運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-07-20 第5回国会 衆議院 地方行政委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年七月二十日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長代理理事 川西  清君    理事 大泉 寛三君 理事 川本 末治君    理事 菅家 喜六君 理事 福田 篤泰君    理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君       大内 一郎君    河原伊三郎君       清水 逸平君    野村專太郎君       門司  亮君    千葉 三郎君       谷口善太郎君    田中  豊君       井出一太郎君  委員外出席者         國家地方警察本         部次長     溝淵 増己君         総理府事務官  荻田  保君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件  警察及び消防に関する件  平市における警察署占拠事件に関する報告聽取     —————————————
  2. 川西清

    川西委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が御病氣のため私が委員長の職務を代行いたします。  この際御了承をお願いすることがございます。先般福島縣平市警察署占拠事件に関しまして、法務委員会から現地調査のため委員派遣議長に申請いたしましたところ、議院運営委員会におきまして、地方行政委員会連絡の上派遣をいたすようにとのことでありましたので、さつそく法務委員会から本委員長連絡がございました。ときに各位には出張中の方、あるいは旅行中の方が多数ございまして、在京の各位がほとんど少数と見受けましたので、十分な連絡もできず、何分緊急な場合であり、委員会を開会することも困難と認められましたので、とりあえず大内一郎君及び專門員有松昇君にお願いをいたしまして、現地に出張して調査していただくこととし、すでに調査も終了いたしましたので、何とぞ御了承をお願いいたします。それではこれから現地調査について派遣委員大内一郎君からその報告をお願いいたします。
  3. 大内一郎

    大内委員 ただいま委員長からお話があつたような事情によりまして、私が有松專門員とともにこの事件調査したような次第でございます。その一切の状況復命書によつてお手元に配付してありますから、それをごらんいただけば、御了解いただけると思うのでありますが、とにかく警察署暴動的行動によつて占拠されたというようなことは、近來珍しい事件であり、全國的に人心を衝動せしめるような事件であつたことを考えまして、私はその点について私ども調査したごく概要の一端を申し上げてみたいと思うのであります。  それは要するに福島縣において常磐炭田と言われておる炭鉱地帶であり、そこには無知労働者がたくさんおりまして、特に企業整備というようなことによりまして、矢郷炭鉱というようなものは、ほとんど事業を休止しておるような状態になりまして、多数の失業者が出ましたことと、これに対して共産党方面の煽動があり、また朝鮮人連盟等がこれに相呼應しまして、それでこうした事件を起したような次第なのであります。各新聞記者諸君座談会を開いていろいろ承つたのでありましたが、その際にも無知労働者が、ある方面に煽動されてこうした行動に出たというような話が、大多数を占めておつたようであります。かような次第でありますから、事件が起りましたが、だんだん冷靜になつて参ります。また一方警察署から召換状が出たり、あるいは騒擾罪として檢挙されるようになつてからというものは、ほとんど鎭靜になりまして、現在においてはこうした行動に出たことを後悔しているような情勢を呈しているように、私どもは認めているような次第であります。一切は復命書に盡されておりますから、復命書以外にこうした情勢を呈しているということと、また復命書にありますように、國家警察自治体警察とが一体となつて、相協力してこの事件の鎭圧に協力した。あるいはこの事件によりまして、將來日本警察制度に対して、相当改革する必要があるというような点につきましては、平市長の鈴木辰三郎君その他地方有力者から、たびたびこうした意見があつたようであります。これも復命書に盡されておりますから一切を省略いたしまして、私はこの点を申し上げて、私の報告の終りといたします。
  4. 川西清

    川西委員長代理 なおお配りいたしましたこの復命書の中で、ちよちよい出て來ますけれども群衆の数が約百五十名とあるのは、約二百五十名の誤りでありますから、さよう御訂正願います。  ただいま大内委員から報告を聽取いたしたいのでありますが、この報告了承することについて、緊急かつ重要でありますので、平市警察署占拠事件調査報告書議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり」〕
  5. 川西清

    川西委員長代理 異議ありの理由は……。
  6. 立花敏男

    立花委員 たとえば四ページなんですが、「附近に散在する矢郷内郷、壽その他の炭鉱によつて毀賑をつないでいる、しかしてそこに働く労働者は、朝鮮人やその他程度の低い者たちが多いので、」という言葉があるのですが、これは事実に相違していると思うのでありますが。これをお書きになつた資料をお示し願いたいと思います。
  7. 大内一郎

    大内委員 それでは私から御答弁申し上げます。実は新聞記者諸君にお集まりをいただきまして、座談会を開きましたときに、新聞記者諸君から無知のためにこうした事件を起したというような意見が大多数を占めておつたのであります。それによつてこうした報告書を書いた次第であります。
  8. 立花敏男

    立花委員 お書きになつておる言葉自体から受けますところは、調査に行かれた方が、客観的な資料に基いてお書きになつたとしか受けとれないのでありまして、今の御説明によりますと、新聞記者言つてつたから書いたというように聞きとれますが、私どもの実地に基く調査によりますと、矢郷内郷、壽におります炭鉱労働者は、ここに書いてありますように朝鮮人が多数を占めているということは絶対にありません。この点で根本的に間違つておると思われますので、こういう間違いを含んでおるものを、今さつそくたち認めるわけには行きません。その他類似の問題がたくさんあるのでありますが、この問題だけを指しましても、今度の事件がここにお書きになつているように、この炭鉱労働者や、朝鮮人諸君その他程度の低い者が多いので、中心となる指導者は容易に彼らを、右にも左にも向け得る情勢にある。これが根本的な考え方になつておるようですが、この中心的な調査がこういうふうな事実に基かない、新聞記者言つてつたからお書きになつたということは、私たち承服できませんし、衆議院調査團として、はつきりした資料に基かずに、事実に相違したことをお書きになつているという点でも承服できません。
  9. 菅家喜六

    菅家委員 ただいま福島縣平市に起きました不祥事件報告大内委員よりございました。その復命書を今初めて拜読したのであります。これで本員は異議ないと思いますが、今立花委員より承服できないその理由は、この復命書にありますうちの、ここに働いておる人は、朝鮮人諸君その他程度の低い者が多かつたのである。それらを中心としたる指導者だという字句があるので、これを承認できないということでありますから、私は福島縣の選出であり、ひとりこれが平市事件のみでなく、平市の騒擾事件と同樣に、郡山若松福島その他の都市に、共産党諸君中心をなしたるところの騒擾事件というものが起きておるのであります。この眞相は私は本委員会より依頼は受けなかつたのでありますが、当然自分の所管があり、この眞相を確かめておく必要があると思いましたので、一週間ほど現地のすべての調査をいたしまして、私は私の調査資料をここに持つて來ておるのであります。非常にそれは廣汎になりますので、これをいずれ文書を持つて参考資料として委員長まで提出いたしたいと思うのでありますが、この四市における状況を見ますと、一言にして盡せば決してこの問題は当つていないことはない数多くの資料を私は持つておる。程度の低い者がやつておるということは私が郡山警察署にこの事件眞相調査に行きまして警察署を下つて商工会議所に行かんとすると、郡山市街の一番枢要な道路四つ角に來ましたところが、赤旗を持つた共産党郡山工機部に勤めておる者でありまして、氏名もわかりますが、四つ角道路の眞中にあぐらをかいて、昔の農民などが吸つてつたような大きな、われわれの方ではきせると言つておりますが、パイプのようなきせるの太いやつで、たばこをふかして、四つ角の眞中にあぐらをかいて、吉田内閣はつぶしてしまえ、今の政府にまかしておくと、鉄道をアメリカに賣つてしまう。阿波丸事件は意外であつたが、これはみんな民自党諸君が金をもらつてつた事件なんだというな、まさにきちがいじみたことを、大道の辻の眞中に、一人あぐらをかいて、赤旗道路にさしてやつてつたのであります。これが程度の高いと言えるでありましようか。こういうのは、共産党諸君といえども程度の低い党員と見なさなければならない。私は帰るときに共産党渡辺義通代議士と一諸になりましたから、この話をしましたところが、それは困つたものだ、実際にあつたのかと言うから、あつたかなかつたか、君多数の人が見ているのだからわかる、自動車も通れなかつた言つたのですが、かくのごとき種類の運動、あるいは夜中の二時ごろ、何らの届出をせずして、赤旗を持つた七、八百名の者が郡山市中を、革命歌を歌いながら歩きまわるというようなことが、程度の高い者にでき得るでありましようか。合法的に一つ運動をなさることは何ら異議はないのでありますが、みな人の寢靜まつているときに、かかる非常織な、憲法も、法律も規則も何も無視したようなやり方をする者は、私ども程度の高い人と見なすことはできないのであります。ことにここにあります、程度の低い者がその中に多くあつたというようなことは、決して眞相に遠ざかつたものじやない。平においても同樣な事件がいくつでもあります。その事実を述べろとおつしやるならば、私は具体的に数多くのものを持つておりますから述べますが、そう数多く述べなくても、ここに書いてある、程度の低い者があつたというようなことは、これは首肯し得ることであります。それから朝鮮人がここにおられないということですが、朝鮮人がどのくらいこれに入つているかということは、目下騒擾罪で上げられている事実を見ましても、平事件において非常に朝鮮人が多かつたということも事実であります。共産党諸君のどなたが行つて調べになつたかわかりませんが、朝鮮人が少いとか、多いとかいうような字句にとらわれて、この復命書を承認できないというようなことは、私は首肯しがたいところであります。  なお私は、この復命書異議ないのでありますが、今日は関係の大臣も、國警からもおいでになつておりませんが、私はその方面に二、三、この復命書を本としてたしかめたいことがあつたのであります。それは自治体警察國家警察との連絡関係通信設備の問題、警察の装備の問題、それらに対して質問いたしたかつたのでありますが、きようは関係人たちおいでになつておりませんから、文書をもつて委員長まで質問書を提出いたします。次の機会でもけつこうでありますから、委員長の方においてそのおとりはからいを願いたいのであります。この現地調査に出かけられましたところの復命書は、これ以上である。福島縣に起きたところの事件眞相はこれ以上であるから、現地に一週間以上もおつて細かく調査して來た関係から見ましても、これは適当な復命書で、何ら異議ない、こういうことを申し上げておく次第であります。
  10. 川西清

