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1949-05-04 第5回国会 衆議院 内閣委員会経済安定委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月四日(水曜日)     午前十一時六分開議  出席委員   内閣委員会    委員長代理 理事 池田正之輔君    理事 青木  正君 理事 小川原政信君    理事 吉田吉太郎君 理事 淺沼稻次郎君    理事 有田 喜一君 理事 鈴木 幹雄君       江花  靜君    佐藤 榮作君       根本龍太郎君    柳澤 義男君       山本 久雄君   経済安定委員会    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 多田  勇君 理事 前田 正男君    理事 森   曉君 理事 森山 欽司君    理事 高田 富之君 理事 金光 義邦君       中村  清君    永井 英修君       福井  勇君    細田 榮藏君       勝間田清一君    高橋清治郎君       田中不破三君    平川 篤雄君       羽田野次郎君  出席國務大臣         國 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         内閣官房長官  増田甲子七君         経済安定本部副         長官      野田 信夫君  委員外出席者         專  門  員 小關 紹夫君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  経済安定本部設置法案内閣提出第八四号)     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田(正)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は経済安定本部設置法案について、内閣委員会経済安定委員会との連合審査会であります。内閣委員長が所要のため、理事の私が委員長の職務を行います。  まず政府提案理由説明を求め、次いで質疑に入りますが、質疑通告順によつて行いたいと思いますから、質疑なさる方はあらかじめ御通告ください。なお念のため申し上げておきますが、質疑は本日の議題につきまして簡潔にお願いいたしたいと存じます。それでは政府提案理由説明を求めます。経済安定本部長官
  3. 青木孝義

    青木國務大臣 経済安定本部設置法提案理由につきまして大要御説明申し上げます。  今般國家行政組織法の施行及び行政機構改革に伴いまして、経済安定本部設置法の制定を要することと相なつた次第でありますが、その全体の構想は行政組織法に基くものでありまして、ここには経済安定本部につき、特に説明を要する点につきまして、二、三申し上げたいと存じます。  第一点は、從來安定本部総理廳外局となつていたのでありますが、今日独立の行政機関なつた次第であります。ただ一般行政機関と異なる点は、各省國家行政組織法第三條に基いて設置されるのでありますが、経済安定本部は、現下の國民経済の現状から、経済の安定と復興を推進し、日本経済自立の目的を達成するために、廣い意味における経済安定の基本的施策企画立案と、これに関連する各行政機関事務総合調整等を強力に遂行する必要がありますので、この任務を遂行するために、行政組織法第二十四條に基き設置されるのでありまして、從つてこの必要性の在続する間の臨時の機関であるということであります。  第二点は、今日の行政機構改革の線に沿いまして、経済安定本部機構縮小であります。從來経済安定本部令によつて設置されていました本部は、一官房、十局、三部という構成でありましたのを、徹底的に簡素化しまして四局、二部を廃止したのであります。これは思い切つた縮小をあえてしたものでありますが、部局運営統制方式改善等にも大いに意を用いまして、残された機構により、企画官廳としての任務達成に遺憾なきを期する次第であります。  第三点は、今回の改革の結果といたしまして、從來安定本部と同樣に、総理廳外局でありました物價廳及び経済調査廳を、安定本部外局として取入れたということであります。これは安定本部企画官廳である建前から、どうかという疑念もあるかと存じますが、これらの事務実務であるといいましても、物價行政廣義経済安定に至大な関係があるものでありまして、從來安定本部と表裏一体の活動をして來たものでありますから、かえつて事務能率の促進に資するものでと考えるのであります。さらに、経済調査廳從來安定本部の一局でありまして、その事務経済行政をチエツクするという意味におきまして、統制のやりつぱなしという弊を是正する意味において、政府行政機構改革一般の線からも、この程度実務安定本部が吸收することは、賢明な策であると存ずる次第であります。  第四点といたしまして、安定本部が、その本來の任務を遂行する上には、民間有識者の見解を強くその施策に反映する必要がありますので、このため安定本部に顧問及び参與を置くことといたしたわけであります。これらは從來からもあつた機関でありまして、いわゆる名誉職的なものではなく、安定本部施策に対して、積極的に大きな貢献をしている次第でありまして、將來も大いにその機能に期待しているのであります。  以上経済安定本部設置法提案理由としての特異な点につきまして、概略を御説明いたしまして、ここにすみやかな御審議と御賛成をお願いする次第であります。
  4. 池田正之輔

    池田(正)委員長代理 これより質疑に入ります。森曉君。
  5. 森曉

    ○森(曉)委員 ただいまの御説明でよくわかりました。しかしながら私は考えまするに、経済安定本部なるものは普通の官廳とは違いまして、今日の日本の全体の総合計画を行い、また十分にこの非常事態において民間知識経驗とを入れなければならない官廳でありますので、その事務運営にあたりまして、長官を助ける官房次長は一人ではなくして二人として、そのうちの一人は、民間の有力なる知識経驗者を充てまして、ほかの一人は有力なる官吏を置くことといたしまして、民間関係官廳との連絡をよくすることが、ぜひとも必要ではないかと私は考えるのであります。また生産局及び生活物資局は、ほかの局は、ほかの局とは大分違うところがありまして、複雜関係省事務を合体したものでありますから、建設交通局と同樣に次長を二人として、一人を農業省関係、ほかの一人を商工省関係の人をもつて充てることが、事務運営上適当ではないかと考えるのであります。從いまして第七條の第二項中「官房次長一人」を「官房次長二人」に、同條第三項中「生産局動力局生活物資局財政金融局及び貿易局に、それぞれ次長一人」を生産局次長二人、動力局次長一人、生活物資局次長二人、財政金融局次長一人、貿易局次長一人と改めたらどうかと思います。  さらにほかに法制上の関係から字句を多少改めるものが数箇所あると考えられますから、次のように修正したいと思います。すなわち第二十條第二項中「物價廳長官とし、」の次に、「経済安定本部総務長官たる」を加える。第三十一條第二項を削る。附則第四項中「総理廳事務官経済安定本部事務官に、総理廳技官経済安定本部技官に任ぜられるものとする外、」これを削る。附則第七項中、「通貨発行審議会法一條」を「第一條」に改め、「第三條第一項」の次に、「第三條第三項」を加える。附則第八項中「外國人財産取得に関する政令第十一條」を「第十一條」に改める。附則第九項中「企業再建整備法中」を削る。附則第十項中「金融機関整備法中」を削る。附則第十一項中「物價統制令中」これを削る。こういうふうに修正いたしたいと存じますが、政府お答えをお聞きしたいと思います。ただいま申し上げました通りに修正した方が、こうしたむずかしい事態でありますので、関係先とのいろいろな連絡その他について都合がよろしいと私は思いますが、政府のお考えをお聞きしたいと思います。
  6. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいま森委員からの御質問でございますが、まことにもつともな御意見でありまして、私どももこの経済安定本部の性格上各省との関係がございますし、從つて意見にございましたように、安定本部のおもなる職員は、民間から多数の人を学識経驗者として採用いたしておりますような関係上、常にそれぞれの行政廳との連絡をとり、かつ内部における行政関係進行等に関しては、各般の事項がこの総合企画の中に織り込まれて参ります関係から、確かにおつしやるような御意見はもつともだと存じます。われわれといたしましても、十分この点について檢討をいたしまして、すみやかに御意思に沿うような結論を得たいと考えておる次第であります。
  7. 池田正之輔

    池田(正)委員長代理 では勝間田君。
  8. 勝間田清一

    勝間田委員 官房長官にお尋ねをいたします。民主自由党人たちは、よく統制経済撤廃とかいろいろのことをおつしやるのでありますが、今度の予算の成立の経過を見ても、それから各種政策公約がほとんど実行できなかつた点を見ても、よくわかるように、日本経済は決してそうなまやさしいものではなくて、世界経済一環としても立つておりますし、それから日本経済の現在の実情は、單なる統制撤廃だとか、そういう簡單なことでは済まされるものではないので、私はもつと眞劍経済計画政府が立案して、その立場に立つていろいろの経済政策が立案されて行くというかなり困難な、しかも先ほど長官がおつしやつたように強力に各省総合施策を統合し、また立案する必要がある実情にあると思うのでありまして、この意味において経済安定本部機構に対して、あるいは役割に対して、今度は相当の局部縮小いたしたりしておられるようでありますが、このほんとうの決意をひとつお伺いしてみたいと思うのであります。
  9. 増田甲子七

