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1949-04-16 第5回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月十六日(土曜日)     午前十一時零分開議  出席委員    委員長 齋藤 隆夫君    理事 小川原政信君 理事 根本龍太郎君    理事 牧野 寛索君 理事 吉田吉太郎君    理事 坂本 泰良君 理事 苫米地義三君    理事 木村  榮君       青木  正君    有田 二郎君       江花  靜君    尾関 義一君       佐藤 榮作君    田中 萬逸君       丹羽 彪吉君    山本 久雄君       犬養  健君    小林 信一君  出席政府委員         宮内府次長   林  敬三君         宮内事務官         (皇室経済主         管)      塚越 虎男君         厚生事務官         (兒童局長)  小島 徳雄君         林野局長官   三浦 辰男君         運輸政務次官  坂田 道太君         運輸事務官         (陸運監理局         長)      小幡  靖君         建設政務次官  赤木 正雄君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君  委員外出席者         議     員 滿尾 君亮君         労働事務官   冨樫 總一君         專  門  員 龜卦川 浩君         專  門  員 小關 紹夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三九号)  日本國憲法八條規定による議決案内閣提  出)   請 願  一 道路運送監理事務所存続請願大野伴睦    君紹介)(第二〇〇号)  二 同(小淵光平紹介)(第二〇一号)  三 兒童局廃止反対に関する請願大和田義榮    君紹介)(第二〇八号)  四 道路運送監理事務所存続請願岡崎勝男    君紹介)(第二二六号)  五 同(滿尾君亮君紹介)(第二五四号)  六 林野行政砂防行政との統一に関する請願    (守島伍郎紹介)(第二七六号)  七 資材調整事務所存置請願青木正君紹    介)(第二七八号)  八 道路運送監理事務所存続請願小野瀬忠    兵衞紹介)(第二八九号)  九 同(小高熹郎君紹介)(第三五八号)   陳情書  一 林野行政砂防行政との統一に関する陳情    書    (第七〇号)  二 兒童局存置陳情書外四件    (第七一号)  三 道路運送監理事務所存置陳情書外七件    (第九六号)  四 道路運送監理事務所存置陳情書外二十六    件    (第一二三号)  五 労働行政機構一元的地方委讓に関する陳    情書(第一三    一号)  六 砂防行政農林省一元移管陳情書    (第一三四    号)  七 道路運送監理事務所存置陳情書外十四件    (第一三八号)     ―――――――――――――
  2. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  それでは請願及び陳情書審査に入りますが、本日審査いたしまする請願及び陳情書は近く提出されます各省設置法案等と関連いたしておりますので、本日は紹介議員の來られておる請願につきましてその紹介を聞き、また紹介議員の來られておらない請願につきましては、便宜上文書表朗読をした上で、政府当局意見を聞き、また意見質疑のある方は発言していただきたいと思います。  それでは順次請願及び陳情書審査に入ります。  それでは陳情書のうちに砂防行政農林省一元移管陳情というのがありますが、これをまず議題といたします。     〔書記朗読砂防行政農林省一元移管陳情(第一三四号)   陳情者 滋賀縣治山協会長 佐野眞次郎 最近行政機構改革を機として、農林省所管治山事業の一部である山地治山施設事業及び災害防止林施設事業等の業務を、建設省に統合することであるが、砂防行政森林経営不可分関係を有し、これが統合は不合理きわまりない。ついては砂防法による砂防事務農林省に移管して、眞に一貫した治山治水事業を徹底的に実施し、もつて災害防除の実をあげられたい。
  3. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 まず関係当局意見を求めたいと思います。
  4. 赤木正雄

    赤木政府委員 これに対する建設省意見を申し上げておきたいと思います。  もともと明治三十年に砂防法ができまして、それ以來砂防工事はことごとく今日の建設省前身内務省でやつておりました。ところが明治四十三年に大きな水害がありまして、その際初めて第一回の治水会議が起つた際に、森林行政農林省関係であるために、現在内務省でやつておる砂防工事も、やはり農林省でやつてはどうかということを、当時の委員中村さんから発言がありまして、それが動機となりまして、明治四十四年から荒廃林地復旧工事という名前で、内務省砂防とまつたく同じ工事をすることになつたのであります。しかしその結果は、同じところに内務省農林省で同じような仕事をする。從つて材料奪い合い、あるいは人夫の奪い合いなどがあつて、その結果はただ仕事が困難になるばかりで、しかも両方の間に何ら統一した仕事はない。そういう結果からいたしまして、これをどちらか一つの省にまとめた方がいいという問題が起つたのであります。その後昭和三年の閣議決定事項といたしまして、砂防工事には、はげ山に木を植える仕事と、谷川堰堤護岸等を築く二つ仕事がありますが、その山に木を植える工事山腹工事谷川にする仕事渓流工事言つておりますが、この渓流工事は主として内務省でする。渓流工事に直接関係のある山に木を植える仕事内務省でする。それから森林造成目的をもつてはげ山に木を植える仕事農林省でする。またこれに直接関係のある渓流工事は、やはり農林省でするというふうな決定になつたのであります。ところが実際仕事をしてみますと、二つ仕事農林省内務省でわけてすることは実際できない。その結果ただ困るのは地元の人ばかりで、何とかこれを一つの省にまとめて、地元が困らないようにやつてくれというのが長年の要望でありました。その結果たしか昭和十八年ごろと思いますが、その当時の衆議院の本会議で、これは一つの省にまとめてやればいいということに決定になつたのであります。こういうような点からいたしまして、今日農林省でしておられる荒廃林地復旧工事、また建設省で施行しております砂防工事と、この不可分仕事両方の省でやることは確かにこれは不合理である。あらゆる点から言つて一つの省にまとめるべきであります。ただここに問題になりますのは、かりに砂防工事農林省に持つて行きました場合に、今度は砂防工事河川工事はどこをもつて区別するか、これはひとり日本のみならず、ヨーロツパの砂防工事をしているあらゆる國へ行きましても、河川工事砂防工事をどこをもつて区別することはできないのであります。でありますから、かりに砂防工事農林省に持つて行つた結果といたしましては、今日地元の人々が農林省建設省砂防をやつている同じ苦痛、同じ不利益が、今度は河川工事砂防工事の間に当然起つて來るのであります。そういう観点からいたしまして、建設省といたしましては、砂防工事農林省に持つて行くことの不合理のみならず、むしろ農林省でしておられる荒廃林地復旧工事建設省に持つて來ますか、あるいは建設省という名前惡いなら、とにかく山の上から河口に至るまで、治水に関するものは一つの省にまとめる。荒廃林地復旧工事砂防工事不可分なのと同じように、砂防工事河川工事不可分でありますから、いずれにしても治水行政一つの省にまとめるべきである、こういう見解を持つていますので、この際砂防工事農林省に移管することは、実際問題として今日各地方で農民の困つているその不利益を解くことはできないという見解を持つています。     —————————————
  5. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 委員がおそろいになつたようでありますから、陳情書審査方はちよつとやめまして、昨日に引続きまして、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案日本國憲法八條規定による議決案、これを一括して議題といたします。大体昨日で質問は済んだと思いますが、他に御質疑はございませんか。
  6. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは両案に対する質疑を終局いたしまして、討論を省きまして……。
  7. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それでは討論に入ります。木村君。
  8. 木村榮

