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1949-04-30 第5回国会 衆議院 内閣委員会商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月三十日(土曜日)     午後三時十二分開議  出席委員   内閣委員会    委員長代理 理事 小川原政信君    理事 青木  正君 理事 池田正之輔君    理事 吉田吉太郎君 理事 淺沼稻次郎君    理事 有田 喜一君 理事 木村  榮君    理事 鈴木 幹雄君       江花  靜君    尾関 義一君       丹羽 彪吉君    根本龍太郎君       柳澤 義男君    佐竹 晴記君   商工委員会    理事 神田  博君 理事 村上  勇君    理事 今澄  勇君 理事 川上 貫一君       岩川 與助君    小金 義照君       多武良哲三君  出席國務大臣         商 工 大 臣 稻垣平太郎君  出席政府委員         内閣官房長官  増田甲子七君         商工事務官         (総務局長)  山本 高行君         貿易廳次長   新井  茂君  委員外出席者         專  門  員 小關 紹夫君         專  門  員 越田 清七君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君     ————————————— 本日の会議に付した事件  通商産業省設置法案内閣提出第八九号)     —————————————
  2. 小川原政信

    小川原委員長代理 これより会議を開きます。  本日は通商産業省設置法案につきまして、内閣委員会商工委員会との連合審査会であります。まず政府提案理由説明を求め、続いて質疑に入ります。質疑通告順にこれを許しますから、あらかじめ御通告ください。  まず政府提案理由説明を求めます。商工大臣
  3. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 本日御審議を仰いでおりまする通商産業省設置法提案理由を御説明申し上げます。  日本経済の安定と自立とは、申すまでもなく輸出振興生産の増強とをはかることでありますが、終戰以來商工省は、この二つの重大な使命を担当するため、商工本省石炭廳及び貿易廳中核といたしまして、さらに特許局中小企業廳並びに工業技術廳を擁して、鋭意國力の回復に努力して参つた次第であります。幸いにして連合國の好意ある対日援助と、官民一体努力とによりまして、鉱工業生産は順調な上昇率を示しておりまするし、インフレーシヨンも漸次緩慢化いたしまして、経済安定のきざしが見え始めたことは、まことに御同慶に存ずるのでありますが、國際経済への参加態勢を確立し、わが國経済自立を達成するためには、さらに輸出産業の飛躍的な振興をはかり、貿易生産との連繋を、より一層緊密ならしめることが肝要であろうかと存ずるのでありまして、いわゆる経済安定九原則の指令も、まさにこれを要求しておるのであります。ここにおいて政府は、わが國経済が本質的に國際通商を基本とする交易経済であること、並びにわが國が現在置かれている國際情勢に深く思いをいたしまして、産業行政方向を、從來のごとき國内経済中心主義から、進んで國際通商中心主義に切りかえ、一日も早くわが國経済自立を達成することを考えまして、從來商工省を解体し、ここにまつたく新たなる構想のもとに通商産業省を設置するに至つた次第であります。  そこで法案の御説明でありますが、詳細な内容につきましては、審議の途上逐次御説明申し上げることといたしたいと存ずるのでありますが、以下その概要を申し述べますならば、通商産業省は、通商関係部局及び輸出品生産原局からなる本省國内資源に関する行政をつかさどりまするところの資源廳從來特許局に相当するところの特許廳並びに工業技術廳及び中小企業廳から構成されております。なお通商関係事務重要性にかんがみまして、特に通商監を設け、次官を補佐して通商に関する事務を整理せしめることになつております。  まず第一に本省大臣官房並びに通商局通商振興局通商企業局通商纖維局通商雜貨局通商機械局通商化学局及び通商鉄鋼局の八局から構成せられております。通商局通商に関する政策並びに物資需給計画及び輸出入計画を立案し、その推進をはかる通商産業省中核的部局であります。またこの局におきましては、輸入物資生産計画に重要な役割を果すことにかんがみまして、輸入に関する業務をつかさどることと相なつております。次に通商振興局は、通商局が主として政策面を担当いたしますのに対し、通商金融輸出品の檢査、輸出品展示紹介等通商振興上の実施面を担当することとなつております。また輸出に関する事務通商産業省所管物資につきましては、後ほど御説明いたします通り、それぞれ物資別の局で担当いたすべきでありますが、他省所管物資に関する輸出事務は、この通商振興局でとりまとめて処理することとなつております。次に通商企業局は單一為替レート設定を契機とする國際経済体系との接触に備えますためにも、また急速なる経済安定を目途とする本年度の財政金融政策に対処いたしますためにも、國内産業の徹底的な企業合理化を促進することが急務となつて参りました現状におきまして、企業合理化に関する調査、指導及び啓蒙を行うことを主たる任務とするのであります。  次に通商纖維局以下五つの物資別の局が設けられていますが、通商纖維局におきましては、輸出品の大宗をなす纖維工業品生産輸出並びに國内衣料品の配給に関する事務をつかさどり、通商雜貨局におきましては、輸出用雜貨工業品生活用品との生産輸出に関する事務を、また通商機械局におきましては、機械器具自動車等生産輸出に関する事務を、通商化学局におきましては、化学工業品生産輸出並びにアルコール專賣に関する事務を、また通商鉄鋼局におきましては、鉄鋼生産輸出に関する事務をそれぞれつかさどることになつております。  以上が本省機構の概観であります。  次に通商産業省外局といたしましては、資源廳工業技術廳特許廳及び中小企業廳の四廳が設置されることとなつております。  まず第一に資源廳はその長を長官といたしまして、通商と比較的関係の乏しい資源関係の局をとりまとめることとし、長官官房のほか石炭管理局石炭生産局鉱山局鉱山保安局及び電力局の五局から構成されております。このうち石炭管理局におきましては、主として從來石炭廳管理局配炭局及び亞炭局所掌事務を、また石炭生産局においては、從來生産局開発局及び資材局所掌事務をつかさどり、また鉱山局從來鉱山局事務を、電力局從來電力局所掌事務をそれぞれつかさどることに相なつております。また鉱山保安局は別途、今國会提出の上、御審議を仰ぐことに相なつておりまするところの鉱山保安法施行に関する事務をつかさどり、鉱業に関する保安を確保して、鉱山労働者に対する危害を防止し、鉱物資源の合理的な開発をはかることを主たる任務といたすものであります。石炭鉱物電力等國内資源開発と利用とは、從來商工省が最も力を注いで参りましたところでありますし、またわが國経済復興のためには、今後ますます強力な行政的措置を必要といたしますので、通商産業省の新機構におきまして、これを独立の省にも比すべき強力簡素な機構を有する資源廳において所掌せしむることといたした次第であります。次に工業技術廳は、鉱工業科学技術に関する試驗研究並びにその成果の普及をはかることを任務とするものであり、また特許廳特許権、その他の工業所有権に関する事務をつかさどり、また中小企業廳は、中小企業指導及び振興をはかることをその任務とするものでありまして、ほぼ現在の機構を踏襲いたしておる次第であります。  以上が通商産業省中央機構概要でありますが、さらに地方機構といたしましては現在の商工局地方貿易事務局とを合体いたしました通商産業局を全國八箇所に設置いたしまして、本省並びに外局事務を分掌せしめ、さらに全國四箇所の主要炭田地域石炭局を設置いたしまして、石炭鉱業國家管理に関する事務をつかさどらしめることといたした次第であります。なお商工局の出張所は、これを七月三十一日まで存置せしめ、その間経済統制事務地方廳委讓準備を推進し、八月一日以降におきましては、必要最小限度の地に通商産業局分室等を設置することといたしました。なおまた主要貿易港の所在地には、通商事務所を設置いたしまして、通商関係事務の迅速な処理をはかりたいと考えております。  以上申し述べましたところが本法案提案理由と、その内容概要でありますが、政府におきましては、この法案の一日でも早い実施によつて、相應の効果のあるべきことを確信いたしますし、かつ日本経済自立確立のためにも、行政機構の面において一日もすみやかにその態勢を整備する必要があると考えまして、各省設置法に先だつて五月二十日の施行目途として、その準備を進めている次第であります。何とぞ政府の意の存するところを了とせられ、大局的見地より御審議御協賛あらんことを切望いたす次第であります。
  4. 小川原政信

    小川原委員長代理 これより質疑に入ります。川上君。
  5. 川上貫一

    川上委員 最初にお聞きしたいのですが、この通商産業省の問題は、商工委員会として非常に大きな問題だと思うのでありまして、時間が非常に少い。今すでに三時半になるのですが、質問も非常に多いだろうと思うのでありますが、時間の有無にかかわらず、質問があつても、きよう一日で打切るのですか。あるいは非常に質問が残りますれば、またあらためてこの委員会を持つことになるのですか。その点をちよつとお聞きしたい。
  6. 小川原政信

    小川原委員長代理 大体予定はきようで終りたいと思うのですが、質問の状況によりましては、あらためてまたお諮りしてもよろしいと思います。大体はきよう一日で質疑を終りたい、こう考えております。それで通告も相当ありますから、できることなら要点を簡潔に願いたい、こう考えております。
  7. 川上貫一

    川上委員 なるべく簡潔に申し上げますが、それはたいへん問題が大きいと思います。そこで私はまず、機構に関する問題もありますが、その前に二つだけの点を御質問いたしたい。この点は、先日の商工委員会でも商工大臣、あるいは当局に質問したのでありますが、どうもはつきりせぬ問題がありますので、さらにお聞きしたいのです。  まず第一番の問題は、商工省が今度機構を改革して、輸出ということにほとんど重点を置かれる。そこに輸出問題というものが非常に大きい問題として考えられなければならぬのでありますが、輸出計画について、先日御質問いたしました時分に、五億ドルぐらいの可能があるという御回答があつたのであります。その御回答基礎は、月々五千万ドル程度輸出が行われておるので、五億ドルの可能性があると思うというお話であつたのでありますが、調べてみましたところが、二月が四千万ドルぐらいではないかと私は思うのです。また三月は三千万ドルに下つているのではないかと思う。そこに三百六十円のレートが決定いたしますと、これでは輸出のできないものもできて参りますので、月々五千万ドル程度があると言われたこの基礎がどうも十分にのみ込めない。それが一つ。いま一つは、安本でお調べなつたこの資料によると、可能が三億六千八百万ドルということになつているのです。そうするとここにずいぶん食い違いが來る。それからごく最近に貿易廳でお調べなつたものであると思うのですが、それによると不可能、つまり貿易が不可能になるものが一億五百三十幾万ドル程度の御計算ができておるのではないかと思うのですが、これらを突ぎ合せて見ますと、五億ドルの可能であると言われる基礎がどうもはつきりしない。この点をひとつ納得の行くように御答弁をお願いしたい。
  8. 新井茂

    新井(茂)政府委員 ただいまお尋ねの、本年に入りましてからの輸出契約の高は、一月が一億一千万ドル。二月が四千四百万ドル。三月のものはちよつと集計ができておりませんが、大体四千万ドルを下らないことと推定をいたします。さようなわけでございまして、こういう情勢が継続いたしますならば、大体におきまして五億ドル程度輸出は可能であると考えております。  それから今般の為替公定レート設定によりまして、どの程度のものが輸出不能になるかということは、なかなか計数のとり方がむずかしいのでございますが、ただいまお尋ね数字はおそらくこういう計算をいたした結果でないかと思います。すなわち現在までに、すでに商品別レートをつくりまして、そのレートによつて円代金支拂いをいたしております。それを基礎にして算定をいたしますと、結局私どもの計算いたしたところでは約六十六パーセント程度輸出可能であるという数字に相なるのであります。しかしながらこの数字はただいま申しました通り、現在の商品別円ドル比率基礎にして算定をいたしたのでありまして、從いまして大体の観察をいたしますと、從來定まつておりました商品別レートは、大体各商品につきまして中間程度の実績を基礎にしてきめたものでありまして、從いまして同じレートが三百六十円より高いものでも、その約半分程度は、輸出は可能であるというふうに考えられるのであります。そういうふうにいたしますと、大体輸出可能のものは八十数パーセントを推定できるのでありまして、從いまして現在大体の見通しといたしましては、十五パーセントないしせいぜい二十パーセント程度のものが三百六十で輸出が困難になるという結果に相なるのでありまして、これを金額にいたしますと、約九千万ドル程度じやないか、かように考えるのでありますが、これらにつきましても、企業合理化を大いに徹底いたしますと同時に、その他資材金融等措置を十分に講じまして、輸出が可能になるようにいたして参りたい、さよういたしますならば、大体五億ドル程度輸出計画は達成することができる、かように考えておる次第であります。
  9. 川上貫一

