運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-10-19 第5回国会 衆議院 地方行政委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月十九日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君    理事 小平  忠君       大内 一郎君    河原伊三郎君       清水 逸平君    野村專太郎君       門司  亮君    井出一太郎君  出席国務大臣        国 務 大 臣 木村小左衞門君  委員外出席者         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 遠山信一郎君         総理府事務官  鈴木 俊一君         総理府事務官  荻田  保君         文部事務官   稻田 清助君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 九月二十九日  委員八百板正君辞任につき、その補欠として足  鹿覺君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件  閉会中審査事件の処理に関する件     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  本日の日程は、地方自治に関する件、及び地方財政に関する件であります。まず地方自治に関する件を議題にいたします。東京都の特別区等の問題について、野村委員より質疑の通告がありますから、これを許します。
  3. 野村專太郎

    野村委員 地方自治に関して、東京都の特別区に関する問題について、政府当局にお尋ねをいたしたいと思います。東京都の特別区は、地方自治法一條におきましては、地方公共団体であることを明らかに定めておるのであります。同法第二百八十三條及び同法附則十七條によつて、市と同様の権能を付與されているのでありますが、現行地方税法は、その第一條規定する地方団体の中から特別区を除外し、かつ同法第百三十條及び百三十一條におきましては、その自主的権能を認めないのでありまして、まつたくこの間にありまして矛盾した法制になつているのであります。これがため現在東京都の特別区は、地方公共団体言つても、これは空名でありまして、いわゆる地方自治を尊重して地方自治行政を民主化する憲法に反するのみならず、平和都市としての発展を阻害するものが大きいのであります。今回政府シヤウプ勧告に基いて、地方税制画期的改正を行うに際しまして、同勧告が、地方財政強化の線に沿つて東京都の特別区に自主的財政権を付與する意図ありやいなかをお尋ねする次第でございます。なお特別区に自主的財政権を付與する意図ありとしまするならば、少くともこれから申し上げる事項関係法令の中に明定する必要があると思うのであります。これに対する地方自治庁の御所見を伺いたいと思うのであります。  すなわち第一に、東京都の特別区に対して市町村同様の課税権を付與すること。第二に特別区相互間における財政調整の必要に対しましては東京都がこれを行うものとし、その資金に充てるため、都は各特別区の同意を得て、東京都條例をもつて特別区税の一部を東京都税として賦課徴收に得るものとすること。第三には、東京都が行う特別区相互間の財政調整については、適正なる配分基準その他の事項東京都條例をもつて定めるものとすることであります。第四には、警察、消防等のごとく特別区が連合して負担すべき経費につきましても、東京都は特別区税の一部を東京都税として賦課徴收し得るようにするということであります。第五は、以上第二、第三、第四の各都條例制定にあたりましては、地方財政委員会制度にならつて関係者をもつて構成する委員会において議決するというようにすることであります。以上のようなことが考えられるのでありまして、この問題は、従来から地方自治における特別の立場における東京都の特別区が、非常に真劍に、いわゆる地方自治法の指向する明文によつて完全自治区の実現を従来非常にやかましく主張されておつたわけでありますが、今回シヤウプ勧告によりまして、根本的にここで考えねばならぬときにあたりまして、自治庁のこれに対する所見を伺つておきたいと思う次第でございます。
  4. 遠山信一郎

    遠山説明員 ただいま野村さんからの御質疑でございますが、お説の通り特別区は、現行地方自治法におきましては、大体市と同一に取扱う建前なつておりまして、ただ人事行政財務行政並びに道路、水道、伝染病及び都市計画行政のごとき事項について、都が原則として統一的に処理いたし、区の自治権を認めない建前なつております。そこでただいま御希望がありましたように、大都市の取扱いにおきまして区と市とまつたく同様な建前を認めようとする説と、大都市の社会の特質にかんがみ、都において一方的に処理して区の自治権を認めない、あるいはこれを認めても現在のように範囲をできるだけ小さくしようという意見とがございまして、この両方の説はそれぞれ一長一短があり、なかなか一概に決定のできない点があるのでございまして、当局も従来検討を加えておつた次第であります。しかるに今度シヤウプ勧告案によりまして、この自治関係に一層の検討を要するところが與えられたのであります。そういうわけでございまして、従来の諸問題についてもただいまそれぞれ練つておる次第でございまするが、後段特別区に財政権を付與する意図ありやいなや、特別区に対し、市町村同様に課税権を與えるかいなか、以下数項の御質疑につきましても、実はシヤウプ勧告案とにらみ合せまして、ただいまそれぞれ熱心に検討を加えておるような次第でございますが、まだ御確答を申し上げられるまでに至つておらないような次第であります。なおこの方針をきめまするにあたりましては、できるだけ利害関係の深い各方面から、それぞれ御意見を十分聞かせていただきたいということでございますので、機会あるごとにできるだけ御意見をお聞かせくださいまするよう、この機会にお願いいたしておく次第であります。
  5. 野村專太郎

    野村委員 ただいまの御答弁も今日の段階ではやむを得ない、かように考えておりまするが、しかし両方の矛盾からいたしましても、この機会に何らかはつきりした形に持つて行かなければならぬ、かように考えます。これは東京の特別区だけが特殊の性格を持つている、せつかく地方自治法が明らかに民主的憲法の精神を汲んで、これに指向しておるのですから、同時に地方税法もこの点を考えて行かなければならぬと思うのです。しかし実際問題に対しては、今お話の通り二つの考えがあることは、われわれも考慮しなければならぬと思います。われわれ委員会としても、これに対しては十分同僚各位の御研究を願わなくてはなりませんが、政府当局はよろしくこの機会にこそ、はつきりした結論を出さなければならぬと存じます。この点に対して近い機会に成案を得るように十分御努力を願いたい、かように思う次第であります。
  6. 中島守利

    中島委員長 次に、臨時国会へ提案せられる予定でありまするが、地方公務員法地方行政調査委員会議設置法地方自治法の一部を改正する法律案、これを政府は参考のために当委員会に送付されましたから、まず地方自治法の一部を改正する法律案に対して、大体この法律改正する要点説明をしてもらつた方が便利じやないかと思うのです。いずれも正式には臨時国会開会後の仕事でありますが、別に御異議ありませんければ、そういうふうにはからいたいと思います。どうですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中島守利