    木村(榮)委員 私は日本共産党を代表して、この値上げの法案には反対いたします。理由はたくさん申し述べたいわけでございますが、大体わかつていますから、きわめて簡單に申し上げておきます。これは常識的なことであつて、たとえば今度の予算を見ましても、災害復旧費費用なんかは相当大幅に削減されています今日、天皇の見舞金だけがふえるなんということは、まことにもつてこつけいな話で承服しがたいことなのです。その他國民に対しては、今度の國家予算を見ますと、相当大幅な耐乏生活をやらなければならない、こういうことがきわめて明瞭に強調されていますにもかかわらず、皇室だけが相当多額な金の支給を受けるというのは、現下日本勤労大衆生活そのものを勘案いたしました場合でも、私たちといたしましてはきわめて納得の行かない点がたくさんある。そういつた関係から、この際このようなことに対しては反対をいたします。まだまだ本質的な問題について反対理由はございますけれども、今日はその点は省略いたしまして、きわめて簡單反対理由だけを申し述べておきます。
  9. 小川原政信

    小川原委員 私は民主自由党を代表いたしまして討論をいたしたいと思います。  ただいま反対の御議論がございましたが、昨年の第四國会におきまして、賃金ベースが約二倍になんなんと上つたのであります。その後の物價は御承知通り著しく高騰いたしましたが、皇室費はそのままになつておるのでありまして、御内廷費も非常に窮迫しておるということは、われわれ國民のひとしく認めるところであります。ここにおきまして本案が議題となりまして、われわれは愼重審議調査の結果、政府が提案をいたしましたことはまことに当を得ましたしかたであると、こういうふうに考えまして、われわれは原案に賛成するものであります。簡單に申し述べておきます。
  10. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 ほかに討論はありませんか。  それでは採決をいたします。この両案に賛成の方の御起立を願います。
  11. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 起立多数であります。よつて両案は原案通り可決いたしました。  なお報告書の作製については委員長に御一任を願います。     —————————————
  12. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 次に請願及び陳情書審査に移ります。
  13. 木村榮

    木村(榮)委員 砂防について簡單に質問したいことがあるのですが……。
  14. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 よろしいでしよう。木村君。
  15. 木村榮

    木村(榮)委員 今政府側の御説明によると、砂防工事農林省の方に移管した方がよいというわけですか。
  16. 赤木正雄

    赤木政府委員 いや、そうじやないのです。農林省に移管されたら困るというのです。むしろ治水工事は、荒廃林地復旧工事も、砂防工事も、河川工事も、一つの省にまとめるべきもので、これを農林省に移管すべきものでない、こういうのであります。
  17. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、たとえば造林植林、こういつたことをやるためと砂防工事というものも、相当いろいろな関連性もあると思うのですが、造林植林などは、國土計画から見ますと、農林省の管轄に入るのがいいか、あるいは建設省なら建設省の方で、國土計画といつた面からやるのがいいか、どのようにお考えになつていますか。
  18. 赤木正雄

    赤木政府委員 造林植林も、これは治水の面から言つて非常に大きな部分を占めています。しかしこれはまた一面におきましては木材の生産ということも考えなければなりません。その意味で今ここに、造林植林もすべて建設省にもつて來たがいいということは、私はこの際は申しません。しかし荒廃林地はげ山に木を植えるという仕事は、これは純然たる植林ということはできない。たとえば岡山縣のごとき愛知縣のごとき、ここに植えるべき木は普通の木では生えないのであります。そこに非常に乾燥した、不毛の土地でも生えるような木を植えまして、これが十年なり二十年経つて、とにかく地盤を安定させる、安定した上に今度はほかの木を植える、そういう方針をとつております。從つて荒廃林地復旧工事事業費を見ましても、そのうちの八割くらいは土木に関する費用で、ほとんど一割か二割が、造林あるいは木を植える方の費用で、大部分費用土木に関する事業であります。一旦そういうはげ山に木を植えまして、これでもう土地が安定するということになつたら、今度農林省造林なすつてけつこうだと私は思います。
  19. 木村榮