    川西委員長代理 ちよつと御相談いたしますが、これはこの通り出すわけではないわけであります。議長へ提出いたしますところの報告書その他につきましては、皆さんのお話を伺いまして、字句その他を整理して提出いたしたいと思いますから、單なる字句の問題で中心的な問題に関係がないことは、あとで理事会ででも話合つたらよいと思うのですが、どうですか。
  11. 立花敏男

    立花委員 まず最初にこの事件の名称で、平警察署不法占拠事件ということがありますが、この報告書の中には不法占拠という事実が何もないわけです。たとえば退去命令を出したということはお触れになつておりませんし、警察署の中に入りましたのは、雨が降ちておつたので、許可を得て入つたことになつておりますので、どういう事実から不法占拠ということをお出しになつたのかどうかお聞きしたいと思うのです。
  12. 川西清

    川西委員長代理 立花君にちよつと申し上げまするが、これにつきましては後刻理事会を開いてお話したいと思います。
  13. 谷口善太郎

    谷口委員 その復命書につきまして、警察当局は、私ども調べたところによることと大分違つたことがあるので、そういう点で問題になるわけなのであります。その前に大内さんにお尋ねしたいのですが、この調査をなさるときに、集められ、調査された人々がこの報告に書いてございます。これを見ますと当のこれをやつていた人々が、すなわち民主團体側の方の人を調べてない。それはどういうわけで当事者の一方である連中を対象にされなかつたのか。
  14. 大内一郎

    大内委員 その際はすでに警察の方から召喚状が出たり、逮補命令が出たりしたために、潜伏しておつていなかつたので、調査できなかつたのであります。
  15. 谷口善太郎

    谷口委員 いなくて調査できなかつたというふうなお答えであります。実は六月三十日の不法占拠というように言われておりますが、表に集まつていた人々が署内に入つたことにつきまして、署長了解のもとに雨が降るので入つた。もう一つ署側から暴力團日本刀などを持つて押しかけて來るという情報があつたので、一部は帰り、一部は中に入るということについて署長了解を得たということになつている。從つて署長了解を得てみんな入つたというように私ども報告を受けております。外にいる連中は雨が降るので、交渉員は中で交渉しておる。そこで君たちばかり中に入つておれたちをずぶぬれにさしておるのはけしからぬ。君たちもおれたち同樣に外に出て交渉するか、おれたちも中に入れてくれるか、どつちかにしろ、こういう要求を外にいる連中が出した。署長はこういうことを言つている。あまりいいことではないけれども、しかし交渉室の二階に上つてくれると困る、下でならばよろしいというので入つた。こういうことになつておる。このことは署長がそう言つているということをはつきり私どもの受取つておる報告に書いているわけであります。これは署長が言わないと言えば署長が問題にするかと思いますが、こういう点で大内さんのお調べになりましたことと、私どものところに來ておる報告とは相違があるのであります。これを明らかにしないことには、單に一、二の字句の問題を立花君が申しましたけれども、こういう根本的の点がある。一例をもちましても、了解を得て入つたとすれば不法占拠にはならない。許可が出ないならば、あるいは不法占拠になるかもしれないが、この根本的な点が大内さんの報告を私どもの受けている報告と違うわけです。こういうことがもう少し全体を審議しなければ承認できないという根拠になる。なぜ私どもはそういうことを言うかというと、壁新聞の許可を受けて、それを人が集まつたりなんかするんで交通妨害になるからとりのけろということが事の起りで、こちらの受けている報告と、ここに書いてある報告との間に、署長の食言と申しましようか、そういう点で根本的に問題になることが問題になつていないわけであります。また許可を取消したという問題につきまして、なぜ取消したかという問題を追い詰めて行きますと、実は警察側に非常に不当があるということが明らかになるわけなのであります。そういうことをやはり問題にしないと、こういうふうに簡單不法占拠というふうに断定するような報告がこの委員会で可決され、承認されたということになりますと、やはり今後の民衆運動にとつて非常に大きな問題になつて來る。それこそ菅家さんじやないけれども憲法違反云々という問題が出て來るわけであります。そういう点で私どもはこの報告書につきましては承認しがたい。特に逃げておつたか隱れておつたかしりませんが、当事者の一方の意見を全然聞いていない。一方を聞いていないということで、この報告書が出ていることは、根本的にこの報告書欠陷を暴露するものでありまして、そういう点でもつと審議しなければこれを承認することはできない。ただ單に言葉じりとかなんとかを言つているのではないのであります。
  16. 菅家喜六

    菅家委員 今谷口さんからのお話ごもつともだと思います。先ほど立花君から字句の問題があつたが、字句のごときは枝葉末節のことになると思う。私は御両君は共産党の議員のうちで尊敬しておるのであります。しかも立花委員とは一緒大阪事件調査にも行つて來た。そのとき私どもは社会党の久保田委員も御一緒でありましたが、民自党であろうが、共産党であろうが、國会から眞相調査のために派遣されたというので、私どもつた公平無私の立場であの報告書をつくり上げて決して自説をを固持しなかつた。これは私の縣に起きたことであつて、この眞相は、御無礼ではあるが、大内君よりも幾日も費やして、くまなく調査しておるのであつて、私は眞に眞相を握り得たと思つておる。でありますから今の警察署の問題でありますが、谷口委員の御報告は間違つておる。昨日考査委員会でも、國鉄ストの問題を今取上げておるのでありますけれども、どうも共産党諸君の欠点は、自分たちの労組から言つて來るような報告だけを中心にしてすべて資料を提供されて、これは間違つておるということをお話になる。平事件ども、あなたのお話になつておることはその通りで、あれだけの群衆警察署の中に入れてしまつて留置場は開けられ、罪人を出されて、そこに監視しておつた警察官ピストルを取上げられて留置場に入れられたということを、占拠と言わずして何でありましよう、そんなことは警察署長了解するはずがない。代表者に会うと言つて数名の者が入つて來て、署長に嚴談をしておるところへ群衆が入つて來たのであります。雨が降つたから警察署の中にみんな雨宿りに借すということを署長言つたという報告基礎にされることは、私はあまりにも眞相と遠ざかつたもののもとに考えられておると思う。あれだけの多数の者があばれまわつて、署内で物を投げたり、大きな棒を携えたり、箱のこわれた釘のついておるものを持つて來公安委員をおどかしたり、火箸を持つて公安委員を刺し殺すと言つておどかしておるのであります。いわゆる騒擾事件となつた。これは公判延で明らかになることでありますから、その眞相のいずれであるということは公判によつて決定するのでありますから私どもあえて論じないが、実際の眞相というものは、平署占拠事件はまことに不祥事件である。留置場を破つて罪人を出して、警察官ピストルを取つて警察官を入れた、この一事だけで私は占拠という文字などでは、むしろ当らないと思う。若松署襲撃事件にいたしましても、郡山署襲撃事件にいたしましても、警察官が人数が少いから中に入つてくれるなと言つても、ガラス窓をこわしたりなんかして中に押しかけておる。こういう事柄が福島事件中心でありまして、私は詳しく何時何十分、だれだれという報告書を述べれば非常に長くなるので、それは省略しておるのでありますが、今谷口委員のおつしやるように、警察署長了解のもとにあれだけの人を入れたなどということは、眞相とまつたく遠ざかつたものであります。これはもうひどい暴行騒擾脅迫というようなものを伴つた事件であります。でありますからどの点がこの復命書の中で修正すべき部分であるか。私はこの復命書を見てむしろ言い方が手ぬるい、足りないとさえ思つておるのであります。けれどもこれは單なる一日か二日調査されて、そうして出された書類でありまするから、ここに間違いのない限りにおいては、この復命書がどうこうという必要はない。この程度復命書報告書で私は何ら支障のないものだと思うのであります。しかしながらこれからどういう調査かをして復命書をつくられるというのでありましようが、これ以上のことをやられると、共産党諸君がますます不利益になる事件であります。だからあまり谷口君も立花君も、この事件では眞相諸君より私の方が知つている。一々みな資料を持つております。どんなことでも御質問があれば、どの点はどういう根拠に基いてそういうことを言うかという、書類写眞も、すべてのものを持つておりますから、何でも提供いたしますが、これはまことにひどい事件なのであります。どうぞそういうふうに御了承願いたいと思います。
  17. 川西清

