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1949-04-19 第5回国会 衆議院 文部委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月十九日(火曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 原  彪君    理事 伊藤 郷一君 理事 佐藤 重遠君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 松本 七郎君 理事 今野 武雄君    理事 長野 長廣君       岡延右エ門君    甲木  保君       川端 佳夫君    若林 義孝君       受田 新吉君    森戸 辰男君       小林 運美君    渡部 義通君  出席政府委員         文部政務次官  柏原 義則君         文部事務官         (学校教育局         長)      日高第四郎君         文部事務官         (社会教育局         長)      柴沼  直君         文部事務官         (体育局長)  東  俊郎君  委員外出席者         議     員 篠田 弘作君         議     員 永田  節君         專  門  員 武藤 智雄君        專  門  員 横田重左衞門君 四月十二日  委員中野武雄辞任につき、その補欠として土  倉宗明君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員平澤長吉辞任につき、その補欠として黒  澤富次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大瀬久市君死去につき、その補欠として田  中啓一君が議長指名委員に選任された。 四月十九日  委員北村徳太郎辞任につき、その補欠として  小林運美君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十三日  私学助成に関する請願圓谷光衞紹介)(第  二八七号)  新制中学校建設費助成に関する請願(瀬戸山三  男君外四名紹介)(第二八八号)  新日本精神教育実施に関する請願内海安吉君  紹介)(第二九三号)  上田繊維專門学校昇格請願外一件(降旗徳弥  君外三名紹介)(第二九八号)  教育予算増額等に関する請願外一件(三宅正一  君外十四名紹介)(第二九九号)  新制中学校建設費助成に関する請願中崎敏君  紹介)(第三二九号)  同(岡田春夫紹介)(第三三〇号)  同(世耕弘一紹介)(第三三一号) 同月十六日  福岡市に國立博物館設置請願松本七郎君外  八名紹介)(第三六八号)  無縁故引揚兒童教育施設費全額國庫負担請願  (山崎岩男紹介)(第三六九号)  宮城学藝大学設立請願庄司一郎紹介)(  第三七〇号)  新制高等学校國語教育に関する請願伊藤郷  一君外一名紹介)(第三七一号)  教育映画巡回映写團体暗幕配給請願(森  戸辰男紹介)(第三七三号)  新制中学校建設費助成に関する請願鈴木善幸  君紹介)(第三七八号)  著作権法改正に関する請願水谷昇君外一名紹  介)(第四〇五号)  高田忠周畫石文保護に関する請願井出一太郎  君紹介)(第四一一号)  藝術大学邦楽科設置請願水谷昇君外一名  紹介)(第四一二号)  國民道徳高揚に関する請願河原伊三郎君紹  介)(第四一七号)  新制中学校建設費助成に関する請願前田正男  君紹介)(第四二三号)  六・三制完全実施のため予算確保に関する請願  (上林山榮吉君紹介)(第四二四号)  國際オリンピック馬術競技参加準備助成に関す  る請願篠田弘作君外九十二名紹介)(第四四  二号) の審査を本委員会に付託された。 同月十四日  戰災小学校復旧に対する起債及び國庫補助増額  の陳情書(第一  六七号)  仙台工業專門学校工業大学昇格促進陳情  書(第一九〇  号)  六・三制校舎建築予算に関する陳情書  (第二〇五号)  教育予算増額陳情書  (第二一一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件   請願  一 教育映画巡回映写助成に関する請願(石    田一松君紹介)(第一九号)  二 六・三制実施のため校舎建築費國庫補助増    額の請願圖司安正紹介)(第五四号)  三 鹿兒島農林專門学校所属演習林地拂下の請    願(前田郁紹介)(第七九号)  四 義務教育費地方負担緩和に関する請願(    川野芳滿君外四名紹介)(第八七号)  五 新制中学校建設費助成に関する請願(周東    英雄君外一名紹介)(第一〇六号)  六 新制中学校建設費予算確保請願圓谷光    衛君紹介)(第一二八号)  七 成人の日の文化対策に関する請願小川半    次君紹介)(第一三一号)  八 新制中学校建設費助成に関する請願(佐藤    榮作君紹介)(第一三二号)  九 新制中学校建設費助成に関する請願(河口    陽一君紹介)(第一六三号) 一〇 史料館設置に関する請願森戸辰男君外    六名紹介)(第一七三号) 一一 新制中学校教育振興に関する請願(淺香    忠雄君紹介)(第一七九号) 一二 青少年教育に対する総合的研究機関設置に    関する請願小林運美紹介)(第二一二    号) 一三 教育映画助成に関する請願小林運美君紹    介)(第二一三号) 一四 史蹟燈明寺畷新田塚修理費全額國庫負担の    請願坪川信三紹介)(第二一四号) 一五 新制大学入学者檢定試驗制度施行に関する    請願(林百郎君紹介)(第二二〇号) 一六 中尊寺における國宝及び特別保護建造物修    理費國庫補助請願淺利三朗君外五名紹    介)(第二三〇号) 一七 定時制高等学校施設費國庫補助増額請願    (平川篤雄紹介)(第二五二号) 一八 暦法改正に関する請願長野長廣君外三名    紹介)(第二五五号) 一九 習字教育振興に関する請願水谷昇君紹    介)    (第二五六号) 二〇 六・三制完全実施のため全額國庫負担並び    に教育予算増額請願庄司一郎紹介)    (第二五七号) 二一 新制中学校建設費助成に関する請願(村上    勇君紹介)(第二五八号) 二二 教育予算増額に関する請願圓谷光衞君紹    介)(第二六七号) 二三 同外十五件(高木章紹介)(二六九号) 二四 國宝富貴寺大堂修理費國庫補助増額請願    (永田節紹介)(第二七〇号) 二五 私学助成に関する請願圓谷光衞紹介)    (第二八七号) 二六 新潟中学校建設費助成に関する請願(瀬戸    山三男君外四名紹介)(第二八八号) 二七 新日本精神教育実施に関する請願内海安    吉君紹介)(第二九三号) 二八 上田繊維專門学校昇格請願外一件(降旗    徳弥君外三名紹介)(第二九八号) 二九 教育予算増額等に関する請願外一件(三宅    正一君外十四名紹介)(第二九九号) 三〇 新制中学校建設費助成に関する請願(中崎    敏君紹介)(第三二九号) 三一 同(岡田春夫紹介)(第三三〇号) 三二 同(世耕弘一紹介)(第三三一号) 三三 福岡市に國立博物館分館設置請願(松本    七郎君外八名紹介)(第三六八号) 三四 無縁故引揚兒童教育施設費全額國庫負担の    請願山崎岩男紹介)(第三六九号) 三五 宮城学藝大学設立請願庄司一郎君紹    介)(第三七〇号) 三六 新制高等学校國語教育に関する請願(伊    藤郷一君外一名紹介)(第三七一号) 三七 教育映画巡回映写團体暗幕配給請願    (森戸辰男紹介)(第三七三号) 三八 新制中学校建設費助成に関する請願(鈴木    善幸君紹介)(第三七八号) 三九 著作権法改正に関する請願水谷昇君外一    名紹介)(第四〇五号) 四〇 高田忠周畫石文保護に関する請願井出一    太郎君紹介)(第四一一号) 四一 藝術大学邦樂科設置請願水谷昇君外    一名紹介)(第四一二号) 四二 國民道義高揚に関する請願河原伊三郎君    紹介)(第四一七号) 四三 新制中学校建設費助成に関する請願(前田    正男君紹介)(第四二三号) 四四 六・三制完全実施のため予算確保に関する    請願(上林山榮吉君紹介)(第四二四号) 四五 國際オリンピック馬術競技参加準備助成に    関する請願篠田弘作君外九十二名紹介)    (第四四二号)   陳情書  一 開拓地小学校設置陳情書    (第二三号)  二 宗教法人令の改正に関する陳情書    (第    二五号)  三 新制中学校施設整備に関する陳情書外一件    (第    五八号)  四 風連村開拓地小学校設置陳情書    (第六八    号)  五 私学助成に関する陳情書    (第七    六号)  六 六・三制校舎建築予算に関する陳情書    (第一一二号)  七 中学校教員の定数に関する陳情書    (第一一八号)  八 六・三制に伴う地方財源確保陳情書    (第一三七号)  九 戰災小学校復旧に対する起債及び國庫補助    増額陳情書    (第一六七号) 一〇 仙台工業專門学校工業大学昇格促進の    陳情書(第    一九〇号) 一一 六・三制校舎建築予算に関する陳情書    (第二〇五    号) 一二 教育予算増額陳情書    (第二一一号)     ―――――――――――――
  2. 原彪

