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1949-05-27 第5回国会 衆議院 農林委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月二十七日(金曜日)     午後二時十七分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 坂本  實君 理事 八百板 正君    理事 深澤 義守君 理事 寺島隆太郎君    理事 吉川 久衛君       遠藤 三郎君    小淵 光平君       河野 謙三君    坂田 英一君       原田 雪松君    平野 三郎君       渕  通義君   藥師神岩太郎君       石井 繁丸君    井上 良二君       大森 玉木君    竹村奈良一君  出席政府委員         農林政務次官  苫米地英俊君         通商産業政務次         官       有田 二郎君         食糧管理局長官 安孫子藤吉君  委員外出席者         議     員 北  二郎君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七三号)(予)     —————————————
  2. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 これより会議を開きます。  それでは前会に引続き食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を継続いたします。通商産業政務次官質疑のある方からお願いいたします。
  3. 河野謙三

    河野(謙)委員 私はこの機会硫化鉄鉱山ストライキの問題について一應お尋ねしたいと思います。御承知通り硫化鉱肥料の主たる原料でありまして、この硫化鉱配給がとまつた場合には、肥料工場は硫安、過燐酸等製造を全部停止しなければならぬ。なお一たび工場がとまりますと、その復旧は簡單に行かないのであります。ただ工場経済的な負担のみならず、この復旧には相当の日取を要するわけであります。從いまして、他の一般産業ストライキとは違つてストライキが回復すれば、その翌日から工場が動くというような状態のものとは違うのであります。御承知通り五月十九日から一週間ストライキをやりまして、以後二十六日から明日までは一應山は動くことになつておるのでありますが、二十九日までにこの事態が解決しない場合には、今度は無期限ストをやるという通告をしておると聞いておりますが、現在各肥料工場硫化鉱在庫品、特に関西方面工場在庫品は、わずかに二日半しか手持ちがないのでありまして、明日までにこの問題がかりに解決しないとしますと、重大なる問題が起るのでありますが、これにつきまして政務次官からお見通しをひとつ伺いたいと思います。
  4. 有田二郎

    有田政府委員 ただいまの御質問お答えいたします。田植期を目前に控えまして、硫化鉱出荷ストはまことに憂うべき状態であると思います。現在のところは大体関西特に岡山縣柵原を中心として出荷ストに入つているのでありまして、関東方面現状はさしたることはないのでありますが、関西工場はこの問題を契機として、各肥料工場とも非常に困つている状態にある。しかしながら近く全國的にストが行われる情勢にあるのでありまして、通商産業省といたしましては、重大なる関心を持ちまして、その対策に腐心いたしているのでありますが、御存じ通りに、この問題は價格の問題が一番大きな問題の一つであります。われわれとしては、物價廳と絶えず連絡をとつて、われわれの要求を交渉いたしておるのでありますが、今日の段階において、通商産業省の満足する段階に立ち至つていない状態にあるのであります。さらにこれらの鉱山は、單に硫化鉱のみならず、その並行した産業である銅であるとか、その他あらゆる金属状態がこれまた非常に惡い状態でありまして、通商産業省といたしましてはこれらの経理面をよくするために、先般來関係方面交渉いたしまして、ようやく銅も地金を約三千トン輸出することに決定を見たのでありますが、こういつた面からも、この経理面がよくなるように努力をいたしている次第であります。先般本院におきまして、金属鉱工業振興に関する決議案が採択されましたけれども、まつたく時宜を得たものと思います。われわれはこういう面から行きましても、本院の御趣旨に沿いまして、通商産業省としては努力いたしまして、これら硫化鉱一連経理をよくし、さらに從業員各位の手当その他も合理的な方向に進むように、努力をいたしておるのでありますが、御存じ通り、現在中労委においてこのあつせんをなしつつありまして、通商産業省としては、これに対してはできる限りの努力を続けて行きたい。ただ御存じ通り價格の問題は所管外でありますために、その意を得ませんことをまことに遺憾と思うのでありますが、本委員会においてさらに物價廳をお呼びになりまして、それらの経過をよくお聞き願いまして、本委員会の御協力を切にお願いする次第であります。
  5. 河野謙三

    河野(謙)委員 よく事情がわかりましたが、特にこの機会生産責任を負つておられる通商産業省としても、この問題の解決には、十分な御努力を特にお願いしておくわけであります。なおこの機会にただいま價格の問題が出ましたが、私もこのストライキ根本價格の問題から出発していると思いますが、この機会に、價格の問題につきましてはもちろん物價廳関係ではありますけれども、この價格決定の要素となるところの、肥料のいわゆる集中生産をもう少し通産省決定的にこの方向に向けることによりましてすべて價格経理面から追つて來る。從來のように集中生産にあらずして、いわゆる非能率的な工場も、能率的な工場も同樣に扱つて来た今までの企業生産情勢を改めて、徹底した集中生産に今後御努力願いたいと思います。たとえば政務次官はすでに御承知のように、東北硫化鉱関西工場に持つて行つたり、関西硫化鉱関東に來たり、また極端な例は四日市でできる硫酸大阪へ持つて行つて大阪でできた硫酸をまた逆に四日市工場に持つて來る、かようなことさえあります。かようなことがすベて肥料價格に響き、また硫化鉱價格の面に響いていると思います。今後重ねて申し上げますが、もう少し肥料生産行政におきまして、集中生産措置を徹底的にとつていただきたい。かようなことがもし聞かれないとすると、從來商工省肥料行政農林省からとつておいていわゆる商工省肥料生産には努力しているけれども、いかにして肥料を安くするか、いかにしてよきものをつくるかという努力を欠いている、この非難を依然として受けなければいけないと思います。またそれをさらに延長いたしますと、肥料行政通産省がやることは適当でない、これは生産配給もともに農林省に移すべきだという結論が出て來る。この大きな肥料行政の一元化の問題は、ただいまの議論の対象に考えないで、私は現状において集中生産をいたしました場合には、少くとも從來商工省のいわゆる集中生産にあらざるところの非能率的な工場も含めての惡平等の生産を、ぜひとも排撃せなければならぬ。そこに私は今度のストライキを解決する根本もあると思います。どうぞこの点を特に御了解いただきたいと思います。
  6. 有田二郎

    有田政府委員 河野委員のおつしやる通りでありまして、硫化鉱の輸送についても、東北でとれた硫化鉱関西へ持つて行かれるというような不合理がありまして、私政務次官就任以來、そういつた不合理の是正に努力して参つているのであります。特に御承知通り世界でわが日本硫化鉱生産は第二位にあります。その後日本において海外から硫化鉱輸入しなければならないという状態に入つていることは、これはまつたく政府責任でありまして、私政務次官就任以來この点に重点を置いて、特に御存じ通り、全國の硫化鉱生産の約三分の一が岩手縣松尾工場、さらにまた三分の一が岡山縣柵原、残りの全工場が三分の一という特異なる状態にあります。こういう状態から考えても、この松尾柵原に特に重点をおいてやつて行けば、この面も切り拔けられるものがたくさんあるのではないか。特に柵原方面については松尾よりはるかにパ—センテージが多く、非常にいい硫化鉱が出るのでありまして、企業原則による赤字融資が許されない現段階におきまして、より生産を増強するために、持株委員会にある株を出して、一般にこれを放出して増資を行う、そしてこれらの硫化鉱増産に充てたい、かような方針考えまして、ただいま持株委員会の方々と交渉中であります。これらの硫化鉱生産をさらに上まわらせるように、政府としては努力いたしております。先般來鉱山局長並びに鉱業課長を呼びまして、今日海外から硫化鉱輸入を仰がなければならないという段階は、何としても通産省責任である。何とかしてこれらの生産増強努力しなければならぬという点で、われわれは努力いたしておるのであります。さらにただいま集中生産お話がありましたように、この肥料食糧確保の上欠くべからざるものでありまして、私ども河野委員のお説の線に沿いまして努力いたしておりまするが、遂には新潟縣の東亞合成の工場閉鎖のやむなきに至つておる状態でありまして、先般來職員組合の方もお越しになり、さらに企流連としても、この点からストライキをやりたいというようなお話があつたのでありまするが、政府といたしましても、この間にあつて非常な苦しみをいたしておるのでございます。しかしながら、万難を排してこの硫化鉱増産努力いたしまするとともに、肥料生産増強に資したい、かような見解をもつて目下最善努力をいたしておる次第であります。
  7. 深澤義守

    深澤委員 私の質問したいことに対しまして、ただいま有田政務次官から御回答がごさいましたので、その疑問はほぐされておるようでありまするが、重ねてお伺いいたしたいのは、ただいま次官が申されたように、硫化鉱生産につきましては世界第二位の立場にある日本が、外國からの輸入にまたなければならぬということは、非常に大きな矛盾であろうと考えるのであります。先日も新聞紙上において発表されましたように、硫化鉱輸入については四億四千万円かの輸入補給金まで出して、これを海外から輸入する、しかし内地硫化鉱生産につきましては、まつたく採算割れをしなければならないというような状態にある。あるいは工場閉鎖も行われつつあるというようなところに大きな矛盾があるとわれわれは考えるのです。経済の自立的なことに関しましては、施政演説においても吉田首相も強調されておつたのでありますが、肥料面から見ますると、まつたく自立経済方針が確立されていない。内地硫化鉱等生産を荒廃せしめて、外國から輸入補給金を與えて輸入するほど矛盾したことは、何としてもわれわれは納得ができないのでありますが、この点につきまして、通商産業省ではいかなる根本的な御方針を持つておられるか、肥料についての自立経済が近く実行できる確信があられるかどうか。この点をひとつ伺いたいと思います。
  8. 有田二郎