    川上委員 御説明にありましたが、この五億ドル程度はという今のお話によつてもわかる通り企業合理化があり、その他のいろいろな手段をとらなければならぬ。そこで結局輸出というものは三億ドルになるか、あるいは五億ドルになるか、いずれにいたしましても、その輸出うしろには企業合理化、首切り、中小企業が倒れる、民族産業までつぶれる、税金がこの裏づけになる、輸入に対する大きな補給金がふえる、それから價格調整費もある。これもやはり輸出の基調になつておるのでありまして、非常に大きな國民の犧牲によつてだけそれができ上るのだと思うのであります。ところが今度の通商産業省機構は、こういう方面に対しては非常に考慮を拂わないで、輸出さえすればいいというような機構にかえられるような形になつていると思うのです。それを裏返して言うと、でき得る限り輸入を少くしても、國内の受業なり國内の生活犠牲を少くするという考慮はほとんど拂われておらぬというようにわれわれは考える。これについて先日の商工大臣の御答弁では、輸入をしなくてはどうしても國が立つて行かないのだからやむを得ぬ、こういうような御満弁であつたと思うのです。それに対して私は、しかしたとえば硫安の問題は、実際の生産能力は百四十万トンある、それを今年は百万トンくらいまでしか進めないじやないか、これを百四十万トンがフルに生産できる形にするならば、少くとも三百万石に近い米がよけいとれることになる、そうすればそれだけ輸入を防げる、小麦を持つて來なくてもいいのじやないか。また水害で非常に損失しておるところの米が多い。これは計算によると、年々約六百万石以上の米がこの災害によつて流れておる、ところが災害復旧に対する金は出していないじやないか。こういう考慮を全然拂わないで、とにかく國民に非常に大きな犠牲を與えるところの、輸出さえすればいい、輸入のことについては考えない、こういうことについてはどうでありますかという質問をした。そうしたら商工大臣は、災害についてはお答えにならず、硫安については、硫化鉱の問題がある、こう御説明になつたのであります。この硫化鉱は元來日本では非常にたくさんできる。戰前においてはこれはたしか輸出しておつたと思う。これは少いことはない。ところが今日この硫化鉱については、價格の面について非常に虐待している。これについては硫化鉱の方の関係の人も陳情しているようなかつこうであると思うのですが、これをどんどん堀ろうという計画はしていない。そればかりでなしに、これは非常に高い値段で輸入していると思う。國の中の資源開発するということをしないで、硫化鉱の問題があるから硫安ができぬと言われるような説明は、どうもわれわれは合点で行かない。だから考えるのに、國の中の産業を興して來て、でき得る限り輸入を防止する、そうして國内の生活の安定、産業復興をはかり、民族産業を大きくして行くということは忘れておられるのじやないかと考えられる。この点について、あらためてひとつ商工大臣のお考えを聞きたいと思います。
  10. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 川上委員の御質問にお答え申し上げます。この前もお答え申し上げたと思うのでありますが、むろん國内産業のことを全然われわれが度外視しているというような意味合いではちつともないのでありまして、今度の機構におきましても、それぞれの原局において、十分生産その他の問題についてめんどうを見るばかりでなく、また基礎産業につきましては、先ほど申し上げたような資源廳を別にこしらえまして、基礎産業について特別な考慮を拂う。ただ、今日日本輸出をしなければならぬ立場に置かれておるということは、御承知のように日本としては、大部分の原料海外にこれを仰がなければならない立場におるのであります。日本資源がない悲しさに、どうしても海外からたくさんの原料を仰がなければならぬ。この原料輸入するためにも、これが対價としての輸出がどうしても必要になつて來るのでありまして、日本輸出しなければ、日本経済自立して行けないという立場に置かれておると思うのであります。むろんできるだけの形において、國内で間に合うものは輸入する必要はないのでありまして、この点は御同感であります。ただ例に引かれました肥料の問題も、この前も私はお答えいたしたのでありますが、できるだけ肥料の増産をはかることは、われわれもさように考えておるのであります。ただ諸種の関係において、硫化鉱の問題その他の資材の問題、そういつたような面におきまして、また全体的の價格の調整を破らない、こういう意味合いにおいてあの程度にとどめたわけであります。それから今硫化鉱輸入しているではないか、こうおつしやるのでありますが、この硫化鉱は、ある意味においていわゆる鉄鋼原料としこの硫化鉱、そうしてこれが同時にいわゆる硫黄の原料としての硫化鉱、こういう両方の面を持つておることをなおつけ加えておきたいと思うのであります。
  11. 川上貫一

    川上委員 それについていま一つ聞きたいのですが、そうしますと、たとえばいろいろな例があるのですが、時間をとりますからほかの例は言いません。私の考えを申し上げるのには硫化鉱と米の問題が一番わかりやすりと思うのです。今の御答弁ではどうも納得できないのですが、現在の硫化鉱が問題ならば、これをうんと堀つて、たとえば百四十万トンの硫安をこしらえる、それから災害復旧費予算に置いて、そうして米の自給自足の方向へ向つて努力をして、それだけ食糧の輸入を減ずる、こういうような努力がどうも現われておらぬと思うのですが、それについてはそういうようなことをやつておられるのですか。
  12. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 一般に全体的の計画につきましては、安定本部においてこの計画を立案いたしておりますので、私のところでは詳細を存じません。しかしながらただいまも申し上げました硫安の件につきましては、むろん日本硫化鉱が相当あることは私も十分承知いたしております。戰前割合から申し上げましても、これは相当ありますが、しかしながら各鉱山の実情から申しまして、実際の面において、今の程度以上には行かない、これにはどうしても今後の價格という面に影響を及ぼす、こういう問題であります。この價格の面の影響が全体的に及ぶということが問題であります。この点で今の場合こに程度のことにしようということになつておるのでありまして、そのほかに先ほど申し上げましたように價格の面の問題もあり、また実際には石炭との割合、それからこれに注ぐ電力問題——先ほどその他の資材と申し上げましたのですが、そういつたような問題についての全体の勘案によつて、あの程度にとどめた、こういうことであります。
  13. 川上貫一

    川上委員 やはり全体の勘案と言われますが、全体の勘案で、輸出の方ではいかなる困難を冐しても、すなわち中小企業をつぶしても、民族産業打撃を與えても、労働恐慌が來ても、あるいは労働組合法を改惡して弾圧しても、とにかく輸出だけは強行しようとしておられる……。
  14. 小川原政信

    小川原委員長代理 川上君、機構に関する問題を質問してください。運営に関する問題は商工委員会で十分に御討議いただきたい。ここでは機構の問題を願います。
  15. 川上貫一

    川上委員 そうすれば機構につけ加えて順次やつて行きたいと思います。
  16. 小川原政信

    小川原委員長代理 なるべく機構に直接関係ある問題を御質問願います。
  17. 川上貫一

    川上委員 今委員長から機構の方を中心質問しろというお話でありましたが、なるほどこれは労働強化になるから、ごもつともに思いますので、機構について私の言いたいことはその間にはさんでおいていただきたい。まず第一に中小企業の問題でありますが、中小企業廳をなぜ拡大しないか。中小企業廳の人員はやはり三割減になつておるようですし、予算中小企業廳は削減されておるのではないか。一方においては中小企業民族産業に非常に大きな打撃を與えるような方向になつておるのであります。このことは先ほどから繰返す通りである。そうすればでき得る限りその打撃を少くするということは、國の政治として当然なことであり、この問題はきわめて重大であると思うのでありますが、中小企業廳が少しも拡大されもしないで、かえつて縮小されておる。この点について大臣はどうお考えになつておるか、これをお聞きしたい。
  18. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 どういう点で中小企業廳予算が減つているかというお話でありますが、私にはちよつとわかりませんが、中小企業廳予算は減つておりません。少しくふえております。それから中小企業廳をもう少し強化すべきである。これも一つの御意見として承るのでありますが、ただ問題は中小企業廳は成立の当時から、いわゆる中小企業指導育成に当るということを中心としてこしらえられましたところの廳であります。從つて今日もその中小企業廳が設置されました趣意に從つて、これが指導振興に十分当つておると思うのであります。そういう意味合いにおきまして、別に中小企業が今度の機構の上から、これがある意味において非常に虐待されておるとか、あるいはこれが縮小されたとか、そういつた点は少しもないことを御報告申し上げておきます。
  19. 川上貫一

    川上委員 御答弁中小企業廳を拡大するという意思はないということを承つたと思うのであります。これから先になりますと見解の問題になりますから、これで打切ります。  第二に石炭廳の問題ですが、石炭廳はもと六局あつたのでありますが、今度は二局一部となつておると思うのであります。そうして外廳の一局となつておる。これは完全に縮小であります。そうして資材局は廃止され、開発局は縮小されることになつておる。これはなぜこういうことになつたか。それから配炭局が廃止されておるのでありますが、配炭公團は漸次廃止の方向に向われておるというように聞くのでありますが、もしそうだとするならば、この配炭公團仕事は一体どこでやるか。今までやつて來仕事を全部なくするわけには行かない。もし配炭公團を廃止するような方向に行つておるとすれば、配炭仕事は全然なくなつてしまうのではありませんか。それを一体どういうふうに扱うか、この事務をどうするのか、それから亞炭局がなくなつておる。これはなぜ廃止するのか、このことについて御答弁願います。
  20. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 石炭廳資源廳の局になつたということでありますが、しかしながらこれによつて十分從來仕事をわれわれはなし得ると考えましたので、できるだけ行政機構は簡素に、しかも強力にすることが必要だ、かように存じまして、資源廳の二局にいたした次第であります。それから配炭公團の問題でありますが、これも近く法案提出いたしまして、御審議を願うつもりでおりますが、たとえば低品位炭であるとか、微粉炭とか、格外炭とか、そういつたものは今日統制を要しないようになると存ずるのであります。そういつたものについてはこれを除外する。なお現在はいわゆる工場持組の仕事をやつておるのでありますが、これは順次いわゆる揚地渡しにかえて行く。次に山元渡しにかえて行く、次に公團の仕事を廃止する、こういう形へ持つて行くことが、実際においてこれを受入れますところの産業界にとつても非常に便宜であり、また経営者にとつても便宜であると私は存ずるのであります。ただ川上さんが御心配になつておられることは、公團職員の行方の問題であろうと私は思うのでありますが、これは機構の問題とは別に考えていただきたいと存ずるのであります。機構としてはできるだけ簡素に、できるだけ日本産業自立に便宜なような形に持つて行くことが必要だと思うのであります。なお御質問の中で、それでは公團が廃止されたときにどこでやつて行くのか、こういう御質問でありますが、先ほど説明いたしましたように、仕事をよしましたあとで残るところの問題は、價格プールの問題と運賃プールの二つの問題が残ると思うのであります。運賃プールの問題については、なお檢討の余地があると思います。こういう点も調べなければなりません。ただそれらのものは大体資源廳管理局においてこの仕事を行つて行くことになると存じております。
  21. 川上貫一

    川上委員 亞炭局廃止の問題、これを今質問しておりますが、結局は二局一部になつた、外局なつたと言われましたが、何としても石炭廳は縮小される方向をとられておるということは間違いないと思います。さつきも大臣説明された中にも、石炭の問題はきわめて重大であるので、それで資源廳に入れるというお話でありましたが、資源廳に入れてどうも縮小されておる。これは矛盾すると思うのです。石炭廳は現在縮小される形にはなつておらぬと思いますが、これが一つ。それから先ほども申しました亞炭局をなぜ廃止するのか。
  22. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 人間が多いだけでこれで仕事がうまく行くというものではなかろうと存ずるのであります。それで今私が申し上げましたように、從來の六局が二局一部に相なりましても、今年度に與えられておりまする四千二百万トンの生産については、十分從來と同じような程度にやつて行けるということを考えましたので、この程度に縮小いたしたわけであります。それから亞炭局でありますが、この亞炭の問題につきましては、これが配給はいたしておらぬのでありまして、そういう意味合いにおきまして、実際の事務はとる必要もなくなつた、こういう意味合いで局を廃止したわけであります。
  23. 川上貫一

