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1949-05-11 第5回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月十一日(水曜日)     午前十一時閣議  出席委員    委員長 齋藤 隆夫君    理事 青木  正君 理事 池田正之輔君    理事 小川原政信君 理事 吉田吉太郎君    理事 坂本 泰良君 理事 有田 喜一君    理事 木村  榮君 理事 鈴木 幹雄君       江花  靜君    尾関 義一君       佐藤 榮作君    丹羽 彪吉君       根本龍太郎君    山本 久雄君       徳田 球一君    小林 信一君  出席國務大臣         國 務 大 臣 殖田 俊吉君         逓 信 大 臣 小澤佐重喜君         國 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         内閣官房長官  増田甲子七君         内閣官房次長  郡  祐一君         経済安定本部副         長官      野田 信夫君         総理廳事務官         (情報部長)         (行政管理廳管         理部第一課長) 佐藤  功君         総理廳事務官         (官房審議室) 石塚 久司君         法務廳事務官  岡咲 恕一君         外務政務次官  近藤 鶴代君         外務事務官   與謝野 秀君         運輸事務官         (海上保安廳長         官)      大久保武雄君  委員外出席者        経済安定委員長 小野瀬忠兵衞君         議     員 小金 義照君         衆議院法制局長 入江 俊郎君         衆議院法制局参         事       三浦 義男君         專  門  員 亀卦川 浩君         專  門  員 小関 紹夫君 五月十一日  委員鈴木義雄君辞任につき、その補欠として成  田知巳君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十日  総理府設置法制定等に伴う関係法令整理等  に関する法律案内閣提出第一九二号)  運輸省設置法案一部修正に関する請願圓谷光  衞君紹介)(第一四五八号)  恩給受給権の回復に関する請願松本七郎君紹  介)(第一四七五号)  恩給法臨時特例改正に関する請願淺沼稻次  郎君外二名紹介)(第一四七六号)  同(廣川弘禪君紹介)(第一四八四号)  食糧管理事務所存置請願天野公義紹介)  (第一四八五号)  道路運送監理事務所存続請願戸叶里子君紹  介)(第一四八八号)  同外一件(前田種男紹介)(第一四八九号)  神戸海洋氣象台縮小反対請願立花敏男君外  一名紹介)(第一四九〇号)  神戸市に通商産業省支局設置請願立花敏  男君外一名紹介)(第一四九八号)  恩給法臨時特例改正に関する請願花村四郎  君外一名紹介)(第一五一二号)  埼玉縣下氣象官署機構改革反対に関する請願  (大泉寛三君外八名紹介)(第一五一四号)  筑波山測候所職員整理反対請願外一件(原彪  君紹介)(第一五一六号)  糸魚川機関存置請願上村進君外二名紹  介)(第一五二二号)  神戸海洋氣象台縮小反対請願立花敏男君外  一名紹介)(第一五二三号)  佐賀縣通商産業省支局設置請願三池信  君外一名紹介)(第一五二九号)  道路運送監理事務所存続請願高倉定助君紹  介)(第一五三九号)  帶廣市に札幌地方陸運局支局設置請願高倉  定助君紹介)(第一五四二号)  恩給法臨時特例改正に関する請願岡村利右  衞門紹介)(第一五四三号) の審査を本委員会に付託された。 同月九日  福井敦賀測候所存置陳情書  (第三二一号)  商工局出張所存置陳情書外一件  (第三二  二号)  中央出先機関廃止陳情書外一件  (第三二三号)  資材調整事務所存置陳情書  (第三二四号)  中央出先機関廃止陳情書  (第三三六号)  中小企業廳存置陳情書  (第三三九号)  行政整理に関する陳情書  (第三四〇号)  都道縣衞生部存置陳情書外一件  (第三四四号)  行政整理に関する陳情書  (第三五四号)  公衆衞生局等存置に関する陳情書  (第三五九号)  通商産業局及び各縣支局設置陳情書  (第三六一  号) 同月十日  中央出先機関廃止陳情書  (第三六五号)  宗教官廳存置陳情書  (第三七〇号)  中央出先機関廃止陳情書  (第三七四号)  道路運送監理事務所存置陳情書  (第三九三号)  通商産業省新設に伴う軽金属部門設置陳情書  (第三九四号)  厚生省藥務局存置陳情書  (第三九五号)  都道縣衞生部存置陳情書  (第四〇五号)  道路運送監理事務所存置陳情書外九件  (第四一二号)  福井敦賀測候所存置陳情書  (第四一三号)  都道縣衞生部存置陳情書  (第四二〇号)  道路運送監理事務所存置陳情書外十件  (第四四二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  内閣法の一部を改正する法律案内閣提出第四  六号)  総理府設置法案内閣提出第四七号)  國立世論調査所設置法案内閣提出第四八号)  外務省設置法案内閣提出第五〇号)  法務廳設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第五二号)  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第五四号)  電氣通信省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五五号)  経済安定本部設置法案内閣提出第八四号)  海上保安廳法及び海難審判法の一部を改正する  法律案内閣提出第一一〇号)  経済調査廳法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七五号)  総理府設置法制定等に伴う関係法令整理等  に関する法律案内閣提出第一九二号)     ―――――――――――――
  2. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前に一つ御報告いたしておきたいことがあります。関係方面との交渉につきまして関係方面からこのほど指示がありましたので、その談話の要点を次に朗読させますからお聞取りを願います。     〔書記朗読〕   國会議案提出される場合は、政府案及び議員案についてあらかじめ関係方面承認を受けているが、その後各院の審議中に國会側から関係方面意見を徴したい場合、時によつてGHQの各部局の方から委員長または議員会つて意見を述べたい場合が起り得る。   かかる必要が起つたときは、今後は國会議案審議自主性を確保し、外部よりの拘束を排除するために、GHQの各部局において、意見の申入れをしたい場合はGSを通じて法制局長の出頭を求めてその部局から説明し、法制局長法制的立場から意見があればその意見を十分に述べ、法制局としての意見をまとめるなり、その部局意見と合致しない場合は委員会に双方の意見を報告するようにして、議員はこれらの意見参考にして委員会独自の観点から決定すること。   從つて今後GHQの各部局から委員長議員に直接面接を申し込まれても、すぐにこれに應ずることなく、法制局長に話してもらうようにし、GSを通じて出頭せよと言わない限り行かないようにしてほしい。   その連絡はGS渉外課とが当る。これは法制局として非常な重荷となるが、國会保護のためによいことであると思う。   國会側の方から各部局意見を徴したければ、委員長議員より面接を申し込む場合でも、個人的の用件で面接を希望する場合でも、渉外課を通じてGSに連絡すれば從來通り取次をする。   これを要するに、GHQ側から法案に対し意見のある場合の國会との接触は、法制局を通じてすることにし、法制局長は純法制的独自の立場から委員会意見を報告し、委員質疑等にも答え、すべて記録にこれを残し、委員会はその権能に從つて独自に決定することのできるようにいたしたい。   この場合注意すべきことは、法制局はどこまでも法律的の立場から意見を立てるべきで、政治的及び政策的の面にはタツチすべきものではないことは当然のことである。從つて各党派から提出されるであろう各種の修正案については、法制局法律的にこれを檢討することはあるが、政策に関與しないから、成文化したものについては、從來通関係方面承認を経て正式に委員会等に付せられるべきである。その間成文化する前にGHQと折衝する必要が生ずれば、從來通GSを通じてもらいたい。   以上國会尊重國会自主立場から必要と信ずるので、その旨各委員長及び議院運営委員長によく報告するように希望する。
  3. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それではこれから本日の日程につきまして、見えられております政府委員の方々に対しまして、質疑に入ることになつておりますが、その前に議事進行について木村君の発言があります。
  4. 木村榮

    木村(榮)委員 私は本委員会が今後運営されますいろいろな問題について発言をいたしたいと思います。と申しますのは、会期もあとわずかになつて來まして、しかも本委員会が持つておりますところの議案は非常に厖大なものでございます。しかもその上本日また突如としてたくさんの政府修正案も出たような現状でございまして、從つて委員会が持つております今度の國会における任務はきわめて重大だと考えます。そこで会期が切迫した関係上、委員会審議の場合にも相当能率を上げてやらなければならないことはむろんでございますが、聞くところによれば、政府の方の方針か、それとも與党の方の方針かは存じませんが、天皇が九州の方へ十七日から行幸になるといつたふうな関係で、今度の会期は延長などということは考えなくて、とにかく超スピードにやろう、こういつたふうなことらしゆうございますが、その点はその点として、このようなたくさんな重要な法案をかかえました本委員会が、この議案審議いたしますにあたつて私が申し上げたい点は、特に本委員会委員長であらせられる齋藤さんは、かつては戰爭の間軍の横暴にも屈服することなく、日本憲政常道を守られて、少くともこの國会の中においてそういつた意味においては最も元老的な存在の委員長だと思う。この委員長のもとにおいてわれわれが重要な議案審議いたしますことは、まことに光栄に存じておるわけであります。ところがこの委員会でもし会期切迫云々でそういつた憲政常道を逸脱したような方法で強行的に、審議が一方的に進められることがあるならば、私たちはきわめて遺憾に存ずる次第であります。そこで賢明な委員長はむろんそのようなことはないと私は予想いたしますが、この際特にさつき申し上げましたような会期の点やいろいろな点がございます。しかもこのような厖大な重要な法案をかかえ、また今度の行政機構改革あるいは内閣委員会が最も檢討しなければならない定員法はまだまわつて來ないといつたふうな現状において、あとわずかの期間においてやらなければならないこの重大なときにあたつて、繰返して申し上げますが、もし万一一方的に民主主義的方法でなしに審議が進められることがあるならば、この民主的な國会においてきわめて遺憾な状況だと思いますので、この点を委員長においてはよく御考慮の上、われわれが期待いたしますような取扱いをやつていただきたい、このことを希望いたします。
  5. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 委員長意見を求められましたから一言申し上げます。何か聞くところによれば、天皇陛下九州に御旅行になるということで、九州の出身の代護士が大分帰るので、それまでにすべての議案審査を終了してもらいたいというような考えがあるということも聞きましたが、正式には聞いておりません。しかしそれはこの委員会には関係ないことだろうと思います。天皇陛下が御旅行になるということはそれは國会には関係ありません。それからただいま政治の方で会期が切迫するまぎわにたくさんの重要法案を出して來て、そうしてすぐそれを審議してくれということは、それは議会審議権に対する考えからして、議会議会として独自の見地に立つて十分に審議権を行使する、政府の強行に無條件に沿うべきものでないと考えます。だから委員会委員会としての独自の立場から、十分に御審議あらんことを私は希望します。  本日の日程につきまして政府委員が参られておられますから、順次質疑に入りたいと思いますがだれかありますか。
  6. 小川原政信

    小川原委員 外務に対して質問がございます。今般通商産業省新設に伴いまして、外務省通商産業省関係については、先日本委員会外務委員会合同審査の際にも二、三質問があり、外務大臣及び外務省政府委員説明により、大体は了承いたした次第であります。ただ一両日前に新聞の報ずるところによりますと、米國政府極東委員会に対し、今後國際会議への代表の派遣及び通商協定締結に関し、日本政府にその権限を付與するよう要請したとのことでありますが、右の通商協定締結関連し、一つお聞きいたしたいと思うのであります。  次にお尋ねいたしたいことは外務省設置法第四條第十五号に「條約その他の國際約束締結し、解釈し及び実施し」云々とあり、また第十六号には「通商航海に関する利益を保護し、及び増進するために外國官憲との交渉商取引のあつ旋等を行うこと。」とあります。他方通商産業省設置法案第四條の第十五号に「通商に関する協定その他の取極を行うこと。」とあり、両者重複しておるように見えるが、その点は今後どのように運営して行くのか御説明を承りたいと思うのであります。以上二点でございます。
  7. 近藤鶴代

    近藤(鶴)政府委員 ただいまの小川原委員の御質問に対してお答え申し上げます。まず原則を申し上げますと、條約その他の國際約束締結外務省設置法案規定されております通り外務省本來の任務であり、通商航海條約を初め各國との通商協定その他のとりきめを行うことも当然その中に含まれております、次に現段階におきましての外務省通商産業省との関係については、通商産業省設置法第四條第十五号の規定は、現在通商貿易行政占領軍管理下において行われ、貿易対外面司令部によつてつかさどられる建前である間は、通商産業省が暫定的にその衝に当るという趣旨に解している次第でございます。しかしその場合と申しましても、通商上のとりきめのごときものは、日本將來対外関係に多かれ少なかれ影響を及ぼす次第でございますから、通産省から外務省の方へ協議を求むべきは当然でありまして、協定ないしとりきめの性質いかんによりましては、外務大臣がこれに関與する場合もしばしばあることと存じます。第三の場合は、日本対外主権が回復した場合であります。すなわち外交再開のあかつきのことでございますが、この場合外務省がその衝に当るべきはもちろんでございます。またただいまの御質問中に引用されました新聞報道のごとく、講和條約前においても暫定措置としてこれらの事務日本政府に移管されるような情勢に立ち至りましたならば、その移管の程度にもよることではございますが、外務省がその衝に当るようになることと考えております。     —————————————
  8. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 次に昨日付託になりました総理府設置法制定等に伴う関係法令整理等に関する法律案について政府提案理由説明を求めます。     —————————————
  9. 増田甲子七

    ○増田政府委員 政府はさきに総理府設置法案提出いたし、目下熱心に御審議を願つておりますが、この設置法案関連しまして、関係法令字句変更削除等整理をする必要が生じましたので、本案を提出した次第であります。  次に簡單にその要点を申し上げますれば、その第一は字句変更であります。すなわち「総理廳」を「総理府」、「宮内府」を「宮内廳」に改める等名称変更する必要を生じたものについては、それぞれ関係法令を拾い集めまして、これを改めることにしたのであります。  第二には、宮内府についてでありますが、宮内府法につきましては宮内廳法名称を改めるとともに、各省設置法規定の樣式に從い本法整理してそれぞれ必要な改正行つたのであります。  最後に、新聞出版用紙割当事務廳でありますが、これは総理廳の外局からはずして総理府内部部局としましたために、名称新聞出版用紙割当局と改めましたほか、それに伴う所要の改正規定いたしました。  以上が本法を立案するに際し考慮いたしましたおもなる点であります。何とぞ御審議の上、すみやかに可決されんことを希望いたします。     —————————————
  10. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 速記をとめて。
  11. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 速記を始めてください。  この際入江衆議院法制局長より発言を求められておりますから、これを許します。
  12. 入江俊郎