    有田政府委員 私も同感でありまして、價格の問題が解決すれば硫化鉱海外から輸入する必要に断じてない、かような考えを持つておるものであります。價格の点において納得し得ない状態がありまするために、今度は肥料生産の面におきましては、遺憾ながら今日の段階において非常にわれわれは不満足であるけれども硫化鉱輸入に対して賛成しなければならぬという段階にあるのであります。たとえば通商産業省資源廳の方ですが、資源廳の中にある鉱山局では断固として硫化鉱輸入については反対でありまして、價格調整ができればさらに増産は十分期せられるのであります。ところがこれが化学局肥料の方になりますると、何としても目下肥料増産をはからなければならないという建前から、硫化鉱が足りないために遂には輸入しなければならぬという矛盾した状態にありまして、深澤委員のおつしやる通り状態であります。私はその点は非常に遺憾に考えておるのでありますが、一日も早く物價廳において、この價格調整をすみやかに御決定願つて海外からこれらの硫化鉱輸入をなくして、國内で十分にまかない得るように、しかも單にこの硫化鉱肥料のみでなく、あらゆる日本化学工業の基礎をなすものであります。この硫化鉱増産は、日本工業にとりまして、非常に重大な問題であります。それは價格の問題にすべての問題がかかつておる。かように考えるのでありまして、本委員会がさらに物價廳をも呼び出し願つて、この点についての御檢討をお願いしたいと思います。
  9. 深澤義守

    深澤委員 お説のごとく、日本食糧増産の面はもはや農民の力と努力によつてはその限度に達しておる、肥料なくては増産ができないという限界に達しておることは、すでに御承知であると思います。この点に対して大きな責任食糧増産の上にもあるということを十分お考え願いまして、肥料自立生産のために努力せられんことを希望するのであります。  その次にお伺いしたいことは、この農業計画の中に報奬用衣料の問題が非常に大きな問題になつておりますが、最近の傾向といたしましては、爲替レート決定等によりまして、この衣料製造会社等がはなはが不振状態にあると思うのであります。本年度農業計画の中に計画されましたこの数字が、はたして確保されるかどうかということに対しまして、農民は非常に不安を持つておるのでございますが、この農業計画によるリンク物資あるいは報奬物資等衣料関係の面がこの計画された通り確実に確保できるという御自信があるかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
  10. 有田二郎

    有田政府委員 その点につきましてお答えいたします。御承知通り輸出という面に非常に重点が置かれまして、國内のことがとかくないがしろになりつつあることは、私どもも痛感しておる問題であります。しかしながら特にこの報奬用物資につきましては、先般本委員会において私が申し上げました通り、一年間の農民の汗とあぶらの結果に対して國家がささげるもので、これは何としても通商産業省といたしましては、これに重点を置いてやつて行く。昨年度におきましては、國内生産のものにつきましては、纎維会社では相当のマイナスになるのであります。貿易の方でもうかるというようなところから、各纎維会社國内用のものをなるべく海外へ出して行くというような線に行つたために、非常に不合理な点がありましたけれども、今回は安本で御決定になりました線に從いまして、御期待に沿うように、最善努力をいたしたい。しかるに政府が今まで出したチケツトが現物化されない、相当そういう会社重役ヘコミツシヨンを持つて行かなければ、政府が出したチケツトが現物化されないといううわさを私どもは聞きまして、全部ひもつきにしまして、現物化しないところの工場には綿をまわさない。私が政務次官になりまして以来、大体そういう方針で強硬なやり方をいたしておるのでありまして、私ども通商産業省といたしましては責任を持つて安本の御計画のものに対してやつて行きたい、かような信念を持つております。
  11. 深澤義守

    深澤委員 その衣料の中の地下たびの問題でありまするが、先日もこれは農林次官質問をいたして、はなはだ不明確の状態のままになつておるのでありますが、現在農民配給されるところのはだしたびは、一人について年間一足程度であります。これでは今日の農業生産にはまつたく足らないのでありまして、この点について農民は非常に大きな不満を持つております。しかしながらやみで五百円、六百円出すならば手に入る。あるいは東京等におきまして街頭において賣られておる。あるいはまた地方の農業團体等におきまして、相当なやみ値段であつせんして、それを配給しておるという実があるのでありますが、この点について地下たびの製造社会から相当の横流れが行われておる。こういうことをわれわれは考えておるのでありますが、この点について当局はいかに製造会社に対して監督をなされておるか、そういう横流れの事実があるのではないかということについては、どういうお考えを持つておるか、まずこの点をひとつお聞きしたい。
  12. 有田二郎

    有田政府委員 横流れの話が出ましたが、通商産業省としてはそれを否定するだけの確信を持たないのであります。先般來御存じ通り自動車タイヤ横流れが、新聞に大きく報道されましたが、こういう事実がたくさんある。しかも、御存じ通り生ゴムマル公で一トン約六万五千円、それがやみ値で百万円もしている。一時は二百万円近くした、そういうようなところから、相当海外から生ゴムの密輸入をやつておるという状態がありまして、一例は先般新聞に出ました自動車タイヤの例を見ても、ほぼ想像がつくのでありまして、地下たびにもそういう問題がないとは断言しかねるのであります。しかしながら、私、政務次官に就任いたしまして以來新宿三越の中にありましたゴム課を本省に持つて参りまして、今までは三越の中にあつたゴム課のもとに、ゴム工業会というものがありまして、そういつたもののボス的な関係からいろいろ横流れがあり、しかもそれらの方面から來たあるいは物調官その他の者によつていろいろなデマを聞くのであります。私はこの点から、まずこれらの配給方面重点を置き、そういつたことのないように、特に地下たびにつきましては、ゴムがあつても纎維が足りないというように、副資材が足りないために、メーカーも非常に困つておる状況を発見いたしまして、今その点について最善努力をいたしておりますが、この配給方法については、目下安本交渉し、関係方面とも連絡をとつて、その方法をいかにすべきか交渉中でありますが、本年の最初の計画としては、生ゴム輸入が約二万トンということでありましたが、最近聞くところによりますと、約三万トンほどになるという喜ばしい情報に接しておるのでありまして、地下たびの生産をあげますると同時に、でき得る限り農村の各位配給いたしたい、通商産業省としてはさよう考えておるのであります。この点につきましても、ぜひとも安本並び農林省におかれまして、地下たびを報奬用としてどの程度出すかについての御決定を賜わりたいのでありまして、通商産業省としては、地下たびの生産に今まで遺漏がありました点を除去いたしまして、少しでもよけいに地下たびの生産にただいま邁進いたしておる状態であるのでありまして、安本農林省におかれまして、配給その他に対する御方針を御決定賜わらばけつこうだと思います。
  13. 竹村奈良一

    竹村委員 先ほどから問題になつております硫化鉱の問題に関連してお尋ねしたいのでありますけれども、先ほど政務次官は、大体集中生産方法をとるならばいい、こういうふうに言われて詳細に御説明を願つたのでありますが、それによりますと、たとえば岩手岡山においてそれぞれ三分の一、あとの三分の一というものが全國にまたがつているということでございますが、もし集中生産を行われた場合においては、全國的に廣がつている三分の一のいわゆる小さい工場がつぶれて行くと思うのでございます。もしつぶれて行きましても、國内における肥料需給態勢はできるとお考えでありますかどうか、お伺いしたい。
  14. 有田二郎

    有田政府委員 硫化鉱生産しておるのではなく山を掘つて掘り出すのであります。從いましてただいま私が申しましたように松尾が約三分の一、柵原が約三分の一、從つて約七割近くほどのものがこの岡山縣柵原岩手縣松尾鉱山でとれるのであります。他の方面につきましては、約三分の一でありまするが、これらの所に御存じ通り運賃プールの制度がかありまして、ここにいろいろなネックがあつたのでありますが、先般それの改訂を行い、さらにまた不合理な点を、今通商産業省としては物價廳と折衝中でありまして、これは生産でなくこれは山から硫化鉱を堀り出すのでありまして、つくるのでは決してないのであります。從いまして結局は價格の問題でありまして、運賃プールその他の点からいたしまして、あまりに高くなる、高くかかるというものはやむを得ず整理をして、そうして安値にたくさん、しかもいい質の硫化鉱ができるという面に重点を置くということでありまして、小さな鉱山をつぶして行くという考えでは決してないのでありまするから、企業原則によつて赤字融資がとめられておる。経済原則の線におきまして最大の効果をあげ得るように政府といたしては善処いたしております。かように御了承願いたいと思います。
  15. 竹村奈良一

    竹村委員 集中的に掘り出していると思いますけれども、集中的に掘られている所と、全國に散らばつている所においては、生産費の差をどのくらいに見ておるか、お伺いしたい。
  16. 有田二郎

    有田政府委員 私は数字を持つていませんで、はつきりしたことを申し上げられませんが、大体柵原が千百円、松尾が千二百円、他の鉱山はその鉱山鉱山で今まで値段違つていまして、二千九百円とかあるいは三千円というような状態になつておりまして、一番質のいい柵原が一番安いというような状態にあるのであります。こういつたために東北でとれた硫化鉱関西へまわすというふうな不合理が出ておるのでありまして、肥料生産の面におきまして、安いいい硫化鉱ばかりまわしたのではその工場はあまりよ過ぎるから東北の惡い硫化鉱をまわして、バランスをとるというふうな考え方もあつたのではないか、そう考えるのであります。そういうような状態にあるわけであります。
  17. 吉川久衛