    原委員長 これより会議を開きます。  本日は本委員会に付託せられました請願並びに陳情書審査に入ります。  日程第四五、國際オリンピック馬術競技参加準備助成に関する請願文書表第四四二号。紹介議員篠田弘作君。
  3. 篠田弘作

    篠田弘作君 國際オリンピック馬術競技参加準備助成に関する請願につきまして、請願趣旨を御説明いたしたいと思います。  日本敗戦國として、また平和國家として立ち直らなければならないときにおきましての、國際オリンピックの持つ意義というものは、いまさら私が申しあげるまでもないと思うのでありますけれども、先般新聞でも御存じ通り永井委員長が今度アメリカ経由でもつて渡欧されることになりまして、一九五二年のヘルシンキにおいて行われる國際オリンピックには日本参加が必至となつたわけであります。いろいろの種目がたくさんありまして、本来日本のような立場におきましては、國際オリンピックは個人の費用というようなものにおいてやるよりも、國家的な事業でありますから、將来は國際オリンピックに対する國家費用安弁というものはもつと考えられなければならないと思うのでありますけれども、とりあえず現在におきましては、各種目は学生のスポーツあるいは團体スポーツというものによつて行われております。費用の点も各学校運動部であるとか、その他各府縣における体育会といつたようなものの安弁によつて行われておるのでありますけれども、馬術に関する限りは各國とも主として軍馬を使つておるのであります。もちろん日本におきましても、一頭や二頭は軍馬を使わなかつた場合もありますけれども、ほとんど軍馬軍人によつて過去の國際オリンピック馬術競技というものは行われておるのであります。ところが敗戦の結果、軍というものがなくなりまして、從つて軍馬軍人もなくなりました。そこで國際オリンピック馬術競技に対しては、特にその馬を教調しなければならない、人と馬とが特別に必要になつて来たわけであります。今日のような状態におきましては、この馬の教調費用というものが非常にかかると思います。大体五頭の馬を出すとすれば、三十頭ぐらいの馬を教調いたしまして、その中から最も優秀なものを五頭選ぶということになるのであります。これに要するところの費用は、おそらく年数千万円はかかると思われるのであります。これに対しまして、競馬國営にならない前には、レース・クラブというものがありまして、この費用寄附しておつたのであります。ところが競馬國営になり、かつまた地方廳の経営になりました今日におきまして、この馬術競技に対する寄附というものが全然なくなりました。ほんとうの同好の士によつて、これが行われるということになつて来たのであります。從つて飼葉不足、あるいはまた費用不足から、優秀な馬や優秀な人物がおりながら、十分なる教調ができないというような現状であります。これに対しまして國家といたしましては、平和國家の持つオリンピックに対する重大なる意義をお認めくださいまして、特に馬術競技に関しては一年五百万円くらいの——もちろんそんなものはほんのわずかでありますけれども、しかし士氣を鼓舞し、かつ費用の一端とするために、これから一九五二年までの三箇年間、年額五百万円くらいの補助をぜひお願いしたい、こういうふうに思うのであります。馬は御承知の通り大体オリンピックに出すまでに六年くらいの教調期間を要するのでありますが、今回の一九五二年までには三年間しかないのでありまして、特に馬力をかけなければならないような状態であります。どうかそういう意味合いにおきまして委員各位におかれましてもこの点十分お考えを願い、全幅的な御賛成をお願いいたしたいと思うのであります。あまりくどくどしく申し上げましてもしかたありません。要は國際オリンピック馬術競技に対して年額五百万円くらいの補助を一九五二年までしていただきたいということであります。  それからもう一つつけ加えますが、費用の問題になりますと、これに大藏委員会にされることになると思うのであります。この際はもし費用の問題がここでぐあいが悪いというようなことになりますれば、金額は明示いたしませんが、國際オリンピック馬術競技に対して、國家として奨励の方法を講じてもらいたいというようなことでもけつこうだと思うのであります。一應この委員を通過しましたならば、今度は金額の方でまたお願して行つてもいいと思います。それは委員各位の御審議におまかせしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 原彪

