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1949-04-23 第5回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十三日(土曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 辻  寛一君    理事 飯塚 定輔君 理事 加藤隆太郎君    理事 白井 佐吉君 理事 松井 政吉君    理事 金塚  孝君 理事 田島 ひで君    理事 大西 禎夫君       宇野秀次郎君    大和田義榮君       高塩 三郎君   橋本登美三郎君       降旗 徳弥君    松本 善壽君       椎熊 三郎君    浦口 鉄男君  出席国務大臣         逓 信 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         逓信事務官         (郵務局長)  小笠原光壽君         逓信事務官         (簡易保險局         長)      岡井三郎君  委員外出席者         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 稻田  穣君     ————————————— 四月二十二日  海老名町大塚に郵便局設置請願岩本信行君紹  介)(第四四七号)  通信教育用郵便料金軽減請願武藤嘉一君紹  介)(第四四九号)  檜原村字剣ケ峯郵便局設置請願大和田義  榮君紹介)(第五二九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  簡易生命保險法案内閣提出第四三号)  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出第  六一号)  郵便年金法案内閣提出第七一号)  郵便為替法及び郵便振替貯金法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六二号)(予)     —————————————
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、郵便法等の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を許します。
  3. 田島ひで

    田島(ひ)委員 私ども共産党といたましては、この法案に対して全面的に反対しておりますので、その点につきましては後の討論に譲りたいと思いますが、この法案の中でちよつと私不審に思いますのは、第四種郵便物の中に「盲人用点字のみを掲げた印刷物を内容とするものの料金」の値上げがあります。盲人に対しては、ここに「料金徴収上の便宜を考慮いたして」と書いてありますが、それはどういう理由でございますか。八十銭に値上げをいたしましてどれだけの収入があるか。少くとも盲人に関しましては、その保護のためにも國家の特別な配慮がされはければならないときに、これだけ値上げしてどれだけの収入がありますか。その点をお伺いしたい。この「徴収上の便宜を考慮いたして」というこの意味を詳しく御説明願いたいと思います。
  4. 小笠原光壽

    小笠原政府委員 ただいま御質問盲人用点字印刷物につきまして、料金徴収上の便宜ということを御説明申し上げましたのは、政府といたしましては、全体的に郵便料金の大体五割値上げをしたいという方針でございます。それで現在は五十銭でございますので、それを五割値上げをいたしますと七十五銭になるわけでございますが、その五銭というような端数をつけないで、まるくして八十銭にした。こういう趣旨でございます。もとより盲人用点字収入はごくわずかでございまして、大局にはほとんど影響はないわけでございますが、とにかく最も安い料金率を適用するということによりまして、できるだけ盲人通信利用に利便を供することにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 田島ひで

    田島(ひ)委員 これで大体どのくらいの収入がありますか、予想をお伺いしたいと思います。
  6. 小笠原光壽

    小笠原政府委員 金額といたしましては、ほとんど問題にならないと存じます。
  7. 辻寛一

    辻委員長 ほかに御質疑はございませんか。——質疑がなければ、この際お諮りいたしますが、前会におきまして御承認を得ました参考人の件でありますが、理事会の結果は次の六名に決定いたしましたから、御了承いただきたいと思います。お手元に配付いたしてありますが、有竹修二君、河野長作君、田倉八郎君、岡田久雄君。松尾喬君、飯澤章治君、右六君であります。  なお意見を聞く日時は、明後二十五日月曜日午前十時から委員会を開会いたしまして、参考人より意見を聞くことにいたしますから、多数御出席をいただきたいと思います。     —————————————
  8. 辻寛一

