につきましては、相当研究を要する点があるのでございまして、これに対しましては、定時制の高等学校及び通信教育というものと関連いたしまして、一定の教育を加味しながら検定制度というものを考えて行かなければならぬと思いますので、こういつたような恒久的な検定制度につきましては十分考究をいたしておる次第でございまして、ただいまのところ、まだその結論には達しておりませんが、今後とも早急に研究して行きたいと考えております。
  39. 渡部義通

    ○渡部委員 今言われたような定時制の高等学校の件及び通信教育の件は、現在実際問題として両方ともがほとんどだめの状態であることは、政府の方で御存じの通りと思いますがそういう場合に、一般の人たちがこういう希望を非常に多く持つておるということ、よしんば定時制や通信学校が設けられたような場合にも、そういうことをなさるにも実際問題として苦労をしながら、あらゆる面で高等学校卒業の程度に達しておるような人たちが非常に多いという実情にかんがみて、できるだけこういうふうな請願趣旨が貫徹されることを希望しておきたいと思いまする。
  40. 原彪

    原委員長 日程第一四、中尊寺における國宝及び特別保護建造物修理費國庫補助請願淺利三朗君外五名紹介文書表第二三〇号。紹介議員説明を願います。
  41. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 紹介議員にかわりまして本願請の要旨を申し上げます。中尊寺における陸奥守鎮守府將軍藤氏三代平泉経営の遺物、金色堂経蔵及び三千有余点の建築、美術、工藝の文化的價値は世人の認めるところであるが、該寺の保有農地の買収、補助金の停止等のため該寺の経営は困難となり、ことに金色堂経蔵の屋根及びかわらの破損、腐朽がはなはだしい。ついては該寺における國宝及び特別保護建造物の修理費を國庫で補助されたいというのが本請願趣旨でございます。何とぞ御採択を願います。
  42. 原彪

    原委員長 政府所見を伺います。
  43. 柴沼直

    柴沼政府委員 中尊寺はお話の通り非常に重要な建物でございますので、二十三年度におきましては、臨時緊急の措置として雨の漏るのを防ぐような手段をとるように、國庫補助金がごくわずかでありますが、出ております。それからそこに貯藏しております経物類は非常に貴重なものがたくさんあるのでありまして、これもその破損の状況から見まして一日も復興を放つておくことができないと考えておりますので、この点は二十四年度予算がいただけましたら、ただちに修理にかかるように手配をいたしたい、そのために補助金も計上いたしたい、かように考えておる次第でございます。  なお中尊寺については、多分本月下旬ごろ專門の技術者があの地に参りますので、その報告を得まして、その対策を誤らないように研究いたしたいと考える次第でございます。
  44. 原彪

  45. 平川篤雄

    平川篤雄君 本請願は香川縣の高等学校主事会会長である関市太郎君外一名から提出をせられたものでありまして、その要旨を申し上げますと、教育機会均等の原則に立ち、従来勉学に惠まれない勤労大衆のため、新制高等学校内に定時制課程が設けられたが、地方財政の窮乏と、新制中学校施設完成のため定時制高等学校施設費不足しておつて、十分な教育の効果をあげることができないという現状であります。それにつきましてはこの点を大いに考慮せられまして、ただに教官給與に対する國庫補助のみならず、施設の充実面に國庫補助を與えられたい、この実現を昭和二十四年度よりやつてもらいたいというのがこの請願要旨であります。  思いますのに、まことにもつともなことでありまして、ただ香川縣のみならず、全國的に見られる現象であります。何とぞ御採択あらんことを希望する次第であります。
  46. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  47. 剱木亨弘

    ○劔木政府委員 定時制高等学校の進行につきましては、私どもとしても、できるだけこれが進行をはかつて行きたいという念願で、今日まで参つた次第でありますが、御承知のような状況下、二十四年度においては、定時制高等学校経費も、昨年に比しまして教員國庫負担金においても人員の減少を見たような次第でありまして、はなはだ遺憾に存じておる次第でございます。なお設備費についても、できるだけその点の充実をはかりたいと念願いたしておりますが、本年は非常に残念な状況になつておるのでございます。しかしこれも御請願趣旨に沿いまして、今後とも十分な努力をしてみたいと考えております。
  48. 原彪