    入江法制局長 当委員会で御審議中の大藏省設置法案に関しまして、最近関係方面から私を通じまして、一つ修正参考意見が示されましたので、これをお傳えしておきたいと思います。もちろんこれは関係方面参考意見として示すのであつて、それをとる、とらないは國会において自主的に判断をしてもらいたいということでありましたけれども、一應お傳えしておきたいと思うのであります。  大藏省設置法の第一点でありますが、今回の大藏省設置法によりますと、公認会計士試驗大藏省で直接やるようになりまして、從來会計士関係委員会においてやつてつたその試驗権限を剥奪して、大藏省自身でやることになつております。これについては、いろいろ行政整理そのほかの関係理由もあるそうでありますけれども、ただいまの参考意見といたしましては、やはり公認会計士試驗は、公認会計士審査会で自主的にこれをやつて行くことによつて、初めて適正を得るのであつて大藏省の方でやるということでは世界各國、特にアメリカあたり会計士制度とにらみ合せて見ましても、適当でない、せつかくこの公認会計士試驗公認会計士に関する委員会でやるようになつてつた現在の制度を直して、大藏省設置法の中に、公認会計士試驗権限を入れたことは、公認会計士制度からいつて、むしろ退歩のように思えるから、この点は研究してもらいたい。結局法律としては、大藏省設置法案の第四條の四十号に公認会計士試驗大藏省権限にしておる点と、それから大藏省設置法施行等に伴う法令整理に関する法律案の第十五條に、やはり公認会計士試驗委員大藏省に置く制度になつておる。それらの点と関連しております。なおまた同じ三十五條に、公認会計士審査会というものの設置がありまして、これによつて從來公認会計士制度改正されておりますので、やはりこれとも関連ある事項かと思います。これが一つの問題。  もう一つ大藏省設置法賠償廳設置法との関連であります。現在の政府提出の案におきましては、外國人の財産に関する権限が、大部分大藏省権限になつておりまして、若干の部分賠償廳権限としております。これに対して、ただいまの関係方面参考意見といたしましては、全部これを賠償廳に移してしまつて、一元的にこれを行うことが穏当であるように思う、しかしながら、地方において行う事務は、やはり從來通大藏省関係財務局等において行わせることが穏当であろうから、さしあたりのところは、地方的事務財務局で行うことにして、中央関係権限だけは一切賠償廳に移すことが穏当であろうと思う、これらについては事務的には関係事務当局意見も一致したように思うということを言われておりました。これにつきまして、私いろいろ國内の各機関に聞いてみましたところが、必ずしも國内における機関はそこまで意見が一致していないようで、関係方面考えておるようにはなつていないようにも思うのであります。この点も法制的にはいずれとも可能でありますけれども、これを行政の運用の面から見て、この際いずれをとるべきかということが大きな問題かと思うので、これにつきましては、ただいまの修正参考意見参考として、当委員会において御審議を願いたいと存じます。私はもつぱら法制的立場から説明を申し上げたのでありますが、一應これだけ申し上げて参考に供したいと思います。
  13. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは質疑に移ります。木村君。
  14. 木村榮

    木村(榮)委員 外務省の方がお出でになりましたから、外務省設置法案について二、三お尋ねしたいと思います。  大体外務省設置法案の全般的なものを見ますと、非常に前後しておるわけです。そこで大体現在の日本外務省任務については、私たち三つぐらいの段階にわけて考えなければならぬと思う。と申しますのは、現在占領下にある関係上、占領下において外務省の果すべき役割、こういうものが第一の問題であります。それからいつまでもただそのようなことをやつてつたのではたまつたものではありませんから、講和会議を早く開催してもらう。この講和会議に対しての一つの根本的な任務といいましようか、いろいろな具体的な問題、こういうものを事務的にも、または日常のいろいろな問題も処理しなければならない。こういう点の機構、それからそれが終つて、いよいよ日本独立國家としての本來の外務省任務、いわゆる國際外交舞台において立つて行けますような機構、この三つのものを大体主眼点として考えますと、各省設置法案などというものは、しよつちゆうかえて、あまり時間がたたないのにまた機構をかえたとか、やれいじくつたということでは、國の行政上からもあまりおもしろくないと思います。大体そういう三つの見方から根本的な方針を立てて、外務省設置法案は組立てられなければならないと思うのですが、この法案はそういう点をお考えになつてこしらえれておるのか。そういうことになつておるならば、その大筋の点が機構の上にどのように現われておるか、ということについて簡單に御説明願いたいと思います。
  15. 與謝野秀

    與謝野政府委員 お答えいたします。先般内閣外務合同委員会がございましたときに、外務大臣からお話がございました通り外務省機構全体が、講和條約の準備ということを大きな任務として組立てられておるわけであります。それにただいまのお話のように、現在占領下における外務省が果すべき任務、また講和会議に対する準備外交再開後の外務省任務、これを織り込んでありまして、ただいま御指摘になりましたようなちよいちよい機構をかえるとか、これをいじくるとか、また法案をあらためて出すとかいうことのないように考えて立案をされております。もとより外交再開の後において一層外務省任務が拡大いたしますときには、また機構改革等もあろうかと思いますが、今日の場合においてはその点も考慮いたしまして、設置法のいろいろの規定が設けられておる次第であります。從つて現在の占領下における外務省任務だけを規定したものでなく、將來のことも織り込んでありますため、多少御疑問の点も出て來るかと思うのでありますが、ただいま御指摘になりました三つ段階三つ任務というものを全般考慮して、この設置法ができ上つておるものと御了解を願いたいのであります。
  16. 木村榮

    木村(榮)委員 非常に抽象的で、この法案自体についての御説明にはならないと思うのでありますが、この上言つてみても、その程度説明しかできないと思いますのでやめます。たとえば第四條の十六項目に関する点、こういつたことは今度できます通商産業省、あすこの中にも相当こういうことの関連事項がたくさんございます。すなわち外國官憲との交渉商取引のあつせんというような文字で表現されておりますが、実際問題として通産省の方との関係でどのような調整がとられるわけですか。
  17. 與謝野秀

    與謝野政府委員 先ほど小川原委員の御質問によつて近藤政務次官から御説明申し上げたのでありますが、つまり占領下におきましては、通商産業省外務省任務のわかれと申しますか、分担が、外交の再開されました場合と多少異なるところがあるのはいたしかたがないところでございまして、この間の調整につきましては、政府において十分考慮しておるのでありますが、実際は通商産業省が今後発足いたしまして、外務省と密接な連絡を保つて運営されて行く、こう考えておるのでありまして、たとえば御指摘になりました第四條の十六項目、通商航海に関する利益及び外國官憲との交渉、こういう項目は將來外交再開の場合に備えてもこのままで運営されるように規定されておるのでありますが、現在の占領下における場合の外交関係というような点では、通商産業省がその衝に当たる場合も多かろうと思うのでありまして、先ほどこの点について政務次官から御説明を申し上げた通りであります。
  18. 木村榮

    木村(榮)委員 そうすると、ここに書いてあることは現在できないけれども、將來講和会議後においてやるということがたくさん含まれておる、いろいろのことがあと先に錯綜しておる。さように解釈してよろしゆうございますか。
  19. 與謝野秀

    與謝野政府委員 つまり外交再開後において行われることも、この中に織り込んであるのでありまして、現在任務が停止しておるものもあるわけであります。
  20. 木村榮

    木村(榮)委員 そうすると、たくさん書いてあるけれども、これはできないということになれば、たとえソビエト同盟に対して引揚げの問題、在留邦人の問題、その他いろいろ交渉しなければならない事項、そういうことはここに書いてあるこの條文ではまだできないわけなんですか。強力にいろいろな交渉をしてどんどんやるということは、せつかく設置法案外務省ができてもできない、こういうわけなのでありますか。
  21. 與謝野秀

    與謝野政府委員 御承知の通り、現在は日本の正式外交関係というものが断たれておるのでありまして、政府が外國と直接交渉するということは行われておらぬわけでありまして、すべて総司令部のあつせんによつて、外國と交渉するということになつになるわけであります。從つて今御指摘になりましたようなことも、外務省が直接外國と交渉するという事態には今日至つていない。こう御了解を願います。
  22. 木村榮

    木村(榮)委員 そうすると吉田総理大臣がおいでにならないと質問するわけに行かないが、事務上の問題でありますが、朝日新聞を見ますと、講和條約後もアメリカの軍隊が日本におつてもらうことを希望するといつたふうな談話を、外國新聞記者に吉田総理大臣がお話なつたということをロイター電で報道していますが、そういつたお話があるからには、事務当局の方などでも何か御交渉なり、あるいはそういつた見通しがあるか、そういつたふうなことを御檢討になつておるのですか。またそういつたことが、もし檢討され、あるいは、交渉されるならば、そういつたことができるという何か便法があるのですか。
  23. 與謝野秀

    與謝野政府委員 ただいま御指摘になりました総理の談話につきましては、先ほども外務委員会で御質問もあつたのであります。これに関連してそういう交渉外務当局としてできるのかどうかというお話につきましては、さらに講和会議及び講和会議後の事態に備えて、外務省はいろいろな準備はいたしているのでありますが、そういうことを交渉するということは、今日「交渉」という言葉は当てはまらない、こう御了解願いたいと思います。
  24. 木村榮

    木村(榮)委員 そういつたことはもちろんそうでございましようが、ソ同盟との引揚げの問題ですが、このことは今の問題と違つて、これは現にわれわれの同胞が向うにおるわけなんです。詳細な人数の点はかりにはつきりいたさぬとしても、おることには絶対間違いない。この引揚げの問題は、対日理事会においても、極東委員会においても、方針はきまつておる。そこでわれわれといたしましては、いかに占領下にあるとはいえ、いわゆる総司令部の方の手を通して、いろいろな方法があるだろうが、これはただ單に受入れ態勢はできた、やれソ同盟がサボつておるとかおらぬとか、そういつたことをごたごた言つているのではなしに、これは私はソ同盟にも責任がある。しかしながら連合國側にも責任がある。ともにあると思う。帰つて來ないのは、何もソ同盟だけの責任でもなければ、日本だけの責任でもない。これを大きく簡單に言えば、連合國の責任だと思う。連合國の管理下にあつて、ポツダム宣言を受諾して降服した以上は、連合國側に絶対に責任があると思う。そういつたことに対しては、外務省としてはいろいろな連絡調整のことをやるわけですから、強力に交渉すべきで、交渉したがその結果不調に終つたか終らなかつたか、こういつたことこそ日本國民に対して大胆率直に公表すべきだと思うのですが、そういつたことは今の機構では絶対にできないか。あるいは何らかの方法においてやればできるか。今の外交関係、あるいは外務省機構、その他それに関連した占領下のいろいろな外交上の問題で、そういつたことができるかできないか。事務関係の方がおいでになるから、そういつたことがわかると思いますので、絶対にできないということになれば、われわれとしても考えなければならぬ。また何かの方法においてこれはできるということになれば、やらなければならぬと思うのですが、その点はどうでございましようか。
  25. 與謝野秀

    與謝野政府委員 引揚げの問題につきましては、國会にも特別の委員会が設けられておりまして、政府といたしましても熱心に希望貫徹に努めておるのでありますが、これが一体強力な交渉ができないのかと言われますと、政府といたしましては、あらゆる手を盡して好意あるあつせんを懇請するということを今日まで続けて参つたのでありまして、今後もこの懇請を続けます。いろいろな手段は盡すのでありますが、ただいまの御説のような一種の外交交渉のような形でこれを行うということは、現在の事態ではできないことと思うのであります。またこの責任がどこにあるかということにつきましては、やはりいろいろ異なつ意見もあることと思いまして、事務当局といたしましては発言を差控えたいと存じます。
  26. 木村榮

    木村(榮)委員 私がそのことを尋ねますのは、別に他意はないのです。と申しますのは、少くとも外務省というのは、日本政府として、外務大臣を置き、機構を整備し、そして行政官廳としていろいろなことをやるわけなんです。ところがこしらえてみて相当経費も使う。大臣もおれば、たくさんな外交上の経驗のある方もおいでになる。こういつた機構をこしらえて、そのくらいな交渉もできないようなものを今こしらえたつて、経費ばかりかかつて、何も役に立たぬ。もしかような弱体きわまるもので、あつてもなくてもいい、ただ紙の上だけでこしらえておくというのならば、これは占領下における外務省機構を再檢討して、状況に應じたものをとりあえずこしらえておいて、講和会議が終つた上で、ほんとうの意味の外務省として発足すべきだという見解を持つております。外務省外務大臣などといつてもまことにもつて役に立たぬ。ちよつとこしらえておくだけだということになつて、今私が御質問申し上げたようなことさえも、よう交渉ができぬといつたふうなものなら、これはまことにもつて情ない状況だと思うのです。そういつたふうな観点から私は質問したわけでして、決してほかに他意はない。このようなものだということになれば、この法案自体を再檢討しなければならぬ、かように私は考える。当分見込みはありませんか。
  27. 與謝野秀

    與謝野政府委員 交渉という言葉を用いられますので、そういうお答えをいたしたわけでありまして、現在の外務省の管理局という一局は、ほとんどその主たる仕事は引揚げ促進のために全員が働いておる。こういう状況でありまして、あるいは引揚げの促進を懇請する。また帰還邦人に関連するいろいろな問題を処理するというようなことにおいて、決して仕事がないわけではない。ただいわゆる世界で通用する外交交渉というものを行う地位にはない、こういうことを申し上げたのであります。
  28. 木村榮

    木村(榮)委員 外務省に対する質問はこのくらいできようはやめますが、小澤大臣が來られましたから、御説明があるならば、敬意を表してそれを先に聞いて、あとまだたくさんございますから、簡單にほかの方の関係質問いたしたいと思います。これで質問を打切つたわけでなく、もし御説明があるならば、私の質問はちよつと中断いたしまして、それを聞くにやぶさかでない、こういうわけであります。
  29. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 委員長外務省政府委員はもうお帰りになりますか。お帰りになるなら、ちよつと簡單に一言だけお伺いしたいと思います。
  30. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 有田喜一君。
  31. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 先ほど近藤政務次官の御説明によりますと、外務省権限の第四條の第十五あるいは第十六につきましては、占領下の間は通産省がそれを行うが、外務省は居眠りだというようにも聞えた。そうするとやはり法律の方では、両省が相衝突することになると考えるのですが、その間の処置をどうなさるか。あるいは両省の協定というようなことでやられるのか、あるいは通産省の法文はここに持つておりませんのでよくわかりませんが、通産省の方に臨時的のようなことが書いてあるのか。そこをひとつはつきりとお伺いいたしたい。
  32. 與謝野秀

    與謝野政府委員 お答え申し上げます。先ほど政務次官から御説明申し上げました通り、現在占領軍管理下にあります間は、通商産業省がもつぱら貿易対外面の衝に当るということになるのでありますが、通商上の問題は單に貿易と申しましても、対外関係というものと密接な関係を持つ場合が多いのでありまして、過去において外務省通商局というものがございました際にも、商工省その他関係の各省と密接な連絡をとつて行われていたのであります。今後もその衝に当るのは通商産業省でありますが、対外関係という面から外務省と密接な連絡をとつて行くということに御了解願いたいと思うのであります。
  33. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 大体実際は通産省がやるのだが、外務省対外関係が眠つておるといつても多少の関係があるので、共管として一應形の上ではやる、こう解釈してよろしいのでありますか。
  34. 與謝野秀

    與謝野政府委員 共管という言葉は当らないかと思います。通産省占領下においては貿易その他の対外折衝の面に直接当るのであります。事前に外務省と密接な協力を保つて行く、こういうふうに御了解を願いたいのであります。
  35. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 どうも御説明ではつきりいたさないのでありますが、四條の十六号は完全に眠つておるということに解するのですか。
  36. 與謝野秀