    原委員長 ただいまの請願に対して、政府側説明を求めます。
  5. 東俊郎

    ○東(俊)政府委員 文部省としての考えを申し上げます。  國家オリンピックにわれわれが参加いたすということは、競技そのものを通しての明るい面を青年に與えるということ、その他國際親善の面からいつて、非常に大切なことと思つております。現に先日永井氏がローマに参られまして二十二日からの会議で、今度のヘルシンキ大会にはたして日本参加できるかいなかということが確定するものと思います。從つて確定いたしましたあかつきには、政府といたしましても十分このオリンピック派遣については努力しなければならぬ。その準備といたしまして、すでに昨年末からオリンピック派遣母体となますNOCを改組いたしまして、最近はつきりとしたそのNOC改組案が成り立つたわけでありまして、今後この改組案母体になりまして、オリンピック参加運動が進められて行き、われわれはそれを應援してどこまでも実現を期したいと思つております。  ことに馬の問題は先ほど御説明もございました通り、われわれも非常に長年月の訓練を要するということは承知いたしております。國際馬術協会がこの面に対して全面的な努力をしておることは、われわれも感謝しておる次第でございます。これにつきましての補助の問題でございますけれども、これは個々の競技団体あるいはそういう団体國家補助するということについては、いろいろ問題もあることと存じます。馬術のみならず、一般の競技団体全体に対して、今後オリンピック派遣するためにいかなる方法をもつてこれを國が援助すべきかということについては、十分考慮を拂わなければならぬということを痛感いたしておる次第でございまして、この問題につきましては、最近NOCとも十分懇談いたしまして、何らかの方途をはつきりいたしたいと思つております。永井松三氏がお帰りになりましたら、一九五二年の問題もはつきりいたしますので、これを機会にわれわれといたしましても、具体的な措置を講じたいと思つております。ことに馬の方の問題になりますと、これはわれわれ体育局だけの問題ではなくして、農林省の方が、馬事会等後援とかいろいろなことをやつておられ、馬事会が馬の方の後援をしておられたように承つておりますので、いずれこの問題は農林省とも協議しなければならぬ問題だと思います。農林省並びNOCと十分協議いたしまして、われわれといたしまして万全の方法を講じたいと存じております。
  6. 篠田弘作

    篠田弘作君 文部当局としては、今御表明になりました程度以上の説明はちよつとむずかしいかと思うのでありますけれども、今申しました通り、馬は各國とも軍馬によつてつておりまして、ほかのオリンピック種目とは性質が非常に違のであります。そういう意味合いにおきまして次官も見えておることでありますから、積極的にぜひ対策を講じていただきたいということを希望いたしまして私の説明はこれで終わります。     —————————————
  7. 原彪

  8. 永田節

    永田節君 本請願趣旨を簡單に御説明申し上げまして、幸いに各委員の御協力、御批判に訴えたい、かように考えるものであります。  わが國の文化が非常に各國に比してすぐれておるということは、すでに今日ここに申し述べろ必要はない。特に終戦を契機といたしまして、ちまたに氾濫いたしましたあらゆる藝術品には、かつてわれわれの目にしたことのないようなものが出ております。あらためてわれわれはそれを見るにつけまして、隠れたるわが國の文化というものを再認識したような状態であります。私がここに御紹介申し上げまするものは、大分縣にありまするところの國宝富貴寺大堂であります。これはすでに皆さん御存じでもございましようが、藤原時代建造にかかりまして、宇治の鳳凰堂、陸中の金色堂と並び称せられ、日本における三つの一番古い建物の一つであるというふうに言われておるのであります。この古い建物の一角が戰災にあいまして、爆風のために破壊せられた。これに対して地元の村民が、この尊い國宝を何とかして旧に復したいものであるというので努力いたしまして、当時わずかに七万二千円程度予算を組んで修理に当つたのでありますが、修理よりも物價が先に上るというふうなことで、遂にちぐはぐになりました結果、特に本委員会請願に及んだようなわけであります。  この請願の書類にもありまする通り、ここにどうしても二百九十万円というものを最低國庫から補助していただたかなければならない。五百万円の中でざつと百二十万円は何とかして地元でつくる。一部地元から出しておるものもあれば、縣から出しておるものもあります。この中で地元の八十万円の寄附というものが見積つてありますが、これもこのたびのドツジ・ラインによつて、はたしてこれが可能であるかどうかは疑問であります。しかしわれわれも何とかしてこれに努力して所期の目的を達したい、かように考えておりますが、一應の計画といたしまして、予算は五百万円で、地元で二百十万円をつくり、残りの二百九十万円は、消火の設備等を含めてぜひとも本院の委員会において御善処を希望したい、かように考えるのであります。從來の國庫補助の出し方から行きますと、ちびちび出されるために、ややもすれば証文の出し遅れというような感じがありまして、特にかつては法隆寺の金堂が不明の原因によりまして、その一部が消却したというふうな事実にかんがみましても、早急にこの富貴寺大堂の改修並びに防火設備を完成したい。そして文化的な尊い藝術品保存して行きたい、かように考えておるのであります。幸いに賢明なる本委員会におきまして、ぜひとも御採択を希望する次第であります。
  9. 原彪