    辻委員長 次に簡易生命保険法案郵便年金法案郵便為替法及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案及び郵便年金法案の三件を一括議題として審査に入ります。まず政府より提案理由説明を求めます。小澤逓信大臣
  9. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 ただいま議題となりました簡易生命保険法案並びに郵便年金法案提案理由について、御説明申し上げます。  両法案制定趣旨は、法の民主化をはかるため、従來の法体系を改めて、保険年金契約に関する基本的事項を除くその他の事項は、簡易生命保険約款並びに郵便年金約款に譲り、あわせて最近における経済事情推移並びに民法の改正に伴い、必要な規定を設ける等のため、従来の簡易生命保険法及び郵便年金法を廃止し、新たに簡易生命保険法及び郵便年金法を制定しようとするものであります。  以下両法案のうち、現行法と異なるおもな点についで、御説明申し上げます。  第一に、両法案におきましては、新たに法律目的を掲げて、この法律制定精神を明示して、あまねく加入者にこれを周知せしめることとし、あわせてこの事業が國の経営する非営利事業であること、並びに、この事業管理経営主体が郵政省であることを両事業基本法たる両法案に規定したのであります。  第二に両法案におきましては、保険年金契約に関する事項のうち、その基本的なものは法律に規定し、その他はすべてこれを約款に譲るものとしたのでありますが。従来はこれらの事項は、すべて法律の委任に基く政令と命令で規定されていたのであります。ところで、保険年金契約は純然たる私法上の契約でありまして、政府加入者とはまつたく対等の地位に立つて契約をするものであります。従いまして、両者の契約條項を定めまするのに、法規の形態である命令で定めることは、妥当であるとは申されないのでありまして、かようなことは法規の形でなく、約款で定めるのが穏当であるという見解によりまして、このように改めた次第であります。しかしこの約款は、政府の一方的恣意によつて定めることは、民主的な行き方とは申されませんので、この約款を制定し、または改正するには、学識経験者加入者代表よりなる簡易生命保険郵便年金事業審議会の議を経ることを要するものとし、保険約款並びに年金約款は、これを官報で公示するとともに、別に郵便局前に掲示して、公衆の閲覧に供するものとしたのであります。  第三に、保険金並びに年金最高制限額引上げについてでありますが、最近物価の急激な高騰に伴い、現在の保険金最高制限額二万五千円、年金最高制限額三万四千円によりましては、よく國民生活の安定を確保し、制度本来の機能を十分に発揮することができなくなりましたのと、他面、事業それ自体としても、高額契約を獲得することによつて、つとめて事業費の低減をはかる必要がありますので、ここに保険金最高制限額を五万円に、年金最高制限額を十三万円に引上げることにいたしたいと存じます。なお事業経営合理化をはかるため、最低保険金額を五千円、最低年金金額を六千円にしたいと考えております。  第四に、保険契約の乗りかえについてであります。御承知のように、保険金は過去数回にわたり小刻みに引上げられました結果として、数個の小額契約が多数あることは、やむを得ないことでありますが、経済事情推移に伴いまして、かような契約をもつている加入者は少からぬ不便を痛感しており、また政府も、事業経営者として多額の事業費支弁に悩まされておりますので、ここに新たに、かような契約責任準備金を引当とし、より高額の契約にのりかえる道を開くことにいたしました。  最後に、被保険者保険契約効力発生後二年を経過した後(復活の効力発生後一年を経過しないものを除く)において、不慮事故その他不可抗力または第三者加害行為によつて身体外部に生じた傷害を直接の原因として、被害の日から二箇月以内に死亡したときは、保険金支拂いの際、保険金倍額支拂いをすることにしたのであります。なお身体外部に生じた傷害によらない場合でありましても、疾病による死亡の場合を除いて、不慮事故その他不可抗力または第三者加害行為による死亡であることを、保険契約者または保険金受取人が証明したときも、同様に保険金倍額支拂いをすることにいたしたのであります。  以上、何とぞ十分御審議の上、すみやかに議決せられんことを切望いたします。  次に議題となりました郵便為替法及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  わが國は、終戦後連合國司令部の指令により、外国との間における資金為替等の流通、移動は認められていなかつたのでありますが、昨年六月連合國最高司令官の覚書によつて、わが國が万國郵便條約の関係約定加入を申し出ることを、包括的に承認されたのであります。従いまして近く為替交換率の決定が行われるものといたしますれば、これに伴いまして、郵便為替及び郵便為替制度利用が強く要望されることと思われますので、万国郵便條約に附属する郵便為替約定及び郵便振替約定加入することにつきまして、國会承認を得るため、先般来御審議をお願いいたしている次第でありますが、これらの郵便為替及び郵便振替料金につきましては、右約定にその基準が示されておりますので、具体的な料金額については、一々法律で規定するよりも、その基準を越えない範囲において、命令で規定する方が適当であると考えまして、この法律案を提案した次第であります。  何とぞ十分御審議されまして、すみやかに御賛成くださるよう切望いたします。
  10. 辻寛一

