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1949-04-19 第5回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月十九日(火曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 川西  清君    理事 福田 篤泰君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君       大泉 寛三君    大内 一郎君       河原伊三郎君    川本 末治君       菅家 喜六君    清水 逸平君       野村專太郎君    龍野喜一郎君       門司  亮君    千葉 三郎君       谷口善太郎君    井出一太郎君       小平  忠君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         文部政務次官  左藤 義詮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方配付税法特例に関する法律案内閣提出  第二八号)     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、地方配付税法特例に関する法律案内閣提出第二八号を議題とし、質疑を続行いたします。池田大藏大臣出席しておりますから、大藏大臣に対する質疑通告順に從いましてお許しします。谷口善太郎君。
  3. 谷口善太郎

    谷口委員 予算がもう通つてしまつたので、われわれはこの配付税問題で質疑したり、審議したりするのは、六日のあやめの感があつて、非常に張合いがないわけですが、この際私どもは、特にこの問題について明らかにしておかなければならぬことがあると思うので、そういう点について、一、二点大藏大臣にお尋ねしたいと思うのであります。  この前大藏大臣がこの席へ御出席なつたときに、配付税性格についてこういうふうなことを言われたと思うのです。地方予算はどういうふうに支出をするか、支出をきめて、それに対して地方でも、独立税もしくは地方で徴收できる税金を、それに見合うようにし、その足らず前を——足らず前という言葉大藏大臣言葉でありますが、足らず前を補うのが配付税の目的である。從つて配付税法に規定してある三三・一四%という配付の率は、必ずしも固定的に考うべきでなく、そのときにおいてどうにもなるのだというふうな意味のことを言われたと思うのであります。ところがその後、私どもがこの委員会木村國務相といろいろ論議しました結果、木村さんのおつしやるのでは、そうではなくて、配付税は、從來分與税と言いました時分の、國の財政から地方へわけてやるやり方に、非常に不安定なものがあつて、あたかも與える補助金、そういうふうな形になりがちであつたことが、地方を非常に圧迫する結果となつた、そこで配付税をつくつてはつきり配付する率をきめる、割合をきめる、そういう建前からあれはできたのである、從つて單なる補助金という性格でないことは明らかであるが、昭和二十四年度は九原則の実行というやむを得ない至上命令があるために、今年だけは特別なそういう事情に基いて配付税を減らすのだ、そういう点で地方には非常に迷惑をかけるが、このことはなるべく地方諸君にこの事情を了解してもらうように、われわれは今後努めて行きたい、こういうことを言われておるのであります。明らかに配付税性格について、政府部内に意見が対立している。意見の統一がない。こういうふうに私どもはまず思うのでありますが、この点について大藏大臣の御意見を、もう一應確めておきたいと思うのであります。
  4. 池田勇人

    池田國務大臣 表現の仕方が少しきつかつたかと思うのでありまするが、たしかに分與税法から配付税にかわりました理由につきましては、分與という氣持でないようにかわりつつあることはお話通りでございます。しかし実際の問題といたしましては、やはり地方中央との財政を調整するということも入つておるのでございまして、今回のようなことは常則ではございませんけれども、やつぱり今後におきましても、配付税法という建前から行きますと、そのときどきの國家地方財政状況によつて調整されることが予想されると思うのであります。
  5. 谷口善太郎

    谷口委員 これは、木村さんとの間に、私ども大分繰返し論議した点をさらに繰返すことになりますが、昨年の第三國会配付税法が制定されましたときは、あの当時の政府委員である野溝國務大臣説明によりましても、從來の分與税制度であつては、非常に國の都合によつて地方公共團体財政面で圧迫を受けるという、この点をそうでなくするために、新しい憲法における地方自治の趣旨に基いて、地方公共團体自主性を與えるための財政的措置であつて、これは地方公共團体財政確立骨格法であるというようなことを明らかにしておるのであります。そういう点で、今池田大藏大臣のおつしやるように、國の都合によつて、あるいはそのときの都合によつて、この割合はかわり得る可能性があるというようなことには、私ども承服できないのであります。と申しますのは、昨年配付税法が決定されたときに、地方財政的基礎を確実にするために、配付税でなく、独立した最も有力な財源を與えるべきだという主張が非常に強くて、特に地方財政委員会なぞでは、その主張を通す熱意から、政府がそれを承知しない点で、幾人かの委員がやめたり何かしている。つまりあのときの論議の中心問題は、地方における財政的基礎を確立するという、この地方自治の本旨を非常に重視しまして、そうしてそれへの第一歩として、この配付税が、はつきりと三三・一四%というような税率まできめてできたものだと、私どもは思つておるのであります。從つて大藏大臣のおつしやる点に承服できないのでありますが、そうしますと國と地方公共團体との、こういう形での歳入のわけ合い方が、つまり配付税法というものが残るとすれば、今後もこういうふうに國の都合によつてはつきりと地方の方へ出す割合を減して行くという見通しを持つていらつしやるわけでございますか。
  6. 池田勇人

    池田國務大臣 昭和二十五年度については國の財政地方財政がどうなるかはつきり見通しがつきませんが、地方の方で経費が非常にかさむということになりますれば、また地方歳入が十分とれないということになりますれば、今度また率をふやさなければならぬように相なつて來ると思うのであります。ただ本法では所得税法人税の三〇何パーセント、こうなつておりますが、これは來年度においては一應三〇何パーセントとなる、二十四年度だけ三三・一四をいくらいくらというふうにいたしたのであります。地方財政独立ということについては、私はこの配付税法だけでは十分でないのじやないか、もつとはつきりした独立財源を持つべきじやないかという考えを持つております。
  7. 谷口善太郎

    谷口委員 その独立財源のことについてはあとでお尋ねしたいと思つておりますが、來年度になつてもし地方に非常に支出が多くなる、あるいは歳入の面で困難が來る場合にはふやすというふうなことをおつしやつたわけであります。そういたしますと今年は地方に非常に必要な、緊急な、いろいろな支出の面がないかのごとくに聞えますが、先般來この委員会におけるすべての委員からの御発言、及び十六日かに各地方公共團体代表者その他を呼んで事情を聽取した、その言葉によりましても、今年ほど地方公共團体に、いろいろな点で費用のいるような事業が必要とされておるときはない。たとえば六・三制問題ですと今年は最後の年でありまして、今年で完成しなければ、非常にたくさんの兒童が十分な教育を受けられないばかりか、危險な状態に置かれるような事情にある、あるいは災害復旧の問題なんかでもそうでありますし、その他一切の点からこれらの人々はその事情を申し述べられましたし、私どもそれをよく知つております。そういう点で今年ほど地方公共團体事業の内容を多く持つておる年はないように私どもつておるのであります。それにもかかわらずこういうふうに配付税減額される。大体私どもこの國会の始まつてからの経過を見ましても、最初どもの聞き及んでおりましたのは、國家予算を大体五千七百億と見、そのときには地方予算を四千二十五億ほどに計上されていたようであります。それが一挙に國家予算の方で七千億にふやされた一方に、地方予算が三千三百八十億に減額されておる。この一事を見ましても、地方には非常に仕事のあることは大藏大臣もよく御承知だろうと思うのです。にもかかわらずいつの間にか國家予算最初計画よりも厖大にふやされて、その反面に地方予算が非常な減額を要求されておる。こういう点から見ましてもこの法案提案理由書には、國庫財政都合により、昭和二十四年度だけはこういうふうに一六%なにがしに減額するというようなことを書いてありますが、実際國の都合によつて、全体として地方財政を圧迫するものだと私ども考えざるを得ないのであります。この点についてはそうではなく、今年はやはり地方はそんなに事業がなくていらないんだ、こういうふうに大藏大臣は思つていらつしやいますか、その点をお伺いいたします。
  8. 池田勇人

    池田國務大臣 お話通りに、地方においても今年は非常な多額の経費を要することは存じております。また國といたしましても、経済安定のために御承知通りな出費を要するのであります。いずれが苦しいかという問題になつて來ますと、両方とも苦しいのでございまして、今年は地方團体におきましても非常に苦しいことは想像いたしておりますが、経済再建のために忍んでいただきたいと考えておる次第でございます。
  9. 谷口善太郎

