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1949-05-21 第5回国会 衆議院 農林委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月二十一日(土曜日)     午後三時五分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 坂本  實君 理事 松浦 東介君    理事 山村新治郎君 理事 八百板 正君    理事 小林 運美君 理事 深澤 義守君    理事 寺島隆太郎君 理事 吉川 久衛君       遠藤 三郎君    河野 謙三君       坂田 英一君    平野 三郎君       渕  通義君    村上 清治君      藥師神岩太郎君    石井 繁丸君       井上 良二君    大森 玉木君       竹村奈良一君    中垣 國男君       寺崎  覺君  出席國務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         総理廳事務官         (物價廳第一部         長)      吉田 晴二君         農林政務次官  苫米地英俊君         食糧管理局長官 安孫子藤吉君  委員外の出席者         專  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  酪農業振興臨時措置法案小川原政信君外十名  提出、衆法第一三号)  食糧確保措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第七三号)(予)  木材の價格差益金に関する件   請願  一 宮崎縣の甘藷虫害に関する請願(川野芳滿  君外五名紹介)(第一二号)  二 北海道の土地改良事業助成に関する請願(    小川原政信君紹介)(第二五号)  三 呉市の治山事業施行の請願(宮原幸三郎君    外一名紹介)(第二七号)  四 茨城縣の農業土木事業費國庫補助の請願(    山崎猛君外二名紹介)(第四〇号)  五 朝日川総合開発事業実施の請願(牧野寛索    君外一名紹介)(第五〇号)  六 小沼村民有未墾地買收に関する請願(井出    一太郎君紹介)(第六八号)  七 佐多町馬籠地区國営開田事業継続施行の請    願(前田郁君紹介)(第八一号)  八 國有林野所在縣に対する交付金増額並びに    國有林開放の請願(川野芳滿君外四名紹    介)(第八九号)  九 長崎縣の農業水害復旧費國庫補助増額の請    願(岡延右エ門君紹介)(第九三号) 一〇 廣島縣の治山事業費國庫補助増額の請願(    平川篤雄君紹介)(第一〇〇号) 一一 治山事業に関する請願(平川篤雄君紹介)    (第一〇一号) 一二 岩手種畜牧場用地の一部開放に関する請願    (野原正勝君紹介)(第一〇二号) 一三 豆腐用大豆割当に関する請願(成田知巳君    紹介)(第一一二号) 一四 生田大緑地の耕作権確保に関する請願(庄    司一郎君紹介)(第一一六号) 一五 新潟縣下海岸砂丘地造林事業費國庫補助    の請願(亘四郎君紹介)(第一一七号) 一六 宮崎村地内の國有林拂下の請願(中野四郎    君紹介)(第一二九号) 一七 高槻市大字下地内の國有林拂下の請願外一    件(井上良二君紹介)(第一五〇号) 一八 宮崎縣下の林道開設に関する請願(川野芳    満君外四名紹介)(第一五三号) 一九 海部郡水利組合管理排水機連合会に國庫補    助の請願(江崎真澄君紹介)(第一五四    号) 二〇 頓別村に農業試驗場設置の請願(松本六太    郎君外五名紹介)(第一五五号) 二一 開拓事業助成に関する請願(坂田英一君紹    介)(第一六九号) 二二 江刺家村地内未墾地買收計画反対の請願(    山本猛夫君紹介)(第一七〇号) 二三 供出食糧の集荷方法改善に関する請願(千    葉三郎君紹介)(第一七二号) 二四 六郷村地内の未墾地買收反対に関する請願    (水野彦治郎君紹介)(第二〇九号) 二五 養蠣水産業者に対する加配米制度復活の請    願(川村善八郎君紹介)(第二三四号) 二六 兵庫県の土地改良事業費國庫補助等に関す    る請願(首藤新八君紹介)(第二三八号) 二七 農地委員会機構縮小反対に関する請願(深    澤義守君紹介)(第二三九号) 二八 和歌山縣の農業土木事業費及び災害耕地復    旧事業費國庫補助の請願(水谷昇君紹介)    (第二四一号) 二九 三重縣の土地改良事業費國庫補助増額の請    願(水谷昇君紹介)(第二四二号) 三〇 農地法の一部改正に関する請願(圓谷光衞    君紹介)(第二四三号) 三一 上磯町所在の排水溝切替工事施行の請願(    冨永格五郎君紹介)(第二四四号) 三二 小清水、上砥草間植民軌道開設の請願(林    好二君紹介)(第二五〇号) 三三 農業災害補償法の一部改正に関する請願(    圓谷光衞君紹介)(第二六八号) 三四 農業災害補償制度改善に関する請願(橋本    登美三郎君外六名紹介)(第二七七号) 三五 十津川並び紀の川総合開発事業に関する    請願(前田正男君紹介)(第二八四号) 三六 古川沿岸用排水路改修工事費國庫補助の請    願(内海安吉君紹介)(第二九〇号) 三七 種子馬鈴薯確保に関する請願(小平忠君紹    介)(第三〇七号) 三八 八澤川に管の代川水流誘導工事施行の請願    (上林與市郎君紹介)(第三〇八号) 三九 乙父澤及び中戸國有林開発に関する請願(    金子與重郎君紹介)(第三〇九号) 四〇 宮城縣の耕地整理事業費國庫補助増額の請    願(本間俊一君紹介)(第三一七号) 四一 農業災害補償制度改善に関する請願(本間    俊一君紹介)(第三一八号) 四二 牛久沼水系耕地改良事業に関する請願(小    野瀬忠兵衞君外二名紹介)(第三一九号) 四三 輸出織物用生糸の檢査に関する請願(大和    田義榮君外一名紹介)(第三四七号) 四四 生繭配給に臨時物資需給調整法適用除外の    請願(大和田義榮君紹介)(第三四八号) 四五 製糸業助成に関する請願(大和田義榮君外    一名紹介)(第三四九号) 四六 桑苗植付助成の請願(大和田義榮君外一名    紹介)(第三五〇号) 四七 十三潮干拓事業費に関する請願(山崎岩男    君紹介)(第三六四号) 四八 南豫地区における農業特異性確認に関する    請願(藥師神岩太郎君外二名紹介)(第三    七二号) 四九 大隅熊毛地区土地改良及び林道開設事業    費國庫補助の請願(二階堂進君紹介)(第    三七九号) 五〇 兵庫縣の旱害恒久対策事業費國庫補助の請    願(塩田賀四郎君紹介)(第三九七号) 五一 淡河川並びに山田川の農業水    利事業費全額國庫負担の請願(塩田賀四郎    君紹介)(第三九八号) 五二 岡山市福田地先の貯水池復旧工事施行の請    願(黒田寿男君紹介)(第四〇〇号) 五三 奈良縣の早害恒久対策及び土地改良事業費    確保に関する請願(前田正男君紹介)(第    四〇一号) 五四 白糠村に濃霧地帶営農試驗場設置の請願(    伊藤郷一君紹介)(第四三五号) 五五 柑橘用肥料特配の請願(佐藤榮作君紹介)    (第四三六号) 五六 養蜂研究機関増強に関する請願(大野伴睦    君紹介)(第四三七号) 五七 滋賀縣の林道開設予算確保に関する請願(    河原伊三郎君紹介)(第四三八号) 五八 農業災害補償法の一部改正に関する請願(    塚田十一郎君紹介)(第四三九号) 五九 平根村地内國有林拂下の請願(植原悦二郎    君外一名紹介)(第四五〇号) 六〇 水力発電事業増強のための森林対策に関す    る請願(小笠原八十美君紹介)(第四五八    号) 六一 宇津内原野開発事業施行の請願(松田鐵藏    君紹介)(第四八六号) 六二 農地法の改正反対並びに土地使用税の新設    及び地租、小作料引上反対の請願(川島金    次君外二名紹介)(第四八八号) 六三 同(三宅正一君外二名紹介)(第四八九    号) 六四 同(勝間田清一君外二名紹介)(第四九〇    号) 六五 同(坂本泰良君外二名紹介)(第四九一    号) 六六 同(西村榮一君外五名紹介)(第四九二    号) 六七 同(戸叶里子君外二名紹介)(第四九三    号) 六八 同(土井直作君外三名紹介)(第四九四    号) 六九 同(中崎敏君外二名紹介)(第四九五号) 七〇 同(田万廣文君外二名紹介)(第四九六    号) 七一 同外一件(淺沼稻次郎君外二名紹介)(第    四九七号) 七二 同(加藤鐐造君外二名紹介)(第四九八    号) 七三 同(足鹿覺君外二名紹介)(第四九九号) 七四 同(松澤兼人君外二名紹介)(第五〇〇    号) 七五 同外五件(稻村順三君外一名紹介)(第五    〇一号) 七六 小清水、上砥草原間植民軌道開設の請願(    松田鐵藏君紹介)(第五〇九号) 七七 岩手縣の山林復旧に関する請願(山本猛夫    君外六名紹介)(第五一〇号) 七八 岩手縣水害地の農業復旧に関する請願(山    本猛夫君外六名紹介)(第五一一号) 七九 下常呂原野に軌道客土事業施行の請願(松    田鐵藏紹介)(第五一二号) 八〇 引揚者の開拓及び帰農に関する請願(足立    篤郎君紹介)(第五一三号) 八一 荏薙用水改良工事完成促進の請願(平野三    郎君紹介)(第五二三号) 八二 乳製品の品質及び包装の改善に関する請願    (大矢省三君紹介)(第五二五号) 八三 廣島縣の耕地整理事業助成に関する請願(    宇田恒君外一名紹介)(第五五六号) 八四 上寳開拓事業施行の請願(木村公平君紹    介)(第五五七号) 八五 小高村地内の干拓事業徹底に関する請願(    北澤直吉君外一名紹介)(第五五八号) 八六 沿岸漁業者加配米配給に関する請願(石    原圓吉君紹介)(第五五九号) 八七 和田村三良坂の開拓事業に関する請願(宇    田恒君外二名紹介)(第六〇九号) 八八 廣島縣下の溜池修築に関する請願外十二件    (宇田恒君外一名紹介)(第六一一号) 八九 横田村及び來原村の開拓事業に関する請願    (宇田恒君外一名紹介)(第六一三号) 九〇 西條町下寺家地内の農道幅員拡張費國庫補    助の請願(宇田恒君外一名紹介)(第六一    四号) 九一 福島縣の國有林一部開放に関する請願(圓    谷光衞君外一名紹介)(第六四九号) 九二 福島縣の國有牧野開放に関する請願(圓谷    光衞君外一名紹介)(第六五〇号) 九三 毛木沖新開地復旧工事施行の請願(宇田恒    君外一名紹介)(第六五一号) 九四 安藝津干拓事業費國庫補助増額の請願(宇    田恒君一外名紹介)(第六五二号) 九五 手向村水呑澤溜池改修の請願(上林與市郎    君紹介)(第六五三号) 九六 下黒瀬村字柳岡、大田代間農道改修に関す    る請願(宇田恒君外一名紹介)(第六五四    号) 九七 壬生町大字河内、南万村大字木次間農道改    修の請願(宇田恒君外一名紹介)(第六五    五号) 九八 郷原村地内の農道整備事業費國庫補助の請    願(宇田恒君外一名紹介)(第六五六号) 九九 旧明治新開復旧干拓事業施行の請願(宇田    恒君外一名紹介)(第六五七号) 一〇〇 熊野跡村排水路復旧工事施行の請願(宇    田恒君外一名紹介)(第六五八号) 一〇一 那珂郡の開拓事業より神崎村を除外の請    願(山崎猛君紹介)(第六七九号) 一〇二 安藝津町本江、吉名村曽井間農道開設の    請願(宇田恒君外一名紹介)(第六八〇    号) 一〇三 吉名村曽井、安藝津町赤崎間農道開設費    國庫補助の請願(宇田恒君外一名紹介)(    第六八二号) 一〇四 惠那郡福岡地農地開発事業水源工事に    関する請願(平野三郎君紹介)(第六八八    号) 一〇五 主食供出関係経費全額國庫負担の請願(    大野伴睦君外二名紹介)(第七二五号) 一〇六 開拓者保護に関する請願(伊藤郷一郎君    紹介)(第七二九号) 一〇七 岩手川口、薮川國有林間森林開発鉄道    敷設の請願(野原正勝君紹介)(第七三三    号) 一〇八 廣瀬村地内國有林の一部拂下に関する請    願(庄司一郎君外二名紹介)(第七四一    号) 一〇九 競馬法の一部改正に関する請願(青柳一    朗君紹介)(第七九〇号) 一一〇 大利根用水改良事業助成に関する請願(    竹尾弌君紹介)(第八三八号) 一一一 一宮市に國営競馬場設置の請願(江崎真    澄君外二名紹介)(第八四〇号) 一一二 赤麻村の未墾地買收計画中止に関する請    願(小平久雄君紹介)(第八六七号) 一一三 北見種畜牧場施設拂下に関する請願(松    田鐵藏君紹介)(第八六八号) 一一四 岩手縣の國有牧野開放に関する請願(山    本猛夫君外三名紹介)(第八六九号) 一一五 尾柄上郡の災害耕地復旧費助成に関する    請願(小金義照君紹介)(第八七〇号) 一一六 福井縣の震災耕地復旧事業費助成に関す    る請願(飛嶋繁君紹介)(第八七一号) 一一七 飼料問題に関する請願(田島ひで君外一    名紹介)(第九二四号) 一一八 農業災害補償制度改正に関する請願(岡    田勢一君外一名紹介)(第九二五号) 一一九 主食の掛賣に関する請願(神山茂夫君紹    介)(第九二六号) 一二〇 兵庫縣の旱害恒久対策事業費國庫補助の請    願(原健三郎君紹介)(第九二八号) 一二一 競馬法の一部を改正する請願(三浦寅之    助君外一名紹介)(第一〇〇六号) 一二二 西志和村の國有林拂下に関する請願外一    件(中川俊思君紹介)    (第一〇〇七号) 一二三 中根村外二箇町村用水改良事業継続施行    の請願(森曉君紹介)(第一〇一〇号) 一二四 農地委員会経費國庫補助増額の請願(植    原悦二郎君紹介)(第一〇二八号) 一二五 農業災害補償法の一部改正に関する請願    外三件(田中啓一君外二名紹介)(第一〇    二九号) 一二六 農地委員会経費國庫補助に関する請願外    十二件(羽田野次郎君紹介)(第一〇四三    号) 一二七 長野縣の農業協同組合連合会統合に関す    る請願(岡西明貞君紹介)(第一〇四四    号) 一二八 山形縣営農業水利及び土地改良事業施行    の請願(志田義信君外一名紹介)(第一〇    