    辻委員長 質疑を許します。
  11. 飯塚定輔

    飯塚委員 大臣の御説明でよくわかりましたが、せんだつて資料として簡易生命保険郵便年金特別会計資料を頂戴しておりますが、やはり予算を伴う問題でありますから、これも一應御説明願いたいと思います。
  12. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 二十四年度におきます簡易生命保険及び郵便年金特別会計予算の御説明を、御質問によりまして申し上げたいと思います。二十四年度のこの会計予算といたしましては、まず収入といたしまして、保険料が二百二十九億三千余万円となつております。運用収入、これは資金運用しておりますその利子でありますが、これが六億二千四百余万円、雑収入といたしまして六百余万円、一般会計からの繰入れが七千二百万円。この七千二百万円の一般会計からの繰入れは戦争により戦死者が非常にありまして、それに対して予想外保険金支拂いました。その額は民間保険に対すると同じように、この簡易保険におきましても、一般会計から補填するという建前になつております。その額が七千三百万円であります。合計いたしまして収入が二百三十六億三千余万円。支出の方におきましては、保険費が十六億一千七百万円。保険費と申しますのは、保険金とか還付金とかを支拂つておりますが、その額であります。保健施設委託費が二十二年度まではありましたけれども、二十三年度以降は出しておりません。施設委託費と申しますのは、厚生省で簡易保険加入者のために保健施設を從來やつてもらつておつたのでありますが、あまり効果がありませんので、二十三年度以降には繰入れないことにいたしたわけであります。それから通信事業特別会計へ繰入れるのが九十五億三千九百余万円であります。予備費が三千五百万円、責任準備金といたしまして百三十九億九千六百余万円、合計いたしまして三百五十一億八千九百万円、差引きまして十五億五千七百万円の欠損ということになつております。しかしこれは先日総務局長から、あるいは大臣からも御説明がありました通り、三十四年度予算におきましては、収入を一応新規契約が十五億しかとれないものとして見積つておりますのに反して、支出の方は、新規契約が三十億できてよろしいだけの支出を十分見積つておりまする関係上、かようになつておりまして、もしも収入の方が十五億であり、支出の方も十五億に相当するだけの支出で済むといたしますれば、この赤字は十億円以上消えまして、結局におきまして実際は四億六千二百余万円の赤字で済むことになります。もしまたこの新規契約が二十億できるといたしますれば、どういう結果になるかと申しますと、今度は逆に赤字が消えて黒字になる、三億六千七百万円の剰余ということになつております。要するに先ほど申しました十五億五千七百万円の赤字というのは一應仮定の上の数字でありまして、実際上はもし新規契約が十五億しかとれない場合は四億六千二百方円の赤で済み、またもし新規契約が二十億とれるといたしますれば、今度は三億六千七千万円の黒字になる結果になるわけでございます。
  13. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 先ほど大臣説明最後の方がよくわかりにくいのですが、「被保険者保険契約効力発生後二年を経過した後において」というこの條項は、一般保険業者と同様の意味合いにおいてこれをつくつたのですか。
  14. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 この條項はいわゆる倍額支拂いと申しております。アメリカ、あるいは日本では民間でやつている会社が二、三あるようでございます。簡易保険としましては初めてこれを取入れたのでありまして、異なりますところは、大体外國あるいは民間会社におきましては、この條項を適用する契約につきましては、特に保険料の何割——と言うほとではありませんが、一割かあるいはそれ以下の特別保険料を徴收してやつておりますが、この簡易保険におきましては、まつたく加入者へのサービス的なものとしまして、特別の保険料をとらないで、かような制度を設けることといたしております。
  15. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 その意味であるとすると、この條項は、少くとも簡易生命保険精神から見て、あまり感心した條項ではないと思います。大体非営利事業であつて、全保険者のいわゆる安定感を在かる点から考えれば——一部のものにサービスをするという点では一応営業的な立場になるけれども、しかしながらもつと全体的に考えて、こういうような費用を出せるならば、全保険加入者に対するサービスへそれだけの費用をまわす方がいい。一方において保険業者が幾らかの割増金をとつて、こういう條項を設けているとすれば、簡易保険業者との競争をできるだけ避けるという点から見て、しかも金をとらないで特別サービスをやるという点から見て、そういう業者との関係がどういうふうになつておるか、御説明願いたい。
  16. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この問題は、むしろサービスというよりも、社会保障制度というような考え方を加味したものであつて、こういうように國民生活が窮迫して参りますと、どうしても期待しない、不慮の災難にかかつて死亡したような場合においては、何ら用意もないし、非常に困る。そういう人にある意味において國家はできるだけの救済をすることが、一応建前だろうと思うのであります。はたしてこの保険においてそういう大きい問題を扱うか、どうかという問題になりますけれども、むしろサービスというよりも、社会保障制度の一端というようにお考え願えればよいのではないかと考えます。さらにまたこれに対する推定的予算もそうたくさんのものではないと思います。数字政府委員から御説明いたします。
  17. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大臣見解と私は異にしておりますが、二箇月以内に死亡するというのは、ある意味においては、この保険者は、そういう病気や、けがをしたりしても、比較的長期の、たとえば肺病患者とか、そういうような長い病気よりも、療養費という点から考えると、比較的少いのではないか。そういう特殊なものにこういう特別な手当を考えることは、社会保険制度という見解であるけれども、私は社会保険制度でなくて、業者との競争意識から出ているのではないかと思う。そういう意識けつこうですが、一部の人へのサービスの点よりも、全体的なことを簡易保険としては考慮してもらいたい。特殊な反対意見がないならば、もちろん特に反対すべきではありませんが、ただアメリカがこういうことをやつているからといつて、それをまねして行くよりも、もつと全加入者目標としての方針を、立てられる方がけつこうではないかと思います。
  18. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 倍額支払いのためにどれくら経費を要するかということでありますが、これはここに書いてあります通り契約締結後二箇年後に死亡した者に適用されるのでありまして、本年度あるいは来年度にはまだ支出はないわけでありますが、二年後どのくらいの支出になるかということを推定いたしますと、大体一億五千万円という計算でございます。先ほどの、肺病というような気の毒な病氣で死んだ場合も、同じように救済すべき必要があるのではないかという御意見は、ごもつともでありますが、御承知のように私どもといたしましては、はつきりしたものでないと非常にあとでいろいろもんちやくが起りまして困るのでありまして、外傷を受けてそのために死亡した場合は証拠も残つておりますし、比較的はつきりしますけれども長期の肺結核などになりますと、証明もなかなかむずかしいという関係もありましたし、外國あるいは民間の例などもさようになつておりますので、一応こういうことにいたした次第であります。
  19. 松本善壽

    松本(善)委員 ただいま保険年金に対するものは赤字になつているということで、それはもちろん数字の表わすところでありますが、これに対してはおそらく積立金をしておるというのが、現実のあり方だと思います。従いまして先ほど政府委員が言われたような数字と、私の調べた数字ちよつと合致しない点がありますので、一應御参考のために申しておきますが、二十二年度末現在におけるところの赤字は五億八千万、二十三年度に発生するところの赤字は五億六千万であつて、二十四年度予算において予想されるところの赤字としては、十五億ぐらい予想をつけまするときにおいて、大体二十六億四千万ぐらいの赤字を想定しなければならない現実でございます。こういうような数字のもとに独立採算制という名でもしも新発足せんとする場合においては、政府としてはこの赤字克服のために、どういう用意と、どういう政策をもつてするか、御説明を願いたいのであります。
  20. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 今二十四年度赤字は十五億円、累計いたしまして二十数億の赤字が出るのじやないかというお話でございまするが、これは先ほど説明申し上げました通り、十五億の赤字が出るということは一応仮想的な数字でありまして、実際には先ほど申しました通り、もし新規契約が十五億しかできないといたしますれば、これが四億六千二百万円の赤字である。またもしかりに新契約が二十億もできるといたしますると、今度は逆に三億六千七百万円の黒字になる。しかしそういたしましても、累計におきましてはなおかつ三億八千六百万円の赤字が出る。この累計が消えることは、まだここ一、二年を要すると思います。いずれにいたしましても、かように簡易保険事業赤字になつておるということは、非常に困つたことでありまして、何とかして早く赤字を救済いたしまして、健全な経営に立ち返らせようといたしまして、私ども非常に努力いたしておりまするが、そのためにはまず事業合理化をしなければならぬ。この法案に掲げてありまするように、現在非常にたくさんの小額契約がありますので、これを整理して大きい契約にすることによつて事業費軽減をはかるということ、これが一つであります。それからこの保険事業におきましては、新契約をたくさんとるといことが、経営を良化せしめる最も効果ある道でありますので、数年來私どもといたしましては、極力新規契約募集ということに努めております。その結果といたしまして、最近の募集成績は非常に良好であります。本年度の十五億あるいは二十億の目標と言いますのも、去年と比べまして倍あるいは三倍という大きな数字であります。こういうことによりまして、だんだん事業経営をよくして行くことに努めております。なおまた大蔵省から、例の問題になつております。積立金運用逓信省へとつて來ますれば、それによりまして、さらに大体本年度あたり三億二千五百万円ないし四億の増収になるということは確実であります。これはもちろん予算には上せません。もし運用が再開いたしますれば、さらにこの収入が三億二千五百万円ないし四億円と見まして、それだけ経営状態がよくなるという結果になるわけであります。
  21. 松本善壽