    木村(榮)委員 建設省を去年こしらえますときに、当時一松さんが大臣じやなかつたかと思いますが、大体当時民主自由党の方々もこういう意向だつたように記憶いたしますが、建設省というものが今までのような内閣建設院のような性格のものでは困る。少くともこれはみんなうまく統合して、ほんとう建設省らしい仕事をしてもらいたい。もしそのような実績があがらなかつたならば、一箇年くらい経過を見て、建設省というものは再檢討すべきだという話があつた。そのときには今の砂防工事の問題その他いろいろな問題と重複した面を、全部大体整理してしまうという話で発足したのですが、その後そういうような方向に向つていますか。
  20. 赤木正雄

    赤木政府委員 一向にかわつておりません。でありますから私の希望するところは、この委員会がぜひともほんとう建設省になるように、名前はどうでもいい、とにかく建設省というものに一本にしてほしい、こういう希望をぜひともお願いするわけであります。     —————————————
  21. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 それではこの請願の第一、第二、第四、第五、第八、第九、及び陳情書の日程第三、第四、第七は同一の趣旨でありますから、これを一括して議題に供します。紹介議員の方がおられますれば発言を求めます。
  22. 滿尾君亮

    滿尾君亮君 私は請願の第五を紹介いたしました滿尾君亮でございます。道路運送監理事務所存続の点につきましてお話を申し上げたいと思います。道路運送監理事務所が例の行政整理対象となりまして、地方團体に統合しようという大体の原案が進んでおるように、伺つておるのでありますが、この監理事務所をぜひ元の形態において存続いたしたい。行政整理対象といたしまして、財政上の費用を節約するという面につきましては、毛頭異存はないのでありまするけれども道路運送行政に筋を通しますためには、ぜひ現在の体形を存続しておきたいというのがこの請願趣旨でございます。実は先だつて本多國務相にも御質問申し上げたのでありますが、この点については、地方團体に統合するのが目的なのか、行政財政上の整理をする、結局必要な金額を捻出することが目的なのか、いずれに重点を置かれるのかお伺いいたしましたところ、大体財政整理ということが究極の目的であるというお話である。してみれば何もしいてこれを地方團体に統合せしむる必要はないのじやなかろうかということを申し上げた。実はわが國の道路運送行政については、どうしても主務官廳と末端の機構とが一貫的に直結いたしますことが、現在のわが國の実情において絶対に私どもは必要だと考えております。特に今日の行政がアメリカの占領下におきまして、いろいろ実証主義的なやり方をいたしております。そのためには必要な統計がぜひ集まらなければ、何も手が出ない。しかるに理想論は別といたしまして、今日のわが國の地方團体というものが、その面について、中央の官廳とどれだけ緊密な連絡をとつて仕事ができるかについて、非常な疑問がある。それは地方自治團体を育てればいいじやないかという一つの批判的な観念論があり得るのでありますけれども実情に即してみましたときに、なかなか私はむずかしい問題で、どうしてもこれは道路行政に関する一貫という意味において、これを存続するのが必要である、かように考える次第であります。
  23. 坂田道太

    坂田(道)政府委員 滿尾議員請願に対しましてお答えいたします。滿尾議員請願の御趣旨は、われわれ運輸当局といたしましても同感でございまして、陸運行政一貫性を貫くという面、あるいはこれで取扱つておりますところの輸入物資であるタイヤ、チユーブあるいはガソリンというものが強く統制されておる今日におきまして、これを地方委讓することはかえつて弊害があるのではなかろうかというふうな観点もありますし、またお説の通り経費節減という点におきましても、地方委讓したからといつて経費節減になるわけではありませんし、結局出先機関廃止あるいは委讓という内閣一つ計画もございますけれども、この道路運送監理事務所は、組織としてはどうしてもこれを残した方がよろしいという見解に到達いたしました。しかしながら現在の機構のままでいいかと申しますならば、私たちはそういうように考えておらないのでありまして、やはりこれは行政整理あるいはその機構縮小という点には十分注意をいたしまして、相当思い切つた縮小をした上で、これを残したいという考えに本省としては決定をいたし、今まで折衝を続けて参つたのでございます。しかしこの内閣出先機関廃止及び地方委讓というような大きな政策の具現という面もありまして、いろいろ折衝の結果、一昨日の閣議におきまして、一應地方事務委讓しても大してさしつかえないという面はこれを移し、どうしても必要やむを得ざるものはこれを残すということにいたした次第でございます。從つてブロツク陸運局を残し、われわれといたしましては、この陸運局のもとに地方分局を残すという線で進んで参りましたが、昨日の閣議におきまして、まだ一致を見なかつたのであります。ところが本日の首相との折衝によりまして、大体この分局を残すということだけは了解点に達したもようでございます。こまかい点については、陸運監理局長官が來ておりますので、長官から説明申し上げる次第でございます。
  24. 滿尾君亮