    原委員長 日程第一六、暦法改正に関する請願文書表第二五五号、紹介議員長野長廣君。
  49. 松本七郎

    松本(七)委員 紹介議員にかわつて請願要旨を申し上げます。  現行暦は新年が一箇月余も早過ぎて季節に合わず、また各月の長さが不均等で、かつ暦日と週日の関係が一定しない等の欠点を持つているが、中正暦はこれらの欠点を改正し、また世界暦との関係も深いものがあるから、現行暦を中正暦に改められたいというのであります。
  50. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  51. 茅誠司

    茅政府委員 中正暦と申しますのは、三つの点があると存じます。第一は一月一日を立春の日にしたいということと、第三は世界暦と大体において一致しておりますが、一月の長さをなるべく平均する、かつ暦日と週日の関係を一定にしたいという点にあると存じます。第二の点について申し上げますと、世界暦については昨年の國会においても議題となりまして、目下関係者において盛んに研究されております。その御趣旨ははなはだけつこうであると私どもつておりますが、何分にも暦と申しますものは世界共通のものでございまして、各國においてこれを採用するというまでには、相当慎重な態度をもつてこれに当らなければならないと存じます。第一の点については一月一日を立春の日に改めるということは、暦の本質という点にはあまり触れておらない点であるかと存じます。しかしこの点も実際生活に即しまして、はたしてどのような関係にあるかという点は、学識経驗者によつて相当強く研究されねばならないかと存じます。
  52. 原彪

    原委員長 日程第一七、習字教育振興に関する請願文書表第三五六号、紹介議員水谷昇君。
  53. 水谷昇

    水谷(昇)委員 請願者は書道教育振興協議会委員長日本藝術院会員の豊道慶中であります。その請願要旨は、新教育制度の実施とともに、小学校で毛筆習字を課することができなくなつたが、毛筆習字は、児童の心身の発達並びに精神修養に役立ち、また東洋文字の書写はやがて藝術への基礎ともなるもので、その價値は多大であるから、土地の状況あるいは父兄、兒童の希望によつては、自由に毛筆習字を課することができるよう、すみやかに現制度改正されたいというのであります。  その理由を申し述べますと、本件はすでに第三國会において、全國各地の要望にこたえまして、その請願採択されておるのでありますが、まだ文部当局は毛筆習字を國語書き方においては課しておらない。よつて院議を尊重してすみやかにこれが実現方に善処されたい。  次の理由は、今ただちに習字を必修科目となし得ないといたしましても、現制度に示す國語科のうちの書き方の下に「硬筆」とあるのを「毛筆及び硬筆」と改めれば、各府縣の教育委員会において、土地の状況、あるいは児童、父兄等の希望によつては、小学校低学年より自由に課することができるようになる。  次に国語教育は、読む、書く、聞く、話す、の四つの能力を伸ばすことが必要であるのは、いまさら申すまでもありませんが、このうち新制度実施以來、小学校においてほとんど毛筆習字を課さなくなつたために、最近三箇年間における児童の書写能力ははなはだしく低下し、日用を弁ずることにさえ困難が生じて來たのであります。わが國の文字はその構成上、書写能力の基礎を養うためには、毛筆による大字の習得が欠くべからざる要件であると思います。  次に東洋文字の書写は、やがて藝術への基礎となるものであるから、毛筆技術は絵画、音楽その他の技術と同様、幼少の時から修練する必要がある。  次に、兒童の心身の発達上及び児童の学習の興味上から考えるに、低学年においては細字よりも大字書写から入るのが、最も有効適切であると思います。  次に、現在のわが國民の日常生活において、実利的といわれている硬筆の使用が大部分の面を占めているとはいえども、毛筆による書写、たとえば手紙だとか、履歴書だとか、あるいは重要保存書類とか、表札、看板等も必要欠くべからざるものであります。特に藝術としての書は、毛筆による筆意の表現が絶対條件である。  次に小学校において低学年より毛筆習字を課してもらいたいということは、静逸和平、高尚優美な氣分を養う上から言うても、またしつけの上から言うても、欠くことのできない教科で、大多数の父兄教師等のすべてが熱望しておるところであります。  ここに以上のような理由に基きまして請願をする次第でありますから、よろしく御採択お願いしたいのであります。
  54. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  55. 日高第四郎