    松本(善)委員 今の御答弁で大体の数字はわかつたのでありますが、保険事業といたしまして、この改正を見たという趣意は、根本的な理由としては、いわゆるこの赤字克服のために、保険金額が倍になり、五万円の契約ができるようになつた。この最高額目標として、あるいは募集成績とか、その他において、いやが上にもこの最高限度の達成のために、手当をたくさん出すとか、あるいはこのための宣傳をするとか、そういう積極的な面についての努力があるかどうか、あるいは今後どういう努力をなさんとしておるかという点について、御答弁を願いたいと思います。
  22. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 新契約を大いに募集するということは、先ほども申しました通り逓信省といたしましての年來の大方針でありまして、それがためには本年度は新契約を幾らやるという目標を掲げまして各逓信局に割当て、各逓信局ではさらにこれを郵便局に割当てて、この目標獲得に努めております。またその援護的な手段といたしましては、周知宣傳新聞雑誌に廣告する、ラジオを利用する、あるいは懇談会を開く、あらゆる方法をもちまして周知宣傳に努めるということをいたしまして、この目標をだんだん上げて行く。しかもその上げた月標を必ず達成して行くということに努めております。御参考のために最近のここ数年間の目標を申し上げますと、一昨年は大体目標が二億でありまして、これは完成いたしました。昨年は目標を一應五億といたしておきましたが、実際におきましては三月末現在で七億八千万円、目標をオーバーして獲得いたしました。さらに本年度先ほどから申します通り一應かたく見積つて十五億、できれば二十億まで達成いたしたい。保険金最高制限も上りましたこの機会に、大いに馬力をかけまして、ぜひとも二十億までは達成いたしたい、かように努力しておるような次第であります。
  23. 松本善壽

    松本(善)委員 大臣ちよつとお伺いしたいのであります。ただいま政府委員からお話のありました通り簡易保険、あるいは年金事業におけることろの独立採算制による結果として、積立金運用ということも出ましたが、私もそれに関心を持つものでありますけれども大臣におきましては、この点についてどういうような努力を拂われたか。あるいは大蔵大臣と会つて折衝なされたかどうか。あるいは閣議においてこの問題を持ち出しておるかどうか。そういうことについて大臣の御答弁を求めたいと思います。
  24. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この問題につきましては、松本君以外の委員諸君の数名の方から本委員会においていろいろ質問があつて、その都度お答えしたのでありますが、重要な問題でありますから、重ねてお答えします。この問題に本来からいつて、当然逓信省運用に当ることが——簡易保険制度が生れた当時の考え方からして、そのいうことで進んで來たのでありますが、二十一年に資金の全國的統一というような面から、大藏省に移管されておるのであります、その後前々内閣におきましても、やはりこうした方針のもとに、逓信省にこの積立金運用を還元するという方針はあつたそうであります。その後も私どもといたしましても、また全逓といたしましても、あるいは特定郵便局長その他國会側におきましても、個々の御意見は大体逓信省運用することが、もつとも設立当初の目的に沿うばかりではなく、加入者にその資金を還元するというような意味からいつても、非常に必要であるという線から私ども一意積立金運用逓信省に還元すべく努力して参りました。まず第一にいろいろな事務的な見通しもつげなければならぬが、当初私が就任当時、武藤政務次官に専属的にこの仕事をやつてもらつたわけあります。やつてもらつた結束、各セクシヨンといろいろ交渉しましたが、結論においては、関係方面ではもし日本政府がそういうものを一致して要望するならば、ある程度考えてみようというよな線まで参りましたので、結論は事務的にはとうてい話がつかない。つまり大蔵省の事務当局と逓信省の事務当局では、とうてい話がつかぬという見通しがつきましたので、今後はいわゆる政治問題として、閣議でこれを決定したいということで方針をきめて参つておつたのでありますが、いろいろな情勢から、ただちにこれを閣議に出すということは困難であるという見通しがつきましたので、まず大体に閣僚諸公、あるいは関係閣僚と懇談的に話を進めております。懇談的に進めておりまして、正式にはまだ確認いたしませんが、近いうちに確認いたして、この問題の実現に全力を尽そうと思つております。
  25. 松本善壽

    松本(善)委員 大臣の手腕力量に対しては信頼するにやぶさかではないのですが、どうかこの点われわれは一致した意見であると思いますので、それを閣議での席上に早く議題として提案されて、大臣の腕を発揮されんことを望みます。
  26. 大和田義榮