    谷口委員 この間通りました予算の中で、一番大きな支出の項目は價格調整費、これは二千何百億かあるわけであります。緊縮財政とかあるいは均衡財政とかいうことを盛んに政府はおつしやいますけれども、この点で私どもお尋ねしたいことがたくさんある。これだけのたくさんの價格調整費がどこへ出されておるか。一方にたとえば石炭とか鉄とかいう、五品目のいわゆる安定帶物資に対する價格調整として、千何百億でしたか出ておりますし、また他方に輸入輸出に関する助成金ですか、そういうものが八百三十三億かある。こういう点で私どもは、國がはたして地方財政をこれほど圧迫してまで國へ取り込む必要があるかどうか、この價格調整費の中で、石炭に対する問題なんかでも、私どもはずいぶん疑問を持つておるのでありますが、一方政府の言う通りこういうふうにやつて國内の物價を安定させるということが、もしその通りだとしましても、たとえば價格調整費を非常にたくさん出しておる。これらの重要産業は私どもの方でずいぶん問題にしておるわけでありますが、價格調整をしなければならない限度について、たとえば原價計算に非常にインチキがあつて、そうして不当にとつておる資本家もあるし、産業もある。これは大藏大臣よく御承知で、日本共産党は、その他の点で大藏大臣の前に、非常な不当なものがあるということを何回も言つておるわけでありますから、ここで私は繰返しませんが、そういうことで價格調整費政府がどうしても経済安定のために必要だというふうに言つていらつしやるその本質は、経済安定というよりも、最も独占的な重要産業資本家を助けることになつておる。また千七百五十億のいわゆる見返り資金特別会計が今度できたわけでありますが、この千七百五十億という中にも、先ほど申しましたように八百三十三億という國民税金が含まれてその額になつておるのでありまして、当然こういう税金を拔いて米國からの援助——これは援助であるかどうかは將來になつてみればよくわかりますが、この援助によつて黒字となる部分が非常に少く、千七百五十億という中には、八百三十三億というわれわれの税金が加わつておる。これがかつてにいろいろな面に使われるわけでありましようが、特に政府の言つておるのは、鉄道とか逓信事業とかいうところに使われるとか、あるいは復金債その他を含む國債の償還をやるというふうに言つていらつしやいますが、鉄道とか逓信というような事業は、特別会計として独立採算制ということを政府は言つていながら、一方に國民税金見返り資金の中へ含めまして、そうして見返り資金特別会計という名目で、その独立採算制をとつて独立するといわれるところの公企業につぎ込んで行くという、そういう方策を政府はとつているようでありまして、これらも明らかに私どもにとりましては大きな疑問がある。こういう点をなくすれば、当然所得税などの税率を引下げることもできるし、地方配付税をこういうふうに——どもに言わせれば不法手段だと思いますが、不法手段でもつて一方的に減額するというような不当なことはなさらなくてもいいと思うのであります。今度の臨時議会にすべての予算を補正されるそうでありますが、こういう点をかえて行きたいというような、そういう見込み、あるいは決意を持つていらつしやるかどうか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  10. 池田勇人

    池田國務大臣 御質問の点が多岐にわたつていると思いますが、價格調整費は何も好んで出しているわけではございません。ただいまの物價水準を動かさない観点から、こういうふうに出しているのであります。また対日援助見返資金特別会計の点は、たびたび申し上げておりまする、アメリカ援助物資はつきりさせたいというためにやつたのでありまして、この援助資金のうちに税金八百三十三億円を入れておるというお考え方は、誤りであると考えている次第であります。すなわちアメリカから今一ドル三百三十円の想定レート小麦を入れますと、一石大体GIFで五千数百円かかります。しかも五千数百円かかる小麦を、そのままで賣つて消費者生活費に影響いたしますので、三千円程度で賣つております。その差額がそういうふうな金額になるのでありまして、税金をもつて見返り資金の千七百五十億に充てているというお考え方は、私はとらないのであります。結論といたしまして、價格調整費すなわち千二億円につきましては、また二十三年度分の百五十億円につきましては、極力精査いたしまして、この調整費減額をはかりたいと考えておる次第であります。
  11. 中島守利

    中島委員長 谷口君にちよつと申し上げますが、大藏大臣は非常に今日はいそがしいらしいのであります。参議院の方で大藏地方行政連合審査会が開かれておつて、それに出席を要求されておりますので、なるべく簡單に御質問を願いたい、多岐にわたるようなことは予算委員会質問されておられる問題などもあるように思われるのであります。そういうものは予算委員会速記の方でごらん願しまして、ここでは地方行政に限定した部分において御質疑を願いたい。それから谷口君のほかになお大藏大臣質疑が五人ほど通告されております。どうか諸君におかれてもごく簡單に、質問條項を整理されて、そうしてなるべく参議院の便宜をはかつてやりたいと思うのであります。
  12. 谷口善太郎

    谷口委員 もう一点で終ります。今大藏大臣は、價格調整費はなるべく精査して減して行きたいというふうにおつしやつたわけですが、そう場合に地方配付税に対して、その價格調整費がもし精査してむだがある、余裕ができるというようなときに、地方配付税のこのみぞを埋めて行く、まず第一にそれを優先的にやつて行くというようなお考えがあるかどうか、その点を伺いたい。
  13. 池田勇人

    池田國務大臣 予算の執行にあたりまして、剩余が出る見込みが立ちましたら、まず第一に所得税等の減税なり、そうしてまた地方配付税増額、また公共事業費増額に充てたいと考えております。
  14. 中島守利

  15. 川西清

    川西委員 最初大藏大臣に一言申し上げておきたいと存じますが、ただいま地方配付税法臨時特例に関する法律案が、本委員会に付託になりまして以來、大臣は本委員会に一度も御出席にならなかつたのであります。さきに地方予算全体に説明に際して、一度御出席なつたことがございましたが、こういうような地方財政委員会と申しますより、特に大藏省関係の深い法案におきまして、当委員会に御出席になりませんと、われわれといたしましては審議を全うすることができないのでありまして、この点今後のこともございましようが、時間の都合のつき次第、せめて予算が通過いたします前に、ぜひとも一度は御出席していただきたかつたのであります。この点一言お願いしておきます。  それでまずお尋ねしたいことは、過日の本委員会におけるところの大臣の御答弁におきまして、地方配付税配付率でありまするところの三三・一四%の比率は、必ずしも既得権ではない。これは地方財政國家財政とのそのときどきの事情を勘案して、そうして地方財政がどれだけ不足であるか、こういうことを考えて、配付額を決定するのが慣例となつているというような意味のことを申されたのであります。速記を見ているわけではございませんので、正確な言葉をここに繰返すことはできませんが、とにかくそういう意味のことをおつしやつたのでありまするが、これは私どもといたしましては、はなはだ不可解のことでありまして、三三・一四%の配付率と申しますものは、地方配付税法二條に明らかに定められているのであります。法律予算と異なりまして、一回限りのものではありません、これは恒久的な立法でありまするから、一應永続的なものと考えるのが、いわゆる法律の常識であろうと思うのであります。またこの配付税は、三三・一四%の比率は、所得税附加税を廃しまして、配付税制度が成立しましたいきさつから考えましても、そう軽々しく変更することができない比率であると思うのであります。この配付税地方税基本でありまして、財政補給金的な性質のものではないのであります。地方税の多くが物税で彈力性が非常に乏しい場合に、彈力性のゆたかな所得税法人税から割出しますところの配付税というものは地方税基本である、こういうふうに考えておるものであります。これが前会の御答弁のように、毎年々々そのときどきの事情を勘案いたしまして、その年々の配付額を決定するというようなことになりましては、地方におきましては將來計画も、前途の見通しもつかないような結果に陷つて、非常に地方予算編成に困難を來すと思すのであります。こういうようなことが慣例であるというようなお考え方は、私は不可解だというばかりでなく、法律というものに対する考え方から申しまして、こういうような法律は大体恒久的なものであるにもかかわらず、その年々に臨機應変に変更できるという考え方は、どうも不可解であります。この第二條におきまして、所得税及び法人税所得額の相当の部分をもつて配付税とするというような條文でありましたら、それでもよろしいと思いますけれども、ここにこうちやんと書いてある以上、これは絶対的事実であると思うのでありまするが、その点に関しまする大藏大臣のお考えをお聞きしたいのであります。
  16. 池田勇人