    與謝野政府委員 先ほど政務次官の弁答中にもございましたように、占領下において講和條締結前においても、経済協定その他の暫定協定が外國と結べるというような事態が参らないとは限らないのでありまして、そういう場合においては、外務省も当然通商産業省と密接な連絡を保ちながらその衝産に当るという事態も出て参るかと思いますが、現在の事態においては通産省がその衝に当る。從いましてこの第四條の第十六号にあります規定は全然眠つておるとは申されないのでありまして、將來通商航海再開のための準備、その他資料の收集等は現在でもこれは行つておるのでありますが、主たる事務はしばらく外務省に関する限り停止しておる。こう御了解願いたいのであります。
  37. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 もちろん今日は占領下において通商航海に関する利益を保護したり増進するために、正式の外交関係交渉ということはできないと思いますが、外務省任務というものは、交渉とかなんとかそういう表向きの言葉は使わないにいたしましても、いわゆる懇請とかいうような外務省任務は今日でも相当あると思います。今私の感じますのは、どうも外務省はアメリカ中心の外交になり過ぎておりはせぬか、イギリスその他世界各國に対するいろいろな外交準備といいますか、用意は怠りなくやる必要があると思います。ことに貿易を進める上におきましては、ポンド地区との関係は相当密接になつて行かなければらぬと思う。もちろん外務省におかれましても、さような方面の御用意はなさつておるとは思いますけれども、そういう方面に対しても一層の御努力をなさる必要がある。つきましては外務省の政務局というものがございます。この外務省設置法についてながめますと、眠つておる部分があるが、しかし將來に対する備えとして相当大事なように考える。この間もある方面から相当意見が出まして、第五條の政務局が單なる政治だけの問題でなく、経済事項が相当多いから政治経済局と直したらどうか、こういう意見が各所にある。外務省としましては政治経済局というものに名前をかえることに対しまして、大体御同意あつてもしかるべきと思いますが、何か非常にお困りになるようことはないか、その点を伺いたいと思います。
  38. 與謝野秀

    與謝野政府委員 外務省設置法案にございます政務局という名前が、内容と比較して政治経済局と改めた方がふさわしいではないかという御意見があり、外務委員会からもそういう意見がこちらの委員会にまわつておるということを承知いたしておるのであります。從來から外務省の官制におきましては、「外國ニ関スル政務ノ施行」というような言葉が使つてありまして、この政務という言葉は政治、経済、文化その他各般にわたる事務を含んでいたのであります。また今回の設置法における政務局の分担事務も経済、文化その他日本の管理関係の研究といつたような、現在占領下にありますために必要となつて來る、いろいろな事務も含んでおるのでありまして、外務省としては原案通り政務局といたしておくことを希望するのであります。別段ただいまおつしやいましたように、政治経済局にしたら特別な不都合があるということはないのでございます。そう御了解願います。
  39. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは休憩して午後一時から再開いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時五十八分開議
  40. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは午前に引続きまして会議を開きます。今閣議中でございまして、大臣は遅れるかもしれませんが、商工委員からの修正意見があるようでありますから、その説明を聞くことにいたします。それでは小金義照君から説明を願います。
  41. 小金義照

    ○小金義照君 通商産業省設置法案をこの間内閣委員会と商工委員会と合同の審査をいたしました際に、いろいろ研究して御質問申し上げたのであります。そうすると、政府当局においてもその意見はきわめてもつともなことであるから、もし國会修正するならば、政府はこれを受入れるということを言明されたのであります。そこで昨日商工委員会において、さらに通商産業省設置法案について意見をまとめまして、お手元にただいま配付いたしましたような修正案ができ上つたのであります。この修正案について私から御説明を申し上げて御賛成を得たいと存ずるのであります。  まず第一に通商産業省設置法案の第十三條についでありますが、第十三條第一項に関してその第五号を第六号とし、第五号として次の一号を加える。すなわち第五号として「五 自轉車競爭の施行に関すること。」これは自轉車の競技に関する法律がありまして、その所管が商工大臣のもとに属しておるのであります。ところがこれが落ちております。落ちておつて法律を読めば大体商工大臣になることはわかるのでありますが、これだけの法律の運用に関する事項を落しておくことは、いかにも手落ちであるということは政府も認めております。そこでこれをここに第五号として附加していただきたいのであります。これは自轉車競走を行う主体が主務大臣の指定する市でありますが、さらに町村も場合によつては自轉車競走を行う主体となることができる。すなわち、今まで指定市であつたのが指定市町村となるのでありますから、特にこれは日本の全般的な問題にわたりますので、これを入れていただきたいというのであります。  それから第十三條第一項第一号に、いろいろな機械器具が列挙されております。その中に「産業機械器具」という事項があります。ところがこれは從來農水産機械器具まで含めておつたのでありますが、西洋の思想だとか、言葉だとかいうものがいろいろ入つて來ております。そうしますとこの際、「産業機械器具」と並べて「農水産機械器具」というふうに明らかに明示した方がよろしい。「農水産機械器具」と改めた場合においては、農林省との関係が特に現われるように思われるのでありますけれども、農林省設置法の中には他の省の所管に属しない農機具というふうに明らかにいたしております。また通商産業省設置法の第十三條の第一項を見ましても「農林省が生産を所掌する」云々というものがありますので、両省の間にもし疑義があれば、これは両省の大臣なり行政長官なりがはつきり規正すべき問題でありまして、法律としてはこういうふうに列挙するのが進歩的であるというので、ここに掲げたいと思います。  次に同條の第二項中「第五号」を「第六号」に、第三項中「第五号」を「第六号」にというように直しまして、もう一つここに加えたい品物があります。それはばねであります。從來陸用内燃機関その他の車輛等に使われるばねは、一應部品として含まれておるというような観念であつたのでありますが、最近ばねはばね專門の業者も相当ありまして、ばねがいかなる行政官廳の所管に属するかいろいろ疑義がないでもないので、今日の日本の工業の実情から申しまして、ばねという品物をはつきり掲げた方がよろしいという情勢にありますので、このばねを加えていただきたい。  次に第二十條、第一項中また修正を要する箇所がある。これは單なる立法技術上の問題にとどまるようでありますが、実質は相当大きな問題でありまして、第二十條は試藥檢査所の規定であります。第二十條を見ますと「試藥檢査所は、通商産業省がその生産を所掌する試藥の檢査を行う機関とする。」これによりますと、通商産業省がその生産を所掌する試藥のみの檢査を行うのでありまして、他の省の所掌するところの試藥については一切檢査が行えない。たとえば寒天だとかしようのうだとか没食子酸というようなものは、この設置法から見ますと、商工省すなわち通商産業省の所掌でない品物でありますが、これらのものについても、試藥檢査所に國民が持ち込んだときに、これは官制上檢査ができないのだということでは非常に困ります。これはむしろ國民大衆の輿望に應ずるものでありますから、「通商産業省がその生産を所掌する」という文字を削つて、廣く門戸を開放してもらいたいのであります。これもきわめて政府は妥当な意見であるということを認めて修正に全部應ずるということであります。  その次が第二十五條、第一項の表の問題であります。これは靜岡縣が名古屋通商産業局の管轄区域の中に入つておりますが、靜岡縣縣民の輿望といたしましては、交通その他の関係から、むしろ東京通商産業局の管轄区域に入りたいという希望を強く持つておるのであります。從いましてこれも縣民の輿望なり希望なりをいれまして、靜岡縣を東京通商産業局の管轄区域の中に織り込む。そうして名古屋通商産業局の管轄からはずすということに願いたいのであります。  それから第三十二條の問題でありますが、これは資源廳の内部部局に関するものであります。「資源廳に、長官官房及び國家行政組織法第七條第二項の規定にかかわらず左の五局を置く。」ということになりまして、石炭管理局、石炭生産局、鉱山局、鉱山保安局、及び電力局ということになつております。第二項に、「石炭生産局に開発部を置く。」ということになつてつて、開発部が石炭生産局に置かれておりますが、電力開発に関して今後きわめて重要な問題がありますので、電力についても開発部を設置する必要がある。これはわが國の動力資源、それから熱源というような関係から見まして、今後水力発電、水力電氣の占める地位はきわめて重要なものでありまして、動力源としてあるいは電氣科学工業という方面の需要から見ましても、また熱源から見ましても、開発部を置いて專心開発に関する事項をつかさどらしめることが、きわめて今後の日本にとつて適切なことであるという意見であります。そこで第二項を「石炭生産局に開発部、電力局に電力開発部を置く。」ということにしていただきたいのであります。從いまして、第三十九條にまた修正する箇所が出て來るのであります。すなわち第三十九條に次の一項を加える。「2 電力開発部においては、前項第三号に掲げる事務のうち発電に関することをつかさどる。」すなわち第三十九條第一項第三号は「発電水力の調査及び調整を行い、並びに電氣施設の建設を推進すること。」これに関連して電力開発部がいろいろなことを電力の開発について調査促進をするというような仕事をするというきわめて時代に適應した仕事をするようになります。  それから第四十一條に入りまして、資源廳の附属機関の問題に入るのでありますが、これには「中央鉱害対策審議会」また「中央炭田探査審議会」というようなものがありますが、これはいずれも中央のものばかりを規定いたしておりまして、地方のものがこれから脱落いたしております。ところが鉱害対策の問題にいたしましても、炭田探査の問題にいたしましても、地方が非常に重要な地位を占めるのであります。これでは地方にはそういう審議会を設けることはできないということになつておる感があります。そこで地方にも置けるというような意味で、また現実に予算等もありますので、中央をむしろとつてしまつて、單に「鉱害対策審議会」それから「炭田探査審議会」というふうに改めていただきたい。それからさらにそういうふうに直しますと、資源廳長官の諮問ばかりではない、他の官廳のすなわち出先の地方官廳の諮問にも應ぜられるように、「資源廳長官の諮問に應じ、」を削るということに両方ともなるのであります。それからまたここに一つガス事業の問題がありまして、これは從來ともガスは地方の公共團体とかあるいは公益にいろいろな重要な影響を及ぼします関係上、ガス事業委員会というものがかつてはありまして、民間あるいは学者方面から人を入れてその委員会を設けて來たのでありますが、ここでもガス事業審議会をこの際つくつて、そうして資源廳の附属機関にする。これもまたきわめて重要なことでありまして、また適切に考えられますので、かつ予算等もありますので、ガス事業に関する重要事項を調査審議するガス事業審議会の項目をこの中に加えていただく、こういうことであります。  全般を通じまして、商工委員会におきましてはきわめて適切な修正であるから、ぜひとも内閣委員会におかれまして、この意をおくみとりくださつて、こういうような趣旨で法案の御修正をお願いいたしたい、かように存ずる次第であります。どうか何分よろしくお願いいたします。
  42. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 ただいまの小金君の説明質疑がありますれば、この際質疑を願います。質疑がなければ経済安定委員長より修正意見を述べられたいということでありますから、この際これを許します。小野瀬忠兵衞君。
  43. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬経済安定委員長 経済安定本部設置法案に対しまする経済安定委員会修正意見を申し述べます前に、この法案に対しまする安定委員会意見を申し上げます。  経済安定委員会のこの設置法案に対しまする各派の意見は、大体次の三点に要約されますので、その結論でけを申し上げて御参考に供したいと存じます。その第一点は、労働局、または労働部の設置に対する問題であります。第二の点は各局次長増員の問題であります。第三の点は、地方経済安定局の存廃の問題であります。  第一の点については、日本社会党と日本共産党とは、経済安定本部の総合企画官廳たる建前上、当然労働局または労働部を存置すべしとの意見を述べられました。これに対しまして、民主党野党派はその態度を保留し、民主自由党、民主党連立派は提出原案に賛成で、官房内の一課たらしめる意見でありました。  第二の点については、民主自由党、民主党連立派、日本社会党は、民間人を局長に起用する関係上、関係官廳より次長を増員して十分なる機能を発揮させる修正意見に賛成しました。これに対して民主党野党派は政府原案に賛成し、日本共産党は現機構のままを主張いたしました。  第三の点については、地方経済安定局は無用なりとその廃止を主張する民主党野党派と、現機構のままを主張する日本共産党の意見に対し、他の各党は原案通り賛成いたしました。これを要するに、安定委員会の本法案に対する修正意見は次の通りであります。   第七條第二項中「官房次長一人」を「官房次長二人」に改める。   同條第三項を次のように改める。    生産局に次長二人、動力局に次長一人、生活物資局に次長二人、財政金融局に次長一人、貿易局に次長一人、建設交通局に次長二人を置く。各局の次長は、局長を助け、局務を整理する。   第二十條第二項中「國務大臣」を「経済安定本部総務長官たる國務大臣」に改める。   第三十一條第二項を削る。   附則第四項中「総理廳事務官経済安定本部事務官に、総理廳技官は経済安定本部技官に任ぜられるものとする外、」を削る。   附則第七項中「通貨発行審議会法第一條、第三條第一項及び」を「第一條、第三條第一項及び第三項並びに」に改める。   附則第八項中「外國人の財産取得に関する政令第十一條」を「第十一條」に改める。   附則第九項中「企業再建整備法中」を削る。   附則第十項中「金融機関再建整備法中」を削る。   附則第十一項中「物價統制令中」を削る。  経済安定委員会におきます本法案に対する修正意見は以上の通りであります。右御報告申し上げます。
  44. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 今の経済安定委員会修正に対して、何か御質疑があれば発言していただきたい。
  45. 木村榮

    木村(榮)委員 今ここで簡單に聞いただけで質問をやれと言つたところが、何を言つておるのだかわからぬ。たとえばちよつと聞いておつたら、第七條の二項ですか、総裁官房の官房次長が今一人になつておる。これを二人にしなければならぬというが、一体二人にするのは、なぜ二人にしなければならぬのかという理由を伺つておかなければならぬ。こういつた関係で、すぐ質問しろと言つてもできませんから、文書にして出していただきたい。そうしてそのあとから質問いたします。
  46. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 今の安定本部の修正案説明は口頭だけでありますから、これを文書に直して書いてもらつて、その上でまた質問者があるならば質問することにいたします。それでよろしゆうございますか。
  47. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 さようとりはからいます。  それからちようど今逓信省と法務廳、統計委員会、國立世論調査所、安定本部の政府委員が來ておられますから、これについて御質疑を願いたいと思います。
  48. 木村榮