四五号) 一二九 鳥海山麓に貯水池建設の請願(村上清治    君紹介)(第一〇五四号) 一三〇 加工用澱粉知事操作用枠増加等に関す    る請願(川野芳滿君外五名紹介)(第一〇    五五号) 一三一 農業災害補償法の一部改正に関する請願    (田中啓一君外一名紹介)(第一〇六〇    号) 一三二 篠塚久保耕地開田組合土地改良事業費    補助に関する請願(竹村奈良一君紹介)(    第一〇七一号) 一三三 滋賀縣の土地改良及び災害耕地復旧費國    庫補助の請願(河原伊三郎君紹介)(第一    〇七四号) 一三四 日向川沿岸用水改良工事促進の請願(志    田義信君紹介)(第一〇七五号) 一三五 競馬法の一部改正に関する請願(野原正    勝君外五名紹介)(第一〇九三号) 一三六 養蚕業振興に関する請願(志田義信君外    五名紹介)(第一一〇六号) 一三七 農業災害補償法の一部改正に関する請願    外十件(大野伴睦君外一名紹介)(第一一    二七号) 一三八 農業災害補償制度改正に関する請願(寺    本齋君外一名紹介)(第一一二八号) 一三九 同(若松虎雄君紹介)(第一一二九号) 一四〇 同(山本利壽君外二名紹介)(第一一三    〇号) 一四一 同(保利茂君紹介)(第一一三一号) 一四二 同(川野芳滿君外四名紹介)(第一一三    二号) 一四三 同外一件(田中啓一君外一名紹介)(第    一一三三号) 一四四 岩手縣下の災害耕地復旧及び土地改良事    業費國庫補助の請願(小澤佐重喜君外五名    紹介)(第一一五三号) 一四五 農業災害補償制度改正に関する請願(平    井義一君紹介)(第一一七五号) 一四六 同(千賀康治君紹介)(第一一七六号) 一四七 同外二件(大野伴睦君紹介)(第一一七    七号) 一四八 有田郡の水害耕地復旧費國庫補助増額の    請願(世耕弘一君紹介)(第一一八七号) 一四九 福島縣の國有林一部開放の請願(大和田    義榮君外十一名紹介)(第一一八八号) 一五〇 戸多村地内の國有林一部拂下の請願(石    野久男君紹介)(第一二一三号) 一五一 燧灘の干拓事業施行の請願(小西英雄君    紹介)(第一二一五号) 一五二 二浦村の林道六郎次線改修の請願(原田    雪松君紹介)(第一二四二号) 一五三 農業災害補償制度改正に関する請願(河    野金昇君紹介)(第一二四八号) 一五四 同(竹村奈良一君紹介)(第一二四九    号) 一五五 同(江田斗米吉君紹介)(第一二五〇    号) 一五六 食糧公團末端機構改組に関する請願(小    野瀬忠兵衞君紹介)(第一二六五号) 一五七 獣医師法の一部改正に関する請願外一件    (今村忠助君紹介)(第一二八三号) 一五八 食糧公團末端機構改組に関する請願(小    川原政信君紹介)(第一二八四号) 一五九 駒形村字東福寺に溜池築設の請願(笹山    茂太郎君紹介)(第一二九五号) 一六〇 農業災害補償制度改正に関する請願外八    件(田中啓一君外一名紹介)(第一二九六    号) 一六一 小坂村地内の國有林拂下の請願(小峯柳    多君紹介)(第一二九七号) 一六二(野方村に用水路築設の請願(岩川與助君    紹介)(第一二九九号) 一六三 松山村大野原に用水路築設の請願(岩川    與助君紹介)(第一三〇〇号) 一六四 八澤川に管の代川水洗誘導工事施行の請    願(志田義信君紹介)(第一三一一号) 一六五 農地委員会経費國庫補助に関する請願(    佐藤重遠君外四名紹介)(第一三一八号) 一六六 伊豫村農道に隧道開設の請願(大西弘君    外七名紹介)(第一三六八号) 一六七 北山ダム築設による立退補償に関する請    願(北川定務君外一名紹介)(第一三七五    号) 一六八 新改村に灌漑用水取入口築設の請願(長    野長廣君紹介)(第一三七六号) 一六九 農業災害補償制度改正に関する請願(赤    松勇君紹介)(第一三七七号) 一七〇 同(八木一郎君紹介)(第一三七八号) 一七一 同(田中啓一君外一名紹介)(第一三七    九号) 一七二 主食の掛賣に関する請願(赤松勇君紹    介)(第一三九三号) 一七三 一宮市に國営競馬場設置反対の請願(田    島ひで君外一名紹介)(第一三九四号) 一七四 湯野濱に國営競馬場設置の請願(志田義    信君紹介)(第一三九五号) 一七五 農地委員会経費全額國庫負担の請願(佐    藤重遠君紹介)(第一四二四号) 一七六 農業協同組合法の一部改正に関する請願    (岡西明貞君紹介)(第一四二五号) 一七七 農業災害補償法の一部改正に関する請願    外四件(平野三郎君紹介)(第一四二六    号) 一七八 岩手縣下の國有林一部拂下促進の請願(    野原正勝君外五名紹介)(第一四二七号) 一七九 福井式増收農法助成に関する請願(稻田    直道君紹介)(第一四二九号) 一八〇 奈良縣下の農家配給米確保に関する請願    (前田正男君外四名紹介)(第一四六五    号) 一八一 同外三件(竹村奈良一君紹介)(第一五    〇三号) 一八二(農業災害補償制度改善に関する請願(岡    村利右衞門君外三名紹介)(第一五三七    号) 一八三 西春日井郡の雹害補償に関する請願(多    武良哲三君紹介)(第一五三八号) 一八四 水田單作地帶の施策に関する請願(大石    武一君紹介)(第一五七〇号) 一八五 土地改良事業費國庫補助増額に関する請    願(小山長規君外四名紹介)(第一五七三    号) 一八六 長崎縣における農業協同組合連合会の統    合に関する請願(三宅正一君紹介)(第一    五八四号) 一八七 農地委員会経費國庫補助増額の請願(金    光義邦君紹介)(第一五九一号) 一八八 同外二十五件(金光義邦君紹介)(第一    五九四号) 一八九 日田市の林業試驗場を國立に昇格の請願    (金光義邦君紹介)(第一六二〇号) 一九〇 農業災害補償制度改善に関する請願(田    中彰治君紹介)(第一六三一号) 一九一 燕麦配給統制業務運営に関する請願(玉    置信一君紹介)(第一六三三号) 一九二 農業災害補償制度改善に関    する請願(三宅則義君紹介)(第一七〇八    号) 一九三 見沼代用水路改修工事施行の請願(中島    守利君外四名紹介)(第一七〇九号) 一九四 花宗川酒見堰拡張工事施行の請願(中島    茂喜君紹介)(第一七三一号) 一九五 農業災害補償制度改善に関する請願(江    崎真澄君紹介)(第一七三四号) 一九六 農地委員会機構縮小反対に関する請願(    廣川弘禪君紹介)(第一七三事六号) 一九七 競馬の國営及び公営制度存続の請願(上    林山榮吉君紹介)(第一七三七号) 一九八 甘藷に対する檢査規格の一部修正に関す    る請願(床次徳二君紹介)(第一七三八    号) 一九九 東北地方の農業対策に関する請願(千葉    三郎君紹介)(第一七三九号) 二〇〇 皇太神宮内山林の一部拂下に関する請願    (竹村奈良一君紹介)(第一七九一号) 二〇一 熊本種畜牧場畜産試驗研究機関として    存置の請願(原田雪松君紹介)(第一七九    二号) 二〇二 どんぐりの食糧化に関する請願(天野公    義君紹介)(第一七九三号) 二〇三 東北信地方土地改良及び災害復旧費國    庫補助に関する請願(菅家喜六君紹介)(    第一七九四号) 二〇四 養魚場を未開墾地の買收対象より除外の    請願(中野四郎君紹介)(第一八一二号) 二〇五 水田單作地帶の施策に関する請願(志田    義信君紹介)(第一八一四号) 二〇六 西目村地内の開拓用地拡張に関する請願    (村上清治君紹介)(第一八一五号) 二〇七 赤石林道開設の請願(今村忠助君紹介)    (第一八二三号) 二〇八 春日井市に國営競馬場設置の請願(多武    良哲三君紹介)(第一八二九号) 二〇九 木炭用自動車の薪轉換に関する請願(滿    尾君亮君紹介)(第一八三五号)   陳情書  一 農地委員会に対する國庫補助増額の陳情書    外百五十五件    (第一号)  二 土地改良法制定の陳情書    (第四号)  三 農地改革に対する國庫補助金適正配付に関    する陳情書    (第七号)  四 造林事業に対する特別方策確立の陳情書    (第八号)  五 人工植栽幼齢林並びに優良天然造林地を未    墾地買收から除外の陳情書    (第一三号)  六 飼牛の風土病に関する研究機関設置の陳情    書(第九号)  七 乳業経営助成に関する陳情書    (第二九号)  八 乳業経営助成に関する陳情書    (第三七号)  九 乳業経営助成に関する陳情書外一件    (第四九号) 一〇 農業災害補償制度拡充強化に関する陳情書    (    第八〇号) 一一 第三次農地改革実施に関する陳情書    (第八三号) 一二 土地改良事業費國庫補助継続の陳情書    (第九五号) 一三 食糧確保臨時措置法による穀物中に菜種加    入の陳情書    (第一〇二号) 一四 國有林野の一部開放に関する陳情書    (第一〇八号) 一五 農業土木事業促進に関する陳情書    (第一一一号) 一六 造林事業促進に関する陳情書    (第一一三号) 一七 競馬法に関する陳情書外一件    (第一一六号) 一八 青森縣開拓事業の國庫予算増額に関する陳    情書(第一二〇号) 一九 農業協同組合連会統合の陳情書    (第一三三号) 二〇 馬鈴薯輪腐病の防除費國庫補助の陳情書    (第    一三九号) 二一 食糧確保臨時措置法に関する陳情書    (第一四    四号) 二二 水稻の害虫駆除用石油確保に関する陳情書    (第一四六号) 二三 造林法制定の陳情書    (第一四八号) 二四 林道開設事業費國庫補助率引上に関する陳    情書    (第一四九号) 二五 腐敗干甘藷の政府補償に関する陳情書    (第一    五一号) 二六 木炭檢査規格並びに價格改正の陳情書    (第一    五三号) 二七 造林と開拓との矛盾是正に関する陳情書    (第    一五六号) 二八 農業改良普及事業促進に関する陳情書    (第一    五七号) 二九 農業調整委員会に國庫補助増額の陳情書    (第    一五八号) 三〇 農村工業指導機構の統合等に関する陳情書    (    第一五九号) 三一 治山治水事業費の國庫補助率引上等に関す    る陳情書    (第一六二号) 三二 米松輸入懇請の陳情書    (第二六八号) 三三 廣島縣の治山事業費國庫補助増額の陳情書    (第一八一    号) 三四 土地改良事業費國庫補助継続の陳情書    (第二〇四号) 三五 農地調整法一部改正の陳情書    (第二〇六号) 三六 耕地の調査に関する陳情書    (第二一七号) 三七 國営競馬場継続の陳情書    (第二二二号) 三八 國有林野開放に関する陳情書    (第二四五号) 三九 手城町外三ケ町村における耕地の排水工事    施行の陳情書(第二    五三号) 四〇 沼隈郡の早魃対策事業施行の陳情書    (    第二五四号) 四一 乳業経営助成に関する陳情書    (第二五七号) 四二 高蓋村地内の農道拡長費國庫補助に関する    陳情書    (第二六〇号) 四三 蚕糸業振興に関する陳情書    (第二六二号) 四四 食糧増産施策に関する陳情書    (第二七六号) 四五 治山事業に関する陳情書    (第二八六    号) 四六 農業災害補償制度拡充強化に関する陳情書    (    第二九一号) 四七 農業災害補償法の一部改正に関する陳情書    (第三三八号) 四八 林業振興に関する陳情書    (第三四五号) 四九 食糧追加供出並びに農業生産等に関する陳    情書(第三四八    号) 五〇 森林法改正に関する陳情書    (第三五七号) 五一 農地委員会に対する國庫補助増額の陳情書    (第三六    八号) 五二 農業改良普及事業に関する陳情書    (第三九九号) 五三 供出に要する経費國庫補助の陳情書    (第四〇〇号) 五四 農業災害補償法の一部改正に関する陳情書    (第四一四号) 五五 山林復興に関する陳情書    (第四一九号) 五六 苗圃補助金存続の陳情書    (第四二五号) 五七 作木村地内の農道拡張費國庫補助の陳情書    (第四二七号) 五八 農業災害補償法の一部改正に関する陳情書    (第四三〇号) 五九 農業災害補償法の一部改正に関する陳情書    (第四四〇号) 六〇 開拓地の電氣設備費國庫補助に関する陳情    書(第四四四    号) 六一 大分縣立林業試驗場を國立に昇格の陳情書    (第四    五四号) 六二 稻作の坪刈調査施行の陳情書    (第四六五号) 六三 養魚場を未墾地買收の対象から除外の陳情    書    (第四七一号) 六四 農地委員会に対する國庫補助増額の陳情書    (第四八一号) 六五 食糧確保臨時措置法改正等の陳情書    (第四八三号) 六六 黒谷池修築工事費國庫補助の陳情書    (第四    九七号) 六七 食糧増産対策に関する陳情書    (第五〇五号) 六八 食糧配給公團末端機構改組に関する陳情書    (第五〇七号) 六九 開拓事業費國庫補助増額の陳情書    (第五〇八号) 七〇 廣瀬村地内の温水溜池新設工事費國庫補助    の陳情書    (第五一〇号) 七一 守山町中平地区開拓事業促進の陳情書    (第五二〇号) 七二 木炭代行手数料に関する陳情書    (第    五五一号) 七三 木炭用自動車の薪轉換に関する陳情書    (第五五〇号) 七四 生甘藷檢査規格一部改正に関する陳情書    (第五五二号) 七五 農産物の政府買上手数料等値上及び支拂促    進に関する陳情書    (第五五三号)     ―――――――――――――
  2. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 これより会議を開きます。  まず請願の審査に入ります。この際お諮りいたします。今会期に本委員会に付託せられました請願は、本日の日程通り二百九件であります。これを一括して議題といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 それではさよう決定いたします。日程第一ないし第二〇九まで一括議題といたします。
  4. 山村新治郎