    池田國務大臣 もちろん御説のように考えておりまするが、今までの状況を見ますと、なかなかぴつたり行くものではないのでございます。地方の事務が非常に画期的にふえるとか、あるいは予算が非常に多くなつて來るとか、いろいろな事例から考えますと、機能的にくぎづけにしてしまつては、非常に困る場合が起るじやないか。もちろん法律でありますから、それはきめてはおりますけれども、そのときどきかわつて來ている今までの実情から申しまして、これを絶対的に動かせないものとは私は考えていなかつたのであります。ことに地方税法において地方財政の重要な部分をしめます事業税が、前年の実績になつておりますし、所得税はその年の予算課税になつております関係等を勘案いたしますと、なかなかそれをくぎづけにして行くということは、両方とも非常に困る場合があるのであります。從いましてお調べ下さいますと、わかるのでありますが、大体率がある程度かわつて來ておるのであります。もちろん地方財政を動かします上に、一應の標準がなければなりませんから、法律二條に規定いたしておるわけであります。政府といたしましては、これに頼つて行くことはもちろん頼つて行かなければなりませんので、結果から申しますと、たびたびかえなければならぬという情勢が起つて來ると思うのであります。なお今回におきましては、二十四年度限り率を下げることにいたしまして、一應の建前は、三三・一四で行くという建前をとつておる次第でございます。
  17. 川西清

    川西委員 この法律ができましたのは昨年でありまして、昨年はこの附則によりまして、百分の二三・三一に読み替えるものとすというふうに書いてあります。くぎづけにできないといたしますれば、この條文にこう書いておくことは、非常に不穏当と考えるのであります。それから先ほど來しばしば國家財政地方財政のその年々の事情考えて、地方配付税配付額を決定するというふうに申されておりまするが、この地方配付税と申しますものは、國家財政地方財政とを調節する制度ではなく、地方財政そのものの中で、非常に富裕な市町村と、貧弱市町村との財政を調節する制度であると思うのでありますが、この点について大臣のお考えを伺いたい。
  18. 池田勇人

    池田國務大臣 各地方間の不均衡を調整するのが第一の主眼点であります。しかしてまた配付金額を出します場合につきましては、先ほど來申し上げているようなことも今まで考えられていたのであります。
  19. 川西清

    川西委員 予算におきまして、地方配付税は五百七十七億と決定しておるのでありますが、本年度徴收いたすべき所得税見込みが三千百億、法人税は二百七十二億となつておるのであります。これが予定通り徴收されませんでした場合に、一六・二九%を掛けまして、五百七十七億がこれ以上減るというようなことがありましては、地方としては一大事になつて來るのでありますが、この点について明確なる御答弁を願いたいと思います。
  20. 池田勇人

    池田國務大臣 五百七十七億をきめました過程から申し上げましても、大藏当局といたしましては、五百七十七億は絶対確保いたします。
  21. 中島守利

  22. 井出一太郎

    井出委員 私も一点だけ伺います。先ほど來配付税の問題に関しまして、幾多論議が繰返されておりますが、どうもこの委員会の全体の空氣大藏大臣考え方とは、大分ずれがあるように見受けます。法律に明記された配付税の定率というものが、大藏大臣によつてゆがめられたとでも申しましようか。これはもちろん現実的な要請からして、大臣はさようなお立場をとられると思うが、先ほど機能的にという表現をされました。そういう御見解をもつて臨まれる以上は、配付税法大藏当局によつては骨拔きにされている、こういう感じを受けるのでありまして、根本的にわれわれは配付税法というものを再檢討して行かなければならぬ、かように思うのであります。そのことはそれといたしまして、先ほど大臣表現された言葉の中に、配付税法は非常に不安定である、もつと恒久的なものにせなければならぬというような意味のことがあつたと思います。これに関連しまして、先ごろ地方財政委員会委員長であつた木村國務相参議院答弁されたことに、所得税ないしは法人税附加税をとるという、昔の方式を再現する、こういうことを言われた。これに関して本委員会生田委員から追究をされましたところ、これは私見である、こういうふうにお逃げになつていらつしやる。このことはたしか予算委員会で、総理も何かそういうふうな示唆を、答弁の中に速べておられたように思うのですが、一体政府当局としては、そういうような方向を考えておられるかどうか、少くとも地方配付税法というものは、長い歴史、沿革を持つて今日あるのでありまして、これはまさに地方財政の骨格的な、基本的な歳入源である。それを現政府はそういう建前を尊重されないで、何か昔に逆行するような感じを私は受けるのでありますが、はたして近い將來にそういうものにかえて行こうと考えておられるかどうか、この点を明確にされておきたいと思います。
  23. 池田勇人

    池田國務大臣 私の考えといたしましては、どうしても地方分権を確立して行きますためには、財政的にもはつきりした財源を持つてもらう必要があるのではないかと考えております。御承知通り昭和十五年に、中央地方を通じまする根本的な税制改正をいたしました。國家偏重と申しますか、中央集権的な考え方でできたのか今の税制でございます。從いまして配付税の問題にいたしましても、こういうような問題が起ることがあつては困るので、最近内閣に設けました税制審議会におきまして、地方財源の独立という点をひとつ取上げまして考えてみたいと思つております。もちろん地方におきましても、税源の多い府縣と少い府縣がございますので、絶対的に独立財源を渡すことをいたしましても、ある程度の財政交付金を置く必要があると思いますが、考え方としては私は確固たる独立財源に持つていただくことがいいのではないかと考えております。
  24. 井出一太郎

    井出委員 このことはおそらく地方財政の上に非常な衝撃を與えていると思いますし、そのために地方予算というものは大きく組みかえをしなければならないという、非常な困難に現在直面しておるようでありますが、今おつしやる方向において、どのような具体的な税源というものを考えられるか、さつき申し上げた所得税法人税等に対する附加税というものを取上げられるかどうか、これを一点伺つておきます。
  25. 池田勇人

    池田國務大臣 ただいまのような制度になります前には、そういう所得税附加税等をとつておりました関係もありますので、考え方の一つとしては取入れられると思います。しかしそればかりでなくて、三收益税の問題あるいは地方住民税とも関東いたしまして考えてみたいと思います。
  26. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は大藏大臣に二点について簡單にお伺いしたいと思います。第一点は地方配付税の率の変更につきまして、本來ならば両院の可決を持つて予算が提出される、また予算の可決を見るのが建前だろうと思います。しかるにすでに予算は衆議院を可決されて、参議院に回付されているとまことに本委員会の権威を失墜するものであると考えるのであります。先般も大藏大臣がおつしやいましたが、これは本國会に同時に提案されているものであるから、その審議の過程はやむを得ぬという御解釈がありました。しかし建前建前として、もし予算を早く通過しなければならないという現段階から見るならば、すでに予算が提出されている段階において、配付税の臨時措置という問題につきましてもすでに提案されている。しかるならば私はこの委員会大藏大臣が積極的に出席つて、衆議院の予算通過前に、この委員会の審議を終え、また両院を通過する方法をとつていただくことが私はよかつたのではないかと思う。このような行き方は、國会の趣旨、さらにひいては憲法の趣旨に違反するものであると考えるのであります。かかる観点において大藏大臣の今回とられた措置に対しまする考え方をお伺いしたいと思います。  次は今回この率の改正によりますと三三・一四%から半数以下になるべき一六・二九%という極端な削減によつて地方財政の受ける影響は実に甚大であります。この現状から見ますならば、すでに地方財政を根底から破綻に導くものである。そのことはすでに地方に移讓された自治警察の問題、これはすでに返上を余儀なくするという事実が現在起つております。さらに六・三制にいたしましても、まつたくこれを中止しなければならない段階であります。日本の財政地方財政が確立されてこそ、はじめてそこに國家財政が確立されるという観点から見た場合に、日本の復興途上にある財政の根本的な再建の段階において、いろいろな客観的な情勢はありましても、そういう観点から見ますときに、これはまつたく重大なる問題であると考えるのであります。その場合において極端なる削減を見た五百七十七億をもつて、はたして地方財政が確立されるかどうかという点について、政府当局、特に予算を編成された大藏大臣の今後の地方財政に対する所見をお伺いしたいと思うのであります。
  27. 池田勇人