    増田政府委員 勝間田さんの私を名ざしての御質問お答え申し上げます。民主自由党統制経済についてよほど自由主義的な考えを持つておるが今度の経済安定本部機構については、どういう方針で臨んでおるのかというような御質問に解してお答え申し上げます。  民主自由党はもとより、去年の一月元日でしたか、マツカーサー將軍の言われましたわれわれの窮極目標は、公正なる自由競爭の原理を実現することにある。ただしかしながらわれわれの必要とする生産財もしくは消費財にして絶対量の不足の場合は、やむを得ず統制経済をしくのである、こういうことを去年の一月元日マツカーサー將軍國民にステートメントを出されましたが、その線に沿うてわれわれは政策を立て、また主張を持つておるものでございまして、ただいまのところ、もとより自由経済ということを窮極の理想にしておりますが、この段階におきましては統制経済はやむを得ずという立場をとつております。從つて基礎生産資材あるいは重要消費物資等に対しましては、統制経済はやむを得ず、しかして一旦統制経済をしいておるからには、有効なる統制経済をしなければいかぬ、ただわくのかけつぱなしで、そうしてやみばかりやつておるということではよろしくない。また割当等でもルーズなことがあつてはいけないし、配給等でもルーズなことがあつてはいかぬ、こう考えております。從つてその範疇におきましては、われわれは統制経済行政機構というものは必要である、こう思つております。その大宗であるところの経済安定本部の存在ももとより認めております。ただしかしながらこの経済安定本部機構が相当縮小されておりますのは、これもまたわが党の主義方針といたしまして、行政機構簡素化行政整理という公約実施するために、こういう案を提案いたした次第でございまして、この簡素化されたる経済安定本部行政機構によりまして、現在存在しておるところの経済統制の実を上げて行きたい、事実今の段階におきましても、また將來段階といたしましても、價格統制あるいは割当統制あるいは配給統制等の行き過ぎあるいは不必要なるもの等はどしどしはずして参りたい、こう思つておりますが、いやしくも割当統制配給統制あるいは價格統制にして現存のものについては、有効適切なる統制経済の実を上げて行きたい、しかもこの簡素化された経済安定本部行政機構によつて、その実を上げて行きたいというのが政府考えでございます。
  10. 勝間田清一

    勝間田委員 もちろんこの案は國家行政組織法第二十四條に從つた設置であるということはよく存じておるのでありますが、自由経済をつくつて行くのが窮極目標であるということについては、これはもちろん民主自由党考えでもありましようし、またかなり論理もそれ相当にはつきりあり得ると私は思うのでありますけれども、それに到達する期間、少くとも狹い範囲内において考えても、それに到達する期間については、もう少しやはり総合性企画性根本でなければならぬという感じを私は持つのでありまして、たとえば今度の予算を見ましても、実際マーシヤル計画一環として援助法が起り、そうしてそれに基いて双務協定が結ばれるというのが、一般外國実情であつたはずであります。それが今度の予算案にもその精神はどんどん來ておる。そういう中において日本の國内の実情は、非常にその場当りの政策が出て來て、結局大きな國際的な関係の間に立つた日本建設というものがとかくないがしろにされ、それだけでなしに、現在の実情に対して樂観的な空氣をむしろ釀成させておいて、どちらかというと、実際の政策はもつとシリアスな、もつと現実的なものになつて來るというような常に食い違いが、國内的にも國際的にも現われて來ておると思うのでありまして、そういうものをどこかで実際に企画し、総合し、強力に推し進めて行くことなしには、日本の今後の建設は非常に危ぶまれるという感じを私は持つのであります。そういうことに対して、安本長官がおつしやつた通り、ここに各省事務ほんとうに総括的に強力に総合して行くのである、こういうことが実際に閣議においては実行されず、各省運営の間において十分な連繋がとれ、同時にそこに十分な一致点が見出されて行くということについては、現在の閣議なり、現在の行政運営の方法なり、あるいは安本に対する態度なりがはつきりして行かないから、私はそこにいろいろな矛盾が出て來るような感じがするのでありますが、官房長官はもう一度こういつたいわゆる総合施策に対して、安本というものをどういう地位に見ているか、どういうふうにして具現して行こうと思うのか、この点を私はお伺いしたいと思うのであります。
  11. 増田甲子七

    増田政府委員 御経驗の深い勝間田君の御意見は、非常に有益に拜聽いたしました。私ももとより計画経済というものには反対しております。この政府を支持する與党民主自由党におきましては計画経済には反対でございますが、経済計画は必要であるということをかねてから主張しております。しかもお説のような総合経済計画が必要であり、また五箇年計画といつたようなああいう総合的の産業経済計画は必要である、その企画立案についての主管官廳は、おそらくお説のような経済安定本部である、こういう認識については、各閣僚とも同じ認識を深く持つておると私は思つております。またそういうふうに閣議等も向けて行きたいと思つております。私どもざつとした感じでございますが、あなたの方が御経驗が深いのでございますが、外から見まして、経済安定本部企画官廳であるよりも、実施官廳的色彩が相当強くて、実はルーテイン・ワークに追われていやせぬか、もつと企画の方に力を入れてもらいたい、もとよりルーテインというもの企画実施ではございますが、割当やああいうことばかりに追われておるというようなことで、もつと大所高所からこの点実はプランニングの方に專念して、しかも各省とも有機的な連絡をとつて、そういう方向へもつと活躍してもらつたらどうかと思います。これは印象でございますが、それであなたのお説のような総合経済計画等については、企画官廳としては一番ブレーンもそろつておりますし、経済安定本部を活用してもらいたい、しかも実施よりも計画の方にもつと力を入れてもらうというようなこの段階、あるいは將來ある程度段階においては、やはりお説の通り経済計画あるいは統制経済は必要でございますから、もつと有効に働いてもらいたいというくらいにむしろ考えておる次第であります。但し機構といたしましては、相当簡素化されてもそういうような運営はできるのではないか、そういう感じを持つております。
  12. 勝間田清一

    勝間田委員 もう一つ官房長官にお尋ねしたいのですが、予算の編成と日本再建とが一致しなければならぬということは、これは当然なことでありますけれども、実際に現在大藏省主計局があつて、そうして他面には各省があり、また安本があるという形になつております。こういつた大藏省主計局内閣に移すなり、あるいは安本に持つて來るなり、あるいは力を持たせるなり、そういう点でかなり重要な問題が私は残つておると思うのでありますが、この点については官房長官はどうお考えになつていらつしやいますか。
  13. 増田甲子七

    増田政府委員 主計局が実際國務の上で非常なウエートを持つておることはお説の通りであります。結局主計局大藏大臣から比べると次官の下の局長である。主計局員はその局長のまた下の部課のそれぞれの役人である。そういうところが非常に國策実施に力を持ち、ウエートを持つております。こういうものはむしろ経済安定本部なり総理廳なり、そういう國策実施に非常な影響力を持つておる役人を集めており、また職権を持つておるならば、何らか機構改革について考えてもいいのじやないかというお説に対しましては、私も同感の筋が非常に多いのであります。しかしこれはよその國で機構改革をしてみまして、総理廳その他に持つて來て成功しなかつた例もございますが、來るべき行政制度審議会においては、政党の政策が何ら官僚方面に浸透して行かないという、こういうような関係も、主計局方面でぐつと押えられてしまう、そこが大体政策実施についてもものを言うし、予算の査定についても、それを閣議にかかる以前に、そこで九分八厘くらいまでは大体決定してしまうというようなことは、再檢討しなければいかぬじやないか、こう考えております。もとより主計局役人は非常に優秀な人ばかりで、きわめて熱心であることは、歴代内閣のもとに主計局一つ恒久性を持つておりまして、そうして非常に勉強して財政事務に堪能である。ああいうこところはもちろん活用する必要があると思いますから、行政制度審議会審議対象にいたしたい、こう思つております。
  14. 勝間田清一

    勝間田委員 安本長官にこれから二、三お尋ねさせていただきたいと思うのですが、今度の局部の廃止は一体どのくらいの人を整理されることになりますか。現員が少くなるわけでありますか。
  15. 青木孝義

    青木國務大臣 お答えを申し上げます。今回の行政整理対象になつておりまするもの、ことに当面の整理人員は五百三十六名ということに相なつております。
  16. 勝間田清一

    勝間田委員 この五百三十六名というのは、局部が廃止されるために少くなる場合の数字でありますか、あるいは他の部局人員が少くなる数字でございますか。
  17. 青木孝義