    川上委員 亞炭局の廃止の問題についてはいささか異見がありますが、後にいたします。  それから人員を置いただけで実際上るものではないと言われるのは、これは一つのりくつであつて、実際において六局が二局になるということは完全なものかどうか。しかしこれは意見の相違ということになりましようから、これもおきます。  第三番目には調査統計局が部になつておるのでありますが、これでは事業の実態把握が將來できないと思います。この点でなぜ調査統計局を小さくなさるのか、この点をちよつとお聞きしたい。
  24. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 調査統計局がなぜ部になつたか、こういうお話でありますが、それは人員的には、調査統計は各省とも非常に必要でありますので、人員は減つておりません。人間の数から申しますと、從來と同じであります。ただこれを統べまするのに局長を置くか、部長を置くかという問題でありまして、この意味においてわれわれはこれを部長でとどめておきたい、こういう意味でありまして、人員は減つておりません。
  25. 川上貫一

    川上委員 出先機関を廃止することになつておるのでありますが、この商工局の出張所、これが廃止される、この出張所は從來中小企業のかしらというてもいいような機能を果しておつた。つまり中小企業行政を主としてやつてつた所であると思います。これを今度廃止して分室を必要があれば置くというのですが、この分室というようなものはほとんど無意義であると思う。ここにも中小企業軽視、民族産業軽視の傾向が非常に現われて來ておるのであります。地方の出張所をおやめになるのは千幾百人くらいの者の人員整理になると思いますが、この出張所は人員整理ということだけでおやめになるのですか。あるいは地方の商工局出張所は、機能上必要がないとお思いになるのでありますか、この点をお聞きしたい。
  26. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 地方の出張所がわれわれのところで五十二箇所ただいまはあります。これは各府縣の所在地にあるのでありますが、そのうち仕事のある部分は府縣の自治体にこれを委讓することに相なつております。そこである種の場所においては、もはや分室を置く必要のない所も出て來ると思うのであります。どの程度に分室を置くべきかということについては、なお檢討をいたすつもりでおりますが、仕事の一部は地方に委讓いたすつもりでおります。
  27. 川上貫一

    川上委員 この仕事を地方に委讓する結果、地方廳でこれを取扱うことによる弊害、これについてどうお考えになつておるかということをお聞きしたい。いま一つは分室とはどういう程度のものであるか、今の出張所に比べましてどういうところが違つて、どういうことをするのか、その内容を伺いたいと思います。
  28. 山本高行

    ○山本(高)政府委員 今度新たに置かれます分室の仕事からまず申し上げますが、内容的に申しますと、次のようなことがおもなものであります。第一は指定生産資材の割当、発券の仕事であります。これはいろいろな所管の工場、事業場に対しまして、例の指定生産資材の割当と発券をやる仕事であります。それから第二番目は物資の輸送証明という制度をただいまやつておりますが、それによります証明書の発券とか、その他それに関する出荷認証員の指導監督等の仕事であります。それから第三は進駐軍用の特別資材生産につきまして、いろいろ現場的な生産指導、あるいは資材の割当等をいたすことになります。第四番目には臨建規則と申しまして、例の建築の統制規則がありますが、これに基く建築あるいは機械設備等の規正の問題であります。第五は指定生産資材の在庫調整規則というものがございますが、これに基く臨檢、摘発、それからその他過剩在庫の認定、配分等これに関係した一切の業務でございます。それから第六には先般石油配給公團が解散せられたのでありますが、これに伴いまして石油配給関係仕事が相当この分室でやられることになつております。それからいろいろ行政上の調査があるのでございますが、その調査の実施指導末端といたしまして、この機関が相当にタツチしなければならぬと思います。それから第八は小口電力需給調整の問題でありまして、受電電力で百キロワツト未満の需用者に対する割当、あるいは受電の認可というふうな仕事がやられることになつております。それから電力の需給調整という問題がまだ多少残つておるのでありますが、たとえば需用区分の指定であるとか、あるいは保安電力の指定であるとか、休電日の問題、その他廣く需給調整という名前で呼んでおりますが、そういう関係仕事がございます。それからこれは所によつてあるところとないところとありますが、アルコール專賣をやつておる、それの末端の仕事がございます。それからこれは從來からやつておる例の鉱山行政のやはり末端の仕事といたしまして、鉱山の技術的指導の問題、資材の割当、輸送、進駐軍用物資等についての建築機関との連絡、それから今度の鉱山保安法が通過いたしますと、それに関連して若干の仕事もここに少し出て來るかと思います。それから通商関係仕事が相当ございますが、これはこまかくなりますので省略いたします。大体今申し上げたようなことが分室のおもなる仕事考えております。
  29. 川上貫一

    川上委員 そういたしますと、その御説明では相当たくさんの仕事をやることになつておるようですが、どうしてそれを分室にしなければならぬのですか。どうして商工局の出張所をやめなければならぬか。数を少くするだけですか。そこがはつきりしないのです。
  30. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは先ほども申し上げましたように、一部の仕事は地方に委讓いたしましたので、ある場所には必要のないものも起きて來ると思うのであります。これは地方におけるところの工場数なり、あるいは仕事の繁閑なり、すべての点を勘案して、わざわざここに置く必要があるかどうかということを檢討いたして行くつもりでおります。それからなおこれらのものは大部分が統制事務でありますので、漸次その事務は統制をはずして行つておるのであります。そういう意味合いから申しますと、実際上に仕事がだんだん減つて來るということも考慮に入れなければならぬと思つておるのであります。
  31. 川上貫一

    川上委員 これは問題があると思うのであります。相当私は質問したいことがありますけれども、時間がありませんからあとにして先に進みます。石炭管理審議会は存続するような備になつておると思いますが、これは今後改革なさる意思があるかどうか。この審議会は石炭行政の参謀本部だと思うのですが、これは大手筋の代表と官僚とによつてできておる。これを実行する面を見ますと、その官僚は普通の役人の方が五〇%であつて、物調官というものが五〇%になつております。物調官についてはあとで質問したいと思いますが、これは石炭行政日本の参謀本部になつてつて、またこの機構こそ石炭行政を独占資本が掌握することになる大事なかなめになつておると思うのであります。この機構を改革なさる意思がありますか、この機構でよいとお考えになつておりますか、この点をひとつお聞きしたい。
  32. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは例の臨時石炭國家管理法によつて設けられておるものでありまして、地方の石炭管理委員会、全國の石炭管理委員会、こういうことに相なつております。これは商工委員会においても私たびたびほかの質問に関連してお答いたしたのでありますが、ここに同じような返事を繰返して申し上げますと、いわゆる石炭管理法はまだ施行されて実際上には一年たつておりませんので、この機能がはたして石炭増産のために必要なりやいなやということを、にわかに断定しがたいのでありますから、商工大臣といたしましては、なおこれが存続すべきやいなや、あるいはこれを改革すべきやいなやという意味をまだ何ら確定的には持つておりません。いましばらく経過を見た上でこれに対処いたしたいと思うのであります。ただその節も申し上げたと思うのでありますけれども、たとえば生産計画のごときは、大体に御承知のように関係筋におきまして、これだけの生産計画を立てろ、こういう指示によつてつておりますので、その石炭管理委員会の使命の一つでありますところの石炭生産計画を立てるといつたような問題は、すでにこの管理委員会仕事のうちから除かれなければならぬというような実際上の問題として、そういつた問題が起つて來ているのであります。その意味において、何らかの形でこれを再檢討することは私は必要であろうと存じておるのでありますが、まだとにかく実施後一年たつておりませんので、その実績を見た上で何分の判断を下したいと考えております。
  33. 小川原政信

    小川原委員長代理 川上君に御相談いたしますが、大分あとにつかえているようですし、あなたの質問は五十分ほどになつておるのですから、ほかの方にお讓りになつたらいかがですか。
  34. 川上貫一

    川上委員 私の聞きたいことはたくさんありますので、五十分になるといわれますからほかの方にお讓りしてもけつこうですが、あとで質問の時間をおとりくださるならば、一應ここで打切つてもよろしゆうございます。
  35. 小川原政信

    小川原委員長代理 最後にできましたならば、特にお許しいたしますから、あとの方にお讓り願いたい。
  36. 木村榮

    ○木村(榮)委員 通商産業省の設置法案をきよう一日で打切ることは反対です。というのは、外務委員会で吉田総理大臣は非常に重大な発言をなさつた。將來の日本の動向を決定するのはこの問題にかかつておるような発言をなさつた從つてそのような重大な新たな省を決定する法律案ですから、相当愼重にやらなければならぬ。地方自治廳設置にあたつても、地方自治廳は非常に大きな画期的のものだからというので、二日にわたつてつて、まだ結論が出ないでもう一回やることになつておるくらいですから、文部省設置法案とか農林省設置法案などと違つた取扱いをしなければならぬ。しかもきようは一時からというのが三時になつた。そういつた関係で今晩は十時くらいまでおやりになるのならきよう一日でもけつこうですが、普通の定刻ぐらいに終るのならばもう一度くらいやつていただきたい。
  37. 小川原政信

    小川原委員長代理 定刻過ぎても多少延ばそうと思いますけれども、十時、十二時というわけには行かないだろうと思いますから、その程度でいかがですか。
  38. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それはよくわかるから、きよう一日で終るなどと言わないで、もう一日やることにしたらいかがですか。
  39. 小川原政信