    池田國務大臣 予算が先に通つてしまつて、その元をなす法律案が今審議を継続している、これは違憲であるか、不法であるか、大藏大臣は不届き千万というようなお話でございますが、これは先般來本会議あるいは委員会でも議論になりましたように、私は違憲でもないし、違法でもないと考えております。憲法上法律案予算案というものは、その形式、内容、効力を異にいたしておりまして、予算案が通つて法律案があとから通るというような場合も、これは今まで数の多いことであります。政治的に見ればお話通りであります。最初法律案を審議して、予算案を審議するのが、政治的には適当であると考えますが、実際問題といたしまして、なかなかそういうことは困難である。ことに御承知のような占領治下におきましては、どうしても先に困る予算案を通してしまおうというようなことが、旧憲法時代におきましても、また新憲法時代におきましても、通例に相なつておるのであります。ことに御承知のように二十二年度におきましては、失業保險法とか、あるいは失業保險特別会計法案予算が両院を通過して後に法案が議会に提出された、こういうような状況もあるのでございまして、私は政治的には同時審議か、先に審議されるのがいいと考えておりますが、そうでなかつたからといつて憲法違反あるいは法律違反だとは考えておりません。しかし今後のやり方といたしましては、お話もありますので、できるだけ予算の基礎になる法案は早く出すように努力いたしたいと考えております。  次に本年度の地方財政はどうか、まことに地方も國も同樣に苦しいのであります。私から申しますと、まあ産みの悩みと申しますか、なかなか國も苦しいのでございますし、また地方もお苦しいと考えておるのでございますが、経済再建、日本復興のためにひとつおがまん願いたい。もし國に余裕ができましたならば、まず國民の税負担の軽減をはかり、また地方配付税の増加を考え、また公共事業につきましても、特段の努力をいたしたいと考えております。
  28. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、憲法違反とか、あるいは法律違反とは考えておらない。それはお互い主観的な問題も出て参ると思うのでありますが、私は少くとも大臣慣例であるとか、今までの通例であるというようなお考えはぜひ拾てていただきたい。それから日本が占領治下にあるからというようなことも、私はひとつ絶対避けていただきたい、こう思うのであります。慣例やあるいは占領治下にあるということは、われわれも十分わかつております。わかつておりますが、少くとも國会においての正式なる論議において、あくまでも法の示すところに從つて最善の努力をするという考え方をまず持つていただかないと、これが及ぼす影響というものは非常に甚大だと思うのであります。從いましてただいまの大藏大臣答弁の中に、慣例であるとか、通例であるとか、あるいは占領治下にあるやむを得ない事情であるとかいうことは取消していただきたい。あくまでも法の示すところに從つて最善の努力をするという行き方が私は望ましい、こう思うのであります。  もう一点は今回の眞にやむを得なかつた五百七十七億というこの配付税につきましても、今後善処したいというお考えであるようでありますが、はたして單に善処をするというだけであるのか、予算の問題につきましても、総理大臣は特に六・三制については、臨時國会において修正をいたしたいというようなお考えを披瀝されておりますが、この配付税につきましても、次の臨時國会において修正をするというようなお考えがあるかないか、この点もう一つお伺いしておきます。
  29. 池田勇人

    池田國務大臣 私ははつきり申し上げますが、こういうふうな予算案あるいは法律案の提出の時期的ずれにつきましては、憲法違反にもあらず、法律違反でもないと確信いたしております。  次に今後予算の実行上、余裕が出たり、余裕の出る見込みがつきましたならば、先ほど申し上げましたように、まず第一が國民の税負担の軽減であります。そうして次に配付税、また公共事業費公共事業費と申し上げたのは、從來六・三制の問題が公共事業費のうちから出ておりますから、これを含めてのことでございます。どれだけ余裕が出るかはまだはつきりわかりません。これからはわれわれの努力によりまして、できるだけたくさん出す、またたくさん出し得るような方法を講じて行きたいと考えております。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 大藏大臣にお尋ねいたしますが、法律違反という問題でありますが、なぜこういうふうな結果になつたかということを、國家財政地方財政の比較において考えてみますと、これは明らかに國家財政の一方的な立場から地方財政の圧縮が考えられる。しかもその一つの方法として配付税が減らされたということは明らかなのであります。当初地方財政委員会の方でお考えになつておりました地方予算は、四千三百億に達する予算でありますし、その当時考えられておりました一般予算は五千八百億ばかりでありまして、その差はわずか千数百億にすぎなかつたのであります。ところが國家予算の方が終戰処理費の増嵩、あるいは價格調整費の増嵩等によりまして、千数百億を増加いたしまして七千億になり、反面それを補わんがために地方における配付税減額地方起債の低下、國庫支出金の減額となりまして、地方予算は千億を逆に削られまして三千四百億程度に切り下げられたのであります。その結果当初考られておりました中央地方予算比率は、中央に対して地方が約七十%以上を占めておりましたものが、最後になりますと五十%以下ということになりまして、しかもその減らした内容から見ましても、これはまつたく中央の終戰処理費あるいは價格調整費というようなものの増嵩によることは明らかであります。中央におけるどういう勢力が地方予算を圧縮し、しかも地方のいわゆる六・三制であるとか、地方の民生に関する費用を圧縮したか、これは公共事業費の圧縮ということになつて現われておりますが、地方の民生に関する費用を圧縮したことは明らかでありまして、これは大藏大臣が幾ら詭弁を弄されましても、まつたく一方的な中央——それも一部独占資本による地方民生費の圧迫であることは、明らかであります。こういうような、立場から配付税法にきめられておりますところの三三・一四という数字を変更するということは、明らかに違法であります。もし財政情勢とか、そういうもので配付税を増減する場合は、おのずから配付税法にきめられておりまして、それによつて配付税の増減ができることになつておりますが、これ以外に今言つたような立場から配付税法を一方的に変更することは、明らかに違法であろうと思います。しかもそれを手続上から見ましても、地方財政委員会大藏大臣との間において非常に意思の疏通が欠けております。前回大藏大臣がここに出て参られまして言われた中にも、地方財政委員会の方で、最初配付税を八百五十五億と見込んだことは何ら聞いていなかつたということを言つております。あるいは大藏大臣が某方面に七百二十億で配付税を交渉されたということは、地方財政委員会では知らなかつたということを申しております。こういうふうに地方配付税の額を決定するにあたりましても、手続の上で大藏省が独断的な、官僚独善的な方法できめられたということもこれまた事実であります。いろいろな面から見ましても、まつたく今度の配付税減額に現われました中央地方への圧迫ということは、單に配付税法の違法であるというだけではなしに、全体的に見て大きな違法行為であろうと思うのであります。そういうことがはたして許さるべきものであるかどうか、しかも大藏大臣の本日の答弁の態度から見ますと、今後もそれを続けて行くというような態度がはつきりうかがわれるのであります。そういうことでは私ち委員会といたしましても、大藏大臣の今回おとりになつた態度、あるいは今後おとりになろう態度には、決して承服できないのであります。この点をひとつ御返答を願います。
  31. 池田勇人

    池田國務大臣 國の予算を組みます場合には、地方財政事情考えまして、彼比徴税をする必要がございましたので、今回のような地方配付税法の改正案を御審議願うことにいたしたのであります。決して私は違法であるとは考えておりません。また將來の問題といたしましては、できるだけ地方独立財源をふやすような行き方で行くべきであると考えております。
  32. 立花敏男

    ○立花委員 今のお答えに対しましては考えたといわれますが、それは大藏大臣の独善的な考え方でありまして、同じ閣僚である木村國務大臣とはまつたく意思の疎通がなかつたということは、両大臣の御答弁を承つてはつきり現われておりますので、私たちはそういう大藏官僚の独善的な態度をやめていただきたい。ということを申し上げるのでございまして、個々の三百代言的な、違法であるとか、そういう問題は私は末梢の問題であると、そういうふうに考えておりますので、今後ひとつそういう態度はぜひお改め願いたいと思います。次にお聞きいたしたいと思いますのは、もうすでに地方におきましては、配付税を予定いたしまして、事業を開始いたしておるものがありますし、あるいは今後地方予算を組み直さなければいかぬというものがほとんど全般であります。こういう事態に立ち至つておる地方に対しまして、あるいは事業を開始いたしました部分の損失に対する補償の点を、どういうふうにお考えになつておるか。あるいは決定額を半分に減額いたしたあとの補償に対しましては、大藏大臣はただいまも独立税の問題とか、あるいは臨時國会における税制の改革の場合なんかを言つておられますが、それは私たちといたしましては、欺瞞的な言葉であるとしか受取れませんので、はつきりその点の具体的な方策をお持ちであるかどうか、お聞きしたいと思うのであります。それがお聞かせ願えない以上は、私たちといたしましては、このままではおそらく地方財政を審議する委員会といたしまして、そのままこの改正法をうのみにすることはできないと思いますので、はつきり具体案をお聞かせ願いたいと思います。
  33. 池田勇人

