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寺島委員 私はごく
簡單に長谷川さんにお尋ねいたしたいのであります。與党の立場から
質問いたすのでありますが、私の
考え方を午前中に示してありますから、それに沿
つて率直にお答え願えれば
けつこうです。私は実にきようの長谷川さんの
井上さんに対する御
答弁を聞いてお
つて、隔世の感を実は催している。あなたが第三國会で永江農政のもとにおいて、
政府委員としてこの席にあられまするや、昂然としてこういうことをあなたは言われておる。一昨年は実に農家の実態
調査は百七十八戸にしか過ぎなかつた。しかるを五百九十九戸にふやしているのだ。しかも雇傭労賃騰貴率その他公租公課等を全部あげて、今やこのパリティ一・システムはこれをも
つて完璧だというふうな、概念的な御
説明をあなたはなす
つておられる。あなたは首を傾けるようでありますから事もう少し申しますと、当時の同僚であつた成瀬喜五郎君との質疑應答を繰返して読むのもなんですが、それに明々白々に出ている。ところが今
井上君の御
質問ないし先日私と食糧
管理局長官と、きようは
農林大臣との間にとりかわした質疑應答によりますれば、
米價が安いのだと率直に食糧
管理局長官は認めておられる。
米價は安うございますと、その口でりつぱに言
つておられる。
そうして
農林大臣もたしかに國際
價格その他に比べて、過去において米の値段は安かつたのだ。純朴なる
農民大衆は、アイツシャー式パリティー方式なるものの具体的
計算を御了解願えないだろう。なかなか事こまかに計数について
承知をしないだろうと思う。と言われた。こういうようなことで、何年間か
日本の
農民は安い米債で大体や
つて来たのだ。この低
米價がやがて低賃金に通ずるのだということを、この前論述しておいたのですが、これはりくつにわたりますから、きようは
井上さんの前で、
アメリカの小麦
價格についての御議論ですが、これは
アメリカの小麦はたまたま現在先物が安くな
つておる。これは言うまでもない。食糧政策がニュー・ディールの
一環として行われるならば安くなるだろう、こういう思惑から、非常に安くな
つているところでや
つておられますけれ
ども、
現実の数字は私の
計算によれば、向うのものが一トン当り小麦にして約三万七千二百円、
日本の小麦が二万一千九十円、あなたの言う二割という話とは大分違
つておる。しかし物價廳から出した数字によると、御丁寧にも
アメリカの運賃ないしは保険料というようなものは四〇%かか
つておる。ところが
計算してみると、実際問題として四〇%はない。たとえばシャムの米の例などを引いてみても、そんなにかか
つていないということを
考えてみますと、私は結論とし申てし上げたいことは、
井上さんが言われたように、今や國際
米價とかけ離れた
米價にそのまま放任しておくということは、いわゆるあなたの御
承知である
内閣家計費実態
調査によれば、やみに流れておる米を捕捉する、納得のできる供出制度というものが、困難にな
つて来るのであります。こういうことから
考えますと、私は三つの点について申し上げるのですが、第一点は、国際水準にある
世界穀物の統計が、ほぼ近年において完備しておる
状態においては、ある一定の騰貴率を示したときには、これだけ
日本のでき上つたパリティーにかけて、これをコントロールするのだ。また反対に別の所論をせられる人のように、非常に小麦の
價格が下
つて来るのだ。そうした場合に、やがて
日本の農家は圧倒されるのだというような場合に、すでに氣の早いあなたの故郷である農林省の
農業改良局の一角においては、もはや
日本の禾本科的作物は前途が薄いのだ。よろしくこれ耨耕作物に切りかえるべきである。これは大槻博士もそういうことを言
つておられる。また高田保馬博士の経済原論の冒頭に、九州大学の楼上からながめた筑前平野の菜の花を何で忘れようぞ、と言われています。これほどあつた菜種が今や麦にかわ
つている。それが再び菜種に返るのだ。すなわち禾本科作物から耨耕作物の轉換を
考えなければならぬかもしれぬ。しかし米をつくり麦をつくる
耕作農民に対しては、こういう
價格政策で、イロア資金やガリオア資金といつたわからない難解の権威で、
農民から収奪した以上、これは一定指数を上まわつた場合、もしくは一定指数を下つた場合には、一定の計数をも
つてこれをコントロールするという算定方式を今日において用意しておくことが、
耕作農民にと
つて最も了解をやすからしむる政策の第一なりと思いますが、これに対してあなたの御所見を伺いたい。