    ○大和田委員 保険最高限度額の引上げをいたしましたことは、まことにけつこうなことで、満腔の敬意を表する次第であります。そこで現在政府が意図しておりまする二十億ないし二十五億の契約達成の上には、施策ももちろん必要でありますが、事業部面の関係者の努力にまつべきところの多いのは、当然であります。しかしただいま松本委員からもお話があつたように、これらのものの達成のための根幹となるものは、要するにこれらの融資の再開にまつことであるといい得ると思います。かようなことを考えた場合に、昨日も委員長から大蔵委員と合同の会同を催して、これが実現する段階をとりたいという話があり、なおかつ今大臣からそれを要望するような御意見がありましたが、いかにいたしましても、これは実行されねばならぬと思うのであります。同時にこれが裏づけとなる一つのものは、前二項ばかりでなく約款にまつところが非常に多いと思うのであります。説明にもありまするように、この約款政府の一方的なものでなく、いわゆる民主的に学識経験者あるいは加入者の代表からなるところの事業審議会の議を経て、約款を制定するのであると説明されておるのであかますが、現在までも一体こうしたものがあつたのかどうか、あつたとすればその組織はどういうふうな状態であつたか、たとえば学識経験者が何名で加入者代表から何人出しておつたかという点につきまして、説明を願いたいと思うのであります。
  27. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 事業審議会のことの御質問でありますが、これは差上げました参考資料の二十四ページに載つております通り、以前は政令で簡易保険、郵便年金事業委員会というものを置いておつたのであります。その組織、内容、権限等は、今度の六十八條に規定しておりまする事項まつたく同じことでありまして、まず学識経験者及び事業代表者をもつて組織することになつております。その数は現在三十人、その半数が学識経験者——学識経験者と申しますれば、金融界の人とか、あるいは保険業界の人とか、あるいはそのほか大学の教授であるとか、保険学者、こういうような人たちであります。また事業の代表者と申しますと、これは事実上加入者から選挙していただくということはできませんので、大体加入者を代表するとみなされる各種の團体の代表者を選抜しまして、これに充てることになつております。もちろん現在の法律におきましても、重要なる事項は、この事業委員会の議を経てとありますので、今まで運営上のいろいろのことをきめる場合には、この委員会を招集して、私どもの方的な指示でなくて、十分相談してきめておつたような次第でございます。
  28. 浦口鉄男

    ○浦口委員 従来小口契約が非常にたくさんありましたので、契約者としても非常に不便でありますし、また事業費軽減する意味からいいましても、とりまとめることはたいへんいいと思うのでありますが、これについては解約は從來はたいへん不利になつておりました。こういうとりまとめ、とりかえ契約に対しては、政府は特別の考慮を拂われておるかどうか、その解約の率のことを伺いたい。
  29. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 解約の場合におきましては、今までの規定によりまして、積立金の九〇%ないし九八%を還付金として返還することになつておりましたが、今度乗りかえる場合に限りまして、新たな保険料に充てることを條件といたしまして、お返えしする金は、積立金の全額がえにいたしたいと思いまして、法律もさように相なつております。
  30. 飯塚定輔

    飯塚委員 今度の法案において、簡易保険の方は第六章の第七十條に規定がありますし、年金の方は第四章の第四十二條におのおのの積立金運用について規定がありますが、この規定を見ますと、二十一年一月二十九日の関係方面からの積立金運用の非常な圧縮といいますか、それがないものと仮定されておられるような規定が、この法律案に盛られております。すなわち公共團体に対する貸付という項目がありますが、これは先ほど大臣のお答えのように、大蔵当局とたびたびの交渉によつて御相談の結果なされたものでありましようか、また國内情勢が一致して関係方面にそのことを申し出たことによつて、これが再開されるというお言葉がありましたが、やはり内々の大蔵当局との御相談の結果、この規定を設けられたのでありましようか。もしそれがないとすれば、この規定があるいは空文になるのじやないかという懸念がありますが、その点を伺いたい。
  31. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 保険の方の第七十條の規定でありますが、この積立全の運用の方法といたしまして、公共團体に対する貸付、二、国債、地方債、社債、いろいろ書いてありますが、これは従來も、簡易保険、あるいは郵便年金積立金がかような方向に対する投資をしておつたのであります。その理由といたしましては、簡易保険積立金は、元来加入者の零細な資金であるから、これを公共のために確実な方法で投資しなければならぬという前からの原則——これは政令に規定いたてあります。この原則に従いましてそういうよりなことになつておつたのでありますが、そのままをここに取入れた次第でありまして、特に大蔵省、あるいは関係筋と相談してやつたいうことではございません。從いまして、今度の再開を予想いたしまして、ここにあげたというわけではございません。ただ従来やつておつた、また従来政令で規定いたしておりましたのを、法律に取上げて規定したというにすぎません。  それからもう一つは、現在その筋の関係によりまして、運用が停止されておるにもかかわらず、この法律にあげたのはどういう理由かという、あるいは御疑問もあるかと思いまするが、これは関係筋におかれましても、簡易保険積立金逓信省みずからやるというその原則は認める、従つてこれを法律に規定するのはさしつかえない。ただしかし現在はあれが出ておつて、事実上これができない、法律に規定してあつても、できないということになるのであるから、その点に間違いないようにという話がありましたので、原則として揚げたわけであります。
  32. 飯塚定輔

    飯塚委員 それは大体わかりました。おそらく第三項の「積立金は、前項の規定にかかわらず、同項の規定による運用をするまで一時これを大蔵省預金部に預け入れることができる。」ということで大体わかりますけれども、この運用については、同僚からも発言があつたように、われわれも努力いたしまするが、当局といたしましても、ぜひ御努力を願いたいと思います。ことに地方の一万四千にわたる郵便局を動員すれば、簡易生命保険なり、年金なりは、これは相当な契約ができると思います。しかしその契約されたものが全部大蔵省の預金部に入つてしまつて、自分たちの公共事業等に対して使うことができないということかはつきりわかりますると、加入する意欲が相当なくなるのではないかと思います。やはり一つの目標がありますと、保険加入も、年金契約も非常に多くなると思います。それは戦争最熾烈の十八、十九、二十年、その当時の契約高、件数及び金額等を見ますと、戦争直前の金額契約件数等のずつと五、六倍にも上つております。これは戦争一本いわゆる一億一心で、貯金も金融関係も、すべてのものがそれに向つて行つたから、あれだけの成績が得られたものと思います。戦争が終りましてからは、金額においてはあるいは多いかもしれませんけれども、件数においては低下しておると思います。これが今日地方の金融が詰まつておる状態のときに、公共事業に対して使えるのだという項目がありますると、契約する者も、自分たちの集めた金で自分たちの力の公共事業が完成できるという一つの目標といいますか、光明が認められると思いますので、なるたけそういうことが一般民間にもわかるように、ことに一万四千にもわたる郵便局で、それを宣傳と言えば、あるいは語弊があるかもしれませんが、そういうことをしますと、郵便局関係のこういう資金の収集ということも、非常に威力を発揮することができると思います。この点をつけ加えて私の質問を終わります。
  33. 松井政吉