    木村(榮)委員 質問はいたしますが、しかし午前中、この間から問題になつているように、もう会期も切迫しておるので早くやつてもらいたいという話が再三ある。再三あるのですが、少くとも関係大臣が出て内閣委員会の独自の質問はいまだやつてないのです。大臣がいなくて、政府委員側の説明だけを聞いても、そんな責任のないことをべらべら言つても、そんなことはへにもならぬ。とにかく大臣が出て、責任ある答弁を各省別にやるということをきめなければ、質問しろ、質問しろと言つたつて質問はできません。それともう一つは、各省の問題はきのうから言つておるように、定員法が出なければ質問するところの具体的な問題は出て來ないじやないかということを何べん言つても、何とかかんとか言つて出て來ない。そうして質問せい、質問せいと言つたつて、そんなことは不可能なことです。午前中は小澤逓信大臣が出ておつたが、小澤さんに質問をやろうと思つても、午後は出て來ないような非常識なことである。質問をするというなら一時間ぐらいやらなければならぬのに、あまりめちやだからやめようとかなんとか言われる。それはどうでもいいが、今度は午後は出て來ぬ。これでは質問にならぬ。まだ内閣委員会としては一回もやつておりません。合同審査のときにやつたけれども、それは合同審査で、内閣委員だけの独自の委員会ではない。これだけの内閣委員会が最後において採決しなければならないような重大法案をこのようにたくさん出しておいて、この内閣委員会にはまだ一回も——中にはやつたのもあるのですが、正式な各省別のものはやつていない。説明だけを聞いたのです。これからなんです。それにもかかわらずたくさんなものを出して、どうでもして質疑をやれという。関係大臣が皆出ておつて質疑をやれというならそれはわかる。政府の方の説明員とかなんとかいうものがひよこひよこ出て來て、質問しろ質問しろと言つてもできない。私の方では質問することはたくさんあります。そういう意味で大臣の出席を要求いたします。ここへ出て來て私の質問に答えてください。なつておらぬ。やることは私たちは誠意を持つてつているので、何も引延ばしなんかやつているのではない。きようなんかでもこうなのです。十時から開会というので、ここへ來たのは私一人です。政府側の委員さえも出てない。そう言つちや失礼だけれども、專門員さえも定刻に來てない。そうしてようやく專門員が來たのは十時半ごろひよろひよろやつて來た。定刻に來たのは野党では共産党の私一人。こんな不見識なことで質問しろとかなんとか言つても、人を侮辱するもはなはだしい。それではこの会議は中止すべきである。定員法をすぐ提出して、どうぞお願いしますと言つてやるのがあたりまえである。なつておらぬ。しかも大臣が來なくて、これだけの重要法案を掲げた委員会で、三人や四人でやつている。この間は二人だけで委員会をやつた。そこの民自党の小川原さんと私と二人。しかたがないから、あまりみつともないから、涙をのんで私は二人でやつた。このようなことでこの重大法案をやれ、しかも大臣は顔を出さぬ。なつておらぬ。天下に聞えてはずかしい話だと思う。どうですか、政府側はそれに対して答弁してください。みんな相談して、だれか交代々々で、まず政府側の説明員がこの問題に対して答弁をして、そうして質疑ができるものなら受けて立つのがあたりまえです。
  49. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 今の発言はしごくもつともだろうと思います。ほんとうだろうと思います。だからむろんこの重大法案について責任の大臣が來なくては、本式の質問はできないだろうと思うが、大臣でなくても、政府委員でもさしつかえないというようなことについて質疑をせられたい方があるなら、それをこの際してもろう。政府委員に対して質疑をする必要がない、打切るというなら、大臣が來るまでこれを延ばすよりしようがない、こういうことです。——政府委員に対する質問はないのですか。なければないで……
  50. 木村榮

    木村(榮)委員 大臣が出て、質問をして、答弁があつて、そうしてその中にはどうも大臣ではこういつたこまかい点はわからないから、政府委員をして答弁をさせますといつた問題は、その中の過程において、出て來るのはこれはあたりまえの話である。それに対して私たちは何も異議はない。政府委員に対する質問が全然ないというわけではない。これは大臣が出ておつて、ほんとうの意味の質問をする過程において出て來る問題で、政府委員の方が無能力で質問をしないというのではない。しかしながらそれは総合的にやるというわけですから、それだけを引出すというのはちよつと困る。どれとどれと、というように表わして言うのは、質問と答弁の過程に出て來る。
  51. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 木村君は大臣に質問して、大臣が答弁して、事務的のことは政府委員でもよろしい。大臣が來なくては質問ができぬと言う。大臣の出席が先決問題になるのですが、ほかの委員の方で、大臣がおられなくても質問ができるという方があるならば、この際質問をしてもらい、なければ大臣が出るまで待つよりしかたがない、どうです。今ちよつと大臣は閣議中で、閣議が済めばみな來るらしいのです。それから三時になると人事院の総裁が來ますから、それまでに大臣か人事院の総裁が來なければ、この議事を開けぬというなら、それまで休憩したらどうですか。——逓信大臣は今來るそうですから、ちよつと待つてください。
  52. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 逓信大臣が來られましたから、質疑がある人はこの際質疑を願います。
  53. 木村榮

    木村(榮)委員 逓信大臣にお尋ねしたいのですが、定員法がまだ出ないのですが、定員法との関係について、二つに分割せられる機構の問題で、その定員がどのくらいになるかということをお尋ねしなければならぬわけです。しかし具体的な問題としては、定員法が出てからお尋ねしたいと思うのですが、その前に最も老練な逓信大臣にお尋ねしてみたいと思います。聞くところによれば定員法は今夜ごろ出るそうですが、それには退職金のことは書いてない。もしそのような定員法が出た場合には、逓信省といたしまして、退職金などはあとまわしにして、定員法にのつとつて、どんどん人間の整理をなされるものかどうか。これを最初に承つておきたいと思います。
  54. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 定員法について今まで閣議を開いたのでありますが、今日か明日あたりに出せることになるのではないかと考えております。当初定員法の退職資金の具体的算定方法まで制定したいという考えを持つておりましたが、関係方面とのいろいろの交渉の結果、これは政令で定むることになるかもしれません。しかしそれはまだ最終的な決定にはなつておりませんから、今はつきりしたことは申し上げられませんけれども、あるいはそうなるのではないかと思います。  なお退職金が決定しないうちに行政整理を施行するかというようなお尋ねでありますが、退職金が決定しないで行政整理をするということは考えられません。しかし行政整理をやる時期、あるいは方法をどうするかということは、今後政府全体として考慮すべき問題でありますから、政府全般の問題が決定しないうちは、從つて行政整理の具体的手続には入らぬということになります。
  55. 木村榮

    木村(榮)委員 その点は分割設置法案とは違つて、一部改正というかつこうで出ておるわけでありますから了解しておりますが、しかしながらどうしても現業の多い官廳は定員法の問題が非常に大きく影響すると思う。從つて電氣通信省、郵政省、運輸関係、こういうものが定員法との関連性においては一番重大な問題になつて來る。これは大臣もよく了解になつておられると思いますので、これ以上何も申し上げませんが、この画期的な法案といわれます分割された法案は、日本將來の郵政、電氣通信の上に大きな問題を含んでおりまして、どうしてもこれは根本的にはこの定員をつぶさに檢討して、現在の施設といろいろな機構というものを嚴密にやらなければ、最後の結論が出て來ないと思います。それでいろいろお尋ねしたい点はたくさんございますが、いろいろな機構上の法文の解釈とか、その他の問題については、合同審査会のときにもたくさん質問が出ましたし、またその他の機会においても質問いたした点もございますので、この上質問してもかえつて御迷惑かと思いますので、定員法が出てからこういう基本的な点の質問をしたいと思います。それに対して御答弁願いたいのですが、さしつかえはありませんね。
  56. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 これは委員会がどう判断して決定されるか。これはわれわれ政府がどうこう言いませんけれども、政府の方の希望としては、定員法定員法として御審議願い、直接定員法関係のない、あるいは両省の定員でありましたならば、それをここで申し上げることはできますから、同時に審議してすみやかに決定されるように願いたいのであります。從つて定員法と一緒にこちらの法案審議するというようなことは私の方としては希望いたしません。しかし委員会が賛成しなければ私の方でどう考えてもしかたがありません。私の方としては先の法案は督励して審議して、先に参議院にまわすのはまわしていただきたいということを申し上げます。  なお定員法に盛られて参ります郵政省の定員は二十六万六百五十五人、電氣通信省は十四万三千七百三十三人、合計して四十万四千三百八十八人。これが必ず法律の中に現われて來ると思います。
  57. 木村榮

    木村(榮)委員 そういう御希望はわかりますが、その中で現業が幾ら、非現業が幾ら、それから今までの現業の中でふえた面はどういうところがふえて、どういうところが減つたか。その局、課、あるいは部においていろいろ問題がある。そこで設置法案の目的とするいろいろな人の分野、ことに現業定員というものを照し合せてみて、これは初めて完璧のものである、あるいは不完全のところがわかつて來るのだと思います。
  58. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 木村君の考えは何か定員法というものは各課各局とこまかく定員が出るというようにお考えだろうと思いますが、政府で今考えておる定員法は、郵政省で何人、電氣通信省何人、あるいは外務省何人という一本の定員で出て來ることになつておりますから、從つて木村君の考えているように定員法が出ても、各課、各局の比較というものには触れられません、結局内部の配置は主管大臣が決定することになりますから、その意味でお聞き取り願いたいと思います。
  59. 木村榮

    木村(榮)委員 それはそうですが、國家行政組織法の第十九條には「各行政機関に置かるべき職の定員は、法律でこれを定める。」とあつて、それは一一こまかいことではないのですが、職の定員、特別職、一般職というようなことはわかれておるのでしよう。
  60. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 それはわかれておりません。何もかも全部、大臣まで入つて何人です。
  61. 木村榮

    木村(榮)委員 それは定員法が出てからの問題ですから、定員法でなければわからぬ問題ですが、そういう問題もある。特に定員法を見ないと、この組織法では「各行政機関に置かれる職の定員は」とこうなつておりまして、今大臣の御答弁のように、どういうふうにも解釈できるのであります。大ざつぱに一本に書いてもよいし、こまかく書いてもよいし、定員法というものはそういう観点からしますときわめて廣漠たるものであつて、非常に問題がある。そこでこれを見ないと各省設置の問題は具体的に審議ができないということが生れて來る。その点御了承願いたいと思う。
  62. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 木村君はどこまでも各省、各局課のこまかい定員ということでありますが、それは政府の方では木村君のような解釈も法律からいえば言えないこともないでありましようが、しかしながら政府の方の方針としては、各省何人というひつくるめたものを出すというきめ方であります。木村君の解釈によるものが出て來ればよいが、そうでなくきめておりますから、從つて定員法が出たからといつて、各局何人ということは出て來ない。出て來たからといつて具体的に審議がよくできるということはあり得ないのであります。今と同じ状態でありますから、このまま御審議を願いたいと思います。
  63. 木村榮

    木村(榮)委員 それはごもつともでございますが、定員法が出ますと、それに対して各省からわれわれ委員審議のために参考書として当然職階制をめぐつていろいろのものが出て來るわけなのであります。少くとも日本行政機関が動いておる以上は、國会審議権を尊重するならば、それくらいの資料を出さなければ、どうにでも委員会審議してくださいということは、これはできないことである。そういうものが出て來れば——当然これはまた出なければならない。法律上の解釈の問題だけでも、たとえば労働省の設置に関しても、これだけの廣汎な資料を労働省はお出しになつておる。これはまことにけつこうなことです。從つて定員法が出れば、当然それに裏づけされたある程度の資料が出なければならない。それを見て初めて労働省なら労働省の機構全部並びに今後の運営に対する具体的の討議に入れる。從つてそういう意味で私どもはこの定員法を重要視する。大綱は今小澤大臣が言われる通りで、何もその点は誤解しておりません。
  64. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 ちよつと木村君に一言申し上げますが、先日の逓信委員会との連合審査会で、答弁の保留をされておる問題があります。これは逓信省関係ではなくして、行政管理廳に関係しておるものでありますので、行政管理廳の第一課長をしております佐藤功君に答弁をいたさせます。
  65. 佐藤功

    佐藤(功)政府委員 木村委員からこの前御質問がありました点は、電氣通信省の設置法の一部を改正する法律案中、第四十六條の二に規定してあります電氣通信調整審議会というもののいわば法律上の性格を御質疑なつたということを承つております。それで御質疑の点は、この審議会が第二項で「議決を経なければならない。」と書いてあります点は、諮問的な審議会ではなくて、むしろ外局としての委員会ではないかというような御質問と連絡を受けたのでございます。それでこの第二項の立法の趣旨は、逓信省の方から御答弁がありまして、その点は木村委員も御承知のことと思いますので、國家行政組織法との関係だけを申し上げます。國家行政組織法の点につきましては、この法律通りましたときに、木村委員も御関係でありましたので、よく御承知の点でありますので、あらためて申し上げる必要もないかとも存じますが、第八條に「審議会又は協議会(諮問的又は調査的なもの等第三條に規定する委員会以外のものを云う。)」を置くことができるという規定がありまして、この第四十六條の二の審議会もこれによつているわけであります。第八條の審議会はその性格や権限からいろいろな種類があるわけでありまして、單に諮問を受けて答申をするというだけのもの、あるいはそれより一歩を進めまして、自発的に意見を上申することができるというようなものもありますし、もう一歩進みまして、四十六條の二のような議決をするという権能を與えているものもあるわけであります。ただそれと外局たる委員会との違いは、これも木村委員御承知のように、外局たる委員会はみずから行政権を執行するというものでありまして、八條のそういう議決権のある審議会は議決権はございますが、みずから執行権はない。本質は諮問的なものであるけれども、特にそういう議決権をプラスして持つてつたという種類のものがあるわけでございます。第四十六條の二の審議会はちようどその例に当るわけでありまして、ほかにもそういう権限を持つた審議会があるわけであります。以上組織法との関係の点だけについてお答弁を申し上げます。
  66. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 ただいま逓信大臣が用があつて参議院の方に行かれます。またすぐ來られると思いますが、今逓信大臣に対する質問がありますか。
  67. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつと伺つておきたい点は、簡單なようで非常に重大な問題が一つある。と申しますのは、今の問題と関連しておるのですが、この國家行政組織法をこしらえますときに、第八條の審議会または協議会というものは、当時の民主自由党の方も大体こういうものを置くのに反対だつたのです。というのは当時商工省だけでもこういう名前のものが七十何ぼあつた。そしてどうしてもある程度経費を使うし、中には予算的措置の一つもないものもある。そこで、こういうものはやめようじやないか、しかし簡單に全部やめるわけには行かぬ、中には必要なものがある。從つてこれは諮問的なもの、調査的なものに限定したものにしようということで話が落ちついた。ところがそのときに、農地委員会と労働委員会は一体どうするかということが問題になつた。名前は委員会でございますけれども、第三條に規定いたします委員会とはまた趣を異にしたものである。そこでこの二つを何とかしてうまく保護するために「諮問的又は調査的なもの等」とした。この「等」というのは大体農地委員会と労働委員会を当分そのままにしておくために、これを入れないとうまく行かぬという政府側の説明であつたわけです。そこで「等」という字が入つております。從つて現業における場合、ある程度の決定権を持つたり、また八條に規定しておりますような「又は調査的なもの」として、性格においてやや趣を異にしたような委員会的なものは、現業の場合はこれを置く、從つて組織法二十一條の規定によつてうまく形がつくという話であつた。そこで私はこの間質問いたしましたのは、八條によつてこしらえられたのか、あるいは二十一條の方のお考えで現業であるからこしらえられたのかという点で、大体その点はわかつたのですが、小澤大臣もこの「等」というのはそういう程度のもので、この「等」を無限に拡大しては困ると思うのですが、その点の御見解を承つておきたいと思います。
  68. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 大体木村君と同じような考えを持つております。
  69. 小川原政信