    日高政府委員 ただいま小学校において毛筆による習字は、四年以上の自由研究で行い得ることになつておりまして、低学年における毛筆の使用は課程の中に入つておりません。これについては、いろいろ論議がございまして、意見が必ずしも一致いたしておりません。お話のように漢字を書き、あるいはかなを筆で書くということには、実用以外に藝術的な面もあると思うのでありますし、またそれがしつけの上に、あるいは少し誇張になるかと思いますが、精神教育の上に貢献のあるという事実は、これを認めないわけに行かないのでありますけれども、何分にも現在の学科課程においては、各学校及び父兄の自由選択の余地をできるだけ廣くいたそうという方針から、必修科目は最小限度にとどめて自由選択の余地を大きく残して、そのうちに、毛筆の使用もできるようになつておるわけであります。ただいまお話のありましたように、小学校國語教育の中の書き方の中で硬筆のほかに毛筆というのを入れたらどうかというようなお話につきましては、十分考慮もいたす余地があると思うのでありまして、その点はなおよく研究いたしまして、責任者との話合いの上で御趣旨に沿い得る点は沿えるように努力いたしたいと思います。     ―――――――――――――
  56. 原彪

    原委員長 日程第一九、二〇、二四、教育予算増額請願文書表第二六七号、二六九号、二九九号は、同一議案でありますから、一括して議題に供します。受田新吉君の御説明を求めまする。
  57. 受田新吉

    ○受田委員 教育予算に関する請願は、三件ございますが、趣旨が同様でありますので、一括してその要望を申し上げます。  政府昭和二十四年度予算編成にあたりまして、厖大な予算計上をしておるのでありますが、その中に國家財源の基礎となる教育関係予算は、公共事業費の中に繰り込まれ、しかもその額はきわめて少額に削減されて來ておるのであります。しかし特に本年は、新学制実施の完結年度でありまして、こういう重大なときにあたり、政府教育文化政策の貧困に対し、われわれは再三再四要望書を提出して、われわれの意見を具申したのでありますが、今次國会の予算審議に関して、特に左の点を取上げられ、十分な御審議を得たく請願する次第であります。  第一点は、教育予算を大幅に増額せられたい。小さな項目の一として、特に新制中学建築費の増額、二、教員定数の増加、三、大学教育を充実させること、四、私学振興のための予算増額すること。  第二点として、教育関係法案の審議には、勤労大衆並びに教育第一線に従事する者の意見も十分徴せられたいという趣旨であります。  以上の要点に関して政府がすみやかにその予算措置を講ぜられることを熱望して、ここに請願をする次第であります。
  58. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  59. 日高第四郎

    日高政府委員 今の御請願の第一点は、まつたくおつしやる通りでありまして、願つてもない御鞭撻だというふうに考えております。私どももあらゆる力をしぼつて趣旨に沿いたいと思うのでありますが、無力にして、御趣旨から非常に遠ざかつているということは、まことに申訳ない次第であります。第二点につきましても、できるだけ現在の実情に應じて各方面の意見を盛りまして、公平妥当な案をつくつて國会におはかりしたいと考えております。     ―――――――――――――
  60. 原彪