    青木國務大臣 安定本部の全員でございます。
  18. 勝間田清一

    勝間田委員 私は先ほど來御質問したような意味で、非常に安本重要性があると思いますが、こういう整理をしてなおかつそれで十分やつて行けると、安本長官はお考えでありますか。
  19. 青木孝義

    青木國務大臣 御承知通り人間の数が多いということは、もちろん必要に基いてあるのではございますが、しかしわれわれはできるだけ能率を高めて行くというような考えから、事務支障を來さない限度において整理を行う、こういうような観点から、前に申し上げたような数字が出ている次第でございます。
  20. 勝間田清一

    勝間田委員 特に非常に重要な労働局をやめようということが案になつておるように思うのでありますが、その根拠をひとつ伺わしていただきたいと思います。
  21. 青木孝義

    青木國務大臣 御承知通り労働省が中心となつていろいろ仕事をしておりますが、われわれの方といたしましては、各般施策の総合的な立場から、大体支障のない範囲において連絡を保ち、研究を遂げて行く、こういうような意味で多少小さくなつても、そのことに欠けるところはなかろうというような判断のもとに、こういうことに決定をいたした次第でございます。
  22. 勝間田清一

    勝間田委員 しかし私はこれから労働問題が軽くなるとは考えられない。少くとも今後一年を考えてみましても、今度の予算を遂行してみて、おそらく一番大きな問題は、労働問題になるだろうと思うのであります。またその労働問題をほんとうに解決する道がなければ、経済の九原則も眞実意味において成功ができないだろうと思うのであります。その意味で特にこの際重要になるであろう労働局をここで縮小して、それで総合施策ができるかどうか、非常に疑問に思います。決して安本機構をふやせとか、減らせとかいうことを言うのではありませんで、その重要性の面から見て、私は労働というものを軽視することが——あるいはそれを十分にやつて行けるとおつしやるかもしれませんけれども、そういう氣持自身が、私はどうしても納得ができないのでありますが、その点をどうしてやつて行けるのか、長官の氣持をほんとうに伺いたいと思うのであります。もしこれができないならば、私ども議員といたしましても、こういう面にはほんとうにある意味では存続する、あるいは拡充するというような方向に進むことこそが、かえつていい行政整理だと思うのでありまして、必ずしも人間を減らすとか、局部を減らすとかいう形式だけが、決していい政策ではないと思うのであります。その意味長官の率直なお答えを願いたいと思います。
  23. 青木孝義

    青木國務大臣 勝間田委員の御質問でございますが、労働関係仕事をしておる人を特に少くするというつもりではございませんので、われわれの考え方としては、一應この程度十分研究活動をしていただけばやつて行けるのではないかという行政整理全体の問題から、こういう結果になりましたので、必ずしもこの人員をたくさん減らすというような考え方でやつておるわけではございません。
  24. 勝間田清一

    勝間田委員 長官をいじめてもしようがないのでありますけれども、私は労働局の存置については、安本はもつと強くなつていいと思うのでありますが、その意味で特に私は長官に御質問というよりも、むしろ各委員の方々がほんとうに了解していただくことを、私個人として希望を申し上げたいのであります。  それから次に先ほども長官が力強くおつしやつてつたようでありますが、各行政機関事務総合調整を強力に実行するということを、特に力を入れて御説明になつたようであります。それについての一般的なお考えを伺いたいと思います。
  25. 青木孝義

    青木國務大臣 御承知のように経済安定本部は、現在の統制経済の上から考えますれば、何といつて各省を総合いたしまして、各省のそれぞれの実施面に対する基本的な、総合的な施策の上に立つて仕事をいたしております関係から、そのできました施策はこれを強力に実行する。また全体としても矛盾のないような一つの構想なり、その研究の成果を具体化することのできる準備的な企画を十分やつて行くということについては、全力を上げておるつもりであります。ただ御承知のように行政整理の全体のとりはからいにつきまして、経済安定本部だけが全然これに関係なくやるというわけには参りませんので、むしろこの際多少の人員は減りましても、内容としてはしつかりしたものをつくり上げて、そうしてわれわれの希求いたしておりまする、仕事の上で実際に十分の実力を発揮して参りたいというふうな意味で、強く私がこの点を申し上げてある次第であります。
  26. 勝間田清一

    勝間田委員 それから先ほど森委員から非常に有意義な民間意思を十分に入れるような機構をつくれというようなお話があつて政府の方も御賛成であつたと私は思うのでありますが、民間の人が入つていただくことは、非常にいいのでありますが、私が懸念することは、その人がほんとうに活躍できるかどうかという面について一つ疑点を持つのであります。從つてそれに対する特別な処置なり考え方なりが当然伴わなければ、実際民間の人の活躍ということは非常にむずかしい、こういうふうに思いますし、それからもう一つは、單に民間と申しましても、それが多くの場合においては、ほんとうに働く人たち、あるいは産業の非常な犠牲を受ける人たち、たとえば中小商工業者とか、労働者とか、あるいは農民だとか、こういう人たちの声がほんとうに反映されて行くことが、むしろ現在では非常に必要であろうと私は思うのであります。そういう意味で、一般民間から入れるということが、簡單には解決がつかない。そういう意味で私は特別なはからいがあつていいと思うのでありますが、この二点について安本長官のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  27. 青木孝義

    青木國務大臣 いろいろとごもつともな点、また御質問でございますが、われわれは経済安定本部のような立場から申しますならば、いずれにしても一方だけではいけない、やはり行政面におけるいろいろな点について明るい人が必要であるし、また他面においては実際の日本産業なり、日本國民経済の実態というものに十分深い経驗を持たれておるというような人々に、ほんとうに働いていただけますならば、きわめてこれが有効であり、國の施策の上に大きな貢献をするものであるというふうな観点から、われわれは今日このような組織を保つておるのでございますが、なお詳細の点について、副長官からもお答えをしていただくことにいたします。
  28. 野田信夫

    ○野田政府委員 今のお尋ねにつきまして、部内におります者の見たところから申し上げます。お説の通りのことを実現することが必要だと思います。ただ民間からとります場合のいろいろの困難性、たとえば早い話が待遇をどうする、それからおいでになる方自身の見識が、ある面の專門家であり、精通家であつても、あまりにその面にだけとらわれて、その面だけの利益の代表というような形になられることが、また安本総合計画性から見て非常に困難が出て來る。そう考えてみますと、民間からとろうとしてもなかなか適任者を、あの人ならと思う人が得られぬのと、また目ぼしはついても、その人に交渉いたしますと、そんなところへはおれはとても行けないというようなことで、いろいろな点で不都合が生じて來て、どうも思うにまかせないというような点が一番問題だと思います。そういう点がなければ、今お話のような、なるべく民間からの各界の代表に入つていただいて、総合計画を立てるということが実行できれば、私どもとしては非常にけつこうだと思つておるのでありますが、そういう点で非常な困難性があるというので、困つておる次第であります。
  29. 勝間田清一

    勝間田委員 先ほどの問題にまた帰るようなことでありますけれども、これだけの総合施策をやつて行く官廳として、労働局をなくして行くという点は、これは非常に私は大きな欠陷をつくるようなことだと実は思うわけであります。その意味でこの労働局の問題については、ほんとう眞劍にもう一ぺん考えていただきたいと私は思うのであります。  それから今お話のあつたほんとう官廳、いわゆる安本の民主化という面で、これも私は非常に重要視して考えていただきたいと思うのであります。それから同時に、先ほども申しましたように、私は安本の機能をむしろ重要視しておるもので、荷は非常に重くなつて來るという感じでありますので、簡單な人員整理というような考え方でなしに、もつと別な重要な面からこういう面を考えてもらいたいのであつて人間を減らせばいい、部局を減らせばいいというような安易な道を選ばずに、私は長官にやつていただきたいと思います。希望を付して私の質問を終りたいと思います。
  30. 池田正之輔

    池田(正)委員長代理 有田喜一君。
  31. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 大ざつぱにお答えつてけつこうなんですが、現在経済安定本部で一級官が何名あるか、二級官が何名、三級官以下何名、それが今回の改革でどういうように増減するか、ごく大ざつぱでけつこうでありますから……。
  32. 野田信夫

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。一級官が、定員でございますが二十五名、二級官が三百四十七名、三級官が三百七名、これは本部だけでございます。地方のは今ちよつとここに資料を持つておりません。
  33. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 物價廳はどうですか。
  34. 野田信夫

    ○野田政府委員 物價廳は一級官が六名、二級官が百二十七名、三級官が二百三十五名、これも物價廳の本廳と申しますか、中央だけであります。
  35. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 それが安定本部は今度の改革でどういうふうになりますか。
  36. 野田信夫