    吉川委員 また供出リンク物資に関してお尋ねするのは、非常にしつこくで恐縮に存じますが、神田にあつた纎維局を虎の門へ移されたり、新宿ボス退治をやられたりするような、今までのいわゆる政治家に見られない、果断をもつて対処されております有田政務次官が、私の二十二日の質問に対して一つ明確を欠くお答えがあつたのであります。その点をこの際明らかにしていただきたいと思いまして、もう一應お伺いするわけです。もちろん有田政務次官が明確を欠く御答弁をなさるのはむりはないのでありまして、今までの政府がやつたような七・三のような区別をつけた選挙制はとらない。全國一律に、一斉に更新をするのだ。けちなまねはしないとこうおつしやられたのでありますが、その際二十四年度米、かんしよ供出用報奬物資に間に合うよう措置をするというお答えでございました。それに対して私が、遅くとも七月末までにお願いしたいと申し上げたのでありますが、その七月末という期日を切られては、どうもそこまでははつきり言えない。この点が、私の明確を欠く有田次官お答えであると言う点なのであります。それは御むりはないのでありますが、私のお伺いが少し言葉が足らなかつたのであります。そこをはつきり申し上げますと、実は有田政務次官のおつしやる通りに、もし選挙を実施いたすとすれば、小賣業者決定消費者選挙によります。それから卸の決定は小賣業者選挙によります。そうすると小賣業者決定して、卸の決定が行われる。これまでに、要する期間を大体二簡月と私どもは予想をいたしておるのであります。そうすると七月末までにやつていただきませんと、米、かんしよの供出に間に合わなくなる。こういう考え方がら七月末までにお願いしたいと申し上げたのでございますが、それについてもう一ぺん御明快なるお答えを伺つておきたいと思います。
  18. 有田二郎

    有田政府委員 御存じ通りに、これの発表は安本が行うのでありまして、私が決して逃げたわけでも何でもないのであります。通商産業省といたしましては、生産の面を扱つておるのでありまして、安本通商産業省農林省の三省が集りまして方針決定し、関係方面了解を得て、その方向にいくのでありますが、特に登録の問題につきましては、通商産業省といたしましては関係方面了解を得なければこれが行えないわけであります。現状のわれわれの考えとしては、おつしやる通りに全部やるべきであるという考えを持つておりますし、安本長官農林大臣も、大体その線で異議はないと思います。ただ日にちをここではつきり申し上げられないことははなはだいくじがないようでありますけれども、一應関係方向了解を得た上で発表いたしたい。これにつきまして安本農林省と話合いができた結果でありまして、ここであなたのおつしやる通り、七月という日にちに対してただちにお答えできないというのはそういう事情にあるのでありまして、あしからず御了承願いたいと思います。
  19. 吉川久衛

    吉川委員 ただいまの問題はよく了承いたしました。それに関連いたしまして、この登録小賣業者別の取扱い数量の割当は、消費者たる供出農民の希望する度合に應じて、地方長官において決定する。この度合いに應じてという問題について、有田政務次官お答えからちよつと私にはつきり受け取れなかつたのでありますが、私ども考え方からいたしますと、政務次官のお考え通り、けちな取扱いをさせずに、堂々と筋を立てたやり方をするのだというお考え通りにやつていただきまするとするならば、供出農民の希望する度合い、すなわち供出農民が現在の既存の小賣業者に幾ら幾らを要求すつと言えば、それも長官においてその向きをしんしやくしなければなりませんし、それからこの供出農民の希望が農業協同組合を希望しているのだとすれば、地方長官はその要求の度合いをしんしやくしなければならないと思うのであります。そこでそのしんしやくという言葉と度合いでありますが、私は供出農民の度合いに應じてという言葉は、農民は必ずしも農業協同組合のみを選ばない。私もかつて農業協同組合の実情を調査いたしましたときにそういうことを感じておりますので、むしろこの度合いに應じてという言葉の力が適切である。公平であり、むしろ筋が通つている。こういうふうに考えますので、政務次官の御所見をもう一度伺つておきたいと思います。
  20. 有田二郎

    有田政務次官 今度のこの問題は、ばれいしよと麦の報奬も問題でありまして、しかも日限が非常に切迫いたしておりまするので地方長官の意思にまかせるということになつたことはまことに遺憾の至りでありますけれども御存じ通りに、各縣とも非常に事情がかわつておりまするし、政府としてこれをこの際束縛をするというやり方よりも、むしろ供出農民の意向を十分参酌して、各縣において地方長官がその縣々の実情に應じて、今回のみの臨時的な措置でありますから、やつていただきたい。こういうような方向安本で御決定なつたもの、かように私は解釈しておるのであります。さらに先般も商工委員会でいろいろとつちめられたのでありますけれども、しかしながら今までのように商人が賣つてやるのだというような考え方の商人の所へは、おそらく供出農民各位は買いに來ないと思う。あなた方はすべからく買つていただくのだという昔の商業道徳に帰つて、そうして大いに努力される必要がある。かように申し上げておいたのでありますが、とにかく今度の臨時的措置には非常に御不満の点も多々ある。かように私は考えますが、今日の段階において供出農民の意向を十分参酌していただいて、地方長官において、その縣々の実情において御決済を願うというような方向に、政府自身が決定したのでありまして、あしからず御了承願いたいと思います。
  21. 大森玉木

    ○大森委員 今の有田政務次官の御答弁のうちに、商人は賣るのではなしに買つてもらうのだというふうに考えよというようにおつしやつたのでありますが、しかし私は報奬物資というのが——どうも私の考えが違うか存じませんが、私はこれは物を出したために報奬として、しかしてその報奬とは一体どんな字を書くのか、どういうものであるかということを考えてみるときに、あるいはこれを店舗にさらして、そして自由に販賣をするものとか、切符を持たしてやるという性質のものではなく、これは報奬物資として農村にはどれだけの衣料品を出すのであるか、大体地下たびなら何万出すのであるか、また綿類の反物であるならば、何千反出すのだということがはつきりいたしまして、これを報奬物資として農村に渡すぞ、こうあるべきものでないかと私は思います。これをこの前も農林大臣にお尋ねいたしたのでありまするが、今度は商業協同組合ができた。そこでこれはそうした法規に基いて賣るようなお話かがつたので、実は私ども遺憾に思つておりましたが、私ども考えは、今申し上げたように、報奬物資でありまする以上は、どうしてもあるいは農村團体が扱つて、そしてこれに対しては口銭などとるべきでない、あるいは前金などとるべきでない、こういうふうに行くことが報奬物資の趣旨でなければならないと考えるのでありますが、政務次官はいかなるお考えでございましようか。
  22. 有田二郎

    有田政務次官 私は農業のことをよく存じませんので、あるいは答弁に間違いがあるかもしれませんけれども、大森さんのお話は、戰爭中そういうような農業会というものがあつて、農業会を通じてそういうような方向で行かれておつたのじやないかと考えております。戰後農業会が解散されまして、元にもどる方向で、商人を通じて商行爲としてやる、さらに農業協同組合がそこに生まれまして競爭になつて來た。私はかように解釈いたしておるのであります。それが今度は自由に競爭することもまつたくけつこうである。私はかように考えておるのですが、戰爭中あつたように農業会というものがあれば、あなたのおつしやる通り、報奬物資だからそれを通じてやるという方向で行けるわけですが、戰後農業会が解散されましたために、そういうような考え方をして来た解釈いたしております。
  23. 大森玉木

    ○大森委員 農業会は解散いたしましたが、農業協同組合はそれに代るものである。農民として農業協同組合に加入していない者は一人もない。でありますからこれは何らかわるところはない。さらに私の問わんといたしましたことは、報奬物資でありまするがゆえに、これを自由販賣にしてマージンをとらして賣るべきものじやないじやないかと私は考えるので、その点をお尋ねをいたしましたので、この協同組合がいろいろなものを扱つております。單なる農民の一つの指導機関としてでなく、また農民の代表機関として残つておるものが農業協同組合である。この農業協同組合か扱うことに対しましては、決して私は不合理なことはない。戰爭中に強制的につくつたものでなく、自主的に農業協同組合が今日できておるのでありますが、有田次官の仰せられる、それはそういうものでなく、自由に賣買することもいいのでないかということは、私はそれを解することはできないので、私はくどいようでありますが、報奬物資でありまするから、報奬とはいかなるものを言うのであるか、報奬というものでありまする以上は、マージンをとつてそれを競爭さして賣らせるべきものではないのではないかという点を、もう一應お伺いいたします。
  24. 有田二郎

    有田政府委員 私が今申しましたのは登録の更新に対する競爭の自由を申し上げたのでありまして、自由に販賣することは、衣料が統制されておりまする限り許されない問題でありまして、さように考えておるつもりであります。  さらにこのマージンをとつてやることがいけないというお話でありまするけれども、これは一應農民の手に入るまでの一つの経路があつて、それに対する経費がかかる。かような見解を持つておりまするし、やはり品物が農民の手に入るまでの一つの商行爲である、かような見解をわれわれは持つておるのであります。
  25. 大森玉木

    ○大森委員 私のお尋ねしておることとちよつと違うように思います。私は報奬物資であるからと申し上げておる。だから報奬物資であるけれどもそれはそうじやない。報奬物資であるけれどもこれはこうだと言うならばいいけれども、それは農民に入るまでの経路としていろいろの経費にかかるから、とるのはあたりまえだというお答えは、私は承服できないので、私が申し上げておることは、報奬物資であるからその報奬物資にマージンをとることはいけないじやないか。お前の部落には幾ら、その他石川縣には農家が何万ある。それに対して何万足の地下たびが來た。これで私ははつきりと報奬物資の意味が徹底いたすのであると考える。これを登録して、登録によつて販賣するということであるならば、これは自由であります。登録することも自由であります。けれども品物は報奬として、出した物の見返りとして、性質があたり前に賣買さるべきものではないのであります。だれでも一律に買われるというものではないのであります。同じ農村におりましても、やはり供出をしない者には当らないというものでありまするならば、これは特別なものであり、特別な扱いのものでなければならないのではないか。私はこの点を申しておるので、今仰せられたように、マージンを出すこともそれにはやむを得ないでありましようが、私は特別のものではないかという点をお尋ねいたしたので、これはそうじやないと言うならばどういうお考えでありますか。これをはつきり承つておきたいと思います。
  26. 有田二郎