    ○山村委員 日程第一ないし第二〇九の請願については、その趣旨は文書表によつて、了解いたしておりまして、その趣旨の説明及び政府の答弁を省略して、ただちに議決せられんことを望みます。
  5. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 ただいまの山村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは請願全部、すなわち日程第一ないし第二〇九を一括議題としその可否を決します。
  7. 山村新治郎

    ○山村委員 日程第一ないし第六一、第七六ないし第一〇八、第一一〇第一一二ないし第一二〇、第一二二ないし第一三四、第一三六ないし第一五六、第一五八ないし第一七二、第一七五、第一七七ないし第二〇七及び第二〇九の各請願は、いずれもその趣旨は至当と認められますから、採択の上、内閣に送付せられんことを望みます。なおその他の請願は、種々研究する余地がありますから、その可否は暫時留保せられんことを望みます。
  8. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 ただいまの山村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼び者あり〕
  9. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは日程第一ないし第六一、第七六ないし第一〇八、第一一〇、第一一二ないし第一二〇、第一二二ないし第一三四、第一三六ないし第一五六、第一五八ないし第一七二、第一七五、第一七七ないし第二〇七及び第二〇九の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決定いたしました。  なお報告書の件についてお諮りいたします。報告書は委員長に御一任いたしたいと思いますがいかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 さようとりはからいます。     —————————————
  11. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 次に陳情書の審査に入ります。この際陳情書の審査についてお諮りいたします。陳情書は本日の日程通り七十五件であります。これを一括議題といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは日程第一ないし第七五を一括議題といたします。
  13. 山村新治郎

    ○山村委員 各陳情書中には種々問題のあるのもありますが、これはすべて國民の偽らざる声でありますので、陳情書全部を本委員会において了承することと議決せられんことを望みます。
  14. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 ただいま山村君の動議に、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 御異議なしと認めます。よつて日程第一ないし第七五の陳情書は全部これを了承するに決しました。     —————————————
  16. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 次に木材價格差益金の件を議題とし淵君の質疑を許します。
  17. 渕通義

    ○渕委員 私は木材價格差益金の問題につきまして、物價廳当局にお尋ねするのであります。実は專門的立場から微に入り細をうがつてこの問題を檢討いたしたいのでございますが、後ほど重大な食糧関係の法案が提案されておりますので、今日はごく簡單に御質問いたしたいと思います。  御承知のように、全國二十万の木材業者と、その背後におるところの二百万の労働者というものが、今日の経済界の状況に際会いたしまして、まさに瀕死の状態にあります。この瀕死の状態にある木材業者から差益金の尨大な量を取られるということになれば、まさしく首つりの足を引くような結果になるのであります。從つて私は二十万の木材業者と二百万の勤労大衆を代表いたしまして、全委員の了解のもとに質問をいたします。  物價廳の算定されました木材價格算定法というものは、御苦心のあとは見えまして、移動平均價格算出法をとりましたので、これが理論的な根拠になる関係上、生産業者から木材差益金を取らない、こういうことをばたびたび声明され、また参議院におきましても言明されておるのであります。このことは林野局もよく承知いたしております。ところが問題は、その生産業者にあらざるところの販賣業者のストツクの量が問題になります。販賣業者のストツクの量に対しまして、物價廳当局は林野統計は御信用にならないようでございますが、一体物價廳当局にはどのような統計がございますか。その点お尋ねいたしたいと思います。
  18. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいま木材の價格差益の問題について、御質問がございました、物價廳といたしましても、木材の價格差益は非常にむずかしい問題が多いのでございまして、この價格を定める際にも、その点を非常に愼重に考慮いたしまして、ただいまお話のございましたような移動平均價格をとつて参つたわけであります。ただいろいろ実情を調査してみますと、この平均價格をとりました際に、ただいまのお話のように大体農林省の統計を基礎として算出したわけでありますが、現在までいろいろ調査した結果によりますと、ある程度調査の結果といたしましては、移動平均價格を基礎といたしましても、さらに差益の出る分が認められるのであります。その分については調査の上再徴收いたしたい、かように考えておるのであります。
  19. 渕通義

    ○渕委員 物價廳当局の林野統計に対する考え方によりますと、素材生産計画に対しまして生産の実績という差額を見積られております。農林省の生産割当に際して出ましたところの生産の実績は、その差というものから案出されておりますか。
  20. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 御承知の通り、われわれといたしましては生産の実績について調査いたしておるわけでございます。
  21. 渕通義

    ○渕委員 それならば、この木材價額の益金がしごく簡單に解決することに相なります。今第一部長の御説明によりますと、農林省の素材生産実績について調査すると言われましたが、その実績によつて見ますならば、その差額というものは明らかに農林統計に現われております。從つて物價廳が言われるように、やみ生産にあらず、りつぱな農林統計の價格差益金に織り込まれるならば、これはあなた方が苦しんで全國各地を実地調査されなくても、りつぱに統計が出ておりますから、それによつて決するならば、ごく簡單に決定いたしますから、それではつきりいたしました。
  22. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいま申し上げました実績というのは、必ずしも農林省の統計の生産実績というのではありません。物價廳においてさらに調査いたしました生産実績を基礎にするという意味でお答え申し上げた次第でございます。
  23. 渕通義

    ○渕委員 それならば、また大分かわつて來ました。しからば物價廳におきましても、いろいろ統計等を作成しておられるでしようが、一國の行政上におきまして、ある者の統計に対して物價廳は信用しない。物價廳の統計はある省は信用しないということになりましたならば、日本の行政運営は一体どうなるか。物價廳自身のおつくりになつた統計を信用されますか。
  24. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 農林省でいろいろ統計をつくりまして、農林行政の上にこれを役立てて参るために、つまり農林統計の目的とするところはいろいろあると思います。ただ差益の徴收のような場合には、もちろんこれを一つのデーターにはいたすのでありますが、実際徴收に当りますと、なかなかそれだけでもいかぬのであります。どうしてもそのデーターを基礎としながら、なおさらに実際の調査をするということは必要になつて來るわけであります。
  25. 渕通義

    ○渕委員 物價廳はどこまでも実態調査を主張されますが、もし実態調査をされますならば、全國二十万の業者につきまして、いかような方法でもつて実態調査をされますか。少くとも実態調査をしますならば、相当の経費を見込まなければなりません。われわれは國会議員といたしまして、予算の審議権を持つております。しかも昨年六月中に決定されました木材價格の差益金が、今年になつて全國二十万の業者を実態調査をする、そういう時期的な予算的な審議をわれわれはいたしておりません。どういう根拠によつてそれをやられたのですか。
  26. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 われわれの大体考えておりますところは、農林統計によりますいろいろの木材のストツクというものが、ある程度これを推定いたしますると、一つの基準ができるわけであります。そのほかにわれわれの方でまたある程度の——これはもちろん全國全部のものを調べるということはとてもできません。ある標準のストツクと、それから実態調査によりますストツクとの間に、差額というものが出て参ります。それが出ないようでありましたならば、これはおそらく全面的に農林統計の数字をそのまま採用してもさしつかえないと思います。ただそれが実際調査しまして、相当数において差額が出て参りますと、これは農林統計だけで調査を済ますというわけには行かないと思います。
  27. 渕通義

    ○渕委員 しからば農林統計に対する推定は何パーセント見込んでおられますか。
  28. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 その点は実はまだただいま調査中でございまして、確定した結果を出しておりませんから、ちよつと数字を申し上げる時期には達しておりません。
  29. 渕通義

    ○渕委員 その調査の方はどうされますか。
  30. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 調査の方は、御承知の通り各縣ごとの物價事務局において木材業者について調査するという方法取つております。
  31. 渕通義

    ○渕委員 各縣ごとの木材業者の調査ということでありましたならば、一体縣には二千人くらいの業者がおります。それをどうして調査されますか。
  32. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 先ほど申し上げましたように、全部を調査するということはとうていできませんので、その標準となる業者について調査するという方法をとるより仕方がないと思つております。
  33. 渕通義

    ○渕委員 調査する場合におきましては、およそ昨年の六月の状態から経済界は変動いたしております。経済は動いております。インフレが高進いたしております。その間に差益のあつた場合と差損のあつた場合とがある。差損のあつた場合に対して、どういう考えを持つておりますか。また一、二の業者をピツクアツプして、それを調査し、それをもつて全体を律するということになりましたならば、きわめてずさんな調査に陷る。そんなずさんな調査でもつて、木材業界の今日の状態を律するならば、一体どうなるか。まず生産者の立場、業者の立場を考えなければなりません。もし一、二の例をとつて、もつて全部を律するならば——農林統計というりつぱな統計もあります。あなたは農林省の統計は信用されないのか。われわれはあなたの調査に対して信用しません。どつちも信用できないずさんな調査であるならば、当然物價廳は日本の役所として、最も良心的な方法を選ぶならば、それは一つしかないと信じます。それは農林省の統計に基礎を置き、あなた方も実態とにらみ合せ、そうして團体交渉によつてこの問題を解決する以外には、妥当な方法はないと信じますが、どうですか。
  34. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 その点はわれわれといたしましては十分調査をいたしました結果、なお御相談すべき点はもちろん御相談したいと思つております、ただ現在のところでは、各地方事務局にこれを調査させておる段階でありますので、その結果を待ちまして善処したいと思つております。
  35. 渕通義

    ○渕委員 しからば今差損の問題について何とも申されませんでしたが、各地方の実態調査を地方物價局に委任されたと申しますが、きわめて危險千万なことであります。その実態に至りましては、平野委員が特に岐阜縣、奈良縣に実態がありますから、あまりにもあなた方の調査がずさんであつて、実際働くところの大衆に理解のないものであるということを申し上げまして、私の質問を終ります。
  36. 平野三郎

    平野委員 今物價廳の方では十分なる調査ということを言われながら、一方におきましては、ある一つの基準を求めて、いわゆる拔取檢査のようなことをやるということで、まことにこれは矛盾撞着もはなはだしいのであります。農林省の統計というものは、御承知のごとく知事がそれぞれ当該木材業者を個々に調べて集計したところの数字であります。從つてこれが最も実態に近いものであります。しかるに物價廳の方においては、ただごく少数の一部の代表者と称するところの業者を拔取り檢査するだけなのです。どちらが正確であるがと言えば、むろん農林統計の方が正確であるとわれわれは断定すべきものと考えるのであります。現に今渕君が紹介されましたごとく、名古屋の地方物價事務局におきましては、最近においてある一部に示された統計が、農林統計の倍以上に上まわつておる事実があるのであります。一昨日ここで林野局の長官にこの問題を質問いたしたのでありますが、林野局の長官はこういうことを言つておられる。物價廳の統計が農林省と若干食い違うということは、これは十分あり得ることと存じますけれども、非常に大なる数字に差があるというようなことは農林省としては絶対に同意できない。もし物價廳としてそういう態度をとるならば、農林省としては重大な決意があるということを言明せられておるのであります。これはもとより農林省としては当然のことであります。われわれとしては、物價廳がほんの一部の特別の業者だけを集めて調べて、そうしてそれをもつて全体を類推するというようなことが行われるとするならば、実にこれはゆゆしき重大な問題である。まことに國民の基本的権利を侵害するところの重大なる越権行為であると断ぜざるを得ないのであります。この点につきまして、もしも農林省の統計の倍以上に物價廳の御調査が出たというようなことでありまするならば、その倍以上に近いところの差額というものは一体何でありますか。これは結局そこにやみの木材が大量に存在しておるということを裏書きするものであつて、それに対して物價廳が差益金を徴收するということになれば、それはおそらく大藏省の方におきましても、所得税等の関係にまた重大なるところの問題が起つて來るわけであります。これについて物價廳としてどういう考えを持つておりますか、お聞きしたいと思います。
  37. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいまお話のございましたように、なかなかこの点むずかしい問題があるわけでございますが、われわれといたしましても、もちろんできるだけ多くの業者について調査をいたしたいのであります。ただいまもお話の通り経費、人員に限度がございますので、ある程度拔取り檢査的なことをしなければ結論が出ないものでありますから……。ただそれには十分自信のできる程度の檢査をしたい。それによつて実情とはなはだしく違わないような結果を得たい。こういうふうに考えております。
  38. 平野三郎