    小川原委員長代理 そういうかた苦しいことを言わないで、大体了解ができておるはずですから……。
  40. 川上貫一

    川上委員 私は質問を打切れというお話では了解ができぬ。
  41. 小川原政信

    小川原委員長代理 あとにしたらどうですか。
  42. 川上貫一

    川上委員 あとにしても、時間がなければ現実的には打切りになる。質問が残つたならば、さきに延ばしてでもやるということでしたら打切ります。
  43. 小川原政信

    小川原委員長代理 速記をやめてください。     〔速記中止〕
  44. 小川原政信

    小川原委員長代理 次は有田君。
  45. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私はきわめて簡潔にお伺いしたいのですが、今回の通商産業省でも、相当厖大な外局がたくさんあるのであります。一体内局と外局とをいかなる標準と目標をもつておわけになつたか、その点についてお伺いいたします。
  46. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは先ほど提案理由のときに御説明申し上げましたように、内局は主として通商関係のものをまとめたのであります。それにまとまらないもの、言いかえますれば、生産基礎資材としての石炭であるとか、電力であるとか、あるいは鉱山といつたものは通商に直接関係がございませんので、これは資源廳一つにまとめたということであります。それから特許廳工業技術廳中小企業廳は、從來とも外局にあつたのでありまして、これは從來通り外局に残した、こういうことであります。
  47. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そのわけ方は大体便宜主義のわけ分と思うのです。なるほど、かように厖大なる機構でありますから、もしわけるとなればこれも一つのわけ方でありましよう。しかし外局というものはややもすると軽視されるおそれがある。大臣と遠ざかるおそれがある。これはどの省の外局にでもその傾向がございます。もとよりわが國の自立経済をやつて行く上におきまして、貿易中心とした考え方というものはうなずけます。しかし同時に國内産業、ことに資源廳の扱いますところの資源開発仕事、あるいは中小企業廳の扱う行政はきわめて重要であります。結局は運用の問題になることとは思いますけれども、外局に対しては相当大臣も目を光らせまして、万遺憾なきを期してもろうことが必要だと思います。しかしどうしても外局にせざるを得ないということは、商工行政のあまりにも厖大性があるために、しかたがなくこういうことが出て來るのだろうと私は想像する。つきましては、今回の各省設置法を見ますと、大体機構は縮小されておりますが、一方にやはり逓信省が分割されて二つの省になつており、またほとんど無任所ともいうべき國務大臣を置かれて賠償廳長官という比較的重大でない仕事に專務される。そういうことを考えますと、ほんとうに通商産業省仕事をいたすには、せめて資源廳にまとまつておる石炭行政鉱山行政電力行政、かようなものを一つの省に独立してやつた方が、わが國の産業発展のためにも適切な方策ではなかろうかと考える。今も商工大臣がおつしやいましたが、御承知の通り、わが國には資源が乏しい。しかしかりに水力発電を見ましても、これは無限の資源で、一旦開発すれば、いつまでもその電源は維持できるわけであります。日本産業を眞に発展せしめるには、やはり資源行政ということがきわめて重大である。それならば資源省にするかという質問をすれば、この法案が出ておるのでありますから、商工大臣はそれはできないとおつしやるであろうと思います。また今省をつくるといつても急に間に合わないでしようが、者え方として、將來商工大臣はさような資源行政に対して、省にでも持つて行こうというようなお考えであるかどうか、その御抱負をお伺いしたいと思います。
  48. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今有田委員の御質問の点は、考え方によつては、今お話のように石炭にしましても、あるいは電力にしましても、鉱山にしましても、大きな仕事でありまして、ことに日本基礎産業でもあるのでありますから、これは別に一つの省にするという考え方も私は十分成立ち得ると思います。そういう意見も成立ち得ると思うのでありますが、同時にこれらの基礎産業が、いわゆる日本のすべての産業の上に持つておりますところの関連の重大さということも、全然度外視することはできないと思うのであります。この基礎的な産業日本の他の産業との結びつきにおいて握つて行くということがどうしても必要なことではないす。私はかように思うのであります。そういう意味合いにおきまして、この通商産業省は非常な大きな機構であるということは御指摘の通りでありますが、これはわけることができない。それで資源廳というものにいたしたと御了承を願いたいと思うのでございます。ただ有田君のようなお考え方も、なるほど成立ち得る意見であるとは存じます。しかしながら、同時に片方のいわゆる産業行政全般から考えました場合に、これをわけるがいいか惡いかということは大きな疑問があると思います。
  49. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 稻垣商工大臣は聰明な方でありますから、かような厖大な機構もおそらく一人でおこなしになるでしようけれども、機構組織として考えますときに、これはあまりにも厖大である。今まで各商工大臣のやつておられるところを見ますと、どうしてもこの大事な中小企業廳の問題さえ、相当大臣から遠ざかつて軽視される傾向にあります。またこの資源廳、ことに電力開発のごときも外局になると、どうも軽視される傾向になるように思います。それから先は意見の相違になりますからくどく注文しませんが、必ずしも他の産業と関連があるから基礎産業一つに置かなければならぬという議論は成立たない。基礎産業であるがゆえに利の省で行くという考え方も成立ち得る。かつて電力行政は逓信省にありましたけれども、今日どつちがうまく行つておるかといいますと、これは國内の情勢も大分かわつておりますから、相対的の問題になつて來ますけれども、必ずしも往年の電力行政がまずかつたとは言えない。今日よりももつともつと積極的に資源開発をやり、またいわゆるパブリツク・サービスとしての國民に対する寄與もやつてつたように思う。この問題は相当重要な問題でありますので、商工大臣におかれましても、よく御檢討願つて日本資源開発のために万遺憾なきを期せられんことを切望いたします。機構の厖大のために、どうもこの通商産業省の設置法にむりがやはり出て來る。第一のむりは通商監、これは普通なれば次官でいい。その次官を補佐する通商監というのができる。これは機構が厖大になるというむりが一つここに現われて來る。また資源廳を見ましても、普通の外局の廳の下は部であるけれども、資源廳は局にせんければならぬ。これはやはり一つのむりがここに現われて來ておると思います。そこで私はお伺いしたいのですが、國家行政組織法の第七條、第二十一條と、この資源廳の局あるいは通商監というものは、どういう関係になるか、なるほど今回の電氣通信省におきましては、電通監という変な職がありますが、これは現業の行政機関だからそういうものができますが、この行政組織法の第二十一條を見ますと、「現業の行政機関については、特に法律の定めるところにより、第七條及び前條の規定にかかわらず、別段の定めをすることができる。」と書いてあります。法律なるがゆえに特別法が幾らでもできるように考えられるけれども、わざわざ第二十一條に組織法の例外はこういう場合に限ると書いてあるにもかかわらず、今回の通商産業省の設置法において、また例外を設けておる。一体行政組織法というものはいかなる権威を持つものであるか、この辺の御見解を伺いたい。
  50. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 特例を設けたということは御指摘の通りであります。特例を設けましたゆえんは、通商監につきましては、御承知のように非常に仕事の範囲が廣いということだけでなく、通商の問題に関しましては、いわゆるバイヤーその他との折衝とかいつたような、特にいわゆる日常のランニング・ビジネスをやります以外に、この通商関係におきまして、向うの輸入業者なり、輸出業者なりとの間に接触を保つ、こういう意見合いにおいて、どうしてもこれを置くことが必要であろう、こういうようなわけで特例を設けたのであります。それを御了承を願いたいと思います。それからこの資源廳について特に局を設けた、これも特例でありますが、これは先ほど有田議員が御指摘のように、一つは実際は一省にするという考え方も生れるほど大きな重要な廳でありますので、特にこのものだけ特例を設けるようなことにいたした次第であります。
  51. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 特例を設けられる実際的の理由はよくわかります。けれども先ほどお尋ねいたしましたように、この行政組織法との関連、これが法律的にどうなるか、ここに相当むりができておる。そのむりをせざるを得ないのは先ほど申しましたように、やはり通商産業省をあまりにも一つの省でまとめようとされたところに、むりが出て來ておるのじやないかと思います。それは議論になりまして、意見の衝突になりますので、機構の厖大性の問題については他日にいたします。法律的に申しまして、行政組織法との関連についてどうなつておるか、いくらでも法律だから特例を設けられると言えば別段ですが、そうなつて來ると、この行政組織法は何のためにあるかわかりません。
  52. 山本高行

    ○山本(高)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。まず御指摘になりました通商監の問題でございますが、御承知の通り、國家行政組織法では、各省に共通して置かれるような職につきましては、それぞれ規定がありまして、それ以外は禁ずるというふうな規定がございませんので、書き方といたしましては、この法律の第六條のように、特例の職をここで列挙いたしますれば、それに対する法的な例外になります。こういう解釈でこういう書き方になつたわけであります。それから資源廳の方は、第三十二條書出しの第一項に「資源廳に、長官官房及び國家行政組織法第七條第二項の規定にかかわらず左の五局を置く。」といたしまして、第七條第二項の例外であるという趣旨を特にはつきりいたしたのであります。
  53. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 その点はよくわかつておりますが、そうしますと、この二十一條に「現業の行政機関については、特に法律の定めるところにより、第七條及び前條の規定にかかわらず、別段の定をすることができる。」とありますが、かような規定がなくてもいいわけですね。それも一つの行き方です。わざわざ行政組織法に特に例外の場合を限定して書いてあるにもかかわらず、設置法でかつてにまた例外規定ができている。それが私にはりくつがわからない。むしろ二十一條の行政組織が惡いなら、行政組織法を直してしまうというなら、今おつしやるようなことができると思います。
  54. 山本高行

    ○山本(高)政府委員 ただいま行政組織法第二十一條の規定は、いわゆる現業官廳につきましては、ただいま申しました程度以上の、全般的に非常に大きい例外規定が必要であろうという意味で、ああいう規定が置かれたと思うのでありまして、ただいまのこの法案に載つております例外規定なるものを、禁ずるというふうな趣旨ではないというふうに考えておるわけであります。
  55. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私の了解するところでは、この二十一條ができたときには、たとえば運輸省において鉄道総局というものができる。あるいは今回の電氣通信省におきましては、通信監というものができる。さようなことを考えて置かれたように記憶するのです。この点を山本政府委員に迫つてみたところで始まりませんので、これはむしろ行政管理廳なり、法制長官の方にお伺いした方がいいと思いますから、この程度でこの問題につきましては、ひとつ商工省におかれましても、御研究をお願いしたいと思います。  それから今回の通商産業省は、相当機構も縮小されまして、簡素強力になつてつて行く。こういう商工大臣の御説明であります。その趣旨は了といたしますが、單に局を部にしてみたり、あるいはひつつけてみたりするだけの簡素強力でなくして、その行政の実体をやる許認可事務を、一体どういうふうにされるのか、具体的に承りたい。
  56. 山本高行

    ○山本(高)政府委員 お答えいたします。行政事務の簡素化につきましては、ただいまお話がございました通り、單に機構の面だけでは、その目的を達成せられないのは当然でありまして、商工省といたしましても、かねがねいろいろな統制の簡素、能率化というふうな方針を立てまして、ただいまの許認可事務のほかに統制そのものの廃止、あるいは緩和、手続の簡素化等の案を先般來檢討中でございまして、それは時々安本に関係のあるものは安本の方へ提案をいたします。それから関係筋と協議をするものは、関係筋の方へ持ち出しております。その一部が先般物價統制の改廃、資材統制事務の一部の廃止という形で出たわけでありますが、これらもただいま申しましたような商工省の意見も取入れてやられたわけでありまして、今後引続きその問題については研究を進め、また実行に移したいと考えておる次第でございます。
  57. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 今の政府はいつも行政の簡素強力というようなことを口を開けばおつしやるのですが、実際は何も簡素強力になつていない。單に局を減らしてみたり——局を減らすこともけつこうですが、それをまた部にしてみたり、どうもほんとうの意味の簡素強力ができていない。ことに許認可事務関係商工省関係に非常に多いと思います。商工大臣は実際に簡素強力にやるという意図があるならば、それを行政の実質面において大いに発揮されんことを私は切望いたします。  最後にこれは小さい問題ですが、五月二十日からこの通信産業省だけやつて、ほかは六月の一日から施行されるのですが、なぜ通商産業省のみを十日間急がれるのか。もちろん急がれる氣持はわかりますが、特にこれだけを急がれる何か特別の理由がありますか。
  58. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 特別の理由というわけではありませんけれども、この通商産業省從來商工省機構をかえたという意味ではありませんので、商工省は廃止される。貿易廳も廃止される。そして新たに通商産業省というものが設置されるというのでありまして、他の省の機構改革とはおのずから趣を異にしておるのであります。その点をはつきりする意味合いにおきましてと、それからまた一日も早くいわゆる通商中心とした出発をいたしたいという意味で、実は五月の一日から出発いたしたいと思つたのでありますけれども、手続その他に時間がかかつて非常に遅れましたので、遺憾ながら二十日まで延ばしたわけであります。実際は五月一日からでも出発いたしたかつたわけであります。
  59. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そういたしますと、これは絶対的なものではなくて、できるだけそうしたいという希望的なものですね。六月一日に一緒にやつたからといつて商工省を廃止する、通商産業省を設置するということも可能であります。これはそれだけ伺つておけばいいのです。私の質問はこれで打切ります。
  60. 小川原政信

    小川原委員長代理 小金義照君。
  61. 小金義照

    ○小金委員 通商産業省の設置法案につきまして、二つの方面からお尋ねをいたします。まず第一に総論的に商工大臣お尋ねいたしますが、ただいま提案理由として御説明になりました中に、まず國際通商中心主義にのつとつて商工省及びその外局を廃して、新たに通商産業省を設置するのだと言われた。これはごもつともでありますが、あたかも本省におきまして、通商関係のものだけを——通商偏重主義というような感覚を内外に與えやしないか。この点が心配されるのでありますが、これはおそらく人の配置とか、あるいは行政の運用によつて補われるというお考えだろうと思いますが、その点はいかがでありますか。
  62. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 先ほども説明いたしましたように、まず輸出を重点的に取扱うといつた意味におきまして、通商産業中心主義という形になつておるわけであります。しかしながらそれだからといつて、中國産業を全然除外するという意見合いはさらさらないのでありますが、とにかく日本経済自立のためには輸出貿易中心として考えて行きたい。そういう意味合いにおきまして、内局に全部通商関係のある事務をまとめたわけであります。ある意味から申しまして、先ほど有田委員の御意見もあつたように、資源廳関係に入れましたものも、あるいは内局へ持つて來ることがいい場合もあり得ると思うのでありますけれども、それでは事務の混乱を招きますので、この際通商関係のものを一つに集めたわけであります。これが今小金委員の御指摘のように、あるいは通商偏重というような形をとるのではないかという御心配もあると思うのでありますが、そういう点についてのいわゆる行政的の措置については、十分その点を考慮に入れまして取扱つて行きたい、かように考えておるわけであります。
  63. 小金義照