    原委員長 日程第二一、私学助成に関する請願文書表第二八七号、圓谷光衞紹介紹介議員説明を求めます。
  61. 水谷昇

    水谷(昇)委員 この請願は全國私立大学高專学生自治会連盟が全國加盟校四十数校の総意を代表して請願しているのであります。  その要旨を申し上げますと、戦後における教育は將來日本の民主正義文化國家建設のための基礎として、眞の学問眞理探究を行うべく再発足をいたしましたが敗戦日本社会の荒波は、インフレーシヨンの高進とともに学園にも当然襲い來り、ことに私学経営の窮迫は、薄給に悩む教授より研究の時間を奪うとともに、授業料の数回にわたる値上げを誘発し、学生生活は窮境に陥り向学の志に燃ゆる学徒の切なる望みも随所に破壊せられております。そこで次の三項目の実現を希望するものであります。  一、教育財團に対する寄付金の免税  一、教育復興金融公社促進  一、私学経営上貸付の確立 どうぞよろしく御採択のほどをお願いいたします。
  62. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  63. 日高第四郎

    日高政府委員 非常に多数の私学に関係の学生諸君からの御請願は、私どももまつたく同感でありまして、現在における私学がいかに経営費に困難をしておるかは、私どもも十分承知いたしておりますので、教育財團に対する寄付金の免除のことにつきましても、努力をいたしておりまして、望みがないわけではないのでありますが、今回の國会にお諮りするまでに、関係部内の意見が一致しておりませんことは、はなはだ残念でございます。これは決して手をゆるめずに、寄付金の懇請等の処置につきましては、ぜひとも実現をはかりたいというふうに考えております。それから教育復興のための金庫の措置というようなことにつきましても、これは民自党の政策の中にも掲げられておりますし、それらについても御計画のあることを聞いております。文部省ももちろんこの趣旨には賛同いたしておりますので、できるだけ早い機会にこれらの措置が具体化するように骨折りたいと考えております。私学に対する経営費の補助につきましても、昨年度までは事実いたしておつたのでございますが、今年度いろいろの関係でこれが続けられなくなりましたことは、日本実情を知つております私どもから考えますと実に遺憾なことの一つでありまして、これも十分理由を整えまして、何らかの形でもつて復活をいたし、そうして私学の健全な発達のために役立つような財政的処置もいたしたいというふうに考えております。     ―――――――――――――
  64. 原彪

    原委員長 日程第二三、新日本精神教育実施に関する請願文書表第二九三号、内海安吉君紹介紹介議員説明を求めます。
  65. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員 本請願要旨は、わが國が平和民主國家として立つためには、國民の精神的教養の充実完成が何より必要である。しかるに現在精神教育が軽視されている結果、國民の道義心は低下し、思想は混乱して、憂慮すべき事態にある。ついては、眞の平和文化日本をつくり上げるために、新日本精神を確立して全國に普及徹底せしめ、各地に國民精神教育機関を設け、その委員には宗教的信念の強い人格者を選任する等の新日本精神教育を実施されたい、こういう趣旨請願でございます。私どもも現下の実情にかんがみまして、きわめて同感の点が多いのでありまするが、何とぞ御採択くださいますようお願いいたします。
  66. 原彪