    中島委員長 御異議なければさよういたします。
  8. 鈴木俊一

    鈴木説明員 それでは地方自治法の一部を改正する法律案要点を御説明申し上げます。地方自治法改正をせよというような要望は、最近地方から頻々としてございまして、全国の地方団体各種連合会等からも、この点をああせよ、こうせよというように、改正意見が多々あつたのでございますが、そういうようなものの中で、さしあたり政府といたしまして改正をしていただきたいというものを拾いあげて、今回の地方自治法の一部改正法律案の提案をいたす運びに、今いたしておる次第でございます。その中の主要な点について御説明を申し上げますと、まず一番最初の第四條であります。第四條は都道府県府県庁、あるいは市役所町村役場というような地方団体事務所位置を定めたり、変更いたします場合は、條例で定めるようになつておるわけであります。その條例制定変更いたします場合には、現在では地方団体議会が、單純過半数決定によつてこれを定めることができるようになつておるのでありますけれども、地方におきましては、この役場位置変更、あるいは県庁所在地変更というようなことで、いろいろ政治的な問題を起しておりまして、また事柄としては住民利害に直接非常に関係のある問題でありまして、まことに重大な問題でもありますので、單純なる過半数決でなくて、出席議員の三分の二以上の多数による同意を得るようにしようというのが、この改正一つ要点であります。  それからその次の十六條の関係改正は、やや技術的な点でございますが、やはり裁判上いろいろ問題になつておりまして、たとえば知事條例公布いたします場合には、自分の署名をいたしまして、さらに捺印をいたして、これを公示するわけでございますが、そのような手続が確実に行われておりませなかつたために、その條例をもととして行いました知事処分が無効になるというような例等がありまして、どうも條例公布手続その他につきまして、今少しく基本的な規定法律におきましても、地方條例におきましても、明確に規定する必要があるというふうに考えまして、第十六條の改正をお願いしたいと思うのであります。條例議会で議決いたしましたならば、その日から三日以内に長の方に送つて来る。長はそれから二十日以内に公布をする。公布の日から起算をして十日経過すれば施行をする。そういうふうに法律條例公布に関する手続を明確に書きまして、さらにその次の項に、地方公共団体の長の署名とか、施行期日特例等條例で明確に定めるように、法律をもつて要求をするようにいたしたい。  それからその次の七十四條の二の改正でございますが、これは一番地方で問題になつております各種の直接請求制度につきましての改正でございます。直接請求制度は、御承知のように地方條例制定改廃請求と、知事市町村長あるいは議員というような、主要公職におる者の解職請求と、議会解散請求、それから事務監査請求、この四つの直接請求方法があるのでございます。そのいずれの直接請求方法におきましても、非常に問題になつておりまする点は、署名の点であります。この議会解散と、主要公職におります者の解職請求につきましては、関係区域有権者総数の三分の一以上の署名がなければならない。條例制定改廃事務監査請求につきましては、同じく有権者の五十分の一の署名がなければならない。こういうことになつておりまするが、その署名を集めます方法、また集められた署名選挙管理委員会におきまして審査いたしまして、はたして法定の数に達しておるかどうかということを調べます手続が、従来非常に不十分でございまして、そのために選挙委員会といたしましては、非常に審査に困難を感じておるのみならず、またそういう運動をいたしまする者もはつきりとした基準を定めておりませんので、非常に迷惑を感じておるというような実情でございまするし、また署名運動に際しましても、そういうような関係から、相当場合によりましては各種の適当でない方法を用いまして、たとえば代筆をいたしまするとか、あるいは不正の方法によりまして署名を集めまするとか、全然違うことを言つて署名を求めるというような、各種の不都合な点がございまするので、そのような場合におきましては、大体この選挙運動と同じような形において是正をするようにいたしたいというようなところから、直接請求制度につきましての改正をいたしたい、こう考えたのでございます。  その内容を概略申し上げますと、まず七十四條の二では、直接請求代表者署名を集めました場合には、その署名簿市町村選挙管理委員会提出をいたしまして、審査を受けるわけでありまするが、選挙委員会はその署名簿提出がありましてから、二十日以内に審査をするということにはつきりと法の上で規定して、そうして審査が終りましたならば、その終りました日から十日以内に市役所とか、町村役場というような指定した場所において一般関係人縦覧に供する。その縦覧手続を経まして初めて確定する。こういうような形にいたしたのであります。なお縦覧期間中において、異議があります場合には、選挙管理委員会異議申立てをすることを認めまして、それによつて選挙管理委員会がさらに自己の審査の補正をする、こういうことの手続を認めたのであります。そういうふうにして縦覧が済みまして確定をいたしました場合には、その総数を告示するわけであります。なお異議決定についても不服があれば訴願をいたしまするし、訴願の裁決に不服があれば高等裁判所に三十日以内に出訴ができるというような救済の手続も認めておるわけであります。  そうしてその次の七十四條の三でありますが、選挙管理委員会がただいま申し上げましたように、署名簿提出を受けまして、これを審査いたしまする場合には、従来法律はつきりとした基準がございません。投票の有効、無効を決定すると同じような意味基準がございませんので、法律の上にそういう基準はつきりと書くことにいたしたのであります。すなわちその一は、法令の定める成規手続によらない署名、これは無効である。それから何人であるかを確認しがたい署名、よく氏名のわからないというような署名、この二つは当然形式によつて明確でありますから、無効ということにいたします。なお詐欺強迫に基くものにつきましては、やはりそういうような署名を無効とすることが望ましいのでありまするが、そういう意思の内部の関係のことは選挙委員会が書面の審査いたしましてもわかりませんので、そういうような詐欺強迫に基く申立てがありましたものについてだけそれを審査いたしまして、間違いなく詐欺強迫に基くものであるという場合には、これを無効とするというふうにいたしまして、この審査をいたします場合に必要があるときには、関係人出頭証言を求めるというような形にいたしております。  それから七十四條の四でありますが、これは署名につきましては従来全然罰則の適用がございませんが、大体選挙投票と同じような内容行為であるにかかわらず、全然これを放任をいたしおるということは、一面選挙運動との関係を考えましても、必ずしも適当と思えない状態でございまするし、またそのように罰則関係が放任せられておりまするために、各種署名の自由公正を害するような行為が行われておりまするので、署名につきましても署名運動の自由公正を確保するために、特に必要であると思う事項につきまして、選挙法に定めておりまする罰則と同じ程度の罰則を定めることにいたしたのであります。大体種類をわけますと三つございまして、署名に際して暴行威力を加え、あるいはそれを拐引する、あるいは交通集会の便をさまたげたり、演説を妨害したり、その他要するに不正の方法をもつて署名の自由を妨害するというようなものが一つであります。それからいま一つはいわゆる利害関係を利用いたしまして、署名運動者あるいは署名権者を威逼したというようなものでございます。この二つのものは四年以下の懲役もしくは禁錮。これは選挙法規定とまつたく同じ内容規定でございます。それから署名の数の増減をしたり、偽造をしたりした者、こういう者につきましても、もちろんこれは何らかの矯正をする必要がございますので、これも投票偽造増減罪と同じような形に三年以下の懲役禁錮、五万円以下の罰金というふうにいたしたわけでございます。それからなお政令規定に違反したものにつきましては一万円以下の罰金を科する。こういうような内容の、署名運動におきまする自由公正を確保するための制裁規定を加えたということであります。  それから七十五條以下は、各種の直接請求制度につきまして、ただいま直接請求につきまして申し上げましたものと同じような趣旨のものを書き加えておるのであります。  それから百二條の二に、都道府県にあつては毎年四回以上定例会を開くというふうなことにいたしてございます。現在は都道府県市町村も、ともに毎年六回以上の議会を開くことになつておりまするが、最近の実情を見ますと、隔月に一回定例会を開くことは、やはり議会を開きますと、追加予算提出とか、その他そういうようなことがございまして、執行機関側もそのための予算編成等につきましては相当の時間を費されるということでありまするし、そういう意味府県行政全体の能率の上から申しまして、いま少しく少くしてもいいのではないか、一方臨時会という制度がありまして、緊急の必要がある場合は、いつでも招集できるようになつておりまするから、定例会として開くべきものは一応最低限を四回くらいにしたらどうであろうか、ことに府県内の各地方から議員がお集りになるわけでございますから、六回きちんと開くということは、どうも六回きちんと開くということは少しむりな点がありはしないかというようなことで、四回以上ということにいたしたのであります。市町村の方は集まると言いましても簡單でございますから、この点は現状通り六回ということにいたしておきたい、こう考えておるのであります。  それから百五十五條でありますが、百五十五條市町村におきましては現在支所を設けることができる、こういう規定なつておりまして、町村を市が合併いたしましたような場合におきましては、前の町村役場所在地市役所支所という形にしております。いろいろ市役所から連絡をいたします事項のために事実上連絡事務所とか、そういうようなものを置いてある例が多々ございますが、そういうような点は政令第十五号等との関係もございますので、法文にはつきりとその根拠を與えたいということでありまして、市町村出張所を設けることができるというふうにいたしたのであります。五大都市とか東京都におきましては区役所の出張所が設けられます。  それから百五十八條であります。百五十八條におきましては都道府県局部制度を定めてございますが、この建前は従来全部の都道府県事務につきまして、それを処理する部局法定いたしておつたのでございますが、改正案におきましては、公共事業経営に関するものは、企業能率を最もよく増進せしめるために法定をすることをやめまして、その都道府県実情並びに公企業特質に従うように、自由に定められるようにいたそうということで、法定をすることをやめてしまつたのであります。條例で、公企業経営に関する事務を処理するためには、どういうような組織を設けてもいいということにいたしたのでございます。これに反しまして、いわば行政的な事務を処理いたしますものにつきましては、これは政府の各省との関係もございますし、あまり乱雑な局部の姿になりましては、また住民の側から申しましてもいろいろ不便もあろうと思いますので、そういう行政的事務を処理する部局だけを法定するというふうにいたしたのでございます。そういうように建前をかえました結果、たとえば東京都の交通局とか、水道局とかいうものを法定いたしますことをやめまして、また道府県公共事業部というようなものを法定することをやめたのであります。なおこれに関連いたしまして農地部というのが道府県に必置の部として置いてあるのでありますが、農地改革後いわゆる荒削りの段階は終りまして、現在では登記というようなことが残された一番主要な事務なつておりますので、これを必ず置かなければならない部から任意に置く置かないということをきめる、任意設置部の方にまわしまして、置く置かないということを都道府県の自由にきめるようにすることにいたしたのであります。これが都道府県局部に関する改正でございます。  それから百九十九條の第五項として、地方団体補助金交付金貸付金その他財政的援助を與えておる団体等につきまして、監査委員出納その他の事務監査権を認めるようにいたしました。この点は従来監査委員連合会からも、しばしば要望のありました点でございますし、公金の適正なる使用を確保するという意味から、こういうようなことを認めることが適当であろうと考えたのでございます。  二百四十四條の二でありますが、これは出納長收入役につきまして賠償責任規定を設けたのであります。現在出納長收入役が善良な管理者の注意を怠りましたために、現金、物品等を亡失、毀損したというような場合においては、一般民法規定の適用によつてこれを処理することにいたしているのでありまするが、やはり公金の保管の責に任じまする出納長收入役については、一般裁判所による賠償責任決定というよりも、その前の段階におきまして、やはりそういう事実を監査委員監査に付し、さらに議会にも関係をつけまして、監査委員監査の結果に基いて期限を定めて賠償をさせる。またもしもその出納管理について免責を受けるだけの正当な事由があるという場合においては、監査委員が再審査をして、さらに議会同意を得て、賠償責任を免除するという方法をあわせて認めるようにいたしたい、こういうことによりまして、賠償責任訴訟によらず、すみやかにかつ合理的に解決するようにいたしたいと考えたのであります。  それから各種地方自治法に基く争訟の問題でありますが、これは御承知のように行政事件訴訟特例法という法律がございまして、すべての知事市町村長等処分につきまして、一定の條件に該当いたしまするものは処分を、六箇月の期間内に裁判所に出訴できることになつておりまするために、たとえばいろいろな選挙あるいは投票に関する争訟でありますとか、先ほど申しました直接請求に関する争訟、あるいは議会解散処分あるいは不信任議決等につきましての各種争訟が、地方自治法に書いてありますもの以外にも提起提訴できるようになつておりまして、そのために地方議会が一応決定をいたしたこと、あるいは知事市町村長処分処理いたしましたことが、常に不確定な状態にあるような形になつているのであります。そこで地方自治法においては出訴をでき得まする場合をはつきりと規定いたしまするとともに、また出訴する期間はつきりと特別に法定いたしまして、そしてまた裁判所に参りましてから後も、選挙投票その他のすみやかに解決を必要とするような争訟につきましては、大体百日以内に判決をするように努力しなければならないというようなことを規定いたしまして、争訟の結果に基きまして、長い間不安定な状態地方政治を置くことを避けよう、そのために地方自治法に基きまする争訟は、すべて地方自治法が定めたその手続によつてこれを処理して行こう、こういうふうにいたしたいというのが、この二百五十五條の二の改正並びにその他各條に、そういう趣旨を盛り込んだ規定がいろいろ入つております。そういう訴訟手続改正した点が今後の一つの点であります。  最後に出先機関、いわゆる国の地方出先機関の整理の問題でありますが、これに関連して政府といたしましては、通産省の地方通商産業局分室と、運輸省の陸運局分室とこの二つを、十一月一日から廃止して、都道府県に統合するということに閣議で方針決定いたしているのでありまするが、それを具体化するために、地方自治法附則の中に、その関係規定を若干盛り込んであるのであります。それは附則の第三項に書いてありまするが、今の二つ出先機関を統合いたしまして、当分の間條例で、そういう事務を処理するための事務所を置くということを規定いたしたのであります。  それからなお臨時物資需給調整法に基きまして、この陸運局分室、あるいは通商産業局分室が仕事をいたしておりまするが、その臨時物資需給調整法に基きます事務を処理いたします場合におきましては、「主務大臣は、」——主務大臣というのは運輸大臣あるいは通商産業省の大臣でありますが、事務の管理又は執行が、法令規定又はこれに基く主務大臣の命令に違反するものであると認めるときは、これを取り消し、又は停止することができる。」ということを、この附則の第七項に、特に出先機関の廃止に関連して加えた次第であります。  地方自治法改正は大体以上のような点が主要な要点でございます。     —————————————
  9. 中島守利