    滿尾君亮君 大体お考えのアウト・ラインと御折衝の趣、進行の趣は、われわれといたしましてよく了解したのでありますが、私どもは、道路運送監理事務所名前等については、ちつともこだわつておらぬ。仕事の実態がうまく行きさえすればいいのでありますから、道路運送監理事務所の名称を持つた役所がなくなりましても一向さしつかえない。仕事がうまく行きさえすればいい。それには私は、仕事本位考え行政整理考えなければならぬ。行政整理のために仕事の方をむりやりにゆがめるようなことがあれば本末顛倒であります。從つてただいまの御構想伺つて、大体地方陸運監理局ができまして、分室によつて必要な事務を運んで行かれる、非常にけつこうな御構想でありますが、各省設置法案の命ずるところによりますと、その分室を最初から明確に、法律的に規定しておかれなければ、必ずや將來に悔いを残すおそれがありますから、当局におかれては、さような点にお手落のあろうはずはないと思いますけれども、十分なる考慮をもちまして、分局設置方について御考慮いただきたいと考えます。
  25. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつとお尋ねしたい。今度日本通運の方で一駅一店がなくなつて、一駅二店ぐらいになるらしいが、私いつも道路運送関係で研究しております結果は、非常にダブつている面がある。地方などの配給の場合、たとえば牛馬飼料配給の場合、それから米の運搬をいたす場合など、今まで道監の方からも配給のような操作をやる。また縣廳の農務課の方からも、何か傳表のようなものが來る。いつもそういう問題をめぐつて爭奪戰が行われる。私のいなかの方のいろいろな業者の連中は、両方はつぱをかけて、うまく引込むというようなことが現に起つております。そこで今度小運送の方で許可を受けてやるようになると、そういつた問題をめぐつて、今までの日通と、今度新たにできた業者との間のいろいろなこと、それからまた自家用トラツク許可その他の問題をめぐつて、非常にいろいろな問題が起る。今政府の御説明があつたのは、そういつたことで地方行政機構でやつてもさしつかえないことは、その方へ委讓するというようなことを言つたのだと思います。そこでまあ大体の構想としては、今までの仕事の分野を明確化されるわけだと思いますが、その点もう少し、大ざつぱな点でもおわかりになつておりますか。
  26. 小幡靖

    小幡政府委員 御説明申し上げます。小運送の問題は、実はこの道路運送監理事務所取扱つておりません。これは現在鉄道局長取扱つておるわけでございます。近く複数制にいたすように考えておりまするが、当然これも今の道路運送監理事務所ではもちろん取扱わないということになります。ただ今度は御承知通り鉄道はコーポレーシヨンになりまして、会社みたいな、公社みたいなものになります。從つてこれに行政をやらせるということはできませんので、現在鉄道局長の持つているのは、小運送の面と、それから地方鉄道監督の面、それからもう一つ倉庫監督の面、これだけは現在鉄道局長が持つておるのでありますから、これは全部取上げなければならぬ。これを全部取上げまして、そうして今道監のうち、全國九ブロツク特定道監というのがありまして、これが各ブロツク間の総合的な事務取扱つておるが、これにみな統合しなければならないという問題と、もう一つ今度は鉄道局自身に対する監督という問題が起つて参ります。これが公團の形になりますので、これを運輸大臣として監督しなければならぬ。その場合に鉄道局自身に対する監督という新しい仕事一つできる。これも一緒にして今までの特定道監に全部これを統合するということになるので、非常に大きな仕事になります。特定道監を昇格させて、陸運局をつくるという考え方で進んでおるわけであります。この陸運局で小運送の面は取扱うということになりますが、今までの道監云々の問題には全々関係がないわけであります。  それから資材の点についてお話がありましたが、大体私の方としては輸送関係を主として取扱い、それに必要な資材関係取扱う、こういうことで道監が現在仕事をしておるのでありまして、資材関係もその意味におきまして道監からこれを配給するということになつております。ところで縣の方と重複しておるという問題でありますが、この問題につきましては、ほとんどこれは重複面がないのであります。御承知通り、前は縣の警察部で、保安課あるいは交通課というところで道路運送関係仕事をやつておられたのでありますが、これは実質的には二十二年五月に——当時まだ道路運送監理事務所とは言わないで自動車事務所言つておりましたが、この自動車事務所が物調法に基く資材配給取扱うということで置かれることになつたのであります。その自動車事務所に、府縣で持つております道路行政を全部統合して、二十三年一月からできた道路運送法に基いて、今までの自動車事務所というのは、道路運送監理事務所ということに名前をかえまして、名実とも道路運送行政を一元化するということになつたのであります。從つて縣の方では保安課交通課でやつてつた道路関係仕事は、全部自動車事務所、すなわち道路運送監理事務所に移管するということになりまして、現在地方廳というより警察の方で取扱つておりますのは運轉手の免許だけで、あとはこの道路運送監理事務所に統合されております。從つて府縣にも、たとえば商工局で言えば商工課があるというような形になりますが、この道路運送に関する限り、そういう交通課とか保安課とかいうものはありません。從つて現在事務が重複するということはほとんどないのであります。ただ牛馬に対する飼料というようなものは、私は縣の方のやり方はよく知らないのですが、縣の方で取扱つている輓牛馬以外の、あるいは競馬用の馬とか、あるいは乳牛というようなものに対し、飼料配給の面があると思います。そういう方面からあるいは輓牛馬用の方にもおわけをいただいているのではないかと思いますが、その辺はよく存じません。ただ私の方で荷牛馬車用の飼料取扱つております。そういうわけでございまして、大体根本的には重複関係は全然ないと考えております。
  27. 小林信一

    ○小林(信)委員 ちよつと伺いますが、この道監事務所ですが、これの資材配給部面はうまく行つておりますか。民主的に、一部の運送業者に壟断されることなく、全般的に配給されておりますか。  それからもう一つ、この問題は相当地方産業の進展に影響を持つていると思いますが、そういうことが即應できるような処置が、この事務所でできるかどうか。地方官廳あたりと密接な連絡を持つているとか、あるいはその事務所自体が主として農村方面の産業進展に即應するようなことが考慮されるかどうか。そういう点について伺いたいと思います。
  28. 小幡靖