    平野委員 ただいまの第一部長の御説明によつて、もはや私はこの問題については結論が得られたと思う。およそ官僚独善という言葉が、この物價廳の態度に最も私は当てはまると言つてよろしいと思うのであります。いやしくも一國の政府であるところの責任ある農林省が、個々の木材業者に対して十分なる調査をしておるその数字を全然無視して、農林省ととうてい比較にならぬような、わずかの人員の調査をもつて、そうしてそれに違つたところの数字を出して、それを差益金の対象にするというようなことは、実にこれは看過することのできない重大な問題であります。これはよろしく根本的に檢討を加えて、物價廳としては、そうした官職が二つにわかれて、それぞれ別個の行動をとるというようなことのないように、いやしくも同一政府部内において、農林省が責任をもつて調査しておる数字を、他の官廳が信用することができぬというようなことになりましては、もはやこれは國家の行政というものはとうてい円満に運営できるものじやありませんから、これはこの際農林省の統計を基礎として、それを信頼して、物價廳は進められるというふうにひとつお考え直しを願いたい。そういう意思があるかないか重ねてお伺いします。
  39. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいま申し上げました点、物價廳といたしましては一應とにかく調査を十分やつてみるわけであります。その結果はたして農林省の統計と、こちらの調査いたしました結果と食い違うようでありましたならば、さらにもちろん農林省とも十分の打合せをしたいと思つております。もちろんこれがその間に齟齬がなければその間の、差益の徴收ということも起らないことになるかと思いますが、少くともそこにある程度の差異が出て來れば、これは十分農林省とも打合せましてその分だけの差益は、どうしてもこれを徴收しなければならぬ。こういうふうに考えております。
  40. 平野三郎

    平野委員 過去の実績を申し上げますると、昭和二十二年度においては、北海道全体に対して差益金が八百万円、岐阜縣に対しましては二百六十万円というふうな数字が出ておるのであります。これも農林省の生産数量から申しましても、もとより明らかであります。大体常識として北海道が八百万円で、岐阜縣が二百六十万円ということは、てんでこれは話にならない。こうした不公平と言うか、でたらめな差益金が取られておる。今第一部長からそれはいろいろな事情によつて、またいろいろあとで御相談をするのだという御言明があつたが、これをもつていよいよこの問題は奇怪しごくであると言わなければならぬ。要するに物價廳はかつてに拔取り檢査をやつて、そうして厖大なるところの数字を業者に割当てて、そうしてそれからいろいろとかけ引きをして、適当に割当を査定するというようなことをやつておられるから、こうした各府縣まちまちの、極端に不均衡の数字が出て來るわけである。いままでそういうことをすでにやつておる。しかしながら業者の方は、悲しいかな何しろ役所の方から押しつけられれば、少しでもまけてもらえばそれでよいのだ。一種の寄付金を出すようなつもりで、いままで拂つて來ておるわけです。こういうことが今後も行われるとすれば、実にこれは重大問題だ。どうかこの際根本的にひとつ態度を改めて、そうして今言われたように、農林省と十分なる打合せをして、そうして公平かつ嚴正なる方法を取つていただきたいということを、さらに強く要望いたします。なお物價廳はこの委員会におきまして、再三再四出席を求めたのでありますけれども、ようやくきよう來られた、きのう安本の青木國務大臣に嚴談に及んだのであります。ようやく今日ここに見えたのでありますけれども、あなた方は本委員会を軽視するようなお考えがあるのかどうか。これをひとつ重ねて承つておきたい。
  41. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいま本委員会を軽視しておるというようなお話がございましたのですが、実は私昨日十時にどなたか委員の方から御出席の御通知がございましたので、十時に参りましたところが きようは農林委員会はいろいろ法案の関係があつて審議できないというお話でありましたので、昨日は出て参りませんでした。その点はひとつ御了承を願いたいと思います。  それから岐阜縣の方は三百六十万で北海道が八百万で非常におかしいというお話があつたのでありますが、これは昨年は農林統計によりまして、全國の農林業会ですか、この方といろいろ交渉いたしました結果、あの数字が出て参つたのであります。これがおかしいということになれば、私はむしろこの際やはり昨年の分についても十分調査しまして、あるいは北海道の方が低いということであれば、これはあらためて調査して訂正をするという措置を取らなければならぬかと思つております。その点お答えしておきます。
  42. 河野謙三

    ○河野委員 今木材の差益金の問題が出ましたが、私は根本的のことを伺いたいのです。物價をきめる場合に物價廳が自主性を持つてやることは当然だと思います。しかし今までの物價廳の仕事の経過から見まして、ややもすれば生産者に片寄つた價格ができたり、また妥当な價格でないものができたということはお認めになると思います。それはどういうことかというと、結局生産を扱うところの原局、または配給を扱うところの原局、この生産と配給は一つの省が扱つておるなら一つの省、これがまた二つにわかれておるなら二つの省を両翼として、審議会なり委員会をつくつて、これらの意見をよく尊重して價格を決定する、こういう組織が確立されなければだめなんです。今私の聞くところによりますと、電氣と石炭と米のごときは、それをやつておいでのようであります。ほかのあらゆる物資等におきましても、私はこの組織を確立されておやりになることが非常にいいと思う。これをおやりになる意思があるかどうか。部長にこれを伺うのはどうかと思いますけれども、もし部長にそういうお考えがあるならば、部長個人の意見でもよいから伺いたい。同時に農林政務次官も見えておりますが、政務次官もこのことについては、たとえば米の價格を今決定する場合に、物價廳が農林省に参加しておると同時に、あらゆる農林物資の價格をきめる場合には、当然物價廳に農林省が正式に参加して、價格を決定するという組織を確立するように努力をしてもらいたいと、かように思うわけですが、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  43. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいまの御質問につきましては、ただいまお話の通り、米につきましては今度は米價審議会が正式にできます。なお石炭とか電力、機械類、その他の物資につきましても、内部的には関係官廳との間に、もちろん十分な連絡もいたしております。農林省につきましても、もちろん内部的にはいろいろな連絡を十分いたしておるわけであります。ただ正式なそういう委員会というものはできておりません。これにつきましては、実は本年度そういうものをつくるつもりで相当な予算も要求したのでありますが、これにつきましては財政上の理由もありまして、一應削られたわけでありますけれども、今後の状況につきましては、生産関係と非常に物價の関係が密接な関係になつて参りまして、從來よりもこの点については十分連絡をよくいたしましてやつて行きたいということを、われわれは考えておる次第であります。
  44. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 物價廳の第一部長さんにまだおつていただいて、食管法の方に移つて、その内容でどうか御質疑を願うことにいたしたいと思います。     —————————————
  45. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 次に食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、その質疑を継続いたします。     〔委員長退席、山村委員長代理着席〕
  46. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 食糧確保臨時措置法の問題についてお伺いする前に、関連性を持つておりますから、物價廳の政府委員にお伺いしたいと思います。今も質疑應答された木材などは、公定價格が幾たびも更正されたのでありますが、しかし常にこの木材の價格は公定價格よりも下まわつておるのであります。下まわつておるところでまた上げておる。そして順次また今度引上げた價格にある程度は追いついて來ておるけれども、常に相対的に言えば公定價格を割つている。これに対する差益金の基準というものはどういうところへ置いておられるか、これを伺いたいと思います。たとえば一石五百円のものが六百円になつた場合において、公定價はわずかに五百二三十円しかしないという場合において、どこに差益金の基準をおいておるか、これを伺いたいと思います。
  47. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 木材の價格につきましては、すでに皆樣御承知と思いますが、大体木材の規格というものは実はあまり判然しておりません。これもいろいろ檢査規則によりまして規格がきまつておるようでありますが、実際問題といたしましては、この点がなかなか励行されておらないようであります。われわれ実は木材價格の引上げのときには、その点をしばしば説明され、またはその理由によつて木材の公定價格を引上げろという要求を受けておるわけであります。ただ差益金の場合には、もちろんその点について、実状に即するという意味におきましてただいま申し上げましたような規格によるある程度の実情との乖離、それからまた実情において、ある程度現実に下つているという点、この点を勘案いたしまして、いわゆる新公價というような場合には、実際に販賣されておる價格というものを新公價のかわりに置きかえまして、これで差益金を徴收するということにいたしておるわけであります。
  48. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 今の御答弁は、そういうぐあいに実際に行われるものなれば、われわれは妥当なものとして肯定するのであります。しかし私は木材を一つの例に引いたのであるけれども、農業協同組合の連合会などにおいて、農業会当時から引継いだストックの物資を相当莫大に持つていた。これを單位組合に流す場合において、以前の價格で流しております。これを今度公定された價格をもとにして差益を見積つているのは妥当と思われますか。これは会の方のミスと思われるのですが、引上げたものを安く流しているということは、会そのもののミスか。これも実情に應じて、今のあなたの論法から言われれば、当然旧價格に規定の手数料を加えたもので流したものを認めなくちやならないはずですが、それが認められておらないのですが、この点はどう考えますか。
  49. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 これは実情の方をよく調査いたしませんと、はつきりしたことは申し上げられないと思いますが、そういう場合に、かりに單位組合からまた出ましたものが、実際にはマル公で販賣されるべき品物であるという場合には、一ぺん出ましたものが、さらにその次の段階ではマル公で賣られる、そういう品物でありますと、かりにその元の段階では差益が出ませんでも、次の段階で差益が出るという問題が起つて來るわけであります。そこで差益をどちらから取るかということになるわけでありますが、これは同じ系統のものであれば、もとで徴收してもその点においては違いがない、こういうことになりますので、そのものの性質によりまして、必ずしも安く賣つたからそれでは差益がないのだというわけにも参らない場合があるかと思います。その点よく実情を伺いませんと、あまりはつきりしたことは申し上げられないと思いますが、そういう場合もあることを御了承願いたいと思います。
  50. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 この問題は非常に大きな問題であつて、軽々しく取扱うべき問題ではないと私は思う。かりに木材が五百円のものが價格が百円引上つて六百円になつたとすれば、これまでの物價廳の方針は、その値上りした百円というものを基準にして差益を認めておつたところが実際の市場においては、木材は公定價格をはるかに下まわつて、現在五百円なら五百円のものが四百五十円でしか賣れない。賣れない場合において、そのあとをどんどん上げて來た。だから農業会にしろ、農業協同組合にしろ、商人ではないのだから、上つたものはすぐに價格を改訂して、その利益をみなとるというような考え方は、会などでは行われない。みな農民の團体なのです。それで單位組合には安く供給する、あるいは五分か六分のマージンと大体きまつておる。それを支部の方に流して、支部の方でも二分なり三分なりみなきまつておる。單位組合だからわかつておる。なるべく自分の團体だから、自分の組合員には安く供給するということが、これが商人と角逐する場合においても、組合では必要だ。これは常識で考えてみても、價格が上つたから新價格によるということはとうてい行えない。物價廳が課税の対象とする場合においては、この差益を全額見ておる。今木材の問題で調査をされると申しましたけれども、私はこの点をはつきりと御答弁を願いたいのですが、農業協同組合の差益の調査に來る物價廳の役人は、これは單に一瞬だけの問題ではない、数縣にまたがつて、差益を調査しておる。調査というよりは乘り込んで來て、その会の責任者と寄つて、二次会はどこへ行くのかということを先に尋ねる。左の手ではコップを持つて、右の手では帳簿を持つて威嚇しておる。私は名前を申し上げてもいい。全國の農業協同組合などはこういう方法が行われておる。この点は、いけなければ調べる。すぐにどの縣は何百万円、どの縣は何百万円と頭からやる。今の單位組合も、いけなければ書類をすぐ調べるという。ある縣のごときは五、六箇月も調べて、いまだに解決のつかぬ縣がある。もしこれを全國において調べてくれと言つたら、單位組合までも物價廳で調べられますか。会の方からいつても、調べてもらつた方がほんとうの実態というものがわかるのですが、そういうのにつきまとわれて單位組合まで調べられたならば、單位組合としてはたまつたものじやない。意地になつてかかつてやられる。女のことまで要求している。そういう事実を是認されますか。
  51. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 ただいまの木材の問題につきましては、新マル公でただちに差益をとつておるじやないかというお話がありましたが、これは昨年の場合いろいろ組合の方と折衝いたしまして、そこで納得の行きました実際價格を算出いたしまして、それによつて價格を計算しております。それからただいまの協同組合の調査の点につきましては、私ども実はこういう点に氣がつきませんでしたので、もし不都合なものがございましたら、われわれといたしましては十分な処分をいたしたいと考えております。
  52. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 私はこの問題は全國的に行われていると思う。しかし地方でこの衝に当られる役人は、必ずしもその人格において同一のものではないのであります。中には特別非難に値するような役人もあると思います。これは実際問題としてこれを調べることを本人自身も好んでいない。この問題を各府縣の農業協同組合の單位組合までにもわたつて、実際において書類を調べるということになれば、物價廳の役人が十倍になつてもこれは足りない。それだから、たとえば甲の縣は四百万円だ、乙の縣は五百万円だ、まるで縁日商人のごとく、右手には利劍を持つて、いけなければ切るぞと言うて、左手では今言つたような、酒を飲むことと調べることは別だと言うのだからたまつたものではない。これは現実の問題である。もう少し実際に木材でも何でもいいのでありますが——これは昔の惡代官よりはもつとひどい。税務署でいろいろな課税上の紛議を起すのでありますが、そういう個々の問題だけではなく、今大きな農業協同組合に切りかえて、これからこれを育成して行かなければ、日本の農村というものは單に農地改革のみによつて浮び上ることはできない。今ようやくスタートを切り出したところヘもつて行つて、わずか二十才代ぐらいの若い大学を出た將來有為であるべき者が、そういうぶざまな状態をもつて今日臨んでいる。私は実際面から言えば、名前までひつぱり出して、ここにたたき上げようかという決心をもつておつた。これは一縣や二縣じやない。われわれは全部わかつている。私はこの一事をもつて見ても他を類推することができる。何も調べる考えは持つていない。調べてくれと言われたら、おそらく物價廳も会の方も因るでしよう。そういうひどいことが今日の時代に行われるということは、私はむしろ不思議であると同時に、そういう役人は実に唾棄に値すると私は思う。その弱みにつけ込むというか、そういう態度で今日臨んでいる。木材の問題でも同じてあります。いなかの方へ出て來れば特にそういう傾向がはなはだしいと思う。來た早々から、名前もわからぬのに、二次会の場所を要求する、女を要求する。私は單に物價廳のみとは言いません。ほかにも自分が実際ぶつかつている問題がある。今度でも農林中金の秘書長のごときは、ぶんなぐつてやろうかと思つたがしんぼうして來た。こういう状態は、今日の差益の問題が全部とは申しませんが、私の頭で考えてみると、全國的に農協関係というものはそういうふうに行われておると思うふしがたくさんある。今言つたように、ある縣のごときは、そんな差益はないから調べてみよということになれば、一瞬に五箇月もかかつてまだ終りにならぬところがある。これを漠然とでも肯定になりますかどうか。
  53. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 それではひとつわれわれといたしましては、その実情を調査いたしたいと存じます。その点については委員の方におかれましてもわれわれの方に十分の御連絡をいただきまして、そういうふらちな所為が今後起らないように御協力願いたいと思います。
  54. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 一應物價廳の政府委員にはこの程度にしておきます。
  55. 大森玉木