    川西委員長代理 谷口君及び立花君に申し上げますが、この事件につきましては大内君が議院を代表して現地行つて調査されたのでありますし、また管家君は現地でお調べになつたのでありまするから、一應これを基本といたしまして、理事会で末梢的なことにつきましては協議し、そうして意見を総合することにしたいと思いまするが、この程度でどうですか。
  18. 谷口善太郎

    谷口委員 大内君がここの委員会を代表して行かれただけに、私はわからないことを聞く義務がある。そうでなければこれをこの委員会で承認するわけにはいかない。
  19. 川西清

    川西委員長代理 承認しなくてもいい。理事会に一任してはどうですか。
  20. 谷口善太郎

    谷口委員 しかし今委員長はこれを認めてよろしいか、異議ありませんなとおつしやつたでしよう。だから異議があると言つた。どういう異議があるかを聞かなければ……。私どもは責任がある。
  21. 川西清

    川西委員長代理 具体的なことにつきましては、ここで御両者の見解が違いましても、眞相を明白に判定する材料がないじやないですか。
  22. 谷口善太郎

    谷口委員 問題は今菅家委員のおつしやつたことについて、私は大阪事件のときの菅家委員のとられた態度に敬服しておる。これは管家君がぼくらをそう言つたからそう言うのじやなく、あのときの報告は、ぼくはいかに客観的に物事を見ておるか、その点に敬服したのです。民自党共産党もない、事実を事実として認めること、その点に敬服した。ところが大内さんに申し上げて非常に恐縮でありますが、少くともここには当事者の一方のあれがない。他方だけあつて当事者の一方がない。こういう報告、ここに事実は書かれているのかもしれないが、その基礎において当事者の一方をいかなる理由があるにしろ、調べないでつくつた報告書を、私どもはそう簡單に認めるわけには行かない。これほどりつぱな証拠はないとこの報告に書いてある。当事者の一方がない、当事者の一方を調べずに書いて、それがすべて客観的に正しいと私どもは考えられない。結果において正しいにしても、当事者の一方、最も中心になつている連中の方の意見調査一つもない。ないということは本人がおつしやる。理由は逃げたとか何とかやむを得なかつたとおつしやる。けれどもないのが客観的事物だ。そういうものを私どもはそう簡單に承認はできない。結果はその連中調査して、あるいは管家中の言われるように、もつと民主團体側に都合の惡いことが結果として出るかもしれない。しかし少くともこの報告書には当事者の一方があつて他方がないということ、このことによつて、この報告書客観性が欠けておるという結論が簡單に出る。それを簡單に承諾せいというわけにはいかない。檢事局で調べれば出るでしよう、これは両方とも調べる。ところが一方がないということを本人がおつしやつている。
  23. 川西清

    川西委員長代理 承諾するのではなしに、理事会に一任して双方の意見をまとめようと思うのですが。
  24. 菅家喜六

    菅家委員 今の谷口委員お話でありますが、この種の事件においては、大阪事件などとまた違うのであつて、ただちに暴行脅迫を加えた者の調査をするということは、行政委員会としてはでき得ざることだ。何となれば平事件も、郡山事件も、福島事件も、その指導者となつた首魁者となつたおもなる者が全部姿を消して、姿を消さない者はただちに逮捕命によつて逮捕されている。どうしてこれを行政委員会調べることができましようか。どなたが行つてみたところでこれを調査をするすべてはないのであります。警察でさえもその人たちを探すのに困つておるのに、行政委員会の者が行つて聞いて來て、労組の者が、共産党中心になつた者がいないと言つても、探す方法はないじやないか。だれが行つてもこの調査ということはなし得ざるものである。これがないからといつて客観性を失つた復命書とは言えない。かかる場合においては一方だけ、ここに連ねている人だけの調査であつて、それ以外の者はなし得ざるものである。いかなる方法でやるか。行政委員会としてはそれらのものは聞けなかつた。今平事件においては大多数の人が逮捕されている、郡山事件でも同じである、それだからこれはこの聞べた範囲内において、これに誤りがあるというならば、この復命書は承服できないということはいいのであるが、それらを聞かなかつたから認めないという議論は決して成り立たない。私はやはりこれはそれらのものの調べがつかなかつた報告であるから、これをいかなる取扱いにするかということは、委員長の言われる通り、理事会において決定してよかろうと思うのであります。今あらためて調査の方法があるならばよいのでありますが、そんなにこの事件をいつまでも何年もかかつてつておるわけにいかない。すでに刑事事件となつて、これは今調査中のことでありますから、何もこれがないからといつて、これが正しくない復命書であるというようなことは私は言えないと思う。
  25. 川西清

    川西委員長代理 この程度でどうです、谷口君。
  26. 谷口善太郎

    谷口委員 そうはいかない。今管家君のおつしやつたことは私もそのまま認めます。とうも逃げたり、いなかつたり、つかまつたりして、だれが行つて調査できない。だから結果においてこの復命書というものは一方的なものになつておる。これは明らかなことだ。実はだれがやつて調査できないだろう。もしこの復命書が平事件報告でなくて、平事件に関する警察側の言い分だということだつたら私どもは認めましよう。しかしそうでなくて、一方を調査しないで、一方だけ調査して、それが平事件の全貌だというように解釈されるのでは、私どもは認められない。もしこれが警察側意見であるというなら私どもは認めます。そうでない限り、これが調査できなかつたのは事実だ。一方側、民主主義側を調査できなかつたのは事実だ。これはみな認めておる。これは一方的な意見だというのなら私は喜んで認めます。しかしながらこれが平事件の全体だということになつては私どもは認められない。
  27. 門司亮

    ○門司委員 非常に議論になつておりますが、この事件はすでに司直の手に移されておる事件であると思いまするし、從つてこの事件の正確を期しようとするならば、それらの判決、それらの取調べの終るまで待なければ、私はおそらく眞相はいずれの角度から見てもわからないと思う。われわれが主観的な立場に立つて議論をするということになりますと、おそらく議論のはてしはないのでありまして、ただ現在の問題は、見て來られた人がこういう状態で見て來たということを、本委員会が認めるかどうかということにかかつておる、私はこう考えておる。從つてこの内容の中に多少なりとも、お互いのそうした範囲において認め得るものがあつて、これをまとめて行くということは、私はこれを後日の理事会に讓つてもらいたい。もう少しこれをきれいに直してもらいたい、そして申し上げますのは、先ほども指摘されました四ページの問題でありまするが、この平市の理由その他の状況というようなことの中に、こういうものが書かれておる。それは民度が高いか低いかということは、みずからの見方でありますし、そういうものがこの問題の原因であつたというが、私は必ずしもそれがほんとうの原因じやなかつたと思う。それはただこういう問題が起る一つの過程の上にこういうものが利用されたものであつて、決して民度が低いからこういうものが起つたということではなくて、これはこの一番先に書いてある地理その他の状況という所にあてはまると私は思う。そういう感じがしますので、こういうものはやはり率直に事件だけを御報告願いたい。そして將來の問題としてこれらを研究する余地は十分私はあると思います。從つてこういうものは除いてもらいたい。それから次の問題でありますが、五の將來の対策でありますが、これは非常に重要な問題でありまして、ほんとうに委員会がやはり何日もかかつてここでよくお互いが練り直さないと、ただこれを見て來られた諸君だけの主観的の立場から、これが委員会報告であるというようにみなされては、非常に委員会は迷惑であると思います。この点は十分報告書の中に氣をつけてもらいたい。こういうことが書かれて、將來の対策ということが、このまま報告されるということになりますと、われわれもこの問題で非常に異議がある。警察制度の問題でも非常にやかましい問題であります。ただこれを調査された方の主観的の私見であるということなら何も問題はないが、委員会意見であるということになると、非常に大きな問題であると思いますから、これは氣をつけてもらいたいと考えます。從つてそういうふうに取扱いをお願いいたします。
  28. 川西清