    池田國務大臣 先ほど來申し上げた以上に具体案は持ち合せございません。
  34. 河原伊三郎

    ○河原委員 議事進行に関して、先刻より議事の状態を拜聽いたしておりますのに、違憲とか、不法とか、いう言葉をたびたび聞くのであります。当局が勝手に法律をかえまする場合は、むろん不法でございますけれども、正しい手続を踏んで議会の協賛を経て変更する場合は、何ら不法でないのでありまして、当局のそれらに対する答弁があまりにも穏便なために、非常に議事がだらだらするようでありますから、そういつた間違つた質問に対しては、ぴしぴしとした答弁をしていただくことを望みます。
  35. 門司亮

    ○門司委員 私はこの前の委員会大臣のおいでになるときに、かなり詳しくお聞きいたしておりまするので、本日はきわめて簡單にいたしたいと思いますが、ただ一点、その前に申し上げておきたいと思いますことは、先ほどの大臣地方配付税に対するお考えの中で、この地方配付税ができたということは、官僚の中央集権的の一つの考え方であつたというようなことがあつたと思います。この点はひとつ大臣に改めていただきたいと思います。それは大臣がしろうとであれば別でありますが、おそらく昭和十五年の当時の分與税法ができまするときには、大臣はたしか大藏省の主税局長ではなかつたかと思うのであります。從つて当然配付税法に対して参画された最も重要な人であつたと私は心得ておる。從つて單にこの配付税が、そういう官僚の中央集権的のものの考え方から來たのではなくて、これは御承知のように、すでに大正九年あるいはそれ以前からも問題になつておりました大きな一つの問題であります。ことに昭和九年かと思いまするが、当時の三派の連合体の内閣でありましたときですら、この問題をどうするかということが、法案となつては現われませんでしたが、一應國会内では取上げられておつたということは御存じの通りであると思うのであります。私はこの問題が起りましたのは、日本の資本主義が高度化すればするほど、個人的の貧富の懸隔が大きくなると同時に、財政的に見ましても、國の財政地方財政——ことに地方財政は、資本主義が高度化するにつれて、僻村等の財政がますます困難になつて行くということは、資本主義のしからしむる一つの当然の過程であります。この資本主義の当然踏んで参りました過程につきましても、これをいかにするかということがいろいろ問題になつて参りまして、このままの姿で置くならば——当然地方自治でありますので、できるだけのおのおのの能力において仕事をすべきが自治の本領ではありますが、日本の自治体というものは、國家事務が非常にたくさんありますので、この國家事務を遂行するために、そう簡單地方自治体だけに財源を任せておくわけには参らぬというので、この配付税法が非常にやかましく問題になつて参りまして、國会に取上げられて昭和十五年にこれが当時の分與税法としてできまするまでにも、八年あるいは十年もかかつておるのであります。そうして昭和十五年にできた前の分與税法配付税法と名前をかえますまでの間におきましても、なお八年間かかつている実情であります。そこで大藏大臣はどうか、そういう官僚の中央集権的なものの考え方でこの税法ができたという考え方だけは、ぜひひとつお改めを願いたいと、まず考えているのであります。それで聞きたいと思いますことは、先ほど大臣はいろいろ申されておりますが、地方財政の面から見ますると、すでにこの前もいろいろこれは議論になつた問題でありますが、大臣はこの委員会においては初めてだと私思いますので、同僚各位にはあるいは御迷惑かと思いますが一應聞きただしておきたいと思うのであります。地方財政法の第二條には、はつきり國の財政都合によつて地方財政に累を及ぼすようなことがあつてはならないということが書いてあります。成文を読みますならば、地方財政法の第二條の冐済に「地方公共團体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも國の政策に反し、又は國の財政若しくは他の地方公共團体財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。」と書いて、二項に「國は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共團体に負担を轉嫁するような施策を行つてはならない。」ということが、明瞭に書いてあるのであります。しかるに、政府の意図するものは何であるかと申し上げますならば、この次に來るものは住民税の値上げであり、さらに地租の値上げであり、家屋税の増額である。しかも地方財政委員会委員長である木村國務大臣に聞きますと、これは地方財政が非常に困窮しているので、地方財政の充実を來すために、やむを得ざる増税として、地方財政の観点からそういうことを考えているのである。配付税の減つたのは國の予算建前の上において、やむを得ず配付税が減つたのであるということが答弁されている。そう考えて参りますと、この地方財政法の二條二項に、明らかにもとるお考えではないかと私は考えるのであります。國の施策においてこれを圧迫してはならないということを、はつきり財政法に明記いたしておりまする以上は、國の施策によつて地方配付税を減らしたということは、この法律大を臣はどうお考えになつているかということが第一点であります。  それからついでに、時間がないというお話でございますから聞き合わしておきたいと思いますことは、地方配付税を減らしてもいいという條項は、法律建前から申し上げますならば、地方財政法の二十六條に、ただ、ごくわすかにその片鱗を見せているのであります。その條項は「地方公共團体が法令の規定に違背して著しく多額の経費支出し、又は確保すべき收入の徴收等を怠つた場合においては、國は、当該地方公共團体に対して交付すべき地方配付税の額を減額し、又は既に交付した配付税の一部の返還を命ずることができる。」という條項に相なつているのであります。從つて地方公共團体が、その徴收すべきものを怠つた場合においては、あるいはそういう減額ができるかもしれない。しかし徴收することを怠るどころか、なおこれから地方税金を増徴しようと考えているところである。こういう大きな矛盾を來していると思うのでありますが、この点に対して大臣はどうお考えになつておりますか、一應お聞きしておきたいと思うのであります。
  36. 池田勇人

    池田國務大臣 誤解があるといけませんので申し上げておきますが、官僚の中央集権的考え方、こうは申しません。考え方中央集権的であつた。これはお話通り昭和八、九年ごろから、だんだんと地方状況がかわつて参りまして、財政調整交付金でまかなつて來ました。そうして馬場財政のときに大体そういう考え方計画をいたしておつたのであります。その後戰時体制になつて参りまして、國で徴收をして、あと分與するという考え方なつた。これは中央集権的の考え方だと思いますが、官僚ということは言つておりません。  次に財政法第二條につきましては、これは地方財政の独立をはかるためのいわゆる目的を書いておるのであります。しかしてこういう財政危機の場合におきましては、今回のような措置を皆様の御審議を経てやりますことは、財政法の違反にはならないと思います。  次に地方税の増徴でありますが、御承知通り地租、家屋税につきましては、十何年前の賃貸價格で行つております。ことに地租などは、米價が一石二十円五十銭という平均で行つておるのであります。日本の田の一反の賃貸價格は十八円、非常に安い。今から申しますとべらぼうに安い賃貸價格でございます。これは大体今までの方針から申しますと、十年に一回やりかえなければならないことになつているのです。十年に一回やりかえるということになると、昭和二十一年にやらなければならないのですが、全國の一億二千万の田畑についてやるわけにはいきませんので、今回地方の負担を百分の二百、あるいは百分の二百五十から百分の五百にいたしたわけであります。百分の五百にいたしましても、米價が四千円といたしますと、地租の負担は大体二%程度しかならないことになるのであります。これは負担の公平から申しましても、地租、家屋税につきまして、この程度の増徴はやむを得ないことと考えた次第であります。
  37. 門司亮

    ○門司委員 私は非常におかしな話を聞く。第二條に対する違反でないというお話でありますが、第二條と第二十六條とを考え合せるときに、私は政治的に明らかに違反である、明らかに政治的の責任を大臣は負わるべきであると考える。それから増徴の問題でありますが、二十三年度あるいは二年度の政府の発表いたしましたいろいろな資料に基いて見まするならば、地方の担税力が非常に減退しておるということは、数字の上に現われて参つておるのであります。地方の担税力が非常に衰退して参つておる。その数字の上に現われております以上に、一体税金地方にかけることが、正しい行き方であるかどうかということであります。一方においてはとれない税金をかけ、そして一方においては当然配付すべきものを配付しないというこの矛盾を、大臣はどうお考えになるかということを聞いておるのであります。この点についてもう一應大臣の明快なる御答弁を願いたい。
  38. 池田勇人