    小幡政府委員 資材配給でありますが、資材配給で一番大事な問題は、現在のところガソリンを主とする石油製品、それからタイヤ、チユーブであります。これはいずれも九〇%以上輸入に仰いでおる品物でございます。從つてこれをうまく配給するということが非常に大きな問題になるのであります。この実情を申し上げますと、タイヤは現在要求に対しましてせいぜい十七、八%しか配給できておりません。それからガソリンにおきまして四十四、五%しか配給できていない。このように非常に少い資材でございまして、特にタイヤに至つては今申し上げます通り、二〇%にも足りないような数字になつておりますので、これを公正に地方の輸送事情によく合せるように配給するということが、一番大きな問題でございます。從つてこの点から、特にGHQ方面から非常にこまかい調査資料をつくることを命ぜられまして、その資料を元にしまして、これを公正にわけるというわけ方をいたしております。しかもそのわけ方といたしまして、大体タイヤなどは本省の方で大わくをきめまして、各地方ごとにわけ、地方ではそれぞれ配給委員会をつくつてそれにかけてわけるというわけ方をいたしております。私どもとしてはその点はまず公正に行つておると考えております。もちろんとかく道監に対する惡評のあることも承つております。またその事実はないということは決して申し上げません。しかし制度といたしまして、この組織で行くことが、配給の方も一番うまく行くのではないかということを考えておるのであります。特に最近配給の面につきまして、今までやつておりますものよりも、さらにこまかな調査をする必要がある。たとえばガソリンを配給いたすにつきましても、それぞれトラツクならトラツクに運行表を持たせまして、その表に本日はどこからどこまで、何トンのものを運んで來たということを、それぞれ全部記録して、捺印をとりまして、その証明書を集録して、それを東京に集めて、それに基いてガソリンの配給をやる。こういうような運用手続も最近にESSの方で出ておるのであります。これは私ども実はこれを嚴重にやりますれば、現在の道監をそのまま存置しまして、それだけの人間でやつてもとうていできないという程度まで行つておると思うのであります。もちろんこの点については十分折衝の余地が残つておると思います。しかしそういう点までこまかに命を受けまして、そうしてそのこまかな調査に基いて配給をやるということになつておるのであります。この点は私どもこれを府縣委讓いたしましても、そういつた仕事ができるかどうかということに非常な疑問を持つております。現状でも相当むずかしいと思うくらいな、こまかな調査に基いて配給をやるということになつておるのであります。これは何と申しますか、個人的の問題を別にいたしまして、組織として考えた場合においては、最も公正に配給せられる方法だと、私どもは確信いたしておるわけであります。  それからなお農村関係の産業方面に、特に貢献するような仕事が何かあるかというお話のように承りましたが、これは今申し上げましたようなことで、要するに輸送力を最も公平に配分するということを考えておるわけであります。その趣旨從つてやることが、結局間接には大きい影響を持つと思います。あるいは私御質問の趣旨を誤解しておるかもしれませんが、これといつて特に農村関係に、こういう仕事をしておるといつたようなものがあるわけではありません。特に輸送関係の方の公平を期するということが使命だと思つております。
  29. 小林信一

    ○小林(信)委員 今のは貢献するということでなくて、即應できるかどうか。この地方の産業と運送という問題は、密接な連絡をとらなければならぬと思いますが、そういうことに即應できるかという意味です。
  30. 小幡靖

    小幡政府委員 ぴたつとはまつたお答えになるかどうかわかりませんが、私ども実は地方実情に即應してやるという面から言いましても、地方々々にわけるべきではないという考えを持つておるのであります。一つの例をとつて申し上げますと、先般の北陸の震災の場合、あるいはまたアイオン台風といつたような場合でありますが、そういう場合に、すぐ他府縣から應援させるというような処置は、今のように一貫した行政をやつておりますときに初めてうまく行くというふうに思つておるのであります。たとえば福井のごときは、あの震災のありました当時、すぐに京都、大阪方面から、あるいは愛知方面からも、石川、富山の方は言うまでもありませんが、急速に應援隊が繰込んで行つた。これなどは一貫して一つのところでやつておりますから、すぐに指令を出しまして、そうしてそれだけのものをすぐに持たせてやつた。それから本省からももちろん配分いたしましたが、ガソリン、タイヤというようなものを、各地方で余裕のあるところからすぐに持つて行く、こういうことはもちろん府縣でもできないことはないと思いますが、しかし一貫した本省の指令で、すぐにやれる制度になつておるという点が、長所の一つではないかと考えます。現にこの点につきましては、福井の知事からは、福井道監が非常に各方面と連絡をとつてよくやつてくれたというので、これに対して大臣から賞状を與えてもらいたいという御申請もありまして、大臣から賞状を與えたというような例もあります。そういう点、私は即應できる体制は、むしろ現在の体制が最もいいのではないかと考えております。
  31. 小林信一

    ○小林(信)委員 もう一つお伺いしたいのは、配給委員会というものの構成の仕方、これには一つの形があるのかどうか。それの権限、つまり配給委員会決定したものが、それがすぐそのまま有効であるかどうか、あるいは所長さんの最後的な決定によるのか、そういうことを伺いたい。
  32. 小幡靖