    川西委員長代理 それではこの復命書を基本にいたしまして、さらに理事会で相互研究、檢討をして、字句の整理その他をやることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 川西清

    川西委員長代理 それでは異議ないものと認めまして、理事会に一任することに決しました。  次に、先般、七月初旬以來各地に出張されました國政調査報告は、次回の委員会においていたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 川西清

    川西委員長代理 次回の委員会はこの次の次の水曜日になりますところの八月三日に開きたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 川西清

    川西委員長代理 それでは次会は八月三日午前十時より開催いたします。  次に日程に出ております地方税法の一部を改正する法律案は、前の議員提出で出したものでありますが、これは次会に延ばしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 門司亮

    ○門司委員 私ちよつとお願いしたいのですが、本日の日程になつております地方財政に関する問題と、地方税に関する問題を委員長に取上げていただいて、さいわい荻田財政部長がおいでになつておりますので、その関係質問なり、あるいはわれわれの考えておることを申し上げて、われわれの委員会としては話を進むべきだと思いますが、さようにとりはからつてもらいたいと思います。
  33. 川西清

    川西委員長代理 それではせつかく荻田さん來られておりますから、特に御質問のある方はお許しいたします。
  34. 門司亮

    ○門司委員 この場合特に聞いておきたいと思いますことは、地方の財政はまつたく行き詰まつております。ことにこの前の委員会で、神奈川縣の五市、鎌倉、小田原、藤沢、平塚、茅ケ崎の五つの市の市会の財政委員長並びに市の当局が出て参りまして、ここに陳情いたしました通りであつて、実際本年度の地方予算というものは、大体一年の予算を組んでいる所は少いのでありまして、多いのはたいがい六箇月くらいの暫定予算しか組んでいない。これは地方財政がどういうふうになるかという見透しがつかなかつた。ことに重要な問題は、地方配付税がどういうふうになるか見透しがつかなかつた地方配付税は御承知のように地方財政の中ではその歳入の大体二割六、七分ないし多い所は三割、あるいは四割を配付税で占めております。その配付税がどう決定するかわからぬうちに予算を組めないというので、現実の問題としては、おそらく六箇月くらいの予算しか組んでない。六箇月くらいの予算しか組んでいないということになりますと、九月ごろで一應更正予算を地方の自治体はぜひしなければならぬ。その場合に今のような状態では、おそらく地方予算というものはやつて行けなくなる。地方自治体はまつたく財政的に行き詰まる。その方面を受持つておいでになります当面の責任者として、荻田部長はどういうふうにお考えになつておるか、そのお考えを一應お聞きしておきたいと思います。
  35. 荻田保

    ○荻田説明員 本年度の地方財政の運営につきましては、ただいまおつしやいましたような欠陷が相当現われておると思うのでございます。從いまして今度國税、地方税を通じての税制改正がある。この際一應財政につきましても何らかの措置を講じたいと考えまして、目下研究中でございます。
  36. 門司亮

    ○門司委員 税制の改革が行われましても、実際問題といたしましては、國家予算に変革を加えない限りは私は非常に困難だと思います。問題は税制の改革をして來年度からこういうふうにするとかいうことでは間に合わないのであります。今年の九月以降の地方行政をどうするかということが問題であつて、從つて私のお聞きしたいことは、自治廳はそういう意味から、國会の開催をどういうふうにお考えになつておるかということであります。私は財政的の処置をしようとするならば、現在の予算に何らかの処置をする以外に手がないと思います。この点について國会の開催の時期その他についての率直な意見を、ひとつ聞かしていただきたい。これは政府当局としては非常にむりかもしれませんが、しかし一應のあなた方の立場から、内閣の意向とか、総理大臣のものの考え方ということは別として、あなた方から率直な意見をこの際お聞きしたいと思います。
  37. 荻田保

    ○荻田説明員 税制の改革と申しましたのは、單に地方税法の改革だけではありません。配付税法あるいは國庫の予算等につきまする補正、こういうことを含んで申し上げたつもりであります。そういう意味でありますから、われわれといたしましては、できるだけ早くこのような改正のできることを望んでおるのでありますが、ただそのために國会をいろごろ開くかということは、ちよつと私から申し上げかねる次第であります。
  38. 立花敏男

    立花委員 財政の具体的な問題でひとつ御答弁願いたいと思うのでありますが、各町村をまわりまして、一番問題になつておりますのは、六・三制の費用の問題なんであります。各町村で政府がお出しになる、早く建てろということで建てた金のあと始末が、百万円、二百万円と、小さい町村でも残つておりまして、これが各町村の頭痛の種となつておりますが、この問題に関してどういう処置をお考えになつておりますが、お聞かせ願いたいと思います。
  39. 荻田保

    ○荻田説明員 今年補助金なり、起債なりがもらえるものと当てにしまして、建築を進めてしまつた。しかもそれがだめになりましたので、その財源をどうしたらいいかという問題が、各地であることを承知しておるのであります、それには根本的に、公共事業費中の六・三制の建築費に対しまする補助金を追加するとか、あるいは地方債のわくを拡張するとか、あるいは見返り資金の運用なりを考えるこういう方法が考えられると思いますが、いまだそれに対しまして——これは主として文部省の問題になりますが、まだはつきりとは確定しておらぬのであります。
  40. 千葉三郎

    ○千葉委員 今の荻田さんの門司委員に対しまする御答弁ですが、抽象的で私どもにはわからなかつたのであります。從來地方税法を立てますときに、せつかく地方の税に関係するあなた方が立てたやつが、大藏省でつぶされてしまうのですね。大藏省関係にみなつぶされてしまう。そこでいつでも地方がばかを見るという從來の欠陷があつたのです。今度シャウプさんが、全体の國税体系を立てる、また地方財政を立てるというのに、今の見通しではまたつぶされやしないかという感じがするのですが、その間のことをみなこの委員会の方では應援するのですから、少しざつくばらんに、今の見通しをお聞かせ願つて、この行政委員会の協力を求めるというような程度まで行つているのであるか、あるいはあなた方のかねて考えておられるやつが、無事に向うの方に実現の可能性があるかどうかということに対する見通しの問題を、お聞かせ願いたいと思います。
  41. 荻田保

    ○荻田説明員 ごもつとものことと思いまするが、ただいま政府といたしましては、しつかりした成案ができておりません。ただ先般來開いておりまする税制審議会、これは政府側は入つておりませず、議会、そのほかに学識経驗者、これより成つておりまして、衆議院の塚田委員が会長をやつておられます。この審議会におきまして、中間的ではありますが、一應の結論が出たのであります。ただその内容につきましてはまだ審議会の方で発表されるなり何なりきまつておりませんような次第でありますので、私からそれを申し上げるというのもいかがと思いますが、ただ大きな方向としましては、その中に盛られました思想は、地方財政につきまして相当の改善を加えるという案になつているようでありますので、この案が政府におきまして採用になり、しかも國会において成立いたしますならば、相当地方財政につきましてもよい結果が出るのではないかと考えております。ただそういう段階でございますので、今私からその点につきまして具体的に申し上げるのはいかがかと思いますので、その程度に御承知願いたいと思います。
  42. 大泉寛三

    ○大泉委員 先月二十日前後に襲いましたデラ台風のことにつきまして、私ども京都、四國、中部地方に視察に参つたのであります。たまたま非常にデラ台風の損害に対して、政府に窮状を訴えたいという切実な声がありました。自治廳といたしましては、この地方の損害に対するどんな財政的処置をとつておられるか。これを簡單に伺いたい。
  43. 荻田保

    ○荻田説明員 今般南の方を襲いましたデラ台風の損害が相当多うございましたので、これにつきまして自治廳といたしましては、各省間及び地元府縣間のあつせんという意味におきまして、まず財政的の措置を考えたのであります。これにつきましては、根本的には公共事業費の増額、あるいは地方債のわくを拡張するというようなことが必要なのでありますが、それには相当の時日を要しまするし、しかも今回の災害は、この秋の出水期に対しまして相当の措置を講じませんと、また秋にひどい災害を受けるおそれがありますので、さしあたり大体十億程度のものを、現在の公共事業費の五百億円のうちから融通して出す。それに対して半額程度地方債を現在のわくから出す。そのほかに、公共事業費以外の種類の災害復旧に対しましては、やはり地方債を五億円程度出す。合計二十億円程度の財源をかれこれ集めまして、それを目途に公共事業費のきりかえ等を研究中でありますので、それもある程度時日を要しますので、すでに十日ばかり前に、それらを見返りにいたしまして、十億円程度を、特に災害のひどい府縣に対しまして預金部の資金より現金を融通して、さしあたりの工事を進めさせるというようなことを講じております。
  44. 大泉寛三