    小川原委員 私は議事進行上こういうことをしたいのですがどうでしよう。今皆さんにお諮りするのですが、逓信大臣から定員法の内容をお話くださつて大体の筋道がわかつた。そこで政府の意向がそうであるということになれば、今配られてあるところの法案関係あることには違いないけれども、内容はそう関係があるようにも思われない。それでいろいろな法案が今かたまつておりますから、これを整理する上から見ましても、いろいろな観点からしましても、むしろ皆さんと相談をして、そして便宜能率を上げるようにすらりと行く方法を私考えてみたのですが、そうする上においては、ひとつお互いが協議してみて、あまり定員法関係のないものだけは、参議院の方に送つてあげないと、参議院の方も困るじやないか、こうも考えますので、ひとつ忌憚のない意見の交換をしまして、もし私の申しておることに御賛成願えればそうお願いしたいし、またこの際逓信大臣からお話くださることができるならば、いろいろのお話を願う。そんなふうにしたらどうかと思いますがどんなものでしようか。
  70. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 ちよつと速記をとめて。
  71. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは懇談会はまずこの程度で中止いたしまして、速記を始めてこれから質疑を行いたいと思います。法務総裁が來ておられますから、法務廳に関する質疑がありましたならばこの際において述べられたいと思います。なおつけ加えて申しますが、人事院総裁は三時に來ることになつておりましたが、今GHQの方に行つておられます。それから三時半ごろに法制部長が來るようでありますから、それもひとつ御承知おき願つておきます。
  72. 木村榮

    木村(榮)委員 簡單にここに調査所の目的なんかが書いてありますが、この中で二、三問題になる点をお尋ねしてみたいと思います。たとえば第四條に書いてございますが、「調査所は、必要がある場合においては、世論の調査を他に委託し、又は他から委託された世論の調査を行うことができる。」となつておりますが、他から委託された場合というのは、どんな特定の場合をさすか御説明願いたいと思います。
  73. 石塚久司

    ○石塚政府委員 これは主として政府部内の他の部局から委託されたということをさすのでありまして、たとえば農林省から農林行政についての世論調査をしてくれ、あるいは大藏省から税に関する世論調査をしてくれ、こういつた場合に委託を受けてやるという意味でございます。また特に國会から委託されるという場合もありますので、そういうことをさしております。
  74. 木村榮

    木村(榮)委員 そうすると委託がされた場合に特定なことになるわけでしよう。專門的なものが委託されるというわけですね。
  75. 石塚久司

    ○石塚政府委員 そうです。
  76. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと第三條は、「特定の政党政派」であるとか、あるいは「調査の結果を特定の政党政派のために利用すること」があつてはいかぬとか、「調査を思想の統制又は取締に利用する」というようなことはやつてはいかぬという規定になつていますけれども、実際問題としては、これは日常運営する場合においては、そういつたことが、特定な委託、あるいは他に委託する、こつちから委託する、あるいはあつちから委託するというふうなことによつてうまく逃げられる危險性があると思いますが、それはどんなにお考えになりますか。
  77. 石塚久司

    ○石塚政府委員 ただいまの御質問の調査項目につきましては、世論調査審議会で決定いたしまして、その決定に基きまして調査事務はやるのであります。しかも調査事務はその実施事項をやるにあたつては第二條第三條の制約を受けることは当然であります。
  78. 木村榮

    木村(榮)委員 これは國家行政組織法第八條の規定によつてこしらえられたものですか。
  79. 石塚久司

    ○石塚政府委員 國家行政組織法の第八條に基いて審議機関としてつくつたものであります。
  80. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますとこれは非常にあいまいだと思います。第八條の規定によつてこしらえられた一つ試驗所、研究所というようなものと、行政機関としての一つの性格を持つたものとはちよつと違うと思います。これは相当いろいろな條件で、行政機関としての完全なものではないけれども、ある程度のわくを持つておるように思いますが、その点はどうですか。
  81. 石塚久司

    ○石塚政府委員 この調査所はもちろん議決権を持つておりますが、先ほど管理廳からも御説明がありました通り、本質的な性格としては諮問機関である。しかし議決権を持つたものでございます。その審議会の決定に基いて世論調査所というものが、事務を執行して行くという意味において行政機関であるということになります。
  82. 木村榮

    木村(榮)委員 これはますますもつて不可解しごくなことになつて來たのですが、第八條によつてできたと言われますが、第八條をよく読まれたことと思うが、参考までに読んでみますと、「第三條の各行政機関には、前條の内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会(諮問的又は調査的なもの等第三條に規定する委員会以外のものを云う。)及び試驗所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関を置くことができる。」こう書いてあつて、世論調査審議会を第八條によつてこしらえる、こう言われるのは私は違うと思う。そうじやなくて「試驗所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関」とあつて、調査所というようなものは書いてはございませんが、「研究所」みたいなものに入るか、あるいは「文教施設」に入るか、「その他」に入るか知らぬが、これによつてできたものと思います。今の調査所がそれでできたものである以上は、その中の世論調査審議会というものがこの中の「審議会又は協議会」というものに入つていれば、第八條の中に二つのものが同じような権限を持つて含まれているのですか。
  83. 石塚久司

    ○石塚政府委員 世論調査所は「その他の機関」としてこの第八條に基いてつくられたものであります。しかもその諮問機関としての世論調査審議会というものができている。こういうかつこうになつております。
  84. 木村榮

    木村(榮)委員 第八條の「その他の機関」でできたということはそれでいいのですが、世論調査所の中にできます審議会は第八條の中に書いてある「審議会又は協議会」とは性格の違つたものでしよう。これも第八條の「審議会又は協議会」という條項によつてできているのですか。
  85. 石塚久司

    ○石塚政府委員 ただいまの御質問の調査所に置かれた審議会でございますが、審議会を置くにつきましては、すべて第八條に基いてつくられる、こういう関係になりますので、二重にダブつた関係になります。
  86. 木村榮

    木村(榮)委員 それは法律的にどうですか。第八條の「その他の機関」の中にできたものが國立世論調査所であり、國立世論調査所の第五條にできた世論調査審議会がまた第八條の中の「審議会又は協議会」という規定によつてできたということは、法律的にさしつかえないものですか。
  87. 郡祐一

    ○郡政府委員 國家行政組織におきまして、その他各行政機関については、この第八條以外に根拠はないこともちろんでありますが、しかしながらこの第八條によつて世論調査所をつくり、また第八條によつてこれに付置いたします審議会を設けますことは、何ら法律上支障のないことであります。
  88. 木村榮

    木村(榮)委員 よくわかつて來ましたが、第十條によつて「調査所に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。」とあるように、なかなか大したものですが、大体どのくらいな定員が予定されておりますか。
  89. 郡祐一

    ○郡政府委員 六十一人の職員を置くことになつております。
  90. 木村榮

    木村(榮)委員 第二條の第三号に「地方公共團体及びその他のものが行う世論の調査に対して必要な助言及び協力をすること。」となつておりますが、これは大体どういうことですか。「その他のもの」というと、大体どのようなものなのですか。
  91. 郡祐一

    ○郡政府委員 地方公共團体のほかにこれに準じますような團体が行います世論調査を予想しております。地方公共團体に準じますような世論調査をいたしますのに適当な團体が調査をいたす、あるいは学校のようなものがいたしますような場合も考えられると思います。
  92. 木村榮

    木村(榮)委員 そのような團体がかりに特定な一方的な世論をでつち上げるというような場合には困るので、そういうときには必要な助言をするというふうに解釈していいのですか。
  93. 郡祐一

    ○郡政府委員 すでに世論調査所の設置について御説明申し上げましたように、世論調査というものは権威のあり、十分信憑性のある世論調査でありますがために、國立世論調査所というものによつて公正な世論調査を期待いたしておるのでありますが、地方公共團体なりあるいは各種の團体等におきましては、その世論調査の技術等においても必ずしも練達でもございませんので、多く技術的な面からの助言なり協力なりが行われるものと思います。
  94. 木村榮

    木村(榮)委員 そこで今の設置法案の提案の理由説明の中にも書いてありますが、これはアメリカの例ですが、特に七つの政府の世論調査機関があつて、民間の世論調査機関と並んでそれぞれその特色を発揮しておる。それはそうでしよう。たとえば御存じのようにこの前の大統領の選挙の場合にデューイとトルーマンとが爭つた。世論調査の結果は圧倒的にデューイが優勢ということになつてつたが、ふたをあけて見たらトルーマンになつておるというようなことがあつた。世論調査については世界一のアメリカにおいてさえもそういうことがある。こういうことを考えますと、條文の中にはたくさん特定の政党云々とかいろいろなことが書いてございますが、しかしながらさつき私が問題にしたように、他に委託したり、または他から委託された世論調査を行う。これはどうしても私は問題だろうと思う。だから特定なところから委託された場合、審議会なら審議会にかけて、これは調査すべきではないというような決定ができるわけですか。
  95. 郡祐一

    ○郡政府委員 審議会におきましては、他から委託を受けます世論調査等について、その必要性等に関する重要な事項を定めることにいたします。世論調査は今お話の中に予見的なものを世論調査でやるようにお考えかと思いますが、世論調査は決してどつちがどのくらい取るだろうとかいうような予言をいたすものではございませんで、統計を取りますのに一つの進歩した方法として採用いたしますものであり、從つてこれらについて審議会が十分な判断をいたしました上で、必要な場合には委託を受けて行うことといたす考えであります。
  96. 木村榮

    木村(榮)委員 ちようど私が言おうと思つていた通りをおつしやつていただいて、まことにありがとうございました。といいますのは、むしろ世論調査という名前はついておりますが、ちようどあなたが今おつしやつたように、統計局の方へ聞いて行くような筋だと思う。ところが一般会計の方は、たとえば農林省統計局なんかでも、農林省設置法案を見ますと、大幅な削減をされておる。その他の点についても、この統計関係のことは相当大幅に削減されておる。基本的なことはむしろ削減して木に竹を継いだようなこんなようなものだけをにわかにこしらえて、人数は六十人か七十人だから大したことはないにしても、そういつたことでは関連性がない。本末顛倒である。そこでこの世論調査所なるものの設置の目的が、今郡官房次長の言われた通りとするならば、こういうものはいらぬと私は思うのですが、どうですか。
  97. 郡祐一

    ○郡政府委員 ただいまの点は、御意見ではありませんが、政府は決して統計を軽視いたしておるものではございません。若干これが人員の削減等を行つておりますのは、これは行政整理の大方針に從いましていたしたものであり、これがために統計の能率が下るようなことは絶対に考えておりません。先ほども申し上げましたように、中正な立場において各種の施策の公正な世論を把握するということはきわめて必要でございまして、決して不必要なことをいたしておるものとは考えておりません。
  98. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 ちよつとお伺いいたしますが、第五條審議会でございますが、これは執行機関のようにも見えるのですが、執行機関ですか。
  99. 郡祐一

    ○郡政府委員 執行機関ではございません。ここに掲げてありますような事項につきまして、議決と申しますか、列挙してありますようなことについての判断を下すだけでございます。執行機関ではございません。
  100. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そうしますと、「左に掲げる事項をつかさどる」という言葉は私は不適当のように思います。議決機関ならば左の方針を議決するとかいうようにすればいいので、つかさどるという言葉はどうも執行というように見えるのです。それからなお審議会は調査所長の諮問を受けずに当然これをやつて、調査所長はそれにしばられるのか、その点をお伺いしたい。
  101. 郡祐一

    ○郡政府委員 私は審議会がこのようなことを扱いますのに「つかさどる」という表現が不適当だとは存じません。むしろ議決機関であるとか諮問機関であるとかいうような、必ずしも從來の分類に属しません審議会が世論調査所に付置され、この世論調査審議会が定めますことについては、所長はこれの拘束を受けて行動いたすというような関係に立ちますことは、むしろ世論調査所の性格から適当なことだと考えております。
  102. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 國家行政組織法の関係からいいますと、審議会というものが諮問的、または調査的のものというのが大体代表的になつておりますが、どうもつかさどるということは少々、行き過ぎの感があると思います。郡君がこれでかまわぬと言われればそれまでですが、それはわれわれとしても研究いたしますが、政府としても御研究を願いたいと思います。  それからもう一つお伺いしたいのですが、民間團体が推薦する学識経驗者のうちから委員を選ぶそうですが、その民間團体というのはどういう程度の團体を考えておるか、お尋ねいたしたい。
  103. 郡祐一

    ○郡政府委員 世論調査に学問的な直接な関連を持つております團体、從いまして既存のものといたしましては、日本社会学会、日本心理学会、日本應用心理学会、日本統計学会、日本世論調査協会、日本新聞協会、日本学術会議、これらのものが予想されるものだと考えております。  それから先ほどの「つかさどる」という点につきましては、國家行政組織法をごらんになりましても、廣い意味合いで、法律の定める所掌事務であるとかいうような、所掌という言葉を使つております点から見ましても、私は適当な言葉だろうと思つておりますので、つけ加えておきます。
  104. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 そういたしますと、先ほどの民間團体は一人ずつ推薦して行くわけでしようか。それとも数名推薦して、そのうちから総理大臣が任命するというのでありましようか。
  105. 郡祐一

    ○郡政府委員 総理大臣から委員候補者の推薦をお願いいたします際には、数名の推薦を依頼したいと思つております。実際選ばれますのは、やはりそれぞれの特色を持つた方がお入りくださることが適当でありますから、今申し上げました所から一人ずつくらい選ばれることに相ならうかと考えております。
  106. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 なおこの世論調査の結果を内閣関係行政機関に報告されますが、これは國会には報告されないのでございましようか。
  107. 郡祐一

    ○郡政府委員 ただいまのところ法律上は國会に報告いたしますことは考えておりませんが、一般への公表ということは、從來世論調査をいたしてみましたときも、一般への公表が非常によい結果をいろいろの意味で持つておりますので、一般への公開はいたそうと思つておりますが、政府機関として直接國会へ報告いたすというようなことは現在のところ考えておりません。
  108. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 一般への公表と報告とは内容が違うのじやないかと私は思います。この世論調査の結果を國会が相当関心を持つて見る必要があると思います。國会をことさらに除外された特別の事由でもあるのか、私は國会にも同樣に報告された方がしかるべきものじやないかと考えます。
  109. 郡祐一

