○藥師神
委員 私は
考えるのに、今の課長の言われたように率直に事実というものを認められるなれば—またそうなくちやならぬと思う。
ただこれを処理する上においては、すでに
決算が議会において認証しているものを、今からくつがえすということはできぬですから、結局二十三
年度以降においてこれを処理するということは、取扱上からいえば当然ですけれ
ども、よ
つて來つた本質というものをつかむのには遡及しなくちやわからない。わからないけれ
ども、それは今おつしや
つたように何
年度にどれだけの欠損が出て來たか、どういう懸隔が起きたかということは、たれが
考えた
つてわからない。わからないから、結局逆算によ
つて、あるいは
政府の買入れ数量において出すよりほかに
方法はないでしよう。また十八
年度以降の買收と
違つたわくにおいて、いまの立木やなんかに金を出した。
薪炭にな
つていないのに出したというのは、それから以降に起
つた事項で
はつきりしている。問題は今言
つたような流亡しようが、あるいは火災にかかろうが、盗難にかかろうが、その他の輸送中の事故によろうが、これは初
年度から発生しているわけなんです。それがたな卸しができていなか
つたから、それの
はつきりした
数字が出ていないと思うのであります。けれ
ども、午前中に
井上委員に対する御
答弁を聞いてみると、事故というものが
決算をした即往にまでさかのぼ
つて出てくるというようなことを
林野局の当局が言うこと
はつまらぬじやないか、そういうような御意向があ
つた。それから二十三
年度に全部出て來たとはおつしやらないけれ
ども、その口吻を聞いてみると、あたかも二十三
年度にこの問題がほとんど発生したごとき意見を述べられて行
つた。これはあなたの立場としては、すでにすんでいることなんですから、そういうことをお述べになることもあえて不思議とは思わぬわけでありますけれ
ども、
会計檢査院としても
農林大臣に
委託して
檢査をや
つたんだが、そういう不都合が出てくれば欠陷があ
つたんだということを、率直に認められることがあたりまえじやないかと私は思う。私たちの見るところは、十八
項目の中にはないところの大きな
原因を持
つている。今一番出ているのは高知縣でありますが、高知縣は四万一千なんぼの
亡失の
木炭が出ている。その中に、高知縣の者に聞いてみると、あすこは大分太平洋作戰で基地にな
つている。あすこにいた兵士がなんぼお
つたか知りませんけれ
ども、その兵隊たちがどんどん取
つてたいた。しかしあすこにどれだけの兵隊がお
つたか知らぬが、夏はたかないから、冬の間どれだけたいたか。そんなことではわかる
数字じやない。十箇年間に割当ててみても、一日に十五トン車に一ぱいずつの
木炭がなくな
つている。これは常識でも何でも
考えられるものじやない。それを二十二
年度や二十三
年度にあ
つたとしたら、毎日機帆船に一ぱいぐらいずつなくならなくちやそろばんは出て來やしない。こういう問題は十八
項目の中には出ておらぬ。それが現地買入れにな
つて來る。山で野天積みにして、俵装も何も崩れてしま
つてどうにもならないように、ほとんど放置されたままである。そういうところで名目はどういうふうに取扱われているかは知らぬけれ
ども、そういうものもたくさんあるのではないかと見ている。これは終戰の直後に一番ひどか
つたものと私は見ておるのであります。それは軍に火災とおつしやるけれ
ども、われわれ現実に知
つておる火災の場合においても一様ではないのです。たとえば五千俵入りの倉庫が燒けた場合において、三分の一はまだ被害を受けていない。三分の二は被害を受けた場合、火がまわ
つてお
つてもあとから消して、一等炭としては処理できなくても、格を落せば半分は出せます。七分は出せる場合がある。そういう場合に、
木炭担当官と当局の間にどういう
報告がされておられるかも、おそらく御存じがなかろうと思う。それからこの問題は、私たちは実際において直接に知
つているのだから申し上げるのです。火災で五千俵詰ま
つてお
つたものが燒けたとい
つて、五千俵の火災の
報告にな
つておる。それは一
部分はいいが、燒けた場合においては、いろいろなものもありましようけれ
ども、そういう適宜な、便宜な処置が現場でとられておる。おそらく兵隊がと
つて來てたいたりしても、盗難ということにな
つているかもしれない。あるいは流失にな
つておるかもしれない。その取扱いというようなものも、今的確にはこれまたつかめぬでしようけれ
ども、それを追究しておるのではないのですけれ
ども、私が冒頭に申し上げたように、この事故というものは、私の見るところによると、この終戰直後のすべての機構というものが弛緩してお
つた時代の
亡失というものが一番大きいと、私たちは見ている。この間も岐阜懸へ行
つて、先ほど平野
委員から
報告がありましたけれ
ども、あそこの
事務所長の意見では、
昭和二十二
年度から後現地買入れの問題でむずかしく
なつたという説明がありました。一方においてはこれは何も