    ○大泉委員 私ども委員といたしましては、早急にこの援助を促進してもらいたいということを希望いたします。  次に先ほど各委員から地方財政の窮迫状況については申し述べておられますが、やはり國の財政方面から、これをやりくりしなければならぬというのが現実であります。今まで私どもが視察にまわつた範囲内では、非常に窮迫の度合いがはげしくあつた。しかして自治廳に対する地方の実情としてどんなことに、訴えて來られているか。自治廳としてはこの訴えせれる窮状と、それからそれに対する総合的な地方財政の処置は、断片的には伺いましたけれども、これを次の國会にどういうふうに救済の道をはかられるかというような、自治廳の考え方をこの際承つておきたいと思います。また私どもが各地方を視察して参つたのは、この次の委員会で総合的に報告もし、またあるいは自治廳に対する要望もしたいと思いますけれども、今日までの自治廳に集まつた範囲内のことを率直に承りたいと思います。これはわれわれ聞いておりまするけれども、自治廳としては、やはり各地方全体のものが総合的にかわつておると思うのであります。それをお聞きしたいのであります。
  45. 荻田保

    ○荻田説明員 われわれ地方財政状況は、抽象的に、総括的には、大体数字的にも見当がつきます。それから個個に特に窮状を訴えられて來るところに対しましては、その資料等も持つておりまするが、ただ具体的に各團体がどうなるかということは、実はまだ的確な資料を把握しておらぬのであります。と申しますのは、地方債の総額、あるいは配付税の総額はきまつておりまするが、はたしてある團体に対しまして、どれだけの額が配当になるものかということは、今われわれではまだ計算しておらぬのであります。ただ最近になりまして、ようやく國庫補助の金額の各縣別の割当もきまりました。それに應じまして地方債の割当もきまりました。それから配付税の額も大体本月中には府縣分がきまります。來月の半ばごろまでには市町村分がきまります。こういうふうになりますと、いよいよ具体的にその縣なり、市町村なりの財政を、どうやつて行くかという数字が集まるわけでございまして、それを見ませんと的確なことは申されないのであります。抽象的になりますが、結局先ほど門司委員のおつしやいましたように、俸給が全額組んでないというようなところは、今度の税制改正、この間行われました地方税改正、あるいは配付税の額の決定等によりまして、はたしてそのような経常費まで含めるかどうかというようなことも起つて來ると思います。そういうところは相当高い標準率の超過課税をやらなければならないというようなことも起つて來ると思います。最も問題になりますのは、五百億の公共事業費を地方に支出いたしますと、大体そのうちたしか三百五十億円程度が、地方に対する補助金になつております。そうしますと二百五十億円程度のものを地方が出しまして、公共事業を執行するのであります。その二百五十億円は從前ですと大体地方債に当るのですが、今回は地方債のわくが縮小されておる。しかも事業はそのままやることになります。從つてその分に対しまして一般の財源を持ち出さなければならないという計算になつておるわけです。ところが今度の地方債の割当によりまして、各縣とも、とうてい自分の負担分を持ち出すことができない。從つてせつかくの公共事業費五百億は、國庫予算には計上されておるけれども地方では受けきれないで、これを返さなければならないということでこれはつい二三日前に地方債の割当をいたしましたので、この点に関しましては、近いうちに各縣からその反響も具体的にあると考えております。
  46. 門司亮

    ○門司委員 この場合にもう一應聞いておきたいと思いますのは、財政に関したことで行政の面でありますが、今地方で非常に問題を起しておりますのは、地方定員法の制定の問題です。この問題だけは、あなたの方の直接所管ではありませんが、この問題をめぐつてつておりますものが、一應不必要であつても、あるいはわれわれから考えて、たとえば大阪の例をとりますが、大阪府で今度定員條例をこしらえて、そうしてこの際整理するものは二百数十名であつて、三百名になつておりません。大大阪市で三百名くらいの整理をしなければならないということで、しかも定員條例を定めなければならぬということに考えられておる。それの原因をよく突きとめてみると、これはどこでも同じだと思いますが、現在の状態で非常に地方配付税が減つておるという一つの脅威と、もう一つは政府から指示して來た地方も行政整理を行えというような指示がある。その指示に從わないで地方の行政整理を行わなければ、今でさへ減つておる配付税がなお減るんじやないか。そうするとまつたく財政的に困るんじやないかというようなものの考え方で、いたずらな地方の摩擦を起しておるんじやないかと思う。地方の状態は政府からそうやかましく言われませんでも、地方の自治体には必要以外の人間はいないはずであります。ことに日本の地方自治体の財政というものは、從來から非常に苦しいのでありまして、おそらく私はどこの公共團体に行つても、そうあまるほど人員を必ず雇つていないと思う。そういうことはまたできないと思います。にもかかわらず、地方定員條例というものを設けて、そうして必要以上の摩擦を今地方に起させておるその原因は、地方財政に、政府の指示に從わない者は配付税を減すのだということに、大体原因があるのではないかと思います。この点に対して、そういう指示を、ただ單にそういうふうに法律を解釈して、そうして臆測してやつておるのか、あるいはあなた方からそういう指示が多少なされたのかどうかということが、非常に私どもには重要な問題だと考えておる。おそらく地方の公共團体は、この九月ぐらいまでに全部定員條例をこしらえておかないと、配付税が非常に減らされる。その脅威にさらされておる。その結果いたずらなる摩擦を起しておるという結論になると思うのであります。その点に関してどういうふうに考えているのか。そういう指令を出したかどうか。
  47. 荻田保

    ○荻田説明員 地方職員の行政整理の問題につきましては、政府の方の行政整理がきまりましたと同時に、同じような方法でやつてもらいたいということを強く勧奬いたしまして、政府のやり方を詳細に地方に通知しております。地方によりましてはそれによりまして、やはりこれも政府職員と同じように、定員條例というものをつくることになつて、目下そのような條例が縣会、市町村会あたりに出ておるとも考えております。ただ地方におきましては、國の官吏と違いまして、すでに過去一年、二年の間に相当定員の——定員と申しますより定員の増加を抑制しておりますので、政府の指示通り三割、二割というような線によりまして整理いたしましても、実際整理される数は、そう大したことはないような現在の状況でございます。それに対しまして、こちらでどういう態度をとつているかというお話でございまするが、われわれとしましては、政府も苦しいところを忍んで、行政整理をやるのでありますから、地方團体もこれにならつてつてもらいたいということを強く期待しておるのであります。もちろんそれに対しまして命令するとか何するという権利はありません。ただ今お話の中の、地方財政法の規定との関係でありますが、これは具体的の場合にならないとわかりませんけれども、ほかのところがみな相当の整理をする。國も整理するというときに対しまして、ひとりある團体が整理しない。しかもその團体で起債も必要である。配付税も必要であるというふうに、財政にゆとりでないというようなものに対しまして、そのような整理をいたさないような場合には、あるいは地方財政法の規定を適用して、配付税を還付してもらうというようなことが起るかもしれませんが、それは具体的な問題でありまして、一般にはただちにそういうふうになるとは考えておりません。
  48. 門司亮

    ○門司委員 その間の問題で、具体的にならなければというお話でありますが、私の聞いておりますのは、そういうことの片鱗でも、あるいは政府の今度の地方の職員の行政整理に対する通達の中に、入れていやしないかどうかということであります。これは非常に大きく響いております。先ほど言われます地方の行政整理というのは、何も中央から定員條例をつくれということを強く要請されなくても、地方の自治体におきまして、やるべきことは今日までやつておるのであります。ことに今日までの地方自治体というものは、中央の問題とは別に、ほとんどどの自治体でも実際問題としてやつて行けない自治体がたくさんありますので、これが冗員をたくさん持つておるとは考おられない。さらにもう一つの問題が起つて來ておりますのは、今のようなお話でありますので、地方の公共團体はここしばらくの間は雇い入れをさしとめておる。こういう結果はどういうことになるかというと、一面から見れば老練になる人が多いという見方ができるかもしれませんが、役所の中の空氣は非常に沈滯するのでありまして、役所自体が一向はつらつとした空氣になつて來ない。こういう点も行政の点にかなり大きな影響を持つておる。大きな自治体は人を入れかえたい、何とかしたいが、しかしうつかりやると政治的にいじめられるのではないかというので、行政の面と、財政の面の板ばさみになつて地方自治体はやつて行けないというように考えます。私の聞いておりますのは、繰返して申しますが、そういう指示をされたかどうかということであります。ただ現われたものに対してそういう処置をとれということがもし言われておるとすれば、それもやはり一つの指示だと思う。そういうことの通達が正式になされておるかどうか。
  49. 荻田保