    ○松井(政)委員 各委員の方からいろいろの質問があつたのでありますが、私も同様な質問をしたいと思つたのでありまして、ただいまの答弁で大体了承いたしました。ただ一点だけ説明理由の中でお伺いしておきたいと思うのは、保険金最高限度二万五千円が五万円に相なりまして、年金最高制限額の二万四千円が十二万円に引上げられておるのであります。これはこの説明の内容にも最近の物價の急激な高騰に伴いということがありますが、この引上げ率の計算の内容でございます。その内容の基礎的なものについて、御説明願いたと思います。
  34. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 保険年金最高制限額引上げ率の異なる点につきましての御質問だと思いますが、これは別に科学的に研究いたした結果、かような数字が出たというわけではございませんので、保険保険年金年金、別々いろいろ事情を勘案いたしました結果、保険におきましては物価の値上り率そのものを適用いたしますれば、もう少し高く、あるいは十万円またはそれ以上になるかとも思いますが、しかし保険の方におきましては、御承知通り民間でも同じような生命保険をやつておりまして、本来簡易保険民間の生命保険事業をあまりに圧迫してはいけないということが初めのスタートからの原則でもありますので、もし最高制限を十万円にもいたしますと、民間業者をあるいは不当に圧迫するという結果も生れて來るわけでありまして、そういう意見も各方面から出ました結果、物價指数から行けば一應十万円くらいが適当であろうが、辛くこの際は五万円でわれわれとしましても、がまんしようということで、五万円にきまりました。それから年金の方は、御承知のように、民間では郵便年金類似の事業はやつておりませんので、まつたくフリーの立場で、事業経営上の必要から、また加入者の方からいつても、最高制限十二万円というと、月一万円であります。月一万円くらいは今どきどうしても必要であろうという、保険の方とは別の観点から、十二万円といたしたような次第であります。
  35. 松井政吉

    ○松井(政)委員 御趣旨はよくわかりました。それで私まことに勉強しないで申訳ありませんが、法律の内容については、これは両法案ともほとんど新たに法律をつくると同じような形になると思うのであります。それでまことに恐縮でありますが、次の委員会までひとつ勉強させていただきたいと思います。從つてこの法案の内容についての質問は、次の委員会において行わせていただくことをお願い申し上げます。
  36. 田島ひで

    田島(ひ)委員 ひとつ大臣にお尋ねしたいと思います。この保険金年金の額が相当大きくなりました。そうすると取扱う手数が、非常に多くなります。昨年の保険にいたしましても七億何千万円、今年は十五億から二十億という勘定になります。それから今までの小額のものの扱いを整理いたしますとしても、この方の仕事が非常にふえる、これらに対して現在人員を減らすというときに、どういう処置をとられるか、大臣の御説明を願いたい。
  37. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お答えします。昨日も申し上げました通り事業に必要な人員は最小限度に残すという方針で行つておりまして、事業ができなくなる程度まで、行政整理をするという考えはないのであります。従つて行政整理をやるという方針と、今保険事業で二十億を目標として努力するということとは、矛盾しない形で進んで行きたいと思つております。
  38. 田島ひで

    田島(ひ)委員 むしろ私は仕事が非常にふえるから、人員をふやさなければならないのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  39. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この問題も昨日お答えした通り、現在のサービスを維持し、そうして現在の保険事業、貯金事業目標を達成するためには、行政整理をやつても可能である、こういう目標のもとに進んでおります。
  40. 田島ひで

    田島(ひ)委員 行政整理をやつてもこの仕事がはかどるというお答えでございますか。
  41. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 行政整理については、今年度保険事業であれば、努力目標が三十億で最小限度十五億、貯金は四百億程度の目標を立てて進むのでありまして、その目標を達成するに必要な限度の人員は確保しておりますから、それ以外で整理を行おうというのです。
  42. 田島ひで

    田島(ひ)委員 人員は確保されているから、それを基礎にしてこの目標を立てたと申されるわけなのですね。私どもは、これはふえるのですから、どうしても結局は從來の人員では足りなくなると見るのですけれども、その点を私がお尋ねしているのです。金額がふえるから、非常に仕事がふえるばかりでなく、今までの小額契約を整理いたすと、非常に仕事がふえる。これは容易なことではない。その間の労働が相当強化されると思います。それをどう処置なさるかという点をお尋ねしているのです。
  43. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 それは今までたとえば五百円とか千円というような保険を扱つており、従つてその総額においてはごく少額でありましたけれども、今度は五万円というようなことになりますと、契約が大きくなるという結果になりまするから、人手が少くていい。また貯金の面におきましても、従來ならば五円というものを十円にするとか、あるいはかりに最低限が十円でも、十円を貯金する人々はなくて、百円とか二百円とか持つて来ることになりますから、田島委員が心配なさるように、相等金額がふえても労働の理化になるということは考えておりません。すなわち労働を強化せずに、この目標を達成しようと考えております。
  44. 田島ひで

    田島(ひ)委員 ちよつと議事運営について……。いつも文句を言うようで申訳ありませんが、実は昨日理事会のあとで私委員長にお尋ねしましたところが、私の聞き方が間違つていたのかもしれませんが、今日この法案が出されないように私理解しました。それで実は私書類も持つて参りませんでしたので、一、二の点で質疑を次会にさしていただくかもわかりません。今の松井委員の提出書と同じように、次会にその点を補充さしていただくことにしまして、私の質疑を終ります。
  45. 辻寛一