    中島委員長 次いで地方行政調査委員会議設置法案について政府説明を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中島守利

    中島委員長 御異議がなければ、さようにはからいます。鈴木説明員
  11. 鈴木俊一

    鈴木(俊)説明員 それでは地方行政調査委員会議設置法案につきまして、概略のことを御説明いたします。  これはシヤウプ勧告の中に地方自治の関しまする問題として、この点に触れておるのであります。すなわち地方自治庁を廃止いたしまして、地方財政委員会を設けるということを一方において規定いたしておりますると同時に、他方におきまして地方自治の従来最も欠陷でございました財源は、市町村を第一に、都市、都道府県というような形で、市町村に優先権を認めました財源の配分をいたしますると同時に、市町村都道府県あるいは国が行います行政事務につきましても、これをいかように配分するかというその基本の方針を欠いておるのであります。すなわち終戰後の地方制度改正によりまして、地方自治法がまず制定せられまして、地方自治の理念あるいは地方自治の運営の方法というものは、これは完全に民主化せられたわけでございますが、財源の問題につきましては、今日のシヤウプ勧告に至るまで解決せられていなかつたのであります。と同時に、またいかなる仕事を都道府県市町村が行うかという点、すなわち地方分権の一番本質に触れます問題については、教育と警察制度につきまして改正の行われましたほかは、特に見るべきものが今までなかつたのであります。あるいは法律が若干改正せられましたけれども、法文の書き方が改まつたという点、あるいはその他の点において改正が加えられたということでありまして、事務を国から都道府県に委讓するという趣旨改正は、実は警察制度、教育制度改正以外におきましては、ほとんど終戰後見るべき点がなかつたのでありまして、実は仏つくつて魂入れずというような形になつております。この地方自治建前を、市町村を中心として、市町村に処理できない仕事は、都道府県都道府県に処理できない仕事は国がやるというような建前にいたしまして、すべての行政事務を処理して行く、行政事務を再検討して配分をきめて行く、こういうような形の仕事を処理するために、地方行政の組織委員会というものを設けて、專門家にそれを研究させてやるということが書いてあるのであります。それを具体化いたしましたのがこの地方行政調査委員会議設置法であります。これは考え方といたしましては、そういうようないろいろなものを企画立案をする機関でありますが、性格はやはり一種の審議会というようなものになるのであります。そこで総理府の附属機関として地方行政調査委員会議を置くことにいたしました。第三條にそのねらいが書いてございまして「会議は、地方自治を充実強化して国政の民主化を推進するため、地方自治を基底とする市町村都道府県及び国相互間の事務の配分の調整等に関する計画につき調査立案し、その結果を内閣に勧告する。」それから「前項の計画は、左に掲げる事項に関するものとする」とありまして、「市町村都道府県及び国相互間の事務の配分の調整」それから「地方公共団体の機関に委任して行う委任事務の調整」——これは現在国が地方に委任する仕事といたしまして、団体自体に委任いたします仕事と、市町村とか地方公共団体の機関に委任する方法両方あるのであります。機関に対して委任する方法といたしましては、議会が本来的な議決権を持つておりませんので、そういうようなことも、やはり地方自治の本旨からして適当でない。そういうようなものをやはり再検討しよう。こういうことであります。そういう地方に委任をしてあります事務に関連をして補助金制度があるわけでありますが、事務の存廃に関連をいたしまして、補助金制度についても改正を加える。それからさらに事務の配分の調整に関連をいたしまして、あるいは地方団体の区域等につきましても徴税の措置を講ずる必要が出て来るというような点にも勧告の中に触れておりまして、そういうような点を第四号で今規定をいたしておるのであります。なおこの委員会の性格といたしましては、内閣に勧告をいたすわけでありますが、内閣はその関係の法案提出等については、会議勧告を十分尊重しなければならないということを規定いたしておるのであります。  それから第五條ではこの委員会の構成の方法規定いたしております。これは勧告に書いてあります通りでございまして、知事会、市長会、町村長会の連合組織の代表者が推薦した者各一人、総理大臣が任命いたします者二人、この五人でこれを組織するというふうに規定をいたしておるのであります。なお連絡議会というものを設けまして、関係の各省側と各地方公共団体側の両方からの代表者をもつて構成をいたしまして、現在中央各省において、また地方団体において処理しておりますすべての行政事務について、その再配分を検討するその連絡機関にこれをしようということであります。  それから第九條で、專門調査員を置きまして、こういうような仕事を各部門に分けまして、研究をいたすわけでありますが、その責任をもつて調査をいたします仕事に当らせるためには、二十人の專門調査員を置くというのが大体の調査委員会設置法案の内容でございます。     —————————————
  12. 中島守利

    中島委員長 木村国務大臣がお見えになりましたから、法案の説明はこのくらいにしておきまして、この際地方財政に関する件と地方自治法に関する件を両方一緒にしましてあわせて議題といたします。各委員質疑を許したいと思います。教職員に関する関係で文部省より初等中等教育局長の稻田清助君が出席されておりますから、前会において問題になつておりました定員定額に関する教職員の関係質疑をこの際許したいと思います。
  13. 川本末治

    ○川本委員 私は義務教育に従事する教員の定員定額の点につきまして、この際文部当局にお尋ねいたしたいと思います。すでに本件につきましては、地方自治庁の財政部長から、本年六月三十日付で、各都道府県知事あてに義務教育に従事する教員の定員及び給與の定額等についてと題する通牒が発せられたのでありまするが、この通牒の取扱いにつきましては、各地方庁におきまして相当波瀾が起りまして、本委員会におきましても問題となつておるところでありまして、問題の要点といたしまするところは、右の通牒において財政部長は、先般文部省から各教育委員会あてに通達された教員の配当定員は国庫負担の基準とするもので、地方負担の財源もこれに即応して措置するものであることを示しております。さらに右の定員以上の人員を都道府県が單独地方費をもつて設置することは、現下の財政事情にかんがみ、地方財政法第二條に違反し、さらに同法第二十六條に該当するものであるので、必ず年度末までには整理を完了して、来年度以降定員は義務教育費国庫負担法に基く該当定員以内とすることを指示しておるのであります。はたして地方自治庁が、地方に対し、右の定員以上の人員を年度末までに必ず整理することができるかどうかということ、もしこれを整理するとしますれば、地方の自主性を害して、地方自治を侵害することになるというこの点が問題となつておりましたが、この点につきましては前回の委員会において政府当局に対して質疑がなされております。当時御出席の小野政務次官の答弁によりますると、財政部長の通牒はもつぱら財政上の見地からなされたものであつて、決して地方の教育上自主性を害するものではない。ただ地方財政窮迫の現状においては、ある地方が定員以上の人員を擁しておれば、勢い隣接府県にも影響がある、かかる余力ある地方に対しては、地方財政の全般的調整上、操作に考慮が拂われなければならない。かような結果になるのである。すなわち通牒の文面によりますれば、政府の指示した定員以外には、絶対人員を置けないと解されるが、実際上は各地方の特殊事件もあつて、定員だけで片ずかない問題もあるので、それでも自治庁はこれを認めるのかという質問であります。自治という質問に対しまして、地方財政の見地から所要の措置を要望する必要があるのですが、自治の本旨を尊重し、政府としてもこれに対してはとかくの干渉はしない。すなわち原理的には反対しない旨の答弁があつたのであります。しかしながら実質問題といたしましては、定員外定員をそのままにしておいたり、また新しく置いたりすれば、たといその地方の單独経費をもつて処理するといたしましても、それだけ地方財政を圧迫することになつて参ります。結局地方財政一般的調整の上から操作を加えられることとなるのでありますが、義務教育に従事する教員の俸給の半額は国家が負担しており、さらに国が国家的見地から、全般的に各地方財政調整をしておりまする事実等に徴しましても、右の財政的見地から見ますれば一応もつとものことであるとも考えられます。結局問題は、財政部長の通牒の基礎となつておりまする定員定額が、はたして妥当なものであるかどうかということであります。そこで私は文部当局に対しましてお聞きしようといたしますることは、この定員定額の根本的の趣旨、すなわち定員定額は、どういう目的精神から定められたものであるか、従つてこれは実際にどういうふうに運用すべきものであるかということであります。なおこの制度はどういう手続経過を経て定められたものか、文部当局としてはこの定員並びに定額は、十分地方実情に即し、要望に沿う完璧のものとされておる。また運用面におきましても伸縮を加えたり、あるいは定員数そのものを変更するほど、彈力性を持たせることができるものであるかどうか、端的に申しますれば、地方が定員外の人員を置いた場合に、文部当局としてはこれを禁ずる方針であるか、これらの点につきまして定員定額制の直接の所管省でありまする文部当局の、明確な御見解を第一に承りたいと思う。
  14. 稻田清助