    ○荻田説明員 書面では出ておりまん。会議の席上ではそういう注意は申しております。
  50. 藤田義光

    ○藤田委員 簡單に二点だけお伺いしたいと思います。第一の点は、先ほど財政部長から御説明がありました通り、國庫補助を伴う地方債の査定は大体終つたようでありますが、仄聞するにその比率は府縣廳において要望額の約三割、市町村において約四割五分ということを聞いております。この配付率からしますと、当然地方公共團体で地方債の配分を返上するということころが相当出るだろうということは、從來の常識から容易に想像されるのでございますが、もしこの地方債を返上した場合、財政部長はどういう処理をしようとされるか、これが第一点であります。  第二点は、從來地方財政委員会事務局で地方債の査定をされますと、それがそのまま確定いたしまして地方公共團体に参つたのでございますが、最近大藏省の預金部が自治債の査定に逐一横槍を入れまして、その査定に是正を加えようとするというようなことを拜聽いたしております。大藏省はいかなる権限、いかなる論拠に基いてかかる容喙をするのか。もしかかる容喙が事実とすれば、財政部長としてはどういうふうにしてこの横槍をチェックするのか。非常に現実的な、具体的な二つの点だけをお伺いしたいと思います。
  51. 荻田保

    ○荻田説明員 地方債を返上するということはないだろうと思います。國庫補助もあり、地方債も認められれば、それはないと思います。ただその負担分に対して地方債を全額認められないということになりますと、國庫補助金の返上を申し出るものはあるかと思います。今度の地方債は全部國庫補助のあるものについて認めておるから、そうすれば國庫補助もあり、地方債もあれば、財源としては百パーセントあるのでありますから、これを返上するものはないと思います。  それから第二点の問題でございますが、大体地方債を許可いたしますと、その金は預金部から借りられることになつておることは御承知の通りであります。預金部としては金を貸すという立場において一種の権限を持つておるわけであります。しかしわれわれとしては、一つの立場から事業の緊急性、團体の財政状況等を見まして、これだけの地方債は起してよい、ことに現在取上げておるものは、すべて緊急性の強いものでありますから、そのような判定のもとに認めた地方債は、大藏省がさらに調べるという必要はないものと思いまして、この点そのような連絡をいたしております。最近そのようなことを地方團体側から批判の声を聞きますので、さらに大藏省の地方関係と折衝して、そのようなことがあれば地方の自主権を制限する、あるいはむだな手続をとらせるので、そういうことのないように努めたいと思います。
  52. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま第二の点に関して、財政部長から地方公共團体の側に立つた御答弁をいただきまして、その成果を期待いたしております。もし現状を放任すれば大藏省の立場が非常に強化される危險があります。私たちは先般の部会できまりました地方配付税の配付率の問題に関して、大藏省の態度を非常に不愉快に思つております。先例もあることでありますし、十分愼重に、強力に折衝されるようにお願いいたしたい。
  53. 立花敏男

    立花委員 警察の方にちよつとお伺いしたいのですが、その前に財政の問題に関連して次長の方にお尋ねいたします。私たちこの間自治廳ができます場合に、自治労連の代表を入れろということを主張したのでありますが、その根本的な理由としては、いくら財政の問題が形式的に確立しても、それの監督機関あるいは執行機関が、地方の官僚化された部分によつて選挙されておりますと、決して地方の財政もその本來の使途を達すことはできないという建前から主張したのでありましたが、事実そのような問題が続々と起つて参りまして、ただでさえ困難な地方の財政を、耐えられないまでの困窮に陷れております。一つの例として私大阪新聞を持つております。これは大阪で出ております商業新聞でありますが、その十七日の社説に、大阪府会の実情を発表しております。簡單ですから読んでみます。「府会議長を含む大阪府議五名が、さり五月十四日公務出張先の淡路洲本市で賭博を開帳したことが、六月の定例府会における正副議長改選問題にからむいがみ合いから暴露され、遂に檢察当局は眞相調査の結果、十五日淺野、種田正副議長など五府議を起訴した。関係府議の供述によると、洲本事件ばかりでなく、それ以前にも、有馬温泉や大津雄琴温泉で開かれた議員團総会で、数名の府議が賭博をしていた事実が明らかにされたが、洲本においては醉余とは言え、大廣間の障子三枚に、吉田首相の似顏から浴槽にある女中の裸体落書などを書きなぐり、一言のあいさつもなく引揚げたということである。事実の全容は裁判の結果に待たねばならぬが、かかる乱行は單に個人の私事私行として見のがしがたいものがある。  第一に公務出張に名をかつて府民の血税よりなる府費数万円を冗費に使つていることである。これだけでも府民に対する責任を感じなければならない。淺野議長の語るところによると、この視察旅行は運営委員会が、慰労のために残つている運営費七万四千円をこれに充てたとのことであるが、議員の出張と言えば、これまでもしばしばはでなやり口があつて非難されたものであつた。窮迫した府の台所を建直すために、二百八十九名もの人員整理の断行を余儀なくせしめられている際に、このような旅行に濫費しては、職員に対する示しがつかないばかりでなく、税負担に苦しむ府民の納税観念にも惡影響を與え、財政の引締めに府民は信頼することができなくなる。第二に、この醜状が暴露されたとき、淺野、種田正副議長らは賭博事件は事実無根であると府民に声明したにもかかわらず、起訴されたことは府民を瞞着した結果となるといわなければならない。このような問題を起した議員は、責任を感ずれば、裁判の結果を待たずともよろしく辞職し、府民に対してわびるべきである。罪の軽重を理由に辞職を回避するようなことがあつては、府民は納得することができないであろう。大阪府会は、府民の不信をとりもどすためにも、裁判の終結を機会に、根本的に府会を刷新すると同時に、人件費の節約だけでなく、財政全般にわたつて合理化をはかるべきことを強く要望するものである。こういう事実がはつきり大阪では現われて來ております。しかもこれはここにも書いてありますように、今回だけではないということをも、あわせて暴露されております。しかもこのことは私たち民主團体の調査によりますと、決して大阪だけにはとどまつていない。こういう問題に関しまして、こういう問題を放置いたしまして、いくら財政の問題あるいは税制の問題を論じましても、これは底が拔けているバケツに水を入れるようなもので、何にもならないと思いますが、こういう点に関して自治廳としてどういうお考えをお持ちになつているか、お聞かせ願いたいと思います。
  54. 荻田保

    ○荻田説明員 お話になりましたようなことが事実でありますればそれは地方財政の健全化という面から好ましくないことは当然のことであります。こういう問題につきましては、今拜見しますと、すでに公の問題にもなつておりますので、大阪府にも監査委員等の制度もありますから、おのずから自治的な監査が行われるだろうと期待しております。こういうことに一々自治廳から、どうのこうのということは考えておりません。
  55. 立花敏男

    立花委員 さいぜんも申し上げましたように、これは一つの事例として申し上げましたので、この問題をつかまえてどうということはお考えないかもしれませんが、こういう問題が全般的にあるということ、これが現在の地方の財政の困窮に一層の拍車をかけておるということ、これに対する対策をお聞きしておるのであります。
  56. 荻田保

    ○荻田説明員 自治廳といたしましては、このような財政のむだ使いがないようにということは、だびだび地方に指示いたしております。
  57. 立花敏男

    立花委員 單にそういう事柄の上の指示だけではなしに、もつと強力な手をお考えになつてつていただくことをひとつお願いいたしておきます。特に私どもは自治廳の自治委員会ができたときから主張しておりますように、民主團体の代表をやはり自治委員会の中に入れる。これは現在の條文でも入れられないことはありませんので、そういう方法もひとつの強力な方法だということを付言さしていただきます。  それから警察法の問題でありますが、七月十三日に各地方あてに通牒をお出しになつておると聞いておるのです。その内容は緊急の事態における消防と警察との協力の問題ですが、この通牒をお出しになりましたかどうか、お出しになりましたとすれば、通牒の全文を当委員会にお出し願いたいと思います。十三日における緊急の事態における消防が警察に協力する問題です。
  58. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 ただいまの御質問でございますが、あれは消防廳と警察とが現地で話合いをした上で、消防の方から何らかの意味で協力するという建前をとつております。私どもの方からこういうふうにせいとか、ああいうふうにせいとかいう詳しいことをまだ出していないと存じますが、一應調べて参ります。私まだ承知しておりません。
  59. 立花敏男

    立花委員 では七月十三日の通牒はお出しになつていないとおつしやるのですか。
  60. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 それは調べて参ります。
  61. 立花敏男