調査はしていない。二千万円以上も利益が出ておるよりな場合が出て來た。そうして
現物はない。要点をつかまえて言えば、駅渡しの分には事故は少か
つた。
林野廳で言うそういう大きな、十四億円も
亡失したということはわれわれは
考えられないという。実際のところ私は事故と紙に書いてあるのを見たところで、今の高知縣の問題でも判断ができますが、一年中にやるのだ
つたら五、六十トンの機帆船に一ぱい、十年間で割
つても一日平均十五トンずつなくな
つておる。十八年以降だ
つたら、毎日五、六十トン積みの機帆船で一ぱいずつなくならなければそういう
数字は出て來ないです。こういうことをあなた方はどういうふうに
考えていられるか。もつとほんとうに
檢査される必要がある。結局の問題から言えば、單に書類の上の整理をされてお
つたにすぎないのでありますから、これは
農林大臣に
委託檢査をされて、
農林大臣も惡いのではないか、
農林大臣自身が一々事故
檢査をすることがほんとうだ、
会計檢査院から受けなくても、
特別会計であろりが何であろうが、この事故
檢査以外には
責任は持てない。一番これが権威があるのです。万全を期するために
檢査院というものができておるが、そのたびの
報告だけをも
つて、そうしてそれが
決算の唯一の認定の
資料にな
つておる。こういうことで見ると、率直に
檢査院のこれまでの
檢査制度と言いますか、
檢査をや
つて來たということにおいて、
薪炭会計においても落度があ
つたということを率直に認められなければ、話のつじつまが合わぬ。それを先ほどから、遡及すること
はつまらぬではないかというが、われわれの使命というものはこれを遡及して、この根元というものをつかまなければならぬと思う。私たちはここで
林野廳と
会計檢査院でどれだけけんかをされても、そういうことは聞きたくない。
責任のなすり合いは聞きたくない。率直にこれを認めてもらわなければならない。もつとこういう
檢査を、私が今話して來
ただけでも、もつと深く御
檢査なさ
つてはどうか。われわれ常識では
考えられぬ。何も私は追究しようという
考えでや
つておるのではないですから、このくらいの程度にとどめておきます。
次には
林野廳長官に
一つ申し上げなければならぬのですが、
木炭問題はもはやここまで
薪炭特別会計を
檢査することにな
つたのだから、この際においては、この問題を二つの問題として、これまでの
特別会計の不始末と申しますか、乱脈と申しますか、これの收拾のための整理の段階、一面においては整理の
仕事を清算と申しまするか、これに主力を注ぐと同時に、先ほどから各
委員において強調されたのでありますが、未拂金の早急支拂い、それから將來に対するところの原木買入れ資金であるとか、あるいは
生産資金の方面の問題の早急な手当、將來に向
つての対策との二つにわけて、
はつきりこれを
考えないと困ると思う。私はあな
ただけに申し上げるのじやない。われわれは党の最高指導部にも、
関係者にも極力
言つておる。どうせ拂わなければならない。現内閣の
責任において拂わなければならないものだから、一日も早く拂
つて窮乏を打開する必要がある。それを債権を取立ててその金で拂うというようなことを事務屋が
考えられると、そういうことをすぐお
考えになろうと思うのだが、そういうようなまどろつこしいことではしようがないと思う。整理の方は整理の方で、債権の回收に全力を盡すことはもとより必要だろうと思う。この未拂金の支拂いという問題、あるいは製炭資金の問題というものは、早急に計画を立てなければならぬと思います。けれ
ども今の金のない
特別会計においてこれを拂うとい
つたところでなかなか問題である。これは予算措置を講じなければ出せない。
ただちに預金部資金を持
つて行くこともできまい。あるいはほかの資金を持
つて行くことも、なかなか技術的には困難を伴うことと私は思いますけれ
ども、早急にこれを講じてやらなければ、
政府の大きな信用の問題であると同時に、一方から言えば、われわれの縣においても、運賃を入れれば約七千万円の多額に上
つておるわけであります。福島縣のごときはおそらく二億円近くにな
つておるという話を開いておるのであります。これを一日でも放置するということは、実に罪惡にひとしいものだとわれわれは
考えておるわけであります。それは債権を回收するということも必要でありますが、それを一方からじりじりと回收して行
つて、その金をも
つて支拂うというようなことでは、われわれは満足できない。そういう
考えを持
つてもら
つては困ると思うのであります。早急にこの問題を誠意をも
つて解決してもらう。できたことはやむを得ないわけでありますから、この整理は整理として、別個に鋭意力を注いで、早く
國民の納得し得るような結論を出して発表しなければならぬ、かように思
つております。これはおそらく御
答弁を聞くまでもなく御異存のないこととは思うのでありますが、なおこの際において念のために、ひとつ長官の御意見を聞かしてもらいたい、