    原委員長 ただいまの請願に対し、政府説明を求めます。
  10. 柴沼直

    柴沼政府委員 富貴寺の改築につきましては、ただいまお話のありました通り、われわれの方でも非常に重要な建物として、特にこれらの保存に関心を持つている次第であります。幸いに、これも御説明がありました通り地元が非常に熱心に協力してくださいますので、これの復旧の工事も、昨年に引続きまして二十四年度におきましても継続実施いたしまして、大体破損したものはこの二十四年度中に完成する見込みでおります。ただ御指摘のありました防火施設その他の点につきましては、現在の予算の中にはほとんど見込まれておりませんので、でき得れぼ最近の機会にそういう方面の経費もぜひ計上していただいて、防火、防災に遺憾のないようにいたしたいと考えている次第であります。從いまして富貴寺の破損の一應の修理は本年度中に完成いたしまして、防火その他のことは、今の手順から申しますと、大体來年度に着手することに相なるのではないかという予想をしている次第であります。
  11. 永田節

    永田節君 ただいまの文部当局の御説明に大いに満足の意を表します。申し上げるまでもございませんが、すでにわが國は武装を放棄いたしまして、今日國威の宣揚をはかるためには、どうしても文化の興隆以外にはありません。從いましてこの文化的藝術品保存の点につきましては、当局の十二分なる理解にもちまして、すみやかなる善処を重ねて要望いたします。     —————————————
  12. 原彪

    原委員長 それでは次に日程二八、上田繊維専門学校昇格請願一件、文書表第二九八号。紹介議員降旗徳弥君。
  13. 小林運美

    小林(運)委員 降旗君が見えませんが、私も紹介議員の一人といたしまして、この点を申し上げたいと思うのであります。  本請願は、すでに前國会におきまして文部委員会で御採択になりまして、衆議院はもちろん、参議院におきましてもこの問題は採択になつておるのでありますが、文部省においてこの問題がまだ遅れておりまして、実施になつておりません。聞くところによりますと、文部省当局おきましてもこの学校理科大学昇格につきまして、いろいろ考えられておるようでございますが、われわれは日本教育行政に対しまして、文部省当局のやつておられる点につきまして、いささか意見を異にしておるところがあります。これに文部当局にわれわれしばしば参りましてお話を申し上げてある次第でありますが、この上田にあります繊維専門学校理科大学に昇格する件につきましては、われわれは日本現状からいたしまして、日本教育制度日本現状に即してやつて行かなければならぬということを強調したいのであります。現在われわれが外國から相当の援助を受けておりますが、援助と申しましても、食糧にいたしましてもその他の重要物資にいたしましても、ただもらつて來るのではありません。結局われわれは何かの形において、現在でありますかあるいは将來でございますか、とにかく人からもらつたものに対しては賠償して返すことが当然であります。繊維産業というものは、今の日本國家においては、非常に重要な産業でありまして、現在輸出産業といたしまして輸出貿易の三割五分以上を占めております。しかも繊維産業のうちの生糸絹織物産業は、純国産品でございます。棉織物とかあるいは羊毛織物というようなものは原料を外國から輸入して参りますが、蚕糸業生糸絹織物その他のものは全部日本の内地から生産されるものであります。從つてこの輸出貿易の三割何分というものは純収入になるのでありまして、現在昭和二十四年度におきましても百八十万トンの食糧外國から輸入することを予定されておりますが、これらの裏づけとなるものは、この蚕糸業をおいてほかにはないのであります。かような重要なる産業を推進するために、文部行政、すなわち教育行政の面においても、現在日本に課せられた重要な使命を十分考えてやつて行かなければならぬと思うのであります。文部当局におきましては、今回の学制改革によりまして國立大学を一府縣に一つつくるというような方針があるようでございます。これも方針としてはけつこうでございます。これは原則論でありましようが、いろいろ地方の事情その他によりまして、例外が認められてしかるべきと思うのであります。すでに文部省におきましては、これらの例外を東京、京都あるいは大阪、北海道、九州その他の府縣に相当認めまして、一府縣一総合大学というものは必ずしも行われておらぬのであります。長野縣は御存じのように、蚕糸業の重要なる生産地でございます。各種の繊維産業が非常に発展をいたしておりまして、しかもこれは歴史上からも、この学校が創立されました当時から、政府におきましても非常な努力をされまして、現在上田繊維専門学校の設備は非常に充実いたし、学校の内容におきましても、教授陣営におきましても、その他の條件は新制の大学として十分な設備その他を具備しておるのであります。先般文部省に設置されております大学設置委員会の諸君も学校に参りまして十分調査をいたしまして、りつぱな学校である、大学として遜色ないという折紙をつけている事情もあるのでありますが、どういうわけでありますか文部省当局におきましては、この一府縣一総合大学ということだけにこだわりまして、この大学の單科昇格に対してはつきりした考えがまとまつておらないようであります。すでにさきの國会におきまして、この昇格の問題は委員会で満場一致をもちまして採択に決し、本会議におきましてもこれらはそれぞれ採択されております。参議院におきましても同様でございます。この際、かかる請願をわれわれ議員が大勢ここに集まり論議をいたしまして、採択され、政府はこれに対してその当時もお話をしておるようでございますが、一應國会において採択されたものが、文部当局の独断によつてほつたらかされておるというようなことであつては、われわれ國会の権威といたしましても、実に心外の至りと考えるのであります。私たちは再びこの問題を本委員会請願いたしまして、諸君の十分なる御審議によりまして、これを採択あらんことをお願い申し上げる次第であります。なおこれに対しまして当局お話があれば、続いて発言をいたしたいと思うのであります。一應趣旨の御説明を申し上げた次第であります。
  14. 原彪

    原委員長 本請願に対し、政府説明を求めます。
  15. 日高第四郎

    ○日高政府委員 ただいまのお話は前の國会でも伺つたことでありますし、文部省といたしましても、輸出産業の上において蚕糸の占めておる位置と意議とを決して軽視もいたしておりませんし、また度外視もいたしておらないのでありまして、御説はまことにごもつともだと思うのであります。それから上田繊維専門学校を大学にしないという意味でもございませんし、ただあとで御説明申し上げたいと思うのでありますが、十一の原則を立てまして全般の処理をいたす建前から、信州大学の一つのりつぱな学部として出発してもらいたいというのが文部省の願いであります。もう一つ申し上げておきたいと思いますことは、上田繊維専門学校が独立して大学になる価値はないというような判定を、文部省では決して下しておるのではございませんで、全般の処置の立場から、総合大学の一環として出発してもらいたいということを申しておるのであります。これは今お話のありました小林議員にも申し上げたことでございますが、はなはだくどいようでございますが、もし少し時間をかしていただけますならば、文部省がどういう方針上田繊維専門学校をどういうふうに取り扱つたかということを御理解いただきたいために、十一原則の印刷物をおまわしいたしまして、その要点だけを申し上げ、また十一原則をなぜつくらなければならなかつたかという事情も申し上げまして、ご理解の上で御批判をいただきたいというのが私どもの考えでございます。委員長、もしお許しいただければ十一原則の印刷物をお目にかけたいのですが、よろしゆうございましようか。
  16. 原彪