    ○郡政府委員 政府機関といたしましては、むしろその属します内閣なりあるいは関係行政機関に対する関係を保ちます限度が政府機関として適当なように考えまして、國会がもちろんこれについていろいろ御関心をお持ちくださり、おせわくださることはわかつておりますけれども、政府機関としてはかような限度にいたすべきものだと考えております。
  110. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 國会は御承知の通り國民の代表者の集まつておるところであります。世論の動向を國会が察知して、適切なる國政に寄與することは当然のことであります。法律上直ればけつこうですが、私はそういうかた苦しいことは申しませんが、事実上の問題としても國会にはこれを報告されることを希望しておきます。
  111. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 國立世論調査所設置法案に関する質疑はこの程度で終了いたします。ちよつと速記をとめてください。     —————————————
  112. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは懇談はこの程度でやめまして質疑を続行しますが、きようの日程の中の内閣法の一部を改正する法律案総理府設置法案、統計法の一部を改正する法律案、この三つを一括してこれから質疑に入りたいと思います。質疑をせられる方は御通告を願います。  今の三條について別に質疑がなければ、この三案に関する限りは質疑をこれで終了することにいたしますが、いかがですか。
  113. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは三案に関する質疑はこれで終了いたします。     —————————————
  114. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 次に法務廳設置法等の一部を改正する法律案——ちようど法務総裁が來ておられますから、質疑があるならばこの際にお述べを願いたいと思います。
  115. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 われわれとしての立場は——今度の改正は調査意見局と法制局とが一緒になつているのですが、これは從來片山内閣当時の趣旨からやはり別にした方がよいと思うのですが、これを一緒にせられた理由をお聞きしたいと思います。
  116. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 一緒にしないで済めば一緒にしたくはなかつたのでありますが、機構を三割縮小するという建前からいたしまして、一番縮小しよいものから縮小しよう。大体法制局と調査意見局と二つありますけれども、これはやや過渡的な制度でありまして、本來の建前からしますれば、調査意見局というものが重要になつて來るべきものだと思うのです。從つて名前はあたかも法制局が残つて、調査意見局が削られたようにお考えになりますが、そうでないので両方を一緒にして一長官にしたというだけです。その機能は決してやめるわけではない。機能は残つておる。今後五年か十年たつうちには、どちらの機能が重くなるか、おそらく私は意見局の方の機能が重くなるだろうと思いますが、今のところは両方とも対等に残しておきたいというので、名前は法制意見局ということにしたわけで、決して片方をやめて、片方を残すということにする趣旨ではないのであります。
  117. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そうしますと、人員整理関係でやつたのだということですが、技術的に從來通りやはり意見局は意見局として、法制局法制局として、もちろん人員が減れば非常な不都合が生じるでしようけれども、極力努力してやつて行きたいという御方針ですか。
  118. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 その通りです。ことに第一局は意見を主としてやるところにしたいと思つております。そうして他の三局には法制と意見とを両方チヤンポンにやつて行こう、それで行けるだろうというつもりでおります。
  119. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そこでこれを一緒にした制度にして、人員の関係はどれくらいの変更があるのですか。
  120. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 両方ともおもに二級官以上の人が大部分を占めております。大部分でもありませんが、ほかの局に比べて大きい部分を占めている。しかし人数はごくわずかです。まだ十分に充員しておりませんので、從つて両方の局から整理すべき人間はいくらも出て來ないと思います。大体多少の動きはありますけれども、大した大きな動きはないと思います。法務廳全体といたしまして、本省だけでただいま千七百何十名の定員を持つておりますが、そのうち五百人ばかりを今度は減員をいたします。しかしながら欠員が多数ございまして、実員の整理は多分百人以内にとどまりはせぬかと思います。しかも本省以外の外局におきまして、あるいは地方におきまして、多数の欠員を持つております。行政整理をいたしましてもなおかつ欠員が存在するわけであります。そこへ振り向けますから、私のところでは実ははなはだほかの省に対して申訳ないのでありますが、出血がまずないと考えておるのであります。そういう次第であります。
  121. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そこでそういう人員についても、地方の方にそういう欠員があるし、そういうことにいたしますと、人員にいわゆる行政整理の影響がなかつたならば、したくないのを一緒にしないでも、從來のままに存置したらいいのじやないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  122. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 但し欠員がたまたまあつたからそういうことになるのでありまして、やはり五百十人の整理はするわけでありますから、予算の上ではうんと縮小されております。ただ実際上に今までまだ新しい役所でありますために、十分に充員しておらなかつたために、今のような不仕合せが仕合せになるというようなことになつたのであります。
  123. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 くどいようですが、最後に、そこで他の欠員もあるし、そういうふうで打開することができればしたくない。あれをそのままにしておいたらいいじやないかという考えが起るのですが、その点どうですか。
  124. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 それはつまり法務廳の機構が五長官制で大き過ぎるという感じがみなにあるのです。それと今度は機構三割縮小ということになりますと、そのうちの二つはやめなければならぬという大きなプリンシプルに從いましてこうなりましたので、法務廳だけで考えれば、あるいは一つぐらいにしておきたかつたのであります。全体の大きなプリンシプルのために、さようなことになつたのであります。
  125. 木村榮

    木村(榮)委員 簡單に二、三点だけお聞きします。この七條の檢務局の任務、これはたくさんあるわけですが、この中に「司法警察職員の教養訓練に関する事項」というものがございますが、これは今現にどのようなことをやつておられますか。
  126. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 それは刑務所で働きます——刑務所だけではありませんが、主としてそういうコレクシヨンに働きます官吏の訓練所をほかに持つております。そういう仕事に対する統轄的の仕事を本廳内でやることを申したのであります。
  127. 木村榮

    木村(榮)委員 この十三條の三で「監獄法第一條第一項の規定による監獄を置く。」とこうなつておりますが、これは修正案が出まして「法務総裁は、必要があると認めるときは、分監又は特設監を置くことができる。」ということは削除になつておりますから、まことにけつこうだと思います。それで十三條の四に「少年院、少年観護所及び少年鑑別所については、少年院法(昭和二十三年法律第百六十九号)の定めるところにより、その名称及び位置は、別表五の通りとする。」こうなつておりまして、今あるのはあつちこつちにたくさん別表がありますが、もしこれが將來数が減つたりふえたりする場合には法律的にはどういうふうにやるのですか。法務総裁の権限でふえたり減じたりすることができますか。
  128. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 これはやはり法律をもつて定めるのだと思います。と申しますのは十三條の四に、「少年院、少年観護所及び少年鑑別所については、少年院法の定めるところにより、」とありますから、やはり少年院法の規定によつて定めると思います。今まで法律をもつて定めておると思います。これは私今実ははつきりは申されませんが、法律をもつて定めておると思います。決して行政で任意には置いておらぬと思います。
  129. 木村榮

    木村(榮)委員 少年院法というのは、私もよく存じませんから何も申し上げられませんが、たとえば少年院とか少年観護所、少年鑑別所といつたようなものは現にわかれておると思いますが、一体内容的にはどのようにこうした分野にわかれるのですか。
  130. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 私どもの承知しているところだけを申しますと、これはいずれも新しい制度でありまして、從來はなかつたのであります。これはつまり当該関係方面の示唆によつてできたものでありまして、少年院と申しますのは、これは少年の刑務所でありまして、少年院法に、少年院は初等、中等、特別少年院と、それから医療、つまりメデシンというものの少年院がある。「初等少年院は、身心に著しい故障のない、おおむね十四歳以上十六歳未満の者を收容する。中等少年院は、身心に著しい故障のない、おおむね十六歳以上二十歳未満の者を收容する。特別少年院は、心身に著しい故障はないが、犯罪的傾向の進んだ、おおむね十八歳以上二十三歳未満の者を收容する。医療少年院は、身心に著しい故障のある、おおむね十四歳以上二十六歳未満の者を收容する。」これが少年院であります。それから少年観護所と申しますのは、少年法第十七條第一項第二号の規定により送致された者を收容する施設とする。それから少年鑑別所は少年観護所に付属せしめる趣旨のようであります。少年鑑別所は保護処分を適正ならしめるため、医学、心理学、教育学、社会学その他の專門的知識に基いて少年の資質の鑑別を行うということになつております。区別はいろいろございますが、大体において俗に少年刑務所というようなものでございます。
  131. 木村榮

    木村(榮)委員 この点をお尋ねしますのは、少年といいましてもまだ小さい七つ八つの子供もおります。それから十七、八歳ぐらいの相当成年期に近い者もおります。ところが現在の世の中において、少年というものは非常に犯罪的なものになつておる。というのは敗戰の結果、悲惨な日本の現実が生み出したかわつた現象で、少年に罪がないことが多いのである。そういつたことは皆さんよく御存じだと思います。そこで少年院とか少年観護所とか、まあ少年法があるわけですから、そこでいろいろな規定があるのでしようが、いわゆる監獄の部類の中に入れて、そうして法務廳の方の支配下に置くことについての幾分の疑問が私はあるわけであります。これはむしろその点がよく詳細にわからぬからなんですが、この点をもう少し明確化して、むしろ中には厚生省の方にでも置いて、適当な社会施設として——一体これは社会施設であるか、今の懲戒といいましようか、そういつたものをたくさん加味した社会施設的なものであるならば、むしろ法務廳の方の管轄ではなくて、厚生省とかその他適当なものがあると思います。その点は議論は別にして、今の段階においては、あくまで懲戒的な性質を多分に持つておる、かように解釈してよいでありましようか。
  132. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 さようでございます。これは家庭裁判所、つまり普通の裁判所と違いまして、今お話のごとく、ほんとうの犯罪としては取扱わない軽い犯罪であります。十四歳以上の少年につきましては、ほんとうの犯罪よりもつと弱い意味の犯罪としてこれを取扱います。そのために家庭裁判所ができておりまして、そこで判決を受けて、今申し上げましたようないろいろな刑務所へ送つて参ります。しかし普通の犯罪とは違いますから、これを軽く扱う。十四歳以下の者は犯罪を構成しませんから、兒童福祉法によりまして、厚生省が所管をいたしております。これは中間のものでありますので、法務総裁が所管しておりますけれども、その取扱いは、御趣旨のようになつておりまして、刑務所とは完全に区別をいたしておるのであります。それより若くて犯罪を構成しないものは、いわゆる犯罪少年でありましても、厚生省で扱つております。中間のものは、厚生省ともよく連絡をとりつつ処置いたしておるのであります。
  133. 木村榮

    木村(榮)委員 機構の問題に大いに関連いたしますが、少年の犯罪というのは、起つてしまえば犯罪になるものもございますが、犯罪などという言葉で表現していいか惡いかは、非常に問題があると思います。最近の少年観護所などの脱走事件、放火事件の内容を檢討してみますと、厚生省の所管に属すべき、いわば兒童福祉法の方でしなければならぬものと、少年犯罪者的なものをある程度混合しておるのではないかと思う面があるので、そういつたことも考えて、少年観護所的な制度を今後運営して行くためには、法律上の問題のみではなしに、ほんとうに少年のことを思つてやらなくてはいかぬと思いますが、今度の法案の中に、矯正保護局の所掌事務といつたものを通して、特殊な保護方法をお考えになつておるかどうか、承つておきたいと思います。
  134. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 それは木村さんの御趣旨の通りでありまして、少年法というものが特に普通の刑事法のほかにできましたのは、そういつた趣旨によるものであります。この少年法に基きまして出て参ります反則者である少年を、今の少年院その他の軽易な刑務所に收容するわけなのであります。少年法の第一條に、「この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年及び少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする」、こう書いてあります。これに基いて今の少年院でありますとか、観護所、鑑別所ができたわけでありまして、お話のごとく厚生省がいたすべきような仕事を、これらの機関において行うのでありますが、これは人的、物的に非常な設備がいるのであります。十分な施設がありまして、教官もそろい、設備も監獄とは違いまして、ごく環境のよろしい設備を完成いたしまして、そこで矯正するのがほんとうであります。そのために予算を要求しておつたのでありますが、財政上の都合でなかなか十分に配賦されません。予算がなくて設備が不十分な場合に、かようなりつぱな法律を施行いたしましても、効果があがらぬのみならず、かえつて惡い結果を生じはしないかと考えまして、少年法その他の法律の施行をもつと延ばしたいと非常に努力をいたしたのでありますが、何分にも延ばすことに同意が得られません。從つて施設が不十分なところへ法律を先に施行したというような関係になつておりまして、そのためにああいう忌まわしい事件がたびたびできまして、まことに申訳ないと思つておるのであります。そこでなるべくこの法律の趣旨に沿いますように施設を完備したいというので、財政上においても極力措置を講じておりまして、これは財政当局者も認めてはおるのでありますが、一挙に完璧を期することができない状態にあるのであります。われわれ当局者といたしましては、このりつぱな法律の目的にできるだけかなうように施策を進めて行きたいと努力をいたしておる次第であります
  135. 木村榮

    木村(榮)委員 この問題は、今法務総裁が言われたような方向へ早く善処していただきたいと思います。  それから十三條の三の監獄の問題なのですが、民主主義の時代に、今までの司法省も法務廳といつた名前になり、内部機構や裁判の方法等も相当かわつて來たのであります。監獄法は明治四十一年にできて大分古くさいのですが、この際監獄法も御改正になる御意思はございませんか。
  136. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 お話通りでありまして、監獄法が旧態依然として残つておりますことは遺憾でありまして、これを改正する考えは以前からあつたのでありますが、なかなかむずかしいとみえまして、一向成案が得られないで今日に至つておりますので、急速に改正をいたしたいと考えて、研究中であります。改正をいたします際に、この名前も改めるようになるであろうと思つております。
  137. 木村榮

    木村(榮)委員 ひところ監獄が刑務所という名前にかわつておりましたが、また今度監獄とかわつたのは、その方がいいわけだからですか。
  138. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 それは、監獄法によりああいう設備ができましたが、はなはだ妙なことに、監獄法によつて設置されました監獄を、刑務所と名づけておるわけであります。法律改正するのはめんどうであるから、とりあえず刑務所という名前にしようということで、妥協して今日に至つておるのだそうであります。
  139. 木村榮

    木村(榮)委員 最後にもう一点。いろいろな資料を見ますと、定員法によつても、法務廳の方の関係ではあまり人間が減らないようでございますが、刑務所の看守といつたものは相当ふえますか。それとも現状のままですか。
  140. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 法務廳といたしましては、まだ定員法が出ません先に確定的なことを申し上げるのもなんでありますが、現在予算の標準の定員は、本廳及び本廳外を入れまして四万二千百五十三名、これが今度は四万八百七十六人になる予定であります。そういたしまして、この刑務所の職員につきましては、標準定員が一万七千百十九人でありますが、これは一人も減らないことになつております。ただいままだ欠員がたくさんございまして、ふやすわけには参りませんが、その欠員を急速に補充いたしまして、刑務所の仕事を十分にやつて行きたいと考えております。その他では申し上げるほどのことはございません。あとは法務廳の定員で減りますのは、登記事務をやつている登記所でございます。供託であるとか、その他の仕事もやつておりますが、この定員が八千八百七十五ありますのを約四百減らします。それから檢察廳に純粹の事務を扱つておる事務官がおります。その中から約七百何十人を減ずるつもりであります。しかしながらまた新しい仕事がふえまして、定員か自然ふえて参る部分もありますので、差引きいたしまして、今のように千六百いくらの減員になりますが、これは予算の上の減員でありまして、実際上の減員はほとんどなくて済むということであります。もつとも、ある局とかある課におきましては、それがそつくりなくなつて参りまして、そこの局長なり課長なりで、わきへ融通のきかない人もありますので、そういう人はあるいは一人や二人は整理しなければならぬ人も出て來るかと思いますが、なるべくわきへ持つて行きたいと実は努力いたしております。
  141. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 これで法務廳設置法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  142. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 安本長官が見えておられますから、この際経済安定本部設置法案及び経済調査廳法の一部を改正する法律案につきまして、御質疑のある方は、この際御発言を願います。小川原君。
  143. 小川原政信

    小川原委員 ちよつとこの際お尋ねしたいと思いますのは、この修正の中にあります第七條第二項中、官房次長一人を官房次長二人に修正するということと、生産局次長二人を置くということと、生活物資局に次長を二人置く、こういうことが修正になつておりますが、このことをひとつ御説明願いたいと思うのであります。
  144. 青木孝義