    有田政府委員 大森さんの御意見をよく政府として檢討いたしまして研究をさしていただきたい、かように考えます。
  27. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 有田政務次官に御質疑ありませんか——それではお諮りいたします。委員外の北二郎君より有田政務次官に対して質疑をしたいということでありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは北二郎君。
  29. 北二郎

    ○北二郎君 先ほどから有田政務次官の話を聞いておりますと、通商産業省は農業協同組合に対して非常に冷たい感じを持つている。いわゆる営利業者と比べて、何とか業者を擁護しなければならぬというように聞えます。一体通商産業省としまして、農業協同組合あるいは生活協同組合、今度できましたところの中小企業等協同組合に対しまして、今後いかなる方針、どんな態度で進むつもりであるか。それをお伺いしたい。
  30. 有田二郎

    有田政府委員 ただいま通商産業省になりました以前の商工省の纎維局の一部の中に、あるいは北さんのおつしやるような考えを持つておつた者があるかもしれませんが、私が政務次官になりまして以來はそういつた考え方はいけないという考え方をもつて、私はやつておるのでありまして、冷たい考えは持つていないのであります。
  31. 北二郎

    ○北二郎君 それでよくわかつたのでありますが、しからば先ほどから質問に出ておりますように、大事な農村の供出に対するリンク物資衣料品などは農民の自由にして、農民がこれだけ協同組合なら協同組合を通じてもらいたいということに対して、何もそういまさらきまつたんだからといつて、それを商工省で制限せぬでもいいと思いますが、この点を聞かしていただきたい。
  32. 有田二郎

    有田政府委員 御存じ通りに、農民の中でも商人からとりたいという者が絶対にないとは北委員考えてないと思うのでありまして、供出農民の御意向のままにやりたい。かように考えておるので、供出農民の中でもおれは農業協同組合に入つておるが、やはりあそこの店から今までの習慣上とりたい。かような人が絶対にないということを北君がおつしやるならば、これはおのずから別であります。これはやはり農民の御意向をよく考えてみなければならぬのでありまして、私どもは農業協同組合に対して決して差別的な考えは持つていない。かように御了承願いたい。
  33. 北二郎

    ○北二郎君 そうするとただいまの話を聞きますと、先ほどある委員から質問されておりましたが、いわゆる安本長官が言明したところの、度合いに應じてということを了承してようございますか。
  34. 有田二郎

    有田政府委員 その通りであります。
  35. 北二郎

    ○北二郎君 それじやこの前の委員会において言われておるところの、参酌でなしに、農民の要求する度合いに應じて、これでようございますね。
  36. 有田二郎

    有田政府委員 度合いに應じてということも参酌ということも、私はそうたいして違いはない。かように考えておるのでありまして、地方長官におきまして供出農民の意向を十分考えて、地方長官が自由に御決定になればよい。かような見解を持つておるものであります。
  37. 北二郎

    ○北二郎君 私の考えるところによりますと、この度合いに應じてということと、参酌ということは、非常に異なつて参ると思うのであります。その結果において地方長官が自由にする。度合いに應じてということは、農民の要求に從つて農民が農業協同組合に八十人おるうちから六十人やつたというときに、それをその通りにしてくださるかどうか、この点を聞いておるのであります。
  38. 有田二郎

    有田政府委員 それはその方面の地方長官の御意思によつて決定なさるのでありまして、その縣の事情々々に應じて地方長官が御決定になればよい、かように考えております。
  39. 北二郎

    ○北二郎君 それからこの際でありますから、聞いておきたいことは、近ごろ電源開発ということが非常にやかましく言われておりまして、特に水力電氣の開発ということは、北海道なんかでも非常にやかましく言われておるのでありますが、これを農業協同組合または個人でやる場合に、依然許可制、認可制でなかなか許してくれないというような状態になつておるのでありますが、今後農村電化のためにすぐ認可していただかなければならぬ場合があるのに、それがなかなかやれない、この認可制許可制をなくする御考えはないでしようか、この点をひとつお伺いいたします。
  40. 有田二郎

    有田政府委員 電源開発の問題につきましては、國をあげての重大なる問題でありまして、吉田内閣総理大臣におきましても、重大なる関心をもつてマッカーサー元帥とこの問題の交渉に当られておるのでありますが、北議員のおつしやることはごもつともであります。その線に沿うて最善努力をいたしたいと考える次第であります。
  41. 北二郎

    ○北二郎君 先ほども委員から出ました肥料問題でありますが、依然これは公團というようなものにまかせておられるようでありますが、自由党はかつて公團問題について徹底的に反対しておられたのであります。今後これをやはり自主的な協同組合にやらせる見通しがあるかどうか、この点ひとつお伺いしたいのであります。
  42. 有田二郎

    有田政府委員 肥料配給公團は、これは農林省の所管でありまして、農林政務次官からあらためてゆつくりお聞きを願いたいと思います。
  43. 北二郎

    ○北二郎君 この際でありますから安孫子長官にちよつと一言地方の問題についてお伺いしたいと思います。
  44. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 簡單に願います。
  45. 北二郎

    ○北二郎君 実は種子ばれいしよの問題についてお伺いしたいのであります。現在依然として種子ばれいしよが公團において取扱われておるのでありますが、これはやはり自主的な協同組合に扱わせるお考えはないかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
  46. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 北海道の種ばれいしよの取扱い問題については、ただいま研究いたしております。協同組合の御主張ももつともな点もありまするので、できるだけ取入れましてやつて参りたい、かように考えております。
  47. 北二郎

    ○北二郎君 御承知のように、種子ばれいしよというのは、これは主食ではないと思います。そこで今いかなる法のもとにこれがやられておるのか、食糧管理局なり、公團でやられておるのが、この点をひとつお伺いする次第であります。
  48. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 種ばれいしよでも食用にも供されますから、その区別が同じようなものでありますので、ばれいしよといたしまして、その前提で取扱つて行きたいと思います。
  49. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 北君あまり長くならぬように願います。お約束が違いますから……
  50. 北二郎

    ○北二郎君 そこで今後種子ばれいしよの扱いを協同組合にどういうぐあいにして扱わせるか、もう少し詳しく教えていただきたいのであります。
  51. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 その点をただいま研究しているのであります。
  52. 北二郎

    ○北二郎君 どうもありがとうございました。
  53. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 御要求の総理大臣は院内におられないそうですが、副総理は参議院の方におられて、こちらに参ることはできぬそうです。農林大臣、大藏大臣は関係方面に出ているそうであります。通商産業大臣は見えないようであります。それからあとの安本長官の方もおいでになりませんが、この際農林事務当局に質問あれば継続します。
  54. 井上良二

    ○井上(良)委員 この食糧確保臨時措置法の改正法律案で一番問題になつておりますのは、減額補正に対應して、増額された分を追加供出の法的措置によつてこれを供出せしめるというのであります。ところが、これは大臣にあとから伺うつもりでありますが、食糧確保臨時措置法をきめましたのは、農民の自発的な努力によつて増收した分は、これを農家の努力に報いるという観点から、農家のふところに残すというのが、この法律のできた根本的の建前であります。減額補正を一方において規定しているのであるから、増收になつた場合は当然その増收分に追加供出をすべきであるというこの意見の大きなあやまちの根本は、減額補正というものは、農民がなまけて、食糧増産努力をしなかつたがゆえに事前割当よりも減額をしたのではないのであります。農民努力というよりは、天候自然の関係から生ずることで、災害その他の被害によつて減額せなければならぬことになつているのでありまして、それを法的に規定してあるのであります。しかし増産ということになりますと、もちろん天候自然の関係もございますが、その基本を貫くものは、農民のひたむきな増産への努力であります。事前割当以上よけいとろうという生産意欲であります。そこでこの法律の規定によつて、事前割当以上とるならば、結局多く供出でとられるから、増産はよけいなことだという考え方をもし農民か持ちましたならば、一体日本の食糧の前途はどうなるかということを憂えたがゆえに、この食糧確保臨時措置法が國会を通過しているのであります。この点が全然今度の立法者には考えられていない。いわゆる減額補正をするから、当然増産をした場合には多く供出すべきであるという、簡單な考え方に立つて改正案が出されているのであります。ここに大きな食い違いがあり、われわれの納得のできぬところがある。そこで政府としては、本年度の食糧需給推算を発表している。これは單なる政府独自の発表ではありません。連合軍総司令部の許可を得て発表している。從つて本年度の生産目標はこれだ、供出して残つている数字はこれだ、だから、これだけ米がない、これだけ食糧の援助を願いたいということを申し出て、それによつて年間の需給推算というものが立つている。そこで供出の実情が、災害その他によつて非常に危いというような事態になりますのは、実は翌年度の——今年で言いますれば、おもに二十五年度の計画に入る分の生産であります。しかも本年政府が別に参考資料として出しましたこの二十四米穀年度の需給推算の中には、いわゆる追加供出による供出の石数、というものがはつきり出ていない。政府は本年は追加供出をやらぬでもいい、こういうことでこれがなつておりますか、それとも二十三年度産米の買入れ、あるいは二十四年度産米の買入れの数字の中に、追加供出数字が入つておりますか、その点を一應まず管理局長官に伺いたい。
  55. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 二十四米穀年度の下年期の需給推算を発表いたしておりますが、その中の二十三年度産米の買入れ数量につきましては超過供出米が入つております。麦につきましては事前割当数量を前提といたしてつくられております。
  56. 井上良二