    原委員長 政府所見を求めます。
  67. 日高第四郎

    日高政府委員 お話のように、従来の日本教育方針というものに非常な過誤がありまして、今回の戦争の原因の中にも、そういう面は確かにあると思うのであります。そういう意味において、日本教育が過去の教育のように、國民をただ國民としてだけ考える。人としてあるいは人格として考える面が、むしろ背景にしりぞいておりまして、すべて日本國民というような立場からのみ教育が考えられる。またそういう意味においての一種の心理的の組織というものができておりまして、それをやつて來たことの弊害を、私どもは反省しなければならないのでございます。こういう点から、御承知のように教育基本法というようなものまでも制定いたしまして、新しい憲法の根本精神を一貫した方針で、現に日本の青年たちの教育をいたしておるわけであります。その中には申すまでもなく民主主義教育というものがその根本にあるわけでありますが、その民主主義教育というものの背景には新しい意味におけるヒユーマニズムがなければならないというふうに考えておるのでありまして、これらのことが日本の國民一般父兄や教師諸君に対しても一つの信念に形成されるまでには、多少の時日を要するものでありまして、これを今急にその感情的宣傳機関のごときもの、あるいは指示機関のごときものをつくつて日本精神教育のよりどころにするということには、便宜な点もあるかもしれませんけれども、裏にはまた恐るべき弊害も起るのでありまして、こういう点では單に政府あるいは文部省等がいわゆる音頭をとつて指揮をするというような点については、十分反省をして愼まなければならないのではないかと考えておる次第であります。また特別な組織をつくるということについても、いろいろ弊害もありますし、困難もあるのでありまして、こういう点は日本國民全体が、親たちも教師たちも、眞の民主主義がどういうところにあるか、またその裏にあるヒユーマニズムというものがどういう基礎を持たなければならないかということを、むしろおとなから学んで、それを実践することによつて、初めて青少年教育というものに効果をあげることができるのではないか。こういう点から考えますと、青少年教育よりも、まずおとなの教育が必要であるし、おとなの教育はわれわれが教科書をつくつてできるようなものではないのでありまして、これは國民全体の課題として、健全な日本國民として独立の國民であつて、しかも世界のどこへ行つても尊敬もされ、愛されもし、また信用もされるような、そういう世界的な廣い見識のある日本人となることをお互いに心がける以外に道はないと思うのであります。御趣旨の点、私どもも現在の青少年がよりどころに迷つておるという点において、はなはだ残念なところはたくさんあるのでありますが、これは各自の自己教養というようなことを通して、青少年の指導に誤りなきを期する以外に道はないのではないかというふうに考えておるのであります。
  68. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員 一應了承いたしましたが、請願書の趣旨の中に、特に國民精神教育機関を設け、その委員には宗教的信念の強い人格者を選任するような方法、こう言つてあるのでありますが、ただ放つておいて自発的にまつというようなことでなしに、文部当局としては何かそこに方法がありはしないか。つまり宗教的信念のしつかりした人を指導的立場に採用するといつたような、ことに教員の方でもそうだと思うのですが、そういつた点についてもう一度御親切な御説明を承つておきたいと思います。
  69. 日高第四郎

    日高政府委員 今のお話には私ども尊重すべき点があると思うのでありますが、一体宗教的精神と申しましても、現実の生きた歴史的宗教的精神というものは、私どもとしてはほんとうに力強い精神としては理解できないのであります。御承知のように宗教教育に関しましては、教育基本法のうちに定められておりまして学校教育の中で積極的に宗教教育をするという点につきましては、いろいろ制限がありまして、文部省としてそういう企てをすることは相当微妙な点で支障があるかと思うのであります。申すまでもなく、宗教を信ずる自由があるのと同時に、宗教を信じない自由も憲法においては保障されておるのでありまして、これはむしろ宗教家自身の問題として取上げていただく以外に道はないのではないか、文部省としてはそういうふうに考えております。
  70. 原彪