    原委員長 どうぞ。
  17. 日高第四郎

    ○日高政府委員 今お目にかけました十一原則のうち、初めの五つと終りの一つがおもなる点でありまして、ちよつと簡單な要点だけを読み上げます。   新制國立大学実施に当つては、その大学が同一府縣内の同一部市又は同一の場所にあることが望ましいが、現状に副わないものがあるので、現在の学校の位置、組織、施設等の実情に即して、次の諸原則によつて切替え、なるべく経費の膨脹を防ぐと共に、大学の基礎確立に努める。  一、新制國立大学は特別の地域(北海道、東京、愛知、大阪、京都、福岡)を除き、同一地域にある官立学校はこれを合併して一大学とし、一府縣一大学の実現を図る。  その特別な地域と申しますのは、括弧の中にありますように、北海道、東京、愛知、大阪、京都、福岡でございます。北海道から福岡に至るまでのうち、京都を除いては人口三百万以上を持つております大きな府縣でありまして、他との人口の差が相当はなはだしいのであります。  もう一つの視点は、東京、大阪、京都は、高等専門学校が非常に偏在いたしておりまして、昭和二十二年四月の統計によりますと、東京には百六十九ございます。大阪には四十一ございますし、京都には四十一ございます。そのほかはおおむね二十以下でございます。こういう非常に際だつた差異がございまして、一府縣一大学というのを機械的にきめましても実行できませんので、北海道、東京、大阪、京都、福岡等の六地方を除外例にいたしたわけであります。  二、新制國立大学における学部又は分校は他の府縣に跨らぬものとする。  三、各都道府縣には、必ず教養及び教職に関する学部若しくは部をおく。  この三は、今度の大学の特徴に基きまして、各都道府縣に一般教養あるいは基礎学科をやるような学部もしくは部を置くのと同時に、各地方の教員養成のために教職の学部もしくは部を置くという趣意であります。  四、新制國立大学の組織、施設等は、差当り、現在の学校の組織、施設を基本として編成し、逐年これがこれが充実を図る。  五、女子教育振興の為に、特に新制國立女子大字を東西二箇所に設置する。  この点はいろいろ異論もあつたのであります。新制國立大学は、男女共学ということを原則にいたしておりますので、特に女子の大学を設ける必要はないという議論もあつたのでありますが、実質的に考えまして、從来日本の高等教育機関において、女子が閑却されておりました償いの意味で、東西に女子大学を置くという原則を立てたのてあります。  最後の九、十は御承知のことだと思いますが、  九、新制國立大学の教員は、これを編成する学校が推選した者の中から、大学設置委員会審査を経て選定される。  これは学校がいわば昇格しますと、教員がすぐに昇格するということは、いろいろ弊害がありますので、ここで審査を受ける建前にいたしたわけであります。  十、新制國立大学は。原則として、第一年より発足する。  十一、新制國立大学への転換の具体的計画については、文部省はできるだけ地方及び学校の意見を尊重してこれを定める。  意見が一致しないか又は転換の條件が整わない場合には、——(転換の條件が整わないというのは、大学設置委員会で不合格になつた場合を予想しておるのでありますが、こういう場合には)——学校教育法九十八條により、当分の間、旧制のまま存続することができる。  実はこの十一の原則につきましては、文部省に於いてもいろいろともんだあげくこういう原則を立てました。この原則については文部省ももはや異存を言わないことにして出発をいたしたわけであります。  別の刷物にございます五の点をごらんいただきたいと思います。これは大学設置委員会文部省の立場と責任を明らかにする意味において話合いができておりますので、その点を御了承いただきたいと思います。  (1)私立学校の提出する案は設置者たる理事会の決議を経なければ委員会はこれを受付けない。  (2)國立大学の案に関しては、文部省は、私学の理事者と同様の立場に立つて、原案作成の責任を負う。  (3)國立大学の原案作成の方式   学校当局並びに関係者の意見、地元の希望意見、文部省の全体的見地からの調査意見等をまとめる。   意見のまとまらぬときは次年度にまわす。  こういう方式をもつて進んだわけであります。  六のところをごらんいただきたいのでありますが國立大学原案作成上、いろいろの問題がありましたので、それを御紹介申し上げて御理解と御批判とを得たいのでありますが、第一の点は、大学高等専門学校の大都市に集中偏在する事実。これに先ほど申しました一府縣一大学の原則の背景にこういう事実があるのでありまして、二十二年四月の統計によりますと、旧制の大学は全國で五十九ございますうち、二十八が東京にございます。そして大学生が約九万六千おりますうち東京におります者が四万九千、こういう事実がございます。大学高等専門学校全部を合せますと、全体で六百三十五学校がございまして、その学生が四十六万九千ございます。そのうち東京、大阪、京都にございますのが二十五万四千、およそ五四パーセントが東京、大阪、京都に集まつておるのであります。そういうことにつきましては、文部省といたしましても、配置計画について十分検討しなければならないという問題があつたのであります。二年ほど前のときには、文部省といたしましては、大学の配置については、たとえば北海道、東北、関東等の九つの大きい地域に総合大学を充実させて、その他の大学はそれの衛星的の存在として、できるだけ密接な連絡をつけて転換したならばよくはないか、実情にも即するし、将来もよくはないかということを考えたのでございますが、六の(3)にございますように、行政区画等について重大な変化がありまして、内務省が解体されるような情勢になり、警察制度もかわるようになる、地方自治制が確率いたしましたり、地方教育委員会の設立が要請されたりするような客観的な情勢の変更がございまして、初めの計画は架空なものになるおそれがありましたので、これをやめたわけであります。  それから六の(4)に出ております日本の実力を考えなければ、大学の転換は考えられない。財政的にも経済的にも、ことに教授陣容の本弱であるというような点から考えましても、これを一々の学校が好むように新制の大学にすることは、願つてもできない相談であるということを考えたわけであります。從つて(5)にありますように、整理統合してむだを省いて、できるだけ節約をする以外に、新制大学に転換する道がないという結論が出たわけであります。そして(6)に掲げましたように、現在の情勢では國土計画というようなものを十分に立てる余地はございませんけれども、しかしできるだけそういう観点を考えまして人口、産業、交通、文化等をにらみ合せまして一應の案をつくろうというふうに考えたのであります。こういう点から学科の統合や相互の補足、融通、協力というようなことをねらつたわけであります。そのほか(7)に掲げましたように、義務教育の教員の養成計画については、教育刷新委員会からも総理大臣に建議がございますし、また本委員会におきましても、前の文教委員会のご意見の中に、教員養成機関はできるだけ総合大学の中でしろというような御指示もありましたので、そういう点を考慮して大体平均四つくらいの学校を結びつけて重複を省いて、そうして新制大字の性格——これは(2)にございますように一般教養と基礎学科に特別な重点を置くというような点を考えまして、計画を立てたわけであります。その計画を立てる際に大体その当時、数にいたしまして官立の学校が二百六十八ございましたので、その二百六十八校を六十九の大学に統合しようと企てたのであります。その統合をする際には、何らかの基準がなければならないので、先ほど申し上げましたような十一の原則を立てたわけであります。  この十一の原則を背景にいたしますと、先ほどの上田繊維専門学校は、残念なことでございますが地方の御意見に沿いがたいような点が出てくるわけであります。それは一府縣に一大学という原則に違反するということが一つ、それからもう一つは、私どもの考えといたしましては、独立の大学でなければ日本の繊維の研究ができないという点は、十分私どもには了解できない点が残つておるのであります。私どもとしては、やはり原則に從つて総合大学の一環として、長い傳統もあり実力もある学校でありますから、総合大学の中の有力な学部として出発してもらいたいというのが文部省考えつたのであります。もう一つの難点は、御承知のように繊維専門学校は現在官立に三つございます。上田のほかに東京繊維専門学校と京都繊維専門学校とがございます。これらの学校もそれぞれ今日の結合の場合には、多少のむりもあり、不満もあるのでありますが、先ほど申しましたように、個々独立では大学になれません。結びついて相互に補足し協力して行つてもらいたいという趣意を述べまして、東京も京都も結合をして出発するようになつておりますので、上田繊維専門学校だけを例外にすることがはなはだむずかしかつたのであります。実はこの点につきましては、小林議員を初め、出身地の議員の方々からもいろいろ御意見もありましたので、現在のところではこの問題をむりに解決することはいろいろ支障もあるかと思いまして、大学設置委員会文部大臣が諮問いたしましたのを一應保留いたしてあるような次第であります。私どもの立場から申しますと、これを特に例外にするということは非常にむずかしい状態にあるのでありますが、また国会の御決議によつていろいろ御意見もあることと存じますので、それについては十分考慮いたしたいと思うのであります。  実情を申し上げまして皆様の御了解を得たいと思う次第であります。
  18. 小林運美