    小幡政府委員 配給委員会の構成と申しましても、これは大体今までのところは、こういつた配給委員会をつくれというふうに、私の方から指示はしておりませんが、おおむねまず府縣廳の関係の方々、それから商工、農林あたりの出先機関の方々、それから各業界の組合の方々、こういうふうな方々、たとえばトラツク組合、あるいはバス組合、あるいは自家用組合、あるいは輓馬組合といつたような形のもので、それぞれの組合の方々が入つて、官民合同してこの委員会を構成するというやり方が多かつたのであります。同時にこれの権限でありますが、これも今申し上げましたように、はつきりとこれが全権を持つているということには現在なつておりません。道路運送監理事務所の諮問機関ということになつておりますが、しかし現実においては、ほとんど決定機関で、そこできめましたものをどうするということになつておりません。  それからさらにまたつけ加えて申し上げますことは、今度できました運用手続によりまして、この配給委員会というようなものを置くべしというお話がございまして、そしてこういうふうな形でつくれということをきめる権限、この配給委員会でもつて決定権を持つというやり方にいたすことに、はつきりなつております。今までは慣習上そういうふうになつておりますが、今度はその点をはつきりと成文化してやる段取りになつております。
  33. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 道路運送監理事務所地方委讓の点についての第一の反対は、地方ボスの支配を受けないというのが主眼だろうと思います。そこで所長の権限をあまり多く認めると、所長もそこにおれば、やはりそこの地方ボス化するおそれがある。そこで道路運送監理事務所の所長の権限の内容と、それからそれに対して中央の方は、その所長が更送されたについてどんな考えを持つているか、その点お伺いしたいと思います。
  34. 小幡靖

    小幡政府委員 お話のごとく道路運送監理事務所長に、相当大きな権限を與えるということに弊害が伴うおそれがあるということも、これは一理ある考え方であります。しかしまた一方から申しますと、これは必ずしも道監問題だけではございませんが、一般に中央集権をやめて、なるべく地方に権限を與えることの方が、地方民が非常に御便利である。一々東京の中央まで行かなければきまらぬというかつこうにしたくないということで、実は道路運送監理事務所長に対して権限を多く附與しろというような要望が、現在むしろ強いのであります。今のところ道路運送監理事務所長に対しましては、あまり多くの権限は與えておりません。その理由一つは、何と申しましても、昨年の一月一日から、法規上はつきりと発足したという状態でありまして、ことにやつている人間に、自動車関係に非常に経驗を持つた者がおりますが、そういう者以外に、いわゆる鉄道から入つた人間が相当ある。從つて行政事務、あるいは自動車行政事務というものには不なれであるという点もありまして、これはあまり多く與えても円滑に行かないという氣持も多くあるのと、それからお話のような点も考慮いたしまして、多くの権限を與えておりません。今のところといたしましては、たとえば自動車の檢査でありますとか、ごと小さな臨時運轉の免許をやりますとか、それから資材配給面につきましては、今申し上げましたような、委員会の組織を経てやるという行き方で権限を與えております。そういう程度のところでありまして、多くは中央の私の方からの調査をやらせるというようなことが、非常に大きな仕事になつているわけであります。自分独自でできる権限は必ずしも多くはありません。私どもといたしましては、ある程度これは権限を與え、同時に今お話のような、ボス化するといつたような形にならぬように、今両者を勘案して、たとえば委員会組織といつたようなものを強化することによりまして、ただいま申し上げましたようにこれを成文化することで、かつてに所長が独断的な行動のできないように、そういう点を考えながら、むしろ相当多く権限を與えることの方が、地方の方々に御便宜ではないかと考えているわけであります。なお所長の更迭等につきましては、これは実は今まで、昨年の一月にできまして、それから出しました人事必ずしも公正に行つていないように私も思います。この点については、大体はつきりわかりましたし、人間その他もよくわかつておりますので、今度統制機構縮小整理ということもいたさなければならないので、この機会に相当程度これに大きな異動を考えております。適当なものを持つて行くということに考えたいと思つております。  なお全般的な考えとしまして、私は資材関係を担当いたしておりますような者は、これはあまり長く同じ位置につくべきじやない。もちろんエキスパートになる必要もありますけれども、あまり長く同じ位置につけることは、いろいろな腐れ縁というようなものもできまして、あまりおもしろくないというように考えておりますので、そう長く止まらせないような方向に持つて行くべきじやないか。殊に、あまり大きな異動をやるのも考えものでありますが、同一地の同じ役に、長くつけておくということは考える必要があるんじやないか、こういうふうに考えております。
  35. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 少し今度問題が違いますが、各府縣においてはトラツク業並びに旅客自動車運送業については、まだ戰爭当時の企業統制の観念があるのであります。たとえば熊本縣あたりは九州産業交通というのが、自動車の旅客輸送についても、トラツク運送についても、独占している。こういうような場合、こういう監理事務所ができても、配給の面においてもやはり末端にまで流れない。そこでこの企業の統一については、これは長所もあり、欠点もありますが、あまり縣全体を一つ統一することは不公平があるし、現在の縣民の要請としては、戰爭前にその意思を無視して、トラツク十台持つているものも、五台持つているものも、あるいは三十台持つているものも、あるいはバスをやつているものも、一つのものに統合されて、それがそのまま現在残つている。從つてそれが残つている以上は、いかに審議会があり、地方の政令があつても全部そこに資材の点も流れて行く。そこでこの府縣においては一つにせずに、自由競爭的におくかどうか、分散的の機運があるのですが、その点についていかなる見解を持つておられるか伺いたい。
  36. 小幡靖