    原委員長 日程第三四、著作権法改正に関する請願水谷昇君外一名紹介文書表第四〇五号動議題に供します。
  71. 水谷昇

    水谷(昇)委員 この請願日本蓄音機レコード協会長武藤與市君であります。紹介議員として私からその請願要旨を御説明いたしたいと思います。  本請願要旨は、現行著作権法は制定以来数次の部分的改正を見たが、これを諸外囲の法制に比較してみると、條文配列の不整、用語の難解、重要規定の欠除等はなはだしいものがある。ついては特に音楽及び転出昔機レコードに関する規定の整備改正を要望するというのであります。  本請願書では八項目にわたつておりますが、ここではそのうち特に重要な項目だけを御説明申し上げます。  その要点は第二十二條の六でございます。「文藝、学術又は美術(苦薬を含む)ノ範囲二属スル著作物ノ著作権ハ其ノ著作物ヲ者ヲ機械的二複製スルノ用二供スル機器二写調シ及其ノ機器二依リ興行スルノ権利ヲ包含ス」右の條文の「昔ヲ機械的二複製スルノ用工供スル機器二写調シ」とあるこの意味は、蓄音機レコートの吹込みのごとでありますが、本文の法律用語は不適当、不明瞭でありますから、本條を次のように改正していただきたい。「著作者ハ其ノ著作物ヲ蓄音機レコード又ハ其ノ他ノ方法二依リコレヲ録音シ及ビ其ノ録音物ヲ興行スルノ一権利ヲ有ス」第二十二條の七でありますが、「脅ヲ機械的二複製スルノ用二供スル機器二他人ノ著作物ヲ適法二写調シタル者ハ著作者ト看做シ其ノ機器二付テノ、著作権ヲ有ス」この本條も前條と同様用語が適当でありません。内容にも不明瞭な点がありますので、次の通り改正していただきたい。「他人ノ著作物ヲ録音シ蓄音機レコード又ハ其ノ他ノ方法ニ依リ録音物ヲ製作シタル者ハ、著作者ト看做シ本法ノ保護ヲ享有ス但シ原著作者ノ権利ハ之が為ニ妨ゲラレルコトナシ」本條には明確に蓄音機レコード類に著作権のあることを認めておるのでありますが、第三十條の入にはこういうふうに書かれてある。「昔ヲ機械的ニ複製スルノ用ニ供スル機器ニ著作物ノ適法二写調七ラレタルモノヲ興行又ハ放送ノ用ニ供スルコト」は「偽作ト看做サス」となつて、自由に興行または放送することが許されておるのであります。これは明らかに三つの場合。著作権を認めた二十二條の六及び三十二條七の規定に矛盾するものでありまして、かような不合理な本條を削除していただきたい。なお強制放送の制度がありまするために、これを削除いたしましても、支障が起らぬことを附言しておきます。  次に第三十條の九「專ラ官廳ノ用ニ供スル為複製スルコト」これも偽作とみなさずとなつておますが、甘露のためであつても、無制限に自由利用を認めることは、一種の私権の剥奪と考えられますから、本條も削除していただきたいというのであります。  要するに著作権を尊重をしていただ占ますことは、膏薬あるいは蓄音機のレコードのりつぱなものを生ませるというようなことになるのでありまして、この趣旨からこの請願をするのであります。よろしく御採択のほどをお願いいたします。
  72. 原彪

    原委員長 政府所見を伺います。
  73. 柴沼直

    柴沼政府委員 現行著作権法に関しましては、ただいま御指摘の通り、たとえば條文が不整備でありますとか、用語が不適当であるとかいうような欠陥もございますし、また内容的に見ましても、ただいま御論議の通りいろいろ前後矛盾するような條文もありまして、相当研究を要するものと考えております。二十二條の六及び七と、三十條の八号、九号との関係のごときは、お示しの通りその顕著な実例であります。文部省といたしましても相当研究いたしまして、実はこれらの点について若干の試案を持つておるのでありまするが、なおその完璧を期するために、今後この方面のことにつきましての專門家の方々にお集まり願いまして、内容を十分検討した上で、適当な案を見出しまして、議会にお諮りいたしたいと考えている次第でございます。
  74. 原彪

    原委員長 それでは、この程度で散会したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 松本七郎

    松本(七)委員 請願紹介はこの程度でとどめておくことに賛成でありますが、先般用紙割当委員会の政党機関紙の用紙割当問題のときに、安本その他商工省等の関係者を呼んで説明を聞くようにということをお願いしておきましたし、その後私立学校法の問題、あるいは小学校の教科書の問題等、いろいろ急を要する問題か出て來ておりますから、至急に理事会を開いて、定例日以外でも臨時に委員会を開いていただくように、委員長にとりはからつていただたいと思います。
  76. 原彪

    原委員長 一應理事会に諮りまして、さようにいたしたいと思います。  本日はこの程度で散会いたします。     午後五時三十三分散会