    小林(運)委員 ただいま日高局長から詳細にわたつてお話がございましたが、この問題はすでに何べんも局長ともお話したのでありまして、局長に対するいろいろの反駁でありますとか、そういうことを避けたいと思うのですが、われわれは國会といたしましてここに考えを新たにしなければならぬことが二、三ありますのでそれを申し上げたいと思います。  ただいま局長が説明の材料にされました新制國立大学実施要領、すなわちここに配られました十一原則でございます。一体かようなものをもつて文部省文部行政をやる場合に、文部省独自の見解——あるいはこれは関係方面とのお話もおありになると思います。その内容も二、三知つておりますけれども、われわれは國会といたしまして新たなる観点、あるいは國民の代表としてわれわれは考えなければならぬと思うのであります。この十一原則をもちまして、何でも強引に押し切るというのは、もつてのほかだと私は考えるのであります。こういうものがありまして、すべてを律するなら、われわれのこの國会はいらないということになるのであります。從いまして私はこの十一原則の一々の條項に対しまして、これをどうこう言うのではありません。この一一原則の中にもなかなかよいことが書いてあります。しかし今かりにこれを認めるといたしましても、十一原則の中の第一番に、特別の地域、北海道、東京、愛知、大阪、京都、福岡というようなことがありますが、一体これはどこから持つて來たのであるか。特別な事情というものは、人間が多いとか、あるいはその他の、たとえば第五にあります女子教育の問題、これも特別の問題であります。こういうふうに考えて來ると、今文部当局お話のように、この原則に違反しているからだめだということは、りくつにならないのであります。あなた方がそういうふうに特殊なものと考えれば、われわれはこれも特殊であると思う。この判定はなかなかむずかしい。そこでわれわれは國会といたしまして、これをどうしても認めてもらいたい。先般の文教委員会におきましても、この問題につきまして、皆様の十分なる御審議を経て採択になつたのであります。またこの十一原則の各條項にいたしましてもそうであります。  またただいま局長が指摘いたしましたもう一つの問題というのは、総合大学の一学部としてやればさしつかえない。これは文部当局考えでありまして、学校当局やあるいは繊維産業の各部門の代表者も参りまして、また縣の立場といたしましても、縣会におきまして、すでに三べんもこの問題を取上げまして、信州総合大学はけつこうである。またそれと同時に蚕糸業の中心上田にある繊維専門学校を單科大字として昇格するのが当然であるということは、縣会においても経費の問題までも引き受けるからせひやつてもらいたいという与論でございます。先ほど局長は長野縣の出身代議士云々ということを申されましたけれども、これはひとりわれわれ長野縣の出身代議士のみならず、ここに御列席の前文部大臣森戸代議士も、この問題につきましては非常に御心配をいただきまして、すでに大臣であられました当時にこの問題をお考えになりましてぜひ理科大学にしたいということを言われております。その後歴代の文部大臣は、これをぜひ單科大学にしてやりたいということを言明しているのであります。それを局長が、感情か何かしりませんが、十一原則だの何原則だのというものを持ち出しまして、それでしばろうとするその氣持は、私はどうしても了解できない。昨日もこの問題を関係者がいろいろ相談をいたしましたけれども、何も文部省のこの十一原則とか何とかということにこだわる必要はない、われわれ國民の代表としてこの國会の議場において決定したことは、政府当局はやる責任を持つている。それを個人の感情か何かそれはわかりませんが、これを固執するということが、われわれにはどうしても了解できない。  要するに私はこの問題をくどくどしくこまかい條件をここで論議し合うことを避けまして、とにかく今申し上げましたような理由もございますが、われわれは國会としてこの問題を十分慎重に考えて、将來の日本産業の発展、また現在の日本の困難なる経済状況を突破するには、かような輸出貿易を振興するその先達となる教育行政において十分考慮して行かなければ、日本の再建は期し得られないとわれわれは考えるのであります。但し先ほど局長からのお話がありましたが、局長もこの問題については十分お考えになつて、すでに保留というような形になつておりまして、政府当局におきましても相当関心を持つておられるようであります。この問題は政府として十分考慮して單科大学昇格に向わせたいという政府当局の大臣等の御意見も仄聞しておしますので、これ以上追究はいたしません。要するにわれわれは当局がいろいろ困つておる情勢もわかつておりますが、國会としてこれを皆様のお考えによりまして御採択あらんことをお願い申し上げまして一應私の説明を終りたいと思います。
  19. 今野武雄