    ○大森委員 今いろいろ各地方における差益金の調査に対しましての御意見があつたので、私もその点に対して実は同感であります。そうして今部長が、そうしたような不都合なものがあつたら、それはお知らせを願いたいということですが、それが大方であるから知らせようがない。一人か二人であるならそれでいい。現在のような状態で、まず申し上げれば、税務署しかり、またそうした税務署をどうするか。これは私ども常に考えておる。今税務署というようなものは、これはおそらく惡の伏魔殿だといつてもいいくらい、地方にいまやこれが巣食つている。今各地にもあがつておりますが、これはおそらく各地にこの問題は出て來ます。皆がおどかされて金をとられておる。あるいはひどいのになると、なんでもかんでもいやがらせを言つて、そうしてやつておるという事実がある。でありますから、それをまた今度は物價廳がそうしたものをつくられるのですが、これでもう國民はたくさんである。もうこれでこりごりしておる。だから私どもは何といつても農林省の調査によつて——農林省を信じないということになれば、これはお互いのなわばり爭いになりわしないか。一体農林省は何のために農林省という看板をかけておるか。農林省を信じないということになるのだつたら、一体だれを信ずるのか。私ども非常に遺憾に思つている。私どもの現実に見せつけられておる今日の税務官吏がこれであります。今またあなた方が差益金によつてかくのごときものをつくらんとすることは実に遺憾である。こういうふうに思うのでありまするが、部長の御意見はいかがでありましようか。
  56. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 なるほど先ほどからの御質問がありますように、その間に多少の不都合な点があることは伺つたわけでありますが、こういう点はわれわれはどうしても是正しなければならぬと思うのであります。ただしかしながら、一方において、それでは一体税務署で調査をしない方がいいか、あるいは差益金の調査をしない方がいいかということになりますと、われわれとしましては、そういう弊害を除去しながら、やはりある程度の調査はして行かなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。
  57. 大森玉木

    ○大森委員 それは調査をいたすということに対しては私は反対をいたしませんが、しかしながら調査の方法であります。何とかもう少し、この人ならと折り紙のつけられる人——先ほどのお話のように、右にはコツプを持ち、左にはげんこつを持ち、あるいは権力を持つておどかすがごとき、そうした人たちによつてこの調査を進められることは、はなはだ遺憾であります。  なお最後に私はお尋ねをしておきたいのは、先ほどもお話がありましたが、今日の木材の價格というものは、もはや下まわるどころではない。私の地方などでは、もう投げ賣りをいたしておる。また私どもの方は石川縣でありますが木材の産地であります。しかしながら大阪地方から買つて來た方がまだ安い。大阪地方ではもはや投げ賣りをやつておる。こういう状態では差益金どころではない。差損金はどうなるか。この損害金は一体政府は出してくれるのかどうか、これを伺つておきたい。よくなつたときはとるが、こうなつてしまつて今とらんとしておるときに、木材が三割、四割と下つておることは、事実であります。私も商賣をしておる人間であります。もはや木材業者はにつちもさつちも行けない。であるから、あなた方は差益金をとるということに没頭しておるが、しからばこの價格の下つたのをどういうふうに出されるのか、差益金を出すことはいい。しかしながら下つたものの損害は政府が補償してくれるかどうか。それをどうされるか承つておきたいのであります。
  58. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 差益と申しますのは、昨年の公定價格からの値上りの分について考えておるのであります。でありますからその後一應値が上つたものがさらに最近下つたという分については、これは一應考慮しない建前になつておるのであります。ただ実際問題といたしましては、そのまま当時のストツクの賣行き状況というものを見まして、先ほど申し上げましたような新マル公の計算をするわけであります。從つて旧マル公よりもさらに價格は下つたというような場合には、これはなるほど問題はあるわけでありますが、そういうことがなければこういうような問題はないというふうに考えております。
  59. 大森玉木

    ○大森委員 昨年の問題であるから、こう仰せられるのですが、それを調べて上つたときの問題というのでありますから、それはよろしい。しかしそれを調べて今それに税金をとらんとする。差益金をとろうというのでしよう。とるといたしますならば、その價格から下つて來たものをどうするか、これを聞いておる。今まで出したものは公定價格よりそのとき上つた公定價格であるから差益金をとるというが、その後に公定價格の下つたものは一体どうするか、こういうことを私はお尋ねするのです。
  60. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 これは木材だけに限りませんで、差益制度全般の問題でありまして、これはこういう状態になつて参りましたときに、差益制度をどうするかということの問題になるかと思います。この点については、ただいまいろいろ政府としましても研究中であります。ただいままでまだ結論は出ておりませんが、こういう差損の問題についても十分の対策をもつて行きたい、こういうふうに考えております。
  61. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 物價廳の政府委員の方に私要求があるのであります。それは先ほど質疑を重ねました農業協同組合の、実際において差益を調査された縣、それは連合会のみを檢査して、そうして單位組合に及ばなかつた縣と、それから單位組合までも調査をなさつた縣と全然調査をせずして、この差益を認定というか、あるいは妥協によつてきめられた。これを具体的に表にしで提出してもらいたいと思うわけであります。これは私は將來のための大きな参考だと思つております。おそらくは連合会なりあるいは單位組合なりに、その実際の差益を——実態について調査をしたということは、両方の開きというものがあまく多くて、折れ合わなかつた結果というものが、私はそこまで追い込んでいると思う。これを出してもらえますか。これは議会の終了まででけつこうです。これは將來のために政府委員としても御参考になさつてもいいわけです。これは腰だめでやつておるということを十分実証し得ると思うのですから、私の方からも御注意申し上げます。
  62. 渕通義

    ○渕委員 結論を出します。今までの應答を聞いてみますと、いかにもりつぱな机上プランだけであります。差損のある場合は考慮する、まことに有難いことです。それから農林統計を基準として今後は考慮いたしますという二つの言明がありましたが、統計の基準という言葉を使う場合に、あなたはどう考えておるのか。基準とはその基準量から二倍も三倍も離れたものが基準とはならない。ところが現在は二倍半もの差額が出ておる。基準とは五%とか一〇%とかの狭いものが基準でありますから、どうかそのような観点から農林統計というものを基準として、今後團体に訴えられんことを希望いたします。
  63. 吉田晴二

    ○吉田政府委員 差損と申しました点は、これはつまり公定價格と新マル公の実際の販賣價格との開きという意味で差損ということを申し上げておるわけであります。この分についての考慮は当然いたす考えであります。それから基準という意味につきましては、どうもデリケートなものになりますが、これはもちろん非常に尊重するということは、私としては異議がありません。ただその場合に、それではどのくらいの違いが出たら基準にしないかということは、実際の調査の結果によりましていたしたいと思います。
  64. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 委員長にお尋ねいたしますが、大藏省の方は見えておりますか。
  65. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 大藏省は見えておりません。
  66. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 商工省はどうですか。
  67. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 もう二、三十分すればいずれも参ります。
  68. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 それでは本論に入りたいと思います。この食糧確保臨時措置法は、われわれとしては、一口に言えばはなはだ咀嚼に困難な法案であると考えるのであります。これまでの状態から見ますると、事前割当の供出が完了いたしまして、超過供出の割当も二十四米穀年度においては一〇〇%以上完了されておる。これがかりに法制化されてみても、実質においてはそれほどの相違はいかとも考えます。平常の場合には全國的な豊作の場合においては、一般の推定よりも收量は多い、できた品物もよろしい、凶作の場合においては、予想よりも、あるいは坪刈その他をやつて見たよりも、実際において收量は調整した後までも減る、非常に落ちるわけであります。こういう場合において、つまり増加補正をする場合、あるいは減額補正する場合に大きな問題をかもすと思うのであります。通常の場合におきましては、実質においては大きな違いはないと考えますけれども、農民の精神的に受ける打撃というものは、この法案は非常に、農民としては、実に残酷な感じを持つわけでありますが、当局としては、この点についてどういう見解を持つておられますか。
  69. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 追加供出を法制化いたします今回の改正法案の提案につきましては、大臣から御説明申し上げたような事情から提案いたしておるわけであります。非常に残酷ではないかというお尋ねでありますが、現在の日本の置かれておりまする環境、並びに日本の食糧事情からいたしまして、やはり事前割当よりも相当豊作でありました場合には、國の供出量をふやす意味において、また國内食糧の集荷を最大限にいたす観点から、追加割当を、することもやむを得ない状況にあるかと思います。しかしながら増收いたしましたもの全部をとりますことは、農民の生産意欲の減退ともなりますし、また非常に酷でもあると考えますので、この法案といたしましては、増産いたしたもののうち、ある程度のものは生産農民に対しまして残るような形において超過供出をやらせるという措置を講じたいと考えておるわけであります。
  70. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 從來の例を見ますと、増加補正は幾たびともなく実施されておるのでありますが、マイナスになつた場合の補正は実際には行われていない。全國的に見て、全國的の豊作とか、全國的な不作という場合よりも、部分的な豊作、部分的な凶作という場合の方が多い、天災その他から見ても。凶作である部分のものを、豊作である部分の方で一定数量と確保するということに非常にあせるために、豊作の部分に大きな重荷がかかつて行く傾向を認めておるのですが、こういうことはどういうことになりますか。こういうことは、どういうことになりますか。
  71. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 從來の割当あるいは補正につきまして、減額補正が割合に行われにくいというようなお尋ねでありますが、この点はいろいろ見解の相違もあろうかと思いますけれども、昨年の状況等からいたしますと、どうしても減額補正が要求よりも相当圧縮された形において補正されたことは事実かと思います。この観点からいたしましても、一方において事前割当数量を國全体といたしまして確保するような道が開けておりますならば、これは一つの例でございますけれども、減額補正の方も相当思い切つた措置ができるようにも私どもは考えられるのであります。そんな点から考えましても、今回の改正事をいたすことによりまして、減額補正の点で、ほんとうに災害の実態に即した措置がとり得る状況を馴致するのではないかと考えております。
  72. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 先日來農林大臣あるいは次官、食管の長官において、今日の日本の置かれておる食糧事情を常に取上げられて、例に引いておられるわけであります。これはなるほど日本の現状から見れば重要な点であると私は考えます。米國の援助によつて八千万の同胞が食つておるということは、肯定せざるを得ないのでありますから、そういう例を用いられるのはあえて非難すべきではないのでありますけれども食糧政策という立場からあまり偏重を來した場合においては、日本の農村問題は非常に偏狭な取扱いが行われることになりはしないかと思う。農民の立場から見る農政と、食糧政策に偏重した立場に立つて見る農政とは違う。今日の、一般の労働者においては、一週四十二時間とか四十八時間とかいうようにやかましく騒いでおることが、先般來幾多の委員からの質疑の中に織り込まれたのですが、     〔山村委員長代理退席、委員長着席〕 農民はおそらく一週間八十時間も九十時間も働いておる。日曜も祭日もなくて働かなくては、食つて行けない日本の農業の現状であります。私は大藏当局が見えておりませんから、課税の面については今申し上げませんが、そういう現状に置かれておる農民であります。私の冒頭に申し上げましたように、この食糧確保臨時措置法なるものが実態においては、農民の道義に訴えて供出さすということを法制化すということを、実質においては大した違いはないかもしれない。けれどもこれが農民に與える精神上の問題を、むしろ私たちは大きく見ておるわけであります。今日の農民の犠牲において食糧政策を確立するということは、私はたいへんな間違いじやないかと思う。これまた端的に言えば、この前にも言つたように、干拓なり開拓なり、一反歩四万円も五万円もかかるような干拓——これもほんとうに成就するのは指を屈するほどもない状態であります。あるいは開拓におきましても、山の奥にもつて行つて、食糧の事情がよくなればすぐに放棄するような所に力こぶを入れることは、再檢討の必要がありはしないか。戰前においても、食糧の自給のできる國は、世界においても指を屈するほどしかないのです。これが軍國主義で進んで行くならば、食糧の自給という問題はたいへんな問題ではありますが、平和國家として、文化國家として立つて行くのには、他の面において、つまり輸出産業さえ旺盛にすれば、それほど農民に犠牲を強いなくても、食糧の二割でも三割でも、われわれの考えとしては輸入してもいいと思う。際限なく増加して行く人口を前にして——私は二十年に遡つて統計的に調べているのだが、この自然人口の増加による自然消費だけでも、今日の開拓や干拓だけでは追いつかないと思う。なるほど机の上で八千万の同胞の、なおこれ以上増加するところの人口を養い得るだけの立場に持つて行くそのことは、これは惡いことではない。私はこれを反対するのではない。あまりに食糧自給ということをあせるために、農民に犠牲を強いるということをわれわれは恐れるわけであります。今占領下だから、食糧を百万トン輸入しても米國のお世話になつているということは言えましよう。ところが平和を克服して後になれば、食糧を輸入したところで何もお世話になるわけではない。こういう点については、どういう見解を持つておりますか。私は農林大臣や政務次官あるいは食管の長官の、先般來の食糧中心の政策というものが、今日の農村から言えば、実にわれわれは肯定することができないふしぶしが多いのでありますが、この点については、どうお考えになつておりますか。私はもう一度お伺いしたいと思います。
  73. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 私からお答え申し上げますよりは、あるいは次官から申し上げた方がいい問題だとは存じますが、一應私の考えておりますところを申し上げます。端的に申しまして、いかにも純農政的な立場から見まする農村と、私どもが扱つておりまする仕事の観点からいたしまして、この消費者の立場をも考えて参らなければならぬという立場において見まする場合とでは、若干の食い違いのありますことは、これは事実そういう見方をされてもやむを得ない点があろうかと思います。しかし私どもといたしましても、農村が堅実に発展いたしますことによつて、結局食糧問題が解決して参るのでありますから、この点を全然考慮に入れないで問題を処理して行く考えはございません。やはり農林省といたしまして、農村が安定し、農家の経済が安定し、しかも食糧生産が確保されて行くという点について、十分なる努力をいたして参つておるのであります。この点は私どもの仕事の面からも十分なる考慮を拂つてやつておるということが言えるのでありまして、それがあるいは十分でないという御批判もあろうかと思いますけれども、その点、常に念頭に置きながら、問題を考えておるということだけを申し上げます。
  74. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 今日の食糧情勢その他の客観情勢のもとにおいては、農民のみの立場において今日の農政を見ることはいけないかもわからない。しかし一面においては、食糧自給をあせるための食糧偏重の見方というものが、実に危險千万であるということをわれわれは痛感するわけであります。農民も人間である以上、農民も普通の一般の人達と同じように、経済的にも文化的にも人間らしい生活をすることが、前提とならなくてはならぬと私は思う。それが無視されているという傾きが濃厚に見受けられるのであります。この点についてはどういうお考えを持つておりますか。農民は今まで通り働いてもよろしいと思われておるのでありますか。
  75. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 お尋ねのようには私どもは考えておりませんので、やはり日本の経済全般の上に立ちまして、農民のみが犠牲を強いられるというようなことは、絶対に適当でないのでありまして、やはり均衡のとれた生活を保持し、経済が健全に運行されて行くことを望んでおるのであります。私どもといたしましても、農民のみに非常な犠牲を強いるというようなことを考えているのではありません。あるいはそういう見方をされる場合もあるかと思いまするけれども、決してそういう意図のもとにやつておるのではないことを申し上げます。
  76. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員 この点は見方の相違ではないのでありまして、農産物價の点から見ましても、その他課税の点から見ましても、労働の置かれている立場から見ましても、これははつきり立証し得るのでありますけれども、私は長官との應酬はこの程度にとどめておきます。なお大藏当局及び商工当局が見えましたならば、改めて質疑をすることにいたして、一應私の質問を打切ります。
  77. 平野三郎