    池田國務大臣 負担は國税並びに地方税全般から考えなければならない問題だと思います。しかしてただいまの税制で参りますと、なかなか國民の負担は重加されておりますので、この負担につきましては予算委員会で申しましたように、財政の切り盛りをいたしまして、できるだけ軽減いたしたい。それからまた地租、家屋税の引上げについては、今申し上げました事情から引上げた次第であります。
  39. 門司亮

    ○門司委員 地租、家屋税ばかりを大臣は言つておられますが、地租、家屋税の賃貸價格が非常に安いことは私も承知いたしております。しかしものは幾ら安いからそれを上げてもいいということは、担税力と比較しなければならない問題であります。担税力がないところに、どんなにものが安いからといつて、それを増額することは大きな問題を起す元である。さらに安いと言われておりますが、それなら住民税はどうお考えになるか、私は第二國会と記憶しておりますが、第二國会の終りに当時七百円であつた住民税を、政府は千円に値上げしようとしたのであります。その際私ども委員会におきまして、地方財政的負担は非常に加重されておるので、人頭割をその基礎とするこの惡税に対しては、徹底的にこれを安くする必要があるといたしまして、当時の野党あるいは與党が、当委員会においては全部一致いたしまして、政府原案の千円を九百円に実は減額いたして参つたのであります。しかるにもかかわらずそれからわずか半年ばかりたつた今日、住民税を現在九百円のものを千四百五十円に上げようとする。六割以上の値上げをしようとするものの考え方は、はたして大藏大臣は担税力ありとしてこれをお考えになつておるかどうかであります。
  40. 池田勇人

    池田國務大臣 先に申し上げましたように、中央地方を通じて全般的に負担は考えなければなりません。從いましてできるだけ早い機会に、負担の軽減に努めたいと考えておるのであります。しこうして住民税の問題につきましては、地方財政状況あるいは國の財政状況を見まして、この程度はやむを得ないことだと考えております。
  41. 千葉三郎

    ○千葉委員 簡單に二点だけお伺いしたいと思います。  第一にお伺いしたいことは、大藏省の主税局の編纂にかかりまする昭和二十四年度の予算説明書の地方配付税配付金の中に、二十四年度の地方歳入歳出額、いずれも三千四百六十五億円となつております。ところが地方財政委員会から出ましたところの参考書によりますと、総司令部の勧告案によつて計算すると、どうしても三千三百八十八億円になる。これ以上にはのぼらぬという。そこでここに七十七億の開きが出て來る。これは非常に重大なことでありまして、大藏当局は三千四百六十五億と言い、地方財政委員会においては三千三百八十八億と言う。いずれが正確であるか。この点を大藏省が間違つておるならば間違つておると、いずれが間違つておるものであるか、はつきり伺いたいと思います。  それから第二の点は、三月二日全國の都道府縣議長会議大臣出席なつたそうでありますが、そのときに地方の代表の陳情に答えて、七百二十億の当時予想した配付税、さらに五百億の地方公債は大丈夫だ。君たち安心しろということを仰せられておる。そこでその当時は所得税二百二十億ということであつたので、八百五十億が來るものと地方は予想しておつた。それが減額されて七百二十億になつたので、この七百二十億だけは引受ける、大丈夫だという、大臣の力強い言葉があつたので、安心して帰つた。安心して帰つて、その額を推定して地方においてはそれぞれ予算を組んだ。ところがその後になつて五百五十億になつた。正確に言うならば五百四十九億になつた。そこで大臣の言明を信じて予算を組んだのであるが、どうしてそういうような地方自治團体に対する歳入の欠陷を補填なさるか。三月初旬におきましては大臣は就任当初であり、また司令部の意向も十分わからなかつたし、まことに同情すべき点もあるのでありまするけれども、聞いた側の地方の代表は眞劍になつてそれを聞いた。そこで組んでしまつた今日におきましては、補完補填の道に非常に苦しんでおるのでありまするが、そうした問題に対して大臣は、どういうふうにお考えになるか、その二点だけを承りたい。
  42. 池田勇人

    池田國務大臣 地方財政委員会大藏省との、今の地方予算のスケールの問題につきましては、調べてから後刻御返事することにいたします。第二の点の都道府縣知事の会合に私は参りましたが、千葉委員のおつしやるようなことは一切言つておりません。速記をとつておるとすれば、速記をお調べくださつて質問願いたいと思います。こういうことは申しました。まだ七百二十億円はきまつてはいない。昨年より減ることはないと私は考えております。これだけ申しております。
  43. 千葉三郎

    ○千葉委員 そのときに地方公債のことはお話にならなかつたのでありますか。
  44. 池田勇人

    池田國務大臣 地方公債につきましては、地方公債は全然認めないという考え方もあるが、自分としては極力認めてもらうように努力いたします。これだけ答えております。
  45. 生田和平

    生田委員 川西君の質問に対して大藏大臣は、本年の交付金は五百七十七億は減らぬ。これは三千百億の所得税收入から一六%何がしをかけたものと思う。ところが今後この所得税の減收がかかる。その際には相かわらず大藏省はこの五百七十七億は減じないでお出しになるか。私のそんたくするところによると、本年度の予算は五百七十七億円で組んであるのだから、それは間違いない、こうおつしやるだろうと思う。しかし万一所得税がデフレ等の関係で減つた場合、必ず今後二年後ぐらいには決算をする。決算をするときには実收額からお引きになるのではないか。今の五百七十七億は一つのおあずけであつて、二年後には差引くのではないかということを懸念する。この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  46. 池田勇人

    池田國務大臣 私は今回の五百七十七億円をきめました経緯から申し上げますと、これは絶対確保いたしたいと考えております。もし幸いにアメリカから來られるシヤウプ博士等と税制改正の案を檢討いたしまして、所得税を軽減するというふうなことを私は考えておりますが、その際三千百億円が減つたという場合には、やはりこの配付税法をかえまして、五百七十七億円を確保するように率を上げて行く、こういうことをはつきり申し上げておきます。
  47. 藤田義光

    ○藤田委員 千葉さんが委員長から割当てられた時間よりも大分短かかつたようでありますから、それだけいただきまして私の質問をなるべく簡單にいたします。木村國務大臣質問いたしまして、結論として木村國務大臣は、全然何もわからぬという、はつきりした一應の見通しを私は得ましたのでございますが、ここに財政のエキスパート大藏大臣が、きようようやくお見えになりましたので、重複する点もございますが、重ねて質問してみたいと思います。まず第一点は、大藏大臣國家財政の責任者として地方財政の現状をどう見ておられるか、國家財政地方財政はどちらが困つておるか、それに関連しまして地方財政の根幹をなす配付税減額したその根拠は、いかなる資料に基いてなされたか。先般の総務部長会議におきまして、予算編成の技術的な責任者であります主計局長が、私は地方財政の現状は知らぬという実に非常識な発言をいたしておりますので、その責任者として大藏大臣の言明をここで聞きたいと思います。
  48. 池田勇人

    池田國務大臣 地方財政國家財政も、ともに窮乏を続けております。私もしばらく浪人いたして地方の方も歩いておりますので、地方財政の窮乏の程度も少しは存じておるつもりでございます。いずれにいたしましても國と地方を通じて財政の建直しをしなければならぬ状況でありますので、今回のような措置をとつたのでありますが、先ほど來申し上げておりますように、地方財政の独立につきましては十分今後努力して行きたい思つております。
  49. 藤田義光