    ○今野委員 さつき十一原則ということがあつたのですが、同時にそれが國立大学原案作成上の考慮というところにいろいろ並べてあります。大学というのは、諸外國でもそうでありますが、非常に歴史的な傳統というものが、その大学の運営やなんかに生きておるわけであります。そういう点が、この作成上の考慮を見ますと、考慮されてなくて、机上の空論だけが並べてあるというふうに考えられます。そういう歴史的な存在としての大学になつたものが、この原則の上に考慮されていないことは、非常に残念な氣がするのですが、その点について日高さんどういうふうにお考えになりますか。
  20. 日高第四郎

    ○日高政府委員 今の歴史上の問題につきましては、むろんわれわれも考えておりますし、またその点に相当難点があることも自覚しておりますが、あまりに自明のことなので、ここの御説明の点では書いてございませんが、これはわれわれも自覚いたしております。  もう一つ私どもが考えなければならなかつたのは、教師養成機関の転換でございまして、御承知のように師範学校がいろいろの欠点を持つておりますので、この師範学校を転換して、いい義務教育の教員養成機関をつくりますためには、ほかの学校の力を借りるよりいたし方がございません。そういう意味でも、他の大学との結びつきを考えたわけであります。  それから時間がございませんので説明が足りなかつたのでありますが、新制大学の特徴といたしまして、一般教養と基礎学習というものを十分考えなければならないのですが、普通専門学校には一般教養と基礎学科の先生が足りませんし、また施設も足りません。現在のような窮屈な状態においてはそれを二つもしくは三つの学校が共用する以外に新制の大学に転換する道がございませんので、多少のむりを承知の上で、統合の方式を考えた次第であります。
  21. 今野武雄

    ○今野委員 今の御説明ですと、國立大学原案作成上の考慮という中に、第一に自明といわれたけれども、はつきりと歴史上の傳統を重んずるということを入れてあると考えてさしつかえないですか。
  22. 日高第四郎

    ○日高政府委員 ええ。     —————————————
  23. 原彪

    原委員長 日程第二〇、六・三制完全実施のため全額國庫負担並び教育予算増額請願日程第四四、六・三制完全実施のため予算確保に関する請願を議題に供します。
  24. 松本七郎

    松本(七)委員 紹介議員がおられませんので、私がかわりまして六・三制完全実施のため全額國庫負担並び教育予算増額請願趣旨を御説明申し上げます。  六・三制完全実施のためにこれが経費を全額國庫負担とされるとともに、万難を排して教育予算の大幅増額実施されたいというのであります。この問題はすでにそのほかにもたくさんの同じ趣旨請願が来ておりますし、もう從來から本委員会においても全員一致して努力した点でありますから、多くを御説明申し上げるまでもないと思います。何とぞ全員の御賛成を得まして御採択あらんことをお願いいたします。     —————————————
  25. 原彪

    原委員長 それでは日程第三、鹿兒島農林専門学校所属演習林地拂下の請願文書表第七九号。紹介議員前田郁紹介を議題に供します。
  26. 圓谷光衞

    圓谷委員 鹿児島縣肝属郡牛根村所在の鹿兒島農林専門学校所属演習林拂下の請願でありますが、本村は耕地狭痩なる農山漁村で、村民の大多数は既往現在とも薪炭製造をもつて生計を営んでおります。本村内に二千五百四十町林余の鹿兒島農林専門学校所属演習林があり、これが本村の入会の大部分を占めておるのであります。そこでこれを自由に製炭できないので、村民生活は常に塗炭の苦しみを続けておるのであります。右演習林をこの際村有林に相入して村財政の充実及び産業の発展を期し、村民の調和増進、生活の安定をはかられたいというのが、この請願の要旨であります。
  27. 日高第四郎