    平野委員 昨日農林大臣から御説明のありました食糧確保臨時措置法改正案に対しまして、実は質疑をいたさんといたしましても、あまりにも重大な法案でありまして、質疑を申し上げることが多すぎて、從つて何からお尋ねしていいかわからないくらいな心境にある次第であります。ぼつぼつと総合的な問題から、逐次細部にわたつて伺いたいと思う次第でございます。  まず第一に起きます疑問は、先ごろ成立いたしましたところの昭和二十四年度の予算というものが、國民に対して尨大なるところの租税負担を強いておることであります。この点につきましては、大藏大臣もしばしば三千百億に達するところの所得税は、國民の負担限界を越しており明らかに過重であるということを率直に認めておるのでありまして、これは近く税制改革によつて相当の補正をするんだ、すなわち國民の租税負担を軽減するんだということをはつきりと言明しておられるのであります。またわれわれもその言明を信頼いたしまして、あの予算案に協賛をいたした次第であります。かように考えまするならば、われわれに與えられておるところの租税体系というものが、近く根本的に改革されることが予想されるのでありまして、國民の税に対するところの今日の体系というものは、近くかわると思うのであります。すなわち現在の租税負担というものの一應の定めは、これは仮のものであつて、決してこのままになるものではないことは明らかなのであります。すなわち税金の問題は、將來に残された未解決の問題なのであります。ところが一方農民に対しますところの追加供出の問題、供出金の問題は、この税金の問題とは不可分の関係にあることは御承知の通りであります。すなわち農民は一方におきまして近く税の補正をせられる立場にあるのでありまするが、しかし今日税金問題がかように未解決なのに対して、農民だけに対して、この不可分の関係にあるところの供出制度をこの会期中に決定しなければならぬということは、いかにも片手落ちである。國民全体が税金問題については將來補正されるにもかかわらず、農民に対してだけその不可分の関係にあるこの供米の問題をこの会期中にきめられるということは、農民に対するところの一方的なる強圧的な措置であるという印象を強く受けるのであります。この点に対しまして政府当局はいかようにお考えになつておるかをまず伺いたいと思います。
  78. 苫米地英俊

    ○苫米地政府委員 平野委員の御質問ごもつともだと存じます。租税の問題は將來是正される。しかるに農民の供出の方はこの議会でただちに決定するということは、片手落ちじやないかという御趣旨のように了解いたしたのであります。しかしこの食糧の問題は、まだ見通しがつかない現実の問題になつて現われて來ておるのであります。租税の方はこれから一つの方策を立てて、改善して行くという大体の見通しもついておるのでありますが、國民の食糧という問題につきましてはまだ見当がつかない。その見当のつかない一つの條件はどこにあるかというと九原則の進行成否によつて、アメリカから日本に供給されるところの食糧の数量もかわつて來るのであります。今まだそれが定まつておらないような状態であります。從いまして日本といたしましては、できるだけ食糧を國内において確保する。この面からも一つ必要であります。同時にまた、日本がアメリカの納税者の負担を軽くするという建前からも、これを確保することが必要で、納税問題のように単純に國内的の問題として考えられない。一方において國際的の問題として考えなければならない。こういう二面のあることをまず私どもは了解しなければならないと思うのであります。さらにまた先ほど説明がありました通り、天災地変もしくは病虫害等によつて作の惡い所が出て來て、これを補正しなければならない。この補正を適正にいたしますためには、やはり適正になし得るだけの食糧を手持ちしなければならないというようなこともありますので、これも先の見通しをつけてやるという問題でなくて、現実にわれわれの直面しておる問題でありますので、先を見て待期するということが困難であるのであります。これらの事情によつてこの法案がこの國会に提案されたのであるということを、御了承願いたいのであります。
  79. 平野三郎

    平野委員 ただいまの政務次官の御答弁を伺いまして、私の疑問はさらに一層濃くなり、雲の湧くがごとくに、次から次にと幾多の疑問が生じて参るのでありますが、本日さらにこの質疑を引続き継続になるのでありましようか。委員長に伺いたいと思います。
  80. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 継続になります。
  81. 平野三郎

    平野委員 ただいまの政務次官の御答弁では、大体二つあつたように思います。その中の第二点の方につきましては幾分了解し得られぬこともないのであります。すなわちこの食糧問題は、國際的な情勢に基くものである。しかしながら税金の問題は國内的な問題であるから、從つてどうしてもこの際に解決をしなければならぬ、税金の問題は將來に延ばしても、供出問題はこの際に解決を要するのだ、こういう御説明につきましては、一應納得し得られるのであります。しかしながら第一点の問題、すなわち租税の問題については、大体すでに見通しがついておるが、供出の問題については見通しが立つていないから、それでこの際急速にこの解決をはからなければならないのだということにつきましては、まことに了解に苦しむのであります。租税の方についてはすでに見通しがついておるということであるといたしまするならば、農業に対するところの租税体系は、すでに政府の方では腹ができておると思うのでありまするが、どういうふうになつておるでありましようか。われわれの理解しておるところにおいては、アメリカからシヤウプ使節團が來られて、これから種々御研究になつて、八月の末ごろにある程度の勧告案が日本政府に発せられる。そのときにその全貌がはつきりするのじやないか、今のところは見通しがついていないのじやないかというふうに、今まで私は了解いたしておつたのでありますけれども、今の政務次官の御答弁によりますと、現在すでに所得税については見通しがついておるのだということになりますれば、その見通しの内容はどういうものでありますか、伺いたいと思います。
  82. 苫米地英俊

    ○苫米地政府委員 私の租税に対する見通しが將來に対してついておると申しましたには、決して具体的に案ができておるというのではありません。これは大藏大臣もしばしば声明しております通り、大藏省において減税をするという建前を堅持されて、すでにその方向に向つて委員会もつくつて研究を進めている。これは決して増税をするという研究ではなくして、減税をするという研究であります。それからシヤウプ博士が見えて案を立てられる。このシヤウプ博士と折衝するところの腹案も、大藏省においてはできておつて、これも現状維持とか、もしくは増税をするとかいう方向にあるのではなくて、大藏当局は相当の腹案を持つて、減税する方向に向つておるということを私は信ずるがゆえに、この租税については大体改善の見通しがある、かように申し上げたのであります。
  83. 平野三郎

    平野委員 政務次官の御答弁によりますると、大体税金の問題の見通しがついておるということは、すなわちこれを減額することは確実であるという見通しだ、こういう御説明でありまして、その点はよく了解いたした次第であります。すなわち政府の方では、明らかにこの所得税を軽減するということについての確固たるところの確信があるのだということの言明でありまして、この点は私も大いに安心をする次第であります。しかしながらそういたしますると、一層私はこの供出の問題と税金の問題というものが不可分でないかということを考えるのであります。すなわち税金が軽減せられるということははつきりしておるのでありますが、どの程度軽減せられるのかということはまだ未定の問題であります。今具体的にまだ案はないのだという御説明でありましたから、減額されることはわかつておるけれども、どの程度であるかということははつきりしていないのであります。そういたしますると、ここで供出の方ははつきりきめられてしもう、税金の方は安くなるのだけれども、どの程度だということはわからない。そういたしまするとすれば、やはり農民はこの際供出の方だけがここで確定をして、税金の方はまだ未解決のままの漠然たるものが未來に残されるということになれば、やはり不安動揺というものは解消し得ないと思います。そういうようなことから言つても、どうしても不可分の関係にあるところの税金と供米の問題というものは、大体同時的に解決するのが至当ではないか、かような私の考えを、ただいまの御答弁だけでは解消することができないのでありますが、そういう意味におきまして、重ねて政府の供米と税金との関係についての御処置を伺つておきたいと思います。
  84. 苫米地英俊

    ○苫米地政府委員 御説の通り並行してすることができるならそういたしたいのであります。しかし並行してできるようななまやさしい現在の実情ではないのであります、もしこれが併行してでき、皆さんが御満足できるような解決ができるならば、こういう政策をとらなくてもよいのであります。つまり日本の國情が皆さんが御不満を感ずるような、しかも政府当局としても決して満足をしておらぬけれども、不満でありながらもそういう政策をとらなければならないというのが、現在の窮乏日本の現実であるということを御了承願いたいのであります。
  85. 平野三郎

    平野委員 農林大臣が御出席になりましたので、大臣にお願ひ申し上げたいと思います。  先ほどお問いいたしましたことは、後ほどさらに大臣に承ることにいたしまして、ここで別に大臣に承りたいことは、日本の食糧問題の解決は、要は食糧の増産にあるのであります。その配分についていかに適切な体系をつくりましても、根本であるところの食糧が増産せられなければ、結局は何にもならない、問題はそこにあるのであります。從つて、われわれの一番考慮を要すべきことは食糧の増産であります。しかるに今この際税金の問題がまつたく將來に残される、未解決のままにしておいて、供出制度だけをここに確定するということになりますならば、農民の生産意欲というものはまつたく地に落ちて、そうしてここに非常な生産の減退を來すのではないかということをおそれるものであります。すでに昨年度におきましても、全國的に耕作権の放棄ということが随処に現われております。すなわち供出割当の過重並びに税金による、この二つの理由から、農民は当然なすべき天職であるところの耕作を放棄するというような、憂慮すべき事態が全國的に瀰漫しつつあるのであります。この際ここに追加供出を確定するということになりますれば、かえつてまたこの耕作者に対する不安を増大いたしまするがために、耕作地の放棄ということが起つて参りまして、かえつて食糧の減産になるということが起りはしないか、もし食糧の減産ということが絶対数において起りましたならば、ここにいかに理想的な、科学的な調査に基く割当制度を確定いたしましても、一つの制度だけでは食糧の増産は期待し得られないのでありますがゆえに、かえつて日本の食糧の事情をきゆうくつにし、連合軍の御要望にも反するというような、逆の結果を來すのではないかということを非常に憂慮するものでありますが、この点につきまして、大臣の御見解を承りたいと思います。
  86. 森幸太郎

