○今野
委員 法隆寺問題について
文部大臣に
質問いたします。
法隆寺問題については、前
文部大臣あるいは次官が
責任をと
つておやめになるとい
つたようなこともあ
つたようでありますが、しかしそのときのことも、実ははつきりしてないのでありまして、
責任の所在がどこであるかという点についても、非常にまちまちな議論が今も
つて行われております。
柴沼さんも何かひどい目にあ
つたようでありますが、しかし、極端のことを言うと電氣ざぶとんに
責任があるのだというようなことまで言われておるわけなのです。しかしながらこの
法隆寺の
修理問題についてのいろいろな機構を考えてみますと、これはこの表にもありますが非常に複雑な機構である。そしてその
責任が非常に漠然としていて、どこにどういうような
責任があるのかさつぱりわからない。そのために今のようなことにな
つているのだろうとも存じますが、しかし結局この問題を処理する終局の
責任は、
文部大臣にあるということになりそうであります。そうだとすると、そういうことがもし明瞭であるならば、今度の
予算の計上においても、あるいはまたこういう複雑な機構を改めて、もつと軍純なものにして、
責任ある形でやるということについて、
文部大臣から今までにも何らかの手が打たれていてもいいのじやないかと私ども考えるのであります。ところがどうも機構の問題、それと
法規の問題等については、いろいろ障害があるというようなことで、まだ漠然としておりますし、それからな曲この
予算を見ましても、たとえば
法隆寺修理費が約三倍にな
つておりますが、しかしこの三倍にな
つているということは、物價が高く
なつた今日大したものにな
つていないのじやないかと思われる。現に実地に調べたところの話によりますと、あそこに出張して壁画の模写に当
つていた画家などの待遇にいたしましても日給でや
つている。しかも日給三百円とい
つたようなごく低い給與、そしてその渡るところもひどいバラツクの小屋であり、食事もそういうところで粗末な食事をしなければならない。こういうような調子で、出張して非常に費用がかかるのでありながら、そういうようなひどい待遇でや
つている。その他の直接費でなくて、間接費が非常に多くかかるような機構でありますから、そういうことから考えてみましても、この三倍ぐらいにしたのでは
お話にならないのじやないか、こういうふうにも考えられるのであります。そういう点について、現在
文部大臣は何かまだ十分に
責任を持
つてやるという決心を抱いておられないようにも感ぜられるのでありますが、この点についてお聞きしたいと思うのです。
それから第二に、その機構を改め、またいろいろな
法規を改める上において、非常な障害になるものとして、私有物の件と、もう
一つは宗教云々の件があ
つたようでありますが、この宗教の周囲につきましては、なるほど
法隆寺については昔から佛教徒、新しい宗派のものでも、たとえば日蓮にせよ、あるいは親鸞の場合にせよ、そういうような人でも、この
法隆寺に対しては非常に大きな敬意をささげていた。そちしてこれに対する過去の信仰というものは、非常に多か
つたということは、私たちも聞き及んでおります。しかるに現在において、はたして
法隆寺にそれだけの宗教的な信仰というものが集ま
つておるかどうかということについても、私たち非常に疑いを持つものであります。そういう点についても、何らか強力な機構をこしらえて、そういう問題について
調査し裁決するということが必要ではないかと考えます。この点についても何か非常に決断が下らないように見受けられるのでありますが、この宗教と
國宝の問題についてどうお考えになるか、この点をお伺いしたいと思います。
なおこれに
関連してもう
一つの点をお伺いしたいと思います。それは大体この
予算國宝保存関係のも、その他のものも昨日ずつと調べて見ましたが、非常に驚いたことには直接教育に要するお金、あるいは直接
文化を拡充するための費用、あるいは直接科学の研究を促進するための費用というようなものは非常に少くて、それに対して事務費その他が非常に膨脹しておるということであります。たとえばそれのひどい例は、教育施設局のごときは、非常にたくさんの
予算が減らされて、四分の一近くにな
つております。それにもかかわらず人件費の方は依然としてかわらないのみか、ずつとふえている。これは六三ペースでふえたのでしようが、ずつとふえておる。それから最もはなはだしいのは、
大臣官房などにおける人件費が非常にふえている。そして事務費もまたふえている。それから本省
関係の営繕費もまた必要以上にな
つている。その他の支出、本省
関係の雑多な支出がふえていて、何かわからない支出が三倍にもな
つている。一方において直接の費用である中学校の設備費
補助の方はゼロにな
つている。それから一方中学校校舎模様がえ費用等は、去年とほとんどかわらない。從
つてその工、六割しか遂行できないようにな
つている。そういうような直接費が減
つて、すなわち
文部省の仕事の中身が減
つて、そうして官職機椿としては非常に厖大になりつつある。こういうような
予算の立て方が見えるわけでありまして、この幽霊
保存の場合においても、なおこういうような複雑な厖大な機構をや
つておきますならば、やはりそれと同じことになると思うのであります。この点は
法隆寺問題のみならず、全体としてこの文部
予算というものの立て方が官僚的に、
文部省自身が教育の廳であるというよりは、むしろ官僚化しつつあるということを明瞭に表わすものじやないかと思うのです。参考のために本省の人件費だけについて申しますと、二十三
年度が八千三百万円ばかり、三十四
年度は一億七千九百万円、一億八千万近くであります。そういうふうにこれが倍以上にふえている。こういうような点を、私は
文部省の官僚化の促進というふうに考えるのであります炉、その点について
文部大臣はいかがお考えになるか、お聞きしたいと思います。