    青木國務大臣 小川原委員にお答えいたします。御承知の通り経済安定本部は、ごく端的に申し上げますれば、頭が大きくて下が小さい、しつぽが小さいというような組織になつております。これは安定本部の性格上、いわば当然というように、こういう形に相なつておる次第でございまして、次長制も特に安定本部成立以來、外部から一般の知識経驗者を、ことに民間からとるということが原則になつており、さらにそれぞれ次長を配しまして、行政上の運営を全からしめるということに相なつておる次第でございます。そこで、今おつしやいました三つの局に、一人ずつふえた、こういうことは第一に官房に二名の次長がありますが、これは一名は官房自体のいろいろな仕事をいたします。他の一名は、これは御承知かと存じますが、私のところは関係筋と絶えず折衝いたしますので、渉外関係に特にりつぱな人を迎えなければならぬ、こういう意味で一名は次長ということに相なつておる次第でございます。  そのほか生活物資局及び生産局におのおの一名ずつ加えましたことは、おのおのの局が商工省とかあるいは農林省とか、あるいはその他各般のことにわたつておりまして、とても一人では仕事がやりきれない。御承知の通り経済安定本部は、総合企画の場所でありまして、ほとんど各省にわたつておりますので、その仕事はきわめて廣汎であります。そのために、特に生産局なり、生活物資局なりに、一名ずつをお加え願つた次第でございまして、ぜひこういう仕事の全きを期したいということで、各一名ずつの補正をお願いした次第でございます。
  145. 小川原政信

    小川原委員 大体の概念は明瞭になりましたが、もし次長二人を置くということになりますと、その職務権限においていろいろのなわ張り爭いというようなものができて、おもしろくないような関係がありますが、そういうことは起りませんか。そういう点もなお聞かしていただきたい。  それから、どうもこういうところに多くの役人を置くということになりますと、いろいろの関係から、支障が起つて來るというような点は、相当民間では響きが強く傳えられておりますので、その点もひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。なおつけ加えまして、あとの箇條につきましては、御説明を願いたい。こう考えるのであります。
  146. 青木孝義

    青木國務大臣 これまで経済安定本部は成立以來、こういうふうな形をとつて参りまして、各省からそれぞれ次長が出ていただいて、大体において均衡を保つて、そこに摩擦とか矛盾とかいうようなものは、ほとんど生じなかつた経驗を持つておりますし、またそれぞれ仕事の分野におきまして、商工省担当あるいは農林省担当といつたように、その仕事の中での分野が、おのずからきまつておりますので、別段相爭うというようなことは、これまで見なかつたという経驗を持つておりますので、この方法で参りますことが、最も適当であるというふうに考えておる次第でございます。
  147. 野田信夫

    ○野田政府委員 修正案の次長の増員のことは今長官からのお話がございましたが、あとは全部條文の整理であります。二十條第二項中「物價廳長官とし、」の次に「経済安定本部総務長官たる」という文句を入れるということは、現在でもこの通りになつておりますので、ただ單に「國務大臣」とあつたのでは意味がはつきりしませんから、それをはつきりさせますために、「経済安定本部総務長官たる國務大臣をもつてこれに充てる」というようにただ明瞭にしただけであります、それは経済調査廳についてもやはりこれと同樣な文句が入つておりますので、それと関連をとりまして、物價廳としても同樣の文句を入れた、これだけのことであります。それから第二十一條中「及び第三十二号に掲げる」を「に掲げる権限及びその他法律法律に基く命令を含む。)に基き物價廳に属せしめられた」と改めましたのは、法文が簡單過ぎて意味が漠然としていたのをはつきりさせるために、これだけの文字をつけ加えた方が意味がはつきりするという点で入れただけのことであります。それだけが本文中でありまして、あとはみな附則の方です。附則の第四項「総理廳事務官経済安定本部事務官に、総理廳技官は経済安定本部技官に任ぜられるものとする外、」という字がありますが、これは職階制その他の関係から事務官、技官をわけてこういう文句を言うことは必要がなくなつたわけでありまして、ただ職員と言えばそれで済むことになつたわけであります。それで自然これだけの文句は不要の文句が入つてつたというわけでありますから、これを削除いたすわけであります。それから附則の第七項以下ずつとここにありますが、それはごらんくださればわかりますように、みな法律の名前を掲げておるのであります。第七項中「第一條」とありますのは、その前に通貨発行審議会法というのがすでに出ておりますから、それをまたさらに繰返して「通貨発行審議会法第一條」は重複になりますから、ただ單に「第一條」と言えばすでにそれを意味して、明瞭なのであります。それを繰返す必要がありませんものですから、その條文の次に出ております「通貨発行審議会法第一條」をただ「第一條」と改めるということであります。それからその同じ條文の中に「第三條第一項」の下に「、同條第三項」を加えるとございますが、これは委員の任免権の問題であります。第三項を加えた意味は、もし加えないとこれは総理大臣が任命するということになるのでありますが、これは当然同じ人ではありますが、安定本部の総裁が任命するというのが本式でありますので、ここで第三項を加えるという意味は、総理大臣でなくて、安定本部総裁が任命するのだということを意味するのであります。これも錯誤で落ちておつたのをそこに入れたわけであります。それから附則の第八項、第九項、第十項、第十一項にみなこの法律の名前が重複しておつたのを削りとる。こういうほんとうの錯誤を訂正する條文の整理だけであります。以上であります。
  148. 木村榮

    木村(榮)委員 経済安定本部というのは特殊的な行政機構ですが、たとえば昭和二十三年度の予算定員を見ますと、二級官の方が三級官より多い。そこでたとえば物價廳というのができていますが、これは大体前には物價局と言つたのですか。前からあつたのですか。
  149. 青木孝義

    青木國務大臣 あとの方の問題でありますが、経済安定本部の中に物價局というのがございます。ところがそれが今回物價廳の方に、別に外局として物價廳に属することになつておりますので、その方面に移管するということでありまして、從來は物價局というものが一個の独立な局として経済安定本部の方に存在いたした次第でございます。
  150. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと、今まであつた、つまり内局の物價局をおやめになつて、外局の物價廳の方に合流したわけですね。
  151. 青木孝義

    青木國務大臣 そうです。
  152. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと、両方の人数が一緒になるのですか、つまり事務官やなんか……
  153. 青木孝義

    青木國務大臣 経済安定本部に属した物價局はこれはなくしまして、物價廳の方に必要なものだけ移管をいたした次第であります。
  154. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、今までかりに昭和二十三年度の予算定員を見ますと、一級官が二十五、六名だつたと思いますが、今度非現業三割首切りになりますと、七名ばかり首切られる。ところがこの法案を見ますと、次長とかなんとかたくさんふえていまして、きようも修正意見が出たのです。この法案では官房次長一人になつていますが、今度は二人にしようという修正意見が安本委員会の方から出ていますが、そうすると非現業三割首切つた場合には、安定本部なんかの場合は、実際問題としては高級の方は大した出血なくして、下級の方が出血が多くなると解釈していいわけですか。
  155. 青木孝義

    青木國務大臣 今回の行政整理に伴いまして一官房六局ということになりまして、從來は次長は十五名あつたと思いますが、それを今回は十一名に減らしたのであります。それから局長を四名減らした。上の方はそういうふうになつておりまして、形の上から申しますと先ほど申しましたように、下の方の人によけいかかつて來るという感じがございます。しかしながらこの安定本部ができたその当時と、今の日本経済の現状考えてみますと、よほどかわつて來ているということも言えると思います。またいろいろと経驗の上でやつてみますと、やはり前には材料の收集とかいろいろなことで、下級の方面が比較的多くいつたということも、だんだんやつていますうちに、われわれの省の性格がこれではつきり出て來るということでありますが、ことに今回の三割減ずることについては、われわれとしてはこれほど減じてもらつては困るという考え方もありましたけれども、しかし吉田内閣行政整理を実行する、これは当然國の経費を節約するために実行しなければならぬことでありますので、結局この経済安定本部がその機能を十分発揮しながら、多少減員されても、十分その仕事を能率的にやつて行けるということを考えて。こういう組織に改める次第でありまして、表面から見ますと、下の方に重みが行くというふうに見えるとは思いますが、それほど大して違はないというふうに、自分は信じている次第でございます。
  156. 木村榮

    木村(榮)委員 そこでお尋ねしたい点は、今度外局として物價廳ができた。それから経済調査廳も外局としてできた。ところが第二十條を読んでみますと、「物價廳は、價格等の統制その他物價に関する事務を行うことを主たる任務とする。」といつたふうに、きわめて簡單に書いておりますが、これは物價廳のやる仕事と経済調査廳のやる仕事が相当重複する面が出て來ると思う。ところが経済調査廳の要項を見ますと、それは條項中には重複しなくても、実際に日常運営の面においては、相当私は屋上屋のようなところがあると思う。経済調査廳なんか見ると、実は二級官以上が二千人、三級官が千五百人、こういつたふうで普通の官廳ではおよそ考えられない特殊的な官廳である。そこへもつて來て、こういう物價廳という同じ外局ができた。そうすると同じ経済安定本部の外局でありながら、調査廳が物價廳を調査したり何かするような妙な現象が起つたりすることもありましようし、経済調査廳が二級官をたくさん擁して、これが安本において横暴きわまる存在になると思う。私は今度の機構を見ると、大体経済調査廳は外局としていらぬはずだと思う。あれはやめられたらどうですか。民自党はあれをこしらえるときに大反対であつた。この経済安定本部機構が整備されるときに、調査廳というものはいつそおやめになつてはどうですか。お考えはどうですか。
  157. 青木孝義

    青木國務大臣 お言葉でございますが、物價廳なり経済安定本部、それから外局としての経済調査廳、これはおのおの性格が違つております。民主自由党は経済調査廳の設置には反対であつた、これは自分もよく心得ているところでありますが、現在の日本の統制経済がなお今日のような状態を呈しております間は、これらの機構組織が必要であるということを認めざるを得ないのであります。ただいま経済調査廳についての二級官、三級官の数に関する御意見がございましたが、これは経済調査廳のようなものは、おそらく税務官吏等についても問題があると思いますが、なるべく教養のあるりつぱな人を置くようにいたしたい。從つて現在不適当だという者もあるかもしれません。そういうところは直しまして、統制経済が民主自由党が主張して参りましたように、相当に統制が解除され、緩和されて行きますれば、あるいはこういうものが不要になる時期が到來するかもしれませんが、現在のところではこの機構を善用して参ることを考えておる次第でございます。
  158. 木村榮

    木村(榮)委員 それはそういうふうにおつしやるのは当然でございますが、しかし「本部に、総裁官房及び左の六局を置く」として、生産局、動力局、生活物資局、財政金融局、貿易局、建設交通局、こういうふうにある。これは微細な点にわたつては省令とか政令とかで任務がきまるのでしようが、それから各地方の経済安定局といつたものを見ると、今経済調査廳がやつている仕事とほとんど同じ関連性のある仕事が実際問題としてたくさんある。経済調査廳というものは、大体経済警察的なものであつたと思う。こういうことが非常に強調されている。ところがそう言つてみたところで、それでは何をやるかというと、ほんとうを言うと、大した差はない。経済警察的な仕事をやればやや動きますが、それをやらぬと、もう大したことないですよ。ほんとうにわずかです。だから実際運用の面は、経済警察という名前は使わないが、経済警察が今までやつて來たようなことを経済調査廳がやつている。それは皆さんが末端に來て現にごらんになればわかることです。だからこの際せつかくこういうふうな機構がかわるときなんだから、経済調査廳というものはやめて、経済警察がやることならば、その分野をまた元に返すとか何とかしてもらわないと、これは非常に屋上屋で、私は警告しておきますが、必ず経済調査廳は安本の中のがんになると思う。二級官千人以上を抱えた外局ががんばつて、本家本元の方より親方になる。三千五百人、しかも二級官が千人以上もがんばつている外局なんてものを独立させる場合は、安定本部の政策なんか吹き飛ばすようなことをされることになる。しかもそういう機構を持つておりながら、現実においては今安定本部と同じ仕事しか法律上においてはない。ただ法律を逸脱して経済警察的なことをやれば、それはやや仕事があるかもしれませんが、それをやらぬ限りにおいては、ほんとうに屋上屋です。だからこれは十分御檢討をなさつて、しかるべく整理された方が、民主自由党のためにも、日本國のためにもいいと思う。御考慮を願いたい。そのくらいにしておきます。
  159. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 二点ばかりちよつとお聞きいたします。物價局が外局の物價廳に包含されることになりますと、経済政策の立場と價格政策の立場との関連がうまく行かぬようになつて來るのではないかという懸念があるのですが、その点について……
  160. 青木孝義

    青木國務大臣 経済政策の各般にわたる研究並びに討議、それからその決定については、絶えず物價廳の次長が出席をいたしまして、連絡をとりながら仕事をいたしております。そのためにその間にあまり矛盾の起るようなことは、これまでございません。
  161. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 われわれの経驗によると、現在の物價廳は非常に價格の決定について独断であつて、経済政策のことはちつとも考えないでやる。ただ資料を集めていろいろ意見は聞いてきめますが、一旦きめると、はつきり間違つているとわかつて変更しない。從來は物價局が安本の方にあるから、多少緩和の道があつたけれども、これが外局の物價廳に包括されてしまうと、物價廳の今のような委員に出るというてもなかなかそう行かぬ場合もあるから、内局の方の経済政策と完全に結びつきができなくなるのじやないかというおそれがある。その点について外局の物價廳について何か考慮される点があるかどうか。
  162. 青木孝義

    青木國務大臣 御意見なり御質問でございますが、御承知の通り現在の日本の経済しかも動態面を把握して行くためには、どうしても賃金なり物價がともかくも十分把握されなければならぬことは御承知の通りだと存じます。從いまして物價廳が細大漏らさず、ともかくも日本経済全般にわたつての一應の價格体系、並びに個々の物價についての種々なる操作を行つて参りまする性格としては、私どもとしてはこれがなくしてわが國の経済を十分理解し、また政治の上で処理をして行くことは困難ではないかと考えておりますので、これを十分効果的に機能を発揮いたしますならば、お説のような点がむしろ日本経済全体として適当に処理されて行くのであつて、もしこういう機関を持たないといたしますならば、おそらく日本の経済の適正な運営は不可能ではないかというふうに考えておりますので、なお御意見は十分承つて、今後ともわれわれは不適当だとか、あるいは物價廳そのものの活動自体について改めるべきところは改めて参りたいと存じますが、私の考えとしては右申し上げたような次第でございますので、御了承願いたいと存じます。
  163. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その点打切りまして、それからちよつとお聞きしたいのですが、情報部は官房の連絡部に入るのですか。それから労働局は全然なくなつて運輸局と通信局はどういうふうになるか、ちよつとお伺いいたします。
  164. 青木孝義

    青木國務大臣 情報部は連絡部の中に包括されて情報課に相なります。それから労働の方も労働課になつておる次第でございます。労働部が労働課になつております。それから通信と運輸と建設を一まとめにして建設交通局という一局にいたした次第でございます。
  165. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 労働課は官房のうちに入つたわけですね。そこで一点だけ伺いますが、貿易局、財政金融局、動力局という経済再建についての資金資材の面についての機構はそのままになつて、労働局が労働課に縮少されるというような状態から考えますと、資金資材の面に重きを置いて、労働の方面を非常に軽視したような感がありますが、この点について御意見を承りたい。
  166. 青木孝義