    ○稻田説明員 前回の委員会における質疑応答の状況につきまして承知いたしませんので、あるいは御質問の御趣旨に応じないお答えになりはしないかという点をおそれるのでありますけれども、ただいま御質問の趣旨に要約いたされました諸点につきましてお答えいたしたいと存じます。  第一はいかにしてこの定員定額制というものが勘案せられて来たかというような御趣旨であるようでありますが、御承知のごとく十何年以前のおきましては教員の俸給費は市町村費の支弁であつたわけであります。その当時におきまして市町村の財力その他の関係におきまして、非常に市町村ごとに教員の待遇が区々であつた。そういう点が教育に及ぼしまする影響を考えまして、一面これを都道府県費支弁といたしまするとともに、また府県間の財力によりまする分均衡を是正するという趣旨によりまして、教員俸給費の半額国庫負担ということが考えられまして、この義務教育費国庫負担法が制定せられたというように承つておるのでございます。ただその教育費国庫負担法制定当時より昨年度に至りまする長い間におきましては、いわゆる補充費の制度で経過して参つたことは申すまでもないことでありますが、補充費と申しますれば、都道府県においてまず必要な経費を計上する、その半額をあとから国が補給する、こういうような方法で参つたのであります。しかるにごく近年の趨勢を見ますると、地方の財政的自治権が非常に拡張いたしました結果でありまするが、当初国が国庫負担分として見積りました経費よりも、年々の補充分が非常に実際支給において増大化しまして予備金その他の方法によりまして、追加支給いたします分が非常に多くなつた。そこでいろいろ財務関係当局とも研究いたしまして、半額負担すべき定員、定額はまず国費において予算をきめます場合に、国費負担分は国費として先にきめて、これに対応すべき県費を県において負担する。その場合、合理的な定員、定額を算定しようということから出発いたしまして、いろいろ適当な定員、定額を研究いたして参つたのでございます。そこで一応定員におきましても、生徒一人当り小学校において五十分の一・五あるいは中学校において五十分の一・八というような数字も考えまして、進めて参つたのでありますけれども、御承知のように均衡財政を確立するというような、非常に大きな要請に当面いたしまして、結局のところ定員におきましては、二十三年の現状において特別の整理はしないが、その現状を維持するというような線で完了いたしました。その結果において、小学校において御承知のごとく五十分の一・三五、中学校において五十分の一・七をという数字が算出せられたわけであります。教育上の観点から見まして、このわくは決して十分ではない。県におきましてもこれを経理せられます上において、非常に困難であるとは存じたのでありますけれども、今日各方面におきまして、人件費につきまして、あるいは定員につきまして、非常にその苦痛を忍ばなければならぬ現状を、やはり教育におきましても忍ばなければならぬというような観点をもちまして、この予算が先般の国会において御決定なつたものと考えるわけでございます。ところで各府県におきまする定員の決定であるとか、あるいは任免の問題でございまするが、この点につきましては、やはり前の国会において御決定になりました新しい教育委員会の法規の精神、内容から推して考えますれば、まつたくその任免権は地方都道府県教育委員会にあるのでありまして、文部大臣といたしましては、これに対しまする監督権、指示権を今日におきましては持つてないのであります。従いまして地方におきまするこうした義務教育職員の任免等につきましては、任免権者でありまする都道府県教育委員会が、財政権者であります都道府県知事とよく御相談になりまして、適当なところに落ちつけていただくということを、私どもといたしましては期待する以外に、特別の監督筋を現状において行い得ないという機構になつておる次第でございます。
  15. 川本末治

    ○川本委員 今の御答弁で、私がいま一度お尋ねしておきたいと思いますることは、文部当局といたしまして、現在の定員、定額を、特にこの定員数をもつて全国の義務教育の教員の数に充てて十分であるとお考えになつておるかという点であります。
  16. 稻田清助

    ○稻田説明員 あらゆる面もそうでございまするけれども、そうした理想と現実という面につきまして、われわれといたしましては、常に十分であると満足することは非常にまれでございまして、この点につきましても、いろいろな財政問題その他の状況を勘案いたしまして、まずやむを得ないと考えておるような次第でございます。
  17. 川本末治

    ○川本委員 そういうお答えを承りますと、文部省の方では義務教育の教員の数が、理想的には足らなくてもやむを得ないというような御答弁のように聞えるのであります。義務教育である以上、さようなことをしておかれて、それで政府当局としては責任はない、こういうふうにお考えになつておるかどうか、こういう点であります。
  18. 稻田清助

    ○稻田説明員 政府当局といたしましては、国会の議決せられました予算、及び国会の議決いたしました法律の線に沿いまして、その趣旨を行政に現わします以外に方法はないと考えております。
  19. 川本末治

    ○川本委員 お尋ねしておるのはそういう点じやないのです。予算の面ばかりでなく、現在のような人員をもつてして、当面の監督の責任のある文部当局はそれで満足しておられるかどうかということを承りたい。もし満足していないという御答弁でありますならば、実際上地方におきましては、あの定員法によつてはやつて行けないということは、これはもう私が申し上げるまでもなく、当局はよく御承知のはずだと思う。そうすれば、前国会においてはそういうふうになつたが、次にはこれに対してどういう手を打つて行きたいというようなことをお考えになつておりますかという点を、さらに承りたい。
  20. 稻田清助

    ○稻田説明員 満足不満足の点につきましては、また繰返してお答え申し上げることは差控えたいと思います。  次の国会の問題でありまするが、これは当委員会におきましてもすでに御研究の問題だと存じますが、明年度以降におきましては、例のシヤウプ勧告の線に沿いまして、おそらくこうした補助金は廃止せられまして、新たにこうした地方の必要、財政需要につきましては、法律の根拠といたしまして一定の基準ができまして、そうした財政需要費と地方の財源に対しまする基準の算定が行われる。その算定の差額に対しましては、新たに設けられる平衡交付金において充当せられるということになるであろうと想像せられるのであります。従いましてこの教育につきましてもそうした財政需要費算定の基準の作成におきまして、十分行政の要旨が満たせられますように、われわれとしては研究いたして参りたいと考えております。
  21. 門司亮

    ○門司委員 私はこの前の委員会に出ておりませんでしたので、多少問題が前後するかもしれませんが、財政当局両方にあわせて少しお聞きしておきたいと思うのであります。その内容はすでに前の委員会にも申し上げましたように、今の川本君のお話にもありました通り、地方の教育状態というものは、文部当局がお考えになつておるような国家予算のみに拘泥して地方の教育というものをまつたく無視したお考えでおやりになつておることについては、非常にきゆうくつな思いを実はいたしておるのであります。財政関係からああいう通達が出ませんでも、地方におきましては、この定員定額については、かなり大きな支障を来しておるようであります。一つの実例を申し上げますと、教員の中にはからだが悪かつたり、あるいはその他の事情で休校をいたしておる、いわゆる休職の状態にある職員がかなり一つの学校であるのであります。それらの職員もやはり定員の中に入つておる。従つて実際の実情といたしましては、文部当局のお考えになつておりますよりも、はるかに少い人員で実際の教育を行わなければならないということが実情であります。と同時にまた地方町村の教育状態というものは、すでに御存じのように、この定員定額を当てはめられて行きますと、学級数よりも先生の数が減るような状態ができて来る。そういう場合におきましては地方ではこの休職の教員、さらに非常に兒童数の少い地方におきましては、やむを得ざる実情として、当然定員定額のみに拘泥するわけには行かない。そこで文部当局も前の議会でありますか、どこかの会議でお話になりました処置を聞きますと、必ずしもこれによらなくてもいいのだというお話があつたかのようにわれわれは聞いておりますが、必ずしもこれによらなくてもいいという状態にありますために、多少地方の公共団体においては手心を加えて、そうして教育の完璧を期するために努力をしておることは事実である。その際に財政的の見地からこれを嚴守せよというようなことが、財政部長の名において通達が行くということになりますと、いまだ日本の行政が、中央集権から離れて、そうして地方の自治体で完全にやつて行けるというに至らない。先ほどお話のように、文部省としては教育問題については教育委員会がやるのだから、自分たちの関知するところじやないということを答弁されておるけれども、しかし文部当局がそういうお考えであつても、財務当局の方からそういう指示が出て参ると、地方の自治体というものはまつたくデイレンマに陷る。同時に財政の窮迫いたしておるときに、配付税が減らされるということになると、財政全体に影響を及ぼして参りますので、やむを得ざる処置としてこれに服従しなければならない。服従する県の理事者としては、單にこれは手続上の問題であり、あるいは行政上の問題でありますが、これに直接携つておる教職員は、一面において自分の職を失います原因がここに生まれ、さらに残つておる職員は、非常に過重な任務を負わされる、こういうことになつて来る。そうなつて来ると今の教育状態が、ややもいたしますと自由の名のもとに比較的統制のない、自由をはき違えた教育が地方に行われておつて、放任的の面が教育面に多少行われないでもないとわれわれは観察する。その際に教員の不足を来しておるような状態になるならば、せつかくの日本のほんとうの自由な教育というものは行われないで、放任の教育というものが行われる形になる。この点は文部当局としては多少お気づきのことだと思つておる。そこで私のお聞きしたいのは、文部当局はこの財政部長の通牒に対して、いかなるお考えをお持ちになつておるのかということを、一応、この機会にお聞きしておきたいと思う。
  22. 稻田清助

    ○稻田説明員 財政部長がそういう通牒を出されました点については、そうしたお考えを地方自治庁当局が持つておるということは、ときおり文部省としては承知いたしております。また今日の法律の解釈といたしまして、解釈上誤りのないことはもちろんでございます。ただ文部省としては実際にその警告を出されました線に沿うて適用せられる点については、十分地方の教育の実情を、地方自治庁当局においても御考慮を願うように、ということはお話合いをいたしております。
  23. 門司亮

