○青木國務
大臣 ただいまの御
質問でございますが、まず第一に
経済安定本部といたしましては、
日本の資本主義
経済そのものの本質からい
つて、もし
日本の
食糧が足りないならば、もつと安い米か何かを
外國からどんどん
輸入してや
つたらいいだろう、
從つてそのために内國における
農業保護というか、ともかくも
供出を増加することに対して力を入れない、それだけは
輸入関係に持
つて行くというような
考えがあるかということであれば、私ども今日さような
考え方を持
つておりません。ただ問題は、
アメリカから
日本に入
つている
食糧が、運賃その他の
関係から見て相当に高いものである、こういうことでありまするので、足りない部分をもつと安く入れることはできないか、こういうことは
考えておりまするけれども、ただいま申しましたように、現在の
農家、
農民の経営そのものが一層困難になるであろうというような、資本主義の本質から來る一つの
考え方をも
つて、ただいま
経済安定本部としては策を
考えているわけではございません。これは
はつきり申し上げておく次第でございます。
なお
農業関係について、
見返り資金と、そういう方面の公共事業費の決定されている過程を見ますると、必ずしも今年は多いものではない、非常に少いものである、ゆえに何とかして
農業面においても、
供出をなお増加する、
食糧を
増産するという線で、改良費なり、あるいは治水治山なり、
日本の
農業生産の促進に向けなければならぬはずではないか、こういうお言葉については、もちろん私どもも賛成でございます。從いまして、
見返り資金の中においてどれたけというようなことは、今日もちろん申し上げられませんが、われわれとしては、ぜひ
農業方面に対して適当な
資金を見返り勘定の中から見出したいというので、いろいろ努力をいたしておる次第でございますが、御
承知の通り
見返り資金は、昨日新聞でワシントンの通報として大体四億二千万ドルというようなことが下院において決定されたということが発表されておりまするように、これを從來の五億三千万ドルという
——三百六十円で計算いたしますると多少少くな
つて來ることになりますので、三百六十円で四億二千万ドルを計算いたしますると、約千五百十二億円くらいになりまするが、この
数字はおそらくかわらないだろうということの確信を持
つております。皆様御
承知の通り千七百五十億という
日本のお金に換算した額、この見返り勘定の中で、二百七十億というものはすでに鉄道、通信事業等の方面にまわすことがきま
つております。その他の
資金をどうするか、そのうちの約六百億
程度のものは復金の交付公債の買上げ、こうい
つた問題に持
つて行くたろう、こういうことであれば、その他の残りを
日本産業にと
つて、あるいは
輸出産業にと
つて最も有用な面に持てついかなければならないことになるので、そういう点について安定本部としては、どういう
割当を
考えておるかということになりますので、今のところわれわれの作業として
考えておりまするのは、年間を通じての一應の
計画を立て、かつその年間の
計画の中から、第一・四半期、第二・四半期、第三・四半期というように、それぞれこまかい案を一應立てることを
考えまして、ただいまその作業を継続いたしておるような次第でございますが、その点について、おそらく皆様の御
承知の、新聞等にか
つて発表にな
つておりまするような
数字は、決してほんとうのものではございません。ああいうものは、何かの機会に
参考としてつくられたものが拔かれたものと存じますけれども、これは今日全然改められておりまするし、そうしてまたその
考え方なり
計画なりについては、総合的に一應われわれは
考えております。しかしこれは
考えた
計画であ
つて、これが実際に具体的に実現いたしまするのは、皆様の御
承知の通りに、この第一・四半期においては一箇月ずつずれて行くというような形になりますが、ともかく早急にこれは決定されるであろうという
考えのもとにわれわれは
計画を進めております。しかしわれわれの立てている
計画が決定的なものでないことは、皆さんの御了解が行くことであ
つて、これは先方の決定によ
つて、われわれとしてはそれに從うのでありますが、しかし一應われわれとしても、
日本ではこういうものにひとつ
資金をまわしてもらいたい、こういうものが、
日本の重点的なものであるという
考え方で、
計画を立てている次第でございます。從いまして、の
計画の中に、ただいまおつしやいましたような
農業面に対するもの、たとえは治山、治水というところに相当重点を置いて一應盛
つてありますけれども、それが決定的なものであるかと言われれば、まだ未決定のものであ
つて、單にわれわれの
計画でありますとお答えするよりほかはないのでございます。そういう
現状にございますので、さよう御了承を願いたいと存じます。