    ○野田政府委員 安定本部の方は各三割減、物價廳は二割減、こういうことになつております。
  37. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 それは画一でしようか。一級官も二級官も三級官も同じく三割ですか。
  38. 野田信夫

    ○野田政府委員 ただいまのところはただ目標でありまして、詳しいことはまだ決定しておりません。大体の目標として與えられておるところが以上のところであります。
  39. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 先ほど來もお話がありましたごとく、経済安定本部の眞の使命は、経済安定の基本的施策企画立案と、各行政機関事務総合調整、これを強力にやつて行くことに使命があると思うのですが、どうも安定本部のやり方を見ておりますと、各省と重複する部分があつて、作文行政に終始しておるようなきらいがある。ことに痛感いたしましたのは、今回のドツジ・ラインによる経済財政政策の相当大きな轉換がある際に処しましても、どうも安定本部は少し言葉が悪いかもしれませんが、つんぽさじきにおるような感じを痛切に感じた。私は経済安定本部は國家全体の大きな経済財政政策をみずから立案し、むしろ各省を指導して大きな基本的計画を立てて行くことがきわめて緊要であると思います。その点について最近の安定本部の行き方に対して多少不満を持つておる一人であります。安定本部長官は先ほど來非常に基本的施策企画立案総合調整に対して強調されました。非常にけつこうでありますが、それに対する具体的な方策はどう持つておられるか、という勝間田委員質問に対して、あまりはつきりした明答を得られなかつたのであります。私は安定本部を眞に強くして行くためには、普通の役所の行き方ではだめだと思う。やはり往年の内閣の調査局的な存在、すなわちブレーン・トラスト的な機構がよい。そのためには一級官とか二級官も必要でしようが、いわゆる上級官吏の面は思い切つてふやしてもよろしい、しかし普通の事務をとるような三級官とかあるいは二級官でも、あまり有能でないような人は、極力これを減らして、眞にブレーン的な行き方に進むことが肝要と思う。そのためにはいわゆる普通の各省の公務員と違つた別の処遇をする必要がある。公務員法の例外規定を設ける、あるいは給與の点につきましても特別な行き方をする。各省で課長とか局長というようなことがありますが、安定本部は一調査官として局長くらいの給與を與える人も出て來るというような特別な行き方をやることが、この際必要であると思います。これに対して安定本部長官はいかなる所見を持つておられるか、一應承りたいと思います。
  40. 青木孝義

    青木國務大臣 経済安定本部ができましてからの経過をごらんいただきますれば、大体御了承ができると存じますが、日本経済の発展の過程に大体照應して動いておると思いますし、またこれまでの組織内容につきましては、もちろん多少の変化はあるとは存じますけれども、やはり從來総合企画という立場においてはかわりがないのでありまして、この点少しも私は今日かわつておるとは存じておりません。ただ日本経済が漸次統制が緩和されて來る、しかもインフレの收束の度合といいますか、その経過に從うといつたように、多少各般の面に強い統制があつたものが、漸次解かれて來るという過程から見ますと、何となく経済安定本部施策そのものが、力を失つて來たように見えるのであります。しかし事実は少しもその点においてはかわつておらぬというふうに私は考えております。ただ今回の行政整理という一点から考えますれば、その中で経済安定本部人員が多少かわる、少くなるというような意味で、ただちに経済安定本部の力が削減されたものであるというふうには解釈いたしておらぬのでありまして、むしろこの際わが経済安定本部の性格をはつきりいたし、そうして他の省に比べますれば、何といつても頭が大きくて尻が小さいといつた感がいたすのでありますが、この点もなおこういう機会に十分われわれはその欠点を補い、長所をなお一層生かして行くというような態度で、この際臨みたいと考えておる次第でございます。
  41. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 決して私は機構が小さくなつたから安本が弱くなつたということを言うのでない、むしろ機構を小さくしてもしつかりした頭をすえて、いわゆる簡素強力に進めば、安定本部の使命は達せられると思う。しかし何と申しましても、その先決は人の問題です。人間です。よい人をとるには先程副長官も御説明がありましたが、今の普通の各省のような公務員の待遇ではよき人も入つて來ない、そこでどうしても公務員法の例外を設けよき人材を少数でよいですが入れる。そうして眞にブレーン・トラスト的の行き方が、安定本部を強力に推進するゆえんであると私は思うが、この点に対する御所見を伺つておるわけであります。
  42. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいまのお言葉まことにごもつともでありまして、私どももこういう機会に少数精鋭主義をもつて進んで参りたい、こう考えております。なお待遇等の関係につきましては、從來予算等ともにらみ合せまして、できるだけそういう点に考慮をいたしたいと存じておりますが、何しろ一般行政官廳と大体その点がかわりませんために、なお遺憾な点が多いと存じておる次第でございます。御説に從いまして十分考慮いたしたいと存じておる次第でございます。
  43. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 それではひとつ青木安本長官にその点を強く推進してもらつて、眞に日本経済の安定の基盤たる立案と総合調整を遺憾なくしてもらつて安定本部本來の使命達成に邁進していただきたいと思います。  次に伺うのですが、どうも安定本部では、先ほど官房長官のお話もありましたが、ルーテイン・ワークに追われておる。あるいはもの割当とか、うつかりすると許認可事務のごときまで安本でやつておられる。これは公團法によつて出て來た。また今回物價廳の吸收で現業面が出て來て、どうも安定本部本來の使命が脱線しはしないかという懸念が起る。もちろん行政機構簡素化の趣旨から、物價廳が安本に入つて來ることは、理論的にはおかしいが、その意味は私はわからぬでもない。しかし私のおそれるのは、そういうものが來ることは、かりにいいとしても、ややもすると、眞のわかつた人ならばいいですが、下級官吏になりますと、ルーテイン・ワークをやりたがり、それが本來の使命をくずすゆえんになりはしないかということを懸念するのであります。物價廳を吸收されるもけつこうですが、そこに大きな線を引いて、かんじんの物價政策の基本を忘れない。まだ安本企画性総合性ということを忘れないようにして行かなくちやならぬと思う。このままずるずると入つてつては、相当危險性があるように思いますが、これに対して安本長官は、いかなる線をもつて安本本來の使命を全うされんとする考えであるか、御答弁願いたいと思います。
  44. 青木孝義

    青木國務大臣 ごもつともでございます。私どももそういうことを考えまして、安定本部のやらなければならぬ点、この点を今回の提起されました設置法そのものの中でも十分考慮をいたしておりますために、物價廳のごときは外局ではありますが、やはりそれが今までの性格、今までの物價廳の仕事というものから安定本部が何らかこれに容喙することによつて安定本部そのものが性格的にかわるというようなこともないと考えますし、また物價廳そのものの性格に何らかの影響があるかと言えば、これはまずないと考えますので、御心配いただきますような点は、まず私の考えておりますところではないものと、こう考えておる次第でございます。
  45. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そこにおられる野田副長官のような方がおられますと、相当物價の経驗もありますし、うまく行くと思いますが、組織の点で考えますと、よほどこれは危險性がある。結局これは運用の問題になると思いますが、一つしつかりと物價政策と、現業であるところの物價廳とを混同しないように、摘切なり運用をやつていただくことを切望いたします。  それから次にお伺いしたいのですが、地方機構で地方経済安定局というのがありますが、私はあまり地方の実情は知りませんが、どうも地方経済安定局はあまり大した必要あるものとは考えられない。それこそ物價廳の地方機構であるところの地方物價局と併合されてしかるべきものだと思います。中央は非常に基本的な行政がありますので大事なのでありますが、地方になつて來ると、これは地方の出先機関の調整程度でありまして、わざわざ地方経済安定局をつくるほどの大きな仕事はないと私は考えております。ほんとう簡素化をはかるなら、こういう方面こそ手をつけられて、中央と行き方を異にせられた方が適切であると思いますが、いかがお考えになりますか。
  46. 青木孝義

    青木國務大臣 御承知通り、中央に経済安定の必要があると同様に、地方にもまた同じようにあるわけでありまして、やはり企画、立案、総合調整に当るということにつきましても、地方に至ります一貫した強力な総合調整機関の存在は必要でありますので、やはりこの点については、中央及び地方の連絡を密にいたしまして、この目的を貫徹したいと考えておる次第でございます。
  47. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 青木長官はあまり地方経済安定局のことは御存じないかもしれませんが、地方の経済安定局は実際あくびをしておるのです。何か仕事がないかといつて仕事をもらいに行つておるような状態であります。地方物價局は多少中央で扱わない仕事がありますが、かようなものこそ一つにされまして、そうして簡素化される必要が確かにあると考えます。一つ眞劍に御檢討願いたいと思います。  私ばかりで時間をとりますと恐縮ですから、私の質問はこの程度で打切りまして、ますます安本が、ほんとう意味経済安定の企画、立案と、総合調整を強力に進められんことを重ねて切望いたします。
  48. 池田正之輔