    ○森國務大臣 食糧政策につきましては、幾たびか卑見を申し上げたと思うのであります。今日日本の食糧事情が、アメリカの特別なる同情によつて切拔けておることは申し上げるまでもないのであります。しかしアメリカが好意を示されておるからと言つて、これに甘えるような氣持を持つてはならないことは申し上げるまでもないのであります。できるだけ日本の國土を高度に利用いたしまして、食糧を増産し、また工業の面におきましても輸出を盛んにいたしまして、外國食糧輸入の見がわりをつくるという面から、いずれにしましても、國民の食糧を自給することを理想として進まなければならないと思うのであります。このことは昨日も申し上げたのであります。そういう目的のために國策が向けられるといたすならば、今回提案いたしておりますこの法案のごとく、ただいたずらに農業生産者を刺激して、法制の力によつて供出さしめ、しかもそれに対して課税をするということは、その考え方と矛盾するのではないか、それがために生産者の生産意欲を減退して、耕地を放棄するような現状をさらに助長するようになるのではないか、こういう御質問と考えたのであります。國家に対するわれわれ國民の義務といたしまして、收入のあるところには納税の責任がしよわされて來るのであります。一面において宝くじなんかに税金をかけられぬじやないか、こういう御議論も出ますけれども、宝くじというものは政府が拂つて政府が受取るのであります。納税者も徴收者も國家であります。政府が税金を出して政府が税金を受取るのですから、差引きマイナス、何にもならないのでありまして、この國家のやりまする宝くじ等において、税金をかけていないのはこれなのであります。こういうことと比較して、宝くじや競馬の馬券に税金をどうとかいうような比較をされるのでありますが、國民といたしましては、收入のあるところには納税する当然の義務があるわけでありますから、今回食糧確保臨時措置法の一部を改正いたしました趣旨は、アメリカの日本に対するこの絶大なる支援に対して、日本で生産する食糧を全部政府の手に納める、いわゆる政府がこれを集荷するところの方式をとらなければならない。これがこの法のねらいどころであります。この超過供出ということは、食糧の供出制度の沿革を、諸君が少し思いをめぐらしていただけばおわかりと存じますが、割当ていたしまする当初において生産の状況を勘案いたしまして、農業者の家計事情を勘案して、これを保有せしめ、その残余を供出してもらう、これが供出制度の考え方であるのであります。ところがその供出されますところを予想して需給計画を立てて一箇年の國民食糧を政府は責任を持つてやつておるわけでありますが、年々繰り返されるところの風水害等、あるいは虫害等、農業災厄に臨みまして、予定の收入が得られない。いわゆる補正しなければならないという事情に迫られることも、これはおのずから考えられることであります。そうしました場合に、國家の持つておるところの需給推算が根本からくつがえされることになるのであります。いわんやアメリカよりの輸入を受けます食糧の量も、もちろんこちらが懇請をいたしまして、これくらいのものは輸入を許可されるだろう。輸入してもらえるだろうという、一つのこれは予測であることは御承知の通りであります。そういう関係で食糧の事情が当初考えました事情とかわつた場合に、生産者の手元においてなお供出し得られるところの余裕があるとするならば、これを供出してもらう。今日まではこれを超過供出と名づけまして、特別の價格をもつて政府が買上げておつたのであります。この法案にも示すごとくに、事前割当をいたしまして、その割当の食糧が予定通り供出せられまして、アメリカからもこちらの予定いたしておりました食糧が輸入をしてもらえる。ここになんら補正の必要もない。災害もなかつた。そうしますれば、事前割当をそのままにおいてさしつかえないのであります。もしもこの事前割当だけでは需給推算が狂うというようなことを考えた場合に、さらにここに政府は、案を立てて供出をしてもらうというのがこの法の建前であります。しかしそういう場合は、生産者においても食糧事情の非常に苦しいときであります。それでありますから、そういう場合に対しては、政府はできるだけ供出してもらえる数量について、地元に自家保有をも考えて、最小限度の保有をしてもらつて、そのあとを供出していただく、こういうのが法の建前であります。それで税金等の考え方は、今申しましたように、一應われわれは收入のあるところに納税を義務づけられておるのであります。一時この超過供出を匿名供出にしたら出るだろうというような考え方もあつたのでありまするが、この法律で行きますると匿名供出ではありません。これは各府縣にその事情によつて割当をいたすのでありますから匿名供出を考えました事由は解消いたすのであります。この上においては特に追加供出をしてもらうのでありまするから、債務の点において供出していただく人に対しての報いをせなければならぬ。これは政府として考えなければならぬことと思うのでありまするが、今日の食糧事情をよく認識していただきまして、農業者諸君の絶大なる御協力を得て、日本の食糧を一日も早く独立の立場にいたしたいと考えておるわけであります。なお農業者に対する課税が重いという点につきましては、私も決してこれを否定するものではありません。でありまするから、本年度からは農業者が自分の農業経営の上において、これだけは納税の義務を果してもいいという、納得し得られるだけの基礎をつかむべく、農業者に対して家計的な経済調査をしてもらうことを考えておりまして、この調査によりまして、個人の経営いたしておる農業にどこに欠陷がある、欠陷がありとすればこの計画に基いてそれを発見いたして、これを是正する一つの手段ともなる、かように考えておるわけであります。
  87. 平野三郎

    平野委員 ただいまの大臣の御答弁は、本制度を確立するための一應の建立としてよく了承はいたすのでありまするけれども、しかしながら多少見解の相違もあり、またただいまの御説明だけでは十分に納得いたしかねるのでございます。それで私が特にお尋ねをいたしたい点は、供出制度を強化し、連合軍の要請にこたえて、日本の食糧状態を改善するという目的に向つては、何らこれは異論ないことでありまして、ただその方法において、今この際にこの法案を認めることが食糧増産の面において適切であるやいなや、もし適切でないということになりまするならば、かえつてこれは連合軍の方の御援助に対しまして、好意にむくいない逆の結果になることをおそれるがために、こういうお尋ねをいたしておるわけであります。それで私の申し上げる点は、今日の事前割当の制度が非常に農民の生産意欲を高めておるのであります。すなわちある目標だけを達成すれば、あとは多少そこに樂な点があるんだということが非常に農民の生産意欲を刺戟して、しかして食糧増産の全体の効果をあげておるのでありまするが、ここにこの余地なからしむるという制度に改めるならば、かえつて食糧の減退という逆の結果を來すのではないか。それについて私はこの際食糧管理局長官に一應お尋ねいたしたいのは、昨年度におけるところの耕作放棄の面積、並びに全國的の耕作放棄に至るところの理由、また政府のそれに対する対策を伺いたいのであります。それはこの制度を実施いたしまするならばかえつてそうした耕作放棄という状態が激しくなつて、逆の結果を來すのではないかということをおそれるがために、一應その昨年度の実情について承りたいのであります。
  88. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 農林省といたしまして耕作放棄面積をいろいろ調査いたしておりまするが、昨年度の面積は後ほど印刷にしてお配りいたします。ただこの耕作放棄面積と申しますのは、從來必ずしも税金あるいは供米関係等による耕作放棄の面積のみでありませんので、原因別にいろいろなものがあるのを想起いたしまして調査をいたしておつた、さように承知いたしております。ただ昨今におきまして、相当税が重い、あるいは供米関係が非常にきつくなつたというような関係からして、多少ふえて参りますような傾向もあるのでございます。その実情は良田が放棄されている場合は私どもとしては割に少く見ております。やはり経済的にとうてい引合ぬ、あるいは多少いつも災害をこうむつている、そんな所を耕作しておりますと、税金もかかるし割当も來るというような、比較的耕境に近い限界点に達しておるような土地の放棄が割に多いように考えております。今年度四月一日の状況は、実は全部集計が出ておりませんが、荒廃地小計いたしまして五、六千町歩くらいになるのではないかと考えております。
  89. 平野三郎

    平野委員 対策を伺いたい。
  90. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 この耕作放棄によつて起りまする原因はいろいろあろうと思いまするが、私どもの立場といたしましては、割当が公正に行われること、これがやはり一つの耕作放棄面積を減少せしめるゆえんであろうかと思います。末端において公正に行われますならば、耕作改築という現象がずつと減つて参りはしないか、また税金につきましても、全般的に税率を下げる問題のほかに、やはりこれが各農家について、実際に即應した税金の賦課が確実に行われるというようなことも、併せて耕作放棄の面積を少なからしめるゆえんであろうと考えます。
  91. 平野三郎

    平野委員 ただいま事務当局から昨年度の実情を承わりまして、さらに新らしい疑問がわいて参つたのでありますけれども、私ばかりこれ以上お尋ねするということになつてもいけませんので、一應ここで打切つて、他に讓つて後ほどさらに私の質疑をいたしたいと思います。
  92. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 簡單にお伺いいたします。今度の法案を強行するにあたつて、この法案が可決された場合に、はたして農家がこの案の内容にこたえる力があるかないかということが、私は一番大きな問題だと思いますけども、私は農林大臣に、各方面からほとんど一致して叫ばれておる日本の農村には恐慌が來る。この農村の恐慌の問題について御見解を伺いたいと思います。私は質問を簡單にする意味でかようなお尋ねをすると同時に、私の見解をついでに申し上げて見たいと思います。私は農村には恐慌は來ないという結論をつけております。私はなぜかように申すか言えば、この前の戰爭のときと違いまして、今度の戰爭においては、日本は敗けた。金がない。海のかなたにいかに農産物が豊富にありましても、これを買う金がない。これらを持つて來て日本の農産物の数量を圧迫するということは考えられない。從つて私はかような見解から、農村に恐慌は來ないということを思うのであります。しかし実際には農村にはほとんど恐慌は來ておる。これは経済的な問題ではなくして、私はこういう言葉が通用するかどうか知りませんが、過去一年二年の政府当局の政治のやり方が惡かつた、いわゆる政治恐慌なのである。私はかように思うのである。なぜ政治恐慌かと申しますと、税金のやり方が惡かつた。農産物價格の決定が惡かつた。資材の配給が惡かつた。かような農村に対して打つべき手を打たなかつた。政府の怠慢から來たところの政治恐慌が、今日かくのごとき状態を來しておる。かようなことを今後また続けるならば、私は政治的な意味の恐慌が來ると思うのです。この機会において政治的の恐慌を防ぐだけの確信がなければいけないと思う。いずれにいたしましても、農村の今後の見通しにつきまして、恐慌が來るか來ないかということについて、まず御見解を伺いたい。
  93. 森幸太郎

    ○森國務大臣 恐慌がすでに來たとも考えられますし、またやり方によつてはまつたく恐慌來たらずとも考えられるのであります。これはなるほど政治が惡かつたという御意見でありますが、これは決して否認できない問題だろうと思います。しかし農村におきましては、今日なお健全なる発達をいたして、農業の目的を達成しておる部面も相当あるのであります。必らずしも全國的に農業というものはとても維持ができない。生活ができ得ないという部面のみとは私は考えないのであります。これはいつかも申したかと存じますが農業と一概に申しましても、この郊外の農業もあり、東北の農業、近畿の農業、湖辺の農業、山間の農業もあるのでありますから、農業全体を考えて政治は行つて行くのでありますが、今日の農業といたしましては、ただ單に米麦作、主要食糧のみの生産によつて生計を営むのでは、生活はでき得ません。ここに農業を工業化して、労力の分配を通年的に考えて行くということを、今後用いて行かなければならぬと思うのであります。こういう政策に向つて今日まであまりに考えられなかつたということも、今日農村が差し迫つておるということを考える一つの原因と思いますが、税の負担において私は非常に商工業に比して過重に考えられるのであります。これはいかにもこの農業生産がガラス張りでありまして、そうして收入等考えられるものはすべて表ヘ浮んで來るのであります。これが隠れておることを私は正しいとは申しません。商工業者のように、二重、三重の帳簿をつくつてごまかすことが、商工業の経営に上手だとは私は褒めませんが、今日の商工業がともすればこういうふうな経営をやつて、國家に対する納税の義務をごまかしておるということは認められるのでありますが、農業者に対してはこういうことは全然でき得ないのであります。ここに納税の実質に対する不均衡があろうと考えるのであります。それで國民といたしまして、納税の義務を果す上において、農商工いずれを問わず、これは均衡に出さなければならない。それでありますから政治は農業者の納税義務を公正ならしめると同時に、商工業者の納税に対しましても、はつきりとこれを適切なる納税者たらしめるところの努力をして、はじめて農業者の不平も除かれ、またその税の負担も軽減されることと、かように考えておるわけであります。それでありますので、農業生産の上における資材がすべて工業生産であります以上は、この工業生産によるところの再生産資材をできるだけ安く生産せしめるような方途をとりまして、農業者にこれを配給する。農業者の生活状態と、商工業者の生活状態とを考えまして、農業生産者の生活樣式の水準を引上げて行く。こういうことも考えて行かなければならぬと思うのでありますが、いずれにいたしましても、今後の農業政策といたしまして恐慌來らずといえどもこの農村の経営の上において、まだまだ改善しなければならないこともたくさんあろうと思うであります。そういう意味においてこの農業政策を進めて行きたいのでありますが、しからばこの法案を出すことがその目的に適うておるか、順應しておるかという御質問がおのずから出て來ようと思いますが、今日食糧の状態は、もう私が今さら申し上げるまでもなく、國際的に日本が救済されておる。     〔委員長退席、山村委員長代理着席〕 立場におきましては、われわれはこういう自給自足の道の立つまでは相当のむりをしなければ、むりもあえて忍んで行かなければならぬような状態であることも、われわれはこれを否定できないと思うのであります。この日本の食糧の現状をよく農業者諸君が理解されるならば、私は今回の法的措置に対しましても、決してこれに対して憤懣を起させるようなことはないのではないか、從來とてもこれを事前割当として府縣に割当てておりますが、先ほども繰返して申しましたように、事前割当が適正であり、需給推算がそれによつて立つて、途中において何らこの予算の狂いがなかつたならば、あえて超過供出を法制化してこれを行う必要はないのであります。この点をよくお考えを願いたいのでありまして、ただ今日まで自由意思によつて超過供出をお願いし、自主的に出してもらつておりました超過供出を、もしもの場合において、これを法制化するというのが法の建前であることを御承知を願いたいと思います。
  94. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 非常に政治的な御答弁がありまして、実はなかなかしつぽがつかめないのでありますが、私は御答弁の大体の筋は、今後の農村必ずしも樂観できないと憂慮されておる、かように御答弁いただいたと思う。そこでこの法案を今回実施せんとする政府に、時機的に非常に危險があるではないかと思うのであります。私はこの法案を出される場合には、その前提として、農村を取巻く諸條件が一切片づいて、そこで初めてこの法案の提出の時機も來、また考え得ることになると思うのであります。農村を取巻く諸條件、すなわち先ほど申し上げました税金の問題にいたしましても、資材の問題にいたしましても、農産物の價格の問題にいたしましても、一切がまだ未解決である。しかもいつ片づくかまだはつきりしないという現状におきまして、経済上の負担力のまつたくなくなつた、むしろ不況のふちに追い込まれておる農村に対して、この制度は、あまれにも一方的に独牲を農民に強いるものではないかと思うのであります。私が今さら申し上げるまでもなく、源を枯して何の繁栄があるかということを申し上げたい。私はこの機会に農林大臣にお尋ねしたいのは、仁徳天皇のあの民のかまどから煙が出るのを待つて初めて税金をとつた、民のかまどがにぎわうまでは皇居がくち果てても税金をとらなかつたここをよく考えてもらわなければ困る、農村に犠牲を強いておいて、今後農村に食糧の増産を期持することは、まつたく矛盾撞著もはだはだしいと思うのでありますが、これらにつきましてもう一度、農村の繁栄をまつて初めて農村に要求すべきものを要求する、この順序を農林大臣ははつきりとお立てになつて、今後の農業政策をおやりになるのかどうか。それから今のような逆な状態で、今後も引続き農村に犠牲を強いて、農村の犠牲のもとにおいて國家の復興をはかろうというのか、私はこの点伺いたい。
  95. 森幸太郎