    小幡政府委員 仰せの点重々ごもつともであります。実はこの問題につきまして仰せのごとく、最近非常に解体という思想が出ております。これに対しまして私ども考え方を申し上げますれば、戰時中強制的な統合をやりまして、不自然な大きな統合をやらしておるという点はこれはよくないと私も思います。その点ある程度の解体ということはやむを得ないと思います。ただ解体というのが、一方また非常にお話のごとくこれも弊害があるのでありまして、殊にいたずらに小さく分けまして競爭状態におくことは、今の資材の不足なときに最も有効に使わせるという意味から申しますると、あまり競爭をやることは、結局空車で走るということがどうしても多くなる結果にならざるを得ないのでありまして、そういうことはなるべく有効に使わせるという面から申しましても、小さなものが分立するという考え方はおもしろくない。殊に最近九原則の実施以來、こういう点につきまして必ずしも小さくわけるという考え方は、國家的に見てよろしくないという考え方も一方に強く考えられます。そういう点からいきまして、適当なところで——今まで統合した当時のいきさつももちろんございましようし、それからその縣々の事情もございましようし、同時に今申し上げたような解体の目的なり、またその結果なりがどうなるかということを、愼重に考えてやらなければならぬという考え方で免許をいたしておりますが、御承知通り今は自動車の免許ということにつきましては、道路運送法の施行と同時に、道路運送委員会というものができまして、この道路運送委員会に各府縣二名ずつ知事の推薦によつて出ております。道路運送委員が愼重審議いたしまして、それでそういう解体問題でも、みな解決するということになつております。政府といたしましては、これに服從することになつております。そういう形で現在やつておりますが、すでにある程度の解体も今まで大分認めました。そういう弊害の面も考えて、やたらな解体はいたさせないという考え方に向つております。またこれは労働問題という点から考えましても、あまりに小さく分けるということはおもしろくないという点については、私ども労働者とその見解を同じくいたします、そういう点からいたしまして、結局程度の問題なり、あるいはいろいろないきさつなり、結果なりを判断した上で、やらなければならぬと考えておりますので、一概に統合がよいとか、解体がよいという結論は出せません。適当に善処するというほかにしかたがないと、かように考えております。
  37. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そこで、服從するというのだが、縣知事よりの推薦によるその委員が、やはり不当なことをする。よくないことがある。たとえば熊本縣においては九州産業がひとり運送業を独占している。だからほかのものが九州のりつぱな物資を福岡に送ろうとしても、やはりその手を通じなければできないのであります。だから適当適当と言うことは美辞麗句である。現実に即するということも美辞麗句であつて、そういうことができない場合があります。きようは坂田政務次官が來ておられますから、熊本の九産の独占について、いかなる見解を持つておられますか。政務次官の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  38. 坂田道太

    坂田(道)政府委員 熊本の場合は後ほど調査いたしまして御答弁いたします。ここではつきりした御答弁をいたしかねます。
  39. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 ちよつとお諮りいたします。青木君がおられますが、日程の第七はすでに審査が終了しているのでありますが、あなたからなお御紹介がありますか。
  40. 青木正

    青木(正)委員 本件につきましては去る七日請願第一四四号で同一のものが出ておりますから、私から御説明申し上げることは省略いたします。     —————————————
  41. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 次に陳情書の一三一号を議題にいたします。     〔書記朗読労働行政機構の一元的地方移讓に関する陳情書(第一三一号)   陳情書 神奈川縣議会議長 加藤  詮 現在の労働行政機構は職業行政、労務行政、労働基準行政とにわかれ、その運営の形態もおのおの異つているが、これは労働者の福祉増進、國民の職業安定をはかり、産業の進展に寄與せんとする上において地方行政と遊離し、その終局的な効果をあげるに大なる支障を來たすとともに、國民大衆に対し多大の不便を與えている現状にかんがみ、労働行政を都道府縣にその権限を委讓し、労働行政の一元的運営をはかられたい。
  42. 冨樫總一

    ○冨樫政府委員 ただいまの陳情につきまして労働省として考えておりますことを、ごく簡單に申し上げたいと思います。陳情にもございますように、現在労働行政地方機構といたしましては、労働爭議、労働組合に関するいわゆる労政行政は、縣の行政として縣がこれを所管しておるのであります。もう一つは職業紹介事務を中心とした、いわゆる職業安定行政は、形の上におきましては、政府の直轄行政でございまするが、実質的には知事に権限を委任いたしまして、縣の中に職業課を置き、その管理監督のもとに、公共職業安定所が各地にあるのであります。第三の行政といたしまして、いわゆる労働基準法に基きまする労働者の労働條件の監督、いわゆる基準行政、これはまつたく本省直轄のもとに、各府縣に都道府縣基準局を設けまして、その下に労働基準監督署を置いて、これを実施するというふうに、陳情趣旨にございまするように三本建になつておるわけであります。このことが民間の方々にいろいろと御不便をかけておる、これを一元的に縣に委讓せよという御陳情趣旨は、かねて各方面から出て参つておるのであります。労働省としても十分承知しておるわけであります。ただこの公共職業安定行政につきましては、御承知通り府縣單位によりまして、それぞれ労働市場というものができておるわけではございません。山梨縣の者も東京に就職する、川口、千葉からも東京に就職するというふうに、行政機構にかかわらず、それぞれ労働市場というものが形成されておるのであります。また大きく申しますれば、石炭とか纖維とかあるいは進駐軍の需要される労務というものは、全國的な規模におきまして、労務の需給調整をはからなければならないという事情にあるのであります。このような事情からいたしまして——これはわが國だけの特殊事情でございませんで、世界各國におきましてもさようになつておるのであります。このために一九一九年と昨年の両度にわたりまして、國際労働條約によりまして、職業安定行政は本省の直轄行政としてなすべし、こういうことになつておるのでございます。從いましてそのような事情から申しまして、労働省としては今日形は本省直轄という建前にし、現実には、知事にこの安定行政の実施面についての監督事務を委任して、その間の調整をはかつておる、こういう事情でございます。また労働基準行政につきましては、御承知通り労働基準法の施行ということは、労働者の最低労働條件を全國画一的に保障するという建前でございまして、各地方の事情によつて最低條件の監督を、二、三にするという建前はとるべきではない。これまた國際労働條約によつてそのようになつておるわけでございます。陳情の御趣旨はかねて十分に了承しておるのでありますが、一面におきましてそのような事情で、一元的に地方委讓することが、非常に困難な事情を内在しておるということを御了解いただきたいのでございます。実際の運用におきましては、三本建ではございまするが、自治的に三者できるだけの連繋をとりまして、民間に御迷惑をかけないように努力しておるわけであります。いずれにいたしましても、かねてからの陳情の御趣旨及び縣に一元的に委讓することが、はなはだ困難であるというこの二つの事情を勘案いたしまして、近く内閣におきまして、いずれかに適当な御決定を見るものと、労働省としては期待しておるような次第でございます。簡單でございますが……。     —————————————
  43. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 請願の第六でありますが、先ほど建設省の方の意見を聞きましたが、今農林省の方がお出でになつたそうでありますから、農林省の方の御意見を聞きたいと思います。
  44. 三浦辰男