    池田(正)委員長代理 森山欽司君。
  49. 森山欽司

    ○森山委員 大体各委員の方が御質疑になりましたので、簡單に申し上げます。  まず第一番に、経済安定本部設置法案の審査を連合委員会において審査しておるわけでありますが、私の結論を申し上げますと、この審査の主体は、経済安定委員会をもつてやるのが適当であろうと思うのであります。今回の行政組織法に基く各省設置法案につきましては、内閣委員会が主になりまして、関係委員会と合同の形でもつてつておるわけでございますが、内閣委員会行政組織法のごとき基本的な問題について、これをおやりになり、具体的な各省の設置法案というものは、それぞれ各省別に常任委員会があるわけでございますから、その委員会を中心に審議して行くのが当然であろうと思うのであります。この法案の限りつきましても、われわれ経済安定委員立場から申しますならば、委員会としての審議権、あるいは究極的な議決権を持つことができないことは、まことに遺憾な次第でございます。從いまして、何ゆえわれわれ経済安定委員会を中心とせずして、内閣委員会を中心とする審議をなさんとするかについて、内閣委員長あるいは経済安定委員長の御見解を伺いたいと思います。
  50. 池田正之輔

    池田(正)委員長代理 森山君に申し上げますが、これは常任委員長会議と、それから運営委員会で、内閣委員会でやるべきだというふうにきめた問題で、ここで論議される問題ではないと私は解釈いたします。
  51. 森山欽司

    ○森山委員 私は不適当であると思いますが、ここで論議される問題でないとすれば、次に移ります。  この法案と関係のある行政整理の問題でありますが、先ほど來の御回答は、きわめて不親切であると思うのであります。五百三十六名の整理をする。しかしそれは予算定員に対するものであるか、実員に対するものであるかも不明であります。あるいは安定本部だけのものであるか、あるいはそのほかに物價廳、経済調査廳、その他を加えたものであるかどうかということについても、きわめて明瞭を欠きます。また先ほど一級官の定員について申されましたが、物價廳は六名という定員になつております。定員は六名でありましても、現実には十数名の一級官がおるわけでありまして、実際に現在の職員の実質というものについて何ら御親切な御説明がないということは、きわめて遺憾にたえないのでございまして、明確なる現状をお示し願いたい。そしてそれに対する具体的な整理人員、現在において到達しておる整理予定というようなものをわれわれに聞かせていただくのが、この法案の審査の前提になるのではないか、かく考える次第でございます。これについての御答弁をお伺いいたしたいと思います。
  52. 青木孝義

    青木國務大臣 先ほど申し上げました五百三十六名というのは、経済安定本部の定員に対する数字を申し上げたのでございます。そこで今予定いたしております概括的な数字を申し上げますならば、経済安定本部は実員に対して整理されようとする人員が二百七十九名でございます。それから物價廳におきましては、実員に対して百五十五名が想定されておるのであります。それから経済調査廳が同樣に七百三十一名というふうに想定されておるのであります。これらは單なる想定でございまして、まだ決定をいたしたわけではございません。
  53. 森山欽司

    ○森山委員 次に、次長制の問題でございますが、先ほど民自党の方が政府とやおちようなさつて、いろいろ次長を一人にしたり、二人にしたりするようなことをやつておられるのでございますが、これについては私として異論を持たざるを得ないのでございます。元來次長制というのは、戰前におきましては、ほとんどその例を見ることができなかつたのであります。しかるに戰後になりまして、高級官僚のうば捨山的な意味をもちまして、不必要な面まで長官のほかに次長を置くというような傾向が濃厚であります。特に今回一應われわれの手元に配られました設置法案には、官房次長一名とありますのを、総裁官房の御意見といたしまして今度われわれの手元に配られたプリントには、それを二名にしたいとあります。これは民自党の御意見としてお話になつておるわけではございますが、われわれは官廳機構は、あくまでも簡素強力であつてしかるべきであると思います。わが党の有田委員が申し上げました通り、先の内閣調査会か何か、そういうような前の機構において、調査官というような形において局長がおつた、そういうような形でやればよいのだというようなお話もございましたが、それと同じような意味において、一應各局長をつくつてその下に次長を一人も二人も置くというような、そんな必要は私は毛頭ないと思うのであります。その局に当る上において各省関係もあるでありましようが、この人間をどこへ持つて行つたらいいか、持つて行き場所がないから次長にするというような考え方もあるのではないか。また一方において、民間人の知識を吸收する必要があるならば、顧問とか、参與とかいう組織があるわけでありますから、その組織を十分利用するならば、その目的を達成し得ると私は思うのでございます。その意味において、私といたしましては、大体次長を置くということ自体に対して反対いたします。これについての御意見をお伺いいたしたいと思います。
  54. 野田信夫

    ○野田政府委員 ただいま次長の点につきまして御意見がございましたが、從來安定本部には、きよう御提案がありましたような数の次長が置いてあるのであります。それがなぜ置いてあるかという理由が、まだおわかりになつておらぬと思いますので、ちよつと簡單に申し述べますが、安定本部はほかの官廳と違いまして、うば捨山的の次長を置いておるつもりは毛頭ありません。と申しますのは、安定本部局長は、例外もありますが、原則として民人間を入れて局長に充てることが大体の例になつておるのであります。それは結局、その取扱います計画事務各省事務にわたつておりまして、どこか一省からの出身者では、うまくまとまりがつき得ないというような点や、それから現実に民間にいて積んだ知識経驗を持つて來て、そのまま生かしていただきたいというような点などをいろいろ勘案いたしまして、局長民間人を持つて來る例が多いのであります。しかしその際に、先ほどもお話が出ましたように、各官廳との連絡ということが問題になつて來るのであります。といいますのは、民間の出身者であると、各官廳の、もつと一般的に言えば、政府のいろいろの行政機構行政手続、法律の詳しい内容、その他の点につきましては、いわばしろうとであります。それを補佐するためには、やはり官廳の出身者で優秀な補佐役をこれにつけなければ、先ほどお話がありましたように、民間人を入れて、しかも各官廳とよく連絡のつくような、その機構上の欠陷を補うことができないのであります。そういう意味を持ちます。  もう一つは、御存じの通り安定本部の全体の機構は、一局ではありますが、その取扱い品目は非常に間口が廣いのであります。たとえば生産局でありましても、計画上に扱つております品目は、農林、商工物資を全部包括しておるわけであります。生活物資局におきましても同樣であります。農林物資もあり、商工物資も扱つております。これを民間から出た一人の局長がおるだけでは、そのとりまとめは非常に困難を生ずることは明らかであります。それでただいまでは、次長としては、商工省出身の非常に優秀な人、農林省出身の非常にその方面の優秀な人、この二人を各局長につけて、それで次長は二人ということになつておる次第であります。それで、今お話にありました次長制を一ぺん各官廳から廃止した例がございます。しかしその際も、安定本部だけは特別だという特殊の事情が認識されまして、安定本部は特別扱いされた事実があるのであります。それを見ましても、次長制ということは、安本においては他の官廳におけるとは非常に違つておるという点を特に御了承願いたいのであります。
  55. 森山欽司