    ○小金委員 大臣のお答えによつてわかりましたが、通商々々と申しましても、一体わが國の生産技術がどうなつておるか、技術の改善進歩がどういうふうに進められて行くかということは、非常に重大な問題でありまして、この点を閑却して通商はあり得ないのであります。大臣も先ほど來資源開発等について非常に力説されておりまして、その点は実行していただけると思いますけれども、特に電源の開発等につきましては、はなはだ氣がかりの点もあります。この点についても機構機構として、十分にこれにお考えを及ぼしていただきたい。なお機構いじりということは必ずしも私はいいことではないと思う。しかし時勢に即應した場合におきましては、あるいはその開発について特別の部なり局なりを設けておいていただきたい。石炭についても同樣であります。六局を圧縮したからただちに石炭行政が云々ということは私は申しませんが、十分これについて意を注いでいただきたいのであります。ことに貿易中心考えなければ、ならぬということはごもつともでありますけれども、貿易中心考える場合において、これはわが國の現状からはあるいは至難かと思われますけれども、まず私は自國の船舶による貿易をどうしても考えていただきたい。それから日本人のうしろには軍閥もなければ軍國主義もないのであります。どうか日本人が出て行つて商賣ができるような方法を十分考えていただきたい。この点について十分意を注いでいただきたいと同時に、わが國の資源関係から申しまして、製鉄業についての材料原料、それから纖維工業の原材料、生ゴム、こういうようなものの買付方あるいはその運搬、あるいはこれを求める地域等について十二分の御考慮を拂つていただきたい。  次に中小企業廳の問題であります。これは縮少はしない。むしろ拡張になつておるというようなお話でありますが、まことにその点は大事な問題でありまして、その中小企業廳などを十ぱ一からげに、天引的に行政の縮少をすることは、私は考えものだと思つております。  次に先ほど申しましたが、わが國の工業技術の水準が非常に遅れております。そこでこれについてどういうふうな方針をとられますか。聞くところによりますと、十年以上あるいは十数年わが國の工業技術水準が遅れておるのじやないかという点がありますが、これらについて大臣のお答えをいただきたいと思います。
  64. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今小金委員からいろいろな点についての御注意を受けたのでありますが、まず実際問題としまして、日本の設備、機械、技術がものによつては、十年あるいは十数年私は遅れておると思つておるのであります。もう少し極端に言えば、日本産業界が持つておりますところの機械のまず五〇%あるいは四〇%は、能率が全然伴わないスクラツプと同じものだ、かようにまで私は実は考えておるのであります。そういう意味合いにおきまして、商工省におきましても、私は特に工業技術廳なりあるいは特許廳に対する整理につきましては、特にこれを除外してやつて行きたい、かように考えておるのであります。いわゆる企業合理化といいますけれども、企業合理化ということは、人の合理化よりも、機械の合理化、機械の能率化ということが、第一段の問題であろうと思つておるのでありまして、これを中心として技術導入に関連した民間外資の導入、あるいは向うから優秀な機械をこちらに取寄せる、こういつた問題について特段の力を盡してみたい、かように考えておるのであります。  なお電源開発につきましても、これはたびたび申されるように、ほんとうに日本の持つておりますところの大きな資源でありますので、一日も早くこれが開発を進行させて行きたい。それには資金その他の面の問題もありますので、これらについてもできるだけ電源開発の方に確保するように、努力をいたしておるような次第であります。  また貿易の点につきましても、できるだけ日本船によつてつて行く。外國船によるフレイトが、われわれから比べるならば、相当差があるということも十分承知をいたしております。またよく出る問題でありますが、等價の問題でいわゆる外國の市場を日本が知らないために、相当われわれは不利な立場に置かれているという点もあろうかと思うのであります。そういう点については、商務官なり調査官なりを、できるだけ機会をとらまえて派遣するといつたような手続をとりたい、かように考えていることを申し添えておきます。
  65. 小金義照

    ○小金委員 ただいまのお答えでよくわかりましたが、調査官とか通信員とかいうものばかりでなしに、民間の人もできるだけ出すようにしていただきたい。これを御考慮煩わしたいと思います。  その次に、今大臣のお言葉にありましたが、工業技術廳及び特許廳、こういうようなものは一般並の行政整理はやらないというお話でありまして、まことにけつこうと存じます。むしろこれは、かつてわが國の工業が第一次欧州大戰後非常な発達をしたその経過の途中におきまして、わが國の工業試驗所に使つた経費というものは非常にわずかなものであります。ことに今までありましたところの民間のインスチチユートがほとんど壞滅しているのではないか。どうしてもこれは國立工業試驗所とか、あるいは電氣試驗所を拡充して、わが國の技術水準を上げるよりほかないのであります。この点について格段な大臣の御配慮を得たいと思うのでありますが、この点についてはどうお考えになりますが、お伺いいたします。
  66. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 民間の研究機関が、ごく最近までありましたものまでも、最近ではどうしても維持して行けない。こういうのでそれぞれ解散いたしましたり、あるいは他の機関にこれを属せしめる。一社だけの機関に帰属せしめる。全般にこれを開放しないというようなことが続々起つております。これははなはだ遺憾のことだと思うのでありますが、しかしながら現在の日本経済情勢においては、またやむを得ないところであります。それでありますから、なおさらいわゆる商工省における工業技術廳あるいは工業試驗所、地質調査所、その他のものについて、十分に予算をとるということが必要であろうかと存じておるのでありますが、これは先ほども申し上げましたように、この点については特に私どもとしては、できるだけの努力をいたしたい、かように考えておることをつけ加えておきたいと思うのであります。それから民間人を外へ出して行く。むろんこれが一番よいのでありまして、商務官が行くとか、あるいは調査官が行くということだけでは、実際に刻々の國際市場の変化とか、商品市場の変化はわからないのでありまして、これがいつも常駐しておるということが必要でありますが、遺憾ながら今日の情勢においては、そこまで行くのにはなお相当の時間を要するのじやないか、かように考えておるのであります。それがためにまず第一段階としてできるだけ多くの調査員を派遣する、あるいはできるだけ何らかの機会をとらまえて、各地に展示会でも開いてもらう、あるいは商務官でも送る。こういつたふうな機会をつくつて、順次御提案のように各業者の出張所あるいは出張員を置くという方へ了承を得るようにいたしたい、かように存じておる次第であります。
  67. 小金義照

    ○小金委員 通商産業省設置法案の條文につきまして、立法技術の点から三点ほどお伺いいたします。  その第一点はこの法律案の第十三條の第一項についてでありますが、これは「通商機械局においては、左の事務をつかさどる。」こういうことになつております。ところでこの條文を読んでみますと、自轉車競爭の開催とか、実施とかいうことを規定しておるところの自轉車競技法と申しますか、その法律の施行はどこで扱われるのか明記してないのであります。御承知の通り、この法律は國会提案した法律でありますので、政府がこれを受入れたという形になつております。まさか國会提出法案であるから、これを落したというわけではないと思います。何かのこれは手違いかあるいは書落しかその点わかりませんが、この自轉車競技の開催及び実施の監督を行うというようなことを第十三條の第一項に挿入された方がよいのではないか。その入る場所はわかりませんが、そういう方がよいのじやないか、こういう点について当局のお答えを求めます。
  68. 山本高行

    ○山本(高)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、まことにごもつともでございまして、実は十三條の解釈から申しますれば、第一項の二の五の中に「通商機械局の所掌に係る事業の発達、改善及び調整を図ること」ということに解釈としては入ると思いますが、法案もりつぱにあることでございますし、條文の体裁から申しましても、これを特掲した方が適切だと考えます。まあ政府といたしましてはいささかその点不注意であつたと思いますが、もし國会で御修正等の御意見がございますれば、これを特掲していただく方がむしろ適切ではないかと考えます。
  69. 小金義照

    ○小金委員 同じく立法技術に関連することでありますが、第二点といたしまして、同じくこの法律案の第十三條の第一項中におきまして「産業機械器具」という非常に大きな意味の言葉が使つてあります。ところがこの産業機械器具の中には、おそらく農林水産あるいは畜産機械器具というようなものが含まれておるという御答弁だろうと思うのであります。しかしながらこの法律案の第十三條の一項の一号に、農林省がその生産を所掌する農林畜水産業專用物品を除くという趣旨があります。農林省設置法案を見ると、通商産業省がその生産を所掌する農林畜水産業專用物品を除くというようなことがある。何だか両方で除きつこしておるのでありまして、これではちつとも農林省と現在の商工省の間の農林畜水産機械器具に関して、はつきり所管の分界がわかれておらぬのであります。せつかく両省の設置法案がここに提案されておるのでありますから、また両省のあるいは積極的あるいは消極的の権限、爭い、あるいは紛議の種なんかになつては能率上よろしくないので、むしろこの際農林省の所管とするものがあるならば、はつきりと——たとえば農林省設置法案に規定にしておる意味が、手すき、くわ、かまというようなものであるならば、それを農林省に所管せしめるというようなことを明記して、こちらの方ではこれを除いた方がいいのではないかという見解が下されるのではないかと思います。  それからまた同じ條文の中でありますが、原動機、自動車、自轉車、産業車両というふうに並べてあります。ところがわが國の非常に大きな生産部門を占めておる部分品のバネであります。このバネのことが一つも書いてありません。書いてなくともこれはどれかに含まれて部品になるということになるかもしれませんが、これは業態としても專門業者が相当たくさんありまして、重要なものであります。その所管は設置法のどこにも明らかにされていないのであります。この際せつかく法律をおつくりになるのでありますから、これをお加えになつたらどうかと思いますが、所見はいかがでありましようか。
  70. 山本高行

    ○山本(高)政府委員 お答えをいたします。最初にお話になりました農機具の問題でございますが、御指摘にございましたようにただいまの両省設置法案においてはどちらにも農機具は入つておるという形で、設置法自体ではつきり所管が確定されておらないわけでございまして、これは諸般の経緯上遂にこの法案提出までにそこまで確定されなかつたのであります。いずれは資材の配給の権限を含める等の関係から行政的には安本等できめられることと思いますが、從來いろいろあいまいな点がございまして、とかく紛爭を起しました点については、できれば法案自体ではつきりさせることが望ましいことは当然でございますので、もし適切なる修正の案が立ちますならば、國会で修正していただくのも非常にけつこうなことだと考えます。  それから第二点のバネでございますが、これも解釈としてはこの中に当然含まれるわけでございますが、やはりただいまお述べになりましたように業者も相当たくさんあるし、生産額としても軽視できない重要性を持つておるわけでありますから、これも適切なる場所へ入れられるように御修正になることにつきましては、けつこうなことであろうと考えております。
  71. 小金義照

    ○小金委員 第三点としてこの設置法案の第二十條の問題についてお尋ねいたします。これによりますと「試藥檢査所は、通商産業省がその生産を所掌する試藥の檢査を行う機関とする。」とあります。あたかも試藥檢査所は通商産業省が所掌しておらなければ、民間その他の求めに應じて一切試藥の檢査を行い得ないようになつております。ところが日本の試藥規格の定めがあります。たとえばかんてんとかしようのう、でん粉、ぶどう糖、こういうようなものについては、この條文から行きますと、試藥試驗所はせつかく依頼の檢査がありましても、その実施ができない。これでははなはだ不便であり妙なものであります。せつかく試藥檢査所というようなものを設置する以上は、これを当然含めて廣く依頼に應ずるようにした方がいいのではないか。それで「通商産業省がその生産を所掌する」という言葉をとつた方がいいのではないかと思います。これは立案者の手落ちか何かの間違いではないかと思うのですが、この点について所見を伺いたいのであります。
  72. 山本高行

    ○山本(高)政府委員 第二十條の試藥檢査所の問題でございますが、ただいまお話がございましたように、いやしくも試藥であります以上は、多少の所管の問題が出ましても、たとえばかんてん、しようのう、でん粉等の品は、依頼によりましてここで檢査するのが適切だと考えられるのであります。実はそれらの点はただいま御指摘のございましたように、字句の関係上ほかの檢査所等にすべて通産省の所管のものという限定を置いて來たわけでありますから、ついその点十分に檢討いたしませずに、同樣の字句でこれを規定いたしたのでありますが、むしろこれは立案の方の手落ちでございまして、関係の省としても別に何ら異存のないところであります。業界としても便宜を受ける点でありますから、これは修正をしていただくのが適切であろうと思います。
  73. 小金義照