    青木國務大臣 財政金融の面はそこにございました通り一局に相なつておりますが、労働の方が課になつたということは何か力が弱まつたのではないか、力を入れないのじやないかというような御疑念があると思いますが、それは私どもとしてはたとい労働局が課になりましても、内容をできるだけ充実いたしますとともに、労働省とも緊密な連絡を保ちまして、万違算なくその点は処理して参りたいと存じております。
  167. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 労働省の労働対策と経済安定本部の労働の立場は少しかわつた立場で了解しているのです。資金資材の面の偏重に陥つて、労働者の協力が軽視されるという感が起るのですが、やはり課になつても人員を充実すればよろしいという御意見ならばもちろんいいのですが、機構の方面から考えますと、やはり充実して行くという建前ならば、局としておいても何らさしつかえない、かように考えられる。從つてこの改革の案を見ますと、経済再建について労働者側の協力を軽視しておる、いわゆる資本主義傾向に移つたのではないかということが非常に懸念されるのですが、その点いかがですか。
  168. 青木孝義

    青木國務大臣 財政金融の面は御承知の通りなかなか廣汎にわたつております。もちろん労働も大きな日本経済の推進力であつて、これなくしては日本経済の推進はできないことは言うまでもないところでありまして、よく承知いたしておるところであります。從つてこれを官房に属せしめまして官房長及び次長、副長官と、できるだけそういう面において学識経驗ともに十分な人たちが配されておりますので、先ほども申し上げましたように、労働局が課になりましても御心配のようなことはなかろうと自分は信じておる次第であります。
  169. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 私は全然反対の立場で、こういう労働課にする、片一方をそのままにするというのは、安定本部の適正円滑なる機能発揮を阻害するという私の見解を申し上げまして、質問を打切ります。
  170. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 これで経済安定本部設置法案経済調査廳法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしましたが、日程には載つておりませんけれども、海上保安廳長官が來ておられますから、日程をつけ加えまして、海上保安廳法及び海難審判法の一部を改正する法律案について御質疑があればこの際御発言を求めたいと思いますが、いかがでございますか。
  171. 木村榮

    木村(榮)委員 質問はありますが、この際暫時休憩をしてもらいたいと思います。
  172. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 十分間休憩いたします。     午後五時十九分休憩      ————◇—————     午後五時三十二分開議
  173. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは休憩前に引続きまして、海上保安廳法及び海難審判法の一部を改正する法律案について、御質疑があればこの際に御発言を願います。
  174. 木村榮

    木村(榮)委員 ちようど長官が來ておられますから、一つだけお尋ねしてみたいと思います。最近海難が非常にふえておるように承つておりますが、一体あの原因は船舶が老朽して、そういつた海難が多いのか、あるいはまた氣象関係の観測などが最近はあまり行われて——行われてはおるでしようが、不十分だ。その他何か特殊な原因があるのですか。どうも最近は特にふえたようですが、その点がもしおわかりであつたら、簡單でいいですが御説明を願います。
  175. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 お答えいたします。御意見通り、ただいま火災は三十分おきに一回発生しております。海難は二時間おきに一隻が海難をいたしておりまして、この原因を調べてみますと、運航上の不注意に基くものが二五%、機関取扱い上の不注意によりますものが一三%、機材の自然損耗が四%、材質構造の不良でありますものが四・七%、水路並びに燈台その他航路標識の不備によりますものが二%、不可抗力が二一%、その他原因を調査中でありますものが三〇%、すなわち約三八%は運航上の不注意もしくは機関取扱い上の不注意によるものでありまして、おおむね船員の技倆に関連して参る問題だと思います。
  176. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと、大部分が船員の質が低下したことによるというわけなのですか。
  177. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 日本の海上における船舶運航技術は戰前は非常に優秀でございましたが、残念ながら戰爭中最も多く殉職いたしましたのは優秀なる船員で、優秀なる船舶と、優秀なる船員を戰爭によつて失いましたために、現在は遺憾ながら船員の技倆が非常に低下しておる、かように認められるのであります。
  178. 木村榮

    木村(榮)委員 それに対しての対策といつたようなものはあると思いますが、そういつた場合はむろん船員の訓練が大事だと思います。そこでこの運輸省設置法案などを見ますと、商船学校といつたようなものが、私の見た範囲ではあまり拡充されない。しかもいわば名目的に書いてあるくらいな状態になつておりますが、あれでは非常に困るので、もつとああいう船員を養成いたします機関を積極的にふやして——ふやすというだけじやなく、内容の問題も機構の問題もございますが、何にしてもそういつた方面にうんと力を入れていただくということはお考えになつているとは思いますが、保安廳の中にはそういつたことはございませんか、そういうことに対して專門家である大久保さんは何かお考えの点はございませんか。
  179. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいま木村委員の御発言は、今後の日本の海上における航海の安全、その他海運の発達上非常に根本的な重大な問題だと存じます。これは所管上から申しまして、海上保安廳が推進いたすべき面と、運輸省の海運総局の系統において推進すべき面とございます。海上保安廳は船舶職員の定員及び資格試驗、こういつたものを所管いたしております。すなわち船員の免状を発給いたし、その免状をとるに必要なる試驗を行つておる次第でございます。教育の方は運輸省の海運総局の方で所管いたしております。この教育と船員の試驗並びに免状の交付ということが両々相まちまして、船員の技倆を向上し、ひいては航海の安全を保持する重要なる要素となるのでございます。かような意味におきまして、海上保安廳といたしましては、全國の船員、特に全國の海上において最も前線において奮鬪しておりますところの漁船船員等、小型船舶の船員に対する試驗あるいは免状というものをとるように十分に奬励をいたしまして、また極力便宜をはかりまして、いろいろ船員の技倆の未熟から起る不必要なる財貨の喪失、貴重なる人命の損耗に対する対策を講ずるように、着々措置をいたしておる次第でございます。
  180. 木村榮

    木村(榮)委員 もう一点だけお尋ねいたしますが、この附則の三十五條に「海上保安廳は、当分の間旧海軍艦船の保管に関する事務を掌る。」とございますが、私は相当船の方の関係の仕事も若いときにしておつた関係上、よくこのことに氣をつけて見ていますと、相当まだ各港や造船所の付近には、半分できそこなつたような鉄船とか、もう相当でき上つてすでに海上の方へおろしておる船があつて、そのままになつておるのをたくさん見受けますが、ああいうものを含んでおると思いますが、あれは早く処分をして、何とか日本の現在の状況に合うように活用する方法はないものでしようか。
  181. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいま御質問の船は日本の國有財産に引継がれまして、國が所管しております面は大藏省の所管に相なります。海上保安廳はまだそれが決定いたしませんで、連合軍から所管を命ぜられております艦船に関しまして所管をいたしております。ただいま御質問の点は確かに現在一部に起つております。この点は私どもは重要な問題であると存じまして、経済調査廳あるいは大藏省に対しまして、こういう問題をすみやかに処理せられまして、適当にこれを運用すべく相手側に引継ぐように、またそれを活用いたしますように御連絡をいたしておる、かようなわけでございます。
  182. 木村榮

    木村(榮)委員 そういつた調査をあなたの方からお出し願いたい。たとえば川なんかで、私の方は川や海の多い所でございますが、このごろは簡單な渡船でもこしらえますと、とても小さな金ではできない。その横の方には昔の下の平らになつたような簡單な鉄船がそのままそこに放置してあるのです。ああいつたものが、日本の海軍勢力の復活のような方向に使われてはむろんいけませんが、民間ではこのごろ高くて品がなくて渡船に困つておる。そういう点についてはあなたの方で十分御調査になつていただきたい。ただ事務をつかさどつておるだけなので権限はないでしようが、少くとも國会の方へそういう資料をお出し願つて、早く合理的に研究したいと思うのです。これは希望ですが、お願いしたいと思います。
  183. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいまの木村委員の御意見は、政府としましても十分これは措置すべき事項だと存じております。関係機関と協議をいたしまして、御期待に沿いまするように極力努力いたしたい、かように存ずる次第であります。
  184. 木村榮

    木村(榮)委員 これは私の方の委員が運輸委員会においていろいろ質問したと思いますから、私はこの問題はこれでいたしませんが、ただ海上保安廳が運輸省の外局となつたということに対しては、今の長官としてはこれは最も妥当な方法であるとお考えになつておるかどうか、承つておきたいと思うのです。それは妥当だとおつしやるでしようけれども、何か御意見があれば承つておきたいと思います。
  185. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安廳は御承知のように二つの大きな目的を持つております。一つは航海の安全を保持するという任務であります。もう一つは海上における治安を維持するという任務であります。前者の航海の安全をはかるという面におきましては、さらにこれを二つにわけまして、一つは海難を予防する面、他は海難が起りました場合にこれを実際救助する面でございます。海難の予防という面は非常に廣うございまして、たとえばこれは木村さんすでに御承知でありましようが、海図を発行いたしましたり、あるいは沈沒船を引揚げたり、機雷の掃海をいたしましたり、あるいは船舶の安全檢査をいたしましたり、あるいは船員の免状を発給いたしましたり、あるいは海上における交通整理をいたしましたり、海難の調査をいたしますとか、あるいは燈台を設置いたしますとか、非常に廣汎な面を持つておる次第であります。また海上における治安維持の面におきましては、御承知のように海上を巡邏警戒をいたしましたり、あるいは密貿易不法入國の取締りをいたしましたり、さらに一切の海上犯罪、暴動、騒乱の予防鎭圧までいたすことになつております。以上申し上げました海上保安廳の任務の中で、航海の安全を保持するという任務は、非常に重要なる任務でありまして、しかも二時間おきに一回海難が起りまして、これを金銭に評價いたしますと、火災による損害よりもさらに大きいといつたような海難を防止いたしますことは、非常に重大なる要素になつて参ります。かような関係は運輸省が一般の運輸行政として行つております海運と非常に密接なる関係がございまして、そこで海上保安廳は運輸省の外局に置かれておる次第でございますが、ただ運輸省の外局となりましたために、運輸大臣の一般的行政権としての所管外であります、たとえば密貿易の取締りという面につきましては、大藏大臣の監督を受ける、海上における治安の維持の任務につきましては、法務総裁の監督を受ける、漁業法の関係につきましては農林大臣の監督を受けるというように、海上保安廳法によりましてそれぞれ関係大臣の監督を受けまして、海上保安廳長官がこれを執行するということに相なつておる次第であります。運輸省の外局ではございますけれども、それぞれの面についてそれぞれの行政廳の監督を受けておるような次第でございます。以上お答え申し上げます。
  186. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 今度の改正によりまして海難審判所が海上保安廳の管轄に入つたわけでありますが、この点について何か原因があるか、その点を伺いたいと思います。
  187. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 先ほど御答弁を申し上げましたように、海上保安廳は海難の予防ということを大きな目的にいたしております。審判所もまた海難審判法の第一條によりまして、海難の調査予防ということがその大目的になつております次第で、そこでこの二つの機関がそれぞれわかれて設置されておりますので、これが一体として設置されておりますならば、先ほど申しましたような大いなる日本近海の海難の防止に非常に役に立つ、かような見解からいたしまして、海上保安廳と一体として海難審判所を所掌するようにいたした次第でございます。
  188. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 今の実質的方面から考えるとそうでしようが、海難審判は一つの裁判でありますから、裁判の公正という立場から考えますと、現在海上保安廳が檢察的の任務が多いという建前から考えますと、檢察廳が取上げた事件を檢察廳で審判をするというのは不合理なように考えるのですが、その点いかがでございますか。
  189. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 御答弁申し上げます。海上保安廳は必ずしも檢察廳的性格を持つておるものではないのでございます。先ほど御説明申し上げましたように、船舶の安全檢査をいたしましたり、船員の免状の発給をいたしましたり、あるいは海難予防のために燈台建設をいたしましたり、海図を発行いたしましたり、あるいは機雷の掃海をいたしましたり、いろいろ海難の予防に関する諸行政を所管しておる次第であります。海難審判所もやはり海難予防の行政をその目的といたしておりますので、全然海上保安廳と同一目的を持つておる次第であります。そこで陸上におきまする自動車運轉手の免状の発給並びにその停止行為を警察機関が一体として所管いたしておりますように、海上における船員の免状並びにその免状に対する停止行為を、同一行政機関でありますところの海上保安廳が一体として所管いたしましてもさしつかえなかろう、かように存じておりまするし、ただいま御質問の海難審判は、一つの裁判行為ではないかという御質問に対しましては海難審判は裁判類似の手続をふむことに相なつておりますけれども、これは般員の免状の取扱いを特に愼重にいたしまして、船員の保護をはかつておりますだけでございまして、これは司法行為だけではなく、行改行為なのであります。そこで免状の発給も行政行為であり、免状を停止するその審判行為もこれまた行政行為でございます。そこで檢察廳が裁判所と同一でないという、司法、行政の違いとは全然異なつておるのであります。同一行政行為でございますので、これを一体として海上保安廳が所管してさしつかえなかろう、かように存ずる次第であります。
  190. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 これはまた見方が違いますが、現在海上保安廳はファショ的傾向があるとか、あるいは日本海軍の復活だとか言われておる。もちろん大久保長官は私と同郷であるし、御人格からその点は毛頭ありませんが、現在海上保安廳の組織がかように新聞なんかにも出るし、一般に誤解されておる。こういう点からしまして、やはり行政処分的の審判ではありますが、一つの法制的の審判を必要とするものから推して行けでやはりこれは運輸大臣の管理に置いた方が、保安廳の立場としてもかえつていいではないか。かようにも考えられますが、いかがでしようか。
  191. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安廳が出発にあたりまして、國際的にもいろいろな誤解を受けました。現在におきましてもとかく誤解を受ける立場に立つております。海上保安廳発足以來ちようど一年になりますが、この間いろいろ外國の皆さんにも海上保安廳の船舶その他に実際御案内いたしまして、実情をつぶさに御視察を願つた次第でございます。その結果十分御理解を得たこととは存じますが、先ほど申し上げましたように、海上保安廳は海難の予防ということを最大の目的にいたしておる次第であります。かような意味から申しまして、運輸省の外局であるということは、これは一つ行政体系としては適当な方法ではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  192. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 これは一つのお願いになるかもわかりませんが、海上保安廳が密漁、密航、密貿易の取締り、ことに九州近海では中國、朝鮮からの関係で非常に多いと思うのですが、何か海上犯罪について、保安廳として過去六箇月ないし一箇年間の表か何かありましたら、あとでもよろしゆうございますから、参考のためにひとつ御提示願えたらけつこうだと思います。これで私の質問を終ります。
  193. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 御答弁申し上げます。海上保安廳は不法入國、密貿易の取締り、並びに海上における犯罪の捜査、犯人の逮捕も所管いたしております関係上、昨年の五月から本年二月までの十箇月間の統計を申し上げたいと思いますが、この間におきまして、犯罪の発生件数は一千八百九でありまして、それに対しまして檢挙件数は一千五百三十四でございます。檢挙人員総数は五千百六十三人に相なつております。檢挙人員を國籍別に見ますと、日本人と日本人以外とはほとんど同数に相なつておる次第であります。密入國、密貿易に関しましては、ほとんど大部分日本人以外でございます。
  194. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 海上保安廳及び海難審判法の一部を改正する法律案に対する質疑はこれで終了いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後五時五十七分散会