    ○森山委員 私先ほどうば捨山と言つたのは、適当でないかとも思うのでありますが、安本の各局の次長さんは優秀な方々がおそろいだと思うわけでありますが、そもそもこういうような形において次長を設けなければならないというところに、日本の官僚制度はよほど反省しなければならない点があると思うのであります。局長として民間人を採用するというならば、その下に各省の出先みたいなかつこうでもつて次長というようなものを置かなければ成つて行かないというところに、各省ブロツクというようなものの惡質な面があるというふうに考えるのであります。民間人であろうと、官界人であろうと、適当な者を局長として置く、その下に局務をやればよいのだというのが私の考え方であります。現在のような局長考え方は、從來のようなビユーロークラシーの惡い面を端的に露呈しておる、かように考えざるを得ないのであります。また各省との連絡につきましても、次長だつたら連絡をうまくやるけれども、平の部員だつたらやらぬという観念なら、これは首にしてもよいと思う。取扱う品目にいたしましても同樣に、次長だつたらやるのだが、普通の平の者だつたら、あるいは課長だつたらやらぬ、そういうばかなことがあるべきはずがない。從いまして、このような次長制は、日本從來の官僚組織の惡い面の現われであると私は考えざるを得ないのでありまして、この意味において、政党出身、あるいは民間出身の長官、副長官におかれましては、十分御反省を願いたいと私は考えざるを得ないわけであります。  次に私がお伺いしたいのは、さきにわが党の有田委員からもお話がありましたが、地方経済安定局の問題であります。行政整理を断行して國費の節減をはかる、また事務の効率をあげるということを本旨とされておる現状におきまして、何ゆえに地方経済安定局をこの新しい法案に盛る必要があるかということであります。もし中央の諸君におかれましても、また地方のあらゆる各層の人たち、地方経済安定局の職員を除く一切の人たち立場から見ますならば、地方経済安定局は有名無実の存在でございます。これがあることによつて一体どれだけの仕事をしておるか。要するにこれこそまさしく高級あるいは中級、下級官僚の、あるいはそれによつて飯を食つておる人たちのうば捨山であるということは事実であります。從いまして、私といたしましては地方経済安定局をこの法案から削除されることを希望いたします。  さらにつけ加えて申しますが、私先般大阪、福岡、及び名古屋の各地区をまわりまして、その地方経済安定局に対する各界の意見を聽取したわけでありますが、その機能として果しておる役割は、中央からの経済安定に関するいろいろな政策の浸透その他をやるということがその一つであると思うのであります。これにつきましては企画官廳といたしまして、中央においてはそのレーゾン・デートルがあるわけでありますが、地方においてはすべてその実施はそれぞれの機関がありますので、その必要がないわけであります。また地方において各出先機関その他の調整をやるといいましても、これはわずか人員が二十名ないし三十名の、予算もない、人も少いというところでは、実際上仕事ができない。いかに趣旨がよくても実行性がないということが実情であります。ことにこの地方経済安定局がやり玉にあげられない理由は、大なる権限を持つておらぬということと、地方機構との接触がきわめて少いということで、やり玉にあがつていないわけであります。もちろんわれわれといたしましては、少しでも國民の租税の負担を少くして、國家財政の安泰をはかるためには、このような部面においても地方経済安定局はなくす必要があるのではないか、かく考えるのでありまして、これにつきましての御意見安本長官に重ねてお尋ねしたいと思います。
  56. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいまの御意見ではございますが、地方経済安定局の事務は、地方関係行政機関の総合的な関係という意味で、御承知通り現在日本経済の安定を急速に促進するためには、中央におきまして経済安定本部が中心となつて施策企画、立案、総合調整というようなことに当つておりますとともに、その施策実施面におきましても、地方各廳の施策が個々に流れて行くことを一面防止するといいますか、これを総合調整して、強力にその実施を期するというようなことのためには、どうしてもなければならぬということであります。経済安定本部が各種の緊急な経済施策を立案し、これを急速に実現を期するためには、各地方経済安定局を通じまして、これらの施策の地方への浸透状況というもの考え、並びに地方経済の特有な事情等を調査勘案いたしまして、その状況なり、改善事項等を必要に應じて刻刻本部に具申せしめる、こういつたことの機能を果しますし、また各地の軍政部との事務連絡につきまして、各地方経済安定局が事実上まとめ役の任務を果すというようなことをいたしておる次第でありますし、また最近各地方の軍政部の要請によりまして、経済九原則委員会を組織いたしまして、そしてその推進の任務を果しておるような次第でありまして、私どもといたしましては、この地方経済安定局も十分そのレーゾン・デートルを持つておるものと確信いたしておる次第であります。
  57. 森山欽司

    ○森山委員 それでは何ゆえ人員が二十名、三十名のきわめて少数であつて、そうして予算もほとんどないというようなこういう状態に放置しておくかということにつきまして、私は疑念を感ぜざるを得ません。眞に中央の施策の地方浸透をはかり、また地方の各行政機関相互間の調整をはかるというならば、このような小さな機構をもつていたしましては実行きわめて困難であります。かつて地方総監府とかその他の機構が戰時中考えられましたが、それらの機構には相当な人材と相当な経費と相当な組織とを持つておりました。しかるにこのような地方経済安定局というような吹けば飛ぶような小さい組織でもつて、そのような大きなお考えを実行することは実行不可能になります。胸に靜かに手を当てて考えてみますならば、ここにわれわれ地方のすべての諸君に、地方経済安定局がないために、國家がどれだけ困るかと尋ねたならば、おそらく困らぬということを申されるだろうと思います。大臣も地方経済安定局におそらくおいでになつたと思うのでありますが、いたずらに下からの案をそのままうのみにされず、御明断をもたれましてかかる案の一部の修正をされることを私は希望いたす次第でございます。
  58. 青木孝義

    青木國務大臣 それではちよつとなおつけ足して申し上げておきますが、私どもの地方経済安定局がございます各地域の人員等も、ただいまのところ二十三年度の定員から申しまして、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、廣島、高松、それから福岡、これらを申しますと五百四名でございますが、札幌が五十名、仙台五十五名、東京九十四名、名古屋五十九名、大阪八十九名、廣島四十三名、高松三十九名、福岡七十五名、この程度人員で大体処理をいたしておる次第でございます。
  59. 森山欽司

    ○森山委員 ただいまはおそらく予算の定員ではないかと思いますが……。
  60. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいま申し上げたのは予算の定員でございます。それから現在員を申しますれば、札幌が四十七名、仙台五十五名、東京八十八名、名古屋五十四名、大阪六十八名、廣島三十七名、高松二十六名、福岡六十一名、総計四百三十六名でございます。
  61. 森山欽司

    ○森山委員 私いろいろ意見を申し上げましたが、連合審査会は要するに意見だけにとどまるわけでありまして、経済安定委員としての十分な機能を果すことができないことを、まことに遺憾に考えておる次第であります。これをもつて私の質疑を打切ります。
  62. 池田正之輔

    池田(正)委員長代理 高田富之君。
  63. 高田富之

    ○高田(富)委員 青木國務大臣にお尋ねいたしますが、今度の行政機構改革のねらいは、大体先ほどの御説明を伺つてみましても、経済安定本部自体としての今までの機構上の不合理であるとか、あるいはむだであるとか、非常に不都合であるというような点があつた、その理由のもとに機構改革されたという説明一つもなかつたわけです。ただ全般的な行政機構改革の線に沿つてというような、外部的な圧力によつてやむを得ずここでも被害者になつたという御説明でありまして、内容的な御説明がないのでありますが、はたして今度のこの行政機構改革は、先ほどあなたが御説明になりましたように、一般的な行政機構改革方針から二割なら二割の人間を減らすという、この根本的な方針のために、機構縮小せざるを得なくなつものであるのかどうか、その点をはつきり説明していただきたいと思います。
  64. 青木孝義

    青木國務大臣 先ほどからお答えを申し上げておるように、今回の行政整理ということの線に沿いまして、われわれとしてもこの内閣の態度並びに内閣方針を実現するということに協力いたしておる次第でございます。
  65. 高田富之

    ○高田(富)委員 実はきようも、安定本部だけの内容についていろいろ理由を聞きたいと思つておりましたが、その内容を御質問申し上げる前に、やはり今度のやつはそういうふうなわけでありますので、今度の総合的な行政機構改革のねらいは、どこにあるかという点がはつきりしませんと、各省だけのことに入る前の一般的な予備知識が、非常にわれわれに欠けておるために、何かよくわからない。どうも局を廃止したりなんかするのも非常に便宜的に、離したり、くつつけたりしておるだけである。また事実上具体的に御質問申し上げれば、これによつて今まで安定本部がやつていた仕事のなくなつてしまうもの、全然やらなくなつてしまうものには、たとえばどういうものがあるのか。またやるけれども、ほかの各省に委讓して、各省でやらせるものにどういうものがあるのか。そういうふうなことから機構改革が問題になつて來ると思うのでありますが、その点を御説明願いたいと思います。
  66. 野田信夫

    ○野田政府委員 今度の機構改革によりまして、所管事務の異動したもののおもなものを申し上げますと、物價局を廃止しましてこれを物價廳の中に吸收いたしました。もう一つは通信局が所管しておりました電氣通信委員会という委員会があります。これは今度新たにできます電氣通信省の力に移管いたしました。それらがおもな点であります。
  67. 高田富之