    ○井上(良)委員 二十四米穀年度の下半期の資料というのはどれですか。
  57. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 ただいまの言葉が少し足りなかつたのでありますが、先般資料として提出いたしておりますものは、二十四米穀年度の需給推算でございます。
  58. 井上良二

    ○井上(良)委員 二十四年度の需給推算のうちで、二十四年度産米の買入れ百五万トンという中に入つておりますか。
  59. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 百五万トンは二十四年度産米でありますが、これは御承知のように早場米の買入れ予定数量でございます。
  60. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうしますと、この前政府農民の自発的協力によつて要求いたしました百三十万石の超過供出は、二十三年度産米買入れの二百五十九万二千トンの中に入つておりますか。そうしますと、ここで伺わなければならぬのは、政府といたしましては、年間必要な最高の供出量を國内産の主要食糧でどれだけに押えておりますか。これがはつきりしないと、超過供出のわくもわかつて來ないことになります。この数字、これが大体二十四米穀年度における需給推算としますならば、少くとも二十四年度差米の生産割当、あるいはまたかんしよの生産割当がそれぞれ昨年度より多くなつております。もちろんこれは人口増加その他を加味されておるかもわかりません。また肥料その他の配給によつて、反当收量が多くなるという見地から割当を多くしているところもあろうと思いますが、一体政府はなんぼ農民に出さしたらいいのであるか。絶対量はこれだということが平年作において明らかになりませんと、いつも農民政府がきめて來ますところの追加供出の強権のためにふるえなければならぬのです。なんぼ言うて來るやらわからぬという不安はいつも除かれない。そういうことでは結局今の納税みたいなもので、こちらが申告しましたことをそのまま正直に査定をしてくれません。やはり上は上で見込みをもつていわゆる更正決定をやつて來ます。從つて政府は主要食糧で生産がこれだけある。これだけを限度にしては現状のままでは——從つてこの数字にくるいが生じた場合は、これをアメリカの方からも不足分として百八十万トン援助を受けておりますから、当然國内で何とかやりくりをしなければ、アメリカの予算をかえるわけに参らぬということで國民も納得し、また供出の面で、配給の面でそれぞれやりくりしますが、一体政府が確保しようとする最高の数字、絶対量は一体なんぼに押えようとしておるのか。これを明確に願いたいと思います。
  61. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 二十四年産米並びにこの秋のかんしよにつきましては、昨年の十一月に定めました事前割当数量、あれを期待いたしておるわけでございます。
  62. 井上良二

    ○井上(良)委員 そういたしますと、二十五米穀年度において万が一不足をするかわからぬという予測のもとに、追加供出をしなければならぬことになりますか。その点を伺いたい。
  63. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 これは從來とも申し上げておるのでありまするが、災害はどこかに必ずあるのが普通じやないかというふうに考えております。私どもとしましては、全國一つも災害なしに、補正をしないで済むという事態はまれな場合ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  64. 井上良二

    ○井上(良)委員 災害によります分は、さいぜん申しました通り、これは農民自身の努力によつてどうすることもでき得ない自然の暴威であります。この暴威を農民の犠牲によつて、その負担によつて、これによつて被害を受けた補正分を中央補正、あるいは地方補正でしなければならぬ。その補正分として超過供出を別の面で出せ、こういうことは一体どういう考え方に立つて言えるのですか。一應この点を明確にしてもらいたいと思う。
  65. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 災害のあります所にはどうしても十分補正をしてやらなければ、その農家は非常に窮乏いたして参りまするので、この点は十分努力して参りたいと存じます。一面増産をいたしました農家につきましては、ただいまの制度におきましては、それは農家の手持になるわけでございますが、國全体の需給の観点からいたしまして、また日本経済再建に食糧問題が最も基本的な問題であるという点からいたしまして、幸いにいたしまして生産者の努力の結果増收のありました場合、一方に減額をするという事態がございませんければ、これは問題ないのでありまするけれども、一面において減額させざるを得ない農家がありました場合には、増收いたしました農家にある程度の供出をしてもらいたいというのが、根本的な考え方になつておるわけであります。災害がございませんければ、そうした増産努力されました農家から、追加供出をしてもらうということも考えなくてもよかろうかと思います。また追加供出をしてもらうと申しますか、増額をすると申しますか、それにいたしましても、せつかく努力をしてやられた結果のものでありますゆえに、それを全部供出してもらうというようなことは、私どもといたしましては考えておりません。そういう考え方でこの法案の基本ができておる次第であります。
  66. 井上良二

    ○井上(良)委員 これは非常に大事なところでありまして、私がさいぜん申しました通り、そもそも食糧確保臨時措置法を議会が通過させたのは、從來の供出制度に全國の耕作農民供出農民の不平と不満が集中されて、これは政府当局自身も、何とか今までのやり方を改めなければいかぬという世論の上に立つて、この食糧確保臨時措置法というものができたのであります。これはあくまでも一方においてはまじめに働く農民努力を認めて、いわゆる精農を奬励するとともに、惰農を防ごうという見地に立つてこの法律はつくられた。ところが今度いわゆる自然の暴威による災害その他の被害によつて減額をしましたから、よけいとれたものは出せ、こういうことになりますと——それは別な政治的な方法によつて農民の協力を求める対策によつて十分これは出て來るのです。その面を十分に考えずに、ただ法の力によつてこれを出さそうというところに、われわれの割切れぬ問題があるのです。これは前会の委員会においても議論をされました通り、また全國の農業團体、農民組合の代表者からもそれぞれ陳情があります通り、法によらずとも政府がこれだけ出してくれと言えば出しておるではないか、何も法によつて縛る必要はないじやないかということを明らかに言つておるのです。また現に本年の超過供出は法的基礎によつて政府がやつたのではない。まつたくこれは農民の協力を求めて、各縣のそれぞれの関係者の非常な努力を求めて、いわゆる政府が割当てた以上のものが出ておるわけなのです。この生きた事実を何で司令部に持つて行つて、司令部の賛成を得ないのですか。何も司令部の命令だからといつて、それをそのまま——法的措置を講ずべしという命令があつたにしても、それはかえつて食糧の供出を阻害し、増産を阻むことになるからということを、よく話をするとしますならば、これはよく司令部でも了解してもらえると思う。それは現実に日本農民が精魂を傾けて收穫したものが、政府の言う通り、司令部の命令される通り出ているのです。出ていなければ、これは法的な力を講じてあらゆる努力をしなければならぬと考えますけれども、現実に政府の言う通りそれぞれ供出においても、超過供出においても出ておるのです。ただ減額の場合と増額の場合とは性質がまつたく違うのです。この点を立案者であるあなた方が、もつと眞劔に農民の立場に立つて考えてやらなければ、わが國の食糧増産の確保はできないのです。またこれがもし通過するというようなことになりますならば、現行の事前割当という方法は必要がなくなつて來るのです。増收したとだれが一体認定しますか、だれが一体それを認めますか。結局は坪刈りなり、檢見なり、反当收量を押えないと、増收しておるか、していないかということは、事前割当からわからないです。そうすれば結局從來の惡法であつたいわゆる收穫期における供出数量の決定と同じことが、再び今度繰返されなければならぬ。そうするならば事前割当は必要ないのです。そんないらぬ手間をかけて会議会議で日を遅らして、実際末端へ行きますとたいへんなことになつているのです。政府もまたこのため莫大な金を使つているのです。出來秋だけでいいのです。出來秋のときに減收されておるか増收されておるか、これ一本でいいのです。事前割当のような規定は必要ないのです。農業計画なんて政府だけが持つておつたらいい、農業計画は、できたらできたものからとるという一本でいいのです。できたらできただけとられたのでは働きがいがない、やりがいがないという農民の切実な要求に基いて、この事前割当の法律はきめられているのです。われわれ当時この法の立案者として、議会へ提出した責任者として、これが再びわずかの経驗によつてひつくり返されるというほど、日本の食糧事情というものが、それほど窮屈な状態になつていないとわれわれは考えておる。逆に日本増産がどんどんされ、他の工業生産に比べますならば農業生産は戰前の九十パーセントにも近いほどの能率をあげておる。まつたく資材と資金とあらゆる不足する困難な中に立つて農民努力によつて戰前の九十パーセントまで生産を高めているのです。この事実から私ども考えて、何でもそれをもつと司令部に話をしないのだろう、何でもつと強い要求をしなかつたのだろうと私どもは心外でならぬのです。実際言いますと、農民がなまけて政府の言うことを聞かぬ、司令部の命令に從わぬというのならば、これは何をか言わんであります。逆であります。あなたの方では、依然としてこの増産分についてはと言いますけれども増産農民努力でなしに、天候、自然の関係増産されるとあなたは考えておりますか。これは子供に質問するようなことですけれども、そんなことを言わなければならぬような結果になつてしまつた。そういうことですから、ひとつそこを伺いたいと思います。
  67. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 増産いたしますのには、やはり生産者の非常な努力によりまして生産がふえる、しかし農業生産につきましては、場合によりましては天候の問題も相当大きいものと考えます。
  68. 井上良二