    ○藤田委員 それでは私は質問事項が簡單でございますから、一度に質問いたします。地方財政基本をなす配付税減額、いかなる資料に基いてなされたか、この御答弁がなかつたので重ねてお伺いします。  次に財政法第二條違反云々の問題に関しましては、先般木村大臣にも質問し、先ほど門司委員からも質問がございましたが、この点に関しまして、大藏大臣の御答弁は、さすがに財政通と敬服いたしておりまするが、先ほどの御答弁中に、この規定は地方財政の目的を規定してあると申されましたが、これは地方財政運営の基本でございます。御答弁が多少違つておるようでございます。この地方財政運営の基本である第二條の規定、これにはたして心行くまで違反していない、絶対自信があるかどうか、私はこの点大藏大臣から一言お聞きしたいのでございます。  次にシヤウプ博士の來朝にわれわれ非常に期待いたしておりまするが、その際におきまして、地方税法に関しまして何か改正の提案でもされるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。  最後に対日援助見返資金特別会計法というのが、今大藏委員会で審議中でございます。木村國務大臣にも御質問いたしたのでございまするが、その第四條に國債の償還云々という規定があります。この資金の使い道を規定してございますが、この中に配付税というものを減額しながら、地方債が全然規定されてない。仄聞するのに建設公債というやや営利的な費目には、二百五十億円という厖大なる経費支出されるように拜聽いたしておりますが、非常に困窮しておる地方財政から配付税を引下げながら、この一千七百五十億という非常にりつぱな財源に対して、地方債の償還の規定を入れなかつた理由、これは木村國務大臣の御答弁によりますと、施行細則に入れるということでございましたが、施行細則に入れるならばぜひ本法に入れていただきたい。まだ大藏委員会で可決していないようでございますが、この点に関しまして、大藏大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  50. 池田勇人

    池田國務大臣 配付税減額の根拠の御質問でございまするが、大体地方の全体の財政の範囲を三千四百何十億と押えまして、そして地方税がどれだけ收入があるということから割出したのでございます。第二の財政法第二條のあの規定と今回の措置は違反しないか。私も参議院でも質問を受けましたが、この條文を読んでみますと、私は違反しないと考えております。なおシヤウプ博士が來られましたときに、地方税制について改正案を出す見込みか、これはやはり國民の負担は、國税も地方税も帰一するところ同じでございますので、地方税制の改正につきましても審議して行く考えであります。最後の対日援助見返資金の問題の使途につきましては、これは國が責任でやる仕事でございます。國債の償還あるいは復金債の償還を予定いたしておりまするが、地方債の償還に充てることは考えておりません。もし地方債の償還に充てるとすれば、別の会計をもつてやらなければ、地方財政と國の財政が混淆することになりまするから、地方債の償還をこれでやることは考えておりません。しかし第四條に規定いたしておりますように、國債の償還あるいは國の経済の復興に使うのでございます。しこうして公私の企業に対して資金を運用するとか、あるいは公共企業に対しまして資金を使用する、こういうことを書いておりますから、この運営につきましては、地方自治状況等を考えまして善処いたしたいと考えております。
  51. 藤田義光

    ○藤田委員 大藏大臣の御答弁によりまして大体了承いたしました。私は最後に希望を申し述べておきます。木村國務大臣の再三の御答弁によりまして、木村國務大臣がこの地方財政の革命的措置と言われます配付税の引下げに関しまして、積極的な熱意と努力がなかつたということを、われわれはこの委員会はつきりさせたのでございますが、そういたしますと、この配付税減額という地方財政に対するドラステイツクな措置は、大藏大臣がやつたということになります。私たちはいろいろ法律違反その他の疑義もございまするが、どうか將來において大藏大臣が、地方財政はこの配付税の引下げによつて非常に困窮する、特に二十四年度末におきましては、おそらく相当の非惨な状態が各市町村で現出するだろうと思います。そういう点を考えられまして、今後の財政、税制措置に関しましては、十分格別の配慮を願いたいと思います。われわれ地方行政委員会の権威のためにも、これを十分大藏大臣に認識していただきまして、私の質問を終りたいと思います。
  52. 中島守利

    中島委員長 これで大藏大臣に対する質疑は大体終了いたしました。次に文部大臣に対する質疑に移ります。文部大臣参議院の方でどうしても手が離せません。その関係上、文部省に属するものは佐藤政務次官が御出席されておりますから、どうか政務次官に御質疑を願いたいと思います。野村專太郎君。
  53. 野村專太郎

    ○野村委員 先般本案の通過に関して、これによる影響というような目途のもとに参考人の公述がありまして、われわれも拜聽いたしました。現在地方における深刻なる財政窮乏の上に立つて、しかも六・三制完全実施に対する危惧から、深刻なる公述を拜聽いたしたのであります。現在成立いたしておりまする予算について、六・三制の完全実施の観点に立つて政府はいかなる成案を持つてこれに臨む自信があるか、これを伺いたいのです。すこぶる國民の負担力の限度を越えておるのです。現在ですからPTAのいろいろな援助等々によつて糊塗しておるような状況であります。今後今の段階で六・三制をいかなる方途でやるか、おそらくこの結果としては、從來よりさらに國民の負担を増すか、寄附金等によつてやらざるを得ないような実情に置かれておるのではないか、こういうことが考えられる。しかしすでに三千百億、六割の増徴を所得税に求めなければならぬ、こういう観点から見ますると、おそらくそういう余裕がない。しかしこの教育六・三制完全実施という熱情というものに対しては、そういう観点をさらに越して行くのであつて、こういう点から非常なむりができて來る。しかも建設費に対しては、全然見込み得ないというような状況に立つておる。こういう点に対して政府当局はいかなる方途において、この六・三制完全実施に当るかという成案を拜聽いたしたい、かように考えます。
  54. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 非常な窮乏の財政で、六・三制が、危機に瀕しておることは、私ども実に遺憾に思うのであります。しかし一旦発足しました六・三制は何とかしてそれを遂行して行きたい。そのためにはただいま御指摘のようにいろいろ困難がございますが、建設予算につきましては、まだわれわれは公共事業費のわく内操作に対する希望を捨てておりませんので、いろいろ今努力をしておりますし、臨時國会において何とかして最小限度の予算を確保したい、その点皆さんの御協力を確保したい、その点皆さんの御協力をお願いいたしておるのであります。当面の問題といたしましては、たとえば小学校において五十人につき一・五の定員を一・三五というふうに若干の窮乏財政の際の減額がございましたが、教員俸給の半額國庫負担の予算は、確保できております。いろいろPTAその他の困難な状況がございますが、何とかして地方によつてそれぞれ実情は違いますから、地方の実情に應じた処置を講じまして、六・三制だけは守つて行きたい、かように考えるのであります。
  55. 野村專太郎

    ○野村委員 何とかしたいという御答弁でありますが、現在建設に関しては、地方公共事業費のうち、どの程度行くかわかりませんけれども、おそらくこれを收拾するだけの目途は立たないと思う。いわゆる何とかするというはけ場は、寄付金以外にはないと思う。現在前段申し上げたような全國的な事情にありますので、しかもいろいろな施設、最も大事なこういう國の施設をやることに対しては、いわゆる公正なる税金をもつて充てるのが一番よいことはもちろんである。そこを寄附金を仰いで行くということになりますと、非常なむりができて來るのでありまして、地方によつて税金と同じような手段によつて、各戸ごとに割当てておるところもあります。從來もそうであります。しかも今まではどうにかそれにこたえられました。子供の愛情にこたえてやり得たからよいのでありますが、今日の國民の負担では、とうていこれをやつて行くことができない。しかも建設関係に対しては、先般の公述によつても深刻な問題が全國に起つており、六・三制を布いたからには何とかこれは解決をつけねばならぬ、かように考えております。なおまた東京に例をとつてみますならば、東京において戰災を受けた多数の戰災者がありますが、こういう者に依然として住宅事情の解決がつかない関係もありましようが、校舍を使用さしておる。また政府機関の一部によつて占有されておる多くの事実がある。しかも建設の目途が立たない。こういう点、文部省は十分熱意をもつて解決しなくちやならぬ。現在都内にはこういう多くの問題を残しておる。しかし実際には多くの立ち上れない庶民の人たちがそこに住居しておる。こういう事実もある。この住宅問題を、建設省にも文部省から呼びかけて、何とか解決をつけようとするならばその方途はあろうと思う。こういう熱意が欠けておると思う。こういう点から解決をつけられることを望んでやまないのです。せつかく六・三制も今日完成をせねばならぬ國民的な要求にあるのですから、どうかこの点に対しては、十分シヤウプ博士の來朝による結論もありましようが、ともあれ現実の問題で片づく面も地方的にはあるのですから、どうか國民の負担の、今の実情がかような事実でありますので、そういう点から教育のことは大切ではありますが、そういうことによつて、また本來の公正なる教育というものが施されないと思いますので、こういう点に対しては十分関心をお持ちになつていただいて、六・三制の完遂に御努力を願いたいと思います。戰災校舍のことについて、ちよつと御答弁を願いたいと思います。
  56. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 この問題につきましては、建設省の方にも始終連絡をしておりますが、御承知のような住宅事情でありますので、はかばかしく参つておりません。ただいま御指摘のように、公共事業費による校舍の整備が非常に困難な状態でありますので、なお一層熱意をもつて住宅問題の解決によつて、少しでも校舍の方面に余裕ができるように、文部省としては最善を盡す覚悟であります。
  57. 千葉三郎