    ○門司委員 文部当局が十分知つてつたというお話でありますし、なおそれについては適当な処置をとられておると拜承いたしたのでありますが、もし文部当局がほんとうに十分その実情を知られておつたとすれば、一方的のというか、お話合いであるならば、必ずしも政府当局としては一方的ではなかつたと思いますが、地方としてはこうした一つの問題を指摘して、いわゆる町村の財政のすべてに対して冗費のないように警告を発するということは、これはある程度財務当局の任務だとも私は考えます。しかし特定のものをさしてこれをこうしろということは、勧告でなくて一つの指示、命令に近いと思う。しかしそういうことを特定の文部当局の所管事項に関するものにのみ発せられるということについては、私は文部当局の諸君にもお聞きしたいと思いますことは、一体文部当局はこういう特定のものをさして、財務当局から通牒を発せられなければならないほど無力であつたのかどうかということであります。その実情をほんとうに財務当局に訴えて、そうしてこれがこういう状態であるからこういう形なんだという釈明がどうしてできなかつたかということである。法律上何ら手違いがないということはお話の通りであります。しかし法律上の手続に間違いがないからといつて、それが行政上に及ぼす影響がきわめて甚大となつて来ますならば、やはりこれは行政を行うものとしては考えていただかなければならないことだと思います。それが單に今のお話のように、法律の上で何らさしつかえがないからというようなりくつだけでは、私は日本の行政というものは満足に行つていけないと考えております。この点について文部当局は一体どういうふうに今お考えになつておるか、もう一応お伺いしておきたいと思います。
  24. 稻田清助

    ○稻田説明員 問題は五十分の一・三あるいは一・七の予算がきまりました点にあるのではないかと考えております。その予算がきまりました以上、その線に沿いまして文部省といたしましても、あるいは財務当局といたしましても、あるいは大藏省といたしましても、事を收拾して行くという点にわれわれ事務官庁といたしまして力をいたさなければならぬ。そういうような考えをもつて事務を処理いたしたわけであります。
  25. 門司亮

    ○門司委員 どうもその点がおかしいと思うのであります。なるほど法律を定めるときに、法律に非常に大きな欠陷があつたということは気がついておる。しかし法律で定められておるからこれはどうしても強要しなければならないというような、事務当局の單なる事務的のお考えであつたのでは、非常に大きな行政上の問題を引起して来ると考えておるのであります。一体教育をすることが建前なのか、あるいは財政上の見地から教育自身が不完全に行われてもいいというような、極端に言いますとそういうお考えなのかということが、そういう御答弁を伺いますと聞きたくなつて来る。こういう極論を私はしたくはないのであります。少くとも行政の上で手かげんして、そうやかましく言わなくても、地方の自治体というものは、財政はお互いに苦しいのでありますから、教育のみに非常に潤沢に経費を使わせるような非常識な自治体はないと思う。そういう教育に支障のない範囲において、定員定額を実施せよというお話ならわかると思いますが、支障があつてもなくても、定員定額制をしなければ財政上の処置をするというような、威圧的のお考えが、いまだに教育並びに財政当局にあるということになつて参りますと、地方は非常にやりにくい考え方をする。これが及ぼします影響がさつきのお話のように教員の首切りになつて現われる。あるいは兒童の教育が満足にできない。学校に行つてもその担当の先生が休みであれば、そのかわりの先生がいないという場合がたくさんできて来る。生徒がきようは学校へ行つたのだが先生が来なかつたという実情はたくさんある。こういうきゆうくつなことを今から引起されるということは、單に事務当局として法律上やむを得むというようなお考えでなくて、その点をもう少し、自治庁と文部省との間に交渉がなぜ持たれなかつたかということに対して、文部当局としては自治庁に対して、この委員会でありますのでここでは遠慮なく文部当局意見というものを十分やつていただきたい。両方とも官庁でありますためと、両方そこにおいでになつております関係で、何か文部省の意見を強く言うと自治庁へ当るというような考え方で御答弁されては、われわれは迷惑いたします。文部省の意見はこうだということで、あるいは自治庁が行き過ぎておれば行き過ぎておるということで、そういう自治体の行き過ぎた通牒に対しては、あらためて文部省から通牒を出していただかなければならない。これが地方自治庁の親切な行き方だと思う。官庁同士が遠慮し合つてつておることのために、地方の自治体が迷惑するという行き方はこの際避けていただきたい。従つて文部当局の出されました通牒に対して、もう一応忌憚のない意見をここで聞かしていただきたい。
  26. 稻田清助

    ○稻田説明員 繰り返して申し上げますれば、警告の線は万全であると考えております。ただこれを実際に適用せせれます場合におきましては、地方の教育の実情をよくお考えいただきまして、むりのない御措置をとつていただきたいことを自治庁要望しておる。こういうふうな点を文部当局としては考えております。
  27. 門司亮

    ○門司委員 大体だんだんわかつて来えような気がしますが、そういうお考えがありますならば、それについて文部当局は、地方の公共団体に対して、何らかの通牒なり、あるいはお話なりをされた事実があるかどうかということであります。
  28. 稻田清助

    ○稻田説明員 ございませんし、またやるべきでもないと考えております。
  29. 藤田義光

    ○藤田委員 先般の本委員会におきまして、文部当局の出席をお願いしました一員としまして、簡單にお尋ねいたしたいと思います。先ほど来稻田局長の御答弁を拙聽いたしておりますと、定員定額というものを実施した根本の理由は、国会の審議をした予算の結果だというふうに私たちに聞えたのでありますが、その予算の見通しが立つておりましたころ、文部大臣は当委員会におきまして、定員の増減はやらぬということを言明されたと記憶いたしております。予算のわく内でやつたために、あの定員定額を実施せざるを得なかつたという理由は一応うなづけますが、文部大臣の言明との食い違いはいかなる理由であるか、まずお尋ねしたいと思います。  それから第二は、先ほど局長が述べられた通り、まさに地方公共団体財政権自治庁に移り、任免権は教育委員会に移つておりますが、この定員定額の実施によりまして、地方の自主権というものが非常に侵害されておりまして、局長のところ、あるいは課長のところには、連日莫大な出張旅費を使いました陳情団が殺到いたしております。かかる現実を見ましても、現在の定員定額は大失敗であるということは局長も認めておられると思います。うわさに聞きますれば、今回の補正予算で相当の予算をとられる予定だというふうに拜聽いたしておりますが、大体この臨時国会提出を予定されます補正予算におきまして、どのくらいの予算を計上し、これによりましてどの程度の定員の修正ができるかという見通しを拜聽いたしたいと思います。  それから時間がありませんので、もう一、二簡單にお聞きしたい点は、平衡交付金制度が、二十五年度からシヤウプ勧告に基きまして実施になりますが、これによりまして教育費が大半平衡交付金のわく内に入つて行く。これを阻止するために、文部当局は教育財政法という新しい法律を計画し、あくまで従来の義務教育費に対する文部省の統制権と申しますか、監督権、決定権を保持したいという計画があるやに拜聽いたしておりますが、この点に関する御答弁をお願いいたしたいと思います。  最後にいま一つ、この地方自治庁の財政部長名で出ました通牒は、あくまで根本は文部当局の定員定額の決定、これに基いて出たのでありまして、一切の責任は文部当局にあるというふうに前回の委員会でも私ははつきり私見を述べておきましたが、先ほど来拜聽いたしておりますと、局長はすでにこの指令の発送にも十分認識があつたようでございます。定員定額の失敗を認めながら、財政部長の通牒が出ることを承認されたということになりますると、ますます稻田局長関係の文部当局の責任問題がはつきりして来るわけでございまして、本委員会におきましてせつかく文部当局の出席を願いました関係上、財政部長の通牒の問題も、本委員会において本日はつきりさせていただきたいというふうに考えておりますが、この点に対する局長の御答弁をもう一回、明解なところをお願いいたしたいと思います。
  30. 稻田清助

    ○稻田説明員 お答え申し上げる前に、第一の点につきまして、文部大臣が、定員の増減を行わないと言つたというお言葉がありましたが、その意味がわかりませんが、どういうことでございますか。
  31. 藤田義光

    ○藤田委員 行政職員定員法によりまして、他の官庁の首切りはあるが、学校教職員に関するかかる首切りはないという意味の答弁があつたように拜聽いたしております。ところが予算の執行段階に入りましたら、定員定額問題が表面化して、実際に首切りが始まつたというこの矛盾でございます。
  32. 稻田清助

    ○稻田説明員 第一の点でありますが、過ぐる国会におきまして、文部大臣は、この定員定額の問題に関連いたしまして、大体年々の退職歩合から推算いたしました場合に、現在の超過教員の数と比較いたしますれば、退職歩合の方が大きいので、もし不補充の方法をもつてすれば整理を行わないでも済むであろうという見解を述べられたと承つております。ただいまの御質問の点は、そうした点ではないかと存じます。年々の退職歩合はおよそ三万人、七%であります。しかるに超過いたしましたのが、予算作成当時におきまして約一万人足らず、この四月におきましてやはり一万人余りでありますので、大臣の見解は別に相違いたしていない事実であろうと思います。  それから第二に、地方におきまして非常にこの問題で御心配になり、そうした御心配のあまり、いろいろ文部省に御要求になりまするそのお気持はよくわかるのでございますけれども、われわれといたしましては、十分地方の教員構成の実情を正確な決算書等によりまして把握いたしまして、機械的に計算いたすわけでありますので、そう地方におきまして運動等の方法によりまして御心配になるような結果に、影響せられないような配分を考慮いたしておるわけでございます。  それから補正予算につきましては、まだ本決定なつていないのでありますが、先般地方に出しました通牒にも出しておりますように、超過分の約半分につきましては、国で心配いたしたいと思つて考えておる次第でございます。超過分につきましては、指定統計の正確な数字が出て参りましたが、約一万人でございます。各府県からは相当多くの数を言つて来られますが、正確な統計の数字は約一万人でございます。その一万人の約半分につきまして、前に申しましたように予算的の手当をいたしたいと考えております。  それから文部省におきましては、この前の国会に教育に関しまする財政法を提出いたしたいと思つて準備いたしておつたことがございます。しかしながらいろいろな関係で遅れて参りまして、新たにシヤウプ勧告の線に沿うて、財政、行政の根本的の改革を企図せられることになりましたので、こうした計画は一擲いたしまして、シヤウプ勧告の線に沿いまして、新しく地方の教育財政につきまして考えたいと存じております。  それから最後の点につきましては、御質問の御趣旨がよくわからないのでありますけれども、先ほどの御質問にお答えいたしましたように、地方自治庁の御当局が警告を発せられましたその点は、法律的の解釈におきましても文部省と同じ次第だと考えております。ただ文部省といたしましても、実際それを適用せられます場合におきましては、十分地方の教育実情をお考えいただきたい、こういう希望を持つておると申すわけであります。
  33. 藤田義光