    ○井上(良)委員 それからいま一つ伺いたいのは、増額供出分について全部とろうというのではない、なるほど法の内容を見てみますと、政府の手心によつて一部保有を認めるということは規定してある。しかしこれは作況その他特に政府が必要と認めたときということになつてつて、ほんとうに増收分を一部農民努力に報いるために農民のふところに残してやろうというのならば、作況その他特に必要のあるというような文句は、これはいらぬ文句じやないかと思うのです。これを削除する考えはありませんか。こんなものをつけておくことがややこしいのです。この点を伺いたい。
  69. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 やはり作況その他によつてその辺はきめるべきでありまするので、一應そういう考えをいたしておるわけであります。
  70. 井上良二

    ○井上(良)委員 それですと、結局政府のさじかげんで、保有自身もとられてしまうということがあり得ると私は思うのです。これは参議院の方でもずいぶん議論になつたと思いますが、この超過供出については、やはり課税が依然としてされる。單に課税がされるだけならいいですけれども、これが全供出の総量に加算をされて、総合供出になるところから、せつかく超過した分が高く買われましても、総合課税の全体の計算から行きますというと、いわゆる三倍買上げの報奬的な措置というものが全然抹殺されるということになるのです。そこを政府もまた考えて、一部超過供出分のうちでは保有を認めよう、こういうことになつておるのでありますから、まつたくこれは單純に、いろいろそこに政治的なややこしいことを考えずに、供出のうちの何割なら何割は保有に残すということに、はつきりした方かこの際いいではないかというぐあいに私は考える。さらに中央補正と地方補正という明分を今度の法律でいたしておりますが、何で中央補正一本でいたさないで、地方補正というややこしい制度を、この際どういうわけで一体認めたのですか。このために昨年の地方補正が各縣それぞれ違いまして、いろいろな問題を起しておるのです。まつたくこれは縣知事の一つの責任においてやらなければならぬというところから、いろいろな問題がこれに付随して來ておるわけです。政府が減額補正をいたします場合に、それは全國的に集計をいたしまして、全國的にそれは按配をしてやるべきであつて、各縣内に中央、地方と二通りの補正があるということは、非常に問題が起つて來ます。これを一本にする必要があると思いますが、そういう考え方はありませんか。
  71. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 農家の保有をある程度認める、その率をきめたらどうであろうかというお尋ねでありましたが、これはやはり作況あるいは需給の近郊という観点から、いろいろかわつて來ると思いますので、率をきめますことは適当でないと考えております。非常にいい年を考えまするならば、あるいはこうした増額補正をしないで済む年もあろうかと思います。なお窮迫した年を考えますれば、その率が相当低いという事態も考えられる。ここで率をきめますことは、そうした彈力性を持たせる意味において適当ではないと考えますし、また生産者の立場から申しましても、その率をきめますことは、かえつて不利ではないかと私ども考えておるのであります。いろいろな観点から檢討いたしました結果、その率はきめないのが適当であろう。きめるべき性質のものでないというふうに考えた次第でございます。  それから地方補正をなぜ認めたかという点でございますが、地方補正が昨年の米につきまして、いろいろ地方的に問題を起した点は了承いたしております。その問題の一番大きい原因は、減額はするけれども、増額について法制的な措置が講ぜられないという点に問題が帰着するようでございますが、その点が本法の改正によりましてできるといたしますならば、地方補正は、昨年のようないろいろトラブルを起した問題は大体解消すると考えましたし、なおこの地方補正につきましては、縣のいろいろな実情によりまして、この辺を彈力性を持たせることが、食糧の需給の観点、あるいは適正なる補正等を完全にやつて行きますために適当と考えまして、いろいろ議論はいたしてみたのでございますが、地方補正を認めることが適当ではないかという結論を得まして、今回の改正案を立案した次第であります。
  72. 井上良二

    ○井上(良)委員 先に私が申し上げました減額または増額の補正のわけ目の問題ですけれども、問題は実際減額をどれだけしておるか、あるいはまた増額をどれだけされておるか。いかに増額補正をすべきであるかというのは、これは減額の補正の割当会議といいますか、そういうものをまず刈取る前にいたしまして、それで大体どれだけの穴があるというところから、第二次増額補正割当会議というものが事務的には開かれるのでありますか、そうしないと第八條に規定してありますように、需給の均衡を保持するという見地から考えますならば、年間需給がただちに立てられて、それによるところの事業割当の生産量、保有量、供出量というわくがきめられて、これで災害その他やむを得ない被害による減收がこれだけある。そこで補正をこれだけする、その補正の結果これだけの穴があいたということで、第二次のいわゆる増額補正の会議というものが開かれて、それが再び割当てられることになると思いますが、そういう行き方をするのか、それともどういう行き方をするつもりでありますか。
  73. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 大体その年の作況によつていろいろ違つて來ると思いますが、観念的には二回にわけるということが、通常の場合には考えられると思います。しかしながら非常に一部地帶のみが作況が惡くて、そのほかが非常にいいというような場合には、二回にわける必要もない場合もあり得るかと思いますが、その辺はやはりその年の作況によることになろうかと思います。
  74. 井上良二

    ○井上(良)委員 これは非常に大事なところですから伺うのですが、一部地方に被害が起つたならば、それは全体的に大きな数字はくるいがないですから大したことはないと思いますけれども、たとえば昨年東北のような水害、災害等が起りまして、相当の被害があつたと仮定します。そうしますとこの影響力は相当廣い範囲にわたつておる、こういう場合に一應減額補正の実地調査と、それから縣側から申し入れて來ます実際というものとをつき合わした上で、本年の減額はなんぼ認めるということがきまり、この不足分はどこで一体補いをつけるかということになるだろうと思います。從つて時期的に考えますと、それは同時に作況調査その他によつて大体事前割当の上下におるかということがわかりますが、しかし実際の実数をつかまなければ、あと追加供出してもらう目分量というものがきまりませんから、どうしても私はそういうことになろうと思います。從つて最初減額補正の会議をやり、その次に増額補正に入る。これは時期的にずれると考えておりますが、ずれませんか。ずれるというところに問題があるわけでありまして、農民は事前割当通り出したらいいと考えておつたところが、あとからまた追加割当が來る、実は減額補正の会議で全國の減額量がわかつておりますから、ただちにそれに伴つて穴埋めするための超過供出はこれだけということがそこの同一会議できめられて、減額する分と増額する分との率が一緒に下りると、供出その他の上に非常に都合がいいのですが、あとから不意打ちされるというところに、実は農家にとつては非常に困る問題があるのです。これらの点についての意見を伺つておきたい。
  75. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 観念的には別になるわけでございますが、ただいまもお話がございましたように、減額補正のための調査を行います場合には、大体どの地帶は平年よりもいいというような見当がおおむねつく、惡い方だけでなく、いい方も一應調査がされるわけであります。その辺でけじめがつきますので、やはりその年の状況によりまして、この二つの会議を開くかどうかという形式的な問題は残るかと思いますが、観念的には別であるけれども、時期的には、作況等によりますればやはり同時にやるような場合もあり得るでありましようし、また諸般の状況からいたしまして、別になる場合もあろうかと思います。一律にどちらというわけには参らぬのではないかと思つております。
  76. 井上良二

    ○井上(良)委員 政府としましては増額補正になります分について、價格はやはり三倍ですか、それとももつと上に上げてやるという考えを持つておりますか、この点を伺います。同時にこれは参議院からも、他の委員からも質問があつたのでありますが、増額分に対する免税の問題、あるいは源泉課税の問題、こういうことに対して、國会としてはずいぶん議論を昨年來いたしておりますが、その後政府が大藏当局なり司令部に対して、これらの問題について折衝しました経過について、実際の責任者としてのあなたから明確にしていただくことが、この際必要であろうと思いますから伺つておきたいと思います。
  77. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 事前割当数量以上に供出いたしたものに対しては、やはり特別價格をもつて買い受けることによります。この價格は昨年は三倍價格でございまして、本年どの程度にするかについてはただいま折衝中でありまして、まだ正式に話を申し上げる段階にございません。  それから超過供出に対します免税あるいは源泉課税の問題につきましての、從來の私どもの折衝経過はどうなつておるかというお尋ねでありますが、実は私この仕事を担当することになりましたとき、ちようど免税問題が非常にやかましいときでございます。その当時の内閣におきまして、免税をするということをある程度國内的には正式に発表されておつたのであります。生産者はおそらくこの点を期待し、また眞実であると考えておつたろうかと存じます。ところが実は日本政府内部におきましても、確定しておらなかつたのであります。いわんや司令部との折衝は全然ない状態において、私はこの問題にぶつかつたわけであります。端的に申しますならば、まことにうかつな話で、結果において生産者をだましたような結果になつておるために、はなはだ相済まぬ問題であると考えまして、大藏省当局ともいろいろ話をし、とうていこの問題は当時の情勢といたしまして、免税ということは不可能に近い問題でありましたがゆえに、これを源泉課税にするということについては大藏当局とも話をしたのであります。大藏省はこの点については賛成をしなかつたのであります。しかしながらわれわれの意のあるところを述べたいという趣旨からいたしまして、大藏当局とも司令部の担当者に対しまして、その問題を提示をして折衝いたしたのでありますが、とうていこれは日本政府内部としても決定されておらない問題でありまするがゆえに、その解決を見ることができなかつたのであります。そのために結果的に源泉課税をしたと同じようなある程度の措置を講じたい。こういう意味からいたしまして、超過供出分につきましては、その金額を総合課税の全額の中に入れないように、ある程度控除するということを考まして、この点についていろいろ折衝いたしたわけであります。一般論ではどうしても当時の情勢としては通りませんので、実質的にその点を解決したいという考え方から、そういうような交渉をいたしたわけでございます。この点につきましては、大藏当局も超過供出の重要性について相当認識を持つてくれまして、協同歩調をもつてこの交渉に当つた次第でございます。この点はある程度の割当分といたしましては解決を見たと考えておるのでありますが、最後におきまして、これを全國一率に措置することについて、現在の所得税法の建前から非常に困難な事態に立至りましたがゆえに、これをはつきりいたし、また全國一律の措置をするような通牒にはならなかつたのであります。実情に即して相当の超過供出の奬励といたしましては、また先ほどからお尋ねがございましたように、農民が増收をいたしますについては、非常な努力を傾倒しておるのであるという観点からいたしましての、努力に報ゆるための、ある程度の減税措置というようなものを実体的にはとり得るような措置をいたしたのでございます。その後この改正法案を提出するにつきまして、どうしても税の問題は解決を見なければならぬということで、再三この点は折衝を重ねたのでありますけれども、司令部としても五月にシヤウプ博士が來るので、それまで所得税については手をつけるわけに行かぬ、こういうことで、そのときにおいて解決すべき問題であるという点において、この法案を提出いたします際に、同時にその問題の解決策を提示できなかつたのであります。しかしながらわれわれの腹案といたしましては、この委員会におきましても一つの案といたしまして、農業課税の問題にと超過供出に対する問題のわれわれの考え方を試案として御檢討を願つたときもあつたのでありますが、その後参議院等におきましても、眞劍にこの問題に取組んで参つてつたのでありますが、いまだ不幸にいたしましてその結論を得ておらぬという状況でございます。概要從來の経過を申し上げました。
  78. 竹村奈良一