    辻委員長 質疑を打切るわけではありません。質疑の御用意のある方からやつていただいておりますから、次会でけつこうでございます。
  46. 松本善壽

    松本(善)委員 二点ばかり伺いたいと思います。簡易生命保険法の内容を見ますると、その法文中に保険金額は五万円ということが出ておるのでありますが、その実施期日の見通しがあれば、その実施になるところの期日の見通しをひとまずお伺いすることと、それから郵政省の設置法案、第四條、第十九号に「法令の定めるところに従い、簡易生保険及び郵便年金積立金及び余裕金を運用すること。」というふうに規定されておるのであります。この郵政省設置法案をながめまするときにおいて、これはすでに了解を得て通過しておるのでありまして、いわゆる五万円の簡易生命保険保険金額がはたしていつ実施の期日になるだろうか、郵政省の設置法案とはどういう関連性を持つておるか、この点についてであります。  次に大臣先ほど説明になりました法案提案理由最後に申されたことでありますが、その一例を申し上げまするなれば、今後倍額支拂いをなすという点であります。この点につきましてよ、かつて傳染病患者に対しては倍額を支拂うことを研究をしたかどうか、あるいはしなくともいいかどうか、国家事業としてこれを取上げるなれば、加害者によつて生命を失う人々に対してはもちろんのことでありますけれども、傳染病という不可抗力病気によつてなくなる方々に対して、どういう処置をすべきであるか。もしも私が答えるとすれば、これに対してもあるいは倍額を支拂つてもいいのではないかと考えますが、そういう研究はなしたかどうか、あるいはその必要はないかどうか。この二点について大臣の御説明を願いたいと思います。
  47. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この施行期日の問題は、附則にも書いてあります通り、昭和二十四年六月一日から郵政省設置法と同時に実施する予定であります。それから郵政省設置法の中で、積立金運用の権限が郵政省にあるではないか、從つて郵政省設置法が施行されたならば、何の手続も要せず当然積立金運用はこつちにもどるのではないかという御趣旨でありますが、一応そういう形になるのであります。現在においても、逓信省はある範囲内において積立金運用をしておるのでありますが、ただその実権を大蔵省に握られているという形であります。法文上の運用はやはり逓信省関係していることになりますが、ただ具体的には大藏省に一般の資金運用面が握られておりますから、事実上向うの方がウエートが強いというだけのことであります。でありまするから、この問題は法律がどうこういうことによつて、ただちに解決がつく問題ではなくして、やはり根本の運用逓信省に還元するという方針で進んで行きたいと考えております。なお傳染病の問題については保険局長からお答え申し上げます。
  48. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 傳染病で死亡した場合にもやはり倍額を支拂うべきではないかというお説でありまして、まことにごもつともな御意見でありますが、何分にも先ほど申しました通り、この規定は加入者から特別の保険料を徴さないということになつております関係上、できるだけ範囲を狭めないと、経営が成立つて行かないという関係が一つであります。もう一つは証拠の問題になりまするが、ここに書かれてあるような場合においては、比較的証拠があがりやすくてはつきりいたしまするが、そのほかの病気で死んだ場合には証拠があがらない。そこで加入者と國との間にいろいろもんちやくを起こすという結果にもなりまするので、さしむきこの二つの点から傳染病によつて死亡した場合には支拂わない。趣旨から申しますると、お説の通り支拂つた方がいいわけでありますが、経営上の理由と証拠の理由、この二つからこれを除外いたしたような次第であります。
  49. 松本善壽

    松本(善)委員 今政府委員から御答弁がありましたが、ちよつと解せないのであります。同じ病気でも、傳染病には、病原体がわからない、捕捉できないという性質のものはあり得ないのであります。あるいは政府委員の言わんとしているところのものは、保険契約がなされて効力を発生する以前に、すでに病気にかかつているという者があつた場合においては、経営という面において非常に支障を来すものと考えられるのでありまするが、二年、三年という長い間潜伏しているような傳染病が例外であるべきことは、改正前の簡易生命保険法にも規定されている通りでありまして、原因がわからないような傳染病、そういうややつこしい傳染病というものはないはずであります。そのわかりやすい傳染病に対して倍額の支拂いをなし得ないで、ただ單に加害者によつて招来したところのもの、あるいはその他によつて効力を発生したと見られる段階より二年経過して、ただちに二箇月以内に死亡したというこの原因は、おそらく外國模倣的なあり方だと私は考うるものであります。従いまして次期の機会においては、どうかわれわれの健康の敵であるところの傳染病を、われわれの力で守るために、どうしてもこういうものに対しても倍額を支拂わなければならぬと思うのであります。あるいは不可抗力の場合に、第三者によつて傷害を加えられて死亡したということは、ただ單に個人的な理由のもとになされるのであります。この点で傳染病というものは、好むと好まざるとによつてかかる場合があるのであります。こういうような点に立つて考うるときにおきまして、まず最初に傳染病死亡者に対して倍額を支拂うことを私は念願してやまないものであります。この点について政府委員の簡單な御答弁では、なおちよつと解せないのでありまするが、その理由を御説明願いたいのであります。
  50. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 先ほど私が傳染病を除外した理由といたしまして、それは証拠がなかなかあがらないからだと申しましたのは、これはまつたく誤りでありましてつつしんで訂正いたします。傳染病を除外いたしました理由といたしましては、これを入れますと、数が非常にふえます。この規定による件数が結局三倍以上になりまして、特別保険料徴収せなくては、どうしてもやつていけない。ところが私どもといたしましては……。
  51. 松本善壽