    ○小金委員 最後に商工大臣お尋ねいたしますが、この立法の技術上の問題であると同時に、内容の相当大事な面について大わけにわけた三点について、もし國会が修正をするならば應ぜられるかどうか。ことに國会にも法制局がありますので、その手によつてさらに檢討をいたして具体的な案文その他條文の書き方等について研究はいたしますが、國会がもしこれを修正するならば應ぜられるかどうかを御明答を願いたいと思うのであります。
  74. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいま小金委員のお申し述べの点につきましては、もし先ほど述べられた三点について國会が修正されます場合においては、商工大臣といたしてもこれに同意いたしたいと存じております。
  75. 小金義照

    ○小金委員 私の質問はこれで一應終ります。
  76. 小川原政信

    小川原委員長代理 今澄君、今官房長官ちよつと見えぬのですが……。
  77. 今澄勇

    今澄委員 商工大臣に伺います。私はこの間の内閣、外務連合審査会において、通商産業省の設置は、わが國を今後ぼくすべき最も重要な課題であるということを総理の口から聞いたのでありますが、それはまことに口の先だけであつて、本日のこの委員会にも総理は少しも見えず、官房長官も見えず、本多國務大臣も見えないということは、まことにけしからぬ話だと思います。われわれは商工省の内部だけの問題については、努力しておられる商工大臣から商工委員会においてたびたび聞いておるのであります。今日の会合も連合審査会を開くゆえんのものは、他省にわたり内閣全般の問題として答弁をさるべき、また討論さるべき筋合いのものだとのことで聞かれたと思う。にもかかわらず他省の人、また全般的に関係ある人間は、ただ一人も見えぬということはまことにけしからぬと思うので、委員長としてもその点注意を促し、至急官房長官なり本多國務大臣なり來ていただくように言つていただきたいのであります。私は商工省通商産業省に編成がえをした理由は、表面いろいろあろうが、とりざたされておる各省との関係した問題について、総理大臣並びに各大臣にただしたい。さらにもう一つは、通商産業省が決定されたいきさつについて、商工大臣にもでありますが、ほかの責任者に聞きたいのです。それはすなわち通商産業省を設置するときに、吉田総理大臣や本多國務相や、あるいは稻垣さんや松田次官あたりがその研究にあずかつたというならば、これはまことに國政上当然であろうと思う。しかし麻生氏や白洲次郎氏の名前が新聞に報道されたし、この通商産業省がきまるいきさつの中において、大きく活動したということは御承知の通りであります。私はこのようなことは、吉田総理が宮廷政治的な、側近の意見を取入れて、この通商産業省法案をつくる上に、大きくそのような力があずかつておるというように考えざるを得ない。その意味において、こういうような大きな問題を提出するいきさつが、そういつた新聞の報道するような状態であり、審議する國会委員会がこういう状態であるということは、まことに残念しごくでありますので、本日はその方面のどなたかお見えになるまでは、私は断じてこの質問をやめない。かように考えておりますから、委員長においてしかるべくおとりはからいを願いたいと思います。  そこで商工委員会において商工大臣からは、かねがねお話を承つておるのでありますから重複を避けまして、私は商工大臣に次の二、三点を御質問いたしたいと存ずる次第であります。  第一点は中華民國における今の中共、國府の内乱という思想的な対立、これはすなわち中國の政治問題であります。日華の貿易はこれは経済問題でありますが、日本と中華民國との貿易というこの経済的な問題と、中國の内乱という政治的な問題とを、どのように合して考えておられるかということであります。これはすなわち中國の内乱が治まるのを持つて日華貿易を行うのか、中國の内乱と関係なく日華貿易をやらなければならないのか。とするならば、通商産業省ともあろうものの所管大臣としては、一体この中國の情勢がそれではどういうふうになるか。また総理大臣としても中國の内爭は一体近く解決するのか、それとも將來永久に続くのかというような見通しの上に立たなければならぬと私は思うのであります。そのような意味において、この中華民國の内乱とは無関係貿易を行うか、あるいは内乱は当分続く、この勝負はなかなか決しないという前提の上に立つて、中國との貿易考えられるかという点について、ひとつ御質問いたしたいと思います。
  78. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 大分むずかしい御質問でありますが、ただ考えますことは、御承知のようにわれわれの貿易は占領下における貿易であります。從つてただいまの中共政府との間の貿易、こういつたことはいわゆる占領下の日本貿易行政からいたしまして、制限されると私は思うのであります。この内乱が長く続くか続かないか、どのように考えるか。またそれをどのように考えて対処するかということでありますが、いわゆる経済問題といたしましては、実際に中共地区におけるところの取引というものが、この前も申し上げたと思うのでありますけれども、香港の商人、あるいは澳門の商人あるいは南鮮の商人を通じて実際上には行われておるのであります。私はこれはやはりそういつたような面において、実際上の面からの取引が、少しでも量的にもまた件的にも多く行われるということについて努力することが、最も賢明な策であろうと私は存じておるのでありまして、そういう方向努力いたしておるのであります。ただこの中共政府がかりにでき上つたといつた場合を想定いたしましても、これは占領下にある貿易行政といたしましては、はたしてこれに表面から一体取引ができるものかどうかということは、なお今後残されておるところの問題でありまして、私としては実際問題として、これがバイヤーなり何なりを通じて取引ができるものならば、非常にけつこうであろうと考えるのであります。現にカイラン炭のごときも実際に來ておる。あるいはその他の面につきまして中共地区においての生産品、また中共地区からのわれわれに対するところの輸入希望といつたようなものを勘案いたしまして、できるだけその方面に進むようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
  79. 今澄勇

    今澄委員 大体われわれは中國の内乱はなかなか解決しない。やはり中共地区と國府地区がいつまでもここ当分は続くだろう。そういう見通しを持つておるのであります。そういうふうな情勢を前にして、占領下における通商産業省としては、これは大きく考えなければならぬ問題であつて、重大な問題であろうと思うのであります。この点については後ほどまた総理大臣にでも、機会がありましたならば答弁を承ることにいたしましよう。  それから通商産業省の編成を見ると、通商の中で纖維、雜品を輸出の王座に置いてこの機構が立てられておることは、この法案を見ても大体了解ができるのであります。しかしながら將來シヤム、インド、支那、佛印、蘭印等の農業後進國等にだんだん抵触して來るのではないか。現にこれらの後進國と抵触しつつあるのでありますが、今インドには千四百万錘、中國は中共地区だけでも六百五十万錘と数えられておるところの紡績機械、これらのものと將來当然競爭するということになると思う。もしあくまでも日本が纖維、雜品のみを今後の輸出中心にやつておれば、將來どうしても関税ダンピング、あるいは関税闘爭、いろいろな問題から、再び日本通商を守るために、経済闘爭が始まり、軍事闘爭にこれが進んで行くという危險性を感ずる。私はすでにこの各省の分割された中での一番重大な通商産業省が、將來のそのような経済的な侵略というようなことを前提に考えられる状態になると思う。だから私はこの通商産業省の問題は、確かに総理大臣の言われる通り、大きな問題で、ここにこの通商産業省輸出中心を一体何に書くかということ一つでも、われわれは憲法の実際運用面を決するような大きな問題になると思う。そこでいわゆる産業の轉換、その際は紡績が出るかわりに、いろいろな工作機械、精密機械、あるいはアメリカで三〇%占める人造纖維というものを中心にして、いろいろ日本輸出に力を入れるならば、そういう後進國との摩察を生じないであろう。われわれはかように思うのであります。このような産業の轉換の見通し、あるいはあくまでも纖維紡績を中心に、わが國の通商を最後まで守り拔こうとされておるのか、これについて商工大臣の御見解を承りたいと思います。
  80. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今の今澄さんの御提言につきましては同感の点もあり、また必ずしもそうでないと思う点もあるのであります。日本の纖維品が從來貿易の大宗であつたことは御指摘の通りであります。あるいは戰前、ある場合には八十パーセント近くまで達しておつた状態であります。しかしながら今日におきましては、御承知のように紡機についても、錘数についても、一定の制限を受けておる。あるいは原料輸入の面、その他の面において制約を受けておるのでありまして、かりに纖維品を中心としてやつて行こうと思つてもやつて行けない状況にあります。また実際に戰後における輸出品、また向うの希望のものは、大体において機械方面、精密機械方面にだんだん轉向して來ておる事実もあると思うのであります。これは私はいわゆる貿易は政治的な面からでなしに、純経済的なそろばんの上に立つて考えて行くことが、必要であろうと思つておるのであります。実際のそろばんの面から申しますならば、日本貿易輸出品のパーセンテージの内訳はだんだん変更して來る。海外の事情なりあるいはわれわれが置かれておるところの制限なり、その他の点においていろいろ移行して行く、かように考えております。ことに御指摘のように機械工業、そういつたようなものに重点を置く、あるいは電氣機械、そういつたようなものに重点を置くということは非常に私は賛成であります。
  81. 小川原政信

    小川原委員長代理 増田官房長官が参りました。
  82. 今澄勇

    今澄委員 それでは増田官房長官に、わざわざおいでを願いまして恐縮でありますが、一言したいと思います。それは商工省は新しい役所でありまして、まだ二十年くらいの歴史しかないのであります。そこで商工省がようやく國民から商工省であるという認識をされたのは、満州事変前あたりから、大体統制経済によつて大きく浮び上つた役所であります。そこで商工省のいろいろの仕事が大藏省から押され、あるいは戰時中は経済関係についても、外國方面は外務官僚に押され、非常に商工省というところは仕事がしにくかつた。そこで今度再び経済九原則その他で大藏省の圧力も非常に大きい。しかして厖大な機構をかかえて、商工大臣商工省としての意見を通す場合にも、そういういろいろな制約を受けて、なかなか思うにまかせないということは、ここにきようおいでになつておられる各局長方も御承知の通りであります。私はそれらの面から見ても、日本産業の再建と、通商によつて國家の再建をするためには、いわゆる経済省である商工省が、強力な力を持たなければならぬと私は思う。そこでこの商工省通商産業省に編成がえをした理由はいろいろあるが、そのうちの一つは、ときあたかも外務畑から出ておるところの吉田総理大臣が外務大臣を兼ねておるから、この際講和條約が結ばれるまで、外務省としても仕事が少い、そこでそれらの外務省の当面の仕事をふやし、一般的に言えば、失業救済という意味においても、あるいはまた將來國際外交が復活したあかつきにおいて、対外投資面の経済外交問題、いわゆる商務官その他の問題でありますが、それらのことも外務省がこの際今ごろから深くおもんぱかりをして、主導権を握つておく必要があるというような、將來の外務省と経済省との関係にからんだ大きな目的も、それに含まれておるというふうにとりざたをされておる部面もあるわけであります。そこで増田官房長官にこういつた見通しについて、あるいは御見解について、一言お伺いいたしたいと思います。
  83. 増田甲子七

    ○増田政府委員 今澄さんにお答え申し上げます。今度の置かるべき通商産業省は、お説のような通商関係、昔外務省でやつてつた通商関係仕事も包含しておる次第でございます。たしか十年ばかり前だと思いますが、貿易省を設置するということについて外務省が非常な反対をして、結局流産をいたしたことがございますが、われわれはその当時から日本の商工業というものを、國内経済中心主義から國際中心主義に移行して、その角度から日本の商工業を発達せしむべきものである、ついては商工省の設置が望ましい、外務省はどうして通商関係についてあれほどがんばるのかというふうに非常に遺憾に思つてつた一人であります。ところが、今回は從來商工省に加うるに、外務省が從來所管しておつたような通商関係事務を入れて、しかもその角度を中心としてわが國の産業の発展をはかろうという思想から、通商産業省の構想はでき上つておる次第でございまして、私はこれは非常にいい傾向であるから、設置法のうち一番力を入れたいと思う。設置法はこの設置法と言つても過言ではないというふうに考え提案いたした次第でございます。將來國際社会の一員となつた場合に、また外務省がこの通商関係から自分の方へとつて行くというようなことの憂いは私はないと思つております。たしかアメリカの商務省でございますか、あれは商務官というものをそれぞれ派遣しておりますが、外交関係とは別個に、それぞれの事務所を外國に対して持つております。將來せつかく通商という言葉を冠にしてこういう通商産業省ができる限りにおきましては、商務官ができましても、外務省と離れまして、外務省の制肘を受けずに独自の立場から國際通商中心主義に立つ通商産業省が内外において活動をなすべきものである、こういうふうにすら考えておる次第でございます。その点につきましては、今澄さんの御意見と全然同感でございます。外務省の不当なる制肘等は將來受けないという点だけは、特にわれわれは力を入れて参りたいと思つております。
  84. 今澄勇