    ○高田(富)委員 そうしますと、今度廃止または縮小される部局の中で——ちよつとこれも御質問のついでにしたいのですが、官房では企画部と情報部がなくなるわけですね。それから局としては労働局がなくなる。それから運輸局、通信局、建設局——今御説明の通信局の一部は電通省の方に行くようですが、後の三つが今度の建設交通局へそのまま全部仕事が移るわけですね。
  68. 野田信夫

    ○野田政府委員 大体その通りだと思います。仕事の内容は今申し上げました局が移るだけでありまして、労働局官房の中に入りますけれども、所管事務は同じであります。そのほか企画部、情報部は部としてはなくなりますけれども、その仕事は依然として官房でやることになります。
  69. 高田富之

    ○高田(富)委員 そうしますと、大体なくなるもの縮小されるものは、今まで経済安定本部仕事の中で他の方と重複しておるとか、あるいは重要性がなかつたとか、むだであつたとか、非常にひまだつたとか、何かそういう理由があるわけですか。
  70. 野田信夫

    ○野田政府委員 重複やひまがあつたと考え縮小したわけではありません。ただ部としてここで機構上、上げておくほどの必要がないだろうというので、縮小計画に上つたわけであります。
  71. 高田富之

    ○高田(富)委員 局や部として置く必要性がないということでありますと、大体今までやつて來経驗から見て、それほど必要性のないもの部局になつていたということでありますから、そのことについての弊害、そういう点が発見されたのだろうと思うのです。その点ではさつきもほかの委員から御質問があつたようであります。たとえばこの総合計画を立てて——今までの総合企画官廳としての安本の役割は、つんぽさじき的であるという酷評があつたようですが、そういうような今までのやり方には、まだまだ考え直さなければならぬ点が相当あつたようであります。今まで見たところで大して重要性がないからといつて、それをただちに併合する理由にはならないのじやないかと思います。むしろ今まで大した機能を発揮しないものであつても、この際考えてみれば、さらに十分実際にその機能を発揮させなければならない必要性があれば、それらのものは尊重されなければ、この機構改革が何ら積極的な意味を持たない。それでなければただ人間を減らすということだけから來ておるので、何らそこに機構改革としての目的、趣旨というものがはつきりしないと思うのです。そういう点で非常に便宜的な考え方のように感ぜられる。安定本部全体を、機構から言えば、われわれの氣持から考えてみても、たとえば官房の中でも連絡部というものがある。むしろこれは單なる連絡的なものであるが、企画部や情報部のごときは、安定本部の中核をなすべきものとして運用されてこそ、安定本部機構になつて行くのではないかという氣がする。それから労働局にしましても、この総合政策の上から見ましてきわめて重大であり、これに対する施策総合性というものが大きくここでクローズ・アツプされるという非常に重大な時期であるということは、各委員よりも申された通りであります。かようなものを削つてしまつて、総合的計画を立てるということを考えるのは、これは古色蒼然たる考え方で、まあ、ナチス以前の、非常に強力な統制をやれやれと申しながら、人間の面を全然考えないで、物とか、いろいろな方面から強力な統制をやつておるようなイデオロギーがそこにうかがわれるように考えられる。そのほか運輸、通信、建設のごときも、総合的な経済計画の上で血脈ともなり、骨骼ともなる部門で、これは各省各省でやつておつたのでは総合計画はできない。こういう面を総合計画が握つてこそ、現実に総合計画がやれるのではないかというふうにも考えられる。そういうふうに考えてみますと、もちろん今度の部局の併合や何かは、ただ人員を減らすということから、非常に便宜的に行われたように考えられる。何ゆえにこれを残したか。なくしたり、縮小したりする理由と、残すところの理由が非常に明確を欠くと思うのですが、その点をもう一度はつきりしてもらいたいと思います。
  72. 野田信夫

    ○野田政府委員 ただいまのお話ごもつともでありますが、先ほどから申し上げたように、仕事そのものを減らすのではありませんので、たとえば運輸関係総合計画、その他のものはもちろん現在通りを、今度建設交通局がこれを扱うということにいたします。部内の取扱いとしましては、建設交通局になりましても、交通部門の代表者は、もちろん部内の会議には出まして、從來局長が発言しておつたと同樣な発言をいたさせるというような取扱いで、從來の運用通りにいたして行きたい。ほかのなくなりました部、その他につきましても同じでありまして、企画部、情報部のような重要なものをなくしたという点は、形の上から見るとまさにそうでありますが、安定本部連絡部は非常に人員が多くて、また連絡先が多岐にわたつておりまして、これはどうしても部長をその間に一人置きませんと、官房長が直接それに当ることが事務的に不可能であるという点から、これは部を存続したわけであります。企画部、情報部は、これは官房長自身が直接にこの仕事を見ようという趣旨で部をはずした、こういう趣旨に御了解願いたい。
  73. 高田富之

    ○高田(富)委員 さつきのお答えで大体仕事が他の方に移るのは、電氣通信省へ電氣通信委員会の仕事が移るという程度のようでありますが、そうすると今まで通り安定本部仕事は、さしあたつて人員を減らして、そのまま実行して行くことになるわけですか。それがやれるというお見通しを持つからには、今やつておる人員では相当余つてつて、事実上むだがあるという何か実証がない限りは、十分皆さんがやつておるんだろうと思いますが、仕事自体が他に委讓されず、なくならないのに、人員が減ることになれば、非常に労働も強化されますし、勢い内容的には前よりも劣つた仕事しかやれないことになる。能率も落ちる。安定本部機構はますます低下すると考えられるのであります。その点はいかがですか。
  74. 野田信夫

    ○野田政府委員 ただいまの点は、われわれ事務当局といたしましても、同樣の心配をいたしておるのであります。
  75. 高田富之

    ○高田(富)委員 これはまつたく常識的に私どももそういうふうに考えられるのです。そこで行政機構整理の問題は、官房長官はお見えにならないようですが、総合的に考えて、やはり事務が実際になくなる。たとえば経済官廳なんかでは、統制事務がなくなるとか、どこかへ委讓するとか、そういうところは現実に機構がかわつたり人が減つたりすることは、十分意義があると思います。けれどもただ一律一体に、各省ともみんな平均各階級の官吏について、各部署について、何割々々といつて線を引いてなくするような乱暴なやり方では、多少仕事のなくなるところはそれでいいかもしれないけれども、同じような仕事を今後も一層一生懸命やらねばならない省にとつては、非常に障害を來すことになるのでありまして、これは重大だと思います。やはり安定本部としましては、仕事は大体今まで通りであるし、むしろ非難が相当出ておるので、今後は一層今までの仕事能率を上げるようにわれわれとして希望を申し上げなければならぬところを、一律一体に省ごとに從つて案を立てる。はあそうですかと言つて、あつちにくつつき、こつちにくつつくということでは、まつたくわれわれ寒心にたえないのでありますが、もう少しその点を確信を持つて、十分これでやれるという見通しを立てるためには、仕事自体が整理されるとかなんとか、そういう点が明確にならない限り、この案は非常に基礎のない、禍根を残す案であると私は考えざるを得ないのであります。私見になりますが、そういう点について、この案を出された長官としまして、どういう御決心を持つておられますか。
  76. 青木孝義

    青木國務大臣 いろいろと御心配をいただきましてありがとうございますが、私としてはこの行政整理に協力する。こういう点で、内閣としてはこの際経費を節約するということでありますので、まずともかくも事務全体に支障を來さない範囲で、私どもとしてはこれに協力するという考えで進んでおるのでございまして、いわゆる先ほども申し上げましたように、少数精鋭という考え方をもつて、何とかしてこれだけは埋めて行くという努力をいたしたいと存じておる次第でございます。
  77. 高田富之

    ○高田(富)委員 大体先ほどのお答えで自分たちの心配していることを非常に率直に述べていただきまして、事情はわかつたように思いますが、ついでにこの機会にお伺いしたいことは、それならばむしろ逆に、今まで各部局、各課あたりでは、仕事実情から見て、むしろこの際定員をふやさなければならないくらいのところも、この中にあるのではないかと思います。そうすればこの一律一体は、この中としての一律一体の整理ではなく、多少の重点や何かは考えるべきだと思うのですが、部局の全体を見て、事務当局から定員を増加してくれという要求があつたところはなかつたのですか。
  78. 青木孝義

    青木國務大臣 われわれとしては、ともかくもとりあえず原則であります一般会計三割、現業二割という原則を守りまして、一應こういうことに相なつて参りましたが、なお内部における人員の操作、事務の繁閑に伴う諸情勢は、これから考えて参りたいと存じますし、理にそういう点については、どうしようかということも研究中でございます。
  79. 高田富之