    ○三浦政府委員 山地の砂防農林省の方に統一してしまえ、現在建設省でやつておる砂防、それから建設省で現在やつておるものを統一して、むしろ農林省にもつて來い、こういう請願でありますが、農林省といたしましては、もとより水を治めるためには、どうしても山を治めなければならない。しかも日本の最もゆるい河川と言われておる利根川が、世界の川と比較いたしますると、最も流水の早い川よりもさらに勾配が強いといつたよう日本の地形と、そして日本で國土の六割も山林を持つておるという事情からいたしまして、この砂防は、できることであるならば、むしろ山の管理経営に対して監督をする立場である農林省が持つことが妥当ではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。これに関しましては、内務省における砂防指定地と、また農林省における保安林の制度、この二つがありまするがために、とかく議論がある問題でございまして、昭和三年にはこの両者の権限整備に関しての閣議決定がございまして、爾來それによつて今日まで來ておるような状況でございます。その詳細につきましては、お手元まで差上げました治山事業の性格、そこに外國におきますところのこの所管の変遷した例、すなわちあるいは内務省あるいは大藏省等に行つていたのが、現在ではほとんど農林関係に來ているということも併せて書き加えました書面もございますから、お読みいただきたいと存じます。
  45. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そうすると、今の意見農林省の方にやつた方がいいというわけですか。
  46. 三浦辰男

    ○三浦政府委員 そういうことになると思うのです。ただそのときにおそらく、やはり河川との問題が出て來る。結局現在でも私どもの見るところによれば、同じ建設省であつても、河川の方と砂防との問題がある。またさらには山地の造林と、農林省のいわゆる砂防関係との問題があるわけでありますが、この河川行政といいますか、水政に関する問題を、山林とともに一つにしない限りにおきましては、どこかに線がひかれる。もとより内務省が今日やつておられる砂防の建前は、河川あるいは沿岸の工事を擁護しますのを大体建前としております。農林省でやつておりますのは、山腹における——山手から土砂が流れないように、土地というものをまず簡單工事をいたしまして、流れる土を止めて、一應止まりましたあとは、いわゆる生産的な考え方から、そこに普通のいわゆる経済林の基盤をつくりたい、こういう考え方でおりますので、おのずから性格が違う。かりに一つにしたところで、今度は河川との問題が出るということがございますが、一定のところで切つた方が、わかりよいということは言えると思います。
  47. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 ですからこういう部分的な問題が出た場合に、農林省とか、建設省とかにおいては、何か画一的にそれを整理して、統一的にやるという御計画があるかどうか、お伺いいたします。
  48. 三浦辰男

    ○三浦政府委員 その点につきましては、農林省としては、いわゆる狭い意味における治山としては、山崩れをしているとか、地滑りをしているとかいつたような所、あるいははげ山になつて、にわかに一遍に最初から優良樹種を植林するわけに行かないような所が、全國で二十五万五千町歩ばかりございますので、そのうちの最も急を要する約十万町歩ほどの所を、他の一般造林と合せて、五箇年でその回復をはかるという計画に基いて、予算をそれぞれ要求しておるわけであります。そうして他の河川の農林省建設省との関係のごときは、安本の方が大体中心になつてつて農林省建設省との間の調整をはかる。われわれ自身もここに書いてございます昭和三年の権限整備の精神に基いて連絡をはかつてつておるわけでございます。ただいまのところは安本がございますので、安本が特にその点両者の調整をはかりながらやつております。     —————————————
  49. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 次に請願日程第三と陳情の第二は同一の趣旨でありますから、一括して議題に供します。紹介議員がおられませんから、便宜上文書表朗読を願います。     〔書記朗読兒童局廃止反対に関する請願(第二〇八号)   請願者 福島縣若松市榮町七一二 吉田靜外四十六名   紹介議員 大和田義榮君 本請願の要旨は、行政整理に伴う機構改革の措置として厚生省兒童局が廃止されるやに聞くが、わが國を文化國家に再建するためには兒童の福祉を図ることが緊要と信ずる、これがためには兒童の教育、文化、労働、保健衞生等に関する行政を強力且つ有機的に推進せねばならぬから兒童局の廃止反対するというのである。
  50. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 厚生省の政府委員から御意見を願います。
  51. 小島徳雄

    ○小島政府委員 ただいまの陳情趣旨につきましては、厚生省といたしましても兒童局を存置することにきまつております。閣議におきましてもそういうように内定しておるように承つておるのでありますが、ただいまの御趣旨のごとく、兒童の問題は將來の日本の文化建設の最も基本をなすものであるという意味合いにおきまして、兒童行政の將來の発展のために、そういう機構縮小ということは当を得ないと考えております。
  52. 齋藤隆夫

    齋藤委員長 別に質疑がございませんければ、今日はこれで散会いたします。     午後零時十四分散会