    立花委員 あなたがお出しになつていないとは、はなはだおかしなことだと思います。これは新聞にも発表されておるように、二百万人の消防員を動員するということは、日本人にとつては重大な問題で、憲法上にも重大な疑義がある問題だと思う。あなたがお知りにならぬということは、がてんが行きません。それからもしそれが事実といたしましても、今後のことに対しましてお出しになる意思があるのかないのか、たとい出してないにいたしましても、お出しになる意思があるのかないのか、はつきりしていただきたい。
  62. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 大体の中央における話合いの方針だけは、地方へ知らしてやる必要があると思つております。
  63. 立花敏男

    立花委員 そうすれば話合いはできたわけでございますね。それが成文化されておるのですか。
  64. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 大体の話合いはできております。
  65. 立花敏男

    立花委員 成文化されておりますか。
  66. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 成文化されております。
  67. 立花敏男

    立花委員 それをお出し願います。御発表願いたいと思います。
  68. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 ただいまここに持つておりませんが、もし御必要がありますればお出しいたします。
  69. 立花敏男

    立花委員 至急御提出願いたいと思います。それからその話合いは何に基いておやりになつたのか、御説明願いたいと思います。
  70. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 消防法の二十四條でございますか、あの條文を根拠にしておるように存じております。
  71. 立花敏男

    立花委員 消防法でなしに消防組織法だと思うのですが、消防組織法の二十四條にはそういうことは書かれておりません。明らかに消防法ないし消防組織法両方の法律に違反した内容だと私聞いておるのでございますが、その点はあなたはどういうふうにお考えになつておられますか。
  72. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 問題は、警察が仕事をする上におきまして一般の國民から協力を受ける場合もあり得るのです、だからして必ずしも法律的な根拠を要するか要しないかということも、実は問題であると思いますが、少くとも消防組織法の二十四條の規定が一應根拠になる、かように私どもは考えております。
  73. 立花敏男

    立花委員 この問題は、当委員会といたしましては決して今に始まつた問題ではありません。実は大阪事件調査に参りました場合に、大阪府の消防局と警察局がそういう協定を結んでおつて、そういう協定に基いてポンプを出して水をかけたという問題がありました。それに対する委員会意見といたしましは、これは法的に疑義があるということで委員会の結論が出ております。從つて現在もその見解はかわつていないと思うのです。しかもこの報告書は本会議にも報告されております。從つてそういう問題があるのを御存じでありながら、ただいまのような非常に簡單なお考えで、こういう重大な問題をおきめになるということは、少し軽卒ではないかと考えられるのですが、消防組織法二十四條には、決して通牒の内容にありますような、一般的な緊急事態にそういうことができるということをちつとも書いておりませんので、明らかに消防組織法にも反しますし、こういう問題で二百万の消防員を動員するということは、憲法上の問題にも発展するのではないかと思いますが、もう少し突き入つた御説明を願いたいと思います。
  74. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 いかにも新聞に二百万動員というように出ましたので、警察が消防をそのま全部率いて使うというような印象を與えておりますけれども、われわれの承知しておる範囲においては、そういうものではないのでありまして、あくまでも任意の話合いで、警察の足らぬ折に、その留守を守つてもらうというような事柄でございますので、これは必ずしも法律的に根拠がいるとか、さようなものではないのでございますけれども、一應消防法にも協力しなければならぬというような條文がありますものですから、法律的にはそういうものを根拠にいたしております。けれども実際におきまして互いに助け合う程度のものでございますから、中味をいずれ申し上げる時機があると思います。
  75. 立花敏男

    立花委員 互いに助け合うということ、それが正当な理由で、正当な手続によつてなされるのであれば問題ないですが、從來も戰時中あるいは戰前におきましては、非常にそれが混同されておつたという建前から、警察と消防の截然たる区別が法的にきめられているわけです。それを今あなたのおつしやいますように、法律に基かぬでもいいじやないか、法律に基かぬでも話合いでいいじやないかというような考え方は、根本的に法治國として許されない問題じやないかと思うのです。しかも動員される人間が、全國で二百万、これが何ら法的な根拠なしに動員され、駆使され、苦役を命じられるということになりますと、これは明らかに——憲法言つておりますように、法的な根拠によらないで日本人民は苦役に服させられることはないということにも、はつきりと違反している問題だと思います。こういう問題を法的に根拠なしに、ただお互いに助け合う程度の話合いだということで済まされては、何のために憲法があるのかわからないと思う。  それから発表の形式ですが、新聞によりますと、非常事態の宣言における動員のように書いてありますが、お出しになりました通牒では、非常事態の宣言のもとではなしに、緊急な事態、英語ではステート・オブ・イマージンシーという言葉が使つてあるようでありますが、こういうようなものは一体どういう法的な言葉なのか、非常事態宣言とどういうような差異があるのか、それをひとつお示し願いたいと思います。
  76. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 緊急事態と申しまするのは、必ずしも警察法に言う非常事態の宣言というような程度ということに限定するものではなくして、たとえば今日でも犯人が山へ逃げ込んだというような場合に、消防團の力も借りて山狩りをするということは、事実やつておるわけでありまして、それは必ずしも非常事態といつたような事態だけを考えておるのではありません。
  77. 立花敏男

    立花委員 緊急の事態ということを言つておるのですが、緊急の事態の認証は一体だれがやるのか、その解除は一体どういう手続でやるのか、現在の緊急事態の認証は、國家公安委員の勧告に基いて総理大臣がやつておるのですが、この際公安委員会はどうなるのか、こういう問題を通牒の中でおきめになつていないように私承知しておるのですが、そういうふうな簡單言葉で、こういう重大な問題をおきめになつてもいいのかどうか、どういうふうにお考えになつておるか、御説明願いたいと思います。
  78. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 緊急事態と申しますのは、先ほど申しましたように、警察がいろいろな事件に出まして、それが留守になつたというような場合などが一番想像されると思うし、それから先ほど申しました地方の山狩りといつたような事態も相当含まれると思いますが、この認定は市町村長が認定するというように、たしかきめておるように存じております。公安委員がきめるのではなくて、市町村長がその地方の状態に應じて認証する。こういうように聞いております。
  79. 立花敏男

    立花委員 そういうような重大な問題を市町村長がきめる。しかもそれに多数の人が動員できるということをあなたは法律に基かないで、單なる申合せでやつてもいいとおつしやるわけですか。
  80. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 先ほど申しますように、これは義務じやないのでありまして、別に出なくてもいいのですから、その点はお含み願いたいと思います。
  81. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと通牒というものは、これは一片の紙きれのようなものでありまして、やつてもやらなくてもいいというようなものでありますか。しかしこの内容には明らかに、緊急な事態における消防が警察に協力援助することについてと、はつきりありますので、受取つた方では、あなたの言われるようなふうには解釈しないと思うのですが、この点どうなんですか。
  82. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 相手方がどう受取るかという問題は別でございますが、あくまでも現在の話合いでやるということですから、消防の方がおれの方が出ないということを言うならばどうすることもできないし、出る必要もないし、また消防が出たからといつて、これが警察官のような職権を行使するわけではないのでありまして、その点お含み願いたい。
  83. 立花敏男

    立花委員 現地の話合いであれば、現地にまかしておけばいいので、何も國警長官と消防長官の話合いで通牒を出す必要はない。これは重大な問題だと思う。あなたの言うように現地で話合つて済むことであるならば、何もそういう事態の認識は市町村長がやるとか、そういうまつたく法律以上のことまでおきめになつて、それを中央から地方に通達してお出しになるというようなことは、これは必要ないと思う。かえつて害こそあれ利益はないと思う。それからさいぜんから問題になつております地方の財政の問題ですが、二百万の消防を動員するということでありますと、財政的な負担は、莫大な額に達するだろうと思います。この問題について一言もお触れになつていないのですが、一体この財政の問題をどういうふうにお考えになつているかお聞かせ願いたい。
  84. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 財政の問題は別に考えておりません。だから財政上困る村は、おそらく出さないだろうと思います。
  85. 立花敏男

    立花委員 そういうことで、こういう問題をおきめになつては、地方は困つてしまうと思うのです。現在も地方警察の返上、警察費の全額國庫負担という声が、全國的に市町村長の声となつて現われているわけです。この際に何らの財政的なお考えもなしに、單に市町村長の考え方一つで、消防團員を動員するというようなことを、軽率に中央から通牒をお出しになつては非常に困ると思うのですが、こういうことをお出しになると、現在町村長は中央が地方のことを考えない。たとえば六・三制の問題でも、警察の問題でも、この間全國の町村長会議がありまして、GHQへまで参りまして、これじや困る。政府が出すと言つたものを出さない。GHQの方から政府の方に言つてくれ、そうでなければ政府打倒をわれわれはやらなければならないと言つておる。その際になお追討ちのような形で、消防の動員、それも何らの財政的な裏打ちなしに、地方がどういうことを考えるか、どういうような惡い影響を地方の人心に及ぼすかということをお考えになれば、当然こういうものは出せないと思うのですが、われわれといたしましては、こういう通牒は全然おやめになつて、こういう問題はさいぜん申されましたように、まだ出してないとすれば、とりやめていただきたいと思うのですが、御所見を承りたいと思います。
  86. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 それは今申し上げるわけには参りません。
  87. 立花敏男