    ○高田(富)委員 大体私の質問はこれで打切りますが、最後に念のためにもう一度つけ加えておきたいことは、今度の行政整理はむしろ定員法の方を先に出すべきものであつて、定員をどれだけに減らすかということが政府の目的であることははつきりしました。それによつて人員を減らし、経費を節約するという建前で來ておる。そうすると各省設置法に基いて、各省の中をいろいろにかえることは、それ自体としての目的ははなはだあいまい模糊としてほとんどない。どういう理由部局を併合し、どうするということそれ自体の積極的な意義、目的はほとんど見当らないのであります。要するに三割、二割を減らすというところから來た部局の併合であります。こういう実際の事務の内容、今後の官廳の重要な仕事の点から出発したものでない機構改革は、きわめて不合理、かつ乱暴なやり方であると考えざるを得ないのであります。特に事務当局でも心配しておられるように、今後事務の低下がこれによつて起るおそれが多分にあるとすれば、この際安定本部の当局としてもさらに十分檢討を加えて、基本的な安定本部仕事を中心にした機構改革という観点からの練り直しが、どうしても必要であると考えます。これを私の意見としてつけ加えまして、質問を終ります。
  80. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 ちよつと、手元とに配られております経済復興委員会に関する事項でありますが、この前の労働省の設置法案のときにも、私は労働大臣にお尋ねしたのですが、この委員会の名簿の中に衆議院議員及び参議院議員が入つております。これは國会法に基きますと、当然衆議院及び参議院の承認を得なければ、委員たることができないことになつておるのでありますが、まだこの承認を求められたことを私どもつておらないのであります。從つてこの委員会は非公式なものであるかどうかということを伺つておきたいと思うのであります。失業対策審議会は今手続中であるということで、この問題については明答を得られなかつたのでありますが、手続中でありますならば、失業対策審議会委員長に衆議院議員がなられ、委員にも五六名なられるようでありますが、これはわれわれとしては当然議院運営委員会に協議され、さらに本会議において承認を求められることだろうと予想しておつたのであります。まだその手続がとられておりません。しかし委員会としては活動をしておる形跡もなきにしもあらずと考えるのであります。從いましてそういう点はいかようになつておるのか。特に経済復興委員会の規定によりまする委員に、衆議院議員、参議院議員五、六名の名前を連ねておるのでありまして、手続をとらないで委員になることが可能であるかどうか。あくまでもこれは私的のものであるかどうかをお伺いしておきたい。私的のものであるとすれば、出して來るはずはないと思うのでありますが、さらに閣議決定でなされたということになりますならば、これは閣議決定事項として当然立法化しなければならない。あるいは承認を求めなければならぬということになろうと思いますが、どういう手続をしておりましようか。
  81. 池田正之輔

    池田委員長代理 淺沼君、この問題は官房長官がいないと……。
  82. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 官房長官がいなくても、自然経済安定本部の規定としてでき上つておるのでありまして、総裁には吉田さんがなり、総務長官は副委員長ということになつておりますから、わからぬことはなかろうと思いますが、いかがでしようか。
  83. 青木孝義

    青木國務大臣 ただいませつかくのお尋ねでありましたから、私の存じておる範囲お答えを申し上げます。大体この経済安定本部設置法の十八ページに、経済復興計画審議会、というものがございます。そこでその目的は、「経済復興に関する諸計画につき、基礎資料の收集整理及び調査審議を行い、復興計画を立案し、総裁に対し、必要な報告及び勧告を行うこと。」とありまして、正式のものと申しますか、実はきわめて効果のある審議会——今まではこれは委員会と申しまして非公式なものになつておりましたが、今度は公式的な審議会ということで構想されておるものであると存じております。これはどういう手続をとりますか、おつしやるような形式になるかどうかということが、おそらく近日のうちに発表に相なることと存じます。
  84. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 これは公的の会議でありますから、そこに政府から非公式の案が参考資料として出されるはずはないのであります。從つて出された以上は、あくまでも公式的なものだと思うのでありまして、公式的なものということになりますれば、あげられておる衆参両院議員は、國会法第三十九條の規定に基いて、当然議院の承諾を得ていなければ委員たることができない。その点についてもう一ぺん明確にお答え願いたい。
  85. 青木孝義

    青木國務大臣 そういうものがお手元に行つておるかどうか存じておりませんが、もし行つておるといたしますれば、これは参考資料として御了承を願いたいと存じます。
  86. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 それは参考資料として私は承つておるのでありまして、参考資料は一つの公文書であると私は考えておるのでありまして、公文書であるということになりますならば、單なる参考ではないと思うのであります。やはり一つの公なるものとして出されておるのでありまして、これを私があえて申し上げますのは、最近になりましてから政府の方におきましては、いろいろな政府の都合において、委員会をつくる傾向が多分にあるから申し上げるのであります。たとえば税制審議会、失業対策審議会その他六委員会ができておりますが、これらのことは政府の都合で設けられて、議員が就任することになつておりながら、いまだに承認を求めて來ておらないのであります。しかも内容は、この経済復興計画委員会は各党を網羅しておりますから、これは非常に公平的だと思うのでありますが、その他の委員会は一方的な與党のみの人によつて構成される、こういう形が現われて來ておるのでありまして、そういう点も私は考慮しながら今質疑をしておるのであります。單なる参考資料といつても、こういう委員会を今まで存置しておつたということになりますれば、あえて違法を経済安定本部はやつておつた、ないしは衆議院に諮るべきものを諮らなかつたという大きな過失が残つておるわけですが、これはいかがなものでしようか。もう一ぺん念のためにお聞きしたい。
  87. 青木孝義

    青木國務大臣 淺沼さんも御承知であろうと思いますが、片山内閣の当時に委員会というものができたので、それを今度は政府として國会法第三十九條に適合するようなものとしたいということであろうかと存じております。さよう御了承願いたいと存じます。
  88. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 あまり追究するのはあれですが、文章の中に昭和二十三年四月三十日と書いてありますから、これは芦田内閣当時のことであろうと思うのであります。しかしこのことはあくまでも非公式なものとしてあつたから、政府の方から衆議院の方に何も意思表示がなかつた。ところがこうやつて出て参りますと、明らかに政府の方はこういうものをつくつたということになつて、しかもその当時の委員がそのまま乘つかつておれば別ですが、佐藤榮作君、千葉三郎君、小坂善太郎君、松本瀧藏君というように新たな委員が加わつております。昔ながらの非公式のものでありますれば問題はないのでありますが、新たに当選された人が出て來るということになれば、明らかに公のものだと私は理解するのでありまして、これを出すときには衆議院の方に諮られて、承認を求めて——政府は多数を持つておるのでありまするから、承認を求められたら何も議論があるわけはないのでありまして、もしも形式論やこういうものがやかましくなければ、政府はかつてなことができるということになりますから、あえて私はそういうことを申し上げるのであります。しかし前提としてこれは参考資料として、あとは審議会に直すということでありますから、委員全体もかわるであろうということを申し上げまして、私の質疑を打ち切つておきます。
  89. 高田富之

    ○高田(富)委員 これは各党を網羅しておると言われましたが、共産党は入つてないようですが、どういうわけですか。ちよつとお伺いしたい。
  90. 青木孝義

    青木國務大臣 これも私は責任のある答弁ができにくいのでありますが、多分これは各党の代表者ということにはなつておらなかつたと存じておるのでございますが、大体学識経驗者ということを中心といたしておりますので、さような意味で……。
  91. 高田富之

    ○高田(富)委員 共産党には学識経驗者がいないということですか、ひとつはつきり御答弁願います。
  92. 青木孝義

    青木國務大臣 ごもつともでございまして、さような考えは毛頭持つておりません。ただ学識経驗者ということを考えて参つたので、あるいはその点でそこへ氣がつかなかつたのか、不幸にして漏れておつたのではないかと存じております。
  93. 高田富之

    ○高田(富)委員 そうすると過失かと思いますけれども、どうしても訂正していただく必要があると思うのですが、この点どうですか。
  94. 青木孝義

    青木國務大臣 その点はいずれ閣議に話が出ましたときに、御希望のところは承つておいて申し述べたいと存じます。
  95. 高田富之

    ○高田(富)委員 これは党へ帰りまして相談をしまして、また公式に意見を申し上げます。
  96. 池田正之輔

    池田(正)委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十八分散会