    ○日高政府委員 地元の牛根村の生計費や経済復興のために、演習林拂下げの要望がございましたのは、昨年來承知いたしておるところであります。学校側としても、実は暖地の林業の研究のために、ほとんどわが國唯一の地域と考えられておりますので、鹿児島の農林専門学校にとつては、これを簡單にお譲るすることはむずかしい事情にあるわけでありますが、地元の村民の実際に即した今後の要望については、できるだけこたえるように話合いがついてございまして、薪炭林の払下げとか、あるいは農耕可能地の貸與等については、便宜とりはからうようにいたしてございます。  なお根本的な解決として隣接の農林省所管の國有林をかわりに学校に移管いたしまして、この演習林を払下げるというようなことも研究中でございますが、まだ最後の決定まで到達いたしておりません。しかし学校側でも、文部省としても、現地の村民の方々の御要望に対しては、できる範囲で便宜取計らうようにしておる次第であります。根本的の解決にはもう少し時間をかしていただきたいと思つております。
  28. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 請願と直接関係はないのですが、文教大学の校名の問題であります。ご案内の通り、文教大学というのは、文理大と東京高等師範、体育専門学校、農業教育専門学校、これらを合併して一つの大学ができるのでありますが、その学校の名前について、実は現在の文部省案は文教大学、かようになつておるのであります。ところがこの校名については、文理大を除く他の三つの学校はことごとく反対でありまして、これを教育大学という名称にしたいというのでございます。  文理大が何ゆえこの教育大学という名称をきらうかというその根底には、教育者の養成の学校でありたくない、おれたちは教育者を養成するのではない、もつと目的が高いところにあるのだという式の、また教育者の養成ということを非常にきらうような、要するに自己蔑視の思想が根底に流れておるのでありまして、これは実はわれわれから見るとはなはだおもしろくない考え方だと思うのであります。そこで文理大の反対にあい、文部省としては、文理大の文と教育大学の教と、この二つをくつつけて文教大学とするというような案だそうでありますけれども、文教という名称そのものが、すでに今の時代に非常におもねつた薄つぺらな感じを與えますし、そういう意味からも教育大学とはつきり名称した方が、よりいいのではないかと考えられるのであります。  実はこの名称については、過日参議院の文部委員会においても、文教大学を教育大学と名称を変更すべしという勧告を行つておるそうでありますが、衆議院の文部委員会においても歩調を同じくして、文部省に対して文教大学を教育大学と名称を変更せられるよう勧告いたしたいと存ずる次第であります。どうか皆さんの御賛成を得たいと思います。
  29. 日高第四郎

    ○日高政府委員 実は今お話のあつた東京文理科大学、東京高等師範学校、体育専門学校、農業教育専門学校を一つにまとめまして、文部省の初めの案といたしましては、東京教育大学という名称で進みたいという計画を持つてつたのでありまして、昨年の秋の終りごろまでは大体それで進んで参つたのでありますが、教育大学という言葉にまつわつておりますところのいろいろの連想及び感情から、学校の内部に意見の齟齬が起きまして、今申し上げたように、初めの案をかえて、文教大学ということで双方の仲を取持つたわけでございます。私個人の意見を申しますれば、やはり教育大学の方がいいと思つておるのでありますが、これは感情の問題もありまして、経験しておりません私どもには、その感情の内容の重みがわかりませんので、双方の言い分を取持つて文教大学といたしたわけであります。  教育大学という名前につきましては、私は理論的にはまさにそうあつてしかるべきであると考えておるのでありますが、終戦後師範学校等が一時教育大学に昇格するという運動があつたことがございます。これについては教育刷新委員会も、師範学校を簡單に師範大学とかあるいは教育大学にすることについては、いろいろな弊害があるから、これはぜひとも避けなければならないというので、教育大学という名前を、実は理論的には正しいと思いながら避けて來たわけであります。ただ東京文理科大学や高等師範等を中心にした大学においてこそ、新しい教育大学というものを立ててもいいではないか。教育に対するほんとうの学問的の研究を背景に持つて、それの應用としていい教員の養成をしてもらうために、非常な大きな抱負と理想とを託して、文部省としては東京教育大学という名称をかりにつけたのでありますが、先ほど申し上げたように、教育大学にいろいろの背景、運動等があつたり、それらの逋想があつたりしまして、文理科大学の当事者と他の三校との間に議論が沸騰しまして、なかなか決着がつかないので、文部省が仲裁に入つて、文教大学というふうにいたしたわけであります。決して文理科大学の文と教育大学の教をとつたのではなくて、文教ということが、一つの概念として教育も含み、また学問も含むという意味において、文教という名前で妥協したわけでありまして、その点は私どもははなはだ至らなかつた点でありますが、國会の御意見がございますれば、学校当事者の方にもこれをできるだけ納得させて、新しい教育大学をつくつてもらうように頼みたいと思つております。
  30. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 委員長においてこれを勧告するかしないかを、決をとつていただきたいと思います。
  31. 圓谷光衞

    圓谷委員 日高さんにお伺いしますが、手続は勧告であつてもいいですが、教育大学と原案は出ているのですが、直すことができますか。
  32. 日高第四郎

    ○日高政府委員 改正はできると思います。
  33. 圓谷光衞

    圓谷委員 それならば委員長においてとりはからつて勧告していただきたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 原彪

    原委員長 ちよつと速記をとめ……。     〔速記中止〕
  35. 原彪

    原委員長 それではさようにとりはろうことにして、本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが……。
  36. 渡部義通

    ○渡部委員 ちよつと議事運営について発言いたします。今私用事があつて各派交渉会に出て來たのですが、そのときにこういう話があつたわけです。六・三制の実施に関して、民主自由党及び與党の方から決議案が出ている。それに対して野党各派からもそれに対する修正案が運営委員会に出たわけです。ところがいろいろ相談の結果、運営委員会としては、これをできれば全会一致にしたい、一本にしたいという意味をもつて、その内容については、これを文部委員会の方においてやつてほしいということに話が大体まとまつたらしいです。いずれそのことについては各派の方へ報告があると思いますが、もしそのようなことがありますならば、われわれはこの前一致して一つの要望をしておつたのであるから、ここでも一致しまして、できるだけ一本のりつぱな案として提出したいと思うので、從つてこの委員会というものも、定義でなく、緊急に開いてもらつて、そのような話を進めてほしいと思います。
  37. 圓谷光衞

    圓谷委員 ただいまの渡部君の提案に大賛成ですから、明日一時からこの委員会を開いていただいて、前のように全会一致でもつてこれを出したいということを希望いたします。
  38. 原彪

    原委員長 ただいまの圓谷君の動議に御異存ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 原彪

    ○原委員 それではさようとりはからいます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時二十四分散会