    立花委員 さいぜん取寄せていただきたいと言つたのですが、ここで発表願えますか。
  88. 川西清

    川西委員長代理 次回の委員会でどうですか。それまでに御入用なら、自宅に送るように……。
  89. 立花敏男

    立花委員 こういう重大な問題を、警察について所管するこの委員会にお出しにならないということ自体が非常に不明朗なものと感じますし、委員会自体を侮辱した態度ではないかと思うのです。警察の問題に関しまして、これほど重要な問題を、話合いがきまつて了解がついておるのに、なぜこの席上にお出しになれないか。しかも今でさえ忘れておつたというならいいのですが、さいぜん至急取寄せていただきたいと言つたにもかかわらず、何らの措置も講ぜられておらない。たとえ半時間一時間待ちましても、すぐとつて來て読み上げていただけば皆わかると思う。こういう重大な問題を放置してきよう帰ることはできないと思いますが、当局のお考えはどうですか。
  90. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 もしお急ぎならばですが、まだ地方へ出す案について私自身十分檢討をしておりませんから、そのように申し上げた次第であります。
  91. 川西清

    川西委員長代理 今もおつしやつたように出さないと言つておるのではないから、至急方法を講じて出してもらうことにしたいと思いますが、どうでしようか。
  92. 立花敏男

    立花委員 出す案についてきまつていないとおつしやいましたが、さいぜんお聞きしますと、話合いがきまつてしまつておるとおつしやつたじやないですか。
  93. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 大体はきまつております。
  94. 門司亮

    ○門司委員 私は増田官房長官にただいま問題になつております消防の動員の問題、さらに今回新聞を相当にぎわした、ことに現在の日本の治安の状態から考えて、非常に遺憾だと考えております齋藤事件と言うか、國警本部長官に対する事件の内容等についてお聞きをしたかつたのでありますが、本日ここに長官がおいでになつておりませんので、非常にこの点を遺憾に考えております。  私が委員長に特にお願いを申し上げておきたいと思いますることは、われわれが要求いたしますのは、單に氣まぐれや何かで出しておるわけではありませんで、ことに現在の社会情勢というものは、非常に不安にかられておりますので、これに対処するために私どもは長官の出席を求め、そうして意見を聞くなり、あるいはわれわれの所信を申し述べて善処したいという考えを持つておりますだけに、政府当局がこういう事態においてすら、委員会にすら出て來ないということは不見識だと思う。われわれもまた、ここに何しに來て何をやつておるのか、ほんとうに自分自身を省みても、何とも言えない感じがするのであります。この点はひとつきようはおいでになりませんが、今お聞きしてみますと外相官邸は出たというがまだ役所に帰つていない。そうするとどこにおるかわからないから電話のかけようがない。こういうことでは物情騒然たる今日、一体政府の責任がはたして満足に果せるかどうかということが疑わしい。ことにおやりになつておりますことは、先ほどから問題になつておりますように、消防に対する何か意見を求めたいということで、これは法律で規定されたものであり、常識で考えられることであつて、國民の欲しない、納得のできない騒擾あるいは暴動の起りました場合には、これは法律に基かなくても、日本の國民全体が、相協力して暴動を鎭圧するということは、常識的に考えられる。こういう問題を何らの法律にも基かないで、そうしていかにも命令を発するような態度を政府がとること自体が問題を起す原因で、最近は政府自体が問題の原因をまいておるのではないかと考えられる。こういう点についてもわれわれは、十分意見が申し述べたかつたのでありますが、本日の会議は非常に遺憾に考えております。この次の会議には、ぜひとも官房長官なり、政府の責任者に出ていただきたい。ことに現在の治安の問題に対しては、私はできるならば——できるならばという言葉は同情的な言葉であります。総理大臣は年をとつておられますので同情的な言葉でありますが、総理大臣自身がここにおいでになつて、治安確保に関してはこういう所信を持つておるという、所信の披瀝があつてしかるべきだと思います。そういうことを遺憾に考えております。この次には官房長官なり、できれば総理大臣に出てもらつて、そうして國会委員会なり、正式の機関を通じて、現在の社会不安に対して、政府はどういう所信を持つておるかということを明らかにしてもらいたい。この点強く委員長に要求をいたします。
  95. 川西清

    川西委員長代理 門司君の御意見は、委員長から政府当局に十分傳達いたすようにいたします。
  96. 立花敏男

    立花委員 やはり警察、治安の問題で問題になりますものは、下山事件あるいは三鷹事件の問題であります。これに対して檢察当局並びに警察のおとりになつた態度は、非常に一方的な態度があつたのですが、こういう問題は非常に重要な問題でありまして、私たちが前例を考えました場合も、張作霖は一体だれが殺したのか、しかもあの問題が日本をどういうふうな誤つた方向にひつぱり込んだか、あるいはドイツの國会は一体だれが放火したのか。あの問題こそがドイツを今度の大戰にひつぱり込むきつかけになつたのだ、そういうことを考えますと、現在起つております問題の眞相をあくまでも糾明する。いかなる偏見あるいは一方的な意見にかかわらず、あくまでも眞実を眞実として報告する、そういう建前から、あくまでも法の嚴守ということが捜査の基本的な態度にならなければいけないのでありますが、現在逮捕されております二名の共産党連中は、何らの物的証拠なしに逮捕状を発せられて逮捕されておるのであります。こういうことは非常に現在の刑法上にも明らかに違反した、明らかに一方的な政治的な処置だと思うのです。今日の新聞で見ましても、何ら事件に関連した取調はなしに、共産党の組織上の問題とか、組織上の役割とかを調べておるという報告が出ておりますが、こういうやり方では、非常にこのこと自体が日本の將來にも大きな影響を與えるんじやないかと思います。直接その衝に当られました國警といたしまして、この問題に対してどういうお考えをもつておるか御発表願いたい。
  97. 溝淵増己

    ○溝淵説明員 ただいまの御質問は三鷹の事件についての御質問だと存じますが、決して警察は一方的な氣持でやつてるものじやないということだけは申し上げられます。実は御承知のような制度でありますものですから、三鷹町署に應援を依頼されまして、東京都の國警本部の警察が應援をして、現場で捜査本部を設けてやつておるのでございます。二人の被疑者を逮捕いたして取調をいたしておるということだけは御承知のところであります。これについて証拠がないじやないかということでございますが、これに対するわれわれの承知しておる範囲におきましては、前後における言動等が、かなり容疑があるということから、檢事が裁判所に要求いたしておるのでございます。そうして警察はその命によつて逮捕じて、そうして行動しているというようにわれわれは承知いたしておりますが、少くとも物的証拠がなければ証拠にならないというわけではないと思います。少くとも判事を納得さすだけの証拠があつたのじやないか、かように感じております。
  98. 大泉寛三

    ○大泉委員 議事進行について——きようの委員会の主たる目的とは、どうも今審議しておる問題は関連性が薄いと思うのです。どうか時間も経ちましたから、次の委員会にこれを讓つて閉会を宣してもらいたい。それからどうも各委員の御意見委員長において相当尊重されておりましようけれども委員会の意思というものを、やはりある程度以上尊重して、これを適宜に裁量してもらいたい。また政府委員においても、審議の問題に対して関連性のきわめて薄い問題を、何時間も延ばされては、こちらは迷惑する。この点をどうか委員長において、あまり多数の者に迷惑にならないようにとりはからつてもらいたい。
  99. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの大泉さんの御発言まつたく同感でございます。私はこの次の委員会にはぜひ名前を指摘してお願いしたいと思います。齋藤國警長官、増田官房長官、樋貝國務大臣にはぜひ御出席を願いたいと思います。その三方と同時に、新聞の傳えるところによりますと、來月中旬には早くもシャウプ博士の原案ができるという最後の段階になつておるようでございますから、木村國務大臣の御出席を願いまして、税制改革の進捗状況について、詳細御説明を仰ぎたい。それに基きましてわれわれの批判を加え、また行政委員会としての立場をはつきりさしたいと思います。もし以上お願いしました大臣なり、國警長官が出席できないとすれば、地方行政委員会以上の重要な案件を具体的に御説明願いまして、出席できない理由をはつきりさせていただきたいと思います。どうぞ委員長よりこの点よろしくお願いいたしたいと思います。
  100. 川西清

    川西委員長代理 本日はこの程度にいたしまして散会いたしたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 川西清

    川西委員長代理 それでは散会いたします。     午後零時四十一分散会