    ○藤田委員 引続きまして簡單にお尋ねいたします。現在文部当局におきましては、定員法に基きまして定額の理論單価の算定中だと承知いたしております。この文部当局で計算されておりまする理論單価によりますと、非常な矛盾がございます。先ほど来局長は、定員定額によりまして地方のでこぼこを是正し、義務教育費の国庫負担法によりまして、こういう矛盾を一擲するために、あの法律ができたということを言明されたのでありますが、現在いろいろな資料に基いて非常に努力をして、定額の基準たるべき各県の理論單価を決定されておるのには敬意を表しますが、この理論單価を基準にいたしまして、各県に予算の配分をやりますると、従来偶然の理由によりまして、いわゆる助教その他の無資格者の多い県、あるいは昇給直前であつたために、非常に平均單価が低くなつておるというような府県は不利な状態に陷りますが、せつかくの局長のいわゆる定員定額の趣旨に沿わないような結果をもたらす危險はないかとおそれるのであります。この点に関しまして、局長はいかなる補正策をとられようとするか、お伺いいたしたいと思います。  それから財政部長の通牒の問題は、先般来いろいろ問題になつておりまして、結局一応の結論を本委員会として出す必要があるのでありまするが、私といたしましては、文部当局が定員定額制の修正、是正ということの約束を天下に声明されるというふうなことによりまして、こういう派生的な問題の解決をしていただきたい。今後補正予算等によりまして、定員もかわつて来るということになれば、この際文部当局の態度をはつきりしていただいて、この問題の解決をきれいにしていただきたいというふうに考えておりますが、局長のお考えはどういうふうでございましようか。
  34. 稻田清助

    ○稻田説明員 第一点の府県間の是正の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この定員定額が非常に窮屈なわく、すなわち現状に即してきまりました次第でございますので、その現状と申しますものが、十何年間補充費の時代に各府県府県の財政の状況と教育方針によりまして、とり来りましたその現状に即してこの予算がきまりました関係から、この予算を使いまして、全国的な補正はそう期待し得ない点は御了解願いたいのでございます。理論單価と申しましても、教員構成から見まして、なるべく機械的にはじき出したいという希望にすぎない点は、十分御理解いただけるだろうと存じております。  第二の問題につきましては、先ほど来財務当局からもお話がありましたように、明年度以降におきましては、根本的にこの制度がかわるわけでございますので、定員定額を廃止するとか、あるいはこれについての修正をやるという声明をいまさらいたしまする必要も、私どもといたしましてはないと心得ております。
  35. 中島守利

    中島委員長 定員定額、いわゆる教員問題については別にございませんか。
  36. 門司亮

    ○門司委員 文部当局の御意見はそういう御意見でありましても、私ども委員会意見としては、ぜひ荻田部長の出して参りましたこの通牒、何らかの形による取消しをひとつ出していただきたい。そうしなければ先ほどからいろいろ各委員が心配いたしておりまするようなことは絶えないのでありまして、委員の諸君の御心配になつておりまする問題はここにあるのであります。文部当局といたしましては、来年かわるのであるからというお話でございまするが、しかし事態は本年度の問題でありまして、来年の予算でいかようにかわりましようとも、本年度の現実の問題は現実の問題として、やはり処置することは当然だとわれわれは心得ておりますので、委員会意見としては、ひとつぜひ今までの各委員意見を総合いたしましても、財政部長の通牒の取消しを要求していただきたい。そうしてひとつそういうことに当局に御同意を願いたいということをこの際お願い申し上げます。
  37. 中島守利

    中島委員長 政府当局としてはどうですか。
  38. 小野哲

    ○小野説明員 ただいま門司委員から御意見が出まして拜聽いたしたのでございますが、この定員定額に関する件につきましては、前回の本委員会において私出席の上、地方自治庁としてとりました態度なり、あるいはまた通牒の内容等につきまして、詳細に御説明を申し上げたような次第で、その結果本日文部当局の出席を求められまして、根本的な定員定額制の設置されました趣旨の御説明もお聞き取りを願つたような次第でございます。前回の委員会においては門司委員御欠席であつたように存ずるのでございますが、繰返して内容を申し上げますことは差控えたいと存じます。要は国家財政と地方財政との運用の点につきましては、義務教育国庫負担法の趣旨にのつとりまして、地方自治庁の所管の事項といたしまして、地方財政の円滑なる運営を所期する点から考えまして、財政的見地からの考え方を各地方庁に申したような次第でありまして、この問題につきましては、すでに十分文部当局との間に協議を進めました上で、財政部長名で通牒が出されたものと考えておりまするし、文部当局も本日のこの委員会の席上において、この点をはつきりとお答えを申し上げているような次第でございます。なおまた教育費の問題につきましては、シヤウプ勧告書に基きまして、さらに根本的な改革をいたさなければならないような現状にもありまするし、また通牒自体の内容の点につきましては、この際私どもといたしましては、門司委員からの御意見もございまするけれども、これを取消すというふうな措置に出る必要はなかろうかと考えておりますので、本委員会におかれまして、十分この間の経過並びに内容等につきまして御了承をいただきまして、この問題についてのお取扱いをお願いいたしたいということを希望申し上げる次第でございます。
  39. 門司亮

    ○門司委員 当局の御意見としてはおそらく体面もあることでありましようし、いろいろな関係からそういうことだとは考えておりまするし、また前の委員会でもそういうお話があつたということを一応承知はいたしておりまするが、問題は私が先ほどから申し上げておりますように、地方の自治体の経費の問題で、全般にわたつてそういう注意勧告をされることは私はけつこうだと思いますが、特定のものを指して言われるということは、特定のものに非常に大きな響きを持つのであります。ことに従来の関係でありまするならば、定員定額ははつきりしていませんので、従つて国庫補助の関係から、おのずからいろいろなでこぼこが出て来ると思いますが、定員定額が定まつておりまする以上は、国といたしましては、それに対して補助金の支出の額は、最初からきまつているはずであります。それ以上のものがもし地方の公共団体で使われているといたしまするならば、それは地方の公共団体がやむを得ざる処置として、教育上の重大なる観点から行われている処置だという親心をもつて解釈していただきたい。教育の問題は文部当局も御存じのように、実際に定員定額ではやれない。困難だということは、あなた方はよくおわかりだと思う。それで国の予算の上でこれを支出するために、非常に国庫の予算も窮迫しているので窮屈であるということから、私はこの定員定額の根本の趣旨は、法律をつくるときにここから出て来ていると思う。この法律をつくるときの実情というものは、今の問題を引起すことのために、教育を非常に圧迫するために、私は定員定額の問題は生れて来たのではない、国の財政の見地から生れて来ている。そこで教育の問題を別に考えて、これを完璧を期するためには、都道府県に、もしやむを得ざる事情のために、定員定額を超える処置があるいはとられるかもしれない、これに対しては当局が親心をもつてこれに臨んで、国庫の負担すべきものは定員定額で負担する、それ以上のものは地方の負担とされることに対して国が何ら干渉すべき筋合いではないと考えている。これは明らかに法律をたてにとつた、中央の地方に対する自治権の侵害であると私は考える。もし当局がそういうようなお考えでないならば、ここまで極論したい。こういう意味で、私どもはできるだけ日本の行政というものの建前の上から、地方自治権を尊重して行きたい。それには法律に拘泥しないで、法律でこうきまつたからといつて法律制定するときのほんとうの精神というものが沒却されて、ただ字句にのみ拘泥して、法律がこうであるから、それでさしつかえないのだというような、従来の官僚的な行き方だけは、この際やめてもらいたい。従つて意見はありましたが、取消すということができないとするならば、何らかの形でこれを是正するようにしていただきたい。そして地方のこういう問題を緩和していただきたいということを重ねて私はお願いする。
  40. 立花敏男