    ○千葉委員 ただいまの関連事項でありますが、今回文部省が文教施設に対して補助される補助率でありますが、その補助は單價をどのくらいにしてあるのでございますか。たとえば一坪当りどのくらいでできるか。昨年は一坪当り五千円ということでありましたが、本年度はどの程度になつておりますか。
  58. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 本年度は、ただいまのところ御承知のようにまだ全然予算がとれておりません。しかし文部省が最初計上いたしましたのは、一万六千円程度を計上しております。
  59. 生田和平

    生田委員 ちよつとこの点は大臣に実は聞きたかつたのですが、政務次官に伺います。文部省には学校財政法というものができるということを聞いておつたのでありますが、今日もやはり御計画があるでしようか。またおやりになつておりましようか。
  60. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 学校財政法というものをぜひ確立したい、相当の案も持つておるのでありますが、今日の國家財政の状態から裏づけができる数字のないときに、形だけの法案をつくるのはむずかしいのではないかと思いまして、なお考究中であります。しかしできるだけ近い將來に、ぜひさようなものを提案したいと存じておりますが、今度の第五國会に間に合うかどうかは、相当困難ではないかと存じております。
  61. 生田和平

    生田委員 私実は憲法二十六條に「義務教育は、これを無償とする。」と書いてあることに対して、政府質問書を提出してあります。あなた方のお考えになつている学校行政法の中に、わが國の義務教育の保障ということについてお考えになつているかどうか。かりに教材を無償で兒童に配付するとかいうようなお考えを、今まで持たれていると伺つておりますが、何かそういうお考えを今お持ちになつているか。これは根本的な問題でなしに、兒童に教材を無償で文部省が付與するという考えが今日あられる、それだけ承つておきたいと思います。
  62. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 生田委員の仰せになりましたような方向に進んで行きたいとむろん文部省は念願をしておるのでありますが、現下の経済事情でどこまでそれが実現できますか、これもまたおそらく民主自由党の方から御提案を願え得ると思いますが、文部省も非常に希望をし、協力をしております教育復興金庫というようなものを設立いたしまして、その学童が貯金をいたしますその蓄積いたしました資金で、ただいま仰せになりましたような学用品その他の支給をするようにいたしたい、この方面もせつかく文部省として、民主自由党にお願いいたしまして、一日も早く御立案を願うように連絡をしております。
  63. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ごく簡單に御質問申し上げたいと思います。地方財政の窮乏のあまりPTAが寄付金募集に力を注ぐようになつておるということは、自然の趨勢で、まことにいたし方ない点もありましようが、PTAに対する文部省の指導方針について伺いたいと思います。と申しますのは、先般の木村國務大臣の寄付金に対する答弁につきまして、寄付の強制割当のごときは、なるべく避けたいというような御趣旨の御答弁があつたのであります。文部省におかれましては、PTAの活動が、寄付金の強制割当というような態度をとつた場合に、どういうふうな指導をされるおつもりであるか、その辺のところを承りたい。
  64. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 PTAというものの本來の性質が、財政の上からそういうことはしてはならぬはずのものでありまして、現下の窮状やむを得ずさようなことをされておる実情があるようでありますが、本來のPTAといたしましては、学校と家庭とが緊密な連絡をとつて、兒童の教育の徹底に協力して行くという筋合いでありまして、文部省といたしましては、できるだけPTA本來の目的でないところのそういう財政的な方面に、PTAを煩わさないようにして行きたい、かように存じております。
  65. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ただいまのお考えはまことにけつこうでありますが、ただそういうふうにお考えになつておるだけでは、地方はさつぱり動きませんので、これに対して何か具体的な策を講ずる。たとえば通牒を出すとか、そういう方法を講じなければ、お考えになるだけでは何もならぬと思いますが、何かそういう策を講ずるつもりでありますか。
  66. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 從來もPTAというものの本來のあり方、その指導方針につきましては、始終文部省から通牒を出しております。ただそれでは全然寄付金などに一切触れるなということは、ほんとうは言いたいのでありますけれども、そこまで強く申しにくいような実情でございまして、できるだけPTAの本來の使命を逸脱しないようにということは、文部省としては始終通牒もし、またそういうふうな指導をしておるのでありまして、一日も早く御趣旨のような本筋にもどれるようなときを、私どもは念願をしている次第であります。
  67. 藤田義光

    ○藤田委員 地方財政委員会地方債のわくが二百三十三億ございます。前年度分で三十六億引きますから百九十七億になりますが、このうち学校の修築費その他で、どのくらいの起債をとれる見通しでありますか。その点が一つ、もう一つは昨年度において文部省は全國にたしか十箇所と思いますが、新制中学のモデル・スクールを指定いたしておりまして、これには相当高額の補助と資材をやつております。私の縣の熊本では二箇所いただいておりますが、このモデル・スクールの建築に要する資材と資金は、二十四年度においてはどうなるか。特にこれは文部省の権威にかけても、いやしくもモデル・スクールという名前をもつて一應天下に発表した以上、責任ある結末をつけないわけには行かぬのではないかと感じておりますが、政務次官の御意見を伺いたいと思います。
  68. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 第一点につきましては、公共事業費のわくができまして、それと見合うわけでありますので、なおその方面のことを折衝中でありますので、どれだけの起債のわくが学校関係にわたるかが確定いたしません。第二点につきましては六・三制の予算の中でやつておりましたもので、その予算がただいま折衝ができませんと、モデル・スクールの方も、ただいま文部省の体面とおつしやいましたが、それだけを取出してするということは困難かと思います。
  69. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと私簡單に、質問ではありませんが要望いたしておきたいと思います。それは先日この委員会地方財政に関するいろいろな問題について、参考人から御意見を聞きましたときに、学校の問題等も承つたのでありますが、学校教育が非常にきゆうくつになつておるということは、財政面から御承知通りであります。私がお尋ねしたいと思いますことは、即答でなくてもけつこうでありますが、資料があれば資料を出してもらいたいということです。それは教室の不足数が一体どのくらいあるかということと、完全に六・三制を実施するならば、どのくらいの費用が必要であるかということを地方と國との分担区分を、はつきりしてお示しを願いたいということであります。  それとさらにもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、やはり地方財政関係を持つております教職員の問題であります。これが行政整理というようなことで、あるいは減らされるのではないかということを聞いておりますが、しかしそれは地方の実情から考えますと、非常に大きな問題を起すと私は思う。文部省が机の上で子供何人に対して教員何人あればいいというようなことでは、学校の問題は片づかないと私は思う。非常に少いところでも教員一名を必要とするようなところが、地方にはたくさんあると思いますので、これらの点を十分考察された上で、はたして文部省において教員を整理しなければならないかどうかということの数字的の基礎を、ひとつお示し願いたいと思うのであります。
  70. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 詳細な数字は、御希望のようにいずれ書きもので差上げますが、先ほど申しましたように小学校は一・五人が一・三五人になつております。中学校が一・八人のものが一・七人になつたというような困難はございますが、しかし教員につきましては何とかしていろいろ努力くふうをいたしまして、教育に欠陷のないように、またただいまお話のありました行政整理等によりまして教員の出血はほとんどないつもりでございます。この定員、定額制というものを確保いたします予算の範囲内において、現在の教員の維持はできるつもりでございます。詳細な数字等はいずれ後刻差上げることにいたします。
  71. 谷口善太郎

    谷口委員 今の最後の点は非常に重要だと思いますが、今度の行政整理のうちでは、教員の実際上の出血はないというふうに見てよろしゆうございますか。
  72. 左藤義詮

    左藤(義)政府委員 さうよ御承知いただいてけつこうであります。
  73. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたします。質疑はこれにて終了いたしたいと考えます。明日午前十時半より委員会を開きまして討論採決に入りたいと思います。それで御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 中島守利

    中島委員長 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四分散会