    松本(善)委員 ちよつと聞えないのでありますがもう少し大声で願います。
  52. 岡井彌三郎

    岡井政府委員 私どもといたしましては、特別保険料を徴しないでやつて行きたいと思いますので、そのためには傳染病をどうしてもこの際入れるわけには行かなかつた。これがもつぱらの理由でございます。先ほど申しましたのは間違つておりましたから、取消します。
  53. 松本善壽

    松本(善)委員 この点については取消しがあつたので、はなはだどうも申し上げにくくはなつたのでありますが、しかし保険料徴収問題ということに関連して、もう少し次の機会に御研究くだすつて、どうか私に簡単な筋書でもよろしいから、届けてくださるように念願したいのであります。はなはだ自分の声は大きいのでありますが、どうも何をしやべつておるのか、てんで私どもの耳に入らぬ場合があります。それでも、なおかつ聞くということははなはだ迷惑千万だと思いますがゆえに、どうか私に御回答書を届けてくださるように念願したいのであります。
  54. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の松本委員質問に関連して、私意見を申し上げたいのでありますが、どうも先ほどの御説明を聞いておると、社会保障制度の一部としてやつたこととは受取れぬのであります。社会保障制度をいやしくも國営事業としてやられるならば、できれば簡易保険加入者、あるいはもう少し拡大された社会保険の被診療者という方面にまで行うべきが当然であつて、一部の人に他の保険料からさいてやるというやり方は、単なる簡易保険宣傳道具にすぎない。明らかにこれは宣傳道具である。だからこういう点は、いやしくも國営事業でやるのと、民間事業でやるのとでは違うのであるから、この点明確な線を引いてやるのが、社会保障制度に一致するのであつて、この意味から申し上げまして、最後倍額支払いに対して賛成の意を表しかねるのであります。
  55. 田島ひで

    田島(ひ)委員 ちよつと私、郵便物一通当りのコスト算定についての資料をお願いいたしたいと思います。
  56. 大和田義榮

    ○大和田委員 保険契約割当の最も中心をなすものは郵便局であります。しかし聞くところによると、全國で千数百の郵便局のない村かあり、東北だけでも二百二十九箇町村も郵便局のない村があるということであります。昨日も大臣から話がありましたが、できる限り郵便局のない村にはこれをつくるということと、あわせて簡易郵便局いわゆる昔の請負局といつたような仕組みのものをつくる構想らしいような御意見を伺つて、私意を強うしたのでありますが、これはただ大臣の構想の程度であるか、あるいはあくまでもこれを実現するという御方針であるか。これはこの目的達成の上の大きな問題の一つであると思うのであります。これを大臣からくどいようでありますが、いま一度伺いたい。
  57. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 特定郵便局のない町村が千三百あつてどうしてもこれは逓信事業の公共性から言つたならば、この千三百の全然郵便局の設置してない町村に対しては、これを設置することが当然だと考えております。しかし昨日も申し上げたように独立採算制というものに大きく制約されまして、思うような増設ということが困難な情勢になつております。それでは一つもこしらえぬかというと、そういう意味じやなくして、ごく緊急やむを得ない、しかもある程度採算のとれるという特定局はやはりこの予算の範囲内で増設したいと考えております。しかしこれだけでは本來の公共事業性というものは完全に行うことはできないので、町村の希望によつて、あるいは公共團体の希望によつては昨日も申しましたような構想で、簡易郵便所、あるいは簡易郵便局というものを設置すべく、今法律要綱を作成中でありますが、もちろんこれは閣議にも正式にかかつておりません。逓信省内部で一生懸命この法案の準備中であります。はたしてこの國会に間に合うかどうかわかりませんが、私の考えといたしましては、ぜひともこの國会に提案いたしまして、皆さんの御審議を得て、幾分なりとも逓信事業の公共性というものに沿うように、あまねく国民から利用してもらいたい。こう念願をしておるような次第であります。
  58. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私は機構改革の問題及び人員整理の問題についてお伺いしたいのですが、この問題はいつもの委員会においても、各方面から論議が出るのでありますけれども、ただわれわれ民主自由党の立場から申しますと、何といつても今回の行政整理は、税の負担の関係上から見ても、また統制経済が一應自由経済に移行せんとする実情から見ても、ある程度の行政機構の改革と同時に、行政整理は断行せられなければならぬと思うのであります。しかしながらわれわれといたしましては出血の多いことを希望するのではなく、できれば最小の出血で所期の目的を達したいという念願を持つておりますので、この点大臣はどうお考えになるか、伺いたいと思います。
  59. 辻寛一

    辻委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  60. 辻寛一

    辻委員長 それでは速記を始めてください。
  61. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 行政整理の問題でありますが、お話のように、やはり行政整理というものは非常に大きな問題で、かりにも職員一人を首にするというようなことは、もう私の氣持としてはほんとうにつらいのであります。これは私ばかりでなしに、どなたでもそうであります。また切らるる方から見ても、首を切られるとは、現実の首を切らるるようなつらさを味おうのであります。でありますから、私は就任当初から、一人でもこうした犠牲者がないように、あるいは少くなるようにという線に沿いまして、新規採用を一切とめております。なぜかと申しますと、新規採用をすればそれだけよけいに出血が多くなりますので、今やむを得ないもの以外は、新規採用をいたしておりません。従つて二月以降六月まで、四箇月間新規採用を見合せて、配置轄換で現在事務を扱つておりますから、現実にいわゆる行政整理によつて首にされるというような人は、それだけ減つておると思つておるのであります。今橋本君の聞かれた趣旨は、十分われわれも同じ気持でありまするがゆえに、具体的にそういう方向に進んで行きたい、かように考えております。
  62. 辻寛一

    辻委員長 ほかに御発言はございませんか。——御発言がなければ、本日はこの程度で散会いたします。なお次会は明後二十五日午前十時から開会いたします。参考人が呼んでございますから、十時かつきりに始めたいと思いますので、どうか奮つて出席を願います。     午後零時八分散会