    ○立花委員 今稻田局長のおつしやいましたことは、前回の私の意見のむしろ裏づけになりまして、決して財政部長がおやりになつた通牒の問題が正当化されていないということが、ますます確信づけられるわけなんです。と申しますのは、稻田局長は、地方における教育委員長が任免権を持つており、財政権知事が持つておるのだということをはつきり認めておられます。従つて通牒の中にありますところの、この定員におけるところの人員を、県が單独費でもつてやることは第二條違反だということは、どこからも起つて来ないわけです。従つてこれは、稻田局長が言つておられました、この通牒は適法であるということの証明にはならずに、かえつてこの通牒自体が違反であるということの証明になるだろうと思います。しかもこの通牒では、それだけではなしに、この定員を必ず年度末までに整理を完了せよということを、はつきりうたつてあるのであります。これはいかなる法的な根拠に基いて、こういうことを地方に指示できるのか、これも稻田局長のお言葉によりまして、任免権は地方の教育委員会はつきり持つておるということをお認めになつている以上は、この通牒自体がすでにここでは誤つておるのではないか。だから通牒自体が二重の誤りを犯して、地方の自治を侵害いたしまして、定員を年度末までに整理せよということをはつきりうたつておりますのは、これはいくら文部当局がこの通牒に賛成であるということを形式的に言われましても、私たちは納得することができないと思います。従つて前回の委員会でも、私たちは即時この通牒に対する善後的な措置をやつていただきたかつたのでございますが、文部当局意見を一応もう一度聞く機会をつくろうという他の委員の御意見がありましたので、今回に延びたわけなんですが、今回の文部当局の御説明によりまして、ますますわれわれの確信を強めておりますので、この際は、はつきりとこの通牒に対する善後処置をとつていただきたい。このことを政府当局にもお願いすると同時に、委員長にもお願いいたしまして、はつきりとした処置を講じていただくよう、重ねてお願い申し上げます。
  41. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど来門司委員、立花委員から意見の開陳がありました通り、一応結論を出す必要があると思いますので、私の意見を述べたいと思います。  先ほど来の稻田局長の御答弁通り、補正予算で予算が計上されております。しかも二十五年度には平衡交付金制度も創設されまして、根本的に再検討されるという段階なつておりますので、文部当局の通牒によりまして、今申し上げました二点を指示されまして、定員定額は目下実施中ではあるが、かかる見通しなるがゆえに、教育に支障を来さざるようにという通牒を出していただきたいというふうに考えております。おそらく従来の官庁の慣例その他各般の情勢からいたしまして、特に財政部長のこの通牒によりまして、たとえば私の郷土の熊本県のごとく、非熱に旱天の滋雨として喜んでおり、これによつて府県の支出が減つたことを喜んでおる県もありますが、各府県のよりまして、いろいろな事情がありますので、今申し上げました意味の通牒を、ひとつ稻田局長の方からお出し願いまして、本問題に対する解決をしていただきたいと思いますが、局長の御意見はいかがでしよう。
  42. 稻田清助

    ○稻田説明員 文部省が教育の上において支障なきを期するようにという勧告なり、そうした点についての意見発表、これはまあ、あらゆる機会にやるべきでもあろうと思いますけれども、ただ財政の点につきまして、それが影響を及ぼすというような問題につきましては、これはまた問題ま別だろうと存じております。
  43. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、局長の御意見といたしましては、財政的な面は財政部から、教育的な面は局長の方から、共同の通牒ならばよろしいという意味に解釈してよろしゆうございますか。
  44. 稻田清助

    ○稻田説明員 第一相手が違うのです。今日教育の権限を持つておりますのは都道府県教育委員会であり、財政の権限を持つておるのは都道府県知事でございます。
  45. 藤田義光

    ○藤田委員 知事に対する指示権、監督権がないことは十分承知いたしておりますが、通牒という表現がまずいならば、何らかの形式による公文書によりまして、局長の意見として府県知事及び教育長あるいは教育委員会等に発送される方法が、一番円滑にこの問題を処理する道じやないかと思いますが、いかがでしよう。
  46. 稻田清助

    ○稻田説明員 地方自治庁の御権限に属することは、地方自治庁の方にお願いいたしたいと思います。
  47. 藤田義光

    ○藤田委員 どうも、先ほど来局長は、財政の裏づけがない教育は無意味であるというふうな御答弁もありました。また局長は教育オンリーの文書ならば出してもよいというような御意向のようでありますが、自治庁から財政面だけの点に関しまして、先ほど申し述べたような意味の通牒を出せますかどうか、お聞きしたいと思います。
  48. 小野哲

    ○小野説明員 先ほど来門司委員、また立花委員、また藤田委員から、定員定額に関連いたしました通牒の点について、いろいろ御意見が出ておるのでございますが、私先ほど御答弁申しましたように、この問題は地方財政建前から、こういうふうな点については、政府といたしまして、特にこの所管庁である地方自治庁から通知を出すことがよかろうというふうなことで、出ておるようなわけでございまして、従いまして、文部当局もこれらの点については十分了解も持つておられるようであり、また各地方団体におきましても、当該地方団体の実際の実情によりまして、ところによつては御承知のごとく教員数が学級数よりも少いというところもあれば、種々雑多な状況にありますので、これらの点につきましては、おそらく文部当局におかれては、適当な調整をはかりたいというふうなお考えもおありになるのではないか、またさような考え方が地方自治庁といたしましては、大変望ましいと思つておる次第でありまして、この際地方財政の見地から、さらにまた通知を出して、各地方に対してそれぞれ指導をいたすということは、今日の状況におきましてはいかがなものであろうかと考えますので、決して文部当局地方自治庁とが責任のなすりつこをしているという意味ではなしに、実情から考えまして、この際はあらためて通牒を出すようなことは必要はないのではなかろうかというふうに考えるのでございます。この点に関しましては、なお藤田委員もいろいろと御意見をお持ちになつておるのではないかと存じますので、拜承の上またお答えをいたしたいと存じます。
  49. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま小野次官から御答弁がございましたが、現在の段階におきましては補正予算による定員定額の修正ということをはつきり地方にお知らせされることは、いろいろな点で無理があるかもしれません。しかしながら最小限度シヤウプ勧告に基く平衡交付金と教育費の関係に関しまして、これは総務部長会議その他で十分機会があつたとは思いますが、今一度一応の基本原則を地方にお知らせ願いまして、そこへ現在実施中の定員定額のことを一言入れていただけば、強烈な委員会の一部の要望も十分達成されるのではないかと考えております。
  50. 中島守利

    中島委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  51. 中島守利

    中島委員長 速記を始めてください。
  52. 藤田義光

    ○藤田委員 本問題は非常に重大であります。しかしながら臨時国会も目睫に迫つております。本問題で委員会の貴重な時間を過すということはどうかと思いますので、先ほど委員長から御発言がありました通り、次の委員会までに委員長委員会の空気を十分察知されまして、自治庁当局と連繋をとられまして、その結論を次の委員会で御発表願いまして、この問題を終りたいという私の意見を申し述べまして、皆さんの御賛成を得たいと思います。
  53. 川本末治

    ○川本委員 この問題は数回にわたつて論議されておりますが、前回前々回の委員会の場合にも、委員長から荻田部長にちよつと御注意があつたようでありますが、要は文部当局の御意見を承つても、自治庁当局の御意見を承つてみましても、大体荻田部長の出した言葉の使い方が悪いから、こういう問題になつたと考えられますので、この際事務当局の方に、私として一言申し上げておきたいことは、今後そういう物議をかもすような文字を使わないようにお考え願わないと、この次の委員会において御答弁があつても、また同じようなものを部長の方において出されると、問題は小さなところから大きな結果になりますので、どうかこの次に政府の方からの案の出まする前には、ちようど大臣も御出席になつておりますので、今後事務方面の方に、ああいう刺激するような言葉を避けるようにしていただきたいということを一言希望申し上げておきます。
  54. 大泉寛三

    ○大泉委員 私の質問することは外務関係が本筋であるかもしれませんけれども、地方財政のめんどうを見られておる地方自治庁として当然これはやらなければならない問題だと思いますので申し上げます。  今度府県税のうちで、シヤウプ勧告案によれば、固定資産税と附加価値税の問題が、工業的生産者にとつて非常に負担が重くなるというふうに思われますので、この点に関してお尋ねいたしたいと思うのであります。従来生産業者、ことに発電業者とかあるいは配電会社とか、またはすべての工業者にあつては大きな工場、事業場を持つて、広い工場敷地を持つて、多くの機械設備を持つておる。今度固定資産税がこれらの不動産やあるいは機械施設に対してかけられるということになりますと、これらの不動産やあるいは機械類は生産者にとつてはいわゆる投下資産の大部分である関係上、これに対する税金が高くなるということは、その打撃が非常に大きいのであります。言うまでもなく今日の産業は実に重大なる時期に直面しておるのであります。今日まで幾多の陳情者の言葉によりますと、固定資産税は昨年の約八倍になるということでありますが、これではこれらの不動産や、機械設備を持たないところのいわゆる商業者に比べて、その負担はあまりにも大き過ぎる、この開きが大き過ぎるということになるわけであります。また生産者が事業を経営して行くには、いきおい非常に多くの従業員を使わなければならないのでありますが、これらの従業員の給料は課税の算定には考慮されていない。従つて生産業者に対する付加価値税もまた莫大な額になると思うのであります。かくのごとき固定資産税の面から見ましても、またあるいは附加価値税の面から見ましても、生産業者に対する地方税の負担は、あまりにも重きに過ぎると思います。先般大阪や名古屋方面の陳情者の言によりますと、昨年に比して付加価値税は四倍、固定資産税が八倍になるということであります。こんな状態でありますから、生産業者は、かりに四割の利益を得ても配当ができないという状態であるそうであります。配当をしようとすれば、どうしても五割以上の利益を上げなければならないのであります。今日のような社会情勢のもとでは五割以上の利益を上げようとすることは容易なことではなく、実に日本産業の重大なる問題とも言うべきであると思うのであります。これを不動産や機械設備を必要としないところの、またそんなに従業員を使わないで済むところの商業者に比較すると、負担の均衡という点からまた大きな問題だと思うのであります。申すまでもなく、生産業者が税金の過重に苦しむということは、再建途上の日本にとり、それだけ復興の遅れることとなり、従つて貿易振興の上から見ても、ゆゆしき大きな問題と言うべきであります。かくのごとき国家産業上の復興の見地からいたしまして、生産業者と商業者との間に、租税上の負担を合理化して、また生産業者をして過重の負担から生産阻害等のことをなからしめるように、生産の復興あるいは貿易の進展を考慮して、国家の急務たるこの問題の解決をはからなければならぬと思うのであります。これに対して政府当局者がこれをいかに調和あるいは対処せんとされるか、その御所見を承りたい。私もシヤウプ勧告案は、税体系において総体的にはきわめて均衡のとれた体系と思うのでありまするが、部分的に見ればいろいろ問題がある。現在の日本の産業状況においても、また国民の活動状況からしても、この税制体系がはたしてあてはまるかどうかという問題がここに起るのであります。もとより私ども地方財政に対しては深い同情と理解を持つているものでありまするけれども、事国家全体の力を基礎としなければならぬとするならば、これをどういうふうにして調和して、地方財政を按配して行くか、また確立して行くかということになるのであります。この点について木村国務大臣の御意見を拜聽いたしたいと思います。
  55. 木村小左衞門