    竹村委員 ちよつとお聞かせ願いたいのですが、二十四年度のいわゆる事前割当の生産が達成された場合においては、いわゆる配給農家に対して米だけで一箇年何ぼ渡せることになるか、この点を。
  79. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 その点は実ははつきりはしいておりません。もし間違つておりましたらあとで訂正をいたしたいと思いますが、おそらく年間を通じまして五〇%と六〇%の間でなかろうかと思います。
  80. 井上良二

    ○井上(良)委員 税の問題が合理的な解決ができない、ただその増産に対して、いろいろな資材なり労力なりその他諸経費が相当かかるから、その分を大幅に認めるようなことより方法がない、こういうことで、これに対する何らの対策がまだ具体的に立つていないようでございますが、そういたしますと、私はこの際ひとつ別な案を出してみたいと思います。御存じ通り増産というのはまつたく農民の必死の努力によつた結晶でありますから、そういうような増産を——國全体の食糧不足を救うという大きな國家的任務を追わされる追加供出でありますから、國としましても、これら追加供出をいたしました、また割当てられただけを完納いたしましたものに対しまして、物質的にいろいろな報奬措置が講ぜられることは当然でありますが、実を申しますと、それらを割出てて完納いたしましたところの部落、あるいはまた市町村に対しまして、たとえば農業共同施設に対する政府の補助金を、政府から別にこれに出す、特別な補助金をする、そういう措置を一方にしいて講する必要があるではないかと思うのであります。これはあなた方の方で立てられました食糧一割増産運動と言いますか、この運動の中においてこまかい増産対策がきわめられておりますが、特に予算的措置を講ずるようなものはみな削つてしまつておる。そうしてまつたくお説教的な増産措置だけが発表されておる。これでは何にもなりません。だから政府の方ではこの百三十万石なり、百五十万石をかりに超過させますならば、これを外國から買つたといたしました場合に、一体補給金をなんぼ出さなければならぬかという計算をしますと、相当莫大な補助金を出さなければならぬことになるのです。そういう点から考えまして、この非常なる努力による超過供出を完納いたしました市町村及び部落に対し、その部落共同の農業施設を政府が特別な補助をもつてやる、こういう新しい道をこの際特に開く必要がないかと私は考えますが、この点に対して政府の御意見を伺つておきたい。
  81. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 御承知のように、農林省の従来の補助金政策というものに対しまして、非常なる檢討を加えられて、ただいまこの補助金政策についての最も困難な時期に逢着いたしておるのであります。この辺を打開いたしまして、農村の物的設備、あるいは新しい意味の補助金政策というようにものを打建てて参りますためには、ただいまお話のごさいましたような観点に立ちまして、これと眞劍に取組んで参ることが適当ではないかと私は考えます。
  82. 井上良二

    ○井上(良)委員 これはあなたの方の所管と違いますから、あなたの方は供出をされた米を買い取つて配給するというのがおもな任務ですから、増産の面についてはどちらかというと隔靴の思いがするのですが、実際言いますと、実はそこが大事でございまして、今申しましたような補助金の問題が、農林省として非常に問題になつておる、これは私どもつております。ところが、私ども考えから行きますと、日本の農業自身は御存じ通り零細な農業で、その上に食糧というものがまつたく國の管理になつておる。自分でつくつた米でありながら、自分で價格をきめることができず、自分で一粒の米もかつてにすることかできないというわくがはめられておるのです。しかもその買い上げられる米價というものは、実際諸外國の穀物相場に比して安いのです。こういうようなあらゆる惡条件のうちに、農民が國の要請による食糧増産をやつておるという現実を、よくひとつ司令部の方にも了解を願つて——いわゆる食糧増産全体というものが國のわくの中にあるわけなんです。これは他の工業とちよつと意味が違うのです。そういう点からこれに対して保護的な政策を拔いた場合は、一体日本の農業はどうなるかということが、すぐ結論として出てきます。これが農民の自由意思によつて、私企業としてかつて氣ままにやれるということならば、これは何も政府の補助を受けなくても、保護を受けなくても、生産費を割出して、生産に償う米價で買うてもらえばいいのです。ところが実際はそうなつてないのですから、ここに政府として保護の手を差延べ、補助をしてやつて十分農業が成立つような経営へ持つて行く、また國の必要とする食糧が確保できるような増産をやつてもらうということが、絶対的に必要なのです。一方にわくをはめておいて、片一方には何らの保護政策をやらないということは、これは片手落ちもはなはだしいやり方である。そういう点についてわれわれも努力が足りませんが、政府といたしましても、積極的に司令部の方にわが國の農業の実際のあり方というものを話をされて、個人の利益を対象とする事業には補助しないというような考え方は、根本的に改めてもらわなければならぬと考えます。特にあなた方は食糧の需給の責任者としまして、食糧増産に無関心でおれないのでありますから、食管全体があげて増産の方に一大努力を費すことを願わなければならぬ。私は特にあなたにその決意を、いわゆる省内において、あるいは向うとの話合いの上において、積極的にやつてもらいたいと考えますが、この点に対するあなたの確信ある御答弁をお願いいたします。
  83. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 端的に申しまするならば、食糧問題は食糧の増産をおいてほかに根本的な解決の方法はなかろうと考えておりますので、ただいまお尋ねの点につきましては、食糧管理局としてできるだけ担当の局とタイアツプいたしまして、努力をして参りたいこ考えております。
  84. 井上良二

    ○井上(良)委員 いま一点大事なことで伺つておきたいのは、今度の改正で、從來農業計画なりあるいはまた補正その他の問題は、大体市町村から府縣を通して政府に申告をされる。それを政府の方では中央農業委員会にはかりまして、大体の方針をきめて割当をやつておつた。とこるが從來のそのやり方をやめて、今度は府縣知事と中央農業調整委員会とのこの二つだけの意見を聞いて、上からおろして行こうというやり方らしいのですが、もちろんそれらのことについては、異議申立てをすることは認めておりますけれども、これはほとんど実際は実行できないことになつてしまうのでありますが、そういう天くだり的な方針にかえたのは、どういうところからそうしなければならなくなつたのですか。
  85. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 減額補正の場合は、昨年におきましても実際問題としてやはりお話がございましたように、市町村から郡の地方事務所を通じ縣に集まりまして、そうした減額数量に基いて中央においていろいろ檢討を加えてきめておつたのであります。この法律におきましても、府縣知事の意見に基きというのは、府縣知事の意見のみでなく、府縣知事におきましてはただいま申し上げましたような趣旨の、そうした資料を十分整理をいたしまして、その整理をしたものをもつて知事と十分意見の交換をしてという意味でございますので、從來とかわつた措置は実体的にはないと私は考えておる次第であります。
  86. 井上良二