    今澄委員 まことに意を強ういたしました。將來産業的なこれらの経済省から、外交関係のそれらの情勢もわからない者が、その主導権を奪うようなことのないように、この通商産業省設置にあたりまして、深くこの問題を確認しておきたいと考える次第であります。  次にもう一点、この通商産業省設置法案が作成される途上において、官房長官も御承知のように、吉田総理や本多國務相や増田長官等の名前がしばしば新聞に報道されて、いろいろ審議中ということが出ておりました。私はまことにけつこうだと思いますが、そのときに、御承知のように麻生太賀吉氏であるとか、あるいは白州次郎氏というような吉田総理大臣の側近の名前が、これらの通商産業省設置のときにいろいろ参画に加わつていることを新聞は報道している。私どもはこれを見て、日本の將來の運命を決すべき通商産業省を、あるいは麻生氏が民主自由党の政調会というような立場からならともかくも、あるいは白州氏あたりがそういう立場から参画されたならともかくも、それが吉田総理大臣の側近であつたということだけで、このような國家の運命を左右する大きな問題に参画するということが新聞紙上へ出ることだけでも、さなきだに懷疑的になつているわが國の政治を宮廷政治であるというような、まことに不明朗な印象を國民全体に與える。これを誇張して言うならば、國事を私するというような意見すらも出て來ると思う。私は通商産業省設置のいきさつについて、どういうわけでそのような人々が参画し、どうしてそういうような経緯をたどつたものであるかということを、総理大臣に聞きたいのでありますが、お見えになりませんので、官房長官にお伺いしたいと思います。
  85. 増田甲子七

    ○増田政府委員 今澄さんの御質問にお答えいたします。今の御質問は実は答弁の限りでないと存じますが、しかし一應御答弁申し上げます。私通商産業省設置にあたりまして、不幸にしてそういう新聞は散見いたしませんでしたが、白州さんの名前だとか、あるいは麻生さんの名前が出ておることが、宮廷政治ではないかというような御質問と思いまして、私はお答え申し上げますが、決して宮廷政治でも何でもありません。白洲君は貿易廳長官をしておつたことは今澄君の御存じの通りでありまして、その貿易廳長官のときからいろいろな考えをもちろん持つておりました。またそういう考えを持つのは当然その職責であろうと思います。その職責上通商産業という方面に中心を置いて、わが國の國内の商工業の発展もはからなくてはならぬ。こういうことを自分の貿易廳長官としての経驗を徴して痛感されたものと思うのであります。私はその思想は客観的に見てもいい思想であると考えております。それから麻生君のことを言われましたが、もちろん麻生君は代議士でございますし、またわれわれが総理を補佐して行く上におきまして、各方面から種々の有益なる意見を聞くことは当然であると思つております。しかしながらああいう方々がりつぱな意見を持つておられて、補佐される点については——われわれもまたわれわれとして補佐をしておりますし、補佐するについては誤りなきを期したいと思つております。決して宮廷政治でも何でもございませんから、その点ははつきりとお断りしておきます。  それから將來國際社会の一員になつた場合に——私先ほど申し落しましたから、申し上げますが、將來商務官をどんな建前で外國に駐在させることになるかは存じませんが、おそらく商務官は通商産業省から派遣される商務官であると思つておりますが、やはり外國に派遣せらるべき大公使の指示を受けて働かなくては、國の意思が一元的に発揮されないことになりますから、その点だけはそういうことに相なるものである。私外務省の不当なる干渉等は受けないで活動いたしたいということを申したにすぎないのでございますから、その点もお断りいたしておきます。
  86. 今澄勇

    今澄委員 いろいろ官房長官からお話を承りまして大いに安心をした次第でありますが、できればやはり現職の貿易廳長官なり、あるいは現政府のいろいろな責任者の意見をそういう場合に十分に聽取されることが必要なので、やはり昔しておつたかというような人々があまり集まると、とかくそういうような声が出るということを御了承を願つておきたいと思います。  それから最後に官房長官にもう一言お伺いしたいと思います。これはさつき商工大臣質問したのでありますが、日本通商産業省であるというからには、どうしても貿易によつて、わが國の將來を立てようということになると、いわゆる極東貿易、東亞貿易というものを除いては貿易は論ぜられない。しかるに中國においては、御承知のような中共、國府の内乱が続いておりまして、これは今のところいつ果てるとも見えない。そこで商工大臣は占領下であるから中共と直接取引をすることはむずかしいが、全般的な取引はやりたいというお言葉でありましたが、今の中國の内乱という政治問題と、日本と中華民國が貿易をするというこの経済問題と、一体政府としては中國の内乱が終つたならば大いに極東貿易をやるということがいいと思われるか。それとも中國の内乱はここしばらく國府、中共はなかなか決戰がつかない。対峙のままでずつと続くとすれば、どういう形において現在の占領下において東亞貿易考えられるかということについて、ひとつ官房長官からの御意見を伺つておきたいと思います。
  87. 増田甲子七

    ○増田政府委員 お答え申し上げます。今の点は私個人の意見はもちろん持つておりますけれども、主管大臣商工大臣が御答弁なつた方がよろしいと思いますから、商工大臣にお願いいたします。
  88. 今澄勇

    今澄委員 商工大臣答弁は先ほど承りましたから、それではこの問題については増田官房長官からお答えがないのでありますから、この程度にして、この通商産業省設置法案をいろいろあれするにあたつて、やはり現実的に一番大きな問題は、今の紡績あるいは纖維、雜品というようなものが主流になるとか、あるいは貿易の地区はどうなるか、あるいは通商産業省になることに多少の制肘が加わつて通商産業省経済省としての力が制肘されるということは、大きな問題なのでありますから、これらの点については商工大臣の御答弁を承つて大いに了承しましたが、これらを全部統轄する政府の責任者としての総理大臣答弁は留保して私の質問を打切ります。
  89. 小川原政信

    小川原委員長代理 神田博君。
  90. 神田博

    ○神田委員 私いろいろお伺いしたいと思つてつたのですけれども、同僚の小金君あるいは先ほども有田君等から私のお尋ねをいたしたいと思うことが、ほとんど出盡したようでございまして、大分時間もたつておりますので、残つておりますごく簡單な点にとどめたいと思います。ただ一つ答弁中におきまして、納得しかねるというほどでもありませんが、非常に心配にたえないというふうに考えておりますので、まことにくどいことになるようでありますが、もう一度お尋ねいたしたい点があるのであります。  それはどういうことかといいますと、今度の商工省及び商工省外局を廃止して通商産業省を設置する、わが國の経済の編成を國際貿易に持つて行く、輸出を大宗とするところの経済産業に切りかえて行くのだ。そこで今までの役割を果したから、商工省なりその外局を廃して通商産業省を置くのだ、そこで中の本省の局も通商という文字をかぶせて、いかにも通商々々、貿易々々でやるんだというような、ゼスチユアたつぷりに見えるきらいがなきにしもあらず。そこで私の心配することは、貿易を盛んにしたい、輸出を盛んにしたいといつても、結局はその基盤をなすものは生産設備なり、能率なり、とにかく裏づけとなるものは工業の高度の技術なり、設備なり、経営という問題になつて來るだろうと思う。その結果が輸出になつて現われて來ることだと思う。國民の多くは中を見ないで、表面だけ見るきらいがありますので、商工省がなくなつて、商賣ばかりやる通商産業省ができたんだ。その基盤をなすところの工業方面の指導なり、研究なり、そうしたことは外廳の方にまかしてしまつたんだ。本省は商賣屋だというふうに見られるおそれはないか、これはしさいにこの設置法案内容を檢討してみれば、そういう立て方にはなつておらないけれども、表現の方法がそういうふうに見られやしないか、そういうことから國民の理解を得ないために、協力が求められなかつたり、あるいはまた本省に勤務する者なり、出でて地方に通商産業省の職員として勤務する者の考え方も、何かこう商賣じみた考え方に陷りやしないかということを非常におそれる。もちろん生産したものは、生産が目的でなくて、輸出に向けるということが目的でありますから、深く考えればさような間違いはないのでありますけれども、どうもこういう混乱の際でありますので、この点を十分に國民に理解せしめるところの方途を講じなかつたならば、それらの面から商賣省ができてしまつたというふうに考えられやしないかということを実は憂うるのでありまして、これらの点に対して商工大臣はいかなるお考えをお持ちになつておられますか。あるいはまたその対策等を考えておられるのかどうか。私の心配していることはそこなので、杞憂であるとお考えになつておるのかどうか、ひとつ腹を割つた答弁を願いたいと思います。
  91. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまの神田委員の御質問まことにごもつともでありまして、ことに先ほど來申したように、内局の方はすべて通商という字をかぶらせてある、これはほんとうに貿易だけをやるのじやないかという誤解をもつて、表の字の上からだけだと見られるおそれがある、こういう点については私も同感であります。この点については実際に輸出をやるということも、輸出産業の根本でありますところの生産部門が、十分に伸びて行かなければ、輸出もできないことはお説の通りでありまして、從つて工業生産部門において、十分の力をいたさなければ、輸出もただかけ声だけで実行が伴わないことに相なろうと思うのであります。そういう点につきましては、今の御心配のような誤解を生ずるおそれもなきにしもあらずでありますから、この通商産業省設置の場合におきまして、各方面にさような誤解のないように、商工大臣といたしましても何らかの機関を通じて、十分に納得の行くような話をいたしたい、かように存じております。この点の神田委員の御心配はごもつともと存じますので、私も今後これに対処する点については十分考えて行きたいと思います。
  92. 神田博

    ○神田委員 ただいまの商工大臣の御答弁で、私も非常に意を強うしたのでありますが、貿易が再開する、そこでこのごろ、もう雨後のたけのこのようにできる会社は、みな何々貿易会社、何々貿易会社とやみ会社まで貿易会社という名前を使つておる際でありますので、ほんとうにこれをわかつておる人は世の中に少いのでありまして、わからない人が多いのでありますから、どうかひとつ今の御答弁のありましたことをよく徹底できるような方途を講じていただきたい。  それから次に伺いたいのは、資源廳の中の機構のうちに、鉱山局あるいは鉱山保安局というものが入つておりまして、私どもかつて考えておりました当時は、資源院というか、あるいはまた動力院というか熱源院というか、石炭電力一つにまとめた方がいいと考えておつたこともあつたのですが、わざわざこの中に資源廳という外廳をおつくりになつて鉱山局をお入れになつた。もし鉱山局をお入れになるならば、鉄鋼局もお入れになることがいいんじやないか、こういうような考えを持つておるのです。これはよほどの御研究の結果だろうとは思いますが、どうも私ども納得が行かない。これはどなたか御質問があつただろうと思いますが、私ちようどおらなかつたので御答弁願いたいと思います。
  93. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 鉱山保安局の方は石炭鉱業保安もやりますので、これはしばらく別といたしまして、鉱山局資源廳の中に置くか、あるいは外局で置くかという問題になると思うのであります。これは主として鉱山局資源開発に当るという意味で、資源廳の方にまとめましたようなわけであります。そこでしからば鉄鋼局もこれと同じように取扱つてはどうかという点があると思うのでありますけれども、いわゆるマイニングとインダストリトとの区別をいたしたようなわけでありまして、鉄鋼局も鉄鉱山の問題もありますけれども、主としていわゆる産業部門としてはインダストリーである。こういうような意味合い鉄鋼局は内局の方に残したわけであります。ことに今御承知のように約三十何パーセントの輸出考えられておりますので、内局の方へ残した。しかしながら鉱山局の方の品物で輸出はさしあたり考えられない。もつとも最近電氣銅あたりのストツクがふえましたので、金融の面の措置から、これが輸出の許可はいたしましたけれども、大体において輸出という点には縁が遠いという意味資源廳の方へ残した、こういうわけであります。その点御了承願います。
  94. 神田博