    ○森國務大臣 御説もちろんお氣持はわかります。それがほんとうに農業者に対する政治の心意気でなければならぬと思うのであります。ところがもう私が申し上げるまでもなく、今日の日本の状態は、経済九原則によりまして、予算の編成におきましても、われわれはなすべき多くの仕事をなし得なかつた、なし得られない情勢にあるのであります。これは一日も早くこの段階を切り拔けまして、小さいながらも日本が独立國として許され、ほんとうの自分の力によつてのみ生活し得るような國になつて、初めてすべての政策がおのれの考えるように行われると思うのであります。いましばしこれを忍ばねばならぬ次第であると思うのでありますが、農業政策の上においては、今河野議員のお述べになりましたようなことを基本観念として考えることは当然でありまするが、当然であることが当然として行い得ないという今日の情勢におきましては、ひとり農業者のみならず、すべて商工業も資本家も労働者も、この日本の現状をよくかみしみて考えていただかなければならぬではないか、かように考えるわけでありまして、今お述べになりました農業政策の根本観念については、河野議員と少しもかわりがないことを申し上げておく次第であります。
  96. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 それでは農村を取巻く諸條件、資材の問題、税金の問題價格の問題等につきましては、また別の機会に商工大臣なり大藏大臣なり安本長官がお見えになつたときに、私はいろいろとつつこんでお尋ねしたい。これを委員長にお願いいたしまして、本日の私の質問を一應打切ります。
  97. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 私は食糧確保臨時措置法に関する全般の質問は明日通告いたしました順序によつてやりますが、ただいま河野議員から、はからずも農業恐慌論について出たのでありますがただいまお述べになりましたような経済的恐慌ということが、純粋な経済現象の中にあるということは私もわからないのでありますが、ここに予見せられる農村恐慌というものについて、大臣でも事務当局でもけつこうでありますから、事明確に述べておいていただきたいのであります。いやしくも衆議院の農林委員会の席上に農村恐慌が議題とせられました場合において、結論として私たちが承つておきたいことは、農村恐慌が一般恐慌と異なるゆえんのものは、一般恐慌がすなわち六年ないし八年の時間ずれを持つてやつて來るという現象であるに比して、農村恐慌は、歴史初まつて以來わずかに二回しか経驗せられてないのが、いわゆる農業恐慌の理論的な姿であろうと思うのであります。しからば予見せられる農業恐慌はかかる、かつて地球に二回しかなかつたというような農業恐慌が再びここに予見せられるべきものなりや、しかして世界の農業恐慌の一環として、日本の農業恐慌が巻き込まれるべきものなりやという理論的なけじめを、現在農林省としてはいかに捕捉せられておりますか、一般経済理論の上に立つて、事明確にお述べ願いたいのであります。
  98. 森幸太郎

    ○森國務大臣 寺島議員のおつしやるような、強き意味において、農村が壞滅するかどうかというような歴史的恐慌を河野議員はお考えになつたのではないと考えるのであります。ただ今日の経済人として生活が苦しい、こういう状態では農業を放棄しなければならないというような情勢が來るのであろうか、來ないのであろうかという程度の、農村経営の困難についての來るか來ないかということお話になつたのであろうと私は思うのであります。寺島議員のおつしやるような、農村恐慌は農業というものがほとんど壞滅に瀕してしまう、耕地が荒れてぼうぼうとして草原になつて、放つてしまうというような歴史的な恐慌は、われわれは考えられないのであります、ただ今日の経済組織のもとにおいて、農業者がいかなる境遇に置かれておるか、この境遇に置かれておる農業者が、商工業者に対してその生活が経済上どういうふうに報いられておるかという、この点に農業者の不満があり、懷疑に満ちておる。これを政治の上から解決して行くことが、農業政策として施して行く道であろうとわれわれは考えるのであります。しかし今日の状態は、決して順調なる道を歩んでおるのではないのであります。日本は今は権道を進んでおるのであります。決して正道を進んでおるのではないのであります。從つてここにわれわれの考えるような正しき政策が、十分に完全に行い得ないという事情があるのであります。私か河野議員にお答えいたしましたのは、この氣持において農業政策を施して行く、こういう意味であります。
  99. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 大臣の農業恐慌すなわち嚴密な意味における農業恐慌は來らずという御見識に対しては了承いたしました。さりながら一昨年來農業恐慌必至であるという意見が、日本の農政各界にも対立いたしておりますことは、いやしくも食糧行政を万々つかさどつておられます農林御当局の、すでに御了承のことと思うのでありまするが、あらためて事務当局といたしましては、農業恐慌が世界農業恐慌の一環として起り、第三次世界大戰の後に來らんとする諸論を採択すべきか、それともそうではないという考え方に立つておられるか。これは考え方として一應承つておきたい。
  100. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 農業恐慌にはいろいろな意味もあろうかと存じまするがただいま大臣が申し述べられましたように、私もかかる意味においての農業恐慌というものは、いろいろ理論はありますが、最近において、近き將來においてはないというふうに考えております。
  101. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 了承いたしました。
  102. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 先ほどお尋ねの耕作放棄の面積についてでありますが、二十三年度におきましては三千五百二十五町歩ございます。原因別について、供出の苛酷による耕作放棄が二百六十二町歩、税金過重によりますものが百三十九町歩、税金と供出の両方の過重で放棄したというのが四百町歩、災害によりますものが二千百三十九町歩、その他といたしまして五百八十一町歩、合計して三千五百二十五町歩が昨年度においてあるのであります。
  103. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 速記停止。     〔速記中止〕
  104. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 速記開始。本案に対する質疑はこの程度にとどめまして、次会に継続することとし、次に移ります。     —————————————
  105. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 酪農業振興臨時措置法案を議題とし、提出者の提案理由の説明を求めます。松浦東介君。
  106. 松浦東介

    ○松浦東介君 ただいま議題となりました酪農業振興臨時措置法案の提案者を代表しまして、提案理由の御説明を申し上げます。  戰後わが國農業の近代的民主化を確保するため、農地改革及び農業協同組合組織等の日本農業における生産の基本條件の合理化及びその協同化の諸般の措置が講ぜられたことは御承知のところでありますが、ひるがえつて農村の実情に眼を轉じたとき、われわれはその理想と現実とのあまりにも隔離しているを覚えるものであります。  すなわち農村の現実は、農地改革による経営の零細化による小農経営の経済的脆弱性が漸次露呈され、農家経済は主要食糧供出の重圧や農民課税の強行等により、漸次その彈力性を喪失し、その貧困さを増して來ている状況であります。かかる現象は何に起因するかと申すならば、農地改革によつて創設された零細な自作農に対する政府の新情勢に即應した新しい農業経営政策の貧困と、農家経営を無視した不合理な主要食糧農産物の供出制度の強行とによることも少くないのでありまして、われわれのまことに寒心にたえざるところであります。  今や單一為替レートの設定、経済九原則の実行等によりまして、わが國の経済の自立化が強く要請せられて、いるときにあたり、わが國経済の再建の基盤たるわが國の農業経営の安定と、その総合的生産力の増強をはかり、世界農業との競爭場裡において、その独立性を確保する要、今日より大なるはなしと考えるものであります。  かかる観点からいたしまして、主要食糧の生産及び供出との合理的調整をはかりつつ、飼料の自給力を増強することによつて、酪農業を振興することは、土地の高度利用、労働生産性の増進等による農業の総合生産力の増大と、その経営の安定を期し、ひいては近代的文化農村の建設に最も有力な一手段と考えるのであります。  なお特に酪農業の振興をわれわれがここに取上げんとする理由は、右の農業経営の見地のみならず、現下の食糧事情よりいたしまして、牛乳及び乳製品の所要量を確保することが、從來の澱粉質食糧の量の確保を主とした食糧政策を、動物性蛋白質を加味することによりまして、質的向上をはかるという、いわゆる総合食糧政策に転換することにより、國民の食生活の改善と特に今後わが國を背負つて立つ乳幼児の主食確保して、その体位の向上に資し、健全なる民主的文化國家の実を挙げる要を痛感するからであります。しかるに酪農業の現状は、生産面においては、なお依然として飼料事情がきゆうくつであつて、その経営はきわめて不安定であり、今後の見通しとしても單一為替レートの設定により、配給飼料の價格の二、三倍の騰貴を予想せられ、なお輸入数量においても、必ずしもその必要量が予想通り輸入するの保証も期せられ難い状況であり、今にして適切な施策を講じなかつたならば、わが國の酪農の將來はまことに寒心すべきものがあると考えるのであります。  ここにおきまして、本法案は飼料の確保を主眼として、適切な措置を講じ、酪農を安定せしめ、牛乳及び乳製品の計画的生産を確保することを目的としているのであります。  右のような次第か本法案を提案いたしたのであります。  次に本法案の要点について申し述べますれば、第一に酪農経営の安定をはかるための基本問題として、自給飼料、特に飼料圃を設定することにしたのであります。すなわちそのねらいは主要食糧農産物の生産及び供出との合理的調整をはかつて、公正かつ計画的に原料牛乳の生産数量に應じて、飼料圃を確保する措置を講じて、酪農経営の基礎を確立せんとするものであります。このためにまず酪農地域を指定し、当該地域の生産者の農業経営の実際からする原料牛乳の生産計画の提出を求め、市町村長、都道府縣知事がそれぞれ当該市町村、都道府縣の生産計画をつくり、農林大臣が酪農審議会の意見を聞き、かつ食糧需給状況、飼料事情、牛乳及び乳製品の需要状況等を勘案して原料牛乳の生産計画を決定するのであります。     〔山村委員長代理退席、委員長着席〕  右の決定された生産計画の実施方法といたしましては、これを主要食糧と並んで、農業計画に織り込み、知事、市町村長、生産者の順に、食糧確保臨時措置法における主食と同樣な方式で指示するのであります。これによつて酪農家にとりましては、從來のごとき米麦のみを主眼とした農業計画による経営の不合理が是正され、その農業経営の実際に即した総合的な米麦及び牛乳の生産及び供出数量の割当と、それに必要な肥料、飼料等の生産資材の割当をうけ、特に飼料作物の自家生産を認められ、その供出は免除され、経営の安定が期せられることになるのであります。飼料圃の設定に即應して、指定酪農地域から生産される牛乳、乳製品は供出され、乳幼児、病弱者等必需方面に優先的に配給されることになるのであります。その供出は一見して強化されるように見えますが、その数量といい、その実体といい、從來また現在も事実上は供出されているのでありまして、供出関係は從来とほとんどかわりない見込みであります。すなわち從來といえども事実上は供出でありまして、しかも飼料圃の考慮恩典がなかつたので、酪農民はこの経営に困難をしていたのであります。それを今回の法律で正式に供出の義務は認めるが、同時に飼料圃の設置を確保するという建前にいたし、酪農経営の安定をはかろうとするのであります。  さらに酪農民にかかる義務を課することによつて、その生産した原料牛乳を買い受ける練粉乳製造業者との取引関係を合理的ならしめ、酪農民を保護する見地から、原料牛乳の取引事項の届出制を実施し、不当なものについては。その変更を命じ得ることにし、またその農業計画で指示された数量の牛乳については、練粉乳の製造業者等はこれを拒み得ないこととし、かつ農業協同組合等の生産者團体の團体協約による賣渡しの促進の方途をもあわせて講ずる等、酪農民の利益を擁護することによつて酪農経営の安定をはかつているのであります。  さらに生産計画の設定にあたつては、その生産を確保するために必要な奨励施設を講ずることとし、あるいは報奬物資の配給、資金の特別の融通、輸送の優先取扱い等、國家として米麦と同樣、特別な措置を講ずることにして生産計画の遂行を助成することになつているのであります。  第二は練粉乳製造業者に対する措置としましては、まずその登録制を実施して、一定の基準を定め、不良業者の跳梁を阻止する措置を講じたのであります。それから指定地域から集乳した原料牛乳については、練粉乳等の用途以外に使用することを制限し、かつその製品は物調法に基く配給規則によつて定める指定機関への讓渡の義務を課し、牛乳及び乳製品がルートに流れるようにいたしたのであります。  第三は、本法施行に必要なる重要事項を調査審議するために、主として民間の知識経驗者に集まつていただき、酪農業審議会を設け、生産計画の決定、練粉乳製品業者の登録の基準等を公正かつ民主的に決定する措置を講じたのであります。  以上が本法案のおもなる内容であります。何とぞ愼重御審議の上、会期切迫の折からでもあり、すみやかに可決せられんことを希望する次第であります。
  107. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 これにて本案に対する提案理由の説明は終りました。  引続き本案に対する質疑及び討論に入ります。ちよつと速記をとめて…。     〔速記中止〕
  108. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 速記を始めてください。  次会は明二十二日午前十一時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時三十一分散会