    ○井上(良)委員 いま一点、これは他のことですけれども、先般新聞によりますと、アメリカの対日援助救済資金と言いますか、それが相当減額されるということが報道されておりますが、そうしますと、昭和二十五年度の上半期の輸入食糧は大体どの程度になつておりますか。それから本年の米穀年度需給推算にあります通り、大体明年も百八十万トンの不足は推算が立ちますならな、その百八十万トンのうちで、いわゆるアメリカの援助による食糧がそのうちの何割を占めるか、あと何割はいわゆる日本貿易の帳じりによつて買う、輸出貿易の振興によつてこれをまかなうという一つの見通しを立てておかなければいかぬと思いますが、それについての見通しを立てておりましようか、この際伺いたい。
  87. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 來年度の需給計画につきましては、いろいろただいま檢討を加えておるわけでありまり。私ども需給の方面について檢討を加えておりますと、特にそういう感じを持つのでありますが、先ほど井上さんから食糧事情は非常に安定をして、こういう改正法律をするような客観的情勢にはないのであるというお話があつたのでございますが、われわれの感覚といたしましては、そういう実態ではないという感じを深くいたしておるものでございます。詳細の経過を申し上げる段階にございませんので、適当な機会に申し上げたいと存じまするが、ことしは輸入食糧が百八十数万トンで需給の操作が一應目安はついておるのでございますが、來年度に相なりますならば、人口の増加もございますし、あるいは労務加配等においての問題もありますし、それからそのほかいろいろな関係からいたしまして、百八十万トンや二百万トン程度では需給がつかないというのが來米穀年度の見通しでございます。要するに、國内の二十四年の産米についての供出割当数量が、その前年よりもふえておるわけでありますが、はるかに需要はそれを突破しておる。從つてその差額はこれを輸入に仰がなければならぬという状況であります。その絶対量は、本二十四米穀年度において推算をいたしておりますような、その程度の数量ではとうてい間に合わないという状況でございます。しかも新聞に報道されておりますように、下院におきましては対日援助費が相当減額されておりその差額をコマーシヤル・フアンドで補うことになるわけでございますが、その前に実はまだ対日援助費がそのまま通過するといたしましても、コマーシヤル・フアンドで來年のわれわれの要求し得る食糧の数字が確実に入つて來る見通しは持つていないのであります。要するに相当資金不足を來しておるという実情であります。コマーシヤル・フアンドでなくてガリオアがあれだけ減りますと、なおまた見通しのつかないものにそれをプラスしなければならないという状態であります。詳細申し上げることができませんので、はなはだ隔靴掻痒の感があると思いまするが、結論的に申し上げまするならば、日本の食糧事情は、先ほどのお話のごとく非常に好転をして、もう大体安心であつて、手を拔いてもいいんだという状態ではなくて、むしろわれわれとしては、より一層問題が困難性を増しつつあるというような感覚のもとに問題を考えておる次第でございます。
  88. 井上良二

    ○井上(良)委員 これは委員長にもお願いがあるのでありますが、今食管の長官は、日本の食糧の前途がなかなか油断ならぬということを話され、また先般坂田委員からも、食糧の実際についての確固たる意見をこの法案の審議にぜひ政府委員から伺いたい、こういう希望もごさいました。本日できませなければ、明日午前中にでも大臣、食管の長官及び関係政府当局の出席を求めまして、祕密会において、ゆつくりその内容の詳細にわたつて報告してもらうように、委員長におとりはからいを願いたいと思います。
  89. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 承知いたしました。
  90. 深澤義守

    深澤委員 この食確法の改正は、まつたく全日本農民が大きな眼をもつて注目している問題であります。これに対してわれわれ委員会といたしましては、政府與党を問わずに、非常に熱心にやつて來たと思うのであります。しかしながら会期もあますところわずかになつておるにかかわらず、政府当局はまことに不熱心である。これは與党から要求しておるところの総理大臣の出席すらも、ここすでに三、四日を経過するにかかわらず、何ら具体的な運びになつていないのであります。こういう点につきまして、われわれは食確法の審査にあたつては、委員会は熱心であるが、政府自体がまことに無責任である、こういうことが言えると思うのです。この点はまことにわれわれは遺憾の意を表することにいたしましても、おそらく全委員一致すると思うのでありますが、もし明日開きますならば、政府は要求した各省の大臣全都顏をそろえてもらわなければ、この重大なる法案の審議は遂に不可能になるのだという考えをわれわれは持つのであります。それで管理局長官に一言だけ井上委員の関連質問としてお伺いしたいのでありますが、大体この事前割当というものは、災害なかりせばという最大限度の数字を目標として割当てられておると思うのであります。從つて減額補正問題が災害の実情に應じて行われるのでありますが、われわれも縣の食糧調整委員といたしまして、この減額補正の折衝にしばしば当つたこともありますが、政府自体はこの減額補正の基準というものに対して、何ら今まで確信がないのであります。その点は先ほども長官の言われたように、知事の意見を聞くということになつておりまして、もちろん知事全体の意見は採用されないことに間違いないのでありますが、しかし政府自体が、しからば農林省の出先機関である食糧事務所の調査というものを採用するか、あるいは作物報告事務所の中間報告を採用するか、こういう基準が一つもないのでありますが、今までは一体どういうところに基準を置かれて、減額補正をやられて來たか、これが実情に基いて万全に行われていないために、安全保有農家の飯米、あるいは一部農家の飯米等に大きな食い違いを生じまして、縣、農林省ともに苦しみ、かつ農家にそれ以上に苦しむというような状態が続けられて來ておるのであります。今まで農林当局は減額補正の基準をどこに置かれたか、どこの資料に上つてこの減額補正を認められて來たか、今後は一体どういうところに資料を求めて、この減額補正をやつて行かれる考えを持つておられるか、この点をひとつお伺いしたいのであります。
  91. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 昨年は食糧事務所の調査によりますものを基本といたしまして、これに府縣知事の意見に基く諸資料等を加味して減額補正をいたした次第でございます。本年は縣全体の、あるいは地方別おそらく郡ぐらいまではできるかと思いますが、郡市町村まで大体作報でどの程度の減額であるかということを調査いたす予定になつております。それを個人別にどの程度であるかということに、これは食糧事務所において担当してやろう、こう考えております。この資料を基本といたしまして、府縣知事の意見を聞きまして決定をして参りたいと思つております。
  92. 深澤義守

    深澤委員 関連質問でありますから、そう長くはできませんが、この点はわれわれ今まで折衝いたして参りまして、事実われわれの属する縣におきましては、食糧事務所の認めた数字、あるいは作報の認めた数字、そういうものすら全然無視されて今まで減額補正か行われておつた。ただ政治的な折衝というようなことによつて解決されて來たために、非常に苦しみをいたしているのであります。建前といたしまして、食糧事務所の数字を採用したということはわれわれ信ずることができないのでありまするが、今後といたしましてはそういう点をひとつ十分基準を明らかにしてやつて行かなければ、地方も納得できないと思うのであります。いずれ各省大臣に対しての質問は、あと十分でございますので、その点は保留いたしておきますが、私の関連質問はこれで終ります。
  93. 井上良二

    ○井上(良)委員 昨年の二月二日に農林次官より各都道府縣知事あてに耕地の地力等に関する調査実施の件という通牒を出しておるが、耕地調査表までつけて耕地面積、地力等級、作付面積等にわたりまして調査要項を発表し、依頼をしておるのでありますが、これはどの程度進んでおりますか。それでこれに対する経費その他はどうなつておりますか。もしおわかりでございませんでしたら、あしたまでにひとつ調べで來て答弁を願いたいと思います。
  94. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 調査いたしまして、明日御返事いたします。
  95. 井上良二

    ○井上(良)委員 今深澤君からの質問にもありました通り、問題は減額補正なり、増額補正の基準が問題になつて來るのでありまして、つまり作報の調査と申しましても、作法の実際の末端組織というものに、まだそれを安全にやり得るだけの組織になつていないのです。それよりもあなた方にありますところの各食糧事務所の調査課を通じまして調査をした方が、より正確なものがあがつて來るのです。作報の方が実はもつと頼りないのです。その頼りないやつの報告を作法だと言つて、集計予想を発表したりいろいろいたしますために、これがただちに関係筋に正確な数字を発表したように傳えられて、とんでもない目に会うておるのです。そういうようなものをあなた自身が信用してかかつてもらつたらえらいことになるのです。やはりそういう行き方をやろうとしているのですか。それはちよつと困ると思いますが、その点今一應確かめておきたいのです。
  96. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 端的に申し上げますれば、作報の現状はまだ十分というわけにはいかぬと私も了承いたしております。ここ三、四年たちますれば、ほんとうに本格的な機能を発揮し得ると思うのでありますが、この資料のみを基礎といたしまして処理をいたしますことは、行政的には十分でないと考えますがゆえに、ただいまのところはもちろんこれをおもなる資料として処理はいたしておりますけれども、食糧事務所の報告、あるいは府縣の報告というものを総合いたしまして実は処理をいたしているような次第であります。
  97. 井上良二

    ○井上(良)委員 作報の調査はなるほど科学的な調査方法としては一應納得する調査方法です。ところが日本のように、耕地面積が非常に狭くて、しかも非常に山間農業の多いところでは、作報の平面調査によるあの方式をそのまあまではめられたら、とんでもない目にあうのです。ところが食糧事務所の調査は、それぞれの各村に食糧事務所の出張所があり、それぞれの調査員が派遣してありまして、割方正確なものが集まつて参るのでありますが、作報の今のものをそのままやるということになると非常に危險であります。もしこれを使おうと思うならば、今からもつと人をふやして、しかも優秀な統計なり実際の実情に通じた人を配置してやらなければいかぬ。だから今年來年の減額及び増額補正というようなものは、政治的に解決よりほか方法はないのです。しかしあなたとしてはそんなことは言うていられぬから、明らかな科学的な調査に基いてやつたということにしておかぬといけませんので、それはそういうことでいいのですが、しかし百年そういうやり方を繰返されておつたのでは、農民はがまんできないことになります。これは本会議において坂本實君の提案の決議もあることでありますし、あれと並行いたしまして、わが國の耕地の全般について、もう少し科学的な総合調査を完成するの方途を講じなければ、この供出問題はいつまでたつても解決しませぬ。これは一つは政府の怠慢と言いますか、政府がそこまで積極的にやつていない結果が起つている。供出制度が始まつてもう数年になるのに、依然としてこんなことを繰返しておらんならぬのは、まことに情ない話である、これはぜひひとつこの際大きな予算を要求して、大々的にやつていただくように特にお願いをいたしておきたいと思います。なお私は明日は業務部長に御出席を願いたい。それから農政局長、統計調査局長、安本の生活物資局長、農林大臣安本長官、これらの人々の御出席を願いたいと考えますが、本日の私の質問はこの程度にしておきたいと思います。
  98. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は明二十八日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十八分散会