    ○神田委員 こだわるわけではありませんけれども、これは見方の問題になると思いますが、何かそういうような説明も、國民の多くを納得させるのに骨が折れることではないかと思う。通商と比較的関係の乏しい資源関係の局を、資源廳としてまとめたというような大臣説明でありましたが、これは普通の人から見れば、やはり鉄鋼局も鉱山局ももともと一緒にやつてつた局でありまして、それが最近において鉄鋼の急激な増産をしたいというのでわかれた。わかれたことについては、われわれ國会においても同意もし、また当時請願等も通つたことでありまして、わかれたことが不都合とは考えておらないが、当時の情勢におきましては、鉱山局の受持つておる面が相当重要であつて、そこに急激に鉄の増産をするということになると、この局においてはなかなか至難である。そこで鉄鋼局を特につくつて、そして飛躍的増産をしたいというような御説明であつた。ところができてみると、鉄鋼増産にはずいぶん努力なさつておられる。ところが鉱山局の方はどうも鉄鋼が抜けて何だか母屋が減つたというか、これはまことに萎微縮少しておる。今日いろいろな問題を起しておるというか、解決困難な問題をたくさん背負い込んでしまつておる。これらはやはり機構の問題であり、人の問題にもなつて來るだろうと思うのでありますが、せつかく鉱山局あるいは鉄鋼局というものでありますならば、これは両々相まつてわが國の産業が栄えるのであつて鉄鋼自体を三〇%輸出するから本省通商鉄鋼局にするのだ。鉱山局の方はマイニングだから資源廳の中に押し込めておいてもよい。こういうことにはぼくはならないと思う。どうも御答弁を聞いておりますと、わけた理由をあとからおつけになつたというふうにしか受取れない点があるのでありまして、もう少しわけざるを得ない強い理由がありましたならばお聞かせ願いたいし、ないのだというならばいたしかたないのでありますが、きようは質問しておるわけでありますから、御答弁をひとつお願いしたいと思います。
  95. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 ただいまのお話の、鉄鋼局をどつちに置くがいいか、また鉱山局をどうすればいいかという問題は、おのおの考え方によつて、また見方によつてどちらとも考えられるだろうと思うのであります。そこでいわゆる資源というものを中心として、マイニング関係のものは資源廳に残し、それ以來のものは内局に残した、かように御解釈願いたいと思うのであります。ただ先ほどもどなたかからちよつと御質問がありましたが、一体資源廳外局であるからおろそかになりはしないか、そういう意味でマイニングが現在いろいろ問題を起しておる、たとえば銅等にいたしましてもいろいろ問題を起しておる。そういう点の力の入れ方が、外局になると薄くなるのではないかという御心配もあるのではないかと思うのでありますが、これは從來外局というものがとかく本省から離れて、何だか力が入つていなかつたということがあるのかもしれませんが、私自身といたしましては、外局であるから、あるいは内局であるからといつて、その間に差別を考えませんばかりでなく、外局であればあるほど、ことに資源廳という一つにまとまつて日本基礎産業なりというような形でやつております。それに対しては特に力を盡して行きたいと考えておりますので、神田さんのそういう方面から來る御心配は、御解消を願いたいと存ずる次第であります。
  96. 神田博

    ○神田委員 大臣としてはさもあるべきことであると私も深く確信しておりまして、大臣のただいまの後段の御答弁については決して疑いを持つておりませんが、今日大臣のもとの外廳であるところの石炭廳を見ましても、石炭廳長官はほとんど國会に見えておらぬ。次長は國会開会中にアメリカに行つておる。そうして四千二百万トンの石炭を確保することにてんやわんやだというようなかつこうである。あるいはまた資材代金の未拂いの問題にいたしましても、なかなか容易ならない問題になつておる貿易廳の方は廃止する建前かもしれぬが、それも長官が欠けておる。有能なる新井君が次長をしておるから心配ないということになるかもしれませんが、これもまた貿易手形の割引もできなければ、政府支拂も停頓して、今日通商上のいろいろなトラブルを起しておる。これは新井君の責任でもなく、國家の財政の関係もあつたといえば、それだけのことになるかもしれぬが、外廳という差別を設けないで十分に、同じあるいはそれ以上に見ておられるという御答弁をされたのでありますけれども、今私が申し上げたような事実もあるのでありまして、外廳になりますと、どうしてもまかせきりといいますか、よほど大きな問題になつて來ないと、手をかけないというようなことがなきにしもあらずと思います。もつとも外廳にしておることが、手をかけるということをしないために、外廳にしてまかせておくわけでありますから、それは当然だといえばそれまででありますけれども、しかし今私が申し上げたようなことは事実です。そこで大臣が今御答弁された趣旨、またお考え方については私はちつとも疑いを持つものではありませんが、しかし事実は今申し上げた通りである。これらについてはどういうふうにお考えになつておられるか。これは私がここでお聞きすることがやぼだといえば御答弁はいりませんが、今度できる外廳、これはなかなかよほどのしつかりしたと申しましようか、権威のあると申しましようか、よく整えたものでなければならないと思う。資源廳にいたしましても、工業技術廳にいたしましても、中小企業廳にいたしまして、特許廳にいたしましても、これは日本経済再建のために大きな役割——今日も持つておるのだが、なおそれ以上の役割をやはりみずから意識して、この困難の解決のために努力しなければならないだろうと思います。その意味におきまして、本省中心主義でなく、外廳を合せた総合的な機構だとおつしやるだろうと思いますが、それはその通りでありましよう。われわれもそう信じますが、その運用におきましては、今日以上の努力を拂わなければならないのではないか。かように考えておるので、一言御質問申し上げた次第であります。
  97. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは先ほど申し上げましたような次第でありますので、神田委員の今の御注意はつつしんでその御趣旨に沿うようにいたしたい、かように存じております。また実際に私は特に商工行政を引受けまして以來、從來の人が全然ネグレクトしておりました特許局とか、あるいは工業技術廳とかいうものについてまで、こまかく実はいろいろのお話を承つておるわけでありまして、その点は御了承願いたいと思うのであります。
  98. 神田博

    ○神田委員 そこでもう一つ承りたいのでありますが、今度の通商産業省の地方支部局、これはもう大体きまつたのですか。各産業局の下にできるのは、どのくらいと予想をされておりますか。私はちようど留守にしておりましたので、お答えがあつたのかもしれませんが、総理一任というふうに承つてつたのですが、大体の想定がついておりますかどうか。ついておつたら承りたいと思います。
  99. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これはまだ実はどのくらいの数にすべきかということがはつきりきまつておりません。というのは一つには地方へ委讓すべきものにつきましても、関係筋と今檢討をいたしておりますので、これもまだ一つ考慮すべき点が残つております。それからまた地方の商工局の当局の意見も実は聞きたいと思つております。その他まだ実際にどの程度に分局を置くべきかという問題、また分局自身の権限といつた問題、そういつた点についてなお檢討を要する点がありますので、ただいま遺憾ながらお答えできないのであります。
  100. 神田博

    ○神田委員 最後にもう一つだけお伺いいたしたいと思いますが、この二十五條の通商産業局の管轄区域を拜見いたしますと、名古屋通商産業局の管轄区域は岐阜、愛知、靜岡、三重、富山、石川とこうなつております。これはもう今までもその通りであれば、大分歴史的にもこうしたつながりがあるわけでありますが、靜岡縣におきましては、東京につけてもらいたい、関東につけてもらいたいということであります。何となれば、靜岡縣の今日の経済関係は、ほとんど名古屋とは薄い。東京の方面に関係がきわめて深いというような実情でありまして、これはしばしば陳情も出ておれば、文書あるいは口頭をもつて縣民一致して念願しておる次第であります。大体今日靜岡縣の行政区域として、管轄区域が名古屋に入つておりますのは、商工省関係と大藏省関係であります。あとはほとんど関東地区に編入になつており、大分徹底するほど陳情されたように聞いておるのでありますが、書き間違いであつたのか、あるいは先ほど來の、それは院議で修正してくれるならば應じますという意味でお書きになつたことであるか、この辺のことはひとつ私も與党でありますので、御遠慮なく御答弁をお願いいたしたいと思います。これと同じことが富山縣においても言えるのです。名古屋に出るよりも東京に來る方が時間的に便利であつて早い。靜岡縣はもう鉄道電化が浜松までできまして、東京へ來ることが丹那トンネル開通以來非常に近くなつた。距離的には名古屋に行くも、東京へ來るも同じなんです。しかし時間的に言えば非常な違いになつておる。富山縣の方も関東につきたいということを非常に熱望されておつた。いろいろあるようでありますが、特に靜岡縣の問題については、少し議員の顔も立てて、修正をするようにということでありますれば、そのように承つておきたいと思います。
  101. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 この問題はよく起きる問題でありまして、距離的にいいますと、靜岡縣は大体冨士川を中心として名古屋と東京にわけると、一番いいような形にもなつておるだろうと思うのであります。この問題は例の地方委讓の問題と分室の問題と関連いたしまして、そのときにおのずからきめなければならぬ問題じやないかと考えております。今の石川、富山、福井は、福井が大阪の方に入つておりまして、石川、富山が名古屋の方に入つておるのですが、この点もやはり分室問題と関連して考えなければならぬのじやないかと考えておりますので、分室設置の法案が出ましたときに、御一緒に御審議を願つたらいかがかと思うのであります。ここに書いてありますのは、從來の区画のままを書き入れておるわけであります。さよう御了承願いたいのであります。もつとも先ほどのお話で、ただいまから東京の方に移しておいた方がよいのだという御意見であれば、別に私どもの方は異存はありません。院議でおきめになることならば私の方は同意いたします。
  102. 神田博

    ○神田委員 くどいようでありますが、四項を見ると、「通商産業大臣は、必要があるときは、第一項に定める管轄区域を、臨時に変更することができる。」とあるが、臨時に変更するというのはどういう意味か、常時に変更されるのであるか、一時的に変更するのか、参考のために伺つておきます。
  103. 山本高行

    ○山本(高)政府委員 ただいまの第二十五條第四項の規定の意味でございますが、これはここに書いてございます通り、ほんとうの臨時でございまして、たとえば通商関係等でこの管轄区域にかかわらず、臨時的にほかの区域まで立ち入りまして、一つの局長に管轄させた方がよろしいという場合に、この規定を適用するということを考えておるわけでございます。
  104. 神田博

    ○神田委員 多分そうであろうと思つてつたので伺つたのでありますが、よくわかりました。私の質問はまだ少しありますが、大体この程度にいたします。ただ一つ管轄区域の問題で、靜岡縣は大体冨士川でわける。東は関東に、西の方は名古屋にというような商工大臣の御答弁は、まことに思い切つた暴論であると思うのであります。
  105. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 距離的にと申し上げました。
  106. 神田博

    ○神田委員 距離的には靜岡縣としては、東京に來る場合と名古屋に参る場合には、一キロばかり東京の方が近い。昔五銭汽車賃が安かつた商工大臣に縣をかつてにわけられたのでは、靜岡縣の権威にも関しますし、これは縣民あげての念願でございまして、いろいろ解決して参つたのでございます。もうほとんど解決しまして、財務局と商工局だけになつておる。あとは全部解決しております。そういうような実情でありますので、これは氣持よくひとつ、関東編入のことを——われわれも國会で同僚諸君と、また党としても協議いたしますが、御研究願いたいと思います。どうしても置かなければならないという、縣民を納得させる理由がありますならば、これは私も合理的に行くことが政治でありますから、決してこだわりませんけれども、今日の縣民の氣持、また経済的、行政的の関係から言つても、関東につくことがよろしい。ただ靜岡縣が関東につくことによつて、東海の局が約三割五分くらい権威を失墜するという問題がひとつ起る、それは官廳の内部の問題だというふうにお考え願えれば、解決がつくのではないかと思います。以上で私の質問を打切りたいと思います。
  107. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今の神田さんのお話でありますが、内部の関係があつて、東海の局が三割五分減りましようと、五割減りましようと、そういつたようなことは私は全然考えておりませんから、もし皆樣方の御意見で、國会において訂正されるということでありますれば、私の方は異存はございません。このことをつけ加えておきます。
  108. 小川原政信

    ○小川原委員長 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十二分散会