    ○木村国務大臣 大泉委員の御質疑、御意見十分拜聽いたしました。今回シヤウプ勧告案によりまする附加価値税、固定資産税の問題につきましては、御説大いに拜聽すべきものがあるかと私はかねて考えております。これは実施いたしまする折に何とかいま一段の考慮を拂いまして、うまく調整のとれまするような方法を考え出さなければならぬかと考えておりまするが、詳細は政務次官が研究しておりまするから、政務次官から御答弁いたさせます。
  56. 小野哲

    ○小野説明員 大泉委員の御質問に対して簡單にお答えいたします。固定資産税と附加価値税のことにつきましては、関係業界におきましても多大の関心を寄せられておりますることは事実でありまして、またただいま御指摘になりましたような問題が包蔵されておるということも私どもうかがえるのであります。従いましてこの問題をどう処理して行くかということは、きわめて重要な課題でありまして、御説のように負担に激変を来します結果、経済界に混乱を及ぼすということも極力回避するように努力いたさなければならないことは当然でありますので、目下地方自治庁におきましては、愼重な態度で、関係各方面の意見をも聞きながら、シヤウプ勧告の具体化を研究して行きたいという考えを持つておるような次第でございます。御承知のごとく勧告書全文並びにその付録が発表されまして日なお浅く、かつこれらの大切な問題が次々と起つてつておりますような状況でございますので、せつかくただいまの御意見を十分に拜承いたしまして、あとう限りの努力をいたし、検討を加えて参りたい、かように考えておりますことを、はなはだ簡單ではございますけれども、つけ加えて、私からの御答弁を申し上げておきたいと存じます。
  57. 立花敏男

    ○立花委員 それに関連いたしまして、固定資産再評価の時期の問題ですが、これは大体いつごろおやりになる御予定か伺いたい。それからもう一つは、固定資産税の総額を大体どれくらい予定されておられるか、簡單に御答弁願いたいと思います。
  58. 荻田保

    ○荻田説明員 お答えいたします。この地方税の固定資産税の方の評価は、大体国税の方の再評価と一緒にいたしたい。従いまして来年に関する限りは、一月一日現在によりまして九月までに申請を出して、そうしてきめるということになつております。  それから固定資産税の評価でありますが、大体土地家屋で三町歩でありますか、それからあとの固定資産がどれだけあるかという問題でありまするが、これの……。
  59. 立花敏男

    ○立花委員 税の総額は。
  60. 荻田保

    ○荻田説明員 五百二十億であります。
  61. 野村專太郎

    野村委員 臨時国会も目睫の間に開会を予定せられておりますので、大臣に一、二お尋ねをいたしておきたいと思います。  その一つは入場税に関することであります。前回の臨時国会におきまして、委員会においても各党ともこの問題に対しては熱心にこれを取上げて、政府側またこれに答えて、その誠意の程をうかがい得たのです。しかも半面入場料金の統制の撤廃、大体その態勢が完備されたにもかかわらず、国会自身の手によつて前国会で解決を見なかつたことは非常に残念に思います。しかし幸いにいたしまして、このあとでシヤウプ勧告が、さすがに世界最高の料金を課税されている、こういうようなことをとらえて、勧告をされておる。私から率直に言いますれば、まだまだその税の内容から見て、一五〇%から一〇〇%、こういうようなことを一率に行くことは、満足な点には行かぬのですが、わが国の中央地方の財政情勢を考えて、一応了とせざるを得ないのであります。そこでこの勧告の線に沿つて、来るべき臨時国会に対して政府は御提案になる、しかも前段申し上げたようにその態勢はできておる。このことによつて関係従業員の給與の点も、経営の点においても、非常にその状態が完備される。これをとり上げられた以上は、すみやかに臨時国会に成案を得られて、しかもすみやかに実施をされるようにお願いいたしたいと思います。税の面においては相当額の減收にはなります。しかしこれによつて映画演劇等の内容の向上をはかつて行きまするならば、相当入場者もふえると思います。こういうような観点から、臨時国会に提案すると同時に、実施時期については、法案可決されましたら、ただちにひとつすみやかな機会に、十二月なり年内のうちに実施していただきたい。この料金の値下げもできましよう。国民文化の向上、また当初から憂慮されておる税收減の問題についても、正しい時期にこれをすみやかに実施して行きまするならば、そう憂慮さるべき税收減を見ずに済むのではないかというような期待をかけております。こういう点について御所見を伺いたいと思います。  もう一つは建物等の取得税に関することであります。特に住宅の深刻な問題から考えて、この非常な悪税、高税によつて何ほどかこの住宅問題の解決のために障害になつておつたことかと思います。さすがにシヤウプ使節はこの点もとらえて、これを撤廃することを勧告いたしております。そこでこの実施時期が延期されまするならば、現在企図し、あるいは実施せんとする住宅建築の事情等につきまして、相当な課率でございますので、この実施時期を遅らせることがもしかりにあるとしたならば、これによつてさらに私はこの税を撤廃する意図というものと違つた弊害が出て来ると思います。そこでこれまた臨時国会にこの勧告沿つて提案をすると同時に、これに対してはすみやかに、これも入場税と同様に、ただちに実施をされることを強く要望いたして、住宅問題の解決に資せんことを要望するものであります。この点に対しては全国非常に関心を持つておるのでありまして、この実施時期いかんによつては非常に影響が大でありますから、この二つの問題に対して木村国務大臣の御所見なり、御決意のほどを承りたいと思う次第でございます。
  62. 木村小左衞門

    ○木村国務大臣 シヤウプ勧告案を全面的に受入れるものといたしますれば、もとより勧告にありまする入場税は、昭和二十五年度には減税をせられることは明らかであります。来るべき臨時国会にもこの税制案につきましては、必ず提案をいたすことに相なつておることと存じまするが、ただこの入場税のシヤウプ勧告案通りの減税に関する時期について、どうであるかというお尋ねについては、この間の自治委員会にこの問題を出しまして、われわれが提案いたします場合には、法の命ずる通り自治委員会の決議をもつて臨まなければ、全面的の権限を施行することができませんから、はかつたのでありますが、いつからやるということは縣案になりまして、この次までという議論が出まして、決定いたしておりません。私個人の意見としては、野村委員の御説の通り、ここに勧告案がもうすでに来年度から減税すべきであるという決定の発表をしている以上は、すみかやに改正した方が、一般の国民大衆に向つての政治感覚の上に好結果を得るものではないか、こう私はひそかに考えております。なおまた不動産税も同様でありまして、これもこの間自治委員会では決定に至りませんで、次回に持越したような次第でありますが、これもシヤウプ勧告案によりますと、減税ではありません、全然廃止することになつております。この目の前に廃止することが、シヤウプ勧告案に明示せられているものを、来年度と申しますれば四月一日、三月一ぱいありますから、それまでの間じつと持つておりましても、その効果はいかがなものであろうか。取得いたしましても形式的に登記をしなければ、そこに現われた税の負担の対象とならぬのでありまして、登記をしないでおることになりますれば、二月、三月どうすることもできないし、その間には、從つて法に対する権威の上からかんがみましても、あまり感服いたさないと思います。これも自治委員会では決定をいたしておりませんが、私個人の所見としては、これは来年の一月一日よりと申しますのは、議会を通らなければ施行することができませんから、できれば国会の承認を受けて、不動産税のごときは一月一日ごろから、前もつて年度を越さないで、シヤウプ勧告案通り免税ということにしてはいかがであろうか。これは私の私見でありまして、まだ自治委員会決定を見ておりませんから、大胆に申し上げるようでありますが、私はそういう私見をもつて臨みたいと思います。
  63. 立花敏男

    ○立花委員 ちよつとさいぜんの荻田さんの御答弁の数字ですが、これは土地、家屋だけで五百二十億ですか。
  64. 荻田保

    ○荻田説明員 固定資産全体でございます。
  65. 野村專太郎

    野村委員 この二つの問題に対しては、今大臣から信念のほど、御所見を承り、非常に意を強くする次第であります。委員会においては大臣が有力なる発言権を持つておられます。どうかこの二つの問題に対しては適切に国民の期待に沿い、しかも減税あるいは撤廃勧告趣旨を生かして、実現するように御努力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  66. 大泉寛三

    ○大泉委員 地方財政のためにはシヤウプ案は喜ぶべきことでありますが、この財政を確立するためには、まず政府の計画もけつこうですが、しかし税金は相手があるので、納める人がそれだけの担税力がなければこれは成功しないのであります。そこで固定資産税その他附加価値税——附加価値税は苦しくとも納められるでしようが、とにかく固定資産税なんてものは厖大なことになる。そこで働かない機械設備その他の施設に対して、働かせる手段をまず講じさしてやらなければ、納税の実行の前提にはならないと私は思います。先ほども申し上げましたように、今日何も働かずにほつたらかしておく設備でも何でもないので、働きたくても、資材の入手やその他原料の不足のためにできない。これを何とかまず手段を講じて與えなければならぬ。政府においてこれくらいの税をとるには、まず相手があることだから、相手が納められるような方法を講じてやらなければならぬと思いますので、特に木村国務大臣の御努力をお願いする次第であります。
  67. 中島守利

    中島委員長 この際おはかりいたしますが、本委員会といたしましては、閉会中の審査のため付託されました地方財政に関する件、地方自治に関する件、警察及び消防に関する件、地方税法の一部を改正する法律案、以上四件を本日まで審議いたして参りましたが、あと四、五日で第六回の臨時国会が開会されることになりますので、閉会中審査を終了することがむずかしいと思われます。衆議院規則第九十一條による報告書の作成については、委員長におまかせを願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 中島守利

    中島委員長 御異議なければさように決定いたします。  それではこれで散会いたします。     午後一時七分散会